(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】メモリスタ、及びそれを含むニューロモーフィック装置
(51)【国際特許分類】
H10B 63/00 20230101AFI20241111BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20241111BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20241111BHJP
H10N 99/00 20230101ALI20241111BHJP
【FI】
H10B63/00
H10B63/10
H10N70/00 Z
H10N99/00
(21)【出願番号】P 2020049582
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-03-17
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2019-0112371
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年3月21日に公開された以下の論文。R. Xuら著、Nano Letters(「Vertical MoS▲2▼ Double-Layer Memristor with Electrochemical Metallization as an Atomic-Scale Synapse with Switching Thresholds Approaching 100mV」)、2019年、第19巻、2411-2417ページ
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ミン▼賢
(72)【発明者】
【氏名】ドヴラン・アマノフ
(72)【発明者】
【氏名】レンジン・シュ
(72)【発明者】
【氏名】ハウク・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】金 海龍
(72)【発明者】
【氏名】申 鉉振
(72)【発明者】
【氏名】趙 連柱
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒ・ハム
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/009931(WO,A1)
【文献】米国特許第09831427(US,B1)
【文献】特表2018-511862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0267378(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107408222(CN,A)
【文献】特開2018-166194(JP,A)
【文献】特開2014-049660(JP,A)
【文献】特開2009-043905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 63/00
H10B 63/10
H10N 70/00
H10N 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離隔配置される下部電極及び上部電極であって、
一方が相対的にイオン化度が高い活性電極であり、他方が相対的にイオン化度が低い非活性電極である、下部電極及び上部電極と、
前記下部電極と前記上部電極との間に配置され、厚み方向に、互いに化学的結合なしにスタックされた第1二次元物質層及び第2二次元物質層からなる抵抗変化層であって、前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層は、原子が所定結晶構造をなしている単層または半層の固体であり、前記抵抗変化層が、前記抵抗変化層に含まれた原子サイズの2倍以上10倍の厚みを
有し、前記抵抗変化層が、欠陥ある粒子境界を含み、前記抵抗変化層は、前記下部電極と前記上部電極とに印加される電気的信号により、前記欠陥ある粒子境界に、伝導性フィラメントが形成される、抵抗変化層と、を含み、
前記下部電極と前記上部電極とに印加される
前記電気的信号により、イオンが、前記下部電極及び前記上部電極のうち活性電極である電極から、前記抵抗変化層を介して非活性電極である電極に移動し、
前記イオンの移動に基づき
前記伝導性フィラメントが形成されることによって、前記抵抗変化層が、抵抗が高い高抵抗状態及び抵抗が低い低抵抗状態を有し、前記高抵抗状態及び前記低抵抗状態に基づき、バイポーラ抵抗性スイッチング動作を遂行する、メモリスタ。
【請求項2】
前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層それぞれは、
ラインタイプの欠陥を含むことを特徴とする請求項
1に記載のメモリスタ。
【請求項3】
前記抵抗変化層は、
点タイプの欠陥を含むことを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項4】
前記メモリスタは、
抵抗変化層の抵抗状態を、高抵抗状態から低抵抗状態に変化させる0.1V以上0.5V以下のセット電圧によって動作することを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項5】
前記メモリスタは、
1V以上の電圧の印加後の、高抵抗状態のオーミック伝導傾きと、低抵抗状態のオーミック伝導傾きが一定であり、前記オーミック伝導傾きは、両対数グラフで表された電圧-電流特性図において傾きが0.8ないし1.2に含まれることを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項6】
前記抵抗変化層は、
印加される電気的信号のスウィープにより、アナログ方式に変わる抵抗特性を有することを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項7】
前記抵抗変化層は、
10層以下の二次元物質層を含むことを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項8】
前記第1二次元物質層と前記第2二次元物質層は、同一物質から形成されることを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項9】
前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、
絶縁特性を有することを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項10】
前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、
フルオログラフェン、酸化グラフェン、h-BN、Mica、MoO
3、WO
4、CuO
x、TiO
2、MnO
2、V
2O
5、TaO
4、RuO
2のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項
9に記載のメモリスタ。
【請求項11】
前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、
半導体特性を有することを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項12】
前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、
MoS
2、WS
2、MoSe
2、WSe
2、MoTe
2、WTe
2、ZrS
2、ZrSe
2、HfS
2、HfSe
2、GaSe、GaTe、InSe、In
2Se
3、Bi
2Se
3、黒リンのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項
8に記載のメモリスタ。
【請求項13】
前記第1二次元物質層及び第2二次元物質層それぞれは、
単一層であることを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項14】
前記下部電極及び前記上部電極のうち少なくとも一つは、
金属物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項15】
前記下部電極及び前記上部電極は、互いに異なる物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項16】
前記抵抗変化層は、
前記下部電極と前記上部電極とが重畳される領域に配置されることを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項17】
前記上部電極、前記第1二次元物質層、前記第2二次元物質層及び前記下部電極は、順次に互いに接するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項18】
前記上部電極は、
前記抵抗変化層の厚み方向と垂直の第1方向に互いに離隔配置される複数個の第1電極を含み、
前記下部電極は、
前記抵抗変化層の厚み方向と垂直でありながら、前記第1方向と異なる第2方向に互いに離隔配置される複数個の第2電極を含むことを特徴とする請求項1に記載のメモリスタ。
【請求項19】
前記抵抗変化層は、
前記複数個の第1電極と、前記複数個の第2電極とが重畳される領域に、平面方向に分割され相互離隔配置される複数個のサブ抵抗変化層を含み、前記サブ抵抗変化層はそれぞれ、第1電極と第2電極の間に配置されることを特徴とする請求項
18に記載のメモリスタ。
【請求項20】
請求項1ないし
19のうちいずれか1項に記載のメモリスタを含むニューロモーフィック装置。
【請求項21】
前記ニューロモーフィック装置は、STDP(spike-timing dependent plasticity)方式で動作することを特徴とする請求項
20に記載のニューロモーフィック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリスタ、及びそれを含むニューロモーフィック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリ装置として、メモリスタは、電源が切れた状態でも情報を維持しており、電源が供給されれば、保存された情報をそのまま使用することができる多数のメモリセルを含む。該メモリスタは、携帯電話、デジタルカメラ、携帯用情報端末機(PDA)、移動式コンピュータ装置、固定式コンピュータ装置及びその他装置でも使用される。
【0003】
最近では、次世代ニューロモーフィックコンピュータ(neuromorphic computing)プラットホームあるいはニューラルネットワーク(neural network)を形成するチップに、三次元NANDを使用する研究が進められている。
【0004】
特に、高集積低電力特性を有し、メモリセルにランダムアクセス(random access)が可能な技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、垂直型メモリスタ、及びそれを含むニューロモーフィック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によるメモリスタは、離隔配置される下部電極及び上部電極;並びに下部電極と上部電極との間に配置され、互いに化学的結合なしにスタックされた第1二次元物質層及び第2二次元物質層を含む抵抗変化層;を含む。
【0007】
そして、抵抗変化層は、欠陥ある粒子境界を含む。
【0008】
また、抵抗変化層は、下部電極と上部電極とに印加される電気的信号により、欠陥ある粒子境界に伝導性フィラメントが形成されてもよい。
【0009】
そして、第1二次元物質層及び第2二次元物質層それぞれは、ラインタイプの欠陥を含んでもよい。
【0010】
また、抵抗変化層は、点タイプの欠陥を含んでもよい。
【0011】
そして、メモリスタは、0.1V以上0.5V以下のセット電圧によって動作することができる。
【0012】
また、メモリスタは、バイポーラ抵抗性スイッチング動作を遂行することができる。
【0013】
そして、メモリスタは、フォーミング後、高抵抗状態のオーミック伝導傾きと、低抵抗状態のオーミック伝導傾きが一定でもある。
【0014】
また、オーミック伝導傾きは、0.8ないし1.2にも含まれる。
【0015】
そして、抵抗変化層は、印加される電気的信号のスウィープにより、アナログ方式に変わる抵抗特性を有することができる。
【0016】
また、下部電極と上部電極との間隔は、抵抗変化層に含まれた原子サイズの2倍以上10倍以下でもある。
【0017】
そして、抵抗変化層は、10層以下の二次元物質層を含んでもよい。
【0018】
また、第1二次元物質層と第2二次元物質層は、同一物質からも形成される。
【0019】
そして、第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、絶縁特性を有することができる。
【0020】
また、第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、フルオログラフェン、酸化グラフェン、h-BN、Mica、MoO3、WO4、CuOx、TiO2、MnO2、V2O5、TaO4、RuO2のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0021】
そして、第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、半導体特性を有することができる。
【0022】
また、第1二次元物質層及び第2二次元物質層のうち少なくとも1層は、MoS2、WS2、MoSe2、WSe2、MoTe2、WTe2、ZrS2、ZrSe2、HfS2、HfSe2、GaSe、GaTe、InSe、In2Se3、Bi2Se3、黒リンのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0023】
そして、第1二次元物質層及び第2二次元物質層それぞれは、単一層でもある。
【0024】
また、下部電極及び上部電極のうち少なくとも一つは、金属物質を含んでもよい。
【0025】
そして、下部電極及び上部電極は、互いに異なる物質を含んでもよい。
【0026】
また、下部電極及び上部電極のうち一つは、活性電極であり、残りは、非活性電極でもある。
【0027】
そして、抵抗変化層は、下部電極と上部電極とが重畳される領域にも配置される。
【0028】
また、上部電極、第1二次元物質層、第2二次元物質層及び下部電極は、順次に互いに接するようにも配置される。
【0029】
そして、上部電極は、抵抗変化層の厚み方向と垂直の第1方向に互いに離隔配置される複数個の第1電極を含み、下部電極は、抵抗変化層の厚み方向と垂直でありながら、第1方向と異なる第2方向に互いに離隔配置される複数個の第2電極を含んでもよい。
【0030】
また、抵抗変化層は、複数個の第1電極と、複数個の第2電極とが重畳される領域に配置されながら、相互離隔配置される複数個のサブ抵抗変化層を含んでもよい。
【0031】
一方、一実施形態によるニューロモーフィック装置は、前述のメモリスタを含む。
【0032】
そして、ニューロモーフィック装置は、STDP(spike-timing dependent plasticity)方式で動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】一実施形態によるメモリスタの平面図である。
【
図2】一実施形態による2層の二次元物質層を含むメモリスタを具体的に図示した図面である。
【
図3A】一実施形態によるメモリスタのI-V特性を示すグラフである。
【
図3B】一実施形態によるメモリスタの高抵抗状態と低抵抗状態との抵抗値を示すグラフである。
【
図3C】一実施形態によるメモリスタが多様な抵抗状態を有することを示す参照図面である。
【
図3D】一実施形態によるメモリスタのフォーミング前後のI-V特性を示すグラフである。
【
図4】
図2のメモリスタを、HAADF(high-angle annular dark-field imaging)を有した走査透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope)で撮影した結果を示すイメージである。
【
図5A】一実施形態による2層の二次元物質層を含むメモリスタのI-V特性を示すグラフである。
【
図5B】メモリスタの抵抗特性を示すグラフである。
【
図6A】比較例として、単一層の二次元物質層を含むメモリスタのI-V特性を示すグラフである。
【
図6B】単一層の二次元物質層を含むメモリスタの抵抗特性を示すグラフである。
【
図7A】一実施形態によるメモリスタに適用される電圧スウィープに係わるグラフである。
【
図7B】
図7Aの電圧スウィープによるメモリスタの抵抗を示すグラフである。
【
図8】一実施形態によるパルスタイプの電圧におけるメモリスタの抵抗特性を示すグラフである。
【
図9A】一実施形態によるメモリスタに適用された電圧を示す参照図面である。
【
図9B】
図9Aの信号によるメモリスタのコンダクタンス変化と有効電圧とを示す結果である。
【
図10】一実施形態による3層の抵抗変化層を含むメモリスタのI-V特性を図示したグラフである。
【
図11A】他の実施形態によるメモリスタを示す図面である。
【
図11B】他の実施形態によるメモリスタを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書において、多様な箇所に登場する「一部の実施形態」または「一実施形態」というような語句は、必ずしもいずれも同一実施形態を示すものではない。
【0035】
本明細書で使用される「構成される」または「含む」というような用語は、明細書上に記載されたさまざまな構成要素、またはさまざまな段階を必ずしもいずれも含むものであると解釈されるものではなく、そのうち、一部の構成要素または一部の段階は、含まれず、またはさらなる構成要素または段階をさらに含んでもよいと解釈されなければならない。
【0036】
以下、「上部」または「上」と記載されたものは、接触し、直接的に上下左右にあるものだけではなく、非接触で、上下左右にあるものも含んでもよい。以下、添付された図面を参照しながら、ただ、例示のための実施形態によって詳細に説明する。
【0037】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素の説明に使用されてもよいが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに使用される。
【0038】
以下、添付された図面を参照し、本開示について詳細に説明する。
【0039】
図1Aは、一実施形態によるメモリスタ10の平面図であり、
図1Bは、
図1Aのメモリスタ10の断面図である。一実施形態によるメモリスタ10は、垂直型メモリスタと呼ばれうる。
図1A及び
図1Bに図示されているように、メモリスタ10は、離隔配置された第1電極110及び第2電極120と、第1電極110と第2電極120との間に配置される抵抗変化層130と、を含んでもよい。抵抗変化層130の厚み方向は、第1電極110から第2電極120への方向と平行でもある。そして、抵抗変化層130は、抵抗変化層130の厚み方向に、第1電極110及び第2電極120が重畳された領域にも配置される。一実施形態によるメモリスタ10は、垂直型メモリスタと呼ばれうる。
【0040】
メモリスタ10は、第1電極110を支持する基板140をさらに含んでもよい。基板140は、例えば、シリコン基板などが使用されるが、それに限定されるものではなく、多様な材質の基板が使用されてもよい。また、基板140としては、プラスチック基板のような柔軟な材質の基板が使用されてもよい。そのような基板140の上面には、基板140と第1電極110との絶縁のために絶縁層150がさらに設けられてもよい。絶縁層150は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを含んでもよいが、それらに限定されるものではない。一方、基板140が絶縁性物質を含む場合には、基板140の上面に、絶縁層150が設けられない。
【0041】
第1電極110は、基板140上に形成され、下部電極であり、第2電極120は、抵抗変化層130上に形成され、上部電極と呼ばれうる。第1電極110及び第2電極120は、伝導性物質を含んでもよい。例えば、第1電極110及び第2電極120は、例えば、グラフェン、CNTs(carbon nano tubes)、金属(例:Al、Au、Cu、Ir、Ru、Pt、Ti、TiN、Ta、TaN、Crのような多様な導電物質)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0042】
第1電極110及び第2電極120は、同物質によっても形成され、異なる物質によっても形成される。例えば、第1電極110及び第2電極120のうち一つは、イオン化度が高い活性電極でもあり、残り一つは、イオン化度が低い非活性電極でもある。活性電極及び非活性電極のいかんは、印加される電圧によっても決定される。
【0043】
抵抗変化層130は、第1電極110及び第2電極120に印加される電気的信号によって抵抗が変わって情報を保存する。抵抗変化層130の厚みは、原子スケールでもある。例えば、抵抗変化層130の厚みは、数十nm以下でもある。メモリスタ10の動作電圧は、抵抗変化層130の厚みによって決定されるが、抵抗変化層130の厚みが薄いほど、動作電圧が低くなる。例えば、抵抗変化層130の厚みが数十nmであるとき、動作電圧は、10V以下でもあり、抵抗変化層130の厚みが数nmであるとき、動作電圧は、1V以下でもある。しかし、抵抗変化層130の厚みが過度に薄ければ、非常に低い電圧にも反応し、メモリスタ10が不安定にもなる。一実施形態による抵抗変化層130は、抵抗変化層130に含まれた原子サイズの2倍以上10倍以下の厚みを有することが望ましい。
【0044】
抵抗変化層130は、層状構造を有する二次元物質層を含んでもよい。該二次元物質層は、原子が所定結晶構造をなしている単層または半層(half-layer)の固体である。抵抗変化層130は、2層以上10層以下の二次元物質層を含んでもよい。例えば、抵抗変化層130は、第1電極110から第2電極120に順次に配置される第1二次元物質層132及び第2二次元物質層134を含んでもよい。複数層の二次元物質層は、厚み方向に、互いに化学的結合なしに、スタックされてもよい。それにより、二次元物質層間では、イオン移動が容易である。
【0045】
単一層の二次元物質層で抵抗変化層130を形成すれば、メモリスタ10は、過度に低い電圧、例えば、0.1V以下のセット電圧にも反応してしまう。それは、メモリスタ10の安定性を阻害してしまう。一実施形態によるメモリスタ10は、複数層の二次元物質層で抵抗変化層130を形成しながら、複数層の二次元物質層は、厚み方向に互いに化学的結合なしに、スタックされる。それは、単一層の二次元物質層よりは高い動作電圧が必要であるが、厚み方向に化学的に結合した二次元物質層または水平型メモリスタよりは、低い動作電圧が必要である。そのために、一実施形態によるメモリスタ10は、0.1以上0.5V以下のセット電圧で動作することができる。
【0046】
抵抗変化層130の二次元物質層は、絶縁特性を有する物質からも形成される。例えば、二次元物質層は、フルオログラフェン、酸化グラフェン、h-BN、Mica、MoO3、WO4、CuOx、TiO2、MnO2、V2O5、TaO4、RuO2のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0047】
二次元物質層140は、半導体特性を有する物質を含んでもよい。例えば、二次元物質層140は、TMD(transition metal dichalcogenide)、ホスホレン(黒リン)、ゲルマナン及びシリセンからなるグループで選択された少なくとも一つを含んでもよい。そして、該TMDは、例えば、MoS2、MoSe2、MoTe2、WS2、WSe2、WTe2、TaS2、TaSe2、TiS2、TiSe2、ZrS2、ZrSe2、HfS2、HfSe2、SnS2、SnSe2、GeS2、GeSe2、GaS2、GaSe2、GaSe、GaTe、InSe、In2Se3、Bi2S3、Bi2Se3及びBi2Te3からなるグループのうちから選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0048】
図1A及び
図1Bに図示されているような垂直構造のメモリスタ10は、第1電極110と第2電極120との距離が原子スケール(atomic-scale)の範囲であるために、第1電極110及び第2電極120に電圧が印加されれば、第1電極110及び第2電極120のうちいずれか1つの電極から放出されたイオンは、原子スケールの伝導性フィラメントを形成することができる。例えば、メモリスタ10は、0.5Vの以下の電圧で、原子スケールのフィラメントを形成することができる。前述のように、原子スケールの伝導性フィラメントを形成するメモリスタ10は、ECM(electrochemical metallization memory)と呼ばれうる。それは、伝導性チャネルを形成するために、空孔、例えば、硫黄空孔が移動する原子価変化メモリ(VCM:valence change memory)と動作原理が異なる。
【0049】
具体的には、第1電極110と第2電極120との間に電圧が印加される。印加される電圧の高さが上昇するにつれ、活性電極は、酸化され、活性電極からイオンが放出される。前述のイオンは、抵抗変化層130を介して、他の電極、例えば、非活性電極に移動することにより、抵抗変化層130には、伝導性フィラメントが形成される。そして、抵抗変化層130を通過したイオンは、非活性電極で還元されることにより、活性電極に蒸着されることになる。抵抗変化層130に流れる電流は、伝導性フィラメントの大きさに対応する。
【0050】
前述の伝導性フィラメントは、抵抗変化層130において、欠陥がある粒子境界(defective grain boundaries)に沿っても形成される。第1原理密度関数理論(first-principle density functional theory)に基づいて、欠陥がある粒子境界を介して、伝導性フィラメントを拡散させるための電圧は、二次元物質層の結晶部分を介して、伝導性フィラメントが拡散されるよりはさらに低い電圧が必要である。例えば、MoS2層の粒子境界を介して、伝導性フィラメントを拡散させるための電圧は、約0.3eVである一方、MoS2層の結晶境界を介して、伝導性フィラメントを拡散させるための電圧は、約3.9eVである。
【0051】
一方、抵抗変化層130において、それぞれの二次元物質層は、粒子境界に、ラインタイプの欠陥がある。該二次元物質層が複数回スタックされることにより、前述のラインタイプの欠陥の一部は、重畳され、一部は、重畳されない。ラインタイプ欠陥が重畳されることにより、抵抗変化層130は、全体として、点タイプの欠陥を有することができる。点タイプの欠陥を有する抵抗変化層130は、ラインタイプの結合を有する抵抗変化層より、安定して動作することができる。すなわち、単一層の二次元物質層だけで構成された抵抗変化層130は、低い電圧にも動作し、不安定でもある。
【0052】
また、一実施形態によるメモリスタ10は、バイポーラ抵抗性スイッチング動作を遂行し、セット電圧及びリセット電圧を反復的に遂行するとしても、一定でもある。ここで、高抵抗状態(HRS:high resistance state)は、抵抗変化層130の抵抗が高く、電流が良好に流れないオフ状態を意味し、低抵抗状態(LRS:low resistance state)は、抵抗変化層130の抵抗が低く、電流が良好に流れるオン状態を意味する。セット電圧は、抵抗変化層130が、高抵抗状態から低抵抗状態に抵抗変化を発生させる電圧であり、リセット電圧は、抵抗変化層130が、低抵抗状態から高抵抗状態に抵抗変化を発生させる電圧の高さを意味する。
【0053】
それだけではなく、メモリスタ10は、フォーミング後、高抵抗状態のオーミック伝導傾き(ohmic conduction slope)と、低抵抗状態のオーミック伝導傾きは、ほぼ同一である。例えば、高抵抗状態のオーミック伝導傾きと、低抵抗状態のオーミック伝導傾きとのそれぞれは、約0.8ないし1.2にも含まれる。高抵抗状態のオーミック伝導傾きと、低抵抗状態のオーミック伝導傾きとがほぼ同一であることにより、一実施形態によるメモリスタ10は、安定して動作することができる。
【0054】
図2は、一実施形態による2層の二次元物質層を含むメモリスタ10を具体的に図示した図面である。
図2に図示されているように、メモリスタ10は、離隔配置される第1電極(electrode)110及び第2電極(electrode)120、第1電極110及び第2電極120の間に配置される単一層の第1二次元物質層132及び第2二次元物質層134を含んでもよい。第1電極110、第1二次元物質層132、第2二次元物質層134及び第2電極120は、順次に互いに接するようにも配置される。
【0055】
第1電極110は、下部電極であり、SiO2/Si基板140上に、標準フォトリソグラフィを介してもパターニングされる。該二次元物質層は、MOCVD(metal-organic chemical vapor deposition)により、単一層にも合成される。そして、真空スタック工程を介して、第1電極110上にも転写される。二次元物質の単一層が層単位に転写され、抵抗変化層130を形成することができる。複数層の二次元物質層は、真空スタック工程を介して、層単位に転写されるために、二次元物質層間の化学的結合がない。該二次元物質層のそれぞれは、ラインタイプの欠陥がある粒子境界を含む一方、複数層の二次元物質層は、点タイプの欠陥がある粒子境界を含んでもよい。図面には、第1二次元物質層132及び第2二次元物質層134の2層のみを図示しているが、それに限定されるものではない。そして、抵抗変化層130上に、上部電極として、第2電極120を蒸着することができる。
【0056】
メモリスタ10の特性を確認するために、約35nmのAu、及び約5nmのCrとする第1電極110を、SiO2/Si基板140上にパターニングした。そして、2層のMoS2の二次元物質層130を、真空スタック工程を介して第1電極110上に転写させ、約35nmのCuの第2電極120を、二次元物質層状に形成した。そして、メモリスタ10の断面積は、約2×2μm2とした。
【0057】
図3Aは、一実施形態によるメモリスタのI-V特性を示す。電圧のスウィープ率を、0.15V/s、具体的には、電圧のスウィープ段階を3mVにし、各スウィープ段階の持続時間を20nmとした。その結果、
図3Aに図示されているように、およそ-0.3Vないし0.3Vの電圧スウィープ範囲で、メモリスタは、バイポーラ抵抗性スイッチング(bipolar resistive switching)動作を遂行することを確認することができる。
図3Aにおいて、セット電圧は、約0.25Vであり、リセット電圧は、およそ-0.15Vであることを確認することができる。前述のように、絶対値が0.1V以上であり、0.5V以下である大きさのセット電圧及びリセット電圧で、メモリスタが動作することを確認することができる。
【0058】
図3Bは、一実施形態によるメモリスタの高抵抗状態と低抵抗状態との抵抗値を示すグラフである。
図3Bに図示されているように、一実施形態によるメモリスタは、反復的に電圧スウィープがなされるとしても、高抵抗状態の抵抗値と、低抵抗状態の抵抗値とが一定であるということを確認することができる。それは、一実施形態によるメモリスタが不揮発性であるということを示す。
【0059】
図3Cは、一実施形態によるメモリスタが、多様な抵抗状態を有することを示す参照図面である。
図3Cを参照すれば、該メモリスタは、高抵抗状態の抵抗値、及び低抵抗状態の抵抗値だけではなく、高抵抗状態と低抵抗状態との間の抵抗値を有するということを確認することができる。それは、メモリスタ10がバイポーラ抵抗性スイッチング動作を遂行するということを意味する。そして、
図3Cに図示されているように、経時的にも、一定サイズの抵抗が維持されるということを確認することができる。
【0060】
図3Dは、一実施形態によるメモリスタのフォーミング前後のI-V特性を示す。フォーミング前である初期状態(pristine state)の抵抗は、フォーミング後の抵抗より大きいということを確認することができる。初期状態において、一実施形態によるメモリスタは、0.3Vの電圧まで、オーミック伝導傾きが1であるということを確認することができる。そして、初期状態において、メモリスタは、0.3Vから0.6Vまでの電圧に対する傾きが異なるということを確認することができる。
【0061】
一方、フォーミング後のメモリスタ10は、フォーミング前のメモリスタ10より抵抗が小さくなるということを確認することができる。具体的には、フォーミング後のメモリスタ10の高抵抗状態に対する抵抗は、約180Ωであり、低抵抗状態に対する抵抗は、約50Ωであることを確認することができる。
【0062】
そして、フォーミング後の高抵抗状態のオーミック伝導傾きと、低抵抗状態のオーミック伝導傾きは、一定であるということを確認することができる。また、フォーミング後、高抵抗状態及び低抵抗状態の抵抗は、異なるとしても、メモリスタ10の高抵抗状態のオーミック伝導傾き及び低抵抗状態のオーミック伝導傾きは、いずれも約1であるということを確認することができる。
【0063】
図4は、
図2のメモリスタを、HAADF(high-angle annular dark-field imaging)を有した走査透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope)で撮影した結果を示す。
図4に図示されているように、第1電極及び第2電極の間に形成された伝導性フィラメントは、二次元物質層の結晶境界ではない粒子境界で形成されるということを確認することができる。
【0064】
一実施形態によるメモリスタ10のバイポーラ抵抗性スイッチング特性が、抵抗変化層130に起因しているか否かということを確認するために、第1電極110及び第2電極120に電圧を印加し、電流を測定し、メモリスタ10の全体抵抗RTを算出した。第1電極110及び第2電極120それぞれで測定された電圧と、メモリスタ10に流れる電流とを測定し、抵抗変化層130の抵抗R2Dを算出した。
【0065】
図5Aは、一実施形態による2層の二次元物質層を含むメモリスタ10のI-V特性を示すグラフであり、
図5Bは、メモリスタ10の抵抗特性を示すグラフである。
図5Aに図示されているように、2層の二次元物質層を含むメモリスタ10は、バイポーラ特性を有しているということを確認することができる。そして、
図5Bに図示されているように、メモリスタ10の全体抵抗変化R
Tと、抵抗変化層130の抵抗変化R
2Dとが類似しているが、メモリスタ10の抵抗特性は、抵抗変化層130の抵抗特性に起因するということを確認することができる。
【0066】
図6Aは、比較例として、単一層の二次元物質層を含むメモリスタのI-V特性を示し、
図6Bは、単一層の二次元物質層を含むメモリスタの抵抗特性を示すグラフである。
図6Aに図示されているように、単一層の二次元物質層を含むメモリスタは、ヒステリシス特性が明確ではない。すなわち、単一層の二次元物質層を含むメモリスタは、バイポーラ特性を有さないということを確認することができる。また、
図6Bに図示されているように、単一層の二次元物質層を含むメモリスタは、全体抵抗特性と、抵抗変化層の抵抗特性とが類似していない。従って、メモリスタの抵抗特性は、抵抗変化層の抵抗特性だけではなく、他の要因によって影響を受けるということを確認することができる。メモリスタがバイポーラ特性を有するためには、二次元物質層が複数層でなければならないということを確認することができる。
【0067】
一実施形態によるメモリスタ10は、アナログ方式の抵抗スイッチング特性を有する。DC電圧をスウィープすることにより、メモリスタ10の弱化(depression)と強化(potentiation)とを測定した。
図7Aは、一実施形態によるメモリスタ10に適用される電圧スウィープに係わるグラフであり、
図7Bは、
図7Aの電圧スウィープによるメモリスタ10の抵抗を示すグラフである。
図7Aに図示されているように、約0ないし約0.25Vの範囲においては、正極性(positive-polarity)の電圧スウィープを行ったところ、
図7Bに図示されているように、電圧スウィープの回数が増加するほど、メモリスタ10の抵抗は、約450Ωから150Ωに徐々に低減していることを確認することができる。
【0068】
そして、
図7Aに図示されているように、約0ないし約-0.15Vの範囲においては、負極性(negative-polarity)の電圧スウィープを行ったところ、
図7Bに図示されているように、電圧スウィープの回数が増加するほど、メモリスタ10の抵抗は、約150Ωから500Ωに徐々に増大していることを確認することができる。それは、一実施形態によるメモリスタ10は、アナログ方式の抵抗スイッチング特性を有するということを意味する。
【0069】
一実施形態によるメモリスタ10は、DC電圧ではなく、他の形態の電圧でも、弱化と強化との特性を有することができる。例えば、メモリスタ10は、パルス電圧においても、弱化と強化との特性を有することができる。
【0070】
図8は、一実施形態によるパルスタイプの電圧におけるメモリスタ10の抵抗特性を示す。パルス振幅は、0.6Vであり、パルス持続時間は、1msであり、パルス間隔は、5秒にし、負のパルスと、正のパルスとのシーケンスをメモリスタ10に適用した。その結果、
図8に図示されているような、抵抗特性を獲得した。該抵抗特性は、正のパルスの適用回数が増加するほど、メモリスタ10の抵抗が低減することを確認することができ、負のパルスの適用回数が増加するほど、メモリスタ10の抵抗が増大することを確認することができる。
【0071】
バイポーラ抵抗性スイッチング特性と、アナログ方式の抵抗スイッチング特性とを有するが、一実施形態によるメモリスタ10は、人工シナプスとして作用することができる。一実施形態によるメモリスタ10は、STDP(spike-timing dependent plasticity)のようなシナプスのような(synapse-like)学習動作を遂行することができる。低いスイッチング電圧を有するSTDPは、低電力ニューロモーフィックコンピュータ(neuromorphic computing)を可能にする。それだけではなく、低いスイッチング電圧は、生物学的電位に近接するために、哺乳類の神経ネットワークと直接のインターフェースも可能である。そのために、一実施形態によるメモリスタは、ニューロモーフィック装置の構成要素にもなる。
【0072】
一実施形態によるメモリスタ10がSTDP方式で動作するか否かということを確認するために、第1電極110にポスト電圧Vpostを印加し、第2電極120にプリ電圧Vpreを印加し、抵抗変化層130にシナプスパルスを印加することができる。
【0073】
図9Aは、一実施形態によるメモリスタ10に適用された電圧を示す参照図面である。ポスト電圧V
postとプリ電圧V
preは、等しい形態を有し、1msの持続時間の間、0Vから0.175Vまで線形的に上昇し、1msの他の持続期間の間、-0.175Vから0Vまで直線的に上昇する。そして、2つの電圧は、互いに異なる時間において、それぞれ第1電極110及び第2電極120にも印加される。
【0074】
図9Aに図示されているように、ポスト電圧V
postがプリ電圧V
preより先に印加されれば(Δt<0)、抵抗変化層130に印加される負の電圧の絶対値は、有効電圧V
effの絶対値より大きいということを確認することができる。前述の負の電圧は、パルス形態であり、プリシナプスパルス(presynaptic pulse)と称することができる。また、ポスト電圧V
postがプリ電圧V
preより後で印加されれば(Δt>0)、抵抗変化層130に印加される正の電圧の絶対値は、有効電圧V
effの絶対値より大きいということを確認することができる。前述の正の電圧は、パルス形態であり、ポストシナプスパルス(postsynaptic pulse)と称することができる。
【0075】
図9Bは、
図9Aの信号によるメモリスタ10のコンダクタンス変化と有効電圧とを示す結果である。
図9Bに図示されているように、Δt<0であるとき、Δtの大きさが小さくなるほど、有効電圧の高さが高くなるために、負の電圧極性(negative voltage polarity)は、強化されるということを確認することができる。それにより、弱化程度がさらに強化されるということを確認することができる。また、Δtに対するコンダクタンス変化は、ポジティブでもネガティブでも、幾何級数的に減衰するということを確認することができる。それは、一実施形態によるメモリスタがSTDP方式で動作するニューロモーフィック装置の構成要素にもなるということを意味する。
【0076】
図10は、一実施形態による3層の抵抗変化層を含むメモリスタのI-V特性を図示した図面である。
図10に図示されているように、3層の抵抗変化層を含むメモリスタには、約1V以上の電圧が印加されるフォーミング過程が遂行されれば、フォーミング後には、バイポーラ抵抗性スイッチング特性を有するということを確認することができる。
【0077】
図11A及び
図11Bは、他の実施形態によるメモリスタ10aを示す図面である。
図11A及び
図11Bに図示されているように、メモリスタ10aは、離隔配置された第1電極110a及び第2電極120a;並びに第1電極110aと第2電極120aとの間の抵抗変化層130a;を含んでもよい。第1電極110aは、抵抗変化層130aの厚み方向と垂直の第1方向に互いに離隔配置される複数個の第1サブ電極112を含んでもよく、第2電極120aは、抵抗変化層130aの厚み方向と垂直でありながら、第1方向と異なる第2方向に互いに離隔配置される複数個の第2サブ電極122を含んでもよい。そして、抵抗変化層130aは、複数個の第1サブ電極112と、複数個の第2サブ電極122とが重畳される領域に配置されながら、相互離隔配置される複数個のサブ抵抗変化層132を含んでもよい。すなわち、メモリスタ10aは、それぞれ独立して動作することができる複数個のセルを含んでもよい。
【0078】
前述の本明細書の説明は、例示のためのものであり、本明細書の内容が属する技術分野の当業者であるならば、本開示の技術的思想や、必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解されなければならない。例えば、単一型に説明されている各構成要素は、分散されても実施され、同様に、分散されていると説明されている構成要素も、結合された形態でも実施される。
【符号の説明】
【0079】
10,10a メモリスタ
110,110a 第1電極
112 第1サブ電極
120,120a 第2電極
122 第2サブ電極
130 抵抗変化層
132 第1二次元物質
134 第2二次元物質
140 基板
150 絶縁層