(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】携帯端末、脈波取得方法及び脈波取得プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
A61B5/02 310C
(21)【出願番号】P 2020181445
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 裕治
(72)【発明者】
【氏名】公平 徹
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-097237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0104997(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251935(US,A1)
【文献】国際公開第02/039893(WO,A1)
【文献】特開2015-066160(JP,A)
【文献】特開平08-280643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、
前記筐体の前面に設けられ、前記前面の法線方向視において前記光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、
重力加速度の方向を検知し、検知した前記重力加速度の方向を基に前記筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、
前記圧力センサ
によって検出
された圧力
が予め設定された許容範囲内であり、かつ、前記傾きセンサ
によって検出
された
前記重力加速度の方向が
前記背面の面内方向に沿った状態である場合に、前記光電センサに脈波を取得させる制御部と、を備える、
携帯端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧力センサが検出する圧力が前
記許容範囲外である場合に、前記圧力センサが検出する圧力が前
記許容範囲内となるように案内する、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記傾きセンサが検出する
前記重力加速度の方向が
前記背面の前記面内方向に沿っていない場合に、前記傾きセンサが検出する
前記重力加速度の方向が
前記背面の前記面内方向に沿う方向となるように案内する、
請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、
前記筐体の前面に設けられ、前記前面の法線方向視において前記光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、
前記筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、
前記圧力センサが検出した圧力を前記傾きセンサが検出した傾きに応じて補正する補正部と、
補正後の前記圧力が予め設定された許容範囲内である場合に、前記光電センサに脈波を取得させる制御部と、を備える、
携帯端末。
【請求項5】
前記制御部は、補正後の前記圧力が前記予め設定された許容範囲外である場合に、補正後の前記圧力が前記予め設定された許容範囲内となるように案内する、
請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記前面には、少なくとも一部が前記圧力センサと重畳するように表示部が設けられ、
前記制御部は、前記圧力センサの位置を示す位置画像を前記表示部に出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、前記筐体の前面に設けられ、前記前面の法線方向視において前記光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、
重力加速度の方向を検知し、検知した前記重力加速度の方向を基に前記筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、を備えるコンピュータが、
前記圧力センサが検出
する前記圧力が予め設定された許容範囲内であり、かつ、、前記傾きセンサが検出した
前記重力加速度の方向が
前記背面の面内方向に沿った状態である場合に、前記光電センサに脈波を取得させる、
脈波取得方法。
【請求項8】
板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、前記筐体の前面に設けられ、前記前面の法線方向視において前記光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、
重力加速度の方向を検知し、検知した前記重力加速度の方向を基に前記筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、を備えるコンピュータに、
前記圧力センサが検出
する前記圧力が予め設定された許容範囲内であり、かつ、、前記傾きセンサが検出した
前記重力加速度の方向が
前記背面の面内方向に沿った状態である場合に、前記光電センサに脈波を取得させる、
脈波取得プログラム。
【請求項9】
板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、前記筐体の前面に設けられ、前記前面の法線方向視において前記光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、前記筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、を備えるコンピュータが、
前記圧力センサが検出した圧力を前記傾きセンサが検出した傾きに応じて補正し、
補正後の前記圧力が予め設定された許容範囲内である場合に、前記光電センサに脈波を取得させる、
脈波取得方法。
【請求項10】
板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、前記筐体の前面に設けられ、前記前面の法線方向視において前記光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、前記筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、を備えるコンピュータに、
前記圧力センサが検出した圧力を前記傾きセンサが検出した傾きに応じて補正させ、
補正後の前記圧力が予め設定された許容範囲内である場合に、前記光電センサに脈波を取得させる、
脈波取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、脈波取得方法及び脈波取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脈波は、血管年齢やストレス等の健康にかかわる各種指標の判定に用いることができる。近年、光電脈波センサーを搭載したスマートフォン等の携帯端末が利用されている。このような携帯端末では、指等の生体を光電脈波センサーに押し当てることで脈波を取得することができる(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-526075号公報
【文献】特開2016-026518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォン等の携帯端末では、前面にはディスプレイが設けられることから、脈波取得に用いられる光電センサは背面に設けられることが多い。指尖等の生体から脈波を取得する場合、例えば、指尖等の生体を光電センサに対して脈波測定に好適な圧力で押し当てることで脈波が取得される。血管年齢やストレス等を脈波を基に判定するには、複数拍の脈波を取得することになるため、測定時間は10秒間またはそれ以上となる。このような測定時間の間、脈波取得に好適な圧力を維持して携帯端末の背面に設けられた光電センサに生体を押し当て続けることは、ユーザにとって困難である。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、背面に設けられた光電センサを用いてより高精度で脈波を取得できる携帯端末、脈波取得方法及び脈波取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような携帯端末によって例示される。本携帯端末は、板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、筐体の前面に設けられ、前面の法線方向視において光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、圧力センサが検出した圧力及び傾きセンサが検出した傾きが予め設定された許容範囲内である場合に、光電センサに脈波を取得させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、背面に設けられた光電センサを用いてより高精度で脈波を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスマートフォンの外観の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態における測定画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るスマートフォンの使用態様の一例を示す第1の図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るスマートフォンの使用態様の一例を示す第2の図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るスマートフォンの使用態様の一例を示す第3図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るスマートフォンの使用態様の一例を示す第4の図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るスマートフォンを用いた脈波測定の処理フローの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るスマートフォンの処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。実施形態に係る携帯端末は、例えば、以下の構成を備える。本実施形態に係る携帯端末は、板状に形成された筐体の背面に設けられ、接触する生体から脈波を取得する光電センサと、筐体の前面に設けられ、前面の法線方向視において光電センサと重なる位置に加えられる圧力を検出する圧力センサと、筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、圧力センサが検出した圧力及び傾きセンサが検出した傾きが予め設定された許容範囲内である場合に、光電センサに脈波を取得させる制御部と、を備える。
【0010】
携帯端末の前後方向の傾きに応じて携帯端末の自重の影響が圧力センサによって検出される圧力に生じる。そのため、携帯端末が前後に傾いていると、圧力センサが脈波取得に好適な圧力を示していても、光電センサに加えられている圧力が脈波取得に好適とは限らない。本携帯端末は、筐体の前後方向の傾きを検出する傾きセンサと、圧力センサが検出した圧力及び傾きセンサが検出した傾きが予め設定された許容範囲内である場合に光電センサに脈波を取得させることで、背面に設けられた光電センサを用いてより高精度で脈波を取得することができる。
【0011】
上記携帯端末をスマートフォンに適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、実施形態に係るスマートフォンの一方から見た外観(前面側の外観とする)と、他方から見た外観(背面側の外観とする)を例示する。
図1では、矢印によって、スマートフォン100の前面側と背面側が入れ替えて配置され、例示される。スマートフォン100は、板状の筐体110を有する。
図1には描かれていないが、筐体110の前面と背面との間の距離(厚み)は、前面または背面の外形寸法と比較して短い。
図1で紙面に向かって上側が筐体110の上側であり、紙面に向かって下側が筐体110の下側であると仮定する。以下、本明細書において、筐体110の上下方向をY方向、Y方向と直交する筐体110の幅方向をX方向とも称する。また、筐体110の厚み方向をZ方向とも称する。
【0012】
図1のように、筐体110の前面には、ディスプレイ113が設けられる。タッチパネル114は、ディスプレイ113上に重畳して設けられる。また、圧力検出パネル115は、例えば、ディスプレイ113とタッチパネル114との間に設けられる。圧力検出パネル115は、正面視において、Light Emitting Diode(LED)フォトディテクタ120と重畳する位置に配置される。ディスプレイ113の上側中央の位置にスピーカー111が設けられる。ディスプレイ113の下側中央の位置にマイクロ
フォン112が設けられる。前面が筐体110外面での第1面に相当する。
【0013】
筐体110の背面には、LEDフォトディテクタ120が設けられる。LEDフォトディテクタ120が設けられる位置は、例えば、筐体110を片手で把持し、把持した片手の指をLEDフォトディテクタ120に向けて伸ばすと、当該指の指先がLEDフォトディテクタ120の斜め下方からLEDフォトディテクタ120に達する位置である。
【0014】
図2は、実施形態に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。スマートフォン100は、Central Processing Unit(CPU)101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、スピーカー111、マイクロフォン112、ディスプレイ113、タッチパネル114及びLEDフォトディテクタ120を備える。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、スピーカー111、マイクロフォン112、ディスプレイ113、タッチパネル114及びLEDフォトディテクタ120は、接続バスによって相互に接続される。
【0015】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU101がマルチコア構成を有していてもよい。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われてもよい。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU101の少なくとも一部にアナログ回路が含まれてもよい。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであってもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。スマートフォン100では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、スマートフォン100は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102及び補助記憶部103は、スマートフォン100が読み取り可能な記録媒体である。
【0016】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0017】
補助記憶部103は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置及び外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0018】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。
【0019】
通信部104は、例えば、携帯電話回線やLocal Area Network(LAN)等のコンピュータネットワークとのインターフェースである。通信部104は、コンピュータネットワークを介して外部の装置と通信を行う。
【0020】
スピーカー111は、音声出力装置である。スピーカー111は、スマートフォン100を用いた通話において、通話相手の音声等の音を出力する。マイクロフォン112は、スマートフォン100を用いた通話において、ユーザの音声の入力を受け付ける。
【0021】
ディスプレイ113は、CPU101で処理されるデータや主記憶部102に記憶されるデータを表示する。ディスプレイ113は、例えば、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルである。ディスプレイ113は、「表示部」の一例である。
【0022】
タッチパネル114は、ユーザのスマートフォン100への指等によるタッチ操作が行われた際のタッチ位置を検出する。スマートフォン100は、タッチパネル114を備えることで、ユーザに対して直感的な操作環境を提供することができる。
【0023】
圧力検出パネル115は、指がディスプレイ113を押圧する圧力を検出する。スマートフォン100は、圧力検出パネル115に代えて、タッチパネル114によって指が押圧する圧力を検出してもよい。
【0024】
傾きセンサ116は、スマートフォン100の傾きを検出する。傾きセンサ116は、例えば、重力加速度の方向を検出し、検出した重力加速度の方向を基にスマートフォン100の傾きを検出する。傾きセンサ116としては、例えば、加速度センサやジャイロセンサを採用することができる。
【0025】
LEDフォトディテクタ120は、指から脈波(例えば、光電容積脈波(PPG))を取得するセンサである。LEDフォトディテクタ120は、指尖に照射した光の反射光を受光し、受光した反射光を基に脈波を取得する。指尖に光を照射する光源は、例えば、LEDである。LEDフォトディテクタ120は、「光電センサ」の一例である。指は、「生体」の一例である。
【0026】
<スマートフォン100の処理ブロック>
図3は、実施形態に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。スマートフォン100は、案内部11、タッチ位置取得部12、圧力取得部13、傾き取得部14、脈波取得部15、及び、設定情報記憶部16を備える。スマートフォン100は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記スマートフォン100の、案内部11、タッチ位置取得部12、圧力取得部13、傾き取得部14、脈波取得部15、及び、設定情報記憶部16等の各部としての処理を実行する。
【0027】
案内部11は、脈波取得の手順をユーザに案内する測定画面をディスプレイ113に表示させる。
図4は、実施形態における測定画面の一例を示す図である。測定画面200は
、位置案内アイコン201、圧力ゲージ202及び傾きゲージ203を含む。
【0028】
位置案内アイコン201は、脈波取得時にユーザの親指を置く位置を案内する。位置案内アイコン201が表示される位置は、正面視において、圧力検出パネル115と重なる位置である。脈波取得時には、例えば、位置案内アイコン201に右手の親指を置き、LEDフォトディテクタ120に右手の人差し指が置かれる。すなわち、スマートフォン100が片手でつままれた状態で、脈波が取得される。
【0029】
圧力ゲージ202は、ユーザが指等でディスプレイ113を押圧する圧力を視覚的に表示する。
図4に例示する圧力ゲージ202では、複数の四角形が横一列に並べられる。圧力ゲージ202では、複数の四角形のうち、検出した圧力に対応する四角形の色を他の四角形とは異なる態様で表示することで、ユーザが指等でディスプレイ113を押圧する圧力を視覚的表示することができる。なお、
図4の例では、ユーザが指等でディスプレイ113を押圧する圧力が1.5(N/m)から2.0(N/m)の範囲が、脈波取得に好適な圧力である場合が例示される。
【0030】
傾きゲージ203は、スマートフォン100の傾きを視覚的に表示する。スマートフォン100の傾きは、例えば、鉛直方向とスマートフォン100の筐体110とがなす角によって示すことができる。
図4に例示する傾きゲージ203では、複数の四角形が横一列に並べられる。傾きゲージ203では、複数の四角形のうち、検出したスマートフォン100の傾きに対応する四角形の色を他の四角形とは異なる態様で表示することで、スマートフォン100の傾きを視覚的表示することができる。なお、
図4の例では、スマートフォン100の前後方向における傾きが-5度から+5度の範囲が、脈波取得に好適な傾きである場合が例示される。
【0031】
タッチ位置取得部12は、ユーザによるタッチ操作が行われた位置を示す位置情報をタッチパネル114から取得する。位置情報は、例えば、タッチ位置に対応する座標である。
【0032】
圧力取得部13は、ユーザが指等でディスプレイ113を押圧する圧力を圧力検出パネル115から取得する。傾き取得部14は、スマートフォン100の傾きを傾きセンサ116から取得する。
【0033】
案内部11は、圧力取得部13が取得した圧力を圧力ゲージ202に表示する。また、案内部11は、傾き取得部14が取得した圧力を傾きゲージ203に表示する。案内部11は、このような処理によって、ディスプレイ113を押圧する圧力やスマートフォン100の傾きが脈波取得に好適な許容範囲内であるか否かをユーザに案内することができる。
【0034】
脈波取得部15は、圧力取得部13が取得した圧力及び傾き取得部14が取得した傾きのいずれもが脈波取得に好適な許容範囲内である場合に、LEDフォトディテクタ120から脈波を取得する。
【0035】
設定情報記憶部16には、各種の設定情報が記憶される。設定情報としては、例えば、脈波取得に好適な圧力の範囲、脈波取得に好適な傾きの範囲等を挙げることができる。
【0036】
<スマートフォン100の使用態様>
図5及び
図6は、実施形態に係るスマートフォンの使用態様の一例を示す図である。
図5及び
図6では、スマートフォン100をテーブル等の台に乗せずに脈波測定を行う場合が例示される。
図5は、スマートフォン100を前面側から見た状態を例示する。また、
図6は、スマートフォン100を側面から見た状態を例示する。
図5及び
図6では、スマートフォン100の筐体110が鉛直方向に沿った状態(筐体110が傾いていない状態)が例示される。スマートフォン100を用いた脈波測定は、例えば、右手の親指Y1が位置案内アイコン201の位置と接触し、右手の人差し指Y2がLEDフォトディテクタ120と接触した状態で行われる。
【0037】
スマートフォン100が傾いていない場合には、位置案内アイコン201の位置に配置される圧力検出パネル115が検出する圧力と、LEDフォトディテクタ120に加えられる圧力とは、略等しくなる。そのため、脈波取得部15は、LEDフォトディテクタ120に加えられる圧力が脈波取得に好適か否かを、圧力検出パネル115が検出する圧力を基に判定することができる。なお、
図5及び
図6では右手で脈波測定を行う場合について例示したが、脈波測定は左手で行われてもよい。
【0038】
図7及び
図8は、実施形態に係るスマートフォンの使用態様の一例を示す図である。
図7及び
図8では、スマートフォン100の下端をテーブルT1に乗せた状態で脈波測定を行う場合が例示される。スマートフォン100が前後方向のいずれかに傾いている場合、圧力検出パネル115に加えられる力F1と、LEDフォトディテクタ120に加えられる力F2とは一致しなくなる。すなわち、スマートフォン100の質量をM、重力加速度をg、スマートフォン100の上下方向と鉛直方向との角度をθとすると、力F2は、F1+Mg・sinθとなる。そのため、スマートフォン100が前後方向のいずれかに傾いている状態では、圧力検出パネル115が検出した圧力が脈波測定に好適な値を示しても、LEDフォトディテクタ120に加えられる圧力が脈波測定に好適であるとは限らないことになる。
【0039】
<スマートフォン100の処理フロー>
図9は、実施形態に係るスマートフォンを用いた脈波測定の処理フローの一例を示す図である。以下、
図9を参照して、スマートフォン100を用いた脈波測定の処理フローの一例について説明する。
【0040】
T1では、案内部11は、測定画面200をディスプレイ113に表示する。T2では、脈波取得部15は、LEDフォトディテクタ120が指を検出しているか否かを判定する。脈波取得部15は、例えば、LEDフォトディテクタ120に光を出射させ、その反射光を基に、指の検出の有無を判定することができる。指を検出している場合(T2でYES)、処理はT3に進められる。指を検出しない場合(T2でNO)、T2の処理が繰り返される。
【0041】
T3では、圧力取得部13は、圧力検出パネル115が指を検出しているか否かを判定する。圧力取得部13は、例えば、圧力検出パネル115が検出する圧力が閾値以上である場合に、指を検出したと判定することができる。指を検出した場合(T3でYES)、処理はT4に進められる。指を検出しない場合(T3でNO)、T3の処理が繰り返される。
【0042】
T4では、案内部11は、圧力取得部13が取得した圧力及び傾き取得部14が取得したスマートフォン100の傾きを測定画面200に出力する。
【0043】
T5では、圧力取得部13は、圧力検出パネル115に検出させた圧力が、設定情報記憶部16に記憶された、脈波取得に好適な圧力の範囲内であるか否かを判定する。脈波取得に好適な圧力の範囲内である場合(T5でYES)、処理はT6に進められる。脈波取得に好適な圧力の範囲内ではない場合(T5でNO)、処理はT8に進められる。
【0044】
T6では、傾き取得部14は、傾きセンサ116に検出させたスマートフォン100の傾きが、設定情報記憶部16に記憶された、脈波取得に好適な傾きの範囲内であるか否かを判定する。脈波取得に好適な傾きの範囲内である場合(T6でYES)、処理はT7に進められる。脈波取得に好適な傾きの範囲内ではない場合(T6でNO)、処理はT9に進められる。
【0045】
T7では、脈波取得部15は、LEDフォトディテクタ120を用いて、指から脈波を取得する。脈波取得部15が脈波を取得した期間が所定の取得期間に達した場合(T7でYES)、脈波取得が終了される。脈波取得部15が脈波を取得した期間が所定の取得期間に満たない場合(T7でYES)、処理はT4に進められる。
【0046】
T8では、案内部11は、指による圧力が測定に好適な圧力になるようにユーザを案内する。案内部11は、例えば、圧力が高すぎる場合には、指の力を弱める旨の案内文を測定画面200に出力してもよい。また、案内部11は、圧力ゲージ202によって、ユーザを案内してもよい。
【0047】
T9では、案内部11は、スマートフォン100の傾きが測定に好適な傾きになるようにユーザを案内する。案内部11は、例えば、スマートフォン100が前面側に傾いている場合には、スマートフォン100を背面側に傾ける旨の案内文を測定画面200に出力してもよい。また、案内部11は、傾きゲージ203によって、ユーザを案内してもよい。
【0048】
スマートフォン100は、T4からT9の処理を所定間隔で繰り返すことで、指による圧力やスマートフォン100の傾きの修正をユーザに促しながら、脈波取得を行うことができる。
【0049】
<実施形態の作用効果>
スマートフォン100が傾いている場合、圧力検出パネル115によって検出される圧力とLEDフォトディテクタ120に加えられる圧力とが一致しなくなる。そこで、本実施形態では、スマートフォン100が脈波測定に好適な角度であるか否かを案内部11が傾きゲージ203によって案内することで、ユーザにスマートフォン100の傾きを補正することを促す。脈波取得部15は、スマートフォン100の傾きが解消されることで、LEDフォトディテクタ120に加えられる圧力を高精度で判定することができる。ひいては、本実施形態によれば、スマートフォン100は脈波測定の測定精度を高めることができる。
【0050】
<変形例>
以上説明した実施形態では、スマートフォン100が傾いている場合には当該傾きを解消するようにユーザに案内した。変形例では、スマートフォン100が傾いている場合には、圧力検出パネル115が検出する圧力を当該傾きに応じて補正する。実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図面を参照して、変形例に係るスマートフォンについて説明する。
【0051】
図10は、変形例に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。変形例に係るスマートフォン100aは、補正部17を備える点で、実施形態に係るスマートフォン100とは異なる。
【0052】
補正部17は、傾き取得部14が取得した傾きに応じて、圧力取得部13が取得した圧力を補正する。補正部17は、例えば、スマートフォン100aが
図8に例示するように鉛直方向から角度θ傾いている場合、圧力取得部13が取得した圧力に対してMg・si
nθを加算することで、LEDフォトディテクタ120に加えられる圧力を算出する。
【0053】
図11は、変形例に係るスマートフォンの処理フローの一例を示す図である。以下、
図11を参照して、スマートフォン100aの処理フローの一例について説明する。
【0054】
W1では、補正部17は、傾きセンサ116が検出した傾きに基づいて、圧力検出パネル115が検出する圧力を補正する。W2では、案内部11は、W1による補正後の圧力を測定画面200に表示する。
【0055】
W3では、脈波取得部15は、W1による補正後の圧力が設定範囲内であるか否かを判定する。設定範囲内である場合(W3でYES)、処理はT7に進められる。設定範囲外である場合(W3でNO)、処理はW4に進められる。
【0056】
W4では、案内部11は、補正後の圧力が測定に好適な圧力になるようにユーザを案内する。案内部11は、例えば、補正後の圧力が高すぎる場合には、指の力を弱める旨の案内文を測定画面200に出力してもよい。また、案内部11は、圧力ゲージ202によって、ユーザを案内してもよい。
【0057】
変形例に係るスマートフォン100aによれば、スマートフォン100aが傾いていても、当該傾きに基づいて圧力を補正するため、脈波取得を高精度に行うことができる。
【0058】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0059】
<<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0060】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Recordable(CD-R)、Compact Disc-ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0061】
100、100a・・・スマートフォン
101・・・CPU
102・・・主記憶部
103・・・補助記憶部
104・・・通信部
111・・・スピーカー
112・・・マイクロフォン
113・・・ディスプレイ
114・・・タッチパネル
115・・・圧力検出パネル
116・・・傾きセンサ
110・・・筐体
120・・・LEDフォトディテクタ
11・・・案内部
12・・・タッチ位置取得部
13・・・圧力取得部
14・・・傾き取得部
15・・・脈波取得部
16・・・設定情報記憶部
17・・・補正部
200・・・測定画面
201・・・位置案内アイコン
202・・・圧力ゲージ
203・・・傾きゲージ