(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20241111BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20241111BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B65H1/04 322
B65H1/14 322Z
G03G15/00 401
(21)【出願番号】P 2020110495
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 哲史
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-105243(JP,A)
【文献】特開2007-276904(JP,A)
【文献】特開2012-101937(JP,A)
【文献】特開2016-210615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04
B65H 1/14
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載され、昇降可能なトレイと、
前記トレイに積載されたシートを給送する給送部と、
前記給送部によるシートの給送方向と交差するシートの幅方向に間隔をあけて配置され、前記トレイに積載されたシートの前記幅方向への移動を規制する第1規制部及び第2規制部と、を備え、
前記第1規制部は、
本体部と、
前記トレイの昇降方向に延び
、前記本体部から前記第2規制部に向かって突出する突出部
であって、第1部と、前記昇降方向において前記第1部よりも上方に設けられ上方に向かうに連れて前記本体部からの突出量が小さくなるように傾斜した第2部とを有する突出部と、
前記本体部から前記第2規制部に向かって突出し、かつ前記昇降方向において前記突出部よりも上方
であって前記昇降方向に視て前記給送方向において前記突出部の少なくとも一部と重ならない位置に配置され、前記トレイに積載されたシートを前記第2規制部に向けて付勢する付勢部と、を有する、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記トレイは、前記昇降可能な範囲における下限位置から前記トレイに積載されたシートが前記給送部によって給送される給送位置へ移動可能であって、
前記突出部は、前記昇降方向において、前記給送位置と前記下限位置との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記付勢部の少なくとも一部は、前記昇降方向に視て前記給送方向において前記突出部と重なる位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記第1規制部は、
前記本体部に対する前記突出部の突出量を調整可能な調整部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記付勢部の前記本体部に対する最大突出量は、前記突出部の前記本体部に対する突出量よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記
第2部の上端部は、前記給送方向の幅が上方に向かうに連れて狭くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記
第1部から下方に向かうに連れて突出量が小さくなるように傾斜した
第3部を有する、
ことを特徴とする請求項
1乃至
6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記
第3部の下端部は、前記給送方向の幅が下方に向かうに連れて狭くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項
7に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記給送方向において前記第1規制部及び前記第2規制部よりも下流側に設けられ、前記トレイに積載されたシートの前記給送方向における下流側への移動を規制する第3規制部と、
前記第3規制部に設けられ、前記トレイに積載されたシートを検出する検出部と、をさらに備え、
前記
第1部は、前記昇降方向において前記検出部が設けられる位置と重なる位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項
1乃至
8のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項10】
前記突出部の前記昇降方向の長さは、前記第1規制部の前記昇降方向の長さよりも短い、
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項11】
前記突出部は、前記給送方向に間隔をあけて複数配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項12】
シートを給送する、請求項1乃至
11のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置には、高速な画像形成処理が求められてきている。高速な画像形成処理が可能な画像形成装置は、ユーザ等の操作者によるシートの補給作業の頻度を減らすために、一度に大量のシートを収容することができるトレイを有するシート給送装置を備えている。操作者は必要な量のシートをトレイに補給する補給作業を行うが、シート給送装置のシートを収容する容量は、例えば千枚を超える枚数が収容可能なものもあり、数回に分けて補給作業が行われることもある。特許文献1には、シートの補給作業の際、シートを補給する作業を容易にするために、シートを積載するトレイを所定位置に移動させる提案が開示されている。所定位置は、トレイの下限位置と、トレイの上限位置に近い、トレイ上のシートのうち最上位シートが給送される給送位置との間の中間位置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昇降するトレイに積載されたシートは、シートの両側端部を規制する一対の規制部に沿って昇降する。しかし、規制部は、その部品精度や組み付け精度によって垂直状態に対して傾いてしまうことがある。このように規制部が傾いてしまうと、トレイの昇降方向において一対の規制部の間隔がシート幅よりも狭くなる箇所又は広くなる箇所が生じることがある。一対の規制部の間隔が狭くなる箇所では、シートの側端部と規制部との間で摺動負荷が大きくなったり、一対の規制部の間隔が広くなる箇所では、シートの側端部の規制が不安定になったりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、トレイに積載されたシートを安定して規制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートが積載され、昇降可能なトレイと、前記トレイに積載されたシートを給送する給送部と、前記給送部によるシートの給送方向と交差するシートの幅方向に間隔をあけて配置され、前記トレイに積載されたシートの前記幅方向への移動を規制する第1規制部及び第2規制部と、を備え、前記第1規制部は、本体部と、前記トレイの昇降方向に延び、前記本体部から前記第2規制部に向かって突出する突出部であって、第1部と、前記昇降方向において前記第1部よりも上方に設けられ上方に向かうに連れて前記本体部からの突出量が小さくなるように傾斜した第2部とを有する突出部と、前記本体部から前記第2規制部に向かって突出し、かつ前記昇降方向において前記突出部よりも上方であって前記昇降方向に視て前記給送方向において前記突出部の少なくとも一部と重ならない位置に配置され、前記トレイに積載されたシートを前記第2規制部に向けて付勢する付勢部と、を有する、ことを特徴とするシート給送装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トレイに積載されたシートを安定して規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を概略的に示す断面図。
【
図4】実施形態に係る給送デッキの一部の拡大側面図。
【
図5】実施形態に係る給送デッキの一部の拡大斜視図。
【
図7】実施形態に係るシート給送部の一部の斜視図。
【
図13】実施形態に係るサイド規制板の一部の拡大側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の画像形成装置について説明する。
【0010】
[画像形成装置]
図1は、実施形態に係る画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。以下の説明では、画像形成部を有する画像形成装置として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステム(以下単にプリンタと呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、画像形成装置は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などであっても良い。また、画像形成装置は、電子写真方式に関らず、インクジェット方式などの他の方式の構成であっても良い。
【0011】
本実施形態の画像形成装置1000は、装置本体100と、装置本体100に接続されたシート給送装置の一例である給送デッキ200とを有している。給送デッキ200は、詳しくは後述するように、複数枚のシートを収容可能な複数の収容庫を有しており、各収容庫から装置本体100にシートを給送可能である。なお、シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0012】
装置本体100は、装置本体100に接続された不図示の原稿読み取り装置、又は装置本体100に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の不図示のホスト機器から画像信号を取得し、画像信号に応じて、シートにトナー像(画像)を形成する。
【0013】
装置本体100は、画像形成部110、複数のシート給送ユニット120、シート搬送装置130等を備える。装置本体100は、制御部140により各部が制御される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収容されたデータを参照して制御を行う。
【0014】
複数のシート給送ユニット120の各々は、シートSを収容するカセット121と、ピックアップローラ122と、フィードローラ123及びリタードローラ124から構成される分離搬送ローラ対125と、を備える。カセット121内に収容されたシートSは、所定のタイミングで昇降動作して回転するピックアップローラ122と分離搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離されて給送される。
【0015】
シート搬送装置130は、搬送ローラ対131、プレレジストローラ対132、及びレジストローラ対133を備える。シート給送ユニット120から給送されたシートSは、搬送ローラ対131及びプレレジストローラ対132により、シート搬送路134を通過させられた後、レジストローラ対133に導かれる。この後、シートSは、レジストローラ対133によって、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0016】
給送デッキ200から搬送ローラ対201を介して搬送されるシートは、装置本体100との接続経路202を介して装置本体100内に搬送される。そして、給送デッキ200から装置本体100内に搬送されたシートは、装置本体100内のシート給送ユニット120から搬送されるシートと同様に、プレレジストローラ対132及びレジストローラ対133を介して、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0017】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写帯電器115、分離帯電器116、クリーナ117等を備える。画像形成時には、感光ドラム111が図の矢印方向に回転駆動され、まず、帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が、ミラー118で折り返されて帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0018】
この後、感光ドラム111上のトナー像は、転写部115aにおいて転写帯電器115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、分離帯電器116により感光ドラム111から静電分離される。転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト119により定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ151によって機外に排出される。
【0019】
[給送デッキ]
次に、本実施形態のシート給送装置の一例である給送デッキ200について説明する。まず、
図2ないし
図6を用いて給送デッキ200の概略構成について説明する。
図2は、給送デッキ200の正面図である。
図3は、給送デッキ200の側面図である。
図4は、給送デッキ200の一部の拡大側面図である。
図5は、給送デッキ200の一部の拡大斜視図である。
図6は、給送デッキ200の収容庫の模式図である。
【0020】
給送デッキ200は、筐体204と、複数枚のシートを収容可能なシート収容装置としての複数の収容庫210とを有する。複数の収容庫210は、鉛直方向に並べて配置されている。各収容庫210は、筐体204に対して引き出し及び挿入可能である。また、各収容庫210は、収容可能なシートの枚数が異なるだけで基本的な構成は同じである。なお、収容可能なシートの枚数が同じ場合もある。
図3ないし
図5には、複数の収容庫210のうち、最上段の収容庫210を筐体204から引き出した状態の給送デッキ200を図示している。
【0021】
各収容庫210から給送されるシートは、不図示の搬送路を経由して接続経路202(
図1)に搬送される。また、給送デッキ200の各部は、制御部203(
図1)により制御される。制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。また、制御部203は、装置本体100の制御部140と通信可能であり、制御部140と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0022】
給送デッキ200は、収容庫210の引き出し操作を行うための操作部の一例であるボタン205を有する。ボタン205は、各収容庫210の前面にそれぞれ設けられている。例えば、操作者がボタン205を押すと、収容庫210を装着位置にロックしていたロック機構が解除され、不図示のばねにより収容庫210が筐体204から押し出される。これにより、操作者が収容庫210を、
図3ないし
図5に示すように、シートを収容可能な位置まで引き出すことができる。なお、操作者がボタン205を押すことで、収容庫がモータなどにより自動でシートを収容可能な位置まで移動する構成であっても良い。
【0023】
図4ないし
図6に示すように、収容庫210は、フレーム211と、フレーム211に支持されたシート収容部220及びシート給送部230と、を有する。シート収容部220には、複数、例えば千枚などの大量のシートSを収容することができる。シート給送部230は、シート収容部220から装置本体100に向けてシートSを給送可能である。
【0024】
シート収容部220は、
図5に示すように、シートが積載されるトレイ(積載トレイ)221、突き当て部222、及び後端規制板223を有する。また、シート収容部220は、一対の規制部の一例である一対のサイド規制板224
1,224
2を有する。サイド規制板224
1は、第1規制部の一例であり、サイド規制板224
2は、第2規制部の一例である。積載トレイ221は、昇降部の一例である昇降機構215により、フレーム211に対して上下方向、即ち昇降方向Zに昇降可能である。昇降機構215は、
図1の制御部203に制御される。積載トレイ221は、シートを積載する際、即ち収容庫210が筐体204から引き出された際には、昇降機構215により、補給位置である所定位置まで下降駆動される。また、積載トレイ221は、収容庫210が筐体204に装着されると、昇降機構215により、積載トレイ221に積載されたシートのうち最上位シートが給送位置となるように駆動され、積載されたシートが給送されるたび、徐々に上昇駆動される。
【0025】
突き当て部222は、シートが収容される収容空間225において、積載トレイ221に対し、シートの給送方向Xの下流側に配置され、積載トレイ221に積載されたシートの給送方向Xの下流端部(先端部)が突き当てられることで、シートの先端部を規制する。後端規制板223は、収容空間225において、積載トレイ221に対し、シートの給送方向Xの上流側に配置され、積載トレイ221に積載されたシートの給送方向Xの上流端部(後端部)が突き当てられることで、シートの後端部を規制する。後端規制板223は、フレーム211に対して給送方向Xに移動可能で、シートサイズに合わせてシートの後端規制位置をフレーム211に対して調整可能である。
【0026】
一対のサイド規制板2241,2242は、収容空間225のシートの給送方向Xと交差する幅方向Yに間隔をあけて配置され、シートの幅方向Yの両端部を規制する。ここで、交差するとは、直交すること、又は略直交することである。
【0027】
一対のサイド規制板2241,2242は、フレーム211に対して幅方向Yに移動可能で、シートサイズに合わせてシートの幅方向Yの規制位置をフレーム211に対して調整可能である。即ち、サイド規制板2241,2242は、幅方向Yに移動可能にフレーム211に支持されている。これにより、サイド規制板2241,2242は、操作者に操作されることにより幅方向Yに移動する。
【0028】
シート収容部220にシートを補給する際の一対のサイド規制板2241,2242の調整方法の一つについて、具体例を挙げて説明する。まず、操作者は、一対のサイド規制板2241,2242をシートの幅よりも広い間隔に調整しておく。操作者は、積載トレイ221上に積載しようとする何枚かのシートを積載する。次に操作者は、一対のサイド規制板2241,2242の間隔が、積載トレイ221上のシートの幅に合うように一対のサイド規制板2241,2242を狭める操作をし、一対のサイド規制板2241,2242を積載トレイ221上のシートの両端部に当接させる。これにより、積載トレイ221上に積載するシートの幅に合うように一対のサイド規制板2241,2242が位置決めされる。このように位置決めされた一対のサイド規制板2241,2242の間にシートを補給することで、一対のサイド規制板2241,2242にシートの幅方向Yの両端部が規制され、シートの幅方向Yの位置が調整される。
【0029】
シート給送部230は、
図6に示すように、ピックアップローラ231、搬送ローラ232とリタードローラ233から構成される分離搬送ローラ対234、搬送ローラ対235等を有する。ピックアップローラ231や分離搬送ローラ対234は、
図5に示すように、収容空間225の上方におけるシートの給送方向Xの下流端部で、且つ、幅方向Y略中央に配置されている。
【0030】
ピックアップローラ231は、積載トレイ221の上方に設けられ、積載トレイ221に積載されたシートSのうち、給送位置まで上昇した最上位シートSAと当接して給送する。このためにピックアップローラ231は、
図6に示すように、シートSの給送方向Xに関してシートSの先端部近傍に、積載トレイ221上の最上位シートSAに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、ピックアップローラ231は、回転することで、最上位シートSAを給送方向Xに送り出す。
【0031】
分離搬送ローラ対234は、ピックアップローラ231から2枚以上のシートが重なって給送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。即ち、分離搬送ローラ対234の搬送ローラ232は、シートを給送方向Xに搬送する方向に回転し、ピックアップローラ231から送られたシートを搬送する。一方、リタードローラ233は、搬送ローラ232とは逆方向に回転して、ピックアップローラ231から送られた2枚以上のシートのうち、最上位シート以外のシートを積載トレイ221側に押し戻す。なお、リタードローラ233には不図示のトルクリミッタが内蔵されており、分離搬送ローラ対234に送られたシートが1枚のみの場合には、搬送ローラ232により搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0032】
分離搬送ローラ対234に分離搬送されたシートは、搬送ローラ対235により給送デッキ200内の不図示の搬送路に搬送され、上述のように接続経路202(
図1)を介して装置本体100に搬送される。
【0033】
本実施形態では、シート給送部230は、収容庫210のフレーム211に設けられている。このため、収容庫210を給送デッキ200の筐体204に対して引き出し及び挿入する際には、収容庫210のフレーム211と共に移動する。このように、シート給送部230をフレーム211と共に引き出せるように構成することで、シート給送部230の各ローラの交換などのメンテナンスを容易にしている。
【0034】
[シート給送部]
次に、シート給送部230の詳しい構成について、
図7を用いて説明する。
図7は、シート給送部230の一部の斜視図である。
図7に示すように、シート給送部230は、ガイド部材280を有する。ガイド部材280は、ピックアップローラ231により給送されるシートの上面をガイドする部材であり、本実施形態では、ピックアップローラ231を支持する部材でもある。
【0035】
ガイド部材280には、シート収容部220(
図6)に収容されたシートを検知可能な検知部材290が設けられている。検知部材290は、ガイド部材280に揺動自在に支持された揺動部材である。なお、検知部材290の姿勢に応じて出力信号が切り替わるフォトインタラプタ等の不図示のセンサが、ガイド部材280に設けられている。
【0036】
検知部材290は、積載トレイ221(
図6)に積載された最上位シートSAと接触可能な接触部291を有する。検知部材290は、接触部291にシートが接触しない場合、例えば積載トレイ221上にシートがない場合には第1姿勢となる。第1姿勢となっている検知部材290の接触部291が、上昇する積載トレイ221に積載された最上位シートSAに接触すると、検知部材290は、接触部291に接触した最上位シートSAに押圧されて第1姿勢から第2姿勢に揺動する。検知部材290が第2姿勢に揺動することで制御部203にシートが検知される。ピックアップローラ231は、検知部材290にシートが検知されることで、シートを送り出すよう駆動される。検知部材290が第2姿勢となっているときの検知部材290の接触部291の昇降方向Zの位置を、給送位置とする。給送位置は、積載トレイ221(
図6)に積載された最上位シートSAがシート給送部230によって給送される位置である。給送位置は、積載トレイ221の上限位置よりも僅かに下方の位置である。なお、制御部203は、積載トレイ221が上限位置まで到達すると、収容庫210にシートが無いことを示すアラートを発する。
【0037】
[シート収容部]
次に、シート収容部220の詳しい構成について
図8乃至
図13を用いて説明する。
図8~
図10は、実施形態に係る収容庫210の斜視図である。
図8には、積載トレイ221が下限位置まで下降した状態の収容庫210を図示している。
図9には、積載トレイ221が給送位置まで上昇した状態の収容庫210を図示している。
図10には、積載トレイが給送位置と下限位置との間の補給位置に移動した状態の収容庫210を図示している。
図11は、幅方向Yに視たサイド規制板224
1の正面図である。
図12は、給送方向Xに視たサイド規制板224
1の側断面図である。
図13は、給送方向Xに視たサイド規制板224
1の一部の拡大側断面図である。
【0038】
画像形成装置1000が画像形成ジョブを実行中に収容庫210のシート収容部220においてシートがなくなった場合、制御部203は、積載トレイ221を上限位置まで上昇させており、収容庫210内にシートがないことを示すアラートを発する。操作者は、アラートが発せられたことにより収容庫210内にシートがないことを認識することができ、収容庫210を筐体204から引き出して収容庫210にシートを補給することができる。
【0039】
検知部材290の位置、即ち給送位置よりも下方の補給位置(所定位置)には、検知部材242が配置されている。検知部材242は、積載トレイ221に積載されたシートを検知可能な部材である。補給位置は、積載トレイ221の給送位置と下限位置との間の中間位置である。検知部材242は、フレーム211に揺動自在に支持された揺動部材である。なお、検知部材242の姿勢に応じて出力信号が切り替わるフォトインタラプタ等の不図示のセンサが、フレーム211に設けられている。
【0040】
検知部材242は、フレーム211に揺動自在に支持されることで、その一部2421が、突き当て部222に形成された開口部を通じて、突き当て部222に対して積載トレイ221側の収容空間225に突出及び収容空間225から退避可能となっている。検知部材242の一部2421は、積載トレイ221や積載トレイ221に積載されたシートに接触し得る接触部である。検知部材242は、その一部2421が収容空間225から退避可能に収容空間225に突出している。そして、検知部材242は、シートや積載トレイ221などから押圧力が加わることにより、収容空間225から退避する。補給位置とは、具体的に説明すると、検知部材242の一部2421の昇降方向Zの位置ということになる。検知部材242は、シートが積載されていない積載トレイ221が補給位置よりも低い位置にある場合、又は積載トレイ221に積載されているシートが補給位置よりも低い位置にある場合、収容空間225に突出した第3姿勢をとる。検知部材242は、シートが積載されていない積載トレイ221が補給位置若しくは補給位置よりも高い位置にある場合、又は積載トレイ221に積載されているシートが補給位置若しくは補給位置よりも高い位置にある場合、積載トレイ221又は積載トレイ221に積載されたシートに接触することで押圧され、収容空間225に突出した第3姿勢から、収容空間225から退避した第4姿勢に揺動する。
【0041】
収容庫210が筐体204に装着されている状態で画像形成ジョブを実行する際には、制御部203は、検知部材290を用いて積載トレイ221を制御する。一方、収容庫210が筐体204から引き出されている状態では、制御部203は、検知部材242を用いて積載トレイ221を制御する。
【0042】
図9の状態でシートがなくなっている収容庫210が筐体204から引き出された際、検知部材242は、積載トレイ221に押圧されて第4姿勢となっている。制御部203は、検知部材242により第4姿勢となったのを検知すると、昇降機構215を制御して積載トレイ221を下降させる。積載トレイ221の下降によって
図10に示すように検知部材242が第4姿勢から第3姿勢に復帰すると、制御部203は、昇降機構215を制御して積載トレイ221を停止させる。
【0043】
シートSが積載トレイ221上に補給され、検知部材242が積載トレイ221上のシートSに押圧されると、検知部材242は第3姿勢から第4姿勢に揺動する。制御部203は、検知部材242により第4姿勢となったのを検知すると、昇降機構215を制御して積載トレイ221を下降させる。
【0044】
また、制御部203は、積載トレイ221が
図8に示す下限位置まで下降した場合には、検知部材242が第4姿勢であっても、積載トレイ221を停止させる。なお、積載トレイ221が下限位置に移動したことは、不図示の検知部材によって検知可能である。以上のシート補給時の積載トレイ221の動作により、収容庫210にシートを補給する際の操作者の作業性が向上する。
【0045】
ところで、フレーム211に対する各サイド規制板2241,2242の取り付け精度や、各サイド規制板2241,2242の形状精度等の影響により、各サイド規制板2241,2242の側壁が垂直面に対して傾いてフレーム211に設定されてしまうことがある。
【0046】
そこで、本実施形態では、サイド規制板2241は、本体部250と、本体部250に支持された複数、本実施形態では3つの突出部240と、本体部250に支持された付勢部241と、を含む。各突出部240及び付勢部241は、本体部250からサイド規制板2242に向けて突出するよう本体部250に設けられている。これにより、各突出部240及び付勢部241が、積載トレイ221に積載されたシートSの幅方向Yの一端部SBを規制する。
【0047】
本体部250は、平面状の側壁251を有する。また、サイド規制板2242は、平面状の側壁261を有する。側壁251及び側壁261は、幅方向Yにおいて互いに対向している。サイド規制板2241の各突出部240及び付勢部241は、側壁251からサイド規制板2242の側壁261に向けて突出している。
【0048】
つまり、シートSの幅方向Yの一端部SBにおける給送方向Xの全体が側壁251に接触するのではなく、シートSの幅方向Yの一端部SBにおける給送方向Xの一部分が各突出部240に接触する。これにより、側壁251が高精度に垂直となっていなくても、つまり側壁251と側壁261とが高精度に平行となっていなくても、操作者がシートSを補給するとき、又は積載トレイ221が昇降するとき、シートSに作用する摺動負荷を低減することができる。
【0049】
また、本体部250、具体的には側壁251は、金属材で構成され、板金を加工することにより形成される。一方、各突出部240は、側壁251とは別の材料、例えばPOM等の樹脂材で構成されている。側壁251を金属製とすることにより、本体部250の剛性が保たれ、各突出部240を樹脂製とすることにより、シートSに作用する摺動負荷を低減することができる。
【0050】
複数の突出部240は、給送方向Xに間隔をあけて配置されている。なお、本体部250に配置される突出部の数は、1つであってもよいが、各種サイズのシートを規制可能にすることと、シートに作用する摺動負荷を低減することを考慮すると、突出部240は、本実施形態のように、給送方向Xに間隔をあけて複数配置されているのが好ましい。
【0051】
突出部240は、本体部250の側壁251における昇降方向Zの全体ではなく、一部に配置されている。つまり、突出部240の昇降方向Zの全長は、側壁251の昇降方向Zの全長よりも短い。そして、突出部240は、昇降方向Zにおいて、検知部材242の位置、つまり補給位置と同じ高さの位置に配置されている。換言すると、検知部材242の一部2421は、突出部240が延在する昇降方向Zの範囲内に位置している。本実施形態では、突出部240は、昇降方向Zにおいて積載トレイ221に積載された最上位シートがシート給送部230に給送される給送位置と、積載トレイ221の下限位置との間に配置されている。即ち、突出部240は、付勢部241よりも下方に配置され、下限位置に位置する積載トレイ221よりも上方に配置されている。これにより、操作者が収容庫210にシートSを補給する場合、積載トレイ221上、又は既に積載トレイ221に積載されているシート上に、シートSをスムーズに積載することができる。
【0052】
各突出部240は、昇降方向Zに延びて形成されている。即ち、各突出部240の昇降方向Zの長さは、各突出部240の給送方向Xの長さよりも長い。よって、積載トレイ221の昇降方向Zは、各突出部240の長手方向でもある。これにより、操作者が収容庫210にシートSを補給する場合、積載トレイ221上、又は既に積載トレイ221に積載されているシート上に、シートSをスムーズに積載することができる。
【0053】
ここで、突出部240は、ばね等の弾性部材では付勢されておらず、本体部250に固定されている。仮に、突出部240をばね等の弾性部材を用いて付勢するように構成すると、シート束全体に亘って弾性力を付与しなければならず、またシートの枚数も変化することから、摺動負荷とならずに適正な力でシートの端部を規制するよう弾性力を設定するのは難しい。特に、最上位シートSAには、幅方向Yの位置決め精度が要求される。
【0054】
そこで、本実施形態では、本体部250には、突出部240とは別に付勢部241が設けられている。この付勢部241の昇降方向Zの全長は、突出部240の昇降方向Zの全長よりも短い。そして、付勢部241は、各突出部240よりも上方に配置されている。具体的には、付勢部241は、昇降方向Zにおける給送位置に配置されている。以上の構成により、付勢部241は、積載トレイ221に積載された、給送位置に位置する最上位シートSAの幅方向Yの一端部SBに当接して最上位シートSAをサイド規制板2242に向けて付勢する。これにより、給送位置にある最上位シートの幅方向Yの他端部SCは、付勢部241の付勢力により、サイド規制板2242に押し付けられ、最上位シートSAの幅方向Yの位置を高精度に決めることができる。
【0055】
ここで、付勢部241に付勢されるのは、積載トレイ221上に積載されたシート束のうちの最上位シートSAのみに限らず、最上位シートSAを含む、付勢部241に接触する複数枚のシートである。もちろん、積載トレイ221上に積載されているシートが1枚のみの場合は、付勢部241に接触するのはその1枚のシートのみである。
【0056】
付勢部241は、本体部250とは別体の部材2411と、当該部材2411をサイド規制板2242に向けて付勢する不図示の圧縮ばね等の弾性部材と、を有する。したがって、最上位シートSAの一端部SBに接触するのは、付勢部241の部材2411である。付勢部241の付勢力、つまり不図示の弾性部材の弾性力は、付勢部241に接触するシートの枚数が1枚であっても複数枚であっても、摺動負荷を低減しつつシートを規制できる力に設定されている。
【0057】
昇降方向Zにサイド規制板2241を視て、付勢部241の少なくとも一部は、複数の突出部240のうちの1つと重なっている。即ち、昇降方向Zに視て、付勢部241は、付勢部241の一部が複数の突出部240のうちの1つと重なる位置に配置されている。複数の突出部240のうちの1つと、付勢部241とが、シートの一端部SBにおいて略同じ位置を規制することになり、収容庫210内でシートがずれるのを抑制することができる。
【0058】
付勢部241の一部は、昇降方向Zに視て、複数の突出部240のうち、シート給送部230に最も近い、給送方向Xの下流側に位置する突出部240と重なるのが好ましい。特に、付勢部241は、複数の突出部240のうち給送方向Xの下流側に位置する突出部240に対して、シート給送部230に近づくよう、給送方向Xの下流側にずれて配置されているのが好ましい。
【0059】
各突出部240は、本体部250とは別体に構成されており、本体部250からの突出量が調整可能となっている。サイド規制板2241は、本体部250に対する各突出部240の突出量を調整可能な調整部の一例である調整ねじ260を有する。本実施形態では、複数の突出部240の各々の突出量を、複数(例えば4つ)の調整ねじ260により個別に調整することができる。
【0060】
具体的には、各突出部240は、本体部250のステー252に片持ち状態で調整ねじ260で固定される。ステー252は、幅方向Y及び昇降方向Zに延びる平板状の部位である。ステー252は、側壁251となる板金から切り起こすことで形成されている。各突出部240には、調整ねじ260が螺合するねじ穴2406が形成されている。
【0061】
ステー252には、調整ねじ260の軸が挿通可能で、調整ねじ260の頭部が挿通不能な幅方向Yに長い長孔253が形成されている。各突出部240は、長孔253を通じて調整ねじ260でステー252に固定される。突出部240と、長孔253を通じて突出部240に緩めた状態で取り付けられた調整ねじ260とを、長孔253に沿ってスライドさせることより、突出部240の幅方向Yの突出量を調整することができる。
【0062】
なお、突出部240の傾き、つまり姿勢も調整可能としてもよい。例えば、長孔253の短手方向の幅を、調整ねじ260の頭部の太さよりも細い範囲内で調整ねじ260の軸の太さよりも広くすることで、突出部240の傾きも調整可能となる。
【0063】
本体部250の側壁251に対する付勢部241の突出量は、シートに押圧される力に応じて変化する。具体的には、付勢部241の突出量は、シートに押圧される力が増加するのに応じて減少する。本体部250の側壁251に対する付勢部241の最大突出量P2maxは、本体部250の側壁251に対する突出部240の突出量P1よりも大きくなるように設定されるのが好ましい。これにより、最上位シートSAの一端部SBを確実に規制することができる。
【0064】
なお、付勢部241の最小突出量は、突出部240の突出量よりも小さくなるように設定されている。即ち付勢部241は、最上位シートSAの一端部SBに当接していなければ、最大突出量P2maxで突出しており、付勢力に抗して突出方向とは反対方向に最上位シートSAの一端部SBに押圧されることで、最大突出位置から退避し、最大突出量P2maxよりも小さい突出量となる。
【0065】
突出部240は、積載トレイ221に積載されたシートSの幅方向Yの一端部SBに当接可能な平面部2401を有する。平面部2401は、昇降方向Zにおいて、補給位置、即ち検知部材242の位置と同じ高さの位置に位置している。つまり、検知部材242の一部2421は、突出部240の平面部2401が延在する昇降方向Zの範囲内に位置している。突出部240が平面部2401を有することで、シートSを安定して規制することができる。ここで、本実施形態では、突出部240の突出量P1は、側壁251に対する平面部2401の突出量である。
【0066】
また、突出部240は、平面部2401から上方に向かうに連れて突出量が小さくなるように傾斜した第1傾斜部である傾斜部2402を有する。これにより、昇降方向Zに移動するシートSを円滑に案内することができる。傾斜部2402の上端部2404は、給送方向Xの幅が上方に向かうに連れて狭くなるように形成されている。これにより、昇降方向Zに移動するシートSを、より円滑に案内することができる。
【0067】
また、突出部240は、平面部2401から下方に向かうに連れて突出量が小さくなるように傾斜した第2傾斜部である傾斜部2403を有する。これにより、昇降方向Zに移動するシートSを円滑に案内することができる。傾斜部2403の下端部2405は、給送方向Xの幅が下方に向かうに連れて狭くなるように形成されている。これにより、昇降方向Zに移動するシートSを、より円滑に案内することができる。
【0068】
<他の実施形態>
上述の実施形態では、制御部140とは別に、昇降機構215を制御する制御部203を給送デッキ200に設けたが、これに限定するものではない。これらの制御を装置本体100の制御部140により行うようにしても良い。また、シート給送装置において、収容庫の数は、複数に限定するものではなく、1つであってもよい。
【0069】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0070】
110…画像形成部、200…給送デッキ(シート給送装置)、221…積載トレイ(トレイ)、2241…サイド規制板(第1規制部)、2242…サイド規制板(第2規制部)、230…シート給送部、240…突出部、241…付勢部、1000…画像形成装置