(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20241111BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241111BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N1/028 A
H04N1/12 Z
H04N1/191
(21)【出願番号】P 2020163884
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳原 悠一
(72)【発明者】
【氏名】府川 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 孝
(72)【発明者】
【氏名】本田 永和
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147513(JP,A)
【文献】特開2006-067032(JP,A)
【文献】特開昭62-245778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/028
H04N 1/04
H04N 1/191
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取ることによりアナログ信号を出力する第1読取手段と、前記第1読取手段と異なる第2読取手段と、
前記第1読取手段と前記第2読取手段から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
前記第1読取手段及び前記第2読取手段と前記変換手段との間の結線を制御する結線制御手段と、
前記第1読取手段からのアナログ信号の出力を制御する出力制御手段と、を備え、
第1読取モードにおいて、前記結線制御手段は、前記第1読取手段の
第1の数の出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の複数の入力チャンネルにそれぞれ入力されるよう、前記結線を制御し、
前記第1読取モードと異なる第2読取モードにおいて、前記結線制御手段は、前記第1読取手段の前記
第1の数の出力チャンネルから出力されたアナログ信号と前記第2読取手段の
前記第1の数よりも小さい第2の数の出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の前記複数の入力チャンネルに入力されるよう、前記結線を制御し、
前記第2読取モードにおいて、前記出力制御手段は、前記変換手段の1つの入力チャンネルに入力される、前記第1読取手段の
前記第1の数の出力チャンネルそれぞれからのアナログ信号の出力のタイミングをずらすようアナログ信号の出力を制御する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記結線制御手段は、信号線上に設けられ複数の入力信号において出力対象を切り替えるスイッチにより、前記結線を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記結線制御手段は、前記第1読取モードと前記第2読取モードのいずれであるかを示す信号を用いて、前記スイッチの切替えを行うことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2読取モードにおける前記出力制御手段により制御されるアナログ信号は、前記変換手段の1つの入力チャンネルに対してワイヤードオアで接続された信号線上を伝送されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1読取手段は、複数のチップを有し、
前記複数のチップは、出力チャンネルに対応するようにグループ化され、グループごとにアナログ信号の出力のタイミングが制御されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第2読取モードにおいて、前記グループ化された複数のチップは、第1チップからアナログ信号が出力された後、前記第1チップに隣接する第2チップからアナログ信号の出力が開始されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記出力制御手段は、前記第2読取モードにおいて、前記グループ化された第1グループのチップのうち最終のチップからアナログ信号が出力された後、前記第1グループに隣接する第2グループのチップのうち先頭のチップからアナログ信号を出力させることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第1読取モードにおいて、前記グループ化された
第1グループのチップからのアナログ信号の出力と、前記第1
グループに隣接する第2
グループのチップからのアナログ信号の出力とが、並行して開始されるよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1読取モードと前記第2読取モードのいずれであるかを示す信号のレベルと、前記最終のチップからアナログ信号が出力されたことを示す信号のレベルとの論理和の信号のレベルに基づいて、前記第2グループのチップのうち前記先頭のチップからアナログ信号が出力されることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記出力制御手段は、前記第1読取モードと前記第2読取モードのいずれであるかを示す信号のレベルを変更することにより、前記第2グループのチップのうち前記先頭のチップからのアナログ信号の出力のタイミングを制御することを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記第1読取手段及び前記第2読取手段は、コンタクトイメージセンサであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記第1読取手段は、前記原稿の第1面を読み取る際に用いられ、前記第2読取手段は、前記原稿の前記第1面の裏側の第2面を読み取る際に用いられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記第1読取手段は、第1サイズ及び前記第1サイズより大きい第2サイズの原稿を読み取る際に用いられ、前記第2読取手段は、前記第1サイズの原稿を読み取る際には用いられず、前記第2サイズの原稿を読み取る際に用いられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記結線制御手段は、
前記第1読取モードにおいて、前記第1読取手段の第1出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の第1入力チャンネルに入力され、前記第1読取手段の第2出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の第2入力チャンネルに入力され、前記第1読取手段の第3出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の第3入力チャンネルに入力され、前記第1読取手段の第4出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の第4入力チャンネルに入力されるよう、前記結線を制御し、
前記第2読取モードにおいて、前記第1読取手段の前記第1出力チャンネルから出力されたアナログ信号と前記第2出力チャンネルから出力されたアナログ信号とが前記変換手段の前記第1入力チャンネルに入力され、前記第1読取手段の前記第3出力チャンネルから出力されたアナログ信号と前記第4出力チャンネルから出力されたアナログ信号とが前記変換手段の前記第2入力チャンネルに入力され、前記第2読取手段の第1出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の前記第3入力チャンネルに入力され、前記第2読取手段の第2出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の前記第4入力チャンネルに入力されるよう、前記結線を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像読取装置における読取速度の高速化が求められている。特許文献1には、同時両面読取りに対応した画像読取装置においてイメージセンサICの出力チャンネルの数を制御することで片面読取時の速度を高速化する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、イメージセンサICに、アナログ画像データの出力チャンネルの数を制御するための機能を持たせる必要がある。
【0005】
上記の点に鑑み、本発明は、複数の読取モードを実行可能な画像読取装置において、簡易な構成で、読取効率を向上させる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置は、原稿を読み取ることによりアナログ信号を出力する第1読取手段と、前記第1読取手段と異なる第2読取手段と、前記第1読取手段と前記第2読取手段から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、前記第1読取手段及び前記第2読取手段と前記変換手段との間の結線を制御する結線制御手段と、前記第1読取手段からのアナログ信号の出力を制御する出力制御手段と、を備え、第1読取モードにおいて、前記結線制御手段は、前記第1読取手段の第1の数の出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の複数の入力チャンネルにそれぞれ入力されるよう、前記結線を制御し、前記第1読取モードと異なる第2読取モードにおいて、前記結線制御手段は、前記第1読取手段の前記第1の数の出力チャンネルから出力されたアナログ信号と前記第2読取手段の前記第1の数よりも小さい第2の数の出力チャンネルから出力されたアナログ信号が前記変換手段の前記複数の入力チャンネルに入力されるよう、前記結線を制御し、前記第2読取モードにおいて、前記出力制御手段は、前記変換手段の1つの入力チャンネルに入力される、前記第1読取手段の前記第1の数の出力チャンネルそれぞれからのアナログ信号の出力のタイミングをずらすようアナログ信号の出力を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の読取モードを実行可能な画像読取装置において、簡易な構成で、読取効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】画像読取装置の制御回路の内部構成を示す図である。
【
図4】イメージセンサICのタイミングチャートを示す図である。
【
図5】イメージセンサICの接続構成を示す図である。
【
図6】イメージセンサICの接続構成を示す図である。
【
図7】片面読取モードにおけるタイミングチャートを示す図である。
【
図8】片面読取モードにおけるCISとAFEの間の結線を示す図である。
【
図9】両面読取モードにおけるタイミングチャートを示す図である。
【
図10】両面読取モードにおけるCISとAFEの間の結線を示す図である。
【
図11】画像読取装置のスキャン動作を示すフローチャートである。
【
図13】画像読取装置の制御回路の内部構成を示す図である。
【
図14】イメージセンサICの接続構成を示す図である。
【
図15】イメージセンサICの接続構成を示す図である。
【
図16】イメージセンサICの接続構成を示す図である。
【
図17】イメージセンサICの接続構成を示す図である。
【
図18】A2サイズ読取モードにおけるタイミングチャートを示す図である。
【
図19】A2サイズ読取モードにおけるタイミングチャートを示す図である。
【
図20】A2サイズ読取モードにおけるCISとAFEの間の結線を示す図である。
【
図21】A0サイズ読取モードにおけるタイミングチャートを示す図である。
【
図22】A0サイズ読取モードにおけるタイミングチャートを示す図である。
【
図23】A0サイズ読取モードにおけるCISとAFEの間の結線を示す図である。
【
図24】画像読取装置のスキャン動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には、複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[第1実施形態]
[画像読取装置の全体構成]
図1は、本実施形態における画像読取装置100の側断面図である。画像読取装置100は、読取対象である原稿の両面を同時に読取可能な構成を有するものとして説明する。なお、同時に読取可能とは、画像読取装置100において読み取りタイミングが厳密に同時(並行)であることに限定されない。即ち、画像読取装置100において、一度の原稿搬送で、読取対象である原稿の表(おもて)面の読取処理と、その原稿の裏側の裏面の読取処理とを行うことが可能であることを含む。
【0011】
図1に示すように、画像読取装置100は、コンタクトイメージセンサ(以下、CISとする)を用いて原稿を読み取り、表面用CIS201と、裏面用CIS202と、原稿を搬送する搬送ローラ220~225とを有する。表面用CIS201は、原稿の表面に記録された画像を読み取るためのデバイスであり、裏面用CIS202は、原稿の裏面に記録された画像を読み取るためのデバイスである。原稿の両面読取りを行う際には、画像読取装置100は、搬送ローラ220~225により矢印Aの方向に読取対象となる原稿を搬送する。搬送された原稿が表面用CIS201の読取位置に達すると、表面用CIS201は画像を読み取る。例えば、表面用CIS201の内部に設けられた原稿照明用の光源であるLEDからの照射光を原稿に照射し、その反射光を表面用CIS201が読み取ることにより、アナログ画像データ(以下、「アナログ信号」とも呼ぶ)が生成される。原稿が裏面用CIS202の読取位置に達すると、裏面用CIS202は画像を読み取る。例えば、裏面用CIS202の内部に設けられた原稿照明用の光源であるLEDからの照射光を原稿に照射し、その反射光を裏面用CIS202が読み取ることにより、アナログ画像データが生成される。
【0012】
表面用CIS201及び裏面用CIS202は、原稿の幅に相当する読取幅を有する。その読取幅の方向は、矢印Aに直交する方向である。以下、この直交する方向を主走査方向とし、矢印Aが示す原稿の搬送方向を副走査方向とする。本実施形態では、表面用CIS201と裏面用CIS202を向かい合うように配置して、原稿を矢印Aの方向に搬送することで、その原稿の両面の画像を並行して読み取ることが可能である。なお、原稿の表面と裏面とを同時に読み取るものとして説明したが、表面用CIS201と裏面用CIS202の位置が完全に対向していなくてもよい。即ち、一方のCISの読取面が、他方のCISの読取面と部分的に対向するように配置されていれば良い。このように構成した場合にも、1つの搬送経路で表面の読取処理と、裏面の読取処理とを並行して行うことが可能となる。また、表面用CIS201及び裏面用CIS202には各々、カラー画像を読み取るために、青色LED、赤色LED、緑色LEDが備えられている。
【0013】
表面用CIS201に設けられたLEDにより照射された光は原稿にて反射し、その反射光はレンズ(不図示)を通して表面用CIS201が有するイメージセンサ上に結像される。そして、結像された反射光は光電変換され、アナログ画像データが生成される。一方、裏面用CIS202に設けられたLEDにより照射された光は原稿にて反射し、その反射光はレンズ(不図示)を通して裏面用CIS202が有するイメージセンサ上に結像される。そして、結像された反射光は光電変換され、アナログ画像データが生成される。
【0014】
図2は、画像読取装置100の制御回路の内部構成の一例を示す図である。
図2では、画像読取装置100が読取機能及び印刷機能を有する複合機(以下、MFPとする)に構成されている例を説明する。MFP110は、プリントヘッド制御回路502、モータ制御回路509、センサ508、ASIC510、ROM512、DRAM513、操作部104、およびI/F519を有し、それぞれがシステムバスを介して相互に通信可能に接続される。ASIC510は、画像処理部300、タイミング信号生成部301、LED制御部304、およびCPU511を含み、画像読取や印刷など、MFP110全体の制御を行う。
【0015】
CPU511は、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)形態の中央演算処理部であり、プログラムの実行やハードウェアの起動によりMFP110全体の動作を制御する。ROM512は、不揮発性の記憶領域であり、CPU511が実行する処理手順に対応したプログラムを記憶する。DRAM513は、揮発性の記憶領域であり、CPU511のワークエリアとして用いられたり、CPU511が処理手順を実行するためのパラメータや画像データを一時保存したりする。
【0016】
操作部104は、ユーザーの種々の操作を受付可能であり、例えば、ハードキーや、ユーザーに種々の情報を提示(通知)するための表示部などを含む。操作部104は、表示部としてLCD105を有する。表示部は、例えば、タッチパネルとして構成されてもよい。また、操作部104は、音声発生器等を備え、音響情報に基づく音響(ブザー、音声等)を出力できるようにしてもよい。I/F519は、外部装置520との間の通信インタフェースである。I/F519を介して、例えば、外部装置520としてのパーソナルコンピュータ(PC)がMFP110との間で通信可能に接続される。外部装置520は、PCに限定されるものではなく、携帯端末等、他の形態の装置であってもよい。I/F519を介して、例えば、MFP110と外部装置520との間での画像データの入出力を行うことが可能である。
【0017】
プリントヘッド402およびモータ506はそれぞれ、プリントヘッド制御回路502およびモータ制御回路509を介して、ASIC510により制御される。プリントヘッド402は、ノズルからのインク滴の吐出を行うための機構を有する。また、モータ506は、読取のための原稿の搬送を行うローラや、印刷のための用紙の搬送を行うローラを駆動するモータを含む。
【0018】
MFP110は、読取機能の構成として、表面用CIS308(以下、単にCIS308とする)、裏面用CIS309(以下、単にCIS309とする)、アナログ信号処理部310(AFE310)、アナログ信号処理部311(AFE311)を有する。CIS308は
図1の表面用CIS201に対応し、CIS309は
図1の裏面用CIS202に対応する。CIS308、CIS309から出力されたアナログ画像データは、結線制御部321を介してAFE310、AFE311に入力される。結線制御部321は、スイッチングゲート315~319を含んで構成される。各スイッチングゲートは、2つの入力端子から入力される入力信号のどちらか一方を出力対象として選択し、1つの出力端子から出力するように構成されている。
【0019】
AFE310、AFE311はそれぞれ2つの入力チャンネルを有する。AFE310、AFE311は、ASIC510に接続される。CIS308はアナログ画像データの出力チャンネルを4ch有しており、出力制御部320によりアナログ画像データの出力タイミングが切替可能である。出力タイミングの詳細については後述する。CIS309は、アナログ画像データの出力チャンネルを2ch有する。CPU511が不図示のレジスタに設定値をライトすることで、タイミング信号生成部301は、CIS308、CIS309に対して、それぞれを駆動するために必要な水平同期信号SHやクロック信号を供給する。さらには、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号を出力制御部320、結線制御部321に供給する。
【0020】
MODE選択信号は、ユーザーが操作部104または外部装置520により選択可能な片面読取モードもしくは両面読取モードに応じて、CPU511が不図示のレジスタに設定値を書き込むことで生成される。例えば、片面読取モードであれば、CPU511は不図示のレジスタに1を書き込むことで、MODE選択信号としてHighレベルの信号が出力される。両面読取モードであれば、CPU511は不図示のレジスタに0を書き込むことで、MODE選択信号としてLowレベルの信号が出力される。本実施形態では、MODE選択信号の論理状態、即ち読取モードに応じて、出力制御部320によりCIS308からのアナログ画像データの出力タイミングが切り替わる。さらに、結線制御部321によりAFE310、AFE311へ入力されるアナログ画像データの入力チャンネルが切り替わる。
【0021】
LED制御部304は、CIS308及び309が備える不図示のLEDの点灯制御を行う。点灯制御は、水平同期信号SHに同期したPWM制御により行われる。CIS308、CIS309、出力制御部320、結線制御部321、AFE310、およびAFE311については、詳細を後述する。なお、本実施形態では2つの入力チャンネルを持つAFEを2つ用いているが、4つの入力チャンネルを持つAFEを1つで構成してもよい。
【0022】
[CISの構成]
図3はイメージセンサIC312の構成を示す図であり、
図4はイメージセンサIC312のタイミングチャートを示す図である。
図5は、CIS308の基板におけるアナログ画像データの出力タイミングを選択的に切り替えるためのイメージセンサICの接続構成を示す図である。
図5に示すように、基板上には、イメージセンサIC312が12個(以下、Chip(チップ)1~Chip12と呼ぶ)配置され、A4サイズ(約21cm)の読取対象(原稿)からの反射光が1度で読取可能なように配置されている。読み取られて生成されたアナログ画像データは、4つの出力チャンネル(Vout1~Vout4)から出力される。
図5に示すように、複数のイメージセンサIC312が各出力チャンネルに対応するようにグループ化されている。
【0023】
図3のイメージセンサIC312の構成について説明する。フォトダイオード330は、ライン状に配置した複数の光電変換素子を有し、受光した光を光電変換する。蓄積部331は、フォトダイオード330と平行に配列され、信号電荷を蓄積する複数の電荷蓄積素子、及び蓄積された電荷を電圧変換した電圧値を保持するためのメモリ(不図示)を有する。水平同期信号SHが立ち上がったとき、蓄積部331に溜まっている全ラインの電荷をスイッチングゲート332へ転送して蓄積部331をリセットし、フォトダイオード330の受光と蓄積部331への電荷蓄積を開始する。なお、電荷の蓄積は、次ラインの水平同期信号SHが入力されるまで行われる。スイッチングゲート332は、蓄積部331で蓄積された電荷を保持し、スタート信号(以下、st信号とする)がst端子に入力された後、メモリに保持された電圧値をアナログ画像データとして出力回路(Amp)333に一画素ずつ順次転送する。カウンタ334は、画素クロックCLKに同期してカウントアップされる。画素が全て出力されたら、出力の終了を次段のイメージセンサICに知らせるための出力終了信号(以下、next信号とする)としてnext端子からパルス信号を出力する。例えば、Chip1のnext信号がChip2のst端子に入力されることにより、Chip2のアナログ画像データの出力が開始される。詳細なタイミングについては後述する。
【0024】
図4のイメージセンサIC312の動作タイミングチャートについて説明する。イメージセンサIC312においては、
図5に示す互いに隣接するChip1とChip2の動作を例として説明する。タイミング信号生成部301で生成された水平同期信号SHが入力されると、前述のようにChip1及びChip2では電荷の蓄積が開始される。そして、タイミング信号生成部301で生成された画素クロックCLKに同期してカウンタ334のカウントアップが開始される。イメージセンサIC312ではカウント値が100以上であれば、st信号が入力されたときにアナログ画像データの出力を開始する。つまり、Chip1においてはカウント値が100のときにHighの状態となり、outからアナログ画像データの出力が開始される。つまり、Chip1ではカウント値が100になったときにアナログ画像データの出力が開始される。例えば、解像度300dpiで読み取る場合、カウント値=101~316にかけて、イメージセンサIC312が有する216画素が順次出力される。そして、Chip1の最終画素が出力されたとき(カウント値=316)、Chip1からnext信号を出力する。Chip1から出力されたnext信号はChip2のst端子に入力され、その次のカウント値(カウント値=317)から、Chip2のアナログ画像データの出力が開始される。例えば、解像度300dpiで読み取る場合、カウント値=317~632にかけて、イメージセンサIC312が有する216画素が順次出力される。
【0025】
図5において、Chip1~Chip3で読み取る領域をA1とする。読み取ったA1のアナログ画像データは、CIS308が持つ出力チャンネルのうちVout1から順次出力される。また、Chip4~Chip6で読み取る領域をA2とする。読み取ったA2のアナログ画像データは、CIS308が持つ出力チャンネルのうちVout2から順次出力される。また、Chip7~Chip9で読み取る領域をA3とする。読み取ったA3のアナログ画像データは、CIS308が持つ出力チャンネルのうちVout3から順次出力される。また、Chip10~Chip12で読み取る領域をA4とする。読み取ったA4のアナログ画像データは、CIS308が持つ出力チャンネルのうちVout4から順次出力される。
【0026】
基板上には、出力制御部320として、ORゲート313、314が構成される。ORゲート313は、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号とChip3から出力されるnext信号を入力し、その論理和を出力する。出力された信号は、Chip4、即ち隣接グループの先頭のChip4のst端子へ入力される。MODE=Highである場合、Chip4のst端子にHighが入力される。つまり、水平同期信号SHをトリガとしてChip4の画素の出力が開始される。MODE=Lowである場合、Chip4のst端子にChip3のnext信号が入力されるタイミング、つまり、Chip3から全画素が出力された後、Chip4の画素の出力が開始される。
【0027】
ORゲート314は、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号とChip9から出力されるnext信号を入力し、その論理和を出力する。出力された信号は、Chip10のst端子へ入力される。MODE=Highである場合、Chip10のst端子にHighが入力される。つまり、水平同期信号SHをトリガとしてChip10の画素の出力が開始される。MODE=Lowである場合、Chip10のst端子にChip9のnext信号が入力されるタイミング、つまり、Chip9から全画素が出力された後、Chip10の画素の出力が開始される。
【0028】
なお、出力制御部320についてはORゲートに限定されるものではない。例えば、ORゲート313の代わりに、MODE=HighのときにHighが出力され、MODE=LowのときにChip3のnext信号が出力されるようなスイッチが用いられても良い。Chip1とChip7のst端子は、High固定とされている。
【0029】
図6は、CIS309の基板におけるイメージセンサICの接続構成を示す図である。基板上にはイメージセンサIC312が12個(以下、Chip13~Chip24と呼ぶ)配置され、A4サイズ(約21cm)の読取対象(原稿)からの反射光が1度で読取可能なように配置されている。読み取ったアナログ画像データは2つの出力チャンネル(Vout5、Vout6)から出力される。
【0030】
図6において、Chip13~Chip18で読み取る領域をB1とする。読み取ったB1のアナログ画像データは、CIS309が持つ出力チャンネルのうちVout5から順次出力される。また、Chip19~Chip24で読み取る領域をB2とする。読み取ったB2のアナログ画像データは、CIS309が持つ出力チャンネルのうちVout6から順次出力される。Chip13とChip19のst端子は、High固定とされている。
【0031】
[各読取モードの動作]
片面読取モードの動作を説明する。
図7は、片面読取モードにおけるCIS308及びCIS309のアナログ画像データ出力とAFEへのアナログ画像データ入力のタイミングチャートを示す図である。
図8は、片面読取モードにおけるCIS308及びCIS309から出力されるアナログ画像データが、スイッチングゲート315~319を介してAFE310及びAFE311に入力されるまでの結線を示す図である。
図8では、CIS308、CIS309は、
図5、
図6に示した構成をそれぞれ簡略化している。AFE310は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin1、Vin2とする。AFE311は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin3、Vin4とする。
【0032】
片面読取モードにおけるCIS308のアナログ画像データの出力について説明する。片面読取モードでは、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号をHigh固定で出力する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip1、Chip7のアナログ画像データの出力が開始される。Chip4とChip10のst端子には、ORゲート313、314のそれぞれの出力によってHighが入力されているので、Chip4、Chip10のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip1、Chip4、Chip7、Chip10のnext信号が、それぞれChip2、Chip5、Chip8、Chip11のst端子に入力される。そして、Chip2、Chip5、Chip8、Chip11のアナログ画像データの出力が開始される。Chip2、Chip5、Chip8、Chip11のアナログ画像データの出力が終わると、Chip2、Chip5、Chip8、Chip11のnext信号が、それぞれChip3、Chip6、Chip9、Chip12のst端子に入力される。そして、Chip3、Chip6、Chip9、Chip12のアナログ画像データの出力が開始される。Chip3、Chip6、Chip9、Chip12のアナログ画像データの出力が終わると、Chip3、Chip6、Chip9、Chip12のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout1~Vout4はHi-zになる。
図7のVout1~Vout4は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0033】
片面読取モードにおけるCIS309のアナログ画像データの出力について説明する。片面読取モードではCIS309を使用しないため、CIS309にはタイミング信号生成部301から水平同期信号SHなどの制御信号を供給しない。その結果、
図7に示すように、Vout5及びVout6の出力はHi-zとなる。
【0034】
なお、出力制御部320により出力タイミングが切り替わる出力チャンネル(Vout2、Vout4)を可変チャンネルと呼び、その他を固定チャンネルと呼ぶ。
【0035】
片面読取モードにおけるAFE310及びAFE311へのアナログ画像データの入力について説明する。CIS308、CIS309から出力されるアナログ画像データは、スイッチングゲート315~319を介してAFE310、AFE311へ入力される。スイッチングゲート315~319はそれぞれ2つ入力端子を持ち、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号により、出力する信号を選択する。AFE310のVin1は、スイッチングゲート315によりA2領域のアナログ画像データを遮断することで、A1領域のアナログ画像データのみを入力する。AFE310のVin2は、スイッチングゲート317によりA2領域のアナログ画像データを通過させることで、A2領域のアナログ画像データを入力する。
【0036】
AFE311のVin3は、スイッチングゲート316によりA4領域のアナログ画像データを遮断し、スイッチングゲート318によりA3領域のみのアナログ画像データを通過させることで、A3領域のアナログ画像データを入力する。AFE311のVin4は、スイッチングゲート319によりA4領域のアナログ画像データを通過させることで、A4領域のアナログ画像データを入力する。
図7のVin1~Vin4は、上記のアナログ画像データの入力を示している。
【0037】
次に、両面読取モードの動作を説明する。
図9は、両面読取モードにおけるCIS308及びCIS309のアナログ画像データ出力とAFEへのアナログ画像データ入力のタイミングチャートを示す図である。
図10は、両面読取モードにおけるCIS308及びCIS309から出力されるアナログ画像データが、スイッチングゲート315~319を介してAFE310及びAFE311に入力されるまでの結線を示す図である。
図10では、CIS308、CIS309は、
図5、
図6に示した構成をそれぞれ簡略化している。AFE310は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin1、Vin2とする。AFE311は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin3、Vin4とする。
【0038】
両面読取モードにおけるCIS308のアナログ画像データの出力について説明する。両面読取モードでは、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号をLow固定で出力する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip1、Chip7のアナログ画像データ出力が開始される。なお、Chip4とChip10のst端子には、ORゲート313、314のそれぞれの出力としてChip3とChip9のnext信号がそれぞれ入力される。そのため、この時点では出力は開始されず、
図9に示すように、Vout2及びVout4はHi-zとなる。アナログ画像データの出力が終わると、Chip1、Chip7のnext信号が、それぞれChip2、Chip8のst端子に入力され、Chip2、Chip8のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip2、Chip8のnext信号が、それぞれChip3、Chip9のst端子に入力され、Chip3、Chip9のアナログ画像データの出力が開始される。
【0039】
アナログ画像データの出力が終わると、Vout1及びVout3はHi-zとなり、Chip3、Chip9のnext信号が、ORゲート313、314をそれぞれ介してChip4、Chip10のst端子に入力される。そして、Chip4、Chip10のアナログ画像データ出力が開始される。つまり、Chip4とChip10の出力開始のタイミング(言い換えると、Vout2とVout4の出力開始のタイミング)が片面読取に対し、3chip分遅延して信号線上を伝送することになる。アナログ画像データの出力が終わると、Chip4、Chip10のnext信号が、それぞれChip5、Chip11のst端子に入力され、Chip5、Chip11のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip5、Chip11のnext信号が、それぞれChip6、Chip12のst端子に入力され、Chip6、Chip12のアナログ画像データ出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip6、Chip12のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout2及びVout4はHi-zになる。
図9のVout1~Vout4は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0040】
両面読取モードにおけるCIS309のアナログ画像データの出力について説明する。水平同期信号SHが入力されるとst端子がHigh固定になっているChip13、Chip19のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip13、Chip19のnext信号が、それぞれChip14、Chip20のst端子に入力され、Chip14、Chip20のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip14、Chip20のnext信号が、それぞれChip15、Chip21のst端子に入力され、Chip15、Chip21のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip15、Chip21のnext信号が、それぞれChip16、Chip22のst端子に入力され、Chip16、Chip22のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip16、Chip22のnext信号が、それぞれChip17、Chip23のst端子に入力され、Chip17、Chip23のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip17、Chip23のnext信号が、それぞれChip18、Chip24のst端子に入力され、Chip18、Chip24のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip18、Chip24のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout5~Vout6はHi-zになる。
図9のVout5及びVout6は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0041】
両面読取モードにおけるAFE310及びAFE311へのアナログ画像データの入力について説明する。AFE310のVin1は、スイッチングゲート315によりA2領域のアナログ画像データを通過させることで、A1領域のアナログ画像データとA2領域のアナログ画像データをワイヤードオアさせて時系列に入力する。AFE310のVin2について、スイッチングゲート316によりA4領域のアナログ画像データを通過させることで、A3領域のアナログ画像データとA4領域のアナログ画像データがワイヤードオアされている。そして、AFE310のVin2は、スイッチングゲート317により、ワイヤードオアされたアナログ画像データを通過させることで、A3領域のアナログ画像データとA4領域のアナログ画像データをワイヤードオアさせて時系列に入力する。
【0042】
AFE311のVin3は、スイッチングゲート318によりB1領域のアナログ画像データを通過させることで、B1領域のアナログ画像データを入力する。AFE311のVin4は、スイッチングゲート319によりB2領域のアナログ画像データを通過させることで、B2領域のアナログ画像データを入力する。
図9のVin1~Vin4は、上記のアナログ画像データの入力を示している。
【0043】
また、本実施形態においてスイッチングゲート315、316はCIS308のCIS基板上に配置しても良い。なお、スイッチングゲート315、316は2入力1出力のスイッチを用いているが、1入力1出力のスイッチでも良い。また、CIS309はアナログ画像データの出力チャンネルを2ch有するが、CIS308のようにアナログ画像データの出力チャンネルを4ch有し、且つ出力のタイミングを切り替えられる構成としても良い。
【0044】
[動作フロー]
図11は、本実施形態における画像読取装置100の読取動作を示すフローチャートである。
図11の処理は、例えば、CPU511がROM512に記憶されたプログラムをDRAM513に読み出して実行することにより実現される。S100において、ASIC510は、ユーザーが操作部104や外部装置520を介して入力した、片面読取や同時両面読取(以下、両面読取)のジョブを受け付ける。ここでのジョブとしては、スキャンした画像を印刷するコピーを含んでもよい。S101において、ASIC510は、受け付けたジョブに基づいて、片面読取もしくは両面読取のいずれの読取モードが選択されているかを判定する。片面読取が選択されていると判定された場合(S101にてYES)、S102へ進み、両面読取が選択されていると判定された場合(S101にてNO)、S104へ進む。
【0045】
片面読取が選択されていると判定された場合、S102において、CPU511は、ASIC510のモードレジスタ(不図示)に“1”をライトする。S103において、ASIC510は、モードレジスタの設定に基づいて、MODE選択信号にHighを出力し、S106において、読取動作を開始する。一方、両面読取が選択されていると判定された場合、S104において、CPU511は、ASIC510のモードレジスタ(不図示)に“0”をライトする。S105において、ASIC510は、モードレジスタの設定に基づいて、MODE選択信号にLowを出力し、S106において、読取動作を開始する。
【0046】
S107において、CIS308及びCIS309は、設定された信号に応じて、各読取モードに対応したアナログ画像データを出力し、S108に進む。なお、S107の出力は、
図7及び
図9において説明したように実行される。
【0047】
S108において、ASIC510は、受け付けたジョブに基づいて、片面読取もしくは両面読取のいずれの読取モードが選択されているかを判定する。片面読取が選択されていると判定された場合(S108にてYES)、S109において、スイッチングゲート315、316にMODE選択信号がHighとして入力される。その結果、
図8に示すように、可変チャンネルのアナログ画像データは、スイッチングゲート315、316で遮断され、S111へ進む。一方、両面読取が選択されていると判定された場合(S108にてNO)、S110において、スイッチングゲート315、316にMODE選択信号がLowとして入力される。その結果、
図10に示すように、可変チャンネルのアナログ画像データはスイッチングゲート315、316をそれぞれ通過し、S111へ進む。
【0048】
S111において、スイッチングゲート317~319に入力されるMODE選択信号の入力値に従い、スイッチングゲート317~319は、AFE310及びAFE311に入力するアナログ画像データを選択する。そして、選択されたアナログ画像データがAFE310及びAFE311に入力され、S112へ進む。なお、S109~S111では、
図7~
図10において説明したような動作が行われる。
【0049】
S112において、ASIC510は、CIS308、CIS309から出力されたアナログ画像データをデジタル画像データ(デジタル信号とも呼ぶ)に変換する。S113において、ASIC510は、S112にて変換されたデジタル画像データを用いて、各読取モードに対応した画像処理を行い、S114において、読取動作を終了する。その後、
図11の処理を終了する。
【0050】
以上のように、同時両面読取りに対応した画像読取装置100において、片面読取モードにおいて専用の切替機能を持たないイメージセンサICを用いたとしても、CISの出力チャンネルをAFEが持つ入力チャンネル全てに割り当てることができる。その結果、CISのそれぞれの出力チャンネルから出力されたアナログ画像データを並列にAFEの入力チャンネルに入力させることができ、
図7及び
図9に示すように、片面読取における読取速度を両面読取に比べて高速化することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、表面用のCIS308の出力を4ch、裏面用のCIS309の出力を2chとして構成しているがこれに限定するものではない。例えば、画像読取装置100が扱う用紙のサイズ等に応じて、他のチャンネル数で構成してもよい。
【0052】
[第2実施形態]
[画像読取装置の全体構成]
以下、第1実施形態と異なる点について第2実施形態を説明する。第1実施形態では、2つのCISを使用することで原稿の表面と裏面を同時に読み取る画像読取装置100において、片面読取における処理効率を向上させることができると説明した。本実施形態では、例えば大判スキャナのように幅広の原稿を複数個のCISを主走査方向に複数個並べて読み取る画像読取装置100において、CISの読取可能な領域より狭い領域(より小さなサイズの原稿)の読取の処理効率を向上させることができる。
【0053】
図12は、第2実施形態における画像読取装置100のCISと原稿の配置を示す図である。CIS1300~1303は解像度300dpiのときの読取画素数が224画素であるイメージセンサIC1325を主走査方向に12個並べた構成である。各CISの読取長は、例えば約22.7mmとする。各CISは主走査方向に並べて配置されるが、各CISのつなぎ目部分においては、組付けのばらつきも考慮し、
図12に示すように副走査方向にオーバーラップさせることによって千鳥配列としている。そして、原稿を矢印Bの方向に搬送することで、CIS1300~1303でA0サイズ(約84cm)の原稿を読み取る。本実施形態では、
図12に示すように、CIS1301、CIS1302のみを用いてA2サイズ(約42cm)を読み取ることも可能であり、読取速度をA0サイズの読取速度よりも高速にすることができる。
【0054】
図13は、本実施形態における画像読取装置100の制御回路の内部構成の一例を示す図である。
図13では、画像読取装置100が読取機能及び印刷機能を有する複合機(以下、MFPとする)に構成されている例を説明する。読取機能以外の機能は
図2と同様であるためその説明を省略し、読取機能のみを説明する。また、画像読取装置100は、
図13に示す構成に限られず、読取機能のみを有する画像読取装置であってもよいし、さらにFAX機能等を備えてもよい。
【0055】
CIS1300~CIS1303から出力されたアナログ画像データは、結線制御部1324を介してアナログ信号処理部1304(AFE1304)~アナログ信号処理部1307(AFE1307)に入力される。結線制御部1324は、スイッチングゲート1312~1321を含んで構成される。各スイッチングゲートは、2つの入力端子からどちらか一方を選択して1つの出力端子から出力するように構成されている。
【0056】
AFE1304~AFE1307はそれぞれ2つの入力チャンネルを有する。AFE1304~AFE1307は、ASIC510に接続される。CIS1301及びCIS1302はアナログ画像データの出力チャンネルを4ch有しており、出力制御部1322、1323それぞれによりアナログ画像データの出力タイミングが切替可能である。タイミングの詳細については後述する。CIS1300及びCIS1303は、アナログ画像データの出力チャンネルを2ch有する。CPU511が不図示のレジスタに設定値をライトすることで、タイミング信号生成部301は、CIS1300~CIS1303に対して、それぞれを駆動するために必要な水平同期信号SHやクロック信号を供給する。さらには、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号を出力制御部1322及び1323、結線制御部1324に供給する。
【0057】
MODE選択信号は、ユーザーが操作部104または外部装置520により選択可能なA2サイズ読取モードもしくはA0サイズ読取モードに応じて、CPU511が不図示のレジスタに設定値を書き込むことで生成される。例えば、A2サイズ読取モードであれば、CPU511は不図示のレジスタに1を書き込むことでMODE選択信号としてHighレベルの信号が出力される。A0サイズ読取モードであれば、CPU511は不図示のレジスタに0を書き込むことで、MODE選択信号としてLowレベルの信号が出力される。本実施形態では、MODE選択信号の論理状態、即ち読取モードに応じて、出力制御部1322及び1323によりCIS1301及びCIS1302からのアナログ画像データの出力タイミングが切り替わる。さらに、結線制御部1324によりAFE1304~AFE1307へ入力されるアナログ画像データの入力チャンネルが切り替わる。
【0058】
LED制御部304は、CIS1300~CIS1303が備える不図示のLEDの点灯制御を行う。点灯制御は、水平同期信号SHに同期したPWM制御により行われる。CIS1300~CIS1303、出力制御部1322及び1323、結線制御部1324、AFE1304~AFE1307については、詳細を後述する。なお、本実施形態では2つの入力チャンネルを持つAFEを4つ用いているが、4つの入力チャンネルを持つAFEを2つで構成してもよい。
【0059】
[CISの構成]
図14は、CIS1300の基板におけるイメージセンサICの接続構成を示す図である。基板上には、イメージセンサIC1325が12個(以下、Chip1~Chip12と呼ぶ)配置され、約22.7cmの読取対象(原稿)からの反射光が1度で読取可能なように配置されている。読み取られて生成されたアナログ画像データは2つの出力チャンネル(Vout1、Vout2)から出力される。イメージセンサIC1325の動作においてイメージセンサIC312に対して画素数が異なる点以外は第1実施形態における説明と同様である。
【0060】
図14において、Chip1~Chip6で読み取る領域をB1とする。読み取ったB1のアナログ画像データは、CIS1300が持つ出力チャンネルのうちVout1から順次出力される。また、Chip7~Chip12で読み取る領域をB2とする。読み取ったB2のアナログ画像データは、CIS1300が持つ出力チャンネルのうちVout2から順次出力される。
【0061】
図15は、CIS1301の基板におけるアナログ画像データの出力タイミングを選択的に切り替えるためのイメージセンサICの接続構成を示す図である。基板上には、イメージセンサIC1325が12個(以下、Chip13~Chip24と呼ぶ)配置され、約22.7cmの読取対象(原稿)からの反射光が1度で読取可能なように配置されている。読み取られて生成されたアナログ画像データは4つの出力チャンネル(Vout3~Vout6)から出力される。
【0062】
図15において、Chip13~Chip15で読み取る領域をA1とする。読み取ったA1のアナログ画像データは、CIS1301が持つ出力チャンネルのうちVout3から順次出力される。また、Chip16~Chip18で読み取る領域をA2とする。読み取ったA2のアナログ画像データは、CIS1301が持つ出力チャンネルのうちVout4から順次出力される。また、Chip19~Chip21で読み取る領域をA3とする。読み取ったA3のアナログ画像データは、CIS1301が持つ出力チャンネルのうちVout5から順次出力される。Chip22~Chip24で読み取る領域をA4とし、読み取ったA4のアナログ画像データは、CIS1301が持つ出力チャンネルのうちVout6から順次出力される。
【0063】
基板上には、出力制御部1322として、ORゲート1308、1309が構成される。ORゲート1308は、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号とChip15から出力されるnext信号を入力し、その論理和を出力する。出力された信号は、Chip16のst端子へ入力される。MODE=Highである場合、Chip16のst端子にHighが入力される。つまり、水平同期信号SHをトリガとしてChip16の画素の出力が開始される。MODE=Lowである場合、Chip16のst端子にChip15のnext信号が入力されるタイミング、つまり、Chip15から全画素が出力された後、Chip16の画素の出力が開始される。
【0064】
ORゲート1309は、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号とChip21から出力されるnext信号を入力し、その論理和を出力する。出力された信号は、Chip22のst端子へ入力される。MODE=Highである場合、Chip22のst端子にHighが入力される。つまり、水平同期信号SHをトリガとしてChip22の画素の出力が開始される。MODE=Lowである場合、Chip22のst端子にChip21のnext信号が入力されるタイミング、つまり、Chip21から全画素が出力された後、Chip22の画素の出力が開始される。
【0065】
図16は、CIS1302の基板におけるアナログ画像データの出力タイミングを選択的に切り替えるためのイメージセンサICの接続構成を示す図である。基板上には、イメージセンサIC1325が12個(以下、Chip25~Chip36と呼ぶ)配置され、約22.7cmの読取対象(原稿)からの反射光が1度で読取可能なように配置されている。読み取られて生成されたアナログ画像データは4つの出力チャンネル(Vout7~Vout10)から出力される。
【0066】
図16において、Chip25~Chip27で読み取る領域をA5とする。読み取ったA5のアナログ画像データは、CIS1302が持つ出力チャンネルのうちVout7から順次出力される。また、Chip28~Chip30で読み取る領域をA6とする。読み取ったA6のアナログ画像データは、CIS1302が持つ出力チャンネルのうちVout8から順次出力される。また、Chip31~Chip33で読み取る領域をA7とする。読み取ったA7のアナログ画像データは、CIS1302が持つ出力チャンネルのうちVout9から順次出力される。また、Chip34~Chip36で読み取る領域をA8とする。読み取ったA8のアナログ画像データは、CIS1302が持つ出力チャンネルのうちVout10から順次出力される。
【0067】
基板上には、出力制御部1323として、ORゲート1310、1311が構成される。ORゲート1310は、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号とChip27から出力されるnext信号を入力し、その論理和を出力する。出力された信号は、Chip28のst端子へ入力される。MODE=Highである場合、Chip28のst端子にHighが入力される。つまり、水平同期信号SHをトリガとしてChip28の画素の出力が開始される。MODE=Lowである場合、Chip28のst端子にChip27のnext信号が入力されるタイミング、つまり、Chip27から全画素が出力された後、Chip28の画素の出力が開始される。
【0068】
ORゲート1311は、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号とChip33から出力されるnext信号を入力し、その論理和を出力する。出力された信号は、Chip34のst端子へ入力される。MODE=Highである場合、Chip34のst端子にHighが入力される。つまり、水平同期信号SHをトリガとしてChip34の画素の出力が開始される。MODE=Lowである場合、Chip34のst端子にChip33のnext信号が入力されるタイミング、つまり、Chip33から全画素が出力された後、Chip34の画素の出力が開始される。
【0069】
図17は、CIS1303の基板におけるイメージセンサICの接続構成を示す図である。基板上にはイメージセンサIC1325が12個(以下、Chip37~Chip48と呼ぶ)配置され、約22.7cmの読取対象(原稿)からの反射光が1度で読取可能なように配置されている。読み取られて生成されたアナログ画像データは2つの出力チャンネル(Vout11、Vout12)から出力される。
【0070】
図17において、Chip37~Chip42で読み取る領域をB3とする。読み取ったB3のアナログ画像データは、CIS1303が持つ出力チャンネルのうちVout11から順次出力される。また、Chip43~Chip48で読み取る領域をB4とする。読み取ったB4のアナログ画像データは、CIS1303が持つ出力チャンネルのうちVout12から順次出力される。
【0071】
なお、出力制御部1322、1323については、ORゲートに限定されるものではない。例えばORゲート1308の代わりにMODE=HighのときにHighが出力され、MODE=LowのときにChip15のnext信号が出力されるようなスイッチが用いられても良い。
【0072】
[各読取モードの動作]
A2サイズ読取モードの動作を説明する。
図18は、A2サイズ読取モードにおけるCIS1300~CIS1303のアナログ画像データ出力のタイミングチャートを示す図である。
図19は、AFEへのアナログ画像データ入力のタイミングチャートを示す図である。
図20は、A2サイズ読取モードにおけるCIS1300~CIS1303から出力されるアナログ画像データが、スイッチングゲート1312~1321を介してAFE1304~AFE1307に入力されるまでの結線を示す図である。
図20では、CIS1300~CIS1303は、
図14~
図17に示した構成をそれぞれ簡略化している。AFE1304は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin1、Vin2とする。AFE1305は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin3、Vin4とする。AFE1306は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin5、Vin6とする。AFE1307は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin7、Vin8とする。
【0073】
A2サイズ読取モードにおけるCIS1300のアナログ画像データの出力について説明する。A2サイズ読取モードではCIS1300を使用しないため、CIS1300にはタイミング信号生成部301から水平同期信号SHなどの制御信号は供給しない。その結果、
図18に示すように、Vout1及びVout2の出力はHi-zとなる。
【0074】
A2サイズ読取モードにおけるCIS1301のアナログ画像データの出力について説明する。A2サイズ読取モードでは、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号をHigh固定で出力する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip13、Chip19のアナログ画像データ出力が開始する。一方、Chip16とChip22のst端子には、ORゲート1308、1309をそれぞれの出力によってHighが入力されているので、Chip16、Chip22のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip13、Chip16、Chip19、Chip22のnext信号が、それぞれChip14、Chip17、Chip20、Chip23のst端子に入力される。そして、Chip14、Chip17、Chip20、Chip23のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip14、Chip17、Chip20、Chip23のnext信号が、それぞれChip15、Chip18、Chip21、Chip24のst端子に入力される。そして、Chip15、Chip18、Chip21、Chip24のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip15、Chip18、Chip21、Chip24のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout3~Vout6はHi-zになる。
図18のVout3~Vout6は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0075】
A2サイズ読取モードにおけるCIS1302のアナログ画像データの出力について説明する。A2サイズ読取モードでは、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号をHigh固定で出力する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip25、Chip31のアナログ画像データの出力が開始される。一方、Chip28とChip34のst端子には、ORゲート1310、1311のそれぞれの出力によってHighが入力されているので、Chip28、Chip34のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip25、Chip28、Chip31、Chip34のnext信号が、それぞれChip26、Chip29、Chip32、Chip35のst端子に入力される。そして、Chip26、Chip29、Chip32、Chip35のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip26、Chip29、Chip32、Chip35のnext信号が、それぞれChip27、Chip30、Chip33、Chip36のst端子に入力される。そして、Chip27、Chip30、Chip33、Chip36のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip27、Chip30、Chip33、Chip36のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout7~Vout10はHi-zになる。
図18のVout7~Vout10は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0076】
A2サイズ読取モードにおけるCIS1303のアナログ画像データの出力について説明する。A2サイズ読取モードではCIS1303を使用しないため、CIS1303にはタイミング信号生成部301から水平同期信号SHなどの制御信号は供給しない。その結果、
図18に示すように、Vout11及びVout12の出力はHi-zとなる。
【0077】
なお、出力制御部1322、1323により出力タイミングが切り替わるチャンネル(Vout4、Vout6、Vout8、Vout10)を可変チャンネルと呼び、その他を固定チャンネルと呼ぶ。
【0078】
A2サイズ読取モードにおけるAFE1304~AFE1307へのアナログ画像データの入力について説明する。CIS1300~CIS1303から出力されるアナログ画像データは、スイッチングゲート1312~1321を介してAFE1304~AFE1307へ入力される。スイッチングゲート1312~1321はそれぞれ2つ入力端子を持ち、タイミング信号生成部301から出力されるMODE選択信号により出力する信号を選択する。AFE1304のVin1は、スイッチングゲート1316によりA1領域のアナログ画像データを通過させることにより、A1領域のアナログ画像データを入力する。AFE1304のVin2は、スイッチングゲート1312によりA1領域のアナログ画像データを遮断し、スイッチングゲート1317によりA2領域のみのアナログ画像データを通過させることにより、A2領域のアナログ画像データを入力する。
【0079】
AFE1305のVin3は、スイッチングゲート1318によりA3領域のアナログ画像データを通過させることにより、A3領域のアナログ画像データを入力する。AFE1305のVin4は、スイッチングゲート1313によりA3領域のアナログ画像データを遮断することで、A4領域のアナログ画像データを入力する。
【0080】
AFE1306のVin5は、スイッチングゲート1314によりA6領域のアナログ画像データを遮断することで、A5領域のアナログ画像データのみを入力する。AFE1302のVin6は、スイッチングゲート1319によりA6領域のアナログ画像データを通過させることにより、A6領域のアナログ画像データを入力する。
【0081】
AFE1307のVin7では、スイッチングゲート1315によりA8領域のアナログ画像データを遮断し、スイッチングゲート1320によりA7領域のみのアナログ画像データを通過させることにより、A7領域のアナログ画像データを入力する。AFE1307のVin8では、スイッチングゲート1321によりA8領域のアナログ画像データを通過させることにより、A8領域のアナログ画像データを入力する。
【0082】
次に、A0サイズ読取モードの動作を説明する。
図21は、A0サイズ読取モードにおけるCIS1300~1303のアナログ画像データ出力のタイミングチャートを示す図である。
図22は、AFEへのアナログ画像データ入力のタイミングチャートを示す図である。
図23は、A0サイズ読取モードにおけるCIS1300~CIS1303から出力されるアナログ画像データが、スイッチングゲート1312~1321を介してAFE1304~AFE1307に入力されるまでの結線を示す図である。
図23では、CIS1300~CIS1303は、
図14~
図17に示した構成をそれぞれ簡略化している。AFE1304は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin1、Vin2とする。AFE1305は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin3、Vin4とする。AFE1306は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin5、Vin6とする。AFE1307は2つの入力チャンネルを有しており、それぞれをVin7、Vin8とする。
【0083】
A0サイズ読取モードにおけるCIS1300のアナログ画像データの出力について説明する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip1、Chip7のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip1、Chip7のnext信号が、それぞれChip2、Chip8のst端子に入力され、Chip2、Chip8のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip2、Chip8のnext信号が、それぞれChip3、Chip9のst端子に入力され、Chip3、Chip9のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip3、Chip9のnext信号が、それぞれChip4、Chip10のst端子に入力され、Chip4、Chip10のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip4、Chip10のnext信号が、それぞれChip5、Chip11のst端子に入力され、Chip5、Chip11のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip5、Chip11のnext信号が、それぞれChip6、Chip12のst端子に入力され、Chip6、Chip12のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip6、Chip12のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout1~Vout2はHi-zになる。
図21のVout1、Vout2は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0084】
A0サイズ読取モードにおけるCIS1301のアナログ画像データの出力について説明する。A0サイズ読取モードでは、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号をLow固定で出力する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip13、Chip19のアナログ画像データの出力が開始される。なお、Chip16とChip22のst端子には、ORゲート1308、1309のそれぞれの出力によってChip15とChip21のnext信号がそれぞれ入力される。そのため、この時点では、出力は開始されず、
図21に示すように、Vout4及びVout6はHi-zとなる。アナログ画像データの出力が終わると、Chip13、Chip19のnext信号が、それぞれChip14、Chip20のst端子に入力され、Chip14、Chip20のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip14、Chip20のnext信号が、それぞれChip15、Chip21のst端子に入力され、Chip15、Chip21のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Vout3及びVout5はHi-zとなり、Chip15、Chip21のnext信号が、ORゲート1308、1309をそれぞれ介してChip16、Chip22のst端子に入力される。そして、Chip16、Chip22のアナログ画像データの出力が開始される。つまり、Chip16、Chip22の出力開始のタイミング(言い換えると、Vout4とVout6の出力開始のタイミング)がA2サイズ読取に対し、3chip分遅延して信号線上を伝送することになる。アナログ画像データの出力が終わると、Chip16、Chip22のnext信号が、それぞれChip17、Chip23のst端子に入力され、Chip17、Chip23のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip17、Chip23のnext信号が、それぞれChip18、Chip24のst端子に入力され、Chip18、Chip24のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip18、Chip24のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout4及びVout6はHi-zになる。
図21のVout3~Vout6は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0085】
A0サイズ読取モードにおけるCIS1302のアナログ画像データの出力について説明する。A0サイズ読取モードでは、タイミング信号生成部301は、MODE選択信号をLow固定で出力する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip25、Chip31のアナログ画像データの出力が開始される。なお、Chip28とChip34のst端子には、ORゲート1310、1311のそれぞれの出力によってChip27とChip33のnext信号がそれぞれ入力される。そのため、この時点では、出力は開始されず、
図21に示すように、Vout8及びVout10はHi-zとなる。アナログ画像データの出力が終わると、Chip25、Chip31のnext信号が、それぞれChip26、Chip32のst端子に入力され、Chip26、Chip32のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip26、Chip32のnext信号が、それぞれChip27、Chip33のst端子に入力され、Chip27、Chip33のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Vout7及びVout9はHi-zとなり、Chip27、Chip33のnext信号が、ORゲート1310、1311をそれぞれ介してChip28、Chip34のst端子に入力される。そして、Chip28、Chip34のアナログ画像データの出力が開始される。つまり、Chip28、Chip34の出力開始のタイミング(言い換えると、Vout8とVout10の出力開始のタイミング)がA2サイズ読取に対し、3chip分遅延することになる。アナログ画像データの出力が終わると、Chip28、Chip34のnext信号が、それぞれChip29、Chip35のst端子に入力され、Chip29、Chip35のアナログ画像のデータ出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip29、Chip35のnext信号が、それぞれChip30、Chip36のst端子に入力され、Chip30、Chip36のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip30、Chip36のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout8及びVout10はHi-zになる。
図21のVout7~Vout10は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0086】
A0サイズ読取モードにおけるCIS1303のアナログ画像データの出力について説明する。水平同期信号SHが入力されると、st端子がHigh固定になっているChip37、Chip43のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip37、Chip43のnext信号が、それぞれChip38、Chip44のst端子に入力され、Chip38、Chip44のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip38、Chip44のnext信号が、それぞれChip39、Chip45のst端子に入力され、Chip39、Chip45のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip39、Chip45のnext信号が、それぞれChip40、Chip46のst端子に入力され、Chip40、Chip46のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip40、Chip46のnext信号が、それぞれChip41、Chip47のst端子に入力され、Chip41、Chip47のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip41、Chip47のnext信号が、それぞれChip42、Chip48のst端子に入力され、Chip42、Chip48のアナログ画像データの出力が開始される。アナログ画像データの出力が終わると、Chip42、Chip48のnext信号が出力され(接続先はオープン)、Vout7~Vout8はHi-zになる。
図21のVout11、Vout12は、上記のアナログ画像データの出力を示している。
【0087】
A0サイズ読取モードにおけるAFE1~AFE4へのアナログ画像データの入力について説明する。
【0088】
AFE1304のVin1は、スイッチングゲート1316によりB1領域のアナログ画像データを通過させることにより、B1領域のアナログ画像データを入力する。AFE1304のVin2は、スイッチングゲート1317によりB2領域のアナログ画像データを通過させることにより、B2領域のアナログ画像データを入力する。
【0089】
AFE1305のVin3について、スイッチングゲート1312によりA1領域のアナログ画像データを通過させることでA1領域のアナログ画像データとA2領域のアナログ画像データがワイヤードオアされている。そして、AFE1305のVin3は、スイッチングゲート1318により、ワイヤードオアされたアナログ画像データを通過させることにより、A1領域およびA2領域のアナログ画像データを時系列に入力する。AFE1305のVin4について、スイッチングゲート1313によりA3領域のアナログ画像データを通過させることでA3領域のアナログ画像データとA4領域のアナログ画像データがワイヤードオアされている。そして、AFE1305のVin4は、A3領域およびA4領域のアナログ画像データを時系列に入力する。
【0090】
AFE1306のVin5について、スイッチングゲート1314によりA6領域のアナログ画像データを通過させることでA5領域のアナログ画像データとA6領域のアナログ画像データがワイヤードオアされている。そして、AFE1306のVin5は、A5領域およびA6領域のアナログ画像データを時系列に入力する。AFE1306のVin6について、スイッチングゲート1315によりA8領域のアナログ画像データを通過させることでA7領域のアナログ画像データとA8領域のアナログ画像データがワイヤードオアされている。そして、AFE1306のVin6は、スイッチングゲート1319により、ワイヤードオアされたアナログ画像データを通過させることにより、A7領域およびA8領域のアナログ画像データを時系列に入力する。
【0091】
AFE1307のVin7は、スイッチングゲート1320によりB3領域のアナログ画像データを通過させることにより、B3領域のアナログ画像データを入力する。AFE1307のVin8は、スイッチングゲート1321によりB4領域のアナログ画像データを通過させることにより、B4領域のアナログ画像データを入力する。
【0092】
また、本実施形態において、スイッチングゲート1312、1313はCIS1301のCIS基板上に配置しても良く、スイッチングゲート1314、1315はCIS1302のCIS基板上に配置しても良い。なお、スイッチングゲート1312~1315は2入力1出力のスイッチを用いているが、1入力1出力のスイッチでも良い。また、CIS1300及びCIS1303はアナログ画像データの出力チャンネルを2ch有するが、CIS1301またはCIS1302のようにアナログ画像データの出力チャンネルを4ch有し、且つ出力のタイミングを切り替えられる構成としても良い。
【0093】
[動作フロー]
図24は、本実施形態における画像読取装置100のスキャン動作を示すフローチャートである。
図24の処理は、例えば、CPU511がROM512に記憶されたプログラムをDRAM513に読み出して実行することにより実現される。S200において、CPU511は、ユーザーが画像読取装置100の操作部104や外部装置520を介して入力した、読み取る原稿サイズについてのジョブを受け付ける。ここでのジョブとしては、スキャンした画像のコピーを含んでもよい。S201において、CPU511は、受け付けたジョブに基づいて、A2サイズの読取かA0サイズの読取のいずれの読取モードが選択されているかを判定する。A2サイズの読取が選択されていると判定された場合(S201にてYES)、S202へ進み、A0サイズの読取が選択されていると判定された場合(S201にてNO)、S204へ進む。
【0094】
A2サイズの読取が選択されていると判定された場合、S202において、CPU511は、ASIC510のモードレジスタ(不図示)に“1”をライトする。S203において、ASIC510は、モードレジスタの設定に基づいてMODE選択信号にHighを出力し、S206において、読取動作を開始する。一方、A0サイズの読取が選択されていると判定された場合、S204において、CPU511は、ASIC510のモードレジスタ(不図示)に“0”をライトする。S205において、ASIC510は、ASIC510のモードレジスタの設定に基づいて、MODE選択信号にLowを出力し、S206において、読取動作を開始する。
【0095】
S207にて、CIS1300~CIS1303は、設定された信号に応じて、各読取モードに対応したアナログ画像データを出力し、S208に進む。なお、S207の出力は、
図18及び
図21において説明したように実行される。
【0096】
S208において、CPU511は、受け付けたジョブに基づいて、A2サイズの読取もしくはA0サイズの読取のいずれの読取モードが選択されているかを判定する。A2サイズの読取が選択されていると判定された場合(S208にてYES)、S209において、スイッチングゲート1312~1321にMODE選択信号がHighとして入力される。その結果、
図20に示すように、固定チャンネルVout3、Vout5のアナログ画像データは、スイッチングゲート1312、1313で遮断される。そして、可変チャンネルVout8、Vout10のアナログ画像データは、スイッチングゲート1314、1315で遮断され、S211へ進む。一方、A2サイズの読取が選択されていると判定された場合(S208にてNO)、S210において、スイッチングゲート1312~1321にMODE選択信号がLowとして入力される。その結果、
図23に示すように、固定チャンネルVout3、Vout5のアナログ画像データは、スイッチングゲート1312、1313をそれぞれ通過する。そして、可変チャンネルVout8、Vout10のアナログ画像データは、スイッチングゲート1314、1315をそれぞれ通過し、S211へ進む。
【0097】
S211において、スイッチングゲート1316~1321に入力されるMODE選択信号の入力値に従い、スイッチングゲート1316~1321は、AFE1304~AFE1307に入力するアナログ画像データを選択する。そして、アナログ画像データがAFE1304~AFE1307に入力され、S212へ進む。なお、S209~S211では、
図18~
図23において説明したような動作が行われる。
【0098】
S212において、CPU511は、CIS1300~1303から出力されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換する。S213において、ASIC510は、S212にて変換されたデジタル画像データを用いて、各読取モードに対応した画像処理を行い、S214において、読取動作を終了する。その後、
図24の処理を終了する。
【0099】
以上のように、大判原稿の読み取りに対応した画像読取装置100において、専用の切替機能を持たないイメージセンサICを用いたとしても、CISの出力チャンネルをAFEが持つ入力チャンネル全てに割り当てることができる。その結果、CISのそれぞれの出力チャンネルから出力されたアナログ画像データを並列にAFEの入力チャンネルに入力させることができる。そして、
図18及び
図19、
図21及び
図22に示すように、CISの読取幅(例えばA0サイズ)よりも狭い原稿サイズ(例えばA2サイズ)を読み取る際の読取速度を、大きい原稿サイズの読取に比べて高速化することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、4chのCISを2個、2chのCISを2個構成しているがこれに限定するものではない。例えば、画像読取装置100が対応可能な用紙のサイズ等に応じて、CISの数やチャンネル数を変更するようにしても良い。
【0101】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0102】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0103】
100 画像読取装置: 308、309、130、1301、1302、1303 CIS: 321、1324 結線制御部: 310、311、1304、1305、1306、1307 アナログ信号処理部: 510 ASIC: 511 CPU: 512 ROM: 513 DRAM