(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020132343
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 江美
(72)【発明者】
【氏名】尾田 颯太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】八島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】梅田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】深川 雅史
(72)【発明者】
【氏名】横井 龍一
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-002502(JP,A)
【文献】特開2017-133241(JP,A)
【文献】特開2001-090164(JP,A)
【文献】特開平03-253628(JP,A)
【文献】特開2009-281113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水回路を有する機能部と、
洗浄機構部と、
前記洗浄機構部及び前記水回路における2箇所以上の部分から溢れた水を合流させて外部に排出する合流部と、を備え、
便器の上部に配置されるベース部材を備え、
前記合流部は、前記ベース部材により構成され、
前記洗浄機構部及び前記水回路の少なくともいずれかから溢れた水を前記合流部に導く排水ホースを有し、
前記合流部は、前記排水ホースの先端の排出口に対向して形成され
前記ベース部材の一部により構成される底面部と、前記底面部から上方に突出
して形成され前記ベース部材の一部により構成される複数の突出部と、を有し、
前記排水ホースの先端の排出口は、前記複数の突出部の上端に対向して配置される便器装置。
【請求項2】
便器の上部に配置されるベース部材を備え、
前記合流部は、前記ベース部材により構成され
、
前記複数の突出部同士は、離れて配置され、
前記排水ホースの先端の排出口は、前記複数の突出部のうちの2つ以上の突出部の上端に対向して配置される、請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記合流部から排出される水は、便器の便鉢内に排出される、請求項1又は2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記洗浄機構部、前記水回路及び前記合流部は、前記合流部から排出される水の排出量が、前記洗浄機構部から溢れた水と前記機能部の前記水回路から溢れた水との合計量よりも多くなるように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄機構部(便器洗浄バルブ、バキュームブレーカ、ブースター等)と、機能部の水回路(衛生洗浄装置、熱交換器等)と、を備える便器装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の便器装置は、バキュームブレーカの不具合が生じた場合に、バキュームブレーカから洗浄水が溢れるように構成され、バキュームブレーカから溢れた洗浄水を水受け部から排水路を介して貯水タンク内へ排水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄機構部(便器洗浄バルブ、バキュームブレーカ、手洗い水回路等)及び機能部の水回路(バルブ、泡発生装置、ブースター等)の複数箇所において不具合が生じた場合に、複数箇所から水が溢れる可能性がある。複数箇所から溢れた水を確認することは煩雑である。そのため、洗浄機構部及び機能部の水回路の複数箇所から溢れた水の確認をする手間を低減できることが求められている。
【0005】
本開示は、洗浄機構部及び機能部の水回路の複数箇所から溢れた水の確認をする手間を低減できる便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、水回路を有する機能部と、洗浄機構部と、前記洗浄機構部及び前記水回路における2箇所以上の部分から溢れた水を合流させて外部に排出する合流部と、を備える便器装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】一実施形態に係る便器洗浄装置の弁装置の概略を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る便器装置の機能部、ベースプレート及び便器洗浄装置を示す斜視図である。
【
図4】ベースプレート及び便器洗浄装置を示す斜視図である。
【
図5】弁装置に接続された排水ホースの取り付け状態を示す斜視図である。
【
図11】リム側バキュームブレーカ機構及びジェット側バキュームブレーカ機構を示す断面図である。
【
図12】リム側溢れ水収容部のリム側蓋部及びジェット側溢れ水収容部のジェット側蓋部を外した状態を示す図である。
【
図13】リム側溢れ水収容部及びジェット側溢れ水収容部を接続チューブで接続する構造の断面図である。
【
図14】リム側溢れ水収容部及びジェット側溢れ水収容部をネジ固定する構造を示す断面図である。
【
図15】前ベースが昇降装置により定位置に位置する状態を示す図である。
【
図16】前ベースが昇降装置により上昇位置に位置する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の説明においては、便器装置1の便座(図示省略)に座った人から視た場合の前後の向きを前後方向とし、便座に座った人から視た場合の左右の向きを左右方向とする。便器2から便蓋3へ向かう鉛直方向に沿った上下の向きを上下方向とする。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の便器装置1は、陶器製の便器2と、便座(図示省略)と、便蓋3と、ベースプレート4と、機能部5と、弁装置6を有する便器洗浄装置7(洗浄機構部)と、昇降装置8(
図15及び
図16参照)と、を備える。便器装置1は、便器2に対して弁装置6を介して洗浄水を供給するフラッシュバルブ式の便器装置である。便座(図示省略)及び便蓋3は、便器2の上方において、便器2に対して回転可能に取り付けられる。
【0010】
便器2は、
図2に示すように、便鉢21と、便鉢21の底部に形成された断面視略S字状の排水トラップ流路22と、を備える。排水トラップ流路22の下流側の端部は、排水接続管23を介して、排水管(図示省略)に連結される。
【0011】
便鉢21の上部には、洗浄水を吐出するリム吐水口741(洗浄水吐水口)が形成されている。便鉢21の底部近傍には、洗浄水を吐出するジェット吐水口751(洗浄水吐水口)が形成されている。便鉢21の内部は、リム吐水口741及びジェット吐水口751を介して、便器洗浄装置7から供給される洗浄水により洗浄される。
【0012】
便器2の後部の上部には、
図1に示すように、ベースプレート4が配置される。ベースプレート4は、前ベース41(ベース部材)と、後ベース42と、を有する。前ベース41は、便器2の後部の上部の前側に配置される。後ベース42は、便器2の後部の上部において、前ベース41の後側に配置される。
【0013】
前ベース41の上部には、
図3に示すように、機能部5及び便器洗浄装置7の一部が配置される。機能部5及び便器洗浄装置7の一部が配置された前ベース41は、後述する昇降装置8(
図15及び
図16参照)によって、便器2などの掃除等のために上下に昇降可能に取り付けられている。後ベース42には、便器洗浄装置7の弁装置6が上下方向に貫通するように配置されている。機能部5及び便器洗浄装置7は、
図1に示すように、上方からカバー部5aに覆われる。
【0014】
機能部5は、
図3に示すように、前ベース41に固定される電源ユニット51、便座(図示省略)及び便蓋3の電動開閉ユニット(図示省略)に加え、衛生洗浄ユニット52、温風乾燥ユニット53、各ユニット制御回路基板や、各種配管等の各種機能部材などから構成される。機能部5は、衛生洗浄ユニット52などの洗浄水が流通する水回路を有している。衛生洗浄ユニット52は、進退可能な洗浄ノズル522を有する。洗浄ノズル522は、人体の局部を洗浄する肛門洗浄やビデ洗浄に用いられる。
【0015】
便器洗浄装置7は、大部分が後ベース42に設けられると共に、一部が前ベース41に設けられる。便器洗浄装置7は、ユーザによって洗浄スイッチ(図示省略)が操作されることで、便器2の便鉢21を洗浄する。
【0016】
便器洗浄装置7は、
図2に示すように、弁装置6と、ブースター71(蓄圧装置)と、洗浄水導入給水路72と、ブースター水導入出流路73と、リム側給水路74と、ジェット側給水路75と、を備える。ブースター71は、後ベース42の下方において、下カバー421(
図4参照)の内部に配置される。
【0017】
前ベース41には、機能部5の衛生洗浄ユニット52から溢れた溢れ水や便器洗浄装置7の弁装置6から溢れた溢れ水が排出される。前ベース41は、機能部5の衛生洗浄ユニット52から溢れた溢れ水や便器洗浄装置7の弁装置6から溢れた溢れ水が合流する合流部を構成する。
【0018】
前ベース41は、便器洗浄装置7及び機能部5の水回路における2箇所以上の部分から溢れた溢れ水を合流させて外部に排出する。前ベース41を介して、機能部5の衛生洗浄ユニット52から溢れた溢れ水や便器洗浄装置7の弁装置6から溢れた溢れ水は、外部に排出される。本実施形態においては、機能部5の衛生洗浄ユニット52から溢れた溢れ水や便器洗浄装置7の弁装置6から溢れた溢れ水は、前ベース41を介して、便器2の便鉢21に排出される。
【0019】
前ベース41は、
図4に示すように、底面部411と、周壁部412と、を備える。底面部411には、上方に向けて突出する複数のリブ413(突出部)と、前ベース排出部414と、が形成される。
【0020】
複数のリブ413は、
図5に示すように、弁装置6に接続された排水ホース67(後述)の先端の排出口671が対向する部分に形成される。本実施形態においては、複数のリブ413は、底面部411における上段部411aから上方に突出する板状に形成されるリブ413aと、底面部411における上段部411aと段差部411bとに跨った部分から上方に突出する板状に形成されるリブ413b、413bと、を有して構成される。
【0021】
排水ホース67の先端の排出口671は、複数のリブ413に対向して配置されることで、前ベース41の底面部411に対向した状態で、底面部411から離間して配置される。排水ホース67の先端の排出口671は、複数のリブ413から離間して配置されていてもよく、複数のリブ413に当接して配置されていてもよい。
【0022】
前ベース排出部414は、
図6~
図8に示すように、3つの排出開口414aを有する。3つの排出開口414aは、前ベース41の底面部411の前側の端部の左右方向の中央に設けられる。3つの排出開口414aは、
図8に示すように、それぞれ、底面部411における後側から前側に向かうに従って下る下り傾斜の部分において、前ベース41の底面部411を斜め後方の下方に向けて貫通して開口して形成される。3つの排出開口414aは、
図6及び
図7に示すように、左右方向に並んで配置される。
【0023】
3つの排出開口414aは、前ベース41において合流した機能部5の衛生洗浄ユニット52のバキュームブレーカ機構(図示省略)から溢れた溢れ水や便器洗浄装置7の弁装置6のバキュームブレーカ機構(後述するリム側バキュームブレーカ機構63、ジェット側バキュームブレーカ機構65)から溢れて前ベース41で合流した溢れ水を、下方に向けて排出する。3つの排出開口414aから下方に向けて排出された水は、便器2の便鉢21の後側の傾斜面212に排出される。
【0024】
弁装置6には、
図2及び
図9に示すように、洗浄水導入給水路72と、ブースター71からの水が流通されるブースター水導入出流路73と、が接続される。
【0025】
弁装置6は、
図2及び
図10に示すように、主給水路L1と、リム側分岐給水路L2と、リム側連通路L4と、ジェット側分岐給水路L3と、ブースター水流通路L34と、ジェット側連通路L5と、を有する。弁装置6は、給水弁611と、減圧弁612と、リム側定流量弁613、リム側ダイヤフラム弁614と、リム側バキュームブレーカ機構63(バキュームブレーカ機構)と、リム側溢れ水収容部62(溢れ水収容部)と、ジェット側定流量弁616、ジェット側ダイヤフラム弁618と、ジェット側バキュームブレーカ機構65(バキュームブレーカ機構)と、ジェット側溢れ水収容部64(溢れ水収容部)と、を有する。
【0026】
主給水路L1には、水道管からの洗浄水が、洗浄水導入給水路72を介して、洗浄水導入口602から導入される。主給水路L1の上流側の端部の洗浄水導入口602には、洗浄水導入給水路72の下流側の端部が接続され、主給水路L1の下流側の端部は、分岐部612aにおいて、リム側分岐給水路L2及びジェット側分岐給水路L3の2方向に分岐する。主給水路L1には、上流側から下流側に向けて順に、給水弁611、減圧弁612及び分岐部612aが設けられる。給水弁611は、電磁弁で構成され、ユーザによって洗浄スイッチ(図示省略)が操作されることで、開閉動作が実行される。
【0027】
リム側分岐給水路L2は、
図2及び
図10に示すように、主給水路L1の下流側の端部に配置される分岐部612aからリム側連通路分岐部615を経由してリム側排出部603までの流路である。リム側分岐給水路L2は、分岐部612aからリム側連通路分岐部615までのリム側第1分岐路L21と、リム側連通路分岐部615からリム側排出部603までのリム側第2分岐路L22と、を有する。
【0028】
リム側第1分岐路L21には、上流側から下流側に向けて順に、リム側定流量弁613、リム側ダイヤフラム弁614、リム側連通路分岐部615が設けられる。リム側第2分岐路L22の下流側の端部には、リム側排出部603が設けられる。リム側排出部603から排出された洗浄水は、
図2に示すように、リム側給水路74を介して、便器2のリム吐水口741に供給される。
【0029】
以上の構成により、洗浄水導入給水路72、主給水路L1、リム側分岐給水路L2及びリム側給水路74は、便器2の上部から便器2に洗浄水を供給する給水路を構成する。
【0030】
リム側連通路分岐部615には、リム側連通路L4(連通路)が接続される。リム側連通路L4は、リム側分岐給水路L2と外部とを連通させる。リム側連通路L4は、上流側の端部が、リム側連通路分岐部615においてリム側分岐給水路L2に接続され、下流側の端部がリム側溢れ水収容部62に接続される。リム側連通路L4の下流側には、リム側バキュームブレーカ機構63が配置される。リム側バキュームブレーカ機構63は、リム側連通路L4を開閉可能なリム側開閉部材631(開閉部)を有する。
【0031】
リム側開閉部材631は、リム吐水口741から洗浄水を吐出するときには、
図10に示すように、リム側連通路L4を閉止しており、リム側分岐給水路L2が負圧になった場合に、
図11に示すように、下方側に移動してリム側連通路L4を開放することで、リム側連通路L4に連通するリム側分岐給水路L2を大気開放させる。
【0032】
リム側バキュームブレーカ機構63においては、リム側開閉部材631に異物が挟まったりすることなどで不具合が生じた場合には、洗浄水の溢れ水が溢れる。リム側バキュームブレーカ機構63から溢れた溢れ水は、リム側溢れ水収容部62に一時的に収容される。
【0033】
リム側溢れ水収容部62は、リム側連通路L4の下流側の端部に接続されている。リム側溢れ水収容部62は、大気に連通して形成される。リム側溢れ水収容部62は、リム側連通路L4を通して溢れた溢れ水を一時的に収容して排出するように構成される。リム側溢れ水収容部62は、
図9及び
図10に示すように、リム側溢れ水収容部本体621と、リム側蓋部628と、を備える。
【0034】
リム側蓋部628は、
図12に示すように、リム側溢れ水収容部本体621の上部に着脱可能に取り付けられる。リム側蓋部628の外周縁は、リム側溢れ水収容部本体621のリム側外周壁部623の上端の内側に配置される。これにより、リム側蓋部628の内面に水が付着しても、リム側外周壁部623の上端により外側に伝わることを遮ることができるため、水が外側に漏れることを防止できる。
【0035】
リム側蓋部628は、
図12に示すように、縁部から下方に延びる2つのリム蓋側爪628aを有する。2つのリム蓋側爪628aは、リム側外周壁部623の外面に形成される2つのリム周壁部側爪623eに着脱可能に係合される。リム側蓋部628には、上下方向に貫通する四角形状のリム側大気開放用開口628bと、ネジ取付用開口628cと、が形成される。
【0036】
リム側溢れ水収容部本体621は、リム側底部622と、リム側外周壁部623と、リム側円筒壁部624と、リム側接続ポート623aと、溢れ水排出ポート623cと、を有する。
【0037】
リム側底部622には、
図11に示すように、リム側バキュームブレーカ機構63により開閉可能に構成されるリム側開口構成部622aが形成される。リム側開口構成部622aは、上面円板622bと、軸筒622cと、軸筒622cから径方向に延びる複数の仕切板622dと、を有する。複数の仕切板622dにより仕切られた空間は、外部とリム側連通路L4とを連通する複数のリム側連通開口622eを構成する。リム側連通開口622eは、リム側分岐給水路L2(
図2参照)の内部が負圧になった場合に、リム側バキュームブレーカ機構63のリム側開閉部材631が開位置に移動して、外部と連通する。
【0038】
リム側底部622の上面には、
図11に示すように、リム側開口構成部622a側に向かうに従って下り傾斜する下り傾斜面622fが形成される。これにより、リム側底部622の上面に残存した少量の水を、下り傾斜面622fにより、リム側開口構成部622aの下方に配置されたリム側バキュームブレーカ機構63側に戻すことができる。
【0039】
リム側外周壁部623のジェット側溢れ水収容部64側の側部には、
図12及び
図13に示すように、側方に突出する筒状のリム側接続ポート623aが設けられる。リム側接続ポート623aは、
図12に示すように、リム側外周壁部623のジェット側溢れ水収容部64側の側部からジェット側溢れ水収容部64側に突出する筒状に形成される。
【0040】
リム側外周壁部623の前方側の側部には、
図12及び
図13に示すように、溢れ水排出ポート623cが設けられる。溢れ水排出ポート623cは、便器2の前後方向に対して斜め前方側の側方に下り傾斜で突出する筒状に形成される。溢れ水排出ポート623cには、排水ホース67(排水部)が接続される。排水ホース67の詳細については後述する。
【0041】
リム側円筒壁部624は、
図12及び
図14に示すように、リム側底部622から上方側に立ち上がる延びる円筒状に形成される。リム側円筒壁部624には、
図14に示すように、リム側溢れ水収容部本体621を弁装置6の上部に固定する場合に、ネジ621aが挿入される。リム側円筒壁部624に挿入されたネジ621aにより、ネジ621aの頭621bをリム側円筒壁部624の奥側の下端に配置した状態で、リム側底部622を弁装置6の上部に固定できる。
【0042】
ジェット側分岐給水路L3は、
図2及び
図10に示すように、主給水路L1の下流側の端部に配置される分岐部612aからブースター水合流部617及びジェット側連通路分岐部619を経由してジェット側排出部604までの流路である。ジェット側分岐給水路L3は、分岐部612aからブースター水合流部617を経由してジェット側連通路分岐部619までのジェット側第1分岐路L31と、ジェット側連通路分岐部619からジェット側排出部604までのジェット側第2分岐路L32と、を有する。
【0043】
ジェット側第1分岐路L31には、上流側から下流側に向けて順に、ジェット側定流量弁616、ブースター水合流部617、ジェット側ダイヤフラム弁618、ジェット側連通路分岐部619が設けられる。ジェット側第2分岐路L32の下流側の端部には、ジェット側排出部604が設けられる。ジェット側排出部604から排出された洗浄水は、
図2に示すように、ジェット側給水路75を介して、便器2のジェット吐水口751に供給される。
【0044】
ブースター水合流部617には、ブースター水流通路L34が接続される。ブースター71は、ブースター水合流部617を介して、ブースター水流通路L34及びブースター水導入出流路73により供給されたブースター水を貯留すると共に、ジェット吐水口751から便器2に吐水される洗浄水の吐水のタイミングに合わせて、加圧したブースター水を、ブースター水導入出流路73及びブースター水流通路L34を流通させて、ブースター水合流部617を介して、弁装置6のジェット側第1分岐路L31に供給する。
【0045】
以上の構成により、洗浄水導入給水路72、主給水路L1、ジェット側分岐給水路L3及びジェット側給水路75は、便器2の下部から、便器2に洗浄水を供給する給水路を構成する。
【0046】
ジェット側連通路分岐部619には、ジェット側連通路L5(連通路)が接続される。ジェット側連通路L5は、ジェット側分岐給水路L3と外部とを連通させる。ジェット側連通路L5は、上流側の端部が、ジェット側連通路分岐部619においてジェット側分岐給水路L3に接続され、下流側の端部がジェット側溢れ水収容部64に接続される。ジェット側連通路L5の下流側には、ジェット側バキュームブレーカ機構65が配置される。ジェット側バキュームブレーカ機構65は、ジェット側連通路L5を開閉可能なジェット側開閉部材651(開閉部)を有する。
【0047】
ジェット側開閉部材651は、ジェット吐水口751から洗浄水を吐出するときには、
図10に示すように、ジェット側分岐給水路L3を閉止しており、ジェット側連通路L5側が負圧になった場合に、
図11に示すように、下方側に移動してジェット側連通路L5を開放することで、ジェット側分岐給水路L3を大気開放させる。
【0048】
ジェット側バキュームブレーカ機構65においては、ジェット側開閉部材651に異物が挟まったりすることなどで不具合が生じた場合には、洗浄水の溢れ水が溢れる。ジェット側バキュームブレーカ機構65から溢れた溢れ水は、ジェット側溢れ水収容部64に一時的に収容される。
【0049】
ジェット側溢れ水収容部64は、ジェット側連通路L5の下流側の端部に接続されている。ジェット側溢れ水収容部64は、大気に連通して形成される。ジェット側溢れ水収容部64は、ジェット側連通路L5を通して溢れた溢れ水を一時的に収容して排出するように構成される。ジェット側溢れ水収容部64は、
図9及び
図10に示すように、ジェット側溢れ水収容部本体641と、ジェット側蓋部648と、を備える。
【0050】
ジェット側蓋部648は、
図12に示すように、ジェット側溢れ水収容部本体641の上部に着脱可能に取り付けられる。ジェット側蓋部648の外周縁は、ジェット側溢れ水収容部本体641のジェット側外周壁部643の上端の内側に配置される。これにより、ジェット側蓋部648の内面に水が付着しても、ジェット側外周壁部643の上端により外側に伝わることを遮ることができるため、水が外側に漏れることを防止できる。
【0051】
ジェット側蓋部648は、
図12に示すように、縁部から下方に延びる2つのジェット蓋側爪648aを有する。2つのジェット蓋側爪648aは、ジェット側外周壁部634の外面に形成される2つのジェット周壁部側爪643eに着脱可能に係合される。ジェット側蓋部648には、上下方向に貫通する四角形状のジェット側大気開放用開口648bと、ネジ取付開口648cと、が形成される。
【0052】
ジェット側溢れ水収容部本体641は、ジェット側底部642と、ジェット側外周壁部643と、ジェット側円筒壁部644と、ジェット側接続ポート643aと、を有する。
【0053】
ジェット側底部642には、
図11に示すように、ジェット側バキュームブレーカ機構65により開閉可能に構成されるジェット側開口構成部642aが形成される。ジェット側開口構成部642aは、上面円板642bと、軸筒642cと、軸筒642cから径方向に延びる複数の仕切板642dと、を有する。複数の仕切板642dにより仕切られた空間は、外部とジェット側連通路L5とを連通する複数のジェット側連通開口642eを構成する。ジェット側連通開口642eは、ジェット側分岐給水路L3(
図2参照)の内部が負圧になった場合に、ジェット側バキュームブレーカ機構65のジェット側開閉部材651が開位置に移動して、外部と連通する。
【0054】
ジェット側底部642の上面には、
図11に示すように、ジェット側開口構成部642a側に向かうに従って下り傾斜する下り傾斜面642fが形成される。これにより、ジェット側底部642の上面に残存した少量の水を、下り傾斜面642fにより、ジェット側開口構成部642aの下方に配置されたジェット側バキュームブレーカ機構65側に戻すことができる。
【0055】
ジェット側外周壁部643のリム側溢れ水収容部62側の側部には、
図12及び
図13に示すように、側方に突出する筒状のジェット側接続ポート643aが設けられる。ジェット側接続ポート643aは、
図12に示すように、ジェット側外周壁部643のリム側溢れ水収容部62側の側部からリム側溢れ水収容部62側に突出する筒状に形成される。
【0056】
ジェット側溢れ水収容部64のジェット側接続ポート643aとリム側溢れ水収容部62のリム側接続ポート623aとは、
図13に示すように、中継ホース66により接続される。中継ホース66は、水平方向に延びる筒状に形成される。中継ホース66は、例えば、ゴムホースにより形成され、ジェット側接続ポート643a及びリム側接続ポート623aとの接続部分において止水する機能を有する。
【0057】
リム側接続ポート623aの内面の底面623bの高さ及びジェット側接続ポート643aの内面の底面643bの高さは、同じ高さに形成される。
【0058】
リム側接続ポート623aの内面の底面623bの高さ及びジェット側接続ポート643aの内面の底面643bの高さは、溢れ水排出ポート623cの基端側のポート排出口623dの底面よりも高い位置に形成される。これにより、リム側溢れ水収容部62とジェット側溢れ水収容部64とに収容された溢れ水は、溢れ水排出ポート623c側に流れ、溢れ水は溢れ水排出ポート623cから排水ホース67を介して排出される。
【0059】
ジェット側円筒壁部644は、
図12及び
図14に示すように、ジェット側底部642から上方側に立ち上がる延びる円筒状に形成される。ジェット側円筒壁部644には、
図14に示すように、ジェット側溢れ水収容部本体641を弁装置6の上部に固定する場合に、ネジ641aが挿入される。ジェット側円筒壁部644に挿入されたネジ641aにより、ネジ641aの頭641bをジェット側円筒壁部644の奥側の下端に配置した状態で、ジェット側底部642を弁装置6の上部に固定できる。
【0060】
以上の便器洗浄装置7においては、弁装置6の溢れ水を収容する溢れ水収容部を、リム側溢れ水収容部62とジェット側溢れ水収容部64とに分けて構成した。リム側溢れ水収容部62とジェット側溢れ水収容部64とに分けて構成した上で、中継ホース66により連結して、一方のリム側溢れ水収容部62にのみに溢れ水が排出される溢れ水排出ポート623cを設けている。
【0061】
本実施形態においては、リム側溢れ水収容部62とジェット側溢れ水収容部64とを略同じ高さに配置した。これに限定されない。一方のリム側溢れ水収容部62にのみに溢れ水の排水の出口である溢れ水排出ポート623cを設けているため、リム側溢れ水収容部62の底面をジェット側溢れ水収容部64の底面よりも低い位置となるように、リム側溢れ水収容部62とジェット側溢れ水収容部64とを段違いに配置して、溢れ水をリム側溢れ水収容部62側に流れやすい構成としてもよい。
【0062】
弁装置6に接続される排水ホース67について説明する。
図5に示すように、排水ホース67は、リム側バキュームブレーカ機構63から溢れてリム側溢れ水収容部62に収容された溢れ水、及び、ジェット側バキュームブレーカ機構65から溢れてジェット側溢れ水収容部64に収容された溢れ水を、前ベース41に導く。排水ホース67は、例えば、シリコン樹脂により形成される。
【0063】
排水ホース67の基端は、リム側溢れ水収容部62の前側の側面に形成される溢れ水排出ポート623cに接続される。排水ホース67の先端には、排出口671が形成される。排出口671は、前ベース41の複数のリブ413の上端に対向して配置される。排出口671は、便器2の下端よりも上方側において外部に露出して配置される。
【0064】
排出口671は、リム側連通路L4(
図10参照)及びジェット側連通路L5(
図10参照)から溢れた溢れ水を外部に排出する。これにより、リム側バキュームブレーカ機構63から溢れてリム側溢れ水収容部62に収容された溢れ水、及び、ジェット側バキュームブレーカ機構65から溢れてジェット側溢れ水収容部64に収容された溢れ水を、排水ホース67の排出口671から排出することで、使用者が気づき易い場所に溢れ水を排出することができる。
【0065】
排水ホース67は、
図5に示すように、溢れ水排出ポート623cから前ベース41の複数のリブ413に対向して配置されるまでの間の途中において、第1ホース保持部55(止め部)と、第2ホース保持部56(止め部)と、により保持されている。第1ホース保持部55及び第2ホース保持部56は、機能部5の一部に固定される。
【0066】
第1ホース保持部55は、排水ホース67における基端から先端までの間の中央付近部分を保持する。第1ホース保持部55は、
図5に示すように、衛生洗浄ユニット52のポンプ機構521の上部に固定されている。第1ホース保持部55は、所定方向に延びるベース板551と、ベース板551の幅方向の両端部から立ち上がる一対の側板552と、ベース板551の基端側において一対の側板552に掛け渡される入口側上面板553と、一対の側板552の上端部において内側に突出する複数の爪554と、を有する。
【0067】
第2ホース保持部56は、排水ホース67における基端から先端までの間の先端寄りの部分を保持する。第2ホース保持部56は、衛生洗浄ユニット52のポンプ機構521の前側部分から前方側に延出する延出板561と、延出板561の先端に形成され上下方向に貫通する保持開口562と、を有する。保持開口562は、排水ホース67を着脱可能なように、周方向の一部が開放したフック形状に形成される。
【0068】
以上の第1ホース保持部55及び第2ホース保持部56に保持される排水ホース67は、基端側たるませ部分672と、曲げ部673と、第1ホース保持部配置部分674と、S字状湾曲部分675と、先端側直線状部分676と、を有する。排水ホース67は、基端側から先端側に向かって、基端側たるませ部分672、曲げ部673、第1ホース保持部配置部分674、S字状湾曲部分675、先端側直線状部分676の順に配置される。曲げ部673は、排水ホース67の長手方向の中央付近に配置される。
【0069】
基端側たるませ部分672は、排水ホース67の基端側において、排水ホース67をたるませた状態で配置される。基端側たるませ部分672は、溢れ水排出ポート623cから前方側に向かいながら左右方向の一方に向かうように湾曲した部分を有し、湾曲した部分における溢れ水排出ポート623cと反対側の端部から左右方向の一方側に直線状に所定長さ延びる。
【0070】
曲げ部673は、基端側たるませ部分672の左右方向の一方の端部に接続される。曲げ部673は、第1ホース保持部55における入口側上面板553及び一対の側板552の後端側の部分において、左右方向の一方側に向かう部分が前方側に向かうように曲げられて固定される。排水ホース67は、曲げ部673において、曲げに対して外側にねじって固定される。
【0071】
第1ホース保持部配置部分674は、曲げ部673の前方側の端部から前方側に向かうように、第1ホース保持部55に沿って配置される部分である。第1ホース保持部配置部分674においては、第1ホース保持部55に沿って保持され、一対の側板552の間において、複数の爪554により脱落が防止された状態で、ベース板551の上面に沿って固定される。第1ホース保持部配置部分674は、第1ホース保持部55に沿って、後方側から前方側に延び、前方側において、下り傾斜して延びる部分を有する。
【0072】
S字状湾曲部分675は、第1ホース保持部配置部分674の前方側の端部に接続される。S字状湾曲部分675は、上下方向に延びると共に、第1ホース保持部配置部分674の前方側の端部から下方側に向かうS字形状に緩く湾曲して形成される。
【0073】
先端側直線状部分676は、S字状湾曲部分675の下端から排水ホース67の先端の排出口671まで上下方向に直線状に延びる。先端側直線状部分676の途中は、第2ホース保持部56に保持される。
【0074】
以上の便器洗浄装置7において、便器2の洗浄中においては、使用者は便器2に流れる洗浄水に気を取られて、弁装置6のリム側連通路L4から溢れた少量の溢れ水の排出に気づきにくい場合もある。これに対して、本実施形態においては、便器2のリム吐水口741からの洗浄水の吐水が終了した後に、リム側連通路L4から溢れた溢れ水が排出されるように構成する。
【0075】
具体的には、便器洗浄装置7は、便器2のリム吐水口741から便器2の内部に吐水される洗浄水の流量が通常の洗浄流量よりも少なくなったときに、リム側連通路L4から溢れた溢れ水が排出される構造を備える。詳細には、リム吐水口741からの洗浄水の吐水が完了した後に、リム側連通路L4から溢れた溢れ水を排出するように構成する。リム吐水口741からの吐水が完了した後とは、弁装置6の給水弁611が閉じられて、リム吐水口741からの吐水の洗浄流量が通常の洗浄よりも少なくなったときを意味する。
【0076】
便器2のリム吐水口741から便器2の内部に吐水される洗浄水の流量が通常の洗浄流量よりも少なくなったときに、リム側連通路L4から溢れた溢れ水が排出される構造としては、例えば、リム側連通路L4から溢れた溢れ水の排水を遅延させる構造がある。リム側連通路L4から溢れた溢れ水の排水を遅延させる構造としては、例えば、排水ホース67の長さを長くしたり、排水ホース67の断面積を大きくしたり、一旦溢れ水を貯留させる構造などがある。
【0077】
リム側連通路L4から溢れた溢れ水の排水を遅延させる構造とすることで、リム吐水口741からの吐水の洗浄流量が通常の洗浄よりも少なくなったときに、リム側連通路L4から溢れた溢れ水を排出させることができる。これにより、便器2の洗浄中を避けて、弁装置6のリム側連通路L4から溢れた溢れ水を排出できるため、リム側連通路L4から溢れ水が排出されたことを、使用者がより気づき易くなる。
【0078】
以上の便器洗浄装置7、機能部5の水回路及び前ベース41は、前ベース41から排出される水の排出量が、便器洗浄装置7の弁装置6から溢れた水と機能部5の水回路から溢れた水との合計量よりも多くなるように構成される。
【0079】
本実施形態においては、
図3に示すように、便器洗浄装置7のバキュームブレーカ機構(リム側バキュームブレーカ機構63,ジェット側バキュームブレーカ機構65)の溢れ水が排出される排水ホース67の排出口671(
図5参照)の開口面積は51.5mm
2である。機能部5の水回路である衛生洗浄ユニット52のバキュームブレーカ(図示省略)の溢れ水が排出される排水ホース525の排出口(図示省略)の開口面積は53.5mm
2である。前ベース41の3つの排出開口414aの開口面積の合計は113.4mm
2である。
【0080】
これにより、前ベース41に排出される溢れ水の開口面積の合計が105.0mm2(便器洗浄装置7の排水ホース67の開口面積51.5mm2+衛生洗浄ユニット52の排水ホース525の開口面積53.5mm2)となる。そのため、機能部5の水回路及び前ベース41は、前ベース41から排出される水の排出量(前ベース41の3つの排出開口414aの開口面積113.4mm2)が、便器洗浄装置7の弁装置6から溢れた水と機能部5の水回路から溢れた水との合計量(前ベース41に排出される溢れ水の開口面積105.0mm2)よりも多くなるように構成されている。よって、溢れ水が前ベース41に溜まり続けることを抑制できる。
【0081】
昇降装置8は、前ベース41を、上昇前の定位置(
図15参照)と、定位置から上昇させた上昇位置(
図16参照)との間で昇降させる機構である。昇降装置8は、
図4、
図15及び
図16に示すように、可動部材81と、駆動装置82と、を備える。
【0082】
可動部材81は、前ベース41の後部に固定される。駆動装置82のモータ(図示省略)が駆動されることで、例えばラックアンドピニオン機構を介して、可動部材81が昇降される。これによって、昇降装置8は、可動部材81に固定された前ベース41を、定位置(
図15参照)と、上昇位置(
図16参照)と、に昇降させることができる。
【0083】
本実施形態においては、
図15に示すように、昇降装置8により前ベース41が定位置に位置された場合に、排水ホース67は、基端側たるませ部分672において、たるませた状態で固定される。
図16に示すように、昇降装置8により前ベース41が上昇位置(
図16参照)に位置された場合に、排水ホース67の基端側たるませ部分672は、前ベース41が定位置に位置する場合とは逆勾配に傾斜して配置され、リム側溢れ水収容部62に向かって水が流れるように固定される。
【0084】
以上のように構成された便器装置1において、前ベース41において合流した溢れ水の流れについて説明する。
【0085】
前ベース41には、弁装置6から溢れた溢れ水と機能部5の水回路から溢れたが合流する。例えば、弁装置6から溢れた溢れ水は、弁装置6に接続された排水ホース67を介して、前ベース41に排出される。これにより、前ベース41に排出される溢れ水を確認するだけで、便器洗浄装置7及び機能部5の水回路の複数箇所から溢れた溢れ水の確認をする手間を低減できる。
【0086】
排水ホース67の先端の排出口671は、便器2の下端よりも上方側において排出口671を外部に露出して配置されるため、バキュームブレーカ機構(リム側バキュームブレーカ機構63,ジェット側バキュームブレーカ機構65)から溢れた溢れ水を、使用者が気づき易い場所に排出することができる。
【0087】
排水ホース67の排出口671から排出される溢れ水は、複数のリブ413により底面部411への溢れ水の滞留が低減された状態で、
図5に示すように、前ベース41の底面部411の上段部411aから、段差部411bを通り、下段部411cに流される。
【0088】
前ベース41において合流した洗浄水の溢れ水は、前ベース41の前側の端部側に形成される前ベース排出部414により、前ベース41の下部に配置される便器2の便鉢21に排出される。
【0089】
以上説明した本実施形態の便器装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0090】
本実施形態の便器装置1は、水回路を有する機能部5と、便器洗浄装置7と、便器洗浄装置7及び機能部5の水回路における2箇所以上の部分から溢れた水を合流させて外部に排出する前ベース41と、を備える。これにより、前ベース41に排出される溢れ水を確認するだけで、便器洗浄装置7及び機能部5の水回路の複数箇所から溢れた溢れ水の確認をする手間を低減できる。
【0091】
本実施形態においては、前ベース41が合流部である。これにより、前ベース41において、便器洗浄装置7及び機能部5の水回路の複数箇所から溢れた溢れ水を容易に確認できる。
【0092】
本実施形態においては、前ベース41から排出される溢れ水は、便器2の便鉢21内に排出される。これにより、前ベース41に排出された溢れ水を、前ベース41を介して、溢れ水を便鉢21内に排出することができる。
【0093】
本実施形態においては、便器洗浄装置7及び機能部5の水回路の少なくともいずれかから溢れた水を前ベース41に導く排水ホース67を有し、前ベース41は、排水ホース67の先端の排出口671に対向して形成される底面部411と、底面部411から上方に突出するリブ413と、を有する。これにより、複数のリブ413により底面部411への洗浄水の滞留を低減させることができる。
【0094】
本実施形態においては、便器洗浄装置7、機能部5の水回路及び前ベース41は、前ベース41から排出される溢れ水の排出量が、便器洗浄装置7から溢れた水と機能部5の水回路から溢れた水との合計量よりも多くなるように構成される。これにより、溢れ水が前ベース41に溜まり続けることを抑制できる。
【0095】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0096】
例えば、前記実施形態においては、洗浄機構部として、便器洗浄装置7の弁装置6を例として説明し、機能部の水回路として、衛生洗浄ユニット52を例として説明した。これに限定されない。洗浄機構部として、例えば、便器洗浄バルブ、バキュームブレーカ、ブースター等を用いてもよい。機能部の水回路として、熱交換器等を用いてもよい。
【0097】
前記実施形態においては、前ベース41を介してバキューム機構から溢れた溢れ水を便器の便鉢に排出する構成とした。これに限定されない。例えば、便器の便鉢に溢れ水を排出させてもよい。便器の便鉢に溢れ水を排出させる場合に、便鉢の開口の上部や便鉢の開口から便鉢内に溢れ水を流してもよいし、便鉢の外周の上部や便鉢の外周壁に孔を開けて溢れ水を外部に排出してもよい。
【0098】
前記実施形態においては、合流部を前ベース41により構成した。これに限定されない。合流部を便器の上面で構成してもよい。合流部を便器の上面で構成する場合には、例えば、前ベース41に孔を空けておき、便器の上面で合流させてもよい。
【0099】
前記実施形態においては、排水ホースを機能部の一部に固定する止め部を、第1ホース保持部55及び第2ホース保持部56の2つにより構成した。これに限定されない。止め部を、例えば、1つ又は3つ以上で構成してもよい。止め部を、例えば、機能部のカバーに固定してもよい。
【0100】
前記実施形態においては、昇降装置8により前ベース41を昇降させる構成とした。これに限定されない。昇降装置を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 便器装置、2 便器、5 機能部、7 便器洗浄装置(洗浄機構部)、21 便鉢
41 前ベース(合流部)、67 排水ホース、411 底面部、413 リブ(突出部)