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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】現像剤収容容器、現像装置、カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241111BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G15/08 340
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020102716
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021196495
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫出 陽介
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318046(JP,A)
【文献】特開2005-337108(JP,A)
【文献】特開2014-219432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤収容容器であって、
第1方向が長手方向である第1枠体と、
前記第1枠体と溶着されることによって前記第1枠体と共に現像剤を収容するための収容部を形成する第2枠体であって、前記第1方向が長手方向であり且つ前記第1方向に直交する第2方向に整列する第2枠体と、
を備え、
前記第1枠体は、前記第1方向に延びる前記第1枠体の縁部に設けられ且つ前記第2方向において前記第2枠体の側を向いた第1フランジ面を有する第1フランジ部を有し、
前記第1フランジ面には、前記第2方向に突出する第1壁部と、前記第2方向に突出する第2壁部であって前記第1方向と前記第2方向の双方と直交する第3方向において前記第1壁部と整列する第2壁部と、前記第3方向に関し前記第1壁部と前記第2壁部の間において前記第2方向に突出する溶着部と、前記第1壁部及び前記第2壁部の少なくともいずれかと前記溶着部との間に設けられ前記溶着部の溶着の際に溶融エネルギーを付与されるエネルギーダイレクタにおいて前記溶着部の周りに延出した溶融部を収容する溝部と、が設けられ、
前記第2枠体は、前記第1方向に延びる前記第2枠体の縁部に設けられ且つ前記第2方向において前記第1枠体の側を向いた第2フランジ面を有する第2フランジ部を有し、
前記第2フランジ部は、前記第2フランジ面が前記第1フランジ面の前記溶着部と溶着され且つ前記第1壁部と前記第2壁部によって前記第1フランジ部に対する前記第3方向の移動が規制されるように、前記第1壁部と前記第2壁部の間に挿入されており、
前記溝部は、前記第1フランジ面の前記溶着部の外周側に設けられ、前記溶着の際に前記エネルギーダイレクタにおいて外周側に延出した外周溶融部を収容する、環状の第1溝部と、前記第1フランジ面の前記溶着部の内周側に設けられ、前記溶着の際に前記エネルギーダイレクタにおいて内周側に延出した内周溶融部を収容する、環状の第2溝部と、を含む
ことを特徴とする現像剤収容容器。
【請求項2】
前記第1フランジ面は、前記第3方向における前記第1壁部と前記溶着部の間において前記溶着部と隣接する第1領域と、前記第3方向における前記第2壁部と前記溶着部の間
において前記溶着部と隣接する第2領域と、を含み、
前記溝部は、前記第1フランジ面の前記第1領域と前記第2領域において、前記第2枠体から離れる方向に凹む、
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤収容容器。
【請求項3】
前記溶着部を第1溶着部とした場合において、
前記第1フランジ面には、前記第2方向に突出する第3壁部と、前記第2方向に突出する第4壁部であって前記第3方向において前記第3壁部と整列する第4壁部と、前記第3方向に関し前記第3壁部と前記第4壁部の間において前記第2方向に突出する第2溶着部と、
が設けられ、
前記第3壁部及び前記第4壁部は、前記第1方向において、前記第1壁部及び前記第2壁部と同じ位置に設けられ、
前記第2フランジ部は、前記第2フランジ面が前記第1フランジ面の前記第2溶着部と溶着され且つ前記第3壁部と前記第4壁部によって前記第1フランジ部に対する前記第3方向の移動が規制されるように、前記第3壁部と前記第4壁部の間に挿入されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤収容容器。
【請求項4】
前記第1壁部及び前記第2壁部及び前記第1溶着部は、前記第1方向における前記第1枠体の中央部に設けられ、
前記第3壁部及び前記第4壁部及び前記第2溶着部は、前記第1方向における前記第1枠体の中央部に設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の現像剤収容容器。
【請求項5】
前記第1壁部の先端部には、前記第2方向において前記先端部の先端に近づくにつれて前記第3方向において前記第2壁部から離れる方向に延びる面が設けられ、
前記第2壁部の先端部には、前記第2方向において前記先端部の先端に近づくにつれて前記第3方向において前記第1壁部から離れる方向に延びる面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項6】
前記第1フランジ面の前記溶着部が設けられた領域の反対側にある前記第1フランジ部の面は平面であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像剤収容容
器。
【請求項7】
前記第1壁部は、前記第2方向に前記第2フランジ部の厚みよりも長く突出していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項8】
前記第2壁部は、前記収容部内に位置することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項9】
前記第3壁部は、前記第2方向に前記第2フランジ部の厚みよりも長く突出していることを特徴とする請求項3又は4に記載の現像剤収容容器。
【請求項10】
前記第3壁部は、前記収容部内に位置することを特徴とする請求項3、4、9のいずれか1項に記載の現像剤収容容器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器に収容された現像剤を担持する現像剤担持体と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なカートリッジであって、
請求項1~10のいずれか1項に記載の現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器に収容された現像剤を担持する現像剤担持体と、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジおよびこれを用いた電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体および前記電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。従来のプロセスカートリッジは、現像剤を収納するとともに撹拌部を配設し、現像部材としての現像ローラや現像ブレードなどの現像手段を保持する現像装置ユニットを有する。さらに、感光体ドラム、クリーニングブレードおよび除去現像剤溜め等のクリーニング手段および帯電ローラ等をドラム枠体に取り付けて構成した感光体ユニットを有する。そして、これらの現像装置ユニットと感光体ユニットを揺動可能にあるいは一体に結合することによってカートリッジ化されている。
【0003】
このようなプロセスカートリッジにおいて、現像装置あるいは現像装置ユニットは、通常、現像部材としての現像ローラおよび現像ブレード等を支持し、現像剤を収容する現像容器と、現像容器と合体することにより現像剤収容部を形成する底部材の2つに分割して構成される。そして、これら現像容器と底部材は溶着フランジと溶着部を超音波溶着にて結合して構成される。
【0004】
以下に、超音波溶着の構成について、図15を用いて説明する。図15は、エネルギーダイレクタ880a近傍の断面図であり、超音波溶着完了後の状態を示している。
【0005】
超音波溶着は,ピエゾ素子の振動を溶着ホーン890によって増幅し,その溶着ホーンをホーン受け部材880に十分な圧力をかけ押し付け、溶着ホーン890の振動をホーン受け部材880に設けられたエネルギーダイレクタ880aへ伝播させエネルギーダイレクタ880aを溶融することでホーン受け部材880と被接合部材881を接合する技術である。
【0006】
この際、溶着ホーン890の対向側の被接合部材881には、溶着ホーン890からエネルギーダイレクタ880aへ十分圧力が与えられるよう、溶着フランジ881aを設け、前記フランジを溶着バックアップ891で支える構成になっている。さらに、振動によって溶融したエネルギーダイレクタ880aが流れ込むための空間であるダイレクタ収容部880bを設ける必要がある。
【0007】
ここで、現像枠体と底部材を超音波溶着で確実に接合するためには、溶着フランジと溶着部の接合面同士が安定して接触した状態で超音波溶着を行うことが求められる。これに対し、現像剤装置ユニットとして用いられている材料は低コストと大量生産を加味し、PSやPPなどモールド部材を使用しており、そのため、各部品の成形時にはそれぞれ反りが生じる。そのため、従来は、溶着フランジと溶着部の接合面同士が安定して接触できるよう、特開2002-14520、特開2003-248370の図中に記載されているような、溶着ダイレクタを挟むように壁面部を設け、接合面同士のズレや脱落を防止する構成がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-014520号公報
【文献】特開2003-248370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、近年の市場での製品競争力向上のため、カートリッジの小型化や低コスト化が求められ、溶着フランジと溶着部の小型化および、部品全体の薄肉化によるコストダウンが求められるようになっている。そこで、上記従来の構成の部品全体の薄肉化の例として、先ほどの図15を用いて説明する。部品全体の薄肉化を行うために、図15に記載のホーン受け部材のRR部の厚みとLL部の厚みの薄くしたいが、LL部の幅を小さくすると先述したダイレクタ収容部880bのスペースが小さくなってしまう。よって、従来構成では、LL部を小さくするには、限界があり、そのため、部品の肉薄化を進めると、RR部の厚みは、薄肉化可能だが、LL部は厚みを薄くできずLLの厚み>RRの厚みという関係になり、部品全体が偏肉になってしまう。故に、従来構成では、部品全体の薄肉化を行うと、薄肉化が困難な溶着ダイレクタ近傍と薄肉化可能な他の部分との偏肉が大きくなり、部品の精度が出しづらくなるため困難である。
【0010】
本発明の目的は、安定した超音波溶着による接合と、現像枠体と底部材の部品の薄肉化によるコストダウンと、を両立させた現像剤収納容器、現像剤収納容器を用いた現像装置、現像剤収納容器を用いたカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の現像剤収容容器は、
第1方向が長手方向である第1枠体と、
前記第1枠体と溶着されることによって前記第1枠体と共に現像剤を収容するための収容部を形成する第2枠体であって、前記第1方向が長手方向であり且つ前記第1方向に直交する第2方向に整列する第2枠体と、
を備え、
前記第1枠体は、前記第1方向に延びる前記第1枠体の縁部に設けられ且つ前記第2方向において前記第2枠体の側を向いた第1フランジ面を有する第1フランジ部を有し、
前記第1フランジ面には、前記第2方向に突出する第1壁部と、前記第2方向に突出する第2壁部であって前記第1方向と前記第2方向の双方と直交する第3方向において前記第1壁部と整列する第2壁部と、前記第3方向に関し前記第1壁部と前記第2壁部の間において前記第2方向に突出する溶着部と、前記第1壁部及び前記第2壁部の少なくともいずれかと前記溶着部との間に設けられ前記溶着部の溶着の際に溶融エネルギーを付与されるエネルギーダイレクタにおいて前記溶着部の周りに延出した溶融部を収容する溝部と、が設けられ、
前記第2枠体は、前記第1方向に延びる前記第2枠体の縁部に設けられ且つ前記第2方向において前記第1枠体の側を向いた第2フランジ面を有する第2フランジ部を有し、
前記第2フランジ部は、前記第2フランジ面が前記第1フランジ面の前記溶着部と溶着され且つ前記第1壁部と前記第2壁部によって前記第1フランジ部に対する前記第3方向の移動が規制されるように、前記第1壁部と前記第2壁部の間に挿入されており、
前記溝部は、前記第1フランジ面の前記溶着部の外周側に設けられ、前記溶着の際に前記エネルギーダイレクタにおいて外周側に延出した外周溶融部を収容する、環状の第1溝部と、前記第1フランジ面の前記溶着部の内周側に設けられ、前記溶着の際に前記エネルギーダイレクタにおいて内周側に延出した内周溶融部を収容する、環状の第2溝部と、を含む
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、製品の薄肉化と安定した超音波溶着による接合の両立が可能な現像剤収容容器、および、現像装置、カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1における底部材の説明図
図2】電子写真画像形成装置の画像形成装置本体及びカートリッジの断面図
図3】カートリッジの断面図
図4】カートリッジの構成を説明する斜視図
図5】カートリッジの構成を説明する斜視図
図6】カートリッジの装着を説明するための画像形成装置のガイド部の断面図
図7】カートリッジの位置決めを説明するための画像形成装置の断面図
図8】カートリッジが装置本体から駆動力を受ける構成を説明する斜視図
図9】現像枠体の説明図
図10】実施例1における底部材の他の構成についての説明図
図11】現像容器と底部材が反りを矯正しつつ合わさる過程の説明図
図12】現像容器と底部材が超音波溶着バックアップで保持された状態の説明図
図13】現像容器と底部材が超音波溶着により接合されるまでの工程の説明図
図14】実施例2における底部材の説明図
図15】従来の超音波溶着構成の説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0015】
<実施例1>
以下、本発明の実施例に係るプロセスカートリッジおよびこれを用いた電子写真画像形成装置について説明する。ここで、プロセスカートリッジとは、感光体と、この感光体に作用するプロセス手段とを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着されるものである。例えば、感光体と、前記プロセス手段としての、現像手段、帯電手段、クリーニング手段の少なくとも一つを一体的にカートリッジ化したものが挙げられる。また、電子写真画像形成装置とは電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0016】
図2および図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。図2は、本発明の一実施の形態である電子写真画像形成装置の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。図3は、カートリッジBの断面図である。ここで、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。なお、電子写真感光体ドラムの回転軸線方向を長手方向とする。また、長手方向において、画像形成装置本体から
電子写真感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0017】
<電子写真画像形成装置全体構成>
図2に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの像担持体としての電子写真感光体ドラム62に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材PAと記載する)を収納したシートトレイ4が配置されている。電子写真感光体ドラム62は、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である。
【0018】
更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0019】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム62あるいは、単にドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0020】
バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する(図3参照)。
【0021】
露光装置3は、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。そのレーザー光LはカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられたレーザー開口71hを通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0022】
一方、図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
【0023】
トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32は、ドラム62に形成された潜像を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。
【0024】
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ供給され、潜像を現像する。これにより、潜像はトナー像として可視像化される。ドラム62はその表面に潜像や、トナーで形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体である。また、図2に示すように、レーザー光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材PAに順次転写されていく。
【0025】
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9
aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
【0026】
一方、図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニング部材77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナークリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60は感光体ドラム62を有する感光体ドラムユニットである。
【0027】
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77がドラム62に作用するプロセス手段である。
【0028】
<カートリッジ全体の構成>
次にカートリッジBの全体構成について図3図4図5を用いて説明する。図3はカートリッジBの断面図、図4図5は、カートリッジBの構成を説明する斜視図である。なお本実施例においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
【0029】
カートリッジBは、クリーニングユニット(感光体保持ユニット、ドラム保持ユニット、像担持体保持ユニット、第1ユニット)60と、現像ユニット(現像剤担持体保持ユニット、第2ユニット)20を有する。
【0030】
図3に示すように、クリーニングユニット60は、ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持するクリーニング枠体71を有する。ドラム62は、駆動側において、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aにより回転可能に支持される(図4参照)。広義には、ドラム軸受73とクリーニング枠体71を総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。
【0031】
非駆動側において、図5に示すように、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、非駆動側ドラムフランジの穴部(不図示)を回転可能に支持される構成となっている。各ドラムフランジは軸受部によって回転可能に支持される被軸受部である。
【0032】
図3に示すように、クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触して配置される。
【0033】
クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム62の回転方向Rの上流側を向くようにドラム62に当接している。
【0034】
クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。
【0035】
また、図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
【0036】
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ロ
ーラ軸受67を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。
【0037】
なお、クリーニング枠体71の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム62の回転軸線が延びる方向(軸線方向)と略平行である。そのため以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に軸線方向といった場合には、ドラム62の軸線方向を意図する。
【0038】
帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧されることでドラム62に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動回転する。
【0039】
図3に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(図4)、27(図5)により回転可能に現像容器23に取り付けられている。
【0040】
また、現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。図4図5に示すように、現像ローラ32には間隔保持部材38が現像ローラ32の両端部に取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62が当接することで、現像ローラ32はドラム62と微少隙間をもって保持される。また、図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように現像容器23の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0041】
図4図5に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60と現像ユニット20を合体して構成される。現像ユニット20とクリーニングユニット60の結合の際には、まずクリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。即ち、ドラム62に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受73をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0042】
本実施例においては非駆動側付勢部材46L(図5)、駆動側付勢部材46R(図4)は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、駆動側付勢部材46Lと非駆動側付勢部材46Rが、現像ユニット20をクリーニングユニット60に付勢させることで現像ローラ32をドラム62の方向へ確実に押し付けるよう構成する。さらに、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38を備えている。即ち、ドラム62と現像ローラ32が間隔保持部材38を介して所定の接触圧で接触することで、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持され、それぞれの相対位置が決まる。
【0043】
<カートリッジ装着>
次にカートリッジBの装着について、図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)を用いて具体的に説明する。図6(a)はカートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの駆動側ガイド部の断面図であり、図6(b)はカートリッジBの装着を説明
するための画像形成装置Aの非駆動側ガイド部の断面図である。図7(a)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの駆動側断面図である。図7(b)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの非駆動側断面図である。カートリッジBの装着の説明をする。図6(a)、図6(b)に示すように、第1駆動側板15は、ガイドとしてのガイドレール上15gとガイドレール15hとを有しており、非駆動側板16はガイドレール上16dとガイドレール16eとを有している。また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73は、被回転止め部73cを有している。なおカートリッジBの装着方向は、ドラム62(図3)の軸線と実質的に直交する方向(矢印C)である。
【0044】
またクリーニング枠体71は長手方向において非駆動側に第1位置決め部としての被位置決め部71dと、第2位置決め部としての被回転止め部71fとを有している。カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ挿入口17から装着すると、カートリッジBの駆動側がカートリッジBの被回転止め部73cとが装置本体Aのガイドレール15hにガイドされる。カートリッジBの非駆動側はカートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとが装置本体Aのガイドレール16dとガイドレール16eにガイドされる。これによって、カートリッジBは装置本体Aに装着される。
【0045】
次に、開閉扉13を閉じる状態を説明する。図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)に示すように、第1駆動側板15は、位置決めとしての位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cを有しており、非駆動側板16は、位置決め部16aと回転止め部上16cを有している。ドラム軸受73は、被位置決め部上(第1の被位置決め部、第1の突起、第1の張出部)73dと被位置決め部下(第2の被位置決め部、第2の突起、第2の張出部)73fとを有している。
【0046】
また、カートリッジ押圧部材1、2は、開閉扉13の軸方向両端に回転可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ19、21は、それぞれ画像形成装置Aに設けられた前板の長手方向において両端に取り付けられている。ドラム軸受73は付勢力受け部としての被押圧部73eを有し、クリーニング枠体71は非駆動側にて被押圧部71oを有する(図3参照)。開閉扉13を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73e、71oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ19、21によって付勢されたカートリッジ押圧部材1、2によって押圧される(図7参照)。
【0047】
これによって、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部上73dと被位置決め部下73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとに固定される。この結果、カートリッジBやドラム62が駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに固定される。これによって非駆動側にてカートリッジBやドラム62が位置決めされる。
【0048】
これまで、装置本体Aに対して、カートリッジBの位置を決める構成の一例として記載したが、位置決めとしての手段を限定する趣旨の記載ではない。カートリッジBの駆動側の被位置決め部73d、被回転止め部73f、及び、非駆動側の被位置決め部71d,被回転止め部71fに直接作用して、位置決め部それぞれを固定する構成でも良い。
【0049】
次に、カートリッジBが装置本体Aから駆動力を受ける構成について、図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)を用いて説明する。図8(a)は、装置本体Aの駆動部の構成を示す図で、図8(b)は、カートリッジBの駆動部の構成を示す図である。図8(c)は、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合する前の状態を示す図である。
図8(d)は、装置本体Aの電源が入って、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合した状態を示す図である。
【0050】
図8(a)に示すように、装置本体Aには、装置本体Aの駆動源(不図示)から駆動力を受けて、カートリッジBに駆動力を伝達する駆動伝達部材81が設けられている。また、図8(b)に示すように、カートリッジBには、駆動伝達部材81と係合して駆動力を受けるために、駆動側ドラムフランジ63に駆動受動部63bを設けている。ここで、開閉扉13を閉じて、装置本体Aの電源を入れると、駆動伝達部材81は、図8(c)の矢印E方向に移動する。そして、図8(d)のように、駆動伝達部材81の駆動伝達部81bと、駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bとが係合し、駆動側ドラムフランジ63を介して、ドラム62が回動する。また、駆動伝達部材81の外周部には歯車形状81gが設けられている。さらに、カートリッジBの現像ローラ32の端部には現像ローラギア90が結合されている。そして、図8(d)に示した駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bが係合した状態のとき、駆動伝達部材81に設けられた歯車形状81gと現像ローラギア90も噛合うように配置される。即ち、駆動伝達部材81によって、駆動側ドラムフランジを介してドラム62が回動すると同時に、現像ローラギア90を介して現像ローラ62も回動する。
【0051】
<現像容器23>
次に、本発明にかかる、現像容器23の説明を図9(a)、図9(b)、図9(c)を用いて説明をする。図9(a)は、現像容器23の斜視図であり、図9(b)は、現像容器23の連結口723cを正面からみた図であり、図9(c)は、現像容器23の反りの状態を示した図である。
【0052】
現像容器23は、図9(a)に示すように、トナー室29側に、大きく開いた底部材22との連結口723cが設けられた形状である。そして、連結口723cの外縁の全周に沿って、連結口723cを囲むように環状の第1フランジ部としての溶着フランジ723aが設けられている。さらに、図9(b)に示す様に、連結口723cを正面から見て、現像容器23の長手中央部で上下の溶着フランジ723aには、後述する底部材22との合体の際に挟み込まれる切り欠き部(714、715)が設けられている。
【0053】
図9(b)に示すように切り欠き部は、溶着フランジ723aの外端に設けられた、第1切り欠き部714と、トナー室側に設けられた第2切り欠き部715があり、どちらも溶着フランジ723aの高さ方向で、現像容器23の短手方向に切り欠かれている。なお、本実施例では、溶着フランジ723aの一部に切り欠き部を設けた構成を説明するが、切り欠き部がなく全域が一様な高さの溶着フランジ723a形状でも構わない。
【0054】
ここで、現像容器23の材料は、低コストと大量生産を加味し、PSやPPなどモールド部材を使用している。そのため、図9(c)に示すように、部品の成形時には、長手中央部が大きく凸になる方向(矢印F方向で、破線FRのような反りのプロフィール)または、長手中央部が大きく凹になる方向(矢印H方向で、破線HRのような反りのプロフィール)に反った部品になることがある。
【0055】
<底部材22>
次に、本発明にかかる、底部材22の説明を図1(a)、図1(b)、図1(c)、図1(d)、図10を用いて説明する。図1(a)は、底部材22の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の枠CYで囲んだ底部材22の長手中央部に設置された壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)の拡大斜視図であり、図1(c)は、図1(b)の底部材22の壁面部近傍(第1壁面部710、第2壁面部711)のCA-CAで切断した拡大断面図で、図1(d)は、底部材22の連結口722cを正面からみた図である。図
10は、壁面部を底部材22の長手3か所に設けた他の底部材22の例を示す斜視図である。
【0056】
底部材22は、図1(a)、図1(b)に示すように、底部材全域に大きく開いた、現像容器23との連結口722cが設けられた箱形状である。そして、連結口722cの外縁の全周に沿って、連結口722cを囲むように、環状の第2フランジ部としてのホーン受け部722dが設けられている。
【0057】
また、図1(b)および、図1(c)に示すように、ホーン受け部722dの短手方向略中央には、エネルギーダイレクタ722aが、ホーン受け部722d全周を途切れることなく設けられている。エネルギーダイレクタ722aは、リブ形状であり、ホーン受け部722dに交差する方向で、底部材22の連結口722cに略垂直方向外側に突出している。すなわち、ホーン受け部722dと溶着フランジ723aとの対向方向に突出している。
【0058】
さらに、ホーン受け部722d上で、エネルギーダイレクタ722aの両端には、超音波溶着時に溶けたエネルギーダイレクタ722aが収容されるためのダイレクタ収容部722bが設けられている。ダイレクタ収容部722bは、エネルギーダイレクタ722a全域に設けられ、超音波溶着時に溶融するエネルギーダイレクタ722aの体積以上の空間を確保した溝形状になっている。
【0059】
さらに、底部材22の連結口722cを正面から見て、底部材22の長手中央一部のホーン受け部722d上には、壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)が設けている。すなわち、連結口722c(連結口723c)は、現像容器23の長手方向に長い一対の長尺部と、これらと直交する短尺部とを含む、略矩形の開口形状を有し、その環状の縁部に沿って各フランジ部も同様の形状で環状に形成されている。なお、壁面部は、エネルギーダイレクタ722aの突出する方向で、底部材22の連結口722cから突出する方向に延びるリブ形状で、前述した現像容器23に設けられた切り欠き部に対応した位置に設置されている。
【0060】
また、図1(c)に示す様に、壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)は、誘い込み部710aと保持部710bが設けられている。保持部710bは、エネルギーダイレクタ722aの突出する方向で、底部材22の連結口722cから突出する方向に略平行な面である。保持面710aのエネルギーダイレクタ722aの突出する方向で、底部材22の連結口722cから突出する方向における長さは、同方向におけるエネルギーダイレクタ722aの長さよりも長くなっている。
【0061】
誘い込み部710aは、エネルギーダイレクタ722aの突出する方向で、底部材22の連結口722cから突出する方向でエネルギーダイレクタ722aから離れた側の保持部710b先端に連続的に設けられている。そして、誘い込み部710aは、壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)の突出する方向において、エネルギーダイレクタ722aから離れるにつれて、壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)の突出する方向に交差する方向でエネルギーダイレクタ722aから離れていく方向に傾斜した斜面を有する傾斜形状になっている。
【0062】
本実施例では、壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)の底部材長手方向における幅は、約10mm以下としているが、後述する超音波溶着における結合が可能であれば、この限りではない。
【0063】
また、壁面部は、図1のような底部材22の長手中央部1か所に限らない。図10に示
す様に、壁面部を底部材22の長手3か所に設けるなど、後述する超音波溶着における結合が可能であれば、壁面部の設置数に限定はない。また、本実施例の現像容器23の長手方向が、長尺の現像ローラ23の回転軸線方向と一致する構成となっており、各連結口の形状も同方向に長尺の形状を有しているが、連結口の構成はこれに限定されない。種々の連結口の構成において反りの影響が大きい箇所に、上記と同様の構成を適用することで、本実施例と同様の効果を奏せることは言うまでもない。
【0064】
第1壁面部710は、ホーン受け部722dの端部に設け、第2壁面部711は、連結口722c側に設けている。すなわち、第2壁面部711は、現像容器23と底部材22が溶着された後は、現像容器23と底部材22により形成されるトナー収容部内に位置することになる。そして、第1壁面部710と第2壁面部711は、エネルギーダイレクタ722aとダイレクタ収容部722bを挟むように設けている。壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)は、誘い込み部(110a、111a)と保持部(110b、111b)を有し、ホーン受け部722dに交差する方向で、底部材22の連結口722cに略垂直方向外側に突出している。
【0065】
本実施例の壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)の突出高さは、エネルギーダイレクタ722aの高さよりも高くしている。また、壁面部(第1壁面部710、第2壁面部711)の肉厚は、底部材全体の肉厚とほぼ同じ肉厚で形成されている。ここで、底部材22の材料は、前述した現像容器23と同様、低コストと大量生産を加味し、PSやPPなどモールド部材を使用している。そのため、図1(d)に示すように、部品の成形時には、長手中央部が大きく凸になる方向(矢印方向Jで、破線JRのような反りのプロフィール)または、長手中央部が大きく凹になる方向(矢印K方向で、破線KRのような反りのプロフィール)に反った部品になることがある。
【0066】
<現像容器23と底部材22の結合>
次に、本発明にかかる、現像容器23と底部材22の超音波接合による接合について説明する。現像剤収容容器としての現像容器23は、第1枠体部としての現像容器23自体と、第2枠体部としての底部材22とが溶着接合されることで、現像剤の収容部が形成される。ここで、超音波溶着による接合は、現像容器23と底部材22の合わせ、現像容器23の溶着フランジ723aを溶着バックアップ891で保持、底部材22のホーン受け部722dへ溶着ホーン890が降下し発振・接合という手順で行われる。以下の説明では、本発明の目的にかかる反った部品同士の反りを矯正しつつ安定した超音波溶着による接合に特化して、前述した現像容器23および、底部材22の長手中央部近傍1か所について説明する。このとき、現像容器23と底部材22の互いの反りの関係は、現像容器23の中央部が連結口723cと反対側である外側方向(矢印F方向で、破線FRのような反りのプロフィール)へ底部材22の反り以上に反った状態を代表の前提条件として、以下に説明する。
【0067】
<現像容器23と底部材22の合わせ>
まず、図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)、図11(e)を用いて現像容器23と底部材22の合わせについて説明する。図11(a)は、相対的に外側へ反った現像容器23に底部材22を合わせる直前の現像枠体中央部近傍の断面図であり、図11(b)は、壁面部の誘い込み部によって、相対的に反った現像容器23と底部材22が合わさっていく様子を示した現像枠体中央部近傍の断面図であり、図11(c)は、壁面部の保持部によって、現像容器23と底部材22の反りが矯正されながら合わさっていく様子を示した現像枠体中央部近傍の断面図であり、図11(d)は、現像容器23と底部材22とが反りが矯正されつつ合わせが完了した状態を示した現像枠体中央部近傍の断面図である。図11(e)は、現像容器23と底部材22との合わせが完了した状態を示した図である
【0068】
現像容器23と底部材22は、現像容器23の連結口723cと底部材22の連結口722cが対向するように合わせられる。
【0069】
前述したが、現像容器23の中央部が連結口723cと反対側である外側方向へ、底部材22の反り以上に反った状態であるた。そのため、図11(a)に示すように、現像容器23と底部材22が合わさる前においては、溶着フランジ723a(第1切り欠き部714)とホーン受け部722dの位置関係が所定の位置からズレている状態である。
【0070】
この状態で、現像容器23の接合面723bと底部材22のエネルギーダイレクタ722aを接触させるよう現像容器23と底部材22が合わさる方向へ近づくと図11(b)に示すように、底部材22の第1壁面部710の誘い込み部710aと、現像容器23の溶着フランジ723a(第1切り欠き部714)の先端部714aが接触する。そして先端部23dは、現像容器23と底部材22が合わさる方向へ近づくにつれて、誘い込み部710a上を移動し、それに伴い、現像容器23の反りが図中の矢印FH方向へ矯正されていく。
【0071】
さらに、現像容器23と底部材22との合わせが進むと、図11(c)に示すように、先端部714aは、底部材22の第1壁面部710との接触部が誘い込み部710aから保持部710bに移る。保持部710bと接触すると現像容器23と底部材22の反りの矯正が完了する。そして、図11(d)に示すように、接合面723bとエネルギーダイレクタ722aが接触した状態で現像容器23と底部材22の合わせが完了する。
【0072】
本実施例における現像容器23と底部材22は、第1壁面部710の誘い込み部710aと保持部710bを確保しつつ、ホーン受け部722dや溶着フランジ723dなどの超音波溶着による接合部近傍を含めた部品全体の薄肉化を行った構成である。そのため、現像容器23と底部材22の合わせが完了した状態において、第1壁面部710は溶着フランジの厚さ(現像容器23と底部材22の合わせ方向)よりも現像枠体側に突出している。
【0073】
また、上記説明は、現像容器23と底部材22の反りの一例として、現像容器23の中央部が連結口723cと反対側である外側方向へ底部材22の反り以上に反った状態を代表として説明した。しかし、逆方向の反りである現像容器23の中央部が連結口723cと方向である内側方向へ底部材22の反り以上に反った状態においても、作用は同じである。その時は、前述した第1壁面部710の変わりに第2壁面部711、誘い込み部710aの変わりに誘い込み部711a、保持部710bの変わりに保持部711b、また第1切り欠き部714の変わりに第2切り欠き部715、先端部714aの変わりに先端部715aが同様の働きを行う。
【0074】
<現像容器23の溶着フランジ723aの保持>
次に、図12(a)、図12(b)を用いて、溶着バックアップ891による現像容器23の溶着フランジ723aの保持について説明する。図12(a)は、図11(e)をM-M断面で切断した壁面部がない範囲における断面図であり、図12(b)は、図11(e)をN-N断面で切断した現像容器23の中央部で壁面部が存在している範囲における断面図である。
【0075】
図12(a)に示す様に、現像容器23を重力方向下で底部材22が上となる姿勢で、溶着バックアップ891は、エネルギーダイレクタ722aの突出する方向でエネルギーダイレクタ722a対向部の溶着フランジ723a直下を保持するよう設置され、基本的には溶着フランジ723aの全域に設置している。
【0076】
前述したが、本実施例では、現像容器23と底部材22は、第1壁面部710の誘い込み部710aと保持部711bを確保しつつ、部品全体の薄肉化を行った構成であるため、壁面部(710、711)は溶着フランジの厚さよりも現像枠体側に突出している。(図11(d)参照)
【0077】
故に、図12(b)で示す様に、底部材22の長手中央部で壁面部(710、711)が存在している範囲においては、溶着バックアップ891に逃げ部891aを設け、壁面部(710、711)との干渉を避けている。ここで、超音波溶着において、狭い範囲であれば溶着バックアップ891がない状態においても、部品単体の剛性によって溶着時の圧力を支えられるため、溶着が可能である。本発明の壁面部(710、711)は、底部材22の一部の範囲のみに設けることで、溶着バックアップ891の逃げ部891aをごく一部のみの範囲にすることを可能としている。
【0078】
<現像容器23と底部材22との接合>
次に、溶着ホーン890の発振による、現像容器23と底部材22との接合について、図13(a)、図13(b)、図13(c)を用いて説明する。図13(a)は、図11(e)を溶着ホーン890が、底部材22のホーン受け部722dに設置された状態を示したN-N断面で切断した拡大断面図である。図13(b)は図11(e)を溶着ホーン890から発振されエネルギーダイレクタ先端部722eが溶ける様子を示したN-N断面で切断した拡大断面図である。図13(c)は図11(e)を現像容器23と底部材22の超音波結合が完了した際のN-N断面で切断した拡大断面図を示している。
【0079】
図13(a)に示す様に、溶着ホーン890は、底部材22のエネルギーダイレクタ722aの直下でホーン受け部722dに接触した位置に設置される。その後、現像部材23の溶着フランジ723aと、底部材22のエネルギーダイレクタ722aおよび、ホーン受け部722dは、溶着ホーン890と溶着バックアップ891によって、一定の圧力を与えられた状態で保持しつつ、溶着ホーン890が発振される。溶着ホーン890が発振されると、図13(b)に示す様に、溶着ホーン890の振動をエネルギーダイレクタ722aへ伝播させエネルギーダイレクタの先端部22dが溶かされる。
【0080】
このとき、溶着ホーン890の振動が伝わり、底部材22も振動するため、底部材22と現像容器23との位置が壁面部(710、711)の突出方向に交差する方向に、ずれようとするが、安定した超音波溶着を行うためには、互いの部品同士の位置が保持できていることが望ましい。
【0081】
これに対し、本発明の壁面部(710、711)が機能する。振動によって、壁面部(710、711)の突出方向に交差する方向に、現像容器23および底部材22の部品同士の位置がずれようとするところを、各壁面部の保持部(710b、711b)が溶着フランジ723a(切り欠き部(714、715)を抱え込むことで位置ズレを規制する。溶着ホーン890の発振は、底部材22の突き当て面722fと、現像容器23の接合面723bとが突き当たり、溶着が完了するまで続けられる。その間、一定の圧力を与えられた状態で保持されているため、エネルギーダイレクタ722aは、徐々に溶けていく。溶融したエネルギーダイレクタ722aは、図13(c)に示すように底部材22のダイレクタ収容部722bに収容される(延出部711g)。すなわち、エネルギーダイレクタ722aは、現像容器23の溶着フランジ723aに溶着される前においては、ホーン受け部722dの溶着フランジ723aとの対向面から溶着フランジ723aに向かって突出するように設けられている。環状のホーン受け部722d上に同じく環状に形成されたエネルギーダイレクタ722aは、溶融エネルギーを付与されて溶融すると、溶着フランジ723aの溶着面に押されることで内周側と外周側とにそれぞれ延出するように変形
し、該溶着面に接合、一体化する。外周側に延出した外周溶融部は、第1壁面部710との間に環状に設けられた第1溝部としてのダイレクタ収容部722bに収容される。内周側に延出した内周溶融部は、第2壁面部711との間に環状に設けられた第2溝部としてのダイレクタ収容部722bに収容される。このように溶融変形して溶着フランジ723aと結合することで、エネルギーダイレクタ722aは、溶着後の製品構造においては、底部材22を現像容器23に対して溶着接合する溶着部となる。なお、当接面としての突き当て面722fは、ダイレクタ収容部722bに対してエネルギーダイレクタ722aとは反対側に設けられ、対向面である現像容器23の接合面723bと当接するように構成されている。そのため、エネルギーダイレクタ722aが溶融しても、フラットな状態を保ちつつ、接合面723bと当接することができる。
【0082】
その後、溶着ホーン890の発振が止まり、溶融したエネルギーダイレクタ722aが十分冷え固まった状態で、与えられていた圧力が解放され結合が完了する。
【0083】
以上、記載した構成により、現像容器23の連結口723cと底部材22の連結口722cが超音波溶着によって結合が完了し、トナー室29の形成された現像剤収容容器718が完成する。この現像剤収容容器718に現像ローラ32や現像ブレード42を取り付けたものが現像ユニット20となる。
【0084】
そして、底部材22の長手中央部の一部にエネルギーダイレクタ722aを挟むように壁面部(710、711)を設ける構成にする。このように構成することによって、成形時の部品単体の反りがある状態においても、互いの部品成形時の反りを矯正しつつ安定した超音波溶着による結合が可能とした。
【0085】
また、安定した超音波溶着による接合を可能とするには、溶着ホーン890がホーン受け部722dに接触し、エネルギーダイレクタ722aに十分に振動が伝わることが必要である。図15に示す従来構成では、エネルギーダイレクタ880aを挟み込む壁面部が被接合部材881側にある。すると、溶着ホーン890が壁面部に当接し干渉してしまうことで十分に振動が伝わらなくなるのを防ぐには、ホーン受け部880が被接合部材881を覆うようにして、かつ、ホーン受け部880自体の厚みを厚くしなければならなくなる。その結果、上述の部品成形時の反りを矯正しつつ安定した超音波溶着による接合と部品の薄肉化の両立が難しくなってしまう。しかし、本実施例では、溶着ホーン890が接触する底部材22側に壁面部(710、711)を設ける構成としている。そのため、溶着ホーン890と壁面部(710、711)との干渉を防ぐことができ、かつ、エネルギーダイレクタ722aに十分に振動を伝えることができるので、安定した超音波による接合を可能としている。
【0086】
さらに、上記のように、本実施例では、エネルギーダイレクタ722aと第1壁面部、第2壁面部との間に溝形状のダイレクタ収容部722bを設けている。図15に示す従来構成の場合、ホーン受け部材880と被接合部材881のいずれにも溝部は設けられておらず、ホーン受け部材880と被接合部材881との間に形成される空間がダイレクタ収容部880bとなっている。このように溝形状のダイレクタ収容部がない構成だと、部品全体を薄肉化し、小型化していくと、必然的にホーン受け部材880と被接合部材881との間に形成される空間は小さくなり、ダイレクタ収容部880bのスペースが小さくなってしまう。すると、溶けたエネルギーダイレクタがダイレクタ収容部880bに収容しきれなくなり、エネルギーダイレクタ880aが対向面との当接を維持するのが難しくなる。その結果、溶着ホーン890からの振動が十分に伝わらず、安定した超音波溶着による接合が難しくなってしまう。それに対し、本実施例では上記のように、ダイレクタ収容部722bを溝形状にして、安定した超音波溶着に必要な溶けたエネルギーダイレクタ722aの収容空間を十分確保しつつ、エネルギーダイレクタ722a近傍も含めた部品全
体の薄肉化を可能とした。その結果、安定した超音波溶着を保ちつつ、薄肉化による部品のコストダウンを可能とした。なお、本実施例では、溶けたエネルギーダイレクタ722aを収容する凹部として、溝部を設ける構成としたが、係る構成に限定されるものではない。例えば、底部材22において、エネルギーダイレクタ722aが設けられている側の縁に沿って、途切れ途切れに凹部が断続して形成されるような構成でもよい。
【0087】
また、図15に示すような従来構成では、第2挟み込み部881cは、画像弊害の原因となる溶けたダイレクタの破片(バリ)がバリ経路BTを通ってトナー収容部881d内部へ混入するのを防止している。そのため、従来構成では、第2挟み込み部881cは溶着ダイレクタ全周に設ける必要があり、トナー容積の拡大が困難だった。しかし、本実施例では、壁面部(710、711)を反りが一番大きくなる長手中央部の一部のみに設けることで、壁面部がエネルギーダイレクタ722a全域に設けられている従来の構成に比べ、トナー容積を確保できる。その結果、現像ユニット20の小型化が可能となる。
【0088】
(実施例2)
次に、現像ユニット20のさらなる小型化を目的とした、他の実施例について次に説明する。本実施例においては、実施例1の底部材22の構成をさらに発展させたものであり、底部材22以外の構成については、実施例1と同じであるため説明を省略する。また、超音波溶着の工程手順についても実施例1と同じであるため、説明を省略する。よって、以下に、実施例2の底部材822の構成について説明を行う。
【0089】
<底部材822>
次に、本発明にかかる、底部材822の説明を図14(a)、図14(b)、図14(c)、図14(d)を用いて説明する。図14(a)は、実施例2における底部材822の連結口822cを正面に見た図である。図14(b)は、図14(a)の枠CXを拡大した底部材822の壁面部近傍(第1壁面部810、第2壁面部811)の拡大斜視図である。図14(c)は、図14(a)をCB断面で切断した底部材822の壁面部近傍(第1壁面部810、第2壁面部811)の拡大断面図である。図14(d)は、図14(a)のV-V断面で切断した第1壁面部810近傍のダイレクタ収容部822bを示した図である。
【0090】
底部材822は、図14(a)に示すように、底部材全域に大きく開いた、現像容器23との連結口822cが設けられた箱形状である。底部材822は、前述した、現像容器23と接合した際に、トナー室となるための空間となるよう箱形状になっている。そして、連結口822cの全周に沿って、連結口822cを囲むようにホーン受け部822dが設けられている。
【0091】
また、図14(b)および、図14(c)に示すように、ホーン受け部822dの短手方向略中央には、エネルギーダイレクタ822aが、ホーン受け部822d全周を途切れることなく設けられている。エネルギーダイレクタ822aは、リブ形状であり、ホーン受け部822dに交差する方向で、底部材822の連結口822cに略垂直方向外側に突出している。
【0092】
さらに、底部材822の連結口822cを正面から見て、底部材822の長手中央一部のホーン受け部822d上には、壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)が設けている。なお、壁面部は、エネルギーダイレクタ822aの突出する方向で、底部材822の連結口822cから突出する方向に延びるリブ形状で、前述した現像容器23に設けられた切り欠き部(714、715)に対応した位置に設置されている。
【0093】
本実施例では、壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)の底部材長手方向にお
ける幅は、約10mm以下としているが、後述する超音波溶着における結合が可能であれば、この限りではない。
【0094】
また、壁面部は、図14のような底部材822の長手中央部1か所に限らない。実施例1の図10と同様に、壁面部を底部材22のように長手3か所に設けるなど、後述する超音波溶着における結合が可能であれば、壁面部の設置数に限定はない。
【0095】
第1壁面部810は、ホーン受け部822dの端部に設け、第2壁面部811は、連結口822c側に設けている。そして、第1壁面部810と第2壁面部811は、エネルギーダイレクタ822aとダイレクタ収容部822bを挟むように設けている。
【0096】
また、図14(c)に示す様に、壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)は、誘い込み部810aと保持部810aが設けられている。保持部810bは、エネルギーダイレクタ822aの突出する方向で、底部材822の連結口822cから突出する方向に略平行な面である。保持面810aのエネルギーダイレクタ822aの突出する方向で、底部材822の連結口822cから突出する方向における長さは、同方向におけるエネルギーダイレクタ822aの長さよりも長くなっている。
【0097】
誘い込み部810aは、エネルギーダイレクタ822aの突出する方向で、底部材822の連結口822cから突出する方向でエネルギーダイレクタ822aから離れた側の保持部810b先端に連続的に設けられている。そして、誘い込み部810aは、壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)の突出する方向において、エネルギーダイレクタ822aから離れるにつれて、壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)の突出する方向に交差する方向でエネルギーダイレクタ722aから離れていく方向に斜面になっている。
【0098】
本実施例の壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)の突出高さは、エネルギーダイレクタ822aの高さよりも高くしている。また、壁面部(第1壁面部810、第2壁面部811)の肉厚は、底部材全体の肉厚とほぼ同じ肉厚で形成されている。さらに、ホーン受け部822d上で、エネルギーダイレクタ822aの短手方向両端には、超音波溶着時に溶けたエネルギーダイレクタ822aが収容されるためのダイレクタ収容部822bが設けられている。ダイレクタ収容部822bは、エネルギーダイレクタ822a全域に設けられ、超音波溶着時に溶融するエネルギーダイレクタ822aの体積以上の空間を確保した溝形状になっている。
【0099】
ここで、本実施例では、図14(c)、図14(d)に示す様に、エネルギーダイレクタ822aの突出方向における、第1壁面部810近傍の底部材822の厚みを他の部分よりも薄くしている。そのため、第1壁面部810近傍のダイレクタ収容部822bの溝の深さが、それ以外の領域、すなわち、第1壁面部810近傍ではないダイレクタ収容部822bよりも深い形状になっている。ダイレクタ収容部822bの溝の深さを、第1壁面部810近傍ではない方のダイレクタ収容部822bの溝の深さよりも深くすることで、第1壁面部810を、ホーン受け部822dの短手方向でエネルギーダイレクタ822aに近づけつつ、溶融したエネルギーダイレクタ822aの収容空間を、が確保できる。その結果、底部材822のホーン受け部822dの短手方向の高さを低くすることが可能となり、実施例1以上に溶融したエネルギーダイレクタ822aの収容空間の確保と、部品全体の薄肉化を両立することができる。
【0100】
このとき、上記、エネルギーダイレクタ822aの突出方向における、ダイレクタ収容部822bの溝の深さを全域にわたって深くすると、底部材822のホーン受け部822d全体の肉厚が薄くなり、超音波溶着時の強度が低下するため望ましくはない。そこで本
実施例では、第1壁面部810近傍のダイレクタ収容部822bの溝の深さのみを深くしている。ここで、底部材822の材料は、前述した現像容器23と同様、低コストと大量生産を加味し、PSやPPなどモールド部材を使用している。そのため、図14(d)に示すように、部品の成形時には、長手中央部が大きく反った部品になることが多い。
【0101】
しかし、上記説明したように、エネルギーダイレクタ822aを挟むように壁面部(810、811)を設ける構成にして、底部材822と実施例1に説明した現像容器23とを実施例1に説明した超音波溶着を行う。このようにすることで、上述のように成形時の部品単体の反りがある状態においても、実施例1と同様に互いの部品成形時の反りを矯正しつつ超音波溶着による結合が可能となる。また、本実施例の構成においても、エネルギーダイレクタ822a近傍も含めた部品全体の薄肉化による部品のコストダウンの実現、壁面部がエネルギーダイレクタ822a全域に設けられている従来の構成に比べ、トナー容積の確保による現像ユニット20の小型が可能という実施例1と同様の効果が得られる。
【0102】
さらに、従来構成では、ホーン受け部822dの短手方向の高さを低くすると、部品全体の偏肉を防ぐため、エネルギーダイレクタ822aの突出方向の高さを低くして、溶融したエネルギーダイレクタ822aの収容空間を犠牲にしていた。また、収容空間を確保しつつ、ホーン受け部822dの短手方向の高さだけ低くしても、エネルギーダイレクタ822aの突出方向における厚みを薄くするのには限界があり、今度は部品全体の薄肉化とのバランスが難しかった。そこで、本実施例では、エネルギーダイレクタ822aの突出方向における、第1壁面部810近傍のダイレクタ収容部822bの溝の深さを深くすることで、溶融したエネルギーダイレクタ822aの収容空間を確保し、底部材822のホーン受け部822dの短手方向の高さを低くすることを可能としている。ホーン受け部822dの短手方向の高さが低くなることで活用できるスペースが確保できるため、さらなる、トナー容積の確保・現像ユニット全体のさらなる小型化が可能となる。
【0103】
本実施例では、エネルギーダイレクタ、第1、第2壁面部、ダイレクタ収容部が、一方のフランジ部としての底部材側のフランジ部に設けられ、他方のフランジ部としての現像容器側のフランジ部に溶着される構成としていたが、かかる構成に限定されない。すなわち、一方のフランジ部としての現像容器側のフランジ部がホーン受け部となって、上述したエネルギーダイレクタ等の構成が設けられ、底部材側のフランジ部が他方のフランジ部として溶着フランジ部となる構成であっても、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
22…底部材、23…現像容器、722a…エネルギーダイレクタ、722b…ダイレクタ収容部、722c…連結口、722d…ホーン受け部、723a…溶着フランジ、723c…連結口、710…第1壁面部、711…第2壁面部、714…第1切り欠き部、715…第2切り欠き部、718…現像剤収容容器、810…第1壁面部、811…第2壁面部、822…底部材、822a…エネルギーダイレクタ、822b…ダイレクタ収容部、822c…連結口、822d…ホーン受け部
図1
図2
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