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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20241111BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20241111BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241111BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N23/50
G03B17/02
G03B15/00 P
H04N23/51
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020163800
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056028
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】尾花 慎司
(72)【発明者】
【氏名】小田垣 光一
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0269278(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0088571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G03B 17/02
G03B 15/00
H04N 23/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台ユニットと、
前記基台ユニットに回転可能に保持された可動部と、
高背電子部品を含む回路部品が実装された回路基板ユニットと、を備える電子機器であって、
前記基台ユニットは、
前記可動部を駆動する駆動ユニットと、
前記可動部の回転量を検出する検出ユニットと、を有し、
前記基台ユニットと前記回路基板ユニットは、前記電子機器の設置面と直交する第1の方向で対向するように配置され、
前記高背電子部品は、前記回路基板ユニットにおいて前記基台ユニットと対向する実装面に実装され、且つ、前記第1の方向での投影視において前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットと重ならない位置に実装され、
前記第1の方向と直交する第2の方向での投影視において、前記高背電子部品と前記検出ユニットは少なくとも一部で重なることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の方向と直交する第2の方向での投影視において、前記高背電子部品と前記駆動ユニットは少なくとも一部で重なることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
基台ユニットと、
前記基台ユニットに回転可能に保持された可動部と、
高背電子部品を含む回路部品が実装された回路基板ユニットと、を備える電子機器であって、
前記基台ユニットは、
前記可動部を駆動する駆動ユニットと、
前記可動部の回転量を検出する検出ユニットと、
略環状の基台と、を有し、
前記基台は、
前記電子機器の設置面と直交する第1の方向と平行な回転軸を中心として前記可動部を回転可能に保持するための中心開口部と、
前記中心開口部の周囲に設けられた第1の開口部、第2の開口部および第3の開口部と、を有し、
前記基台ユニットと前記回路基板ユニットは、前記第1の方向で対向するように配置され、
前記駆動ユニットは、当該駆動ユニットの一部が前記第1の開口部に進入するように前記基台に固定され、
前記検出ユニットは、当該検出ユニットの一部が前記第2の開口部に進入するように前記基台に固定され、
前記高背電子部品は、前記回路基板ユニットにおいて前記基台ユニットと対向する実装面に実装され、且つ、前記第1の方向での投影視において前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットと重ならない位置に実装され、且つ、当該高背電子部品の一部が前記第3の開口部の壁面に近接するように配置されていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に撮像ユニットが可動に構成された撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定位置に設置された撮像装置と、スマートフォンやパーソナルコンピュータ端末(以下「外部表示端末」という)とを無線通信により接続し、撮像装置の映像を撮像装置から離れた場所で外部表示端末で確認することができるシステムが普及している。このようなシステムに対して撮像装置で得られる画像に対する画像認識技術やAI(人工知能)技術等を組み合わせることにより、様々なサービスを実現することができる。一例として、工事現場における作業の進捗状況や作業員の健康状態をモニタリングする野外作業支援サービスや、高齢者施設内での常用薬の飲み忘れや飲み違い等を防ぐ介護支援サービス等が挙げられる。
【0003】
上記のシステムに用いられる撮像装置として、特許文献1は、撮像方向を互いに直交する2軸の軸まわりに回転させて変更することが可能な撮像装置を提案している。具体的には、特許文献1に記載された撮像装置は、固定部に対してパン方向に回転可能に水平回転部が配置され、水平回転部の内部に撮像素子を有する撮像部と、撮像部をチルト方向に回転させる垂直回転部が設けられた構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-369038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された撮像装置に限らず、上記のシステムに用いられる撮像装置には、設置投影面積を低減し、また、その高さ寸法を短くすることが求められている。なお、撮像装置の設置投影面積を低減することとは、撮像装置をその設置面と直交する方向から見た場合の面積を低減することを指す。また、撮像装置の高さ寸法を短くするとは、撮像装置の設置面と直交する方向での撮像装置の長さを短くすることを指す。
【0006】
本発明は、設置投影面積を低減し、また、高さ寸法を短くすることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、基台ユニットと、前記基台ユニットに回転可能に保持された可動部と、高背電子部品を含む回路部品が実装された回路基板ユニットと、を備える電子機器であって、前記基台ユニットは、前記可動部を駆動する駆動ユニットと、前記可動部の回転量を検出する検出ユニットと、を有し、前記基台ユニットと前記回路基板ユニットは、前記電子機器の設置面と直交する第1の方向で対向するように配置され、前記高背電子部品は前記回路基板ユニットにおいて前記基台ユニットと対向する実装面に実装され、且つ、前記第1の方向での投影視において前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットと重ならない位置に実装され、前記第1の方向と直交する第2の方向での投影視において、前記高背電子部品と前記検出ユニットは少なくとも一部で重なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、設置投影面積を低減し、また、高さ寸法を短くすることが可能な電子機器を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る撮像装置の斜視図である。
図2図1の撮像装置の分解斜視図である。
図3図1の撮像装置のシャーシユニットの分解斜視図である。
図4図1の撮像装置のパン位置検出ユニットの構成を説明する図である。
図5図1の撮像装置でのシャーシユニットと基板アセンブリとの位置関係を説明する分解斜視図である。
図6図1の撮像装置でのサブ制御基板、パン駆動ユニット及びパン位置検出ユニットとの位置関係を表す断面図である。
図7図1の撮像装置でのバッテリボックスとボトムカバーを組み付けた状態を示す斜視図である。
図8】第2実施形態に係る撮像装置の外観斜視図である。
図9図8の撮像装置のブロック図である。
図10図8の撮像装置の固定上部ユニットの構成を示す図である。
図11図10の固定上部ユニットの分解斜視図である。
図12図10の固定上部ユニットの要部拡大断面図である。
図13】第3実施形態に係る撮像装置を構成するメイン制御基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る電子機器として撮像装置を取り上げることとする。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る撮像装置100の斜視図である。図2は、撮像装置100の分解斜視図である。図1に示されるように、撮像装置100は、大略的に、固定部1と可動部2によって構成されている。
【0012】
説明の便宜上、図1及び図2に示す三次元直交座標系を設定する。Z方向は、可動部2に配置される後述の撮像光学系(鏡筒ユニット21)の光軸と平行な方向であり、可動部2が固定部1に対してホームポジションにある状態での撮像装置100の前後方向であるとする。X方向は、Z方向が水平面内にある場合に、水平面内においてZ方向と直交する方向であり、可動部2が固定部1に対してホームポジションにある状態での撮像装置100の左右方向であるとする。Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向であり、撮像装置100の高さ方向(上下方向)であるとする。なお、撮像装置100の左右は、撮像装置100を前方から見た状態で定義される。
【0013】
可動部2は、固定部1の上側(+Y方向側)に配置されている。固定部1は、ベースカバー50、シャーシユニット60(基台ユニット)、基板アセンブリ70(回路基板ユニット)、ミドルカバー80、バッテリボックス85、電池90及びボトムカバー95を有する。可動部2は、トップカバー10、チルトユニット20、パンユニット基台30及びパンユニット回転板40を有する。可動部2は、鉛直方向と平行な回転軸Pを回転中心として水平回転動作(パンニング動作)を行うことができるように固定部1に保持されている。
【0014】
トップカバー10は、例えばアクリル樹脂等の透明な樹脂材料によって形成されたドーム部11を有する。トップカバー10は、複数のビスによってパンユニット基台30に固定される。チルトユニット20は、トップカバー10の内部に配置されており、回転軸Tを回転中心として垂直回転動作(チルティング)を行うことができるようにパンユニット基台30に保持される。なお、回転軸Pと回転軸Tは、互いに直交する関係にある。
【0015】
チルトユニット20の内部には撮像光学系を有する鏡筒ユニット21が配置されており、鏡筒ユニット21の内部には撮像素子(不図示)が配置されている。撮像素子は、CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子とローパスフィルタ等から構成される。ローパスフィルタは、赤外線の入射を低減させ、色モアレ等の発生を抑制する。撮像素子は、他の電子部品と共にプリント基板(不図示)に実装され、このプリント基板には束線22(第3の配線部材)の一端が電気的に接続される。束線22は、例えば、導体の芯線を絶縁体で被覆した複数本の可撓性を有する電線と、これらの電線の両端に接続されたコネクタと、これらの電線を一定長さ毎に結束する粘着テープ等で構成される。束線22に使用される電線には、必要に応じて、内部導体、絶縁体、外部導体及び保護被覆によって構成される同軸ケーブルを採用してもよい。束線22の他端は、固定部1に配置された基板アセンブリ70に接続される。可撓性を有する電線により束線22を構成することにより、束線22は固定部1に対する可動部2のパンニング駆動及びチルティング駆動に追従可能となっている。
【0016】
チルトユニット20において、鏡筒ユニット21の両側面(回転軸Tに平行な方向の側面)には、一対の軸部が形成されている。また、パンユニット基台30には、回転軸Tを中心にチルトユニット20の一対の軸部を支持する一対の軸受け部が設けられている。これらの軸部及び軸受け部が摺動可能に嵌合することにより、チルトユニット20はパンユニット基台30に対して回転軸Tまわりに回転可能に保持される。
【0017】
パンユニット基台30には、回転軸Pを中心軸とする円環状の中空回転軸33が形成されている。また、ベースカバー50には、回転軸Pを中心軸として中空回転軸33と摺動可能に嵌合する円筒部51が設けられている。そして、パンユニット基台30とパンユニット回転板40は、中空回転軸33と円筒部51を摺動可能に嵌合させた状態で、回転軸Pの軸方向においてベースカバー50を挟み込むように組み付けられる。こうして、パンユニット基台30とパンユニット回転板40は、中空回転軸33(回転軸P)を中心として回転可能にベースカバー50に保持される。
【0018】
パンユニット基台30は、フレキシブル基板31と、フレキシブル基板31の一端に電気的に接続されるチルト駆動ユニット32を有する。フレキシブル基板31の他端は、固定部1側の基板アセンブリ70に電気的に接続されている。フレキシブル基板31は、固定部1に対するパンユニット基台30のパンニング駆動に追従して動くことができるように構成されている。チルト駆動ユニット32は、基板アセンブリ70から入力される所定の駆動信号にしたがって、チルトユニット20をチルティング駆動(回転軸Tまわりに回転)させる駆動力を出力する。
【0019】
シャーシユニット60は、不図示のビスによりベースカバー50に固定される。シャーシユニット60は、ベースシャーシ601(基台)、複数の金属製支柱、パン駆動ユニット610及びパン位置検出ユニット620を有する基台ユニットである。
【0020】
ベースシャーシ601は、アルミニウムやステンレス鋼材(SUS材)等の金属材料からなり、プレス加工や絞り加工等により、後述する中心開口部を有する略環状に形成された基台である。複数の金属製支柱は、SUS材や真鍮材(BS材)等の金属材料からなり、ベースシャーシ601に接合(固定)されている。また、複数の金属製支柱のそれぞれにはタップ加工が施されており、ビス締結が可能となっている。
【0021】
パン駆動ユニット610はフレキシブル基板を有し、フレキシブル基板の一端は基板アセンブリ70と電気的に接続され、固定されている。パン駆動ユニット610は、基板アセンブリ70から入力される所定の駆動信号にしたがって、パンユニット回転板40をパンニング駆動(回転軸Pまわりに回転)させる駆動力を出力する。なお、パン駆動ユニット610の構成の詳細については後述する。
【0022】
基板アセンブリ70は、ビスによりシャーシユニット60の金属製支柱に固定される。シャーシユニット60のベースシャーシ601の中央部には略円形状の中心開口部が形成されており、この中心開口部に向けて束線22の他端側を挿通させることで、束線22の他端を基板アセンブリ70へ接続することができるようになっている。
【0023】
ミドルカバー80は、不図示のビスによってベースカバー50に固定される。ミドルカバー80の側面部には、外部からの押圧(押し込み)操作が可能な複数の操作部が設けられている。ユーザが所望の操作部を操作すると、基板アセンブリ70に実装されているタクトスイッチのキートップ部が押圧される。
【0024】
また、ミドルカバー80の側面部には開口部が形成されており、この開口部から基板アセンブリ70に実装されている外部機器接続用コネクタの間口が露出可能となっている。外部機器接続用コネクタとしては、例えば、USB規格やHDMI(登録商標)規格等の汎用インタフェースが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0025】
ミドルカバー80は、その底面側からバッテリボックス85を組み付けることができる構造となっている。バッテリボックス85の内側には、電池90を収容するための電池収容部が略直方体形状の空間として形成されている。電池90には、例えば、アルカリ二次電池やリチウムイオン二次電池等の繰り返し充電が可能なバッテリパックが採用されるが、これに限定されるものではない。バッテリボックス85にはフレキシブル基板86(第2の配線部材)が組み込まれており、フレキシブル基板86の一端には電池コネクタが実装されている。電池90を収容するための空間部に電池コネクタが収容されるように、フレキシブル基板86はバッテリボックス85に組み込まれる。これにより、バッテリボックス85の空間部に電池90が装着されると、電池90の電極部と電池コネクタとが電気的に接続される。
【0026】
フレキシブル基板86の他端には基板対基板タイプのコネクタ861が実装されており、コネクタ861が基板アセンブリ70に実装されているコネクタと接続されることにより、電池90と基板アセンブリ70とが電気的に接続される。ボトムカバー95は、底面側からミドルカバー80に対して組み付けられる。以上の通りに、撮像装置100は構成されている。
【0027】
次に、シャーシユニット60の構成について詳細に説明する。図3は、シャーシユニット60の分解斜視図である。シャーシユニット60は、ベースシャーシ601、パン駆動ユニット610、パン位置検出ユニット620及び複数の金属製支柱を有する。前述したように、ベースシャーシ601の中央部には、略円形の中心開口部が形成されている。そして、ベースシャーシ601においてこの中心開口部の周囲には、第1の開口部602、第2の開口部603及び第3の開口部604の3つの開口部が形成されている。第1の開口部602と第2の開口部603のそれぞれの周囲では、複数個所にタップ加工が施されており、ベースシャーシ601に対してビスによる締結可能となっている。
【0028】
パン駆動ユニット610は、その一部が第1の開口部602の内部に進入するように配置されて、ベースシャーシ601に対してビスにより固定される。パン位置検出ユニット620は、その一部が第2の開口部603の内部に進入するように配置されて、ベースシャーシ601に対してビスにより固定される。これにより、パン駆動ユニット610やパン位置検出ユニット620をベースシャーシ601の上面(+Y側面)に固定する場合に比べて、ベースシャーシ601が本来占有する空間を有効に利用して、省スペース化を図ることができる。
【0029】
パン駆動ユニット610は、振動体と被駆動体とを接触させ、振動体に所定の周波数の振動を励起して被駆動体に摩擦駆動力を与えて振動体と被駆動体とを相対移動させる、所謂、超音波モータと呼ばれるアクチュエータ(振動型アクチュエータ)である。パン駆動ユニット610は、被駆動体としてのパンユニット回転板40に対して接触する弾性体である振動板611と、振動板611に所定の周波数の振動を励起させる圧電素子612とを有する。振動板611と圧電素子612は、振動体を構成する。
【0030】
パン駆動ユニット610は、圧電素子612に接着されて圧電素子612に所定の周波数の電圧(駆動電圧)を印加するための配線材であるフレキシブル基板613(第4の配線部材の1つ)を備える。更にパン駆動ユニット610は、振動体とフレキシブル基板613をまとめて保持するベース部材614、フェルト615、プレッサ616、ばね617、ケース618及びビス619を備える。
【0031】
振動板611は、SUS材等からなり、ベース部材614に複数個所で溶着により固定(保持)されている。パン駆動ユニット610は、ケース618の内部に各種の部品を収容した状態で、ビス619によりベースシャーシ601に固定される。一端が圧電素子612に接続されたフレキシブル基板613の他端は、基板アセンブリ70に接続されている。基板アセンブリ70に実装されているドライバICからフレキシブル基板613を通じて駆動電圧及び制御信号が圧電素子612に印加される。
【0032】
ここで、振動板611は、パンユニット回転板40と接触する複数の接触点(突起部)を有している。振動体に所定の振動モードの振動を励起されるように、圧電素子612に駆動電圧が印加される。この振動によって接触点がパンユニット回転板40に対して摩擦駆動力を与える。このとき、接触点がパンユニット回転板40に対して摩擦駆動力を与える方向は、回転軸Pを中心とする円の接線方向となっている。これにより、パンユニット回転板40は、回転軸Pまわりに回転駆動される。
【0033】
振動型アクチュエータでは、被駆動体に対して振動体(接触点)を一定の圧力で押し当てる必要がある。また、振動板611の複数の接触点は、駆動効率を高めると共に駆動安定性を高める等の観点から、パンユニット回転板40に対して均等に加圧されて接触していることが望ましい。そこで、パン駆動ユニット610では、ばね617がフェルト615とプレッサ616を介して、フレキシブル基板613と振動体を押圧するよう構成されている。プレッサ616は、ベース部材614の内部に配置され、パン回転軸Pと平行な方向に移動可能に配置されており、ばね617によって付与される局所的な面圧力を広範囲に伝達する役割を主として担っている。フェルト615は、プレッサ616とフレキシブル基板613との間に配置され、振動体で発生する振動がプレッサ616やばね617に伝わらないようにする減衰材としての役割を主として担っている。
【0034】
振動板611を保持したベース部材614、フェルト615、プレッサ616、ばね617をケース618の内部にY方向に重ね合わせて配置し、ケース618をベースシャーシ601に固定する。これにより、接触点での加圧状態を均一に維持することができる。このように、振動型アクチュエータの振動体は、常に一定の加圧力(押圧力)で被駆動体であるパンユニット回転板40に接触している。
【0035】
振動型アクチュエータの安定した駆動制御を可能にすると共に振動型アクチュエータの耐久性を高める観点から、振動板611の接触点においてパンユニット回転板40に当接する面(振動板611の摩擦駆動面)には高い平面度と耐摩耗性が要求される。そこで、接触点の摩擦駆動面には、平滑な平面とするためにラップ加工等の表面処理が施されている。また、パンユニット回転板40において振動体の接触点から摩擦駆動力を受ける面(パンユニット回転板40の摩擦摺動面)にも高い平面度と耐摩耗性が要求される。そのため、パンユニット回転板40には、例えば、SUS材が用いられ、且つ、パンユニット回転板40の摩擦摺動面には、高い平面度と耐摩耗性を確保するために窒化処理等による硬化処理と研磨処理が施されている。
【0036】
振動板611及びパンユニット回転板40のそれぞれの摩擦摺動面に高い平面度と耐摩耗性を得るための加工方法は上記方法に限定されるものではない。例えば、耐摩耗性を高めるための方法として、摩擦摺動面に炭素を添加して硬化させる浸炭法を用いてもよい。なお、パンユニット基台30に搭載されるチルト駆動ユニット32は、パン駆動ユニット610と同等の部品で構成されており、よって、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図4は、パン位置検出ユニット620の構成を説明する図である。図4(a)は、パン位置検出ユニット620を構成する光学式センサ622の構成を示す図である。図4(b)は、パンユニット回転板40に設けられた反射スケール41と光学式センサ622との位置関係を撮像装置100の側面から見て示す図であり、左右方向がY方向(回転軸Pの軸方向)となっている。図4(c)は、パンユニット回転板40に設けられた反射スケール41と光学式センサ622との位置関係を、撮像装置100の下側(-Y方向側)から見た図である。
【0038】
パン位置検出ユニット620は、図3に示されるように、スペーサ621、光学式センサ622及びフレキシブル基板623(第4の配線部材の1つ)を有する。光学式センサ622は、フレキシブル基板623に実装されている。スペーサ621とフレキシブル基板623は、ビス624によりベースシャーシ601に固定されている。光学式センサ622は、その一部が第2の開口部603の内部に進入するように配置される。フレキシブル基板623は、光学式センサ622とパンユニット回転板40が所定の間隔を持って対向するように固定される。
【0039】
フレキシブル基板623は撮像装置100の内部に設けられた配線を経由して基板アセンブリ70に接続されており、光学式センサ622の検出結果はフレキシブル基板623を通じて基板アセンブリ70へ出力される。パンユニット回転板40は、回転軸Pを中心とした同心円状の2つの領域を有する。その1つの領域はパン駆動ユニット610の振動板611と加圧接触する摺動領域であり、別の1つの領域は光学式センサ622と対向する位置検出領域である。位置検出領域には、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)等の樹脂材料からなる反射スケール41が配置されており、反射スケール41の表面にはアルミニウム膜等による光学格子41aが反射膜として形成されている。
【0040】
なお、反射スケール41の基材は、前述の材料に限られるものではなく、用途や目的に応じて選択することができ、例えば、石英ガラスや青板ガラス、シリコンウエハ等の材料であっても構わない。また、そして、反射膜は、アルミニウム膜に限らず、クロム膜等を採用してもよい。
【0041】
光学式センサ622は、反射スケール41へ光を照射する発光部622bと、反射スケール41からの反射光を受光する受光部アレイ622cとが基板622aに実装されて、一体的にパッケージングされた構造となっている。例えば、発光部622bには発光ダイオードが採用され、受光部アレイ622cにはフォトトランジスタが採用されるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
発光部622bは反射スケール41に一定の周期で設けられた光学格子41aに対して光を照射し、受光部アレイ622cは光学格子41aで反射した光を受光して光電変換して電気信号を出力する。このとき、光学格子41aで反射した光は反射パターンの像(反射率分布像)を形成し、受光部アレイ622cは、この反射率分布像の光量分布に応じた正弦波状の電気信号を出力する。
【0043】
パンユニット回転板40が回転して反射スケール41と光学式センサ622が相対移動すると、光学格子41aからの反射光が受光部アレイ622c上に形成する反射率分布像が変化する。この変化に応じた正弦波状の電気信号を読み取ることによって、パンユニット回転板40の回転量(回転角度)、つまり、可動部2のパンニング動作の回転量を検知することができる。また、受光部アレイ622cに入射する光学格子41aからの反射光の変動方向を読み取ることにより、パンユニット回転板40の回転方向、つまり、可動部2のパンニング動作の回転方向を検知することができる。
【0044】
次に、基板アセンブリ70の構成について説明する。図5はシャーシユニット60と基板アセンブリ70との位置関係を説明する分解斜視図であり、図5(a)は、シャーシユニット60側から見た図であり、図5(b)は基板アセンブリ70側から見た図である。
【0045】
基板アセンブリ70は、メイン制御基板710(第1の基板)、サブ制御基板720(第2の基板)及びフレキシブル基板730(第1の配線部材)を有する。メイン制御基板710とサブ制御基板720は、シャーシユニット60に近接してY方向で重なり合うように配置され、メイン制御基板710とシャーシユニット60の間にサブ制御基板720が配置される。フレキシブル基板730は、メイン制御基板710とサブ制御基板720を電気的に接続する中継基板であり、長尺で略矩形の形状を有する。フレキシブル基板730の長手方向の一端にはコネクタ731が実装され、他端にはコネクタ732が実装されている。なお、コネクタ731,732はそれぞれ、基板対基板タイプのコネクタである。
【0046】
メイン制御基板710には、基板対基板タイプのコネクタ712が実装されており、サブ制御基板720には基板対基板タイプのコネクタ726が実装されている。フレキシブル基板730に実装されている2つのコネクタ732,731はそれぞれ、コネクタ712,726とヘッダ・リセプタクルのペア関係で接続可能に構成されている。
【0047】
前述したように、ベースシャーシ601には複数の金属製支柱が接合されて固定されている。金属製支柱には、長さの異なる2種類の支柱がある。サブ制御基板720は、長さが短い方の金属製支柱と当接して、複数のビス626によりシャーシユニット60に固定される。一方、メイン制御基板710は、長さが長い方の金属製支柱と当接して、複数のビス625によってシャーシユニット60に固定される。
【0048】
フレキシブル基板730は、先ず、コネクタ731とコネクタ726が接続されてフレキシブル基板730の一端がサブ制御基板720に保持された状態で、サブ制御基板720と共にシャーシユニット60に固定される。続いて、メイン制御基板710がシャーシユニット60に固定され、その後、コネクタ732とコネクタ712が接続される。これにより、メイン制御基板710とサブ制御基板720は、フレキシブル基板730を介して電気的に接続される。
【0049】
ベースシャーシ601には、第3の開口部604が形成されている。サブ制御基板720がベースシャーシ601に組み付けられる際、サブ制御基板720に実装されている高背電子部品の1つである複数の昇圧トランス722は、少なくともその一部が第3の開口部604の壁面に近接するように配置される。複数の昇圧トランス722は、アクチュエータ制御に関わる部品の1つである。
【0050】
なお、高背電子部品とは、サブ制御基板720に実装される種々の電子部品のうち、相対的に立設高さ(実装面と直交する方向へ実装面から突出する寸法)の大きい部品を指す。本実施形態では、昇圧トランス722は、サブ制御基板720に実装された電子部品のうち、最も立設高さの大きい部品となっている。また、複数の昇圧トランス722の少なくとも一部が第3の開口部604の壁面に近接している状態には、複数の昇圧トランス722の少なくとも一部が第3の開口部604に進入している状態と進入していない状態とが含まれる。
【0051】
サブ制御基板720には、各種の回路部品に加えて、FPCコネクタタイプのコネクタ723,724,725が実装されている。コネクタ723には、パン駆動ユニット610のフレキシブル基板613が接続される。コネクタ724には、パン位置検出ユニット620のフレキシブル基板623が接続される。コネクタ725には、パンユニット基台30のフレキシブル基板31が接続される。サブ制御基板720には、これらの他に、パン駆動ユニット610やチルト駆動ユニット32の駆動信号を制御するアクチュエータドライバIC721やチップ抵抗、セラミックコンデンサ等種々のチップ電子部品が実装されている。
【0052】
メイン制御基板710には、各種の回路部品、例えば、撮像制御や撮像信号処理、電力変換や鏡筒制御等の撮像装置100のシステム全般を制御するメイン制御IC711を含む回路ブロックが実装されている。フレキシブル基板730には、メイン制御基板710に実装されたメイン制御IC711とサブ制御基板720に実装されたアクチュエータドライバIC721との間を通信する信号ラインが設けられている。また、メイン制御基板710には、コネクタ713,714やメモリ、チップ抵抗、セラミックコンデンサ、インダクタ、ダイオード等の種々の電子部品が実装されている。
【0053】
コネクタ713には鏡筒ユニット21から引き出された束線22の一端が接続されており、これによりメイン制御基板710と鏡筒ユニット21内の撮像素子とが電気的に接続されている。コネクタ714は、フレキシブル基板86に実装された基板対基板タイプのコネクタと接続されており、これにより電池90とメイン制御基板710が電気的に接続されている。
【0054】
メイン制御基板710では、電池90から供給される電源が電圧の異なる複数系統の電源に分割され、そのうちの幾つかはフレキシブル基板730を中継してサブ制御基板720へ供給される。サブ制御基板720では、メイン制御基板710から供給される電源がアクチュエータドライバIC721や昇圧トランス722で消費されると共に、チルト駆動ユニット32やパン駆動ユニット610の駆動電源として消費される。
【0055】
前述の通り、撮像装置100は、ベースシャーシ601に対してサブ制御基板720とメイン制御基板710をこの順序で階層状に配置して金属製支柱に固定する構成を採用している。このように複数の基板に分けて階層状に配置することにより、撮像装置100の設置投影面積(Y方向投影視での面積(撮像装置100を設置面と直交する方向から見た場合の面積)を低減させることができる。その結果として、設置場所の選択性を高めて(選択の余地を広くして)、使い勝手を向上させることができる。
【0056】
ここで、サブ制御基板720は、メイン制御基板710を固定するための金属製支柱を避けるために切り欠き形状等とする必要が生じるため、メイン制御基板710と比較して外形形状に制約が生じやすい。また、撮像装置100の内部に配置される基板の外形サイズを維持しながら撮像装置100の機能を向上させるためには、例えば、メイン制御基板710に実装される各種のICチップでの高集積化が必要となる。
【0057】
ICチップの高集積化が進むと、一般的にメイン制御基板710での電気的接続部の微細化が必要となってくる。例えば、メイン制御基板710の実装ランド部には、高集積化されたICを実装して回路を形成するために、より微細で高密度な実装ランドと配線引出パターンが必要となる。また、メイン制御基板710では、多数の電気的接続部からメイン制御基板710内の各回路ブロックへ信号ラインを配線するために、導体層の積層数が多くなる傾向がある。
【0058】
そのため、メイン制御基板710は、外形形状の制約が少なく、信号配線の自由度が大きい構成であることが望ましい。このような事情を考慮して、撮像装置100では、メイン制御基板710には、回路パターンの配線密度と回路パターンの積層数の少なくとも一方がサブ制御基板720よりも大きいものを用いている。そして、ベースシャーシ601に対して、サブ制御基板720とメイン制御基板710をこの順に階層状に配置することにより、撮像装置100の設置投影面積を小さく維持したまま、高機能化することが可能となっている。
【0059】
次に、サブ制御基板720が取り付けられたシャーシユニット60でのパン駆動ユニット610及びパン位置検出ユニット620と昇圧トランス722との位置関係について説明する。図6は、サブ制御基板720、パン駆動ユニット610及びパン位置検出ユニット620との位置関係を表す断面図である。
【0060】
前述したように、ベースシャーシ601の中央部には、略円形状の開口部が形成されており、この開口部の周囲に第1の開口部602、第2の開口部603及び第3の開口部604が形成されている。第1の開口部602にはパン駆動ユニット610が組み込まれ、第2の開口部603にはパン位置検出ユニット620が組み込まれる。また、サブ制御基板720に実装されている複数の昇圧トランス722が、第3の開口部604の内側に近接するように配置される。こうして、撮像装置100は、Y方向での投影視(回転軸Pと直交するXZ投影平面上)で、パン駆動ユニット610、パン位置検出ユニット620及び昇圧トランス722の各配置領域とが重ならない構造となっている。
【0061】
また、撮像装置100では、撮像装置100の高さ方向(Y方向)において、昇圧トランス722と、パン駆動ユニット610及びパン位置検出ユニット620とは、少なくとも一部で重なるように配置されている。換言すれば、Y方向と直交する方向での投影視において、昇圧トランス722とパン駆動ユニット610は少なくとも一部で重なる。同様に、Y方向と直交する方向での投影視において、昇圧トランス722をパン位置検出ユニット620も少なくとも一部で重なる。
【0062】
更に、前述したように、撮像装置100において可動部2を駆動するパン駆動ユニット610には振動型アクチュエータが用いられる。可動部2の重量や可動部2を駆動する速度、停止精度等の条件を考慮して、振動型アクチュエータの仕様が決定される。このとき、振動型アクチュエータの仕様(駆動特性)に応じて、必要とされる昇圧トランス722の特性が定まる。ここで、一般的に出力の大きい振動型アクチュエータを採用する場合には昇圧トランス722として高容量のものが選定され、昇圧トランス722は容量が大きくなるほど外形(サイズ)が大きくなる傾向にある。
【0063】
図5及び図6に示されるように、シャーシユニット60は、パン駆動ユニット610及びパン位置検出ユニット620の各実装領域と非実装領域とでは、Y方向に占める部品専有範囲(部品占有空間)が大きく異なる。つまり、パン駆動ユニット610もパン位置検出ユニット620も実装されていない非実装領域には、Y方向に一定の空きスペースが形成される。そこで、サブ制御基板720は、シャーシユニット60とサブ制御基板720との間に形成されるこの空きスペースへ昇圧トランス722が入り込むように昇圧トランス722を実装した状態で、ベースシャーシ601に組み付けられる。こうして、撮像装置100では、回転軸Pまわりのスペースを有効に利用して部品を配置することにより、撮像装置100の高さ寸法の短縮を実現している。
【0064】
また、前述の通り、フレキシブル基板730の一端に設けられたコネクタ731がサブ制御基板720のベースシャーシ601側の実装面に実装されたコネクタ726と接続されることで、サブ制御基板720とフレキシブル基板730は電気的に接続されている。コネクタ726,731のような基板対基板コネクタは、ワンタッチで接続が可能であり、また、多極の電気信号を狭ピッチに配列してコンパクト化することができるという特徴を有しており、そのため、多種多様な電子機器に用いられている。
【0065】
撮像装置100では、サブ制御基板720の実装面上にヘッダコネクタ、リセプタクルコネクタ及びフレキシブル基板730が、Y方向(基板厚み方向)に積み重なる構成となる。そのため、これらを収容するスペースを、撮像装置100の高さ寸法を長くすることなく、確保する必要がある。そこで、コネクタ726は、XZ平面上において(Y方向から見た場合に)、パン駆動ユニット610の配置領域、パン位置検出ユニット620の配置領域及び昇圧トランス722の配置領域のいずれにも重ならない位置に、実装されている。そして、コネクタ726,731及びフレキシブル基板730は、シャーシユニット60とサブ制御基板720との間に形成される空きスペースに収容されるように、サブ制御基板720に実装されてシャーシユニット60に組み込まれる。
【0066】
一方、サブ制御基板720のメイン制御基板710側の実装面には、昇圧トランス722や基板対基板コネクタ等の高背電子部品は実装されておらず、高背電子部品と比較して相対的に立設高さの低い電気部品のみが実装されている。これにより、メイン制御基板710側での電気部品の配置及び配線の制約が少なくなって、設計の自由度が大きくなる。また、メイン制御基板710をサブ制御基板720に対して近接して配置することが可能となることで、撮像装置100の高さ寸法を更に短くすることが可能となる。
【0067】
メイン制御基板710の電池90側(撮像装置100の底面側)の実装面には、前述したように、コネクタ713が実装されている。コネクタ713には、鏡筒ユニット21から引き出された束線22の一端が接続されている。そして、束線22の鏡筒ユニット21側の端部は、鏡筒ユニット21のパンニング動作及びチルティング動作に応じて固定部1に対して相対的に変位する。その影響を受けて、束線22の線材部分には湾曲やねじれが生じ、その湾曲やねじれに起因する応力がコネクタ713の接続部に作用すると電気的な接続が不安定になってしまうおそれがある。また、コネクタ713の接続部に対して湾曲やねじれが生じている部位が近接するほど、一般的にコネクタ713に加わる応力も大きくなる。そこで、撮像装置100では、メイン制御基板710をサブ制御基板720よりも可動部2から離れた位置でベースシャーシ601に固定することにより、可能な限りコネクタ713の接続部に生じる応力を低減させて、電気的接続の信頼性を高めている。
【0068】
次に、バッテリボックス85の構成について説明する。図7は、バッテリボックス85とボトムカバー95を組み付けた状態を示す斜視図である。ボトムカバー95とバッテリボックス85は、電池90を含めて部分的なユニットとして組み立て可能に構成されており、組み立て後にミドルカバー80に固定される。
【0069】
前述の通り、バッテリボックス85にはフレキシブル基板86が固定されており、フレキシブル基板86の一端に実装された電池コネクタは電池90の端子部と電気的に接続されている。また、バッテリボックス85にはプリント基板88が複数のビスによって固定されており、プリント基板88にはコネクタ881、無線モジュール882及びメモリカードコネクタ883が実装されている。
【0070】
無線モジュール882は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格に対応したものや、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN通信方式に対応したものである。メモリカードコネクタ883は、例えば、SDカードやマイクロSDカード、CFカード等の種々の規格の記憶媒体(メモリカード)を収容し、記憶媒体とメイン制御基板710との間での通信を可能とする。コネクタ881はFPCコネクタタイプのコネクタであり、フレキシブル基板87の一端がコネクタ881に接続される。
【0071】
フレキシブル基板87は、プリント基板88とメイン制御基板710を電気的に接続する中継フレキシブル基板であり、フレキシブル基板87の他端には、メイン制御基板710に実装されているコネクタ715と接続可能なコネクタ871が実装されている。プリント基板88を用いることにより、外部機器との無線通信やメモリカードへのデータ記憶等の機能を向上させることができる。
【0072】
プリント基板88とフレキシブル基板87は、電池90、メイン制御基板710及びフレキシブル基板86によって囲まれた領域に形成された空きスペースに収容されている。また、プリント基板88とフレキシブル基板87は、Y方向での投影視において、フレキシブル基板86と重ならないように配置されている。これにより、撮像装置100の高さを低くした状態を維持することができる。
【0073】
更に、撮像装置100では、プリント基板88を、ベースシャーシ601に固定せずに、バッテリボックス85に固定している。仮に、プリント基板88をベースシャーシ601に固定した場合には、ベースシャーシ601からプリント基板88を保持する複数の金属製支柱を延出させ、それらの金属製支柱を避けるようにメイン制御基板710に切り欠き部を設ける必要が生じる。その場合、メイン制御基板710の基板面積が減少して、意図する規模の電気回路を設けることができなくなるおそれがあり、実装できない電気回路をサブ制御基板720に設ける必要が生じる。すると、サブ制御基板720として、積層数の多い多層基板を用いることや微細な導体パターンを形成することが必要になる等して、サブ制御基板720の製造コストが増大してしまう。一方、このような問題を回避するために、メイン制御基板710に実装不可な電子部品を別の新たな基板に実装した場合には、基板数の増加によって、上記説明の通りに撮像装置100の高さ寸法を短くした効果が失われてしまう。そこで、プリント基板88をバッテリボックス85に固定する構成とすることで、撮像装置100の高さ寸法を短く維持することを可能としながら、低コスト化をも可能としている。
【0074】
以上の説明の通り、撮像装置100では、設置投影面積を低減させることができると共に高さ寸法を短くすることができ、その結果として、機能を維持又は高めながらも、撮像装置100全体を小型化することが可能となっている。
【0075】
なお、上記の第1実施形態では、サブ制御基板720に実装される部品サイズの大きい電気部品として昇圧トランス722を例示したが、部品サイズの大きい電気部品はこれに限られない。例えば、昇圧トランス722に代えて、アクチュエータの駆動電源で発生するコモンモードノイズを除去するためのコモンモードフィルタ、電圧変換回路に組み込まれるパワーインダクタ、又は、アルミ電解コンデンサ等の電子部品が実装されてもよい。また、本実施形態では、本発明に係る電子機器として撮像装置を取り上げたが、これに限られるものではなく、可動部と固定部を備える電子機器に広く適用することができる。
【0076】
<第2実施形態>
撮像装置100には、前述の通り、ミドルカバー80の側面部に外部から押圧操作が可能な複数の操作部が設けられている。操作部は、スイッチに設けられた被押圧部を押し込むことにより操作を検知する押し込みスイッチと、押し込みスイッチの被押圧部を操作者による操作により押し込む押しボタンとを組み合わせて構成される。そのため、押し込みスイッチと押しボタンとが適切に位置決めされていないと、押しボタンを操作した際の操作感が低下し、また、押し込みスイッチに無理な力が加わって、押し込みスイッチが正常に動作しなくなるおそれがある。
【0077】
このような問題に対処する技術として、例えば、特開平7-235777号公報は、表示窓と押しボタンとを一体成型し、表示窓を機器の外装に位置決めする技術を提案している。
【0078】
しかしながら、特開平7-235777号公報に記載された技術では、押し込みスイッチが実装された回路基板の電子機器の外装に対する位置決めが十分とは言えず、押しボタンと押し込みスイッチとの位置決め精度が不十分となるおそれがある。また、押しボタンで押し込みスイッチを押し込んだ際には、押し込みスイッチを実装した回路基板に変形が生じるおそれがあり、回路基板に変形が生じると操作感の低下や押し込みスイッチの故障が生じやすくなる。
【0079】
そこで、第2実施形態では、押し込みスイッチと押しボタンの高精度な位置決めを実現すると共に押しボタンを操作した際に押し込みスイッチの位置がずれにくい操作部を備える撮像装置について説明する。
【0080】
図8(a)は、第2実施形態に係る撮像装置1000を斜め前方から見て示す外観斜視図である。図8(b)は、撮像装置1000を斜め後方から見て示す外観斜視図である。図9は、撮像装置1000の概略構成を示すブロック図である。
【0081】
撮像装置1000の外観は、第1実施形態に係る撮像装置100と実質的に同じであり、よって、説明の便宜上、撮像装置1000に対して、図1で設定した三次元の直交座標系と同じ座標系を図8に示す通りに設定する。
【0082】
撮像装置1000は、固定部1010、第1の可動部1020及び第2の可動部1030を備える。第1の可動部1020は、Y軸と平行なパン回転軸P(図8(a)に一点鎖線で示す)を中心として回転可能に、固定部1010に取り付けられている。第2の可動部1030は、Y軸と直交するチルト回転軸T(図8(a)に一点鎖線で示す)を中心として回転可能に、第1の可動部1020に保持されている。こうして撮像装置1000は、第2の可動部1030が固定部1010に対してパン回転軸Pとチルト回転軸Tの2軸の自由度を有して回転することができるように構成されている。
【0083】
第2の可動部1030は撮像素子1101と鏡筒ユニット1102を有し、鏡筒ユニット1102は撮像光学系1125を備える。撮像素子1101は、光学像を光電変換して画像信号を生成するCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等である。撮像光学系1125は、被写体像を撮像素子1101に結像させる各種のレンズや絞り等で構成されており、鏡筒ユニット1102は撮像光学系1125を構成する各種の部品を保持している。第1の可動部1020のパン回転軸Pまわりの回転と、第2の可動部1030のチルト軸Tまわりの回転によって、撮像光学系125の光軸方向(つまり、撮像方向)を変更することができる。
【0084】
固定部1010には、図8に示すように、電源ボタン1107、操作ボタン1108、表示窓1109、外部接続コネクタ蓋1111及び記録メディアコネクタ蓋1112が設けられている。また、固定部1010は、図2に示すように、制御IC1103、外部接続コネクタ1110、発光素子1120、電源部1121、記録メディアコネクタ1122、電源スイッチ1123、操作スイッチ1124及び記憶部1150を備える。
【0085】
制御IC1103は、撮像素子1101で生成された画像信号を処理して画像データを生成する機能を含め、撮像装置1000の全体的な動作の制御を司る。記憶部1150は、制御IC1103が所定の動作や処理を実行するためのプログラムを格納したROMやプログラムを展開するためのRAM等の記憶装置と、制御IC1103で生成された画像データを保存するメモリカード等の記憶装置を含むものとする。電源部1121は、制御IC1103や撮像素子1101等に必要な電力(電源)を供給する。
【0086】
固定部1010の右側面(+X側)に設けられた押しボタンスイッチ式の電源ボタン1107が押し込まれると、その操作が電源スイッチ1123に検知される。制御IC1103は、電源スイッチ1123の検知結果に応じて、撮像装置1000の電源オフ状態と電源オン状態を切り替える。また、撮像装置1000が電源オン状態となっている場合に固定部1010の右側面に設けられた押しボタンスイッチ式の操作ボタン1108が押し込まれると、その操作が操作スイッチ1124に検知される。制御IC1103は、操作スイッチ1124の検知結果に応じて撮像装置1000の動作状態を切り替える。
【0087】
表示窓1109は、透明又は半透明の部材であり、固定部1010の前面に設けられている。発光素子1120は、例えばLED等であり、撮像装置1000の内部において表示窓1109に対向する位置に配置されている。使用者は、発光素子1120の発光状態を撮像装置1000の外側から表示窓1109を通して視認することができる。例えば、制御IC1103は、撮像装置1000での動画録画中には発光素子1120を発光させる。これにより、使用者は表示窓1109を通して発光素子1120の発光を確認することにより、撮像装置1000が動画録画動作中であると認識することができる。なお、本実施形態では使用者からの視認性を考慮して表示窓1109は固定部1010の前面に配置されているが、表示窓1109は撮像装置1000の設置場所や使用態様を考慮して別の位置に設けても構わない。
【0088】
外部接続コネクタ蓋1111は、固定部1010の左側面(-X側)に設けられており、外部接続コネクタ1110を不使用時に覆い隠す位置と使用時に外観に露出させる位置との間で動かすことができるよう構成されている。記録メディアコネクタ蓋1112は、固定部1010の背面側に設けられており、記録メディアコネクタ1122を不使用時に覆い隠す位置と使用時に外観に露出させる位置との間で動かすことができるように構成されている。
【0089】
次に、固定部1010の構成について詳細に説明する。固定部1010は、固定上部ユニットと固定下部ユニットから構成されている。図10(a)は、固定上部ユニット1142の上面図である。図10(b)は、固定上部ユニット1142の外観斜視図である。図11は、固定上部ユニット1142の分解斜視図である。図12は、固定上部ユニット1142の要部を拡大して示す断面図である。なお、固定下部ユニットは、本実施形態での特徴を備えるものではないため、説明を省略する。
【0090】
固定上部ユニット1142は、メイン制御基板1104、ベースユニット1144及び外装部材1113を有する。固定上部ユニット1142の外装は、外装部材1113によって構成されている。メイン制御基板1104は、制御IC1103を含む種々の処理回路を実装しており、外装部材1113の内側に配置されている。
【0091】
ベースユニット1144は、ベース板金1135、メイン制御基板柱1136及びベース樹脂1134を有する。ベース板金1135は、金属製の構造部材である。メイン制御基板柱1136は、ベース板金1135に螺合により取り付けられている金属製の柱であり、ベース板金1135と螺合している端部の反対側の端部には雌ねじが形成されている。ベース樹脂1134は、樹脂成形で形成された構造部材である。ベースユニット1144は、ベース板金1135を複数のねじでベース樹脂1134に締結することによって組み立てられる。
【0092】
電源ボタン1107は、使用者によって操作される電源ボタン操作部1145と、電源ボタン操作部1145から立設した略円柱状の電源ボタン押圧部1115を有する。電源スイッチ1123は、メイン制御基板1104に実装されており、図10(a)中で右方向に押し込まれることによって電源スイッチ1123への操作を検知する電源スイッチ被押圧部1140を有する。電源ボタン1107が押し込まれると、電源ボタン押圧部1115の先端によって電源スイッチ1123の電源スイッチ被押圧部1140が図10(a)での右方向に押し込まれる。すると、制御IC1103は、使用者による電源ボタン1107の押し込み操作を検出する。
【0093】
操作ボタン1108は、使用者によって操作される操作ボタン操作部1146と、操作ボタン操作部1146から立設した略円柱状の操作ボタン押圧部1116を有する。操作スイッチ1124は、メイン制御基板1104において電源スイッチ1123が実装されている面と同じ面に実装されており、図10(a)で右方向に押し込まれることによって操作スイッチ1124への操作を検知する操作スイッチ被押圧部1141を有する。操作ボタン1108が押し込まれると、操作ボタン押圧部1116の先端によって操作スイッチ1124の操作スイッチ被押圧部1141が図10(a)での右方向に押し込まれる。これにより、制御IC1103は、使用者による操作ボタン1108の押し込み操作を検出する。
【0094】
なお、外装部材1113には、電源ボタン押圧部1115を挿通させるための電源ボタン用穴1128と、操作ボタン押圧部1116を挿通するための操作ボタン用穴1129が設けられている。
【0095】
続いて、電源ボタン1107と操作ボタン1108の外装部材1113への組付けについて説明する。
【0096】
電源ボタン1107については、先ず、コイルばねである電源ボタン用ばね1130に電源ボタン押圧部1115を挿通させる。その後、電源ボタン操作部1145と外装部材1113で電源ボタン用ばね1130を挟んだ状態で、電源ボタン押圧部1115を電源ボタン用穴1128に挿入する。そして、電源ボタン操作部1145を外装部材1113に設けられた収容部である電源ボタン収容スペース1137に収容する。この状態で、電源ボタン押圧部1115において外装部材1113の内側に突出した部分に、電源ボタン用Eリング1132を取り付ける。こうして、電源ボタン1107の外装部材1113への組み付けが完了する。
【0097】
一方、操作ボタン1108については、先ず、コイルばねである操作ボタン用ばね1131に操作ボタン押圧部1116を挿通させる。その後、操作ボタン操作部1146と外装部材1113で操作ボタン用ばね1131を挟んだ状態で、操作ボタン押圧部1116を操作ボタン用穴1129に挿入する。そして、操作ボタン操作部1146を外装部材1113に設けられた収容部である操作ボタン収容スペース1138に収容する。その状態で、操作ボタン押圧部1116において外装部材1113の内側に突出した部分に、操作ボタン用Eリング1133を取り付ける。これにより、操作ボタン1108の外装部材1113への組み付けが完了する。
【0098】
なお、電源ボタン用ばね1130は、電源ボタン1107を外装部材1113の外側(図10(a)において左側)に付勢する部品である。電源ボタン用ばね1130の作用により、電源ボタン1107が押されていない場合には、電源ボタン押圧部1115の先端は一定距離だけ電源スイッチ被押圧部1140から離れている。また、操作ボタン用ばね1131は操作ボタン1108を外装部材1113の外側(図10(a)のいて左側)に付勢する部品である。操作ボタン用ばね1131の作用により、操作ボタン1108が押されていない場合には、操作ボタン押圧部1116の先端は一定距離だけ操作スイッチ被押圧部1141から離間している。
【0099】
図11に示されるように、メイン制御基板1104は3本のメイン制御基板固定ねじ1119によってメイン制御基板柱1136に設けられた雌ねじに締結され、外装部材1113は外装部材固定ねじ1114によってベース樹脂1134に締結される。こうしてメイン制御基板1104と外装部材1113がベースユニット1144に固定されることによって、電源スイッチ1123と電源ボタン1107の位置関係が定まり、また、操作スイッチ1124と操作ボタン1108の位置関係が定まる。
【0100】
続いて、電源ボタン1107と電源スイッチ1123との位置決めと、操作ボタン1108と操作スイッチ1124との位置決めについて説明する。メイン制御基板1104には、位置決め穴1126と回転止め穴1127の2つの貫通穴が設けられている。外装部材1113には、位置決め柱1117(第1の柱部)と回転止め柱1118(第2の柱部)の2本の円柱部が設けられている。
【0101】
メイン制御基板1104をメイン制御基板固定ねじ1119によりメイン制御基板柱1136に設けられた雌ねじに締結する工程は、位置決め穴1126に位置決め柱1117を挿通すると共に、回転止め穴1127に回動止め柱1118を挿通した状態で行われる。これにより、位置決め穴1126と位置決め柱1117の作用で、メイン制御基板1104は外装部材1113に対して位置決めされる。このように、位置決め穴1126と回転止め穴1127は、メイン制御基板1104の外装部材1113に対する位置決め精度を高める役割を担っている。
【0102】
ここで、位置決め穴1126と位置決め柱1117による位置決めのみでは、メイン制御基板1104は外装部材1113に対して、位置決め柱1117を中心とした回転方向での位置しか決まらない。そこで、位置決め柱1117を中心とした回転方向においてメイン制御基板1104を外装部材1113に対して位置決めするために、回転止め穴1127と回転止め柱1118の作用を用いている。
【0103】
位置決め穴1126は略真円に形成され、位置決め穴1126と位置決め柱1117の断面は略同一形状である。一方、回転止め穴1127は、互いに平行な2本の線分で半円形がつながった長穴形状に形成されており、回転止め穴1127の形状を構成する2本の平行な線分は、位置決め穴1126の中心と回転止め穴1127の中心を結んだ線と平行となっている。また、回転止め柱1118は、回転止め穴1127の形状を構成する2本の平行な線分に接する形状を有している。つまり、回転止め柱1118の中心は、位置決め穴1126の中心と回転止め穴1127の中心を結ぶ直線上に位置し、且つ、回転止め穴1127を形成する2つの半円形の内壁からは一定の距離だけ離れている。
【0104】
このように、外装部材1113に位置決め柱1117と回転止め柱1118を設け、外装部材1113に搭載された電源ボタン1107及び操作ボタン1108とメイン制御基板1104に搭載された電源スイッチ1123及び操作スイッチ1124を位置決めする。これにより、電源スイッチ1123と電源ボタン1107の間の位置精度、及び、操作スイッチ1124と操作ボタン1108との間の位置精度を高めることができる。
【0105】
電源スイッチ123と電源ボタン1107との間の位置精度については、電源スイッチ被押圧部1140の先端の外装部材1113に対する位置が重要となる。同様に、操作スイッチ1124と操作ボタン1108との間の位置精度については、操作スイッチ被押圧部1141の先端の外装部材1113に対する位置が重要となる。
【0106】
図12中に示す破線L3は、電源スイッチ被押圧部1140の先端と操作スイッチ被押圧部1141の先端を結ぶ線である。一般的に、部品同士の位置のばらつきは、部品間距離が長くなるほど大きくなる。これに対して撮像装置1000では、位置決め穴1126と位置決め柱1117は、電源スイッチ被押圧部1140の先端と操作スイッチ被押圧部1141の先端の間において、少なくともその一部が破線L3に掛かるように配置されている。つまり、電源スイッチ被押圧部1140の先端及び操作スイッチ被押圧部1141の先端と位置決め柱1117との間の距離を短くしている。これにより、電源スイッチ被押圧部1140の先端と操作スイッチ被押圧部1141の先端の外装部材1113に対する位置精度を更に高めることが可能となっている。
【0107】
電源ボタン1107や操作ボタン1108を押す操作を行った際、電源スイッチ1123や操作スイッチ1124には図12での右方向へ力が加わり、その力はメイン制御基板1104を変形させるようにメイン制御基板1104に作用する。しかし、撮像装置1000は、電源スイッチ1123及び操作スイッチ1124の近傍に位置決め柱1117を配置し、メイン制御基板1104を変形させる力を位置決め柱1117で受ける構造としている。そのため、メイン制御基板1104の変形を抑制することができ、その結果、電源ボタン1107の操作に伴う電源スイッチ1123の位置ずれを抑制することができる。同様に、操作ボタン1108の操作に伴う操作スイッチ1124の位置ずれもまた抑制することが可能となっている。
【0108】
電源ボタン1107や操作ボタン1108が操作された際に位置決め柱1117が受ける力と回転止め柱1118が受ける力とを比較すると、電源スイッチ1123及び操作スイッチ1124の近傍に配置された位置決め柱1117の方がより大きな力を受ける。そこで、外装部材1113に対してメイン制御基板1104が位置ずれし難くなるように、回転止め柱1118よりも位置決め柱1117を太く(直径を長く)している。
【0109】
また、メイン制御基板1104に加わった力の一部を回転止め柱1118で受け止めることにより、位置決め柱1117に過大な力が加わらないようにすることが望ましい。ここで、図10(a)には、電源ボタン1107の操作時に加わる力のベクトルの延長線が破線L1で、操作ボタン1108の操作時に加わる力のベクトルの延長線が破線L2でそれぞれ示されている。そして、回転止め柱1118は、破線L1と破線L2に挟まれた領域の外側に配置されている。これは、以下の理由による。即ち、位置決め穴1126の中心と回転止め穴1127の中心を結ぶ線上で、回転止め柱1118と回転止め穴1127は一定距離だけ離れている。そのため、電源ボタン1107が押された際に力が加わる方向の延長線と操作ボタン1108が押された際に力が加わる方向の延長線とに挟まれた領域に回転止め柱1118を配置した場合、回転止め柱1118で力を受けることができない。このような問題が生じないように、回転止め柱1118は、破線L1と破線L2に挟まれた領域の外側に配置されている。
【0110】
さて、図12に示されるように、メイン制御基板1104は、外装部材1113において電源ボタン収容スペース1137を画定する壁部と操作ボタン収容スペース1138を画定する壁部の間の空間に向かって突出したメイン制御基板突出部1139を有する。そして、位置決め穴1126の一部をメイン制御基板突出部1139に配置している。これにより、メイン制御基板1104では、パターン配線や電子部品の配置領域をより多く確保することが可能となり、パターン配線や電子部品の配置の自由度が向上している。
【0111】
以上の説明の通りに第2実施形態では、押し込みスイッチと押しボタンを組み合わせた操作部材において、押し込みスイッチと押しボタンの高精度な位置決めが可能となっている。更に、押しボタンが押された際の押し込みスイッチの位置がずれにくい操作部材の提供が可能となっている。
【0112】
<第3実施形態>
第3実施形態では、第2実施形態で説明した撮像装置1000を構成するメイン制御基板1104の別の実施形態としてのメイン制御基板1201について説明する。図13は、第3実施形態でのメイン制御基板1201の外観図である。
【0113】
第2実施形態でのメイン制御基板1104には、電源スイッチ1123と操作スイッチ1124の2つの押し込みスイッチが実装されている。一方、第3実施形態でのメイン制御基板1201には第1のスイッチ1202、第2のスイッチ1203、第3のスイッチ1204、第4のスイッチ1205及び第5のスイッチ1206の5つの押し込みスイッチが実装されている。
【0114】
電源スイッチ1123と同様に、第1のスイッチ1202は第1のスイッチ被押圧部1207を有し、第2のスイッチ1203は第2のスイッチ被押圧部1208を有する。また、第3のスイッチ1204は第3のスイッチ被押圧部1209を、第4のスイッチ1205は第4のスイッチ被押圧部1210を、第5のスイッチ1206は第5のスイッチ被押圧部1211をそれぞれ有している。
【0115】
なお、第1乃至第5のスイッチ1202~1206のそれぞれに対して1対1の関係で外装部材に配置される押しボタンの構成及び配置形態は、第1実施形態での外装部材1113に配置される押しボタンである電源ボタン1107の構成及び配置形態に準ずる。そのため、これらについての説明は省略する。また、第3実施形態での撮像装置の構成要素のうち、メイン制御基板1201以外は、第2実施形態に係る撮像装置1000の構成要素と同等であるため、説明を省略する。
【0116】
メイン制御基板1201には、位置決め穴1212と回転止め穴1213が設けられている。位置決め穴1212及び回転止め穴1213はそれぞれ、第2実施形態でのメイン制御基板1104に設けられた位置決め穴1126及び回転止め穴1127と同じ役割を担っている。
【0117】
第1のスイッチ被押圧部1207、第2のスイッチ被押圧部1208、第3のスイッチ被押圧部1209、第4のスイッチ被押圧部1210及び第5のスイッチ被押圧部1211それぞれの先端は、図13に破線L4で示す直線上に並んでいる。そして、位置決め穴1212は、その一部が破線L4に掛かる位置で、且つ、5つの押し込みスイッチのうちで中央部(真ん中近傍)に配置された第3のスイッチ1204とこれに隣接して配置された第4のスイッチ1205との間の位置に設けられている。これにより、5つの押し込みスイッチの被押圧部のそれぞれと位置決め穴1212との間の距離が短くなることで、5つの押し込みスイッチの被押圧部と5つの押しボタンとの位置精度を向上させることができる。また、押しボタンを操作した際にメイン制御基板1201を変形させる力を受ける位置決め柱1117を挿通させるための位置決め穴1212を上記の通りに配置しているため、メイン制御基板1201の変形を抑制することができる。したがって、押しボタンの操作に伴う押し込みスイッチの位置ずれが低減される。
【0118】
次に、回転止め穴1213の配置について説明する。破線L4に沿って配置された5つの押し込みスイッチのうちの一方の端に配置された第1のスイッチ1202が押し込まれた際に加わる力のベクトルの延長線(直線)が図13に破線L5で示されている。また、5つの押し込みスイッチのうちの他方の端に配置された第5のスイッチ1206が押し込まれた際に加わる力のベクトルの延長線(直線)が図13に破線L6で示されている。
【0119】
回転止め柱1118が挿通される回転止め穴1213は、破線L5と破線L6に挟まれた領域の外側に配置されている。この理由は、以下の通りである。即ち、第2実施形態で説明したように、位置決め穴1212の中心と回転止め穴1213の中心を結ぶ線上で、回転止め柱1118と回転止め穴1213は一定距離だけ離れている。そのため、回転止め柱1118を破線L5と破線L6とに挟まれた領域に配置した場合、回転止め柱1118で力を受けることができない。このような問題が生じないように、回転止め柱1118は、破線L5と破線L6に挟まれた領域の外側に配置されている。こうして、第3実施形態でも、第2実施形態と同様の効果が得られることは言うまもない。
【0120】
なお、第2及び第3実施形態では、撮像装置を例に説明を行ったが、押し込みスイッチを実装した基板の主平面に平行な方向に押される押し込みスイッチを複数備えた電子機器であれば、本発明の適用が可能である。例えば、本発明の適用が可能な電子機器として、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等が挙げられる。
【0121】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0122】
2 可動部
22 束線
60 シャーシユニット
70 基板アセンブリ
100 撮像装置
113 外装部材
601 ベースシャーシ
610 パン駆動ユニット
613 フレキシブル基板
620 パン位置検出ユニット
623 フレキシブル基板
710 メイン制御基板
720 サブ制御基板
722 昇圧トランス
726 コネクタ
730 フレキシブル基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13