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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】建物ユニットの供給システム
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20241111BHJP
   B60P 3/022 20060101ALI20241111BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
E04B1/348 X
B60P3/022
G08G1/00 X
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020164571
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056691
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 宏
(72)【発明者】
【氏名】前田 珠希
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】西塔 純人
(72)【発明者】
【氏名】今橋 裕里奈
(72)【発明者】
【氏名】辻 千佳
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正夫
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230720(WO,A1)
【文献】特開2018-166260(JP,A)
【文献】特開平11-166268(JP,A)
【文献】特開2016-156214(JP,A)
【文献】特開2002-256715(JP,A)
【文献】特開平09-004236(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02569137(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04H 1/02
E04H 1/04
E04G 21/14
E04G 23/06
B60P 3/022
B23P 21/00
G08G 1/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の居住空間を有し、地上階に凹部が形成された建物本体と、
前記凹部に収容され、少なくとも1つの居住空間を有した建物ユニットと、
前記建物ユニットを前記建物本体まで搬送する搬送車両と、
を備えた建物ユニットの供給システムであって、
前記搬送車両は、前記建物ユニットを載置して走行する車両本体と、前記車両本体に搭載され、前記車両本体の走行を制御する制御装置と、を備えており、
前記供給システムは、前記制御装置に、前記建物本体の位置情報を入力するユニット管理サーバをさらに備えており、
前記制御装置は、前記ユニット管理サーバから入力された前記建物本体の位置情報に基づいて、前記車両本体を前記建物本体まで自動走行制御し、
前記供給システムは、前記建物本体に前記建物ユニットを設置する設置要求、および前記建物本体に設置された前記建物ユニットを撤去する撤去要求のうち、いずれかの要求を、前記搬送車両に行うリクエスト端末をさらに備え、
前記制御装置は、前記リクエスト端末からの要求に応じて、前記建物本体まで前記車両本体を走行させ、
前記供給システムは、前記建物ユニットとして、前記居住空間の内装が異なる複数の建物ユニットを有しており、
前記リクエスト端末は、前記複数の建物ユニットのうち、前記建物本体に収容する前記建物ユニットを選択し、選択した前記建物ユニットの前記設置要求を、前記ユニット管理サーバに送信し、
前記制御装置は、前記ユニット管理サーバが受信した前記設置要求に基づいて、前記建物本体まで前記搬送車両を走行させ、
前記供給システムは、前記複数の建物ユニットから、1つの建物ユニットを選択し、選択した建物ユニットを、前記車両本体に載置する載置装置をさらに備えており、
前記ユニット管理サーバは、前記リクエスト端末から受信した前記設置要求を、前記載置装置に送信し、
前記載置装置は、受信した前記設置要求に基づいた前記建物ユニットを選択し、前記車両本体に載置することを特徴とする建物ユニットの供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物本体に建物ユニットを供給する供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、災害時の住宅等の用途限定構造を有したキャビン体を、供給する供給システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この供給システムは、内部に用途限定構造を備えた搬送可能なキャビン体を、広域地域の複数の配備拠点に分散配備するシステムである。供給システムは、キャビン体の種類と数量を選択出力可能にした配備情報端末と、被災地の情報を発信する被災地情報端末と、被災地情報を入力し記憶し登録し、配備情報端末手段に入力して選択された種類と数量のキャビン体の出動情報を出力する出動情報端末と、を備えている。出動情報端末は、被災地情報までの搬送ルートを選択し、これを出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-166260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す供給システムは、キャビン体を搬送しているが、このキャビン体は、単体またはこれらの集合体で機能するが、既に建設された建物の一部として機能しない。したがって、快適な住居空間を構成するためには、種類の複数のキャビン体を準備し、これを設置しなければならない。さらに、このようなキャビン体の集合体は、被災地の支援を目的としたものであるため、住居者がこれまで暮らしてきた住居空間とは異なり、住居者にとって心地のよい住居空間とは言い難いものであった。
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、快適に居住することができる居住空間を提供することができる建物ユニットの供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、発明者は鋭意検討を重ねた結果、既に居住者が暮らす居住空間が形成された建物(建物本体)に対して、居住空間を有した建物ユニットを設置または撤去することができれば、これまでの住居者の快適な居住空間を保持しつつ、住居者の要求に応じた新たな居住空間を提供することができるとの考えに至った。
【0007】
本発明は、このような考えに基づくものであり、本発明に係る建物ユニットの供給システムは、複数の居住空間を有し、地上階に凹部が形成された建物本体と、前記凹部に収容され、少なくとも1つの居住空間を有した建物ユニットと、前記建物ユニットを前記建物本体まで搬送する搬送車両と、を備えた建物ユニットの供給システムであって、前記搬送車両は、前記建物ユニットを載置して走行する車両本体と、前記車両本体に搭載され、前記車両本体の走行を制御する制御装置と、を備えており、前記供給システムは、前記制御装置に、前記建物本体の位置情報を入力するユニット管理サーバをさらに備えており、前記制御装置は、前記ユニット管理サーバから入力された前記建物本体の位置情報に基づいて、前記車両本体を前記建物本体まで自動走行制御することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ユニット管理サーバから入力された建物本体の位置情報に基づいて、建物ユニットを車両本体に載置した状態で、建物本体まで車両本体を自動走行制御(自立走行)により走行させることができる。これにより、既設の建物本体の凹部に、建物ユニットを設置することができる。建物ユニットを撤去する場合には、建物本体に搬送車両を移動させ、搬送車両に建物ユニットを載置し、これを搬送する。このようにして、既に居住者が暮らす居住空間が形成された建物本体に対して、居住空間を有した建物ユニットを設置または撤去することができる。この結果、これまでの住居者の快適な居住空間を保持しつつ、住居者の要求に応じた新たな居住空間を提供することができる。
【0009】
より好ましい態様としては、前記供給システムは、前記建物本体に前記建物ユニットを設置する設置要求、および前記建物本体に設置された前記建物ユニットを撤去する撤去要求のうち、いずれかの要求を、前記搬送車両に行うリクエスト端末をさらに備え、前記制御装置は、前記リクエスト端末からの要求に応じて、前記建物本体まで前記車両本体を走行させる。
【0010】
この態様によれば、建物本体の住居者等によるリクエスト端末からの要求により、ユニット管理サーバを介して、建物本体まで車両本体を走行させることができる。これにより、車両本体に載置された建物ユニットを、所望のタイミングで、建物本体の凹部に簡単に設置したり、設置した建物ユニットを、所望のタイミングで、建物本体の凹部から簡単に撤去したりすることができる。
【0011】
より好ましい態様としては、前記供給システムは、前記建物ユニットとして、前記居住空間の内装が異なる複数の建物ユニットを有しており、前記リクエスト端末は、前記複数の建物ユニットのうち、前記建物本体に収容する前記建物ユニットを選択し、選択した前記建物ユニットの前記設置要求を、前記ユニット管理サーバに送信し、前記制御装置は、前記ユニット管理サーバが受信した前記設置要求に基づいて、前記建物本体まで前記搬送車両を走行させる。
【0012】
この態様によれば、建物本体の住居者等は、内装の異なる複数の建物ユニットから、要求にあった居住空間を有した建物ユニットを選択し、選択した建物ユニットの設置要求を、リクエスト端末を介して、ユニット管理サーバに送信することができる。これにより、制御装置は、選択した建物ユニットを載置した搬送車両を、建物本体まで搬送することができる。
【0013】
より好ましい態様としては、前記供給システムは、前記複数の建物ユニットから、1つの建物ユニットを選択し、選択した建物ユニットを、前記車両本体に載置する載置装置をさらに備えており、前記ユニット管理サーバは、前記リクエスト端末から受信した前記設置要求を、前記載置装置に送信し、前記載置装置は、受信した前記設置要求に基づいた前記建物ユニットを選択し、前記車両本体に載置する。
【0014】
この態様によれば、建物の住居者等が、選択した建物ユニットの設置要求を、リクエスト端末を介して、ユニット管理サーバに送信すると、ユニット管理サーバは、載置装置に、設置要求を送信する。載置装置は、受信した設置要求に基づいた建物ユニットを選択し、これを車両本体に載置することができる。このようにして、建物ユニットの設置要求をしてから、建物本体に建物ユニットを搬送するまでの一連の作業を、自動化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る建物ユニットの供給システムによれば、快適に居住することができる居住空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る建物ユニットの供給システムの模式的概念図である。
図2】(a)および(b)は、図1に示す建物ユニットの住居空間の一例を示した図である。
図3図1に示す建物ユニットを建物本体に設置した状態を示した模式的概念図である。
図4図1に示す供給システムのブロック図である。
図5図1に示すユニット管理サーバのブロック図である。
図6図1に示す供給システムによる建物ユニットの供給のフロー図である。
図7図1に示す供給システムによる建物ユニットの撤去のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図1図7を参照しながら本発明の実施形態に係る供給システム1について説明する。
【0018】
本実施形態に係る供給システム1は、建物ユニット32を建物本体31に設置するためのシステムである。建物本体31は、木造、鉄骨造、またはRC造など建築された建物であり、複数の居住空間34Aを有している。本実施形態では、建物本体31は、複数階(2階以上)で構成される建物であり、建物本体31には、地上階に凹部33が形成されている。本実施形態では、凹部33は、建物本体31の一部がオーバハングすることにより、形成されている。
【0019】
建物本体31の凹部33は、建物ユニット32を配置するための空間となっているが、建物ユニット32を設置していない場合には、凹部33は、自動車などの駐車スペースとして利用されてもよい。本実施形態では、建物本体31のみで、住居可能な耐震基準を満たしている。建物本体31には、外部から、電力、上水、都市ガス等が供給されている。
【0020】
建物ユニット32は、図3に示すように、建物本体31の凹部33に収容されるものであり、少なくとも1つの居住空間34Bを有している。建物ユニット32は、管理工場10に複数管理されており、建物ユニット32の居住空間34Bは、図2(a)、(b)に示すように、居住者のニーズに合った様々な空間に設定されている。たとえば、図2(a)は、居住者のデスクワーク用に設定された居住空間34Bを示しており、図2(b)は、居住者のジムトレーニング用に設定された居住空間34Bを示しており、これらの居住空間34Bの内装が異なっている。
【0021】
この他にも、建物ユニット32には、図示しないが、蓄電池、飲料用のタンク、照明器具などが搭載されている。蓄電池は、建物本体31からの電力が供給できるように、建物本体31の電源に接続可能である。蓄電池を建物本体31の電源に接続することにより、蓄電池を充填することができる。また、飲料用のタンクは、建物本体31からの上水が供給できるように、建物本体31の上水の供給口に接続可能である。飲料用のタンクを上水の供給口に接続することにより、飲料用のタンクに、飲料水を貯蔵することができる。このように、蓄電池、飲料用のタンク等を設けることにより、建物ユニット32を緊急時の仮設住宅として利用することもできる。
【0022】
なお、建物ユニット32には、建物ユニット32を支持する複数の脚部36が設けられており、本実施形態では、脚部36は、建物ユニット32の底面の四隅に設けられている。脚部36は、建物ユニット32の底面に対して、上下方向に伸縮自在に調整可能となっている。
【0023】
これにより、後述する搬送車両40に載置した状態で建物ユニット32が搬送されているときに、脚部36を収縮させて、地面に脚部36を非接触にすることができる。一方、搬送車両40から建物ユニット32を取り外すときに、脚部36を伸展させることで、脚部36で建物ユニット32を支持し、建物ユニット32を搬送車両40から引き抜くことができる。建物ユニット32の底面に対して、脚部36を伸縮することができるのであれば、脚部36の構造は、特に限定されるものではなく、ネジ式のジャッキ構造、油圧式にジャッキ構造、電動式のジャッキ構造、入れ子式の構造などを挙げることができる。
【0024】
建物ユニット32の供給システム1は、建物本体31と建物ユニット32との他に、搬送車両40と、ユニット管理サーバ50とを備えており、必要に応じて、リクエスト端末35および載置装置60をさらに備えている。
【0025】
搬送車両40は、目標地点まで自動走行(自立走行)を行う無人の走行車両(AGV)である。搬送車両40の動力源は、エンジン、電動機、またはこれらを併用したもののいずれであってもよい。搬送車両40は、一般的に知られたAGVの車体構造および自動走行制御であるため、本明細書では、その詳細な説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、搬送車両40は、建物ユニット32を載置して走行する車両本体41と、車両本体41に搭載され、車両本体の走行を制御する制御装置42と、を備えている。車両本体41には、GPSアンテナ等の位置検出センサ43が取り付けられており、搬送車両40の位置情報(具体的には緯度および経度)を検出することができる。
【0027】
制御装置42に、後述するユニット管理サーバ50から建物本体31の位置情報が入力されると、制御装置42は、これを目標地点(目標座標)として、管理工場10から目標地点までの走行ルートを設定する。建物本体31の位置情報は、建物本体31の凹部33であることが好ましい。走行ルートの設定後、制御装置42は、位置検出センサ43による搬送車両40の位置情報が走行ルートに沿って変化するように、車両本体41(搬送車両40)を自動走行で、目標地点まで自動走行制御する。
【0028】
本実施形態では、制御装置42は、搬送車両40に建物ユニット32を搭載した状態で、建物ユニット32が、建物本体31の凹部33に収容されるように、搬送車両40を制御する。
【0029】
リクエスト端末35は、例えば、携帯端末、またはタブレット端末など、ネットワークに接続可能な端末であり、ユニット管理サーバ50に接続可能となっている。リクエスト端末35は、入力装置(図示せず)と表示装置(図示せず)とが一体となった、タッチパネル方式の端末である。
【0030】
リクエスト端末35には、建物本体31に建物ユニット32を設置する設置要求、および建物本体31に設置された建物ユニット32を撤去する撤去要求が表示されており、いずれかの要求を入力可能になっている。この入力を行うことにより、選択した要求を、ユニット管理サーバ50を介して、搬送車両40に行う。これにより、制御装置42は、リクエスト端末35からの要求に応じて、建物本体31まで車両本体41を走行することができる。
【0031】
上述した如く、本実施形態では、管理工場10には、居住空間34Bの内装が異なる複数の建物ユニット32、32、…が管理されている。リクエスト端末35は、複数の建物ユニット32、32、…のうち、建物本体31に収容する建物ユニット32を選択し、選択した建物ユニット32の設置要求を、ユニット管理サーバ50に送信する。なお、リクエスト端末35は、管理工場10で管理されている複数の建物ユニット32、32、…の居住空間34Bの内装の情報を、ユニット管理サーバ50から受信し、リクエスト端末35には、これらの情報が表示される。
【0032】
載置装置60は、管理工場10内に配置された装置である。本実施形態では、載置装置60は、クレーンであり、図4に示すように、装置本体61と制御装置62とを備えている。本実施形態では、制御装置62は、ユニット管理サーバ50を介して、複数の建物ユニット32、32、…から、1つの建物ユニット32を選択し、選択した建物ユニット32を、車両本体41まで搬送し、車両本体41に載置するように、装置本体61を制御する。
【0033】
具体的には、ユニット管理サーバ50は、リクエスト端末35から受信した設置要求を、載置装置60に送信する。装置本体61は、制御装置62により、受信した設置要求に応じた居住空間を有した建物ユニット32を選択して車両本体41まで搬送し、搬送した建物ユニット32を車両本体41に載置する。
【0034】
本実施形態では、ユニット管理サーバ50は、管理工場10内の建物ユニット32を管理するとともに、搬送車両40の制御装置42に、建物本体31の位置情報を入力し、搬送車両40に走行の指令を送信するサーバである。ユニット管理サーバ50は、搬送車両40の制御装置42、載置装置60の制御装置62、およびリクエスト端末35に、ネットワークを介して接続可能になっている。なお、本実施形態では、ユニット管理サーバ50は、管理工場10内に設けられているが、管理工場10の外部に設けられていてもよい。
【0035】
図5に示すように、ユニット管理サーバ50は、ソフトウエアとして、ユニット情報送信部51、要求受付部52、位置情報登録部53、ユニット管理部54、ユニット載置指令部55、および搬送指令部56を少なくとも備えている。
【0036】
ユニット情報送信部51は、リクエスト端末35から、管理工場10で管理されている建物ユニット32の情報を送信する。要求受付部52は、リクエスト端末35から要求される建物ユニット32の情報と、建物本体31の位置情報とを受信する。位置情報登録部53は、要求受付部52で受信した建物本体31の位置情報を登録する。
【0037】
ユニット管理部54は、載置装置60で搬送した建物ユニット32の情報から、管理工場10内の建物ユニット32の個数、居住空間の種類等の建物ユニット32の情報を管理する。なお、建物ユニット32の情報は、ユニット管理部54から、ユニット情報送信部51と、ユニット載置指令部55とに入力される。
【0038】
ユニット載置指令部55は、要求受付部52から要求された建物ユニット32の情報と、ユニット管理部54からの建物ユニット32の情報とを照合する。ユニット載置指令部55は、要求された建物ユニット32を搬送車両40まで搬送し、搬送車両40に載置するように、載置装置60の制御装置62に指令(制御信号)を送信する。
【0039】
搬送指令部56は、載置装置60から搬送車両40に建物ユニット32が載置された載置完了信号を受信すると、位置情報登録部53から搬送指令部56に、建物ユニット32の搬送の目標地点となる位置情報が入力される。搬送指令部56は、搬送車両40に、位置情報である目標地点まで走行する指令(制御信号)を送信する。
【0040】
以下に、本実施形態に係る供給システム1による建物ユニット32の供給のフローと、建物ユニット32の撤去のフローを、図6およぶ図7を参照して説明する。まず、ステップS501では、リクエスト端末35が、管理工場10内で管理されている建物ユニット32の情報を、ユニット管理サーバ50に要求する。ユニット管理サーバ50のユニット情報送信部51は、この要求により、この情報を受信する。
【0041】
ステップS502では、住居者等は、リクエスト端末35に表示された複数の建物ユニット32、32、…から、建物本体31に設置したい建物ユニット32を選択する。この選択を行うと、ステップS503では、リクエスト端末35から、ユニット管理サーバ50に、建物本体31の位置情報と、選択した建物ユニット32(すなわち要求した建物ユニット32)の情報を送信する。
【0042】
ステップS504では、ユニット管理サーバ50の要求受付部52が、リクエスト端末35から要求される建物ユニット32の情報と、建物本体31の位置情報とを受信する。ユニット載置指令部55は、要求された建物ユニット32を搬送車両40に載置するように、載置装置60の制御装置62に制御信号を送信する。
【0043】
ステップS505では、載置装置60は、選択された建物ユニット32を搬送車両40まで搬送し、これを搬送車両40に載置する。
【0044】
ステップS506では、ユニット管理サーバ50の搬送指令部56は、搬送車両40へ建物ユニット32の載置完了の信号を載置装置60から受信し、搬送車両40に、建物本体31の位置情報を入力し、建物ユニット32を搬送する指令(制御信号)を送信する。搬送車両40の制御装置42は、管理工場10から建物本体31までの走行ルートを設定する。
【0045】
ステップS507では、走行ルートに沿って、搬送車両40の自動走行が開始され、ステップS508では、搬送車両40が、目標地点である建物本体31に到着する。ステップS509では、搬送車両40に載置された建物ユニット32の脚部36を延ばし、建物ユニット32を、建物本体31の凹部33に設置する。ステップS510では、例えば、リクエスト端末35を介して、搬送車両40を建物ユニット32の下方から引き抜き、管理工場10に帰還させる。
【0046】
設置した建物ユニット32を撤去する場合には、図7に示すフローを実施する。まず、ステップS601で、リクエスト端末35から、建物ユニット32の撤去要求を受信する。ステップS602では、ユニット管理サーバ50の要求受付部52は、撤去要求を受信し、搬送指令部56は、建物本体31の位置情報に基づいて、搬送車両40に、建物本体31まで走行する指令(制御信号)を送信する。これにより、搬送車両40の自動走行が開始する。
【0047】
ステップS603では、搬送車両40が、目的地である建物本体31に到着する。ステップS604では、搬送車両40を建物ユニット32の下方に潜り込ませ、建物ユニット32の脚部36を縮めることにより、建物ユニット32を、搬送車両40に載置する。ステップS605では、例えば、リクエスト端末35を介して、建物ユニット32を載置した状態で搬送車両40を、管理工場10に帰還させる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、ユニット管理サーバ50から入力された建物本体31の位置情報に基づいて、建物ユニット32を車両本体41に載置した状態で、建物本体31まで車両本体41を自動走行制御(自立走行)により走行させることができる。
【0049】
これにより、搬送車両40で搬送した建物ユニット32を、既設の建物本体31の凹部33に設置することができる。また、建物ユニット32を既に設置している場合には、搬送車両40を建物本体31まで搬送し、搬送車両40に建物ユニット32を載置して搬送する。これにより、建物ユニット32を建物本体31から撤去することができる。
【0050】
このようにして、既に居住者が暮らす居住空間34Aが形成された建物本体31に対して、新たな居住空間34Bを有した建物ユニット32を設置または撤去することができる。この結果、これまでの住居者の快適な居住空間を保持しつつ、住居者の要求に応じた、快適な居住空間を提供することができる。
【0051】
さらに、建物本体の住居者等によるリクエスト端末35からの要求により、ユニット管理サーバ50を介して、建物本体31まで搬送車両40を走行させることができる。これにより、搬送車両40に載置された建物ユニット32を、所望のタイミングで、建物本体31の凹部33に簡単に設置したり、設置した建物ユニット32を、所望のタイミングで、建物本体31の凹部33から簡単に撤去したりすることができる。
【0052】
さらに、建物本体の住居者等は、リクエスト端末35を介して、内装の異なる複数の建物ユニット32、32、…から、要求にあった居住空間34Bを有した建物ユニット32を選択することができる。これにより、選択した建物ユニット32の設置要求を、リクエスト端末35を介して、ユニット管理サーバ50に送信する。
【0053】
ユニット管理サーバ50は、載置装置60に、設置要求を送信すると、載置装置60は、受信した設置要求に基づいた建物ユニット32を選択し、これを搬送車両40に載置し、建物ユニット32を載置した搬送車両40を、建物本体31まで搬送することができる。このようにして、建物ユニット32の設置要求をしてから、建物本体31に建物ユニット32を搬送するまでの一連の作業を、自動化することができる。これにより、選択した建物ユニット32を載置した搬送車両40を、建物本体31まで搬送することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0055】
1:供給システム、31:建物本体、32:建物ユニット、33:凹部、34A,34B:居住空間、35:リクエスト端末、40:搬送車両、41:車両本体、42:制御装置、50:ユニット管理サーバ、60:載置装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7