(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20241111BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20241111BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J11/70
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2020165461
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 孝一
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-170391(JP,A)
【文献】特開2001-347654(JP,A)
【文献】特開2017-064810(JP,A)
【文献】特開2002-127524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01,2/165-2/20,2/21-2/215,
11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能であり、前記記録媒体の前記交差方向における端部を検出する検出手段と、
前記搬送方向において前記記録ヘッドによる記録領域の下流側に位置し、前記交差方向に移動することで前記記録媒体を切断可能な切断手段と、
前記記録ヘッドと前記検出手段とを搭載し、前記交差方向に移動可能なキャリッジと、
を有する画像記録装置であって、
前記記録媒体を切断する切断動作のために前記切断手段を移動中に、前記検出手段が前記記録媒体の前記端部の位置を検出するように、前記検出手段の移動を制御する制御手段を有
し、
前記検出手段は、前記キャリッジが前記交差方向に移動することで、前記交差方向に移動することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記検出手段によって検出される前記端部の位置が、前記交差方向において前記切断手段による前記記録媒体の切断開始側の端部と同じ側である場合、
前記制御手段は、前記切断手段が前記記録媒体を切断する前、または、前記切断手段が前記記録媒体を切断し始めた後に、前記検出手段が前記端部の位置を検出するように、前記検出手段の移動タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記検出手段によって検出される前記端部の位置が、前記交差方向において前記切断手段による前記記録媒体の切断終了側の端部と同じ側である場合、
前記制御手段は、前記切断手段が前記記録媒体を切断し終える前に前記検出手段が前記端部の位置を検出するように、前記検出手段の移動タイミングを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記記録媒体の前記交差方向において、基準側の端部を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドによる画像の記録は、前記検出手段によって検出された前記基準側の端部の位置に基づいて行われることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記基準側の端部は、前記記録媒体の種類が変わった場合であっても、位置が変わらないことを特徴とする請求項4または5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記切断手段は、切断待機位置から前記交差方向における第1方向に移動することにより前記記録媒体を切断し、前記第1方向とは逆の第2方向に移動することにより、次の切断動作のための前記切断待機位置に戻ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項8】
記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能であり、前記記録媒体の前記交差方向における端部を検出する検出手段と、
前記搬送方向において前記記録ヘッドによる記録領域の下流側に位置し、前記交差方向に移動することで前記記録媒体を切断可能な切断手段と、
を有する画像記録装置であって、
前記記録媒体を切断する切断動作のために前記切断手段を移動中に、前記検出手段が前記記録媒体の前記端部の位置を検出するように、前記検出手段の移動を制御する制御手段を有し、
前記切断手段は、前記交差方向における第1方向に位置する切断待機位置から前記第1方向とは逆の第2方向に移動すること、および、前記第2方向に位置する切断待機位置から前記第1方向に移動すること、により、前記記録媒体を切断可能に構成され、
前記制御手段は、前記切断手段の前記切断待機位置に応じて前記検出手段の移動タイミングを制御することを特徴とす
る画像記録装置。
【請求項9】
前記切断手段は、前記切断待機位置である第2待機位置と、前記第2待機位置より前記記録媒体に近くに位置する第1待機位置とで待機が可能であり、
少なくとも、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への前記画像の記録の開始前には、前記切断手段は前記第2待機位置に位置し、
前記制御手段は、前記記録媒体の前記搬送方向における先端位置が前記切断手段より搬送方向において下流側に搬送された後に前記切断手段を前記第2待機位置から前記第1待機位置に移動させ、前記第1待機位置から前記切断動作のための前記切断手段の移動を開始させることを特徴とする請求項7または8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記切断手段の前記第2待機位置から前記第1待機位置への移動は、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への前記画像の記録が終了し、前記記録媒体を前記切断手段による切断位置へ搬送する搬送動作と並行して実行されることを特徴とする請求項9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記検出手段は、検出開始位置から移動することで前記端部の位置を検出するように構成され、
前記検出手段の前記検出開始位置への移動は、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への前記画像の記録が終了し、前記記録媒体を前記切断手段による切断位置へ搬送する搬送動作と並行して実行されることを特徴とする請求項9または10のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記切断手段の前記第2待機位置から前記第1待機位置への移動は、前記検出手段の前記検出開始位置への移動動作と並行して実行されることを特徴とする請求項11に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記検出手段による前記端部の検出は、前記切断手段による切断動作が行われるごとに実施されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項14】
記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能であり、前記記録媒体の前記交差方向における端部を検出する検出手段と、
前記搬送方向において前記記録ヘッドによる記録領域の下流側に位置し、前記交差方向に移動することで前記記録媒体を切断可能な切断手段と、
を有する画像記録装置であって、
前記記録媒体を切断する切断動作のために前記切断手段を移動中に、前記検出手段が前記記録媒体の前記端部の位置を検出するように、前記検出手段の移動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記切断手段による切断動作の終了後、前記記録媒体を搬送方向において上流側へ搬送することで、前記検出手段により前記記録媒体の先端位置を検出し、
予め設定されている切断位置と前記検出手段の位置との距離と、前記先端位置を検出するまでの搬送量と、に基づいて、前記設定されている切断位置の補正を行うことを特徴とす
る画像記録装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記先端位置の検出動作を、前記記録媒体が前記画像記録装置にセットされた後に実行することを特徴とする請求項14に記載の画像記録装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記先端位置の検出動作を、前記記録媒体が前記画像記録装置にセットされた後、および、次ページの印刷データがない場合に実行することを特徴とする請求項14に記載の画像記録装置。
【請求項17】
前記記録媒体を単位搬送量だけ搬送する搬送動作と、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への画像の記録動作と、を交互に行うことにより、印刷データに基づく印刷動作を実行することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を切断することが可能な画像記録装置の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の中には、A2以上の大判サイズのロール紙を記録媒体として用いるタイプの装置がある。このような装置においては、切断機構によって、ロール紙をページ毎にシート状に切断することが行われている。また、画像記録装置においては、記録媒体がセットされている位置(幅方向の位置)である紙端部位置の検出、及び、記録媒体の先端位置の検出を行い、記録媒体に対する画像の位置ズレを補正することが行われている。
【0003】
特許文献1には、記録媒体の紙端部位置、及び、先端位置の検出を行う技術が開示されている。特許文献1では、記録ヘッドを保持するキャリッジに、用紙検出センサとして、記録媒体に非接触で検出が行える反射型光学式センサを搭載している。そして、印刷が行われる前段階の一連の初期動作において、記録媒体上を用紙検出センサが走査することによって紙端部位置、及び、先端位置の検出が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、印刷動作開始前に、記録媒体の搬送動作を停止させた状態で、用紙検出センサを搭載しているキャリッジを記録媒体の紙端部位置に移動させて端部を検出することが行われる。一方で、印刷動作開始前には、キャリッジに搭載されている記録ヘッド及び記録媒体を画像記録開始位置へ移動させる準備動作が必要となる。つまり、紙端部検出処理を、印刷動作開始前の準備動作と同時に実行することができず、印刷動作全体のスループットが低下してしまう。
【0006】
本発明は、紙端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る画像記録装置は、記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能であり、前記記録媒体の前記交差方向における端部を検出する検出手段と、前記搬送方向において前記記録ヘッドによる記録領域の下流側に位置し、前記交差方向に移動することで前記記録媒体を切断可能な切断手段と、前記記録ヘッドと前記検出手段とを搭載し、前記交差方向に移動可能なキャリッジと、を有する画像記録装置であって、前記記録媒体を切断する切断動作のために前記切断手段を移動中に、前記検出手段が前記記録媒体の前記端部の位置を検出するように、前記検出手段の移動を制御する制御手段を有し、前記検出手段は、前記キャリッジが前記交差方向に移動することで、前記交差方向に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】画像記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】印刷開始から終了における状態の一例を示す説明図である。
【
図5】印刷開始から終了における画像記録手順を示すフローチャートである。
【
図6】印刷開始から終了における状態の一例を示す説明図である。
【
図7】印刷開始から終了における画像記録手順を示すフローチャートである。
【
図8】印刷開始から終了における画像記録手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0011】
<<第1実施形態>>
図1は、本実施形態の画像記録装置100の模式的斜視図である。
図2は、画像記録装置100の一部を拡大した図である。
図2(a)は、
図1を断面線IIa-IIaで切断した模式的断面図である。
図2(b)は、画像記録装置100を上部から見たXY平面の図である。本明細書において、Y方向は、記録媒体201の用紙搬送方向であり、+Y方向が下流側であり、-Y方向が上流側である。X方向は、用紙搬送方向に交差する方向(より詳細には、直交する方向)であり、-X方向側に、後述する基準位置が設定されている。Z方向は、重力方向であり、+Z方向が上方側であり、-Z方向が下方側である。
【0012】
以下、
図1及び
図2を参照して、画像記録装置100の概略構成を説明する。画像記録装置100は、記録媒体201としてロール紙を用いる。
図1に示すように、画像記録装置100は、本体部101と、本体部101を支える脚部102とを備える。本体部101の外観部には、記録媒体201の情報、及び、種々の記録情報等を表示及び設定可能な操作パネル103が配設されている。
【0013】
次に、
図2を参照して説明する。搬送ローラ1及び従動ローラ2は、記録媒体201を挟持し搬送する。搬送ローラ1及び従動ローラ2は、用紙搬送方向(Y方向)において、記録ヘッド3の上流側に配設された搬送ローラ対31である。搬送ローラ対31は、搬送ローラ1が、搬送モータ51(
図3)によって回転駆動されることにより記録媒体201を搬送する。
【0014】
用紙センサ21は、用紙搬送方向(Y方向)において、搬送ローラ対31の上流側に配設されている。用紙センサ21は、発光素子と受光素子とを備えており、発光素子から光を照射し、その反射光を受光素子で受光することにより、搬送路内における記録媒体201の有無を判別可能である。
【0015】
キャリッジ4は、記録ヘッド3、及び、端部検知センサ22を搭載する。キャリッジ4は、走査ガイドとしてのキャリッジシャフト5に沿って、用紙搬送方向(Y方向)に交差する交差方向であるX方向に往復移動可能に案内支持されている。端部検知センサ22は、様々なLEDを搭載しており、記録媒体201の上方から発光素子により光を照射し、その反射光を受光することにより、記録媒体201の有無、及び、厚さ等を検出することができる。これにより、透明なフィルム等の紙ではない媒体を含む多くの種類の記録媒体201の端部位置を検出することが可能に構成されている。端部検知センサ22は、記録媒体201のX方向の端部(幅方向の端部)を、X方向に移動することで検知することができる。また、端部検知センサ22を記録媒体201の用紙搬送領域に移動させておくことで、記録媒体201の用紙搬送方向(Y方向)の先端も端部検知センサ22で検知することができる。キャリッジ4は、スタンバイ状態の場合、
図2(b)に示す位置(キャリッジ待機位置という)にて待機する。
【0016】
プラテン6は、画像記録部(記録ヘッド3によって画像が記録される領域部分)において記録媒体201を裏面から案内支持し、記録ヘッド3と記録媒体201とのギャップを保証している。プラテン6には、複数の吸気孔が形成されており、これらの吸気孔は、ダクト7を介して吸引ファン52に接続されている。吸引ファン52を駆動することにより、プラテン6の吸気孔に吸引負圧が発生し、記録媒体201をプラテン6上に吸着保持することができる。
【0017】
カッター8は、用紙搬送方向(Y方向)において画像記録部の下流側に設けられ、X方向に往復移動可能に案内支持されている。本実施形態では、カッター8は、
図2(b)に示す-X方向側の位置(切断待機位置という)にスタンバイ状態で待機している。そして、カッター8は、カッターモータ53(
図3)によって、+X方向に移動することで、記録媒体201をX方向に切断することができる。つまり、カッター8によって、記録媒体201がY方向において所定長さとなるように切断される。
【0018】
記録媒体201に画像を記録する際、記録媒体201の用紙搬送方向の先端が搬送ローラ対31に挟持された状態で搬送モータ51(
図3)を回転駆動することにより、記録媒体201の先端が、画像記録部となるプラテン6上に所定量搬送される。画像記録部において、キャリッジ4の往動または復動による1ライン分のスキャンにより画像を記録すると、再び記録媒体201を搬送ローラ対31により用紙搬送方向(+Y方向)に所定ピッチだけ搬送する。そして、キャリッジ4を再び移動させて次のラインの画像記録を行う。これを繰り返してページ全体に画像が記録される。
【0019】
印刷動作が終了すると、記録媒体201は、搬送ローラ対31により所定の切断位置まで搬送される。即ち、記録媒体201の被切断位置(つまり、記録済みページの後端位置)が、カッター8による切断位置と一致するまで、記録媒体201を+Y方向に搬送させる。記録媒体201の切断位置までの搬送動作が終了すると、カッターモータ53(
図3)を回転駆動することにより、カッター8は、+X方向に移動し、記録媒体201の記録済みページを切断する。切断動作が終了すると、カッター8を-X方向に移動させることで、カッター8を
図2(b)に示す切断待機位置に戻し、カッター8は、スタンバイ状態となる。
【0020】
図3は、本実施形態の画像記録装置100の制御構成を示すブロック図である。画像記録装置100は、情報処理装置であるコンピュータ300からの指示に基づいて印刷動作を開始することが可能である。コンピュータ300は、プリンタドライバ301を有する。プリンタドライバ301は、印刷モード設定部302を有する。印刷モード設定部302は、記録媒体201の種類及び印刷品位等をユーザに設定させるためのものである。
【0021】
画像記録装置100は、制御部400を有する。制御部400は、搬送モータ51、吸引ファン52、カッターモータ53、キャリッジモータ54、記録ヘッド3、及び、端部検知センサ22の制御を行う。また、制御部400は、不図示のCPU、ROM、RAM、及び、モータドライバ等を具備しており、主制御部401、搬送制御部402、及び、画像形成制御部403を有する。主制御部401は、プリンタドライバ301から受信した印刷データに応じて、搬送制御部402及び画像形成制御部403に指令を与える。搬送制御部402は、吸引ファン52を駆動させた状態で搬送モータ51を駆動させて記録媒体201を搬送し、画像形成制御部403は、キャリッジモータ54と記録ヘッド3との連携を用いて、然るべき位置に画像を記録する。
【0022】
図4は、本実施形態の画像記録装置100において、印刷開始から終了における状態の一例を示す説明図である。
図4(a)~(g)は、この順で時系列の状態を示している。
図4(a)~(g)は、
図2(b)のように、画像記録装置100の上部から見たXY平面の図を示している。
図4を参照して、記録媒体201のX方向の紙端部位置の検出制御方法を説明する。
【0023】
図4(a)は、第1ページの印刷動作開始前の状態を示している。
図4(a)に示すように、記録媒体201において、記録ヘッド3及びカッター8が待機する側のX方向の端部のことを基準側端部X1とする。記録媒体201において、X方向の基準側端部X1とは反対側の端部のことを非基準側端部X2とする。記録媒体201の種類に応じて、記録媒体201の幅方向のサイズは変わり得るが、その場合、非基準側端部X2の位置が変わり、基準側端部X1の位置は変わらない。また、画像記録装置100は、画像を記録する場合、記録媒体201の基準側端部X1の位置をX方向の原点とし、その原点からの位置を指定することで、記録媒体201への画像の記録位置を設定する。このように、基準側端部X1は、画像を記録する記録制御における基準位置に対応する。
【0024】
図4(a)において、記録ヘッド3は、
図2(b)に示すキャリッジ待機位置から、記録媒体201の基準側端部X1側の画像記録走査開始位置に、移動している。即ち、記録ヘッド3は、
図2(b)に示すキャリッジ待機位置から+X方向に移動している状態である。また、記録媒体201は、画像記録開始位置まで用紙搬送方向(+Y方向)に搬送されている。
【0025】
図4(b)は、第1ページの印刷動作が終了した状態を示しており、記録ヘッド3のY方向の最上流ノズル位置から最下流ノズル位置までのノズルを使用して記録媒体201に対する印刷動作が終了している。尚、本図では、記録ヘッド3は、記録媒体201の非基準側端部X2側で印刷動作を終了しているが、基準側端部X1側で印刷動作を終了していてもよい。
【0026】
図4(c)は、第1ページの切断動作を実行する前の状態を示している。
図4(c)では、
図4(b)の状態から、記録媒体201の搬送、端部検知センサ22の移動、及び、カッター8の移動が行われている。
図4(c)は、制御部400が、記録媒体201を、
図4(b)に示す位置から、用紙搬送方向(+Y方向)に切断位置搬送量L1だけ搬送させた状態を示している。この切断位置搬送量L1は、カッター8の切断位置PCと第1ページの後端位置PB(被切断位置)との距離に相当する。
【0027】
また、
図4(c)に示すように、第1ページの印刷動作終了後から切断動作開始前までに実行される記録媒体201の切断位置への搬送の間に、制御部400は、端部検知センサ22を移動させる。即ち、制御部400は、キャリッジ4を移動させることで、端部検知センサ22を、
図4(b)に示す印刷動作終了位置から、
図4(c)に示す紙端部位置の検出開始位置へ移動させる。これにより、紙端部位置を検出する動作を開始する際に、端部検知センサ22が、速やかに紙端部位置を検出することができる。
【0028】
また、制御部400は、記録媒体201の切断位置への搬送の間に、カッター8を、
図4(c)の点線で示した第2待機位置(切断待機位置)から、第2待機位置よりも記録媒体201に近い位置となる実線で示した第1待機位置へ移動させる。これにより、第1ページの切断動作時、カッター8が切断するために移動する距離が短くなるので、切断時間を短縮することが可能となる。尚、第1ページの印刷動作中にカッター8が第1待機位置に位置していると、記録媒体201の用紙搬送方向の先端位置が切断位置PC近傍に搬送された際に、記録媒体201の紙浮き等により、記録媒体201とカッター8とが接触する虞がある。この場合、ジャムが発生してしまうことがある。そのため、本実施形態では、記録媒体201の用紙搬送方向の先端位置が、切断位置PCより用紙搬送方向において下流側に位置する状態となる記録媒体201の切断位置への搬送の間に、カッター8を第1待機位置に移動させている。尚、記録媒体201の切断位置PCへの搬送の間にカッター8を第1待機位置へ移動させる例を説明したが、これに限られない。記録媒体201の先端が切断位置PCより用紙搬送方向において下流側に位置する状態であれば、記録ヘッド3による印刷動作中にカッター8を第1待機位置に移動させてもよい。
【0029】
図4(d)は、カッター8が、第1ページを切断し始めた状態を示している。
図4(c)に示したように、記録媒体201の後端位置PBの、カッターの切断位置PCへの搬送が終了すると、カッター8は、制御部400による制御により、
図4(d)の点線で示した第1待機位置から+X方向に移動する。ここで、カッター8が、
図4(d)の実線で示す切断を開始し始めた位置にある場合、カッター8が記録媒体201を押すことにより、紙端部位置の検出領域近傍で記録媒体201が+Z方向に浮いたり、+X方向にズレたりする虞がある。そのため、
図4(d)に示すようにカッター8が記録媒体201を切断し始めたタイミングにおいて、端部検知センサ22にて紙端部位置を検出すると、誤検知する虞がある。尚、この現象は切断開始側の端部(本実施形態では基準側端部X1)で影響し、切断終了側の端部(本実施形態では非基準側端部X2)では影響しない。本実施形態では、カッター8が第1待機位置から+X方向に移動開始してから所定時間後(例えば0.1s後)に記録媒体201を切断し始めるように、制御部400による制御が行われている。
【0030】
図4(e)は、端部検知センサ22が紙端部位置を検出した状態を示している。
図4(d)に示すようにカッター8が記録媒体201を切断し始めた後、制御部400は、端部検知センサ22を-X方向に移動させる。これにより、端部検知センサ22は、記録媒体201の基準側端部X1を検出することができる。
【0031】
ここで、紙端部位置の検出領域近傍にはプラテン6が配設されている。記録媒体201はプラテン6の吸着力および記録媒体201の剛性により、記録媒体201が+Z方向に浮いたり、+X方向にズレたりすることが生じた場合であっても、すぐに元の位置に戻る。そのため、記録媒体201の紙端部位置の検出タイミングを、カッター8が切断し始めた後となるように設定することで、安定的に紙端部位置を検出することが可能である。つまり、端部検知センサ22の基準側端部X1の検出動作を、カッター8による切断開始の後にすることで、カッター8の切断開始時による記録媒体201の浮き又はズレが一時的に発生していたとしても、安定的に紙端部位置を検出することが可能である。本実施形態では、具体的には、カッター8が記録媒体201を切断し始めて0.25s後に端部検知センサ22が記録媒体201の基準側端部X1を検出するように、端部検知センサ22の移動タイミングを制御している。
【0032】
尚、記録媒体201の端部位置は、搬送ローラ対31により搬送されることで、記録媒体201の斜行により、または、記録媒体201自体がX方向に動くことにより、ズレることがある。そのため、ページ毎に記録媒体201の基準側端部X1を検出し、次のページのX方向の画像記録領域を補正することで、記録媒体201に対する画像の位置ズレを補正している。
【0033】
図4(f)は、第1ページの切断動作が終了した状態を示している。
図4(f)では、カッター8が実線で示した切断終了位置まで+X方向に移動することで、第1ページが第1ページの後端位置PBで切断されている。切断された記録物202は、自身の自重により排出される。
【0034】
図4(g)は、端部検知センサ22が、記録媒体201の用紙搬送方向の先端位置を検出した状態を示している。前述したように、端部検知センサ22は、記録媒体201のX方向の端部(幅方向の端部)の検出に加えて、記録媒体201の用紙搬送方向(Y方向)の先端位置も検出することができる。
図4(g)において、カッター8は、点線で示した切断終了位置から実線で示した第2待機位置まで-X方向に戻る動作(以下、戻り動作という)をした状態になっている。制御部400は、端部検知センサ22を記録媒体201上に移動させる。この状態で、制御部400は、記録媒体201を用紙搬送方向に対して戻し方向(-Y方向)に搬送することで、端部検知センサ22によって記録媒体201の先端位置を検出することができる。
【0035】
ここで、
図4(f)に示す記録媒体201の先端位置(即ち、カッター8の切断位置PC)から
図4(g)に示す記録媒体201の先端を検出した位置までの搬送距離をL2とする。理想的には、この搬送距離L2は、
図4(a)で示した端部検知センサ22から切断位置PCまでの用紙搬送方向の距離Ycと等しくなる。しかしながら、カッター8の取り付け位置のズレ、および、記録媒体201の剛度等の物性により、記録媒体201の後端位置PBが切断位置PCからズレてしまう場合がある。その場合、搬送距離L2は、端部検知センサ22からカッター8による切断位置PCまでの距離Ycと一致せず、切断位置がズレることになる。
【0036】
そこで、制御部400は、切断位置ズレΔYc=L2-Ycとして、次ページ以降、記録媒体201の画像記録開始位置および切断位置搬送量L1の搬送制御を補正している。具体例を用いて説明する。本実施形態では、端部検知センサ22からカッター8の切断位置PCまでの距離Ycを70mmとする。ここで、例えば、切断位置PCの位置が、搬送方向Yに対して+Y方向に1mmズレていたとすると、ΔYc=+1mm(=L2(71mm)-Yc(70mm))となる。この場合、次のページの切断位置搬送量をL1=L1(70mm)+ΔYc(1mm)=71mmとすることで、切断位置PCと後端位置PBとが一致することとなる。尚、このような端部検知センサ22による先端位置の検出動作は、基本的に、用紙セット後に1回実施すればよいが、次の印刷データを受信していない場合は、スループットに影響がない。このため、次の印刷データの受信がない場合に、再び端部検知センサ22による先端位置の検出動作を実行し、カット動作終了後に切断位置ズレΔYcを更新してもよい。一方、既に先端位置の検出動作を行っており、且つ、次の印刷データを受信している場合は、記録媒体201の先端位置の検出動作は実行しないように構成してよい。この場合、カッター8の戻り動作と同時に、第2ページの印刷動作開始前の状態となるように
図4(a)で示す位置に記録ヘッド3、及び、記録媒体201を移動させることができる。このように、第2ページの印刷開始前動作をカッター8の戻り動作と同時に実行することができるためスループットを向上させることが可能となる。
【0037】
尚、以上の説明は、第1ページの印刷開始から終了における状態の例であるが、第2ページ以降についても同様の制御を行うことが可能である。
【0038】
図5は、本実施形態における記録媒体201への印刷開始から終了における画像記録手順を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、制御部400に備えられているCPUが、ROMなどに記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することによって実施される。尚、各処理の説明における記号「S」は、フローチャートにおけるステップであることを意味する(以下、本明細書において同様である)。
図5に示すフローチャートは、画像記録装置100がプリンタドライバ301から印刷データを受信することで開始される。尚、画像記録装置100内部の記憶されている印刷データを画像記録装置100が取得することで開始されてもよい。
【0039】
S501において制御部400は、印刷データを受信すると、印刷動作を開始する。S502において、制御部400は、記録ヘッド3を画像記録走査開始位置に移動させ、且つ、記録媒体201を画像記録開始位置まで搬送する(
図4(a)参照)。次に、S503において制御部400は、記録ヘッド3を走査して1ライン分の画像を記録する。そして、その後S504において、制御部400は、次のラインの画像記録位置への搬送となる単位搬送量F分、記録媒体201を搬送する。そして、S505において制御部400は、記録ヘッド3を走査して、1ライン分の画像を記録する。このS504およびS505を、S506で最終ラインの画像記録が終了して、印刷終了と判定するまで、記録動作と搬送動作とを交互に繰り返し実行する(
図4(b)参照)。
【0040】
最終ラインの画像記録が終了すると、制御部400は、S507~S509において並行した処理を行う。S507において制御部400は、記録媒体201を切断位置搬送量L1分搬送する。即ち、記録媒体201のページの後端位置PBをカッター8による切断位置PCに移動させる。S508において制御部400は、このS507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作と並行して、端部検知センサ22を紙端部位置の検出開始位置へ移動させる。また、S509において制御部400は、このS507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作と並行して、カッター8を第2待機位置から第1待機位置へ移動させる。即ち、S507~S509により、
図4(c)に示す状態になる。
【0041】
S510において、制御部400は、少なくとも、S507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作が終了すると、切断動作となるカッター8の移動を開始する。S511において、制御部400は、カッター8が切断動作となる移動を開始して所定時間(T1時間)待機する。S511でのT1時間の待機の後に、S512において制御部400は、基準側端部X1の検出動作となる端部検知センサ22の移動を開始する。ここで、本実施形態では、カッター8は、第1待機位置から+X方向に移動を開始してから、0.1s後に記録媒体201を切断し始めるように制御している。一方、制御部400は、端部検知センサ22が紙端部位置の検出開始位置から移動を開始してから、0.2s後に基準側端部X1を検出するように制御している。本実施形態では、制御部400は、カッター8が記録媒体201を切断し始めて0.25s後に、端部検知センサ22が記録媒体201の基準側端部X1を検出するようにT1時間を設定している。このため、具体的には、カッター8が第1待機位置から+X方向に移動を開始してから、端部検知センサ22が移動開始するまでのT1時間を0.15sに設定している。つまり、カッター8が第1待機位置から+X方向に移動を開始してから0.35s(0.15s+0.2s)後に、端部検知センサ22が記録媒体201の基準側端部X1を検出するように制御される。これにより、次ページ以降の記録媒体201の画像記録開始位置が補正されることになる。
【0042】
S512の動作の後に、カッター8を動作させていることによる記録媒体201のページの後端位置PBでの切断が終了すると、S513およびS514の動作が並行して行われる。S513において制御部400は、カッター8の第2待機位置までの戻り動作を実行する。S514において制御部400は、S513のカッター8の第2待機位置までの戻り動作と並行して、端部検知センサ22による記録媒体201の用紙搬送方向の先端位置の検出動作を実行するかを判定する。実行しない場合、S513の処理が終了すると、本フローチャートを終了する。実行する場合、S515に進む。S515において制御部400は、端部検知センサ22を記録媒体201上に移動させた状態で、記録媒体201を用紙搬送方向に対して戻し方向(-Y方向)に搬送する。これにより、端部検知センサ22は、記録媒体201の先端位置を検出する。次いで、S516において制御部400は、S515で記録媒体201の先端位置を検出すると、切断位置ズレΔYcを更新する。これにより、次ページ以降の切断位置搬送量L1の搬送制御が補正されることになる。
【0043】
尚、本実施形態では、カッター8が記録媒体201を切断し始めて0.25s後に端部検知センサ22が記録媒体201の基準側端部X1を検出するようにT1時間を設定する例を説明したが、これに限られない。端部検知センサ22が、記録媒体201のX方向(幅方向)の端部位置を検出する際に、記録媒体201が安定していればよく、少なくとも、カッター8が記録媒体201を切断し始めたタイミングから、端部検知センサ22の検出タイミングがズレていればよい。
【0044】
また、本実施形態では、カッター8が移動を開始してT1時間後に、基準側端部X1の検出動作となる端部検知センサ22の移動を開始する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。端部検知センサ22の基準側端部X1の検出タイミングが、カッター8が記録媒体201を切断し始めた後になればよい。したがって、例えば、端部検知センサ22の紙端部位置の検出開始位置を-X方向に変更する。そして、端部検知センサ22が移動を開始してから0.35s後に基準側端部X1を検出するように制御すれば、カッター8の移動開始と、端部検知センサ22の移動開始のタイミングとが同時となるように制御してもよい。
【0045】
また、カッター8が移動を開始してから記録媒体201を切断し始めるまでに時間を要する場合は、カッター8が移動を開始してから切断し始める前に、記録媒体201の基準側端部X1を端部検知センサ22で検出するように制御してもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、紙端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることができる。即ち、カッター8が切断動作のための移動中に、端部検知センサ22が記録媒体201の幅方向の端部位置を検出するように、端部検知センサ22の検出タイミングを制御している。より詳細には、カッター8が記録媒体201を切断し始めた後に、端部検知センサ22が記録媒体201の幅方向の基準側端部X1を検出するように、検出タイミングを制御している。また、この端部位置の検出タイミングは、カッター8による切断動作が実行されている途中のタイミングとなる。このように、本実施形態では、記録媒体201の端部位置検出動作をカッター8の切断動作と並行して実行するように制御が行われる。これにより、ページ毎に画像の位置ズレを補正することができ、且つ、端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることができる。
【0047】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、カッター8が基準側である-X方向から非基準側である+X方向に移動することで、記録媒体201を切断する例を説明した。本実施形態では、カッター8が、非基準側である+X方向から基準側である-X方向に移動することで、記録媒体201を切断する例を説明する。そして、そのようなカッター8の移動中に、端部検知センサ22が基準側端部X1を検出する例を説明する。尚、第1実施形態と同じ構成要素に関しては、同一符号を用い、その説明は省略する。
【0048】
図6は、本実施形態の画像記録装置100において、印刷開始から終了における状態の一例を示す説明図である。
図6(a)~(g)は、この順で時系列の状態を示している。
図6(a)~(g)は、
図2(b)のように、画像記録装置100の上部から見たXY平面の図を示している。
図6を参照して、記録媒体201の紙端部位置の検出制御方法を説明する。
【0049】
図6において、カッター8の切断待機位置は、第1実施形態と異なり非基準側端部X2側に配設されている。そして、カッターモータ53によって、カッター8が-X方向に移動することで、記録媒体201を所定長さに切断することができる構成となる。
【0050】
図6(a)および
図6(b)は、カッター8の切断待機位置が、上述したように、第1実施形態と異なる点が相違するものの、記録制御および搬送制御は、
図4(a)および
図4(b)で説明した例と同様である。第1ページの印刷動作が終了した後の制御が、第1実施形態とは異なる。
【0051】
図6(c)は、第1ページの切断動作を実行する前の状態を示している。
図6(b)に示す記録媒体201の位置から、用紙搬送方向(+Y方向)に、切断位置搬送量L1だけ搬送させた状態を示している。また、
図6(c)に示すように、第1ページの印刷動作終了後から切断動作開始前までに実行される記録媒体201の切断位置搬送の間に、端部検知センサ22は、印刷動作終了位置から紙端部位置の検出開始位置へ移動する。また、
図6(c)に示すように、記録媒体201の切断位置搬送の間に、カッター8は、点線で示した第2待機位置から、記録媒体201に近い位置となる実線で示した第1待機位置へ移動する。尚、本実施形態のカッター8の第1待機位置は、記録媒体201の非基準側端部X2側となる。このため、第1待機位置は、記録媒体201の幅に応じて変化する。これは、記録媒体201の幅が異なる場合、基準側端部X1位置を基準としてセットするため、非基準側端部X2位置が、幅分で変化するためである。尚、記録媒体201のセット時に基準側端部X1と非基準側端部X2とを測定することで、記録媒体201の幅W(幅W=非基準側端部X2位置-基準側端部X1位置)は算出されている。
【0052】
図6(d)は、端部検知センサ22が、紙端部位置(基準側端部X1)を検出した状態を示している。
図6(c)に示す記録媒体201の切断位置への搬送が終了すると、カッター8は、
図6(d)の点線で示した第1待機位置から-X方向に移動する。本実施形態では、カッター8が移動を開始するのと同時に、端部検知センサ22を-X方向に移動することで、記録媒体201の基準側端部X1を検出している。ここで、本実施形態の記録媒体201の紙端部位置(基準側端部X1)の検出タイミングは、カッター8が記録媒体201を切断し終える前となるように設定される。これにより、安定的に紙端部位置を検出することが可能である。
【0053】
本実施形態では、検出する紙端部位置(基準側端部X1)が、カッター8による切断動作の終端位置となる。
図6(e)に示す第1ページを切断し終える状態の場合、第1ページの切断された領域の記録媒体201は、自重により垂れ下がり、紙端部位置の検出領域近傍で記録媒体201が+Z方向に浮いたりする虞がある。そのため、カッター8が記録媒体201を切断し終えるタイミングにおいて、端部検知センサ22にて紙端部位置を検出してしまうと、誤検知する虞がある。尚、この現象は切断終了側の端部(本実施形態では基準側端部X1)にて発生し、切断開始側の端部(本実施形態では非基準側端部X2)では発生しない。
【0054】
図6(e)に続く、
図6(f)および
図6(g)は、第1実施形態で説明した
図4(f)および
図4(g)とカッター8の移動方向が逆方向となるだけで、他は同じ制御である。
【0055】
図7は、本実施形態における記録媒体201への印刷開始から終了における画像記録手順を示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、
図5のフローチャートと同様に、制御部400に備えられているCPUが、ROMなどに記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することによって実行される。
図7に示すフローチャートも、
図5のフローチャートと同様に、印刷データを受信すると処理が開始される。尚、
図5の処理と同様の処理については、
図5の符号と同じ符号を付している。
【0056】
図7においてS501からS506までの処理は、第1実施形態と同様である。S506において最終ラインの画像記録が終了して、印刷が終了したと判定すると、制御部400は、S507~S508、およびS709において、並行した処理を行う。S507において制御部400が、記録媒体201を切断位置搬送量L1分搬送する制御は、第1実施形態と同様である。また、S508において制御部400が、このS507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作と並行して、端部検知センサ22を紙端部位置の検出開始位置へ移動させる制御も、第1実施形態と同様である。S709において制御部400は、S507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作と並行して、カッター8を第2待機位置から第1待機位置へ移動させる。本実施形態では、この第1待機位置が、非基準側端部X2側となる点で、第1実施形態と相違する。S508、S509、およびS709において、
図6(c)に示す状態となる。
【0057】
そして、制御部400は、少なくとも、S507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作が終了すると、S712およびS710の動作の並行処理を行う。S712において制御部400は、基準側端部X1の検出動作となる端部検知センサ22の移動を開始する。また、この動作と並行して、制御部400は、切断動作となるカッター8の移動を開始する。ここで、本実施形態では、カッター8は、移動を開始してから0.1s後に記録媒体201を切断し始め、0.8s後に記録媒体201の切断を終えるように制御されている。尚、紙端部位置の検出領域近傍で記録媒体201が+Z方向に浮くことにより紙端部位置を誤検知する虞があるのは、カッター8が移動を開始してから0.6s後以降の切断し終えるタイミングである。一方で、端部検知センサ22は、移動を開始してから0.2s後に基準側端部X1を検出するように制御されている。つまり、本実施形態では、カッター8の移動と並行して端部検知センサ22が移動を開始して紙端部位置を検出しても、記録媒体201の浮きが生じ得る前に検知が完了することになる。
【0058】
S710においてカッター8を動作させることで記録媒体201をページの後端位置PBで切断し終えると、S713に進み、制御部400は、カッター8を第2待機位置まで戻す動作(戻り動作)を実行する。この戻り動作と合わせてS514~S516の制御が行われるが、これらについては、第1実施形態と同様の制御であるので、説明を省略する。
【0059】
尚、本実施形態においては、カッター8が記録媒体201を切断し終える0.6s前に端部検知センサ22が記録媒体201の基準側端部X1を検出するように設定する例を説明したが、これに限られない。記録媒体201が安定していればよく、少なくとも、切断し終えるタイミングからズレていればよい。
【0060】
また、記録媒体201の幅が短い場合は、S709におけるカッター8の第2待機位置から第1待機位置への移動に時間がかかる。その場合、S507における記録媒体201の搬送動作と、S508における端部検知センサ22の移動動作とが終了していれば、S712の基準側端部X1の検出動作となる端部検知センサ22の移動を開始してもよい。したがって、記録媒体201の幅が短い場合でも、端部検知センサ22の検出開始位置への移動開始タイミングを早くすることで、カッター8が記録媒体201を切断し終えるより前に、端部検知センサ22が基準側端部X1を検出することが可能となる。尚、この場合、カッター8は、第1待機位置で停止せずに、そのままS701の切断動作となる移動動作を継続してもよい。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態では、カッター8が記録媒体201の非基準側端部X2から切断を開始する構成であっても、紙端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることができる。即ち、カッター8が、切断動作のための移動中に、端部検知センサ22によって記録媒体201の幅方向の端部位置を検出するように、端部検知センサ22の検出タイミングを制御している。より詳細には、カッター8が記録媒体201を切断し終える前に、端部検知センサ22が記録媒体201の幅方向の基準側端部X1を検出するように検出タイミングを制御している。このように、本実施形態では、記録媒体201の端部位置検出動作をカッター8の切断動作と並行して実行するように制御が行われる。これにより、ページ毎に画像の位置ズレを補正することができ、且つ、端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることができる。
【0062】
<<第3実施形態>>
第1実施形態及び第2実施形態では、カッター8による記録媒体201の切断方向が一方向である例を説明した。本実施形態では、カッター8による記録媒体201の切断方向が、双方向である例を説明する。尚、画像記録装置100の構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0063】
本実施形態におけるカッター8は、記録媒体201の基準側端部X1からでも、非基準側端部X2からでも切断可能に構成されている。そのため、カッター8の第2待機位置、及び、第1待機位置は、基準側端部X1側、及び、非基準側端部X2側に、それぞれ配設されている。従って、本実施形態では、カッター8の戻り動作が必要なくなり、戻り動作に要する時間が不要となり、印刷全般のスループットをより向上させることが可能である。
【0064】
図8は、本実施形態における記録媒体201への印刷開始から終了における画像記録手順を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、
図5及び
図7のフローチャートと同様に、制御部400に備えられているCPUが、ROMなどに記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することによって実行される。
図8に示すフローチャートも、
図5及び
図7のフローチャートと同様に、印刷データを受信すると処理が開始される。尚、
図5及び
図7の処理と同様の処理については、
図5及び
図7の符号と同じ符号を付している。
【0065】
図8においてS501からS506までの処理は、第1実施形態と同様である。S506において最終ラインの画像記録が終了して、印刷終了と判定すると、制御部400は、S507~S508、およびS809において、並行した処理を行う。S507において制御部400が、記録媒体201を切断位置搬送量L1分搬送する制御は、第1実施形態と同様である。また、S508において制御部400が、このS507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作と並行して、端部検知センサ22を紙端部位置の検出開始位置へ移動させる制御も、第1実施形態と同様である。S809において制御部400は、カッター8を第2待機位置から第1待機位置への移動を実行する。このときのカッター8の第2待機位置および第1待機位置が、基準側端部X1側または非基準側端部X2側となる点で、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。即ち、カッター8が、基準側端部X1側の第2待機位置で待機している場合は、基準側端部X1側の第1待機位置に移動する。一方、カッター8が、非基準側端部X2側の第2待機位置で待機している場合は、非基準側端部X2側の第1待機位置に移動する。
【0066】
次に、S820において制御部400は、カッター8の待機位置が基準側端部X1側であるかを判定する。カッター8が基準側端部X1側にある場合、第1実施形態と同様に、S510~S512の動作を行う。即ち、510において制御部400は、少なくとも、S507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作が終了すると、切断動作となるカッター8の移動を開始する。そして、カッター8が移動開始してT1時間後(S511)に、基準側端部X1の検出動作となる端部検知センサ22の移動を開始する(S512)。
【0067】
一方、カッター8の待機位置が非基準側端部X2側である場合、第2実施形態と同様に、S712およびS710の動作を行う。即ち、少なくとも、S507の記録媒体201の切断位置搬送量L1分の搬送動作が終了すると、制御部400は、S712において基準側端部X1の検出動作となる端部検知センサ22の移動を開始する。また、この移動動作と並行して、S710において制御部400は、切断動作となるカッター8の移動を開始する。
【0068】
そして、カッター8を動作させることで記録媒体201をページの後端位置PBで切断し終えると、カッター8が基準側端部X1側から切断した場合、非基準側端部X2側の第2待機位置へ移動する。一方、カッター8が非基準側端部X2側から切断した場合、基準側端部X1側の第2待機位置へ移動する。したがって、カッター8の戻り動作は実行しなくてよい。そのため、カッター8の待機位置はページ毎に切り替わる。
【0069】
その後、S514において制御部400は、端部検知センサ22による記録媒体201の先端位置の検出動作を実行するかを判定する。実行する場合、S515およびS516の動作を行い、実行しない場合、処理を終了する。S515およびS516の動作は、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0070】
尚、本実施形態において、記録媒体201の幅が狭い場合は、非基準側端部X2側のカッター8の第2待機位置は、記録媒体201の幅毎に設定してもよい。これは、記録媒体201の先端位置が切断位置PC近傍に搬送された際、記録媒体201の紙浮き等により記録媒体201とカッター8が接触しない位置であればよいためである。これにより、非基準側端部X2側におけるカッター8の第2待機位置から第1待機位置への移動にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0071】
以上、説明したように、本実施形態では、カッター8が、記録媒体201の基準側端部X1側、及び、非基準側端部X2側の両方向から切断する構成においても、紙端部位置の検出動作を含む印刷動作全体のスループットを向上させることができる。
【0072】
<<その他の実施形態>>
上述した実施形態では、端部検知センサ22が、記録ヘッド3を搭載しているキャリッジ4に搭載され、このキャリッジ4を移動させることで端部検知センサ22が移動する例を説明したが、これに限られない。例えば、端部検知センサ22は、記録ヘッド3を搭載しているキャリッジ4とは別の移動機構に搭載され、移動してもよい。また、上述した実施形態では、記録ヘッド3を搭載したキャリッジ4が往復走査することによって画像を記録する画像記録装置を例に挙げて説明したが、この例に限られない。記録媒体の幅方向に吐出口が配列されている、長尺のいわゆるラインヘッドを用いた画像記録装置であってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、記録媒体201への画像の記録位置を設定する際のX方向の原点を基準側端部X1(各図の紙面右側端部)とする例を説明した。ここで、記録媒体201への画像の記録位置を設定する際のX方向の原点を、非基準側端部X2(各図の紙面左側端部)としてもよい。即ち、端部検知センサ22は、記録媒体201の幅方向の位置が、記録媒体の種類に応じて変わり得る側の端部の位置を、ページ毎に検出するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
3 記録ヘッド
8 カッター
22 端部検知センサ
400 制御部