(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】位置検出システム、位置検出方法、情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241111BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20241111BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G61/00 300
G01S1/68
(21)【出願番号】P 2020113265
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】和田山 修平
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-015288(JP,A)
【文献】特開2005-032030(JP,A)
【文献】特開2006-026843(JP,A)
【文献】特開2008-225588(JP,A)
【文献】特開2006-202255(JP,A)
【文献】特開2006-302096(JP,A)
【文献】特開2010-102495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G01S 1/68
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業工程のうちの2以上の作業工程が順次に実施される物品における位置を管理する情報処理装置と、
前記物品に紐付けられ、識別情報を無線通信により送信する移動通信装置と、
前記複数の作業工程に対応し、それぞれが前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第1固定通信装置と、
前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する第2固定通信装置と、
を備え、
前記複数の作業工程は、互いに異なる作業エリアにおいて実施され、
前記複数の作業工程のうちの第1作業工程が実施されている最中の前記物品に紐づけられた前記移動通信装置は、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記第1作業工程に対応する第1固定通信装置と無線通信が可能な工程検知範囲に配置され、
前記複数の第1固定通信装置のそれぞれの前記工程検知範囲は、他の第1固定通信装置の前記工程検知範囲とは重複せず、
前記情報処理装置は、
前記複数の第1固定通信装置および前記第2固定通信装置のうち前記識別情報を受信した第1固定通信装置または第2固定通信装置から、前記識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得した前記識別情報に対応する対象物品に対して実施される前記2以上の作業工程の実施順序を記述した定義情報を取得する定義情報取得部と、
前記対象物品の移動履歴および前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記対象物品に対して直前に実施された直前作業工程を特定する直前工程特定部と、
前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記直前作業工程の次に前記対象物品に対して実施される次作業工程を特定する次工程特定部と、
前記対象物品の現在位置を特定する位置特定部と、
を有し、
前記位置特定部は、
前記複数の第1固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程の作業エリアと特定し、
前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記第2固定通信装置が前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記次作業工程に対応する待機エリアと特定する
位置検出システム。
【請求項2】
前記第2固定通信装置に代えて、それぞれが前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第2固定通信装置を備え、
前記第1作業工程が実施された後、前記第1作業工程の次に実施予定の第2作業工程が実施される前の前記物品に紐づけられた前記移動通信装置は、前記複数の第2固定通信装置のうちの前記第2作業工程に対応する第2固定通信装置と無線通信が可能な待機検知範囲に配置され、
前記情報処理装置は、前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記複数の第2固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の現在位置を、前記次作業工程に対応する待機エリアと特定する
請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記移動通信装置は、前記物品に対して前記複数の作業工程のうちの何れかの作業工程が実施されている最中を除き、紐づけられた前記物品とともに移動する
請求項1
または2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記位置特定部は、前記対象物品の前記現在位置が変化した場合、移動履歴記憶部に新たな前記現在位置を登録する
請求項1から
3の何れか1項に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記複数の第1固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信することによって前記対象物品の前記現在位置が変化した場合、前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程が、前記次作業工程と一致するか否かを判断し、前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程が、前記次作業工程と一致しない場合、前記対象物品が予定とは異なる位置に移動したことを示す位置アラート情報を出力する位置アラート部
をさらに有する請求項1から
4の何れか1項に記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記対象物品について、前記現在位置を表示装置に表示させる表示制御部と、
をさらに有する請求項1から
5の何れか1項に記載の位置検出システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記第2固定通信装置が前記識別情報を受信した場合、前記次作業工程に対応する前記待機エリアに位置している経過時間を計測する計測部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記経過時間を前記表示装置にさらに表示させる
請求項
6に記載の位置検出システム。
【請求項8】
前記経過時間が予め定められた時間以上となった場合、前記対象物品に対して作業工程が長時間実施されずに滞留していることを示す滞留アラートを出力する滞留アラート部
をさらに有する請求項
7に記載の位置検出システム。
【請求項9】
複数の作業工程のうちの2以上の作業工程が物品に対して順次に実施されるシステムにおいて実行される位置検出方法であって、
前記システムは、
情報処理装置と、
前記物品に紐付けられ、識別情報を無線通信により送信する移動通信装置と、
前記複数の作業工程に対応し、それぞれが前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第1固定通信装置と、
前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する第2固定通信装置と、
を備え、
前記複数の作業工程は、互いに異なる作業エリアにおいて実施され、
前記複数の作業工程のうちの第1作業工程が実施されている最中の前記物品に紐づけられた前記移動通信装置は、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記第1作業工程に対応する第1固定通信装置と無線通信が可能な工程検知範囲に配置され、
前記複数の第1固定通信装置のそれぞれの前記工程検知範囲は、他の第1固定通信装置の前記工程検知範囲とは重複せず、
前記情報処理装置が、
前記複数の第1固定通信装置および前記第2固定通信装置のうち前記識別情報を受信した第1固定通信装置または第2固定通信装置から、前記識別情報を取得し、
取得した前記識別情報に対応する対象物品に対して実施される前記2以上の作業工程の実施順序を記述した定義情報を取得し、
前記対象物品の移動履歴および前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記対象物品に対して直前に実施された直前作業工程を特定し、
前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記直前作業工程の次に前記対象物品に対して実施される次作業工程を特定し、
前記複数の第1固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の現在位置を、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程の作業エリアと特定し、
前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記第2固定通信装置が前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の現在位置を、前記次作業工程に対応する待機エリアと特定する
位置検出方法。
【請求項10】
複数の作業工程のうちの2以上の作業工程が物品に対して順次に実施されるシステムに備えられる情報処理装置であって、
前記システムは、
前記物品に紐付けられ、識別情報を無線通信により送信する移動通信装置と、
前記複数の作業工程に対応し、それぞれが前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第1固定通信装置と、
前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第2固定通信装置と、
を備え、
前記複数の作業工程は、互いに異なる作業エリアにおいて実施され、
前記複数の作業工程のうちの第1作業工程が実施されている最中の前記物品に紐づけられた前記移動通信装置は、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記第1作業工程に対応する第1固定通信装置と無線通信が可能な工程検知範囲に配置され、
前記複数の第1固定通信装置のそれぞれの前記工程検知範囲は、他の第1固定通信装置の前記工程検知範囲とは重複せず、
前記情報処理装置は、
前記複数の第1固定通信装置および前記第2固定通信装置のうち前記識別情報を受信した第1固定通信装置または第2固定通信装置から、前記識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得した前記識別情報に対応する対象物品に対して実施される前記2以上の作業工程の実施順序を記述した定義情報を取得する定義情報取得部と、
前記対象物品の移動履歴および前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記対象物品に対して直前に実施された直前作業工程を特定する直前工程特定部と、
前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記直前作業工程の次に前記対象物品に対して実施される次作業工程を特定する次工程特定部と、
前記対象物品の現在位置を特定する位置特定部と、
を有し、
前記位置特定部は、
前記複数の第1固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程の作業エリアと特定し、
前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記第2固定通信装置が前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記次作業工程に対応する待機エリアと特定する
情報処理装置。
【請求項11】
複数の作業工程のうちの2以上の作業工程が物品に対して順次に実施されるシステムに備えられる情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記システムは、
前記情報処理装置と、
前記物品に紐付けられ、識別情報を無線通信により送信する移動通信装置と、
前記複数の作業工程に対応し、それぞれが前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第1固定通信装置と、
前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第2固定通信装置と、
を備え、
前記複数の作業工程は、互いに異なる作業エリアにおいて実施され、
前記複数の作業工程のうちの第1作業工程が実施されている最中の前記物品に紐づけられた前記移動通信装置は、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記第1作業工程に対応する第1固定通信装置と無線通信が可能な工程検知範囲に配置され、
前記複数の第1固定通信装置のそれぞれの前記工程検知範囲は、他の第1固定通信装置の前記工程検知範囲とは重複せず、
前記情報処理装置を、
前記複数の第1固定通信装置および前記第2固定通信装置のうち前記識別情報を受信した第1固定通信装置または第2固定通信装置から、前記識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得した前記識別情報に対応する対象物品に対して実施される前記2以上の作業工程の実施順序を記述した定義情報を取得する定義情報取得部と、
前記対象物品の移動履歴および前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記対象物品に対して直前に実施された直前作業工程を特定する直前工程特定部と、
前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記直前作業工程の次に前記対象物品に対して実施される次作業工程を特定する次工程特定部と、
前記対象物品の現在位置を特定する位置特定部と、
して機能させ、
前記位置特定部は、
前記複数の第1固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程の作業エリアと特定し、
前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記第2固定通信装置が前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記次作業工程に対応する待機エリアと特定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システム、位置検出方法、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内において移動する物品にBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコンタグまたはRFIDタグを付け、BLEビーコンタグまたはRFIDタグから送信された情報をゲートウェイまたはタグ読取装置により読み取ることにより、物品の位置を管理するシステムが知られている。このシステムは、工場内における物品の移動を管理することができる。これにより、このシステムは、物品の投入量、および、滞留している物品の量等を管理者に提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムは、作業工程が実施される作業エリアにゲートウェイまたはタグ読取装置が予め設置される。これにより、このシステムは、BLEビーコンタグまたはRFIDタグを読み取ったゲートウェイまたはタグ読取装置の位置に基づき、物品が何れの作業エリアに位置しているのかを判断することができる。
【0005】
ところで、物品は、ある作業工程の実施終了した後、次の作業工程の実施が開始される前に、待機エリアで滞留している場合がある。このような場合、上述のシステムは、物品が待機エリアに位置していることを検出することができない。このため、上述のシステムは、物品の位置を精度良く検出することができなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、2以上の作業工程が順次に実施される物品における位置を精度良く検出することができる位置検出システム、位置検出方法、情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る位置検出システムは、複数の作業工程のうちの2以上の作業工程が順次に実施される物品における位置を管理する情報処理装置と、前記物品に紐付けられ、識別情報を無線通信により送信する移動通信装置と、前記複数の作業工程に対応し、それぞれが前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する複数の第1固定通信装置と、前記移動通信装置から前記識別情報を無線通信により受信する第2固定通信装置と、を備える。前記複数の作業工程は、互いに異なる作業エリアにおいて実施される。前記複数の作業工程のうちの第1作業工程が実施されている最中の前記物品に紐づけられた前記移動通信装置は、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記第1作業工程に対応する第1固定通信装置と無線通信が可能な工程検知範囲に配置される。前記複数の第1固定通信装置のそれぞれの前記工程検知範囲は、他の第1固定通信装置の前記工程検知範囲とは重複しない。前記情報処理装置は、前記複数の第1固定通信装置および前記第2固定通信装置のうち前記識別情報を受信した第1固定通信装置または第2固定通信装置から、前記識別情報を取得する識別情報取得部と、取得した前記識別情報に対応する対象物品に対して実施される前記2以上の作業工程の実施順序を記述した定義情報を取得する定義情報取得部と、前記対象物品の移動履歴および前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記対象物品に対して直前に実施された直前作業工程を特定する直前工程特定部と、前記定義情報に基づき、前記複数の作業工程のうちの前記直前作業工程の次に前記対象物品に対して実施される次作業工程を特定する次工程特定部と、前記対象物品の現在位置を特定する位置特定部と、を有する。前記位置特定部は、前記複数の第1固定通信装置のうちの何れかが前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記複数の第1固定通信装置のうちの前記識別情報を受信した第1固定通信装置に対応する作業工程の作業エリアと特定し、前記複数の第1固定通信装置の何れも前記識別情報を受信しておらず、且つ、前記第2固定通信装置が前記識別情報を受信した場合、前記対象物品の前記現在位置を、前記次作業工程に対応する待機エリアと特定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2以上の作業工程が順次に実施される物品における位置を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る位置検出システムを示す図である。
【
図2】
図2は、物品および無線タグの移動方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、狭域ゲートウェイおよび広域ゲートウェイの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置の機能構成を示す図である。
【
図6】
図6は、情報処理装置の処理の流れを示す図である。
【
図7】
図7は、対象物品の移動履歴の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係る位置検出システム10を示す図である。
【0011】
位置検出システム10は、物品22に対して複数の作業工程のうちの2以上の作業工程を順次に実施する工場等において、物品22の位置を検出する。複数の作業工程のそれぞれは、互いに異なる位置において物品22に対して実施される。例えば、作業者、ロボットおよび処理装置等は、物品22に対して金属加工工程を実施する。
【0012】
複数の物品22のそれぞれは、実施される2以上の作業工程および順序が予め定められている。複数の物品22のそれぞれは、複数の作業工程のうちの互いに異なる2以上の作業工程が実施されてもよい。また、複数の物品22のそれぞれは、互いに異なる順序で2以上の作業工程が実施されてもよい。
【0013】
物品22は、予め定められた順序に従って、2以上の作業工程のそれぞれが実施される位置に、作業者または搬送装置により転々と移動される。物品22は、カゴ等に収納された状態で移動されてもよい。この場合、カゴは、複数の物品22を収納する。1つのカゴに収納された複数の物品22の全ては、同一の2以上の作業工程が同一の順序で実施される。
【0014】
位置検出システム10は、情報処理装置20と、無線タグ30と、複数の狭域ゲートウェイ40と、複数の広域ゲートウェイ50とを備える。
【0015】
情報処理装置20は、コンピュータ等である。情報処理装置20は、ネットワーク上におけるサーバであってもよいし、ネットワーク上の複数サーバが連携して動作するクラウド等であってもよい。情報処理装置20は、互いに異なる作業エリアにおいて実施される複数の作業工程のうちの2以上の作業工程が順次に実施される物品22における位置を管理する。
【0016】
無線タグ30は、無線通信装置であって、移動が可能な移動通信装置の一例である。無線タグ30は、例えばBLE通信のビーコンタグである。無線タグ30は、RFIDタグであってもよい。
【0017】
無線タグ30は、工場内を移動する物品22に、予め紐付けられる。物品22がカゴに収納された状態で工場内を移動する場合には、1つのカゴに収納された複数の物品22に対して、1つの無線タグ30が紐づけられる。
【0018】
無線タグ30は、固有の識別情報を記憶する。無線タグ30は、記憶している識別情報を無線通信により送信する。例えば、無線タグ30は、定期的(例えば一定時間毎)に、識別情報を周囲にブロードキャスト送信する。
【0019】
複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、無線通信装置であって、工場内における所定の場所に固定して設置される複数の第1固定通信装置の一例である。複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、例えば、BLE通信のゲートウェイである。
【0020】
複数の狭域ゲートウェイ40は、複数の作業工程に対応する。複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、対応する作業工程が実施される作業エリア外であって、作業エリアの近傍に設置される。
【0021】
複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、自身の通信可能範囲内に位置する無線タグ30から、識別情報を無線通信により受信する。複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、例えば、BLE通信により識別情報を受信する。
【0022】
複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、無線タグ30から識別情報を受信した場合、自身を識別する装置情報、および、受信した識別情報を、情報処理装置20に送信する。複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、無線タグ30とは異なる無線方式により、情報処理装置20に情報を送信する。例えば、複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、LTE(Long Term Evolution)通信により、情報処理装置20に情報を送信する。複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、Sub-1GHz通信またはWLAN通信等により、情報処理装置20に情報を送信してもよい。また、複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれは、情報処理装置20と有線通信により、情報処理装置20に情報を送信してもよい。
【0023】
複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、無線通信装置であって、工場内における所定の場所に固定して設置される複数の第2固定通信装置の一例である。例えば、複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、例えば、BLE通信のゲートウェイである。
【0024】
複数の広域ゲートウェイ50は、複数の作業工程に対応する。複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、対応する作業工程の待機エリア内に設置される。待機エリアは、例えば、対応する作業工程の作業エリアへと投入される前の物品22が一時的に置かれる場所である。
【0025】
複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、自身の通信可能範囲に位置する無線タグ30から識別情報を、無線通信により受信する。複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、例えば、BLE通信により識別情報を受信する。
【0026】
複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、無線タグ30から識別情報を受信した場合、自身を識別する装置情報、および、受信した識別情報を、情報処理装置20に送信する。複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、無線タグ30とは異なる無線方式により、情報処理装置20に情報を送信する。例えば、複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、LTE通信により、情報処理装置20に情報を送信する。複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、Sub-1GHz通信またはWLAN通信等により、情報処理装置20に情報を送信してもよい。また、複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれは、情報処理装置20と有線通信により、情報処理装置20に情報を送信してもよい。
【0027】
ここで、複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれの通信可能範囲を、工程検知範囲42と呼ぶ。また、複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれの通信可能範囲を、待機検知範囲52と呼ぶ。
【0028】
本例において、工程検知範囲42は、待機検知範囲52よりも狭い。工程検知範囲42は、例えば、所定の棚または机等に置かれた、物品22と分離された無線タグ30と通信可能であればよい。無線タグ30は、比較的に小さい装置である。従って、工程検知範囲42は、比較的に狭い範囲であってよい。
【0029】
待機検知範囲52は、待機エリア内に置かれた、物品22と一体化した無線タグ30と通信可能でなければならない。待機エリアは、多数の物品22が一時的に置かれる可能性があるので、比較的に広い。従って、待機検知範囲52は、比較的に広い範囲でなければならない。
【0030】
また、複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれの工程検知範囲42は、他の狭域ゲートウェイ40の工程検知範囲42の待機検知範囲52とは重複しない。従って、複数の狭域ゲートウェイ40のうち何れかが識別情報を受信した場合、識別情報を送信した無線タグ30に紐づけられた物品22の現在位置は、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程の作業エリアである、と特定される。なお、複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれの工程検知範囲42は、他の狭域ゲートウェイ40の工程検知範囲42および複数の広域ゲートウェイ50の待機検知範囲52とは重複しないように設定してもよい。
【0031】
また、複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれの待機検知範囲52は、他の広域ゲートウェイ50の待機検知範囲52と重複してもよい。従って、複数の広域ゲートウェイ50のうちの何れかが識別情報を受信した場合、識別情報を送信した無線タグ30に紐づけられた物品22の現在位置は、識別情報を受信した広域ゲートウェイ50に対応する作業工程の待機エリアである、と必ずしも特定することはできない。
【0032】
図2は、物品22および無線タグ30の移動方法を説明する図である。例えば、対象物品24は、第1作業工程が実施された後、第2作業工程が実施される、とする。この場合、対象物品24、および、対象物品24に紐づけられた無線タグ30は、
図2に示すように移動する。
【0033】
まず、第1作業工程が実施される直前において、対象物品24および無線タグ30は、第1作業工程の待機エリアに置かれる。このとき、無線タグ30は、紐づけられた対象物品24と一体とされている。例えば、無線タグ30は、対象物品24が収納されたカゴに取り付けられたり、カゴに対象物品24とともに入れられたりする。なお、無線タグ30は、対象物品24に対して実施される予定の2以上の作業工程および順序が記載された伝票に取り付けられてもよい。
【0034】
続いて、対象物品24は、第1作業工程の待機エリアから、第1作業工程の作業エリアへと移動される。そして、第1作業工程の作業エリアにおいて、作業者、ロボットまたは処理装置は、対象物品24に対して、第1作業工程を実施する。一方、無線タグ30は、対象物品24から分離される。対象物品24から分離された無線タグ30は、対象物品24に対して第1作業工程が実施されている最中において、第1作業工程に対応する狭域ゲートウェイ40の通信可能範囲である第1工程検知範囲42-1へと移動される。例えば、無線タグ30は、第1作業工程に対応する狭域ゲートウェイ40の近傍における所定の棚または机等の上に置かれる。
【0035】
続いて、第1作業工程の実施終了した後、対象物品24は、第2作業工程の待機エリアに移動される。また、第1作業工程が完了した対象物品24に紐づけられた無線タグ30も、第2作業工程の待機エリアに移動され、対象物品24と一体とされる。ここで、第2作業工程の待機エリアは、第2作業工程に対応する広域ゲートウェイ50の通信可能範囲である第2待機検知範囲52-2に含まれる。すなわち、対象物品24が第2作業工程の待機エリアに位置している場合、無線タグ30は、第2作業工程の第2待機検知範囲52-2へと移動される。
【0036】
続いて、対象物品24は、第2作業工程の待機エリアから、第2作業工程の作業エリアへと移動される。また、無線タグ30は、対象物品24から分離され、第2作業工程に対応する狭域ゲートウェイ40の通信可能範囲である第2工程検知範囲42-2へと移動される。
【0037】
以上のように、本実施形態において、無線タグ30は、紐づけられた物品22に対して複数の作業工程のうちの何れかの作業工程が実施されている最中を除き、紐づけられた物品22とともに移動する。そして、無線タグ30は、紐づけられた物品22に対して何れかの作業工程が実施されている最中において、紐づけられた物品22から分離される。
【0038】
また、本実施形態において、複数の作業工程のうちの第1作業工程が実施されている最中の物品22に紐づけられた無線タグ30は、複数の狭域ゲートウェイ40のうちの第1作業工程に対応する狭域ゲートウェイ40と無線通信が可能な工程検知範囲42に配置される。また、本実施形態において、第1作業工程が実施された後、第1作業工程の次に実施予定の第2作業工程が実施される前の物品22に紐づけられた無線タグ30は、複数の広域ゲートウェイ50のうちの第2作業工程に対応する広域ゲートウェイ50と無線通信が可能な待機検知範囲52に配置される。
【0039】
図3は、狭域ゲートウェイ40および広域ゲートウェイ50の構成を示す図である。狭域ゲートウェイ40は、例えば、
図3に示すような構成を有する。
【0040】
狭域ゲートウェイ40および広域ゲートウェイ50は、受信部62と、信号処理部64と、送信部66とを備える。受信部62は、BLE通信機能を用いて、無線タグ30から送信される無線信号を受信する。そして、受信部62は、無線タグ30を識別する識別情報を含む無線信号を出力する。
【0041】
信号処理部64は、無線信号から識別情報を抽出する。信号処理部64は、識別情報とともに、装置を識別する装置情報を含む送信信号を生成する。そして、信号処理部64は、生成した送信信号を送信部66に供給する。送信部66は、送信信号をLTE通信機能を用いて、情報処理装置20へ無線送信する。
【0042】
ここで、狭域ゲートウェイ40は、広域ゲートウェイ50と比較して、無線タグ30との通信可能範囲が狭い。例えば、狭域ゲートウェイ40の受信部62は、強度フィルタ68を含む。強度フィルタ68は、予め定められた電波強度以上の無線信号を受信させ、予め定められた電波強度より小さい無線信号を受信させないようにするフィルタである。これにより、狭域ゲートウェイ40は、無線タグ30との通信可能範囲を狭くすることができる。
【0043】
図4は、情報処理装置20の機能構成を示す図である。
図5は、定義情報の一例を示す図である。
【0044】
情報処理装置20は、識別情報取得部72と、配置記憶部74と、定義情報記憶部76と、定義情報取得部78と、移動履歴記憶部80と、直前工程特定部82と、次工程特定部84と、位置特定部86と、表示制御部88と、位置アラート部90と、計測部92と、滞留アラート部94とを有する。
【0045】
識別情報取得部72は、複数の狭域ゲートウェイ40および複数の広域ゲートウェイ50のうちの無線タグ30から識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40または広域ゲートウェイ50から、識別情報および装置情報を取得する。
【0046】
配置記憶部74は、工場に設置されている複数の狭域ゲートウェイ40のそれぞれが、何れの作業工程に対応しているかを記憶する。さらに、配置記憶部74は、工場に設置されている複数の広域ゲートウェイ50のそれぞれが、何れの作業工程に対応しているかを記憶する。例えば、配置記憶部74は、狭域ゲートウェイ40を識別する装置情報と、作業工程とを対応付けるテーブルを記憶する。さらに、例えば、配置記憶部74は、広域ゲートウェイ50を識別する装置情報と、作業工程とを対応付けるテーブルを記憶する。
【0047】
定義情報記憶部76は、複数の物品22のそれぞれについて、その物品22に対して実施される2以上の作業工程および実施順序を記述した定義情報を記憶する。定義情報は、管理者等により予め作成されて登録されている。
【0048】
例えば、
図5に示すように、定義情報記憶部76は、物品22毎に、識別情報および定義情報を記述したテーブルを記憶する。例えば、
図5の例においては、識別情報が“1001”の物品22の定義情報には、第1作業工程、第3作業工程および第4作業工程が、第1作業工程→第3作業工程→第4作業工程の順で実施されることが記述されている。
【0049】
定義情報取得部78は、識別情報取得部72から識別情報を取得する。定義情報取得部78は、識別情報を取得した場合、取得した識別情報に対応する定義情報を、定義情報記憶部76から取得する。
【0050】
移動履歴記憶部80は、工場において作業工程が実施されている物品22の移動履歴を記憶する。例えば、移動履歴記憶部80は、工場において作業工程が実施されている物品22について、位置特定部86から現在位置を取得し、取得した現在位置が変化した場合、変化後の位置を新たに記憶する。移動履歴記憶部80は、物品22の移動時刻とともに位置を記憶してもよい。
【0051】
直前工程特定部82は、識別情報を取得した場合、取得した識別情報に対応する対象物品24の移動履歴に基づき、複数の作業工程のうちの対象物品24に対して直前に実施された直前作業工程を特定する。
【0052】
次工程特定部84は、識別情報を取得した場合、取得した識別情報に対応する対象物品24の定義情報と、直前工程特定部82により特定された直前作業工程とに基づき、複数の作業工程のうちの直前作業工程の次に対象物品24に対して実施される次作業工程を特定する。
【0053】
位置特定部86は、識別情報を取得した場合、取得した識別情報に対応する対象物品24の現在位置を特定する。本例においては、位置特定部86は、対象物品24が、複数の作業工程のうちの何れの作業工程の作業エリアに位置しているかを特定する。また、複数の作業工程の何れの作業工程の作業エリアにも位置していない場合、位置特定部86は、対象物品24が、複数の作業工程のうちの何れの作業工程に対応する待機エリアに位置しているかを特定する。
【0054】
より具体的には、位置特定部86は、識別情報取得部72から、識別情報および装置情報を取得する。位置特定部86は、取得した装置情報に基づき、狭域ゲートウェイ40または広域ゲートウェイ50の何れが識別情報を受信したかを判断する。
【0055】
そして、複数の狭域ゲートウェイ40のうちの何れかが識別情報を受信した場合、位置特定部86は、対象物品24の現在位置を、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程の作業エリアと特定する。また、複数の広域ゲートウェイ50のうちの何れかが識別情報を受信した場合、位置特定部86は、対象物品24の現在位置を、次工程特定部84により特定された次作業工程に対応する待機エリアと特定する。
【0056】
そして、位置特定部86は、対象物品24の現在位置が変化した場合、移動履歴記憶部80に新たな現在位置を登録する。例えば、位置特定部86は、対象物品24の現在位置が変化した時刻とともに、移動履歴記憶部80に新たな現在位置を登録する。
【0057】
表示制御部88は、対象物品24について、現在位置を表示装置に表示させる。表示制御部88は、対象物品24について、過去の移動履歴および移動時刻とともに、現在位置を表示装置に表示させてもよい。
【0058】
位置アラート部90は、複数の狭域ゲートウェイ40のうちの何れかが識別情報を受信することによって対象物品24の現在位置が変化した場合、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程が、次作業工程と一致するか否かを判断する。そして、位置アラート部90は、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程が、次作業工程と一致しない場合、対象物品24が予定とは異なる位置に移動したことを示す位置アラート情報を出力する。例えば、位置アラート部90は、位置アラート情報を表示装置に表示させてもよい。これにより、情報処理装置20は、管理者に、対象物品24に対して定義情報とは異なる作業工程が実施されていることを知らせることができる。
【0059】
計測部92は、複数の広域ゲートウェイ50のうちの何れかが識別情報を受信した場合、次作業工程に対応する待機エリアに位置している経過時間を計測する。そして、表示制御部88は、計測部92により計測された経過時間を表示装置にさらに表示させる。これにより、情報処理装置20は、管理者に、対象物品24が待機エリアで滞留している時間を知らせることができる。
【0060】
滞留アラート部94は、計測部92により計測された経過時間が予め定められた時間以上となった場合、対象物品24に対して作業工程が長時間実施されずに滞留していることを示す滞留アラートを出力する。これにより、情報処理装置20は、管理者に、作業工程が長時間実施されずに滞留していることを知らせることができる。
【0061】
図6は、情報処理装置20の処理の流れを示す図である。複数の狭域ゲートウェイ40および複数の広域ゲートウェイ50の何れかが無線タグ30から識別情報を受信した場合、情報処理装置20は、
図6に示す流れで処理を実行する。
【0062】
まず、S11において、情報処理装置20は、無線タグ30から識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40または広域ゲートウェイ50から、識別情報および装置情報を取得する。
【0063】
続いて、S12において、情報処理装置20は、取得した装置情報に基づき、狭域ゲートウェイ40または広域ゲートウェイ50の何れが識別情報を受信したかを判断する。狭域ゲートウェイ40が識別情報を受信した場合(S12のYes)、情報処理装置20は、処理をS13に進める。狭域ゲートウェイ40が識別情報を受信していない、すなわち、広域ゲートウェイ50が識別情報を受信した場合(S12のNo)、情報処理装置20は、処理をS14に進める。
【0064】
S13において、情報処理装置20は、対象物品24が、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程の作業エリアに位置すると判定する。すなわち、情報処理装置20は、狭域ゲートウェイ40が識別情報を受信した場合、対象物品24の現在位置を、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程の作業エリアと特定する。情報処理装置20は、S13を終えると、処理をS18に進める。
【0065】
S14において、情報処理装置20は、取得した識別情報に対応する対象物品24の定義情報を取得する。続いて、S15において、情報処理装置20は、対象物品24の移動履歴に基づき、対象物品24に対して直前に実施された直前作業工程を特定する。
【0066】
続いて、S16において、情報処理装置20は、対象物品24の定義情報と、直前工程特定部82により特定された直前作業工程とに基づき、複数の作業工程のうちの直前作業工程の次に対象物品24に対して実施される次作業工程を特定する。
【0067】
続いて、S17において、情報処理装置20は、対象物品24が、次作業工程に対応する待機エリアに位置すると判定する。すなわち、情報処理装置20は、複数の広域ゲートウェイ50のうちの何れかが識別情報を受信した場合、対象物品24の現在位置を、定義情報に基づき特定された次作業工程に対応する待機エリアと特定する。
【0068】
続いて、S18において、情報処理装置20は、現在位置を登録する。例えば、情報処理装置20は、対象物品24の現在位置が変化した場合、変化した時刻とともに新たな現在位置を登録する。
【0069】
続いて、S19において、情報処理装置20は、対象物品24について、現在位置を表示装置に表示させる。情報処理装置20は、対象物品24について、過去の移動履歴および移動時刻とともに、現在位置を表示装置に表示させてもよい。情報処理装置20は、S19の処理を終えると、本フローの処理を終了する。
【0070】
図7は、対象物品24の移動履歴の表示例を示す図である。
【0071】
情報処理装置20は、対象物品24について、例えば、作業工程の実施開始時刻、実施終了時刻および実施経過時間を表示する。また、情報処理装置20は、対象物品24について、例えば、作業工程の待機エリアでの滞留開始時刻、滞留終了時刻および滞留経過時間を表示する。さらに、情報処理装置20は、滞留経過時間が予め定められた時間よりも長い場合、例えば、対応する作業工程の待機エリアでの経過時間等を強調表示してもよい。これにより、情報処理装置20は、管理者に対して作業工程が長時間実施されずに滞留していることを知らせることができる。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る位置検出システム10は、複数の狭域ゲートウェイ40のうちの何れかが識別情報を受信した場合、物品22の現在位置を、識別情報を受信した狭域ゲートウェイ40に対応する作業工程の作業エリアと特定する。さらに、位置検出システム10は、複数の広域ゲートウェイ50のうちの何れかが識別情報を受信した場合、物品22の現在位置を、定義情報に基づき特定された次作業工程に対応する待機エリアと特定する。
【0073】
これにより、本実施形態に係る位置検出システム10は、物品22が、ある作業工程の実施終了した後、次の作業工程の実施が開始される前に、待機エリアで一時的に滞留している場合において、物品22が待機エリアに位置していることを検出することができる。従って、本実施形態に係る位置検出システム10によれば、2以上の作業工程が順次に実施される物品22における位置を精度良く検出することができる。
【0074】
図8は、情報処理装置20のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置20は、通常のコンピュータと同様の構成している。すなわち、情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、記憶デバイス204と、ネットワークインターフェース(I/F)205とを有する。
【0075】
情報処理装置20は、さらに、ディスプレイ206と、表示I/F207と、入力デバイス208と、入力I/F209とを有する。CPU201、ROM202、RAM203、記憶デバイス204、ネットワークI/F205、表示I/F207及び入力I/F209は、バスにより接続されている。
【0076】
CPU201は、記憶デバイス204に記憶されたプログラムをRAM203に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりする。ROM202には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶デバイス204からRAM203に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0077】
記憶デバイス204は、例えば、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等である。記憶デバイス204は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されてもよい。ネットワークI/F205は、例えばネットワークに接続するためのインターフェイス装置である。
【0078】
ディスプレイ206は、表示装置である。表示I/F207は、CPU201の制御に従ってディスプレイ206に画像信号を供給する。入力デバイス208は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等であり、ユーザによる操作情報を取得する。入力I/F209は、CPU201の制御に従って、入力デバイス208が取得した情報をRAM203に記憶させる。
【0079】
本実施形態の情報処理装置20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0080】
情報処理装置20で実行されるプログラムは、識別情報取得モジュールと、定義情報取得モジュールと、直前工程特定モジュールと、次工程特定モジュールと、位置特定モジュールと、表示制御モジュールと、位置アラートモジュールと、計測モジュールと、滞留アラートモジュールとを含む。CPU201(プロセッサ)は、記憶媒体等からこのプログラムを読み出して、上記各モジュールをRAM203(主記憶装置)にロードする。そして、CPU201(プロセッサ)は、このプログラムを実行することにより、識別情報取得部72、定義情報取得部78、直前工程特定部82、次工程特定部84、位置特定部86、表示制御部88、位置アラート部90、計測部92および滞留アラート部94として機能する。また、CPU201(プロセッサ)は、このプログラムを実行することにより、RAM203または記憶デバイス204を配置記憶部74、定義情報記憶部76および移動履歴記憶部80として機能させる。なお、識別情報取得部72、定義情報取得部78、直前工程特定部82、次工程特定部84、位置特定部86、表示制御部88、位置アラート部90、計測部92および滞留アラート部94の一部または全部がハードウェアにより構成されていてもよい。
【0081】
また、本実施形態の情報処理装置20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の情報処理装置20で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、本実施形態のプログラムを、ROM202等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0083】
10 位置検出システム
20 情報処理装置
22 物品
24 対象物品
30 無線タグ
40 狭域ゲートウェイ
42 工程検知範囲
50 広域ゲートウェイ
52 待機検知範囲
62 受信部
64 信号処理部
66 送信部
68 強度フィルタ
72 識別情報取得部
74 配置記憶部
76 定義情報記憶部
78 定義情報取得部
80 移動履歴記憶部
82 直前工程特定部
84 次工程特定部
86 位置特定部
88 表示制御部
90 位置アラート部
92 計測部
94 滞留アラート部