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  • 特許-ローラヘム加工装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ローラヘム加工装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/02 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
B21D39/02 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020158956
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052520
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】三室 義和
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014006089(DE,A1)
【文献】特開平06-344037(JP,A)
【文献】特開2013-248646(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0119097(KR,A)
【文献】特開2015-180510(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093494(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下型上に第1パネル部材及び第2パネル部材の順に載置した状態で第1パネル部材の周縁部を曲げローラで押圧変形させて第2パネル部材側に折り返しながら該曲げローラを移動させて該第1パネル部材の周縁部で第2パネル部材の周縁部を包むようにヘミング加工するローラヘム加工装置において、
前記ヘミング加工中の前記曲げローラに当接されて該曲げローラによる押圧変形量を規制する規制面を備えたヘミング規制機構を有し
前記ヘミング規制機構は、前記規制面が前記曲げローラに当接しない退避位置に移動する移動機構を備えたことを特徴とするローラヘム加工装置。
【請求項2】
前記ヘミング規制機構の設けられる箇所は、前記第1パネル部材の周縁部が折り返される第2パネル部材の周縁部の厚さが変化する位置、該第2パネル部材の周縁部に穴加工が施された位置、又は該第2パネル部材の周縁部とそれを包む第1パネル部材の周縁部との間に空隙が存在する位置であることを特徴とする請求項1に記載のローラヘム加工装置。
【請求項3】
前記ヘミング規制機構は、前記規制面の前記曲げローラへの当接位置をシム調整可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のローラヘム加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラヘム加工装置、特に、二枚のパネル部材を下型上に重ねるように載置し、下側のパネル部材の周縁部を曲げローラで押圧して上側のパネル部材の周縁部上に折り返してヘミング加工するローラヘム加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなローラヘム加工装置では、下型の上に、第1パネル部材、第2パネル部材の順に重ね合わせ、予め略垂直に上方に折り曲げられた第1パネル部材の周縁部を第2パネル部材側に曲げローラで押圧しながら曲げローラを移動させ、第1パネル部材の周縁部で第2パネル部材の周縁部を包むように折り返してヘミング加工する。曲げローラによる押圧には、例えば、スプリングを始め、油空圧シリンダやサーボモータなどの押圧手段が用いられる。
【0003】
量産車両の車体製造に用いられるローラヘム加工では、例えば下記特許文献1に記載されるように、曲げローラを産業用ロボットのマニュプレータに取付けて使用することが多い。産業用ロボットは、マニュプレータを可動範囲内で自在に移動することができ、マニュプレータに取付けらえた曲げローラも、いわゆるティーチングによって自在に移動される。このように曲げローラを自在に用いることにより、多様なヘミング加工を短時間に行うことができる。なお、第1パネル部材の周縁部を第2パネル部材の周縁部に押し付ける段階の、いわゆる本曲げ加工に先立って、第1パネル部材の周縁部を第2パネル部材の周縁部側に所定の屈曲角度で折り返す、予備曲げ加工が行われる。産業用ロボットを用いたローラヘム加工装置では、予備曲げ加工と本曲げ加工を1つの装置で行うことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-305357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヘミング加工される車体用パネル部材そのものも多様化している。車体用パネル部材のヘミング加工部位には、例えば、予め穴加工が施されているとか、挟まれるパネル部材の板厚が一様でないとか、部材同士が当接しておらず、パネル部材間に空隙があるといった箇所がある。こうした箇所では、通常にヘミング加工すると、加工後に、パネル部材、特に車体の外側パネル部材に面歪などが生じ、外観品質を低下させてしまうことがある。また、一般に、壊れやすい樹脂製などのパネル部材を金属製のパネル部材で挟むヘミング加工は困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘミング加工後のパネル部材に面歪などの外観品質低下箇所が生じにくいローラヘム加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明おローラヘム加工装置は、
下型上に第1パネル部材及び第2パネル部材の順に載置した状態で第1パネル部材の周縁部を曲げローラで押圧変形させて第2パネル部材側に折り返しながら該曲げローラを移動させて該第1パネル部材の周縁部で第2パネル部材の周縁部を包むようにヘミング加工するローラヘム加工装置において、
前記ヘミング加工中の前記曲げローラに当接されて該曲げローラによる押圧変形量を規制する規制面を備えたヘミング規制機構を有し
前記ヘミング規制機構は、前記規制面が前記曲げローラに当接しない退避位置に移動する移動機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ヘミング規制機構の規制面が当接される箇所では、曲げローラによる第1パネル部材の周縁部の押圧変形量が規制され、すなわち押圧による変形量が抑制され、これにより通常の押圧変形量では面歪などが発生する可能性のある箇所においてこれを抑制することが可能となる。したがって、曲げローラの移動経路の必要箇所にヘミング規制機構を設け、その箇所での第1パネル部材の周縁部の押圧変形量を規制することにより、面歪などの外観品質低下箇所の発生を低減することができる。
また、上記本曲げ加工の前の予備曲げ加工では、曲げローラの押圧面(外周面)が第2パネル部材の周縁部に対して斜めになるように曲げローラが配置されることから、曲げローラの軸線方向端部が第1パネル部材の周縁部より下方に突出し、その突出部分がヘミング規制機構の規制面と干渉するおそれがある。このように、予備曲げ加工時に曲げローラとヘミング規制機構が干渉する場合には、上記移動機構によって規制面を退避位置に移動することにより、両者の干渉を回避することができる。
【0009】
また、本発明の他の構成は、前記ヘミング規制機構の設けられる箇所は、前記第1パネル部材の周縁部が折り返される第2パネル部材の周縁部の厚さが変化する位置、該第2パネル部材の周縁部に穴加工が施された位置、又は該第2パネル部材の周縁部とそれを包む第1パネル部材の周縁部との間に空隙が存在する位置であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1パネル部材の周縁部が折り返される第2パネル部材の周縁部のうち、通常のヘミング加工で面歪などが発生しやすい、その周縁部の厚さが変化する位置、穴加工が施された位置、第1パネル部材の周縁部との間に空隙が存在する位置の何れかの箇所又は全ての箇所にヘミング規制機構を配設することによって面歪などの外観品質低下箇所の発生を的確に低減することができる。
【0013】
本発明の更なる構成は、前記ヘミング規制機構は、前記規制面の前記曲げローラへの当接位置をシム調整可能に構成されたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、規制面の位置をシム調整可能とすることにより、第1パネル部材の周縁部の押圧変形量を微調整して面歪などの発生を効果的に低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、ヘミング加工時において面歪などの発生しやすい箇所で曲げローラによるパネル部材周縁部の押圧変形量を規制することにより、面歪などの外観品質低下箇所の発生を低減することができ、これにより車両の商品性を確保することができる。また、樹脂製パネル部材のような壊れやすい第2パネル部材を金属製の第1パネル部材で包むようなヘミング加工も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のローラヘム加工装置の一実施の形態の概略構成を示す正面図である。
図2図1のローラヘム加工装置に設けられたヘミング規制機構の正面図である。
図3図2のヘミング規制機構の主要部の詳細図である。
図4】予備曲げ加工の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のローラヘム加工装置の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態のローラヘム加工装置の概略構成を示す正面図である。この実施の形態のローラヘム加工装置は、下型1上に第1パネル部材2及び第2パネル部材3をこの順に載置し、例えばプレス成形などの前工程で予め略上方向き、すなわち板面と略垂直に折り曲げられた第1パネル部材2の周縁部(以下、第1パネル周縁部)4を第2パネル部材3の周縁部(以下、第2パネル周縁部)5上に折り返し、第1パネル周縁部4で第2パネル周縁部5を包むようにヘミング加工する。なお、図は、極めて模式的に示されており、実際の下型1や第1パネル部材2、第2パネル部材3の形状は全く異なる。また、一般に、第1パネル部材2が車体の外側パネル部材となる。
【0018】
上記第1パネル周縁部4のヘミング加工は、曲げローラ6による押圧で行う。この実施の形態の曲げローラ6は、中実の円柱体からなり、その外周面が第1パネル周縁部4の押圧面となる。この曲げローラ6は、多軸産業用ロボット(以下、ロボット)7のマニュプレータ8に回転自在に支持されている。このロボット7は、前述のように、マニュプレータ8を可動範囲内で自在の位置に且つ自在な方向に且つ自在な向きに移動することができ、したがって、マニュプレータ8に取付けられた曲げローラ6は、いわゆるティーチングによって自在な姿勢で且つ自在な方向に且つ自在な位置に移動される。ロボット7の動作は、図示しないコントローラによって制御される。なお、ロボット7自体を移動装置に搭載し、例えば、床面に沿って移動できるようにしてもよい。
【0019】
この実施の形態の曲げローラ6は、押圧装置9を介して上記ロボット7のマニュプレータ8に取付けられている。この実施の形態では、押圧装置9内に設けられた図示しないスプリングなどによって、曲げローラ6が所望の押圧力で第1パネル周縁部4を押圧するように構成されている。この押圧力で第1パネル周縁部4を第2パネル周縁部5上に本曲げ加工するヘミング加工を通常のヘミング加工と規定する。なお、前述のように、曲げローラ6を押圧する押圧手段としては、例えば、油空圧シリンダやサーボモータなどを適用することも可能である。
【0020】
図2は、図1のローラヘム加工装置に設けられたヘミング規制機構10の構成図であり、この実施の形態のローラヘム加工装置には、図2に示すヘミング規制機構10が複数箇所に設けられている。このヘミング規制機構10は、配設箇所によって多少異なるものの、構成の概要は図2と同様である。このヘミング規制機構10は、ヘミング加工の本曲げ加工時に規制面11が曲げローラ6の外周面、すなわち押圧面に当接することにより、曲げローラ6による第1パネル周縁部4の押圧変形量を規制するものである。したがって、ヘミング規制機構10(規制面11)は、上記ロボット7による曲げローラ6の移動経路に沿って配設される。
【0021】
このヘミング規制機構10は、例えば、第1パネル周縁部4が折り返される第2パネル周縁部5に予め穴加工が施された位置、同じく第2パネル周縁部5の板厚が変化する位置、ヘミング加工後に第1パネル周縁部4と第2パネル周縁部5の間に空隙が存在する位置の1つ以上の箇所に設けられている。これらの箇所は、通常のヘミング加工で第1パネル部材2、すなわち車体の外側パネル部材に面歪などが生じやすい箇所である。また、ヘミング加工後に第1パネル部材2に面歪などが生じやすい箇所として、第1パネル周縁部4(第2パネル周縁部5も同形状)そのものがパネル部材板面内で連続的に湾曲している箇所にも設けられている。
【0022】
図3は、図2のヘミング規制機構10の主要部の詳細図である。図3は、ヘミング規制機構10が設けられる箇所の一例として、第1パネル周縁部4と第2パネル周縁部5の間に空隙が存在する箇所を示している。上記曲げローラ6の外周面に当接して規制面11を構成する規制部材12は回転支持台13上にシム14を介して取付けられている。すなわち、規制部材12の下に敷かれたシム14が回転支持台13に挟まれるように介装されている。このシム14は、既存のシムと同様に、自身の厚さを変更することで規制部材12の規制面11の位置を微調整するためのものであり、図示している以外にも数種類の厚さのシムがある。回転支持台13の下型1に対する高さは、下型1側(ブラケット17)に設けられた基準片15と、その上面に当接されるようにして回転支持台13側に設けられた当接片16によって規定されるが、下型1に対する規制面11の高さ、すなわち第1パネル部材2に面歪が発生しない規制面11の位置は微調整が必要となる。そこで、この規制面11の位置をシム調整できるように、規制部材12と回転支持台13との間にシム14が介装されている。
【0023】
上記ヘミング規制機構10を構成する規制部材12(規制面11)や回転支持台13は、移動機構21によって曲げローラ6と当接しない退避位置、すなわち曲げローラ6の移動経路から退避可能なように移動される。上記回転支持台13は、曲げローラ6の移動経路の下方で下型1に設けられたブラケット17に対し、略水平方向に伸長する回転軸18を介して回転自在に取付けられている。また、上記ブラケット17には略鉛直方向に伸縮するエアシリンダ19が取付けられ、そのエアシリンダ19のシリンダロッド20の先端部が上記回転支持台13の上記回転軸18を挟んだ反対部分に回転自在に連結されている。例えば、図2の実線は、シリンダロッド20が延伸している状態を示している。この状態からシリンダロッド20を短縮すると回転軸18を中心として回転支持台13が回転し、回転支持台13及び規制部材12は図の二点鎖線の位置まで移動される。すなわち、ヘミング規制機構10を構成する規制部材12及び回転支持台13は曲げローラ6の移動経路から退避される。
【0024】
この実施の形態のローラヘム加工装置では、上記本曲げ加工に先立ち、第1パネル周縁部4の予備曲げ加工を行う。予備曲げ加工では、例えば図4に示すように、曲げローラ6の外周面(押圧面)が第2パネル周縁部5に対して斜めになるように曲げローラ6を傾けて使用するので、曲げローラ6の軸線方向端部が第1パネル周縁部4よりも下方に突出する。したがって、例えば図3に示す位置に規制部材12(規制面11)が存在していると、曲げローラ6の下方への突出部分と干渉してしまう。そこで、この実施の形態では、ヘミング規制機構10に設けられた移動機構21によって規制部材12(規制面11)を曲げローラ6の移動経路から退避し、これにより規制面11を曲げローラ6と当接しない退避位置に移動して予備曲げ加工時における曲げローラ6との干渉を回避できるようにした。
【0025】
ヘミング加工で第1パネル周縁部4が折り返される第2パネル周縁部5に予め穴加工が施されている場合、その穴の周囲に生じているバリやカエリが挟み込まれることにより、通常のヘミング加工では第1パネル部材2に面歪などが生じる。また、第1パネル周縁部4が折り返される第2パネル周縁部5の板厚が変化する場合、例えば第2パネル周縁部5の板厚の小さい側で余剰となる第1パネル周縁部4に起因して第1パネル部材2に面歪などが生じる。また、折り返される第1パネル周縁部4と第2パネル周縁部5の間に空隙が存在する場合、押圧の前後の第1パネル周縁部4の弾性変形に起因して第1パネル部材2に面歪などが生じる。また、第1パネル周縁部4及び第2パネル周縁部5が板面内で連続的に湾曲している箇所も、折り返された第1パネル周縁部4が余剰となって第1パネル部材2に面歪などが生じる。なお、この実施の形態における通常のヘミング加工とは、前述のように、上記押圧手段であるスプリングによる所定の押圧力で第1パネル周縁部4を第2パネル周縁部5上に圧し潰す押圧加工を指す。
【0026】
こうした箇所では、ヘミング加工における本曲げ加工時の第1パネル周縁部4の押圧変形量をやや小さくすることにより、面歪などの発生を低減することができる。ヘミング加工には、折り返される第1パネル周縁部4で第2パネル周縁部5を挟着する意味合いもあるが、全ての周縁部で第2パネル部材3を挟着する必要はない。したがって、上記のように面歪などの発生しやすい箇所で第1パネル周縁部4の押圧変形量を局所的に低減しても第2パネル部材3の挟着に支障が生じることは少なく、むしろ外側パネル部材となる第1パネル部材2の面歪などの外観品質低下箇所をなくす方が商品性を確保することができる。
【0027】
このような第1パネル周縁部4の押圧変形量の調整をロボット7のティーチングで行うべく試行した。ロボット7のマニュプレータ8は、ティーチングされた移動軌跡を正確になぞることができるが、前工程のプレス成形によるパネル部材の寸法精度や実際の押圧変形量の調整の微小さから、ロボット7のティーチングだけで面歪などの発生を低減することはできなかった。
【0028】
このように、この実施の形態のローラヘム加工装置では、ヘミング規制機構10の規制面11が当接される箇所では、曲げローラ6による第1パネル周縁部4の押圧変形量が規制され、すなわち押圧による変形量が抑制され、これにより通常の押圧変形量では面歪などが発生する可能性のある箇所においてこれを抑制することが可能となる。したがって、曲げローラ6の移動経路の必要箇所にヘミング規制機構10を設け、その箇所での第1パネル周縁部4の押圧変形量を規制することにより、面歪などの外観品質低下箇所の発生を低減することができる。また、樹脂製パネル部材のような壊れやすい第2パネル部材3を金属製の第1パネル部材2で挟むヘミング加工も可能となる。
【0029】
また、第1パネル周縁部4が折り返される第2パネル周縁部5のうち、その周縁部5の厚さが変化する位置、穴加工が施された位置、第1パネル周縁部4との間に空隙が存在する位置では、通常のヘミング加工で面歪などが発生しやすいので、これらの位置の1つ以上の箇所にヘミング規制機構10を配設することによって面歪などの外観品質低下箇所の発生を低減することができる。
【0030】
また、本曲げ加工の前の予備曲げ加工時に曲げローラ6とヘミング規制機構10が干渉する場合には、移動機構21によって規制面11を退避位置に移動することにより、両者の干渉を回避することができる。
【0031】
また、規制面11の位置をシム14で調整可能とすることにより、第1パネル周縁部4の押圧変形量を微調整して面歪などの発生を効果的に低減することができる。
【0032】
以上、実施の形態に係るローラヘム加工装置について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、ヘミング規制機構10の規制面11が曲げローラ6の外周面、すなわち曲げローラ6の押圧面に当接する構成としたが、規制面11が当接するのは曲げローラ6の一部であればどこでもよい。
【0033】
また、上記実施の形態では、例えばヘミング加工における予備曲げ加工時に、ヘミング規制機構10をエアシリンダ19で移動して規制面11が曲げローラ6に当接しない退避位置に移動されるように構成したが、この移動機構21は、これに限定されない。例えば、曲げローラ6はロボット7のマニュプレータ8と一緒に移動されるので、このマニュプレータ8が接近したときにマニュプレータ8によってヘミング規制機構10が曲げローラ6の移動経路から退避されるように移動される構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 下型
2 第1パネル部材
3 第2パネル部材
4 第1パネル周縁部(第1パネル部材の周縁部)
5 第2パネル周縁部(第2パネル部材の周縁部)
6 曲げローラ
10 ヘミング規制機構
11 規制面
14 シム
21 移動機構
図1
図2
図3
図4