(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20241111BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241111BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N1/387 200
H04N1/04 106A
G06T1/00 430J
(21)【出願番号】P 2020128474
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳紀
【審査官】宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-354654(JP,A)
【文献】特開2018-148362(JP,A)
【文献】特開2016-63333(JP,A)
【文献】特開2014-36244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38 - 1/393
H04N 1/04 - 1/207
G06T 1/00
G03G 13/23
G03G 15/23
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読取る読取り手段と、
前記読取り手段が読取った画像の原稿領域を抽出する抽出手段と、
を備えた画像処理装置であって、
前記抽出手段が抽出した原稿領域の包含関係
として、2つの原稿領域の一方が他方を包含しているか、1つの原稿領域のみが存在するかを判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した原稿領域が2つの原稿領域の一方が他方を包含すると検出されたときフチあり原稿であると判定し、1つの原稿領域のみが存在するとされたときフチなし原稿であると判定する原稿判定手段と、
前記抽出手段が抽出した原稿領域
のうち切り出す範囲を決定するための所定のパラメータ
を用いることによって切り出す処理領域を決定する決定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記パラメータを切り替える切り替え手段と、をさらに備え
、
前記原稿判定手段による判定結果がフチあり原稿である場合であって、且つ切り出すべき原稿領域が前記2つの原稿領域のうちの内に属する原稿領域である場合に用いる前記パラメータである第1パラメータは、前記原稿判定手段による判定結果がフチあり原稿である場合であって、且つ切り出すべき原稿領域が前記2つの原稿領域のうちの外に属する原稿領域である場合に用いる前記パラメータである場合に用いる前記パラメータである第2パラメータよりも原稿領域を大きく切り出すパラメータであり、
原稿判定手段による判定結果がフチなし原稿である場合には、前記決定手段は前記第2パラメータを用いて処理領域を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記読取り手段は、原稿台に搭載された原稿を読取り、
前記決定手段は、前記抽出手段が抽出した原稿領域が、前記原稿台の基準方向に対して傾いていた場合には、原稿領域の傾きに
合わせて、前記第2パラメータを用いて処理領域を決定することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記読取り手段は、処理の最初に原稿を読取るプレスキャンと、前記判定手段による判定後に原稿の読取りを行う本スキャンと、を行うことを特徴とする請求項1
または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プレスキャンを行う際の解像度は、前記本スキャンを行う際の解像度よりも低いことを特徴とする請求項
3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定手段による処理領域の確定後に前記本スキャンを行うことを特徴とする請求項
3または4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段による処理領域の決定前に前記本スキャンを行うことを特徴とする請求項
3または4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿台に搭載された原稿の画像を読取る読取り工程と、
前記読取り工程で読取った画像の原稿領域を抽出する抽出工程と、
を備えた画像処理方法であって、
前記抽出工程で抽出した原稿領域の包含関係
として、2つの原稿領域の一方が他方を包含しているか、1つの原稿領域のみが存在するかを判定する判定工程と、
前記判定工程で判定した原稿領域が2つの原稿領域の一方が他方を包含すると検出されたときフチあり原稿であると判定し、1つの原稿領域のみが存在するとされたときフチなし原稿であると判定する原稿判定工程と、
前記抽出工程で抽出した原稿領域
のうち切り出す範囲を決定するための所定のパラメータ
を用いることによって切り出す処理領域を決定する決定工程と、
前記判定工程における判定結果に基づいて、前記パラメータを切り替える切り替え工程と、をさらに備え
、
前記原稿判定工程による判定結果がフチあり原稿である場合であって、且つ切り出すべき原稿領域が前記2つの原稿領域のうちの内に属する原稿領域である場合に用いる前記パラメータである第1パラメータは、前記原稿判定工程による判定結果がフチあり原稿である場合であって、且つ切り出すべき原稿領域が前記2つの原稿領域のうちの外に属する原稿領域である場合に用いる前記パラメータである場合に用いる前記パラメータである第2パラメータよりも原稿領域を大きく切り出すパラメータであり、
原稿判定工程による判定結果がフチなし原稿である場合には、前記決定工程では前記第2パラメータを用いて処理領域を決定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
少なくとも1つのコンピュータを、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載された画像処理装置の各手段とし
て機能させるためのプログラム。
【請求項9】
少なくとも1つのコンピュータを、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載された画像処理装置の各手段とし
て機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台に載置された原稿の原稿領域を抽出して読取り、その読み取った画像を保存または印刷する画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に載置された原稿に対して、位置を検出し、画像を保存および印刷する技術が知られている。特許文献1では、原稿の読取り画像に対して、エッジ抽出などの手法を用いて原稿位置を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿の読取りにおいて、原稿が写真のように比較的厚さがある場合、厚さによって原稿の周囲に影ができることがあり、エッジ抽出などの手法により推定された原稿領域は、影の影響によって実際の原稿の領域より広くなる。そのため、影を考慮して推定された原稿領域よりも内側に領域を狭めて領域設定することで所望の画像を得ることができる。しかしながら、周囲に余白のある写真原稿(以下、フチあり写真)を読取る場合、影の影響を考慮した処理を行うとユーザが期待する画像が得られないという課題がある。
【0005】
よって本発明は、ユーザが期待する画像を得ることができる画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明の画像処理装置は、原稿の画像を読取る読取り手段と、前記読取り手段が読取った画像の原稿領域を抽出する抽出手段と、を備えた画像処理装置であって、前記抽出手段が抽出した原稿領域の包含関係として、2つの原稿領域の一方が他方を包含しているか、1つの原稿領域のみが存在するかを判定する判定手段と、前記判定手段が判定した原稿領域が2つの原稿領域の一方が他方を包含すると検出されたときフチあり原稿であると判定し、1つの原稿領域のみが存在するとされたときフチなし原稿であると判定する原稿判定手段と、前記抽出手段が抽出した原稿領域のうち切り出す範囲を決定するための所定のパラメータを用いることによって切り出す処理領域を決定する決定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記パラメータを切り替える切り替え手段と、をさらに備え、前記原稿判定手段による判定結果がフチあり原稿である場合であって、且つ切り出すべき原稿領域が前記2つの原稿領域のうちの内に属する原稿領域である場合に用いる前記パラメータである第1パラメータは、前記原稿判定手段による判定結果がフチあり原稿である場合であって、且つ切り出すべき原稿領域が前記2つの原稿領域のうちの外に属する原稿領域である場合に用いる前記パラメータである場合に用いる前記パラメータである第2パラメータよりも原稿領域を大きく切り出すパラメータであり、原稿判定手段による判定結果がフチなし原稿である場合には、前記決定手段は前記第2パラメータを用いて処理領域を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが期待する画像を得ることができる画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】読取る写真原稿であるフチなし写真とフチあり写真とを示した図である。
【
図4】読取りおよび印刷処理を示したフローチャートである。
【
図5】読取りおよび印刷処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
周囲に余白のある写真原稿(以下、フチあり写真)を読取る場合の影の影響を考慮した処理の問題を補足説明する。フチあり写真を読取る場合、写真原稿端のエッジによる推定領域と、余白の内側部分、つまり実際の画像部分のエッジによる推定領域と、の2つの領域が検出される。写真原稿端のエッジでは、上記の通り原稿の周囲に影ができるため、内側に領域を狭めて設定することで所望の画像を得ることができる。しかし、画像部分のエッジでは影は生じないことから、写真原稿端のエッジと同様に内側に領域を狭めて領域設定すると、画像の端部を切り捨てることになり、ユーザが期待する画像が得られない。以下の実施形態では、影の影響を考慮した処理を適用可能な場合に、ユーザが期待する画像が得られる例を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態を適用可能な画像処理装置100の構成を示すブロック図である。画像処理装置100は、原稿台に載置された原稿を読取部109で読取り、読み取った画像を保存または印刷する。画像処理装置100は、原稿台に載置された複数の原稿をそれぞれ読取ることが可能に構成されている。画像処理装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、通信部104、印刷部105、給紙部106、操作部107、表示部108、読取部109を備えている。操作部107は、例えばキーを備えてもよいし、タッチパネルとして表示部108と一体の構成であってもよい。CPU101は、ROM102に格納されたプログラムをRAM103に展開することで、画像処理装置100により実行可能な各種の機能を実現する。読取部109は、銀塩写真や雑誌等を画像データ(ディジタルデータ)として読取るCCD方式またはCIS方式のカラースキャナである。
【0012】
図2は、読取る写真原稿であるフチなし写真200とフチあり写真210とを示した図である。一般に写真原稿は厚さがあるため、画像処理装置で読取りを行った場合、原稿の端部を伴う周囲に影202、212が生じることがある。読み取った原稿に影が生じた場合、原稿領域の検出を行うと、推定される原稿領域候補は影を含んだ矩形となる。そこで、影の影響を考慮し、影の領域を取り除くべく、推定された原稿領域候補の矩形からさらに内側を原稿領域とする。これによって影を含まない原稿領域とすることができる。
【0013】
フチあり写真210をコピーする際には、周囲のフチ213を含めてコピーする場合と、周囲のフチ213を含めない画像部分211のみをコピーする場合とがある。フチあり写真210で周囲のフチ213を含める場合と、フチなし写真200を原稿として読取る場合とは、いずれも原稿の外縁端部を伴っており原稿の周囲に影が生じる虞がある。そのため、フチあり写真210で周囲のフチ213を含める場合と、フチなし写真200とを原稿として読取る場合には、所定の切り出しパラメータを用いて、原稿領域候補の矩形からさらに内側を原稿領域として切り出す原稿領域検出処理を行えばよい。
【0014】
一方、フチあり写真210をコピーする際に周囲のフチ213を含めない場合、原稿領域として画像部分211と周囲のフチ213との境界214より内側を適切に切り出す必要がある。フチあり写真210を読取ると、原稿領域候補は、影212を含む矩形領域と、境界214による矩形領域の2つの領域が原稿領域候補となる。そこで、周囲のフチ213を含めない場合には、外側の影212を含む矩形領域の原稿領域候補を除外し、内側の境界214による矩形領域の原稿領域候補を残す。
【0015】
ここで、内側の境界214による矩形領域は、原稿の外縁端部を伴わないため、原稿の厚みによる影は発生しない。そのため、周囲のフチ213を含める場合およびフチなし写真200を読取る場合と同様に、影の影響を考慮した原稿領域検出処理を行うと、必要な画像部分211の一部の領域を切り捨ててしまうことになり、ユーザが期待する画像を得ることができない。
【0016】
そこで本実施形態では、フチあり写真210をコピーする際に周囲のフチ213を含めない内側の原稿領域をコピーする場合には、外側の原稿領域候補に対する所定の切り出しパラメータより小さな値の切り出しパラメータを用いて原稿領域検出処理を行う。つまり、影の影響を考慮した原稿領域検出処理より結果的に大きな原稿を得ることができる。これによって、ユーザが期待する画像を得ることができる。
【0017】
図3は、切り出し処理の様子を表す模式図である。原稿領域候補に対し、切り出し処理を行う場合について説明する。切り出しパラメータを(Ltop,Lbottom,Lleft,Lright)とした場合、原稿領域候補の矩形の各辺を上下左右それぞれLtop,Lbottom,Lleft,Lrightだけ内側に切り出す。原稿領域候補Rが長方形p0、p1、p2、p3で表現されるとする。点p0からX方向にLleft,Y方向にLtop移動した点を点q0とし、同様に点p1を(-Lright,Ltop)移動した点を点q1、点p2を(-Lright,-Lbottom)移動した点を点q2、点p3を(Lleft,-Lbottom)移動した点を点q3とする。このとき、原稿領域候補Rを切り出した原稿領域R’は長方形q0、q1、q2、q3と表現できる。
【0018】
図3では、原稿領域候補の矩形がX軸、Y軸に対して傾きが無い場合を表したが、原稿領域候補の矩形がX軸、Y軸に対して傾いていた場合は、切り出しパラメータに対して傾き分の補正を計算して切り出しを行ってもよい。
【0019】
このように切り出しパラメータを、外側の原稿領域候補Rに対する切り出しパラメータと、内側の原稿領域候補に対する切り出しパラメータ(外側の原稿領域候補に対する切り出しパラメータ>内側の原稿領域候補に対する切り出しパラメータ)として設定する。そして、設定した切り出しパラメータを用いて原稿領域検出処理を行う。なお、各切り出しパラメータは、画像処理装置100の特性に合わせて所定の値として設定してもよいし、ユーザが個別に設定した値や、予め登録された値からユーザが選択した値を用いてもよい。
【0020】
図4は、本実施形態における読取りおよび印刷処理を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを用いて本実施形態の読取りおよび印刷処理を説明する。
図4で示される一連の処理は、画像処理装置100のCPU101がROM102に記憶されているプログラムコードをRAM103に展開し実行することにより行われる。あるいはまた、
図4におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
【0021】
読取りおよび印刷処理が開始されると、CPU101は処理の最初にS401で、ユーザの操作により、原稿台の全面をRGBカラー、解像度75dpiで前読取り(プレスキャン)を行う。なお、解像度を75dpiとしたが、画像処理装置100に使用される読取センサの仕様によって、他の解像度で読取るようにしてもよい。なお、原稿領域検出の解析処理を高速化するために、後述する本読取り(本スキャン)時の解像度よりも低い解像度で読取ることが望ましい。
【0022】
その後、CPU101はS402で、S401で得られた読取画像に対して、2値化処理を行う。2値化処理では、エッジ抽出等のフィルタリング処理や、輝度・色差の値を利用した閾値処理など、公知の技術を用いて2値化を行う。そして、CPU101はS403で、2値化処理で得られた2値画像データに対してラベリング処理を行う。ラベリング処理では、2値画像データの中で、黒画素が連続する画像にラベル番号を付与する。このとき、連続する黒画素のそれぞれの画素には同一のラベル番号を付与し、この同一ラベル番号を付与した黒画素の塊をラベル画像と呼ぶ。ラベリング処理において、連続する黒画素数が所定数以下であった場合、その黒画素の塊をノイズとして扱い、以降の処理から除外する。
【0023】
そして次にCPU101はS404で、得られたラベル画像から原稿領域検出処理を行う。原稿領域検出処理では、各ラベル画像に対しラベル画像を囲う矩形を設定し、その矩形の各頂点の位置と傾き角度を原稿領域候補として記憶する。矩形の設定方法は、Snakes法などの公知の技術を用いた方法が考えられる。例えば、フチあり写真原稿では、写真原稿端のエッジによる矩形の外側領域と、画像部分のエッジによるフチを除いた矩形の内側領域とが検出される。その後CPU101はS405で、得られた原稿領域候補から2つを選択し、包含関係を調べる包含関係確認処理を行う。包含関係確認処理では、選択された2つの原稿領域候補のうち、一方がもう一方の領域内に完全に内包されている場合、内側にある原稿領域候補に対し、その領域が内側であることを示す情報(以下、包含関係情報)を記憶する。
【0024】
CPU101はS406で、記憶した包含関係情報から、読み取った原稿がフチなし原稿か否かを判定(原稿判定)する。なお、ここでいうフチなし原稿とは、
図2で説明したフチなし写真300である。フチなし写真300のように、外周のフチ(余白)とは異なる画像のフチを、内包しない原稿をいう。つまり、原稿の外周部にフチ(余白)がなくても、外周のフチとは異なる画像のフチを内包する原稿は、フチなし原稿ではないと判定する(フチあり原稿であると判定する)。原稿がフチなし原稿でなければ(N)S407に移行して、原稿がフチなし原稿であれば(Y)、S411に移行する。
【0025】
S407に移行した場合、CPU101は包含関係にある2つの原稿領域候補のうち、どちらを除去するかを判定する。ここでは、事前にユーザによる設定で、読取る対象として、原稿全体が指定されたか、内包画像が指定されたかに基づいて判定を行う。つまり、原稿全体が指定された場合、内包画像部分のエッジによる矩形である内側領域を除去し、内包画像が指定された場合、原稿外縁のエッジによる矩形である外側領域を除去する。このように、原稿全体が指定されたか、内包画像が指定されたかの判定結果に基づいて、原稿領域を確定させる処理を異ならせる。なお、どちらを除去するかの判定は、2つの原稿領域候補の辺の長さや面積比などの条件を予め設定することにより自動で判定してもよい。
【0026】
このような判定後に、CPU101は、原稿全体である場合(Y)には、S408に移行して、内側の原稿領域候補を除去する。また、原稿全体ではない場合(N)には、S409に移行して外側の原稿領域候補を除去する。これにより、包含関係の2つの原稿領域候補が、1つの原稿領域候補に特定(限定)されることになる。
【0027】
その後、CPU101はS410で、S405で記憶した包含関係情報を参照して、残された原稿領域候補が、内側の原稿領域か否かを判定する。
【0028】
本実施形態では、残された原稿領域候補が外側領域の場合は、原稿の厚みによる影の影響を取り除くために、外側用の切り出しのパラメータを用いて原稿領域候補の矩形を内側に狭めて切り出して処理領域を確定する。また、残された原稿領域候補が内側領域の場合は、原稿の厚みによる影の影響はないため、外側用の切り出しのパラメータとは異なる(切り出し量の少ない)内側用の切り出しパラメータを用いて原稿領域候補の矩形を切り出して処理領域を確定(領域確定)する。これによって、画像部分のエッジによる内側の原稿領域でも、画像の端部を必要以上に切り捨てることなく、ユーザが期待する画像を得ることができる。
【0029】
CPU101はS410で外側の原稿領域と判定した場合には、S411に移行して、外側用の切り出しのパラメータを用いて原稿領域候補の矩形を切り出して処理領域を確定する。また、S410で内側の原稿領域と判定した場合には、S412に移行して、内側用の切り出しのパラメータを用いて原稿領域候補の矩形を切り出して処理領域を確定する。
【0030】
その後、CPU101はS413で、原稿台に搭載された全ての原稿の処理領域が確定するまでS410からS411またはS412を繰り返す。全ての原稿の処理領域が確定すると、CPU101はS414で、確定した処理領域を用いて、プレスキャンで得られた原稿台全面の画像から原稿を切り出し表示部108に切り出した画像を表示する。ユーザは表示部108で、切り出された画像を確認することができる。ユーザが期待通りの処理領域が得られていると判断し、ユーザにより操作部107で実行ボタンが押下されると、CPU101はS415で、確定した処理領域に対する本スキャンを実行する。その後、CPU101はS416で、本スキャン得られた処理領域データを印刷する。なお、S414で表示した画像のうち、ユーザによって指定された一部の画像の原稿を本スキャンして印刷してもよい。
【0031】
なお、S404の原稿領域検出処理で、原稿が所定の基準方向に対して傾いていることを検出した場合には、S411で、検出した傾きに応じた外側切り出し用パラメータを用いて処理領域を確定してもよい。これは、原稿が傾いた場合に原稿の外縁に生じる影の大きさが、傾いていない場合とは異なることから、傾きに応じたパラメータを用いて原稿領域を確定するためである。
【0032】
このように、内側の原稿領域には、内側の原稿領域に対応したパラメータで処理領域を確定し、(外縁を含む)外側の原稿領域には、外側の原稿領域に対応したパラメータで処理領域を確定する。これによって、ユーザが期待する画像を得ることができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0034】
第1の実施形態では、フチあり写真310を読み取った際の、影を含む矩形領域の原稿領域候補と、画像境界による矩形領域の原稿領域候補とがある場合に、原稿全体を読取るか否かの判定によって、いずれの原稿領域候補を除去するかを判定した。
【0035】
本実施形態では、各原稿領域候補の矩形における辺の長さを比較し、所定の割合を超えた場合に、ユーザによって設定された方の原稿領域を残すように判定する。具体的には、影を含む矩形領域の長辺(または短辺)の長さと、画像境界による矩形領域の長辺(または短辺)の長さとを比較する。そして、画像境界による矩形領域の長辺(または短辺)の長さが、影を含む矩形領域の長辺(または短辺)の長さの例えば70%未満の場合には、影を含む矩形領域の原稿領域候補を採用する。また、辺の長さではなく、領域の面積を比較することでどちらの原稿領域を残すかを判定してもよい。
【0036】
これによって、例えば顔写真付きの名刺原稿をコピーしたい場合、内側の顔写真部分が処理領域となってしまうことなく、名刺全体をコピーすることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0038】
第1の実施形態および第2の実施形態では、原稿領域候補が内側の領域か否かで切り出しパラメータを変更し、処理領域の確定後に本スキャンした。本実施形態では、本スキャンの前に処理領域の切り出しを行わず、原稿領域候補を本スキャンした後に、得られた原稿領域に対して切り出しを行う。つまり、処理領域の決定前に本スキャンを行う。本スキャンした画像に対する切り出し量は、原稿領域候補の包含関係情報を参照し、内側と外側のどちらの切り出しパラメータを用いるかを決定する。この際、本スキャン時の読取解像度に合わせて切り出し量を変更してもよい。
【0039】
図5は、本実施形態における読取りおよび印刷処理を示したフローチャートである。以下、このフローチャートを用いて本実施形態の読取りおよび印刷処理を説明する。なお、読取りおよび印刷処理における処理の主体は、特に記載がある場合を除いてCPU101である。
【0040】
本実施形態の読取りおよび印刷処理は、
図4で説明した第1の実施形態における読取りおよび印刷処理とは本スキャンを実施するタイミングが異なる。S501からS508、S509までの処理は、第1の実施形態におけるS401からS408、S409と同様の処理であるので説明を省略する。
【0041】
本実施形態では、CPU101は、S508、S509の処理の後に、S510で本スキャンを行う。この時点ではパラメータによる処理領域の切り出しは行われていない。つまり、本実施形態では、本スキャンを実施した後にパラメータによる処理領域の切り出しを行う。このように読取りおよび印刷処理を行ってもよい。
【0042】
S510以降のS511からS516までの処理は、第1の実施形態のS410からS416までの処理と同様である。
【0043】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0044】
100 画像処理装置
101 CPU
109 読取部
300 フチなし写真
310 フチあり写真
312 影
313 フチ
314 境界