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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】外部フードの取付方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/04 20060101AFI20241111BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20241111BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
F24F7/04 B
E04B1/66 B
F24F13/02 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020147367
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042124
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】松原 悟志
(72)【発明者】
【氏名】尾山 誠
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-056881(JP,A)
【文献】特開平10-219217(JP,A)
【文献】特開2003-269759(JP,A)
【文献】特開2019-174019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
E04B 1/66
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土状のシール材を取付準備作業台上で押圧することによって成型する工程と、
取付ベース部および当該取付ベース部に支持されるフード本体部を有する外部フードの上記取付ベース部に上記の成型されたシール材を付着する工程と、
建物の躯体に外壁パネルを固定する前の段階で、上記シール材が付着された取付ベース部を、上記外壁パネルの外壁面に取り付ける工程と、
上記外部フードが取り付けられた上記外壁パネルを上記建物の躯体に固定する工程と、
を含んでおり、
上記取付準備作業台は、上記粘土状のシール材を入れる入口となる開口部を有し、当該シール材を上記開口部の側からの押圧によって成型する型部と、上記型部の両側に位置しており、上記外部フードの取付ベース部が載置される載置面となる天板部と、上記天板部を支持する支持部と、
を備えることを特徴とする外部フードの取付方法。
【請求項2】
粘土状のシール材を取付準備作業台上で押圧することによって成型する工程と、
取付ベース部および当該取付ベース部に支持されるフード本体部を有する外部フードの上記取付ベース部に上記の成型されたシール材を付着する工程と、
建物の躯体に外壁パネルを固定する前の段階で、上記シール材が付着された取付ベース部を、上記外壁パネルの外壁面に取り付ける工程と、
上記外部フードが取り付けられた上記外壁パネルを上記建物の躯体に固定する工程と、
を含んでおり、
上記取付準備作業台は、上記粘土状のシール材を入れる入口となる開口部を有し、当該シール材を上記開口部の側からの押圧によって成型する型部と、上記型部の両側に位置しており、上記外部フードの取付ベース部が載置される載置面となる天板部と、上記天板部を支持する支持部と、
を備えており、
上記取付準備作業台を用いる上記成型工程では、上記シール材を断面が略直角三角形の三角柱状に成型し、上記シール材を付着する工程では、上記の成型されたシール材を、当該シール材の斜面側が上記取付ベース部の周囲部から外側を向くように、上記取付ベース部の周囲部に付着することを特徴とする外部フードの取付方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の外部フードの取付方法において、
上記取付準備作業台は、上記天板部の長さよりも上記型部の長さが長くされており、上記型部が上記天板部の長さ方向に水平移動可能であることを特徴とする外部フードの取付方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の外部フードの取付方法において、
上記取付準備作業台は、上記天板部の上面よりも低い底面を有する凹溝に上記型部を着脱可能に備えることを特徴とする外部フードの取付方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の外部フードの取付方法において、
上記型部は、直角をなして位置する2つの板部を有する部材からなることを特徴とする外部フードの取付方法。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の外部フードの取付方法において、
上記型部が樹脂材からなることを特徴とする外部フードの取付方法。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の外部フードの取付方法において、上記支持部の下面側に磁石部を備えることを特徴とする外部フードの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部フードを建物の外壁に止水処理して取り付ける取付方法および外部フードを建物の外壁に取り付ける際の前段取りで利用できる取付準備作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部フードを外壁に取り付けた状態で、当該外部フードの取付ベース部の外周部と外壁との間にシリコン等のシール材を塗布することにより、雨水等が取付ベース部の外周部から換気口側へ浸入することを防止する構造が開示されている。
【0003】
また、外壁パネルは、例えば、外壁フレーム、断熱材、防水シート、外部フード貫通部材、通気下地、面材等からなり、工場内で組み立てられて現場に搬送され、現場建方時に固定金物によって鉄骨躯体に固定される。外壁パネル間の目地に対する止水作業および外壁パネルへの外部フードの取り付けは、外壁の周囲に組み立てられた足場上で職方が行う。
【0004】
特許文献2には、板の表面に設けられるシーリング材形成領域の一部を囲むように、板の表面に付着テープを貼り付けて堰を形成する堰形成工程と、シーリング材形成領域にシーリング材を配置する試験体配置工程と、堰の高さに対応する厚さとなるように、シーリング材を一定厚に成型する成型工程と、を含むシーリング材成型方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平06-94277号公報
【文献】特開2014-177763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、狭小地に建物を建てる場合に、建物の周囲に足場を組み立てることが困難なことがあり、このような場合でも、外部フードを簡単な作業で外壁面に取り付けることが望まれる。また、外壁面に意匠上の凹凸が在っても、外壁面と外部フードの取付ベース部との隙間が適切にシール材で封止されることが望まれる。
【0007】
この発明は、外部フードを足場無しで外壁面に取り付けることを可能にし、また、外壁面と外部フードの取付ベース部との隙間をシール材によって適切に封止することが容易になる外部フードの取付方法および取付準備作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の外部フードの取付方法は、
取付ベース部および当該取付ベース部に支持されるフード本体部を有する外部フードの上記取付ベース部に粘土状のシール材を付着する工程と、
建物の躯体に外壁パネルを固定する前の段階で、上記シール材が付着された取付ベース部を、上記外壁パネルの外壁面に取り付ける工程と、
上記外部フードが取り付けられた上記外壁パネルを上記建物の躯体に固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記の方法であれば、外壁面と取付ベース部との隙間をシール材で封止する作業が、建物の躯体に外壁パネルを固定する前の段階での作業となるので、当該封止作業を適切に行うことが容易になる。また、上記シール材が付着された取付ベース部を外壁面に取り付けるので、取付ベース部の取付後に外壁面との隙間にシール材を押し込む作業に比べ、上記シール材を外壁面の意匠上の凹凸に倣って当該外壁面に密着させることが容易になる。また、外部フードを外壁面に取り付けることにおいて足場を不要にできるので、狭小地での建物の施工が容易になる可能性がある。
【0010】
上記シール材を断面が略直角三角形の三角柱状に成型し、この成型されたシール材を、当該シール材の斜面側が上記取付ベースの周囲部から外側を向くように、上記取付ベース部の周囲部に付着させてもよい。これによれば、上記シール材を外壁面の意匠上の凹凸に密着させることを容易にしつつ、上記取付ベース部の外周部からの上記シール材のはみ出しを抑制できる。
【0011】
また、この発明の取付準備作業台は、粘土状のシール材を入れる入口となる開口部を有し、当該シール材を上記開口部の側からの押圧によって成型する型部と、上記型部の両側が載置面となる天板部と、上記天板部を支持する支持部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記の構成であれば、上記型部によって上記シール材を成型する作業と、上記天板部上に外部フードの取付ベース部を載置し、上記の成型されたシール材を上記取付ベース部に付着する作業の両方を、当該取付準備作業台上で行うことができるので、作業効率を向上できる。
【0013】
上記天板部の長さよりも上記型部の長さが長くされており、当該型部が上記天板部の長さ方向に水平移動可能であってもよい。これによれば、上記シール材の成型に際し、上記開口部の側からシール材を押さえる箇所を、上記型部の水平移動によって上記天板部の中央側に位置させることができるので、シール材への押圧力を上記天板部の中央側で的確に受け止めることが容易になる。また、上記天板部の長さを極力短くできるので、取付準備作業台の軽量化および低コスト化を図ることができる。
【0014】
上記天板部の上面よりも低い底面を有する凹溝に上記型部を着脱可能に備えてもよい。これによれば、上記型部を複数種用意して、必要に応じて上記型部を交換することが容易になる。また、上記型部の上端が上記天板部の上面から突出する場合でも、当該型部を取り外すことで、上記天板部の上面側を平らにできるので、外部フードの取付ベース部を適切に上記天板部上に載置することができる。
【0015】
上記型部は、直角をなして位置する2つの板部を有する部材であってもよい。これによれば、上記シール材を、断面が略直角三角形の三角柱状に成型することが容易になる。
【0016】
上記型部が樹脂材からなっていてもよい。これによれば、上記型部が鋼材からなる構造に比べて、成型したシール材の上記型部からの引き剥がしが容易になり、シール材の型崩れを抑制できる。
【0017】
上記支持部の下面に磁石部を有してもよい。これによれば、上面が金属製の架台等の上に取付準備作業台を磁力装着によって安定的に置くことができる。また、取付準備作業台自体の高さが低くても、この取付準備作業台を比較的高さのある金属製台に磁力装着することで、適切な高さで作業することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の外部フードの取付方法であれば、外部フードを足場無しで外壁面に取り付けることが可能になり、また、外壁面と外部フードの取付ベース部との隙間を、上記外壁面に意匠上の凹凸がある場合でも、適切にシール材で封止することが容易になる。また、本発明の取付準備作業台であれば、上記型部によって上記シール材を成型する作業と、上記天板部上に外部フードの取付ベース部を載置し、上記の成型されたシール材を上記取付ベース部に付着する作業の両方を、この取付準備作業台上で行うことができるので、作業効率を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】同図(A)および同図(B)は、それぞれ実施形態で用いる外部フードの一例を示した概略の斜視図である。
図2】実施形態を示す図であって、シール材を図1の外部フードに付着させた状態を示した概略の正面図、側面図、底面図である。
図3】実施形態を示す図であって、外部フードの円筒部とシール材との位置関係を示した説明図である。
図4】実施形態を示す図であって、シール材が付着された外部フードを躯体装着前の外壁パネルに取り付ける工程を示した説明図である。
図5】実施形態を示す図であって、外部フードを取り付けた外壁パネルを躯体に装着し、スリーブに屋内側の換気設備を接続した状態を示した概略の縦断面による説明図である。
図6】実施形態を示す図であって、外部フードを取り付けた外壁パネル(意匠上の凹凸を有する)を躯体に装着し、スリーブに屋内側の換気設備を接続した状態を示した概略の縦断面による説明図である。
図7】実施形態を示す図であって、外部フードを取り付けた外壁パネル(意匠上の凹凸を有する)を躯体に装着した状態の概略の横断面による説明図である。
図8】実施形態の取付準備作業台を示す図であって、同図(A)は正面図、同図(B)は端部の平面図である。
図9】実施形態の取付準備作業台の全体を示した平面図である(型部の一部を欠損させて示している)。
図10】実施形態の取付準備作業台を用いてシール材を成型する作業を示した説明図であって、同図(A)は正面側から見た説明図、同図(B)は側面側から見た説明図である。
図11】実施形態の取付準備作業台を用いて外部フードにシール材を付着する作業を示した説明図であって、同図(A)は外部フードを底側から見た説明図、同図(B)は上側から見た説明図である。
図12】実施形態で用いることができるシール材の切り出し定規を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1(A)および図1(B)は、外部フード1の一例を示している。この外部フード1は、当該外部フード1を外壁面に固定する取付ベース部11と、この取付ベース部11に支持されるフード本体部12とを有する。上記取付ベース部11は、外壁面に対面する略四角形状の板状部位を有している。この板状部位の略中央側には円形開口が形成されている。上記取付ベース部11の背面側には、上記円形開口に通じる円筒形の筒部11aが固定されている。上記取付ベース部11の周囲部には、立上部11bが形成されている。外部フード1の取付時には、上記立上部11bの先端が外壁に接することになる。
【0021】
この実施形態の外部フードの取付方法は、図2および図3に示すように、上記取付ベース部11に、無圧力下で形状を保持できる粘土質のシール材2を付着する工程を含む。上記シール材2としては、例えば、ポリブテン樹脂系材料からなり、非硬化性(不乾性)、電気絶縁性等を有するシールパテ(乾式シール材)が用いられる。また、この取付方法では、上記シール材2を、断面が略直角二等辺三角形の三角柱状に成型し、この成型されたシール材2を取付ベース部11に付着させる。上記三角形の等辺の長さは、例えば、23mm程度である。シール材2の付着箇所は、取付ベース部11の上辺側と左右縦片側とし、下辺側にはシール材2を付着しない。また、この実施形態では、シール材2を長い三角柱状に成型し、この長く成型された1本のシール材2を、上記立上部11bに沿うように折り曲げ、取付ベース部11の上辺側と左右縦片側に付着させている。なお、短い3本の棒状のシール材2を用いてもよいが、継ぎ目の箇所でシール性が損なわれないようにする。
【0022】
上記取付方法は、図4に示すように、上記シール材2が付着された上記外部フード1を、上記取付ベース部11と外壁パネル3の外壁面3aとの間に上記シール材2を介在させて、上記外壁面3aに取り付ける工程を含む。この工程は、建物の躯体に外壁パネル3を所定の金物で固定する前の段階、例えば、外壁パネル3を工場で生産する段階、或いは現場に外壁パネルが搬送された段階において行う。
【0023】
外壁パネル3には、屋外側から屋内側に貫通する貫通口部が形成されており、この貫通口部にスリーブ31が工場において事前に嵌め込まれる。また、この嵌め込みに際して、スリーブ31の外周面と上記外壁パネル3の面材木口との間に、環状ガスケット32を装着する。この環状ガスケット32によって、上記外壁パネル3の上記貫通口部をなす面材小口と上記スリーブ31の外周面との隙間が封止される。
【0024】
上記取付ベース部11の上記外壁面3aへの取り付けは、上記筒部11aを上記スリーブ31内に差し込んで行う。この際、上記筒部11aの外周に、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)製の環状シール材11cを巻いて、この環状シール材11cによって、上記スリーブ31の内周面と上記筒部11aの外周面との隙間を封止する。
【0025】
次に、上記外部フード1が取り付けられた上記外壁パネル3を、例えば、揚重機で吊り上げて、建物の躯体(梁、柱等)に所定の金物を用いて固定する。図5では、上記外壁パネル3における上記外部フード1の取付状態を拡大して示している。また、この図5に示すように、上記外壁パネル3を建物の躯体に固定した後、上記スリーブ31に屋内側の換気設備33を接続することができる。
【0026】
上記の取付方法であれば、外壁パネル3の外壁面3aと外部フード1の取付ベース部11との隙間をシール材2で封止する作業が、建物の躯体に外壁パネル3を固定する前の段階での作業となるので、当該封止作業を適切に行うことができる。また、外部フード1を外壁面3aに取り付けることにおいて足場を不要にできるので、狭小地での建物の施工が容易になる可能性がある。
【0027】
また、上記シール材2が付着された取付ベース部11を外壁面3aに取り付けるので、取付ベース部11の取付後において外壁面3aとの隙間にシール材2を押し込む場合に比べ、図6および図7に示すように、外壁面3aに意匠上の凹凸が存在する場合でも、この凹凸に倣って上記シール材2を外壁面に密着させることが容易になる。また、上記シール材2を直接に外壁面3aに押し付けるのではなく、上記取付ベース部11を壁方向に押し付けることができるので、当該取付ベース部11に付着されたシール材2を外壁面3aに均一に密着させることが容易になり、場所によってシール材2の存在に粗密が生じるのを抑制し易くなる。
【0028】
さらに、上記シール材2を断面が略直角三角形の三角柱状に成型し、この成型されたシール材2を、当該シール材2の斜面側が上記取付ベース部11の周囲部から外側を向くように、当該取付ベース部11の周囲部に付着させるので、上記シール材2を外壁面3aの意匠上の凹凸に密着させることを容易にしつつ、上記取付ベース部11の外周部からの上記シール材2のはみ出しを抑制できる。
【0029】
次に、図8乃至図11を用いて、実施形態の取付準備作業台5を説明する。
【0030】
実施形態の取付準備作業台5は、図8(A)および図8(B)に示すように、シール材2を成型する型部51と、上記型部51の両側が載置面となる天板部52と、上記天板部52を支持する支持部53と、を備える。
【0031】
上記型部51は、上記シール材2を入れる入口となる上向きの開口部51aを有し、当該シール材2を上記開口部51a側からの押圧によって成型する。この実施形態では、上記型部51は、直角をなして位置する2つの板部を有する二等辺アングル材(25mm×25mm)からなり、上記天板部52の上面よりも低い底面を有して上記天板部52の長手方向に延びる凹溝52aに着脱可能に備えられる。上記型部51の上端は、上記天板部52の上面から突出している。この取付準備作業台5は、上記型部51が上記凹溝52aに置かれるだけの構造であり、上記型部51が上記天板部52側にクランプ等で留め付けされない簡易構造となっている。また、このような構造により、上記型部51は、凹溝52a内で天板部52の長さ方向に水平移動可能になっている。
【0032】
上記型部51を除く上記取付準備作業台5の全長は、例えば、300mm程度である。この実施形態では、上記型部51として、2種の二等辺アングル材が用いられ、1つの二等辺アングル材の全長は400mmであり、他の1つの二等辺アングル材の全長は550mmである。上記400mm長の二等辺アングル材は、上記筒部11aの外径が100mmの外部フード用であり、550mm長の二等辺アングル材は上記筒部11aの外径が150mmの外部フード用である。上記二等辺アングル材は、樹脂材(ポリ塩化ビニル等)からなっている。
【0033】
上記天板部52の幅は、例えば、164mm程度である。この実施形態では、上記天板部52は、断面正方形の角パイプ(30mm×30mm等)を左右から挟み込むように、断面縦長方形の縦長角パイプ(27mm×50mm等)を配置し、さらに、上記縦長角パイプの上面に面合わせして等辺アングル材(40mm×40mm等)を各縦長角パイプの側面に配置し、複数の連結ボルト52bを上記3本の角パイプおよび上記2本のアングル材に貫通させてこれらをボルト・ナット締結で相互に固定した構造を有する。上記角パイプ、上記縦長角パイプおよび上記アングル材は、例えば、アルミニウム合金製である。
【0034】
上記支持部53は、上記縦長角パイプの各々の下面に基部側が各々固定された2個の脚部53aからなる。上記支持部53の幅は、上記天板部52の幅よりも広い215mm程度である。各脚部53aの端部側は、上記基部側よりも下に位置するように曲げられており、上記端部側が接地されるときには、上記縦長角パイプの下面側が接地面よりも所定高さ(例えば11mm程度)上に位置するようになっている。また、上記の脚部53aの上記基部側には、上記の所定高さと同程度の高さを有する磁石部53bが固定されている。この磁石部53bは、上記支持部53の全長に渡って設けられる必要はなく、上記支持部53の長さ方向の両端部にだけ設けられてもよい。
【0035】
図10(A)および図10(B)は、上記取付準備作業台5の上記型部51によって上記シール材2を成型する作業を示している。この成型作業では、所定量の上記シール材2を手で略丸棒状に丸めて、上記型部51内に、上記開口部51aからセットする。そして、ローラー6で上記シール材2を押しながら延ばすと、当該シール材2は上記型部51の形状に従って二等辺三角柱状に成型される。
【0036】
上記型部51の上端が上記天板部52の上面から突き出ていると、ローラー6が天板部52に当たらず、上記シール材2の押し延ばしが適切に行える。図12には、外形寸法が90mm×180mmで販売されるシールパテを、上記筒部11aの外径が100mm(100φ)と150mm(150φ)の両方に対応して切り出すことができる切り出し定規7を示している。なお、筒部11aの外径が50mmのものはなく、上記切り出し定規7におけるφ50(90×22.5)の定規部分は、補充的な量のシールパテを切り出すのに用いられる。
【0037】
次に、成型されたシール材2が入った型部51を上記取付準備作業台5から取り外し、図11(A)および図11(B)に示すように、上記天板部52に取付ベース部11を載置し、上記型部51から引き剥がした成型済のシール材2を、上記取付ベース部11に付着する作業を行う。先にも述べたが、シール材2の付着箇所は、取付ベース部11の上辺側と左右縦片側とし、下辺側にはシール材2を付着しない。また、この付着作業では、1本のシール材2を略コ字状に折り曲げ、上記立上部11bに沿って、取付ベース部11の上辺側と左右縦片側に付着させる。なお、図11では、上記筒部11aの外径が100mmである外部フード1を上記天板部52に載置した場合を示しているが、この天板部52に、上記筒部11aの外径が150mmである外部フード1を載置することも可能である。
【0038】
このように、上記取付準備作業台5であれば、上記型部51によって上記シール材2を成型する作業と、上記天板部52上に外部フード1の取付ベース部11を載置し、上記の成型されたシール材2を上記取付ベース部11に付着する作業の両方を、この取付準備作業台5上で行うことができるので、作業効率を向上できる。
【0039】
上記天板部52の長さよりも上記型部51の長さが長くされ、当該型部51が上記天板部52の長さ方向に水平移動可能であると、シール材2の成型に際し、上記開口部51aの側からシール材2を押さえる箇所を、上記型部51の水平移動によって上記天板部52の中央側に位置させることができるので、シール材2への押圧力を上記天板部52の中央側で的確に受け止めることが容易になる。また、上記天板部52の長さを極力短くして、取付準備作業台5の軽量化および低コスト化を図ることができる。なお、上記ローラー6の位置を固定し、上記型部51を凹溝52aに沿って水平方向に往復移動させることで、上記シール材2を押し延ばすことも可能である。
【0040】
上記天板部52の上面よりも低い底面を有する凹溝52aに上記型部51を着脱可能に備えると、上記型部51を複数種用意して、必要に応じて上記型部51を交換することが可能になる。また、このような型部51の交換により、特に熟練を必要とせずに、シール材2を必要量だけ成型することが容易になる。また、上記型部51の上端が上記天板部52の上面から突出する場合でも、当該型部51を取り外すことで、上記天板部52の上面側を平らにして、外部フード1の取付ベース部11を上記天板部52上に適切に載置することができる。
【0041】
上記型部51が、直角をなして位置する2つの板部を有する部材であると、上記シール材2を、断面が略直角三角形の三角柱状に成型することができる。そして、このように成型された上記シール材2を、当該シール材2の斜面側が上記取付ベース部11の周囲部から外側を向くように、当該取付ベース部11の周囲部に付着させると、上記シール材2を外壁面3aの意匠上の凹凸に密着させつつ上記取付ベース部11の外周部からの上記シール材2のはみ出しを抑制できる。
【0042】
上記型部51が樹脂材からなっていると、上記型部51が金属製材からなるのに比べて、成型したシール材2の上記型部51からの引き剥がしが容易になり、シール材の型崩れを抑制できる。
【0043】
上記支持部53の下面に磁石部53bを有すると、上面が金属製の架台等の上に取付準備作業台5を磁力装着によって安定的に置くことができる。また、取付準備作業台5自体の高さが低くても、この取付準備作業台5を比較的高さのある金属製の台に磁力装着することで、適切な高さで作業することが容易になる。
【0044】
なお、上記型部51は、上記天板部52に固定状態に設けられてもよく、また、上記型部51は等辺アングル材以外の部材からなっていてもよく、上記シール材2は、二等辺直角三角形以外の三角形、さらには四角形等の多角形に成型されてもよいものである。
【0045】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 :外部フード
2 :シール材
3 :外壁パネル
3a :外壁面
5 :取付準備作業台
6 :ローラー
7 :切り出し定規
11 :取付ベース部
11a :筒部
11b :立上部
11c :環状シール材
12 :フード本体部
31 :スリーブ
32 :環状ガスケット
33 :換気設備
51 :型部
51a :開口部
52 :天板部
52a :凹溝
52b :連結ボルト
53 :支持部
53a :脚部
53b :磁石部
図1
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図12