(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ウェハ接合装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241111BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2020190872
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】諸石 史孝
(72)【発明者】
【氏名】梶並 将人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 貴優
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129199(JP,A)
【文献】特開2007-141972(JP,A)
【文献】特開2014-168089(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115684(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを保持する面の中央に穴を有する第1チャックと,
第2チャックと,
前記第2チャック全体が昇降する機構と,
前記穴を介してウェハを第2チャック方向に押圧する押圧部と,
前記押圧部と前記第1チャックとの間に設けられ,前記保持する面方向での前記押圧部の位置ずれを抑えるエアベアリングと,を備えるウェハ接合装置。
【請求項2】
前記押圧部は,ウェハ裏面の接触を検出するフォースセンサを有する請求項1に記載のウェハ接合装置。
【請求項3】
第1チャックに保持される第1ウェハと第2チャックに保持される第2ウェハが成す傾きを検出するセンサと,
前記傾きに基づいて前記第1ウェハと前記第2ウェハが並行になるように第2チャックの傾きを調整するチルトステージとを備える請求項1または2に記載のウェハ接合装置。
【請求項4】
第2チャックに保持されたウェハのアライメントを検出するカメラと,
第2チャックを移動する移動ステージと,
前記カメラの検出結果に基づいて,第2チャックの位置を第
1チャックに合わせるように移動ステージを移動させるコントローラと,を備える請求項1から3のいずれかに記載のウェハ接合装置。
【請求項5】
前記移動ステージは,XY方向に移動するXYステージを備え,
前記XYステージは,第2ウェハのアライメントマークの位置に基づいてウェハの位置を合わせる請求項4に記載のウェハ接合装置。
【請求項6】
前記移動ステージは,Z方向に移動するZステージを備え,
前記カメラは,Z方向での移動において,前記第2ウェハのアライメントマークを撮像し,
前記XYステージは,Z方向での移動前後でのアライメントマークの位置変化に基づいてウェハのXY方向の位置を合わせる請求項5に記載のウェハ接合装置。
【請求項7】
前記カメラより広視野を有する広視野カメラを備え,前記広視野カメラは,第1ウェハを第2ウェハに押し付けた後のウェハの接合部の伝搬状態を撮像し,
前記押圧部は,ウェハ押し付け時間を状態により可変させる請求項4から6のいずれかに記載のウェハ接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェハ接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハに対して,接合面をプラズマ等で活性化させ,接合面を向かい合わせた状態で上下に配置し接合する方式が行われている。この半導体ウェハを接合するとき,大気圧中ではウェハとウェハの間に空気層が介在し,接合後にボイドが多く発生してしまう原因になる。そこで,一方のウェハの中心部を押圧し,ウェハを変形させて間の空気を排出しながら接合する方式が用いられている。
【0003】
また近年,半導体配線ピッチの微細化により,サブミクロン精度での接合を要求されている。ウェハを接合させる中心部を押圧する過程で,2つのウェハの一方を押圧するとウェハ形状に伸縮が生じる。このようにウェハに伸縮が発生した状態でウェハ同士を接合すると,中心部から外周部にかけて位置ずれが発生してしまう。この位置ずれは,外周部付近では1ミクロン以上となってしまう。
【0004】
したがって,このウェハの伸縮を小さくするために,接合するウェハとウェハのギャップを狭くして接合することが必要になってきている。
【0005】
また,2つのウェハの伸縮を均一にさせることにより,伸縮による位置ずれを抑えることができる。しかし,2つのプッシャーが正対しておらず,2つのウェハが押された位置がずれていると接合後の位置ずれが起こってしまう。
【0006】
また,ウェハ間のギャップを狭くするのでウェハ間の傾きがあるとウェハの周辺部が接触し,接合したときにボイドが発生する可能性がある。よって特許文献1,特許文献2では補正機構が提案されている。このようなロードセルによる荷重値によって傾きを検出しウェハ保持部の傾きを補正する機構がある。この機構は荷重値によってウェハ保持部の平行を補正する場合,実際に接合するときはいくらかのギャップがあり,平行を補正した位置とは状態が異なる場合がある。
【0007】
また,ウェハをプッシャーが押圧して接合する際,ウェハは中央から外周部にかけて段階的に接合されるが,ウェハ表面状態やプラズマの照射状態の違いなどにより,接合界面が中央から外周に向けて伝搬していく速度は異なる。そこで従来はウェハの押し付け時間は余裕を持って長くする必要があり,生産性が悪くなる。
【0008】
また,真空中で接合を行えば,ウェハとウェハの間の空気層が存在しないため,中央部を押圧せず接合することが可能だが,生産性が悪く設備価格も大幅に増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6448848号公報
【文献】国際公開第2010/058481号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように,接合するウェハの湾曲状態,平行度を正確に制御し,ウェハのひずみによる位置ずれを抑え,高精度なボンディングとボイドのない接合ができ,かつウェハの接合状況を監視することにより生産性を向上させることができるウェハ接合装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態のウェハ接合装置は,ウェハを保持する面の中央に穴を有する第1チャックと,第2チャックと,前記穴を介してウェハを第2チャック方向に押圧する押圧部と,前記押圧部と前記第1チャックとの間に設けられ,前記保持する面方向での前記押圧部の位置ずれを抑えるエアベアリングと,を備えるようにした。
【0012】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,ウェハのひずみによる位置ずれを抑え,高精度なボンディングとボイドのない接合ができきる。
【0013】
一実施形態のウェハ接合装置は,前記押圧部は,ウェハ裏面の接触を検出するフォースセンサを有するようにしてもよい。
【0014】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,エアベアリングによる摺動摩擦による抵抗がないため,ウェハをチャックしたチャック面を微細に検出することができ,ウェハ間のギャップをより精密に管理することができるので,ひずみの差異を抑えることができ,高精度に接合できる。
【0015】
一実施形態のウェハ接合装置は,第1チャックに保持される第1ウェハと第2チャックに保持される第2ウェハが成す傾きを検出するセンサと,前記傾きに基づいて前記第1ウェハと前記第2ウェハが並行になるように第2チャックの傾きを調整するチルトステージとを備えるようにしてもよい。
【0016】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,ボイドの発生と位置ずれを抑えることができる。
【0017】
一実施形態のウェハ接合装置は,第2チャックに保持されたウェハのアライメントを検出するカメラと,第2チャックを移動する移動ステージと,前記カメラの検出結果に基づいて,第2チャックの位置を第2チャックに合わせるように移動ステージを移動させるコントローラと,を備えるようにしてもよい。
【0018】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,ウェハのひずみによる位置ずれを抑え,高精度なボンディングとボイドのない接合ができる。
【0019】
一実施形態のウェハ接合装置は,前記移動ステージは,XY方向に移動するXYステージを備え,前記XYステージは,前記第2ウェハのアライメントマークの位置に基づいてウェハの位置を合わせるようにしてもよい。
【0020】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,水平位置(XY方向)のアライメントができる。
【0021】
一実施形態のウェハ接合装置は,前記移動ステージは,Z方向に移動するZステージを備え,前記カメラは,Z方向での移動において,前記第2ウェハのアライメントマークを撮像し,前記XYステージは,Z方向での移動前後でのアライメントマークの位置変化に基づいてウェハのXY方向の位置を合わせるようにしてもよい。
【0022】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,Z駆動軸の水平位置(XY方向)の再現性のエラーを補正する機能により,高精度にアライメントできる。
【0023】
一実施形態のウェハ接合装置は,前記カメラより広視野を有する広視野カメラを備え,前記広視野カメラは,第1ウェハを第2ウェハに押し付けた後のウェハの接合部の伝搬状態を撮像し,前記押圧部は,ウェハ押し付け時間を状態により可変させるようにしてもよい。
【0024】
一実施形態のウェハ接合装置によれば,ウェハ押し付け後のウェハの接合部の伝搬状態を観察し,ウェハ押し付け時間を状態により可変させることにより生産性高くすることが可能になる。また,接合部にコンタミなどの混入がある場合,ウェハ接合伝搬速度が異常に遅くなるので伝搬時間を管理することにより,接合不良を早期に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のウェハ接合装置によれば,接合するウェハの湾曲状態,平行度を正確に制御し,ウェハのひずみによる位置ずれを抑え,高精度なボンディングとボイドのない接合ができ,かつウェハの接合状況を監視することにより生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施の形態1にかかるウェハ接合装置の一例を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1にかかるウェハ接合装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1にかかるウェハ接合装置の一例を示す斜視図である。
【
図4】ウェハ接合装置の動作の一例を示す略図である。
【
図5】ウェハ接合装置の動作の一例を示す略図である。
【
図6】実施の形態1にかかるウェハ接合装置のチルトステージ111の概略構成を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1にかかるウェハ接合装置のアライメントの一例を示す略図である。
【
図8】実施の形態1のウェハ接合装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態1
以下,図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は,実施の形態1にかかるウェハ接合装置の一例を示す断面図である。また,
図2及び
図3は,実施の形態1にかかるウェハ接合装置の一例を示す斜視図である。
【0028】
図1において,ウェハ接合装置100は,第1チャック101と,第2チャック102と,プッシャー103-1,103-2と,エアベアリング104-1,104-2と,ロードセル105-1,105-2と,第1カメラ106と,第2カメラ107-1,107-2と,センサ108と,XYZステージ109-1,109-2と,シータステージ110と,チルトステージ111と,Zステージ112と,XYステージ113とを備える。ウェハステージ114は,シータステージ110,チルトステージ111,Zステージ112及びXYステージ113を備える。
【0029】
第1チャック101は,ウェハを保持する面の中央に穴を有するチャックである。
図1では,第1チャック101は上部(Z軸方向からみて正より)のチャックである。第1チャック101は,第1ウェハを保持する。
【0030】
第2チャック102は,ウェハを保持する面の中央に穴を有するチャックである。第2チャック102は下部(Z軸方向からみて負より)のチャックである。第2チャック102は,第2ウェハを保持する。
【0031】
プッシャー103-1は,第1チャック101の穴を介して第1ウェハ121を第2チャック102方向に押圧するプッシャーである。プッシャー103-2は,第2チャック102の穴を介して第2ウェハ122を第1チャック101方向に押圧するプッシャーである。このようにプッシャー103-1,103-2は,押圧部として機能する。
【0032】
エアベアリング104-1は,第1チャック101中央の穴において,プッシャー103-1と第1チャック101との間に設けられ,第1チャック101がウェハを保持する面方向でのプッシャー103-1の位置ずれを抑えるエアベアリングである。同様にエアベアリング104-2は,第2チャック102中央の穴において,プッシャー103-2と第1チャック101との間に設けられ,第2チャック102がウェハを保持する面方向でのプッシャー103-2の位置ずれを抑えるエアベアリングである。
【0033】
ロードセル105-1は,プッシャー103-1が第1ウェハ121を押圧する荷重を計測するフォースセンサである。ロードセル105-1はプッシャー103-1の先端に設けられている。同様に,105-2は,プッシャー103-2が第2ウェハ122を押圧する荷重を計測するフォースセンサである。ロードセル105-2はプッシャー103-2の先端に設けられている。
【0034】
第1カメラ106は,ウェハの接合状況を監視するカメラである。例えば,第1カメラ106は,InGaAsイメージセンサを備える。第1カメラ106の詳細は後述する。
【0035】
第2カメラ107-1,107-2は,ウェハのアライメントを監視するカメラである。例えば,第2カメラ107-1,107-2は,InGaAsイメージセンサを備える。第2カメラ107-1,107-2の詳細は後述する。
【0036】
センサ108は,第1ウェハ121と第2ウェハ122の傾き(すなわち第1ウェハ121と第2ウェハ122が成す角度)を検知するセンサである。
【0037】
XYZステージ109-1は,第2カメラ107-1をXYZ方向に移動させるステージである。同様にXYZステージ109-2は,第2カメラ107-2をXYZ方向に移動させるステージである。
【0038】
シータステージ110は,Z軸を中心軸として第2チャック102をXY面で回転するステージである。
【0039】
チルトステージ111は,第2チャック102のZ軸に対するチルト角を変化させるステージである。
【0040】
Zステージ112は,第2チャック102をZ軸に移動させるステージである。
XYステージ113は,第2チャック102をXY面で移動させるステージである。
【0041】
これらの構成は図示しないコントローラにより制御される。制御の詳細は後述する。次に,ウェハ接合について説明する。
図4は,ウェハ接合装置の動作の一例を示す略図である。
図4では,第1チャック側からプッシャー103-1が押圧する例について説明する。
【0042】
まず,
図4の(1)に示すように,外部搬送機構から搬送された2つのウェハの接合面を向かい合わせ,第1チャック101及び第2チャック102にそれぞれウェハを保持させる。
【0043】
次に,
図4の(2)において,第1チャック101及び第2チャック102により,第1ウェハ121と第2ウェハ122の位置合わせが行われる。
【0044】
そして,
図4の(3)に示すように,プッシャー103-1が第1ウェハ121の中央を押圧する。この押圧により第1ウェハ121の中央が第2ウェハに接する。
【0045】
そして
図4の(4)に示すように第1ウェハ121全体が第2ウェハに接する。
【0046】
なお,第1チャック101と第2チャック102の両方からプッシャー103-1,103-2で各ウェハを押圧する場合,
図5の様になる。
【0047】
まず,
図5の(1)に示すように,外部搬送機構から搬送された2つのウェハの接合面を向かい合わせ,第1チャック101及び第2チャック102にそれぞれウェハを保持させる。
【0048】
次に,
図5の(2)において,第1チャック101及び第2チャック102により,第1ウェハ121と第2ウェハ122の位置合わせが行われる。
【0049】
そして,
図5の(3)に示すように,プッシャー103-1が第1ウェハ121の中央を押圧するとともに,プッシャー103-2が第2ウェハ122の中央を押圧する。
【0050】
そして,
図5の(4)に示すように,この押圧により第1ウェハ121の中央が第2ウェハに接する。
【0051】
そして
図5の(5)に示すように第1ウェハ121全体が第2ウェハに接する。
【0052】
このように,ウェハの中央を押圧することにより,ウェハ同士の中央を接触させ,その後ウェハ全体を接合する。次に,ウェハの位置合わせについて説明する。
【0053】
次に,ウェハの傾き補正について説明する。
【0054】
図示しない外部搬送機構から搬送されたウェハを,接合面を向い合せた状態で第1チャック101,第2チャック102にそれぞれチャックさせる。その後ウェハのギャップを狭くして接合するが,ウェハが水平方向に対して傾きを持っていると,ウェハ周辺が接触してしまう可能性がある。そこで,チルトステージ111を設けてウェハの平行度を補正する。
【0055】
平行度の補正を行うために,第1チャック101の周辺に設置されたセンサ108により第2チャックと第1チャックの距離を測定し,平行度を補正する。センサ108の面はウェハと接触しないように第1チャック101のチャック面より窪んだ位置に設置し,事前に第1チャック101のチャック面とセンサのオフセットを平坦なプレートなどのジグを用いて校正しておく。
【0056】
センサ108は固定側である第1チャック101側に設置している。センサ数は3つまたは4つによりステージの傾きを補正するが,ウェハの形状は円形のため,3つよりも4つの方が四角形のチャックの4角をつかうことで面積を小さくすることができる。ウェハをチャックするプレートはセラミック等熱による伸縮の影響を受けにくい材料で作られており,平面度が2μm以下でウェハを吸着したときにチャックの平面度によりウェハの反りなどが発生しないよう製作されている。
【0057】
図6は,実施の形態1にかかるウェハ接合装置のチルトステージ111の概略構成を示す斜視図である。
【0058】
チルトステージ111が測定した距離センサの値により傾きを補正する構成は,ステージの固定側が半球面の土台131になっており,半球面の土台に対し稼動側のチャックの下部132が半球面になっている部位により,球面どうしが接触することにより,支えられている。
【0059】
固定側の半球面がポーラス状になっており,傾きを補正するときはエアにより稼動側を浮上させ側面2方向から押匹する機構により傾きを調整する。浮上量はエアの圧力と流量によって調整することが可能であり,約5~10μm程度浮上させる。傾き調整後,エアを停止し,同時に吸引または磁石等により半球面部品同士を密着させることにより,チルトステージ111の角度を固定する。固定する際エアで浮上している状態から固定状態に推移するときに僅かながら傾きが変わってしまうので,ウェハ接合装置100は,傾きの変化をあらかじめ学習しておき,チルトステージ111を固定する前に固定時の変化分を予測した位置に補正を行い,チルトステージ111を固定したときに傾きが平行になるように制御を行う。
【0060】
また,従来のチャック同士を接触させてチャックの平行を求める手法では,実際にボンディングする高さとは違う高さで平行を調整しているので,高さを変化させたときに垂直方向の駆動がチャックの水平方向に対して完全に垂直でない場合にボンディングする位置での平行状態を確保することができない。これに対し,実施の形態1の接合装置では,チルトステージ111全体は垂直方向に駆動することができ,実際にウェハをボンディングする高さに合わせて平行を調整することができる。
【0061】
次にウェハ接合装置の動作について説明する。
まず,外部搬送機構から搬送された2つのウェハの接合面を向かい合わせ,第1チャック101及び第2チャック102にそれぞれウェハを保持させる。その後,ウェハにつけられたアライメントマークを左右2か所につけられた第2カメラ107-1,107-2によりウェハを透過して位置認識を行う。
【0062】
第2ウェハ122は第2チャックに取り付けられたXYステージ113にて移動が可能であり,第1ウェハ121のマーク位置に合わせて,XYステージ113を移動させ,第1チャック101に保持されたウェハ121と第2チャック102に保持されたウェハ122のマーク位置を合わせる。その際第2カメラ107-1,107-2の位置からウェハの回転角度を算出し,第1ウェハ121の角度に合わせて,XYステージ113ステージの回転機構であるシータステージ110にて第2ウェハ122の角度も合わせる。
【0063】
第1ウェハ121,第2ウェハ122の中央をそれぞれ押圧する機構(プッシャー)により押圧する。この際に,ウェハの押し付け量を管理するため,力を検出するためのセンサが(ロードセル105-1,105-2)つけられている。このセンサにより,プッシャー103は,ウェハの裏面を0.1Nくらいの弱い力で検出して押し付け量を管理する。
【0064】
押圧する機構にはエンコーダーなど位置を検出できるセンサが取りついており,チャック面を検出した位置からウェハの厚さを考慮して押圧する量を算出することができる。
プッシャー103-1,103-2は,共に押圧する量を算出された量だけ押圧し,チャック面を基準としウェハを湾曲させる。
【0065】
第1チャック101及び第2チャック102はウェハ中心と外周部はチャックする機能が独立しており,ウェハ中央と押圧する際はウェハ外周部だけチャックするように切り替える。
【0066】
第1ウェハ121,第2ウェハ122を湾曲させて,形状をコントロールし,接合したときの伸縮による影響を小さくすることが可能である。しかし,ウェハを押下する際,プッシャーの位置がずれることによりウェハを押下する位置にもズレが生じる。押下する位置がずれると第1ウェハ121,第2ウェハ122の形状変化してしまい接合後のズレの要因となる。
【0067】
その対策として,第1チャック101及び第2チャック102の貫通穴にエアベアリングガイドを設置し,エアベアリングガイドでプッシャーロッドをガイドすることにより,プッシャーを駆動させたときの位置ずれを抑えることが可能になる。ガイド機構はスプラインなどを使用しても位置ずれを抑えることが可能だが,プッシャーにはウェハ裏面の位置を正確に検出するためのロードセルが取り付けられており,スプラインなどの摺動抵抗があると微細な荷重を検出ることが困難になるため,エアベアリングのような摺動抵抗がないガイドが好ましい。
【0068】
次に第1ウェハ121,第2ウェハ122を押下した状態で,第2チャック全体が昇降する機構により,第1ウェハ121と第2ウェハ122の湾曲された先端を近づける。近づける際に押圧機構に取り付けられたロードセルにより荷重を監視し,荷重値が10N~20Nなどに到達したところで昇降機構を停止させ,ウェハの湾曲された先端を接着させる。
【0069】
先端を近づける際は荷重値を10Nまで到達させなくても,ウェハの接触が確認された高さで一旦停止させ,押し付ける荷重値まで押し付ける動作を行ってもよい。
【0070】
ウェハ同士を接着させた状態で,第1ウェハ121のチャックを解放し,ウェハをリリースすることで第2ウェハ122と第1ウェハ121が接合される。
【0071】
このように,実施の形態1のウェハ接合装置によれば,ウェハ接合装置はウェハのアライメントを行うカメラの他に広視野のカメラを用いた光学系を備え,ウェハ押し付け後のウェハの接合部の伝搬状態を観察し,ウェハ押し付け時間を状態により可変させることにより生産性高くすることが可能になる。また,接合部にコンタミなどの混入がある場合,ウェハ接合伝搬速度が異常に遅くなるので伝搬時間を管理することにより,接合不良を早期に検出できる。
【0072】
また,実施の形態1のウェハ接合装置によれば,第1ウェハ121と第2ウェハ122の湾曲状態,平行度を正確に制御し,ウェハのひずみによる位置ずれを抑え,高精度なボンディングとボイドのない接合ができ,かつウェハの接合状況を監視することにより生産性を向上させることができる。
【0073】
なお,Z駆動軸による水平位置(XY方向)のずれは,アライメントマークのずれを前もってパラメータ化し,補正するようにしてもよい。
図7は,実施の形態1にかかるウェハ接合装置のアライメントの一例を示す略図である。
【0074】
図7において,(1)の状態からプッシャー103-1をZ軸方向に駆動させると,(2)の状態のように,水平位置(XY方向)のずれが発生することがある。このようなZ軸ランアウト(Runout),クロストーク(Crosstalk)により,センサ内に生じるオフセットをパラメータ化して補正を行うようにしてもよい。具体的には,
図7に示すように,第1カメラ106の撮像700において,駆動前のアライメントマーク701と駆動後のアライメントマーク702の位置の差に基づいて補正を行う。
【0075】
このように,実施の形態1のウェハ接合装置によれば,ボンディングと第2チャックの位置をアライメントする際に,アライメントマークに対してフォーカスを合わせるためのZ駆動機構(ピエゾステージ)を設け,アライメントを行う際,Z駆動軸の水平位置(XY方向)の再現性のエラーを補正する機能により,高精度にアライメントできる。
【0076】
次に,第1カメラ106,第2カメラ107-1,107-2による位置合わせの詳細について説明する。
【0077】
第1カメラ106は,撮像素子,レンズ,照明といった,撮像に必要な機構を備える。第1カメラ106の撮像素子は,InGaAsセンサを備える短波赤外波長帯域に感度を持つ撮像素子が好適である。第1カメラ106が備えるカメラは,短波赤外波長帯域に感度があればInGaAsに限定はしない。第1カメラ106のレンズは,短波赤外波長帯域の光を透過するレンズが好適である。第1カメラ106の照明は,短波赤外波長帯域の波長の光を発するものが好適である。
【0078】
第1カメラ106の設置位置は,ウェハの周辺部が望ましい。例えば,第1カメラ106の設置位置は,少なくともウェハの中心から半径の半分の距離以上離れた領域を観察可能な位置とすることが望ましい。第1カメラ106の撮像目的は,ウェハの搬送ずれであるX,Y,回転θ軸方向のずれを測定することである。
【0079】
θずれが顕著に表れる周辺部を観察可能な位置に第1カメラ106を設置することで,微細なθずれを観察できる。また,第2カメラ107-1,107-2がマークを撮像可能な位置を短時間で求めるために,第1カメラ106は移動することなく撮影する。この第1カメラ106が撮像した画像から搬送ずれを求める必要があるため,第1カメラ106は搬送ずれによらず常に一定の基準を撮像エリア内に収めて撮影できるように広視野であることが望ましい。したがって,高精細にマークを撮影する必要のある第2カメラ107-1,107-2と比較して,第1カメラ106は,カメラのセンササイズが第2カメラ107-1,107-2のカメラのセンササイズより同等以上の大きさ,また,レンズの倍率は第2カメラ107-1,107-2より同等以下の低倍率であることが望ましい。
【0080】
このときの第1カメラ106の撮像範囲は,ウェハの搬送位置がばらついても一定の基準を撮影できるように,例えば,ワンショットの露光サイズ(現在の主流は33mm×26mm),もしくは,1チップサイズに搬送精度のばらつきを加えた範囲を撮影可能な視野サイズとなる倍率とすることが望ましい。ただし,ウェハの搬送ずれを認識する上で必要な情報を撮像できるように,例えば,スクライブライン,もしくは,スクライブラインの交点を用いて搬送ずれを認識する場合,第1カメラ106の撮影画像のピクセルサイズがスクライブラインの幅以上であることを満たす倍率としてもよい。
【0081】
第2カメラ107-1,107-2は,撮像素子,レンズ,照明といった,撮像に必要な機構を備える。また,第2カメラ107-1,107-2は,フォーカスを調整するために撮像機構を上下させるZ軸ステージを有する。
【0082】
第2カメラ107-1,107-2の撮像素子は,InGaAsセンサを備える短波赤外波長帯域に感度を持つ撮像素子が望ましい。マークを高精度に認識する必要があるため,第2カメラ107-1,107-2の撮像素子のピクセルサイズは第1カメラ106と同等以下であることが望ましい。第2カメラ107-1,107-2は,短波赤外波長帯域に感度があればカメラのセンサはInGaAsに限定はされない。第2カメラ107-1,107-2のレンズは,短波赤外波長帯域の光を透過することが望ましい。
【0083】
マークを高精度に認識する必要があるため,第2カメラ107-1,107-2のレンズの倍率は第1カメラ106より同等かそれ以上の高倍率であることが望ましい。第2カメラ107-1,107-2は高倍率であることから,第2カメラ107-1,107-2の被写界深度は浅いため,第1カメラ106とは異なり第2カメラ107-1,107-2はフォーカス調整のためのZ軸ステージを備えることが好適である。第2カメラ107-1,107-2の照明は,短波赤外波長帯域の波長の光を発するものが望ましい。
【0084】
ただし,第1カメラ106の波長帯と異なっても良く,例えば,第1カメラ106の波長は1450nm,第2カメラ107-1,107-2の波長は1300nmとしてもよい。これは,第1カメラ106が観察するものはマークに限らず,例えばスクライブラインを観察する一方,第2カメラ107-1,107-2はマークを観察することから観察対象が異なるためである。距離の離れた2つのカメラによってマークを認識することで,基板の,特に回転方向のずれを高精度に求めることができる。第2カメラ107-1と第2カメラ107-2の構成は同じである。
【0085】
XYZステージ109は,マークの位置を認識するために第2カメラ107-1,107-2がマーク全体を映すことが可能な位置であるマーク撮像位置に第2カメラ107-1,107-2を移動させるX,Y軸のステージである。
【0086】
第1ウェハ121及び第2ウェハ122は,スクライブラインや,金属層に形成されたアライメントマークや配線パターンを有する。
【0087】
第1チャック101,第2チャック102は,ウェハを保持するチャックである。第1チャック101,第2チャック102は,バキューム機構を有し,ウェハを吸着させ保持する。
【0088】
ウェハステージ114は,第2チャック102を保持するステージである。第1ウェハ121と第2ウェハ122の位置ずれがなくなるように動作可能な平面の並進方向X,Y,回転方向θの軸,および,第1ウェハ121とBの距離を調整するためのZ軸を有する。
【0089】
図示しないコントローラは,CPU(Central Processing Unit)等の演算ユニットを有する。カメラとはGigE(Gigabit Ethernet)やCameraLink等の通信規格でつながり,カメラからの撮像画像を取り込みむようにしてもよい。また,ステージとはEthercat(Ethernet for Control Automation Technology)やUSB(Universal Serial Bus)等の通信規格でつながり,ステージの移動を制御してもよい。
【0090】
これらの構成をもちいて位置合わせが行われる。次に,ウェハ接合装置の位置合わせ動作について説明する。
図8は実施の形態1のウェハ接合装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0091】
ステップS801において,第1カメラ106が第2ウェハ122を撮像し,ウェハ画像Bを取得する。第1カメラ106は金属層のパターン面を透過して観察することができないため,第1チャック101が第1ウェハ121を保持している状態では第2ウェハ122の全面を撮像できない。そのため,まずは第1チャック101が第1ウェハ121を保持していない状態で第2ウェハ122を観察する。第2ウェハ122は(図示しない)搬送ロボットから搬送され,第2チャック102に置かれる,その後,第2チャック102が有するバキューム機構によって第2ウェハ122が保持される。その後,第1カメラ106が第2ウェハ122にフォーカスの合う位置までウェハステージ114のZ軸を動かし,焦点が合ったところで第1カメラ106が第2ウェハ122を撮像する。そしてステップS802に進む。
【0092】
ウェハがロボットから搬送される位置は予め設定された位置であるが,搬送位置の繰り返し精度が第2カメラ107-1,107-2の視野より大きい場合は,ウェハが搬送された位置において第2カメラ107-1,107-2が常にマークを撮像できるとは限らない。そのため,第2カメラ107-1,107-2,もしくは,ウェハを移動させマークが映る位置を探索する必要がある。
【0093】
ステップS802において,ウェハ画像Bから,第2ウェハ122のマーク撮像位置であるマーク撮像位置Bが算出される。ここでは,予め用意された,マークが映るXYZステージ109の座標である参照座標と,参照座標が定められた状態において第1カメラ106が撮像した参照画像を用いる。
【0094】
参照座標と参照画像の設定方法は,第2ウェハ122と同じパターンを有するウェハが搬送された状態で第1カメラ106のフォーカスが合う位置までウェハステージ114が上下し,フォーカスが合う位置で第1カメラ106が撮像した画像を参照画像とする。また,XYZステージ109を動かして定めるマーク撮像位置のXYZステージ109の座標を参照座標とする。
【0095】
このとき,ウェハのパターン情報とウェハの搬送位置とウェハステージ114と第2カメラ107-1,107-2の相対位置関係から,第2カメラ107-1,107-2でマークが映るXYZステージ109の座標であるマーク撮像初期座標を求めることができる。そのため,XYZステージ109を動かして参照座標を探索する範囲は,マーク撮像初期座標を基準としたウェハの搬送精度のばらつきの範囲のみとなるため,ウェハ全体を探索する必要はなく作業が効率化できる。
【0096】
参照画像とウェハ画像Bとのずれを求め,求めたずれだけ参照座標を移動させた位置が,マーク撮像位置Bとなる。
【0097】
参照画像とウェハ画像とのずれは,テンプレートマッチングを用いて求める。例えば,参照画像の一部を切り出したテンプレートをX,Y,θといったパラメータを様々に変化させながらウェハ画像とのマッチングを行い,一致度が最大となるX,Y,θをずれとする。このとき,パラメータを変化させる幅である変化幅がずれ算出精度となるが,X,Y,θの3次元の一致度マップから,一致度が最大となるパラメータとその周辺のパラメータを用いて補間計算をすることで,パラメータの変化幅より細かい精度で求めることができる。
【0098】
また,パラメータを高速に求める方法としては,スクライブラインの交点などの特徴的なパターンを含む局所領域を参照画像から複数定めておき,各局所領域に対してX,Yを求めるテンプレートマッチングを行った後,各局所領域における対応点間の距離が全局所領域において最小となるX,Y,θの最適化問題を解く方法がある。
【0099】
ここでは,求める回転θが微小,かつ,局所領域であることから回転による画像の変化が小さいためにX,Yのパターンマッチングが可能なことを前提としている。したがって,X,Y,θを全探索で求める場合と比較して,テンプレートマッチングの探索パラメータ数が削減されていること,また,テンプレートマッチング時の領域が局所であることから画素アクセス回数の削減による処理時間の短縮化が可能である。最適化問題を解く方法としては,多変数に対してコスト関数の微分が不要なDownhill simplex法などがある。コスト関数をX,Yのテンプレートマッチングで求めた参照画像とウェハ画像との対応点間の距離の全局所領域における平均とする。もしくは,テンプレートマッチングの結果が外れ値を含む場合に対応するために,コスト関数を全局所領域における平均ではなく中央値にすることで,外れ値の影響をなくすことができる。
【0100】
ずれを求めた後,第2カメラ107-1,107-2がマークを映すXYZステージ109の座標を求める。回転中心をウェハステージ114の中心としたウェハステージ114座標系におけるXYZステージ109の位置,すなわち,ウェハステージ114座標系とXYZステージ109座標系の変換式を予め求めておく。そして,参照座標をウェハステージ114座標系における座標へ座標変換し,ずれX,Y,θを用いてウェハステージ114座標系において参照座標を移動させる。その後,XYZステージ109における座標へ変換する。
【0101】
前述の予め求めておく座標系の変換式は,例えば,パターンの位置関係が既知なキャリブレーションパターンウェハをウェハステージ114に保持させ,ウェハステージ114のX軸,Y軸,および,θ軸方向の移動によるパターンの移動を第1カメラ106,および,第2カメラ107-1,107-2が撮像し,パターンの移動量を求めることで座標系の変換式を算出できる。
【0102】
例えば,キャリブレーションパターンウェハをウェハステージ114に保持させた状態で第1カメラ106,および,XYZステージ109の原点位置にある第2カメラ107-1,107-2がキャリブレーションパターンウェハのパターンを撮像することで,パターンの位置関係が既知なことから,第1カメラ106と第2カメラ107-1,107-2の中心位置を算出できる。
【0103】
また,ウェハステージ114をθ軸方向に対して回転移動させる前と後で第1カメラ106がパターンを撮像し,移動前後の2枚の画像からパターンの移動量と,回転移動させた角度と,を用いることでウェハステージ114の回転中心を算出できる。
【0104】
また,ウェハステージ114をX軸,Y軸方向に移動させながら第1カメラ106,または,第2カメラ107-1,107-2がパターンを撮像しウェハステージ114の移動に伴うパターンの移動量を求めることで,撮像した撮像部とウェハステージ114とのX軸,Y軸の相対関係を算出できる。
【0105】
また,XYZステージ109が第2カメラ107-1,107-2を動かしながらパターンを動かすことで,XYZステージ109と第2カメラ107-1,107-2との相対関係を算出できる。
【0106】
ステップS803において,第1ウェハ121が搬送され,第1カメラ106が第1ウェハ121を撮像しウェハ画像Aを取得する。そしてステップS804に進む。
【0107】
ステップS804において,ステップS802と同様に,第2カメラ107-1,107-2において第1ウェハ121のマークが映る位置であるマーク撮像位置Aを求める。ここで,参照座標と参照画像は第1ウェハ121と同じパターンを有するウェハを用いて予め用意したものを用いる。そしてステップS805に進む。
【0108】
ステップS805において,第1カメラ106がマーク撮像位置Aへ移動する。そしてステップS806に進む。
【0109】
ステップS806において,マーク撮像位置Aとマーク撮像位置Bの距離が縮まるようにウェハステージ114を移動させる。この移動によって,マーク撮像位置Aにおいて第2カメラ107-1,107-2が第1ウェハ121の短波赤外波長帯域の波長の光を透過する領域,例えばスクライブライン越しに第2ウェハ122のマークを撮像できる。そしてステップS807に進む。
【0110】
ステップS807において,第1ウェハ121のマークは第2カメラ107-1,107-2の視野の中に入っているが,倍率の低い第1カメラ106を用いて求めたマーク撮像位置では視野の中心に来ていない可能性がある。一般的に,レンズの性能は中心部ほど高いことから,高精度な位置合わせのために,マークが視野の中心部に来るようにステージを移動させる。
【0111】
ステップS807では,第1ウェハ121のマークにフォーカスが合う位置に第2カメラ107-1,107-2を移動させ,第1ウェハ121のマークの位置を認識する。そして,マークの中心位置と第2カメラ107-1,107-2の画像中心との相対距離を求め,相対距離が縮まるようにXYZステージ109を移動することで,第2カメラ107-1,107-2の撮像範囲の中心部に第1ウェハ121のマークがある状態とする。
【0112】
次に,ウェハBのマークにフォーカスが合う位置に第2カメラ107-1,107-2を移動させ,ウェハBのマークの位置を認識する。そして,マークの中心位置と第2カメラ107-1,107-2の画像中心との相対距離を求め,相対距離が縮まるようにXYZステージ109を移動することで,第2カメラ107-1,107-2の撮像範囲の中心部にウェハBのマークがある状態とする。そしてステップS808に進む。
【0113】
ステップS808において,再度,第1ウェハ121と第2ウェハ122のマークの位置を認識し,両マーク間の位置ずれが小さくなるようにウェハステージ114を移動させることで位置合わせが行われる。
【0114】
このように実施の形態1のウェハ接合装置によれば,マーク撮像位置を求めるためのステージの移動は不要であり,第1カメラ106による1回の撮像でマーク撮像位置を求めることが可能なため,アライメント時間を短縮できる。
【0115】
なお,本発明は上記実施の形態に限られたものではなく,趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば,プッシャー103-1,103-2は一方のみを備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
100 ウェハ接合装置
101 チャック
102 チャック
103-1,103-2 プッシャー
104-1,104-2 エアベアリング
105-1,105-2 ロードセル
106 第1カメラ
107-1,107-2 第2カメラ
108 センサ
109 XYZステージ
110 シータステージ
111 チルトステージ
112 XYステージ
113 Zステージ
114 ウェハステージ