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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】保冷車用パネルおよび保冷車
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20241111BHJP
   B60P 3/20 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
F25D23/06 W
F25D23/06 302A
B60P3/20 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020063134
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162211
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508365551
【氏名又は名称】北海道車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 泰一
(72)【発明者】
【氏名】福島 喜男
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-188714(JP,A)
【文献】特開2014-193736(JP,A)
【文献】特開2020-032741(JP,A)
【文献】特開2005-315385(JP,A)
【文献】特開平11-130161(JP,A)
【文献】特表2015-505921(JP,A)
【文献】特開2012-002241(JP,A)
【文献】実開昭59-124983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
B60P 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷車に保冷空間を規定する保冷車用パネルであって、
第1の方向に伸びる平板状の第1壁材と、
前記第1壁材に対して所定の間隙を隔てて並行に配置される第2壁材と、
前記第1壁材と前記第2壁材とに挟まれる第1断熱材と、
前記第1断熱材の中に埋め込まれ、前記第1の方向に沿って複数配置される第2断熱材と、
前記第2断熱材の前記第1の方向の間に、前記第1の方向に対して交差する第2の方向に伸びるように複数配設される柱材と、
を備え、
前記第1断熱材は、押出式ポリスチレンフォームであり、
前記第2断熱材は、真空断熱材であり、
前記柱材は、前記第1壁材および前記第2壁材のいずれか一方の内面に接し、いずれか他方の内面には接していない、または、前記柱材は、前記第1壁材の内面および前記第2壁材の内面とは接しておらず、
前記柱材は、木材である、
保冷車用パネル。
【請求項2】
前記第1断熱材は、
前記第1壁材側に位置する第1壁材側断熱材と、
前記第2壁材側に位置する第2壁材側断熱材と、を含み、
前記第1壁材側断熱材および前記第2壁材側断熱材の少なくともいずれか一方には、対向する側に凹部領域が設けられ、
前記凹部領域に前記第2断熱材が配設されて、前記第1壁材側断熱材および前記第2壁材側断熱材により前記第2断熱材が、前記第1断熱材の中に埋め込まれている、請求項1に記載の保冷車用パネル。
【請求項3】
前記真空断熱材は、熱伝導率が、0.0025[W/(m・K)]である、請求項1または請求項2に記載の保冷車用パネル。
【請求項4】
前記第1壁材および前記第2壁材は、アルミ板またはFRP板である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の保冷車用パネル。
【請求項5】
保冷車用パネルを用いて保冷空間が規定された保冷車であって、
前記保冷車用パネルは、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の保冷車用パネルである、保冷車。
【請求項6】
前記保冷車用パネルとともに前記保冷空間を規定する床面パネルを含み、
前記床面パネルは、
当該保冷車側の床構造部材の上に配置される床面断熱パネル部材と、
前記床面断熱パネル部材の上に配置される床構造材と、
前記床構造材の上に配置される床面材と、
を有し、
前記床面断熱パネル部材は、
第4断熱材と、
前記第4断熱材の中に埋め込まれ、前記第1の方向に沿って複数配置される第5断熱材と、を有し、
前記第4断熱材は、押出式ポリスチレンフォームであり、
前記第5断熱材は、真空断熱材である、
請求項に記載の保冷車。
【請求項7】
前記第4断熱材の前記床構造材に対向する側には凹部領域が設けられ、
前記凹部領域に前記第5断熱材が配設されている、請求項に記載の保冷車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷車用パネルおよび保冷車に関する。
【背景技術】
【0002】
真空断熱材を有する保冷車用パネルに関する技術が、たとえば、特開平10-114245号公報(特許文献1)、特開平11-264497号公報(特許文献2)、特開2002-267344号公報(特許文献3)、特開2005-188714号公報(特許文献4)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-114245号公報
【文献】特開平11-264497号公報
【文献】特開2002-267344号公報
【文献】特開2005-188714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各特許文献に開示される保冷車用パネルは、高い断熱性を有する真空断熱材を含んでいる。上記真空断熱材を含むことで、上記保冷車用パネルを薄くすることができる。上記保冷車用パネルを薄くすることにより、保冷車の積載効率を向上させることができる。
【0005】
一方、上記保冷車用パネルを薄くすることで、積荷のラッシングもしくは保冷車運転時の振動の外力に対する上記保冷車用パネルの強度が不足する。上記保冷車用パネルの強度不足により、上記保冷車用パネルが変形するなどし、内部の上記真空断熱材が破損して保冷能力が低下する課題があった。
【0006】
本発明の目的は、外力に耐えることができる優れた強度を持つ保冷車用パネルおよび保冷車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係わる保冷車用パネルは、保冷車に保冷空間を規定する。上記保冷車用パネルは、第1壁材と、第2壁材と、第1断熱材と、第2断熱材と、柱材とを備えている。上記第1壁材は第1の方向に伸びる平板形状である。上記第2壁材は、上記第1壁材に対して所定の間隙を隔てて並行に配置されている。上記第1断熱材は、上記第1壁材と上記第2壁材とに挟まれている。上記第2断熱材は、上記第1断熱材の中に埋め込まれ、上記第1の方向に沿って複数配置されている。上記柱材は、上記第2断熱材の上記第1の方向の間に、上記第1の方向に対して交差する第2の方向に伸びるように複数配設されている。上記第1断熱材は、押出式ポリスチレンフォームである。上記第2断熱材は、真空断熱材である。
【0008】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記第1断熱材は、上記第1壁材側に位置する第1壁材側断熱材と、上記第2壁材側に位置する第2壁材側断熱材を含む。
【0009】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記第1壁材側断熱材および上記第2壁材側断熱材の少なくともいずれか一方には、対向する側に凹部領域が設けられている。
【0010】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記第2断熱材は、上記凹部領域に配設されている。
【0011】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記第2断熱材は、上記第1壁材側断熱材および上記第2壁材側断熱材により上記第1断熱材の中に埋め込まれている。
【0012】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記柱材は、上記第1壁材および上記第2壁材の少なくともいずれか一方の内面に接するように配設されている。
【0013】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記柱材は、木材である。
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記真空断熱材の熱伝導率は、0.0025[W/(m・K)]である。
【0014】
上記保冷車用パネルの他の形態においては、上記第1壁材および上記第2壁材は、アルミ板またはFRP板である。
【0015】
本開示に係わる保冷車は、上記いずれかに記載の保冷車用パネルを用いて保冷空間が規定される。
【0016】
上記保冷車の他の形態においては、上記保冷車用パネルとともに上記保冷空間を規定する床面パネルを含み、上記床面パネルは、当該保冷車側の床構造部材の上に配置される床面断熱パネル部材と、上記床面断熱パネル部材の上に配置される床構造材と、上記床構造材の上に配置される床面材と、を有し、上記床面断熱パネル部材は、上記第4断熱材と、上記第4断熱材の中に埋め込まれ、上記第1の方向に沿って複数配置される第5断熱材と、を有し、上記第4断熱材は、押出式ポリスチレンフォームであり、上記第5断熱材は、真空断熱材である。
【0017】
上記保冷車の他の形態においては、上記第4断熱材の上記床構造材に対向する側には凹部領域が設けられ、上記凹部領域に上記第5断熱材が配設されている。
【発明の効果】
【0018】
本開示に従えば、外力に耐えることができる優れた強度を持つ保冷車用パネルおよび保冷車を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1の保冷車の概略図である。
図2】実施の形態1の保冷車用パネルの構造を示す一部破断線で示した概略図である。
図3】実施の形態1の保冷車用パネルの構造を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態1の保冷車用パネルの変形例1の構造を示す一部破断線で示した概略図である。
図5】実施の形態1の保冷車用パネルの変形例2の構造を示す一部破断線で示した概略図である。
図6】実施の形態1の保冷車用パネルの変形例3の構造を示す一部破断線で示した概略図である。
図7図2中のVII-VII線矢視断面図である。
図8】実施の形態2の保冷車用パネルの部分断面図である。
図9】実施の形態3の保冷車用パネルの部分断面図である。
図10】実施の形態4の保冷車用パネルの部分断面図である。
図11】他の実施の形態の保冷車用パネルの部分断面図である。
図12】他の実施の形態の保冷車用パネルの部分断面図である。
図13】実施の形態5の保冷車の床面パネルの概略平面図である。
図14図13中のXIV-XIV線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態における保冷車用パネル110および保冷車1について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0021】
図中に示す第1の方向としてのX方向は、保冷車1の前後方向に相当し、保冷車用パネル110の長手方向となる。第1の方向に対して交差する第2の方向としてのY方向は、側面に位置する保冷車用パネル110にあっては、幅方向となり、天面に位置する保冷車用パネル110にあっては、厚さ方向となる。第1の方向および第2の方向の交差する第3の方向としてのZ方向は、側面に位置する保冷車用パネル110にあっては、厚さ方向となり、天面に位置する保冷車用パネル110にあっては、幅方向となる。以下の説明では、側面に配置される保冷車用パネル110に基づき説明するが、天面に配置される保冷車用パネル110も同様である。
【0022】
以下の説明で並行とは、相互の間隔がどの位置であっても同一に配置される平行を含み、本実施の形態では、この平行の意味より若干場所によっては間隔が異なってよい、緩やかな意味として並行という文言を用いている。
【0023】
[実施の形態1]
<保冷車1>
図1は、本実施の形態の保冷車1の概略図である。図1を参照して、本実施の形態の保冷車1の概略的な構成について説明する。
【0024】
保冷車1は、後述する保冷車用パネル110を主に備えている。保冷車用パネル110は、保冷車1の荷台の、両側面および天面に設置され保冷空間を規定する。保冷車用パネル110同士は、公知の金具等を用いて保冷性能に影響を与えないように連結されている。
【0025】
<保冷車用パネル110>
図2は、保冷車用パネルの構造を示す一部破断線で示した概略図、図3は、保冷車用パネル110の構造を示す分解斜視図、図7は、図2中のVII-VII線矢視断面図である。図2図3および図7を参照して、保冷車用パネル110について説明する。
【0026】
保冷車用パネル110は、第1壁材111と、第2壁材112と、第1断熱材113と、第2断熱材114と、柱材115とを備えている。第1断熱材113は、第1壁材111側に配置される第1壁材側断熱材113aと、第2壁材112側に配置される第2壁材側断熱材113bとを含んでいる。図2において、第1壁材111は、荷室内面側に配置され、第2壁材112は、荷室外面側に配置されている。
【0027】
第1壁材111は、第1の方向(図中X方向)に伸びる矩形の平板である。第1壁材111の第1の方向における長辺は、約3500[mm]~約3700[mm]である。本実施の形態における第1壁材111の長辺は、たとえば、約3610[mm]である。第1壁材111の短辺(図中Y方向)は、約1900[mm]~約2100[mm]である。本実施の形態における第1壁材111の短辺は、たとえば、約2001[mm]である。
【0028】
第1壁材111は、アルミ板またはFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)板で構成される。アルミ板の場合、第1壁材111の厚みは、約0.7[mm]~約0.9[mm]である。本実施の形態におけるアルミ板を使用した場合の第1壁材111の厚みは、たとえば、約0.8[mm]である。
【0029】
第1壁材111がFRP板で構成される場合、第1壁材111の厚みは、約1.4[mm]~約1.6[mm]である。本実施の形態におけるFRP板を使用した場合の第1壁材111の厚みは、たとえば、約1.5[mm]である。
【0030】
第2壁材112は、第1壁材111に対して所定の間隙を隔てて並行に配置される矩形の平板である。第2壁材112の第1の方向(図中X方向)における長辺は、約3500[mm]~約3700[mm]である。本実施の形態における第2壁材112の長辺は、たとえば、約3610[mm]である。第2壁材112の短辺(図中Y方向)は、約1900[mm]~約2100[mm]である。本実施の形態における第2壁材112の短辺は、たとえば、約2001[mm]である。
【0031】
第2壁材112は、アルミ板またはFRP板で構成される。アルミ板の場合、第2壁材112の厚みは、約0.7[mm]~約0.9[mm]である。本実施の形態におけるアルミ板を使用した場合の第2壁材112の厚みは、たとえば、約0.8[mm]である。
【0032】
第2壁材112がFRP板で構成される場合、第2壁材112の厚みは、約1.4[mm]~約1.6[mm]である。本実施の形態におけるFRP板を使用した場合の第2壁材112の厚みは、たとえば、約1.5[mm]である。
【0033】
第1断熱材113は、第1壁材111と第2壁材112とに挟まれて設置される樹脂製断熱材である。上記断熱材は、たとえば、板状の押出式ポリスチレンフォーム(XPS)を用いるとよい。第1壁材111と第2壁材112との第1の方向(X方向)に、所定の間隙を隔てて4枚の第1断熱材113が、並行に配設される。
【0034】
図3を参照して、第1断熱材113は、第1壁材111側に配置される第1壁材側断熱材113aと、第2壁材112側に配置される第2壁材側断熱材113bとを含む。第1壁材側断熱材113aと第2壁材側断熱材113bとの間には、2行2列に配置された4つの第2断熱材114が埋め込まれている。
【0035】
本実施の形態では、第1壁材側断熱材113aと第2壁材側断熱材113bとの間に埋め込まれた4つの第2断熱材114を1セットの断熱構造とした場合には、4セットの断熱構造が、第1壁材111と第2壁材112とのX方向に沿って配置されている。
【0036】
図4は、保冷車用パネルの変形例1の構造を示す一部破断線で示した概略図、図5は、保冷車用パネルの変形例2の構造を示す一部破断線で示した概略図、図6は、保冷車用パネルの変形例3の構造を示す一部破断線で示した概略図である。
【0037】
図4図5および図6に示すように、1つの第1壁材側断熱材113aと1つの第2壁材側断熱材113bに埋め込まれる第2断熱材114を1セットの断熱構造とした場合、1セットの断熱構造に含まれる第2断熱材114の数量は、1つもしくは2つでもよい。
【0038】
さらに、1セットの断熱構造に含まれる第2断熱材114が複数である場合、第2断熱材114の配置は、第1の方向もしくは第2の方向のどちらにも並列に配設されてよい。このように、1セットの断熱構造に含まれる第2断熱材114の数量および配置は、保冷車用パネル110の要求される保冷性能に応じて適宜変更可能である。
【0039】
隣接する第1壁材側断熱材113aの間には、X方向に対して交差するY方向に伸びるように柱材115が配設されている。本実施の形態では、5本の柱材115が、並行に配設される。柱材115は、荷室内面側に配置された第1壁材111に接するように配置されている。他方、隣接する第2壁材側断熱材113bの端部は、相互に突き合わされるように配置されている。
【0040】
柱材115は、たとえば、断面形状において、一辺が約30[mm]の正方形である。柱材115のY方向は、第1壁材111の幅方向(Y方向)において一端から他端にまで伸びるように配置されている。柱材115は、たとえば、木材である。柱材115の材質は、木材に限らず、樹脂材、鋼管あるいはアルミ管でもよい。
【0041】
第1壁材側断熱材113a、第2壁材側断熱材113b、第2断熱材114、および、柱材115の各数量は一例であり、本実施の形態に限定されない。
【0042】
図7を参照して、第1壁材側断熱材113aの図7中の厚み(Z方向)は、たとえば、約30[mm]である。第1壁材側断熱材113aには、第2断熱材114を挟み込む領域に対応して凹部領域113cが、設けられている。本実施の形態では、第1壁材111側に設けられる凹部領域113cは、ベースとなる第1壁材側断熱材113aに凹部領域113cを取り囲むように断熱材を貼り付けることにより、凹部領域113cを形成している。なお、第1壁材側断熱材113aの成型段階で型を用いて凹部領域113cを形成してもよい。
【0043】
第2壁材側断熱材113bの図7中の厚み(Z方向)は、たとえば、約20[mm]である。
【0044】
第2断熱材114は、第1壁材側断熱材113aの凹部領域113cに埋め込まれている真空断熱材である。上記真空断熱材は、パナソニック社製のU-Vacua(登録商標)が好ましい。上記真空断熱材の熱伝導率は、たとえば、0.0025[W/(m・K)]である。先行文献2および先行文献3で使用されている真空断熱材に比べて、約3.2倍の断熱性能を有する。上記真空断熱材の熱伝導率は、0.0025[W/(m・K)]未満でも良い。
【0045】
第1壁材111、柱材115、第1壁材側断熱材113a、第2断熱材114、第2壁材側断熱材113b、および、第2壁材112は、それぞれ相互の接触面に接着材が塗布された後に加圧される。これにより、相互の部材が強固に固定される。
【0046】
(作用・効果)
本実施の形態における保冷車用パネル110によれば、第2断熱材114が、第1壁材側断熱材113aおよび第2壁材側断熱材113bに挟み込まれている。この構造により第2断熱材114が両面側から保護され、第2断熱材114に対する外力が軽減される。その結果、第2断熱材114の破損を防ぐことができる。
【0047】
第2断熱材114に真空断熱材を用いることで、保冷車用パネル110の断熱効率を向上させる。断熱効率の向上により、保冷車用パネル110を薄くすることができる。保冷空間を規制する保冷車用パネルが薄くなると、保冷車1の保冷空間が増加し、荷物の積載効率が向上する。また、上記真空断熱材を有する保冷車用パネル110は、予冷能力を向上させる。上記予冷能力が向上することにより、搬送効率が向上する。これにより、保冷車1による輸送効率の向上が図られ、運転手不足の解消、運転手の労働環境の改善を期待することができる。
【0048】
さらに、柱材115は、保冷車用パネル110の外力に対する強度を上げる。保冷車用パネル110の強度が向上することにより、ラッシング時に保冷車用パネル110のZ方向へかかる負荷に対して耐久性が向上する。さらに、保冷車用パネル110の強度の向上は、保冷車運転時の振動による断熱パネルの変形に対しても耐久性が向上し、真空断熱材の破損を防ぐことができる。
【0049】
柱材115を、荷室内面側の第1壁材111の内面に接するように配置することで、荷室内面に設けられるラッシングレール(図示省略)を、ビスを用いてこの柱材115に固定することができる。
【0050】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2の保冷車用パネル110の概略断面を示す図である。実施の形態2の第1壁材側断熱材113aは凹部領域が形成されていない平板である。他方、第2壁材側断熱材113bに、第1壁材側断熱材113aに対向する面に凹部領域113cが形成されている。他の構成については、実施の形態1の保冷車用パネル110と同様である。第2断熱材114は、第2壁材側断熱材113bの凹部領域113cに埋め込まれている。
【0051】
実施の形態2の保冷車用パネル110においても、実施の形態1と同様に断熱効率を向上させるとともに、保冷車用パネル110のY方向へかかる負荷に対する耐久性を向上させる効果が得られる。
【0052】
[実施の形態3]
図9は、実施の形態3の保冷車用パネル110の概略断面を示すである。実施の形態2の第1壁材側断熱材113aおよび第2壁材側断熱材113bの相互に対向する面に、凹部領域113cが形成されている。他の構成については、実施の形態1の保冷車用パネル110と同様である。第2断熱材114は、第1壁材側断熱材113aおよび第2壁材側断熱材113bによって規定される凹部領域113cに埋め込まれる。
【0053】
実施の形態3の保冷車用パネル110においても、実施の形態1と同様に断熱効率を向上させる効果が得られる。
【0054】
[実施の形態4]
図10は、実施の形態4の保冷車用パネル110を示す概略断面図である。実施の形態4の柱材115は、第1壁材111および第2壁材112と接していない。荷室内面に設けられるラッシングレールを、柱材115に固定する必要がない場合には、この構成を採用することができる。他の構成については、実施の形態1の保冷車用パネル110と同様である。柱材115は、第1壁材側断熱材113aおよび第2壁材側断熱材113bに隣接する。
【0055】
実施の形態4の保冷車用パネル110においても、実施の形態1と同様に断熱効率を向上させるとともに、保冷車用パネル110のY方向へかかる負荷に対する耐久性を向上させる効果が得られる。
【0056】
また、他の形態として、柱材115が第2壁材112に接する構成(図11参照)、柱材115が第1壁材111および第2壁材112のいずれにも接する構成(図12参照)を採用することも可能である。
【0057】
[実施の形態5]
次に、図13および図14を参照して、実施の形態5として、保冷車1の上記保冷車用パネル110とともに保冷空間を規定する床面パネル130の構造について説明する。図13は、保冷車1の床面パネル130の概略平面図、図14は、図13中のXIV-XIV線矢視断面図である。
【0058】
両図を参照して、床面パネル130は、保冷車1側の床構造部材210の上に配置される床面断熱パネル部材230と、この床面断熱パネル部材230の上に配置される床構造材212と、この床構造材212の上に配置される床面材213と、を有している。
【0059】
床面断熱パネル部材230は、第4断熱材231と、この第4断熱材231の中に埋め込まれ、第1の方向(図中X方向)に沿って複数配置される第5断熱材232と、を有している。第5断熱材232は、各第4断熱材231に埋め込まれている。本実施の形態では、第4断熱材231の床構造材212に対向する側には凹部領域231aが設けられ、この凹部領域231aに第5断熱材232が配設されるように埋め込まれている。
【0060】
第5断熱材232を第4断熱材231に設けた凹部領域231aに埋め込む構成には限定されず、たとえば、2枚の第5断熱材232の中間領域に第5断熱材232を挟み込む構成を採用してもよい。
【0061】
図示において左側から3枚の第4断熱材231のそれぞれには、2行2列に配置された合計4枚の第5断熱材232が配設されている。右から1枚目の第4断熱材231には、2枚の第5断熱材232が配設されている。各第4断熱材231に埋め込まれる第5断熱材232の数量および配置は、図示される個数に限定されず、床面パネル130の要求される保冷性能に応じて適宜変更可能である。
【0062】
第4断熱材231には、板状の押出式ポリスチレンフォーム(XPS)を用いるとよい。本実施の形態では、第1の方向(図中X方向)に沿って4枚の第4断熱材231が配置されている。第4断熱材231の厚みは、たとえば、約50[mm]である。
【0063】
第5断熱材232には、真空断熱材を用いるとよい。本実施の形態では、パナソニック社製のU-Vacua(登録商標)が好ましい。上記真空断熱材の熱伝導率は、たとえば、0.0025[W/(m・K)]である。先行文献2および先行文献3で使用されている真空断熱材に比べて、約3.2倍の断熱性能を有する。上記真空断熱材の熱伝導率は、0.0025[W/(m・K)]未満でも良い。第5断熱材232の厚さは、約8[mm]~10[mm]である。
【0064】
床構造材212には、合板等のベニア板を用いるとよい。床構造材212の厚みは、たとえば、約9[mm]である。床面材213には、アルミ板を用いるとよい。床面材213の厚みは、約2.5[mm]である。
【0065】
保冷車1側の床構造部材210としては、保冷車1の前後方向である第1の方向(図中X方向)に延びる縦骨材250、この縦骨材250に対して交差する方向(第3の方向:保冷車1の幅方向:図13中矢印Z方向)に延びる横骨材240を有する。縦骨材250は、第1の方向に、2本設けられている。縦骨材250には、たとえば、リップ溝形鋼等が用いられる。横骨材240は、第3の方向に、複数本設けられている。横骨材240には、たとえば、Z形鋼等が用いられる。
【0066】
第4断熱材231の下面には、下面材220が配置されている。下面材220には、アルミまたはFRPを用いるよい。下面材220の厚みは、約0.8[mm]である。下面材220および第4断熱材231の前方側においては、保冷車1の構造部材(図示省略)との干渉を避けるために、上方に向けて窪む凹み領域220aが設けられている。下面材220と横骨材240の上面との間には、変成シリコーンS1が塗布されている。
【0067】
以上、上記構成を備える床面パネル130を採用した保冷車1によれば、上記保冷車用パネル110とともに保冷空間に対する断熱効率を向上させることを可能とする。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 保冷車、110 保冷車用パネル、111 第1壁材、112 第2壁材、113 第1断熱材、113a 第1壁材側断熱材、113b 第2壁材側断熱材、113c 凹部領域、114 第2断熱材、115 柱材、130 床面パネル、210 床構造部材、212 床構造材、213 床面材、220 下面材、220a 凹み領域、230 床面断熱パネル部材、231 第4断熱材、231a 凹部領域、232 第5断熱材、240 横骨材、250 縦骨材、S1 変成シリコーン。
図1
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