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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】電子モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20241111BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20241111BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20241111BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H05K1/02 N
H05K1/18 J
H01L25/00 B
H01L23/12 Q
H01L23/12 E
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020183685
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2021077884
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2019202692
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 琢也
(72)【発明者】
【氏名】山下 展輝
(72)【発明者】
【氏名】沼生 貴志
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-059696(JP,A)
【文献】特開2015-023134(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094062(WO,A1)
【文献】特開2006-196859(JP,A)
【文献】特開2007-173669(JP,A)
【文献】特開2005-129899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00- 1/02
H05K 1/18
H01L 23/12-23/15
H01L 25/00-25/07
H01L 25/10-25/11
H01L 25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、
内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、
前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、
前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、
前記プリント配線板は、
前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1電源線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2電源線部と、を有し、
前記第1電源線部は、第1電源ヴィアパッドと、前記第1電源ヴィアパッドに電気的に接続された第1電源パッドと、を含み、
前記複数の第2電源線部の各々は、第2電源ヴィアパッドと、前記第2電源ヴィアパッドに電気的に接続された第2電源パッドと、を含み、
前記第1電源ヴィアパッドの中心と前記第1電源パッドの中心との間の配線長が、前記第2電源ヴィアパッドの中心と前記第2電源パッドの中心との間の配線長よりも長い、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
前記第1電源ヴィアパッドの中心と前記第1電源パッドの中心との間の配線長が、前記第2電源ヴィアパッドの中心と前記第2電源パッドの中心との間の配線長よりも0.3mm以上長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記第1電源線部は、前記第1電源ヴィアパッドと前記第1電源パッドとをつなぐ第1電源パターンを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記第1電源パターンがミアンダ状に配線されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記プリント配線板は、
前記第1電源パターンに絶縁体層を挟んで対向して配置された開口部を有するグラウンドプレーンを備える、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電子モジュール。
【請求項6】
第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、
内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、
前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、
前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、
前記プリント配線板は、
前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1グラウンド線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2グラウンド線部と、を有し、
前記第1グラウンド線部は、第1グラウンドヴィアパッドと、前記第1グラウンドヴィアパッドに電気的に接続された第1グラウンドパッドと、を含み、
前記複数の第2グラウンド線部の各々は、第2グラウンドヴィアパッドと、前記第2グラウンドヴィアパッドに電気的に接続された第2グラウンドパッドと、を含み、
前記第1グラウンドヴィアパッドの中心と前記第1グラウンドパッドの中心との間の配線長が、前記第2グラウンドヴィアパッドの中心と前記第2グラウンドパッドの中心との間の配線長よりも長い、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項7】
前記第1グラウンドヴィアパッドの中心と前記第1グラウンドパッドの中心との間の配線長が、前記第2グラウンドヴィアと前記第2グラウンドパッドとの間の配線長よりも0.3mm以上長い、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記第1グラウンド線部は、前記第1グラウンドヴィアパッドと前記第1グラウンドパッドとをつなぐ第1グラウンドパターンを含む、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記第1グラウンドパターンがミアンダ状に配線されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子モジュール。
【請求項10】
第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、
内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、
前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、
前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、
前記プリント配線板は、
前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1電源線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2電源線部と、を有し、
前記第1電源線部は、第1電源ヴィアパッドと、第1電源パッドと、前記第1電源ヴィアパッドと前記第1電源パッドとをつなぐ第1電源パターンと、を含み、
前記複数の第2電源線部の各々は、第2電源ヴィアパッドと、第2電源パッドと、前記第2電源ヴィアパッドと前記第2電源パッドとをつなぐ第2電源パターンと、を含み、
前記第1電源パターンの配線幅は、前記第2電源パターンの配線幅よりも狭い、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項11】
前記第1電源パターンの配線幅は、前記第1電源ヴィアパッドの直径よりも狭い、
ことを特徴とする請求項10に記載の電子モジュール。
【請求項12】
前記第1電源パターンの配線幅は、前記第2電源パターンの配線幅の80%以下である、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電子モジュール。
【請求項13】
第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、
内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、
前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、
前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、
前記プリント配線板は、
前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1グラウンド線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2グラウンド線部と、を有し、
前記第1グラウンド線部は、第1グラウンドヴィアパッドと、第1グラウンドパッドと、前記第1グラウンドヴィアパッドと前記第1グラウンドパッドとをつなぐ第1グラウンドパターンと、を含み、
前記複数の第2グラウンド線部の各々は、第2グラウンドヴィアパッドと、第2グラウンドパッドと、前記第2グラウンドヴィアパッドと前記第2グラウンドパッドとをつなぐ第2グラウンドパターンと、を含み、
前記第1グラウンドパターンの配線幅は、前記第2グラウンドパターンの配線幅よりも狭い、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項14】
前記第1グラウンドパターンの配線幅は、前記第1グラウンドヴィアパッドの直径よりも狭い、
ことを特徴とする請求項13に記載の電子モジュール。
【請求項15】
前記第1グラウンドパターンの配線幅は、前記第2グラウンドパターンの配線幅の80%以下である、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の電子モジュール。
【請求項16】
第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、
内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、
前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、
前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、
前記プリント配線板は、前記第2表層に設けられた前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1電源ヴィア及び第1グラウンドヴィアと、
前記第2表層に設けられた前記複数の第2キャパシタの各々を前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2電源ヴィア及び複数の第2グラウンドヴィアと、を有し、
前記第1電源ヴィアの径は、前記第2電源ヴィアの径よりも細い、及び/又は、前記第1グラウンドヴィアの径は、前記第2グラウンドヴィアの径よりも細い、
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項17】
前記第1電源ヴィアの径は、前記第2電源ヴィアの径の80%以下である、及び/又は、
前記第1グラウンドヴィアの径は、前記第2グラウンドヴィアの径の80%以下である、
ことを特徴とする請求項16に記載の電子モジュール。
【請求項18】
前記第2表層に垂直な方向に見て、前記第1キャパシタ及び前記複数の第2キャパシタは、前記半導体装置と重なる位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項19】
前記第1キャパシタの定格容量が10nF以下であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項20】
前記第1キャパシタから前記内部キャパシタまでのインダクタンスが前記複数の第2キャパシタの各々から前記内部キャパシタまでのインダクタンスよりも高い、
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項21】
前記第1キャパシタ及び前記複数の第2キャパシタの各々がチップ部品である、
ことを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項22】
少なくとも1つの前記第1キャパシタを備え、
前記複数の第2キャパシタの数は、前記少なくとも1つの第1キャパシタの数よりも多い、
ことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項23】
筐体と、
前記筐体の内部に配置された、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の電子モジュールと、を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を含む電子モジュール、及び電子モジュールを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に搭載される電子モジュールは、プリント配線板と、プリント配線板に実装された半導体装置と、を有する。半導体装置の一例として半導体パッケージがある。半導体パッケージは、半導体素子と、半導体素子が実装されたパッケージ基板と、を有する。半導体素子が動作すると、パッケージ基板及びプリント配線板の給電経路に、半導体素子の動作による電流が流れる。給電経路が持っているインピーダンスを電源インピーダンスという。給電経路を流れる電流と電源インピーダンスとの積により電位変動が生じる。この電位変動を電源電位変動という。
【0003】
特許文献1には、電源電位変動を低減する対策として、バイパスキャパシタを設ける技術が記載されている。特許文献1には、BGAパッケージが搭載されるプリント配線板が記載されている。特許文献1には、バイパスキャパシタとBGAパッケージとの間の寄生抵抗及び寄生インダクタンスを小さくするために、プリント配線板においてBGAパッケージが搭載される箇所の裏面にバイパスキャパシタを実装することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-277115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のようにバイパスキャパシタを配置しても、ある周波数において電源電位変動が大きくなることがあった。そのため、更なる改良が求められていた。
【0006】
本発明は、電源電位変動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子モジュールは、第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、前記プリント配線板は、前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1電源線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2電源線部と、を有し、前記第1電源線部は、第1電源ヴィアパッドと、前記第1電源ヴィアパッドに電気的に接続された第1電源パッドと、を含み、前記複数の第2電源線部の各々は、第2電源ヴィアパッドと、前記第2電源ヴィアパッドに電気的に接続された第2電源パッドと、を含み、前記第1電源ヴィアパッドの中心と前記第1電源パッドの中心との間の配線長が、前記第2電源ヴィアパッドの中心と前記第2電源パッドの中心との間の配線長よりも長い、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電子モジュールは、第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、前記プリント配線板は、前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1グラウンド線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2グラウンド線部と、を有し、前記第1グラウンド線部は、第1グラウンドヴィアパッドと、前記第1グラウンドヴィアパッドに電気的に接続された第1グラウンドパッドと、を含み、前記複数の第2グラウンド線部の各々は、第2グラウンドヴィアパッドと、前記第2グラウンドヴィアパッドに電気的に接続された第2グラウンドパッドと、を含み、前記第1グラウンドヴィアパッドの中心と前記第1グラウンドパッドの中心との間の配線長が、前記第2グラウンドヴィアパッドの中心と前記第2グラウンドパッドの中心との間の配線長よりも長い、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電子モジュールは、第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、前記プリント配線板は、前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1電源線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2電源線部と、を有し、前記第1電源線部は、第1電源ヴィアパッドと、第1電源パッドと、前記第1電源ヴィアパッドと前記第1電源パッドとをつなぐ第1電源パターンと、を含み、前記複数の第2電源線部の各々は、第2電源ヴィアパッドと、第2電源パッドと、前記第2電源ヴィアパッドと前記第2電源パッドとをつなぐ第2電源パターンと、を含み、前記第1電源パターンの配線幅は、前記第2電源パターンの配線幅よりも狭い、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子モジュールは、第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、前記プリント配線板は、前記第1表層および前記第2表層の少なくとも一方に、前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1グラウンド線部と、前記複数の第2キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2グラウンド線部と、を有し、前記第1グラウンド線部は、第1グラウンドヴィアパッドと、第1グラウンドパッドと、前記第1グラウンドヴィアパッドと前記第1グラウンドパッドとをつなぐ第1グラウンドパターンと、を含み、前記複数の第2グラウンド線部の各々は、第2グラウンドヴィアパッドと、第2グラウンドパッドと、前記第2グラウンドヴィアパッドと前記第2グラウンドパッドとをつなぐ第2グラウンドパターンと、を含み、前記第1グラウンドパターンの配線幅は、前記第2グラウンドパターンの配線幅よりも狭い、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電子モジュールは、第1表層と、前記第1表層とは反対の第2表層と、を有するプリント配線板と、内部キャパシタを含む半導体素子を有し、前記プリント配線板の前記第1表層の側に実装された半導体装置と、前記プリント配線板の前記第2表層の側に実装された第1キャパシタ及び複数の第2キャパシタと、を備え、前記第1キャパシタの静電容量は、前記複数の第2キャパシタの各々の静電容量よりも小さく、前記プリント配線板は、前記第2表層に設けられた前記第1キャパシタを前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる第1電源ヴィア及び第1グラウンドヴィアと、前記第2表層に設けられた前記複数の第2キャパシタの各々を前記内部キャパシタに並列に接続するのに用いられる複数の第2電源ヴィア及び複数の第2グラウンドヴィアと、を有し、前記第1電源ヴィアの径は、前記第2電源ヴィアの径よりも細い、及び/又は、前記第1グラウンドヴィアの径は、前記第2グラウンドヴィアの径よりも細い、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源電位変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る電子機器の一例の撮像装置の説明図である。
図2】(a)は、第1実施形態に係る処理モジュールの一部分を示す斜視図である。(b)は、第1実施形態におけるキャパシタの配置状態を説明するための平面図である。
図3】第1実施形態に係る処理モジュールの等価回路図である。
図4】第1実施形態に係る処理モジュールの断面模式図である。
図5】(a)は、第1実施形態におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(b)は、第1実施形態の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図6】(a)は、第2実施形態のプリント配線板におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(b)は、第2実施形態の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図7】(a)は、第3実施形態のプリント配線板におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(b)は、第3実施形態の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図8】第4実施形態に係る処理モジュールの断面模式図である。
図9】(a)は、第4実施形態のプリント配線板におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(b)及び(c)は、第4実施形態のプリント配線板における内層の平面図である。(d)は、第1実施形態の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図10】(a)は、比較例1の処理モジュールの一部分を示す斜視図である。(b)は、比較例1の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図11】(a)は、比較例1のプリント配線板におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(b)は、比較例1の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図12】(a)は、第5実施形態のプリント配線板における半導体装置の搭載部分の平面図である。(b)は、第5実施形態のプリント配線板におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(c)は、第5実施形態の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
図13】第6実施形態に係る処理モジュールの断面模式図である。
図14】(a)は、第6実施形態のプリント配線板におけるキャパシタの搭載部分の平面図である。(b)は、第6実施形態の半導体装置における電源インピーダンス特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電子機器の一例としての撮像装置であるデジタルカメラ600の説明図である。撮像装置であるデジタルカメラ600は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体601を備える。カメラ本体601には、レンズを含むレンズユニット(レンズ鏡筒)602が着脱可能となっている。カメラ本体601は、筐体611と、筐体611の内部に配置された、処理モジュール300及びセンサモジュール900と、を備えている。処理モジュール300は、電子モジュールの一例であり、プリント回路板で構成されている。処理モジュール300とセンサモジュール900とはケーブル400で電気的に接続されている。
【0016】
センサモジュール900は、撮像素子であるイメージセンサ901と、プリント配線板902と、を有する。イメージセンサ901は、プリント配線板902に実装されている。イメージセンサ901は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。イメージセンサ901は、レンズユニット602を介して入射した光を電気信号に変換する機能を有する。
【0017】
処理モジュール300は、半導体装置100と、電源装置150と、プリント配線板200と、を有する。半導体装置100及び電源装置150は、プリント配線板200に実装されている。プリント配線板200は、リジッド基板である。半導体装置100は、例えばデジタルシグナルプロセッサであり、イメージセンサ901から電気信号を取得し、取得した電気信号を補正する処理を行い、画像データを生成する機能を有する。電源装置150は、電源回路で構成されたICであり、プリント配線板200を介して半導体装置100に動作に必要な電力(電流)を供給する。プリント配線板200には、電源装置150から半導体装置100へ電力(電流)を供給する給電経路が形成されている。
【0018】
図2(a)は、第1実施形態に係る処理モジュール300の一部分を示す斜視図である。半導体装置100は、半導体パッケージであり、第1実施形態では、BGA(Ball Grid Array)の半導体パッケージである。図示は省略するが、半導体素子102は、受信したデジタル信号を演算処理するコア回路と、コア回路から出力されたデジタル信号を外部機器や他の半導体装置に送信する送信回路(バッファ)と、を有する。
【0019】
半導体装置100は、パッケージ基板101と、パッケージ基板101に実装された半導体素子102とを有する。半導体素子102は、半導体チップであり、封止樹脂で封止された不図示のダイを有する。パッケージ基板101は、インタポーザである。半導体素子102は、複数のはんだバンプ103によってパッケージ基板101に電気的及び機械的に接続されている。半導体装置100のパッケージ基板101は、複数のはんだボール110によってプリント配線板200に電気的及び機械的に接続されている。複数のはんだボール110は格子状に配列されている。
【0020】
処理モジュール300は、プリント配線板200に実装され、電源電位変動を抑制するために給電経路に設けられた複数(例えば12個)のキャパシタ120を有する。なお、図2(a)には、複数のキャパシタ120のうち2つのキャパシタ120を図示している。これらキャパシタ120は、バイパスキャパシタであり、給電経路に含まれる電源線とグラウンド線との間に設けられている。即ち、キャパシタ120の一対の電極のうち一方は、電源線に電気的に接続されており、他方は、グラウンド線に電気的に接続されている。
【0021】
プリント配線板200は、不図示のソルダーレジスト層を有し、主面201,202において、はんだの接合に用いられるパッド以外の部分がソルダーレジスト層で覆われている。パッドは、SMD(Solder Mask Defined)又はNSMD(Non-solder Mask Defined)のパッドである。
【0022】
第1実施形態では、半導体装置100は、プリント配線板200の主面201の側に配置されており、複数のキャパシタ120は、プリント配線板200の主面201とは反対側の主面202の側に配置されている。図2(b)は、第1実施形態における複数のキャパシタ120の配置状態を説明するための平面図である。図2(b)には、プリント配線板200の主面202に垂直な方向であるZ方向に処理モジュール300を見た図である。図2(b)に示すように、複数のキャパシタ120は、Z方向に見て、半導体装置100と重なる位置に配置されている。
【0023】
ここで、比較例1の処理モジュールについて説明する。図10(a)は、比較例1の処理モジュール300Yの一部分を示す斜視図である。処理モジュール300Yは、プリント配線板200Yと、プリント配線板200Yに実装された半導体装置100Yとを備える。半導体装置100Yは、半導体パッケージであり、パッケージ基板101Yと、パッケージ基板101Yに実装された半導体素子102Yとを有する。また、処理モジュール300Yは、プリント配線板200Yに実装された複数のキャパシタ120Yを備える。各キャパシタ120Yは、バイパスキャパシタである。半導体装置100Yは、プリント配線板200Yの主面201Yの側に配置されており、複数のキャパシタ120Yは、プリント配線板200Yの主面201Yとは反対側の主面202Yの側に配置されている。
【0024】
図10(b)は、比較例1の処理モジュール300Yにおける半導体素子102Yから見た給電経路の電源インピーダンスの周波数特性(電源インピーダンス特性)を示すグラフである。図10(b)中、破線は、半導体素子102Yがオンダイキャパシタを有していない場合の電源インピーダンス特性を示し、実線は、半導体素子102Yがオンダイキャパシタを有している場合の電源インピーダンス特性を示している。
【0025】
半導体素子102Yにおける処理の高速化に伴い、図10(b)の破線で示すように、100MHz以上の周波数で発生する反共振のピーク(極大値)P11Y,P12Yが問題となってきている。例えば、半導体素子102Yが送信回路を有し、送信回路においてデジタル信号を高速に送信する場合に、反共振のピークP11Y,P12Yが信号の品質に影響を及ぼす。
【0026】
キャパシタ120Yと半導体素子102Yとの間には、プリント配線板200Y及びパッケージ基板101Yの配線のインダクタンスが存在する。このインダクタンスにより、キャパシタ120Yによる共振周波数を反共振のピークP11Y,P12Yに近づける、即ち反共振のピークP11Y,P12Yを低減させるのは困難である。
【0027】
そこで、半導体素子102Yにオンダイキャパシタを搭載させることで、実線で示すように、反共振のピークP11Y,P12Yを低減させることができる。しかし、反共振のピークP11Y,P12Yを低減させることができるものの、10MHz以上100MHz未満、例えば数十MHzの周波数において、反共振のピーク(極大値)P13Yが発生することが判明した。半導体装置100Yの動作による電流の周波数成分に、反共振が発生している周波数が一致していると、電源電位変動が生じる。反共振のピークP13Yが発生する原因を究明したところ、オンダイキャパシタの容量成分と、半導体素子102Yの電源パッド及びグラウンドパッドからキャパシタ120Yまでの間の寄生インダクタンス成分により発生することを突き止めた。
【0028】
以下、10MHz以上100MHz未満の周波数帯に反共振のピークが発生する原理について考察した結果を、実験した例を挙げて説明する。図11(a)は、主面202Yに垂直な方向であるZ方向にプリント配線板200Yを見たときのキャパシタ120Yの搭載部分(実装部分)R1Yの平面図である。以下、キャパシタ120Yの数を第1実施形態と同じ12個とした場合について説明する。搭載部分R1Yもキャパシタ120Yと同じ数だけ存在するが、各搭載部分R1Yの配線構成は概略同一であるので、1つの搭載部分R1Yの配線構成についてのみ説明する。また、図11(a)において、キャパシタ120Yを鎖線で示す。キャパシタ120Yは、一対の電極121Y,122Yを有する。
【0029】
プリント配線板200Yにおける主面202Y側の表層には、電源線部210EYと、グラウンド線部210GYと、が形成されている。電源線部210EYは、電源ヴィアパッド211EYと、キャパシタ120Yの電極121Yが接合された電源パッド212EYと、電源ヴィアパッド211EYと電源パッド212EYとをつなぐ電源パターン213EYと、を含む。グラウンド線部210GYは、グラウンドヴィアパッド211GYと、キャパシタ120Yの電極122Yが接合されたグラウンドパッド212GYと、を含む。また、グラウンド線部210GYは、グラウンドヴィアパッド211GYとグラウンドパッド212GYとをつなぐグラウンドパターン213GYを含む。ここで、電源線部210EYの配線長とグラウンド線部210GYの配線長について説明する。電源線部210EYの配線長は、電源ヴィアパッド211EYの中心から電源パッド212EYの中心までの道のりのうち最短となる道のりである。同様に、グラウンド線部210GYの配線長は、グラウンドヴィアパッド211GYの中心からグラウンドパッド212GYの中心までの道のりのうち最短となる道のりである。
【0030】
比較例1の処理モジュール300Yについて、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュール300Yのパラメータについて説明する。12個の電源線部210EYのうち1つの電源線部210EYに対する他の電源線部210EYの配線長差が、0.1mm以内であった。また、12個のグラウンド線部210GYのうち1つのグラウンド線部210GYに対する他のグラウンド線部210GYの配線長差が0.1mm以内であった。12個の電源パターン213EYのうち1つの電源パターン213EYに対する他の電源パターン213EYの配線幅差が10%以内であった。また、12個のグラウンドパターン213GYのうち1つのグラウンドパターン213GYに対する他のグラウンドパターン213GYの配線幅差が10%以内であった。キャパシタ120Yの静電容量は0.1μFとした。半導体素子102Yのオンダイキャパシタの静電容量は、20nFとした。
【0031】
このような構成において、半導体素子102Yの電源パッドおよびグラウンドパッドから電源インピーダンス特性(Z11)を測定した結果を、図11(b)に示す。図11(b)は、比較例1の電源インピーダンス特性を示すグラフである。オンダイキャパシタによる容量成分と、半導体素子102の電源パッドからキャパシタ120Yまでの寄生インダクタンス成分により、100MHz近傍で100MHz未満の周波数において電源インピーダンスが極大値となる反共振のピークP1Yが発生する。なお、12個のキャパシタ120Yにより、10MHz近傍で10MHz以上の周波数において、極小値となる共振のピークP2Yが発生する。
【0032】
12か所の搭載部分R1Yの配線構造は概略同一である。このことから、半導体素子102Yの側からキャパシタ120Yを見ると、12個のキャパシタ120Y、及びそれらに接続されている電源線及びグラウンド線を巨視的に1つの回路として集約表現することが可能である。この集約表現された回路は、電気抵抗R、インダクタンスL、及びキャパシタンスCからなる。電気抵抗Rは、1つの電源線の寄生抵抗および1つのキャパシタのESRを足し合わせた値を、12で割った値で表現可能である。インダクタンスLは、1つの電源線の寄生インダクタンスおよび1つのキャパシタのESLを足し合わせた値を、12で割った値で表現可能である。キャパシタンスCは、1つのキャパシタの静電容量を、12倍した値で表現することが可能である。
【0033】
このとき、処理モジュール300Yにおいて、半導体素子102Yからキャパシタ120Yまでの電源回路について考える。この電源回路は、キャパシタンスCから見たオンダイキャパシタまでの合計寄生インダクタンス257pHと、オンダイキャパシタの静電容量20nFからなる閉回路に、半導体素子102Yの電源回路が並列接続された回路とみなせる。この回路において、共振周波数fは式(1.1)で示すことができる。
【数1】
式(1.1)に対して、Lに257pH、Cに20nFを代入すると、共振周波数fは70.2MHzとなる。共振周波数fにおいて、半導体素子102Yから見た電源インピーダンス特性が極大値となる反共振のピークP1Yが発生する。
【0034】
そこで第1実施形態では、この反共振による電源インピーダンス特性の上昇を抑制するために、反共振として発生している回路の定数、即ちキャパシタの静電容量を調整するのではなく、反共振回路に共振回路を並列に接続するよう構成している。
【0035】
図2(b)に示すように12個のキャパシタ120のうち少なくとも1つ、例えば1つのキャパシタ120の搭載部分(実装部分)R1の配線構造を、残りの複数のキャパシタ120の各々の搭載部分(実装部分)R2の配線構造に対して異ならせている。複数の搭載部分R2の配線構造は同一である。搭載部分R1の配線構造及びキャパシタ120で、共振回路の一部が構成されている。キャパシタ120は、第1キャパシタの一例である。キャパシタ120は、第2キャパシタの一例である。ここで、キャパシタ120の数は、キャパシタ120の数よりも少ない。逆に言えば、キャパシタ120の数は、キャパシタ120の数よりも多い。
【0036】
図3は、第1実施形態に係る処理モジュール300の等価回路図である。図3に示すように、処理モジュール300は、図1及び図2において不図示であった、給電経路となる電源線301E及びグラウンド線301Gと、大容量のキャパシタ130と、を有する。
【0037】
図3に示すように、半導体素子102は、内部キャパシタの一例であるオンダイキャパシタ140と、オンダイキャパシタ140に並列に接続され、デジタル信号を送信する送信回路(バッファ)145と、を含む。なお、送信回路145は、コア回路に置き換えることも可能である。キャパシタ120、複数のキャパシタ120、キャパシタ130、オンダイキャパシタ140、及び送信回路145は、電源線301E及びグラウンド線301Gに接続されている。送信回路145は、トランジスタなどの能動素子を含んで構成され、動作時に電源線301E及びグラウンド線301Gを介して電流が流れることから、等価回路において電流源とみなすことができる。オンダイキャパシタ140は、半導体素子102の電源パッド(不図示)とグラウンドパッド(不図示)間に容量成分を付与している。
【0038】
キャパシタ120及び複数のキャパシタ120は、電源線301E及びグラウンド線301Gによって半導体素子102、即ち送信回路145に並列に接続されている。これにより、キャパシタ120及び複数のキャパシタ120は、半導体素子102、即ち送信回路145の電源側とグラウンド側とを交流的にバイパスしている。オンダイキャパシタ140も、送信回路145に対して並列に接続されているため、送信回路145の電源側とグラウンド側とを交流的にバイパスしている。このように、キャパシタ120、複数のキャパシタ120、及びオンダイキャパシタ140は、電源線301E及びグラウンド線301Gによって相互に並列に接続されている。
【0039】
キャパシタ120は、一対の電極121,122を有し、一方の電極121が電源線301Eに接続され、他方の電極122がグラウンド線301Gに接続されている。キャパシタ120は、一対の電極121,122を有し、一方の電極121が電源線301Eに接続され、他方の電極122がグラウンド線301Gに接続されている。キャパシタ130は、一対の電極131,132を有し、一方の電極131が電源線301Eに接続され、他方の電極132がグラウンド線301Gに接続されている。オンダイキャパシタ140は、一対の電極141,142を有し、一方の電極141が電源線301Eに接続され、他方の電極142がグラウンド線301Gに接続されている。
【0040】
第1実施形態では、オンダイキャパシタ140及び複数のキャパシタ120を含む反共振回路に、キャパシタ120を含む共振回路を並列に接続するよう構成している。キャパシタ120を含む共振回路は、送信回路145から見たキャパシタ120までの寄生インダクタンスとキャパシタ120の静電容量によって、式(1.1)の周波数fにおいて、インピーダンスが極小となる共振を発生する。この共振現象を利用し、反共振のピーク(極大値)に、共振のピーク(極小値)を重ね合わせることで、反共振のピークを抑えるものである。キャパシタ120,120は、チップ部品であり、静電容量は、規格で予め決められた離散的な公称値(定格容量)の中から選択することになる。したがって、共振のピークをキャパシタ120の静電容量のみで調整するには限界がある。そこで、第1実施形態では、共振のピークをキャパシタ120の静電容量のみで調整するのではなく、キャパシタ120の搭載部分R1(図2(b))の配線構造で調整するようにしている。共振周波数の変動幅を大きくすることができるという観点において、キャパシタ120の静電容量は10nF以下が好ましい。具体的には、キャパシタ120の搭載部分R1で付与することのできるインダクタンスは最大で2nF程度であるため、共振周波数を10MHz程度変動させることができる。
【0041】
以下、第1実施形態における電源線301E及びグラウンド線301Gの一部の配線構造について詳細に説明する。図4は、第1実施形態に係る処理モジュール300の断面模式図である。半導体装置100のパッケージ基板101は、電源パッド105E,105E及びグラウンドパッド105G,105Gを有する。プリント配線板200は、4つの導体層251~254を含む積層基板である。導体層251~254の間には、絶縁体層261~263が配置されている。導体層251,254は、表層、すなわち外層である。導体層252,253は、内層である。導体層251は、主面201側の導体層、即ち第1表層である。導体層254は、主面202側の導体層、即ち第2表層である。Z方向は、導体層254に垂直な方向でもある。なお、導体層253は、絶縁体層263を挟んで導体層254に隣接している。導体層251~254の導体パターン及びこれら導体層251~254に跨って配置されたヴィア導体(ヴィア)は、例えば銅などの導電性を有する部材で構成されている。絶縁体層261~263の絶縁体は、例えばエポキシ樹脂などの電気絶縁性を有する部材で構成されている。
【0042】
プリント配線板200は、導体層251に配置された電源パッド205E,205Eと、導体層251に配置されたグラウンドパッド205G,205Gとを有する。電源パッド105Eと電源パッド205Eとは、はんだボール110で構成された電源端子110Eで接合されている。電源パッド105Eと電源パッド205Eとは、はんだボール110で構成された電源端子110Eで接合されている。グラウンドパッド105Gとグラウンドパッド205Gとは、はんだボール110で構成されたグラウンド端子110Gで接合されている。グラウンドパッド105Gとグラウンドパッド205Gとは、はんだボール110で構成されたグラウンド端子110Gで接合されている。
【0043】
導体層251には、電源パッド205Eに接続された電源ヴィアパッド206E、及び電源パッド205Eに接続された電源ヴィアパッド206Eが配置されている。また、導体層251には、グラウンドパッド205Gに接続されたグラウンドヴィアパッド206G、及びグラウンドパッド205Gに接続されたグラウンドヴィアパッド206Gが配置されている。
【0044】
導体層254には、電源ヴィアパッド211E及び電源ヴィアパッド211Eが配置されている。また、導体層254には、グラウンドヴィアパッド211G及びグラウンドヴィアパッド211Gが配置されている。電源ヴィアパッド206Eと電源ヴィアパッド211Eとは、電源ヴィア207Eで接続されている。電源ヴィアパッド206Eと電源ヴィアパッド211Eとは、電源ヴィア207Eで接続されている。グラウンドヴィアパッド206Gとグラウンドヴィアパッド211Gとは、グラウンドヴィア207Gで接続されている。グラウンドヴィアパッド206Gとグラウンドヴィアパッド211Gとは、グラウンドヴィア207Gで接続されている。電源ヴィア207E,207Eは、例えば導体層252に配置された電源プレーン208Eに接続されている。グラウンドヴィア207G,207Gは、例えば導体層253に配置されたグラウンドプレーン208Gに接続されている。
【0045】
図5(a)は、第1実施形態におけるキャパシタ120,120の搭載部分R1,R2の平面図である。図5(a)には、プリント配線板200をZ方向に見たときの搭載部分R1,R2の配線構造を図示している。第1実施形態では、プリント配線板200におけるキャパシタ120の搭載部分R1の配線構造は、キャパシタ120の搭載部分R2の配線構造と異なる。なお、複数の搭載部分R2の配線構造は概略同一であるので、図5(a)において、1つの搭載部分R2の配線についてのみ図示している。また、図5(a)において、キャパシタ120,120を鎖線で示す。
【0046】
搭載部分R1の配線構造について説明する。プリント配線板200は、第2表層である導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第1電源線部の一例としての電源線部210Eを有する。電源線部210Eは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200は、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第1グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210Gを有する。グラウンド線部210Gは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210E及びグラウンド線部210Gは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0047】
搭載部分R2の配線構造について説明する。プリント配線板200は、導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第2電源線部の一例としての電源線部210Eを有する。電源線部210Eは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200は、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第2グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210Gを有する。グラウンド線部210Gは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210E及びグラウンド線部210Gは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0048】
電源線部210Eは、第1電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド211Eと、第1電源パッドである電源パッド212Eと、第1電源パターンである電源パターン213Eと、を含む。電源ヴィアパッド211Eは、図4に示すように、電源ヴィア207Eに連結されている。電源パッド212Eは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの一方の電極121がはんだ等で接合された導体パッドである。電源パターン213Eは、電源ヴィアパッド211Eと電源パッド212Eとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド212Eは、電源パターン213Eを介して電源ヴィアパッド211Eに電気的に接続されている。
【0049】
グラウンド線部210Gは、第1グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド211Gと、第1グラウンドパッドであるグラウンドパッド212Gと、第1グラウンドパターンであるグラウンドパターン213Gと、を含む。グラウンドヴィアパッド211Gは、図4に示すように、グラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパッド212Gは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの他方の電極122がはんだ等で接合された導体パッドである。グラウンドパターン213Gは、グラウンドヴィアパッド211Gとグラウンドパッド212Gとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド212Gは、グラウンドパターン213Gを介してグラウンドヴィアパッド211Gに電気的に接続されている。
【0050】
電源線部210Eは、第2電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド211Eと、第2電源パッドである電源パッド212Eと、第2電源パターンである電源パターン213Eと、を含む。電源ヴィアパッド211Eは、図4に示すように、電源ヴィア207Eに連結されている。電源パッド212Eは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの一方の電極121がはんだ等で接合された導体パッドである。電源パターン213Eは、電源ヴィアパッド211Eと電源パッド212Eとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド212Eは、電源パターン213Eを介して電源ヴィアパッド211Eに電気的に接続されている。
【0051】
グラウンド線部210Gは、第2グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド211Gと、第2グラウンドパッドであるグラウンドパッド212Gと、第2グラウンドパターンであるグラウンドパターン213Gと、を含む。グラウンドヴィアパッド211Gは、図4に示すように、グラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパッド212Gは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの他方の電極122がはんだ等で接合された導体パッドである。グラウンドパターン213Gは、グラウンドヴィアパッド211Gとグラウンドパッド212Gとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド212Gは、グラウンドパターン213Gを介してグラウンドヴィアパッド211Gに電気的に接続されている。
【0052】
第1実施形態では、電源線部210Eのインダクタンスは、電源線部210Eのインダクタンスよりも高い。また、グラウンド線部210Gのインダクタンスは、グラウンド線部210Gのインダクタンスよりも高い。具体的に説明すると、電源線部210Eの配線長LE1は、電源線部210Eの配線長LE2よりも長い。また、グラウンド線部210Gの配線長LG1は、グラウンド線部210Gの配線長LG2よりも長い。
【0053】
電源線部210Eの配線長LE1は、電源ヴィアパッド211Eの中心と電源パッド212Eの中心との間の配線長である。電源線部210Eの配線長LE2は、電源ヴィアパッド211Eの中心と電源パッド212Eの中心との間の配線長である。グラウンド線部210Gの配線長LG1は、グラウンドヴィアパッド211Gの中心とグラウンドパッド212Gの中心との間の配線長である。グラウンド線部210Gの配線長LG2は、グラウンドヴィアパッド211Gの中心とグラウンドパッド212Gの中心との間の配線長である。
【0054】
より詳細に説明すると、配線長LE1は、電源ヴィアパッド211Eの中心と電源パッド212Eの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LE2は、電源ヴィアパッド211Eの中心と電源パッド212Eの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LG1は、グラウンドヴィアパッド211Gの中心とグラウンドパッド212Gの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LG2は、グラウンドヴィアパッド211Gの中心とグラウンドパッド212Gの中心との道のりのうち最短の道のりである。
【0055】
第1実施形態では、Z方向に見て、各ヴィアパッド211E,211E,211G,211Gの外形が円形である。各ヴィアパッド211E,211E,211G,211Gの中心は、各ヴィアパッド211E,211E,211G,211Gの外形の中心である。なお、各ヴィアパッド211E,211E,211G,211Gに穴が存在する場合も同様である。
【0056】
また、第1実施形態では、Z方向に見て、パッド212E,212E,212G,212Gの外形が矩形である。各パッド212E,212E,212G,212Gの中心は、各パッド212E,212E,212G,212Gの外形の中心である。
【0057】
第1実施形態の処理モジュール300について、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュール300のパラメータについて説明する。半導体素子102のオンダイキャパシタ140(図3)の静電容量は、20nFとした。プリント配線板200の厚みは1.6mmとした。導体層251及び導体層254のそれぞれの厚みは0.043mm、導体層252及び導体層253のそれぞれの厚みは0.035mmとした。絶縁体層261及び絶縁体層263のそれぞれの厚みは0.1mm、絶縁体層262の厚みは1.2mmとした。半導体装置100におけるはんだボール110のピッチは0.8mmとした。また、電源パッド205E,205Eおよびグラウンドパッド205G,205Gのそれぞれの直径は0.32mmとした。電源ヴィア207E,207Eおよびグラウンドヴィア207G,207Gのそれぞれの穴の直径は0.25mmとした。12個のキャパシタ120は、全て0603サイズのチップ部品とした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は10nF以下、具体的には2.2nFとした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は0.1μFとした。
【0058】
電源パターン213Eの配線幅は0.2mmとした。配線長LE1は1.06mmとした。グラウンドパターン213Gの配線幅は0.2mmとした。配線長LG1は1.06mmとした。電源パターン213Eの配線幅は0.2mmとした。配線長LE2は0.51mmとした。グラウンドパターン213Gの配線幅は0.2mmとした。配線長LG2は0.51mmとした。
【0059】
配線長LE1は配線長LE2よりも0.3mm以上長いのが好ましい。また、配線長LG1は配線長LG2よりも0.3mm以上長いのが好ましい。配線長LE1が配線長LE2よりも0.3mm以上長いと、共振周波数の変動量を大きくすることができる。また、配線長LG1が配線長LG2よりも0.3mm以上長いと、共振周波数の変動量を大きくすることができる。具体的には、キャパシタ120の静電容量が1nFであったとき、共振周波数を10MHz以上変動させるために必要なインダクタンスは0.3nHである。これはおおむね配線長0.3mmで形成されるインダクタンスと同等である。
【0060】
複数のキャパシタ120のうち、1つのキャパシタ120の搭載部分R2に対する他のキャパシタ120の搭載部分R2の配線構造は、配線長0.1mm以内、配線幅10%以内の差異を持つ概略同一の構造とした。
【0061】
オンダイキャパシタ140から複数のキャパシタ120の搭載部分R2のパッド212E,212Gまでの寄生ループインダクタンスは0.254nHであった。キャパシタ120の寄生インダクタンスが1つあたり0.163nHであり、合成インダクタンスは0.015nHであった。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの寄生インダクタンスは0.269nHとなる。この寄生インダクタンス0.269nHとオンダイキャパシタ140の静電容量20nFとによって、電源インピーダンス特性の68.6MHzにおいて反共振が発生する。
【0062】
第1実施形態では、キャパシタ120そのものの静電容量及び寄生インダクタンスだけでなく、配線長LE1,LG1を配線長LE2,LG2に対して変更したことにより、共振周波数を制御する。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路の全寄生インダクタンスは2.61nHであった。上述したように、キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、2.2nFとした。これにより、キャパシタ120と、キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路とで、自己共振周波数68.6MHzの共振回路となる。
【0063】
図5(b)は、第1実施形態の電源インピーダンス特性を示すグラフである。図5(b)において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。なお、図5(b)には、第1実施形態の電源インピーダンス特性を実線で図示し、比較のため、図11(b)に示す比較例1の電源インピーダンス特性を破線で図示している。第1実施形態では、キャパシタ120及びその搭載部分R1の配線構造を含んだ共振回路を形成している。キャパシタ120及びその搭載部分R1の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10を、キャパシタ120及びその搭載部分R2の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP2よりも高い周波数に設定する。具体的には、キャパシタ120及びその搭載部分R1の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10を、反共振のピークP1Yの近傍の周波数に設定する。これにより、第1実施形態では、発生する反共振のピークP1を、比較例1の反共振のピークP1Yよりも低減させることができる。つまり、電源インピーダンス特性で反共振が発生する周波数、特に10MHz以上100MHz未満の周波数において、インピーダンスの上昇を抑制することができる。これにより、電源電位変動を抑制することができる。
【0064】
なお、電源線部210Eが電源パターン213Eを有する場合について説明したが、電源パターン213Eを省略し、電源ヴィアパッド211Eと電源パッド212Eとが直接接続されていてもよい。同様に、グラウンド線部210Gがグラウンドパターン213Gを有する場合について説明したが、グラウンドパターン213Gを省略し、グラウンドヴィアパッド211Gとグラウンドパッド212Gとが直接接続されていてもよい。
【0065】
また、配線長LE1が配線長LE2よりも長いという条件、及び配線長LG1が配線長LG2よりも長いという条件の2つの条件を満たすのが好適であるが、これに限定するものではない。2つの条件のうち、一方の条件のみ満たす場合であってもよい。
【0066】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る処理モジュールの構成について説明する。第2実施形態の処理モジュールでは、プリント配線板においてキャパシタが実装される搭載部分の配線構造が、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0067】
図6(a)は、第2実施形態のプリント配線板200Aにおけるキャパシタ120,120の搭載部分(実装部分)R1A,R2Aの平面図である。図6(a)には、プリント配線板200AをZ方向に見たときの搭載部分R1A,R2Aの配線構造を図示している。第2実施形態の搭載部分R1A,R2Aの配線構造が、第1実施形態の搭載部分R1,R2の配線構造と異なる。
【0068】
また、キャパシタ120の搭載部分R1Aの配線構造は、キャパシタ120の搭載部分R2Aの配線構造と異なる。なお、複数の搭載部分R2Aの配線構成は概略同一であるので、図6(a)において、1つの搭載部分R2Aの配線構成についてのみ図示している。また、図6(a)において、キャパシタ120,120を鎖線で示す。なお、キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、1個であり、キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、11個である。
【0069】
搭載部分R1Aの配線構造について説明する。プリント配線板200Aは、第2表層である導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第1電源線部の一例としての電源線部210EAを有する。電源線部210EAは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Aは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第1グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210GAを有する。グラウンド線部210GAは、オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210EA及びグラウンド線部210GAは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0070】
搭載部分R2Aの配線構造について説明する。プリント配線板200Aは、導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第2電源線部の一例としての電源線部210EAを有する。電源線部210EAは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Aは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第2グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210GAを有する。オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210EA及びグラウンド線部210GAは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0071】
電源線部210EAは、第1電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド211EAと、第1電源パッドである電源パッド212EAと、第1電源パターンである電源パターン213EAと、を含む。電源ヴィアパッド211EAは、図4に示す電源ヴィア207Eに連結されている。電源パッド212EAは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの一方の電極121がはんだ等で接合された導体パッドである。電源パターン213EAは、電源ヴィアパッド211EAと電源パッド212EAとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド212EAは、電源パターン213EAを介して電源ヴィアパッド211EAに電気的に接続されている。
【0072】
グラウンド線部210GAは、第1グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド211GAと、第1グラウンドパッドであるグラウンドパッド212GAと、第1グラウンドパターンであるグラウンドパターン213GAと、を含む。グラウンドヴィアパッド211GAは、図4に示すグラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパッド212GAは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの他方の電極122がはんだ等で接合された導体パッドである。グラウンドパターン213GAは、グラウンドヴィアパッド211GAとグラウンドパッド212GAとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド212GAは、グラウンドパターン213GAを介してグラウンドヴィアパッド211GAに電気的に接続されている。
【0073】
電源線部210EAは、第2電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド211EAと、第2電源パッドである電源パッド212EAと、第2電源パターンである電源パターン213EAと、を含む。電源ヴィアパッド211EAは、図4に示す電源ヴィア207Eに連結されている。電源パッド212EAは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの一方の電極121がはんだ等で接合された導体パッドである。電源パターン213EAは、電源ヴィアパッド211EAと電源パッド212EAとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド212EAは、電源パターン213EAを介して電源ヴィアパッド211EAに電気的に接続されている。
【0074】
グラウンド線部210GAは、第2グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド211GAと、第2グラウンドパッドであるグラウンドパッド212GAと、第2グラウンドパターンであるグラウンドパターン213GAと、を含む。グラウンドヴィアパッド211GAは、図4に示すグラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパッド212GAは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの他方の電極122がはんだ等で接合された導体パッドである。グラウンドパターン213GAは、グラウンドヴィアパッド211GAとグラウンドパッド212GAとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド212GAは、グラウンドパターン213GAを介してグラウンドヴィアパッド211GAに電気的に接続されている。
【0075】
第2実施形態では、Z方向に見て、各ヴィアパッド211EA,211EA,211GA,211GAの外形が円形である。また、第2実施形態では、Z方向に見て、パッド212EA,212EA,212GA,212GAの外形が矩形である。
【0076】
第2実施形態では、電源線部210EAのインダクタンスは、電源線部210EAのインダクタンスよりも高い。また、グラウンド線部210GAのインダクタンスは、グラウンド線部210GAのインダクタンスよりも高い。具体的に説明すると、電源線部210EAの配線幅WE1は、電源線部210EAの配線幅WE2よりも狭い。また、グラウンド線部210GAの配線幅WG1は、グラウンド線部210GAの配線幅WG2よりも狭い。また、第2実施形態では、電源パターン213EAの配線幅WE1は、電源ヴィアパッド211EAの直径WEV1よりも狭い。また、グラウンドパターン213GAの配線幅WG1は、グラウンドヴィアパッド211GAの直径WGV1よりも狭い。なお、第2実施形態では、電源パターン213EAの配線幅WE2は、電源ヴィアパッド211EAの直径WEV2と同じである。また、グラウンドパターン213GAの配線幅WG2は、グラウンドヴィアパッド211GAの直径WGV2と同じである。
【0077】
第2実施形態の処理モジュールについて、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュールのパラメータについて説明する。半導体素子102のオンダイキャパシタ140(図3)の静電容量は、20nFとした。
【0078】
プリント配線板200Aの厚みは1.6mmとした。導体層251及び導体層254のそれぞれの厚みは0.043mm、導体層252及び導体層253のそれぞれの厚みは0.035mmとした。絶縁体層261及び絶縁体層263のそれぞれの厚みは0.1mm、絶縁体層262の厚みは1.2mmとした。半導体装置100におけるはんだボール110(図2)のピッチは、0.8mmとした。また、電源パッド205E,205E図4)およびグラウンドパッド205G,205G図4)のそれぞれの直径は0.32mmとした。電源ヴィア207E,207Eおよびグラウンドヴィア207G,207Gのそれぞれの穴の直径は0.25mmとした。12個のキャパシタ120(図2(b))は、全て0603サイズのチップ部品とした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は10nF以下、具体的には2.2nFとした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は0.1μFとした。
【0079】
電源パターン213EAの配線幅WE1は0.04mmとした。電源線部210EAの配線長は0.8mmとした。グラウンドパターン213GAの配線幅WG1は0.04mmとした。グラウンド線部210GAの配線長は0.8mmとした。電源パターン213EAの配線幅WE2は0.3mmとした。電源線部210EAの配線長は0.8mmとした。グラウンドパターン213GAの配線幅WG2は0.3mmとした。グラウンド線部210GAの配線長は0.8mmとした。
【0080】
配線幅WE1は、配線幅WE2の80%以下であるのが好ましい。また、配線幅WG1は、配線幅WG2の80%以下であるのが好ましい。これらの関係の一方又は両方を満たすと、共振周波数の変動幅を大きくすることができるためである。具体的には、電源パターン213EAの配線長が1mm、キャパシタ120の静電容量が1nFのときに、共振周波数を1MHz変動させるために必要なインダクタンス(30nH)を実現することができる。
【0081】
複数のキャパシタ120のうち、1つのキャパシタ120の搭載部分R2Aに対する他のキャパシタ120の搭載部分R2Aの配線構造は、配線長0.1mm以内、配線幅10%以内の差異を持つ概略同一の構造とした。
【0082】
オンダイキャパシタ140から複数のキャパシタ120の搭載部分R2Aのパッド212EA,212GAまでの寄生ループインダクタンスは0.279nHであった。キャパシタ120の寄生インダクタンスが1つあたり0.163nHであり、合成インダクタンスは0.015nHであった。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの寄生インダクタンスは0.293nHとなる。この寄生インダクタンス0.293nHとオンダイキャパシタ140の静電容量20nFとによって、電源インピーダンス特性の65.7MHzにおいて反共振が発生する。
【0083】
第2実施形態では、キャパシタ120そのものの静電容量及び寄生インダクタンスだけでなく、配線幅WE1,WG1を配線幅WE2,WG2に対して変更したことにより、共振周波数を制御する。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路の全寄生インダクタンスは2.71nHであった。上述したように、キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、2.2nFとした。これにより、キャパシタ120と、キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路とで、自己共振周波数65.2MHzの共振回路となる。
【0084】
図6(b)は、第2実施形態の電源インピーダンス特性を示すグラフである。図6(b)において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。なお、図6(b)には、第2実施形態の電源インピーダンス特性を実線で図示し、比較のため、図11(b)に示す比較例1の電源インピーダンス特性を破線で図示している。第2実施形態では、キャパシタ120及びその搭載部分R1Aの配線構造を含んだ共振回路を形成している。キャパシタ120及びその搭載部分R1Aの配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Aを、キャパシタ120及びその搭載部分R2Aの配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP2Aよりも高い周波数に設定する。具体的には、キャパシタ120及びその搭載部分R1Aの配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Aを、反共振のピークP1Yの近傍の周波数に設定する。これにより、第2実施形態では、発生する反共振のピークP1Aを、比較例1の反共振のピークP1Yよりも低減させることができる。つまり、電源インピーダンス特性で反共振が発生する周波数、特に10MHz以上100MHz未満の周波数において、インピーダンスの上昇を抑制することができる。これにより、電源電位変動を抑制することができる。
【0085】
なお、配線幅WE1が配線幅WE2よりも狭いという条件、及び配線幅WG1が配線幅WG2よりも狭いという条件の2つの条件を満たすのが好適であるが、これに限定するものではない。2つの条件のうち、一方の条件のみ満たす場合であってもよい。また、第1実施形態と同様に、電源パターン213EAの配線長を、電源パターン213EAの配線長よりも長くしてもよい。また、第1実施形態と同様に、グラウンドパターン213GAの配線長を、グラウンドパターン213GAの配線長よりも長くしてもよい。
【0086】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る処理モジュールの構成について説明する。第3実施形態の処理モジュールでは、プリント配線板においてキャパシタが実装される搭載部分の配線構造が、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0087】
図7(a)は、第3実施形態のプリント配線板200Bにおけるキャパシタ120,120の搭載部分(実装部分)R1B,R2Bの平面図である。図7(a)には、プリント配線板200BをZ方向に見たときの搭載部分R1B,R2Bの配線構造を図示している。第3実施形態の搭載部分R1B,R2Bの配線構造が、第1実施形態の搭載部分R1,R2の配線構造と異なる。
【0088】
また、キャパシタ120の搭載部分R1Bの配線構造は、キャパシタ120の搭載部分R2Bの配線構造と異なる。なお、複数の搭載部分R2Bの配線構成は概略同一であるので、図7(a)において、1つの搭載部分R2Bの配線構成についてのみ図示している。また、図7(a)において、キャパシタ120,120を鎖線で示す。なお、キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、1個であり、キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、11個である。
【0089】
搭載部分R1Bの配線構造について説明する。プリント配線板200Bは、第2表層である導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第1電源線部の一例としての電源線部210EBを有する。電源線部210EBは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Bは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第1グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210GBを有する。グラウンド線部210GBは、オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210EB及びグラウンド線部210GBは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0090】
搭載部分R2Bの配線構造について説明する。プリント配線板200Bは、導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第2電源線部の一例としての電源線部210EBを有する。電源線部210EBは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Bは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第2グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210GBを有する。グラウンド線部210GBは、オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210EB及びグラウンド線部210GBは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0091】
電源線部210EBは、第1電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド211EBと、第1電源パッドである電源パッド212EBと、第1電源パターンである電源パターン213EBと、を含む。電源ヴィアパッド211EBは、図4に示す電源ヴィア207Eに連結されている。電源パッド212EBは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの一方の電極121がはんだ等で接合された導体パッドである。電源パターン213EBは、電源ヴィアパッド211EBと電源パッド212EBとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド212EBは、電源パターン213EBを介して電源ヴィアパッド211EBに電気的に接続されている。
【0092】
グラウンド線部210GBは、第1グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド211GBと、第1グラウンドパッドであるグラウンドパッド212GBと、第1グラウンドパターンであるグラウンドパターン213GBと、を含む。グラウンドヴィアパッド211GBは、図4に示すグラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパッド212GBは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの他方の電極122がはんだ等で接合された導体パッドである。グラウンドパターン213GBは、グラウンドヴィアパッド211GBとグラウンドパッド212GBとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド212GBは、グラウンドパターン213GBを介してグラウンドヴィアパッド211GBに電気的に接続されている。
【0093】
電源線部210EBは、第2電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド211EBと、第2電源パッドである電源パッド212EBと、第2電源パターンである電源パターン213EBと、を含む。電源ヴィアパッド211EBは、図4に示す電源ヴィア207Eに連結されている。電源パッド212EBは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの一方の電極121がはんだ等で接合された導体パッドである。電源パターン213EBは、電源ヴィアパッド211EBと電源パッド212EBとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド212EBは、電源パターン213EBを介して電源ヴィアパッド211EBに電気的に接続されている。
【0094】
グラウンド線部210GBは、第2グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド211GBと、第2グラウンドパッドであるグラウンドパッド212GBと、第2グラウンドパターンであるグラウンドパターン213GBと、を含む。グラウンドヴィアパッド211GBは、図4に示すグラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパッド212GBは、キャパシタ120の一対の電極121,122のうちの他方の電極122がはんだ等で接合された導体パッドである。グラウンドパターン213GBは、グラウンドヴィアパッド211GBとグラウンドパッド212GBとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド212GBは、グラウンドパターン213GBを介してグラウンドヴィアパッド211GBに電気的に接続されている。
【0095】
第3実施形態では、電源線部210EBのインダクタンスは、電源線部210EBのインダクタンスよりも高い。また、グラウンド線部210GBのインダクタンスは、グラウンド線部210GBのインダクタンスよりも高い。具体的に説明すると、電源線部210EBの配線長LE1は、電源線部210EBの配線長LE2よりも長く、グラウンド線部210GBの配線長LG1は、グラウンド線部210GBの配線長LG2よりも長い。
【0096】
電源線部210EBの配線長LE1は、電源ヴィアパッド211EBの中心と電源パッド212EBの中心との間の配線長である。電源線部210EBの配線長LE2は、電源ヴィアパッド211EBの中心と電源パッド212EBの中心との間の配線長である。グラウンド線部210GBの配線長LG1は、グラウンドヴィアパッド211GBの中心とグラウンドパッド212GBの中心との間の配線長である。グラウンド線部210GBの配線長LG2は、グラウンドヴィアパッド211GBの中心とグラウンドパッド212GBの中心との間の配線長である。
【0097】
より詳細に説明すると、配線長LE1は、電源ヴィアパッド211EBの中心と電源パッド212EBの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LE2は、電源ヴィアパッド211EBの中心と電源パッド212EBの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LG1は、グラウンドヴィアパッド211GBの中心とグラウンドパッド212GBの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LG2は、グラウンドヴィアパッド211GBの中心とグラウンドパッド212GBの中心との道のりのうち最短の道のりである。第3実施形態では、配線長LE1を配線長LE2よりも長くするために、電源パターン213EBをミアンダ状に配線している。
【0098】
第3実施形態では、Z方向に見て、各ヴィアパッド211EB,211EB,211GB,211GBの外形が円形である。各ヴィアパッド211EB,211EB,211GB,211GBの中心は、各ヴィアパッド211EB,211EB,211GB,211GBの外形の中心である。なお、各ヴィアパッド211EB,211EB,211GB,211GBに穴が存在する場合も同様である。
【0099】
また、第3実施形態では、Z方向に見て、パッド212EB,212EB,212GB,212GBの外形が矩形である。各パッド212EB,212EB,212GB,212GBの中心は、各パッド212EB,212EB,212GB,212GBの外形の中心である。
【0100】
第3実施形態の処理モジュールについて、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュールのパラメータについて説明する。半導体素子102のオンダイキャパシタ140(図3)の静電容量は、20nFとした。
【0101】
プリント配線板200Bの厚みは1.6mmとした。導体層251及び導体層254のそれぞれの厚みは0.043mm、導体層252及び導体層253のそれぞれの厚みは0.035mmとした。絶縁体層261及び絶縁体層263のそれぞれの厚みは0.1mm、絶縁体層262の厚みは1.2mmとした。半導体装置100におけるはんだボール110(図2)のピッチは、0.8mmとした。また、電源パッド205E,205E図4)およびグラウンドパッド205G,205G図4)のそれぞれの直径は0.32mmとした。電源ヴィア207E,207Eおよびグラウンドヴィア207G,207Gのそれぞれの穴の直径は0.25mmとした。12個のキャパシタ120(図2(b))は、全て0603サイズのチップ部品とした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、10nF以下、具体的には2.2nFとした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は0.1μFとした。
【0102】
電源パターン213EBの配線幅は0.07mmとした。電源線部210EBの配線長LE1は、電源パターン213EBをミアンダ状とし、1.1mmとした。グラウンドパターン213GBの配線幅は0.3mmとした。グラウンド線部210GBの配線長LG1は0.8mmとした。電源パターン213EBの配線幅は0.2mmとした。電源線部210EBの配線長LE2は0.51mmとした。グラウンドパターン213GBの配線幅は0.2mmとした。グラウンド線部210GBの配線長LG2は0.51mmとした。
【0103】
配線長LE1は配線長LE2よりも0.3mm以上長いのが好ましく、配線長LG1は配線長LG2よりも0.3mm以上長いのが好ましい。なお、電源パターン213EBをミアンダ状とすることにより、各ヴィアパッド211EB,211GB及びパッド212EB,212GBの位置に関わらず、配線長LE1を配線長LE2よりも0.3mm長くすることが可能となる。
【0104】
複数のキャパシタ120のうち、1つのキャパシタ120の搭載部分R2Bに対する他のキャパシタ120の搭載部分R2Bの配線構造は、配線長0.1mm以内、配線幅10%以内の差異を持つ概略同一の構造とした。
【0105】
図3のオンダイキャパシタ140から複数のキャパシタ120の搭載部分R2Bのパッド212EB,212GBまでの寄生ループインダクタンスは0.254nHであった。キャパシタ120の寄生インダクタンスが1つあたり0.163nHであり、合成インダクタンスは0.015nHであった。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの寄生インダクタンスは0.269nHとなる。この寄生インダクタンス0.269nHとオンダイキャパシタ140の静電容量20nFとによって、電源インピーダンス特性の68.6MHzにおいて反共振が発生する。
【0106】
第3実施形態では、キャパシタ120そのものの静電容量及び寄生インダクタンスだけでなく、配線長LE1,LG1を配線長LE2,LG2に対して変更したことにより、共振周波数を制御する。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路の全寄生インダクタンスは2.60nHであった。上述したように、キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、2.2nFとした。これにより、キャパシタ120と、キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路とで、自己共振周波数68.6MHzの共振回路となる。
【0107】
図7(b)は、第3実施形態の電源インピーダンス特性を示すグラフである。図7(b)において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。なお、図7(b)には、第3実施形態の電源インピーダンス特性を実線で図示し、比較のため、図11(b)に示す比較例1の電源インピーダンス特性を破線で図示している。第3実施形態では、キャパシタ120及びその搭載部分R1Bの配線構造を含んだ共振回路を形成している。キャパシタ120及びその搭載部分R1Bの配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Bを、キャパシタ120及びその搭載部分R2Bの配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP2Bよりも高い周波数に設定する。具体的には、キャパシタ120及びその搭載部分R1Bの配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Bを、反共振のピークP1Yの近傍の周波数に設定する。これにより、第3実施形態では、発生する反共振のピークP1Bを、比較例1の反共振のピークP1Yよりも低減させることができる。つまり、電源インピーダンス特性で反共振が発生する周波数、特に10MHz以上100MHz未満の周波数において、インピーダンスの上昇を抑制することができる。これにより、電源電位変動を抑制することができる。
【0108】
なお、以上の説明では、電源パターン213EBのみがミアンダ状に配線されている場合について説明したが、これに限定するものではない。電源パターン213EB及び/又はグラウンドパターン213GBがミアンダ状に配線されていてもよい。
【0109】
また、電源線部210EBが電源パターン213EBを有する場合について説明したが、電源パターン213EBを省略し、電源ヴィアパッド211EBと電源パッド212EBとが直接接続されていてもよい。同様に、グラウンド線部210GBがグラウンドパターン213GBを有する場合について説明したが、グラウンドパターン213GBを省略し、グラウンドヴィアパッド211GBとグラウンドパッド212GBとが直接接続されていてもよい。
【0110】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る処理モジュールの構成について説明する。第4実施形態の処理モジュールでは、プリント配線板の構成が、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は、第1実施形態と略同様である。以下、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と略同様の構成については説明を省略する。
【0111】
図8は、第4実施形態に係る処理モジュール300Cの断面模式図である。処理モジュール300Cは、第1実施形態と同様の半導体装置100と、第1実施形態と同様の図2(b)に示す複数のキャパシタ120と、プリント配線板200Cと、を有する。半導体装置100は、プリント配線板200Cの主面201の側に実装され、図2(b)に示す複数のキャパシタ120は、主面201とは反対の主面202の側に実装さている。
【0112】
上記第1実施形態では、図4に示すように、導体層252と導体層254との間に、主にグラウンドプレーンが配置される1つの導体層253がある場合について説明した。第4実施形態では、図8に示すように、主にグラウンドプレーンが配置される複数の導体層、例えば2つの導体層253,253がある。第4実施形態では、プリント配線板200Cは、5つの導体層251,252,253,253,254と4つの絶縁体層261,262,263,263を含む積層基板である。これら導体層及び絶縁体層は、主面201の側から主面202の側に向かって、導体層251、絶縁体層261、導体層252、絶縁体層262、導体層253、絶縁体層263、導体層253、絶縁体層263、導体層254の順に配置されている。
【0113】
図9(a)は、第4実施形態のプリント配線板200Cにおけるキャパシタ120,120の搭載部分(実装部分)R1,R2の平面図である。図9(a)には、プリント配線板200CをZ方向に見たときの搭載部分R1,R2の配線構造を図示している。なお、複数の搭載部分R2の配線構成は概略同一であるので、図9(a)において、1つの搭載部分R2の配線構成についてのみ図示している。また、図9(a)において、キャパシタ120,120を鎖線で示す。なお、キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、1個であり、キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、11個である。
【0114】
搭載部分R1の配線構造について説明する。プリント配線板200Cは、第2表層である導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である電源線部210Eを有する。また、プリント配線板200Cは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分であるグラウンド線部210Gを有する。
【0115】
搭載部分R2の配線構造について説明する。プリント配線板200Cは、導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である電源線部210Eを有する。また、プリント配線板200Cは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分であるグラウンド線部210Gを有する。
【0116】
電源線部210Eは、電源ヴィアパッド211E、電源パッド212E、及び電源パターン213Eを含む。グラウンド線部210Gは、グラウンドヴィアパッド211G、グラウンドパッド212G、及びグラウンドパターン213Gを含む。電源線部210Eは、電源ヴィアパッド211E、電源パッド212E、及び電源パターン213Eを含む。グラウンド線部210Gは、グラウンドヴィアパッド211G、グラウンドパッド212G、及びグラウンドパターン213Gを含む。
【0117】
第4実施形態では、第1実施形態と同様、電源線部210Eの配線長が電源線部210Eの配線長よりも長く、グラウンド線部210Gの配線長がグラウンド線部210Gの配線長よりも長い。
【0118】
図9(b)及び図9(c)は、第4実施形態のプリント配線板200Cの内層である導体層253,253の平面図である。図9(b)には、プリント配線板200CをZ方向に見たときの導体層253において、図9(a)の搭載部分R1,R2と重なる部分を図示している。図9(c)には、プリント配線板200CをZ方向に見たときの導体層253において、図9(a)の搭載部分R1,R2と重なる部分を図示している。なお、図9(b)において、説明の便宜上、導体層254に配置された電源パターン213Eを破線で示す。
【0119】
導体層253には、ベタのグラウンドプレーン208GCが配置されており、グラウンドヴィア207G,207Gは、導体層253においてグラウンドプレーン208GCに接続されている。グラウンドプレーン208GCには、電源ヴィア207Eが通過する開口部208H11、及び電源ヴィア207Eが通過する開口部208H12が形成されている。これにより、電源ヴィア207E,207Eは、グラウンドプレーン208GCには接触していない。
【0120】
導体層253には、ベタのグラウンドプレーン208GCが配置されており、グラウンドヴィア207G,207Gは、導体層253においてグラウンドプレーン208GCに接続されている。グラウンドプレーン208GCには、電源ヴィア207Eが通過する開口部208H21、及び電源ヴィア207Eが通過する開口部208H22が形成されている。これにより、電源ヴィア207E,207Eは、グラウンドプレーン208GCには接触していない。
【0121】
Z方向に見て、開口部208H11の面積は、開口部208H12の面積よりも広い。Z方向に見て、開口部208H11は、少なくとも電源パターン213Eと重なる位置及び大きさに形成されている。すなわち、開口部208H11は、電源パターン213Eに対向する位置に形成されている。第4実施形態ではZ方向に見て電源パターン213Eの全体が開口部208H11と重なっている。即ち、Z方向に見て、開口部208H11の面積は、電源パターン213Eの面積よりも広い。
【0122】
第4実施形態のプリント配線板200Cでは、グラウンドプレーン208GCに開口部208H11が設けられている。したがって、電源パターン213Eは、開口部208H11を通じて導体層253よりも遠い導体層253のグラウンドプレーン208GCとZ方向で対向している。電源パターン213Eがグラウンドプレーン208GCと対向しているので、電源パターン213Eがグラウンドプレーン208GCと対向している場合と比較して電源パターン213Eの寄生インダクタンスをより大きくすることが可能となる。
【0123】
第4実施形態の処理モジュール300Cについて、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュール300Cのパラメータについて説明する。半導体素子102のオンダイキャパシタ140(図3)の静電容量は、20nFとした。
【0124】
プリント配線板200Cの厚みは1.6mmとした。導体層251及び導体層254のそれぞれの厚みは0.043mm、導体層252、導体層253及び導体層253のそれぞれの厚みは0.035mmとした。絶縁体層261及び絶縁体層263のそれぞれの厚みは0.1mm、絶縁体層263の厚みは0.5mm、絶縁体層262の厚みは0.7mmとした。半導体装置100におけるはんだボール110のピッチは、0.8mmとした。また、電源パッド205E,205Eおよびグラウンドパッド205G,205Gのそれぞれの直径は0.32mmとした。電源ヴィア207E,207Eおよびグラウンドヴィア207G,207Gのそれぞれの穴の直径は0.25mmとした。12個のキャパシタ120(図2(b))は、全て0603サイズのチップ部品とした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は10μF以下、具体的には2.2nFとした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は0.1μFとした。
【0125】
電源パターン213Eの配線幅は0.1mmとした。電源線部210Eの配線長は、0.8mmとした。Z方向に見て、グラウンドプレーン208GCの開口部208H11の面積は、電源パターン213Eの面積よりも広くした。
【0126】
グラウンドパターン213Gの配線幅は0.1mmとした。グラウンド線部210Gの配線長は0.8mmとした。電源パターン213Eの配線幅は0.2mmとした。電源線部210Eの配線長は0.51mmとした。グラウンドパターン213GBの配線幅は0.2mmとした。グラウンド線部210Gの配線長は0.51mmとした。
【0127】
複数のキャパシタ120のうち、1つのキャパシタ120の搭載部分R2に対する他のキャパシタ120の搭載部分R2の配線構造は、配線長0.1mm以内、配線幅10%以内の差異を持つ概略同一の構造とした。
【0128】
図3のオンダイキャパシタ140から複数のキャパシタ120の搭載部分R2のパッド212E,212Gまでの寄生ループインダクタンスは0.254nHであった。キャパシタ120の寄生インダクタンスが1つあたり0.163nHであり、合成インダクタンスは0.015nHであった。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの寄生インダクタンスは0.269nHとなる。この寄生インダクタンス0.269nHとオンダイキャパシタ140の静電容量20nFとによって、電源インピーダンス特性の68.6MHzにおいて反共振が発生する。
【0129】
キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路の全寄生インダクタンスは2.43nHであった。上述したように、キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、2.2nFとした。これにより、キャパシタ120と、キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路とで、自己共振周波数68.9MHzの共振回路となる。
【0130】
図9(d)は、第4実施形態の電源インピーダンス特性を示すグラフである。図9(d)において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。なお、図9(d)には、第4実施形態の電源インピーダンス特性を実線で図示し、比較のため、図11(b)に示す比較例1の電源インピーダンス特性を破線で図示している。第4実施形態では、キャパシタ120及びその搭載部分R1の配線構造を含んだ共振回路を形成している。キャパシタ120及びその搭載部分R1の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Cを、キャパシタ120及びその搭載部分R2の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP2Cよりも高い周波数に設定する。具体的には、キャパシタ120及びその搭載部分R1の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Cを、反共振のピークP1Yの近傍の周波数に設定する。これにより、第4実施形態では、発生する反共振のピークP1Cを、比較例1の反共振のピークP1Yよりも低減させることができる。つまり、電源インピーダンス特性で反共振が発生する周波数、特に10MHz以上100MHz未満の周波数において、インピーダンスの上昇を抑制することができる。これにより、電源電位変動を抑制することができる。
【0131】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る処理モジュールの構成について説明する。第5実施形態の処理モジュールでは、プリント配線板における配線構造が、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は、第1実施形態と略同様である。以下、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と略同様の構成については説明を省略する。
【0132】
図12(a)は第5実施形態のプリント配線板200Dにおける半導体装置100の搭載部分(実装部分)R3,R4の平面図である。図12(a)には、プリント配線板200Dにおける第1表層である導体層251をZ方向に見たときの搭載部分R3,R4の配線構造を図示している。図12(b)は、第5実施形態のプリント配線板200Dにおけるキャパシタ120,120の搭載部分(実装部分)R1D,R2Dの平面図である。図12(b)には、プリント配線板200Dにおける第2表層である導体層254をZ方向に見たときのキャパシタの搭載部分R1D,R2Dの配線構造を図示している。
【0133】
搭載部分R3の配線は、第1キャパシタであるキャパシタ120に電気的に接続される配線である。搭載部分R4の配線は、第2キャパシタであるキャパシタ120に電気的に接続される配線である。第5実施形態のプリント配線板200Dは、第1実施形態における図5(a)の搭載部分R1の配線構造を、搭載部分R3に適用したものである。搭載部分R4の配線構造は、第1実施形態と同様であるが、搭載部分R3の配線構造は、第1実施形態と異なる。即ち、搭載部分R3の配線構造は、搭載部分R4の配線構造と異なる。
【0134】
なお、搭載部分R4の配線構造の数は、キャパシタ120と同数である。複数の搭載部分R4の配線構成は、概略同一である。したがって、図12(a)において、1つの搭載部分R4の配線構成についてのみ図示している。
【0135】
また、図12(b)において、搭載部分R1Dの配線構造及び搭載部分R2Dの配線構造は、第1~第4実施形態のいずれかのように互いに異なる配線構造としてもよいが、第5実施形態では、略同一の配線構造としている。即ち、第1キャパシタであるキャパシタ120が搭載される搭載部分R1Dの配線構造と、第2キャパシタであるキャパシタ120が搭載される搭載部分R2Dの配線構造は、概略同一である。キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、1個であり、キャパシタ120の個数は第1実施形態と同様、11個である。
【0136】
搭載部分R1Dの配線構造について説明する。プリント配線板200Dは、第2表層である導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である電源線部210E10を有する。電源線部210E10は、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141、142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Dは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分であるグラウンド線部210G10を有する。グラウンド線部210G10は、オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210E10及びグラウンド線部210G10図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列するのに用いられる。
【0137】
搭載部分R2Dの配線構造について説明する。プリント配線板200Dは、第2表層である導体層254に配置され、図3の電源線301Eの一部分である電源線部210E20を有する。電源線部210E20は、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141、142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Dは、導体層254に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分であるグラウンド線部210G20を有する。グラウンド線部210G20は、オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210E20及びグラウンド線部210G20図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列するのに用いられる。
【0138】
電源線部210E10は、電源ヴィアパッド211E10と、電源パッド212E10と、電源パターン213E10と、を含む。電源ヴィアパッド211E10と電源パッド212E10とは、電源パターン213E10でつながれている。グラウンド線部210G10は、グラウンドヴィアパッド211G10と、グラウンドパッド212G10と、グラウンドパターン213G10と、を含む。グラウンドヴィアパッド211G10とグラウンドパッド212G10とは、グラウンドパターン213G10でつながれている。電源ヴィアパッド211E10は、図4の電源ヴィア207Eに連結されている。グラウンドヴィアパッド211G10は、図4のグラウンドヴィア207Gに連結されている。電源パッド212E10には、キャパシタ120の電極121が接合されている。グラウンドパッド212G10には、キャパシタ120の電極122が接合されている。
【0139】
電源線部210E20は、電源ヴィアパッド211E20と、電源パッド212E20と、電源パターン213E20と、を含む。電源ヴィアパッド211E20と電源パッド212E20とは、電源パターン213E20でつながれている。グラウンド線部210G20は、グラウンドヴィアパッド211G20と、グラウンドパッド212G20と、グラウンドパターン213G20と、を含む。グラウンドヴィアパッド211G20とグラウンドパッド212G20とは、グラウンドパターン213G20でつながれている。電源ヴィアパッド211E20は、図4の電源ヴィア207Eに連結されている。グラウンドヴィアパッド211G20は、図4のグラウンドヴィア207Gに連結されている。電源パッド212E20には、キャパシタ120の電極121が接合されている。グラウンドパッド212G20には、キャパシタ120の電極122が接合されている。
【0140】
本実施形態では、搭載部分R1Dにおける電源線部210E10と搭載部分R2Dにおける電源線部210E20とは略同一の構成である。また、搭載部分R1Dにおけるグラウンド線部210G10と搭載部分R2Dにおけるグラウンド線部210G20とは略同一の構成である。
【0141】
搭載部分R3の配線構造について説明する。プリント配線板200Dは、第1表層である導体層251に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第1電源線部の一例としての電源線部210EDを有する。電源線部210EDは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Dは、導体層251に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第1グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210GDを有する。グラウンド線部210GDは、オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210ED及びグラウンド線部210GD図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列するのに用いられる。
【0142】
搭載部分R4の配線構造について説明する。プリント配線板200Dは、導体層251に配置され、図3の電源線301Eの一部分である第2電源線部の一例としての電源線部210EDを有する。電源線部210EDは、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。また、プリント配線板200Dは、導体層251に配置され、図3のグラウンド線301Gの一部分である第2グラウンド線部の一例としてのグラウンド線部210GDを有する。オンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部210ED及びグラウンド線部210GDは、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0143】
電源線部210EDは、第1電源パッドである電源パッド205Eと、第1電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド206Eと、第1電源パターンである電源パターン205E12と、を含む。電源パッド205Eは、図4に示す電源端子110Eによって半導体装置100のパッケージ基板101の電源パッド105Eに接続されている。電源ヴィアパッド206Eは、図4に示す電源ヴィア207Eに連結されている。電源パターン205E12は、電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206Eとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド205Eは、電源パターン205E12を介して電源ヴィアパッド206Eに電気的に接続されている。
【0144】
グラウンド線部210GDは、第1グラウンドパッドであるグラウンドパッド205Gと、第1グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド206Gと、第1グラウンドパターンであるグラウンドパターン205G12と、を含む。グラウンドパッド205Gは、図4に示すグラウンド端子110Gによって半導体装置100のパッケージ基板101のグラウンドパッド105Gに接続されている。グラウンドヴィアパッド206Gは、図4に示すグラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパターン205G12は、グラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド205Gは、グラウンドパターン205G12を介してグラウンドヴィアパッド206Gに電気的に接続されている。
【0145】
電源線部210EDは、第2電源パッドである電源パッド205Eと、第2電源ヴィアパッドである電源ヴィアパッド206Eと、第2電源パターンである電源パターン205E22と、を含む。電源パッド205Eは、図4に示す電源端子110Eによって半導体装置100のパッケージ基板101の電源パッド105Eに接続されている。電源ヴィアパッド206Eは、図4に示す電源ヴィア207Eに連結されている。電源パターン205E22は、電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206Eとをつなぐ導体パターンである。これにより、電源パッド205Eは、電源パターン205E22を介して電源ヴィアパッド206Eに電気的に接続されている。
【0146】
グラウンド線部210GDは、第2グラウンドパッドであるグラウンドパッド205Gと、第2グラウンドヴィアパッドであるグラウンドヴィアパッド206Gと、第2グラウンドパターンであるグラウンドパターン205G22と、を含む。グラウンドパッド205Gは、図4に示すグラウンド端子110Gによって半導体装置100のパッケージ基板101のグラウンドパッド105Gに接続されている。グラウンドヴィアパッド206Gは、図4に示すグラウンドヴィア207Gに連結されている。グラウンドパターン205G22は、グラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとをつなぐ導体パターンである。これにより、グラウンドパッド205Gは、グラウンドパターン205G22を介してグラウンドヴィアパッド206Gに電気的に接続されている。
【0147】
第5実施形態では、電源線部210EDのインダクタンスは、電源線部210EDのインダクタンスよりも高い。また、グラウンド線部210GDのインダクタンスは、グラウンド線部210GDのインダクタンスよりも高い。具体的に説明すると、電源線部210EDの配線長LE1は、電源線部210EDの配線長LE2よりも長い。また、グラウンド線部210GDの配線長LG1は、グラウンド線部210GDの配線長LG2よりも長い。電源線部210EDの配線長LE1は、電源パッド205Eの中心と電源ヴィアパッド206Eの中心との間の配線長である。電源線部210EDの配線長LE2は、電源パッド205Eの中心と電源ヴィアパッド206Eの中心との間の配線長である。グラウンド線部210GDの配線長LG1は、グラウンドパッド205Gの中心とグラウンドヴィアパッド206Gの中心との間の配線長である。グラウンド線部210GDの配線長LG2は、グラウンドパッド205Gの中心とグラウンドヴィアパッド206Gの中心との間の配線長である。
【0148】
より詳細に説明すると、配線長LE1は、電源パッド205Eの中心と電源ヴィアパッド206Eの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LE2は、電源パッド205Eの中心と電源ヴィアパッド206Eの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LG1は、グラウンドパッド205Gの中心とグラウンドヴィアパッド206Gの中心との道のりのうち最短の道のりである。配線長LG2は、グラウンドパッド205Gの中心とグラウンドヴィアパッド206Gの中心との道のりのうち最短の道のりである。第5実施形態では、配線長LE1を配線長LE2よりも長くするために、電源パターン205E12をL字型に配線している。また、第5実施形態では、配線長LG1を配線長LG2よりも長くするために、グラウンドパターン205G12をL字型に配線している。電源パターン205E22及びグラウンドパターン205G22は、直線状に配置している。また、電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206Eとの相対的な位置関係と、電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206Eとの相対的な位置関係とは同一である。また、グラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとの相対的な位置関係と、グラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとの相対的な位置関係とは同一である。
【0149】
第5実施形態では、Z方向に見て、各ヴィアパッド206E,206E,206G,206Gの外形が円形である。ヴィアパッド206E,206E,206G,206Gの中心は、各ヴィアパッド206E,206E,206G,206Gの外形の中心である。なお、各ヴィアパッド206E,206E,206G,206Gに穴が存在する場合も同様である。
【0150】
また、第5実施形態では、Z方向に見て、パッド205E,205E,205G,205Gの外形が円形である。各パッド205E,205E,205G,205Gの中心は205E,205E,205G,205Gの外形の中心である。
【0151】
第5実施形態の処理モジュールについて、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュールのパラメータについて説明する。半導体素子102のオンダイキャパシタ140(図3)の静電容量は20nFとした。
【0152】
プリント配線板200Dの厚みは1.6mmとした。導体層251及び導体層254のそれぞれの厚みは0.043mm、導体層252及び導体層253のそれぞれの厚みは0.035mmとした。絶縁体層261及び絶縁体層263のそれぞれの厚みは0.1mm、絶縁体層262の厚みは1.2mmとした。半導体装置におけるはんだボール110(図2)のピッチは、0.8mmとした。また、電源パッド205E,205E図4)及びグラウンドパッド305G,205G図4)のそれぞれの直径は0.32mmとした。電源ヴィア207E,207E及びグラウンドヴィア207G,207Gのそれぞれの穴の直径は0.35mmとした。12個のキャパシタ120(図2(b))は、全て0603サイズのチップ部品とした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、10nF以下、具体的には2.2nFとした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は0.1μFとした。
【0153】
電源パターン205E12の配線幅は0.1mmとした。電源線部210EDの配線長LE1は、電源パターン205E12をL字型とし、0.81mmとした。グラウンドパターン205G12の配線幅は0.1mmとした。グラウンド線部210GDの配線長LGは、グラウンドパターン205G12をL字型とし、0.81mmとした。電源パターン205E22の配線幅は0.3mmとした。電源線部210EDの配線長LE2は、0.57mmとした。グラウンドパターン205G22の配線幅は0.3mmとした。グラウンド線部210GDの配線長LG2は0.57mmとした。
【0154】
配線長LE1は配線長LE2よりも0.2mm以上長いのが好ましく、配線長LG1は配線長LG2よりも0.2mm以上長いのが好ましい。なお、電源パターン205E12をL字型やミアンダ状とすることにより、各パッド205E,205G及びヴィアパッド206E,206Gの位置に関わらず、配線長LE1を配線長LE2よりも0.2mm長くすることが可能となる。
【0155】
複数のキャパシタ120のうち、1つのキャパシタ120が接続される搭載部分R4に対する他のキャパシタ120の搭載部分R4の配線構造は、配線長0.1mm以内、配線幅10%以内の差異を持つ概略同一の構造とした。
【0156】
図3のオンダイキャパシタ140から複数のキャパシタ120の搭載部分R2Dのパッド212E20,212G20までの寄生ループインダクタンスは0.254nHであった。キャパシタ120の寄生インダクタンスが1つあたり0.163であり、合成インダクタンスは0.015nHであった。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの寄生インダクタンスは0.269nHとなる。この寄生インダクタンス0.269nHとオンダイキャパシタ140の静電容量20nFとによって、電源インピーダンス特性の68.6MHzにおいて反共振が発生する。
【0157】
第5実施形態では、キャパシタ120そのものの静電容量及び寄生インダクタンスだけでなく、配線長LE1,LG2を配線長LE2,LG2に対して変更したことにより、共振周波数を制御する。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路の全寄生インダクタンスは2.45nHであった。上述したように、キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、2.2nFとした。これにより、キャパシタ120とキャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路とで、自己共振周波数68.6MHzの共振回路となる。
【0158】
図12(c)は、第5実施形態の電源インピーダン特性を示すグラフである。図12(c)において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。なお、図12(c)には、第5実施形態の電源インピーダンス特性を実線で図示し、比較のため、図11(b)に示す比較例1の電源インピーダンス特性を破線で図示している。第5実施形態では、キャパシタ120及びその搭載部分R1D及び半導体装置100の搭載部分R3の配線構造を含んだ共振回路を形成している。キャパシタ120と、搭載部分R1D及び搭載部分R3の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Dを、キャパシタ120と、搭載部分R2D及び搭載部分R4の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP2Dよりも高い周波数に設定する。具体的には、キャパシタ120と、その搭載部分R1及び半導体装置100の搭載部分R3の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Dを、反共振のピークP1Yの近傍の周波数に設定する。これにより、第5実施形態では、発生する反共振のピークP1Dを比較例1の反共振のピークP1Yよりも低減させることができる。つまり、電源インピーダンス特性で反共振が発生する周波数、特に10MHz以上100MHz未満の周波数において、インピーダンスの上昇を抑制することができる。これにより、電源電位変動を抑制することができる。
【0159】
なお、以上の説明では、電源パターン205E12とグラウンドパターン205G12の双方がL字型に配線されている場合について説明したが、これに限定するものではない。電源パターン205E12及び/又はグラウンドパターン205G12がL字型又はミアンダ状に配線されていてもよい。
【0160】
また、電源線部210EDが電源パターン205E22を有する場合について説明したが、電源パターン205E22を省略し、電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206E2とが直接接続されていてもよい。同様に、グラウンド線部210GDがグラウンドパターン205G22を有する場合について説明したが、グラウンドパターン205G22を省略し、グラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとが直接接続されていてもよい。
【0161】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る処理モジュールの構成について説明する。第6実施形態の処理モジュールでは、プリント配線板の構造、具体的にはキャパシタが実装される搭載部分の配線構造が、第1実施形態と異なり、それ以外の構成は、第1実施形態と略同様である。以下、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と略同様の構成については説明を省略する。
【0162】
図13は、第6実施形態に係る処理モジュール300Eの断面模式図である。処理モジュール300Eは、第1実施形態と同様の半導体装置100と、第1実施形態の同様の図2(b)に示す複数のキャパシタ120と、プリント配線板200Eと、を有する。半導体装置100は、プリント配線板200Eの主面201の側に実装され、図2(b)に示す複数のキャパシタ120は、主面201とは反対の主面202の側に実装されている。
【0163】
図14(a)は第6実施形態のプリント配線板200Eにおけるキャパシタ120の搭載部分(実装部分)R1Eと、キャパシタ120の搭載部分(実装部分)R2Eの平面図である。キャパシタ120との搭載部分R1Eの配線構造とキャパシタ120の搭載部分(実装部分)R2Eの配線構造とは略同一である。図14(a)には、プリント配線板200EをZ方向に見たときの搭載部分R1E,R2Eの配線構造を図示している。なお、キャパシタ120の複数の搭載部分R2Eの配線構成は概略同一であるので、図14(a)において、1つの搭載部分R2Eの配線構成についてのみ図示している。また、搭載部分R1Eの配線構造は、第5実施形態の搭載部分R1Dの配線構造と略同一である。また、搭載部分R2Eの配線構造は、第5実施形態の搭載部分R2Dの配線構造と略同一である。キャパシタ120の個数は、第1実施形態と同様、1個であり、キャパシタ120の個数は第1実施形態と同様、11個である。
【0164】
図13に示すようにプリント配線板200Eは、図3の電源線301Eの一部分である電源線部分210EE11を有する。電源線部分210EE11は、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。
【0165】
また、プリント配線板210Eは、図3のグラウンド線301Gの一部分であるグラウンド線部分210GE11を有する。グラウンド線部分210GE11は、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。
【0166】
電源線部分210EE11及びグラウンド線部分210GE11は、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0167】
また、プリント配線板200Eは、図3の電源線301Eの一部分である電源線部分210EE21を有する。電源線部分210EE21は、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち一方の電極141に電気的に導通している。
【0168】
また、プリント配線板210Eは、図3のグラウンド線301Gの一部分であるグラウンド線部分210GE21を有する。グラウンド線部分210GE21は、図3のオンダイキャパシタ140の一対の電極141,142のうち他方の電極142に電気的に導通している。電源線部分210EE21及びグラウンド線部分210GE21は、図3に示す電源装置150から見て、キャパシタ120を送信回路145及びオンダイキャパシタ140に並列に接続するのに用いられる。
【0169】
電源線部分210EE11は、導体層251に配置された、電源パッド205E、電源ヴィアパッド206E、及び電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206Eとを接続する導体パターンを含む。また、電源線部分210EE11は、導体層254の搭載部分R1Eに形成された、第5実施形態と同様の構成の電源線部210E10を有する。また、電源線部分210EE11は、電源ヴィアパッド206Eと電源ヴィアパッド211E10とを接続する電源ヴィア207E10を有する。
【0170】
グラウンド線部分210GE11は、導体層251に配置された、グラウンドパッド205G、グラウンドヴィアパッド206G、及びグラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとを接続する導体パターンを含む。また、グラウンド線部分210GE11は、導体層254の搭載部分R1Eに形成された、第5実施形態と同様の構成のグラウンド線部210G10を有する。また、グラウンド線部分210GE11は、グラウンドヴィアパッド206Gとグラウンドヴィアパッド211G10とを接続するグラウンドヴィア207G10を有する。
【0171】
電源線部分210EE21は、導体層251に配置された、電源パッド205E、電源ヴィアパッド206E、及び電源パッド205Eと電源ヴィアパッド206Eとを接続する導体パターンを含む。また、電源線部分210EE21は、導体層254の搭載部分R2Eに形成された、第5実施形態と同様の構成の電源線部210E20を有する。また、電源線部分210EE21は、電源ヴィアパッド206Eと電源ヴィアパッド211E20とを接続する電源ヴィア207E20を有する。
【0172】
グラウンド線部分210GE21は、導体層251に配置された、グラウンドパッド205G、グラウンドヴィアパッド206G、及びグラウンドパッド205Gとグラウンドヴィアパッド206Gとを接続する導体パターンを含む。また、グラウンド線部分210GE21は、導体層254の搭載部分R2Eに形成された、第5実施形態と同様の構成のグラウンド線部210G20を有する。また、グラウンド線部分210GE21は、グラウンドヴィアパッド206Gとグラウンドヴィアパッド211G20とを接続するグラウンドヴィア207G20を有する。
【0173】
第6実施形態では、電源線部分210EE11のインダクタンスは、電源線部分210EE21のインダクタンスよりも高い。また、グラウンド線部分210GE11のインダクタンスは、グラウンド線部分210GE21のインダクタンスよりも高い。具体的に説明すると、電源線部分210EE11の電源ヴィア207E10の直径RE1は、電源線部分210EE21の電源ヴィア207E20の直径RE2よりも細い。また、グラウンド線部分210GE11のヴィア207G10の直径RG1は、グラウンド線部分210GE21のグラウンドヴィア207G20の直径RG2よりも細い。
【0174】
第6実施形態の処理モジュールについて、電源インピーダンス特性を測定する実験を行った。この実験に用いた処理モジュールのパラメータについて説明する。半導体素子102のオンダイキャパシタ140(図3)の静電容量は20nFとした。
【0175】
プリント配線板200Eの厚みは1.6mmとした。導体層251及び導体層254のそれぞれの厚みは0.043mm、導体層252及び導体層253のそれぞれの厚みは0.035mmとした。絶縁体層261及び絶縁体層263のそれぞれの厚みは0.1mm、絶縁体層262の厚みは1.2mmとした。半導体装置におけるはんだボール110のピッチは、0.8mmとした。また、電源パッド205E、205E及びグラウンドパッド305G、205Gのそれぞれの直径は0.32mmとした。電源ヴィア207E10及びグラウンドヴィア207G10の穴の直径RE1,RG1は0.14mmとした。電源ヴィア207E20及びグラウンドヴィア207G20の穴の直径RE2,RG2は0.25mmとした。12個のキャパシタ120,120は、全て0603サイズのチップ部品とした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、10nF以下、具体的には2.2nFとした。キャパシタ120の静電容量(定格容量)は0.1μFとした。
【0176】
電源ヴィア207E10の直径RE1は電源ヴィア207E20の直径RE2の80%以下であることが望ましい。また、グラウンドヴィア207G10の直径RG1はグラウンドヴィア207G20の直径RG2の80%以下であることが望ましい。
【0177】
搭載部分R1Eの配線構造及び複数の搭載部分R2Eの配線構造うち、1つの配線構造に対する他の配線構造は、配線長0.1mm以内、配線幅10%以内の差異を持つ概略同一の構造とした。
【0178】
図3のオンダイキャパシタ140から複数のキャパシタ120の搭載部分R1Eのパッド212E20、212G20までの寄生ループインダクタンスは0.254nHであった。キャパシタ120の寄生インダクタンスが1つあたり0.163であり、合成インダクタンスは0.015nHであった。キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの寄生インダクタンスは0.269nHとなる。この寄生インダクタンス0.269nHとオンダイキャパシタ140の静電容量20nFとによって、電源インピーダンス特性の68.6MHzにおいて反共振が発生する。
【0179】
第6実施形態では、キャパシタ120の静電容量及び寄生インダクタンスだけでなく、ヴィア207E10及び207G10の直径をヴィア207E20及び207G20の直径に対して変更したことにより、共振周波数を制御する。
【0180】
キャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路の全寄生インダクタンスは2.45nHであった。上述したように、キャパシタ120の静電容量(定格容量)は、2.2nFとした。これにより、キャパシタ120とキャパシタ120からオンダイキャパシタ140までの経路とで、自己共振周波数68.6MHzの共振回路となる。
【0181】
図14(b)は、第6実施形態の電源インピーダン特性を示すグラフである。図14(b)において、横軸は周波数、縦軸はインピーダンスである。なお、図14(b)には、第6実施形態の電源インピーダンス特性を実線で図示し、比較のため、図11(b)に示す比較例1の電源インピーダンス特性を破線で図示している。第6実施形態では、キャパシタ120及び電源線部分210EE11とグラウンド線部分210GE11の配線構造を含んだ共振回路を形成している。ピークP10Eは、キャパシタ120と、電源線部分210EE11及びグラウンド線部分210GE11の配線構造とを含んだ共振回路の共振のピークである。ピークP10Eを、キャパシタ120と、電源線部分210EE21及びグラウンド線部分210GE21の配線構造とを含んだ共振回路の共振のピークP2Dよりも高い周波数に設定する。具体的には、キャパシタ120及び電源線部分210EE11とグラウンド線部分210GE11の配線構造を含んだ共振回路の共振のピークP10Eを、反共振のピークP1Yの近傍の周波数に設定する。これにより、第6実施形態では、発生する反共振のピークP1Eを比較例1の反共振のピークP1Yよりも低減させることができる。つまり、電源インピーダンス特性で反共振が発生する周波数、特に10MHz以上100MHz未満の周波数において、インピーダンスの上昇を抑制することができる。これにより、電源電位変動を抑制することができる。
【0182】
なお、以上の説明では、電源ヴィア207E10とグラウンドヴィア207G10の双方が電源ヴィア207E20とグラウンドヴィア207G20に対して細い場合について説明したが、これに限定するものではない。電源ヴィア207E10及び/又はグラウンドヴィア207G10が電源ヴィア207E20及び/又はグラウンドヴィア207G20に対して細く形成されていてもよい。
【0183】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【0184】
上述の実施形態においては、バイパス用のキャパシタ120の総数を12個とした場合について説明したが、この数に限定するものではない。キャパシタ120の寄生インダクタンスを含めた搭載部分の寄生インダクタンスと、キャパシタ120のキャパシタンスの関係は個数によらず一定である。このため、キャパシタの個数に制約されず、上述の実施形態の効果を奏することは自明である。
【0185】
また、上述の実施形態で説明した通り、キャパシタ120の数が1であるのが好適であるが、この数に限定するものではない。キャパシタ120の数がキャパシタ120の数よりも少なければ、キャパシタ120の数が2以上であってもよい。
【符号の説明】
【0186】
100…半導体装置、102…半導体素子、120…キャパシタ(第1キャパシタ)、120…キャパシタ(第2キャパシタ)、140…オンダイキャパシタ(内部キャパシタ)、200…プリント配線板、210E…電源線部(第1電源線部)、210E…電源線部(第2電源線部)、210G…グラウンド線部(第1グラウンド線部)、210G…グラウンド線部(第2グラウンド線部)、211E…電源ヴィアパッド(第1電源ヴィアパッド)、211E…電源ヴィアパッド(第2電源ヴィアパッド)、211G…グラウンドヴィアパッド(第1グラウンドヴィアパッド)、211G…グラウンドヴィアパッド(第2グラウンドヴィアパッド)、212E…電源パッド(第1電源パッド)、212E…電源パッド(第2電源パッド)、212G…グラウンドパッド(第1グラウンドパッド)、212G…グラウンドパッド(第2グラウンドパッド)、213E…電源パターン(第1電源パターン)、213E…電源パターン(第2電源パターン)、213G…グラウンドパターン(第1グラウンドパターン)、213G…グラウンドパターン(第2グラウンドパターン)、251…導体層(第1表層)、254…導体層(第2表層)、300…処理モジュール(電子モジュール)、600…デジタルカメラ(電子機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14