(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】無線受信装置およびフレーム同期タイミング生成方法
(51)【国際特許分類】
H04L 7/04 20060101AFI20241111BHJP
H04L 27/227 20060101ALI20241111BHJP
H04L 27/38 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04L7/04 200
H04L27/227 100
H04L27/38
(21)【出願番号】P 2023101442
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 賢晃
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-008869(JP,A)
【文献】特開2011-055443(JP,A)
【文献】特開平07-162399(JP,A)
【文献】特開平09-289499(JP,A)
【文献】特開2001-156762(JP,A)
【文献】特開平10-051437(JP,A)
【文献】特開平10-163949(JP,A)
【文献】米国特許第06400734(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/04
H04L 27/227
H04L 27/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号の先頭にプリアンブル信号と既知信号とが付加されてバースト送信されたデータフレームを受信し、受信信号を出力する受信手段と、
前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出することにより、前記データフレームの到来を検出するバースト検出手段と、
前記既知信号を用いて前記受信信号から前記データフレームと同期するためのフレーム同期タイミングを生成するフレーム同期手段と、を備え、
前記フレーム同期手段は、
前記受信信号に所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行なって出力する遅延調整手段と、
前記バースト検出手段が前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出したタイミングを基準として、前記データフレームのフレームフォーマットに基づいて、遅延調整が行なわれていない前記受信信号に対する前記フレーム同期タイミングの探索区間を設定する探索区間設定手段と、
前記受信信号と、予め記憶された前記既知信号との相関値を算出する相関値算出手段と、
前記探索区間内の前記相関値の最大値を探索する最大値探索手段と、
前記探索区間が終了するタイミングと、前記相関値が最大となったタイミングと、前記遅延調整量とに基づいて、前記フレーム同期タイミングを算出する同期タイミング算出手段と、
を備える、
ことを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記探索区間設定手段は、前記バースト検出手段が前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出したときに出力するバースト検出パルスを基準として、前記プリアンブル信号のシンボル数と、前記既知信号のシンボル数とを加算した区間を前記探索区間として設定する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記同期タイミング算出手段は、前記遅延調整量と、前記相関値が最大となってから前記探索区間が終了するまでのシンボル数との差分シンボル数を求め、前記探索区間が終了するタイミングから前記差分シンボル数後のタイミングを前記フレーム同期タイミングとする、
ことを特徴とする請求項
1または
2に記載の無線受信装置。
【請求項4】
前記プリアンブル信号が交番信号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記受信信号に直交検波処理を施して位相が相互に直交する同相成分のベースバンド信号と直交成分のベースバンド信号とを生成する直交検波部を備え、
前記交番信号は、前記直交検波処理を経て、前記交番信号の中心周波数に対して正方向のスペクトラムと負方向のスペクトラムとを有し、
前記バースト検出手段は、
前記交番信号の
前記正方向のスペクトラムと前記負方向のスペクトラムのうちの一方のスペクトラム
(以下、「交番信号の一方のスペクトラム」という)の周波数が前記交番信号の中心周波数と一致するように前記受信信号の周波数をシフトして周波数シフト信号を生成する周波数シフト手段と、
前記周波数シフト信号から前記交番信号の一方のスペクトラムを抽出する第1の信号抽出手段と、
前記周波数シフト信号から抽出した前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力を算出してその平均値を求める電力算出手段と、
前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力の平均値と、電力閾値とを比較し、前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力の平均値が前記電力閾値よりも大きい場合に、前記交番信号を検出したと判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項
4に記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記受信信号に直交検波処理を施して位相が相互に直交する同相成分のベースバンド信号と直交成分のベースバンド信号とを生成する直交検波部を備え、
前記交番信号は、前記直交検波処理を経て、前記交番信号の中心周波数に対して正方向のスペクトラムと負方向のスペクトラムとを有し、
前記バースト検出手段は、
前記交番信号の
前記正方向のスペクトラムと前記負方向のスペクトラムのうちの一方のスペクトラム
(以下、「交番信号の一方のスペクトラム」という)の周波数が前記交番信号の中心周波数に対して正方向の第1周波数となるように前記受信信号の周波数をシフトして第1の周波数シフト信号を生成する第1の周波数シフト手段と、
前記第1の周波数シフト信号から前記交番信号の一方のスペクトラムを抽出する第1の信号抽出手段と、
前記第1の周波数シフト信号から抽出した前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力である第1の信号電力を算出してその平均値を求める第1の電力算出手段と、
前記交番信号の一方のスペクトラムの周波数が前記交番信号の中心周波数に対して負方向の第1周波数となるように前記受信信号の周波数をシフトして第2の周波数シフト信号を生成する第2の周波数シフト手段と、
前記第1の信号抽出手段と同じ信号抽出特性を有し、前記第2の周波数シフト信号から前記交番信号の一方のスペクトラムを抽出する第2の信号抽出手段と、
前記第2の周波数シフト信号から抽出した前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力である第2の信号電力を算出してその平均値を求める第2の電力算出手段と、
前記第1の信号電力の平均値と、前記第2の信号電力の平均値とを比較し、いずれか大きいほうを出力する電力比較手段と、
前記電力比較手段から出力された信号電力の平均値と、電力閾値とを比較し、前記信号
電力の平均値が前記電力閾値よりも大きい場合に、前記交番信号を検出したと判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項
4に記載の無線受信装置。
【請求項7】
前記バースト検出手段は、前記受信信号の振幅を正規化する正規化手段を備える、
ことを特徴とする請求項
5または
6に記載の無線受信装置。
【請求項8】
前記バースト検出手段は、
前記交番信号の一方のスペクトラムの周波数が前記第1の信号抽出手段の信号抽出特性の範囲内に入らないように前記受信信号の周波数をシフトして第3の周波数シフト信号を生成する第3の周波数シフト手段と、
前記第1の信号抽出手段と同じ信号抽出特性を有し、前記第3の周波数シフト信号から雑音信号を抽出する第3の信号抽出手段と、
前記雑音信号の信号電力を算出してその平均値を求める第3の電力算出手段と、
前記雑音信号の信号電力の平均値に基づいて前記電力閾値を算出する電力閾値算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項
7に記載の無線受信装置。
【請求項9】
データ信号の先頭にプリアンブル信号と既知信号とが付加されてバースト送信されたデータフレームを受信し、受信信号を出力するステップと、
前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出することにより、前記データフレームの到来を検出するステップと、
前記既知信号を用いて前記受信信号から前記データフレームと同期するためのフレーム同期タイミングを生成するステップと、を備え、
前記フレーム同期タイミングを生成するステップは、
前記受信信号に所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行なって出力し、
前記バースト検出手段が前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出したタイミングを基準として、前記データフレームのフレームフォーマットに基づいて、遅延調整が行なわれていない前記受信信号に対する前記フレーム同期タイミングの探索区間を設定し、
前記受信信号と、予め記憶された前記既知信号との相関値を算出し、
前記探索区間内の前記相関値の最大値を探索し、
前記探索区間が終了するタイミングと、前記相関値が最大となったタイミングと、前記遅延調整量とに基づいて、前記フレーム同期タイミングを算出する、
ことを特徴とするフレーム同期タイミング生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースト送信されたデータフレームを検出してフレーム同期タイミングを生成する無線受信装置およびフレーム同期タイミング生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TDM(Time Division Multiplexing)通信などで用いられるバースト通信では、不連続な信号が不定期に送信(以下、バースト送信ともいう)されるため、無線受信装置は信号をいつ受信するか分からない。そのため、バースト通信を行なう無線受信装置では、バースト送信された信号を受信し、その受信信号からプリアンブル信号を検出することにより、受信信号に含まれるデータフレームの到来を検出するバースト検出を行なっている。
【0003】
一方、無線受信装置では、受信したデータフレームに対してフレーム同期処理を行なっている。フレーム同期とは、受信信号からデータフレームのフレームフォーマットを構成する各区間の信号を抽出するために、既知信号を用いて任意の区間のタイミング(フレーム同期タイミング)を生成する処理である。
【0004】
従来のフレーム同期処理では、
図27のフレーム同期回路100において示すように、データフレームを含む受信信号と、予め設定された既知信号との相関値を相関値算出部101により算出する。データフレームには、プリアンブル信号とともに既知信号が付加されている。次いで、算出した相関値と、予め設定された閾値とを閾値比較部102により比較し、相関値が閾値以上である場合には、フレーム同期タイミングを生成する(例えば、特許文献1参照)。また、低CNR(Career-to-Noise Ratio)の受信信号からのフレーム同期確率を向上させるため、前方保護段数および後方保護段数が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バースト通信では、1つの無線受信装置に対して複数の無線送信装置からバースト信号が送信されることがあり、受信したバースト信号ごとにバースト送信を行なった相手局が異なることがある。そのため、バースト通信では、1つのバースト信号でフレーム同期タイミングを生成する必要があり、前方保護段数および後方保護段数を設けることはできない。バースト通信において、低CNRの受信信号からのフレーム同期確率を確保するには、データフレームに付加される既知信号を長くすればよいが、スループットが低下するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、バースト通信のスループットを低下させることなくフレーム同期タイミングの生成が可能な無線受信装置およびフレーム同期タイミング生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、正しいフレーム同期タイミングの相関値と、正しくないフレーム同期タイミングの相関値との関係は、受信信号のCNRが低くなった場合でも変化せず、正しいフレーム同期タイミングの相関値が正しくないフレーム同期タイミングの相関値よりも大きくなる場合が多くなることに気がついた。そこで、上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、データ信号の先頭にプリアンブル信号と既知信号とが付加されてバースト送信されたデータフレームを受信し、受信信号を出力する受信手段と、前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出することにより、前記データフレームの到来を検出するバースト検出手段と、前記既知信号を用いて前記受信信号から前記データフレームと同期するためのフレーム同期タイミングを生成するフレーム同期手段と、を備え、前記フレーム同期手段は、前記受信信号に所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行なって出力する
遅延調整手段と、前記バースト検出手段が前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出したタイミングを基準として、前記データフレームのフレームフォーマットに基づいて、遅延調整が行なわれていない前記受信信号に対する前記フレーム同期タイミングの探索区間を設定する探索区間設定手段と、前記受信信号と、予め記憶された前記既知信号との相関値を算出する相関値算出手段と、前記探索区間内の前記相関値の最大値を探索する最大値探索手段と、前記探索区間が終了するタイミングと、前記相関値が最大となったタイミングと、前記遅延調整量とに基づいて、前記フレーム同期タイミングを算出する同期タイミング算出手段と、を備える、ことを特徴とする無線受信装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線受信装置において、前記探索区間設定手段は、前記バースト検出手段が前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出したときに出力するバースト検出パルスを基準として、前記プリアンブル信号のシンボル数と、前記既知信号のシンボル数とを加算した区間を前記探索区間として設定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の無線受信装置において、前記同期タイミング算出手段は、前記遅延調整量と、前記相関値が最大となってから前記探索区間が終了するまでのシンボル数との差分シンボル数を求め、前記探索区間が終了するタイミングから前記差分シンボル数後のタイミングを前記フレーム同期タイミングとする、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の無線受信装置において、前記プリアンブル信号が交番信号である、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の無線受信装置において、前記受信信号に直交検波処理を施して位相が相互に直交する同相成分のベースバンド信号と直交成分のベー
スバンド信号とを生成する直交検波部を備え、前記交番信号は、前記直交検波処理を経て、前記交番信号の中心周波数に対して正方向のスペクトラムと負方向のスペクトラムとを有し、前記バースト検出手段は、前記交番信号の前記正方向のスペクトラムと前記負方向のスペクトラムのうちの一方のスペクトラム(以下、「交番信号の一方のスペクトラム」という)の周波数が前記交番信号の中心周波数と一致するように前記受信信号の周波数をシフトして周波数シフト信号を生成する周波数シフト手段と、前記周波数シフト信号から前記交番信号の一方のスペクトラムを抽出する第1の信号抽出手段と、前記周波数シフト信号から抽出した前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力を算出してその平均値を求める電力算出手段と、前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力の平均値と、電力閾値とを比較し、前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力の平均値が前記電力閾値よりも大きい場合に、前記交番信号を検出したと判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の無線受信装置において、前記受信信号に直交検波処理を施して位相が相互に直交する同相成分のベースバンド信号と直交成分のベースバンド信号とを生成する直交検波部を備え、前記交番信号は、前記直交検波処理を経て、前記交番信号の中心周波数に対して正方向のスペクトラムと負方向のスペクトラムとを有し、前記バースト検出手段は、前記交番信号の前記正方向のスペクトラムと前記負方向のスペクトラムのうちの一方のスペクトラム(以下、「交番信号の一方のスペクトラム」という)の周波数が前記交番信号の中心周波数に対して正方向の第1周波数となるように前記受信信号の周波数をシフトして第1の周波数シフト信号を生成する第1の周波数シフト手段と、前記第1の周波数シフト信号から前記交番信号の一方のスペクトラムを抽出する第1の信号抽出手段と、前記第1の周波数シフト信号から抽出した前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力である第1の信号電力を算出してその平均値を求める第1の電力算出手段と、前記交番信号の一方のスペクトラムの周波数が前記交番信号の中心周波数に対して負方向の第1周波数となるように前記受信信号の周波数をシフトして第2の周波数シフト信号を生成する第2の周波数シフト手段と、前記第1の信号抽出手段と同じ信号抽出特性を有し、前記第2の周波数シフト信号から前記交番信号の一方のスペクトラムを抽出する第2の信号抽出手段と、前記第2の周波数シフト信号から抽出した前記交番信号の一方のスペクトラムの信号電力である第2の信号電力を算出してその平均値を求める第2の電力算出手段と、前記第1の信号電力の平均値と、前記第2の信号電力の平均値とを比較し、いずれか大きいほうを出力する電力比較手段と、前記電力比較手段から出力された信号電力の平均値と、電力閾値とを比較し、前記信号電力の平均値が前記電力閾値よりも大きい場合に、前記交番信号を検出したと判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の無線受信装置において、前記バースト検出手段は、前記受信信号の振幅を正規化する正規化手段を備える、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の無線受信装置において、前記バースト検出手段は、前記交番信号の一方のスペクトラムの周波数が前記第1の信号抽出手段の信号抽出特性の範囲内に入らないようにシフトして第3の周波数シフト信号を生成する第3の周波数シフト手段と、前記第1の信号抽出手段と同じ信号抽出特性を有し、前記第3の周波数シフト信号から雑音信号を抽出する第3の信号抽出手段と、前記雑音信号の信号電力を算出してその平均値を求める第3の電力算出手段と、前記雑音信号の信号電力の平均値に基づいて前記電力閾値を算出する電力閾値算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、データ信号の先頭にプリアンブル信号と既知信号とが付加されてバースト送信されたデータフレームを受信し、受信信号を出力するステップと、前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出することにより、前記データフレームの到来を検出するステップと、前記既知信号を用いて前記受信信号から前記データフレームと同期するためのフレーム同期タイミングを生成するステップと、を備え、前記フレーム同期タイミングを生成するステップは、前記受信信号に所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行なって出力し、前記バースト検出手段が前記受信信号から前記プリアンブル信号を検出したタイミングを基準として、前記データフレームのフレームフォーマットに基づいて、遅延調整が行なわれていない前記受信信号に対する前記フレーム同期タイミングの探索区間を設定し、前記受信信号と、予め記憶された前記既知信号との相関値を算出し、前記探索区間内の前記相関値の最大値を探索し、前記探索区間が終了するタイミングと、前記相関値が最大となったタイミングと、前記遅延調整量とに基づいて、前記フレーム同期タイミングを算出する、ことを特徴とするフレーム同期タイミング生成方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1および9に記載の発明によれば、受信信号と、予め記憶された既知信号との相関値を算出し、相関値の最大値を探索し、相関値の最大値に基づいてフレーム同期タイミングを算出するので、受信信号のCNRが低下して相関値のバラツキが大きくなった場合でもフレームの同期確率を向上することが可能である。また、従来技術のように、低CNRの受信信号に対応して既知信号を長くする必要がないので、バースト通信のスループットの低下を抑制することが可能である。
【0019】
請求項1および9に記載の発明によれば、受信信号に対してフレーム同期タイミングの
探索区間を設定し、探索区間の受信信号と既知信号との相関値の最大値に基づいてフレーム同期タイミングを算出するので、フレーム同期タイミングの算出にかかる時間が長くなるのを抑制することが可能である。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、バースト信号の検出を示すバースト検出パルスを基準として、プリアンブル信号のシンボル数と、既知信号のシンボル数とを加算した区間を探索区間として設定するので、フレーム同期タイミングの算出にかかる時間が長くなるのを抑制することが可能である。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、受信信号の遅延調整量と、相関値が最大となってから探索区間が終了するまでのシンボル数との差分シンボル数を求め、探索区間が終了するタイミングから差分シンボル数後のタイミングをフレーム同期タイミングとして算出するので、フレーム同期タイミングの算出にかかる時間が長くなるのを抑制することが可能である。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、データフレームにバースト検出用のCW信号を付加する必要がなくなるため、データフレームのスループットを向上させることが可能である。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、交番信号の一方のスペクトラムの周波数が交番信号の中心周波数と一致するように受信信号の周波数をシフトして周波数シフト信号を生成し、周波数シフト信号から交番信号の一方のスペクトラムを抽出するので、受信信号から一対のスペクトラムを有する交番信号を精度よく検出することが可能である。
【0024】
また、請求項6に記載の発明によれば、受信信号の周波数をシフトして2種類の周波数シフト信号を生成し、この2種類の周波数シフト信号それぞれについて信号抽出手段によ
り交番信号の一方のスペクトラムを抽出することにより、信号抽出手段の帯域幅を狭くすることができる。そのため、周波数オフセット耐性を従来と同等に維持したまま、雑音耐性を向上させることが可能である。
【0025】
さらに、請求項7に記載の発明によれば、受信信号の周波数をシフトする前に受信信号の振幅を正規化するので、受信信号の信号レベルが低い場合に従来行なわれていたAGCによるレベル調整が不要となるので、検出遅延を抑制してバースト通信のスループットを向上させることが可能である。
【0026】
また、請求項8に記載の発明によれば、所望のSNR(Signal-to-Noise Ratio)を満たすために必要な電力閾値を雑音電力から算出してバースト検出に用いるので、バースト信号を受信していないときに受信信号の振幅が正規化されてもSNRは低いままなので、誤検出を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す無線通信装置の送信部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図1に示す無線通信装置の受信系の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】(A)は従来のデータフレームのフレーム構成を示し、(B)は従来のバースト検出部の概略構成を示し、(C)は従来のバースト検出を示す説明図である。
【
図5】(A)は本実施の形態のデータフレームのフレーム構成を示し、(B)は
図3に示すバースト検出部の概略構成を示し、(C)は交番信号を利用したバースト検出を示す説明図である。
【
図6】
図3に示すフレーム同期部の概略構成を示すブロック図である。
【
図7】
図6に示すフレーム同期部によるフレーム同期タイミングの算出状態を示すタイミングチャートである。
【
図8】
図24に示す従来のフレーム同期部のシミュレーション系を示すブロック図である。
【
図9】
図8および
図11に示すフレーム同期部のシミュレーション系で用いられる設定値を示す表である。
【
図10】
図8に示すシミュレーション系で求められた相関値とCDFとの関係を示すグラフである。
【
図11】
図6に示すフレーム同期部のシミュレーション系を示すブロック図である。
【
図12】
図6に示すシミュレーション系で求められた相関差とCDFとの関係を示すグラフである。
【
図13】
図5(B)に示すバースト検出部によるバースト検出の手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図6に示すフレーム同期部によるフレーム同期タイミングの算出手順を示すフローチャートである。
【
図15】この発明の実施の形態2に係るバースト検出部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図16】
図15に示す周波数シフト部により周波数がシフトされた交番信号の周波数スペクトラムを示す図である。
【
図17】
図15に示すバースト検出部によるバースト検出の手順を示すフローチャートである。
【
図18】この発明の実施の形態3に係るバースト検出部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図19】
図18に示す周波数シフト部により周波数がシフトされた交番信号の周波数スペクトラムを示す図である。
【
図20】
図18に示すバースト検出部によるバースト検出の手順を示すフローチャートである。
【
図21】この発明の実施の形態4に係るバースト検出部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図22】
図21に示す正規化部により正規化された交番信号を用いたバースト検出を示す説明図である。
【
図23】
図21に示すバースト検出部によるバースト検出の手順を示すフローチャートである。
【
図24】この発明の実施の形態5に係るバースト検出部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図25】
図24に示す周波数シフト部により周波数がシフトされた交番信号の周波数スペクトラムを示す図である。
【
図26】
図24に示すバースト検出部によるバースト検出の手順を示すフローチャートである。
【
図27】従来のフレーム同期部の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、以下では、この発明の特徴的な構成について説明し、無線通信を行う際の従来と同様の仕組みについては説明を省略する。
【0029】
図1は、この発明の実施の形態に係る無線通信装置(無線受信装置)2を用いた無線通信システム1の概略構成を示す図である。無線通信システム1を構成する無線通信の送受信局のそれぞれに、無線通信装置2およびアンテナ3が配置される。無線通信装置2同士は、アンテナ3を介して無線回線4によって相互に接続される。なお、無線回線4には、通信衛星などが中継局として用いられる場合がある。
【0030】
まず、この実施の形態において、本発明に係る無線受信装置に相当する無線通信装置2の概略構成を説明する。
【0031】
無線通信装置2は、インターフェース部5と、送信部6と、分波器7と、受信部8と、を備える(
図1の下側参照)。
【0032】
ここで、無線通信装置2は、送信用の機序と受信用の機序とを備えて送受信を行う装置であるところ、以下の説明では、送信用の機序を用いて送信に纏わる処理を行う場合の無線通信装置2のことを「送信側」と称し、受信用の機序を用いて受信に纏わる処理を行う場合の無線通信装置2のことを「受信側」と称する。
【0033】
インターフェース部5は、主として、データ回線終端装置51(データ通信装置やデータ回線装置と呼ばれる機器を含む)を備える。インターフェース部5は、通信対象の伝送データの入力を受け、この伝送データを、データ回線終端装置51を介して、送信部6へと出力する。
【0034】
送信部6は、インターフェース部5から出力される伝送データの入力を受け、伝送データをマッピング処理したデータ信号と、クロック誤差の補正に用いられる交番信号とを結合してデータフレームを生成し、さらに、データフレームに所定の周波数の搬送波信号を重畳させてデジタル変調する。なお、無線通信システム1において用いられる変調方式は、特定の方式に限定されるものではないものの、例えば直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)が用いられる。
【0035】
送信部6は、デジタル変調されたデータフレームをアナログ信号に変換した上で、所定周波数よりも高周波の高周波信号に周波数変換し、パワーアンプで増幅した上で送信信号として出力する。送信信号は、送信部6から分波器7を介してアンテナ3へと導かれ、アンテナ3から無線回線4を介して他方の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置2のアンテナ3へと、電波としてバースト送信される。
【0036】
また、他方の(言い換えると、この通信では送信側になる)無線通信装置2のアンテナ3から無線回線4を介して送信信号が当該の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置2のアンテナ3へと電波としてバースト送信されると、アンテナ3は、受信した電波を電気信号(受信信号)へと変換して出力する。
【0037】
アンテナ3から出力される受信信号は、分波器7を介して受信部8へと導かれる。受信部8は、受信信号の入力を受け、受信信号を、所定の周波数帯域の信号のみを通過させるチャンネルフィルタを通過させた上で、前記高周波よりも低い周波数の信号に変換する。受信部8は、さらに、周波数変換した受信信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0038】
受信部8は、デジタルの受信信号に対して直交検波処理(復調)を施して位相が相互に直交する同相成分(Ich)のベースバンド信号と直交成分(Qch)のベースバンド信号とを生成する。なお、以降の説明では同相成分と直交成分との各々別々に着目する必要がある場合を除いて同相成分と直交成分とを特に区別することなくどちらにも共通する内容として説明し、また、図面では同相成分の信号と直交成分の信号とを1つの信号線で表す。
【0039】
受信部8は、復調されたベースバンド信号に基づいてバースト検出を行なう。このバースト検出によりデータフレームの到来が検出されると、受信したデータフレームに周波数オフセット補正、クロック誤差の補正、フレーム同期処理、位相補正などを施す。そして、受信部8は、各種補正および処理が施されたデータフレームからデータ信号を抽出し、データ信号にデマッピング処理を施して伝送データを生成し、インターフェース部5へと出力する。
【0040】
図2は、送信部6の概略構成を示す機能ブロック図である。送信部6は、FIFOメモリ61と、マッピング部62と、交番信号生成部63と、既知信号生成部64と、結合部
65と、送信ROF66と、直交変調部67と、DAC(Digital Analog Converter)68と、混合器69と、局部発振器610と、パワーアンプ611と、を備える。
【0041】
FIFOメモリ61は、インターフェース部5から出力された伝送データを一時的に記憶してマッピング部62へ出力するメモリであり、いわゆる、先入れ先出し法により伝送データをマッピング部62へ転送する。
【0042】
マッピング部62は、伝送データのバイナリデータ列に対し、所定の信号点配置になるようにマッピング処理を施してシンボル列からなるデータ信号を生成して結合部65へ出力する。交番信号生成部63は、クロック誤差の補正に用いられる交番信号(「1」と「0」の交番パターン)を生成して結合部65へ出力する。交番信号は、本発明のプリアンブル信号に相当する。既知信号生成部64は、フレーム同期に用いられる既知パターンの信号を生成して結合部65へ出力する。
【0043】
結合部65は、マッピング部62から入力されたデータ信号の先頭に交番信号生成部63から入力された交番信号と、既知信号生成部64から入力された既知信号とを結合してデータフレームDF(
図5(A)参照)を生成し、送信ROF66へ出力する。送信ROF66は、ロールオフフィルタの機能を備え、結合部65から入力されたデータフレームDFに帯域制限処理を施して直交変調部67へ出力する。
【0044】
直交変調部67は、送信ROF66から入力されたデータフレームDFに所定の周波数の搬送波信号を重畳させてデジタル変調してDAC68へ出力する。なお、直交変調部67において用いられる変調方式は、特定の方式に限定されるものではないものの、例えば直交振幅変調が用いられる。
【0045】
DAC68は、直交変調部67から入力されたデータフレームDFをアナログ信号の送信信号に変換して混合器69へ出力する。局部発振器610は、所定の固定周波数を持つ局部発振信号を生成し、生成した局部発振信号を混合器69へ出力する。混合器69は、DAC68から入力された送信信号に局部発振信号を混合して所定の周波数よりも高周波の信号に変換する。
【0046】
パワーアンプ611は、混合器69にて周波数変換された送信信号を増幅してアンテナ3へ出力する。アンテナ3は、パワーアンプ611にて増幅された送信信号を他方の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置2のアンテナ3へと、電波として送信する。なお、図示してはいないが、パワーアンプ611とアンテナ3との間には分波器7が接続されている。
【0047】
図5(A)に示すように、本実施の形態の送信部6は、交番信号と、既知信号と、データ信号とからなるデータフレームDFを送信する。交番信号は、クロック誤差の補正だけでなく、バースト検出にも用いられる。従来のバースト通信では、バースト検出用に無変調のCW信号を交番信号の先頭に付加していたが、本実施の形態では交番信号を利用してバースト検出を行なうのでCW信号が不要となり、その分だけスループットが向上する。
【0048】
図3は、受信部8の概略構成を示す機能ブロック図である。受信部8は、チャンネルフィルタ81と、混合器82と、局部発振器83と、可変ATT(attenuator)84と、ADC(Analog Digital Converter)85と、直交検波部86と、バースト検出部87と、タイミング制御部88と、AFC(Automatic frequency control)89と、受信ROF810と、シンボル再生部811と、APC(Automatic Phase Control)812と、分離部813と、デマッピング部814と、AGC815と、DAC816と、フレーム同期部(フレーム同期手段)817と、を備える。
【0049】
アンテナ3は、受信した電波を電気信号(受信信号)へと変換してチャンネルフィルタ81へ出力する。アンテナ3とチャンネルフィルタ81との間には分波器7が接続されている。チャンネルフィルタ81は、アンテナ3から入力された受信信号のうち所定の周波数帯域を通過させて混合器82へ出力する。局部発振器83は、所定の固定周波数を持つ局部発振信号を生成し、生成した局部発振信号を混合器82へ出力する。混合器82は、チャンネルフィルタ81から入力された受信信号に局部発振信号を混合して所定の周波数よりも低い周波数の信号に変換し、可変ATT84へ出力する。
【0050】
可変ATT84は、減衰器を含み、混合器82から出力された受信信号を、外部からの信号に応じて減衰量を調整して減衰させてADC85へ出力する。可変ATT84における減衰量は、DAC816を介して供給されるAGC815の制御信号に基づいて変化する。
【0051】
ADC85は、可変ATT84から入力された受信信号をデジタル信号に変換する。直交検波部86は、受信信号に直交検波処理を施して位相が相互に直交する同相成分(Ich)のベースバンド信号と直交成分(Qch)のベースバンド信号とを生成する。
【0052】
バースト検出部87は、直交検波部86から入力されたベースバンド信号からバースト検出を行なう。バースト検出部87は、バースト検出によりデータフレームDFの到来を検出した場合には、バースト検出パルスをタイミング制御部88およびフレーム同期部817へ出力する。バースト検出パルスが入力されたタイミング制御部88は、フレーム同期部817にて算出されたフレーム同期タイミングと、バースト検出パルスとに基づいて、各モジュールに対しデータフレームDFに対する処理を行なわせるためのイネーブル信号を出力する。
【0053】
AFC89は、タイミング制御部88からのイネーブル信号に応じて、ベースバンド信号のデータフレームDFに周波数オフセット補正を行なって受信ROF810へ出力する。受信ROF810は、ロールオフフィルタの機能を備え、AFC89から入力されたベースバンド信号に帯域制限処理を施してシンボル再生部811へ出力する。
【0054】
シンボル再生部811は、受信ROF810から入力されたベースバンド信号のデータフレームDFに含まれる交番信号を用いてクロック誤差を補正し、フレーム同期部817へ出力する。
【0055】
フレーム同期部817は、シンボル再生部811から入力されたベースバンド信号のデータフレームDFに所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行なってAPC812へ出力する。また、遅延調整の時間を利用して、フレーム同期タイミングを算出し、タイミング制御部88へ出力する。
【0056】
APC812は、フレーム同期部817から入力されたベースバンド信号のデータフレームDFに位相補正を行い分離部813へ出力する。
【0057】
分離部813は、データフレームDFからデータ信号を分離してデマッピング部814へ出力する。デマッピング部814は、分離部813から入力されたシンボル列データからなる信号(同相成分と直交成分とのそれぞれ)に対してデマッピング処理(復号処理)を施し、シンボル列データをバイナリデータ列の伝送データに変換してインターフェース部5へ出力する。
【0058】
ここで、本実施の形態に係るバースト検出部87の詳細について説明する前に、従来の
バースト検出について説明する。従来のバースト通信に用いられるデータフレームDFは、
図4(A)に示すように、プリアンブル信号として、交番信号の前に無変調のCW信号が付加されていた。
【0059】
図4(B)に示すように、従来のバースト検出回路200では、LPF(Low-pass filter)201により、データフレームを受信して出力された受信信号からCW信号を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部202によりCW信号の信号電力を算出し、平均化部203により信号電力の平均値を求める。判定部204は、
図4(C)に示すように、信号電力の平均値と、予め設定された電力閾値とを比較し、CW信号の信号電力の平均値が電力閾値よりも大きいときにデータフレームの到来を検出する(例えば、特開2000-134274号公報参照)。
【0060】
しかしながら、従来のバースト通信では、バースト検出のために付加したCW信号によりデータ量が増大し、スループットが低下するという問題があった。そこで、本実施の形態では、データフレームDFに対するCW信号の付加を省略し、交番信号を利用してバースト検出を行なうようにしている。
【0061】
図5(A)は、本実施の形態に係るデータフレームDFのフレームフォーマットを示し、プリアンブル信号として交番信号のみが付加されている。同図(B)は、本実施の形態に係るバースト検出部87の概略構成を示す機能ブロック図である。バースト検出部87は、LPF872と、電力算出部873と、平均化部874と、判定部875と、を備える。
【0062】
LPF872は、受信信号から交番信号を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部873へ出力する。電力算出部873は、LPF872から入力された受信信号の信号電力を算出し、算出した信号電力を平均化部874へ出力する。平均化部874は、電力算出部873により算出された信号電力の平均値を求め、判定部875へ出力する。
【0063】
判定部875は、平均化部874から入力された信号電力の平均値と、予め設定された電力閾値とを比較して検出結果を出力する。バースト検出部87は、判定部875の検出結果が、
図5(C)に示すように、信号電力の平均値が電力閾値よりも大きいと判定された場合には、バースト検出パルスをタイミング制御部88およびフレーム同期部817へ出力する。なお、電力閾値は、所望のSNRが得られるような値が予め設定されて図示しないメモリなどに記憶され、判定部875へ出力される。
【0064】
図6は、本実施の形態に係るフレーム同期部817の概略構成を示す機能ブロック図である。フレーム同期部817は、遅延調整部(遅延調整手段)8171と、探索区間設定部(探索区間設定手段)8172と、相関値算出部(相関値算出手段)8173と、最大値探索部(最大値探索手段)8174と、同期タイミング算出部(同期タイミング算出手段)8175と、を備える。
【0065】
遅延調整部8171は、シンボル再生部811から入力された受信信号に所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行い、APC812へ出力する。フレーム同期部817は、遅延調整部8171により生じる遅延調整の時間を利用してフレーム同期タイミングを算出する。
【0066】
探索区間設定部8172は、バースト検出部87が受信信号からプリアンブル信号(本実施の形態では交番信号)を検出したタイミングを基準とし、データフレームDFのフレームフォーマットに基づいて、遅延調整が行なわれていない受信信号に対するフレーム同期タイミングの探索区間を設定する。より具体的には、バースト検出部87が受信信号か
らプリアンブル信号を検出したときに出力するバースト検出パルスを基準として、プリアンブル信号のシンボル数と、既知信号のシンボル数とを加算した区間を探索区間として設定する。
【0067】
相関値算出部8173は、探索区間の受信信号と、図示しないメモリなどに予め記憶された既知信号とのシンボルごとの相関値を算出する。相関値の算出には、以下に示す数式1が用いられる。なお、下記数式1では、受信信号と既知信号の相関をそのまま算出しているが、受信信号と既知信号それぞれの遅延検波結果で相関を求めてもよい。
R(n):相関値
M:既知信号の長さ
x(n):受信信号
p(n):既知信号
【0068】
【0069】
最大値探索部8174は、探索区間に算出された相関値同士を比較し、相関値の最大値を探索する。受信信号のCNRが低くなると、受信信号と既知信号の相関値のバラツキが大きくなり、フレーム誤同期などが発生する。そのため、従来技術では、既知信号を長くしてフレーム同期確率を確保していた。
【0070】
これに対し、本出願人は、正しいフレーム同期タイミングの相関値と、正しくないフレーム同期タイミングの相関値との関係は、受信信号のCNRが低くなった場合でも変化せず、正しいフレーム同期タイミングの相関値が正しくないフレーム同期タイミングの相関値よりも大きくなる場合が多くなることに気がついた。そこで、本実施の形態では、探索区間に算出された相関値同士を比較し、相関値の最大値を求めている。
【0071】
同期タイミング算出部8175は、探索区間が終了するタイミングと、相関値が最大となったタイミングと、遅延調整量とに基づいて、フレーム同期タイミングを算出する。より具体的には、遅延調整量と、相関値が最大となってから探索区間が終了するまでのシンボル数との差分シンボル数を求め、探索区間が終了するタイミングから差分シンボル数後のタイミングをフレーム同期タイミングとする。同期タイミング算出部8175は、算出したフレーム同期タイミングをタイミング制御部88へ出力する。
【0072】
図7は、上述したフレーム同期部817によりフレーム同期タイミングを算出した際のタイミングチャートの一例を示している。なお、この図に示す例では、プリアンブル信号のシンボル数が500シンボル、既知信号のシンボル数が57シンボル、データ信号のシンボル数が5000シンボルとしている。
【0073】
バースト検出部87は、受信信号からプリアンブル信号を検出すると、バースト検出パルスを出力する。バースト検出パルスの出力には、
図7に示すように検出遅延が生じる。
【0074】
遅延調整部8171は、シンボル再生部811から入力された受信信号に所定シンボル数の遅延調整量β(例えば、250シンボル)の遅延調整を行い、APC812へ出力する。
【0075】
探索区間設定部8172は、バースト検出パルスを基準として、プリアンブル信号の5
00シンボルと、既知信号の57シンボルとを加算した557シンボルの区間を探索区間として設定する。
【0076】
相関値算出部8173は、上記の数式1を用いて、探索区間の受信信号と、予め記憶された既知信号とのシンボルごとの相関値を算出する。
【0077】
最大値探索部8174は、探索区間に算出された相関値同士を比較し、相関値の最大値を探索する。
【0078】
同期タイミング算出部8175は、遅延調整量βと、相関値が最大となってから探索区間が終了するまでのシンボル数αとの差分シンボル数(β-α)を求め、探索区間が終了するタイミングから差分シンボル数後のタイミングをフレーム同期タイミングとする。例えば、遅延調整量βが250シンボルで、相関値が最大となってから探索区間が終了するまでのシンボル数αが10シンボルである場合、差分シンボル数(β-α)は240シンボルとなり、探索区間が終了するタイミングから240シンボル後のタイミングがフレーム同期タイミングとなる。なお、遅延調整量βを適切に設定することにより、遅延調整後の受信信号の既知信号の終了タイミングと、フレーム同期タイミングとが一致する。
【0079】
ここで、
図27に示す従来のフレーム同期回路100のフレーム誤同期確率と、本実施の形態のフレーム同期部817のフレーム誤同期確率とをシミュレーション比較した結果について説明する。
【0080】
図8は、
図27に示す従来のフレーム同期回路100のシミュレーション系300を示す。シミュレーション系300は、既知信号生成部301と、データ信号生成部302と、結合部303と、雑音付加部304と、相関値算出部305と、同期タイミング用ラッチ回路306と、非同期タイミング用ラッチ回路307と、を備えている。また、
図9は、シミュレーション系300において用いられる各設定値を示している。
【0081】
既知信号生成部301は、長さが57シンボルで、変調方式がpi/2シフトBPSKの既知信号を生成して出力する。また、データ信号生成部302は、長さが500シンボルで、変調方式がQPSKのデータ信号を生成して出力する。既知信号生成部301と、データ信号生成部302は、交互に信号を出力し続ける。
【0082】
結合部303は、既知信号生成部301から入力された既知信号と、データ信号生成部302から入力されたデータ信号とを結合してデータフレームを生成する。雑音付加部304では、生成されたデータフレームのCNRを設定する。相関値算出部305は、既知信号生成部301で生成された既知信号と、結合部303で生成されたデータフレームとのシンボルごとの相関値を算出し、同期タイミング用ラッチ回路306および非同期タイミング用ラッチ回路307へ出力する。相関値の算出には、例えば、上述した数式1が用いられる。
【0083】
同期タイミング用ラッチ回路306は、相関値算出部305から入力された相関値のうち、同期タイミングにおける相関値を出力する。また、非同期タイミング用ラッチ回路307は、相関値算出部305から入力された相関値のうち、同期タイミング以外における相関値を出力する。
図10に示すグラフは、同期タイミング用ラッチ回路306から出力された相関値と、相関値のCDF(累積分布関数)との関係(フレーム同期漏れ確率)を実線で示し、非同期タイミング用ラッチ回路307から出力された相関値の値と、相関値のCDFとの関係(フレーム誤同期確率)を破線で示している。フレーム同期漏れ確率は、正しいフレーム同期タイミングの相関値が同期しない確率を示し、フレーム誤同期確率は、正しくないフレーム同期タイミングの相関値が同期してしまう確率を示している。
【0084】
図10に示すグラフから分かるとおり、フレーム同期漏れ確率が低減するように閾値を設定するとフレーム誤同期確率が高くなる。また、これとは逆に、フレーム誤同期確率が低減するように閾値を設定するとフレーム同期漏れ確率が高くなる。すなわち、、フレーム同期漏れ確率とフレーム誤同期確率とはトレードオフの関係にある。そのため、従来のフレーム同期回路100では、フレーム同期漏れ確率と、フレーム誤同期確率とを両立するために、両者が交わる値を閾値としていた。
図10に示す例では、閾値は0.355と設定され、その際のフレーム同期漏れ確率およびフレーム誤同期確率はともに約0.8%となる。
【0085】
一方、
図11は、本実施の形態のフレーム同期部817のシミュレーション系400を示す。シミュレーション系400は、既知信号生成部401と、データ信号生成部402と、結合部403と、雑音付加部404と、相関値算出部405と、同期タイミング用ラッチ回路406と、非同期タイミング用ラッチ回路407と、遅延調整部408と、差分回路409と、を備えている。
【0086】
なお、シミュレーション系400の既知信号生成部401、データ信号生成部402、結合部403、雑音付加部404、相関値算出部405、同期タイミング用ラッチ回路406、および非同期タイミング用ラッチ回路407は、上述した従来のシミュレーション系300の既知信号生成部301、データ信号生成部302、結合部303、雑音付加部304、相関値算出部305、同期タイミング用ラッチ回路306、および非同期タイミング用ラッチ回路307と同様の構成であるため、詳しい説明は省略する。
【0087】
シミュレーション系400の遅延調整部408は、同期タイミング用ラッチ回路406から出力される相関値と、非同期タイミング用ラッチ回路407から出力される相関値との差分を差分回路409によって求められるようにするために、同期タイミング用ラッチ回路406から出力される相関値と直近の相関値が非同期タイミング用ラッチ回路407から出力されるようにするため、非同期タイミング用ラッチ回路407から出力される相関値の遅延調整を行なう。
【0088】
図12は、シミュレーション系400を
図9に示す設定値に基づいて動作させ、同期タイミング用ラッチ回路406から出力される相関値と、非同期タイミング用ラッチ回路407から出力される相関値との差と、相関値差に対するCDFの関係を示すグラフである。本実施の形態では、相関値差が0より大きいときフレーム同期に成功し、0以下のときフレーム同期に失敗する。よって、相関値差が0になるときのCDFがフレーム誤同期確率となる。なお、本実施の形態のフレーム同期部817は、相関値が最大となるタイミングを算出するため、バースト検出さえ適切に行なわれれば同期漏れは発生しない。そのため、
図12に示すグラフでは、相関値差に対応したフレーム誤同期確率のみを示している。
【0089】
図12に示すグラフから、本実施形態のフレーム誤同期確率は、0.03%であった。このように、本実施の形態に係るフレーム同期部817を用いることにより、上述した従来のシミュレーション系300のフレーム誤同期確率0.8%よりも格段に小さなフレーム誤同期確率が得ることができ、低CNR時のバースト通信におけるフレーム誤同期確率を改善することが可能である。
【0090】
次に上記の実施の形態におけるバースト検出部87によるバースト検出処理について、
図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0091】
バースト検出部87は、直交検波部86からデータフレームDFの受信信号が入力されると、LPF872により受信信号から交番信号を抽出して雑音を抑圧する(ステップS
1)。
【0092】
バースト検出部87の電力算出部873は、LPF872から入力された交番信号の信号電力を算出し、平均化部874は、電力算出部873から入力された信号電力の平均値を算出する。(ステップS2)。
【0093】
バースト検出部87の判定部875は、平均化部874から入力された信号電力の平均値と、メモリから読み出して入力された電力閾値とを比較し、信号電力の平均値が電力閾値よりも大きい場合に交番信号を検出したと判定し、検出フラグをタイミング制御部88へ出力する(ステップS3)。
【0094】
以上で説明したように、実施の形態に係る無線通信システム1によれば、データフレームDFにCW信号を付加する必要がなくなるため、バースト通信のスループットが向上する。
【0095】
次に上記の実施の形態におけるフレーム同期部817によるフレーム同期処理について、
図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0096】
遅延調整部8171は、シンボル再生部811から入力された受信信号に所定シンボル数の遅延調整量の遅延調整を行い、APC812へ出力する(ステップS51)。
【0097】
探索区間設定部8172は、バースト検出部87によりバースト信号が検出され、バースト検出パルスが入力されると(ステップS52でYES)、入力されたバースト検出パルスを基準として、プリアンブル信号のシンボル数と、既知信号のシンボル数とを加算した区間を探索区間として設定する(ステップS53)。
【0098】
相関値算出部8173は、探索区間の受信信号と、既知信号とのシンボルごとの相関値を算出する(ステップS54)。
【0099】
最大値探索部8174は、探索区間に算出された相関値同士を比較し、相関値の最大値を探索する(ステップS55)。
【0100】
同期タイミング算出部8175は、遅延調整量と、相関値が最大となってから探索区間が終了するまでのシンボル数との差分シンボル数を求め、探索区間が終了するタイミングから差分シンボル数後のタイミングをフレーム同期タイミングとして算出する。同期タイミング算出部8175は、算出したフレーム同期タイミングをタイミング制御部88へ出力する(ステップS56)。
【0101】
以上で説明したように、実施の形態に係る無線通信システム1によれば、受信信号と、予め記憶された既知信号との相関値を算出し、相関値の最大値を探索し、相関値の最大値に基づいてフレーム同期タイミングを算出するので、受信信号のCNRが低下して相関値のバラツキが大きくなった場合でもフレームの同期確率を向上することが可能である。また、従来技術のように、低CNRの受信信号に対応して既知信号を長くする必要がないので、バースト通信のスループットの低下を抑制することが可能である。
【0102】
実施の形態に係る無線通信システム1によれば、受信信号に対してフレーム同期タイミングの探索区間を設定し、探索区間の受信信号と既知信号との相関値の最大値に基づいてフレーム同期タイミングを算出するので、フレーム同期タイミングの算出にかかる時間が長くなるのを抑制することが可能である。
【0103】
実施の形態に係る無線通信システム1によれば、バースト信号の検出を示すバースト検出パルスを基準として、プリアンブル信号のシンボル数と、既知信号のシンボル数とを加算した区間を探索区間として設定するので、フレーム同期タイミングの算出にかかる時間が長くなるのを抑制することが可能である。
【0104】
実施の形態に係る無線通信システム1によれば、受信信号の遅延調整量と、相関値が最大となってから探索区間が終了するまでのシンボル数との差分シンボル数を求め、探索区間が終了するタイミングから差分シンボル数後のタイミングをフレーム同期タイミングとして算出するので、フレーム同期タイミングの算出にかかる時間が長くなるのを抑制することが可能である。
【0105】
上記の実施の形態によれば、バースト検出さえ適切に行なわれればフレーム同期漏れは発生しない。そのため、交番信号を利用したバースト検出がより精度よく行なわれる必要がある。以下では、交番信号を利用したバースト検出の他の例について説明する。なお、上記の実施の形態にて説明したバースト検出を実施の形態1とし、以下では、この実施の形態1とは構成および手法が異なる実施の形態2~5について説明する。
【0106】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るバースト検出部87は、受信信号から一対のスペクトラムを有する交番信号を精度よく検出するために、交番信号の一方のスペクトラムの周波数が交番信号の中心周波数と一致するように受信信号の周波数をシフトして周波数シフト信号を生成し、周波数シフト信号から交番信号の一方のスペクトラムを抽出し、周波数シフト信号から抽出した交番信号の一方のスペクトラムの信号電力を用いてバースト検出を行なう点で実施の形態1と異なる。なお、以下では、実施の形態1に係る無線通信システム1と同一の構成については、同じ符号を用いて詳細な説明は省略する。
【0107】
図15は、実施の形態2に係るバースト検出部87の概略構成を示す機能ブロック図である。バースト検出部87は、周波数シフト部(周波数シフト手段)876と、LPF(第1の信号抽出手段)872と、電力算出部(電力算出手段)873と、平均化部(電力算出手段)874と、判定部(判定手段)875と、を備える。
【0108】
図16(A)は、直交検波部86から出力された受信信号のスペクトラムを示す。受信信号の先頭部分は交番信号であるため、受信信号のスペクトラムには、交番信号の中心周波数fcに対して正方向にfsym/2(fsym:シンボル周波数)のスペクトラムf1が立ち、負方向に-fsym/2のスペクトラムf2が立つ。
【0109】
周波数シフト部876は、
図16(B)に示すように、交番信号の一方のスペクトラム、例えばスペクトラムf1の周波数が交番信号の中心周波数fcと一致するように受信信号の周波数を-fsym/2だけシフトして周波数シフト信号を生成する。
【0110】
LPF872は、
図16(C)に破線で示すようなフィルタ特性(信号抽出特性)を備えており、周波数シフト信号から交番信号のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部873へ出力する。なお、LPF872のフィルタ特性は、受信信号の想定される周波数オフセットが±Δfである場合、通常は周波数オフセットΔfの2倍の帯域幅である2Δfが用いられる。
【0111】
電力算出部873は、LPF872から入力された交番信号のスペクトラムf1の信号電力を算出し、算出した信号電力を平均化部874へ出力する。平均化部874は、電力算出部873により算出された信号電力の平均値を求め、判定部875へ出力する
【0112】
判定部875は、平均化部874から入力された交番信号のスペクトラムf1の信号電力の平均値と、予め設定された電力閾値とを比較し、信号電力の平均値が電力閾値よりも大きい場合に交番信号を検出したと判定する。
【0113】
次に上記の実施の形態2におけるバースト検出部87の作用について、
図17のフローチャートに基づいて説明する。
【0114】
バースト検出部87は、直交検波部86からデータフレームDFの受信信号が入力されると、周波数シフト部876により、交番信号の一方のスペクトラムの周波数が交番信号の中心周波数fcと一致するように受信信号の周波数をシフトして周波数シフト信号を生成する(ステップS5)。
【0115】
バースト検出部87のLPF872は、周波シフト信号から交番信号の一方のスペクトラムを抽出して雑音を抑圧する(ステップS1)。
【0116】
バースト検出部87の電力算出部873は、LPF872から入力された交番信号の一方のスペクトラムの信号電力を算出し、平均化部874は、電力算出部873から入力された信号電力の平均値を算出する。(ステップS2)。
【0117】
バースト検出部87の判定部875は、平均化部874から入力された信号電力の平均値と、メモリから読み出して入力された電力閾値とを比較し、信号電力の平均値が電力閾値よりも大きい場合に交番信号を検出したと判定し、検出フラグをタイミング制御部88へ出力する(ステップS3)。
【0118】
以上で説明したように、実施の形態2に係る無線通信システム1によれば、交番信号の一方のスペクトラムの周波数が交番信号の中心周波数fcと一致するように受信信号の周波数をシフトして周波数シフト信号を生成し、周波数シフト信号から交番信号の一方のスペクトラムを抽出するので、受信信号から一対のスペクトラムを有する交番信号を精度よく検出することが可能である。
【0119】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るバースト検出部87について説明する。本実施の形態3に係るバースト検出部87は、受信信号の周波数をシフトして2種類の周波数シフト信号を生成し、この2種類の周波数シフト信号それぞれについてLPFによる交番信号の抽出を行い、抽出した2種類の交番信号のうち信号電力が大きいほうを電力閾値と比較してバースト検出を行なう点で実施の形態1、2と異なっている。なお、以下では、実施の形態1、2に係るバースト検出部87と同一の構成については、同じ符号を用いて詳細な説明は省略する。
【0120】
実施の形態1のバースト検出部87では、受信信号のCNRが低い場合におけるバースト検出精度の劣化対策として、受信信号をLPFへ入力し雑音を抑圧している。その際に、LPFの帯域幅を狭くするほど雑音への耐性は高くなるが、その一方でLPFの帯域幅を狭くすると許容できる周波数オフセットの大きさが小さくなってしまう。そのため、本実施の形態3のバースト検出では、受信信号の周波数をシフトして2種類の周波数シフト信号を生成し、この2種類の周波数シフト信号それぞれについて帯域幅を狭くしたLPFにより交番信号の抽出を行なうことにより、周波数オフセット耐性を実施の形態2と同等に維持したまま、雑音耐性を向上させることが可能である。
【0121】
図18は、本実施の形態3に係るバースト検出部87の概略構成を示す機能ブロック図である。バースト検出部87は、第1の周波数シフト部(第1の周波数シフト手段)87
6Aと、LPF(第1の信号抽出手段)872Aと、電力算出部(第1の電力算出手段)873Aと、平均化部(第1の電力算出手段)874Aと、第2の周波数シフト部(第2の周波数シフト手段)876Bと、LPF(第2の信号抽出手段)872Bと、電力算出部(第2の電力算出手段)873Bと、平均化部(第2の電力算出手段)874Bと、電力比較部(比較手段)8711と、判定部(判定手段)875と、を備える。
【0122】
図19(A)は、直交検波部86から出力された受信信号のスペクトラムを示す。受信信号の先頭部分は交番信号であるため、受信信号のスペクトラムには、交番信号の中心周波数fcに対して正方向にfsym/2(fsym:シンボル周波数)のスペクトラムf1が立ち、負方向に-fsym/2のスペクトラムf2が立つ。
【0123】
第1の周波数シフト部876Aは、
図19(B)に示すように、交番信号の一方のスペクトラム(例えば、スペクトラムf1)の周波数が交番信号の中心周波数fcに対して正方向のΔf/2(第1周波数)となるように受信信号の周波数をシフトして第1の周波数シフト信号を生成する。すなわち、第1の周波数シフト部876Aは、受信信号を-fsym/2+Δf/2だけシフトする。Δfは、想定される周波数オフセットであり、LPF872AおよびLPF872Bの帯域幅でもある。
【0124】
同様に、第2の周波数シフト部876Bは、
図19(D)に示すように、交番信号の一方のスペクトラム(例えば、スペクトラムf1)の周波数が交番信号の中心周波数fcに対して負方向のΔf/2(第1周波数)となるように受信信号の周波数をシフトして第2の周波数シフト信号を生成する。すなわち、第2の周波数シフト部876Bは、受信信号を-fsym/2-Δf/2だけシフトする。
【0125】
LPF872Aは、
図19(C)に示すように、図中破線で示すフィルタ特性(信号抽出特性)を備えており、第1の周波数シフト信号から交番信号のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部873Aへ出力する。LPF872Aのフィルタ特性は、受信信号の想定される周波数オフセットが±Δfである場合、通常は周波数オフセットΔfの2倍の帯域幅である2Δfが用いられるが、本実施の形態3では、2Δfの半分のΔfが用いられる。
【0126】
LPF872Bは、
図19(E)に示すように、図中破線で示すフィルタ特性(信号抽出特性)を備えており、第2の周波数シフト信号から交番信号のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部873Bへ出力する。LPF872Bのフィルタ特性は、LPF872Aと同じフィルタ特性を備えており、その帯域幅はΔfとなっている。
【0127】
このように、本実施の形態3では、受信信号の周波数をシフトして第1の周波数シフト信号および第2の周波数シフト信号を生成し、この2種類の周波数シフト信号それぞれについてLPFにより交番信号の一方のスペクトラムの抽出を行なうことにより、LPFの帯域幅を従来(実施の形態2)の半分にすることができる。
【0128】
電力算出部873Aは、LPF872Aから入力された第1の周波数シフト信号の信号電力である第1の信号電力を算出し、算出した第1の信号電力を平均化部874Aへ出力する。平均化部874Aは、電力算出部873Aにより算出された第1の信号電力の平均値を求め、電力比較部8711へ出力する。
【0129】
上記と同様に、電力算出部873Bは、LPF872Bから入力された第2の周波数シフト信号の信号電力である第2の信号電力を算出し、算出した第2の信号電力を平均化部874Bへ出力する。平均化部874Bは、電力算出部873Bにより算出された第2の信号電力の平均値を求め、電力比較部8711へ出力する。
【0130】
電力比較部8711は、平均化部874Aから入力された第1の信号電力の平均値と、平均化部874Bから入力された第2の信号電力の平均値とを比較し、大きい方を判定部875へ出力する。すなわち、受信信号の周波数オフセットがマイナス方向のときには、第1の信号電力の平均値が第2の信号電力の平均値よりも大きくなる。また、受信信号の周波数オフセットがプラス方向のときには、第2の信号電力の平均値が第1の信号電力の平均値よりも大きくなる。
【0131】
判定部875は、電力比較部8711から入力された信号電力の平均値と、予め設定された電力閾値とを比較し、
図5(A)に示すように、信号電力の平均値が電力閾値以上であるときに交番信号を検出したと判定する。
【0132】
次に上記の実施の形態3におけるバースト検出部87の作用について、
図20のフローチャートに基づいて説明する。
【0133】
第1の周波数シフト部876Aは、受信信号の周波数を-fsym/2+Δf/2シフトした第1の周波数シフト信号を生成する。同様に、第2の周波数シフト部876Bは、受信信号の周波数を-fsym/2-Δf/2だけシフトした第2の周波数シフト信号を生成する(ステップS6)。
【0134】
バースト検出部87のLPF872Aは、第1の周波数シフト信号から交番信号の一方のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧し、LPF872Bは、第2の周波数シフト信号から交番信号の一方のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧する(ステップS1)。
【0135】
バースト検出部87の電力算出部873Aは、LPF872Aから入力された第1の周波数シフト信号の信号電力である第1の信号電力を算出し、平均化部874Aは、電力算出部873Aから入力された第1の信号電力の平均値を算出する。同様に、電力算出部873Bは、LPF872Bから入力された第2の周波数シフト信号の信号電力である第2の信号電力を算出し、平均化部874Bは、電力算出部873Bから入力された第2の信号電力の平均値を算出する(ステップS2)。
【0136】
電力比較部8711は、平均化部874Aから入力された第1の信号電力の平均値と、平均化部874Bから入力された第2の信号電力の平均値とを比較し、大きい方を判定部875へ出力する(ステップS7)。
【0137】
判定部875は、電力比較部8711から入力された信号電力の平均値と、メモリから読み出して入力された電力閾値とを比較し、信号電力の平均値が電力閾値よりも大きい場合に交番信号を検出したと判定し、検出フラグをタイミング制御部88へ出力する(ステップS3)。
【0138】
以上で説明したように、本実施の形態3に係るバースト検出部87によれば、受信信号の周波数をシフトして第1、第2の周波数シフト信号を生成し、この2種類の周波数シフト信号それぞれについてLPFにより交番信号の一方のスペクトラムの抽出を行なうことにより、LPFの帯域幅を従来の半分にすることができる。そのため、周波数オフセット耐性を実施の形態2と同等に維持したまま、雑音耐性を向上させることが可能である。また、実施の形態1と同様に、データフレームDFにCW信号を付加する必要がなくなるため、バースト通信のスループットが向上する。
【0139】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係るバースト検出部87について説明する。実施の形態4に係る
バースト検出部87は、受信信号の振幅を正規化してから交番信号を検出する点で実施の形態3と異なる。なお、以下では、実施の形態3に係るバースト検出部87と同一の構成については、同じ符号を用いて詳細な説明は省略する。
【0140】
従来のバースト検出では、受信信号の信号電力が定格より低いときには、AGCにより受信信号の信号電力を増幅してからバースト検出を行なっていた。そのため、受信信号の信号電力が定格より低いときには、
図5(C)に示すように、信号電力が電力閾値を超えるまでに時間がかかり、バースト検出に遅延が発生してスループットが低下するという問題があった。本実施の形態4では、受信信号の振幅を正規化することによりバースト検出の遅延を抑制する。
【0141】
図21は、実施の形態4に係る無線通信システム1のバースト検出部87の概略構成を示す機能ブロック図である。バースト検出部87は、第1の周波数シフト部876Aおよび第2の周波数シフト部876Bの手前に正規化部(正規化手段)871が接続されている。
【0142】
正規化部871は、
図22に示すように、受信信号の信号電力の振幅を1に正規化し、振幅を正規化した受信信号を第1の周波数シフト部876Aおよび第2の周波数シフト部876Bへ出力する。また、
図23のフローチャートに示すように、バースト検出部87は、直交検波部86からデータフレームDFの受信信号が入力されると、正規化部871により受信信号の振幅を正規化(ステップS8)してから、第1の周波数シフト部876Aおよび第2の周波数シフト部876Bにより第1、第の周波数シフト信号を生成する(ステップS6)。第1の周波数シフト部876Aおよび第2の周波数シフト部876B以降では、振幅が正規化された受信信号に基づいて交番信号の検出が行なわれる。
【0143】
以上で説明したように、実施の形態4に係るバースト検出部87によれば、受信信号の振幅を正規化するので、AGCによる受信レベルの調整を待たずに電力閾値を超える交番信号を検出することができ、受信信号のレベル調整を待つ間に発生していた検出遅延を抑制してバースト通信のスループットを向上させることが可能である。
【0144】
なお、受信信号の振幅の正規化は、実施の形態1、2にも適用可能である。実施の形態1に適用する場合には、
図5(B)に示すバースト検出部87において、LPF872の手前に正規化部871が接続される。また、
図13に示すフローチャートにおいて、交番信号の注(ステップS1)の前に、受信信号の振幅の正規化(ステップS8)が実行される。同様に、実施の形態2に適用する場合には、
図15に示すバースト検出部87において、周波数シフト部876の手前に正規化部871が接続される。また、
図17に示すフローチャートにおいて、周波数シフト(ステップS6)の前に受信信号の振幅の正規化(ステップS8)が実行される。これによれば、実施の形態1、2においても、受信信号のレベル調整による検出遅延を抑制することが可能である。
【0145】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係るバースト検出部87について説明する。本実施の形態5に係るバースト検出部87は、振幅を正規化した受信信号からバースト検出を行なう際に、雑音電力から電力閾値を算出して用いる点で実施の形態4と異なる。なお、以下では、実施の形態4に係るバースト検出部87と同一の構成については、同じ符号を用いて詳細な説明は省略する。
【0146】
実施の形態4のバースト検出部87では、バースト信号を受信していないときに受信信号の振幅が正規化されて誤検出が発生する可能性がある。そのため、本実施の形態5のバースト検出では、所望のSNRを満たすために必要な電力閾値を雑音電力から算出してバ
ースト検出に用いる。これにより、バースト信号を受信していないときに受信信号の振幅が正規化されてもSNRは低いままなので、誤検出を防ぐことが可能となる。
【0147】
図24は、本実施の形態5に係る無線通信システム1のバースト検出部87の概略構成を示す機能ブロック図である。バースト検出部87は、正規化部(正規化手段)871と、第1の周波数シフト部(第1の周波数シフト手段)876Aと、LPF(第1の信号抽出手段)872Aと、電力算出部(第1の電力算出手段)873Aと、平均化部(第1の電力算出手段)874Aと、第2の周波数シフト部(第2の周波数シフト手段)876Bと、LPF(第2の信号抽出手段)872Bと、電力算出部(第2の電力算出手段)873Bと、平均化部(第2の電力算出手段)874Bと、電力比較部(比較手段)8711と、第3の周波数シフト部(第3の周波数シフト手段)876Cと、LPF(第3の信号抽出手段)872Cと、電力算出部(第3の電力算出手段)873Cと、平均化部(第3の電力算出手段)874Cと、電力閾値算出部(電力閾値算出手段)8710と、判定部(判定手段)875と、を備える。
【0148】
実施の形態4と同様に、正規化部871は、
図22に示すように、受信信号の信号電力の振幅を1に正規化する。
【0149】
図25(A)は、直交検波部86から出力された受信信号のスペクトラムを示す。第1の周波数シフト部876Aは、
図25(B)に示すように、交番信号の一方のスペクトラム(例えば、スペクトラムf1)の周波数が交番信号の中心周波数fcに対して正方向のΔf/2となるように受信信号の周波数をシフトして第1の周波数シフト信号を生成する。同様に、第2の周波数シフト部876Bは、
図25(D)に示すように、交番信号の一方のスペクトラムf1の周波数が交番信号の中心周波数fcに対して負方向のΔf/2となるように受信信号の周波数をシフトして第2の周波数シフト信号を生成する。
【0150】
LPF872Aは、
図25(C)に示すように、図中破線で示すフィルタ特性(信号抽出特性)を備えており、第1の周波数シフト信号から交番信号のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部873Aへ出力する。LPF872Aのフィルタ特性は、受信信号の想定される周波数オフセットが±Δfである場合、通常は周波数オフセットΔfの2倍の帯域幅である2Δfが用いられるが、本実施の形態3では、2Δfの半分のΔfが用いられる。
【0151】
LPF872Bは、
図25(E)に示すように、図中破線で示すフィルタ特性(信号抽出特性)を備えており、第2の周波数シフト信号から交番信号のスペクトラムf1を抽出して雑音を抑圧し、電力算出部873Bへ出力する。LPF872Bのフィルタ特性は、LPF872Aと同じフィルタ特性を備えており、その帯域幅はΔfとなっている。
【0152】
電力算出部873Aは、LPF872Aから入力された第1の周波数シフト信号の信号電力である第1の信号電力を算出し、算出した第1の信号電力を平均化部874Aへ出力する。平均化部874Aは、電力算出部873Aにより算出された第1の信号電力の平均値を求め、電力比較部8711へ出力する。
【0153】
上記と同様に、電力算出部873Bは、LPF872Bから入力された第2の周波数シフト信号の信号電力である第2の信号電力を算出し、算出した第2の信号電力を平均化部874Bへ出力する。平均化部874Bは、電力算出部873Bにより算出された第2の信号電力の平均値を求め、電力比較部8711へ出力する。
【0154】
電力比較部8711は、平均化部874Aから入力された第1の信号電力の平均値と、平均化部874Bから入力された第2の信号電力の平均値とを比較し、大きい方を判定部
875へ出力する。
【0155】
第3の周波数シフト部876Cは、
図25(F)に示すように、振幅が正規化された受信信号をLPF877の帯域幅Δfに入らない周波数、例えば、-fsym/4(fsym:シンボル周波数)にシフトして第3の周波数シフト信号を生成する。LPF872Cは、
図25(G)に破線で示すように、LPF872A、872Bと同じフィルタ特性を有しており、第3の周波数シフト信号から雑音信号を抽出する。
【0156】
電力算出部873Cは、LPF872Cから入力された雑音信号の信号電力を算出し、平均化部874Cは、電力算出部873Cから入力された信号電力の平均値(以下、雑音電力ともいう)を算出する。
【0157】
電力閾値算出部8710は、平均化部874Cから入力された雑音電力に基づいて電力閾値を算出し、判定部875へ出力する。ここで、SNRは、下記式(1)により求められる。したがって、下記式(2)に示すように、雑音電力に目標とするSNR(以下、SNR閾値という)を乗算することにより、SNR閾値を得るために必要な電力閾値が求められる。
SNR=信号電力/雑音電力・・・・・・(1)
電力閾値=SNR閾値×雑音電力・・・・(2)
【0158】
判定部875は、電力比較部8711から入力された信号電力の平均値と、電力閾値算出部8710から入力された電力閾値とを比較し、信号電力の平均値が電力閾値以上である場合に交番信号の一方のスペクトラムf1を検出したと判定し、検出フラグをタイミング制御部88へ出力する。
【0159】
次に上記の実施の形態5におけるバースト検出部87の作用について、
図26のフローチャートに基づいて説明する。
【0160】
本実施の形態5では、実施の形態4と同様にステップS8、S6、S1、S2、S7およびS3の処理を行なう一方、バースト検出部87の第3の周波数シフト部876Cは、振幅が正規化された受信信号がLPF872Cの帯域幅Δfに入らない位置に周波数をシフトして第3の周波数シフト信号を生成する(ステップS9)。LPF872Cは、第3の周波数シフト信号から雑音信号を抽出する(ステップS10)。
【0161】
電力算出部873Cは、LPF872Cから入力された雑音信号の信号電力を算出し、平均化部874Cは、電力算出部873Cから入力された信号電力の平均値(雑音電力)を算出する(ステップS11)。
【0162】
電力閾値算出部8710は、平均化部874Cから入力された雑音電力と、所望のSNR閾値とに基づいて電力閾値を算出し、判定部875へ出力する(ステップS12)。
【0163】
判定部875は、電力比較部8711から入力された信号電力の平均値と、電力閾値算出部8710から入力された電力閾値とを比較し、信号電力の平均値が電力閾値以上である場合に交番信号を検出したと判定し、検出フラグをタイミング制御部88へ出力する(ステップS3)。
【0164】
以上で説明したように、本実施の形態5に係る無線通信システム1によれば、所望のSNRを満たすために必要な電力閾値を雑音電力から算出してバースト検出に用いる。これにより、バースト信号を受信していないときに受信信号の振幅が正規化されてもSNRは低いままなので、誤検出を防ぐことが可能となる。
【0165】
なお、雑音信号から電力閾値を算出してバースト検出を行なう手法は、実施の形態1、2にも適用可能である。実施の形態1に適用する場合には、
図5(A)に示すバースト検出部87において、LPF872の手前に正規化部871を接続し、正規化部871に第3の周波数シフト部876Cと、LPF872Cと、電力算出部873Cと、平均化部874Cと、電力閾値算出部8710とを接続し、電力閾値算出部8710にて算出された電力閾値を判定部875へ出力する。同様に、実施の形態2に適用する場合には、
図15に示すバースト検出部87において、周波数シフト部876の手前に正規化部871を接続し、正規化部871に第3の周波数シフト部876Cと、LPF872Cと、電力算出部873Cと、平均化部874Cと、電力閾値算出部8710とを接続し、電力閾値算出部8710にて算出された電力閾値を判定部875へ出力する。これによれば、実施の形態1、2においても、受信信号の振幅を正規化した場合に発生するご検出を抑制することが可能である。
【0166】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0167】
1 無線通信システム
2 無線通信装置
6 送信部
8 受信部(受信手段)
87 バースト検出部(バースト検出手段)
871 正規化部(正規化手段)
872、872A LPF(第1の信号抽出手段)
872B LPF(第2の信号抽出手段)
872C LPF(第3の信号抽出手段)
873 電力算出部(電力算出手段)
873A 電力算出部(第1の電力算出手段)
873B 電力算出部(第2の電力算出手段)
873C 電力算出部(第3の電力算出手段)
874、874A、874B、874C 平均化部
875 判定部(判定手段)
846、876A 第1の周波数シフト部(第1の周波数シフト手段)
876B 第2の周波数シフト部(第2の周波数シフト手段)
876C 第3の周波数シフト部(第3の周波数シフト手段)
8710 電力閾値算出部(電力閾値算出手段)
8711 電力比較部(電力比較手段)
817 フレーム同期部(フレーム同期手段)
8171 遅延調整部(遅延調整手段)
8172 探索区間設定部(探索区間設定手段)
8173 相関値算出部(相関値算出手段)
8174 最大値探索部(最大値探索手段)
8175 同期タイミング算出部(同期タイミング算出手段)
DF データフレーム
【要約】
【課題】バースト通信のスループットを低下させることなくフレーム同期タイミングの生成が可能な無線受信装置およびフレーム同期タイミング生成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】受信信号からプリアンブル信号を検出したタイミングを基準として、探索区間設定部8172により探索区間を設定し、相関値算出部8173により探索区間の受信信号と既知信号との相関値を算出し、最大値探索部8174により相関値の最大値を探索し、同期タイミング算出部8175により探索区間が終了するタイミングと、相関値が最大となったタイミングと、受信信号の遅延調整量とに基づいて、フレーム同期タイミングを算出する。
【選択図】
図6