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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ブラケット及び冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/16 20110101AFI20241111BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20241111BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
F24F1/16
F24F13/30
F25B39/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018193475
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020060353
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-10-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】矢島 大地
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】馬越 清輝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 崇
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】飯星 潤耶
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/029798(WO,A1)
【文献】特開2018-91549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00-49/04
F28D 1/00-21/00
F28F 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設するパネル状の下部熱交換器と前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットであって、
板状部材であり、前記下部熱交換器の前記載置面上に配置可能な載置部と、
板状部材であり、前記載置部の端部から曲折して上方または下方に延び、前記上部熱交換器または前記下部熱交換器のパネル面に沿うように配置可能な曲折部と、
前記載置部に形成され、上下方向に貫通する載置部開口と、を備え、
前記載置部開口は、前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器に含まれるチューブの延在方向と交差する方向である交差方向の全領域に形成されていて、
前記曲折部は、前記載置部の前記交差方向の一側の端部から上方に曲折して延びる立上部及び前記載置部の前記交差方向の他側の端部から下方に曲折して延びる垂下部を有し、
前記立上部には、前記載置部開口と連続する立上部開口が形成され、
前記垂下部には、前記載置部開口と連続する垂下部開口が形成されているブラケット。
【請求項2】
前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通し所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、
前記曲折部の上下方向の長さは、該曲折部の板面を正面視したときに、前記チューブと重複する長さである請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通し所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、
板状部材であり、前記載置部から該載置部の板面と交差する方向に延び、複数の前記フィンの間に配置可能な係止部を備える請求項1または請求項2に記載のブラケット。
【請求項4】
立設するパネル状の下部熱交換器と前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットであって、
前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通して所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、
板状部材であり、前記下部熱交換器の前記載置面上に配置可能な載置部と、
板状部材であり、前記載置部から該載置部の板面と交差する方向に延び、複数の前記フィンの間に配置可能な係止部と、を備え、
前記係止部は、下方に延びていて、
前記載置面から前記下部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も上方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直下方に配置される前記チューブの上端までの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも長く、
前記上部熱交換器の下端から前記上部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も下方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直上方に配置される前記チューブの下端までの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも短く、
前記係止部の上下方向の長さは、前記係止部の鉛直上方に位置する前記チューブの下端から前記載置部の上面までの長さよりも、長いブラケット。
【請求項5】
前記係止部は、下方に延びていて、
前記載置面から前記下部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も上方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直下方に配置される前記チューブの上端までの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも長い請求項3に記載のブラケット。
【請求項6】
前記上部熱交換器の下端から前記上部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も下方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直上方に配置される前記チューブの下端までの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも短い請求項5に記載のブラケット。
【請求項7】
前記係止部は、前記載置部開口の縁に設けられている請求項3に記載のブラケット。
【請求項8】
前記載置部開口は複数形成されていて、
前記載置部は、隣接する2つの前記載置部開口の間に形成されている補強部を有している請求項1から請求項3のいずれかに記載のブラケット。
【請求項9】
立設するパネル状の下部熱交換器と、
前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器と、
前記下部熱交換器と前記上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、板状部材であり前記下部熱交換器の前記載置面上に配置される載置部と、板状部材であり前記載置部の端部から曲折して上方または下方に延びて前記上部熱交換器または前記下部熱交換器のパネル面に沿うように配置される曲折部と、前記載置部に形成され上下方向に貫通する載置部開口と、を有し、
前記載置部開口は、前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器に含まれるチューブの延在方向と交差する方向である交差方向の全領域に形成されていて、
前記曲折部は、前記載置部の前記交差方向の一側の端部から上方に曲折して延びる立上部及び前記載置部の前記交差方向の他側の端部から下方に曲折して延びる垂下部を有し、
前記立上部には、前記載置部開口と連続する立上部開口が形成され、
前記垂下部には、前記載置部開口と連続する垂下部開口が形成されている冷凍サイクル装置。
【請求項10】
立設するパネル状の下部熱交換器と、
前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器と、
前記下部熱交換器と前記上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットと、を備え、
前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通して所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、
前記ブラケットは、板状部材であり前記下部熱交換器の前記載置面上に配置される載置部と、板状部材であり前記載置部から該載置部の板面と交差する方向に延びて複数の前記フィンの間に配置される係止部と、を有し、
前記係止部は、下方に延びていて、
前記載置面から前記下部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も上方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直下方に配置される前記チューブの上端までの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも長く、
前記上部熱交換器の下端から前記上部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も下方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直上方に配置される前記チューブの下端までの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも短く、
前記係止部の上下方向の長さは、前記係止部の鉛直上方に位置する前記チューブの下端から前記載置部の上面までの長さよりも、長い冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラケット及び冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型の冷凍サイクル装置では、冷凍サイクルの一部を構成する熱交換器も大型となることから、熱交換器を上下方向に複数段重ねて配置させる場合がある。熱交換器を上下方向に2段重ねて配置したものに、例えば特許文献1の空気調和機の室外機がある。
【0003】
特許文献1には、上部熱交換器と下部熱交換器とを上下2段に積み重ねて連結した2段式の熱交換器ユニットを設けた空気調和機の室外機が開示されている。この空気調和機の室外機では、上部熱交換器及び下部熱交換器がコ字状に折り曲げ加工されているとともに、上部熱交換器および下部熱交換器の間に、各熱交換器同士を上下に重ねた状態で相対的な位置がずれないように位置決めする保持部材が設けられている。保持部材は、上部熱交換器の底面と下部熱交換器の上面を受け止めるベース板と、上部熱交換器の側面を支持する第1支持板と、下部熱交換器の側面を支持する第2支持板とを備えている。ベース板には、上部熱交換器で発生したドレン水や筐体内に入り込んだ雨水などの逃がすための逃がし孔が所定間隔をもって多数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-79851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、ドレン水等を逃がすための逃がし孔が、ベース板のみに形成されており、第1支持板及び第2支持板には形成されていない。このような構成では、上部熱交換器で発生したドレン水等が、逃がし孔と第1支持板部および第2支持板部との間に存在するベース板上に滞留する可能性がある。ベース板上にドレン水等が滞留することで、保持部材が腐食する可能性や、滞留したドレン水等が凍結し性能を低下させる可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブラケットにおける腐食の発生または、凍結による性能の低下を抑制することができるブラケット及び冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のブラケット及び冷凍サイクル装置は以下の手段を採用する。
本発明の第1態様に係るブラケットは、立設するパネル状の下部熱交換器と前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットであって、板状部材であり、前記下部熱交換器の前記載置面上に配置可能な載置部と、板状部材であり、前記載置部の端部から曲折して上方または下方に延び、前記上部熱交換器または前記下部熱交換器のパネル面に沿うように配置可能な曲折部と、前記載置部に形成され、上下方向に貫通する載置部開口と、前記曲折部に形成され、前記載置部開口と連続する曲折部開口と、を備える。
【0008】
上部熱交換器では熱交換に伴って凝縮水が発生する場合がある。上部熱交換器で発生した凝縮水は、重力によって落下する。上記構成では、載置部に載置部開口が形成され、曲折部に載置部開口と連続する曲折部開口が形成されている。これにより、上部熱交換器で発生した凝縮水は、落下する際に載置部開口を通過する。また、載置部の曲折部側の端部に落下した凝縮水は、曲折部開口を通過する。したがって、載置部上に凝縮水が滞留し難くすることができる。よって、ブラケットにおける腐食の発生や、凝縮水の凍結による性能の低下を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の第1態様に係るブラケットは、前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通し所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、前記曲折部の上下方向の長さは、該曲折部の板面を正面視したときに、前記チューブと重複する長さであってもよい。
【0010】
上記構成では、曲折部の上下方向の長さが、チューブと重複する長さに設定されている。これにより、ブラケットが下部熱交換器に載置された状態で、ブラケットに対して曲折部の板厚方向の荷重が作用した場合に、フィンだけでなく、フィンを介してチューブによっても荷重を支持することができる。したがって、フィンの損傷を抑制することができる。
【0011】
また、本発明の第1態様に係るブラケットは、前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通し所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、板状部材であり、前記載置部から該載置部の板面と交差する方向に延び、複数の前記フィンの間に配置可能な係止部を備えてもよい。
【0012】
上記構成では、所定の間隔で並んで配置されるフィンの間に配置可能な係止部が備えられている。これにより、係止部がフィンの間に配置されている状態において、ブラケットに対してチューブの延在方向への荷重が作用すると、係止部とフィンとが接触する。したがって、チューブの延在方向へのブラケットの移動が、係止部とフィンとによって規制される。
一方、ブラケットが下部熱交換器と上部熱交換器との間に配置された状態において、曲折部の板厚方向への荷重がブラケットに対して作用すると、上部熱交換器又は下部熱交換器と曲折部とが接触する。したがって、曲折部の板厚方向へのブラケットの移動が、上部熱交換器又は下部熱交換器と曲折部とによって規制される。
【0013】
このように、ブラケットが下部熱交換器と上部熱交換器との間に配置された状態において、ブラケットと下部熱交換器又は上部熱交換器とは、上下方向と交差する方向(すなわち、チューブの延在方向及び曲折部の板厚方向)への相対移動が規制するように係合している。したがって、ブラケットの意図しない移動を抑制することができる。
【0014】
本発明の第2態様に係るブラケットは、立設するパネル状の下部熱交換器と前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットであって、前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通して所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、板状部材であり、前記下部熱交換器の前記載置面上に配置可能な載置部と、板状部材であり、前記載置部から該載置部の板面と交差する方向に延び、複数の前記フィンの間に配置可能な係止部と、を備える。
【0015】
上記構成では、所定の間隔で並んで配置されるフィンの間に配置可能な係止部が備えられている。これにより、係止部がフィンの間に配置されている状態において、ブラケットに対してチューブの延在方向への荷重が作用すると、係止部とフィンとが接触する。したがって、ブラケットのチューブの延在方向への移動が、係止部とフィンとによって規制される。
【0016】
ブラケットが下部熱交換器と上部熱交換器との間に配置された状態において、ブラケットと下部熱交換器又は上部熱交換器とは、チューブの延在方向への相対移動が規制するように係合している。したがって、ブラケットの意図しない移動を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の第1態様及び第2態様に係るブラケットは、前記係止部は、下方に延びていて、前記載置面から前記下部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も上方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直下方に配置される前記チューブまでの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも長くてもよい。
【0018】
上記構成では、係止部が下方に延びているので、係止部とフィンとを係止させた状態で、下部熱交換器の上に上部熱交換器を載置することができる。すなわち、ブラケットと下部熱交換器との相対移動を規制した状態で、下部熱交換器の上に上部熱交換器を載置することができる。したがって、上部熱交換器を載置する際にブラケットの位置がずれることを防止することができる。よって、上部熱交換器と下部熱交換器との連結作業を容易化することができる。
また、載置面から下部熱交換器に設けられるチューブのうち最も上方に配置され、かつ、係止部の鉛直下方に配置されるチューブまでの長さは、係止部の上下方向の長さよりも長くなっている。これにより、係止部とチューブとの干渉を抑制することができる。したがって、係止部及びチューブの損傷を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の第1態様及び第2態様に係るブラケットは、前記上部熱交換器の下端から前記上部熱交換器に設けられる前記チューブのうち最も下方に配置され、かつ、前記係止部の鉛直上方に配置される前記チューブまでの長さは、前記係止部の上下方向の長さよりも短くてもよい。
【0020】
上記構成では、上部熱交換器の下端から上部熱交換器に設けられるチューブのうち最も下方に配置され、かつ、係止部の鉛直上方に配置されるチューブまでの長さは、係止部の上下方向の長さよりも短くなっている。これにより、係止部が上方に延びるように載置面上にブラケットを配置した状態で、下部熱交換器の上に上部熱交換器を載置しようとした場合には、係止部とチューブとが干渉する。このため、ブラケットが上下逆さまに配置されていることに、作業者が気付くことができる。したがって、係止部が上方に延びるように載置面上に配置した状態(すなわち、係止部とフィンとが係合しておらず、ブラケットと下部熱交換器との相対移動が規制されていない状態)のまま、下部熱交換器の上に上部熱交換器を載置する作業を行う事態を抑制することができる。
【0021】
また、本発明の第1態様及び第2態様に係るブラケットは、前記係止部は、前記載置部開口の縁に設けられていてもよい。
【0022】
載置部の外縁に係止部を設けた場合には、ブラケットを一枚の平板から形成する場合に、係止部が載置部から突出することとなり、より大きな平板を要することとなる。一方、上記構成では、係止部が載置部開口の縁に設けられている。これにより、ブラケットを一枚の平板から形成する場合に、係止部が載置部から突出しない。したがって、載置部の外縁に係止部を設けた場合よりも、小さい平板からブラケットを形成することができる。
【0023】
また、本発明の第1態様及び第2態様に係るブラケットは、載置部開口は複数形成されていて、前記載置部は、隣接する2つの前記載置部開口の間に形成されている補強部を有していてもよい。
【0024】
上記構成では、隣接する2つの載置部開口の間に形成されている補強部が設けられている。これにより、載置部に湾曲するような荷重が作用した場合に、補強部が荷重を支持することができる。したがって、載置部の剛性を向上させることができる。
【0025】
本発明の第3態様に係る冷凍サイクル装置は、立設するパネル状の下部熱交換器と、前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器と、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットと、を備え、前記ブラケットは、板状部材であり前記下部熱交換器の前記載置面上に配置される載置部と、板状部材であり前記載置部の端部から曲折して上方または下方に延びて前記上部熱交換器または前記下部熱交換器のパネル面に沿うように配置される曲折部と、前記載置部に形成され上下方向に貫通する載置部開口と、前記曲折部に形成され前記載置部開口と連続する曲折部開口と、を有する。
【0026】
本発明の第4態様に係る冷凍サイクル装置は、立設するパネル状の下部熱交換器と、前記下部熱交換器の載置面上に載置されて立設するパネル状の上部熱交換器と、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器との間に配置され、前記下部熱交換器と前記上部熱交換器とを連結するブラケットと、を備え、前記下部熱交換器及び前記上部熱交換器は、水平方向に延在するチューブ及び前記チューブが貫通して所定の間隔で並んで配置される板状の複数のフィンを有し、前記ブラケットは、板状部材であり前記下部熱交換器の前記載置面上に配置される載置部と、板状部材であり前記載置部から該載置部の板面と交差する方向に延びて複数の前記フィンの間に配置される係止部と、を有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ブラケットにおける腐食の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る空冷ヒートポンプチラーの外観を示す斜視図である。
図2図1の熱交換室内部を示す模式的な平面図である。
図3図1の空気熱交換器ユニットの模式的な斜視図である。
図4図1の空冷ヒートポンプチラーに設けられるブラケットの斜視図である。
図5図4のブラケットの上面図である。
図6図4のブラケットの側面図である。
図7図4のブラケットの正面図である。
図8図1の空冷ヒートポンプチラーにおけるブラケットとチューブとの関係を模式的に示した図である。
図9】下部熱交換器に対してブラケットを載置した状態を示す斜視図である。
図10図1の空冷ヒートポンプチラーにおけるブラケットとチューブとの関係を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る冷凍サイクル装置の製造方法及び冷凍サイクル装置の一実施形態について、図1から図10を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る空冷ヒートポンプチラー(冷凍サイクル装置)1は、機械室2と、機械室2の上方に配置された熱交換室3と、熱交換室3の天井部に設けられた複数(本実施形態では4つ)のファン5と、機械室2と熱交換室3との間に設けられる集中ドレンパン6と、を有する。
【0030】
機械室2は、一方向(図1のY方向)に延在する略直方体形状の筐体7によって外殻が構成される。筐体7内には、圧縮機、四方切換え弁、水熱交換器、膨張弁、冷媒配管、水配管及び水循環ポンプ(すべて図示せず)が収容されている。
圧縮機、四方切換え弁、水熱交換器及び膨張弁は、冷媒配管によって接続され、後述する熱交換室3に設けられる空気熱交換器ユニット8とともに、冷凍サイクルを構成している。
【0031】
四方切換え弁は、冷媒配管内を流通する冷媒の流れを切替え可能であって、冷媒の流れを切替えることで、空冷ヒートポンプチラー1は冷房運転及び暖房運転の両方の運転が可能となっている。
【0032】
圧縮機は、例えば、インバータによって駆動されるモータを備える。圧縮機では、モータの回転数を制御することで、冷媒配管に吐出する冷媒の量を調整する。
【0033】
水熱交換器は、冷媒配管を流れる冷媒と、水配管を流れる水とを熱交換する。
水配管は、空冷ヒートポンプチラー1の外部から水熱交換器に水を供給する第1配管と、水熱交換器の水を空冷ヒートポンプチラー1の外部に排出する第2配管とによって構成される。第2配管から排出された水は、温水又は冷水として各種提供先の装置(図示省略)等に提供される。各種提供先の装置等で熱交換を行った水は、各種提供先の装置等から第1配管を介して水熱交換器に供給される。このように、第1配管及び第2配管は、空冷ヒートポンプチラー1と提供先の装置等とを接続する循環流路の一部を構成している。
【0034】
膨張弁は、水熱交換器と、熱交換室3に設けられた空気熱交換器ユニット8との間に設けられている。
水循環ポンプは、水配管内の水を循環させ、水熱交換器に水を供給する。
【0035】
熱交換室3は、一方向に延在する熱交換室筐体9によって外殻が形成される。図2に示すように、熱交換室筐体9の内側には、複数(本実施形態では4つ)の空気熱交換器ユニット8が配置される。熱交換室筐体9は、上面を構成する略長方形状の天井板11と、下面を構成する略長方形状の底板12と、短手方向(図1のX方向)の側面を構成する板状の側壁13とを有し、長手方向(図1のY方向)の側面は開放状態とされている。なお、底板12と集中ドレンパン6とを一つの部材で構成してもよい。
【0036】
図3に示すように、空気熱交換器ユニット8は、各々、底板12の上に立設するパネル状に形成された下部熱交換器16と、下部熱交換器16の上に載置されるパネル状に形成された上部熱交換器15とによって構成されている。下部熱交換器16と上部熱交換器15とは、下部熱交換器16と上部熱交換器15との間に設けられるブラケット17によって連結されている。本実施形態では、上部熱交換器15及び下部熱交換器16の側面のうち、後述するチューブ21の延在方向に延びる面をパネル面としている。
【0037】
下部熱交換器16及び上部熱交換器15は、上部熱交換器15と下部熱交換器16とに亘って上下方向(図1のZ方向)に延びる湾曲部18がパネル面において形成されるように、平面視略L字状に湾曲している。すなわち、下部熱交換器16及び上部熱交換器15は、L字の短手部分にあたる第1平面部19と、L字の角部分にあたる湾曲部18と、L字の長手部分にあたる第2平面部20とを有している。下部熱交換器16及び上部熱交換器15のパネル面は、略全領域(すなわち、第1平面部19、湾曲部18及び第2平面部20)において、面一となるように形成されている。
【0038】
このように構成された4つの空気熱交換器ユニット8は、熱交換室3の側面に沿うように並んで配置される。上述のように、上部熱交換器15及び下部熱交換器16はL字状に構成され、かつ、上部熱交換器15及び下部熱交換器16のパネル面が面一となっているので、空気熱交換器ユニット8も平面視略L字形状をしている。4つの空気熱交換器ユニット8は、L字の角部(すなわち、上部熱交換器15及び下部熱交換器16の湾曲部18)が、熱交換室3の四隅にそれぞれ対応するように配置される。また、4つの空気熱交換器ユニット8は、L字の長手部分(すなわち、上部熱交換器15及び下部熱交換器16の第2平面部20)が、熱交換室3の長手方向の側面に沿うように各々配置される。
【0039】
上部熱交換器15及び下部熱交換器16は、いわゆるフィンアンドチューブ型の熱交換器である。詳細には、上部熱交換器15及び下部熱交換器16は、各々、内部に冷媒が流通する円管状の複数のチューブ21(図8から図10参照)と、チューブ21の外周面に設けられる複数のフィン22(図9及び図10参照)とを有する。
【0040】
チューブ21は、各々、水平方向に所定距離延びている。複数のチューブ21は、水平方向に3列並んで配置されるとともに、上下方向に複数段(本実施形態では、一例として、略30段)並んで配置される。水平方向に並ぶ3本のチューブ21は、同一の高さには配置されていない(図10参照)。真ん中に位置するチューブ21のみが、他のチューブ21よりも下方となるように配置されている。
【0041】
フィン22は、板状部材である。複数のフィン22は、板面が鉛直面となるように、所定の間隔で並んで配置されている。また、フィン22の板面には、複数の穴が形成されている。この穴の直径は、チューブ21の外形よりも僅かに大きく形成されており、この穴にチューブ21が嵌め込まれるように挿通している。すなわち、フィン22を貫通するようにチューブ21が設けられている。このようにして、チューブ21の外周面に対してフィン22が設けられている。
【0042】
このように構成された空気熱交換器ユニット8は、開放状態とされた熱交換室筐体9の長手方向側面から導入された外気と熱交換することで、チューブ21内を流通する冷媒の冷却または加熱を行う。
【0043】
次にブラケット17について図4及び図10を用いて説明する。
ブラケット17は、図4から図7に示すように、矩形板状の載置部25と、載置部25の一側の端部から上方に曲折して延びる第1立上部(曲折部)26と、載置部25の一側の端部から下方に曲折して延びる第1垂下部(曲折部)27と、載置部25の他側の端部から上方に曲折して延びる第2立上部(曲折部)28と、載置部25の他側の端部から下方に曲折して延びる第2垂下部(曲折部)29と、を一体的に有する。ブラケット17が下部熱交換器16に載置されている状態において、第1立上部26と第1垂下部27とは、チューブ21の延在方向に並んで設けられている。また、第2立上部28と第2垂下部29とは、チューブ21の延在方向に並んで設けられている。すなわち、第1立上部26と第2立上部28とは斜向かいとなるように対向している。また、第1垂下部27と第2垂下部29とは、斜向かいとなるように対向している。
【0044】
載置部25は、下部熱交換器16の上面(載置面)に載置される。すなわち、載置部25は、下面が下部熱交換器16の上面と接触し、上面が上部熱交換器15の下面と接触している。載置部25には、上下方向に貫通する第1載置部開口(載置部開口)30及び第2載置部開口(載置部開口)31が形成されている。第1載置部開口30と第2載置部開口31とは、チューブ21の延在方向(図4のY方向。以下、チューブ21の延在方向のことを「延在方向」という。)に並んで配置されている。第1載置部開口30と第2載置部開口31との間には、補強部32が設けられている。
【0045】
第1載置部開口30は、第1立上部26と第2垂下部29との間に形成されており、延在方向と直交する方向(図4のX方向。以下、延在方向と交差する方向のことを「幅方向」という。)の全領域に形成されている。また、第1載置部開口30の延在方向の長さは、第1立上部26及び第2垂下部29の延在方向の長さよりも短くなるように形成されている。
【0046】
第2載置部開口31は、第2立上部28と第1垂下部27との間に形成されており、幅方向の全領域に形成されている。また、第1載置部開口30の延在方向の長さは、第2立上部28及び第1垂下部27の延在方向の長さよりも短くなるように形成されている。また、第2載置部開口31の形状は、第1載置部開口30の形状と略同一となっている。
【0047】
補強部32は、載置部25のうち、第1載置部開口30と第2載置部開口31との間の領域である。すなわち、補強部32の延在方向の両端部は、第1載置部開口30または第2載置部開口31の延在方向の縁を規定している。補強部32の延在方向の端部のうち、第1載置部開口30の縁を規定する端部には、該端部から下方に曲折して延びる板状の第1係止部(係止部)33が設けられている。換言すれば、第1係止部33は、第1載置部開口30の縁に設けられている。また、補強部32の延在方向の端部のうち、第2載置部開口31の縁を規定する端部には、該端部から下方に曲折して延びる板状の第2係止部(係止部)34が設けられている。換言すれば、第2係止部34は、第2載置部開口31の縁に設けられている。
【0048】
第1係止部33及び第2係止部34は、図9に示すように、フィン22の略平行に延在しており、並んで配置されているフィン22の間に配置される。第1係止部33及び第2係止部34は、補強部32の幅方向の略中央に形成されている。また、第1係止部33及び第2係止部34は、図10に示すように、水平方向に並ぶ3本のチューブ21のうち、真ん中に位置するチューブ21の鉛直方向に位置するように形成されている。第1係止部33及び第2係止部34の上下方向の長さL1は、第1係止部33及び第2係止部34の鉛直下方に位置するチューブ21の上端から載置部25の下面までの長さL2よりも、短く形成されている。また、第1係止部33及び第2係止部34の上下方向の長さL1は、第1係止部33及び第2係止部34の鉛直上方に位置するチューブ21の下端から載置部25の上面までの長さL3よりも、長く形成されている。
【0049】
第1立上部26は、上部熱交換器15のパネル面に沿って延在している。すなわち、第1立上部26の内面は、上部熱交換器15のパネル面に接触している。図8に示すように、第1立上部26の上下方向の長さは、第1立上部26を正面視したときに、上部熱交換器15に設けられたチューブ21のうち最も下方に配置されたチューブ21と重なる長さとなっている。すなわち、第1立上部26の上下方向の長さは、上部熱交換器15に設けられたチューブ21のうち最も下方に配置されたチューブ21の下端から、載置部25の上面の長さよりも長い。
第1立上部26には、図7に示すように、板厚方向に貫通する第1立上部開口(曲折部開口)35が形成されている。第1立上部開口35は、第1立上部26の下縁を切り欠いた形状をしている。第1立上部開口35は第1載置部開口30と連続している。
【0050】
第1垂下部27は、下部熱交換器16のパネル面に沿って延在している。すなわち、第1垂下部27の内面は、下部熱交換器16のパネル面に接触している。図8に示すように、第1垂下部27の上下方向の長さは、第1垂下部27を正面視したときに、下部熱交換器16に設けられたチューブ21のうち最も上方に配置されたチューブ21と重なる長さとなっている。すなわち、第1垂下部27の上下方向の長さは、下部熱交換器16に設けられたチューブ21のうち最も上方に配置されたチューブ21の上端から、載置部25の下面までの長さよりも長い。
第1垂下部27には、図7及び図9等に示すように、板厚方向に貫通する第1垂下部開口(曲折部開口)36が形成されている。第1垂下部開口36は、第1垂下部27の上縁を切り欠いた形状をしている。第1垂下部開口36は第2載置部開口31と連続している。
【0051】
第2立上部28は、上部熱交換器15のパネル面に沿って延在している。すなわち、第2立上部28の内面は、上部熱交換器15のパネル面に接触している。図8に示すように、第2立上部28の上下方向の長さは、第1立上部26の上下方向の長さと略同一に形成されている。
第2立上部28には、図7及び図9等に示すように、板厚方向に貫通する第2立上部開口(曲折部開口)37が形成されている。第2立上部開口37は、第2立上部28の下縁を切り欠いた形状をしている。第2立上部開口37は第2載置部開口31と連続している。
【0052】
第2垂下部29は、下部熱交換器16のパネル面に沿って延在している。すなわち、第2垂下部29の内面は、下部熱交換器16のパネル面に接触している。図8に示すように、第2垂下部29の上下方向の長さは、第2垂下部29の上下方向の長さと略同一に形成されている。
第2垂下部29には、図7に示すように、板厚方向に貫通する第2垂下部開口(曲折部開口)38が形成されている。第2垂下部開口38は、第2垂下部29の上縁を切り欠いた形状をしている。第2垂下部開口38は第1載置部開口30と連続している。
【0053】
次に、空冷ヒートポンプチラー1の製造方法について説明する。
まず、上部熱交換器15及び下部熱交換器16の製造方法について説明する。まず、板状のフィン22に形成された複数の穴に、チューブ21を挿通させる。この時、チューブ21は拡管前の状態であるので、フィン22に形成された穴の直径よりも、チューブ21の外径が小さく形成されているため、容易に挿通することができる。次に、穴に挿通された状態のチューブ21内にマンドレルを挿入し、拡管を行う。拡管されたチューブ21は、外径が拡がり、フィン22に形成された穴の内縁に接触する。このように、上部熱交換器15及び下部熱交換器16は製造される。
なお、熱交換器を製造する際の拡管作業等は、熱交換器単位で行われるので、複数のチューブ21に対して同時に行われる。したがって、拡管作業を同時に行うことができない大きさの熱交換器を製造する場合(例えば、拡管機の最大能力を超える段数の場合など)には、複数の熱交換器を組み合わせてユニット化する。
【0054】
次に、ユニット化の工程について説明する。
まず、図9に示すように、下部熱交換器16の上面に対して、載置部25の下面が接触するようにブラケット17を載置する。このとき、ブラケット17が、第1垂下部27及び第2垂下部29の内面が下部熱交換器16パネル面と接触する状態であって、かつ、第1係止部33及び第2係止部34が下部熱交換器16のフィン22の間に位置する状態となるように載置する。また、下部熱交換器16の上面にブラケット17を載置した状態では、第1係止部33及び第2係止部34が、図10に示すように、下部熱交換器16の3本のチューブ21のうち、真ん中に位置するチューブ21の鉛直上方に位置している。
次に、下部熱交換器16のパネル面が上部熱交換器15のパネル面と面一となるように、下部熱交換器16の上面に、上部熱交換器15を載置する。このとき、ブラケット17の第1立上部26及び第2立上部28の内面が上部熱交換器15のパネル面と接触するように載置する。
このように、下部熱交換器16と上部熱交換器15とをブラケット17によって連結することで、ユニット化が行われる。
【0055】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0056】
上部熱交換器15では熱交換に伴って凝縮水が発生する場合がある。上部熱交換器15で発生した凝縮水は、重力によって落下する。本実施形態では、載置部25に第1載置部開口30及び第2載置部開口31が形成され、第1立上部26、第2立上部28、第1垂下部27及び第2垂下部29に各載置部開口と連続する開口(第1立上部開口35、第2立上部開口37、第1垂下部開口36及び第2垂下部開口38)が形成されている。これにより、上部熱交換器15で発生した凝縮水は、落下する際に第1載置部開口30及び第2載置部開口31を通過する。また、載置部25の幅方向の端部に落下した凝縮水は、第1立上部開口35、第2立上部開口37、第1垂下部開口36及び第2垂下部開口38を通過する。したがって、載置部25上に凝縮水が滞留し難くすることができる。よって、ブラケット17における腐食の発生や凝縮水の凍結による性能の低下を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1立上部26、第2立上部28、第1垂下部27及び第2垂下部29の上下方向の長さが、上部熱交換器15または下部熱交換器16に設けられたチューブ21と重複する長さに設定されている。これにより、ブラケット17が上部熱交換器15と下部熱交換器16との間に設けられた状態で、ブラケット17に対して幅方向の荷重が作用した場合に、フィン22だけでなく、フィン22を介してチューブ21によっても荷重を支持することができる。したがって、フィン22の損傷を抑制することができる。
【0058】
なお、フィン22の損傷を抑制する方法として、ブラケット17の第1立上部26、第2立上部28、第1垂下部27及び第2垂下部29の面積を大きくする方法も考えられる。しかしながら、第1立上部26、第2立上部28、第1垂下部27及び第2垂下部29の面積を大きくすると、その分、熱交換器を通過する空気の遮断量が増大してしまい、空冷ヒートポンプチラー1の効率を低減してしまう。
これに対し、本実施形態では、フィン22を介してチューブ21によってもブラケット17に作用する荷重を支持させることで、第1立上部26、第2立上部28、第1垂下部27及び第2垂下部29の面積の増大を抑制しつつ、フィン22の損傷を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、下部熱交換器16に設けられたフィン22の間に第1係止部33及び第2係止部34が配置されている。これにより、ブラケット17が下部熱交換器16に載置された状態において、ブラケット17に対して延在方向への荷重が作用すると、第1係止部33及び第2係止部34とフィン22とが接触する。したがって、延在方向へのブラケット17の移動が、第1係止部33及び第2係止部34とフィン22とによって規制される。
一方、ブラケット17が下部熱交換器16に載置された状態において、曲折部の板厚方向への荷重がブラケット17に対して作用すると、第1垂下部27または第2垂下部29と下部熱交換器16とが接触する。したがって、曲折部の板厚方向へのブラケット17の移動が、第1垂下部27または第2垂下部29と下部熱交換器16とによって規制される。
【0060】
このように、ブラケット17が下部熱交換器16に載置された状態において、ブラケット17と下部熱交換器16とは、上方向への相対移動が許容された状態で、上下方向と交差する方向(すなわち、延在方向及び幅方向)への相対移動が規制するように係合している。よって、下部熱交換器16と上部熱交換器15とをブラケット17によって連結する際に、下部熱交換器16とブラケット17との相対移動を規制することができるので、連結作業を容易化することができる。また、所望の位置からブラケット17がずれないので、空冷ヒートポンプチラー1の信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、第1係止部33及び第2係止部34の上下方向の長さL1は、第1係止部33及び第2係止部34の鉛直下方に位置するチューブ21の上端から載置部25の下面までの長さL2よりも、短く形成されている。これにより、第1係止部33及び第2係止部34とチューブ21との干渉を抑制することができる。したがって、第1係止部33、第2係止部34及びチューブ21の損傷を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、第1係止部33及び第2係止部34の上下方向の長さL1は、第1係止部33及び第2係止部34の鉛直上方に位置するチューブ21の下端から載置部25の上面までの長さL3よりも、長く形成されている。これにより、第1係止部33及び第2係止部34が上方に延びるように、載置面上にブラケット17を配置した状態で、下部熱交換器16の上に上部熱交換器15を載置しようとした場合には、係止部とチューブ21とが干渉する。このため、ブラケット17が上下逆さまに配置されていることに、作業者が気付くことができる。したがって、係止部が上方に延びるように載置面上にブラケット17を配置した状態(すなわち、係止部とフィン22とが係合しておらず、ブラケット17と下部熱交換器16との相対移動が規制されていない状態)のまま、下部熱交換器16の上に上部熱交換器15を載置する作業を行う事態を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、隣接する第1載置部開口30と第2載置部開口31との間に、補強部32が設けられている。これにより、載置部25に湾曲するような荷重が作用した場合に、補強部32が荷重を支持することができる。したがって、載置部25の剛性を向上させることができる。
【0064】
載置部25の外縁に係止部を設けた場合には、ブラケット17を一枚の平板から形成する場合に、係止部が載置部25から突出することとなり、より大きな平板を要することとなる。一方、本実施形態では、第1係止部33及び第2係止部34が、各々、第1載置部開口30及び第2載置部開口31の縁に設けられている。これにより、ブラケット17を一枚の平板から形成する場合に、第1係止部33及び第2係止部34が、載置部25から突出しない。したがって、載置部25の外縁に係止部を設けた場合よりも、小さい平板からブラケット17を形成することができる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、載置部25から上方に曲折して延びる部材(第1立上部26及び第2立上部28)を2つ形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、載置部25から上方に曲折して延びる部材は、1つであってもよく、また、3つ以上であってもよい。また、載置部25から下方に曲折して延びる部材(第1立上部26及び第2立上部28)についても同様に、1つであってもよく、また、3つ以上であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、本発明に係る冷凍サイクル装置を空冷ヒートポンプチラー1に適用する例について説明したが、本発明に係る冷凍サイクル装置は、他の熱源機、給湯器、空気調和装置等の冷媒サイクルを有するものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 :空冷ヒートポンプチラー
2 :機械室
3 :熱交換室
5 :ファン
6 :集中ドレンパン
7 :筐体
8 :空気熱交換器ユニット
9 :熱交換室筐体
11 :天井板
12 :底板
13 :側壁
15 :上部熱交換器
16 :下部熱交換器
17 :ブラケット
18 :湾曲部
19 :第1平面部
20 :第2平面部
21 :チューブ
22 :フィン
25 :載置部
26 :第1立上部
27 :第1垂下部
28 :第2立上部
29 :第2垂下部
30 :第1載置部開口
31 :第2載置部開口
32 :補強部
33 :第1係止部
34 :第2係止部
35 :第1立上部開口
36 :第1垂下部開口
37 :第2立上部開口
38 :第2垂下部開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10