(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20241111BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B65H5/02 G
B65H5/02 M
B65H9/00 A
(21)【出願番号】P 2020144971
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 裕己
(72)【発明者】
【氏名】近藤 司
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩田 俊行
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-503988(JP,A)
【文献】特開2001-278528(JP,A)
【文献】特開2018-047965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを
挟持して搬送する搬送ローラ対と、
前記
搬送ローラ対の搬送方向
に対して前記搬送ローラ対よりも下流側に設けられ
、シートを前
記搬送方向に搬送す
る搬送ベルトと、
前記搬送ベルトによって搬送されるシートと接触して回転可能であり、前
記搬送方向に
並んで設けられた複数の球体と、
前
記搬送方向と交差す
る幅方向に
おいて前記搬送ベルトの両側に
設けられ、前記搬送ベルト
によって搬送され
るシート
をガイド可能な1対
のガイドと、
前記1対
のガイドを、前記搬送ベルト
によって搬送されるシート
をガイド可能
なガイド位置と
、前記ガイド位置よりも
間隔が広く前記ガイド位置よりも前記幅方向において前記搬送ベルトから離れた退避位置とに移動可能なガイド移動手段と、を備え、
前記ガイド移動手段は、
前記1対のガイドを前記退避位置から前記ガイド位置へ移動させる場合に、
前記搬送方向におけるシート
の長さが第1の長さのシートの場合は
、前記搬送ベルト
によって搬送され
るシートの
前記搬送方向における下流端
が前記搬送方向における
前記1対のガイドの上流端と下流端との間にある状態で前記1対
のガイド
を前記ガイド位置に到
達させ、
前記搬送方向におけるシートの長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さのシートの場合は、該シート
の上流端が前記搬送ローラ対に挟持された状態で前記1対のガイドを前記退避位置から前記ガイド位置へ向けて移動させ、前記搬送ベルトによって搬送され
るシートの
下流端が前記
1対のガイ
ドの前
記搬送方向における下流端よりも更に下流側にある状態
かつシートの上流端が前記搬送ローラ対を通過した後に前記1対
のガイド
を前記ガイド位置に到
達させる、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記ガイド移動手段は、前記
搬送ベルトによって搬送されるシート
の長
さが前記第1の長さであって
前記搬送方向における前記
1対のガイドの長さより
も短いシートの場合、該シートが前
記搬送方向における
前記1対のガイドの上流端と下流端との間にある状態で前記1対
のガイドを
前記ガイド位置に到
達させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前
記搬送ローラ対は、シートに搬送力を付与するニップ位置と前記ニップ位置よりもニップ圧が弱いニップ解除位置とに移動可能であり、
前記ガイド移動手段は、前
記搬送ローラ対が前記ニップ解除位置に位置してから前記1対
のガイドを前
記ガイド位置に到
達させる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ローラ対の前記ニップ解除位置は、前記搬送ローラ対が互いに離間する位置である、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記搬送方向において前記搬送ベルト
に対して下流側でシートを挟持して搬送する下流側搬送ローラ対
をさらに備え、
前記下流側搬送ローラ対は、シートに搬送力を付与するニップ位置と前記ニップ位置よりもニップ圧が弱いニップ解除位置とに移動可能であり、
前記ガイド移動手段は、前記
搬送ベルトによって搬送されるシー
トが前記第2の長さ
である場合、前記下流側搬送ローラ対が前記ニップ解除位置に位置した状態で前記1対
のガイドを前
記ガイド位置に到
達させる、
ことを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記下流側搬送ローラ対の前記ニップ解除位置は、前記搬送ローラ対が互いに離間する位置である、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記ガイド移動手段は、
前記下流側搬送ローラ対にシートが挟持された
場合に、前記1対
のガイドを
前記ガイド位置から前記
退避位置に移動させる、
ことを特徴とする、請求項
5又は6の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送するシート搬送装置においては、シートの搬送中に様々な要因でシートの位置ずれが生じる虞がある。そして、位置ずれが生じたまま、例えば、シートに画像を形成する画像形成装置に搬送された場合、シートに対して画像がずれるなどの不具合が生じてしまう。このため、搬送中のシートの位置ずれを補正するシート搬送装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、シート搬送方向に交差する幅方向片側に設けられた固定の基準ガイドと、基準ガイドに対して傾斜して設けられた搬送ベルトと、球体とを有する構成が開示されている。特許文献1に記載のシート搬送装置の場合、シートを搬送ベルトと球体とで挟持しつつ搬送することにより、シートの幅方向端縁を基準ガイドに突き当てるようにしている。そして、シートのサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)を同時に補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシート搬送装置の場合、傾斜して設けられた搬送ベルトによりシートを搬送しつつ、シートの幅方向端縁を基準ガイドに突き当てるようにしている。このため、シートを基準ガイドに突き当てるまでシートを搬送する必要があり、シートを搬送するための長さを確保すべく、装置が大型化してしまう虞がある。特に、シートの搬送方向の長さであるシート長が長いシートを搬送しようとした場合、シート長が長いシートを基準に設計する必要があり、装置がより大型化してしまう。
【0006】
本発明は、装置の大型化を抑制しつつ様々な長さのシートに対応可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シートを挟持して搬送する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対の搬送方向に対して前記搬送ローラ対よりも下流側に設けられ、シートを前記搬送方向に搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトによって搬送されるシートと接触して回転可能であり、前記搬送方向に並んで設けられた複数の球体と、前記搬送方向と交差する幅方向において前記搬送ベルトの両側に設けられ、前記搬送ベルトによって搬送されるシートをガイド可能な1対のガイドと、前記1対のガイドを、前記搬送ベルトによって搬送されるシートをガイド可能なガイド位置と、前記ガイド位置よりも間隔が広く前記ガイド位置よりも前記幅方向において前記搬送ベルトから離れた退避位置とに移動可能なガイド移動手段と、を備え、前記ガイド移動手段は、前記1対のガイドを前記退避位置から前記ガイド位置へ移動させる場合に、前記搬送方向におけるシートの長さが第1の長さのシートの場合は、前記搬送ベルトによって搬送されるシートの前記搬送方向における下流端が前記搬送方向における前記1対のガイドの上流端と下流端との間にある状態で前記1対のガイドを前記ガイド位置に到達させ、前記搬送方向におけるシートの長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さのシートの場合は、該シートの上流端が前記搬送ローラ対に挟持された状態で前記1対のガイドを前記退避位置から前記ガイド位置へ向けて移動させ、前記搬送ベルトによって搬送されるシートの下流端が前記1対のガイドの前記搬送方向における下流端よりも更に下流側にある状態かつシートの上流端が前記搬送ローラ対を通過した後に前記1対のガイドを前記ガイド位置に到達させることを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ様々な長さのシートに対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図5】実施形態に係る中継搬送装置の搬送ベルトの支持構成周りの断面図。
【
図7】実施形態に係る規制ガイドの、(a)斜視図、(b)(a)の左側から見た図、(c)シートの搬送方向に沿った方向に切断した断面図、(d)シートの搬送方向と直交する方向に切断した断面図。
【
図8】実施形態に係る搬送ローラの接離機構を示す斜視図。
【
図9】実施形態に係る搬送ローラの接離機構の、(a)搬送ローラのニップ状態を、(b)搬送ローラのニップ解除状態を、それぞれ示す側面図。
【
図10】実施形態に係る規制ガイドの動作を説明する図。
【
図11】実施形態に係る規制ガイドの複数種類のシート長のシートに対する動作タイミングを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について、
図1~
図11を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムについて、
図1を用いて説明する。
【0011】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る多段給送装置及び画像形成装置を備える画像形成システムの一例を概略的に示す断面図である。以下の説明では、画像形成部を有する画像形成装置として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステム(以下単にプリンタと呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、画像形成システムを構成する画像形成装置は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などであっても良い。また、画像形成装置は、電子写真方式に関らず、インクジェット方式などの他の方式の構成であっても良い。
【0012】
本実施形態の画像形成システム1000は、画像形成装置100と、画像形成装置100に接続されたシート給送装置としての多段給送装置200と、給送デッキ500と、を有している。多段給送装置200は、詳しくは後述するように、それぞれが複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫を有しており、各収納庫から画像形成装置100にシートを給送可能である。また、給送デッキ500も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、シート搬送方向に関して、多段給送装置200の上流側に配置されている。また、給送デッキ500から給送されるシートは、多段給送装置200に設けられた中継搬送装置400を介して画像形成装置100に搬送される。なお、シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0013】
画像形成装置100は、画像形成装置本体101に接続された原稿読み取り装置102又は画像形成装置本体101に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読み取り装置102は、画像形成装置本体101の上側に配置されている。
【0014】
原稿読み取り装置102は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス103の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読み取り装置102は、自動原稿搬送装置(ADF)104を備えており、トレイ105上に載置された原稿をADF104により自動的に原稿読み取り装置102の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、上述したようにパーソナルコンピュータ等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0015】
画像形成装置100は、画像形成部110、複数のシート給送装置120、シート搬送装置130等を備える。画像形成装置100は、制御部140により各部が制御される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0016】
複数のシート給送装置120は、それぞれシートSを収納するカセット121と、ピックアップローラ122と、フィードローラ123及びリタードローラ124から構成される分離搬送ローラ対125とを備えている。カセット121内に収納されたシートSは、所定のタイミングで昇降動作して回転するピックアップローラ122と分離搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離されて給送される。
【0017】
シート搬送装置130は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。シート給送装置120から給送されたシートSは、搬送ローラ対131によりシート搬送路134を通過させられた後、レジストローラ対133に導かれる。この後、シートSは、レジストローラ対133によって、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0018】
なお、後述する多段給送装置200や給送デッキ500から搬送ローラ対201を介して搬送されるシートは、画像形成装置100との接続経路202を介して画像形成装置100内に搬送される。そして、多段給送装置200や給送デッキ500から画像形成装置100内に搬送されたシートは、画像形成装置100内のシート給送装置120から搬送されるシートと同様に、レジストローラ対133を介して所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0019】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写装置115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が図の矢印方向に回転駆動され、まず、帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0020】
この後、感光ドラム111上のトナー像は、転写部116において転写装置115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ151によって機外の排出トレイ152に排出される。
【0021】
シートSの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置150から排出されたシートSを反転搬送路160に搬送する。そして、反転搬送路160により表裏を反転した状態で、シートSを再度、画像形成部110の転写部116に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ151により排出トレイ152に排出される。なお、転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。
【0022】
[多段給送装置]
引き続き、
図1を用いて多段給送装置200の概要について説明する。多段給送装置200は、複数の収納庫210a~210c、中継搬送装置400等を備える。本実施形態では、3つの収納庫210a~210cを上下に3段並べており、一番下の収納庫210cと上から2番目の収納庫210bとの間に中継搬送装置400を配置している。
【0023】
一番上の収納庫210aから給送されたシートは、搬送経路212に搬送され、上から2番目の収納庫210bから給送されたシートは、搬送経路213に搬送され、一番下の収納庫210cから給送されたシートは、搬送経路214に搬送される。また、中継搬送装置400から搬送されたシートは、搬送経路215に搬送される。搬送経路213は、途中で搬送経路212に合流している。また、搬送経路212,214,215は、合流点216で合流し、搬送経路217を通って搬送ローラ対201に搬送され、接続経路202を介して画像形成装置100に搬送される。
【0024】
また、搬送経路213と合流後の搬送経路212、中継搬送装置400、搬送経路214には、それぞれシートの重送を検知する重送検知センサが配置されている。そして、重送検知センサにより重送が検知されたシートは、搬送経路217まで搬送される。搬送経路217の下方には、重送が検知されたシートを収容する重送シート収容部(エスケープトレイ)218が配置されている。重送が検知され、搬送経路217に搬送されたシートは、搬送経路217に設けられた切換部材219により搬送経路が切り換えられることで、重送シート収容部に搬送される。
【0025】
また、多段給送装置200は、制御部203により各部が制御される。制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。また、制御部203は、画像形成装置100の制御部140と通信可能であり、制御部140と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0026】
上流側の給送デッキ500から給送されたシートは、搬送経路512を通って中継搬送装置400に搬送される。また、多段給送装置200は、手差しでもシートが給送可能となっている。手差しで給送されたシートは、搬送経路512に合流する搬送経路510に搬送され、搬送ローラ対511により搬送経路512を介して中継搬送装置400に搬送される。
【0027】
中継搬送装置400は、詳しくは次述するが、搬送ベルト12などを備える位置ずれ補正部410を備える。位置ずれ補正部410のシート搬送方向上流側には、搬送手段としての搬送ローラ対401、位置ずれ補正部410のシート搬送方向下流側には、搬送ローラ対402が配置されている。搬送経路512を搬送されるシートは、搬送ローラ対401により位置ずれ補正部410に送られる。シートは、位置ずれ補正部410でサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)が補正された後、下流側の搬送ローラ対402に受け渡される。そして、搬送ローラ対402、403により搬送経路215に搬送される。このように、中継搬送装置400は、上流側の給送デッキ500等から搬送されたシートの位置ずれなどを補正し、下流側の画像形成装置100に受け渡す。
【0028】
[中継搬送装置]
次に、シート搬送装置としての中継搬送装置400について説明する。まず、中継搬送装置400の概略構成について、
図2ないし
図6を用いて説明する。中継搬送装置400は、シートを搬送方向(所定の搬送方向)Xに搬送する搬送手段(搬送部材)としての搬送ローラ対401によって搬送されたシートを受け取って搬送する。即ち、上流側の搬送ローラ対401から上述の位置ずれ補正部410に受け渡され、シートの位置ずれ補正がされた後に位置ずれ補正部410から下流側の搬送ローラ対402にシートが受け渡される。搬送ローラ対401、402は、
図3に示すように、駆動ローラ及び従動ローラがそれぞれ回転軸線方向に離間した2つのローラ部により構成されている。特に、下流側の搬送ローラ対402の幅(幅方向Yの長さ、
図3に示す、搬送ローラ対402回転軸線方向に並ぶ2つのローラ部のうちの上側のローラ部の上端と下側のローラ部の下端との間隔)は、搬送ベルト12の幅(幅方向Yの長さ)よりも大きい。位置ずれ補正部410は、搬送ベルト12、複数の球体20、1対の規制ガイド14A、14B、ガイド移動部420等を有する。
【0029】
搬送ベルト12は、シートを搬送方向Xに搬送する搬送手段(搬送部材)としての搬送ローラ対401の搬送方向Xの下流側(搬送方向下流側)に配置されている。搬送ベルト12は、プーリ11A、11Bに掛け渡された無端状のベルトであり、搬送方向Xにおいて延設される搬送面12Aを有する。片側のプーリ11Aには、駆動源としてのモータM1が接続されており、搬送ベルト12は、モータM1の駆動により回転する。このような搬送ベルト12は、搬送方向Xの上流側の搬送ローラ対401から搬送面12Aに受け渡されたシートを搬送方向Xに向けて搬送する。
【0030】
球体20は、搬送ベルト12の搬送面12Aと対向する位置に搬送方向Xにおいて複数配置されている。球体20は、中心位置がシートの中央基準位置となるように配置されている。即ち、球体20の中心が並んでいる位置は、シートの中央基準位置である。ここで、中央基準位置とは、シート幅方向において、シート幅の異なる第1シートと第2シート(即ち、シートのサイズにかかわらず)が両方とも中央となる位置である。更に言えば、球体20は、1対の規制ガイド14A、14B同士の間隔の中央位置に配置されている。なお、1対の規制ガイド14A、14Bの何れか一方の規制ガイドは固定であっても良い。
【0031】
また、複数の球体20が並ぶ方向は、後述する規制ガイド14A、14Bのガイド面15A(
図6)によるシートのガイド方向と一致する。なお、規制ガイド14A、14Bのガイド方向と搬送ベルト12の搬送方向Xは、略一致している。
【0032】
本実施形態では、複数の球体20は、搬送ベルト12の上方に配置されている。複数の球体20は、搬送面12Aとの間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能である。このために、複数の球体20は、それぞれ搬送ベルト12の上方に設けられた保持板18に任意方向に回転自在に保持されている。即ち、保持板18は、
図2及び
図3に示すように、搬送ベルト12の上方に、搬送面12Aと所定距離離れた位置に搬送方向Xに沿って配置された長尺の板であり、搬送方向Xに互いに間隔をあけて複数の保持穴18Aを有する。そして、保持穴18Aにそれぞれ球体20を回転自在に保持している。
【0033】
球体20は、
図4に示すように、保持穴18Aから露出し、搬送ベルト12の搬送面12A上に載置され、任意の方向に回転自在とされている。球体20は、それぞれ自重により搬送面12Aに当接している。なお、球体20の個数は、搬送ベルト12上を搬送されるシートに対して必要とされる押し付け力に応じて設定すればよい。また、球体20は、シートが後述するように搬送ベルト12上でスリップしながら搬送されることから、摩擦係数が比較的低いガラスやプラスチックなどの材料で構成されることが好ましい。なお、本実施形態では、複数の球体20を搬送方向Xに沿って1列に並べた構成について説明したが、複数の球体20を2列など複数の列にそれぞれ搬送方向Xに並べて配置するようにしても良い。
【0034】
図5を用いて、より詳しく説明する。中継搬送装置400は、複数の球体20を回転自在に保持する保持板18と、その下方に配置された搬送ベルト支持部材481とを有する。搬送ベルト支持部材481は、保持板18と同様に、搬送方向Xに沿って延長する長尺の板部材からなる。
図5に示すように、搬送ベルト支持部材481は、シート幅方向の中央部分482が上向きに突出して、比較的狭幅の平坦な搬送ベルト支持面483を、搬送方向Xの略全長に亘って形成している。搬送ベルト支持部材481は、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置に球体20が位置するように、保持板18と上下に対向させて配置される。
【0035】
なお、球体20は1対の規制ガイド14A、14B同士の間隔の中央位置で、且つ、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置に配置されることが望ましいが、搬送ベルト支持面483と対向する位置であれば多少のズレは許容できる。
【0036】
搬送ベルト支持部材481は、中央部分482のシート幅方向両側の側辺部分484が、搬送ベルト12のシート幅方向両側端よりも外側に幾分延在し、それらの外側端が下向きに折曲されて、中継搬送装置400の下側枠体485に固定されている。下側枠体485は、搬送方向Xの両端に、それぞれシート幅方向外側に延在する取付端壁片485a、485bを有し、該取付端壁片485a、485bにおいて、止めねじ等の適当な止め手段で、中継搬送装置400側(例えば、筺体)に固定されている。このような搬送ベルト支持部材481で搬送ベルト12を支持することで、搬送ベルト12の中央部12Bが搬送ベルト支持部材481の中央部分482によって押し上げられ、上下方向に対向する無端状の搬送ベルト12の中央部同士の距離が搬送ベルト12の端部同士の距離よりも長い関係となっている。
【0037】
保持板18は、
図5に示すように、中継搬送装置400の上側枠体486上に固定されている。上側枠体486は、搬送方向Xの両端に、それぞれシート幅方向外側に延在する取付端壁片486a、468b、486c、486dを有し、該取付端壁片486a~486dにおいて、止めねじ等の適当な止め手段で、中継搬送装置400側(例えば、筺体470)に固定されている。これにより、保持板18と搬送ベルト支持部材481とは、複数の球体20が、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置で、搬送ベルト12の搬送面12A上に回転自在に保持される位置関係が維持される。
【0038】
搬送ベルト支持部材481には、シート幅方向両側の側辺部分484上に、搬送方向Xに沿って複数の阻止部材490が配設されている。阻止部材490は、シート幅方向の外端が、搬送ベルト12のシート幅方向両側端部よりも外側に所定の幅だけ延出している。阻止部材490のシート幅方向の外端には、外向きの阻止面491が設けられており、例えば封筒のジャム処理を行う際に封筒のフラップ部分が阻止面491に係合することで搬送ベルト12に引っかかることを防止している。
【0039】
1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送方向Xと交差するシート幅方向Y(本実施形態では搬送方向と直交する方向)に関して、搬送ベルト12の両側に配置されている。そして、1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向Yの両端縁(シート幅方向両端縁)をガイド可能である。即ち、シート幅方向Yに関して片側(装置の手前側)に配置された第1規制ガイドとしての規制ガイド14Aは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向片側の端縁をガイド可能である。また、シート幅方向Yに関して他側(装置の奥側)に配置された第2規制ガイドとしての規制ガイド14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向他側の端縁をガイド可能である。なお、シート幅方向Yの片側(手前側)とは、画像形成システム1000を操作する側である。
【0040】
1対の規制ガイド14A、14Bは、
図6に示すように、それぞれ側板部15と、下板部16と、上板部17と、を有し、これら各板部15、16、17で囲まれる空間内に、搬送ベルト12で搬送されるシートSの端部が侵入可能としている。1対の規制ガイド14A、14Bは、後述するガイド移動部420によりガイド位置(第1ガイド位置)、及び、退避位置(第2ガイド位置)に移動可能に、支持軸421A、421B(
図3参照)に支持されている。支持軸421A、421Bは、それぞれシート幅方向Yと略平行に配置され、1対の規制ガイド14A、14Bの搬送方向Xの端部側を支持している。1対の規制ガイド14A、14Bは、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動可能である。
【0041】
側板部15は、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁と対向するガイド面15Aを有する。ガイド面15Aは、搬送方向Xと平行に配置されている。また、ガイド面15Aは、搬送方向X及びシート幅方向Yにそれぞれ直交する面、本実施形態では、略鉛直方向に沿った面である。
【0042】
下板部16は、側板部15と直交するように配置され、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁を支持可能な支持面16Aを有する。支持面16Aは、ガイド面15Aの鉛直方向下端部から略水平方向に延設されている。また、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に位置する。
【0043】
ここで、仮に、支持面16Aと搬送面12Aとが同一の高さ、又は、支持面16Aの方が搬送面12Aよりも鉛直方向上方に位置する場合を考える。この場合、厚紙などの剛度の高いシートSが
図6に示すように下にカール状態(幅方向Yの両端縁が中央よりも下がった状態)で、搬送ベルト12と球体20の間に搬送されてくると、シートSの幅方向Yの両端縁が支持面16Aに支持される。この際、シートSの幅方向Yの中央部が持ち上げられた状態(ブリッジした状態)になり、球体20を押し上げてしまう。この結果、搬送ベルト12と球体20は離間した状態になり、搬送ベルト12の搬送力がシートSに伝わらず、搬送不良が生じる虞がある。このため、本実施形態では、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に配置するようにしている。
【0044】
上板部17は、支持面16Aと対向して配置される対向面17Aを有する。対向面17Aは、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁の上方に位置する。また、対向面17Aは、支持面16Aと略平行に形成されている。
【0045】
ガイド移動手段としてのガイド移動部420は、
図2及び
図3に示すように、1対の規制ガイド14A、14Bのうちの片側の規制ガイド14Aを移動させる第1移動部420Aと、他側の規制ガイド14Bを移動させる第2移動部420Bとを有する。また、ガイド移動部420は、規制ガイド14Aを移動させる駆動力を発生させるモータM2、他側の規制ガイド14Bを移動させる駆動力を発生させるモータM3を有する。
【0046】
第1移動部420Aは、1対のプーリ422A、423Aと、両プーリ422A、423Aに掛け渡された無端状のベルト424Aと、ベルト424Aと規制ガイド14Aとを接続する接続部425Aとを有する。同様に、第2移動部420Bは、1対のプーリ422B、423Bと、両プーリ422B、423Bに掛け渡された無端状のベルト424Bと、ベルト424Bと他側の規制ガイド14Bとを接続する接続部425Bとを有する。
【0047】
また、
図2に示すように、第1移動部420Aは駆動源としてのモータM2に、第2移動部420Bは駆動源としてのモータM3にそれぞれ駆動される。即ち、本実施形態の場合、1対の規制ガイド14A、14Bを移動させる駆動源としてのモータを別々とし、1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ独立して移動可能となっている。このために、第1移動部420Aのプーリ422Aは、連結軸426Aを介してプーリ427Aと連結されており、プーリ427Aは、モータM2に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Aを掛け渡されている。そして、モータM2の回転駆動が、ベルト428A、プーリ427A、連結軸426A、プーリ422Aを介してベルト424Aに伝達される。上述のように、ベルト424Aには、接続部425Aを介して規制ガイド14Aが接続されているため、モータM2の駆動により、規制ガイド14Aが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0048】
同様に、第2移動部420Bのプーリ422Bは、連結軸426Bを介してプーリ427Bと連結されており、プーリ427Bは、モータM3に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Bを掛け渡されている。そして、モータM3の回転駆動が、ベルト428B、プーリ427B、連結軸426B、プーリ422Bを介してベルト424Bに伝達される。上述のように、ベルト424Bには、接続部425Bを介して他側の規制ガイド14Bが接続されているため、モータM3の駆動により、他側の規制ガイド14Bが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0049】
このようにモータM2、M3を駆動することで、規制ガイド14A、14Bをそれぞれガイド位置や退避位置に移動させている。本実施形態の場合、モータM2、M3は、パルスモータ(ステッピングモータ)としており、規制ガイド14A、14Bの位置は、モータに送るパルス数により制御している。また、規制ガイド14A、14Bは、それぞれホームポジションを有し、ホームポジションにはそれぞれ規制ガイド14A、14Bを検知するセンサを設けている。このため、ホームポジションで規制ガイド14A、14Bの位置を検知し、その後は、モータに送るパルス数により規制ガイド14A、14Bをガイド位置や退避位置に移動させるようにしている。
【0050】
本実施形態では、規制ガイド14A、14Bのホームポジションと最大幅サイズのシート受け入れ位置が同じとしている。即ち、規制ガイド14A、14Bは基本的に、ホームポジション、待機位置(シート受け入れ位置)、ガイド位置に移動可能である。なお、ガイド位置は、例えば、シートのシート幅方向Yの端部から0.5mmの位置であるが、シートによって異なる。通常、ホームポジション、待機位置、ガイド位置の順で規制ガイド14A、14Bの間隔は狭くなる。但し、本実施形態では、最大シート幅(例えば、シート幅(シート幅方向Yの長さ)が330.2mm)のシートの場合は、ホームポジションと待機位置とを同じ位置にしている。これにより、装置サイズを小さくすることができる。
【0051】
即ち、最大シート幅のシートを受け入れる場合、規制ガイド14A、14Bは、以下のように動作する。まず、ホームポジションを検知するセンサの検知結果に基づいて、規制ガイド14A,14Bをホームポジションに位置づける。この状態でシートを受け入れる。即ち、ホームポジションと待機位置を同じとしている。次に、規制ガイド14A、14Bをガイド位置に位置づけてシートを規制する。更に、次のシートを受け入れるために待機位置(=ホームポジション)に位置づけるが、その際にホームポジションセンサの出力は無視する。つまり、最初にホームポジションセンサを通過してからはパルスカウントで、規制ガイド14A、14bの位置管理を行う。ジョブが全て終わって異なる幅のシートを搬送する場合には、再びホームポジションセンサの出力を見て、適切な待機位置に規制ガイド14A、14Bを位置づける。
【0052】
なお、本実施形態の場合、上述の搬送ベルト12を駆動するモータM1、規制ガイド14A、14Bを移動させるモータM2、M3、後述するモータM5、M7、M8は、他側の規制ガイド14B側に配置している。特に、搬送方向Xに関して、位置ずれ補正部410のシートの搬送範囲内にあるモータについては、搬送ベルト12よりも奥側(リア側、他側の規制ガイド14B側)に配置することが好ましい。これは、本実施形態の場合、手前側(フロント側、片側の規制ガイド14A側)からジャムしたシートを取り除くようにしているためである。
【0053】
また、本実施形態の場合、
図3及び
図4に示すように、上流側の搬送ローラ対401と搬送ベルト12との間に、シートの重送を検知する重送検知センサ430を配置している。重送検知センサ430は、例えば、超音波によりシートが2枚以上重なって搬送されたことを検知するセンサである。多段給送装置200の制御部203(
図1)は、重送検知センサ430によりシートの重送を検知した場合には、重送シートを中継搬送装置400、搬送経路215、217を介して上述した重送シート収容部218に搬送する。
【0054】
また、
図4に示すように、本実施形態の中継搬送装置400では、シートのジャムを検知するために複数のシート検知センサ433、435、436を有する。なお、シートのジャムとは、シートが搬送路において詰まるなどして滞留してしまうことである。シート検知センサ433は、搬送ベルト12の上流で搬送ローラ対401により搬送されるシートを検知する。シート検知センサ435は、搬送ローラ対402と搬送ローラ対403との間に配置され、搬送ローラ対402により搬送されるシートを検知する。シート検知センサ436は、搬送ローラ対403の下流に配置され、搬送ローラ対403により搬送されるシートを検知する。
【0055】
多段給送装置200の制御部203(
図1)は、シート検知センサ433、435、436などの各種シート検知センサの検知信号に基づいて、搬送路においてシートがジャムしたか否かを判断する。そして、制御部203は、シートがジャムしたと判断した場合には、シートの搬送を停止し、画像形成システム1000に設けられた液晶パネルなどの表示部などにシートがジャムしたこと、及び、ジャムした個所を表示する。この際、ユーザやサービスマンなどの操作者に該当箇所の扉を開けるように促す。
【0056】
また、本実施形態の場合、
図3に示すように、シート幅方向Yに関して、搬送ベルト12と1対の規制ガイド14A、14Bの間に、搬送ベルト12により搬送されるシートの下面と対向する対向部材450、460を配置している。対向部材450、460は、仮に、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかに支持されずに搬送された場合に、そのシートの端部を支持する。
【0057】
このように構成される中継搬送装置400は、搬送方向Xの上流の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートを、搬送ベルト12と球体20によって挟持する。そして、搬送ベルト12の回転によりシートを搬送する。この際、詳しくは後述するように、搬送ベルト12に搬送されるシートの幅方向Yの両端を1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aに突き当てる。シートは、ガイド面15Aへ突き当てられると、両側端をガイド面15Aに沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。この際、搬送ベルト12との間でシートを球体20により挟持しており、球体20は、任意方向に回転可能であるため、シートは、搬送ベルト12上を任意方向にスリップしながら移動可能である。これにより、シートのサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0058】
[規制ガイド]
次に、第1規制ガイド及び第2規制ガイドとしての規制ガイド14A、14Bの詳しい構成について、
図7(a)~(d)を用いて説明する。なお、
図7(a)~(d)では、片側の規制ガイド14Aのみを示すが、他側の規制ガイド14Bも同様の構成を有する。
図6に示したように、規制ガイド14Aは、ガイド面15Aを有する側板部15と、支持面16Aを有する下板部16と、対向面17Aを有する上板部17とを有する。
【0059】
図7(a)、(b)に示すように、下板部16及び上板部17は、規制ガイド14Aの長手方向ほぼ全域に亙って連続して設けられている。規制ガイド14Aは、
図2などに示したように、搬送方向Xと略平行に配置されているため、下板部16及び上板部17が搬送方向Xに関して連続している範囲を所定領域Aとする。したがって、本実施形態では、下板部16の支持面16A及び上板部17の対向面17Aは、搬送方向Xに関して所定領域Aに亙って連続して設けられている。所定領域Aは、位置ずれ補正部410によりシートが搬送される領域のほぼ全域である。
【0060】
一方、側板部15は、
図7(a)~(c)に示すように、所定領域Aよりも短い領域であるガイド領域Bに亙って連続して設けられている。本実施形態では、側板部15の搬送方向Xの上流端(搬送方向上流端)B1が、所定領域Aの搬送方向Xの上流端A1よりも下流側に位置する。即ち、側板部15のガイド面15Aの搬送方向Xの上流端B1は、所定領域Aの上流端A1よりも下流側に位置する。また、ガイド面15Aは、搬送方向Xに関して所定領域Aの下流端A2まで連続して設けられている。したがって、側板部15の搬送方向Xの下流端B2の位置と、所定領域Aの搬送方向Xの下流端A2の位置とは、搬送方向Xに関してほぼ同じ位置である。
【0061】
本実施形態では、側板部15の上流端B1よりも上流側には、切り欠き19Cが設けられている。そして、この切り欠き19Cの一部には、側板部15よりもシート幅方向Yの外側に位置する外側板部19を配置している。シート幅方向Yの外側とは、シート幅方向Yに関して搬送ベルト12よりも離れる側である。このため、
図7(c)に示すように、外側板部19の内側面19Aは、側板部15の内側面であるガイド面15Aよりもシート幅方向Yの外側に位置する。また、搬送方向Xに関して、外側板部19と側板部15との間には、下流に向かう程、側板部15に近づくように傾斜した傾斜板部19Bが設けられている。
【0062】
1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ上述のように構成されることで、搬送方向Xの上流側の外側板部19の内側面19A同士の幅方向Yの間隔が、側板部15のガイド面15A同士の幅方向Yの間隔よりも広くなっている。このため、詳しくは後述するように、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの幅方向Yの両端縁は、搬送方向Xの上流側では内側面19A同士の間に位置し、下流側に搬送されることでガイド面15A同士の間に位置する。
【0063】
なお、外側板部19や傾斜板部19Bは、省略しても良い。但し、仮に、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの幅方向Yの端部が切り欠き19C内に位置した場合、シートが更に搬送された場合に、シートの端部が側板部15の上流端B1に引っ掛かる虞がある。このため、本実施形態では、外側板部19及び傾斜板部19Bを設け、シートが正規の位置から幅方向Yにずれて搬送されてきた場合にも、外側板部19でその位置を規制し、更に傾斜板部19Bによりシートの端部を側板部15のガイド面15Aに導くようにしている。
【0064】
[搬送ローラ対の接離構成]
次に、
図1及び
図2を参照しつつ、
図8、
図9(a)、(b)を用いて、搬送ローラ対401~403の接離構成について説明する。上述したように、搬送ベルト12の搬送方向Xの上流及び下流には、それぞれ搬送ローラ対401~403が配置されている。搬送ローラ対401~403は、それぞれ、1対の搬送ローラとしての駆動ローラ32及び従動ローラ33を有する。駆動ローラ32は、回転軸32aの周囲にゴムなどの弾性体を設けた弾性ローラである。従動ローラ33は、駆動ローラ32に当接してシートを挟持して搬送するニップ部を形成する。搬送ローラ対401の駆動ローラ32はモータM4により、搬送ローラ対402の駆動ローラ32はモータM5により、搬送ローラ対403の駆動ローラ32はモータM6により、それぞれ独立して回転駆動可能である。
【0065】
本実施形態では、搬送ベルト12の搬送方向Xの下流側(搬送方向下流側)に配置された搬送ローラ対402、403が、駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接及び離間可能な構成を有する。搬送ローラ対402はモータM7により、搬送ローラ対403はモータM8により、それぞれ独立して駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接及び離間可能である。搬送ローラ対402、403の構成は同じであるため、以下、接離構成について、搬送ローラ対402を例にして、
図8、
図9(a)、(b)を用いて説明する。
【0066】
駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接及び離間させる接離機構31は、付勢手段としての圧縮ばね34、支持部材35、モータM7、離間カム36、リンク部材37を有する。接離機構31は、1対の搬送ローラのうちの少なくとも一方、即ち、従動ローラ33を、シートを挟持して搬送可能なニップ位置と、1対の搬送ローラをニップ位置よりも離間させるニップ解除位置とに移動可能なローラ移動手段に相当する。
【0067】
圧縮ばね34は、従動ローラ33を駆動ローラ32に向けて付勢するばねである。支持部材35は、従動ローラ33の回転軸33aを支持すると共に、揺動軸37aを中心に揺動可能に支持されている。また、支持部材35は、圧縮ばね34により揺動軸37aを中心に従動ローラ33を駆動ローラ32に向けて押し付ける方向に付勢されている。支持部材35は、揺動軸37aに固定されており、揺動軸37aと共に回転して、従動ローラ33を駆動ローラ32に向かう方向及び駆動ローラ32から離れる方向に移動させる。
【0068】
モータM7は、プーリ38a、38b及びベルト38cを介して離間カム36を回転駆動する。プーリ38aは、モータM7の駆動軸に固定され、プーリ38bは、離間カム36の回転軸36aに固定されている。ベルト38cは、プーリ38a、38bに掛け渡された無端状のベルトである。離間カム36は、外周面の中心が回転軸36aの中心から偏心した偏心カムであり、モータM7の駆動により回転軸36aと共に回転する。
【0069】
リンク部材37は、揺動軸37aに固定されて、揺動軸37aと共に揺動可能に設けられている。したがって、リンク部材37は、揺動軸37aを介して支持部材35と同期して回転する。リンク部材37は、圧縮ばね34により支持部材35が付勢されることで離間カム36と当接するように配置されている。
【0070】
離間カム36が
図9(a)に示す位相にある場合、従動ローラ33は圧縮ばね34の付勢力により駆動ローラ32に圧接されている。
図9(a)の状態がニップ位置である。この状態からモータM7により離間カム36を例えば180°回転駆動すると、
図9(b)に示すように、リンク部材37が離間カム36に押されて揺動軸37aを中心に、図の反時計方向に揺動する。すると、リンク部材37と揺動軸37aを介して連結された支持部材35が、揺動軸37aを中心に同方向に揺動する。従動ローラ33は、回転軸33aを介して支持部材35に支持されているため、支持部材35の揺動により駆動ローラ32から離間する。即ち、従動ローラ33をニップ解除位置に移動させる。
【0071】
ニップ解除位置からニップ位置に従動ローラ33を移動させる場合には、
図9(b)の状態からモータM7により離間カム36を更に180°回転させれば良い。なお、駆動ローラ32と従動ローラ33を当接及び離間させる接離機構は、駆動ローラ32と従動ローラ33の両方を移動させる構成としても良い。また、上述の例では、モータにより接離機構を駆動したが、ソレノイドなどの他の駆動源により1対の搬送ローラの当接及び離間を行うようにしても良い。
【0072】
また、上述の例では、搬送ベルト12の搬送方向Xの下流側の搬送ローラ対402、403を当接及び離間可能としたが、搬送ローラ対402のみを当接及び離間可能としても良い。更に、搬送ベルト12の搬送方向Xの上流側の搬送ローラ対401を当接及び離間可能としても良い。この場合、上流側の搬送ローラ対401のみを当接及び離間可能としても良いし、下流側の搬送ローラ対402も、更には搬送ローラ対403も当接及び離間可能としても良い。
【0073】
[シート搬送動作]
次に、本実施形態の中継搬送装置400におけるシート搬送動作について、
図2、3、6などを参照しつつ、
図10及び
図11を用いて説明する。本実施形態では、制御部203(
図1)が、シートの搬送方向Xの長さであるシート長に応じてモータM2、M3(
図2)を制御して、1対の規制ガイド14A、14Bのシート幅方向Yの位置を変更するようにしている。上述したように、モータM2、M3を制御することでガイド移動部420(
図2)を駆動して、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置及び退避位置に移動させることができる。
図10では、退避位置にある1対の規制ガイド14A、14Bを実線で、ガイド位置にある1対の規制ガイド14A、14Bを破線で示している。まず、
図10を用いて、ガイド位置と退避位置について説明する。
【0074】
[ガイド位置(第1ガイド位置)]
第1ガイド位置としてのガイド位置は、
図10に破線で示すように、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSの幅方向Yの端縁をガイド可能な位置である。即ち、ガイド位置は、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁を支持面16Aで支持可能な位置で且つ該シートSのシート幅方向Yの端縁をガイド面15Aでガイド可能な位置である。本実施形態では、ガイド位置は、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士(ガイド面同士)の距離が、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの長さよりも長くなる位置である。
【0075】
具体的には、シートSの幅方向Yの中央位置と、両側のガイド面15A同士の中央位置とが一致する状態で、且つ、シートSの幅方向Yの端縁がガイド面15Aと平行な状態(中央基準)で、シートSが搬送された場合に、シートSの幅方向Yの端縁とガイド面15Aとが所定の間隔dとなる位置がガイド位置である。この所定の間隔dは、装置によって適宜設定可能であるが、この間隔内でシートSがずれてもシートSとシートSに形成される画像とのずれが許容できるような間隔である。この所定の間隔dは、例えば、0.5mmである。即ち、ガイド位置では、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、シートSの幅方向Yの端縁よりもそれぞれ0.5mm離れた位置である。このガイド位置は、制御部203がシートサイズに応じて適宜変更可能である。
【0076】
このようにガイド位置において、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の距離が、シートのシート幅方向Yの長さよりも長くなる位置に、1対の規制ガイド14A、14Bを位置させているため、搬送ベルト12により搬送されるシートの搬送負荷を抑制できる。例えば、ガイド面同士の距離をシートの幅方向Yの長さと同じとした場合、シートの端部がガイド面と摺擦しながらシートが搬送されることになり、搬送抵抗が大きくなってしまう。特に、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20によりシートを挟持しながら搬送しているため、搬送ベルト12と球体20とによりシートを挟持するニップ圧が小さい。このため、シートの搬送抵抗が大きいとシートの搬送に遅延が生じたり、シートの搬送が停止するなどの搬送不良が生じ易くなる虞がある。このため、本実施形態では、ガイド位置において上述のように1対の規制ガイド14A、14Bを位置させることで、シートの搬送抵抗を抑制するようにしている。
【0077】
なお、上述のようにシートを中央基準で搬送して、後述するようにシートのサイドレジやサイドスキューを補正する(整合動作を行う)ことが好ましい。これは、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20の間でシートをスリップさせて、該シートを回転させながら、サイドスキューの補正を行うためである。即ち、シートSの重心と規制ガイド14A、14Bの中央部が略一致する位置(中央基準)において整合動作を開始することで、整合動作時にシートへのダメージを軽減できる。
【0078】
[退避位置(第2ガイド位置)]
第2ガイド位置としての退避位置は、
図10に実線で示すように、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、ガイド位置よりもシートの幅方向Yの端縁から退避した位置である。言い換えれば、退避位置における1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の幅方向Yの間隔は、ガイド位置における1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の幅方向Yの間隔よりも広い。即ち、退避位置は、シートSの幅方向Yの端縁を支持面16Aで支持可能な位置で且つ第1ガイド位置及び第3ガイド位置よりもシートSの幅方向Yの両端縁から退避した位置である。
【0079】
本実施形態では、退避位置は、手前側(F側(フロント))の規制ガイド14Aが中央基準で搬送されるシートの幅方向Yの端縁から6.5mm、奥側(R側(リア))の規制ガイド14Bが中央基準で搬送されるシートの幅方向Yの端縁から6mmの位置である。即ち、退避位置における、1対の規制ガイドのうちの片側の規制ガイド14Aのガイド面15Aとシートの幅方向Yの片側の端縁との距離と、他側の規制ガイド14Bのガイド面15Aとシートの幅方向Yの他側の端縁との距離とを異ならせている。
【0080】
上述したように、ガイド位置における1対の規制ガイド14A、14Bとシートの幅方向Yの端縁との間隔dは、それぞれ0.5mmである。したがって、手前側の規制ガイド14Aの退避位置からガイド位置への移動量が6.0mm、奥側の規制ガイド14Bの退避位置からガイド位置への移動量が5.5mmとなる。したがって、退避位置からガイド位置までの移動量は、手前側の規制ガイド14Aと奥側の規制ガイド14Bとで異なる。なお、退避位置は、片側の規制ガイド14Aのガイド面15Aとシートの片側の端縁との距離と、他側の規制ガイド14Bのガイド面15Aとシートの他側の端縁との距離とを同じとしてもよい。
【0081】
[シート長に応じた規制ガイドの動作タイミング]
次に、
図11を用いて、シート長に応じた1対の規制ガイド14A、14Bの動作タイミングについて説明する。
図11は、最上段に、搬送ベルト12の上流側の搬送ローラ対401から多段給送装置200の搬送ローラ対201(
図1)までの規制ガイド14A(14B)、各種搬送ローラ対及びシート検知センサの搬送方向Xの位置関係を模式的に示している。そして、この下方に、シート長に応じた規制ガイドの動作タイミングを模式的に示している。
【0082】
最上段の模式図において、搬送ローラ対403と搬送ローラ対201との間には、搬送ローラ対204、シート検知センサ437、438が配置されている。また、規制ガイド14A(14B)は、外側板部19、傾斜板部19B、ガイド面15Aを有する側板部15を模式的に示したものである。また、それぞれの搬送方向の位置関係及び長さも合わせて示している。長さの単位は「mm」である。
【0083】
この模式図の下方(2段目以降)の各帯状の図形は、シート長が互いに異なるシートS1、S2、S3、S4を示している。2段目に示すシートS1は、シート長が148.0mm以上215.9mm以下の範囲のシートであり、帯状の図形では、代表してシート長が148.0mmのシートS1を示している。3段目に示すシートS2は、シート長が216.0mm以上530.5mm以下の範囲のシートであり、帯状の図形では、代表してシート長が297.1mmのシートS2を示している。4段目に示すシートS3は、シート長が530.6mm以上762.0mm以下の範囲のシートであり、帯状の図形では、代表してシート長が530.6mmのシートS3を示している。最下段に示すシートS4は、シート長が762.1mm以上1300mm以下の範囲のシートであり、帯状の図形では、代表してシート長が1300mmのシートS4を示している。
【0084】
図11の実線、破線、梨地、ハッチング、黒塗りでそれぞれ示す帯状の図形は、それぞれシートの長さ及び規制ガイドの各種動作タイミングにおけるシートの搬送方向Xの位置を示している。実線の図形は、規制ガイド14A、14Bが退避位置からガイド位置に移動を開始する位置を示している。梨地の図形は、規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達完了する位置を示している。ハッチングの図形は、規制ガイド14A、14Bがガイド位置から退避位置に移動を開始する位置を示している。黒塗りの図形は、規制ガイド14A、14Bが退避位置に到達完了する位置を示している。破線の図形は、規制ガイド14A、14Bが退避位置に到達完了した時の次のシートの位置を示している。なお、最下段のシートS4については、規制ガイド14A、14Bは、退避位置に位置したままである。
【0085】
本実施形態では、ガイド移動部420は、搬送手段及び上流側搬送ローラ対としての搬送ローラ対401から搬送ベルト12にシートが受け渡される際に、少なくともシートの先端が搬送ベルト12に受け渡され、且つ、シートが搬送ローラ対401と接触しなくなった後に、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達させるようにしている。具体的には、規制ガイド14A、14Bが退避位置にある状態でシートが搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡される。即ち、シートが搬送ローラ対401に搬送されている状態で、シートの先端が搬送ベルト12に到達する。この状態では、シートの上下方向の移動は支持面16Aと対向面17Aとによって規制される。これにより、シートがカールしていても規制ガイド14A、14Bが退避位置からガイド位置に移動する際にシートの両端縁をガイド面15A、支持面16Aおよび対向面17Aに囲われた領域内に収めることができる。
【0086】
このように、本実施形態では、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12にシートが搬送される場合には、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させておく。これは、シートが搬送ベルト12に受け渡された際に、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置にあった場合、シートが斜行していたり、幅方向Yに位置ずれしていたりすると、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかと干渉して、シートSの搬送不良が発生する虞があるためである。
【0087】
次に、制御部203は、搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの後端(上流端)が搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達させる。即ち、ガイド移動部420は、搬送ベルト12と球体20とで狭持されつつ搬送されるシートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させる。言い換えれば、シートSが搬送ローラ対401と接触しなくなった後に、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達するようにしている。本実施形態では、
図11に梨地で示すように、シート長に応じて規制ガイド14A、14Bのガイド位置への移動完了(到達完了)タイミングを変更している。
【0088】
[規制ガイドのガイド位置への到達完了タイミング]
以下、シート長に応じた規制ガイド14A、14Bのガイド位置への到達完了タイミングを説明する。ガイド移動部420は、シート長が第1の長さのシートS1、S2の場合は、シートS1、S2が搬送手段及び上流側搬送ローラ対としての上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡される際に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に位置づける。その後、ガイド移動部420は、搬送ベルト12と球体20とで狭持されつつ搬送されるシートS1、S2の先端がガイド面15Aの搬送方向Xにおける上流端15A1と下流端15A2との間にある状態で1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置への移動を完了、即ち、到達完了させる。
【0089】
本実施形態では、第1の長さのシート長は、148.0mm以上530.5mm以下(
図11の2段目、3段目)としている。但し、ガイド移動部420は、シート長が第1の長さであって、シート長がガイド面15Aの搬送方向Xの長さ(284.5mm)よりも所定量短いシートS1の場合、シートS1がガイド面15Aの搬送方向Xにおける上流端15A1と下流端15A2との間にある状態で1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させる。即ち、
図11の2段目のシートS1(148.0~215.9mm)の場合、ガイド面15Aの長さよりもシート長が短いため、シートの幅方向Yの端縁がガイド面15Aと対向している状態で規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させることが可能である。このタイミングで規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させることで、シートS1の先端と後端とをガイド面15Aにより同時に規制することができる。シートS1の先端と後端とを同時に規制することで、シートS1がシートの中心を回転中心として回転するように挙動し、シートS1のサイドレジ及びサイドスキューの補正(スキュー補正)がし易くなる。
【0090】
ここで、搬送ベルト12の搬送方向Xの下流側でシートを挟持して搬送する下流側搬送ローラ対としての搬送ローラ対402、403は、当接及び離間可能な構成である。即ち、上述の
図8及び
図9で説明した接離機構(搬送ローラ対移動手段)31は、搬送ローラ対402、403にも適用可能である。接離機構31は、搬送ローラ対を当接及び離間させるだけでなく、搬送ローラ対をシートに搬送力を付与するニップ位置と、ニップ位置よりもニップ圧が弱いニップ解除位置とに移動可能である。したがって、下流側の搬送ローラ対402、403は、ニップ位置とニップ解除位置とに移動可能である。
【0091】
なお、ニップ解除位置は、上述のように完全に離間完了した状態だけではなく、例えば、規制ガイド14A、14Bによる規制に影響がない程度にニップ圧が弱い状態であり、この状態よりも搬送ローラ対が離間している状態は全てニップ解除位置に該当する。即ち、搬送ローラ対が離間した状態、及び、搬送ローラ対が互いに当接しているが、シートを搬送する際よりもニップ圧が低い状態が、ニップ解除位置に相当する。
【0092】
ガイド移動部420は、シート長が第1の長さであって、シートS1よりもシート長が長いシートS2の場合、下流側の搬送ローラ対402がニップ解除位置に位置した状態で1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させることが好ましい。これにより、規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させる際に、シートS2を搬送ローラ対402まで搬送可能となる。この結果、シートS2の搬送方向Xの中央付近でガイド面15Aによる規制を行い易くなり、シートS2のスキュー補正がし易くなる。なお、
図11の3段目に示すシートS2の場合、シートS2が搬送ローラ対402に到達する前に規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させているが、シートS2のシート長の範囲の中でもシート長が長い場合には、シートS2の先端が搬送ローラ対402に到達或いは通過してから規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させても良い。
【0093】
一方、ガイド移動部420は、シート長が第1の長さよりも長い第2の長さのシートS3の場合は、シートS3が上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡される際に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に位置づける。即ち、シートS3の場合、規制ガイド14A、14Bを退避位置に位置づけた状態で、シートを受け入れる。その後、ガイド移動部420は、搬送ベルト12と球体20とで狭持されつつ搬送されるシートS3の先端がガイド面15Aの搬送方向Xにおける下流端15A2よりも更に下流側にある状態で1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達完了させる。
【0094】
このようなシートS3の場合、シート長が長いため、シートS1、S2のように先端がガイド面15Aの下流端15A2よりも上流側に位置する状態で規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させようとした場合、シートS3の後端側が上流側の搬送ローラ対401にニップされたままである可能性がある。また、シートS3の後端側が仮に搬送ローラ対401にニップされていなくても、シートS3の下流側部分のみがガイド面15Aに規制されることになり、十分なスキュー補正がしにくい。このため、第2の長さのシートS3の場合、シートS3の先端がガイド面15Aの搬送方向Xにおける下流端15A2よりも更に下流側にある状態で規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させるようにしている。
【0095】
ガイド移動部420は、シート長が第2の長さのシートS3の場合、下流側の搬送ローラ対402、403がニップ解除位置に位置した状態で1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させることが好ましい。これにより、規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させる際に、シートS3を搬送ローラ対403まで搬送可能となる。この結果、シートS3の搬送方向Xの中央付近でガイド面15Aによる規制を行い易くなり、シートS3のスキュー補正がし易くなる。なお、
図11の4段目に示すシートS3の場合、シートS3が搬送ローラ対403に到達する前に規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させているが、シートS3のシート長の範囲の中でもシート長が長い場合には、シートS3の先端が搬送ローラ対403に到達或いは通過してから規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させても良い。
【0096】
また、ガイド移動部420は、シート長が第2の長さのシートS3の場合、シートS3の後端が上流側の搬送ローラ対401に挟持された状態で1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動開始する。そして、シートS3の後端が搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させる。即ち、シートS3の場合、シート長が長いため、規制ガイド14A、14Bの移動開始が遅いと、先端が下流側の搬送ローラ対402に、更に下流の搬送ローラ対403に到達してから規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達完了する可能性がある。この場合に、搬送ローラ対402、403がニップ解除されていない場合、シートS3が搬送ローラ対402又は403に搬送された状態で、規制ガイド14A、14Bがガイド位置に位置することになる。これを防止するためにシートの搬送速度を遅くすることも考えられるが、この場合、生産性が低下してしまう。
【0097】
そこで、本実施形態では、第2の長さのシートS3の場合には、後端が搬送ローラ対401にニップされた状態で規制ガイド14A、14Bのガイド位置への移動を開始するようにしている。なお、規制ガイド14A、14Bの移動開始タイミングは、規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達完了するまでにシートS3の先端が搬送ローラ対401を通過するようなタイミングとする。
【0098】
また、ガイド移動部420は、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置にある状態で所定量シートが搬送された後に、その時のシートの先端よりも搬送方向下流側に配置され、シートを挟持して搬送可能な搬送ローラ対にシートの先端が挟持されたら、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させる。例えば、
図11の2段目に示すシートS1の場合、搬送ローラ対402にシートS1が挟持されたら、規制ガイド14A、14Bの退避位置への移動を開始する。また、3段目に示すシートS2の場合、更に下流側の搬送ローラ対402にシートS2が挟持されたら、規制ガイド14A、14Bの退避位置への移動を開始する。また、4段目に示すシートS3の場合、更に下流側の搬送ローラ対204にシートS3が挟持されたら、規制ガイド14A、14Bの退避位置への移動を開始する。なお、5段目に示すシートS4の場合、規制ガイド14A、14Bは、ガイド位置に位置したままである。
【0099】
このようにシート長に応じて規制ガイド14A、14Bが退避位置に移動開始するタイミングを異ならせることで、ガイド面15Aによりシートを規制しながら搬送する距離を確保でき、シートのスキュー補正がし易くなる。これと共に、下流側の搬送ローラ対によりシートがニップされ、搬送されている状態で規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動開始しているため、スキュー補正後にシートの搬送が不安定になることを防止できる。即ち、シートが搬送ローラ対に搬送されていない状態で、規制ガイド14A、14Bが退避位置に移動開始した場合、搬送ベルト12と球体20とで挟持搬送されているシートは、幅方向端縁からガイド面15Aが離れることで、再度スキューしてしまう可能性がある。このため、本実施形態では、シートの端縁がガイド面15Aにより規制されている状態でシートを下流側の搬送ローラ対により挟持搬送してから、規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動開始させるようにしている。
【0100】
なお、上流側の搬送ローラ対401が当接及び離間可能な構成の場合、シートの先端が搬送ベルト12に受け渡された後、シートの後端が搬送ローラ対401を抜ける前に搬送ローラ対401を離間させるようにしても良い。即ち、上述の
図8及び
図9で説明した接離機構(搬送ローラ対移動手段)31は、搬送ローラ対401にも適用可能である。接離機構31は、上述のように、搬送ローラ対をニップ位置と、ニップ解除位置とに移動可能である。したがって、シートSの先端が搬送ベルト12に受け渡された後、シートSの後端が搬送ローラ対401を抜ける前に搬送ローラ対401を、ニップ圧が弱い状態であるニップ解除位置に移動させるようにしても良い。
【0101】
この場合、接離機構31により搬送ローラ対401が離間した後(ニップ位置からニップ解除位置に移動した後)に1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達するようにしている。即ち、ガイド移動部420は、上流側の搬送ローラ対401がニップ解除位置に位置してから1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達完了させるようにしても良い。
【0102】
具体的には、シートが搬送ローラ対401の更に上流側の搬送ローラ対511(
図4など参照)で搬送され、シートの先端が搬送ベルト12と球体20とにニップされた後に搬送ローラ対401のニップを解除する。その後、シートの後端が搬送ローラ対511を通過した後に規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達させる。その後、シートの先端が下流側の搬送ローラ対402などにニップされたら規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動して、シートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過したらニップ解除位置からニップ位置に戻す。
【0103】
上述のように本実施形態の場合、規制ガイド14A、14Bは、シートが搬送方向Xの上流側にある場合、退避位置に位置し、シートの両端縁はガイド面15Aから離間されている。そして、シートが更に下流側に搬送され、シートの後端が搬送ローラ対401を通過した後、規制ガイド14A、14Bがシート長に応じたタイミングでガイド位置に到達する。そして、シートの幅方向Yの両端縁をガイド面15Aにより規制する。シートは、ガイド面15Aへ突き当てられると、端縁をガイド面15Aへ沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。これにより、シートのサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0104】
本実施形態では、制御部203は、シートが搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されている最中に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させるようにしている。これにより、シートの搬送を止めることなくシートのサイドレジやサイドスキューなどの補正を行うことができ、生産性を高めることができる。但し、シートの搬送を一旦止めてから、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる整合動作を行うようにしても良い。この場合、生産性は低下するが、位置ずれの補正などをより確実に行うことができる。
【0105】
このように本実施形態の場合、搬送ベルト12に受け渡されたシートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過した後に(即ち、シートSが搬送ローラ対401と接触しなくなった後に)、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達させるようにしている。このため、シートが搬送ベルト12に受け渡される際には、1対の規制ガイド14A、14Bがシートと干渉しにくくできる。また、上流側の搬送ローラ対401によりシートが搬送されている間は1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に位置させないため、搬送ローラ対401により搬送中のシートが何れかの規制ガイドと当接することで折れ曲がったりすることを抑制できる。
【0106】
更に、シートの後端が搬送ローラ対401を通過した後に1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に移動させているため、例えばシートを斜めに搬送して規制ガイドに突き当てなくても、シートの位置ずれなどを補正できる。このため、シート搬送するための長さを長くしなくてもシートの位置ずれなどの補正が可能となり、装置の大型化を抑制できる。即ち、装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向Yの位置ずれを補正できる。
【0107】
ここで、1対の規制ガイド14A、14Bが同時にガイド位置に到達した場合、1対の規制ガイド14A、14Bの振動により、シートの搬送に影響を及ぼす虞がある。即ち、規制ガイド14A、14Bは、退避位置から移動してガイド位置で停止した際に振動してしまう。このため、規制ガイド14A、14Bが同時にガイド位置に到達した場合、規制ガイド14A、14Bがシートを押し込んでしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達するタイミングをずらすようにしている。
【0108】
即ち、ガイド移動部420は、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる際に、リア側の規制ガイド14Bがガイド位置に到達した後に、フロント側の規制ガイド14Aをガイド位置に到達させる。
【0109】
また、本実施形態の場合、規制ガイド14A、14Bの移動速度は互いに同じとしている。例えば、移動速度をそれぞれ700mm/sとする。また、規制ガイド14A、14Bが退避位置からガイド位置に移動する際の移動開始タイミングも同じとしている。このように構成することで、規制ガイド14Bの方が規制ガイド14Aよりも早くガイド位置に到達する。即ち、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達するタイミングをずらすことができる。このため、移動停止による振動が同時に起きることを抑制して、規制ガイド14A、14Bがシートの幅方向Yの端縁を押し込むことを抑制できる。この結果、シートの搬送を安定して行える。
【0110】
なお、規制ガイド14A、14Bの移動速度は、規制ガイド14Bが規制ガイド14Aよりも先にガイド位置に到達するのであれば、同じ速度でなくても良い。例えば、規制ガイド14Bの方が移動速度を速くしても良い。また、規制ガイド14A、14Bの退避位置からガイド位置への移動開始タイミングも同時でなくても良い。例えば、規制ガイド14Bの方が移動開始タイミングを速くしても良い。また、規制ガイド14Aが規制ガイド14Bよりも先に第1ガイド位置又は第3ガイド位置に到達するようにしても良い。なお、退避位置における規制ガイド14A、14Bのシートの幅方向Yの端縁からの距離を同じとし、且つ、同じタイミングで規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達完了するようにしても良い。
【0111】
[シート長に応じた規制ガイドの動作タイミングの具体例]
次に、シート長に応じた規制ガイドの動作タイミングの具体例について、引き続き
図11を用いて説明する。まず、2段目に示すシートS1(シート長が148.0mm)について説明する。シートS1の場合、シート後端がシート検知センサ433を通過してから210.7mm搬送した時点で規制ガイド14A,14Bを退避位置からガイド位置に移動開始する。シートS1は、規制ガイド14A、14Bが移動しながら搬送ベルト12によって搬送され、シートS1が65.2mm搬送された時点で規制ガイド14A、14Bはガイド位置に到達する。
【0112】
その後、シートS1の先端がシート検知センサ435を通過し、下流側の搬送ローラ対402を10mm通過した時点で規制ガイド14A、14Bをガイド位置から退避位置に向けて移動開始する。そして、シートS1が搬送ローラ対402によって65.2mm搬送された時点で規制ガイド14A、14Bは退避位置に到達する。その時点で次のシートの先端は規制ガイド14A、14Bの上流端よりも搬送方向上流側にある。
【0113】
なお、シートS1は規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aよりも短く、シート全体がガイド面15Aの範囲内(ガイド面15Aの上流端15A1と下流端15A2との間)にある状態で規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達した時点でもシート全体はガイド面15Aの範囲内にある。
【0114】
上述したように、本実施形態では、148mm~215.9mmのシートS1は、シート後端がガイド面15Aの搬送方向の上流端15A1を通過したら規制ガイド14A、14Bを移動させる。本実施形態では、規制ガイド14A、14BがシートS1をガイド位置でガイドした状態で42.5mm搬送できればスキュー補正ができる計算となっている。このため、シート後端がガイド面15Aの上流端15A1を通過してから規制ガイド14A、14Bをガイド位置に移動させ、更に搬送ローラ対402にシート先端が到達するまでに42.5mm以上搬送できるシート長が148mm~215.9mmとなる。
【0115】
次に、3段目に示すシートS2(シート長が297.1mm)について説明する。シートS2の場合、シート後端がシート検知センサ433を通過してから64.8mm搬送した時点で、規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動開始する。この時点でシートS2の先端はガイド面15Aの範囲内にあり、シートS2の後端はガイド面15Aの上流端15A1よりも搬送方向上流側にある。
【0116】
シートS2は、規制ガイド14A、14Bが移動しながら搬送ベルト12によって搬送され、シートS2が65.2mm搬送された時点で規制ガイド14A、14Bはガイド位置に到達する。この時点で、シートS2の先端はガイド面15Aの下流端15A2よりも搬送方向上流側にある。なお、シートS2の場合は、シート先端をガイド面15Aに受け入れると同時に下流側の搬送ローラ対402を離間させる。
【0117】
規制ガイド14A、14Bをガイド位置に位置づけた状態でシートS2を搬送ベルト12で搬送し、シート先端が離間した搬送ローラ対402とシート検知センサ436を通過して、さらにシートS2の先端が下流側の搬送ローラ対403を10mm通過したら、規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動開始する。そして、シートS2が搬送ローラ対403によって65.2mm搬送された時点で規制ガイド14A、14Bは退避位置に到達する。その時点で次のシートの先端は、規制ガイド14A、14Bの上流端よりも搬送方向上流側にある。その後、搬送ローラ対402を離間位置(ニップ解除位置)からニップ位置に戻す。
【0118】
次に、4段目に示すシートS3(シート長が530.6mm)について説明する。シートS3の場合、シート後端が上流側の搬送ローラ対401よりも35.1mm上流側にある状態で(シート検知センサ433がシートS3の先端を検知してからの搬送量で判断)、規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に向けて移動開始する。
【0119】
シートS3が65.2mm搬送されて規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達するタイミングでは、シートS3の後端が搬送ローラ対401を通過している。この時点でシートS3の先端は、ガイド面15Aの下流端15A2よりも搬送方向下流側にある。即ち、シートS3は、ガイド面15Aの上流端15A1と下流端15A2とに跨った状態で規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達する。なお、シートS3の先端をガイド面15Aに受け入れると同時に下流側の搬送ローラ対402、403とを離間させる。
【0120】
規制ガイド14A、14Bがガイド位置に位置づけられた状態で搬送ベルト12によってシートS3は搬送され、シート先端が多段給送装置200の搬送ローラ対204の10mm下流側に到達した時点で、規制ガイド14A、14Bをガイド位置から退避位置に移動開始する。シートS3が搬送ローラ対204によって65.2mm搬送された時点で規制ガイド14A、14Bは退避位置に到達する。その時点で次のシートの先端は規制ガイド14A、14Bの上流端よりも搬送方向上流側にある。その後、搬送ローラ対402、403を離間位置からニップ位置に戻す。
【0121】
上述のようにシートS3の場合は、シート後端が搬送ローラ対401でニップされた状態で規制ガイド14A、14Bが移動開始するが、ガイド位置に到達完了する時点では必ずシート後端は搬送ローラ対401を通過している。なお、前述したように搬送ローラ対401が離間できる構成の場合は、規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達する前に搬送ローラ対401が離間位置に位置づけられている。
【0122】
次に、5段目に示すシートS4(シート長が1300mm)については説明する。シートS4を搬送する場合は、規制ガイド14A、14Bが退避位置の状態でシートを受け入れ、シート後端を下流側の装置に搬送するまで退避位置をキープする。この際、各搬送ローラ対は、離間せずにそのままシートS3を搬送する。即ち、シートS4の場合、シートを受け入れてから下流側へ搬送するまで規制ガイド14A、14Bの位置を変えないようにしている。このため、シート長が長いシートS4をダメージを与えることなく、搬送することができる。なお、シートS4の場合、例えば、画像形成装置100内にて、シートS4の先端を搬送ローラ対に突き当てることで斜行補正を行う。
【0123】
なお、上述の数値は一例であり、装置の大きさ、構造などによって適宜変更可能である。即ち、シート長に応じて、上述のタイミングでシートの搬送、規制ガイド14A、14Bの移動、搬送ローラ対の当接離間が行われればよい。
【0124】
上述のような本実施形態の場合、装置の大型化を抑制しつつ様々な長さのシートに対応可能である。即ち、シート長が第1の長さのシートS1、S2の場合には、シートの先端がガイド面15Aの上流端15A1と下流端15A2との間にある状態で1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達完了させている。一方、シート長が第1の長さよりも長い第2の長さのシートS3の場合には、シートの先端がガイド面15Aの下流端15A2よりも更に下流側にある状態で1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達完了させている。このようにシート長に応じて規制ガイド14A、14Bがガイド位置に到達するタイミングを変えることで、装置を大型化することなく、様々な長さのシートに対応することができる。
【0125】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、中継搬送装置400を制御する制御部203を多段給送装置200に設けたが、これらの制御を画像形成装置100の制御部140により行うようにしても良い。また、中継搬送装置400に中継搬送装置400の各部を制御する制御部を設けても良い。更に、シート搬送装置は、上述の中継搬送装置に関らず、シートの位置ずれを行えるシート搬送装置であれば、他の構成であっても良い。
【符号の説明】
【0126】
12・・・搬送ベルト/12A・・・搬送面/14A、14B・・・規制ガイド/15A・・・ガイド面/16A・・・支持面/20・・・球体/200・・・多段給送装置/203・・・制御部/400・・・中継搬送装置(シート搬送装置)/401・・・搬送ローラ対(搬送手段、上流側搬送ローラ対)/402、403・・・搬送ローラ対(下流側搬送ローラ対)/420・・・ガイド移動部(ガイド移動手段)