(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】トリガー式噴出器の噴出部およびトリガー式噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20241111BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
(21)【出願番号】P 2021078158
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-092906(JP,A)
【文献】特開2017-213517(JP,A)
【文献】特開2019-171338(JP,A)
【文献】特開2018-108553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を噴出させる、トリガー式噴出器の噴出部であって、
スピンエレメントと、
前記スピンエレメントとの間に形成されているスピン流路に通じる噴出孔と、前記噴出孔を取り囲む噴出筒と、前記スピンエレメントに対する回転によって前記スピン流路を開閉可能なシール筒と、を有しているスピンエレメントキャップと、
前記スピンエレメントキャップを取り囲むスライド筒と、前記スピンエレメントキャップの前記噴出筒を取り囲むように前記スライド筒の内側に配置されている延長噴出筒と、を有しているリング部材と、
前記スピンエレメントキャップおよび前記リング部材を取り囲むとともに前記スピンエレメントキャップに対して回転可能な操作筒と、を有しており、
前記リング部材の外周と前記操作筒の内周とには、前記操作筒と前記リング部材との相対的な回転を阻止するとともに前記リング部材の前後進を許容する前後方向ガイド部が設けられており、
前記スピンエレメントキャップの外周と前記リング部材の内周とには、前記操作筒の回転方向に応じて当該リング部材を前記スピンエレメントキャップと前記操作筒との間で前後進させる螺旋形ガイド部が設けられており、
前記操作筒の内周および前記スピンエレメントキャップの外周のいずれか一方には、周方向に形成された周方向溝を有している一方、前記操作筒の内周および前記スピンエレメントキャップの外周の他方には、前記周方向溝の周方向端と接触することによって前記操作筒と前記スピンエレメントキャップとの一体的な回転を可能にする
引掛け用突起が設けられている、トリガー式噴出器の噴出部。
【請求項2】
前記スピンエレメントと前記スピンエレメントキャップとには、前記スピンエレメントキャップが前記スピンエレメントに対して回転するときの、前記スピンエレメントキャップの回転する範囲を制限するストッパが設けられている、請求項1に記載された、トリガー式噴出器の噴出部。
【請求項3】
前記前後方向ガイド部は、前記リング部材の外周に設けられたガイド突起と、前記操作筒の内周に設けられたガイド溝とによって構成されている、請求項1または2に記載された、トリガー式噴出器の噴出部。
【請求項4】
前記螺旋形ガイド部は、前記スピンエレメントキャップの外周に設けられたガイド突起と、前記リング部材の内周に設けられたガイド溝とによって構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載された、トリガー式噴出器の噴出部。
【請求項5】
前記周方向溝は、前記操作筒の内周に設けられており、前記
引掛け用突起は、前記スピンエレメントキャップの外周に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載された、トリガー式噴出器の噴出部。
【請求項6】
前記ストッパは、前記スピンエレメントの外周に設けられたストッパ突起と、前記スピンエレメントキャップの内周に周方向に形成されたストッパ溝とによって構成されている、請求項
2に記載された、トリガー式噴出器の噴出部。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された噴出部と、トリガーを有し前記噴出部が取り付けられている本体と、を有している、トリガー式噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式噴出器の噴出部およびトリガー式噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトリガー式噴出器には、ノズルヘッドを回転させることによって、内容物を噴出させることができる状態と、内容物を噴出させることができない状態とに切り替えることができるものがある(例えば、特許文献1参照。)。また、他の従来のトリガー式噴出器には、噴出筒(造泡筒)の前方に前後に回動可能な切替部を設けることによって、内容物の噴出領域を変更可能なトリガー式液体噴出器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-070232号公報
【文献】特開2019-271338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術は、使用者が一連の動作によって、噴出停止と噴出領域の切り替えとを行えるものではなかった。
【0005】
本発明の目的は、一連の動作によって、噴出停止と噴出領域の切り替えとを行うことができる、トリガー式噴出器の噴出部およびトリガー式噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、トリガー式噴出器の噴出部は、内容物を噴出させる、トリガー式噴出器の噴出部であって、スピンエレメントと、前記スピンエレメントの間に形成されているスピン流路に通じる噴出孔と、前記噴出孔を取り囲む噴出筒と、前記スピンエレメントに対する回転によって前記スピン流路を開閉可能なシール筒と、を有しているスピンエレメントキャップと、前記スピンエレメントキャップを取り囲むスライド筒と、前記スピンエレメントキャップの前記噴出筒を取り囲むように前記スライド筒の内側に配置されている延長噴出筒と、を有しているリング部材と、前記スピンエレメントキャップおよび前記リング部材を取り囲むとともに前記スピンエレメントキャップに対して回転可能な操作筒と、を有しており、前記リング部材の外周と前記操作筒の内周とには、前記操作筒と前記リング部材との相対的な回転を阻止するとともに前記リング部材の前後進を許容する前後方向ガイド部が設けられており、前記スピンエレメントキャップの外周と前記リング部材の内周とには、前記操作筒の回転方向に応じて当該リング部材を前記スピンエレメントキャップと前記操作筒との間で前後進させる螺旋形ガイド部が設けられており、前記操作筒の内周および前記スピンエレメントキャップの外周のいずれか一方には、周方向に形成された周方向溝を有している一方、前記操作筒の内周および前記スピンエレメントキャップの外周の他方には、前記周方向溝の周方向端と接触することによって前記操作筒と前記スピンエレメントキャップとの一体的な回転を可能にする突起が設けられている。
【0007】
本発明に係る、トリガー式噴出器の噴出部において、前記スピンエレメントと前記スピンエレメントキャップとには、前記スピンエレメントキャップが前記スピンエレメントに対して回転するときの、前記スピンエレメントキャップの回転する範囲を制限するストッパが設けられているものとすることができる。
【0008】
本発明に係る、トリガー式噴出器の噴出部において、前記前後方向ガイド部は、前記リング部材の外周に設けられたガイド突起と、前記操作筒の内周に設けられたガイド溝とによって構成されているものとすることができる。
【0009】
本発明に係る、トリガー式噴出器の噴出部において、前記螺旋形ガイド部は、前記スピンエレメントキャップの外周に設けられたガイド突起と、前記リング部材の内周に設けられたガイド溝とによって構成されているものとすることができる。
【0010】
本発明に係る、トリガー式噴出器の噴出部において、前記周方向溝は、前記操作筒の内周に設けられており、前記突起は、前記スピンエレメントキャップの外周に設けられているものとすることができる。
【0011】
本発明に係る、トリガー式噴出器の噴出部において、前記ストッパは、前記スピンエレメントの外周に設けられたストッパ突起と、前記スピンエレメントキャップの内周に周方向に形成されたストッパ溝とによって構成されているものとすることができる。
【0012】
本発明に係る、トリガー式噴出器は、上記のいずれかに記載された噴出部と、トリガーを有し前記噴出部が取り付けられている本体と、を有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一連の動作によって、噴出停止と噴出領域の切り替えとを行うことができる、トリガー式噴出器の噴出部およびトリガー式噴出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、噴出部が採用されたトリガー式噴出容器を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1のトリガー式噴出容器が広領域噴出モードであるときの、当該トリガー式噴出容器の、噴出部の周辺を概略的に示す断面図である。
【
図3B】
図2に示された噴出部が広領域噴出モードにおいて内容物を噴出させている状態を概略的に示す断面図である。
【
図4A】
図1のトリガー式噴出容器が噴出停止出モードであるときの、
図2のX-X断面相当の図である。
【
図4B】
図2に示された噴出部が噴出停止した状態を概略的に示す断面図である。
【
図5A】
図1のトリガー式噴出容器が狭領域噴出モードであるときの、
図2のX-X断面相当の図である。
【
図5B】
図2に示された噴出部が狭領域噴出モードにおいて内容物を噴出させている状態を概略的に示す断面図である。
【
図9】
図1のトリガー式噴出容器の内容物を広領域噴出モードで噴出させた状態を概略的に示す図である。
【
図10】
図1のトリガー式噴出容器の内容物を狭領域噴出モードで噴出させた状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、トリガー式噴出器の噴出部およびトリガー式噴出器について、説明をする。なお、以下の説明において、「前」とは、使用者がトリガー式噴出器を通常に使用するときに噴出部が指向する側をいい、「後」とは、使用者がトリガー式噴出器を通常に使用するときの使用者の側、つまり「前」と反対の側をいう。また、軸線Оは、前後方向に延びている軸線である。また、「周方向」とは、軸線Оの周りを回る方向をいう。さらに、「縦」とは、上下方向をいう。
【0016】
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る噴出部が採用されたトリガー式噴出容器である。トリガー式噴出容器1は、トリガー式噴出器2と、トリガー式噴出器2が取り付けられている容器本体3と、を有している。容器本体3は、口部を有しており、当該口部に連なる胴部の底部が閉じられている。
【0017】
本実施形態において、トリガー式噴出器2は、本発明の一実施形態に係るトリガー式噴出器である。トリガー式噴出器2は、噴出部4と、トリガー5を有し噴出部4が取り付けられている本体6と、を有している。
【0018】
本実施形態において、本体6は、装着キャップ7を有している。本実施形態において、トリガー式噴出器2は、装着キャップ7によって容器本体3の前記口部に取り付けられている。また、本実施形態において、本体6は、トリガー5に連なるピストン8と、ピストン8を摺動可能に内蔵するシリンダ9とを有している。本実施形態において、トリガー式噴出器2は、トリガー5の牽曳および当該牽曳の解除を繰り返すことによって、容器本体3に充填された内容物を吸引し、噴出部4に圧送するポンプ動作が生起される。
【0019】
また、本実施形態において、噴出部4は、本発明の一実施形態に係るトリガー式噴出器2の噴出部である。噴出部4は、内容物を噴出させる。
【0020】
図2は、トリガー式噴出器2の、噴出部4の周辺を、軸線Оを含む縦断面で示している。
図2は、トリガー式噴出容器1が後述する広領域噴出モードであるときの断面図である。
【0021】
図2を参照すれば、噴出部4は、スピンエレメント10と、スピンエレメントキャップ20と、リング部材30と、操作筒40と、を有している。スピンエレメントキャップ20は、スピンエレメント10との間に形成されているスピン流路103に通じる噴出孔A2と、噴出孔A2を取り囲む噴出筒21と、スピンエレメント10に対する回転によってスピン流路103を開閉可能なシール筒22と、を有している。リング部材30は、スピンエレメントキャップ20を取り囲むスライド筒32と、スピンエレメントキャップ20の噴出筒21を取り囲むようにスライド筒32の内側に配置されている延長噴出筒31と、を有している。操作筒40は、スピンエレメントキャップ20およびリング部材30を取り囲むとともにスピンエレメントキャップ20に対して回転可能に取り付けられている。
【0022】
本実施形態において、スピンエレメント10は、シャフト11と、シャフト11を取り囲むシャフト包囲筒12を有している。シャフト11は、前側に突出している。また、本実施形態において、シャフト11の外周には、後述の連通溝16が形成されている。
図2を参照すれば、本実施形態において、シャフト11の外周には、2つの連通溝16が軸線Оを挟んで対向する位置に形成されている。
【0023】
さらに、本実施形態において、スピンエレメント10は、本体6に取り付けられている。本実施形態において、スピンエレメント10は、ベース13を有している。シャフト11およびシャフト包囲筒12は、ベース13から前側に向かって延びている。また、スピンエレメント10は、ベース13から後側に向かって延びている取付筒14を有している。本実施形態において、スピンエレメント10は、取付筒14を本体6に装着することによって、当該本体6に取り付けられている。また、本実施形態において、ベース13には、本体6に形成された流出路100に通じる流入口A1が形成されている。
【0024】
一方、本実施形態において、スピンエレメントキャップ20は、隔壁23を有している。隔壁23は、スピンエレメント10に設けられたシャフト11の前記前端面に接触させている。本実施形態において、隔壁23の後面には、シール筒22によって取り囲まれている領域にスピン溝17が形成されている。本実施形態では、シャフト11の前記前端面が隔壁23の後面と接触することによって、スピンエレメント10とスピンエレメントキャップ20との間にスピン流路103が形成されている。
【0025】
本実施形態において、噴出孔A2は、スピンエレメントキャップ20の隔壁23に形成されている。噴出孔A2は、スピン流路103に通じている。また、本実施形態において、噴出筒21は、隔壁23から噴出孔A2を取り囲むように前側に向かって延びている。本実施形態において、噴出筒21には、通気孔A0が形成されている。
【0026】
さらに、本実施形態において、シール筒22は、隔壁23からシャフト11を取り囲むように後側に向かって延びているとともに、シャフト11に対する回転によってスピン流路103を開閉可能である。本実施形態において、シール筒22の内周は、シャフト11の外周に対して周方向に摺動可能に嵌合している。これによって、シール筒22と、シャフト11とは、シール筒22の内周とシャフト11の外周との間の密閉性を確保しつつ周方向に回転させることができる。また、本実施形態において、シール筒22の内周は、スピンエレメント10の連通溝16とともにスピン流路103に通じる連通流路102を形成している。加えて、本実施形態において、シール筒22の内周には、当該シール筒22の後端から前側に向かって延びている導入溝15が形成されている。導入溝15は、スピンエレメント10の外周とともに流入口A1からの内容物を流通させる導入流路101を形成している。さらに、本実施形態において、導入溝15の前側部分は、
図2に示すように、前後方向において、スピンエレメント10の連通溝16とオーバーラップする位置まで延びている。このため、スピンエレメントキャップ20をスピンエレメント10に対して回転させることにより、導入流路101と連通流路102との周方向の位置を一致させれば、本体6に形成された流出路100に通じる流入口A1と、噴出孔A2に通じるスピン流路103とを連通させることができる。また、スピンエレメントキャップ20をスピンエレメント10に対して回転させることにより、導入流路101と連通流路102との周方向の位置をずらせば、流入口A1とスピン流路103とを遮断させることができる。本実施形態において、シール筒22の内周には、複数の導入溝15が形成されている。
図2を参照すれば、本実施形態において、シール筒22の内周には、2つの導入溝15が軸線Оを挟んで対向する位置に形成されている。
【0027】
また、本実施形態において、スピンエレメントキャップ20は、シール筒22を取り囲むシール筒包囲筒24を有している。シール筒包囲筒24は、隔壁23から後側に向かって延びているとともにシャフト包囲筒12に対して回転可能に取り付けられている。これによって、スピンエレメントキャップ20は、スピンエレメント10に対して回転させることができる。加えて、本実施形態において、スピンエレメントキャップ20は、シャフト包囲筒12の内周を保持する保持筒25を有している。保持筒25は、隔壁23から後側に向かって延びているとともにシール筒22とシール筒包囲筒24との間に配置されている。
【0028】
一方、本実施形態において、リング部材30のスライド筒32は、スピンエレメントキャップ20のシール筒包囲筒24の前側部分を取り囲むように前側に向かって延びている。また、本実施形態において、スライド筒32と延長噴出筒31との間には、通気孔A0が形成されており、また、スライド筒32と延長噴出筒31とは互いに連結されている。これによって、延長噴出筒31は、スライド筒32とともに前後方向にスライドさせることができる。
【0029】
また、本実施形態において、操作筒40は、スピンエレメントキャップ20のシール筒包囲筒24およびリング部材30のスライド筒32を取り囲むとともに、スピンエレメントキャップ20のシール筒包囲筒24の後側部分に対して回転可能に取り付けられている。これによって、操作筒40は、スピンエレメントキャップ20に対して回転させることができる。
【0030】
また、噴出部4において、リング部材30の外周と操作筒40の内周とには、操作筒40とリング部材30との相対的な回転を阻止するとともにリング部材30の前後進を許容する前後方向ガイド部50が設けられている。これによって、リング部材30は、操作筒40とともに回転しながら当該操作筒40に対して前後方向に移動させることができる。前後方向ガイド部50は、例えば、後述する
図7に示すように、前後方向に延びているガイド溝51(以下、「前後方向ガイド溝51」ともいう。)と、当該前後方向ガイド溝51に沿って移動可能なガイド突起52(以下、「前後方向ガイド突起52」ともいう。)と、によって構成することができる。
【0031】
また、噴出部4において、スピンエレメントキャップ20の外周とリング部材30の内周とには、操作筒40の回転方向に応じて当該リング部材30をスピンエレメントキャップと操作筒40との間で前後に移動させる螺旋形ガイド部60が設けられている。これによって、リング部材30は、スピンエレメントキャップ20と操作筒40との相対的な回転によって、スピンエレメントキャップ20と操作筒40との間を前後方向に移動させることができる。螺旋形ガイド部60は、例えば、前後方向に螺旋状に延びているガイド溝61(以下、「螺旋形ガイド溝61」)と、当該螺旋形ガイド溝61に沿って移動可能な螺旋形ガイド突起62とによって構成することができる。
【0032】
【0033】
図3Aを参照すれば、噴出部4において、操作筒40の内周およびスピンエレメントキャップ20の外周のいずれか一方には、周方向に形成された周方向溝71を有している一方、操作筒40の内周およびスピンエレメントキャップ20の外周の他方には、周方向溝71の周方向端(71a、71b)と接触することによって操作筒40とスピンエレメントキャップ20との一体的な回転を可能にする突起72(以下、「引掛け用突起72」ともいう。)が設けられている。これによって、周方向溝71の周方向端(71a、71b)が引掛け用突起72と接触するまで操作筒40を一方向に回転させるときには、当該操作筒40は、スピンエレメントキャップ20に対して相対的に回転する。また、周方向溝71の周方向端(71a、71b)が引掛け用突起72と接触したのちさらに操作筒40を前記一方向に回転させるときには、当該操作筒40は、スピンエレメントキャップ20とともに一体的に回転する。
【0034】
上述のとおり、操作筒40は、スピンエレメントキャップ20に対して相対的に回転させることができる。また、リング部材30は、前後方向ガイド部50によって、操作筒40と一体的に回転させることができる。これによって、リング部材30は、操作筒40とともにスピンエレメントキャップ20に対して回転させることができる。したがって、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触するまで操作筒40を一方向に回転させれば、操作筒40とともにリング部材30をスピンエレメントキャップ20に対して回転させることができる。加えて、リング部材30は、前後方向ガイド部50に沿って前後に移動させることができる。さらに、リング部材30は、螺旋状ガイド部60に沿って前後方向に旋回させることができる。これによって、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触するまで操作筒40を一方向に回転させれば、リング部材30が螺旋状ガイド部60に沿って旋回しながらスピンエレメントキャップ20と操作筒40との間を前進または後進する。また、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触したのちさらに操作筒40を前記一方向に回転させれば、操作筒40とスピンエレメントキャップ20とをスピンエレメント10に対して一体的に回転させることができる。これによって、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触したのちさらに操作筒40を前記一方向に回転させれば、操作筒40の回転がスピンエレメントキャップ20をスピンエレメント10に対して回転させることから、スピンエレメントキャップ20に形成された導入溝(導入路101)15とスピンエレメント10に形成された連通溝(連通路102)16との軸線Оの周りの位置が適宜変更される。したがって、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触したのちさらに操作筒40を前記一方向に回転させれば、スピンエレメントキャップ20のシール筒22がスピン流路103を開閉させることができる。
【0035】
すなわち、噴出部4によれば、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触するまで操作筒40を一方向に回転させることによって、リング部材30が螺旋状ガイド部60に沿って旋回しながらスピンエレメントキャップ20と操作筒40との間を前進または後進し、加えて、操作筒40の周方向溝71の周方向端(71a、71b)がスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72と接触したのちさらに操作筒40を前記一方向に回転させることによって、スピンエレメントキャップ20がスピンエレメント10に対して回転することから、スピンエレメントキャップ20のシール筒22がスピン流路103を開閉する。
【0036】
(広領域噴出モード)
リング部材30の延長噴出筒31が後側に位置しているとともにスピンエレメントキャップ20のシール筒22がスピン流路103を開いていることによって内容物を広い範囲の領域に噴出させる。
【0037】
図3Aを参照すれば、本実施形態において、トリガー式噴出容器1の初期状態は、広領域噴出モードである。以下の説明において、操作筒40を一方向に回転させるとは、
図3Aに示すように前側からの軸線方向視で軸線Оの周りに反時計回りに回転させることをいう。また、以下の説明において、周方向溝71の周方向端(71a、71b)のうちの一方側周方向端71aとは、操作筒を前側からの軸線方向視で反時計回りの回転させたときの回転方向が指向する側の周方向端である。また、周方向溝71の周方向端(71a、71b)のうちの他方側周方向端71bとは、一方側周方向端71aと周方向に対向する側の周方向端である。
【0038】
図3Bを参照すれば、広領域噴出モードにおいて、操作筒40は、周方向溝71の一方側周方向端71aをスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72に接触させている一方、周方向溝71の他方側周方向端71bをスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72に接触させていない。このとき、スピンエレメント10の連通路(連通溝)102とスピンエレメントキャップ20の導入路(導入溝)101とは、
図3Aに示すように、互いの周方向の位置が一致することによって連通している。すなわち、
図3Bに示すように、スピンエレメントキャップ20のシール筒22は、スピン流路103を開いている。したがって、本体6に形成された流出路100から圧送された内容物Cは、噴出孔A2を通して噴出させることができる。またこのとき、リング部材30の延長噴出筒31は、
図3Bに示すように、後側に位置している。これによって、噴出孔A2を通して噴出させた内容物Cは、リング部材30の延長噴出筒31と接触することなく、操作筒40の開口部A4を通して外界に噴出させることができる。したがって、広領域噴出モードでは、内容物を広い範囲の領域に噴出させることができる。
【0039】
(噴出停止モード)
スピンエレメントキャップ20のシール筒22がスピン流路103を閉じて内容物Cの噴出を停止させる。
【0040】
本実施形態では、操作筒40を
図3Aの位置から軸線Оの周りに反時計回りに回転させることによって、広領域噴出モードから噴出停止モードに切り替えることができる。本実施形態では、広領域噴出モードの状態から、周方向溝71の他方側周方向端71bがスピンエレメントキャップ20の引掛け用突起72に接触するまで操作筒40を回転させたとき、リング部材30がスピンエレメントキャップ20と操作筒30との間を前側に移動する。本実施形態では、リング部材30は、操作筒40の前端部分の内側と隣接する位置するまで前進する。本実施形態では、周方向溝71の他方側周方向端71bが引掛け用突起72と接触したのちもさらに操作筒40を回転させる。これによって、
図4Aに示すように、スピンエレメントキャップ20は、操作筒40とともに一体的に回転する。このとき、スピンエレメントキャップ20は、スピンエレメント10に対して反時計回りに回転する。これによって、スピンエレメント10の連通路(連通溝)102とスピンエレメントキャップ20の導入路(導入溝)101とは、
図4Aに示すように互いの周方向の位置がずれることによって連通しなくなる。すなわち、スピンエレメントキャップ20のシール筒22は、
図4Bに示すように、スピン流路103を閉じている。したがって、噴出停止モードでは、本体6から圧送された内容物Cは、噴出孔A2を通して噴出させることができない。
【0041】
(狭領域噴出モード)
リング部材30の延長噴出筒31が前側に位置しているとともにスピンエレメントキャップ20のシール筒22がスピン流路103を開いていることによって内容物Cを狭い範囲の領域に噴出させる。
【0042】
本実施形態では、操作筒40を
図4Aの位置から軸線Оの周りにさらに反時計回りに回転させることによって、噴出停止モードから狭領域噴出モードに切り替えることができる。本実施形態では、噴出停止モードの状態から操作筒40をさらに反時計回りに回転させたとき、スピンエレメントキャップ20はなおも、操作筒40とともに一体的に回転する。このため、スピンエレメントキャップ20はなおも、スピンエレメント10に対して反時計回りに回転する。これによって、スピンエレメント10の連通路(連通溝)102とスピンエレメントキャップ20の導入路(導入溝)101とは、
図5Aに示すように互いの周方向の位置が再び一致することによって連通している。すなわち、スピンエレメントキャップ20のシール筒22は、
図5Bに示すように、スピン流路103を開いている。したがって、本体6から圧送された内容物Cは、噴出孔A2を通して噴出させることができる。またこのとき、リング部材30の延長噴出筒31は、
図5Bに示すように、前側に位置している。これによって、噴出孔A2を通して噴出させた内容物Cは、リング部材30の延長噴出筒31と接触したのち、操作筒40の開口部A4を通して外界に噴出させることができる。したがって、狭領域噴出モードでは、内容物Cを、広領域噴出モードよりも狭い範囲の領域に噴出させることができる。
【0043】
また、上記の説明では、広領域噴出モードを初期状態として操作筒40を反時計回りに回転させることにより、広領域噴出モード、噴出停止モード、狭領域噴出モードの順に切り替えられることを明らかにしたが、本実施形態によれば、狭領域噴出モードの状態を初期状態とし、操作筒40を時計回りに回転させれば、狭領域噴出モード、噴出停止モード、広領域噴出モードの順に切り替えることができる。
【0044】
したがって、本発明によれば、一連の動作によって、噴出停止と噴出領域の切り替えとを行うことができる、噴出部4およびトリガー式噴出器2を提供することができる。また、本発明によれば、噴出部4の前側に切替部(遮蔽板)を設けて、当該切替部を操作する必要がないため、内容物Cを手に付着させることがなく、衛生的である。
【0045】
なお、本実施形態によれば、操作筒40を軸線Оの周りに60度の角度で回転させるごとに、広領域噴出モード、噴出停止モード、狭領域噴出モードに切り替えるように設定している。この場合、広領域噴出モード、噴出停止モード、狭領域噴出モードの切り替えを等しい回転角度で行うことができる。ただし、切替えに要する回転角度は、60度に限定されるものではない。また、本実施形態では、軸線Оを中心とした周方向溝71の周方向端(71a、71b)の間の角度は、30度としている。ただし、周方向溝71の周方向端(71a、71b)の間の角度も、30度に限定されるものではない。
【0046】
また、本実施形態において、操作筒40の外周に、上記切り替え角度のごとの位置に、例えば、「広」、「止」、「狭」等の、モードを示す視覚的な表示(文字、記号、数字など)を付すことができる。また、本実施形態によれば、切り替え角度のごとに、使用者に対してクリック感(音)を与えることによって、触覚的(聴覚的)な警告を与えることもできる。
【0047】
また、本実施形態において、スピンエレメント10とスピンエレメントキャップ20とには、スピンエレメントキャップ20がスピンエレメント10に対して回転するときの、スピンエレメントキャップ20の回転する範囲を制限するストッパ80が設けられている。この場合、使用者は、操作筒40を回転させる際に、スピンエレメントキャップ20のシール筒22がスピン流路103を開閉する位置を容易に特定することができる。
【0048】
ストッパ80は、例えば、周方向に延びているストッパ溝81と、当該ストッパ溝81に沿って移動可能なストッパ突起82とによって構成することができる。
図6を参照すれば、スピンエレメントキャップ20の内周には、ストッパ溝81が設けられている。本実施形態において、ストッパ溝81は、シール筒包囲筒24の内周に形成されている。また、本実施形態において、ストッパ溝81は、軸線Оを中心とした、当該ストッパ溝81の周方向端(81a、81b)の間の角度を180度としている。さらに、本実施形態において、ストッパ溝81は、当該ストッパ溝81の2つの周方向端(81a、81b)がそれぞれ、軸方向視で、導入路(導入溝)101と整列する位置に配置されるように設けられている。また、スピンエレメント10の外周には、ストッパ突起82が設けられている。さらに、本実施形態において、ストッパ突起82は、シャフト包囲筒12の外周に形成されている。また、本実施形態において、ストッパ突起82は、広領域噴出モードにおいて、引掛け突起72に対して反時計回りに60度ずれた位置に設けられている。
【0049】
また、本実施形態において、前後方向ガイド部50は、リング部材30の外周に設けられた前後方向ガイド突起52と、操作筒40の内周に設けられた前後方向ガイド溝51とによって構成されている。この場合、噴出部4の軸線О周りの大きさを抑えることによって、コンパクト化を図ることができる。
【0050】
図7を参照すれば、本実施形態において、前後方向ガイド突起52は、リング部材30のスライド筒32の外周に設けられている。また、本実施形態において、前後方向ガイド溝51は、操作筒40の内周に設けられた細溝である。なお、本実施形態において、前後方向ガイド部50は、軸線Оを挟んで対向する、2つの位置に配置されているが、前後方向ガイド部50は、少なくとも1つとすることができる。
【0051】
また、
図2を参照すれば、本実施形態において、螺旋形ガイド部60は、スピンエレメントキャップ20の外周に設けられた螺旋形ガイド突起62と、リング部材30の内周に設けられた螺旋形ガイド溝61とによって構成されている。この場合、噴出部4の軸線О周りの大きさを抑えることによって、コンパクト化を図ることができる。
【0052】
図2を参照すれば、本実施形態において、螺旋形ガイド突起62は、スピンエレメントキャップ20のシール筒包囲筒24の前側部分の外周に設けられている。また、本実施形態において、螺旋形ガイド溝61は、リング部材30のスライド筒32の内周に形成されている。本実施形態において、螺旋形ガイド部60は、前側に向かって時計回りに進行する右ねじである。なお、本発明によれば、螺旋形ガイド部60は、前側に向かって半時計回りに進行する左ねじとすることができる。ただし、この場合、上述したモード切替えで説明した回転方向は反対回転となる。
【0053】
また、例えば、
図3Aを参照すれば、本実施形態において、周方向溝71は、操作筒40の内周に設けられており、引掛け用突起72は、スピンエレメントキャップ20の外周に設けられている。この場合、噴出部4の軸線О周りの大きさを抑えることによって、コンパクト化を図ることができる。
【0054】
例えば、
図3Aおよび
図7を参照すれば、周方向溝71は、操作筒40の内周に形成されている。本実施形態において、周方向溝71は、当該周方向溝71の他方側周方向端71bが、軸方向視で、前後方向ガイド溝51と整列する位置に配置されるように形成されている。また、例えば、
図2および
図3Aを参照すれば、本実施形態において、引掛け用突起72は、スピンエレメントキャップ20のシール筒包囲筒24の後側部分の外周に設けられている。さらに、例えば、
図3Aを参照すれば、本実施形態において、引掛け用突起72は、軸方向視で、1つの導入路(導入溝)101に対して軸線Оの周りに60度ずれた位置に配置されるように設けられている。
【0055】
また、
図6を参照すれば、本実施形態において、ストッパ80は、スピンエレメント10の外周に設けられたストッパ突起82と、スピンエレメントキャップ20の内周に周方向に形成されたストッパ溝81とによって構成されている。この場合、噴出部4の軸線О周りの大きさを抑えることによって、コンパクト化を図ることができる。
【0056】
図6を参照すれば、本実施形態において、ストッパ突起82は、スピンエレメント10のシャフト包囲筒12の外周に設けられている。また、本実施形態において、ストッパ溝81は、スピンエレメントキャップ20のシール筒包囲筒24の内周に形成されている。
【0057】
また、
図8は、噴出部4を軸線方向前側から示した正面図である。本実施形態において、スピンエレメントキャップ20の噴出筒21は、
図8に示すように、軸線方向視において、円形である。これによって、本実施形態において、広領域噴出モードでは、
図9に示すように。円形状に噴出させることができる。ただし。本発明によれば、軸線方向視における、噴出筒21の形状は円形に限定されるものではない。また、
図8を参照すれば、本実施形態において、リング部材30の延長噴出筒31は、軸線方向視において、楕円形である。これによって、本実施形態において、狭領域噴出モードでは、
図10に示すように。楕円形状に噴出させることができる。ただし。本発明によれば、軸線方向視における、延長噴出筒31の形状も、楕円形に限定されるものではない。
【0058】
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、本実施形態では、スピンエレメントキャップ20の噴出筒21と、リング部材30とにそれぞれ、通気孔A0を形成することにより、内容物Cを泡状に噴出させているが、通気孔A0を省略することによって、内容物Cを霧状に噴出させることができる。また、本実施形態において、スピン溝17は、スピンエレメントキャップ20に形成されているが、スピンエレメント10と、スピンエレメントキャビティ面0との間にスピン流路103を形成するものであればよい。したがって、スピン溝17は、スピンエレメント10とスピンエレメントキャップ20との、少なくともいずれか一方に形成することができる。使用される内容物Cとしては、例えば、浴室用、トイレ用などの家庭用液体洗剤が挙げられる。
【符号の説明】
【0059】
1:トリガー式噴出容器, 2:トリガー式噴出器, 3:容器本体, 4:噴出部, 5:トリガー, 6:本体, 7:装着キャップ, 8:ピストン, 9:シリンダ, 10:スピンエレメント, 11:シャフト, 12:シャフト包囲筒, 13:ベース, 14:取付筒, 15:導入溝, 16:連通溝, 17:スピン溝, 20:スピンエレメントキャップ, 21:噴出筒, 22:シール筒, 23:隔壁, 24:シール筒包囲筒, 25:保持筒, 30:リング部材, 31:延長噴出筒, 32:スライド筒, 40:操作筒, 50:前後方向ガイド部, 51:前後方向ガイド溝, 52:前後方向ガイド突起, 60:螺旋形ガイド部, 61:螺旋形ガイド溝, 62:螺旋形ガイド突起, 71:周方向溝, 71a:(一方側)周方向端, 71b:(他方側)周方向端, 72:引掛け用突起(突起), 80:ストッパ, 81:ストッパ溝, 81a:周方向端, 81b:周方向端, 82:ストッパ突起, 100:流出路, 101:導入路, 102:連通路, 103:スピン流路, 103a:旋回路, 103b:合流路, A1:流入口, A2:噴出孔, A0:通気孔