(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】遮光部材
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20241111BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241111BHJP
C08F 20/18 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G02B5/00 A
G02B5/30
C08F20/18
G02B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020163181
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2019185854
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 浩祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】惠 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡士
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸志
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-522277(JP,A)
【文献】特開2013-173912(JP,A)
【文献】特表2010-533252(JP,A)
【文献】特表2014-510934(JP,A)
【文献】特開2007-231265(JP,A)
【文献】特開2018-178060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00- 5/136
B32B 1/00-43/00
E06B 9/24
G02F 1/01
G02B 5/30
G02B26/02
C08F20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光板と、
前記第1偏光板に対向する第2偏光板と、
前記第1偏光板および前記第2偏光板の間に挟まれた感温性シートと、を備え、
前記第1偏光板および前記第2偏光板は、それぞれの透過軸が互いに異なるように位置し、
前記感温性シートは、融点未満の温度で結晶化し、且つ、前記融点以上の温度で流動性を示す側鎖結晶性ポリマーを含有
し、
前記側鎖結晶性ポリマーが、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートをモノマー成分として含み、
前記融点が、23℃よりも高い、遮光部材。
【請求項2】
前記第1偏光板および前記第2偏光板のうち一方から他方に向かって光を進行させたとき、前記融点未満の温度で光を透過し、前記融点以上の温度で光を透過しない、請求項1に記載の遮光部材。
【請求項3】
前記融点が、
35~70℃である、請求項1または2に記載の遮光部材。
【請求項4】
前記感温性シートが、前記第1偏光板および前記第2偏光板に直接接触する、請求項1~
3のいずれかに記載の遮光部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
光の透過および非透過を電気で制御する遮光部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、光の透過および非透過を温度で制御できる遮光部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)第1偏光板と、前記第1偏光板に対向する第2偏光板と、前記第1偏光板および前記第2偏光板の間に挟まれた感温性シートと、を備え、前記第1偏光板および前記第2偏光板は、それぞれの透過軸が互いに異なるように位置し、前記感温性シートは、融点未満の温度で結晶化し、且つ、前記融点以上の温度で流動性を示す側鎖結晶性ポリマーを含有する、遮光部材。
(2)前記第1偏光板および前記第2偏光板のうち一方から他方に向かって光を進行させたとき、前記融点未満の温度で光を透過し、前記融点以上の温度で光を透過しない、前記(1)に記載の遮光部材。
(3)前記融点が、23℃よりも高い、前記(1)または(2)に記載の遮光部材。
(4)前記側鎖結晶性ポリマーが、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートをモノマー成分として含む、前記(1)~(3)のいずれかに記載の遮光部材。
(5)前記感温性シートが、前記第1偏光板および前記第2偏光板に直接接触する、前記(1)~(4)のいずれかに記載の遮光部材。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光の透過および非透過を温度で制御できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遮光部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る遮光部材について、
図1および
図2を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1および
図2に示すように、本実施形態の遮光部材1は、第1偏光板2と、第1偏光板2に対向する第2偏光板3と、第1偏光板2および第2偏光板3の間に挟まれた感温性シート4と、を備える。本実施形態の遮光部材1は、感温性シート4の片面に第1偏光板2が積層され、感温性シート4の他面に第2偏光板3が積層された積層体である。
【0010】
第1偏光板2および第2偏光板3は、それぞれの透過軸が互いに異なるように位置する。また、感温性シート4は、融点未満の温度で結晶化し、且つ、融点以上の温度で流動性を示す側鎖結晶性ポリマーを含有する。
【0011】
上述した構成によれば、光の透過および非透過を温度で制御できるという効果が得られる。具体的に説明すると、上述した側鎖結晶性ポリマーは、融点を有するポリマーである。融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていた重合体の特定部分が無秩序状態になる温度であり、示差熱走査熱量計(DSC)を使用して、10℃/分の測定条件で測定して得られる値のことである。側鎖結晶性ポリマーは、上述した融点未満の温度で結晶化し、且つ、融点以上の温度で相転移して流動性を示す。すなわち、側鎖結晶性ポリマーは、温度変化に対応して結晶状態と流動状態(非結晶状態)とを可逆的に起こす感温性を有する。感温性シート4は、このような側鎖結晶性ポリマーを含有することから、側鎖結晶性ポリマーに由来する感温性を有する。
【0012】
上述のとおり、第1偏光板2および第2偏光板3は、それぞれの透過軸が互いに異なるように位置する。そのため、感温性シート4がない状態で、第1偏光板2および第2偏光板3の順に光を進行させると、第1偏光板2を透過した光は、第2偏光板3を透過しない。この点は、第2偏光板3および第1偏光板2の順に光を進行させる場合も同様である。
【0013】
ここで、側鎖結晶性ポリマーを結晶状態にすると、感温性シート4の内部で光が散乱される。そのため、遮光部材1を融点未満の温度にすると、第1偏光板2を透過した光は、感温性シート4を透過するときに散乱され、その結果、第2偏光板3を透過する。また、側鎖結晶性ポリマーが流動状態のときは、感温性シート4の内部で光が散乱されない。そのため、遮光部材1を融点以上の温度にすると、第1偏光板2を透過した光は、感温性シート4を透過しても散乱されず、それゆえ、第2偏光板3を透過しない。
【0014】
このように、遮光部材1は、側鎖結晶性ポリマーの感温性に加えて側鎖結晶性ポリマーの光学特性の変化も利用することから、温度によって遮光機能(明暗変化)を制御できる。すなわち、遮光部材1は、第1偏光板2および第2偏光板3のうち一方から他方に向かって光を進行させたとき、融点未満の温度で光を透過し、融点以上の温度で光を透過しない。例えば、遮光部材1は、融点未満の温度では透明であり、融点以上の温度では黒色である。また、遮光部材1は、側鎖結晶性ポリマーが温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こすことに起因し、光の透過および非透過を繰り返すことができる。なお、遮光部材1における光の透過および非透過(遮光機能)は、目視で確認できる程度でよい。
【0015】
第1偏光板2の厚さとしては、例えば、200~1000μmである。第2偏光板3の厚さとしては、例えば、200~1000μmである。第1偏光板2および第2偏光板3のそれぞれの厚さは、同じでもよく、また、異なってもよい。なお、第1偏光板2および第2偏光板3は、市販品を使用することができる。
【0016】
第1偏光板2および第2偏光板3のそれぞれの透過軸は、感温性シート4がない状態で第1偏光板2および第2偏光板3のうち一方から他方に向かって光を進行させたときに一方を透過した光が他方を透過しないような角度で互いに異なればよい。このような角度としては、例えば、80~100°が挙げられる。なお、
図2では、第1偏光板2および第2偏光板3のそれぞれの透過軸が互いに90°異なる状態を図示している。すなわち、
図2に示す第1偏光板2および第2偏光板3は、それぞれの透過軸が互いに90°異なるように位置する。
【0017】
側鎖結晶性ポリマーの融点は、好ましくは23℃よりも高く、より好ましくは23℃よりも高く70℃以下、さらに好ましくは35~70℃である。融点が23℃よりも高い場合には、遮光部材1が室温で光を透過する。融点は、例えば、側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー成分の組成などを変えることによって調整できる。
【0018】
側鎖結晶性ポリマーは、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートをモノマー成分として含む。炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、その炭素数16以上の直鎖状アルキル基が側鎖結晶性ポリマーにおける側鎖結晶性部位として機能する。すなわち、側鎖結晶性ポリマーは、側鎖に炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する櫛形のポリマーであり、この側鎖が分子間力などによって秩序ある配列に整合されることにより結晶化する。なお、上述した(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのことである。
【0019】
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどの炭素数16~22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。例示した(メタ)アクリレートは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー成分中に好ましくは10~99重量%、より好ましくは15~99重量%の割合で含まれる。
【0020】
側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー成分には、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートと共重合し得る他のモノマーが含まれていてもよい。他のモノマーとしては、例えば、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、極性モノマーなどが挙げられる。
【0021】
炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。例示した(メタ)アクリレートは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー成分中に好ましくは80重量%以下、より好ましくは0~80重量%の割合で含まれる。
【0022】
極性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体などが挙げられる。例示した極性モノマーは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。極性モノマーは、側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー成分中に好ましくは10重量%以下、より好ましくは1~10重量%の割合で含まれる。
【0023】
側鎖結晶性ポリマーの好ましい組成としては、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが15~90重量%、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが5~75重量%、および極性モノマーが5~10重量%である。側鎖結晶性ポリマーの好ましい他の組成としては、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが90~99重量%、および極性モノマーが1~10重量%である。
【0024】
モノマー成分の重合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。溶液重合法を採用する場合には、モノマー成分と溶媒とを混合し、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤などを添加し、撹拌しながら40~90℃程度で2~10時間程度反応させればよい。
【0025】
側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは100000以上、より好ましくは200000~900000、さらに好ましくは250000~700000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
【0026】
感温性シート4は、側鎖結晶性ポリマーに由来する感温性を示すようになる割合で、側鎖結晶性ポリマーを含有すればよい。例えば、感温性シート4は、側鎖結晶性ポリマーを主成分として含有してもよい。主成分とは、感温性シート4中に重量比で最も多く含まれる成分のことである。側鎖結晶性ポリマーの含有量は、80重量%以上であってもよい。また、側鎖結晶性ポリマーの含有量の上限値は、100重量%以下であってもよい。
【0027】
感温性シート4は、側鎖結晶性ポリマーに加えて、添加剤などを含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤などが挙げられる。架橋剤としては、例えば、金属キレート化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。架橋剤の含有量は、側鎖結晶性ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部である。架橋条件としては、加熱温度が90~120℃程度であり、加熱時間が1分~20分程度である。
【0028】
感温性シート4の厚さとしては、例えば、40~1500μmである。なお、感温性シート4は、シート状に限定されるものではなく、本実施形態の効果を損なわない限りにおいて、フィルム状または板状などをも含む概念である。
【0029】
感温性シート4は、第1偏光板2および第2偏光板3に直接接触してもよい。この場合には、第1偏光板2または第2偏光板3を透過した光が損失なく感温性シート4に入射されるので、遮光部材1が優れた遮光機能を発揮する。
【0030】
なお、感温性シート4は、接着剤層などを介さずに第1偏光板2および第2偏光板3を固定できるため、第1偏光板2および第2偏光板3に直接接触することが可能である。具体的に説明すると、感温性シート4の温度を融点以上の温度にすると、側鎖結晶性ポリマーが流動性を示すので、第1偏光板2および第2偏光板3に感温性シート4を貼付できる。また、側鎖結晶性ポリマーが流動性を示すと、第1偏光板2および第2偏光板3の表面に存在する微細な凹凸形状に感温性シート4が追従する。そして、この状態の感温性シート4を融点未満の温度に冷却すると、側鎖結晶性ポリマーが結晶化することによっていわゆるアンカー効果が発現し、その結果、第1偏光板2および第2偏光板3を感温性シート4で固定できる。なお、必要に応じて、感温性シート4と第1偏光板2との間に他の部材を介在させてもよい。同様に、感温性シート4と第2偏光板3との間に他の部材を介在させてもよい。
【0031】
遮光部材1の形態は、特に限定されない。遮光部材1は、例えば、フィルム状、シート状、板状などであってもよい。
【0032】
遮光部材1は、遮光機能が必要であって温度変化が生じ易い場所に好適に使用できる。遮光部材1は、例えば、窓ガラス用、パーティション用、自動車ガラス用などであってもよい。なお、遮光部材1の用途は、例示したものに限定されない。
【0033】
以下、合成例および実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の合成例および実施例のみに限定されない。
【0034】
(合成例1~8:側鎖結晶性ポリマー)
まず、表1に示すモノマーを表1に示す割合で反応容器に加えた。表1に示すモノマーは、以下のとおりである。
C22A:ベヘニルアクリレート
C1A:メチルアクリレート
C4A:ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
【0035】
次に、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチル:ヘプタン=70:30(重量比)の混合溶媒を反応容器に加え、混合液を得た。得られた混合液を55℃で4時間撹拌することによって各モノマーを共重合させ、側鎖結晶性ポリマーを得た。
【0036】
得られた側鎖結晶性ポリマーの重量平均分子量および融点を表1に示す。重量平均分子量は、GPCで測定して得られた測定値をポリスチレン換算した値である。融点は、DSCを用いて10℃/分の測定条件で測定した値である。
【0037】
(比較合成例1)
表1に示すモノマーを表1に示す割合で反応容器に加えた以外は、合成例1~8と同様にして各モノマーを共重合させてポリマーを得た。得られたポリマーの重量平均分子量を、合成例1~8と同様にして測定した。その結果を表1に示す。なお、比較合成例1のポリマーは、粘着性を有し、且つ、融点を有さないポリマーである。
【0038】
【0039】
[実施例1]
<試験片の作製>
まず、合成例1で得られた側鎖結晶性ポリマー100重量部に対して架橋剤を1重量部の割合で混合し、混合物を得た。使用した架橋剤は、以下のとおりである。
架橋剤:金属キレート化合物である川研ファインケミカル社製のアルミニウムトリスアセチルアセトナート
【0040】
次に、得られた混合物を酢酸エチルによって固形分濃度が23重量%となるように調整し、塗布液を得た。そして、得られた塗布液を70℃に加温されたホットプレート上に置かれた離型フィルム上に塗布し、110℃×3分の条件で架橋反応を行い、厚さ160μmの感温性シートを得た。なお、離型フィルムは、表面にシリコーンが塗布された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
【0041】
次に、得られた感温性シートを離型フィルムから取り外して第1偏光板および第2偏光板の間に挟んで積層体を得た。このとき、第1偏光板および第2偏光板は、それぞれの透過軸が互いに90°異なるように配置した。
【0042】
また、第1偏光板および第2偏光板は、同じ偏光板を使用した。使用した偏光板は、以下のとおりである。
偏光板:厚さが250μmであるアーテック社製の偏光板
【0043】
次に、得られた積層体をドライヤーで融点以上の温度(70℃)に加温し、第1偏光板および第2偏光板に感温性シートを貼付した。そして、積層体を室温(23℃)にまで冷却して第1偏光板および第2偏光板を感温性シートで固定し、試験片を得た。
【0044】
<評価>
実施例1で得られた試験片について、遮光機能を評価した。具体的には、まず、試験片を室温で目視観察した。その結果、試験片は透明であった。次に、試験片をドライヤーで融点以上の温度(70℃)に加温して目視観察した。その結果、試験片は黒色に変化した。そして、試験片を再び室温にまで冷却して目視観察した。その結果、試験片は透明に変化した。これらの結果から明らかなように、実施例1は、融点未満の温度で光を透過し、融点以上の温度で光を透過しないことがわかる。また、実施例1は、光の透過および非透過を繰り返すこともわかる。
【0045】
[比較例1]
まず、比較合成例1で得られたポリマーを用いた以外は、実施例1と同様にして塗布液を得、得られた塗布液を用いて厚さ160μmの粘着シートを得た。次に、得られた粘着シートを第1偏光板および第2偏光板の間に挟んで、第1偏光板および第2偏光板を粘着シートで固定し、試験片を得た。なお、第1偏光板および第2偏光板は、実施例1と同じものを使用した。また、第1偏光板および第2偏光板は、それぞれの透過軸が互いに90°異なるように配置した。試験片の作製は、室温で行った。
【0046】
比較例1で得られた試験片について、実施例1と同様にして遮光機能を評価した。その結果、試験片は、室温および70℃のいずれにおいても黒色であった。
【符号の説明】
【0047】
1・・・遮光部材
2・・・第1偏光板
3・・・第2偏光板
4・・・感温性シート