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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20241111BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20241111BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20241111BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241111BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20241111BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20241111BHJP
   G03B 17/12 20210101ALI20241111BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20241111BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20241111BHJP
   H05B 3/26 20060101ALI20241111BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20241111BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241111BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/51
H04N23/57
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G02B7/02 D
G03B17/02
G03B17/12 Z
H05B3/14 B
H05B3/02 B
H05B3/26
H05B3/10 B
G03B30/00
G03B17/55
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020132516
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2021192499
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2020096198
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日浦 規光
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/225745(WO,A1)
【文献】特開2017-061317(JP,A)
【文献】特開2019-116149(JP,A)
【文献】特表2010-530830(JP,A)
【文献】特開2018-072484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
G03B 15/00
G02B 7/02
G03B 17/02
G03B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影窓と、
撮像素子と、
ヒータと、
前記撮影窓、前記撮像素子および前記ヒータを包含する筐体と、を備えており、
前記ヒータは、セラミック基体と、該セラミック基体に設けられた発熱抵抗体と、前記セラミック基体の表面に位置する熱放射膜と、を有し、
前記熱放射膜は、モリブデンまたはタングステンを含むセラミックコートであることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記撮影窓は、前記セラミック基体のうち前記熱放射膜が設けられた面に対して垂直の方向に位置していることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記ヒータは、前記筐体の内周面上に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記ヒータは、電極取出部を更に有し、
該電極取出部は、前記セラミック基体のうち、前記熱放射膜が設けられた面とは反対の面に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記ヒータは板状であって、
前記発熱抵抗体は、前記熱放射膜に沿って設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記ヒータは、円筒状であって、
前記撮影窓は、前記ヒータの内側に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項7】
輻射熱を反射するための反射板を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記ヒータは、前記撮影窓に接していることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記ヒータおよび前記撮影窓にそれぞれ接する熱伝導部材を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記熱伝導部材は、前記撮影窓を囲むように設けられていることを特徴とする請求項に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、中空板状の部材であって、表面に複数の前記ヒータが設けられていることを特徴とする請求項10に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記熱伝導部材は、環状の部材であって、内周面に複数の前記ヒータが設けられている請求項11に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記熱放射膜は、前記ヒータのうち前記熱伝導部材に接するとは反対の面に設けられていることを特徴とする請求項乃至請求項12のいずれかに記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防犯用の監視カメラまたは車載カメラ等に用いられるカメラモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラモジュールとして、例えば特許文献1に示すように、撮影窓と、レンズと、撮像素子とを備えた撮像装置が知られている。また、特許文献1に開示されている撮像装置は、ヒータとファンとを更に備えており、特許文献1には、撮影窓に対し熱風を送ることにより、低温環境下における結露防止することが開示されている。また、近年、小型で軽量な撮像装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-14700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような撮像装置においては、撮影窓に熱風を送るためのファンを有するため、装置の小型化が困難であった。また、小型のファンを用いた場合は、送風の出力が低下してしまうため、低温環境下における結露防止することが困難であった。
【0005】
本開示は、小型かつ低温環境下における結露防止性能が高いカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のカメラモジュールは、撮影窓と、撮像素子と、ヒータと、前記撮影窓、前記撮像素子および前記ヒータを包含する筐体と、を備えており、前記ヒータは、セラミック基体と、該セラミック基体に設けられた発熱抵抗体と、前記セラミック基体の表面に位置する熱放射膜と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示のカメラモジュールによると、ヒータは、セラミック基体の表面に位置する熱放射膜を有している。これにより、ヒータ表面から放射される輻射熱の強度を高めることができる。そのため、ファンを用いることなく、低温環境下における結露防止性能を高めることができる。その結果、カメラモジュールを小型化しつつ、かつ低温環境下における結露防止性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のカメラモジュールの一例を示す模式図である。
図2】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図3】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図4】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図5】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図6】本開示のカメラモジュールに用いられるヒータの一例を示す模式図である。
図7】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図8】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図9】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図10】本開示のカメラモジュールにおける熱伝導部材とヒータとの位置関係の一例を示す模式図である。
図11】本開示のカメラモジュールにおける熱伝導部材とヒータとの位置関係の他の例を示す模式図である。
図12】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図13】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
図14】本開示のカメラモジュールの他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
カメラモジュール10について詳細に説明する。
【0010】
図1は、カメラモジュール10の一例を示す模式図である。図1に示すように、カメラモジュール10は、撮影窓1と、撮像素子2と、ヒータ3と、筐体4と、を備えている。
【0011】
カメラモジュール10は、例えば防犯目的で住宅等に設置される監視カメラに用いられるものであってもよいし、自動車またはドローン等の移動通信体に搭載されるものであってもよい。
【0012】
カメラモジュール10は、筐体4によって覆われており、筐体4の一部である撮影窓1を通して被写体を撮影することができる。カメラモジュール10は、レンズ5およびカメラ本体部6を更に有していてもよい。また、カメラモジュール10は、画像処理またはデジタルデータ保存のためのその他の部品を更に有していてもよい。さらに、カメラ本体部6は、接続された温度センサによってカメラモジュール10内部の温度を取得し、内部温度をあらかじめ決められた閾値と比較することで、ヒータ3の動作を制御してもよい。
【0013】
カメラモジュール10は、レンズ5等の撮像光学系により、被写体像を撮像素子2に結像させることができる。カメラモジュール10は、撮像素子2を用いて被写体像を撮像して画像信号を生成することができる。また、カメラモジュール10は、信号接続部を介して画像信号を表示装置に出力することができる。表示装置は、信号接続部から取得する画像信号に応じた被写体像を表示することができる。
【0014】
カメラモジュール10が低温環境に置かれた場合、電気回路が通電により発熱するためにカメラ本体部6は加熱されるが、撮影窓1の周辺は外気によって冷却されやすい。そのため撮影窓1の結露またはモジュール内部に霧のように微細な水分が浮遊することが生じるおそれがある。カメラモジュール10は、ヒータ3を有することにより、水分を除去することができる。ヒータ3は、単純にON/OFFの制御のみを行うものでもよいし、発熱量を制御出来るものでもよい。ヒータ3は、例えば複数の抵抗体を配列し、抵抗体に流す電流または電圧を可変制御することで発熱量を制御することが可能なものであってもよい。
【0015】
本開示のカメラモジュール10における撮影窓1は、透光性の部材であり、被写体からの光が通過する部材である。ここで、撮影窓1は、例えばレンズ5またはレンズ5を保護するレンズカバーであってもよい。撮影窓1は、筐体4の一部を形成していてもよい。ここで、撮影窓1は、例えばガラス、アクリル、プラスチックまたはポリカーボネート等の部材からなる。撮影窓1は、後述する熱放射膜33からの輻射により加熱される部材である。撮影窓1は、後述する熱放射膜33からの輻射によって効率的に加熱されるために、内部に金属粒子等を有してもよい。
【0016】
本開示のカメラモジュール10におけるヒータ3は、図1および図6に示すように、セラミック基体31と、セラミック基体31に設けられた発熱抵抗体32と、セラミック基
体31の表面に位置する熱放射膜33と、を有する。
【0017】
セラミック基体31は、発熱抵抗体32を保護するための部材である。セラミック基体31は、例えばアルミナ、コージライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、β-スポジュメン、ジルコンまたはチタニア等のセラミック材料からなる。セラミック基体31の形状は、例えば丸棒状、板状または円筒状であってもよい。セラミック基体31の寸法は、筐体4に収まる程度に小さくすることができる。例えば、セラミック基体31が板状であるときの寸法は、長さが10~160mm、厚さが0.5~5.5mm、幅が5~160mmにすることができる。
【0018】
発熱抵抗体32は、通電により発熱する部材である。発熱抵抗体32は、金、銀、タングステン、モリブデンまたは銀パラジウム等の部材であってもよい。発熱抵抗体32は、セラミック体の内部または表面に設けられている。発熱抵抗体32は、複数の折返し部を有するミアンダ状のパターンであってもよい。
【0019】
ヒータ3は、発熱抵抗体32で生じた熱を、輻射により撮影窓1に伝えることができる。また、ヒータ3は、熱伝導により、筐体4を伝わって、撮影窓1を加熱していてもよい。
【0020】
熱放射膜33は、ヒータ3の輻射を強めるための部材である。熱放射膜33は、セラミック基体31の表面に設けられている。熱放射膜33は、例えば、Mo、W、Ni、Cr、Fe、Co、Mn、Tiの各金属のうち少なくとも一種を黒色化成分として含有するセラミックスであってもよい。そして、熱放射膜33は、セラミック基体31と同じ材料を主成分として有していてもよい。これにより、セラミック基体31と熱放射膜33との間に生じる熱応力を低減できる。熱放射膜33は、黒色化成分を含有するセラミックスであることにより、輻射の効率を高めることができる。特に、熱放射膜33は、モリブデンまたはタングステンを含むセラミックコートであってもよい。この場合、より輻射の効率を高めることができる。
【0021】
なお、ここでいう熱放射膜33は、セラミック基体31の表面に設けられることにより熱輻射率を高める部材であればよい。例えば、熱放射膜33は、形状、寸法等の条件をセラミック基体31に近づけたときに、セラミック基体31よりも赤外領域における熱放射率が高ければよい。熱放射膜33は、例えば黒色または灰色の部材である。また、熱放射膜33は、例えばセラミック基体31より表面が粗くてもよい。これにより、熱放射率を高めることができる。
【0022】
ヒータ3が熱放射膜33を有し、発熱抵抗体32が通電により加熱されることによって、熱放射膜33から赤外領域の電磁波が広範囲に輻射する。赤外領域の輻射熱により、筐体4内外の霧または結露した水分を加熱し、蒸発させることができる。さらに、周囲のガラスまたはプラスチック類も同時に加熱されることで、筐体4内部の光軸上に存在する水分量を低減することができる。
【0023】
また、温度が低くなると飽和水蒸気圧が下がるため、外気温が下がり、装置内部の温度が0℃以下となるような場合には空中の水蒸気ほぼ全てが凝結し、霜(凍結)として現れる。このときヒータ3が動作している場合は、ヒータ3周辺の空気は温められ、温度が0℃以上に上昇するとともに飽和水蒸気圧が上昇して、ヒータ3付近の霜が解消することができる。
【0024】
なお、温められて水蒸気を含んだ空気が撮影窓1に浮遊していくと、撮影窓1の表面で冷やされ、飽和水蒸気圧が下がることになる。そして撮影窓1付近の温度が0℃以下であ
り、その温度における飽和水蒸気圧よりも水蒸気が多い場合は、撮影窓1の表面に霜として凝結してしまう。
【0025】
セラミック基体31の表面に熱放射膜33を設けることで赤外領域の輻射熱のうち、近赤外~中赤外領域の輻射強度を高めることができる。そのため、浮遊している微細な水分除去の効果を高めることができる。
【0026】
更に、ヒータ3が熱放射膜33を有することにより、ヒータ3表面から放射される輻射熱の強度を高めることができる。そのため、ファンを用いることなく、低温環境下における結露防止性能を高めることができる。その結果、カメラモジュール10を小型化しつつ、かつ低温環境下における結露防止性能を高めることができる。
【0027】
また、図3に示すように、筐体4の形状は、直方体の一部をカットしたような台形状の断面を持つ形状であってもよい。これにより、撮影窓1を傾斜させて配置することで、降雪時に撮影窓1を付着させにくくすることなく、さらに筐体4上部の雪を解かすこともできる。また、降雨時には撮影窓1表面に水滴が流れにくくすることができる。水分の影響を受けやすい赤外線カメラとして、特に優れた機能を有することができる。また、図4に示すように、筐体4は半球状の部分を有していてもよい。筐体4の半球状の部分を撮影窓1にすることにより、降雪時に撮影窓1に雪が付着するおそれを低減することができる。
【0028】
同時に、筐体4の結露を防ぎ、輻射熱でレンズ5の光軸上の霧を消滅するだけでなく、水蒸気が上昇しやすい特徴を活かして、ヒータ3で水蒸気を消滅できる。特に、赤外光の直進特性が優れていることを利用し、レンズ5の光軸と撮影窓1が直行しなくても、赤外線は撮影窓1で屈折せずに直進することができることを利用して、赤外線カメラとして優れた機能を有することができる。同時にヒータ3からの輻射熱も撮影窓1で反射してレンズ5に届くこともないのでハレーションが起きにくい。撮影窓1自体が加熱することで、撮影窓1の外側が凍結するおそれを低減できる。また、ヒータ3の表面に垂直な方向は熱輻射の強度が最も強くなるため、熱放射膜33の表面の照射方向に撮影窓1を配置することによって、より撮影窓1の結露を防ぐことができる。
【0029】
また、ヒータ3はカメラレンズ5の光軸上からずれた位置にあってもよい。これは、ヒータ3の表面に垂直な方向は熱輻射の強度が最も強くなるため、レンズ5の光軸とヒータ3の赤外輻射の光軸をずらすことで、撮影時のハレーションを低減することができる。
【0030】
また、図3に示すように、ヒータ3は、筐体4の内周面上に設けられていてもよい。これにより、ヒータ3で発生した熱を熱伝導により筐体4を介して撮影窓1まで伝えることができる。これにより、熱伝導と熱輻射の両方で撮影窓1を加熱できる。
【0031】
また、図6に示すように、ヒータ3は、電極取出部8を更に有し、電極取出部8は、セラミック基体31のうち、熱放射膜33が設けられた面とは反対の面に位置していてもよい。これにより、電極取出部8が輻射熱の影響により加熱されるおそれを低減できる。その結果、ヒータ3に接続された回路部分の加熱をおさえることができ、回路の長期信頼性を高めることができる。
【0032】
また、図6に示すように、ヒータ3は板状であって、発熱抵抗体32は複数のシート状のセラミック基体31に挟まれて位置していてもよい。このとき、熱放射膜33は、セラミック基体31の全面に設けられていてもよいし、筐体4の内側に面する一方主面だけに設けられていてもよい。熱放射膜33がセラミック基体31の全面に設けられている場合と比較して、部分的に輻射の強度を高めつつ、ヒータ3全体としての熱容量を低減することができるため、より撮影窓1の昇温速度を高めることができる。
【0033】
また、図2に示すように、ヒータ3は、円筒状であって、撮影窓1は、ヒータ3の内側に位置してもよい。これにより、撮影窓1を周方向から均等に加熱することができる。このときに、ヒータ3の外周面は、筐体4に接触していてもよい。
【0034】
また、図5に示すように、輻射熱を反射するための反射板7を更に有していてもよい。これにより、反射板7が輻射熱を反射することによって、撮影窓1を加熱することができる。反射板7は、例えばアルミニウム、銅またはステンレス等の金属部材であってもよい。反射板7は、例えば筐体4の内周面に位置していてもよい。また、反射板7は、ヒータ3を覆うように位置していてもよい。これにより、ヒータ3からの輻射熱を広範囲に反射することができる。
【0035】
また、図7および図8に示すように、ヒータ3は、撮影窓1に接していてもよい。これにより、ヒータ3から発せられた熱を熱伝達により撮影窓1に伝えることができる。そのため、撮影窓1をより効果的に加熱することができる。これにより、撮影窓1で結露が生じるおそれをより低減することができる。
【0036】
このときに、図7に示すように、ヒータ3は板状の部材であって、主面が撮影窓1に接していてもよい。この場合は、面同士の熱伝達が生じるので、更に効率的に撮影窓1を加熱することができる。また、図8に示すように、ヒータ3の端部が撮影窓1に接していてもよい。この場合は、光軸方向(レンズ5に対して垂直な方向)から見たときに、撮影窓1とヒータ3との重なりを低減することができる。そのため、カメラモジュール10の視野を広げることができる。
【0037】
また、図9に示すように、ヒータ3および撮影窓1にそれぞれ接する熱伝導部材9を更に有していてもよい。これにより、ヒータ3から発せられた熱を、熱伝導部材9を介して撮影窓1に伝えることができる。そのため、撮影窓1をより効果的に加熱することができる。これにより、撮影窓1で結露が生じるおそれをより低減することができる。ここで、熱伝導部材9は、セラミックより熱伝導率が高い部材であればよい。熱伝導部材9は、例えば、ステンレス、アルミニウム、銀または銅等の金属部材である。また、ヒータ3と熱伝導部材9とは、例えば樹脂製の接合材によって接合されていてもよい。また、ヒータ3と熱伝導部材9とは、例えばグリス等を介して接着されていてもよい。
【0038】
また、図7および図8に示すようにヒータ3が撮影窓1に接していている場合、または図9に示すようにヒータ3および撮影窓1にそれぞれ接する熱伝導部材9を更に有している場合は、ヒータ3からの輻射により撮影窓1を加熱する場合と比較して、撮影窓1をより効果的に加熱することができる。そのため、結露を防止するだけでなく、カメラ外部が凍結するような環境下であっても、撮影窓1の表面に付着した霜または氷を誘拐させることができる。その結果、氷点下等の過酷な外部環境であっても、対象をクリアに撮影することができる。
【0039】
また、図10に示すように、熱伝導部材9は、撮影窓1を囲むように設けられていてもよい。この場合は、撮影窓1に対して、周方向に均等に熱を伝えることができる。そのため、撮影窓1に生じる結露または凍結を、周方向に均等に解消することができる。
【0040】
また、図10に示すように、熱伝導部材9は、中空板状(ディスク状)の部材であって、表面に複数のヒータ3が設けられていてもよい。これにより、撮影窓1に対して、周方向に均等に熱を伝えることができる。また、複数のヒータ3を周方向に均等に配置することによって、ヒータ3と熱伝導部材9との間の熱膨張差による応力を低減することができる。その結果、カメラモジュール10の長期信頼性を高めることができる。
【0041】
また、図11に示すように、熱伝導部材9は、環状の部材であって、内周面に複数のヒータ3が設けられていてもよい。このときに、熱伝導部材9の内周面が、光軸方向から見たときに直線状の部位を有しており、当該直線状の部位にヒータ3が設けられていてもよい。これにより、ヒータ3と熱伝導部材9との接触面積を大きくすることができるため、ヒータ3から発せられた熱を、熱伝導部材9を介して撮影窓1に伝えることができる。そのため、撮影窓1をより効果的に加熱することができる。これにより、撮影窓1で結露が生じるおそれをより低減することができる。
【0042】
また、図13に示すように、熱放射膜33は、ヒータ3のうち熱伝導部材9に接する面に設けられていてもよい。これにより、熱伝導部材9を介してヒータ3の熱を撮影窓1に伝えつつ、熱放射膜33からの輻射で撮影窓1を更に加熱することができる。そのため、撮影窓1をより効果的に加熱することができる。これにより、撮影窓1で結露が生じるおそれをより低減することができる。
【0043】
また、図14に示すように、熱放射膜33は、ヒータ3のうち熱伝導部材9に接する面とは反対の面に設けられていてもよい。これにより、熱伝導と熱輻射によって撮影窓1を加熱するだけでなく、筐体4内部のレンズ5、撮像素子2または駆動回路を効果的に輻射熱で加熱することができる。そのため、例えばカメラを作動させる前に補助加熱することができる。その結果、カメラモジュール10の作動直後であっても、室温時のような応答速度で撮影することができる。
【0044】
以下にセラミック基体31および熱放射膜33がアルミナからなる場合の作製方法を述べる。アルミナ(Al2O3)の生セラミックシートの一方の主面にW、Moなどを含む導電ペーストを印刷手法により塗布してパターニングし、他方の主面には別のペースト、すなわちMgO、CaO、SiO2、ZrO2のうち少なくとも1種類以上を0.3~12重量%と、上記黒色化成分が0.3~10重量%含有されるように、その酸化物を加え、残部がAl2O3であるペーストを塗布し、ついで、かかる生セラミックシートを他方の主面が外側になるように未焼成状態の生セラミックからなるセラミックシートと積層する。なお、このセラミックシート用の生セラミックもMgO、CaO、SiO2、ZrO3のうち少なくとも1種類以上を0.3~12重量%含むアルミナからなる。その後に還元雰囲気中1400~1700℃で焼成する。これよって発熱抵抗体32パターン5が埋設された板状のセラミック基体31の外周面に黒色の熱放射膜33が焼結一体化された状態で被覆されたヒータ3が得られる。
【0045】
上記作製方法によれば、Mo、W、Ni、Cr、Fe、Co、Mn、Tiの酸化物として添加しても、還元雰囲気焼成によって不十分なままに還元された酸化物ないし金属単体となり、これらが黒色化成分となる。
【0046】
かくして本開示のヒータ3によれば、このように黒色化した熱放射膜33を白色のセラミック基体31上に被覆することで、赤外域での熱放射性を高めることができる。
【0047】
また、本開示のように、白色のセラミック基体31の上に黒色化した熱放射膜33を形成した場合に、熱放射膜33を著しく薄くすると、白色のセラミック基体31が透けるため、ヒータ3の黒色化が阻止される。そこで、熱放射膜33の厚みを10μm以上、好適には15μm以上に厚くすることにより、セラミック基体31のかかる白色でもってヒータ3の色合いが淡色化しなくなり、その結果、より優れた熱放射率が得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1:撮影窓
2:撮像素子
3:ヒータ
31:セラミック基体
32:発熱抵抗体
33:熱放射膜
4:筐体
5:レンズ
6:カメラ本体部
7:反射板
8:電極取出部
9:熱伝導部材
10:カメラモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14