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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】剃刀
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/06 20060101AFI20241111BHJP
   B26B 21/52 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B26B21/06 Z
B26B21/52 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021032145
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022073878
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2020183138
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】山小瀬 寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弥生
(72)【発明者】
【氏名】門倉 麻以
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】高木 利樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 淳
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5033191(US,A)
【文献】特開2000-157763(JP,A)
【文献】特開2000-334184(JP,A)
【文献】実開昭62-109069(JP,U)
【文献】実開平3-128065(JP,U)
【文献】特開2010-131228(JP,A)
【文献】特表2017-524424(JP,A)
【文献】特開平5-184742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/00-21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者により把持される把持部と、前記把持部と一体的に形成されたヘッド支持部と、前記ヘッド支持部に搭載された剃刀ヘッドと、を備え、折り曲げられることで組み立てられる剃刀であって、
前記把持部及び前記ヘッド支持部の全体が紙で形成され、
前記剃刀ヘッドは、全体が金属で形成され、かつ刃体と、前記刃体を開口部から露出させつつ収容する枠体とを有しており、
前記開口部を覆うように前記剃刀ヘッドに取り付けられた、粘着剤を有するシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記剃刀ヘッドから取り外されて前記把持部に取り付けられることで前記把持部を折り曲げられた状態で保持する、
剃刀。
【請求項2】
前記把持部には、前記シール部材を取り付ける箇所を案内するガイドが設けられている、
請求項1に記載の剃刀。
【請求項3】
前記シール部材は、前記把持部の外周を1周以上巻回するように取り付けられる、
請求項1または請求項2に記載の剃刀。
【請求項4】
前記シール部材は、中央部分を除く外縁部分に前記粘着剤が配置されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の剃刀。
【請求項5】
前記シール部材は、前記剃刀ヘッドと重なる領域から外側に突出する突出部を有し、前記突出部には前記粘着剤が配置されない、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の剃刀。
【請求項6】
前記ヘッド支持部の前記把持部側とは逆側に設けられ、折り曲げられて前記把持部に設けられた長孔に挿入される差込部を有するヘッド固定部をさらに備え、
前記差込部は、外側に湾曲するよう突出し、前記長孔に挿入されることで前記ヘッド支持部と前記ヘッド固定部とを固定する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の剃刀。
【請求項7】
前記シール部材は、前記長孔に挿入された前記差込部の少なくとも一部を覆うよう配置される、
請求項6に記載の剃刀。
【請求項8】
前記長孔が湾曲した形状である、
請求項6または請求項7に記載の剃刀。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、組み立て式の剃刀に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の剃刀は、ヘッド及びハンドルが一体となった本体と、樹脂製のケースに金属製の刃が収容された剃刀ヘッドとによって構成されることが一般的である。本体は、樹脂または金属などによって形成されることが多く、収容に大きな容積を必要とするため、保管のための収容スペースを確保する必要があったり、持ち運びに不便であったりするという課題があった。
【0003】
近年では、物を大切に使い、ごみを減らすリデュース(Reduce)、使える物を繰り返し使用するリユース(Reuse)、及びごみを資源として再び利用するリサイクル(Recycle)の3つのR(アール)を総称した3Rが提唱されている。上述したように従来の剃刀は樹脂及び金属によって形成されていたが、リサイクルが容易な素材への置き換え(Replace)も求められている。例えば、本体の素材を樹脂から紙に置き換えた剃刀は、環境配慮型の剃刀として循環型社会に寄与することが可能である。また、国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)における17の目標の中には、持続可能な生産消費形態を確保することが挙げられており、廃棄物の発生を大幅に削減することなどが求められている。このような状況のもと、剃刀の分野においても、環境に優しい、3Rを満足する剃刀の開発を推進することが求められている。例えば、本体部分が紙などの再生容易な資源を用いて構成された剃刀は、3Rを満足し環境に優しい技術として有望である。このような紙などを用いて構成された剃刀は、たとえば特許文献1~特許文献12などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】英国特許出願公開第GB2260927号明細書
【文献】米国特許第5033191号明細書
【文献】特開昭52-564号公報
【文献】特開平1-15086号公報
【文献】登録実用新案第3018821号公報
【文献】特開2006-263048号公報
【文献】特開2000-157763号公報
【文献】米国特許第5027510号明細書
【文献】米国特許第5274922号明細書
【文献】特表2017-520317号公報
【文献】実開平3-128065号公報
【文献】特開2000-334184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1~12に記載の剃刀は、本体が紙などを用いて構成され環境に配慮した構成にはなっているものの、以下のような課題を有している。特許文献1~7には、組み立て前の状態において、本体の形状が略矩形のシート状となった剃刀が開示されている。しかしながら、これらの剃刀では、本体を構成するシートの組み立て前の形状を略矩形状にしているため、容易に形成可能ではあるものの、デザインの自由度が制限されるとともに、本体が必要以上に大きくなってしまう。本体が必要以上に大きくなったこのような構成では、本体を構成する紙などの素材の使用量が多くなり環境に優しいとは言い難い。また、特許文献8~11に記載の剃刀では、組み立て前の状態における本体の形状が略矩形ではないものの、略矩形のシートに単純な形状のシートが組み合わせられた構成となっている。このため、本体の構成素材である紙などの使用量の削減が十分とは言えなかった。また、特許文献12に記載の剃刀においても、ホルダー部6の下部は略矩形状になっており、構成素材である紙などの使用量の削減が十分とは言えなかった。
【0006】
また、上記特許文献1~12に記載の剃刀は、使用者がシート状となった本体を複数回折り曲げることで組み立てられる構成となっているため、組み立てに要する工数が多く、また、組み立て方法も複雑になっている。このため、使用者が、剃刀を使用可能な状態にするまで煩雑な操作が必要となり、簡易に組み立て可能な構成となっていなかった。
【0007】
ところで、特許文献11及び12を含む上記特許文献に記載の従来の剃刀は、組み立て前の状態において、本体全体の形状が略矩形のシート状にはなっていないが、組み立て後の状態において、ハンドル(主体片1またはホルダー部6)の下端が直線状に形成されている。例えば、これらの剃刀をユーザが手にとる際には、このような直線状の下端部分がユーザの手指と接触することがある。また、ユーザの剃刀の持ち方によっては、このような直線状の下端部分をユーザが掴んでしまったりすることがある。ユーザがこのような直線状の紙などで形成された部分を掴んだり触れたりすると、ユーザが不快感を覚えてしまうことがあった。このように、従来の剃刀は、ユーザが不快感を覚えることを避けられる構成にする点が十分に考慮されていない場合があった。
【0008】
また、本体が紙で構成された剃刀を使用する目的のひとつは資源のリサイクルであるが、使用後の剃刀をリサイクルする際には、紙、樹脂及び金属などの素材ごとに分別することが求められることがある。しかしながら、従来の剃刀は、本体全体が紙で構成されていても、剃刀ヘッドの本体からの取り外しが考慮されておらず、本体と剃刀ヘッドとが強固に接着されていたため、本体と剃刀ヘッドとの分離が困難であり、仮に本体と剃刀ヘッドとを分離しようとすると剃刀ヘッドが破損することがあった。そして、本体と剃刀ヘッドとを分離できたとしても、剃刀ヘッドが樹脂素材と金属素材とで構成されているため、剃刀ヘッドが樹脂素材と金属素材とを含み、複数の素材が混合した状態となってしまう。素材のリサイクルを推進するためには、簡易かつ経済的にリサイクルを実行可能であることが求められるが、複数の素材が混在したままでは簡易かつ経済的なリサイクルが困難である。上記のような従来の剃刀ヘッドは、廃棄時における素材の分別が十分であり、素材ごとの分離の容易性が考慮されているとは言い難く、使用後の剃刀を有効にリサイクルすることが困難となる。
【0009】
また、例えば、特許文献12に記載の従来の剃刀では、カミソリ刃7の固着された矩形片8の面が、ヘッドを形成する緩弧状の外表面33と角度を持った面となっている。このため、ユーザがハンドルを操作し、肌に面接触する角度で剃刀の刃を肌に押し当てることが困難となる。また、刃に外力が加わった場合に、紙で形成されたヘッドの端部から刃または剃刀ヘッドが脱落したり、外力によって本体の一部が破損したりすることがある。このような構成は、特許文献12以外の上記特許文献で共通であるため、本体部分が紙で構成された従来の剃刀が有する共通の課題であった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決可能な剃刀を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような構成の剃刀を提供する。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記する場合があるが、本発明の各構成要素はこれらの具体的な構成に限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0012】
本発明の一の手段は、
使用者により把持される把持部と、前記把持部と一体的に形成されたヘッド支持部と、前記ヘッド支持部に搭載された剃刀ヘッドと、を備え、折り曲げられることで組み立てられる剃刀であって、
前記把持部及び前記ヘッド支持部の全体が紙で形成され、
前記剃刀ヘッドは、全体が金属で形成されるとともに、刃体と、前記刃体を収容する枠体とを有し、
前記ヘッド支持部は、前記剃刀ヘッドの幅方向の少なくとも両端部を支持する両端支持部を有し、
前記枠体は、周縁部の少なくとも一部に、前記ヘッド支持部と対向する側から形成され、前記刃体により切断された体毛が通過可能であるとともに、前記ヘッド支持部から前記剃刀ヘッドを離脱させる際の力点部を備える切り欠き部を有する、
剃刀である。
【0013】
上記構成の剃刀によれば、紙で形成された把持部及びヘッド支持部から、金属で形成された剃刀ヘッドを容易に離脱させやすくなり、使用者が容易に分別することができるため、リサイクルを容易にすることができる。特に、上記構成では、離脱を容易にする機能と、剃刀ヘッド内に切断された体毛が残存しないよう通過させる機能とを併せ持つ切り欠き部を設けているため、比較的簡易な構成で、分別廃棄によるリサイクルを容易にしながら、同時に、清潔かつ快適に使用可能な剃刀を提供することが可能となる。
【0014】
上記剃刀において、好ましくは、
前記切り欠き部と対向する位置の少なくとも一部には前記ヘッド支持部が位置しない。
【0015】
上記構成の剃刀によれば、使用者がヘッド支持部から剃刀ヘッドを離脱させる際に、切り欠き部に触れやすい構成にしているため、分別廃棄をさらに容易にすることができる。さらに、切断された体毛が切り欠き部から通過しやすくなるため、剃刀ヘッド内への体毛の残存をさらに抑制することができ、より清潔かつ快適に使用可能にすることができる。
【0016】
上記剃刀において、好ましくは、
前記剃刀ヘッドは、前記刃体により切断された体毛が通過可能である開口部を有し、
前記開口部は、前記ヘッド支持部と対向する面であって、対向する位置に前記ヘッド支持部が位置しない場所に設けられる。
【0017】
上記構成の剃刀によれば、開口部からも切断された体毛が通過するようになるため、剃刀ヘッド内への体毛の残存をさらに抑制することができ、さらに清潔かつ快適に使用可能な剃刀にすることができる。
【0018】
上記剃刀において、好ましくは、
前記剃刀ヘッドは、前記切り欠き部が形成された縁部とは逆側の縁部に近い側で、前記ヘッド支持部と接着される。
【0019】
上記構成の剃刀によれば、ヘッド支持部から剃刀ヘッドを離脱させようと使用者が切り欠き部に力を加えたとき、ヘッド支持部から剃刀ヘッドを離脱させる力が伝達しやすい構成となる。これにより、分別廃棄をさらに容易にすることができる。
【0020】
上記剃刀において、好ましくは、
前記枠体は、前記刃体が露出する開口部及び前記切り欠き部を有するフロントケースと、リアケースとを含み、
前記フロントケースは、前記リアケースと対向する側が開放された箱状であって、
前記リアケースは、前記フロントケースと対向する側が開放された箱状であって、
前記フロントケースは前記リアケースを覆うよう配置され、
前記切り欠き部が形成された前記フロントケースの縁部と、該縁部に対抗するリアケースの縁部とは、0.5mm以上3mm以下の距離を有する。
【0021】
上記構成の剃刀によれば、使用者がヘッド支持部から剃刀ヘッドを離脱させる際に、切り欠き部にさらに触れやすい構成となるため、分別廃棄をさらに容易にすることができる。
【0022】
上記剃刀において、好ましくは、
前記剃刀ヘッドは、前記枠体の前記周縁部から所定の範囲に設けられた接着禁止領域を除く接着領域で、前記両端支持部に直接接着される。
【0023】
上記構成の剃刀によれば、剃刀ヘッドの周縁部がヘッド支持部に接着されていないため、ヘッド支持部から剃刀ヘッドを分離させやすい構成にすることができる。
【0024】
上記剃刀において、好ましくは、
前記枠体は、前記接着領域の少なくとも一部が平面状である。
【0025】
上記構成の剃刀によれば、比較的小さい接着領域であっても、ヘッド支持部に剃刀ヘッドを安定的に接着させることが可能となり、分別容易でありながらも快適に使用可能な構成にすることができる。
【0026】
上記剃刀において、好ましくは、
前記ヘッド支持部は、前記両端支持部と前記把持部との間に形成された三角形状の三角形部をさらに有し、
組み立て前の状態では、
前記ヘッド支持部と前記把持部とが平面状になっており、
前記把持部は、前記幅方向と交差する長手方向に延びて形成され、前記長手方向に延びる中心線に対して対称であって、前記ヘッド支持部の前記三角形部に連結し、前記三角形部との連結部に沿って枝分かれした先細り形状であり、前記三角形部が前記中心線と交わる頂点の近傍において前記幅方向に狭く形成された幅狭部を有し、前記幅狭部から前記連結部とは逆側の端部に向かって前記幅方向に広がるよう形成されており、前記端部は湾曲形状であり、前記中心線に沿って前記頂点から前記端部にかけて中心折り目が形成され、前記連結部に沿って連結折り目が形成され、
前記剃刀ヘッドは、前記幅方向の両端近傍に矩形かつ平面状の矩形平面部をそれぞれ有し、前記矩形平面部が前記両端支持部のおもて面に接着され、
前記把持部の前記縁部に沿って外側に突出するよう形成されるとともに、前記中心線側に折り曲げ可能な折り曲げ部を備え、
前記折り曲げ部は、前記把持部の幅よりも小さい幅を有し、
組み立て時には、使用者によって前記連結折り目及び前記中心折り目に沿って折り曲げられ、これによって前記ヘッド支持部が前記中心線に対して裏面側に傾斜し、
組み立て後の状態では、
前記把持部の前記中心線の部分が背部となり、前記把持部の縁部が腹部となり、
前記背部から連続した前記ヘッド支持部は、前記腹部側に向かって屈曲した状態となる。
【0027】
本発明の一の手段は、
使用者により把持される把持部と、前記把持部と一体的に形成されたヘッド支持部と、前記ヘッド支持部に搭載された剃刀ヘッドと、を備え、折り曲げられることで組み立てられる剃刀であって、
前記把持部及び前記ヘッド支持部の全体が紙で形成され、
前記剃刀ヘッドの全体が金属で形成され、
組み立て前の状態では、
前記ヘッド支持部と前記把持部とが平面状になっており、
前記ヘッド支持部は、前記剃刀ヘッドの幅方向の少なくとも両端部を支持する両端支持部と、前記両端支持部と前記把持部との間に形成された三角形状の三角形部と、を有し、
前記把持部は、前記幅方向と交差する長手方向に延びて形成され、前記長手方向に延びる中心線に対して対称であって、前記ヘッド支持部の前記三角形部に連結し、前記三角形部との連結部に沿って枝分かれした先細り形状であり、前記三角形部が前記中心線と交わる頂点の近傍において前記幅方向に狭く形成された幅狭部を有し、前記幅狭部から前記連結部とは逆側の端部に向かって前記幅方向に広がるよう形成されており、前記端部は湾曲形状であり、前記中心線に沿って前記頂点から前記端部にかけて中心折り目が形成され、前記連結部に沿って連結折り目が形成され、
前記剃刀ヘッドは、前記幅方向の両端近傍に矩形かつ実質的に平面状の矩形平面部をそれぞれ有し、前記矩形平面部が前記両端支持部のおもて面に接着され、
前記把持部の前記縁部に沿って外側に突出するよう形成されるとともに、前記中心線側に折り曲げ可能な折り曲げ部を備え、
前記折り曲げ部は、前記把持部の幅よりも小さい幅を有し、
組み立て時には、使用者によって前記連結折り目及び前記中心折り目に沿って折り曲げられ、これによって前記ヘッド支持部が前記中心線に対して裏面側に傾斜し、
組み立て後の状態では、
前記把持部の前記中心線の部分が背部となり、前記把持部の縁部が腹部となり、
前記背部から連続した前記ヘッド支持部は、前記腹部側に向かって屈曲した状態となる、
剃刀である。
【0028】
上記構成の、把持部に幅狭部を有し、幅狭部からヘッド支持部と逆側の端部に向かって幅方向に広がるよう形成される剃刀によれば、平面状の剃刀の外形を矩形状とせずに角を丸くすることができるので、紙の使用量を低減することができる。また、剃刀の外形を矩形状としないことで、デザインの自由度が高まり、本体をコンパクトにすることができる。さらに、ユーザが剃刀を使用する際には幅狭部近傍にユーザの人差指及び親指が位置することとなるが、幅狭部があることでユーザの手指が下側に抜けてしまうことを抑制可能な構成にすることができる。
【0029】
また、中心線に沿って頂点から端部にかけて中心折り目が形成され、連結部に沿って連結折り目が形成され、組み立て時には、使用者によって連結折り目及び中心折り目に沿って折り曲げられる構成により、中心折り目に沿って把持部を折り曲げると、中心折り目に連なる連結折り目も無理なく折り曲げることができる。同様に、組み立て時において、連結折り目に沿って把持部を折り曲げると、連結折り目に連なる中心折り目も無理なく折り曲げることができる。つまり、たとえばユーザがワンタッチで剃刀を組立可能になるなど、剃刀の組み立てに要する工数を低減し、剃刀の組み立てを容易にすることができる。これにより、使用者が、剃刀を使用可能な状態にするまでの煩雑な操作が不要な構成にすることができる。また、連結折り目が折り曲げられる際に、ヘッド支持部を腹部側に向かってスムーズに屈曲させることができる。
【0030】
また、上記構成の、ヘッド支持部と逆側の端部が湾曲形状になっている剃刀によれば、組み立て後の状態において、当該端部近傍を直線状に形成せずに丸くすることができる。これにより、例えば、当該端部近傍にユーザの手指が接触したり、剃刀の持ち方によって、ユーザが当該端部近傍を掴んでしまったりしても、ユーザが不快感を覚えてしまうことを抑制することができる。つまり、ユーザが不快感を覚えることを避けられる剃刀を提供することができる。
【0031】
また、上記構成の、剃刀ヘッドが幅方向の両端近傍に矩形かつ実質的に平面状の矩形平面部をそれぞれ有し、これら2つの矩形平面部が両端支持部のおもて面に接着される構成により、剥がしやすさを考慮した適度な強度で剃刀ヘッドと両端支持部とを接着することができる。これにより、剃刀ヘッドを破損することなく本体と剃刀ヘッドとの分離を容易にすることができるので、分離時に剃刀の刃が剥き出しになることを抑制し、安全性を配慮した剃刀を提供することができる。
【0032】
また、上記構成の、組み立て後の状態において、背部から連続したヘッド支持部が腹部側に向かって屈曲し、剃刀ヘッドが両端支持部の背部側の面に配置される構成により、剃刀ヘッドと両端支持部の背部側の面とを略平行にすることができるので、ユーザが把持部を操作するときに、肌に面接触する角度で剃刀ヘッドの刃を肌に押し当てることができる。また、刃に外力が加わった場合に、両端支持部の背部側の面と略直交する方向にその外力を受ける従来構成と異なり、当該面に沿ってその外力を受けることができるので、ヘッド支持部から剃刀ヘッドが脱落したり、外力によって本体の一部が破損したりすることを抑制することができる。
【0033】
また、上記構成の、把持部の縁部に沿って外側に突出するよう形成されるとともに、中心線側に折り曲げ可能な折り曲げ部を備え、折り曲げ部は、把持部の幅よりも小さい幅を有する構成により、折り曲げ部が形成されることで把持部の腹部が丸みを持った形状となり、把持部をユーザにとって持ちやすい形状にすることができる。また、ユーザの指が当接する可能性が高い腹部に鋭利な部分が形成されないので、安全性に配慮した剃刀を提供することができる。
【0034】
上記剃刀において、好ましくは、
前記ヘッド支持部の前記把持部側とは逆側に設けられ、折り曲げられて前記把持部または前記ヘッド支持部と嵌合されるヘッド固定部をさらに備える。
【0035】
上記構成の剃刀によれば、ヘッド固定部との嵌合によって把持部またはヘッド支持部の剛性を高めることができるので、剃刀ヘッドの位置を安定させることができる。これにより、当該剃刀が紙で形成されているにも関わらず、把持部またはヘッド支持部に類するものが樹脂または金属などで形成された他の高剛性の剃刀と同様の操作感で使用することができる。
【0036】
上記剃刀において、好ましくは、
前記把持部は、前記長手方向と交わる面における断面が多角形状で固定されるよう組み立てられる。
【0037】
上記構成の剃刀によれば、把持部を把持したときの把持部の形状の変化を抑制して把持部の形状を安定させることができる。これにより、把持部を握りやすくすることができるとともに、当該剃刀が紙で形成されているにも関わらず、把持部またはヘッド支持部に類するものが樹脂または金属などで形成された他の高剛性の剃刀と同様の操作感で使用することができる。
【0038】
上記剃刀において、好ましくは、
組み立て前の状態において、前記把持部は、前記長手方向に延びる長孔部を有している。
【0039】
上記構成の剃刀によれば、長孔部に使用者の指の腹を添えたときに、長孔部の縁と使用者の指との間で摩擦を発生させることで、使用者の指がかかる部分を形成することができる。これにより、滑りを抑制しながら剃刀を把持しやすくすることができる。
【0040】
上記剃刀において、好ましくは、
前記剃刀ヘッドの前記把持部側の一部が前記両端支持部から前記把持部側に突出しており、
使用後には前記剃刀ヘッドが前記ヘッド支持部から分離可能である。
【0041】
上記特許文献の中でも特許文献3~5などに記載された剃刀のように刃が直接本体に取り付けられている構成では、紙製の本体から金属製の刃を分離することができれば分別廃棄は可能ではある。しかしながら、これらの構成ではリサイクルすることが考慮されていないため、刃が露出した構成となっており、また、刃が本体に強固に接着されているため、リサイクルのために本体と剃刀ヘッドとを分離しようとするユーザの安全性が配慮された構成となっていなかった。このような剃刀の中には、紙の本体を半分に折り曲げて刃を包むことで、安全性が配慮された剃刀もあるが、このような剃刀では、リサイクルが考慮されていない。
【0042】
上記構成の、剃刀ヘッドの把持部側の一部が両端支持部から把持部側に突出しており、使用後には剃刀ヘッドがヘッド支持部から分離可能な構成により、組み立て時に連結折れ目が折れ曲げられるときに、連結折れ目に沿って枝分かれした把持部の先細り形状した部分が上記把持部側の一部から離れ、剃刀ヘッドの上記把持部側の一部を露出させることができる。これにより、剃刀ヘッドにユーザの指をかけやすい部分を形成することができるので、ユーザは、上記把持部側の一部に指をかけて、剃刀ヘッドをヘッド支持部から安全に分離することができる。そして、分離後の剃刀ヘッド全体が金属で形成され、把持部及びヘッド支持部が紙で一体的に形成されている構成により、剃刀ヘッドを剃刀から分離する一手間だけで、使用後の剃刀を金属素材と紙素材とに分別することができる。これにより、素材ごとの分離を容易にすることができるとともに、簡易かつ経済的にリサイクルを実行することができる。つまり、リサイクルのために本体と剃刀ヘッドとを分離しようとするユーザの安全性に配慮し、リサイクルの実効性を高めた剃刀を提供することができる。
【0043】
また、剃刀ヘッドの把持部側の一部が、ヘッド支持部の両端支持部から把持部側に突出するよう当該両端支持部に接着された構成により、剃刀ヘッドを三角形部の頂点の近くに配置させることができる。この三角形部の頂点近傍は、屈曲方向への外力がヘッド支持部に加わったときに、変形量が抑制されるため、組み立て後の状態において、腹部側に向かって屈曲したヘッド支持部の屈曲方向へのしなりを適度に抑制し、剃刀ヘッドの屈曲方向についての位置を安定させることができる。
【0044】
上記剃刀において、好ましくは、
前記ヘッド支持部及び前記把持部は、使用者が前記剃刀ヘッドを肌に接触させたとき、前記剃刀ヘッドが使用者の肌に付勢されるよう弾性的に変形するよう構成されている。
【0045】
上記構成の剃刀によれば、紙で形成されたヘッド支持部及び把持部が適度な弾性を有し、肌に過度な圧力が与えられることを抑制することができる。
【0046】
上記剃刀において、好ましくは、
前記把持部は、
前記中心線に対して一方側に形成された、押圧することで変形する挿入部と、
前記中心線に対して他方側の、組み立て後の状態において前記挿入部に対向する位置に形成された、押圧することで変形する挿入孔部と、を有し、
組み立て後の状態では、前記挿入部が前記挿入孔部に挿入され嵌合することで前記把持部が前記中心折り目に沿って折り曲げられた状態で固定される。
【0047】
上記構成の剃刀によれば、組み立て後の状態において、挿入部と挿入孔部とが篏合することによって中心折り目部分の紙の弾性によって把持部の腹側が開いてしまうことを抑制することができるので、把持部をユーザにとって持ちやすい形状で維持することができる。また、ヘッド支持部の屈曲が背部側に戻ってしまうことを抑制することができるので、ヘッド支持部を把持部に対して適度に屈曲した状態で維持することができる。
【0048】
上記剃刀において、好ましくは、
前記把持部は、
組み立て後の状態において、前記背部から前記腹部に向かうよう形成された切り込み部を有し、
前記切り込み部を折り曲げることで前記把持部が前記中心折り目に沿って折り曲げられた状態で固定される。
【0049】
上記構成の剃刀によれば、組み立て後の状態において、中心折り目部分の紙の弾性によって把持部の腹側が開いてしまうことを抑制することができるので、把持部をユーザにとって持ちやすい形状で維持することができる。また、ヘッド支持部の屈曲が背部側に戻ってしまうことを抑制することができるので、ヘッド支持部を把持部に対して適度に屈曲した状態で維持することができる。
【0050】
上記剃刀において、好ましくは、
組み立て前の状態において、前記把持部の2つの前記縁部のうち、一方の前記縁部から外側に突出するよう形成される突出部と、
他方の前記縁部に形成される切り欠き部と、をさらに備え、
組み立て後の状態では、前記突出部が前記切り欠き部に挿入され嵌合することで前記把持部が前記中心折り目に沿って折り曲げられた状態で固定される。
【0051】
上記構成の剃刀によれば、組み立て後の状態において、中心折り目部分の紙の弾性によって把持部の腹側が開いてしまうことを抑制することができるので、把持部をユーザにとって持ちやすい形状で維持することができる。また、ヘッド支持部の屈曲が背部側に戻ってしまうことを抑制することができるので、ヘッド支持部を把持部に対して適度に屈曲した状態で維持することができる。
【0052】
本発明の一の手段は、
使用者により把持される把持部と、前記把持部と一体的に形成されたヘッド支持部と、前記ヘッド支持部に搭載された剃刀ヘッドと、を備え、折り曲げられることで組み立てられる剃刀であって、
前記把持部及び前記ヘッド支持部の全体が紙で形成され、
前記剃刀ヘッドは、全体が金属で形成され、かつ刃体と、前記刃体を開口部から露出させつつ収容する枠体とを有しており、
前記開口部を覆うように前記剃刀ヘッドに取り付けられた、粘着剤を有するシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記剃刀ヘッドから取り外されて前記把持部に取り付けられることで前記把持部を折り曲げられた状態で保持する剃刀である。
【0053】
上記構成の剃刀によれば、シール部材が把持部に取り付けられることで、把持部が折り曲げられた状態で形状を安定させることができる。これにより、樹脂または金属と比較して比較的剛性の低い紙で把持部を構成しつつ、把持部の剛性を高めて形状を維持することができるようになり、組み立てた剃刀の形状を安定させることができる。ひいては、使用者が、樹脂または金属などの材料で把持部を構成した場合と劣らない快適な操作感を得ることができる。
【0054】
上記剃刀において、好ましくは、
前記把持部には、前記シール部材を取り付ける箇所を案内するガイドが設けられている。
【0055】
上記構成の剃刀によれば、シール部材を取り付けるべき場所を使用者が認識しやすくすることができる。
【0056】
上記剃刀において、好ましくは、
前記シール部材は、前記把持部の外周を1周以上巻回するよう取り付けられる。
【0057】
上記構成の剃刀によれば、折り曲げられた把持部の形状をより安定的に保持することができる。
【0058】
上記剃刀において、好ましくは、
前記シール部材は、中央部分を除く外縁部分に粘着剤が配置されている。
【0059】
上記構成の剃刀によれば、剃刀の刃体に粘着剤が付着しない構成とすることができる。
【0060】
上記剃刀において、好ましくは、
前記シール部材は、前記剃刀ヘッドと重なる領域から外側に突出する突出部を有し、前記突出部には前記粘着剤が配置されない。
【0061】
上記構成の剃刀によれば、使用者が組み立て時に剃刀ヘッドからシール部材を剥離する際、または使用後の廃棄時に把持部からシール部材を剥離する際などに手に粘着剤が付着しないようにすることができる。
【0062】
上記剃刀において、好ましくは、
前記ヘッド支持部の前記把持部側とは逆側に設けられ、折り曲げられて前記把持部に設けられた長孔に挿入される差込部を有するヘッド固定部をさらに備え、
前記差込部は、外側に湾曲するよう突出し、前記長孔に挿入されることで前記ヘッド支持部と前記ヘッド固定部とを固定する。
【0063】
上記構成の剃刀によれば、長孔に挿入された差込部が長孔から抜け出ることを抑制することができ、組み立てた剃刀の形状をより安定させることができる。
【0064】
上記剃刀において、好ましくは、
前記シール部材は、前記長孔に挿入された前記差込部の少なくとも一部を覆うよう配置される。
【0065】
上記構成の剃刀によれば、長孔に挿入された差込部が抜け出ることをより効果的に抑制することができる。
【0066】
上記剃刀において好ましくは、長孔が湾曲した形状とする。
【0067】
上記構成の剃刀によれば、剃刀の組み立ての際に、差込部を長孔に差込やすくするとともに、長孔から差込部が抜け出しづらくすることができる。これにより、組み立てた剃刀の形状をさらに安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1図1は、本実施形態の製造途中における剃刀をおもて側から見た平面図である。
図2図2は、本実施形態の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。
図3図3は、図1に示す剃刀の挿入部及び挿入孔部近傍の拡大図である。
図4図4は、本実施形態の組み立て後の状態における剃刀の斜視図である。
図5図5は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を幅方向から見た平面図である。
図6図6は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図7図7は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を裏側から見た平面図である。
図8図8は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を上側から見た平面図である。
図9図9は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を下側から見た平面図である。
図10図10は、本実施形態の剃刀ヘッドをおもて側から見た平面図である。
図11図11は、本実施形態の剃刀ヘッドを裏側から見た平面図である。
図12図12は、実施形態の変形例1の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。
図13図13は、実施形態の変形例2の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。
図14図14は、図13に示す剃刀の切り込み部近傍の拡大図である。
図15図15は、実施形態の変形例2の小片部が右側に折り曲げられた状態の切り込み部近傍を背側から見た拡大図である。
図16図16は、実施形態の変形例3の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。
図17図17は、実施形態の変形例3の右側突出部が切り欠き部に嵌合された状態の右側突出部近傍を腹側から見た拡大図である。
図18図18は、本実施形態の変形例4の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図19図19は、本実施形態の変形例4の剃刀ヘッドが取り外された状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図20図20は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図21図21は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀を幅方向から見た平面図である。
図22図22は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀を裏側から見た平面図である。
図23図23は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀を下側から見た平面図である。
図24図24は、本実施形態の変形例4の剃刀ヘッドの斜視図である。
図25図25は、本実施形態の変形例5の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図26図26は、本実施形態の変形例5の組み立て後の状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図27図27は、本実施形態の変形例5の組み立て後の状態の剃刀を裏側から見た平面図である。
図28図28は、本実施形態の変形例6の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図29図29は、本実施形態の変形例7の剃刀をおもて側から見た平面図である。
図30図30は、本実施形態の変形例7のシールの平面図である。
図31図31は、本実施形態の変形例7の剃刀が組み立てられ剃刀ヘッドにシールが貼りつけられた状態の斜視図である。
図32図32は、本実施形態の変形例7の剃刀が組み立てられ把持部にシールが貼りつけられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の一形態の剃刀は、SDGsの目標達成に寄与するため、3Rを満足し環境に優しい構成となっている点を特徴のひとつとする。また、本発明の一形態の剃刀は、折り曲げて組み立てられる剃刀としつつ、組み立て後の形状を安定させることができる点を特徴のひとつとする。
【0070】
本発明の剃刀について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態及び実施例はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。また、具体的なサイズなどの数値または数値範囲を示して説明した場合もあくまで一例にすぎず、このような数値または数値範囲に限定されるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
【0071】
<1.実施形態>
<(1)剃刀1の構成>
図1は、本実施形態の製造途中における剃刀をおもて側から見た平面図である。図2は、本実施形態の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。図3は、図1に示す剃刀の挿入部及び挿入孔部近傍の拡大図である。図4は、本実施形態の組み立て後の状態における剃刀の斜視図である。図5は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を幅方向から見た平面図である。図6は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。図7は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を裏側から見た平面図である。図8は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を上側から見た平面図である。図9は、本実施形態の組み立て後の状態の剃刀を下側から見た平面図である。図10は、本実施形態の剃刀ヘッドをおもて側から見た平面図である。図11は、本実施形態の剃刀ヘッドを裏側から見た平面図である。
【0072】
各図面にはx軸、y軸およびz軸を示している。剃刀を形成する平面上の紙の紙面に垂直な方向へ向いている軸を「z軸」と定義する。z軸に垂直な軸を「y軸」と定義する。また、y軸およびz軸の両方に垂直な軸を「x軸」と定義する。ここでは、x軸、y軸およびz軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、z軸の矢印方向をz軸+側、矢印とは逆方向をz軸-側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、z軸+側及びz軸-側を、それぞれ「おもて側」及び「裏側」と呼ぶこともある。x軸+側及びx軸-側を、それぞれ「右側」及び「左側」と呼ぶこともある。y軸+側及びy軸-側を、それぞれ「上側」及び「下側」と呼ぶこともある。なお、上側及び下側は、y軸に対して主にz軸側に傾きを有する場合がある。y軸方向を長手方向と呼ぶこともある。x軸方向を幅方向と呼ぶこともある。z軸方向を厚み方向と呼ぶこともある。
【0073】
図1図11に示されるように、本実施形態の剃刀1は、剃刀ヘッド61及び本体40を含んで構成される。本体40は、把持部11、折り曲げ部14a及び14bならびにヘッド支持部31を含んで構成される。
【0074】
本実施形態の剃刀1の工場での製造方法は、例えば、平面状の本体40の製造と剃刀ヘッド61の製造とがそれぞれ別個に行われる。別個に製造された本体40と剃刀ヘッド61とが連結されることによって、図1に示す剃刀1が製造される。そして、本体40の折り曲げ部14a及び14bがそれぞれ裏側に折り曲げられることによって、図2に示す剃刀1の完成品が製造される。つまり、図1に示す剃刀1は、製造途中の状態の剃刀1であり、図2に示す剃刀1は、工場での製造が完了した状態の剃刀1である。図2に示す製造完了時の剃刀1が組み立てられることによって、本体40が立体的な形状を有する図4図9に示す剃刀1となる。
【0075】
<本体40>
図1に示されるように、本体40は、紙で一体的に形成される。本体40は、耐水性を有する紙素材、または表面を耐水コーティングされた紙素材により形成されることが好ましい。本実施形態では、本体40は、本体40の輪郭に沿って紙を切断することによって平面状に形成される。本体40の厚さは、例えば、略1ミリメートルである。本体40は、xy平面に平行に延在し、y軸に平行な中心線CLを基準として左右対称な外形を有する。ここで、平面状の本体40の右側の端部、左側の端部、上端の端部及び下側の端部を、それぞれ右端部40a、左端部40b、上端部40c及び下端部40dと定義する。本実施形態では、右端部40aから左端部40bまでの全幅W1は、略57ミリメートルである。上端部40cから下端部40dまでの全長L1は、略89ミリメートルである。
【0076】
<折り目>
本体40には、剃刀1の製造時及び組み立て時に折り曲げやすいように、中心折り目41、連結折り目42a及び42bならびに反転折り目43a及び43が形成される。折り目は、例えば、紙に形成された筋またはミシン目である。中心折り目41は、本体40の下端部40dから中心線CLに沿って上側に延びるように形成される。中心折り目41は、中心線CL上に位置する頂点17から上側に向かって、連結折り目42aと連結折り目42bとに枝分かれする。
【0077】
連結折り目42bは、頂点17から本体40の左側の端まで左上に延びるように形成される。連結折り目42bは、曲線折り目42bc及び直線折り目42bsを含んで構成される。曲線折り目42bcは、頂点17に接続され、右側が凸となるように湾曲している。直線折り目42bsは、曲線折り目42bcの左側において曲線折り目42bcに接続され、本体40の左側の端まで略直線状に延びている。
【0078】
連結折り目42aは、中心線CLを基準として連結折り目42bと左右対称となるように、頂点17から本体40の右側の端まで右上に延びるように形成される。連結折り目42aは、曲線折り目42ac及び直線折り目42asを含んで構成される。曲線折り目42acは、中心線CLを基準として曲線折り目42bcと左右対称な形状を有する。直線折り目42asは、中心線CLを基準として直線折り目42bsと左右対称な形状を有する。
【0079】
平面状の本体40において、連結折り目42a及び42bは、把持部11とヘッド支持部31との境界となっている。本実施形態では、連結折り目42a及び42bの下側が把持部11となり、連結折り目42a及び42bの上側がヘッド支持部31となる。以下、平面状の本体40において、連結折り目42a及び42bに沿った部分を、それぞれ連結部46a及び46bと称することがある。つまり、連結部46a及び46bは、把持部11とヘッド支持部31とを連結する。
【0080】
反転折り目43aは、平面状の本体40において、後述する把持部11aと折り曲げ部14aとの境界に形成される。すなわち、反転折り目43aは、中心折り目41ならびに連結折り目42a及び42bと交わらず、中心折り目41の右側において、中心折り目41に近づきながら上側に向かって延びるように形成される。反転折り目43bは、平面状の本体40において、後述する把持部11bと折り曲げ部14bとの境界に形成される。すなわち、反転折り目43bは、中心線CLを基準として反転折り目43aと左右対称となるように形成される。本実施形態では、反転折り目43aの左側が把持部11となり、反転折り目43aの右側が折り曲げ部14aとなる。反転折り目43bの右側が把持部11となり、反転折り目43bの左側が折り曲げ部14bとなる。反転折り目43a及び43bは、それぞれ直線状に形成される。
【0081】
<ヘッド支持部31>
ヘッド支持部31は、矩形部32及び三角形部33を含んで構成される。矩形部32は、幅方向すなわちx軸方向に延びた略矩形状を有する。矩形部32は、剃刀ヘッド61の少なくとも両端を支持しており、本発明における「両端支持部の」一例である。矩形部32のx軸方向の幅W4は、略42ミリメートルである。矩形部32のz軸+側すなわちおもて側には、平坦な貼り付け面32aが形成される。貼り付け面32aには、幅方向の両端近傍にそれぞれ接着剤64が塗布されて剃刀ヘッド61が接着される。
【0082】
三角形部33は、矩形部32と把持部11との間に形成され、下側に尖った略三角形状を有する。三角形部33の下側の頂点17は、中心線CL上に位置する。三角形部33は、頂点17に向かって先細り形状になるよう湾曲している。
【0083】
また、平面状の本体40をおもて側から平面視したときに、頂点17を挟んで隣接する三角形部33の2辺のうち、一方の辺の矩形部32側の一部が延びる方向と、他方の辺の矩形部32側の一部が延びる方向と、のなす角度αは、80°以上120°以下である。好ましくは、角度αは、90°以上110°以下である。本実施形態では、直線折り目42asを頂点17側に延ばした線と、直線折り目42bsを頂点17側に延ばした線とのなす角度αは、略102°である。
【0084】
<把持部11>
把持部11は、y軸方向に延びるよう形成され、ユーザなどにより把持される。把持部11は、中心線CLに対して左右対称に形成され、頂点17の近傍において幅方向に狭く形成された幅狭部11cを有する。本実施形態では、幅狭部11cのx軸方向の幅W2は、略22ミリメートルである。
【0085】
幅狭部11cの下側では、把持部11は、幅狭部11cから下端部40dに向かって幅方向に広がるよう形成された幅広部11dを有する。本実施形態では、幅広部11dのx軸方向の幅W3は、略36ミリメートルである。
【0086】
把持部11の下側近傍の端部は、湾曲形状になっている。本実施形態では、把持部11は、幅広部11dの左端から下端部40dを経由して幅広部11dの右端までの間において、中心線CLを基準として左右対称となり、下側が凸となるように湾曲している。
【0087】
把持部11は、中心折り目41の右側に位置する把持部11aと、中心折り目41の左側に位置し、中心線CLを基準として把持部11aと左右対称な形状を有する把持部11bと、を含んで構成される。頂点17の上側では、把持部11は、三角形部33との連結部46a及び46bに沿って枝分かれした先細り形状に形成される。詳細には、把持部11bは、連結部46bを介してヘッド支持部31の三角形部33の左側に連結される。把持部11bは、左側の縁部12bと連結折り目42bとが近づきながら左上側に延びる形状を有する。把持部11bの上端は、ヘッド支持部31の矩形部32の左下の角に接続される。同様に、把持部11aは、連結部46aを介してヘッド支持部31の三角形部33の右側に連結される。把持部11aは、右側の縁部12aと連結折り目42aとが近づきながら右上側に延びる形状を有する。把持部11aの上端は、ヘッド支持部31の矩形部32の右下の角に接続される。
【0088】
<挿入部51及び挿入孔部52>
把持部11は、挿入部51及び挿入孔部52を含んで構成される。挿入部51は、中心線CLに対して一方側に形成され、押圧することで変形する。挿入孔部52は、中心線CLに対して他方側の、組み立て後の状態において挿入部51に対向する位置に形成され、押圧することで変形する。本実施形態では、挿入部51及び挿入孔部52は、それぞれ把持部11a及び11bに形成される。なお、挿入部51及び挿入孔部52は、それぞれ把持部11b及び11aに形成されてもよい。挿入部51及び挿入孔部52の具体的な構成は、主に図3の拡大図に示されている。
【0089】
挿入部51は、x軸に平行な対称線SLを基準として上下対称の形状を有し、幅広部51b及び根本部51cを含んで構成される。根本部51cは、対称線SLを基準として上下対称であり、y軸方向に長い矩形を有する。幅広部51bは、対称線SLを基準として上下対称であり、根本部51cの右側に位置する。幅広部51bの上側及び下側は、それぞれ上側及び下側に向かって三角形状に突出した形状を有する。
【0090】
本実施形態では、挿入部51は、対称線SLを基準として上下対称の切り込み51aによって形成される。切り込み51aは、把持部11aに形成され、平面状の把持部11aをおもて側から平面視したときに、上側部51aa、上側突出部51ab、右側部51ac、下側突出部51ad及び下側部51aeを含んで構成される。
【0091】
上側部51aaは、根本部51cの上側の境界(辺)になる部分であり、x軸と平行に延びる切り込みである。下側部51aeは、根本部51cの下側の境界(辺)になる部分であり、対称線SLを基準として上側部51aaと上下対称な切り込みである。上側突出部51abは、幅広部51bの上側の境界となる部分であり、上側部51aaの右端と連続する切り込みである。下側突出部51adは、幅広部51bの下側の境界となる部分であり、下側部51aeの右端と連続する切り込みである。右側部51acは、幅広部51bの右側の境界(辺)になる部分であり、y軸と平行に延びる切り込みである。右側部51acの上端及び下端は、上側突出部51abの右端及び下側突出部51adの右端とそれぞれ連続する。
【0092】
挿入孔部52は、対称線SLを基準として上下対称の切り込み52aによって形成される。切り込み52aは、把持部11bに形成され、平面状の把持部11bをおもて側から平面視したときに、上側部52aa、縦長部52ab、下側部52ac及び横長部52adを含んで構成される。縦長部52abは、対称線SLを基準として上下対称となるようにy軸と平行に延びる切り込みである。上側部52aaは、縦長部52abの上端と連続し、右上に向かって延びる切り込みである。下側部52acは、縦長部52abの下端と連続し、対称線SLを基準として上側部52aaと上下対称に右下に向かって延びる切り込みである。横長部52adは、縦長部52abの中点に接続し、対称線SL上を左側に延びる切り込みである。
【0093】
ここで、上側部52aaの右端及び左端ならびに下側部52acの右端及び左端の4点で囲まれる範囲を、台形部52bと定義する。上側部52aaの上側の領域を係合領域52cと定義する。下側部52acの下側の領域を係合領域52dと定義する。縦長部52abの左側の領域であって横長部52adの上側の領域を上側矩形部52eと定義する。縦長部52abの左側の領域であって横長部52adの下側の領域を下側矩形部52fと定義する。
【0094】
挿入部51及び挿入孔部52は、平面状の把持部11をおもて側から平面視したときに、把持部11のy軸方向の中心を基準として下端部40d側に位置する。具体的には、挿入部51及び挿入孔部52の対称線SLは、例えば、下端部40dから19ミリメートル上側に離れた位置に位置する。
【0095】
挿入部51における、上側突出部51abの上端と下側突出部51adの下端との間の距離R24は、挿入孔部52における、上側部52aaの上端と下側部52acの下端との間の距離R25と略同じである。本実施形態では、距離R24及びR25は、ともに略12ミリメートルである。
【0096】
挿入部51における、上側部51aaと下側部51aeとの間の距離R26は、挿入孔部52における、縦長部52abの上端と下端との間の距離R27と略同じであり、かつ距離R24及びR25より短い。本実施形態では、距離R26及びR27は、ともに略9ミリメートルである。
【0097】
中心線CLと挿入部51の右側部51acとの間の距離R21は、中心線CLと挿入孔部52の縦長部52abとの間の距離R22より大きく、かつ中心線CLと挿入孔部52の横長部52adの左端との間の距離R23より小さい。本実施形態では、距離R21、R22及びR23は、それぞれ略8.5ミリメートル、略6ミリメートル及び略11ミリメートルである。
【0098】
挿入部51における中心線CLと下側部51aeの左端との間の距離R28は、挿入孔部52における中心線CLと下側部52acの右端との間の距離R29より短い。本実施形態では、距離R28及びR29は、それぞれ略3ミリメートル及び略5ミリメートルである。
【0099】
<折り曲げ部14a及び14b>
図1及び図2に示されるように、折り曲げ部14bは、把持部11bの左側の縁部12bに沿って外側に突出するよう形成される。折り曲げ部14bの幅方向の長さは、把持部11の幅方向の長さより小さい。平面状の本体40をおもて側から平面視したときに、折り曲げ部14bのy軸方向に沿った長さ(以下、折り曲げ部長L3と称することがある。)を、把持部11bのy軸方向に沿った長さ(以下、把持部長L2と称することがある。)で除した値が、0.25以上である。本実施形態では、折り曲げ部長L3及び把持部長L2は、それぞれ略46ミリメートル及び略80ミリメートルである。そして、折り曲げ部長L3を把持部長L2で除した値が、略0.58である。
【0100】
折り曲げ部14bは、中心線CL側に折り曲げられる。本実施形態では、折り曲げ部14bは、折り曲げ部14bが把持部11bの裏側に位置するように反転折り目43bに沿って折り曲げられる。折り曲げ部14aは、中心線CLを基準として折り曲げ部14bと左右対称な形状を有する。折り曲げ部14aは、折り曲げ部14bと同様に、折り曲げ部14aが把持部11bの裏側に位置するように反転折り目43aに沿って折り曲げられる。
【0101】
このように、折り曲げ部14a及び14bがともに折り曲げられた状態(以下、「製造完了状態」と称することがある。)で、剃刀1は、工場から出荷される(図2参照)。製造完了状態の剃刀1をおもて側から平面視したときに、折り曲げ部14bの外側の縁16bは、中心線CLと略平行であり、かつ把持部11の中心折り目41での折り曲げ時に障害とならないような距離を中心線CLから開けて中心線CLの左側に位置する。折り曲げ部14aの外側の縁16aは、中心線CLを基準として縁16bと左右対称になっている。
【0102】
折り曲げ部14bは、組み立て後の状態で挿入部51と挿入孔部52とが嵌合する部分に形成された切り欠き部15bを有する。切り欠き部15bのy軸方向に沿った長さ(以下、切り欠き部長L4と称することがある。)を、折り曲げ部長L3で除した値が、0.26以上である(図1参照)。本実施形態では、切り欠き部長L4は、略18ミリメートルである。そして、切り欠き部長L4を折り曲げ部長L3で除した値が、略0.39である。折り曲げ部14aは、中心線CLを基準として切り欠き部15bと左右対称な形状の切り欠き部15aを有する。
【0103】
折り曲げ部14bが折り曲げられたときに、折り曲げ部14bに切り欠き部15bが形成されているため、折り曲げ部14bと挿入孔部52とが重なることが回避されている(図2参照)。同様に、折り曲げ部14aが折り曲げられたときに、折り曲げ部14aに切り欠き部15aが形成されているため、折り曲げ部14aと挿入部51とが重なることが回避されている(図2参照)。これにより、把持部11を中心折り目41で折り曲げた状態において、挿入部51と挿入孔部52とを物理的な障害なく嵌合させることができる。
【0104】
<剃刀ヘッド61>
図10及び図11に示されるように、剃刀ヘッド61は、全体が金属によって形成され、枠体及び刃体62を含んで構成される。枠体は、フロントケース65及びリアケース66を含んで構成される。フロントケース65とリアケース66とが連結されることで枠体が箱状になり、内部空間が形成される。刃体62は、当該内部空間に収容される。
【0105】
本実施形態では、刃体62は、x軸方向に延びる5枚の刃と、5枚の刃をz軸方向に付勢する弾性部材(図示しない)とを含んで構成される。刃体62は、例えば、鉄とクロムまたはクロム及びニッケルとの合金であるステンレス鋼によって形成される。なお、刃体62は、コーティングされていてもよい。また、刃体62は、4枚以下または6枚以上の刃を含んで構成されてもよい。また、刃体62は、ステンレス鋼以外の他の金属で形成される構成であってもよい。
【0106】
フロントケース65は、リアケース66とともに刃体62を収容する枠体を形成する。フロントケース65及びリアケース66は、例えば鉄を錫で表面処理したブリキによって形成される。なお、フロントケース65及びリアケース66は、他の金属で表面処理されてもよいし、表面処理されない金属で形成されてもよい。このように、刃体62ならびにフロントケース65及びリアケース66は、鉄を主に含む金属によって形成されるため、剃刀ヘッド61を「鉄」の分類でリサイクルまたは廃棄することが可能となる。
【0107】
フロントケース65は、おもて側の面に開口部65aを有し、裏側が開放された箱状に形成される。開口部65aからは、刃体62が露出する。フロントケース65は、主板65c、長側板65d及び65eならびに短側板65f及び65gを含んで構成される。主板65cは、xy平面と略平行に延在し、x軸方向を長軸とする略矩形の面を有する。主板65cの面の略中央には、x軸方向を長軸とする略矩形の開口部65aが形成される。長側板65d及び65eは、それぞれ主板65cの上端及び下端から裏側に向かってz軸方向(厚み方向)に延在する板である。長側板65d及び65eの各々は、裏側の端部から突出する突出部65bを2つ有する。すなわち、フロントケース65には4つの突出部65bが形成されている。短側板65f及び65gは、それぞれ主板65cの右端及び左端から裏側に向かって延在する板である。
【0108】
主板65c、長側板65d及び65eならびに短側板65f及び65gは、例えば一体で平面状に形成される。フロントケース65は、長側板65d及び65eならびに短側板65f及び65gをそれぞれ主板65cに対して折り曲げることによって、主板65cの裏側に上下左右が囲まれ、リアケース66を収容可能な空間を有する形状に形成される。
【0109】
長側板65d及び65eには、それぞれ切り欠き部65h及び65iが形成される(図6及び図8参照)。切り欠き部65h及び65iは、長側板65d及び65eの、x軸方向(長軸方向)の中央部を含む位置に、x軸方向に一定の長さを有し、かつ裏側の端部からおもて側に向かうよう形成される。これらの切り欠き部65h及び65iは、刃体62で切断された体毛が通過することで剃刀ヘッド61内に残存することを抑制する機能を有する。また、切り欠き部65h及び65iは、ヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際に、ユーザが、指、爪、または治具を引っ掛ける力点となる力点部を含む。つまり、切り欠き部65h及び65iは、分別廃棄によるリサイクルを容易にする機能と、剃刀ヘッド61内に切断された体毛を残存させないことで剃刀を清潔かつ快適に使用可能にする機能を併せ持つ。
【0110】
リアケース66は、底板66dならびに長側板66e及び66fを含んで構成される。底板66dは、xy平面と略平行に延在し、フロントケース65の主板65cと対向する。底板66dは、x軸方向を長軸とする略矩形の面を有する。底板66dの裏側の面には、x軸方向の両端近傍に矩形かつ実質的に平面状の矩形平面部66a及び66bがそれぞれ形成される。詳細には、底板66dの裏側の面の略中央には、x軸方向を長軸とする略矩形の開口部66cが形成される。開口部66cの右側及び左側には、接着剤64が塗布される矩形平面部66a及び66bがそれぞれ形成される。ここで、底板66dの裏側の右下の角の近傍の領域をはみ出し部分61aと定義する。また、底板66dの裏側の左下の角の近傍の領域をはみ出し部分61bと定義する。なお、矩形平面部66a及び66bの少なくとも一方には、剃刀ヘッド61と矩形部32との接着に支障をきたさない程度の凹部が形成されてもよい。
【0111】
長側板66e及び66fは、それぞれ底板66dの上端及び下端からおもて側に向かってにz軸方向(厚み方向)に延在する板である。底板66dならびに長側板66e及び66fは、例えば一体で形成される。長側板66eと長側板66fとの間には、刃体62を収容する空間が形成される。
【0112】
リアケース66は、長側板66eと長側板66fとの間の空間に刃体62を収容した状態でフロントケース65に連結される。そして、フロントケース65の長側板65dにおける2つの突出部65b及び長側板65eにおける2つの突出部65bが、それぞれフロントケース65のリアケース66の開口部66cに向かって折り曲げられることで、リアケース66がフロントケース65に固定される。
【0113】
図1及び図2に示されるように、剃刀ヘッド61は、把持部11側の一部が矩形部32から把持部11側に突出するように、リアケース66の矩形平面部66a及び66bが矩形部32に接着される。詳細には、剃刀ヘッド61は、はみ出し部分61aが連結折り目42aの下側に位置し、かつはみ出し部分61bが連結折り目42bの下側に位置するように、リアケース66の矩形平面部66a及び66bと矩形部32の貼り付け面32aとが接着剤64で接着される。
【0114】
剃刀ヘッド61は、ヘッド支持部31の矩形部32との接着のために上記接着剤64が配置された領域を接着領域とし、それ以外の領域を接着禁止領域とされる。接着領域は、剃刀ヘッド61におけるy軸方向の中央位置ではなく、上側の端部に近い側に設けられる。これにより、使用者がヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させようと切り欠き部65iに力を加えたときに、離脱させる力が伝達しやすい構成となる。また、接着禁止領域は、枠体を形成するリアケース66の周縁部から、例えば0.5mm以上1mm以下の領域などの、接着領域を除く所定の領域として設けられる。このような接着禁止領域を設けることで、剃刀ヘッド61の周縁部がヘッド支持部31に接着されないようにし、ヘッド支持部から剃刀ヘッドを分離させやすい構成にすることができる。なお、接着禁止領域は、リアケース66の周縁部から0.5mm以上3mm以下の領域としてもよい。
【0115】
なお、ヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際に使用者が切り欠き部65hに力を加える構成としてもよく、この場合には、剃刀ヘッド61の上側の端部に近い側ではなく、下側の端部に近い側に接着領域を設けてもよい。剃刀ヘッド61が切り欠き部65h及び65iの双方を有する構成の場合には、上側または下側のいずれかの端部に近い側に接着領域を設けてもよい。
【0116】
また、上記リアケース66における上記接着領域が平面状であるため、比較的小さい接着領域であっても、ヘッド支持部31に剃刀ヘッド61を安定的に接着させることが可能となり、分別容易でありながらも快適に使用可能な構成にすることができる。なお、当該接着領域はその全体が平面状でなく、部分的に平面状であっても一定の効果が得られる。
【0117】
<組み立て>
図2に示される製造完了状態の剃刀1は、組み立て時には、おもて側が凸となるように、ユーザによって中心折り目41ならびに連結折り目42a及び42bに沿って折り曲げられる。具体的には、ユーザは、例えば、剃刀1の組み立て時には、中心折り目41に沿って把持部11を折り曲げる。把持部11の折り曲げは、例えば片手で行うことができる。把持部11が折り曲げられることによって、連結折り目42a及び42bも自然と折り曲げられる。製造完了時に折り曲げ部14a及び14bが既に折り曲げられているので、ユーザは、剃刀1の組み立てを片手で行うことができる。
【0118】
図4図9に示されるように、組み立て後の状態では、把持部11の中心線CLの部分が背部21となり、把持部11の縁部12a及び12bがそれぞれ腹部22a及び22bとなる。背部21から連続したヘッド支持部31は、これによってヘッド支持部31が中心線CLに対して裏面側に傾斜する。つまり、ヘッド支持部31は、腹部22a及び22b側に向かって屈曲する。剃刀ヘッド61は、矩形部32の背部21側の貼り付け面32aに配置される。
【0119】
図5に示されるように、組み立て後の状態において剃刀1をx軸方向に沿って平面視したときに、矩形部32の貼り付け面32aの延在方向と中心線CLの延びる方向とのなす角度βが、35°以上55°以下である。好ましくは、角度βは、40°以上50°以下である。本実施形態では、角度βは、略45°である。
【0120】
図3及び図4に示されるように、組み立て後の状態では、挿入部51が挿入孔部52に挿入され嵌合することで把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。詳細には、把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態において、ユーザが挿入部51を押圧すると、把持部11aの切り込み51aが開裂し、挿入部51は、把持部11bに近づくように変形する。
【0121】
そして、ユーザが挿入部51をさらに押圧すると、挿入部51が把持部11bの挿入孔部52を押圧し、把持部11bの切り込み52aが開裂する。このとき、挿入孔部52の台形部52b、上側矩形部52e及び下側矩形部52fが捲れあがって孔(以下、「開裂孔」と称することがある。)が形成される。開裂孔のy軸方向の長さは、最大で距離R25であるので、挿入部51は、開裂孔に挿通される。そして、ユーザが挿入部51から手を離すと、台形部52bが、弾性によって元の形に戻ろうとして挿入部51を押圧する。このため、挿入部51の幅広部51bの上端及び下端が、把持部11bにおける係合領域52c及び52dにそれぞれ係合する。これにより、挿入部51が開裂孔から抜けにくくなり、把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。
【0122】
図4図9に示されるように、使用時には、把持部11がユーザにより把持されるよう構成される。ヘッド支持部31及び把持部11は、ユーザが剃刀ヘッド61を肌に接触させたとき、剃刀ヘッド61がユーザの肌に付勢されるよう弾性的に変形するよう構成される。そして、使用後には剃刀ヘッド61がヘッド支持部31から分離可能に構成される。具体的には、ユーザは、はみ出し部分61a及び61bに指をかけて、剃刀ヘッド61を矩形部32から剥がすことで、剃刀ヘッド61とヘッド支持部31とを分離する。
【0123】
<包装>
剃刀1は、例えば、1つずつ紙で包装される。なお、剃刀1は、2つ以上をまとめて紙で包装されてもよい。このように、剃刀1を紙で包装すると、出張または旅行などの機会に剃刀1の持ち運びを容易にすることができる。また、包装紙を本体40とまとめて「紙」の分類で廃棄することができる。
【0124】
<2.変形例>
次に、本発明の実施形態の変形例1~6について説明する。これらの変形例は、実施形態と比較して、本体の形状などが異なっている。以下の説明では、実施形態との相違点について説明し、実施形態と共通な部分については説明を省略する。また、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0125】
<(1)変形例1>
図12は、実施形態の変形例1の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。実施形態の変形例1の剃刀2は、図1に示す剃刀1と比べて、折り曲げ部14a及び14bを備えず、把持部11の外形が異なっている。剃刀2は、折り曲げ部14a及び14bを備えないため、本体40と剃刀ヘッド61とが連結されることで、図12に示す完成品となる。このように、折り曲げ部14a及び14bを設けない構成により、折り曲げ加工の削減によって製造を簡素化することができるので、剃刀2の製造コストを低減することができる。また、紙の使用量を低減することができるので、剃刀2の製造における材料コストを低減することができる。
【0126】
剃刀2の把持部11の外形は、下側が全体的に緩く湾曲するように形成されている。このような構成とすることで、把持部11の下側がユーザの手に当接したときにユーザの手に与える刺激を低減することができる。これにより、剃刀2を使用中のユーザが不快感を覚えることを抑制することができる。
【0127】
<(2)変形例2>
図13は、実施形態の変形例2の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。図14は、図13に示す剃刀の切り込み部近傍の拡大図である。図13及び図14に示されるように、実施形態の変形例2の剃刀3は、図1に示す剃刀1と比べて、折り曲げ部14a及び14bならびに挿入部51及び挿入孔部52の代わりに、切り込み部71を備え、把持部11の外形が異なっている。剃刀3は、折り曲げ部14a及び14bを備えないため、本体40と剃刀ヘッド61とが連結されることで、図13に示す完成品となる。このように、折り曲げ部14a及び14bを設けない構成により、折り曲げ加工の削減によって製造を簡素化することができるので、剃刀3の製造コストを低減することができる。また、紙の使用量を低減することができるので、剃刀3の製造における材料コストを低減することができる。
【0128】
剃刀3の把持部11の外形は、下側が全体的に緩く湾曲するように形成されている。このような構成とすることで、把持部11の下側がユーザの手に当接したときにユーザの手に与える刺激を低減することができる。これにより、剃刀3を使用中のユーザが不快感を覚えることを抑制することができる。
【0129】
<切り込み部71の構成>
本実施形態では、切り込み部71は、中心線CLを基準として左右対称であり、かつx軸に平行な対称線SLを基準として上下対称に形成される。
【0130】
図14に示されるように、切り込み部71は、切り込み71a及び71bを含んで構成される。切り込み71aは、中心線CLを基準として左右対称であり、上側に向かって突出した形状を有し、右上部71aa及び左上部71abを含んで構成される。右上部71aaは、把持部11aに形成され、平面状の本体40をおもて側から平面視したときに、中心線CL上の一点から右下に向かって延びる切り込みである。左上部71abは、把持部11bに形成され、中心線CLを基準として右上部71aaと左右対称な切り込みである。
【0131】
切り込み71bは、中心線CLを基準として左右対称であり、かつ対称線SL2を基準として切り込み71aと上下対称な形状を有し、右下部71ba及び左下部71bbを含んで構成される。右下部71baは、把持部11aに形成され、対称線SL2を基準として右上部71aaと上下対称な切り込みである。左下部71bbは、把持部11bに形成され、中心線CLを基準として右下部71baと左右対称な切り込みである。
【0132】
ここで、切り込み71aの下側の領域であって切り込み71bの上側の領域を小片部71cと定義する。
【0133】
<組み立て後>
剃刀3が組み立てられた後の状態では、切り込み71a及び71bは、背部21から腹部22a及び22bにそれぞれ向かいながら互い近づくように形成されている。図15は、実施形態の変形例2の小片部が右側に折り曲げられた状態の切り込み部近傍を背側から見た拡大図である。図15に示されるように、ユーザは、例えば、剃刀3の組み立て後の状態において、小片部71cを手で掴んで右側に折り曲げる。小片部71cが折れ曲がるときに、切り込み71a及び71bが開裂し、把持部11では、切り込み71aによる切断端である本体上側端部71dと、切り込み71bによる切断端である本体下側端部71eとが形成される。一方、小片部71cでは、切り込み71aによる切断端である小片上側端部71fと、切り込み71bによる切断端である小片下側端部71gとが形成される。
【0134】
ユーザが小片部71cから手を離すと、小片部71cは、折れ曲がった状態で維持される。この状態では、中心折り目41に沿って折れ曲がった把持部11が、紙の弾性または外力などによって平面状に戻ろうとしても、本体上側端部71dと小片上側端部71fとの間、及び本体下側端部71eと小片下側端部71gとの間で物理的な干渉が発生する。これにより、折れ曲がった把持部11が平面状に戻ることが抑制され、把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。
【0135】
なお、本変形例2の剃刀3では、折り曲げ部14a及び14bを備えない構成について説明をしたが、剃刀3は、折り曲げ部14a及び14bを備える構成であってもよい。この場合、折り曲げ部14a及び14bには、切り欠き部15a及び15bが形成されない構成であってもよい。
【0136】
<(3)変形例3>
図16は、実施形態の変形例3の製造完了時における剃刀をおもて側から見た平面図である。図16に示されるように、実施形態の変形例3の剃刀4は、図1に示す剃刀1と比べて、折り曲げ部14a及び14bならびに挿入部51及び挿入孔部52の代わりに、右側突出部81、左上側突出部82a及び左下側突出部82bを備え、把持部11の外形が異なっている。剃刀4は、折り曲げ部14a及び14bを備えないため、本体40と剃刀ヘッド61とが連結されることで、図16に示す完成品となる。このように、折り曲げ部14a及び14bを設けない構成により、折り曲げ加工の削減によって製造を簡素化することができるので、剃刀4の製造コストを低減することができる。また、紙の使用量を低減することができるので、剃刀4の製造における材料コストを低減することができる。
【0137】
剃刀4の把持部11の外形は、下側が全体的に緩く湾曲するように形成されている。このような構成とすることで、把持部11の下側がユーザの手に当接したときにユーザの手に与える刺激を低減することができる。これにより、剃刀4を使用中のユーザが不快感を覚えることを抑制することができる。
【0138】
<右側突出部81の構成>
右側突出部81は、把持部11の縁部12aから外側に突出するよう形成される。本実施形態では、右側突出部81は、xy平面と略平行に延在し、本体40と一体で形成される。具体的には、右側突出部81は、平面状の本体40をおもて側から平面視したときに、上側凸部81a及び下側凸部81bを形成しながら縁部12aから右側に向かって延びる形状を有する。
【0139】
上側凸部81aは、右側突出部81の上側に位置し、上側に向かって突出する形状を有する。下側凸部81bは、右側突出部81の下側に位置し、下側に向かって突出する形状を有する。上側凸部81aと把持部11aとの間には、下側に向かって凹んだ形状を有する上側凹部81cが形成される。下側凸部81bと把持部11aとの間には、上側に向かって凹んだ形状を有する下側凹部81dが形成される。上側凹部81cと下側凹部81dとの間には、縁部12aに沿って凹部間折り目81eが形成される。
【0140】
<左上側突出部82a及び左下側突出部82bの構成>
左上側突出部82a及び左下側突出部82bは、xy平面と略平行に延在し、本体40と一体で形成される。左上側突出部82aと左下側突出部82bとの間には、切り欠き部82が形成される。
【0141】
具体的には、左上側突出部82aは、平面状の本体40をおもて側から平面視したときに、上側凸部82cを形成しながら縁部12bから左側に向かって延びる形状を有する。上側凸部82cは、左上側突出部82aの下側に位置し、下側に向かって突出する形状を有する。上側凸部82cと把持部11bとの間には、上側に向かって凹んだ形状を有する上側凹部82eが形成される。
【0142】
左下側突出部82bは、平面状の本体40をおもて側から平面視したときに、下側凸部82dを形成しながら縁部12bから左側に向かって延びる形状を有する。下側凸部82dは、左下側突出部82bの上側に位置し、上側に向かって突出する形状を有する。下側凸部82dと把持部11bとの間には、下側に向かって凹んだ形状を有する下側凹部82fが形成される。
【0143】
ここで、右側突出部81における上側凸部81aの上端と下側凸部81bの下端との間の長さを凸部間長L41と定義する。上側凹部81cと下端と下側凹部81dの上端との間の長さを凹部間長L42と定義する。
【0144】
切り欠き部82における、上側凸部82cの下端と下側凸部82dの上端との間の長さ(以下、凸部間長L43と称することがある。)は、凹部間長L42より若干大きく、かつ凸部間長L41より小さい。上側凹部82eの上端と下側凹部82fの下端との間の長さ(以下、凹部間長L44と称することがある。)は、凸部間長L43より大きく、かつ凸部間長L41より小さい。
【0145】
<組み立て後>
組み立て後の状態では、右側突出部81が切り欠き部82に挿入され嵌合することで把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。図17は、実施形態の変形例3の右側突出部81が切り欠き部82に嵌合された状態の右側突出部81近傍を腹側から見た拡大図である。図16及び図17に示されるように、ユーザは、例えば、剃刀4の組み立て後の状態において、右側突出部81を凹部間折り目81eに沿ってx軸-側に折り曲げる。右側突出部81が折れ曲がった状態では、右側突出部81の上側凹部81c及び下側凹部81dは、切り欠き部82の左上側突出部82aと左下側突出部82bとのとの間(詳細には、図17に図示しない上側凹部82eと下側凹部82fとの間)に配置される。
【0146】
ユーザが右側突出部81から手を離すと、右側突出部81は、折れ曲がった状態で維持される。この状態では、中心折り目41に沿って折れ曲がった把持部11が、紙の弾性または外力などによって平面状に戻ろうとしても、右側突出部81の上側凸部81aと把持部11bとの間、及び右側突出部81の下側凸部81bと把持部11bとの間で物理的な干渉が発生する。これにより、折れ曲がった把持部11が平面状に戻ることが抑制され、把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。
【0147】
このように、右側突出部81を折り曲げる簡易な操作で右側突出部81を切り欠き部82に嵌合させることができるので、実施形態ならびに変形例1及び変形例2の構成と比べて、把持部11を中心折り目41に沿って折り曲げた状態で簡易に固定することができる。
【0148】
なお、実施形態の変形例3の剃刀4では、折り曲げ部14a及び14bを備えない構成について説明をしたが、剃刀4は、折り曲げ部14a及び14bを備える構成であってもよい。この場合、折り曲げ部14a及び14bには、切り欠き部15a及び15bが形成されない構成であってもよい。
【0149】
また、実施形態の変形例3の剃刀4では、右側突出部81が縁部12aから外側に突出し、切り欠き部82が縁部12bに形成される構成について説明をしたが、右側突出部81が縁部12bから外側に突出し、切り欠き部82が縁部12aに形成される構成であってもよい。
【0150】
<(4)変形例4>
図18は、本実施形態の変形例4の剃刀をおもて側から見た平面図である。図19は、本実施形態の変形例4の剃刀ヘッドが取り外された状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。図20は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。図21は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀を幅方向から見た平面図である。図22は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀を裏側から見た平面図である。図23は、本実施形態の変形例4の組み立て後の状態の剃刀を下側から見た平面図である。図24は、本実施形態の変形例4の剃刀ヘッドの斜視図である。
【0151】
図18図24に示されるように、本実施形態の変形例4の剃刀5は、組み立てられた状態において把持部と折り曲げ部とによって筒が形成され、y軸方向から見たその筒の断面が略三角形となっている点で、剃刀1と異なる。また、剃刀ヘッド61の構成が、剃刀1と異なる。
【0152】
剃刀5の本体40は、ヘッド固定部100をさらに含んで構成される。ヘッド固定部100は、裏蓋部102ならびに差込部103a及び103bを含んで構成される。ヘッド固定部100は、ヘッド支持部31に対して、把持部11側とは逆側に設けられる。
【0153】
詳細には、ヘッド固定部100における裏蓋部102は、ヘッド支持部31の上側に接続され、中心線CLを基準として左右対称な外形を有する。裏蓋部102は、おもて側から平面視したときに、幅方向の幅を若干狭めながらくびれ部102cまで下側に延びた後、幅方向の幅を大きく広めながら下側に延びてヘッド支持部31の上側に接続される。つまり、裏蓋部102は、くびれ部102cにおいて若干くびれた形状を有する。裏蓋部102とヘッド支持部31との境界には、幅方向に延びる折り目101が形成される。
【0154】
差込部103a及び103bは、ヘッド固定部100が折り目101で折り曲げられたときに、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bと嵌合する。詳細には、差込部103aは、裏蓋部102のくびれ部102aの上側において裏蓋部102の右側の縁から右側に突出する形状を有する。差込部103aと裏蓋部102とは連続し、これらの境界には、折り目104aが形成される。
【0155】
差込部103bは、中心線CLを基準として差込部103aと対称な形状であって、裏蓋部102のくびれ部102aの上側において裏蓋部102の左側の縁から左側に突出する形状を有する。差込部103bと裏蓋部102とは連続し、これらの境界には、折り目104bが形成される。
【0156】
把持部11では、組み立て前の状態において、中心線CLを基準として左右対称な形状であって長手方向に長い形状を有する長孔部18が頂点17の下側に形成される。
【0157】
把持部11aは、縁部12aの一部が中心線CLから離れる方向すなわち右側に突出した凸部12aaを含む。凸部12aaは、上側の反転折り目43aaと下側の反転折り目43abとの間に位置する。凸部12aaの長手方向の長さは、差込部103aの左端の長手方向の長さすなわち折り目104aの長手方向の長さより大きい。また、凸部12aaと折り目101との間の距離と、折り目104aと折り目101との間の距離は、略同じである。
【0158】
凸部12aaの上側、右側及び下側の縁は、切り込み43acとなっている。把持部11a及び折り曲げ部14aを反転折り目43aa及び43abに沿って折り曲げたとき、切り込み43acがあるために凸部12aaが折り曲げられない一方、折り曲げ部14aでは、反転折り目43aaと反転折り目43abとの間に凹部14aaが形成される。そして、凹部14aaと把持部11aとの間において、長手方向に長い形状を有する長孔43adが形成される(図22及び図23参照)。
【0159】
把持部11bは、中心線CLを基準として凸部12aaと対称な形状を有する凸部12baを含む。つまり、凸部12baは、中心線CLから離れる方向すなわち左側に突出する。凸部12baは、上側の反転折り目43baと下側の反転折り目43bbとの間に位置する。
【0160】
凸部12baの上側、左側及び下側の縁は、切り込み43bcとなっている。把持部11b及び折り曲げ部14bを反転折り目43ba及び43bbに沿って折り曲げたとき、切り込み43bcがあるために凸部12baが折り曲げられない一方、折り曲げ部14bでは、反転折り目43baと反転折り目43bbとの間に凹部14baが形成される。そして、凹部14baと把持部11bとの間において、長手方向に長い形状を有する長孔43bdが形成される(図22及び図23参照)。
【0161】
折り曲げ部14aの縁16aには、中心線CLに近づく方向へ凹んだ逃げ部16aaが形成される。逃げ部16aaの長手方向の長さは、凸部12baの長手方向の長さより大きい。逃げ部16aaの幅方向の長さは、凸部12baの幅方向の長さより大きい。
【0162】
逃げ部16aaは、把持部11a及び把持部11bを中心折り目41に沿って折り曲げた後、把持部11a及び折り曲げ部14aを反転折り目43aa及び43abに沿ってさらに折り曲げた状態において、凸部12baと対向可能な位置に形成される。
【0163】
折り曲げ部14bの縁16bには、中心線CLを基準として逃げ部16aaと対称な形状を有する逃げ部16baが形成される。
【0164】
逃げ部16baは、把持部11a及び把持部11bを中心折り目41に沿って折り曲げた後、把持部11b及び折り曲げ部14bを反転折り目43ba及び43bbに沿ってさらに折り曲げた状態において、凸部12aaと対向可能な位置に形成される。
【0165】
ヘッド支持部31は、三角形部33、右端支持部35a及び左端支持部35bを含んで構成される(主に図18及び図19参照)。右端支持部35a及び左端支持部35bは、剃刀ヘッド61の少なくとも両端を支持する、本発明における「両端支持部」の一例である。
【0166】
三角形部33は、連結折り目42a及び42bの上側に位置する。右端支持部35aは、三角形部33の右上側の一部と連続し、把持部11aの上側を三角形部33とで挟むように設けられる。左端支持部35bは、三角形部33の左上側の一部と連続し、把持部11bの上側を三角形部33とで挟むように設けられる。剃刀ヘッド61は、右端支持部35a、左端支持部35b、及び三角形部33の3か所に接着されることで、ヘッド支持部31に固定される。より具体的には、図18に示したように、接着剤64a、64b、及び64cが配置され、これらの位置で剃刀ヘッド61がヘッド支持部31に接着される。剃刀ヘッド61とヘッド支持部31との間では、これらの接着剤64a、64b、及び64cが配置された領域を接着領域とし、それ以外の領域を接着禁止領域とされる。すなわち、図24に示すように、剃刀ヘッド61を形成する枠体におけるリアケース66xには、接着領域66m、66n、及び66oが設けられる。接着領域66m、66n、及び66oは、いずれも剃刀ヘッド61におけるy軸方向の中央位置ではなく、上側の端部に近い側に設けられる。これにより、使用者がヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させようと切り欠き部65iに力を加えたときに、離脱させる力が伝達しやすい構成となる。また、接着禁止領域は、枠体を形成するリアケース66xの周縁部から、例えば0.5mm以上1mm以下の領域などの、接着領域66m、66n、及び66oを除く所定の領域として設けられる。このような接着禁止領域を設けることで、剃刀ヘッド61の周縁部がヘッド支持部31に接着されないようにし、ヘッド支持部から剃刀ヘッドを分離させやすい構成にすることができる。なお、本変形例では、剃刀ヘッド61は、把持部11側の一部がヘッド支持部31から把持部11側に突出しないようにヘッド支持部31に固定される。接着禁止領域は、リアケース66xの周縁部から、0.5mm以上3mm以下の領域としてもよい。
【0167】
把持部11aと右端支持部35aとの境界は、L字状の切り込み34aとなっている。切り込み34aは、連結折り目42aの上側端部の位置34aaから右下側に向かって延びた後、位置34abまで左下側に向かって延びる。
【0168】
把持部11bと左端支持部35bとの境界は、中心線CLを基準として切り込み34aと対称な形状の切り込み34bとなっている。切り込み34bは、連結折り目42bの上側端部の位置34baから左下側に向かって延びた後、位置34bbまで右下側に向かって延びる。
【0169】
図24に示すように、剃刀ヘッド61は、実施形態の剃刀ヘッド61に類似しているが、主に以下の点で構成が相違する。
【0170】
図24に示すように、剃刀ヘッド61は、フロントケース65x及びリアケース66xにより形成された枠体を含む。刃体62は、実施形態同様、枠体の内部空間に収容され、フロントケース65xの開口部65aで露出する。フロントケース65は、主板65c、長側板65j及び65kならびに短側板65l及び65mを含んで構成される。長側板65j及び65kは、それぞれ主板65cの上端及び下端から裏側に向かってz軸方向(厚み方向)に延在する板である。長側板65j及び65kの各々は、裏側の端部から突出する突出部65bを2つ有する。短側板65l及び65mは、それぞれ主板65cの左端及び右端から裏側に向かって延在する板である。
【0171】
長側板65j及び65kには、実施形態と同様に、それぞれ切り欠き部65h及び65iが形成される(図20図24図26参照)。切り欠き部65h及び65iは、長側板65j及び65kの、x軸方向(長軸方向)の中央部を含む位置に、x軸方向に一定の長さを有し、かつ裏側からおもて側に向かうようそれぞれ形成される。切り欠き部65h及び65iと対向する位置の少なくとも一部には、ヘッド支持部31が位置しないようになっている。そのため、使用者がヘッド支持部から剃刀ヘッドを離脱させる際に、切り欠き部65hまたは65iに触れやすい構成となっている。これらの切り欠き部65h及び65iは、刃体62で切断された体毛が通過することで剃刀ヘッド61内に残存することを抑制する機能を有する。また、切り欠き部65h及び65iは、ヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際に、ユーザが、指、爪、または治具を引っ掛ける力点となる力点部を有する。つまり、切り欠き部65h及び65iは、分別廃棄によるリサイクルを容易にする機能と、剃刀ヘッド61内に切断された体毛を残存させないことで剃刀を清潔かつ快適に使用可能にする機能を併せ持つ。
【0172】
短側板65l及び65mには、それぞれ切り欠き部65n及び65oが形成される(図24及び図21参照)。切り欠き部65n及び65oは、短側板65l及び65mの、y軸方向(長軸方向)の中央部を含む位置に、y軸方向に一定の長さを有し、かつ裏側からおもて側に向かうよう形成される。これらの切り欠き部65n及び65oは、長側板65j及び65kの切り欠き部65h及び65iと同様に、切断された体毛を通過させる機能と、ヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際の力点としての機能を持つ。
【0173】
リアケース66xは、底板66y、長側板66g及び66h、ならびに短側板66i及び66jを含んで構成される。底板66yは、実施形態の底板66dと同様の形状であるが、実施形態の開口部66cに代えて、2つの開口部66k及び66lを有している。図23に示されるように、開口部66k及び66lは、ヘッド支持部31と対向する裏側の面であって、対向する位置にヘッド支持部31が位置しない場所に設けられる。そのため、開口部66k及び66lはヘッド支持部31によって塞がれることがなく、開口部66k及び66lから切断された体毛が通過しやすくなる。これにより、剃刀ヘッド61内への切断された体毛の残存を抑制することができ、剃刀5を清潔かつ快適に使用可能にすることができる。
【0174】
リアケース66xの下側の長側板66hは、フロントケース65xの下側の長側板65kと、0.5mm以上1mm以下の距離を有する。これにより、使用者がヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際に、切り欠き部65iに触れやすい構成となる。また、リアケース66xの上側の長側板66gは、フロントケース65xの上側の長側板65jと、0.5mm以上1mm以下の距離を有してもよい。このような構成にすると、使用者がヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際に、切り欠き部65hに触れやすい構成となる。なお、リアケース66xの長側板66h及び66gと、フロントケース65xの長側板65k及び65jとの距離は、それぞれ0.5mm以上3mm以下としてもよい。
【0175】
なお、切り欠き部65h及び65iは、いずれか一方のみが形成されるようにしてもよい。このような構成であっても、切断された体毛の通過、及びヘッド支持部31からの剃刀ヘッド61の離脱を容易にすることができる。この場合、特に切り欠き部65iを有する構成のほうが、使用者の利便性が高いため好ましい。ただし、切断された体毛の通過をより効果的に行うためには、切り欠き部65h及び65iの双方を設けた構成とすることが好ましい。また、切り欠き部65h及び65iのいずれか一方のみが形成される場合、リアケース66xの長側板66h及び66gと、フロントケース65xの長側板65k及び65jとの距離は、切り欠き部65hまたは65iが形成された部分において設けられる構成とするのが好ましい。
【0176】
なお、実施形態と同様に、ヘッド支持部31から剃刀ヘッド61を離脱させる際に使用者が切り欠き部65hに力を加える構成としてもよく、この場合には、剃刀ヘッド61の上側の端部に近い側ではなく、下側の端部に近い側に接着領域を設けてもよい。剃刀ヘッド61が切り欠き部65h及び65iの双方を有する構成の場合には、上側または下側のいずれかの端部に近い側に接着領域を設けてもよい。
【0177】
<組み立て>
剃刀5の組み立て方法の一例について説明する。剃刀5の組み立て時には、ユーザによって、おもて側が凸となるように、把持部11a及び折り曲げ部14aが反転折り目43aa及び43abに沿って折り曲げたられるとともに、把持部11b及び折り曲げ部14bが反転折り目43ba及び43bbに沿って折り曲げられる(第1折り曲げステップ)。第1折り曲げステップでは、前述したように、長孔43ad及び43bdが形成される。
【0178】
次に、ユーザによって、おもて側が凸となるように、把持部11a及び11bが中心折り目41ならびに連結折り目42a及び42bに沿って折り曲げられる(第2折り曲げステップ)。
【0179】
第2折り曲げステップでは、切り込み34a及び34bがあるために、把持部11aは、右端支持部35a、三角形部33及び左端支持部35bによって形成される面から裏側へ離れるように折り曲げられる。把持部11bも、把持部11aと同様に、当該面から裏側へ離れるように折り曲げられる。
【0180】
なお、図22及び図23では、折り曲げ部14bが折り曲げ部14aの裏側に位置するが、折り曲げ部14aが折り曲げ部14bの裏側に位置してもよい。また、折り曲げ部14bに逃げ部16baが形成されているので、長孔43adが折り曲げ部14bによって塞がれないようになっている。同様に、折り曲げ部14aに逃げ部16aaが形成されているので、長孔43bdが折り曲げ部14aによって塞がれないようになっている。
【0181】
次に、ユーザによって、差込部103aが折り目104aに沿って裏側へ折り曲げられるとともに、差込部103bが折り目104bに裏側へ折り曲げられる(第3折り曲げステップ)。
【0182】
次に、ユーザによって、裏蓋部102が折り目101に沿って裏側折り曲げられる。そして、差込部103a及び103bが、第1折り曲げステップで形成された長孔43ad及び43bdにそれぞれ差し込まれてヘッド固定部100と把持部11とが嵌合される(第4折り曲げステップ)。
【0183】
差込部103a及び103bが長孔43adと長孔43bdとの間の距離を固定することによって、把持部11a及び把持部11bが広がって平面に戻ることが抑制される。また裏蓋部102が折り曲げ部14a及び14bを押さえることによって、折り曲げ部14a及び把持部11aが広がって平面に戻ることと、折り曲げ部14b及び把持部11bが広がって平面に戻ることとが抑制される。
【0184】
把持部11a及び11bならびに折り曲げ部14a及び14bは、固定された状態においてy軸方向に延びる筒23を形成する。筒23の断面は、y軸方向から見て、略三角形となっている(図23参照)。
【0185】
なお、剃刀5が第1折り曲げステップ~第4折り曲げステップで完成する構成について説明したが、上記第2折り曲げステップだけを行うことで、剃刀5を剃刀1~4のように使用することができる。
【0186】
また、筒23の断面は、三角形に限らず四角形または五角形などの四角以上の多角形であってもよい。
【0187】
また、長孔部18が中心線CLに対称な形状を有する構成について説明したが、長孔部18の形状は、中心線CLに非対称な構成であってもよい。長孔部18は、上側から平面視したときに、中心線CLと交わる構成が好ましい。
【0188】
また、差込部103a及び103bが、把持部11a及び11bならびに折り曲げ部14a及び14bと嵌合する構成について説明したが、差込部103a及び103bは、ヘッド支持部31と嵌合する構成であってもよい。
【0189】
<(5)変形例5>
図25は、本実施形態の変形例5の剃刀をおもて側から見た平面図である。図26は、本実施形態の変形例5の組み立て後の状態の剃刀をおもて側から見た平面図である。図27は、本実施形態の変形例5の組み立て後の状態の剃刀を裏側から見た平面図である。
【0190】
図25図27に示されるように、本実施形態の変形例5の剃刀6は、組み立てられた状態における把持部11の固定方法が、変形例4の剃刀5の把持部11の固定方法と異なる。
【0191】
把持部11aの右側の縁部12aでは、上側の反転折り目43aaと下側の反転折り目43abとの間において、切り込み12abが形成される。切り込み12abの上側の端部及び下側の端部では、切り込みが幅方向に形成される。把持部11bの左側の縁部12bでは、中心線CLを基準として切り込み12abと対称な形状を有する切り込み12bbが形成される。
【0192】
折り曲げ部14aは、中心線CLから離れる方向すなわち右側へ、縁16aから突出する凸部16abを含む。凸部16abは、把持部11a及び把持部11bを中心折り目41に沿って折り曲げた後、把持部11a及び折り曲げ部14aを反転折り目43aa及び43abに沿ってさらに折り曲げた状態において、切り込み12bbと対向可能な位置に形成される。凸部16abの長手方向の長さは、切り込み12bbの長手方向の長さより短い。
【0193】
折り曲げ部14bは、中心線CLから離れる方向すなわち左側へ、縁16bから突出する凸部16bbを含む。凸部16bbは、把持部11a及び把持部11bを中心折り目41に沿って折り曲げた後、把持部11b及び折り曲げ部14bを反転折り目43ba及び43bbに沿ってさらに折り曲げた状態において、切り込み12abと対向可能な位置に形成される。凸部16bbの長手方向の長さは、切り込み12abの長手方向の長さより短い。凸部16bbの幅方向の長さは、例えば、凸部16abの幅方向の長さより短い。
【0194】
ヘッド支持部31は、三角形部33、右端支持部35a及び左端支持部35bを含んで構成される(図27参照)。剃刀ヘッド61は、右端支持部35a及び左端支持部35bに接着されることで、ヘッド支持部31に固定される。なお、本変形例では、剃刀ヘッド61は、把持部11側の一部がヘッド支持部31から把持部11側に突出しないようにヘッド支持部31に固定される。
【0195】
把持部11aと右端支持部35aとの境界は、略直線状の切り込み34aとなっている(図25参照)。切り込み34aは、連結折り目42aの上側端部の位置34aa(図27参照)から位置34abまで右下側に向かって延びる。
【0196】
把持部11bと左端支持部35bとの境界は、中心線CLを基準として切り込み34aと対称な形状の切り込み34bとなっている(図25参照)。切り込み34bは、連結折り目42bの上側端部の位置34baから位置34bbまで左下側に向かって延びる。
【0197】
<組み立て>
剃刀6の組み立て方法の一例について説明する。剃刀6の組み立てについては、変形例4の剃刀5の組み立てとの相違点について詳細に説明し、剃刀5の組み立てとの一致点については簡潔に説明する。
【0198】
まず、ユーザによって、第1折り曲げステップが行われる。次に、ユーザによって、おもて側が凸となるように、把持部11a及び11bが中心折り目41ならびに連結折り目42a及び42bに沿って折り曲げられる。このとき、折り曲げ部14aが折り曲げ部14bの裏側に位置し、かつ折り曲げ部14bの凸部16bbが切り込み12abに挿入されるように把持部11a及び11bを折り曲げる(第2折り曲げステップ)。
【0199】
次に、ユーザによって、凸部16abが折り目16acに沿って折り曲げられる。このとき、凸部16abが折られる方向は、切り込み12bbに近づく方向である(第3折り曲げステップ)。
【0200】
次に、ユーザによって、凸部16abが切り込み12bbに差し込まれて凸部16abと把持部11bとが嵌合される(第4折り曲げステップ)。
【0201】
凸部16abが切り込み12bbに差し込まれることによって、把持部11a及び把持部11bが広がって平面に戻ることと、折り曲げ部14a及び把持部11aが広がって平面に戻ることとが抑制される。また、折り曲げ部14aが折り曲げ部14bを押さえることで、折り曲げ部14b及び把持部11bが広がって平面に戻ることが抑制される。
【0202】
把持部11a及び11bならびに折り曲げ部14a及び14bは、固定された状態においてy軸方向に延びる筒23を形成する。筒23の断面は、図示しないが、y軸方向から見て、略三角形となっている。
【0203】
なお、剃刀6が第1折り曲げステップ~第4折り曲げステップで完成する構成について説明したが、第2折り曲げステップだけを行うことで、剃刀6を剃刀1~4のように使用することができる。
【0204】
<(6)変形例6>
図28は、本実施形態の変形例6の剃刀をおもて側から見た平面図である。図28に示されるように、剃刀5は、台紙200にはめ込まれている。剃刀5の外周は、例えば、ミシン目になっており、台紙200から剃刀5を取り外して使用することができる。
【0205】
このように、剃刀5を台紙200にはめ込むことにより、台紙200を袋状に折りたたむ簡易な操作で、剃刀6を梱包することができるので、剃刀6の運搬及び発送を容易にすることができる。また、台紙200の形状は任意の形状にすることができるので、剃刀5の商品棚への陳列を容易にしたり、剃刀5の携帯を容易にしたりすることができる。
【0206】
なお、本変形例では、剃刀5が台紙200にはめ込まれる構成について説明したが、剃刀1~4または6が台紙200にはめ込まれる構成であってもよい。
【0207】
<(7)変形例7>
図29は、本実施形態の変形例7の剃刀7をおもて側から見た平面図である。
【0208】
剃刀7は、変形例4の剃刀5と比較して、剃刀ヘッド61のおもて側にシール67が貼られている点で相違する。また、剃刀7では、組み立てられた状態でシール67が貼られる把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bに、シール67が貼られるべき箇所を示すシールガイド19が設けられている。また、剃刀7は、差込部103c及び103dの形状が、剃刀5の差込部103a及び103bと異なる。さらに、剃刀7は、切り込み43ae及び43beの形状が、剃刀5の切り込み43ac及び43bcと異なる。なお、シールガイド19は必ずしも設けられなくてもよい。
【0209】
剃刀7は、剃刀ヘッド61の開口部65aから露出する刃体62を覆い隠すように、剃刀ヘッド61のおもて側にシール67が貼られている。図30は、シール67の拡大図である。シール67は、4つの角がそれぞれ丸く湾曲した矩形状部分67aと、矩形状部分67aから半円状に突出した突出部67bとを有する。矩形状部分67aは剃刀ヘッド61と対向し、突出部67bは剃刀ヘッド61とは対向しない。シール67は、剃刀ヘッド61と対向する側の、開口部65aと重なる粘着禁止領域67cを除く粘着領域67dに、粘着剤を有する。粘着禁止領域67cは、図30における斜線が施された矩形状の領域である。すなわち、シール67は、その中央部分を除く外縁部分に粘着剤が配置されている。シール67の突出部67bの部分には粘着剤は配置されない。シール67は、刃体62には粘着しておらず、剃刀ヘッド61の主板65cの開口部65aを除く外側の領域に粘着する。シール67は紙製であることが好ましい。シール67は、本発明の「シール部材」の一例である。
【0210】
組み立て時には、使用者は、突出部67bに接触して剃刀ヘッド61に貼られたシール67を剥離して剃刀ヘッド61の刃体62を露出させる。そして、図31及び図32に示すように、使用者は、把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bに設けられたシールガイド19に沿って当該シール67を貼る。シールガイド19は、把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bの、Y軸方向において中央部よりも剃刀ヘッド61に近い位置に設けられている。シールガイド19が設けられた箇所を含み、把持部の外周を1周する位置には、差込部103c及び103dが位置する。シール67は、把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bを、Y軸を軸方向とする周方向に1周以上巻回するように貼り付けられた状態となる。このとき、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bにより形成された断面は中空の三角形状となっている。シール67は、差込部103c及び103dが長孔に挿入された部分の少なくとも一部を覆うようになる。これにより、把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bが、折り曲げられた状態で、シール67によってより強固に固定され、剃刀7が意図せず分解されてしまうことを防止することができる。
【0211】
シール67のY軸方向の長さである幅は、逃げ部16aa及び16baのY軸方向の長さよりも若干小さくなっている。これにより、逃げ部16aa及び16baは、シール67を粘着させる際のガイドとしても機能する。
【0212】
剃刀7は、差込部103c及び103dの上側部分が、外側に湾曲しながら突出した形状となっている。差込部103c及び103dは、組み立てられた状態のときに切り込み43ae及び43beの位置に形成される長孔に挿入される。差込部103c及び103dは、上記のように外側に湾曲しながら突出した形状となっているため、長孔に挿入された差込部103c及び103dは、長孔から抜け出ることが抑制される。
【0213】
剃刀7は、切り込み43ae及び43beの形状が、それぞれ中心線CLから離れる方向に向かって弧状に湾曲している。これらの切り込み43ae及び43beの形状により、互いに対向する凸部12abと凹部14ab、及び凸部12bbと凹部14bbとが、それぞれ湾曲形状となっている。これらの切込み43ae及び43beは、上記のように、組み立てられた際に差込部103c及び103dがそれぞれ挿入される長孔となるが、切り込み43ae及び43beが湾曲した形状となることで、剃刀7の組み立ての際に、差込部103c及び103dを長孔に差込やすくするとともに、長孔から切込み43ae及び43beが抜け出しづらくすることができる。
【0214】
<組み立て>
剃刀7の組み立て方法は、剃刀5と同様であるが、剃刀7の組み立てでは、シール67を把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bに巻回させて貼るステップが追加される点で相違する。
【0215】
図31は、組み立てられ、シール67が把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bに貼られる前の状態の剃刀7の斜視図である。図32は、組み立てられ、シール67が把持部11、ならびに折り曲げ部14a及び14bに貼られた状態の剃刀7の斜視図である。
【0216】
本変形例の剃刀7の組み立て方法の一例について説明する。まずは、剃刀ヘッド61にシール67が貼られたままの状態で、変形例4と同様にして組み立てることで、図31の状態とする。
【0217】
次に、使用者は、剃刀ヘッド61に貼られているシール67を剥離して、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bに設けられたシールガイド19に沿って巻回して貼り付ける。これにより、シール67を貼られた剃刀7は、図32の状態となる。
【0218】
剃刀7の廃棄時には、使用者は、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bに貼り付けられたシール67を剥離してもよい。ただし、シール67を紙で形成することで、シール67は、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bを含む本体40とともに紙として廃棄することができる。
【0219】
このように、本変形例の剃刀7では、剃刀ヘッド61の開口部65aを覆うようにシール67を貼付し、組み立て時には、当該シール67が剃刀ヘッド61から取り外されて把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bに貼付される。これによって、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bが折り曲げられた状態で安定することとなる。
【0220】
また、粘着剤は、刃体62に粘着剤が付着しないよう、シール67の中央部分を除く外縁部分に配置されている。ただし、使用者がシール67を剥離する際に手に粘着剤が付着しないよう、シール67の矩形状部分67aから突出した突出部67bには粘着剤が配置されていない。
【0221】
また、剃刀7では、把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bに、シール67を貼付すべき箇所を示すシールガイド19が設けられているため、使用者がシール67を貼る場所を認識しやすくすることができる。
【0222】
なお、組み立て前に剃刀ヘッド61を覆い、組み立て後には把持部11ならびに折り曲げ部14a及び14bに取り付けられる部材として、シール67に代えた他の部材を用いてもよい。シール67と同様、シール67に代わる他の部材も紙製であることが好ましい。シール67、及びシール67に代わる他の部材は、本発明の「カバー部材」の一例である。
【0223】
また、シールガイド19は、模様で形成されてもよいが、文字、記号、絵、もしくは凹凸またはこれらの組み合わせにより形成されてもよい。すなわち、シールガイド19は、視覚的または触覚的に他の部位と異なる部分であることを認識可能な態様にすれば、種々の態様を採用してよい。
【0224】
<2.本発明の特徴>
以上、実施形態を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。
【0225】
上記構成の、把持部11に幅狭部11cを有し、幅狭部11cからヘッド支持部31と逆側の下端部40dに向かって幅方向に広がるよう形成される剃刀1によれば、平面状の剃刀1の外形を矩形状とせずに角を丸くすることができるので、紙の使用量を低減することができる。また、剃刀1の外形を矩形状としないことで、デザインの自由度が高まり、本体をコンパクトにすることができる。さらに、ユーザが剃刀1を使用する際には幅狭部11c近傍にユーザの人差指及び親指が位置することとなるが、幅狭部11cがあることでユーザの手指が下側に抜けてしまうことを抑制可能な構成にすることができる。
【0226】
また、上記構成の、中心線CLに沿って頂点17から下端部40dにかけて中心折り目41が形成され、連結部46a及び46bに沿って連結折り目42a及び42bが形成され、組み立て時には、使用者によって連結折り目42a及び42bならびに中心折り目41に沿って折り曲げられる構成により、中心折り目41に沿って把持部11を折り曲げると、中心折り目41に連なる連結折り目42a及び42bも無理なく折り曲げることができる。同様に、組み立て時において、連結折り目42a及び42bに沿って把持部11を折り曲げると、連結折り目42a及び42bに連なる中心折り目41も無理なく折り曲げることができる。つまり、たとえばユーザがワンタッチで剃刀1を組立可能になるなど、剃刀1の組み立てに要する工数を低減し、剃刀1の組み立てを容易にすることができる。これにより、使用者が、剃刀1を使用可能な状態にするまでの煩雑な操作が不要な構成にすることができる。また、連結折り目42a及び42bが折り曲げられる際に、ヘッド支持部31を腹部22a及び22b側に向かってスムーズに屈曲させることができる。
【0227】
また、上記構成の、ヘッド支持部31と逆側の下端部40dが湾曲形状になっている剃刀1によれば、組み立て後の状態において、下端部40d近傍を直線状に形成せずに丸くすることができる。これにより、例えば、下端部40d近傍にユーザの手指が接触したり、剃刀1の持ち方によって、ユーザが下端部40d近傍を掴んでしまったりしても、ユーザが不快感を覚えてしまうことを抑制することができる。つまり、ユーザが不快感を覚えることを避けられる剃刀を提供することができる。
【0228】
また、上記構成の、剃刀ヘッド61が幅方向の両端近傍に矩形かつ実質的に平面状の矩形平面部66a及び66bをそれぞれ有し、これら2つの矩形平面部66a及び66bが矩形部32の貼り付け面32aに接着される構成により、剥がしやすさを考慮した適度な強度で剃刀ヘッド61と矩形部32とを接着することができる。これにより、剃刀ヘッド61を破損することなく本体40と剃刀ヘッド61との分離を容易にすることができるので、分離時に剃刀1の刃体62が剥き出しになることを抑制し、安全性を配慮した剃刀1を提供することができる。
【0229】
また、上記構成の、組み立て後の状態において、背部21から連続したヘッド支持部31が腹部22a及び22bに向かって屈曲し、剃刀ヘッド61が矩形部32の背部21側の貼り付け面32aに配置される構成により、剃刀ヘッド61と貼り付け面32aとを略平行にすることができるので、ユーザが把持部11を操作するときに、肌に面接触する角度で剃刀ヘッド61の刃を肌に押し当てることができる。また、刃に外力が加わった場合に、矩形部32の背部21側の面と略直交する方向にその外力を受ける従来構成と異なり、貼り付け面32aに沿ってその外力を受けることができるので、ヘッド支持部31から剃刀ヘッド61が脱落したり、外力によって本体40の一部が破損したりすることを抑制することができる。
【0230】
また、上記構成の、折り曲げ部14a及び14bが、それぞれ把持部11の縁部12a及び12bに沿って外側に突出するよう形成されるとともに、中心線CL側に折り曲げ可能であり、かつ把持部11の幅よりも小さい幅を有する構成により、把持部11の腹部22a及び22bが丸みを持った形状となり、把持部11をユーザにとって持ちやすい形状にすることができる。また、ユーザの指が当接する可能性が高い腹部22a及び22bに鋭利な部分が形成されないので、安全性に配慮した剃刀を提供することができる。
【0231】
また、上記剃刀5では、ヘッド固定部100が、ヘッド支持部31の把持部11側とは逆側に設けられ、折り曲げられてヘッド固定部100またはヘッド支持部31と嵌合されるため、ヘッド固定部100との嵌合によって把持部11またはヘッド支持部31の剛性を高めることができる。これにより、剃刀ヘッド61の位置を安定させることができるので、剃刀5が紙で形成されているにも関わらず、把持部11またはヘッド支持部31に類するものが樹脂または金属などで形成された他の高剛性の剃刀と同様の操作感で使用することができる。
【0232】
また、上記剃刀5及び剃刀6では、把持部11は、長手方向と交わる面における断面が多角形状で固定されるよう組み立てられるため、把持部11を把持したときの把持部11の形状の変化を抑制して把持部11の形状を安定させることができる。これにより、把持部11を握りやすくすることができるとともに、剃刀5及び6が紙で形成されているにも関わらず、把持部11またはヘッド支持部31に類するものが樹脂または金属などで形成された他の高剛性の剃刀と同様の操作感で使用することができる。
【0233】
また、上記剃刀5では、組み立て前の状態において、把持部11は、長手方向に延びる長孔部18を有しているため、長孔部に使用者の指の腹を添えたときに、長孔部の縁と使用者の指との間で摩擦を発生させることで、使用者の指がかかる部分を形成することができる。これにより、滑りを抑制しながら剃刀を把持しやすくすることができる。
【0234】
また、上記剃刀1では、剃刀ヘッド61の把持部11側のはみ出し部分61a及び61bが、ヘッド支持部31の矩形部32から把持部11側に突出しており、使用後には剃刀ヘッド61がヘッド支持部31から分離可能なため、組み立て時に連結折り目42a及び42bが折れ曲がるときに、連結折り目42a及び42bに沿って枝分かれした把持部11の先細り形状した部分がはみ出し部分61a及び61bから離れ、はみ出し部分61a及び61bを露出させることができる。これにより、ユーザの指をかける部分を剃刀ヘッド61に形成することができるので、ユーザは、はみ出し部分61a及び61bに指をかけて、剃刀ヘッド61を剃刀1から安全に分離することができる。そして、分離後の剃刀ヘッド61全体が金属で形成され、把持部11及びヘッド支持部31が紙で一体的に形成されている構成により、剃刀ヘッド61を剃刀1から分離する一手間だけで、使用後の剃刀1を金属素材と紙素材とに分別することができる。これにより、素材ごとの分離を容易にすることができるとともに、簡易かつ経済的にリサイクルを実行することができる。つまり、使用後の剃刀を有効にリサイクルさせ、リサイクルのために本体40と剃刀ヘッド61とを分離しようとするユーザの安全性が配慮された剃刀を提供することができる。
【0235】
また、剃刀ヘッド61の把持部11側のはみ出し部分61a及び61bが、ヘッド支持部31の矩形部32から把持部11側に突出するよう矩形部32に接着された構成により、剃刀ヘッド61を三角形部33の頂点17の近くに配置させることができる。この三角形部33の頂点17近傍は、屈曲方向への外力がヘッド支持部31に加わったときに、変形量が抑制されるため、組み立て後の状態において、腹部22a及び22b側に向かって屈曲したヘッド支持部31の屈曲方向へのしなりを適度に抑制し、剃刀ヘッド61の屈曲方向についての位置を安定させることができる。
【0236】
また、上記剃刀1では、ヘッド支持部31及び把持部11が、ユーザが剃刀ヘッド61を肌に接触させたとき、剃刀ヘッド61がユーザの肌に付勢されるよう弾性的に変形するため、紙で形成された把持部11及びヘッド支持部31が適度な弾性を有し、肌に過度な圧力が与えられることを抑制することができる。
【0237】
また、上記剃刀1では、挿入部51が、中心線CLに対して一方側に形成され、押圧することで変形し、挿入孔部52が、中心線CLに対して他方側の、組み立て後の状態において挿入部51に対向する位置に形成され、押圧することで変形する。そして、組み立て後の状態では、挿入部51が挿入孔部52に挿入され嵌合することで把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。これにより、組み立て後の状態において、挿入部51と挿入孔部52とが篏合することによって中心折り目41部分の紙の弾性によって把持部11の腹部22a及び22b側が開いてしまうことを抑制することができるので、把持部11をユーザにとって持ちやすい形状で維持することができる。また、ヘッド支持部31の屈曲が背部21側に戻ってしまうことを抑制することができるので、ヘッド支持部31を把持部11に対して適度に屈曲した状態で維持することができる。
【0238】
また、上記の変形例2の剃刀3では、組み立て後の状態において、切り込み部71が背部21から腹部22a及び22bに向かうよう形成され、切り込み部71を折り曲げることで把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。これにより、組み立て後の状態において、中心折り目41部分の紙の弾性によって把持部11の腹側が開いてしまうことを抑制することができるので、把持部11をユーザにとって持ちやすい形状で維持することができる。また、ヘッド支持部31の屈曲が背部21側に戻ってしまうことを抑制することができるので、ヘッド支持部31を把持部11に対して適度に屈曲した状態で維持することができる。
【0239】
また、上記の変形例3の剃刀4では、組み立て前の状態において、右側突出部81が縁部12a及び12bのうち、一方の縁部から外側に突出するよう形成され、切り欠き部82が他方の縁部に形成される。そして、組み立て後の状態では、右側突出部81が切り欠き部82に挿入され嵌合することで把持部11が中心折り目41に沿って折り曲げられた状態で固定される。これにより、組み立て後の状態において、中心折り目41部分の紙の弾性によって把持部11の腹側が開いてしまうことを抑制することができるので、把持部11をユーザにとって持ちやすい形状で維持することができる。また、ヘッド支持部31の屈曲が背部21側に戻ってしまうことを抑制することができるので、ヘッド支持部31を把持部11に対して適度に屈曲した状態で維持することができる。
【0240】
<3.補足事項>
以上、本発明の実施形態及び変形例についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一構成例及び一作動例としての説明であって、本発明の範囲はこれらの実施形態及び変形例に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0241】
本発明の剃刀は、環境保護に貢献する剃刀などとして好適に適用される。
【符号の説明】
【0242】
1、2、3、4、5、6、7…剃刀
11a、11b…把持部
11c…幅狭部
11d…幅広部
12a、12b…縁部
14a、14b…折り曲げ部
15a、15b…切り欠き部
16a、16b…縁
17…頂点
18…長孔部
21…背部
22a、22b…腹部
31…ヘッド支持部
32…矩形部
32a…貼り付け面
33…三角形部
35a…右端支持部
35b…左端支持部
40…本体
40d…下端部
41…中心折り目
42a、42b…連結折り目
43a、43b…反転折り目
46a、46b…連結部
51…挿入部
52…挿入孔部
61…剃刀ヘッド
61a、61b…はみ出し部分
62…刃体
64…接着剤
65、65x…フロントケース
65h、65i…切り欠き部
66、66x…リアケース
67…シール
67a…矩形状部分
67b…突出部
67c…粘着禁止領域
67d…粘着領域
71…切り込み部
81…右側突出部
82…切り欠き部
100、100a…ヘッド固定部
101…折り目
102…裏蓋部
102a…くびれ部
103a、103b、103c、103d…差込部
104a、104b…折り目
200…台紙

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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