(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】繊維製品の処理方法
(51)【国際特許分類】
C11D 1/28 20060101AFI20241111BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20241111BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20241111BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20241111BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20241111BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
C11D1/28
C11D1/14
C11D1/29
C11D1/72
C11D1/722
C11D17/08
(21)【出願番号】P 2021209316
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2020217302
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020217303
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】尾谷 佳則
(72)【発明者】
【氏名】宗行 優奈
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/196555(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/030328(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/187488(WO,A1)
【文献】特表平11-503789(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204149(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106833925(CN,A)
【文献】特表2020-502019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の処理方法であって、
下記一般式(a1)中、R
1、R
2の分岐鎖の炭化水素基の側鎖の炭素数が3以上であり、
前記硬度成分を含有する水は、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含み、
前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、
繊維製品の処理方法。
(a)成分:下記一般式(a1)で表される化合物
【化1】
〔式中、R
1、R
2は、それぞれ、分岐鎖を有する炭素数
7以上18以下の炭化水素基であり、A
1O、A
2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【請求項2】
(a)成分の炭化水素基は、分岐鎖を有する、請求項1に記載の繊維製品の処理方法。
【請求項3】
(a)成分の炭化水素基の合計炭素数が20以上である、請求項1又は2に記載の繊維製品の処理方法。
【請求項4】
前記処理液中、硬度成分以外の無機塩由来の金属イオンの濃度が500ppm未満である、請求項1~3の何れか1項に記載の繊維製品の処理方法。
【請求項5】
(b1)成分が、下記一般式(b1-1)で示される化合物、下記一般式(b1-2)で示される化合物、下記一般式(b1-3)で示される化合物、及び炭素数14以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、請求項1~4の何れか1項に記載の繊維製品の処理方法。
R
1b-O-[(PO)
m(EO)
n]-SO
3M (b1-1)
〔式(b1-1)中、R
1bは炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、酸素原子と結合する炭素原子が第1炭素原子であり、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、EOとPOはブロック型結合又はランダム型結合であり、POとEOの結合順序は問わず、m及びnはPO及びEOの平均付加モル数であって、mは0以上5以下、かつnは0以上16以下であり、そしてMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
R
2b-B-SO
3M (b1-2)
〔式(b1-2)中、R
2bは炭素数9以上21以下のアルキル基を示し、Bはベンゼン環を示し、Bの炭素原子と結合するR
2bの炭素原子が第2級炭素原子であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。Bに結合するR
2bに対して、スルホン酸基はオルト位、メタ位又はパラ位に結合している。〕
R
3b-CH(SO
3M)COOR
4b (b1-3)
〔式(b1-3)中、R
3bは炭素数6以上20以下のアルキル基を示し、R
4bは炭素数1以上6以下のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
【請求項6】
(b2)成分が下記一般式(b2)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤である、請求項1~5の何れか1項に記載の繊維製品の処理方法。
R
5b-(CO)
mO-(AO)
n-R
6b (b2)
〔式中、R
5bは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R
6bは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。nは平均付加モル数であって、1以上70以下の数である。〕
【請求項7】
下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を洗浄し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であって、
下記一般式(a1)中、R
1、R
2の分岐鎖の炭化水素基の側鎖の炭素数が3以上であり、
前記硬度成分を含有する水は、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含み、
前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、
繊維製品の洗浄方法。
(a)成分:下記一般式(a1)で表される化合物
【化2】
〔式中、R
1、R
2は、それぞれ、分岐鎖を有する炭素数
7以上18以下の炭化水素基であり、A
1O、A
2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【請求項8】
下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理する際に、前記処理液の起泡性を低減する、起泡性低減方法であって、
下記一般式(a1)中、R
1、R
2の分岐鎖の炭化水素基の側鎖の炭素数が3以上であり、
前記硬度成分を含有する水は、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含み、
(a)成分及び(b)成分を、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすように用いる、
起泡性低減方法。
(a)成分:下記一般式(a1)で表される化合物
【化3】
〔式中、R
1、R
2は、それぞれ、分岐鎖を有する炭素数
7以上18以下の炭化水素基であり、A
1O、A
2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の処理方法、繊維製品の洗浄方法及び起泡性低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維製品の洗浄においては、洗浄性能及び泡立ちに優れた洗浄剤組成物が好ましく用いられてきた。しかし、洗浄設備や洗浄方法によっては、洗浄中に形成された泡があふれ出さないよう、泡の制御も重要な要素である。例えば、ドラム式洗濯機では、節水により、洗剤が高濃度となると、泡が過剰に形成されないように泡制御が必要な場合がある。また、トラップ構造といった排水設備の構造によっても、泡が溢れないように、泡制御が必要な場合がある。繊維製品の洗浄に限らず、種々の処理、例えば、繊維製品の仕上げ、染色、漂白、糊付け、柔軟性付与等の処理においても、泡制御が必要な場合がある。
【0003】
特許文献1には、所定の炭素数のアルキル又はアルケニル基を有するアルキルスクシネート又はアルケニルスクシネートと、所定の臨界ミセル濃度を有するスルホン化界面活性剤とを含む、均質濃厚化水溶性液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、所定のアルキル置換基を有するジアルキルスルホスクシネートと、非イオン性界面活性剤との混合物からなる界面活性剤系の溶液であって、所定のイオン強度となるように電解質を含有する水溶液中で、布を洗濯する布の洗濯方法が開示されている。
特許文献3には、(A)内部オレフィンスルホン酸塩、(B)(A)成分以外のアニオン界面活性剤、(C)ノニオン界面活性剤、(D)水、を所定の割合で含む界面活性剤組成物が開示されている。
特許文献4には、(A)スルホコハク酸型アニオン性界面活性剤と、(B)非イオン性界面活性剤を含む低刺激性洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-195096号公報
【文献】特開平2-182967号公報
【文献】国際公開第2018/030328号
【文献】特開平3-153798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、洗浄等の処理を行うときに、処理の妨げにならず、生じる泡を適度に維持する新規な繊維製品の処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の処理方法であって、前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、繊維製品の処理方法に関する。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【0007】
また、本発明は、前記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を洗浄し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であって、
前記処理液は、前記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、繊維製品の洗浄方法に関する。
【0008】
また、本発明は、前記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理する際に、前記処理液の起泡性を低減する、起泡性低減方法であって、
(a)成分及び(b)成分を、前記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすように用いる、起泡性低減方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗浄等の処理を行うときに、処理の妨げにならず、生じる泡を適度に維持できる繊維製品の処理方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の繊維製品の処理方法により、繊維製品の処理の妨げにならず、生じる泡を適度に維持できる機構は定かではないが、次のように推察される。(a)成分は硬度成分がない状態においても特定濃度域においてベシクルという会合状態を形成すると考えられる。この会合状態においては(a)成分は非常に疎水的であるため、消泡効果が発揮されると考えられる。さらにこれに硬度成分が添加されると水和固体形成量が増加するため、より高い消泡効果が発揮されると考えられる。そして、(a)成分と(b)成分が所定の要件を満たすことで、(b)成分による処理の妨げにならず、(a)成分と水中の硬度成分(例えば、カルシウムイオン)により形成された水和固体が、水と(b)成分により形成された泡に作用して、この泡が破泡されるものと考えられる。なお、本発明の繊維製品の処理方法は、この作用機構に制限されるものではない。また、本発明において、生じる泡を適度に維持するとは、泡の発生を抑制するだけでなく、発生した泡を速やかに消泡することを含みうる。
【0011】
まず、本発明の繊維製品の処理方法に用いられる処理液(以下、本発明の処理液という)について説明する。なお、以下の説明では、繊維製品の洗浄処理を行う例を挙げて説明するが、本発明の繊維製品の処理方法は、洗浄処理だけでなく、例えば、繊維製品の仕上げ、染色、漂白、糊付け、柔軟性付与等の処理に適用できる。
【0012】
本発明の処理液は、下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を、所定の要件を満たすように含有する。ただし、本発明の処理液は、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
本発明の処理液は、(a)成分と、(b)成分と、硬度成分を含有する水と、を混合して得た処理液であってよい。
【0013】
(a)成分は、炭素数5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩である。(a)成分は、スルホコハク酸モノエステルであっても、スルホコハク酸ジエステルであってもよく、スルホコハク酸ジエステル又はその塩が好ましい。
(a)成分の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、抑泡性の観点から、アルキル基が好ましい。(a)成分の炭化水素基の炭素数は、抑泡性の観点から、それぞれ独立して、5以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、そして、洗浄性の観点から、18以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。また、(a)成分の炭化水素基は、直鎖、分岐鎖の何れであってもよく、抑泡性の観点から、分岐鎖を有することが好ましい。
【0014】
(a)成分は、洗浄性及び抑泡性の観点から、炭素数5以上18以下の炭化水素基を2つ有するスルホコハク酸ジエステル又はその塩が好ましく、例えば、下記一般式(a1)で表される化合物が挙げられる。
なお、本発明における(a)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算される。
【0015】
【化1】
〔式中、R
1、R
2は、それぞれ、炭素数5以上18以下の炭化水素基であり、A
1O、A
2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、A
1O又はA
2Oの平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
【0016】
一般式(a1)中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、炭素数5以上18以下の炭化水素基である。炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。R1及びR2は、抑泡性の観点から、アルキル基が好ましい。
【0017】
一般式(a1)中、R1及びR2の炭化水素基の炭素数は、抑泡性の観点から、それぞれ、5以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、そして、洗浄性の観点から、18以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
【0018】
一般式(a1)中、R1及びR2の合計炭素数は、抑泡性の観点から、好ましくは12以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは20以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは24以下である。ここで、(a1)成分として、R1及びR2の合計炭素数の異なる2種以上の化合物を含有する場合、(a1)成分全体としてのR1及びR2の合計炭素数は、それぞれの化合物のR1及びR2の合計炭素数のモル平均を表す。
【0019】
一般式(a1)中、R1及びR2の炭化水素基は、それぞれ、直鎖、分岐鎖の何れでもよいが、抑泡性の観点から、分岐鎖を有することが好ましい。前記R1及びR2である分岐鎖の炭化水素基は、抑泡性の観点から、炭素数2以上の側鎖を有することが好ましく、炭素数3以上の側鎖を有することがより好ましい。側鎖の炭素数は8以下、更に6以下であってよい。なお、R1及びR2の炭化水素基のうち、式中の酸素原子(O)と結合している炭素を1番目の炭素として最も長い炭素の並びを主鎖と呼び、主鎖の炭素数をX(R1及びR2の炭素数5以上なのでXは3以上となる)とするときに、主鎖の1番目からX-1番目の何れかの炭素に結合している炭化水素基のことを、それぞれ、側鎖という。
一般式(a1)中、R1及びR2の炭化水素基は、飽和、不飽和の何れでもよい。
一般式(a1)中、R1及びR2の少なくとも1つが、分岐構造であることが好ましい。
一般式(a1)中、R1及びR2の炭化水素基は、抑泡性の観点から、飽和の分岐鎖炭化水素基が含まれることがより好ましい。
また、R1及びR2の炭化水素基は、抑泡性及び入手性の観点から、ゲルベアルコール由来の基であってよい。
【0020】
一般式(a1)中のR1及びR2は、抑泡性の観点から、それぞれ独立して、好ましくは炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基、より好ましくは炭素数8以上10以下の分岐鎖アルキル基、更に好ましくは炭素数10の分岐鎖アルキル基である。
【0021】
本発明においては、第2級アルコールから水酸基を除去した炭化水素残基を、分岐鎖アルキル基など鎖式分岐炭化水素基に含める。
R1及びR2が、それぞれ、炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基である場合、側鎖を構成する炭素数の合計は、同一あるいは異なっていてもよく、抑泡性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは3である。
本発明において、側鎖を構成する炭素数の合計とは、一つの分岐鎖アルキル基において、主鎖以外の全側鎖の炭素数を合計したものであり、側鎖が複数ある場合は、それら全側鎖の炭素数の合計である。
【0022】
R1及びR2の側鎖の数は、同一あるいは異なっていてもよく、抑泡性の観点から、1以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。R1及びR2の側鎖の数は、抑泡性の観点から、それぞれ、1であることが好ましい。
本発明において、側鎖の数とは、主鎖から分岐する側鎖の数であり、側鎖が、更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していても側鎖の数としては変わらない。ただし、側鎖が更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していてもよいが、抑泡性の観点から、側鎖は直鎖であることが好ましい。
【0023】
R1及びR2が、それぞれ独立して、炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基である場合、R1、R2の分岐炭素の数は、同一あるいは異なっていてもよく、抑泡性の観点から、1以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。R1及びR2の分岐炭素の数は、抑泡性の観点から、それぞれ、1であることが好ましい。本発明において、分岐炭素の数とは、分岐鎖アルキル基中の第3級炭素原子と第4級炭素原子の数の合計である。
【0024】
R1、R2のより好ましい態様は、抑泡性の観点から、炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基であって、主鎖の炭素数が、それぞれ独立して6以上8以下であり、側鎖を構成する炭素数が、それぞれ独立して、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは3であり、側鎖の数が、それぞれ独立して、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1である分岐鎖アルキル基である。
R1、R2は、抑泡性の観点から、それぞれ、分岐鎖オクチル基、分岐鎖デシル基及び分岐鎖ドデシル基から選ばれる分岐鎖アルキル基が好ましく、抑泡性の観点から、分岐鎖デシル基がより好ましい。分岐鎖オクチル基は、2-エチルヘキシル基などが挙げられる。分岐鎖デシル基は、2-プロピルヘプチル基、KHネオケム株式会社製デシルアルコール由来の基などが挙げられ、2-プロピルヘプチル基が好ましい。分岐鎖ドデシル基は、2-ブチルオクチル基などが挙げられる。
【0025】
一般式(a1)中、R1の炭化水素基とR2の炭化水素基は、同一でも異なっていてもよい。R1の炭化水素基とR2の炭化水素基が異なる場合は、抑泡性の観点で好ましい。また、R1の炭化水素基とR2の炭化水素基が同一である場合は、抑泡性、品質安定性の観点で好ましい。例えば、一般式(a1)中、R1の炭素数とR2の炭素数は、同一でも異なっていてもよい。R1の炭素数とR2の炭素数が異なる場合は、抑泡性の観点で好ましい。また、R1の炭素数とR2の炭素数が同一である場合は、抑泡性、品質安定性の観点で好ましい。
【0026】
一般式(a1)中、R1及びR2の炭化水素基は、下記式で定義される分岐度が、抑泡性の観点から、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくは0.08以下であり、そして、抑泡性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.04以上である。
分岐度=〔(R1及びR2の末端メチル基の総数)-2〕/(R1及びR2の有する総炭素数)
なお、分岐度は、1H-NMRを用いて測定することができる平均値である。
【0027】
一般式(a1)中、A1O、A2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下、抑泡性の観点から好ましくは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基である。一般式(a1)中、x1、x2は、A1O、A2Oの平均付加モル数を表し、それぞれ、0以上10以下、抑泡性の観点から好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2以下の数であり、0がより更に好ましい。
【0028】
一般式(a1)中、Mは陽イオンである。Mは水素イオン以外の陽イオンが好ましい。Mとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、トリエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、モノメチルアンモニウムイオンなどの有機アンモニウムイオンなどが挙げられる。
Mは、抑泡性の観点から、アルカリ金属イオン、アルカノールアンモニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。
【0029】
(b)成分は、(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)である。(b)成分は洗浄性の観点から、(b2)成分が好ましい。
【0030】
(b1)成分は、アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)である。(b1)成分は、下記一般式(b1-1)で示される化合物(b1-1)〔以下、(b1-1)成分という〕、下記一般式(b1-2)で示される化合物(b1-2)〔以下、(b1-2)成分という〕、下記一般式(b1-3)で示される化合物(b1-3)〔以下、(b1-3)成分という〕、及び炭素数14以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩〔以下、(b1-4)成分という〕から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(b1)成分としては、洗浄性の観点から、(b1-1)成分、(b1-3)成分及び(b1-4)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、(b1-1)成分及び(b1-4)成分から選ばれる1種以上の化合物がより好ましい。(b1)成分としては、抑泡性の観点から、(b1-1)成分及び(b1-4)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
【0031】
R1b-O-[(PO)m(EO)n]-SO3M (b1-1)
〔式(b1-1)中、R1bは炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、酸素原子と結合する炭素原子が第1炭素原子であり、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、EOとPOはブロック型結合又はランダム型結合であり、POとEOの結合順序は問わず、m及びnはPO及びEOの平均付加モル数であって、mは0以上5以下、かつnは0以上16以下であり、そしてMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
なお、本発明における(b1-1)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算される。
【0032】
R2b-B-SO3M (b1-2)
〔式(b1-2)中、R2bは炭素数9以上21以下のアルキル基を示し、Bはベンゼン環を示し、Bの炭素原子と結合するR2bの炭素原子が第2級炭素原子であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。Bに結合するR2bに対して、スルホン酸基はオルト位、メタ位又はパラ位に結合している。〕
なお、本発明における(b1-2)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算される。
【0033】
R3b-CH(SO3M)COOR4b (b1-3)
〔式(b1-3)中、R3bは炭素数6以上20以下のアルキル基を示し、R4bは炭素数1以上6以下のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
なお、本発明における(b1-3)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算される。
【0034】
(b1-4)成分の内部オレフィンスルホン酸塩は、原料として、炭素数14以上24以下の内部オレフィン(二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィン)をスルホン化、中和及び加水分解することにより得られるスルホン酸塩である。かかる内部オレフィンには、二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるアルファオレフィン(以下、α-オレフィンともいう。)を微量に含有するものも含まれる。また、内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、オレフィンスルホン酸塩へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するオレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。
本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩((b1-4)成分)という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(以下、HAS体ともいう。)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(以下、IOS体ともいう。)という。
(b1-4)成分の内部オレフィンスルホン酸塩のスルホン酸基は、上記の製法から明らかなように、内部オレフィンスルホン酸塩の炭素鎖、すなわちオレフィン鎖又はアルカン鎖の内部に存在し、その一部に炭素鎖の末端にスルホン酸基が存在するものも微量に含まれる場合もある。
なお、(b1-4)成分中の化合物のHAS体とIOS体の質量比は、高速液体クロマトグラフィー質量分析計(以下、HPLC-MSと省略)により測定できる。具体的には、(b1-4)成分のHPLC-MSピーク面積から質量比を求めることができる。
なお、本発明における(b1-4)成分の含有量は、カリウム塩として換算される。
【0035】
一般式(b1-1)中、R1bは、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは炭素数9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である。R1bは直鎖アルキル基が好ましい。
【0036】
一般式(b1-1)中、mは、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
【0037】
一般式(b1-1)中、nは、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である。
【0038】
一般式(b1-1)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウム塩は、pH調整剤として用いるアミンによる塩であってよい。洗浄性及び抑泡性の観点から、Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである。
【0039】
(b1-1)成分は、洗浄性及び抑泡性の観点から、アルキル基の炭素数が12以上14以下であってプロピレンオキシ基の平均付加モル数が0以上4以下、エチレンオキシ基の平均付加モル数が1以上4以下であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。すなわち、(b1-1)成分は、一般式(b1-1)中、R1bが炭素数12以上14以下のアルキル基、mが0以上4以下、nが1以上4以下、Mがナトリウムである化合物が好ましい。
【0040】
一般式(b1-2)中、R2bは、洗浄性及び抑泡性の観点から、炭素数9以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である。
【0041】
一般式(b1-2)中、Mは、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムである。有機アンモニウム塩は、pH調整剤で用いるアミンによる塩であってよい。洗浄性及び抑泡性の観点から、Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである。
【0042】
(b1-2)成分は、洗浄性及び抑泡性の観点から、アルキル基の炭素数が11以上14以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上14以下のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩がより好ましい。すなわち、(b1-2)成分は、一般式(b1-2)中、R2bが炭素数11以上14以下のアルキル基、Mがナトリウムである化合物が好ましい。
【0043】
一般式(b1-3)中、R3bは、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である。
【0044】
一般式(b1-3)中、R4bは、洗浄性及び抑泡性の観点から、炭素数1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下のアルキル基である。
【0045】
一般式(b1-3)中、Mは、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウム塩である。有機アンモニウム塩は、pH調整剤で用いるアミンによる塩であってよい。Mは、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである。
【0046】
(b1-3)成分は、洗浄性及び抑泡性の観点から、一般式(b1-3)中、R3bが炭素数11以上14以下のアルキル基、R4bが炭素数1以上5以下のアルキル基、Mがナトリウムである化合物が好ましい。
【0047】
(b1-4)成分の内部オレフィンスルホン酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩としては後述するアルカノールアミンを含む炭素数2以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩にはアミンの塩も含む。内部オレフィンスルホン酸塩は、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくはアルカリ金属塩であり、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩である。
【0048】
(b1-4)成分である内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、洗浄性の観点から、14以上、好ましくは16以上であり、そして、抑泡性の観点から、好ましくは22以下、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは18以下である。なお、(b1-4)成分である内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、スルホン酸塩が共有結合した内部オレフィンの炭素数を表す。
【0049】
(b1-4)成分の内部オレフィンスルホン酸塩において、スルホン酸基が5位以上、好ましくは5位以上9位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。
【0050】
(b1-4)成分の内部オレフィンスルホン酸塩において、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩〔以下(IO-1S)という場合がある〕の含有量と、スルホン酸基が5位以上、好ましくは5位以上9位以下に存在する内部オレフィンスルホン酸塩〔以下(IO-2S)という場合がある〕の含有量との質量比である、(IO-1S)/(IO-2S)は、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.5以上、より更に好ましくは2以上、より更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上、より更に好ましくは4.5以上であり、そして、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
なお、(b1-4)成分において、スルホン酸基の位置の異なる各化合物の含有量は、HPLC-MSにより測定できる。本明細書におけるスルホン酸基の位置の異なる各化合物の含有量は、(b1-4)成分の全HAS体における、スルホン酸基が各位置にある化合物のHPLC-MSピーク面積に基づく質量比として求めるものとする。
【0051】
(b1-4)成分における、スルホン酸基が1位に存在するオレフィンスルホン酸塩の含有量は、洗浄性及び抑泡性の観点から、(b1-4)成分中に、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、そして、生産コストの低減、及び生産性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上である。
これらの化合物のスルホン酸基の位置は、オレフィン鎖又はアルカン鎖における位置である。
【0052】
(b1-4)成分の内部オレフィンスルホン酸塩は、ヒドロキシ体とオレフィン体の混合物であることができる。(b1-4)成分中の内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量との質量比(オレフィン体/ヒドロキシ体)は、0/100以上、更に5/95以上、そして、50/50以下、更に40/60以下、更に30/70以下、更に25/75以下であることができる。
【0053】
(b1-4)成分中における内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量との質量比は、HPLC-MSにより測定することができる。
【0054】
(b1-4)成分は、例えば、原料として炭素数18の内部オレフィンを、スルホン化、中和及び加水分解することにより製造することができる。スルホン化反応は、内部オレフィン1モルに対し三酸化硫黄ガスを1.0~1.2モル反応させることにより行うことができる。反応温度は、20~40℃で行うことができる。
中和は、スルホン酸基の理論値に対し1.0~1.5モル倍量の水酸化カリウム、アンモニア、2-アミノエタノール等のアルカリ水溶液を反応させることにより行われる。加水分解反応は、水の存在下、90~200℃で30分~3時間反応を行えばよい。これらの反応は、連続して行うことができる。また反応終了後は、抽出、洗浄等により精製することができる。
【0055】
(b2)成分は、脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤である。抑泡性の観点から、脂肪酸メチルエステルエトキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤が好ましい。
【0056】
脂肪族アルコールアルコキシレートとしては、例えば、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びその末端メチルエーテル付加物が挙げられる。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記の脂肪族アルコールは、炭素数が、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下の脂肪族炭化水素基を有する脂肪族アルコールが挙げられる。洗浄性及び抑泡性の観点から、脂肪族アルコールは、第1級アルコールが好ましい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記の脂肪族炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記の脂肪族炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖であり、直鎖が好ましい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記のアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる1種以上が好ましい。アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを含む場合、ブロック結合型でもランダム結合型であってもよい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは70以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。
【0057】
また、脂肪族エステルアルコキシレートとしては、例えば、脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物及びその末端メチルエーテル付加物が挙げられる。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記の脂肪酸は、炭素数が、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは14以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸が挙げられる。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記の脂肪族炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、脂肪族炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖であり、直鎖が好ましい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記のアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる1種以上が好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを含む場合、ブロック結合型でもランダム結合型であってもよい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、前記のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは20以下である。
【0058】
(b2)成分としては、下記一般式(b2)で表されるノニオン界面活性剤が挙げられる。
R5b-(CO)mO-(AO)n-R6b (b2)
〔式中、R5bは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R6bは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。nは平均付加モル数であって、1以上70以下の数である。〕
【0059】
一般式(b2)中、R5bの炭素数は、洗浄性及び抑泡性の観点から、9以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。R5bは、洗浄性及び抑泡性の観点から、アルキル基又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。洗浄性及び抑泡性の観点から、脂肪族炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、直鎖が好ましい。
洗浄性及び抑泡性の観点から、R6bは水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。抑泡性の観点から、メチル基が好ましい。
【0060】
一般式(b2)中、nは、洗浄性及び抑泡性の観点から、1以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、そして、70以下、好ましくは50以下、より好ましくは25以下である。
【0061】
一般式(b2)中、mは、0又は1の数であり、洗浄性の観点からは0が好ましく、抑泡性の観点からは1が好ましい。mが1の時は、R6bは、メチル基であってよい。
【0062】
一般式(b2)中、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。また、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の結合順序は問わない。
【0063】
一般式(b2)中、エチレンオキシ基(以下EO基という場合がある)の平均重合度(あるいは平均付加モル数という場合もある)は、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは70以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは25以下である。
【0064】
一般式(b2)中、プロピレンオキシ基(以下PO基という場合もある)の平均重合度(あるいは平均付加モル数という場合もある)は、抑泡性の観点から、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0065】
一般式(b2)中、AOがEO基とPO基を含む場合、EO基とPO基とはランダム又はブロック結合であってもよく、抑泡性の観点から、好ましくはブロック結合、より好ましくはアルキルエーテル(例えば一般式(b2)中のR5b-O)に対してEOPOEOの順序であるかPOEOの順のブロック結合である。
【0066】
一般式(b2)で示される化合物は、例えば、アルキル基の炭素数が、好ましくは12以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12の直鎖1級又は2級アルコール由来である、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテルが挙げられる。
【0067】
硬度成分を含有する水は、例えば、水道水、飲料水(ミネラルウォーター)、温泉水、地下水が挙げられる。本発明の処理液は、前記(a)成分、(b)成分及び下記の任意成分以外の残部が水であってよい。
硬度成分は、例えば、カルシウム及びマグネシウムであり、水に含まれる全硬度成分の量は、ドイツ硬度、アメリカ硬度等により、単位水量中のカルシウム化合物の濃度で表現される。ドイツ硬度は全硬度成分をCaOに換算した量をmg/水100mLで表し(単位:°DH)、アメリカ硬度は全硬度成分をCaCO3に換算した量をmg/Lで表す(単位:ppm)ものである。両者には、アメリカ硬度(ppm)=ドイツ硬度(°DH)×17.85の関係がある。
【0068】
抑泡性の観点から、硬度成分はカルシウム、マグネシウムが挙げられ、カルシウムがより好ましい。
【0069】
抑泡性の観点から、硬度成分を含有する水の温度は、0℃以上が好ましく、より好ましくは5℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
【0070】
本発明の処理液中、(a)成分の濃度は、抑泡性の観点から、好ましくは1ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、より更に好ましくは500ppm以下、より更に好ましくは250ppm以下、より更に好ましくは100ppm以下である。なお、本発明では、ppmは、質量の割合を表す単位である(以下のppmに関しても同様である)。
【0071】
本発明の処理液中、(b)成分の濃度は、洗浄性の観点から、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは50ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、より更に好ましくは150ppm以上、そして、抑泡性の観点から、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは250ppm以下である。
【0072】
本発明の処理液中、(a)成分と(b)成分の合計濃度は、抑泡性の観点から、好ましくは5ppm以上、より好ましくは6ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、より更に好ましくは200ppm以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、更に好ましくは2000ppm以下、より更に好ましくは1000ppm以下、より更に好ましくは500ppm以下、より更に好ましくは250ppm以下である。
【0073】
本発明の処理液中、(a)成分と(b)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b)]は、抑泡性の観点から、好ましくは0質量%超え、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。本発明において、割合を質量%で示したものは、所定の割合の値を百分率で表したものである(以下同様)。
【0074】
本発明の処理液が(b1)成分を含む場合、該処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]は、抑泡性の観点から、0質量%超え、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、そして、洗浄性の観点から、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。これらの割合は、要件(1)に適用できる。
【0075】
本発明の処理液が(b2)成分を含む場合、該処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]は、抑泡性の観点から、0質量%超え、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、そして、洗浄性の観点から、45質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。これらの割合は、要件(2)に適用できる。
【0076】
本発明の処理液が(b1)成分と(b2)成分を含む場合、該処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]と、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]の、少なくとも一方が、上記範囲を満たしていればよい。
【0077】
本発明の処理液が(b1)成分と(b2)成分を含む場合、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]と、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]の両方が、上記範囲を満たしていることが好ましい。
【0078】
本発明の処理液中、硬度成分の濃度は、抑泡性の観点から、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは25ppm以上、そして、洗浄性の観点から、例えば、1000ppm以下、更には500ppm以下、更には250ppm以下、更には150ppm以下、更には50ppm以下から選ぶことができる。
一般的に、硬度が低いほど硬度成分を含む水は泡立ちやすいが、本発明の繊維製品の処理方法では、そのような泡立ちやすい硬度領域でも、泡立ちを抑制できる。
また、硬度成分を含有する水中の硬度成分の濃度が、この硬度成分の濃度範囲を満たすことが好ましい。
【0079】
本発明の処理液中、炭素数が12以上のジカルボン酸及びその塩の合計濃度は、抑泡性の観点から、100ppm未満であり、好ましくは50ppm以下、より好ましくは25ppm以下、そして、0ppmであってもよい。このジカルボン酸は、炭素数が12以上、更には14以上、そして、20以下、更には16以下のジカルボン酸であってよい。また、このジカルボン酸は、炭素数が8以上、更には10以上、そして、16以下、更には12以下のアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸又はその塩であってよい。
【0080】
本発明の処理液は、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で、抑泡性の観点から、100ppm以上、更には50ppm以上、更には25ppm以上含まないものであってよい。本発明の処理液は、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩の合計濃度が0ppm、すなわち、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を含まないものであってよい。
本発明の処理液は、炭素数が12以上20以下のジカルボン酸及びその塩を合計で、抑泡性の観点から、100ppm以上、更には50ppm以上、更には25ppm以上含まないものであってよい。
また、本発明の処理液は、炭素数が8以上、更には10以上、そして、16以下、更には12以下のアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸又はその塩を合計で、抑泡性の観点から、100ppm以上、更には50ppm以上、更には25ppm以上含まないものであってよい。
【0081】
また、本発明の処理液に含まれる全アニオン界面活性剤中、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩の合計の割合が、抑泡性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であってよい。
【0082】
炭素数が14以上16以下のジカルボン酸又はその塩としては、例えば、2-ドデセニルスクシネート(炭素数16のジカルボン酸)、2-デシルスクシネート(炭素数14のジカルボン酸)などが挙げられる。
【0083】
本発明の処理液の硬度は、抑泡性の観点から、好ましくは0.01°DH以上、より好ましくは0.1°DH以上、更に好ましくは1°DH以上、そして、洗浄性の観点から、例えば、50°DH以下、更には40°DH以下、更には30°DH以下、20°DH以下、更には15°DH以下、更には10°DH以下、更には5°DH以下から選ぶことができる。
一般的に、硬度が低いほど硬度成分を含む水は泡立ちやすいが、本発明の繊維製品の処理方法は、そのような泡立ちやすい硬度領域でも、泡立ちを抑制できる。
また、硬度成分を含有する水の硬度が、この硬度の範囲を満たすことが好ましい。
【0084】
本発明の処理液は、硬度成分の以外の無機塩由来の金属イオンを含んでも良い。本発明の処理液が、硬度成分の以外の無機塩由来の金属イオンを含む場合、無機塩由来の金属イオン及び硬度成分由来の金属イオンの合計濃度は、抑泡性の観点から、好ましくは1ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、より更に好ましくは25ppm以上、そして、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは500ppm未満、より更に好ましくは250ppm以下、より更に好ましくは150ppm以下、より更に好ましくは50ppm以下であってよい。
【0085】
また、本発明の処理液は、無機塩由来、更には無機アルカリ金属塩由来、更にはアルカリ金属塩化物由来の金属イオンの濃度が、抑泡性の観点から、好ましくは1ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、より更に好ましくは25ppm以上、そして、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは500ppm未満、より更に好ましくは250ppm以下、より更に好ましくは150ppm以下、より更に好ましくは50ppm以下であってよい。前記の金属イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオンであってよく、ナトリウムイオンとカリウムイオンの合計濃度が、前記範囲であることが好ましい。前記無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
【0086】
本発明の処理液中、該処理液に含まれる金属イオンに対する硬度成分由来の金属イオンの割合は、抑泡性の観点から、好ましくは0質量%超え、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは75%質量以上、より更に好ましくは100質量%未満である。ここで、100質量%未満とは、処理液中に含まれる金属イオンから、(a)成分及び(b)成分由来の金属イオンを除いた残りの金属イオンが、水に含まれる硬度成分由来の金属イオンの場合である。本発明の処理液中、無機塩由来の金属イオンと硬度成分由来の金属イオンの合計に対する硬度成分由来の金属イオンの割合が上記範囲であることが好ましい。
【0087】
本発明の処理液は、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤〔以下、(x)成分という〕を含むことができる。(x)成分としては、(b2)成分以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0088】
(b2)成分以外のノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型ノニオン界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。
【0089】
カチオン界面活性剤としては、第3級アミン塩であるカチオン界面活性剤及び第4級アンモニウム塩であるカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0090】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤、及びアミンオキサイド型両性界面活性剤が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤としては、2-ラウリル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2-ミリスチル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾリウムベタイン;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン;ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油ヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン及びラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等の脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
アミンオキサイド型両性活性剤としては、オクチルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド等のアルキルジメチルアミンオキサイドが挙げられる。
【0091】
本発明の処理液中に含まれる全界面活性剤中、(a)成分と(b)成分の合計含有量の割合は、洗浄性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、そして、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは100質量%以下、95質量%以下、90質量%以下であってよい。本発明の界面活性剤の全量は、本発明の処理液中の(a)成分、(b)成分及び(x)成分の合計の含有量であってよい。
【0092】
本発明の処理液は、任意に有機溶剤、pH調整剤、香料、抗菌剤、漂白剤、漂白活性化剤、消泡剤、香料カプセル、酵素、ポリマー、シリコーンなどを含んでよい。pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミンなどのアルカリ剤や、クエン酸などの酸剤を用いることができる。
【0093】
[繊維製品の処理方法]
本発明は、下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の処理方法であって、前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、繊維製品の処理方法を提供する。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【0094】
本発明の繊維製品の処理方法では、上記本発明の処理液で述べた(a)成分及び(b)成分等を好ましく用いることができ、各成分の好ましい含有量(濃度)や含有量の割合なども本発明の処理液と同じである。
本発明の繊維製品の処理方法では、上記の本発明の処理液を好ましく用いることができる。すなわち、本発明の繊維製品の処理方法は、上記の本発明の処理液で繊維製品を処理し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の処理方法であってよい。
本発明の繊維製品の処理方法では、上記本発明の処理液と繊維製品を接触させる処理であってよい。
また、本発明の繊維製品の処理方法は、(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た洗浄液で繊維製品を洗浄し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であって、前記洗浄液が、前記要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、繊維製品の洗浄方法であってよい。
【0095】
すなわち、本発明は、下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を洗浄し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であって、前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、繊維製品の洗浄方法を提供する。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【0096】
本発明の繊維製品の処理方法は、例えば、家庭用の洗濯機や業務用の洗濯機を用いて実施することができる。その際の条件は、通常行われる温度、洗浄時間、すすぎ回数、浴比、pHなどを採用することができる。
本発明の繊維製品の処理方法は、系中に皮脂などの油汚れや泥などの粒子汚れがある場合であっても、これらの汚れに対する洗浄性を維持し、且つ、処理液の抑泡性を維持できる。
【0097】
抑泡性の観点から、硬度成分を含有する水の温度は、0℃以上が好ましく、より好ましくは5℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。同様の観点から、処理液の温度が、当該範囲を満たすことが好ましい。
【0098】
抑泡性及び洗浄性の観点から、繊維製品の処理時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、そして、好ましくは30分以下である。
【0099】
抑泡性及び界面活性剤残留性の観点から、繊維製品の処理後に任意に行う、繊維製品をすすぐ回数は、好ましくは1回以上、そして、好ましくは5回以下である。
【0100】
洗浄性の観点から、繊維製品の処理に使用する処理液の浴比は、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは5以上、そして、抑泡性の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下である。
【0101】
本発明の繊維製品の処理方法において、処理に使用する処理液は、pHが1~14の範囲で、洗浄性の効果を妨げることなく抑泡性を維持できる。
【0102】
本発明の繊維製品の処理方法は、各種繊維、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、を含む繊維製品を対象とすることができる。例えば、繊維は、布の繊維であってよい。
【0103】
本発明の繊維製品の処理方法は、例えば、衣類などの繊維製品の洗濯工程に取り込んで実施することができる。ここで、洗濯工程は、繊維製品の洗浄、すすぎ及び脱水を行う処理であってよい。本発明では、これらの洗濯工程のいずれかで、本発明の処理液を、(a)成分と(b)が所定の要件を満たすように、繊維製品に対して適用することができる。
【0104】
繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
【0105】
抑泡性の観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。繊維中の木綿繊維の含有量は、抑泡性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
本発明において繊維製品とは、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ、マスク等の製品を意味する。抑泡性の観点から、繊維製品は木綿繊維を含む繊維製品であることが好ましい。繊維製品中の木綿繊維の含有量の好ましい態様は、前記繊維中の木綿繊維の含有量と同様である。
【0106】
[起泡性低減方法]
本発明は、下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理する際に、前記処理液の起泡性を低減する、起泡性低減方法であって、(a)成分及び(b)成分を、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすように用いる、起泡性低減方法を提供する。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【0107】
本発明の起泡性低減方法では、上記本発明の処理液で述べた(a)成分及び(b)成分等を好ましく用いることができ、各成分の好ましい含有量(濃度)や含有量の割合なども本発明の処理液と同じである。本発明の起泡性低減方法では、上記の本発明の処理液を好ましく用いることができる。
本発明の起泡性低減方法において、繊維製品の処理は、上記本発明の処理液と繊維製品とを接触させることであってよい。また、上記本発明の処理液と繊維製品とを接触させた後に、繊維製品を水ですすいでもよい。
本発明の起泡性低減方法では、上記本発明の処理液と繊維製品を接触させる際に、処理液の起泡性を低減する方法であってよい。
【0108】
<処理剤>
本発明の処理液は、(a)成分及び(b)成分を含む処理剤を、硬度成分を含有する水と混合してなる処理液であってよい。
【0109】
本発明の処理剤は、(a)成分及び(b)成分を含有する。また、前記処理剤は、任意に(x)成分を含有できる。処理剤における(a)成分、(b)成分及び(x)成分の好ましい態様は、上記本発明の処理液で述べた態様と同じである。
【0110】
本発明の処理剤は、(a)成分を、抑泡性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下含有する。
【0111】
本発明の処理剤は、(b)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、品質安定性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下含有する。
【0112】
本発明の処理剤中、(a)成分と(b)成分の合計濃度は、洗浄性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、そして、安定性の観点から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
【0113】
本発明の処理剤中、(a)成分と(b)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b)]は、抑泡性の観点から、好ましくは0質量%を超え、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、そして、洗浄性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
【0114】
本発明の処理剤が(b1)成分を含む場合、処理剤中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]は、抑泡性の観点から、0質量%超え、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、そして、洗浄性の観点から、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。これらの割合は、要件(1)に適用できる。
【0115】
本発明の処理剤が(b2)成分を含む場合、処理剤中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]は、抑泡性の観点から、0質量%超え、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、そして、洗浄性の観点から、45質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。これらの割合は、要件(2)に適用できる。
【0116】
本発明の処理剤が(b1)成分と(b2)成分を含む場合、処理剤中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]と、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]の、少なくとも一方が上記範囲を満たしていればよい。
【0117】
本発明の処理剤が(b1)成分と(b2)成分を含む場合、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]と、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]の両方が、上記範囲を満たすことが好ましい。
【0118】
本発明の処理剤が(x)成分を含有する場合、該処理剤中、(x)成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0119】
本発明の処理剤中に含まれる全界面活性剤中、(a)成分と(b)成分の合計含有量の割合は、洗浄性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、そして、洗浄性及び抑泡性の観点から、好ましくは100質量%以下、95質量%以下、90質量%以下であってよい。本発明の界面活性剤の全量は、組成物中の(a)成分、(b)成分及び(x)成分の合計の含有量であってよい。
【0120】
本発明の処理剤は、任意に有機溶剤、pH調整剤、香料、抗菌剤、漂白剤、漂白活性化剤、消泡剤、香料カプセル、酵素、ポリマー、シリコーン等を含んでよい。pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミンなどのアルカリ剤や、クエン酸などの酸剤を用いることができる。
【0121】
上述した実施の形態に加え、本発明は以下の態様を開示する。
<1>
下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の処理方法であって、
前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、
繊維製品の処理方法。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【0122】
<2>
前記(a)成分の炭化水素基は、分岐鎖を含む、<1>に記載の繊維製品の処理方法。
【0123】
<3>
前記(a)成分の炭化水素基の合計炭素数が20以上である、<1>又は<2>に記載の繊維製品の処理方法。
【0124】
<4>
(a)成分が、下記一般式(a1)で表される化合物である、<1>~<3>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【化2】
〔式中、R
1、R
2は、それぞれ、分岐鎖を有する炭素数5以上18以下の炭化水素基であり、A
1O、A
2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基であり、x1、x2は、平均付加モル数であり、それぞれ、0以上10以下の数であり、Mは陽イオンである。〕
【0125】
<5>
一般式(a1)中、R1、R2の炭化水素基が、アルキル基又はアルケニル基である、<4>に記載の繊維製品の処理方法。
【0126】
<6>
一般式(a1)中、R1、R2の炭化水素基の炭素数が、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である、<4>又は<5>に記載の繊維製品の処理方法。
【0127】
<7>
一般式(a1)中、R1、R2の分岐鎖の炭化水素基の側鎖の炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下であり、
一般式(a1)中、R1、R2が、好ましくは炭素数8以上12以下の分岐鎖アルキル基、より好ましくは炭素数10以上12以下の分岐鎖アルキル基、更に好ましくは炭素数10の分岐鎖アルキル基である、<4>~<6>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0128】
<8>
一般式(a1)中、R1、R2の分岐鎖アルキル基が、好ましくは2-エチルヘキシル基及び2-プロピルヘプチル基から選ばれる基であり、より好ましくは2-プロピルヘプチル基である、<4>~<7>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0129】
<9>
一般式(a1)中、A1O、A2Oは、それぞれ、炭素数2以上4以下、好ましくは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基であり、
一般式(a1)中、x1、x2は、A1O、A2Oの平均付加モル数を表し、それぞれ、0以上10以下、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2以下の数であり、より更に好ましくは0である、<4>~<8>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0130】
<10>
一般式(a1)中、Mは、好ましくはアルカリ金属イオン、アルカノールアンモニウムイオンであり、より好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオンであり、更に好ましくはナトリウムイオンである、<4>~<9>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0131】
<11>
(b1)成分が、アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)である、更に下記一般式(b1-1)で示される化合物(b1-1)〔以下、(b1-1)成分という〕、下記一般式(b1-2)で示される化合物(b1-2)〔以下、(b1-2)成分という〕、下記一般式(b1-3)で示される化合物(b1-3)〔以下、(b1-3)成分という〕、及び炭素数14以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩〔以下、(b1-4)成分という〕から選ばれる1種以上の化合物である、<1>~<10>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
R1b-O-[(PO)m(EO)n]-SO3M (b1-1)
〔式(b1-1)中、R1bは炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、酸素原子と結合する炭素原子が第1炭素原子であり、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、EOとPOはブロック型結合又はランダム型結合であり、POとEOの結合順序は問わず、m及びnはPO及びEOの平均付加モル数であって、mは0以上5以下、かつnは0以上16以下であり、そしてMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
R2b-B-SO3M (b1-2)
〔式(b1-2)中、R2bは炭素数9以上21以下のアルキル基を示し、Bはベンゼン環を示し、Bの炭素原子と結合するR2bの炭素原子が第2級炭素原子であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。Bに結合するR2bに対して、スルホン酸基はオルト位、メタ位又はパラ位に結合している。〕
R3b-CH(SO3M)COOR4b (b1-3)
〔式(b1-3)中、R3bは炭素数6以上20以下のアルキル基を示し、R4bは炭素数1以上6以下のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
【0132】
<12>
一般式(b1-1)中、R1bは、直鎖アルキル基であり、炭素数が、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である、<11>に記載の繊維製品の処理方法。
【0133】
<13>
一般式(b1-1)中、mは、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であり、
一般式(b1-1)中、nは、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である、<11>又は<12>に記載の繊維製品の処理方法。
【0134】
<14>
一般式(b1-1)中、R1bが炭素数12以上14以下のアルキル基、mが0以上4以下、nが1以上4以下、Mがナトリウムである、<11>~<13>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0135】
<15>
一般式(b1-2)中、R2bは、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である、<11>~<14>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0136】
<16>
一般式(b1-2)中、R2bが炭素数11以上14以下のアルキル基、Mがナトリウムである、<11>~<15>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0137】
<17>
一般式(b1-3)中、R3bは、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下のアルキル基である、<11>~<16>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0138】
<18>
一般式(b1-3)中、R4bは、炭素数1以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下のアルキル基である、<11>~<17>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0139】
<19>
一般式(b1-3)中、R3bが炭素数11以上14以下のアルキル基、R4bが炭素数1以上5以下のアルキル基、Mがナトリウムである、<11>~<18>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0140】
<20>
一般式(b1-1)~(b1-3)中、Mは、好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムであり、更に好ましくはナトリウムである、<11>~<19>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0141】
<21>
(b1-4)成分の炭素数が、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である、<11>~<20>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0142】
<22>
(b2)成分が、下記一般式(b2)で表されるノニオン界面活性剤である、<1>~<21>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
R5b-(CO)mO-(AO)n-R6b (b2)
〔式中、R5bは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R6bは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。nは平均付加モル数であって、1以上70以下の数である。〕
【0143】
<23>
一般式(b2)中、R5bの炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である、<22>に記載の繊維製品の処理方法。
【0144】
<24>
一般式(b2)中、mは、好ましくは1、より好ましくは0である、<22>又は<23>に記載の繊維製品の処理方法。
【0145】
<25>
一般式(b2)中、nは平均付加モル数であり、好ましくは1以上であり、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、そして、70以下、好ましくは50以下、より好ましくは25以下である、<22>~<24>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0146】
<26>
一般式(b2)中、エチレンオキシ基(以下EO基という場合がある)の平均付加モル数が、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは70以下、より好ましくは50以下であり、更に好ましくは25以下である、<22>~<25>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0147】
<27>
一般式(b2)中、プロピレンオキシ基(以下PO基という場合がある)の平均付加モル数が、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である、<22>~<26>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0148】
<28>
(b2)成分が、一般式(b2)中、R5b-Oに対して、EOPOEOの順、又はPOEOの順のブロック結合であり、そしてアルキル基の炭素数が、好ましくは12以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12の直鎖1級又は2級アルコール由来である、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテルである、<22>~<27>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0149】
<29>
硬度成分を含有する水は、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含む、<1>~<28>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0150】
<30>
処理液中、(a)成分の濃度は、好ましくは1ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、そして、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、より更に好ましくは500ppm以下、より更に好ましくは250ppm以下、より更に好ましくは100ppm以下である、<1>~<29>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0151】
<31>
処理液中、(b)成分の濃度は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは50ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、より更に好ましくは150ppm以上、そして、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは250ppm以下である、<1>~<30>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0152】
<32>
処理液中、(a)成分と(b)成分の合計濃度は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは6ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、より更に好ましくは100ppm以上、より更に好ましくは200ppm以上、そして、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、更に好ましくは2000ppm以下、より更に好ましくは1000ppm以下、より更に好ましくは500ppm以下、より更に好ましくは250ppm以下である、<1>~<31>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0153】
<33>
処理液中、(a)成分と(b)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b)]は、好ましくは0質量%超え、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である、<1>~<32>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0154】
<34>
処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b1)]は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である、<1>~<33>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0155】
<35>
処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合(a)/[(a)+(b2)]は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である、<1>~<34>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0156】
<36>
処理液中、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩の合計濃度は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは25ppm以下である、<1>~<35>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0157】
<37>
処理液が、硬度成分以外の無機塩由来の金属イオンを含む場合、処理液中、金属イオンの合計濃度は、好ましくは1ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、より更に好ましくは25ppm以上、そして、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは500ppm未満、より更に好ましくは250ppm以下、より更に好ましくは150ppm以下、より更に好ましくは50ppm以下である、<1>~<36>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0158】
<38>
処理液は、無機塩由来、更には無機アルカリ金属塩由来、更にはアルカリ金属塩化物由来の金属イオンの濃度が、好ましくは1ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、より更に好ましくは25ppm以上、そして、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは500ppm未満、より更に好ましくは250ppm以下、より更に好ましくは150ppm以下、より更に好ましくは50ppm以下である、<1>~<37>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0159】
<39>
処理液中、該処理液に含まれる金属イオンに対する硬度成分由来の金属イオンの割合は、好ましくは0質量%超え、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは75%質量以上、より更に好ましくは100質量%未満である、<1>~<38>の何れかに記載の繊維製品の処理方法。
【0160】
<40>
下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を洗浄し、その後、該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法であって、
前記処理液は、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす、
繊維製品の洗浄方法。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【0161】
<41>
下記の(a)成分、(b)成分及び硬度成分を含有する水を混合して得た処理液(ただし、炭素数が14以上16以下のジカルボン酸及びその塩を合計で100ppm以上含まない)で繊維製品を処理する際に前記処理液の起泡性を低減する、起泡性低減方法であって、
(a)成分及び(b)成分を、下記の要件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすように用いる、
起泡性低減方法。
(a)成分:炭素数が5以上18以下の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル又はその塩
(b)成分:下記の(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上の界面活性剤
(b1)成分:アニオン界面活性剤(ただし、(a)成分は除く)
(b2)成分:脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤
要件(1):前記処理液中、(a)成分と(b1)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え50質量%以下
要件(2):前記処理液中、(a)成分と(b2)成分の合計含有量に対する(a)成分の含有量の割合が0質量%超え45質量%以下
【実施例】
【0162】
処理液の調製には、以下の(a)成分及び(b)成分を用いた。
<(a)成分>
(a-1)ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム
(a-2)ジ-2-プロピルヘプチルスルホコハク酸ナトリウム
【0163】
<(b)成分>
(b1)成分
(b1-1-1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エマール20C、花王株式会社製)
(b1-1-2)アルキル基がラウリルアルコール由来であって、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が2、エチレンオキシ基の平均付加モル数が2である(ポリオキシプロピレン)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩
(b1-2-1)アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル組成:C10/C11/C12/C13=11/29/34/26(質量比)、化合物全体の質量平均炭素数=17.75)
(b1-4-1)下記の製造例で得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸カリウム塩。
(b1-4-2)炭素数18の内部オレフィンスルホン酸カリウム塩。当該C18IOS中のオレフィン体(オレフィンスルホン酸カリウム)/ヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸カリウム)の質量比は16/84である。当該C18IOS中のHAS体のスルホン酸基の位置分布の質量比は以下の通りである。1位/2位/3位/4位/5位/6~9位=1.5/22.1/17.2/21.8/13.5/23.9である。また、(IO-1S)/(IO-2S)=1.6(質量比)である。
【0164】
<C16IOSの製造例>
C16IOSは、炭素数16の内部オレフィンを用いて、特開2014-76988号の製造例に記載の方法を参考にして得た。得られたC16IOSの内部オレフィンスルホン酸カリウム塩中のオレフィン体(オレフィンスルホン酸カリウム)/ヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸カリウム)の質量比は17/83である。C16IOS中のヒドロキシ体のスルホン酸基の位置分布の質量割合は、1位/2位/3位/4位/5位/6位/7位/8位=2.3%/23.6%/18.9%/17.5%/13.7%/11.2%/6.4%/6.4%(合計100質量%)であった。また、(IO-1S)/(IO-2S)≒1.6(質量比)である。
【0165】
(b2)成分
(b2-1)ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル、炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシエチレン基(10)が結合している。括弧内の数字は、オキシエチレン基の平均付加モル数である。
(b2-2)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル、炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシエチレン基(9)、ポリオキシプロピレン基(2)、ポリオキシエチレン基(9)の順に結合している。括弧内の数字は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の平均付加モル数である。
(b2-3)ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル、炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシプロピレン基(3.7)、ポリオキシエチレン基(16.5)の順に結合している。括弧内の数字は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の平均付加モル数である。
(b2-4)脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸の炭素数16以上18以下、エチレンオキシ基の平均付加モル数が15の脂肪酸メチルエステルエトキシレート。
【0166】
(その他成分)
・2-デシルスクシネート(炭素数14のジカルボン酸)、商品名「2-decylsuccinicacid」 Sigma-Aldrich製
【0167】
[実施例1、2及び比較例1、2]
<濃厚界面活性剤の調製>
まず、(a)成分と(b)成分を含む濃厚界面活性剤(以下、界面活性剤という)を、以下の方法で調製した。界面活性剤中、(a)成分及び(b)成分の含有比率は、表1~3に記載の比率とした。界面活性剤は、当該界面活性剤の1000倍希釈時の(a)成分及び(b)成分の濃度が表1~3に記載の濃度となるように調製した。
200mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。次に20℃のイオン交換水20g、表1~3に記載の割合で(a)成分、(b)成分をこの順で投入し、ビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。内容物が入ったビーカーをマグネチックスターラーに設置した60℃のウォーターバスに入れ、ウォーターバス内の水の温度が60±2℃の温度範囲内で、100r/minで30分間撹拌した。その後25℃に調整し、pHをアルカリ剤(モノエタノールアミン)又は酸剤(クエン酸)によりpH7に調整した。次に、ウォーターバス内の水を、5℃の水道水に替え、ビーカー内の該組成物の温度が20℃になるまで冷却した後、さらにその他成分を投入し、10分間攪拌した。次に、サランラップ(登録商標)を外し、内容物の質量が200gになるように、イオン交換水を入れ、再度、100r/minで5分間撹拌し、界面活性剤を得た。
【0168】
〔pHの測定方法〕
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入した。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用した。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。測定対象となるサンプル((a)成分及び(b)成分を含む組成物)を25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定した。
【0169】
<硬度水の調製方法>
(1)硬度水(Ca/Mg=8:2(質量比))の調製
ドイツ硬度150°DHに相当する量の塩化カルシウム・2水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)、塩化マグネシウム・6水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)をカルシウムイオン/マグネシウムイオン比率(モル比)が8/2になるように計量し、計量した化合物を20℃のイオン交換水に溶解して濃厚原液を調製した。この濃厚原液をイオン交換水で100倍希釈し、5℃に温度調節したものを硬度水とした。
【0170】
<水のドイツ硬度の測定方法>
ドイツ硬度の測定は、以下の方法で行った。
〔試薬〕
・0.01mol/L EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/L水溶液(滴定用溶液、0.01MEDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔硬度の測定方法〕
まず、試料となる水20mLをホールピペットでコニカルビーカーに採取し、硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加した。更に、UniversalBT指示薬を0.5mL添加し、添加後の溶液が赤紫色であることを確認した。
コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/L EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とした。EDTA・2Na溶液の滴定量T(mL)より、試料中の全硬度を下記の算出式で求めた。
硬度(°DH)=(T×0.01×F×56.0774×100)/A
T:0.01mol/L EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/L EDTA・2Na溶液のファクター
【0171】
<洗浄力性能の評価方法>
(1)モデル皮脂人工汚染布の調製
下記組成のモデル皮脂人工汚染液を布に付着させてモデル皮脂人工汚染布を作製した。モデル皮脂人工汚染液の布への付着は、グラビアロールコーターを用いて人工汚染液を布に印刷することで行った。モデル皮脂人工汚染液を布に付着させモデル皮脂人工汚染布を作製する工程は、グラビアロールのセル容量58cm3/m2、塗布速度1.0m/min、乾燥温度100℃、乾燥時間1minで行った。布は木綿2003(谷頭商店製)を使用した。
*モデル皮脂人工汚染液の組成:ラウリン酸0.4質量%、ミリスチン酸3.1質量%、ペンタデカン酸2.3質量%、パルミチン酸6.2質量%、ヘプタデカン酸0.4質量%、ステアリン酸1.6質量%、オレイン酸7.8質量%、トリオレイン13.0質量%、パルミチン酸n-ヘキサデシル2.2質量%、スクアレン6.5質量%、卵白レシチン液晶物1.9質量%、鹿沼赤土8.1質量%、カーボンブラック0.01質量%、水残部(合計100質量%)
【0172】
(2)洗浄性能の評価方法
上記で作製したモデル皮脂人工汚染布(6cm×6cm)5枚を、ターゴトメータ(Ueshima,MS-8212)にて、85rpmで10分間洗浄した。洗浄条件は、何れも、上記方法で調製された界面活性剤が0.1質量%になるように、表1~3の濃度でCa2+イオン、Mg2+イオンを含む硬度水を混合した処理液を用い、水温は20℃で洗浄を行った。洗浄後、市水(3.5°DH、20℃)で3分間すすいだ。前記硬度水は、塩化カルシウム・2水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)及び塩化マグネシウム・6水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)をイオン交換水に溶解させて調製した。
汚染前の原布、及び洗浄前後の550nmにおける反射率を、測色色差計(日本電色株式会社製、Z-300A)にて測定し、洗浄率(%)を下記の方法にて算出した。汚染布5枚で算出された洗浄率の平均値を表1~3に示した。洗浄率が、高いほどより洗浄性能に優れるといえる。
洗浄率(%)=100×[(洗浄後の反射率-洗浄前の反射率)/(原布の反射率-洗浄前の反射率)]
【0173】
<抑泡性の評価方法>
(1)抑泡性の評価
上記硬度水の調製方法で調製した各硬度水50mLをスクリュー管(No.8)に入れ、これに上記界面活性剤の調製方法で調製した界面活性剤を0.05g測りとり、滴下した。その後、スクリュー管に蓋をして振とう機(STRONGSHAKER SR-2DW、TAITEC製)で300rpmにて3分間振とうし、振とう後30秒の泡高さ(cm)をものさしにより測定した。
抑泡性は、表1では比較例1-5、表2、3では比較例2-1の泡高さを基準として抑泡性能を下記式により算出した。算出された抑泡性能の値が1.0未満であり、値が低いほど、抑泡性に優れた処理液といえる。抑泡性に優れた処理液は、すすぎ性に優れた組成物ともいえる。また、算出された抑泡性能の値が0超であれば、生じる泡を適度に維持しているといえる。
抑泡性能=(実施例又は比較例の処理液の泡高さ(cm))/(基準の処理液の泡高さ(cm))
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
[実施例3、4及び比較例3、4]
<濃厚界面活性剤の調製>
実施例1、2と同様の方法で、(a)成分と(b)成分を含む濃厚界面活性剤(以下、界面活性剤という)を調製した。界面活性剤中、(a)成分と(b)成分の含有量の比率は、表4、5に示す比率とした。
【0178】
<硬度水の調製方法>
(1)各種イオンを含む硬度水の調製方法
表4、5に示すイオン種を含む硬度水を以下の方法で調製した。各イオンにおいてドイツ硬度150°DHのカルシウム水のイオン強度に相当する量の塩化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)、塩化カリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)、塩化マグネシウム・6水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)を計量し、イオン交換水で溶解し、これを各イオンにおける濃厚原液として調製した。この濃厚原液をイオン交換水で100倍希釈し、5℃に温度調節したものを硬度水とした。
【0179】
<抑泡性の評価方法>
(1)抑泡性の評価
上記硬度水の調製方法で調製した各硬度水50mLをスクリュー管(No.8)に入れ、これに上記界面活性剤の調製方法で調製した界面活性剤を0.05g測りとり、滴下した。その後、スクリュー管に蓋をして振とう機(STRONG SHAKER SR-2DW、TAITEC製)で300rpmにて3分間振とうし、振とう後30秒の泡高さ(cm)をものさしにより測定した。
抑泡性は、表4では比較例3-1、表5では比較例4-1の泡高さを基準として抑泡性能を上記の抑泡性能を算出する式により算出した。算出された抑泡性能の値が1.0未満であり、値が低いほど、抑泡性に優れた処理液といえる。抑泡性に優れた処理液は、すすぎ性に優れた組成物ともいえる。
【0180】
【0181】