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特許7585003電磁環境分析システム、電磁環境分析方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】電磁環境分析システム、電磁環境分析方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
G01R29/08 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020191886
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080680
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】林 達也
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-329716(JP,A)
【文献】特開2019-148495(JP,A)
【文献】特許第2769472(JP,B2)
【文献】特開2013-238581(JP,A)
【文献】特開2018-097567(JP,A)
【文献】特開2020-072391(JP,A)
【文献】特開2013-011984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁環境に関する複数の測定値を取得する測定情報取得部と、
各前記測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部と、
各前記測定値の前記測定位置に対応付けられた位置に前記測定値に関する情報を表示する画像を作成する画像作成部と、
前記測定値に関する情報の表示範囲を互いに異なる数によって区分けする場合において、前記表示範囲を形成する複数の区画の各々の構成を定義した複数の区画定義テーブルを格納している格納部と、を備えており、
前記画像作成部は、
前記複数の区画定義テーブルに基づいて、前記画像において前記表示範囲を形成する前記複数の区画を設定する区画設定部と、
前記複数の区画のうち前記各測定値の前記測定位置に対応する前記区画を前記位置情報に基づいて判定する区画判定部と、
前記区画に対応する前記測定値に基づいて前記区画の表示に関する情報を決定する表示情報決定部と、
前記複数の区画を再設定するか否かを判定する再設定判定部と、を含んでおり、
前記再設定判定部が前記複数の区画を再設定すると判定した場合に、
前記区画設定部は、前記表示範囲を形成する複数の区画を、複数の第一区画から、各々の大きさが前記第一区画の大きさよりも小さい複数の第二区画に再設定し、
前記表示情報決定部は、前記第二区画の表示に関する情報を決定する、電磁環境分析システム。
【請求項2】
記再設定判定部が前記複数の区画を再設定すると判定した場合に、
前記再設定判定部は、前記複数の区画の再設定の回数が所定数を越えた場合に、前記複数の区画を再設定することを禁止する、請求項1に記載の電磁環境分析システム。
【請求項3】
前記再設定判定部が前記複数の区画を再設定すると判定した場合に、
前記区画判定部は、前記複数の第二区画のうち前記各測定値の前記測定位置に対応する前記第二区画を前記位置情報に基づいて判定し、
前記表示情報決定部は、前記第二区画に対応する前記測定値に基づいて前記第二区画の表示に関する情報を決定する、請求項1又は2に記載の電磁環境分析システム。
【請求項4】
前記再設定判定部は、複数の条件のうち少なくとも1つが充足された場合に、前記複数の区画を再設定すると判定し、
前記複数の条件のうち第一条件が充足された場合において前記区画設定部が再設定する各前記第二区画の大きさは、前記複数の条件のうち第二条件が充足された場合において前記区画設定部が再設定する各前記第二区画の大きさよりも小さい、請求項1からのいずれか一項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項5】
前記第二条件は、前記第一条件が充足される前に充足される条件である、請求項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項6】
前記再設定判定部は、ユーザの入力操作に応じて、前記複数の区画を再設定すると判定する、請求項1からのいずれか一項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項7】
前記再設定判定部は、前記測定値に対応する前記区画の数が所定数を越えた場合に、前記複数の区画を再設定すると判定する、請求項1からのいずれか一項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項8】
前記再設定判定部は、前記表示範囲が区分けされた数に対する、前記測定値に対応する前記区画の数の割合が、所定値を越えた場合に、前記複数の区画を再設定すると判定する、請求項1からのいずれか一項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項9】
前記電磁環境に関する情報を逐次検出するセンサを含むと共に、ユーザによって操作される操作部をさらに備え、
前記測定情報取得部は、前記センサにおいて検出された情報に基づいて前記複数の測定値を取得する、請求項1からのいずれか一項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項10】
前記画像作成部によって作成された画像を表示する表示部をさらに備えている、請求項1からのいずれか一項に記載の電磁環境分析システム。
【請求項11】
電磁環境に関する複数の測定値を取得することと、
各前記測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得することと、
各前記測定値の前記測定位置に対応付けられた位置に前記測定値に関する情報を表示する画像を作成することと、を有しており、
前記画像の作成において、前記測定値に関する情報の表示範囲を互いに異なる数によって区分けする場合において、前記表示範囲を形成する複数の区画の各々の構成を定義した複数の区画定義テーブルに基づいて、前記画像において前記測定値に関する情報の前記表示範囲を形成する前記複数の区画が設定され、前記複数の区画のうち前記各測定値の前記測定位置に対応する前記区画が前記位置情報に基づいて判定され、前記区画に対応する前記測定値に基づいて前記区画の表示に関する情報が決定され、前記複数の区画を再設定するか否かが判定され、
前記複数の区画を再設定すると判定した場合に、前記表示範囲を形成する複数の区画は、複数の第一区画から、各々の大きさが前記第一区画の大きさよりも小さい複数の第二区画に再設定され、前記第二区画の表示に関する情報が決定される、電磁環境分析方法。
【請求項12】
記複数の区画を再設定するか否かの判定において、前記複数の区画の再設定の回数が所定数を越えた場合に、前記複数の区画を再設定することが禁止される、請求項11に記載の電磁環境分析方法。
【請求項13】
電磁環境に関する複数の測定値を取得することと、
各前記測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得することと、
各前記測定値の前記測定位置に対応付けられた位置に前記測定値に関する情報を表示する画像を作成することと、をコンピュータに実行させ、
前記画像の作成において、前記測定値に関する情報の表示範囲を互いに異なる数によって区分けする場合において、前記表示範囲を形成する複数の区画の各々の構成を定義した複数の区画定義テーブルに基づいて、前記画像において前記測定値に関する情報の前記表示範囲を形成する前記複数の区画が設定され、前記複数の区画のうち前記各測定値の前記測定位置に対応する前記区画が前記位置情報に基づいて判定され、前記区画に対応する前記測定値に基づいて前記区画の表示に関する情報が決定され、前記複数の区画を再設定するか否かが判定され、
前記複数の区画を再設定すると判定した場合に、前記表示範囲を形成する複数の区画は、複数の第一区画から、各々の大きさが前記第一区画の大きさよりも小さい複数の第二区画に再設定され、前記第二区画の表示に関する情報が決定される、プログラム。
【請求項14】
記複数の区画を再設定するか否かの判定において、前記複数の区画の再設定の回数が所定数を越えた場合に、前記複数の区画を再設定することが禁止される、請求項13に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁環境分析システム、電磁環境分析方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁環境を分析する装置が知られている。たとえば、特許文献1は、電磁環境に関する測定値を取得し、測定値に関する情報を表示する装置を開示している。この装置は、取得された測定値に関する情報を、表示範囲が区分けされた複数の区画に対応付けて、測定値に関する情報を区画ごとに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-238581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁環境の分析は、様々な用途で行われている。たとえば、電子機器のEMC(electromagnetic compatibility)試験において、機器のどこから電磁波が発生されているかが分析される。特許文献1に記載された装置では、センサを移動させることによって被測定対象物から発生した信号が測定されている。測定された測定値は、測定値が測定された位置に応じて、表示部の表示範囲が区分けされた複数の区画の各々に関連付けられている。測定結果は、区画ごとに測定値に基づく色によって示される。
【0005】
表示範囲が区分けされた複数の区画の大きさが大きいほど、測定値に関する情報の表示の解像度は低い。表示の解像度が低ければ、局所的な電磁環境に関する情報が得られない。表示の解像度が低い状態においてユーザが表示を見ながら測定を行う場合、測定値が所望の密度で取得されているかも認識し難い。これに対し、表示範囲が区分けされた複数の区画の大きさが小さいほど、電磁環境の全体的な状況を知るのに時間及び手間を要すると共に測定結果のデータ量も増加する。複数の区画の適切な構成は、測定の状況に応じて変化する。一定の大きさで表示範囲が区分けされた場合には、トレードオフの関係にある上記問題を解決し難い。たとえば、測定の初期段階では大まかな位置における測定結果を表示し、その後に所望の位置について詳細な測定結果を表示したいという需要も存在する。
【0006】
本発明の一つの態様は、所望の測定を容易に実現できる電磁環境分析システムを提供することを目的とする。本発明の別の態様は、所望の測定を容易に実現できる電磁環境分析方法を提供することを目的とする。本発明のさらに別の態様は、所望の測定を容易に実現できるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様における電磁環境分析システムは、測定情報取得部と、位置情報取得部と、画像作成部と、を備えている。測定情報取得部は、電磁環境に関する複数の測定値を取得する。位置情報取得部は、各測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得する。画像作成部は、各測定値の測定位置に対応付けられた位置に測定値に関する情報を表示する画像を作成する。画像作成部は、区画設定部と、区画判定部と、表示情報決定部と、再設定判定部とを含んでいる。区画設定部は、画像において測定値に関する情報の表示範囲を形成する複数の区画を設定する。区画判定部は、複数の区画のうち各測定値の測定位置に対応する区画を位置情報に基づいて判定する。表示情報決定部は、区画に対応する測定値に基づいて区画の表示に関する情報を決定する。再設定判定部は、複数の区画を再設定するか否かを判定する。再設定判定部が複数の区画を再設定すると判定した場合に、区画設定部は、表示範囲を形成する複数の区画を、複数の第一区画から、各々の大きさが第一区画の大きさよりも小さい複数の第二区画に再設定する。表示情報決定部は、第二区画の表示に関する情報を決定する。
【0008】
この電磁環境分析システムにおいて、再設定判定部は、複数の区画を再設定するか否かを判定する。再設定判定部が複数の区画を再設定すると判定した場合に、区画設定部は、表示範囲を形成する複数の区画を、第一区画よりも小さい複数の第二区画に再設定する。この場合に、表示情報決定部は、第二区画の表示に関する情報を決定する。このため、表示範囲の測定中に、表示範囲を形成する複数の区画の大きさが変更され得る。したがって、測定の状況に応じて、表示の解像度が変更され得る。この結果、所望の測定が容易に実現され得る。
【0009】
上記一つの態様において、各第二区画の大きさは、各第一区画の大きさよりも小さくてもよい。この場合、表示範囲の測定中に、表示の解像度が低い状態から高い状態にされ得る。このため、電磁環境分析システムは、測定の初期段階では大まかな位置における測定結果を表示し、その後に所望の位置について詳細な測定結果を表示することができる。
【0010】
上記一つの態様において、再設定判定部が複数の区画を再設定すると判定した場合に、区画判定部は、複数の第二区画のうち各測定値の測定位置に対応する第二区画を位置情報に基づいて判定してもよく、表示情報決定部は、第二区画に対応する測定値に基づいて第二区画の表示に関する情報を決定してもよい。この場合、第二区画に対応する測定値を再判定するため、第二区画においてより正確な表示が実現され得る。
【0011】
上記一つの態様において、再設定判定部は、複数の条件のうち少なくとも1つが充足された場合に、複数の区画を再設定すると判定してもよい。複数の条件のうち第一条件が充足された場合において区画設定部が再設定する各第二区画の大きさは、複数の条件のうち第二条件が充足された場合において区画設定部が再設定する各第二区画の大きさよりも小さくてもよい。この場合、表示範囲の複数の区画は、条件に応じて、異なる大きさの第二区画に再設定される。このため、より容易に所望の測定が実現され得る。
【0012】
上記一つの態様において、第二条件は、第一条件が充足された前に充足される条件である。この場合、第二条件が充足されることによって表示範囲を形成する複数の区画の大きさが再設定された後に、第二条件が充足されることによって表示範囲を形成する複数の区画の大きさがさらに縮小される。したがって、測定の状況に応じて、表示の解像度が多段的に変更され得る。
【0013】
上記一つの態様において、互いに異なる数によって表示範囲を区分けする場合における各区画の構成を定義した複数の区画定義テーブルを格納している格納部をさらに備えていてもよい。区画設定部は、複数の区画定義テーブルに基づいて、複数の区画を設定してもよい。この場合、特別な演算処理がなくとも、区画定義テーブルによってより容易に表示の解像度が変更され得る。
【0014】
上記一つの態様において、再設定判定部は、ユーザの入力操作に応じて、複数の区画を再設定すると判定してもよい。この場合、任意のタイミングにおいて、複数の区画の再設定が行われ得る。
【0015】
上記一つの態様において、再設定判定部は、測定値に対応する区画の数が所定数を越えた場合に、複数の区画を再設定すると判定してもよい。この場合、自動で、複数の区画の再設定が行われ得る。
【0016】
上記一つの態様において、再設定判定部は、表示範囲が区分けされた数に対する、測定値に対応する区画の数の割合が、所定値を越えた場合に、複数の区画を再設定すると判定してもよい。この場合、より簡易な設定により、自動で複数の区画の再設定が行われ得る。
【0017】
上記一つの態様において、再設定判定部は、複数の区画の再設定の回数が所定数を越えた場合に、複数の区画を再設定することを禁止してもよい。この場合、再設定が必要以上に行われるような状況が回避され得る。この結果、所望の位置における詳細な測定が、より容易に実現され得る。
【0018】
上記一つの態様において、電磁環境に関する情報を逐次検出するセンサを含むと共に、ユーザによって操作される操作部をさらに備えてもよい。測定情報取得部は、センサにおいて検出された情報に基づいて複数の測定値を取得してもよい。
【0019】
上記一つの態様において、画像作成部によって作成された画像を表示する表示部をさらに備えていてもよい。
【0020】
本発明の別の態様における電磁環境分析方法は、電磁環境に関する複数の測定値を取得することと、各測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得することと、各測定値の測定位置に対応付けられた位置に測定値に関する情報を表示する画像を作成することと、を有している。画像の作成において、画像において測定値に関する情報の表示範囲を形成する複数の区画が設定され、複数の区画のうち各測定値の測定位置に対応する区画が位置情報に基づいて判定され、区画に対応する測定値に基づいて区画の表示に関する情報が決定され、複数の区画を再設定するか否かが判定される。複数の区画を再設定すると判定した場合に、表示範囲を形成する複数の区画は、複数の第一区画から、各々の大きさが第一区画の大きさと異なる複数の第二区画に再設定され、第二区画の表示に関する情報が決定される。
【0021】
本発明のさらに別の態様におけるプログラムは、電磁環境に関する複数の測定値を取得することと、各測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得することと、各測定値の測定位置に対応付けられた位置に測定値に関する情報を表示する画像を作成することと、をコンピュータに実行させる。画像の作成において、画像において測定値に関する情報の表示範囲を形成する複数の区画が設定され、複数の区画のうち各測定値の測定位置に対応する区画が位置情報に基づいて判定され、区画に対応する測定値に基づいて区画の表示に関する情報が決定され、複数の区画を再設定するか否かが判定される。複数の区画を再設定すると判定した場合に、表示範囲を形成する複数の区画は、複数の第一区画から、各々の大きさが第一区画の大きさと異なる複数の第二区画に再設定され、第二区画の表示に関する情報が決定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一つの態様は、装置構成の複雑化が抑制されながら、区画ごとに、より適切な測定結果を表示できる電磁環境分析システムを提供する。本発明の別の態様は、所望の測定を容易に実現できる電磁環境分析方法を提供する。本発明のさらに別の態様は、所望の測定を容易に実現できるプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態における電磁環境分析システムのブロック図である。
図2】測定対象物の一例を示す図である。
図3】測定結果の表示範囲が表示された状態を示す図である。
図4】測定位置が検出された状態を示す図である。
図5】区画ごと測定位置を示す概略図である。
図6】(a)及び(b)は、区画の設定に用いられる区画定義テーブルを示す図である。
図7】(a)及び(b)は、区画の設定を説明するための図である。
図8】区画の判定を説明するための図である。
図9】色の決定を説明するための図である。
図10】電磁環境分析システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図11】電磁環境分析システムを用いた測定方法を示すフローチャートである。
図12】マーカ検出処理を示すフローチャートである。
図13】測定結果の表示処理を示すフローチャートである。
図14】区画の再設定処理の一例を示すフローチャートである。
図15】区画の再設定の動作を説明するための図である。
図16】区画の再設定の動作を説明するための図である。
図17】区画の再設定の動作を説明するための図である。
図18】区画の再設定の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0025】
まず、図1から図10を参照して、本実施形態における電磁環境分析システムの機能及び構成を説明する。図1は、電磁環境分析システムのブロック図である。電磁環境分析システム1は、電磁環境に関する測定を行い、測定結果を画像として表示するシステムである。電磁環境分析システム1は、電磁環境に関する測定として、電磁界を測定する。電磁環境分析システム1は、たとえば、測定対象物に起因して発生した電磁界を測定する。電磁界は、たとえば、測定対象物から伝搬する電磁波によって生じる。電磁界は、超低周波数の電磁波によって生じるものに限定されない。電磁界の測定は、電磁波の測定を含んでいる。以下、電磁環境に関する測定を単に「測定」ともいう。
【0026】
測定対象物は、たとえば、電子部品、電子部品が搭載された基板、及び、電源装置などの各種機器を含んでいる。図2は、測定対象物の一例を示している。図2に示されている測定対象物5は、ワイヤレス充電器である。測定対象物5は、電子基板6と給電コイル7とを含んでいる。測定対象物5は、電源に接続された状態において、スマートフォンなどの電子機器に対して給電コイル7からワイヤレスで給電を行う。
【0027】
電磁環境分析システム1は、測定を行った位置と測定結果と対応付けた結果画像を表示する。本実施形態において、電磁環境分析システム1は、結果画像が測定対象物を撮像した撮像画像に重ね合わされた合成画像を表示する。本実施形態の変形例として、電磁環境分析システム1は、合成画像を作成せずに、結果画像を透過型のディスプレイに表示してもよい。電磁環境分析システム1は、たとえば、ビデオシースルー型又は光学シースルー型のヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0028】
本実施形態において、電磁環境分析システム1は、測定を行いながら撮像画像を取得し、結果画像を更新し表示する。このため、ユーザは、結果画像を参照しながら、所望の位置を測定することができる。本実施形態の変形例として、電磁環境分析システム1は、既に測定された測定結果から結果画像を作成し表示してもよい。
【0029】
図1に示されているように、電磁環境分析システム1は、範囲決定マーカ2と電磁環境分析装置3とを備えている。範囲決定マーカ2は、実空間に配置されており、測定結果を表示する範囲又は測定を行う範囲を決定するためのマーカである。「実空間に配置される」とは、画像上などに仮想的に配置されるものでないことを意味する。以下、範囲決定マーカ2によって決定される範囲を「表示範囲」という。範囲決定マーカ2は、電磁環境分析装置3とは物理的に分離しており、ユーザによって実空間において予め決められた位置に配置される。範囲決定マーカ2は、電磁環境分析装置3が画像認識によって実空間における範囲決定マーカ2の3次元位置を識別可能な特徴点を有している。たとえば、範囲決定マーカ2は、これらの特徴点を有する2次元コードなどの図形を含んでいる。この2次元コードは、たとえば、範囲決定マーカ2の3次元位置情報を含んでいる。3次元位置情報とは、その範囲決定マーカ自体の3次元位置を特定できる情報である。換言すれば、範囲決定マーカ2は、実空間において撮像画像が撮像された位置との範囲決定マーカ2との相対位置を特定できる情報を有している。範囲決定マーカ2は、電磁環境分析装置3が実空間における範囲決定マーカ2の位置を識別可能であれば、この形態に限定されない。
【0030】
本実施形態において、範囲決定マーカ2は、図3から図5に示されているように、複数の範囲決定マーカ2a,2bを含んでいる。複数の範囲決定マーカ2a,2bの各々が、予め決められた位置に配置されている。本実施形態では、各範囲決定マーカ2a,2bが、2次元コードなどによって3次元位置情報を有している。各範囲決定マーカ2a,2bは、単体で3次元位置を特定できる情報を有していなくとも、撮像画像内における位置を特定できる情報を有していればよい。図3から図5において、2つの範囲決定マーカ2a,2bが測定対象物5の周囲に配置されている。図3から図5に示されている例において、上述したように測定対象物5はワイヤレス充電器である。測定対象物5は、給電コイル7の上にスマートフォン8が配置された状態において動作している。たとえば、測定結果を表示する表示範囲RAは矩形であり、2つの範囲決定マーカ2a,2bを基準に表示範囲RAの対角線上の頂点が決定される。範囲決定マーカ2aによって、表示範囲RAの左上の頂点が決定され、範囲決定マーカ2bによって表示範囲RAの右下の頂点が決定される。
【0031】
本実施形態において、電磁環境分析装置3は、図3から図5に示されているように、範囲決定マーカ2を識別することによって、測定結果を表示する表示範囲RAを決定する。本実施形態の変形例において、電磁環境分析装置3は、範囲決定マーカ2を識別することによって、実空間において測定を行う測定範囲を決定してもよい。
【0032】
図1に示されているように、電磁環境分析装置3は、操作部10と、本体部20とを備えている。操作部10と本体部20とは、有線又は無線によって電気的に接続されている。操作部10は、センサ11とセンサマーカ12とを含んでいる。図4及び図5に示されているように、操作部10は、ユーザによって操作され、所望の測定位置に配置される。操作部10は、ユーザによって、測定対象物5に対して移動される。操作部10は、ユーザが手に持って移動させてもよいし、ユーザの電子的な操作によって機械によって移動されてもよい。センサ11は、実空間に位置しており、電磁環境に関する情報を逐次検出する。センサ11は、対象とする信号を逐次検出する。センサ11は、たとえば、アンテナ、電界プローブ、又は、磁界プローブを含んでいる。センサ11は、検出された信号を本体部20へ伝送する。センサ11は、例えば、検出情報として、電界及び磁界の少なくとも一つの強度に関する情報、電磁波の強度に関する情報、電磁波の位相に関する情報、及び、電磁波の波形に関する情報の少なくとも一つを検出する。検出情報は、たとえば、電界プローブ又は磁界プローブにおいて生じた電流値又は電圧値を含んでいる。センサ11は、検出された検出情報を本体部20に伝達する。
【0033】
センサマーカ12は、実空間においてセンサ11上に配置されており、センサ11と共に移動する。換言すれば、ユーザによる操作部10の移動によって、センサ11及びセンサマーカ12も移動する。センサマーカ12は、実空間におけるセンサ11の位置を取得するためのマーカである。センサマーカ12は、範囲決定マーカ2と同様に、電磁環境分析装置3が画像認識によって実空間におけるセンサマーカ12の3次元位置を識別可能な特徴点を有している。たとえば、センサマーカ12は、これらの特徴点を有する2次元コードなどの図形を含んでいる。この2次元コードは、たとえばセンサマーカ12の3次元位置情報を含んでいる。センサマーカ12は、電磁環境分析装置3が実空間におけるセンサマーカ12の位置を識別可能であれば、この形態に限定されない。センサマーカ12は、単体で3次元位置を特定できる情報を有していなくとも、撮像画像内における位置を特定できる情報を有していればよい。
【0034】
図1に示されているように、本体部20は、撮像部21と、格納部22と、測定処理部23と、表示部24と、表示制御部25とを備えている。撮像部21と、格納部22と、測定処理部23と、表示部24と、表示制御部25とは、一つの筐体に収容されていてもよいし、複数の筐体に分かれていてもよい。複数の筐体に収容されている場合には、有線によって互いに接続されていてもよいし、無線によって接続されていてもよい。
【0035】
撮像部21は、実空間において撮像画像を逐次撮像する。撮像部21は、所定の時間間隔で、撮像を行う。撮像部21は、撮像画像を表示制御部25に伝達する。本実施形態において、撮像部21は、ユーザによって保持される筐体に設けられている。撮像部21は、ユーザによって移動される。撮像部21は、ユーザの操作によって、位置及び姿勢が変動する。
【0036】
格納部22は、予め取得されたデータ、及び、本体部20における各種機能部から取得得されたデータを格納する。格納部22は、たとえば、撮像部21、測定処理部23、及び、表示制御部25から取得されたデータを格納している。
【0037】
測定処理部23は、センサ11において検出された検出情報を取得し、取得された検出情報を処理し測定情報として出力する。測定情報は、測定結果に相当する。測定処理部23は、たとえば、スペクトルアナライザ、ネットワークアナライザ、又は、オシロスコープとして機能する。測定処理部23は、測定情報を表示制御部25に伝達する。測定情報は、電磁環境に関する複数の測定値と、各測定値に対応する付加情報とを含んでいる。測定値は、各種の物理的な数値を含んでいる。本実施形態において、測定値は、電磁波の強度を示す数値であり、測定結果に相当する。例えば、本実施形態における測定値は、電場又は磁場の強度を示す数値である。付加情報は、たとえば、電磁波の強度に関する情報、電磁波の位相に関する情報、電磁波の周波数成分に関する情報、及び、測定が行われたタイミングに関する情報の少なくとも1つを含んでいる。
【0038】
測定処理部23は、センサ11の検出結果に基づいて電磁環境に関する複数の測定値を取得する。測定処理部23は、たとえば、センサ11において検出された検出情報を処理し、各測定において複数の周波数成分の強度を測定情報として演算する。測定処理部23は、たとえば、各測定位置において各周波数成分の強度を測定値とする。たとえば、測定処理部23は、所定の周波数帯域において、100~500個の周波数成分について強度を演算する。
【0039】
表示部24は、撮像部21における撮像画像、及び、表示制御部25において作成された測定画像の少なくとも一つを表示する。測定画像とは、測定処理部23において処理された測定情報を示す画像である。表示部24は、画像を表示するディスプレイを含んでいる。本実施形態において、表示部24は、撮像部21と同一の筐体に設けられている。表示部24は、撮像部21と共にユーザによって移動される。本実施形態の変形例として、表示部24は、電磁環境分析システム1の外部のディスプレイに画像を表示させてもよい。
【0040】
表示制御部25は、表示部24における表示を制御する。表示制御部25は、撮像部21における撮像画像と、測定処理部23にける測定情報との少なくとも一つに基づいて、表示部24に表示させる画像を作成する。図1に示されているように、表示制御部25は、位置情報取得部31と、表示範囲決定部32と、位置関係判断部33と、測定情報取得部34と、画像作成部35とを備えている。
【0041】
位置情報取得部31は、各測定値が測定された測定位置に関する位置情報を取得する。位置情報取得部31は、たとえば、撮像部21における撮像画像に基づいて、測定位置に関する位置情報を演算する。図1に示されているように、位置情報取得部31は、撮像画像取得部41と、マーカ検出部42と、マーカ位置演算部43とを含んでいる。撮像画像取得部41は、撮像部21から撮像画像を取得する。換言すれば、撮像画像取得部41は、実空間において逐次撮像された撮像画像を取得する。
【0042】
マーカ検出部42は、撮像画像取得部41において取得された撮像画像に基づいて、範囲決定マーカ2及びセンサマーカ12の少なくとも1つを検出する。本実施形態において、1つの撮像画像から、範囲決定マーカ2及びセンサマーカ12の少なくとも1つを検出する。マーカ検出部42は、各範囲決定マーカ2の特徴点を検出する。マーカ検出部42は、センサマーカ12の特徴点を検出する。
【0043】
マーカ位置演算部43は、マーカ検出部42における検出結果に基づいて、範囲決定マーカ2及びセンサマーカ12の少なくとも1つの位置を演算する。マーカ位置演算部43は、範囲決定マーカ2の検出結果とセンサマーカ12の検出結果とに基づいて、範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との相対位置を演算する。本実施形態において、マーカ位置演算部43は、撮像画像内における範囲決定マーカ2及びセンサマーカ12の少なくとも一つの位置を演算する。本実施形態の変形例として、マーカ位置演算部43は、実空間における範囲決定マーカ2及びセンサマーカ12の少なくとも1つの3次元位置を演算してもよい。
【0044】
本実施形態において、マーカ位置演算部43は、マーカ検出部42において検出された各範囲決定マーカ2の特徴点に基づいて、各範囲決定マーカ2の3次元位置を演算する。たとえば、マーカ位置演算部43は、図3から図5に示されているように、各範囲決定マーカ2の特徴点から、実空間における各範囲決定マーカ2の2次元コードの角の位置P1を、表示範囲の頂点として演算する。本実施形態において、マーカ位置演算部43は、マーカ検出部42において検出されたセンサマーカ12の特徴点に基づいて、センサマーカ12の3次元位置を演算する。たとえば、マーカ位置演算部43は、図4及び図5に示されているように、センサマーカ12の特徴点から、実空間におけるセンサマーカ12の2次元コードの角の位置P2を演算する。センサマーカ12の位置P2は、センサ11の位置に対応する。測定時におけるセンサ11の位置は、測定位置に対応する。以下、センサ11の位置を「センサ位置」という。
【0045】
表示範囲決定部32は、マーカ検出部42の検出結果に基づいて、画像において測定値に関する情報が表示される表示範囲RAを決定する。表示範囲決定部32は、マーカ位置演算部43において演算された範囲決定マーカ2の位置に基づいて、表示部24において測定情報を表示する表示範囲RAを決定する。本実施形態において、表示範囲決定部32は、たとえば、マーカ位置演算部43において演算された2つの範囲決定マーカ2の位置に基づいて、表示範囲RAとして決定する。たとえば、マーカ位置演算部43は、マーカ検出部42の検出結果に基づいて、範囲決定マーカ2a,2bの位置P1、又は、範囲決定マーカ2a,2bによって規定される領域のサイズを演算する。たとえば、表示範囲決定部32は、図3から図5に示されているように、各範囲決定マーカ2の位置P1が対角線上の2つの頂点である矩形状の領域を、表示範囲RAとして決定する。換言すれば、表示範囲決定部32は、たとえば、範囲決定マーカ2aの位置P1と範囲決定マーカ2bの位置P1とを結ぶ線部を対角線とする四角形の領域を表示範囲RAとして決定する。
【0046】
マーカ位置演算部43は、マーカ検出部42の検出結果に基づいて、1つの範囲決定マーカ2のサイズを演算してもよい。たとえば、マーカ位置演算部43は、範囲決定マーカ2のサイズから、撮像部21と範囲決定マーカ2との相対位置に関する情報を取得してもよい。この場合、表示範囲決定部は、撮像部21と範囲決定マーカ2との相対位置に関する情報に対応するサイズの表示範囲RAを決定してもよい。たとえば、表示範囲決定部32は、上記円の半径を、マーカ位置演算部43によって演算された1つの範囲決定マーカ2のサイズに基づいて決定してもよい。
【0047】
位置関係判断部33は、表示範囲決定部32によって決定された表示範囲RAと、マーカ位置演算部43によって演算されたセンサ位置との位置関係を判断する。たとえば、位置関係判断部33は、センサ位置が表示範囲RA内に位置しているか否かを判断する。たとえば、位置関係判断部33は、センサマーカ12の位置P2が表示範囲RA内に位置しているか否かを判断する。
【0048】
測定情報取得部34は、測定処理部23から測定情報を取得する。換言すれば、測定情報取得部34は、電磁環境に関する複数の測定値と、各測定値に対応する付加情報とを取得する。測定情報取得部34は、センサ11によって検出された検出情報に基づいて測定処理部23から出力された複数の測定値を取得する。測定情報取得部34は、取得された測定情報を、画像作成部35に伝達する。測定情報取得部34は、たとえば、測定位置と測定値とを紐付けて、格納部22に格納する。測定情報取得部34は、互いに紐付けられた測定値と測定位置とを格納部22から取得してもよい。
【0049】
画像作成部35は、各測定値の測定位置に対応付けられた位置に、測定値に関する情報を表示する画像を作成する。画像作成部35において作成された画像は、たとえば、表示部24に表示される。画像作成部35は、マーカ検出部42の検出結果に基づいて画像を作成する。画像作成部35は、マーカ位置演算部43において演算された測定位置と測定結果とが対応付けられた結果画像を作成する。本実施形態において、結果画像は、センサ位置を示す情報と表示範囲RAを示す情報と測定結果を示す情報との少なくとも1つを含んでいる。センサ位置を示す情報は、たとえば、図4及び図5に示されているように、測定位置を中心とする円P3である。たとえば、結果画像は、表示範囲RAを示すと共に測定結果を表示範囲RA内に示す。画像作成部35は、表示範囲RAに対応する測定値が取得されない場合には、表示範囲RAのみを示す結果画像を作成する。本実施形態において、画像作成部35は、結果画像が撮像画像に重ね合わされた合成画像を作成する。図1にしめされているように、画像作成部35は、区画処理部51と、表示情報決定部52と、合成部53とを含んでいる。
【0050】
図5に示されているように、区画処理部51は、表示範囲RA内において複数の区画PAを設定する処理を行う。複数の区画PAは、表示範囲RAが区分けされた領域である。換言すれば、表示範囲RAは、複数の区画PAによって形成される。さらに換言すれば、複数の区画PAは、画像作成部35において作成された結果画像において測定結果が表示される表示範囲RAが、区分けされた領域である。各区画PAは、測定位置の分解能よりも大きい。図5において、1つの区画PA内に複数の測定位置P4が位置している様子が示されている。図1に示されているように、区画処理部51は、区画設定部61と、区画判定部62と、再設定判定部63とを含んでいる。
【0051】
区画設定部61は、表示範囲RAに複数の区画PAを設定する。換言すれば、区画設定部61は、測定値に関する情報が表示される表示範囲RAを区分けすることによって複数の区画PAを設定する。換言すれば、表示範囲RAは、複数の区画PAによって形成されている。本実施形態において、区画設定部61は、格納部22に予め格納されている区画定義テーブルを参照し、区画定義テーブルに示されている情報に基づいて複数の区画PAを設定する。図6(a)及び図6(b)は、区画定義テーブルの一例を示している。格納部22は、たとえば、複数の区画定義テーブル71,72を予め格納している。各区画定義テーブル71,72は、表示範囲RAを形成する複数の区画の構成を定義している。複数の区画定義テーブル71,72は、互いに異なる数によって区分けされる表示範囲RAにおける各区画PAの構成を定義している。換言すれば、互いに異なる数によって表示範囲RAを区分けする場合における各区画PAの構成を定義している。
【0052】
たとえば、区画設定部61は、格納部22に予め格納されている複数の区画定義テーブル71,72から、区画判定部62における判断に用いられる区画定義テーブルを設定する。図6(a)に示されている区画定義テーブル71と、図6(b)に示されている区画定義テーブル72とは、表示範囲RAを形成する複数の区画PAの大きさ及び数、並びに、各区画PAが設定される位置を示している。区画定義テーブルは、表示範囲RAが区分けされる数を示していてもよい。図7(a)は、区画定義テーブル71に基づいて、表示範囲RAが区分けされた状態を示している。図7(b)は、区画定義テーブル72に基づいて、表示範囲RAが区分けされた状態を示している。区画定義テーブルが変更されることによって、区画PAが区画PA1から区画PA2に変更される。区画定義テーブル71と区画定義テーブル72とは、表示範囲RAを区分けする数が異なる。区画PA1と区画PA2とは、互いに大きさが異なる。区画定義テーブル72において示されている各区画PAの大きさは、区画定義テーブル71において示されている各区画PAの大きさよりも小さい。
【0053】
区画判定部62は、位置情報取得部31において取得された位置情報に基づいて、複数の区画PAのうち各測定値の測定位置に対応する区画PAを判定する。本実施形態において、区画判定部62は、マーカ位置演算部43において演算された、範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との相対位置に基づいて、表示範囲RA内における測定位置P4の座標、すなわちセンサマーカ12の位置P2の座標を演算する。たとえば、区画判定部62は、範囲決定マーカ2aの位置P1を原点とするセンサマーカ12の位置P2の座標を演算する。区画判定部62は、演算された座標に基づいて、測定値に対応する区画PAを判定する。本実施形態において、区画判定部62は、区画設定部61において設定された区画定義テーブルに基づいて、各測定値の測定位置に対応する区画PAを判定する。区画判定部62は、たとえば、判定結果を格納部22に格納する。
【0054】
図8は、区画判定部62によって区画が判定された後に、格納部22に格納された測定情報の一例を示している。図8において、格納部22は、測定位置を示すX座標及びY座標と測定値とが紐付けられた測定情報D1~D4を格納している。図8における区画の欄は、区画判定部62による判定結果が示されている。図8に示されている例では、測定位置を示すX座標及びY座標と区画定義テーブル71とに基づいて、各測定値の測定位置に対応する区画PAが判定されている。
【0055】
再設定判定部63は、区画設定部61によって複数の区画PAを再設定するか否かを判定する。換言すれば、再設定判定部63は、表示範囲RAを形成する複数の区画PAの大きさを変更するか否かを判定する。再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合、区画設定部61は、表示範囲RAを形成する複数の区画PAの数を変更することによって複数の区画PAの再設定を行う。たとえば、区画設定部61は、表示範囲RAを区分けする数を変更することによって複数の区画PAの再設定を行う。たとえば、再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合、区画設定部61は、区画定義テーブルを変更する。この場合、区画設定部61は、参照する区画定義テーブルを、たとえば、図6(a)に示されてる区画定義テーブル71から図6(b)に示されている区画定義テーブル72に変更する。再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合、区画設定部61は、たとえば、区画定義テーブルの変更によって、表示範囲RAを形成する複数の区画PAを、図7(a)に示されている複数の区画PA1から、図7(b)に示されている複数の区画PA2に再設定する。
【0056】
区画設定部61によって複数の区画PAの再設定が行われると、区画判定部62は、再設定された複数の区画PAのうち各測定値の測定位置に対応する区画PAを判定する。換言すれば、区画判定部62は、変更された区画定義テーブルに基づいて、各測定値の測定位置に対応する区画PAを再判定する。たとえば、再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定され、かつ、区画設定部61が複数の区画PA2を再設定した場合、区画判定部62は、複数の区画PA2のうち各測定値の測定位置に対応する区画PA2を位置情報に基づいて判定する。
【0057】
本実施形態において、再設定判定部63は、電磁環境分析装置3内の処理において所定条件が充足された場合に、再設定を行うと判定する。たとえば、再設定判定部63は、測定値に対応する区画PAの数が所定数を越えた場合に、再設定を行うと判定する。換言すれば、再設定判定部63は、測定結果が表示される区画PAの数が所定値を越えている場合に、再設定を行うと判定する。再設定判定部63は、たとえば、表示範囲RAの分割数に対する、測定値に対応する区画PAの数の割合が、所定値を越えた場合に、再設定を行うと判定する。「表示範囲RAの分割数」とは、表示範囲RAが区分けされた数、すなわち、表示範囲RAを形成する区画PAの数である。再設定判定部63は、複数の区画PAの再設定の回数が所定数を越えた場合に、複数の区画PAを再設定することを禁止する。
【0058】
再設定判定部63は、予め設定された複数の条件のうち少なくとも1つが充足された場合に、複数の区画PAを再設定すると判定してもよい。充足される条件によって、区画設定部61が再設定する各区画の大きさが異なってもよい。すなわち、充足される条件によって、表示範囲RAが区分けされる数が異なってもよい。
【0059】
複数の条件は、互いに異なるユーザの操作又は演算であってもよいし、同一の操作又は演算であって入力された時刻又は回数が異なるものであってもよい。たとえば、区画設定部61は、たとえば、ユーザによる1回目の入力操作という条件が充足された場合に複数の区画PAを再設定し、ユーザによる2回目の入力操作という条件が充足された場合に複数の区画PAを再び再設定してもよい。この際、1回目の入力操作という条件が充足された場合において区画設定部61が再設定する各区画の大きさは、2回目の入力操作という条件が充足された場合において区画設定部61が再設定する各区画の大きさよりも小さくてもよい。換言すれば、第一条件が充足された場合において区画設定部61が再設定する各区画の大きさは、第一条件が充足される前に充足される第二条件が充足された場合において区画設定部61が再設定する各区画の大きさよりも小さくてもよい。
【0060】
本実施形態の変形例として、再設定判定部63は、ユーザによる所定の入力操作に応じて、再設定を行うと判定してもよい。たとえば、ユーザによってスイッチが操作された場合に、再設定判定部63は再設定を行うと判定してもよい。電磁環境分析装置3内の処理において所定条件が満たされていること、及び、ユーザによる所定の入力操作が行われたことは、たとえば、再設定判定部63は、フラグの状態によって判定する。
【0061】
表示情報決定部52は、表示部24に表示する情報を決定する。たとえば、表示情報決定部52によって決定された情報が画像として表示部24に表示される。表示情報決定部52は、たとえば、結果画像の作成に用いる情報を決定する。表示情報決定部52は、各区画PAに対応する測定値に基づいて各区画PAの表示に関する情報を決定する。表示情報決定部52は、測定値が対応付けられている区画PAに表示する情報を決定する。本実施形態において、表示情報決定部52は、測定値が対応付けられていない区画PAがある場合には、この区画PAに表示する情報をNullとして決定する。本実施形態の変形例として、表示情報決定部52は、測定値が対応付けられていない区画PAには、情報の決定を行わなくてもよい。
【0062】
再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定された場合、表示情報決定部52は、再設定された区画PAに対応する測定値に基づいて区画PAの表示に関する情報を決定する。たとえば、再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定され、かつ、区画設定部61が複数の区画PA2を再設定した場合、表示情報決定部52は、区画PA2に対応する測定値に基づいて区画PA2の表示に関する情報を決定する。
【0063】
表示情報決定部52は、たとえば、各区画PAに対応する測定値から代表値を決定し、代表値に基づいて各区画PAの表示に関する情報を決定する。各区画PAの表示に関する情報は、たとえば、各区画PAに表示する色である。各区画PAの表示に関する情報は、色でなく、代表値を示す数字又は記号であってもよい。本実施形態において、表示情報決定部52は、測定値が対応付けられていない区画PAがある場合には、この区画PAにおける代表値をNullとして決定する。表示情報決定部52は、区画PAに対応する代表値がNullである場合には、この区画PAは無色とする、又は非表示という情報を決定する。
【0064】
表示情報決定部52は、たとえば、各区画PAに対応する測定値の大きさに応じて、各区画PAに表示する色を決定する。たとえば、表示情報決定部52は、図9に示されている色分布表55において測定値の大きさに対応する色に、各区画PAに表示する色を決定する。図9において、矢印Vはある区画PAにおける測定値を示している。図9において、測定値が大きい程、各区画PAに表示する色の濃度が高い。たとえば、図5に示されているように、各区画PAに位置している測定値の大きさに応じて、複数の区画PAが色分けされる。表示情報決定部52は、表示範囲RAにおける所定の代表値を含んでいる区画PAにアイコンを表示させてもよい。所定の代表値は、たとえば、表示範囲RA内の最大の代表値である。所定の代表値は、たとえば、表示範囲RA内の最小の代表値などであってもよい。
【0065】
表示情報決定部52は、図5に示されているように、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の測定値が1つの区画PAに対応している場合に、2以上の測定値から代表値を演算し、代表値に基づいて区画PAの表示に関する情報を決定する。「2以上の測定値が1つの区画PAに対応している」とは、1つの区画に2以上の測定値の測定位置P4が配置されていることを意味する。表示情報決定部52は、付加情報に基づいて、2以上の測定値から代表値を演算する。「2以上の測定値からの代表値の演算」は、「2以上の測定値からの代表値を選択することを含んでいる。本実施形態において、表示情報決定部52は、電磁波の強度に関する情報に基づいて、2以上の測定値から代表値を選択する。たとえば、表示情報決定部52は、2以上の測定値における最大値、最小値、中央値、又は、最頻値を代表値として、区画PAの表示に関する情報を決定する。本実施形態の変形例として、表示情報決定部52は、2以上の測定値における平均値を演算し、演算された平均値を代表値として、区画PAの表示に関する情報を決定してもよい。
【0066】
本実施形態の変形例として、表示情報決定部52は、周波数成分に基づいて各区画PAの表示に関する情報を決定してもよい。たとえば、複数の測定値が、第一周波数成分の電磁波に関する複数の第一測定値と、第二周波数成分の電磁波に関する複数の第二測定値とを含む場合について検討する。この場合、表示情報決定部52は、たとえば、区画PAに対応する第一測定値に基づいて区画PAの表示に関する第一情報を決定する。表示情報決定部52は、たとえば、区画PAに対応する第二測定値に基づいて区画PAの表示に関する第二情報を決定する。表示情報決定部52は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の第一測定情報が1つの区画PAに対応している場合に、2以上の第一測定情報測定値から第一代表値を演算し、第一代表値に基づいて区画PAの表示に関する第一情報を決定する。表示情報決定部52は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の第二測定情報が1つの区画PAに対応している場合に、2以上の第二測定情報から第二代表値を演算し、第二代表値に基づいて区画PAの表示に関する第二情報を決定する。各区画PAに、第一情報と第二情報とが同時に表示されてもよい。
【0067】
本実施形態の変形例として、表示情報決定部52は、周波数成分に基づいて少なくとも1つの測定値を2以上の測定値から選択し、選択された少なくとも1つの測定値から代表値を演算してもよい。たとえば、表示情報決定部52は、周波数成分に基づいて選択された2以上の測定値から、周波数成分以外の他の付加情報に基づいて1つの測定値を代表値として演算してもよい。たとえば、表示情報決定部52は、電磁波の強度に関する情報に基づいて、周波数成分に基づいて選択された2以上の測定値における平均値を代表値として、区画PAの表示に関する情報を決定してもよい。たとえば、表示情報決定部52は、所定の周波数帯域の電磁波に関する測定値を2以上の測定値から選択してもよい。表示情報決定部52は、複数の帯域の周波数成分の電磁波に関する測定値を2以上の測定値から選択してもよい。
【0068】
合成部53は、結果画像と撮像画像とを合成した合成画像を作成する。画像作成部35は、合成部53において作成された合成画像を表示部24に出力する。合成部53は、結果画像と撮像画像との少なくとも一方がない場合には、合成画像を作成しない。画像作成部35は、撮像画像がない場合には、結果画像のみを表示部24に出力する。画像作成部35は、結果画像がない場合には、撮影画像のみを表示部24に出力する。
【0069】
次に、図10を参照して、電磁環境分析装置3のハードウェア構成について説明する。図10は、電磁環境分析装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0070】
電磁環境分析装置3は、プロセッサ101と、主記憶装置102と、補助記憶装置103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106と、撮像装置107と、プローブ108と、ディスプレイ109とを備えている。電磁環境分析装置3は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータを含んでいる。電磁環境分析装置3は、ハードウェアと協働して実現されている。
【0071】
電磁環境分析装置3が、複数のコンピュータによって構成される場合には、これらのコンピュータはローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの電磁環境分析装置3が構築される。
【0072】
プロセッサ101は、オペレーティングシステム及びアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶装置102は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。たとえば、測定処理部23及び表示制御部25の少なくとも一部は、プロセッサ101及び主記憶装置102によって実現される。プロセッサ101及び主記憶装置102は、スペクトルアナライザ、ネットワークアナライザ、又は、オシロスコープの一部を構成する。
【0073】
補助記憶装置103は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶装置103は、一般的に主記憶装置102よりも大量のデータを記憶する。たとえば、格納部22の少なくとも一部は、補助記憶装置103によって実現される。
【0074】
補助記憶装置103は、予め、プログラム及び処理に必要なデータを格納している。プログラムは、電磁環境分析装置3の各機能要素をコンピュータに実行させる。プログラムによって、たとえば、後述する処理S1、及び、処理S3から処理S7がコンピュータにおいて実行される。このプログラムは、たとえば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に記録された上で提供されてもよい。このプログラムは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0075】
通信装置104は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。たとえば、撮像画像取得部41及び測定情報取得部34の少なくとも一部は、通信装置104によって実現される。入力装置105は、キーボード、マウス、及び、タッチパネルなどにより構成される。たとえば、操作部10、表示部24、撮像画像取得部41、測定情報取得部34、及び、再設定判定部63の少なくとも一部は、入力装置105によって実現される。出力装置106は、ブザー及びプリンタなどにより構成される。たとえば、画像作成部35の少なくとも一部は、出力装置106によって実現される。
【0076】
撮像装置107は、ビデオカメラ又はスチルカメラにより構成される。たとえば、撮像部21の少なくとも一部は、撮像装置107によって実現される。プローブ108は、スペクトルアナライザ、ネットワークアナライザ、又は、オシロスコープの入力端子に接続されている。たとえば、操作部10の少なくとも一部は、プローブ108によって実現される。ディスプレイ109は、コンピュータのモニタ、携帯端末の表示画面、又は、投影スクリーンを含んでいる。たとえば、表示部24の少なくとも一部は、ディスプレイ109によって実現される。
【0077】
次に、図11から図14を参照して、電磁環境分析システムを用いた測定方法の一例について説明する。図11は、電磁環境分析システムを用いた電磁環境分析方法を示すフローチャートである。
【0078】
まず、区画処理部51が、複数の区画PAの初期設定を取得する(処理S1)。たとえば、区画処理部51は、格納部22に予め保存されている初期設定を取得する。初期設定は、たとえば、区画定義テーブルを含んでいる。
【0079】
次に、範囲決定マーカ2が配置される(処理S2)。たとえば、ユーザが、測定結果の表示範囲の周囲に複数の範囲決定マーカ2を配置する。換言すれば、ユーザが、測定を行う範囲の周囲に複数の範囲決定マーカ2を配置する。複数の範囲決定マーカ2は、電磁環境分析システム1に含まれる不図示の機器によって、予め設定された位置に配置されてもよい。本実施形態において、図3に示されているように、2つの範囲決定マーカ2の各々が、所望の表示範囲RAの対角線上の頂点に配置される。
【0080】
次に、撮像画像取得部41が、撮像画像を取得する(処理S3)。撮像画像取得部41は、撮像部21において撮像された撮像画像を取得する。撮像部21は、範囲決定マーカ2を撮像する。たとえば、撮像部21は、処理S2において配置された複数の範囲決定マーカ2の全てが1つの撮像画像に入るように撮像を行う。たとえば、撮像部21は、各範囲決定マーカ2について3次元位置を示す特徴点が取得されるように撮像を行う。処理S3において、撮像部21は、範囲決定マーカ2と共にセンサマーカ12を撮像してもよい。
【0081】
次に、マーカ検出部42、マーカ位置演算部43、表示範囲決定部32、及び、位置関係判断部33によって、マーカ検出処理が行われる(処理S4)。マーカ検出処理において、処理S3において取得された撮像画像から、範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との少なくとも1つの位置が取得される。マーカ検出処理において、範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との位置関係が判断される。
【0082】
次に、表示制御部25が、撮像画像を再取得するか否かを判断する(処理S5)。表示制御部25は、処理S4における範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との検出結果に基づいて、撮像画像を再取得するか否かを判断する。撮像画像を再取得すると判断された場合には、処理は処理S3に戻る。
【0083】
処理S5において、撮像画像を再取得しないと判断された場合には、画像作成部35によって測定結果の表示処理が行われる(処理S6)。測定結果の表示処理において、測定を行った位置と測定結果と対応付けた結果画像が表示部24に表示される。
【0084】
次に、表示制御部25が、処理を終了するか否かを判断する(処理S7)。処理S7において、処理を終了しないと判断された場合には、処理は処理S3に戻る。処理S7において、処理を終了すると判断された場合には、一連の処理が終了する。
【0085】
次に、処理S4におけるマーカ検出処理について詳細に説明する。図12は、マーカ検出処理を示すフローチャートである。
【0086】
まず、マーカ検出部42が、撮像画像内に範囲決定マーカ2があるか否かを判断する(処理S11)。マーカ検出部42は、たとえば、撮像画像から、範囲決定マーカ2の特徴点の画像検出を行う。マーカ検出部42は、撮像画像において範囲決定マーカ2の特徴点が認識された場合には、撮像画像内に範囲決定マーカ2があると判断する。マーカ検出部42は、撮像画像において範囲決定マーカ2の特徴点が認識されなかった場合には、撮像画像内に範囲決定マーカ2がないと判断する。処理S11において、範囲決定マーカ2があると判断された場合には、処理は処理S12に進む。処理S11において、範囲決定マーカ2がないと判断された場合には、処理は処理S21に進む。
【0087】
処理S11において範囲決定マーカ2があると判断された場合には、撮像画像内にセンサマーカ12があるか否かを判断する(処理S12)。マーカ検出部42は、たとえば、撮像画像から、センサマーカ12の特徴点の画像検出を行う。マーカ検出部42は、撮像画像においてセンサマーカ12の特徴点が認識された場合には、撮像画像内にセンサマーカ12があると判断する。マーカ検出部42は、撮像画像においてセンサマーカ12の特徴点が認識されなかった場合には、撮像画像内にセンサマーカ12がないと判断する。処理S12において、センサマーカ12があると判断された場合には、処理は処理S17に進む。処理S12において、センサマーカ12がないと判断された場合には、処理は処理S13に進む。
【0088】
処理S12においてセンサマーカ12がないと判断された場合には、マーカ位置演算部43が、範囲決定マーカ2の位置P1を取得する(処理S13)。たとえば、マーカ位置演算部43は、撮像画像内における範囲決定マーカ2の位置P1を演算し、演算結果を位置関係判断部33及び格納部22に出力する。
【0089】
処理S13が終了すると、位置関係判断部33が、範囲決定マーカ2の位置P1が適切か否かを判断する(処理S14)。たとえば、位置関係判断部33は、複数の範囲決定マーカ2a,2bの位置関係が適切であるか否かを判断する。たとえば、位置関係判断部33は、矩形の表示範囲RAを特定できる位置に各範囲決定マーカ2a,2bが配置されている場合に、複数の範囲決定マーカ2a,2bの位置関係が適切であると判断する。たとえば、位置関係判断部33は、撮像画像において、範囲決定マーカ2aの位置P1が範囲決定マーカ2bの位置P1の左上に位置している場合に、表示範囲RAを特定できる位置に各範囲決定マーカ2a,2bが配置されていると判断する。範囲決定マーカ2の位置P1が適切でないと判断された場合には、処理が処理S15に進む。範囲決定マーカ2の位置P1が適切であると判断された場合には、処理が処理S16に進む。
【0090】
処理S14において範囲決定マーカ2の位置P1が適切でないと判断された場合には、表示制御部25が、表示部24に撮像画像を表示させる(処理S15)。たとえば、処理S15において、表示情報決定部52は、撮像画像のみを表示部24に表示することを決定する。画像作成部35は、合成部53において合成画像を作成せずに、撮像画像のみを表示部24に出力する。この結果、表示部24は、撮像画像のみを表示する。処理S15が終了すると、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0091】
処理S14において範囲決定マーカ2の位置P1が適切であると判断された場合には、表示制御部25が、表示部24に撮像画像及び表示範囲RAを表示させる(処理S16)。処理S16において、表示範囲決定部32は、範囲決定マーカ2の検出結果に基づいて表示範囲RAを決定する。たとえば、処理S16において、表示情報決定部52は、表示範囲RAと撮像画像とを表示部24に表示することを決定する。画像作成部35は、表示範囲RAのみを示す結果画像と撮像画像とを合成した合成画像を表示部24に出力する。この結果、表示部24は、図3に示されているように、表示範囲RAと撮像画像とを表示する。処理S16が終了すると、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0092】
処理S12においてセンサマーカ12があると判断された場合には、マーカ位置演算部43が、範囲決定マーカ2の位置P1とセンサマーカ12の位置P2を取得する(処理S17)。たとえば、マーカ位置演算部43は、撮像画像内における範囲決定マーカ2の位置P1と、撮像画像内におけるセンサマーカ12の位置P2とを演算し、演算結果を位置関係判断部33及び格納部22に出力する。処理S17において、マーカ位置演算部43は、範囲決定マーカ2の検出結果とセンサマーカ12の検出結果とに基づいて、範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との相対位置を演算する。センサマーカ12の位置P2は、測定値が測定された測定位置に関する位置情報である。本実施形態において、センサマーカ12の位置P2は、測定位置に一致する。
【0093】
処理S17が終了すると、位置関係判断部33が、範囲決定マーカ2とセンサマーカ12との位置が適切か否かを判断する(処理S18)。たとえば、位置関係判断部33は、複数の範囲決定マーカ2a,2bの位置関係が適切であるか否かを判断する。たとえば、位置関係判断部33は、処理S14と同様に、矩形の表示範囲RAを特定できる位置に各範囲決定マーカ2a,2bが配置されている場合に、複数の範囲決定マーカ2a,2bの位置関係が適切であると判断する。範囲決定マーカ2の位置P1が適切でないと判断された場合には、処理が処理S13に進む。範囲決定マーカ2の位置P1が適切であると判断された場合には、処理が処理S19に進む。
【0094】
処理S18において範囲決定マーカ2の位置P1が適切であると判断された場合には、表示範囲RA内に測定位置が位置しているか否かを判断する(処理S19)。たとえば、位置関係判断部33は、センサマーカ12の位置P2が表示範囲RA内に位置している場合に、表示範囲RA内に測定位置が位置していると判断する。表示範囲RA内に測定位置が位置していないと判断された場合には、処理が処理S20に進む。表示範囲RA内に測定位置が位置していると判断された場合には、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0095】
処理S19において表示範囲RA内に測定位置が位置していないと判断された場合には、表示制御部25が、表示部24に撮像画像、表示範囲RA、及び、センサ位置を表示させる(処理S20)。処理S20において、表示範囲決定部32は、範囲決定マーカ2の検出結果に基づいて表示範囲RAを決定する。たとえば、処理S20において、表示情報決定部52は、表示範囲RAと撮像画像とセンサ位置を表示部24に表示することを決定する。たとえば、処理S20において、表示情報決定部52が、処理S17において取得された範囲決定マーカ2の位置P1から表示範囲RAを演算し、処理S17において取得されたセンサマーカ12の位置P2からセンサ位置を演算する。画像作成部35は、表示範囲RA及びセンサ位置を示す結果画像と撮像画像とを合成した合成画像を表示部24に出力する。この結果、表示部24は、図4に示されているように、表示範囲RAとセンサ位置と撮像画像とを表示する。処理S20が終了すると、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0096】
処理S11において範囲決定マーカ2がないと判断された場合には、撮像画像内にセンサマーカ12があるか否かを判断する(処理S21)。たとえば、マーカ検出部42は、処理S12と同様に、撮像画像から、センサマーカ12の特徴点の画像検出を行う。処理S21において、センサマーカ12があると判断された場合には、処理は処理S22に進む。処理S21において、センサマーカ12がないと判断された場合には、処理は処理S24に進む。
【0097】
処理S21においてセンサマーカ12があると判断された場合には、マーカ位置演算部43が、センサマーカ12の位置P2を取得する(処理S22)。たとえば、マーカ位置演算部43は、撮像画像内におけるセンサマーカ12の位置P2を演算し、演算結果を表示情報決定部52及び格納部22に出力する。本実施形態において、センサマーカ12の位置P2は、測定位置に一致する。
【0098】
処理S22が終了すると、表示制御部25が、表示部24に撮像画像とセンサ位置とを表示させる(処理S23)。たとえば、処理S23において、表示情報決定部52は、撮像画像とセンサ位置とを表示部24に表示することを決定する。たとえば、処理S23において、表示情報決定部52が、処理S22において取得されたセンサマーカ12の位置P2からセンサ位置を演算する。画像作成部35は、センサ位置のみを示す結果画像と撮像画像とを合成した合成画像を表示部24に出力する。処理S23が終了すると、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0099】
処理S21においてセンサマーカ12がないと判断された場合には、表示制御部25が、表示部24に撮像画像を表示させる(処理S24)。たとえば、処理S24において、表示情報決定部52は、撮像画像のみを表示部24に表示することを決定する。画像作成部35は、合成部53において合成画像を作成せずに、撮像画像のみを表示部24に出力する。この結果、表示部24は、撮像画像のみを表示する。処理S24が終了すると、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0100】
次に、処理S6における測定結果の表示処理について詳細に説明する。図13は、測定結果の表示処理を示すフローチャートである。
【0101】
まず、測定情報取得部34が、測定値が取得されたか否かを判断する(処理S31)。測定情報取得部34は、測定処理部23から測定値が取得された場合に測定値が取得されたと判断する。測定情報取得部34が測定値を取得していない場合には、処理S31が繰り返される。測定情報取得部34が測定値を取得した場合には、処理が処理S32に進む。
【0102】
測定値が取得されたと判断された場合には、測定情報取得部34が測定値と測定位置とを紐付ける(処理S32)。測定情報取得部34は、処理S17において取得された測定位置を位置情報取得部31から取得する。測定情報取得部34は、たとえば、互いに紐付けられた測定値と測定位置とを格納部22に格納する。測定情報取得部34は、互いに紐付けられた測定値と測定位置とを画像作成部35に出力する。測定情報取得部34は、互いに紐付けられた測定値と測定位置とを格納部22から取得してもよい。
【0103】
次に、区画判定部62が、測定位置に対応する区画PAを判定する(処理S33)。区画判定部62は、位置情報取得部31において取得された位置情報に基づいて、複数の区画PAのうち各測定値の測定位置に対応する区画PAを判定する。処理S33において設定されてる複数の区画PAは、処理S1における初期設定によって区分けされている区画PAである。区画設定部61は、処理S1において初期設定を取得したときに、表示範囲RAを区分けしてもよいし、処理S33の前又は処理S33において表示範囲RAをくわけしてもよい。
【0104】
本実施形態において、区画判定部62は、測定処理部23において1つの測定値が取得される毎に、この測定値の測定位置に対応する区画PAを判定する。本実施形態の変形例として、一度に、格納部22に格納されている複数の測定値の各々について、各測定値の測定位置に対応する区画PAを判定してもよい。区画判定部62は、たとえば、判定結果を格納部22に格納する。区画判定部62は、判定結果を表示情報決定部52に出力してもよい。
【0105】
次に、表示情報決定部52が、区画PAにおける代表値を決定する(処理S34)。表示情報決定部52は、区画判定部62又は格納部22から、対象の区画PAに対応する測定値を取得する。表示情報決定部52は、たとえば、区画PAに対応する測定値に基づいて代表値を決定する。表示情報決定部52は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の測定値が1つの区画PAに対応している場合に、これらの2以上の測定値から代表値を演算し、決定する。
【0106】
次に、区画処理部51が、区画PAの再設定処理を行う(処理S35)。区画処理部51は、再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合に、区画設定部61において区画PAの再設定を行う。再設定判定部63は、電磁環境分析装置3内の処理において所定条件が満たされたこと、又は、ユーザによって所定の入力が行われたことを示すフラグが検出された場合に、複数の区画PAの再設定を行う。
【0107】
次に、表示情報決定部52は、代表値に基づいて区画PAの表示に関する情報を決定する(処理S36)。本実施形態において、表示情報決定部52は、代表値に基づいて区画PAに表示する色を決定する。たとえば、表示情報決定部52は、各区画PAに対応する測定値の大きさに応じて、各区画PAに表示する色を決定する。たとえば、表示情報決定部52は、ある区画PAに対応する代表値の大きさに対応する色に、この区画PAに表示する色を決定する。処理S36において、表示情報決定部52は、各区画PAの代表値に応じて、色以外の情報を決定してもよい。表示情報決定部52は、各区画PAの表示に関する情報を格納部22に格納する。
【0108】
次に、表示制御部25が、表示部24に撮像画像と表示範囲RAとセンサ位置と測定結果とを表示させる(処理S37)。処理S37において、表示範囲決定部32は、範囲決定マーカ2の検出結果に基づいて表示範囲RAを決定する。表示制御部25は、たとえば、格納部22から表示に要する情報を取得する。たとえば、表示情報決定部52は、撮像画像と表示範囲RAとセンサ位置と測定結果とを表示部24に表示することを決定する。たとえば、処理S37において、表示情報決定部52が、処理S17において取得された範囲決定マーカ2の位置P1から表示範囲RAを演算し、処理S17において取得されたセンサマーカ12の位置P2からセンサ位置を演算する。測定結果は、たとえば、処理S36において決定された色で示される。画像作成部35は、表示範囲RAとセンサ位置と測定結果とを示す結果画像と撮像画像とを合成した合成画像を表示部24に出力する。測定結果は、各測定値の測定位置に対応付けられた位置に測定値に関する情報を表示することによって示される。この結果、表示部24は、表示範囲RAとセンサ位置と測定結果と撮像画像とを表示する。処理S37が終了すると、マーカ検出処理が終了し、処理結果が返される。
【0109】
図5において、1つの区画PAに2以上の測定値の測定位置P4が位置している。この場合にも、処理S33及び処理S34において代表値が演算及び決定され、処理S36において代表値に基づいて区画PAの表示に関する情報が決定される。この結果、各区画PAにおいて、代表値に対応する色が表示される。換言すれば、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の測定値が1つの区画PAに対応している場合においても、代表値に基づく情報が表示される。
【0110】
次に、処理S35における区画の再設定処理の一例について詳細に説明する。図14は、区画の再設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0111】
まず、再設定判定部63が、区画PAの再設定を行うか否かを判定する(処理S41)。本実施形態において、再設定判定部63は、表示範囲RAの分割数に対する、測定結果の表示を行う区画PAの数の割合が、所定値を越えているという条件が充足されているか否かを判定する。この所定値は、区画定義テーブルと共に格納部22に格納されている。上記割合が所定値を越えていない場合には、区画の再設定処理は終了する。上記割合が所定値を越えている場合には、処理は処理S42に進む。
【0112】
上記割合が所定値を越えている場合には、区画設定部61が参照する区画定義テーブルを変更する(処理S42)。区画設定部61は、たとえば、参照する区画定義テーブルを、図6(a)に示されている区画定義テーブル71から図6(b)に示されている区画定義テーブル72に変更する。区画定義テーブル72において表示範囲RAが区分けされる数は、区画定義テーブル71において表示範囲RAが区分けされる数よりも大きい。区画定義テーブル71が第一区画定義テーブルに相当する場合、区画定義テーブル72は第二区画定義テーブルに相当する。
【0113】
次に、区画設定部61は、複数の区画PAの再設定を行う(処理S43)。処理S43において、区画設定部61は、処理S42において変更された区画定義テーブル72を参照して、複数の区画PAを再設定する。処理S42及び処理S43によって、区画設定部61は、表示範囲RAを形成する区画PAの数が変更されるように複数の区画PAを再設定する。これによって、区画設定部61は、各区画PAの大きさを変更する。区画設定部61は、たとえば、処理S42及び処理S43において表示範囲RAを形成する複数の区画PAの数を変更することによって、表示範囲RAを形成する複数の区画PAを、図7(a)に示されている複数の区画PA1から、図7(b)に示されている複数の区画PA2に再設定する。複数の区画PA2の各々は、区画PA1と異なる大きさを有している。本実施形態において、各区画PA2の大きさは、各区画PA1の大きさよりも小さい。この結果、各測定値の測定位置P4が分類される区画PAが変化する。たとえば、図7(a)において、同一の区画PA1に位置していた複数の測定位置P4が、互いに異なる2つの区画PA2に分かれる。区画PA1が第一区画に相当する場合、区画PA2は第二区画に相当する。
【0114】
次に、区画判定部62が、測定位置に対応する区画PAを再判定する(処理S44)。
たとえば、区画判定部62は、処理S43において再設定された複数の区画PA2のうち、測定位置に対応する区画PA2を判定する。区画判定部62は、位置情報取得部31において取得された位置情報に基づいて、複数の区画PA2のうち各測定値の測定位置に対応する区画PA2を判定する。区画判定部62は、たとえば、判定結果を格納部22に格納する。区画判定部62は、判定結果を表示情報決定部52に出力してもよい。
【0115】
次に、表示情報決定部52が、区画PAにおける代表値を再決定する(処理S45)。処理S45が終了すると、区画の再設定処理は終了する。たとえば、表示情報決定部52は、処理S43において再設定された複数の区画PA2の各々に対応する代表値を決定する。表示情報決定部52は、区画判定部62又は格納部22から、対象の区画PA2に対応する測定値を取得する。表示情報決定部52は、たとえば、区画PA2に対応する測定値に基づいて代表値を決定する。表示情報決定部52は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の測定値が1つの区画PA2に対応している場合に、これらの2以上の測定値から代表値を演算し、決定する。この場合には、表示情報決定部52は、処理S45の後の処理S36において、処理S45において演算された代表値に基づいて区画PA2の表示に関する情報を決定する。
【0116】
以上、電磁環境分析システムを用いた測定方法の一例について説明したが、各処理の順序はこれに限定されない。たとえば、処理S1は、処理S2の後かつ処理S6の前であれば、いつ実行されてもよい。処理S1は、処理S33の前に実行されれば、処理S6の途中において行われてもよい。再設定判定部63がユーザの入力操作に応じて区画PAの再設定を判定する場合には、処理S35は、処理S1の後かつ処理S36の前であればいつ実行されてもよい。
【0117】
処理S31において、センサ11から電磁環境に関する情報が取得され、取得された情報に基づいて複数の測定値が取得される。センサ11は、電磁環境に関する情報を逐次検出する。本実施形態において、処理S3から処理S7が繰り返されることによって、処理S31において電磁環境に関する複数の測定値が取得される。撮像部21は実空間を逐次撮像し、撮像画像取得部41は撮像部21において逐次撮像された撮像画像を取得する。処理S3から処理S7の1回のループ間に測定処理部23から複数の測定値が出力された場合には、一回の処理S31において複数の測定値が取得される。
【0118】
次に、図15から図18を参照して、電磁環境分析システム1における区画の再設定の一例について更に詳細に説明する。図15から図18において、色の違いがハッチングの違いによって示されている。
【0119】
図15において、処理S31から処理S37が実行されることによって、表示範囲RAを形成する各区画PA1において、測定値に応じた情報の表示が行われている。本実施形態において、各区画PA1は、測定値に応じて色分けされている。表示範囲RA内において、ハッチングが付されていない区画PA1は、測定が行われていない部分である。
【0120】
図15に示されている状態から操作部10が移動されると共に、処理S3から処理S7が繰り返される。操作部10の移動と共に、測定も繰り返される。このため、測定が行われた区画PA1が増加する。この結果、図16に示されているように、測定値に応じた情報が表示されている区画PA1が増加する。換言すれば、色が表示された区画PA1が増加する。
【0121】
さらに、図16に示されている状態から操作部10の移動と共に測定が繰り返されることによって、表示範囲RAの分割数に対する、測定結果の表示を行う区画PA1の数の割合が、第一の所定値を越える。この条件が充足されることによって、処理S41において区画PAの再設定を行うと判定され、処理S42から処理S45、並びに、処理S36及び処理S37が実行される。処理S43において、区画定義テーブルは、区画定義テーブル71から区画定義テーブル72に変更される。この結果、図17に示されているように、表示範囲RAを形成する複数の区画PAが、複数の区画PA1から複数の区画PA2に再設定される。各区画PA2の大きさは、各区画PA1の大きさよりも小さい。表示範囲RAを形成する区画PAの数は、図16に示されている状態から増加する。換言すれば、表示範囲RAは、図16に示されている状態からより細かく区分けされる。処理S44及び処理S45によって複数の区画PA2における代表値の決定が行われ、処理S36及び処理S37によって表示範囲RA内の表示が、複数の区画PA1に基づく表示から複数の区画PA2に基づく表示に更新される。
【0122】
さらに、図17に示されている状態から操作部10の移動と共に測定が繰り返されることによって、表示範囲RAの分割数に対する、測定結果の表示を行う区画PA2の数の割合が、第二の所定値を越える。第二の所定値と第一の所定値とは、同一である。第二の所定値と第一の所定値とは、互いに異なってもよい。この条件が充足されることによって、処理S41において区画PAの再設定を行うと再び判定され、処理S42から処理S45、並びに、処理S36及び処理S37が実行される。この結果、図18に示されているように、表示範囲RAを形成する複数の区画PAが、複数の区画PA2から複数の区画PA3に再設定される。各区画PA3の大きさは、各区画PA2の大きさよりもさらに小さい。表示範囲RAを形成する区画PAの数は、図17に示されている状態から増加する。換言すれば、表示範囲RAは、図17に示されている状態からさらに細かく区分けされる。処理S44及び処理S45によって複数の区画PA3における代表値の決定が行われ、処理S36及び処理S37によって表示範囲RA内の表示が、複数の区画PA2に基づく表示から複数の区画PA3に基づく表示に更新される。
【0123】
次に、本実施形態における電磁環境分析システムの作用効果について説明する。この電磁環境分析システム1において、再設定判定部63は、複数の区画PAを再設定するか否かを判定する。再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合に、区画設定部61は、表示範囲RAを形成する複数の区画PAを、区画PA1よりも小さい複数の区画PA2に再設定する。この場合に、表示情報決定部52は、区画PA2の表示に関する情報を決定する。このため、表示範囲RAの測定中に、表示範囲RAを形成する複数の区画PAの大きさが変更され得る。したがって、測定の状況に応じて、表示の解像度が変更され得る。この結果、所望の測定が容易に実現され得る。
【0124】
各区画PA2の大きさは、各区画PA1の大きさよりも小さい。この場合、表示範囲RAの測定中に、表示の解像度が低い状態から高い状態にされ得る。このため、電磁環境分析システム1は、測定の初期段階では大まかな位置における測定結果を表示し、その後に所望の位置について詳細な測定結果を表示することができる。
【0125】
再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合に、区画判定部62は、複数の区画PA2のうち各測定値の測定位置に対応する区画PA2を位置情報に基づいて判定し、表示情報決定部52は、区画PA2に対応する測定値に基づいて区画PA2の表示に関する情報を決定する。この場合、区画PA2に対応する測定値を再判定するため、区画PA2においてより正確な表示が実現され得る。
【0126】
再設定判定部63は、複数の条件のうち少なくとも1つが充足された場合に、複数の区画PAを再設定すると判定する。複数の条件のうち第一条件が充足された場合において区画設定部61が再設定する各区画PA2の大きさは、複数の条件のうち第二条件が充足された場合において区画設定部61が再設定する各区画PA2の大きさよりも小さい。この場合、表示範囲RAの複数の区画PAは、条件に応じて、異なる大きさの区画PA2に再設定される。このため、より容易に所望の測定が実現され得る。
【0127】
第二条件は、第一条件が充足された前に充足される条件である。この場合、第二条件が充足されることによって表示範囲RAを形成する複数の区画PAの大きさが再設定された後に、第二条件が充足されることによって表示範囲RAを形成する複数の区画PAの大きさがさらに縮小される。したがって、測定の状況に応じて、表示の解像度が多段的に変更され得る。
【0128】
互いに異なる数によって表示範囲RAを区分けする場合における各区画PAの構成を定義した複数の区画定義テーブル71,72を格納している格納部22をさらに備えている。区画設定部61は、複数の区画定義テーブル71,72に基づいて、複数の区画PAを設定する。この場合、特別な演算処理がなくとも、区画定義テーブル71,72によってより容易に表示の解像度が変更され得る。
【0129】
再設定判定部63は、ユーザの入力操作に応じて、複数の区画PAを再設定すると判定する。この場合、任意のタイミングにおいて、複数の区画PAの再設定が行われ得る。
【0130】
再設定判定部63は、測定値に対応する区画PAの数が所定数を越えた場合に、複数の区画PAを再設定すると判定する。この場合、自動で、複数の区画PAの再設定が行われ得る。
【0131】
再設定判定部63は、表示範囲RAが区分けされた数に対する、測定値に対応する区画PAの数の割合が、所定値を越えた場合に、複数の区画PAを再設定すると判定する。この場合、より簡易な設定により、自動で複数の区画PAの再設定が行われ得る。
【0132】
再設定判定部63は、複数の区画PAの再設定の回数が所定数を越えた場合に、複数の区画PAを再設定することを禁止する。この場合、再設定が必要以上に行われるような状況が回避され得る。この結果、所望の位置における詳細な測定が、より容易に実現され得る。
【0133】
電磁環境分析システム1は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の測定値が1つの区画PAに対応している場合、2以上の測定値から代表値を演算し、代表値に基づいて区画PAの表示に関する情報を決定する。このように、電磁環境分析システム1は、代表値の演算と代表値に基づく表示情報の決定という2段階の処理を行っているため、1つの区画PAに複数の測定値が存在する場合であっても、区画PAごとに適切な測定結果を表示できる。たとえば、センサ11の移動とセンサ11による測定とが同期させなければ、必ずしも測定値と区画PAとは一対一の関係とならない。測定誤差を考慮して、1つの区画PAにおいて複数回の測定が行いたいという需要も存在する。このように、測定が行われるタイミングと測定が行われる位置とを同期しない装置構成であっても、1つの区画PAにおいて複数回の測定が行われた場合であっても、電磁環境分析システム1は、区画ごとに適切な測定結果を表示できる。
【0134】
測定情報取得部34は、各測定値に対応する付加情報を取得する。付加情報は、電磁波の強度に関する情報、電磁波の位相に関する情報、電磁波の周波数成分に関する情報、及び、測定が行われたタイミングに関する情報の少なくとも1つを含んでいる。表示情報決定部52は、付加情報に基づいて、1つの区画PAに含まれる2以上の測定値から代表値を演算する。この場合、2以上の測定値からより適切な代表値が演算され得る。
【0135】
複数の測定値は、互いに異なる周波数成分の電磁波に関する複数の測定値を含んでいてもよい。この場合、表示情報決定部52は、周波数成分に基づいて少なくとも1つの測定値を2以上の測定値から選択し、選択された少なくとも1つの測定値から代表値を演算する。この結果、1つの区画PAに2以上の測定値がある場合に、所望の周波数成分の電磁波に関する適切な測定結果が表示され得る。
【0136】
複数の測定値は、第一周波数成分の電磁波に関する複数の第一測定値と、第二周波数成分の電磁波に関する複数の第二測定値とを含んでもよい。この場合、表示情報決定部52は、区画PAに対応する第一測定値に基づいて区画PAの表示に関する第一情報を決定すると共に、各区画PAに対応する第二測定値に基づいて区画PAの表示に関する第二情報を決定する。表示情報決定部は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の第一測定値が1つの区画PAに対応している場合に、2以上の第一測定値から第一代表値を演算し、第一代表値に基づいて区画PAの表示に関する第一情報を決定する。この結果、異なる周波数成分の電磁波ごとに、各区画PAに適切な測定結果が表示され得る。
【0137】
表示情報決定部52は、1つの区画PAに含まれる2以上の測定値における最大値、最小値、中央値、又は、最頻値を代表値として、区画PAの表示に関する情報を決定する。この場合、所望の測定値が代表値とされ得る。たとえば、同一の区画PAにおける測定値を単に更新する場合に比べて、測定結果がより正確に表示され得る。
【0138】
表示情報決定部52は、1つの区画PAに含まれる2以上の測定値の平均値を演算し、演算された平均値を代表値として、区画PAの表示に関する情報を決定してもよい。この場合も、所望の測定値が代表値とされ得る。
【0139】
画像作成部35は、表示範囲RAを形成する複数の区画PAを再設定するか否かを判定する再設定判定部63をさらに含んでいる。再設定判定部63が複数の区画PAを再設定すると判定した場合に、区画設定部61、区画判定部62、及び、表示情報決定部52は、以下の処理を行う。区画設定部61は、表示範囲RAを形成する複数の区画PAを、複数の区画PA1から、各々が区画PA1と異なる大きさを有している複数の区画PA2に再設定する。区画判定部62は、複数の区画PA2のうち各測定値の測定位置P4に対応する区画PA2を、位置情報取得部31において取得された位置情報に基づいて判定する。表示情報決定部52は、区画PA2に対応する測定値に基づいて区画PA2の表示に関する情報を決定してもよい。表示情報決定部は、互いに異なるタイミングにおいて測定された2以上の測定値が1つの区画PA2に対応している場合に、2以上の測定値から代表値を演算し、演算された代表値に基づいて区画PA2の表示に関する情報を決定する。この場合、測定の状況に応じて区画PAの大きさが変更され得る。区画PAの大きさが変更された場合にも、区画PAごとに適切な測定結果が表示される。
【0140】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0141】
本実施形態において、センサマーカ12の位置P2、すなわち測定位置は、センサマーカ12を画像認識することによって取得された。しかしながら、測定位置の取得方法は、これに限定されない。たとえば、操作部10及び撮像部21の少なくとも一方にモーションセンサが内蔵されていてもよい。モーションセンサは、たとえば、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び方位センサなどを含んでいる。
【符号の説明】
【0142】
1…電磁環境分析システム、10…操作部、11…センサ、24…表示部、31…位置情報取得部、34…測定情報取得部、35…画像作成部、52…表示情報決定部、61…区画設定部、62…区画判定部、63…再設定判定部、71,72…区画定義テーブル、P1,P2…位置、P4…測定位置、PA,PA1,PA2,PA3…区画、RA…表示範囲。
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