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特許7585007掘削装置の分割接続装置、掘削装置の組立方法および掘削装置の分割方法
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  • 特許-掘削装置の分割接続装置、掘削装置の組立方法および掘削装置の分割方法 図1
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  • 特許-掘削装置の分割接続装置、掘削装置の組立方法および掘削装置の分割方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】掘削装置の分割接続装置、掘削装置の組立方法および掘削装置の分割方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/00 20060101AFI20241111BHJP
   E21B 10/62 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
E21B7/00 E
E21B10/62
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020193961
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022082833
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】掛水 翔太
(72)【発明者】
【氏名】堀川 幸典
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-035080(JP,A)
【文献】特開2001-138148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/00
E21B 10/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングと該ケーシング内に配置されるオーガとを有し、前記ケーシングと前記オーガとがそれぞれ軸方向に沿って連結される複数の互いに着脱自在な分割ケーシングと分割オーガとからなる掘削装置において、前記分割ケーシングおよび前記分割オーガの接続および分離に用いられる掘削装置の分割接続装置であって、
互いに接続される二つの前記分割ケーシングをほぼ同軸上に互いに離間した状態に保持するケーシング保持用治具部を備え、
前記ケーシング保持用治具部は、互いに接続される二つの前記分割ケーシングの端部のうち、一方の分割ケーシングの端部の外周を囲み当該端部に固定される第一の固定部と、他方の分割ケーシングの端部の外周を囲み当該端部に固定される第二の固定部と、前記第一の固定部と前記第二の固定部とを連結する連結部材とを有し、
前記分割ケーシングと該分割ケーシング内に配置される分割オーガとを相対的に移動できないように保持するオーガ保持用治具部を備え、
前記オーガ保持用治具部は、前記分割ケーシングの軸方向の端面開口から挿入され、該分割ケーシング内に配置される分割オーガに連結可能な挿入部と、当該挿入部と該分割ケーシングとを連結する連結部を有する掘削装置の分割接続装置。
【請求項2】
前記第一の固定部及び前記第二の固定部のそれぞれは、分割ケーシングの端部の外周面を締め付けて圧し摩擦固定可能である請求項1に記載の掘削装置の分割接続装置。
【請求項3】
前記連結部材は、前記第一の固定部と前記第二の固定部との距離を一の距離で連結し、当該一の距離とは異なる距離に変更して連結可能である請求項1又は請求項2に記載の掘削装置の分割接続装置。
【請求項4】
前記ケーシング保持用治具部は、前記連結部材を複数有し、前記第一の固定部及び前記第二の固定部の周方向の異なる位置に前記連結部材をそれぞれ連結可能である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の掘削装置の分割接続装置。
【請求項5】
請求項1に記載の掘削装置の分割接続装置を用いた掘削装置の組立方法であって、
前記掘削装置は、前記ケーシングと前記オーガとを相対的に軸方向に沿って移動させる駆動手段を備え、
前記駆動手段に第一の分割ケーシングと該第一の分割ケーシング内に配置された第一の分割オーガとを接続した状態で、第一の分割ケーシングと該第一の分割ケーシングに接続される第二の分割ケーシングとを前記ケーシング保持用治具部により互いに離間した状態でそれ以上離れないように保持するとともに、
第二の分割ケーシング内に第二の分割オーガを配置し、第二の分割ケーシングの第一の分割ケーシングとの接続端と逆端の端面開口に前記挿入部を挿入して第二の分割オーガに当接させて、前記オーガ保持用治具部により、第二の分割オーガを第二の分割ケーシングに対して前記接続端から前記逆端への方向に移動しないように規制し、
前記駆動手段により、第一の分割オーガを第二の分割オーガに向って相対的に移動させて、第一の分割オーガと第二の分割オーガとを接続し、
第一の分割オーガと第二の分割オーガとを接続した後に、第一および第二の分割ケーシングからケーシング保持用治具部を取外し、前記挿入部を第二の分割オーガに係止して前記オーガ保持用治具部により、第二の分割オーガを第二の分割ケーシングに対して前記逆端から前記接続端への方向に移動しないように規制した上で、前記駆動手段により、第一の分割ケーシングを第二の分割ケーシングに向って相対的に移動させて、第一の分割ケーシングと第二の分割ケーシングとを接続することを特徴とする掘削装置の組立方法。
【請求項6】
請求項1に記載の掘削装置の分割接続装置を用いた掘削装置の分割方法であって、
前記掘削装置は、前記ケーシングと前記オーガとを相対的に軸方向に沿って移動させる駆動手段を備え、
前記駆動手段に前記ケーシングおよび前記オーガが接続された状態で、前記駆動手段側の第一の分割ケーシングと、該第一の分割ケーシングの前記駆動手段の反対側に接続された第二の分割ケーシングとの接続を解除するとともに、前記ケーシングの前記駆動手段の逆側の先端面開口に前記挿入部を挿入して前記オーガの先端部に係止して、オーガ保持用治具部により、第二の分割ケーシングと該第二の分割ケーシング内の第二の分割オーガとを相対的に移動させないように保持した状態で、前記駆動手段により、前記オーガに対して前記第一の分割ケーシングを軸方向に沿って前記駆動手段に近づける方向に相対的に移動させることで、第一の分割ケーシングと第二の分割ケーシングとを引き離し、
第一の分割ケーシングと第二の分割ケーシングとを引き離した後に、第一の分割ケーシング内の第一の分割オーガと第二の分割ケーシング内の第二の分割オーガとの接続を解除するとともに、引き離された第一の分割ケーシングと第二の分割ケーシングとをケーシング保持用治具部により互いに近づかないように離間した状態に保持し、
次いで、前記駆動手段により前記第一の分割オーガに対して前記ケーシングを駆動手段から離れるように相対的に移動させることで、前記第一の分割オーガと前記第二の分割オーガとを引き離す掘削装置の分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割可能な、ケーシングとオーガスクリューとを備えた掘削装置の分割接続装置、掘削装置の組立方法および掘削装置の分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に地盤を掘削して縦穴を形成する掘削装置としてアースオーガが知られている。このアースオーガは、丸棒状の軸に下端部から上部まで螺旋状のスクリューが設けられたオーガスクリューと、このオーガスクリューを回転駆動させる駆動部とから構成されている。そしてアースオーガの一種としては、例えば、オーガスクリューが円筒状のケーシングの中に配置されたケーシングオーガといったものが知られている。このようなケーシングオーガにおいては、搬送性や施工性を向上させるために、ケーシングおよびオーガスクリューを複数に分割できるものが開発されている。
【0003】
また、上記のような掘削装置には、掘削作業のため、ケーシングとオーガとを相対的に軸方向に沿って移動させる機能を備えたものがある。
特許文献1に記載の発明にあっては、同機能を利用して、ケーシングおよびオーガスクリューの分割接続作業が行えるようにするために、分割ケーシングと該分割ケーシング内に配置される分割オーガとを相対的に移動できないように保持する第一の治具部と、互いに接続される二つの分割ケーシングをほぼ同軸上に互いに離間した状態に保持する第二の治具部とを用いるようにした。
そして、特許文献1に記載の発明にあっては、第二の治具部を分割ケーシングのフランジに連結し、第一の治具部を分割ケーシングの側面開口から挿入してスクリューと当該開口の縁とに係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-35080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分割ケーシングに、第二の治具部を連結するフランジ等の適当な凹凸がない場合は、第二の治具部を適用することが難しい。
また、第一の治具部については、第一の治具部を挿入してスクリューに係止できる程の十分な大きさの側面開口が分割ケーシングに設けられていない場合は、第一の治具部を適用することが難しい。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、ケーシングとオーガとを相対的に軸方向に沿って移動させる機能を利用してケーシングおよびオーガスクリューの分割接続作業を実行することができる分割ケーシングの適用範囲を拡大することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための本発明の一つの形態は、筒状のケーシングと該ケーシング内に配置されるオーガとを有し、前記ケーシングと前記オーガとがそれぞれ軸方向に沿って連結される複数の互いに着脱自在な分割ケーシングと分割オーガとからなる掘削装置において、前記分割ケーシングおよび前記分割オーガの接続および分離に用いられる掘削装置の分割接続装置であって、
互いに接続される二つの前記分割ケーシングをほぼ同軸上に互いに離間した状態に保持するケーシング保持用治具部を備え、
前記ケーシング保持用治具部は、互いに接続される二つの前記分割ケーシングの端部のうち、一方の分割ケーシングの端部の外周を囲み当該端部に固定される第一の固定部と、他方の分割ケーシングの端部の外周を囲み当該端部に固定される第二の固定部と、前記第一の固定部と前記第二の固定部とを連結する連結部材とを有し、
前記分割ケーシングと該分割ケーシング内に配置される分割オーガとを相対的に移動できないように保持するオーガ保持用治具部を備え、
前記オーガ保持用治具部は、前記分割ケーシングの軸方向の端面開口から挿入され、該分割ケーシング内に配置される分割オーガに連結可能な挿入部と、当該挿入部と該分割ケーシングとを連結する連結部を有する掘削装置の分割接続装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケーシングとオーガとを相対的に軸方向に沿って移動させる機能を利用してケーシングおよびオーガスクリューの分割接続作業を実行することができる分割ケーシングの適用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るケーシングオーガの主要部の模式図である。
図2】一本の分割ケーシングの側面図である。
図3】一本の分割オーガの側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る掘削装置の組立方法の第一場面を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る第一の固定部の軸方向面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る第二の固定部の軸方向面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る第二の固定部の平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る挿入部の平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る連結部の一部品の平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る掘削装置の組立方法の第二場面を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る掘削装置の組立方法の第三場面を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る掘削装置の組立方法の第四場面を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る掘削装置の組立方法の第五場面を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る連結部の他の部品の平面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る掘削装置の組立方法の第六場面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0011】
〔ケーシングオーガの概要〕
本実施の形態にかかる掘削装置の分割接続装置を説明するにあたって、まず、掘削装置として例示されるケーシングオーガ1について説明する。
【0012】
ケーシングオーガ1は、地盤を掘削し縦穴を形成する装置であり、図1に示すように、筒状のケーシングCAと、該ケーシングCAの内部に配置されるオーガスクリュー(単に「オーガ」という)GAと、該オーガスクリューGAおよびケーシングCAが接続され、この両者を動作させる駆動部(駆動手段)2などを主体に構成されている。
【0013】
ケーシングCAは、上端部(図では右側)が油圧シリンダ3に接続されており、この油圧シリンダ3が動作することに基づいて、軸方向に沿って移動可能となっている。
ケーシングCAは、互いに着脱自在な複数本の分割ケーシングC(C1,C2・・・)から構成されている。個々の分割ケーシングを特定する符号を駆動部2側からC1,C2・・・とする。
図2に示すように分割ケーシングCの一端部はオス接続部Cm、他端部はメス接続部Cfとされており、オス接続部Cmがメス接続部Cf内に挿入されて2本の分割ケーシングCが連結される。オス接続部Cmの側面には円形溝Cdが、メス接続部Cfの側面には円形孔Chが設けられている。メス接続部Cfとオス接続部Cmとが接続されるとき、円形孔Chと円形溝Cdとは重なるように連続し、締結具を受け容れ、当該締結具によって分割ケーシング同士の接続が固定される。締結具としてはテーパー付き螺子により外径を拡大・縮小できるタイプのものが適用される。オス接続部Cmとメス接続部Cfとの接続の固定は溶接でもよいが、本実施形態では、締結具を用いる場合を基本に説明し、溶接の場合についても言及する。溶接の場合は、オス接続部Cm及びメス接続部Cfには、円形孔Ch及び円形溝Cdはもちろんその他の孔、凹凸は不要である。
【0014】
オーガGAは、ケーシングCAと同様に、軸方向に沿って連結され、互いに着脱自在な分割オーガスクリューG(G1,G2・・・)から構成されている。個々の分割オーガを特定する符号を駆動部2側からG1,G2・・・とする。
図3に示すように分割オーガGの一端部はオス接続部Gm、他端部はメス接続部Gfとされている。オス接続部Gmがメス接続部Gf内に挿入され、ピン孔P1と切り欠き部P2にジョイントピンが嵌入されることによって。オス接続部Gmとメス接続部Gfとの接続が固定される。
分割オーガGは、軸Gxと、該軸Gxの一端から他端まで螺旋状に設置されたスクリューGsとを備えている。最上端側の分割オーガG1の上端部は、駆動部2に接続されている。
【0015】
図1に示すように駆動部2は、オーガGAを垂直な中心軸まわりに回転させるオーガモータ2aと、ケーシングCAに対して相対的にオーガスクリューGAを軸方向に沿って移動させる油圧シリンダ3などを備えている。
【0016】
〔分割接続作業と分割接続装置の説明〕
ケーシングオーガ1は、以上のように構成されており、該ケーシングオーガ1を分割接続作業時に、以下に説明する分割接続装置(オーガ保持用治具部10、ケーシング保持用治具部20)を用いることで、ケーシングCAとオーガGAとを相対的に軸方向に沿って移動させる機能を利用して分割および接続を行うことができる。
【0017】
(接続作業)
まず、図4に示すように駆動部2に第一の分割ケーシングC1と該第一の分割ケーシングC1内に配置された第一の分割オーガG1とを接続した状態で、第一の分割ケーシングC1と該第一の分割ケーシングC1に接続される第二の分割ケーシングC2とをケーシング保持用治具部20により互いに離間した状態でそれ以上離れないように保持する。
【0018】
ここで、ケーシング保持用治具部20は、互いに接続される二つの分割ケーシングC1,C2をほぼ同軸上に互いに離間した状態に保持する道具である。
ケーシング保持用治具部20は、互いに接続される二つの分割ケーシングC1,C2の端部のうち、一方の分割ケーシングC1の端部の外周を囲み当該端部に固定される第一の固定部21と、他方の分割ケーシングC2の端部の外周を囲み当該端部に固定される第二の固定部22と、第一の固定部21と第二の固定部22とを連結する連結部材23,23とを有する。
【0019】
本実施形態では、第一の固定部21及び第二の固定部22のそれぞれは、開閉可能な固定バンドであり、分割ケーシングCの端部(Cm,Cf)の外周面を締め付けて圧し摩擦固定可能である。
図5に第一の固定部21の詳細を示す。図5に示すように第一の固定部21は、リング状の部材が半分に分割され、ヒンジ部21aを中心に回動して開閉端21bが開閉可能とされているとともに、連結部材23,23を連結するための連結部21c,21cを外側に有する。
図6及び図7に第二の固定部22及び連結部材23の詳細を示す。図6及び図7に示すように第二の固定部22も同様に、リング状の部材が半分に分割され、ヒンジ部22aを中心に回動して開閉端22bが開閉可能とされているとともに、連結部材23,23を連結するための連結部22c,22cを外側に有する。
【0020】
第二の固定部22と連結部材23は、常時連結された状態で使用される。
連結部材23,23は、一端部が第二の固定部22の連結部22c,22cにそれぞれ固定されている。連結部材23,23は、オーガ軸方向に延在して使用される長尺部材であり、第一の固定部21の連結部21c,21cにピン連結するためのピン孔23aを長手方向に沿って異なる位置に有する。
連結部21c,21cにもピン孔が設けられていて、図4においてジョイントピンJ1,J1によって、第一の固定部21と連結部材23,23とが連結されている。
【0021】
連結部材23は、ピン孔23aが長手方向に沿って異なる位置に複数設けられているので、第一の固定部21と第二の固定部22との距離を一の距離(例えば図4での距離)で連結し、当該一の距離とは異なる距離に変更して連結可能である。
【0022】
また、ケーシング保持用治具部20は、連結部材23,23を複数(本実施形態では二本)有し、第一の固定部21及び第二の固定部22の周方向の異なる位置に連結部材23をそれぞれ連結可能である。これにより、分割ケーシングC1,C2間にかかる軸方向の力を受け、分割ケーシングC1の軸と分割ケーシングC2の軸とが傾斜しないように保持できる。そのため、本実施形態における二本の連結部材23,23は互いに180度反対側に配置されている。
【0023】
以上のようにケーシング保持用治具部20により分割ケーシングC1,C2を保持するとともに、図4に示すように第二の分割ケーシングC2内に第二の分割オーガG2を配置し、第二の分割ケーシングC2の第一の分割ケーシングC1との接続端C21と逆端の端面開口C22にオーガ保持用治具部10の挿入部11を挿入して第二の分割オーガG2に当接させて、連結部12も用いてオーガ保持用治具部10により、第二の分割オーガG2を第二の分割ケーシングC2に対して接続端から逆端への方向D1に移動しないように規制する。
挿入部11が第二の分割ケーシングC2内に挿入されて第二の分割オーガG2に当接し移動規制するので、第二の分割オーガG2のオス接続部Gmを第二の分割ケーシングC2の接続端C21から突出させた状態に保持できる。特にオス接続部Gmの切り欠き部P2を第二の分割ケーシングC2の外に配置できるので、切り欠き部P2へのピン打ち込みが可能である。
【0024】
ここで、オーガ保持用治具部10は、分割ケーシング(C2)と該分割ケーシング(C2)内に配置される分割オーガ(G2)とを相対的に移動できないように保持する道具である。
オーガ保持用治具部10は、分割ケーシングC2の軸方向の端面開口C22から挿入され、該分割ケーシングC2内に配置される分割オーガG2に連結可能な挿入部11と、当該挿入部11と該分割ケーシングC2とを連結する連結部12,13とを有する。
【0025】
図8に挿入部11の詳細を示す。図8に示すように挿入部11は、ジョイントピン嵌入用の切り欠きP3,P4を有し、分割オーガGのメス接続部Gfにも挿入、ピン連結可能な両端部を有した軸部材に、中央部両側に規制突部11aを設けた構造を有する。
【0026】
図9に連結部12の詳細を示す。図9に示すように連結部12は、2つのアーム部12a,12aと、これら2つのアーム部12a,12aを繋ぐブリッジ部12bとを備える。アーム部12a,12aの先端部には円形孔Chに対応したジョイントピンJ2が該ピンの軸方向に移動可能に保持されている。ブリッジ部12bの中央部には孔12cが設けられている。孔12cは、挿入部11の軸部が挿入可能で規制突部11aは通らない大きさである。
【0027】
図4に示すように挿入部11のメス接続部Gfに挿入されている端部の逆端部をブリッジ部12bの孔12cに挿入した状態で、ジョイントピンJ2を第二の分割ケーシングC2の円形孔Chに嵌め入れて、連結部12により第二の分割ケーシングC2と挿入部11とを連結する。これにより、規制突部11aがブリッジ部12bに当接することで、挿入部11及び第二の分割オーガG2が第二の分割ケーシングC2に対して方向D1に移動しないように規制される。
溶接により接続固定するために、円形孔Chが無い分割ケーシングに対しては、分割ケーシングCに対する連結部12の固定は、固定部21,22と同様の固定バンドとすればよい。
【0028】
次に、駆動部2により、第一の分割オーガG1を第二の分割オーガG2に向って相対的に移動させて、図10に示すように第一の分割オーガG1と第二の分割オーガG2とを接続する。すなわち、図10に示すように第一の分割オーガG1のメス接続部Gfに第二の分割オーガG2のオス接続部Gmを挿入し、第一の分割オーガG1のピン孔P1と第二の分割オーガG2の切り欠き部P2とにジョイントピンJ3を嵌入して連結固定する。
【0029】
次に、ジョイントピンJ1を一旦外し、駆動部2により、分割オーガG1,G2を第一の分割ケーシングC1側(方向D2)に引き込み、これにより分割オーガG2との摩擦により移動する第二の分割ケーシングC2の接続端C21が第一の分割ケーシングC1に接する程度まで引き寄せる。このように引き寄せたところで第二の固定部22に寄り近い位置で、ジョイントピンJ1により再び第一の固定部21と連結部材23,23とを連結する(図11)。
【0030】
次に、連結部12を一旦外し、駆動部2により、分割オーガG1,G2を第二の分割ケーシングC2の端面開口C22側(方向D1)に押し出し、図12に示すように、分割オーガG2のピン孔P1が露出するようにして、ジョイントピンJ4を分割オーガG2のピン孔P1と切り欠きP3とに嵌入して、分割オーガG2と挿入部11とを連結する。図12では、円形孔Chを通してジョイントピンJ4の嵌入作業を行うが、溶接により接続固定するために、円形孔Chが無い分割ケーシングに対しては、分割オーガG2のピン孔P1が端面開口C22より外に突出するようにして、第二の分割ケーシングC2の外でジョイントピンJ4の嵌入作業を行えばよい。
【0031】
次に、図13に示すように、連結部12、さらに連結部13を使用して、第二の分割オーガG2を第二の分割ケーシングC2に対して、方向D1及び方向D2のいずれにも移動しないように、かつ、相対回転しないように連結する。
図14に連結部13の詳細を示す。図13に示すように連結部13は、挿入部11の端部を挿入可能な孔13aを有した筒状で、連結部12の孔12cに通らない外径を有し、該孔13aに連通するピン孔13bを有する。
挿入部11と連結部12については、図13に示すように、連結部12の孔12cから方向D1に突出した挿入部11の端部を連結部13の孔13aに挿入し、連結部13のピン孔13bと挿入部11の切り欠き部P4とにジョイントピンJ5を嵌入して連結固定する。
挿入部11の規制突部11aは、連結部12の孔12c周囲に設けられた溝又は突起に係止されて、挿入部11と連結部12とが相対回転しないように連結される。
【0032】
一方、図13に示すようにケーシング保持用治具部20を分割ケーシングC1,C2から取り外す。
その後、以上の連結により一体となった分割オーガG1,G2及び第二の分割ケーシングC2を、駆動部2により第一の分割ケーシングC1の方向D2に引き込み、図15に示すように第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングとを接続する。すなわち、挿入部11を第二の分割オーガG2に係止してオーガ保持用治具部10により、第二の分割オーガG2を第二の分割ケーシングC2に対して方向D2に移動しないように規制した上で、第一の分割ケーシングC1を第二の分割ケーシングC2に向って相対的に移動させて、第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングとを接続する。
【0033】
上記の分割オーガG1,G2の引き込みにより、第一の分割ケーシングC1のメス接続部Cfに第二の分割ケーシングC2のオス接続部Cmを挿入していきつつ、第一の分割ケーシングC1の円形孔Chと第二の分割ケーシングC2の円形溝Cdとを、オーガモータ2aの駆動により、中心が合うように位置を合わせ連通させる。連通した円形孔Ch及び円形溝Cd内に前述の締結具を挿入して締結し、接続を完了する。
溶接により接続固定するために、円形孔Chが無い分割ケーシングに対しては、第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングC2とを溶接により接続状態に固定することにより、接続を完了する。
【0034】
その後、さらに先端側に分割ケーシング及び分割オーガを継ぎ足す場合には、継ぎ足す分割ケーシング及び分割オーガを第二の分割ケーシング及び第二の分割オーガと見立てて以上と同様にして作業を行えばよい。
【0035】
(分割作業)
分割作業は以下の通りに行う。
まず、駆動部2にケーシングCAおよびオーガGAが接続された状態で、駆動部2側の第一の分割ケーシングC1と、該第一の分割ケーシングC1の駆動部2の反対側に接続された第二の分割ケーシングC2との接続の固定を解除する。上記の締結具を取り外す(溶接の場合は溶接部を削り取る)。
それとともに、ケーシングCAの駆動部2の逆側の先端面開口(C22)に挿入部11を挿入してオーガGAの先端部に係止して、オーガ保持用治具部10により、第二の分割ケーシングC2と該第二の分割ケーシングC2内の第二の分割オーガG2とを相対的に移動させないように保持した状態で、駆動部2により、オーガGAに対して第一の分割ケーシングC1を軸方向に沿って駆動部2に近づける方向D2に相対的に移動させることで、第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングC2とを引き離す。これにより、ジョイントピンJ3を抜く作業ができる程度に第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングC2とを引き離す。
【0036】
第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングC2とを引き離した後に、第一の分割ケーシングC1内の第一の分割オーガG1と第二の分割ケーシングC2内の第二の分割オーガG2との接続の固定を解除する。すなわち、ジョイントピンJ3を抜く。
それとともに、引き離された第一の分割ケーシングC1と第二の分割ケーシングC2とをケーシング保持用治具部20により互いに近づかないように離間した状態に保持する。
次いで、駆動部2により第一の分割オーガG1に対してケーシングCAを駆動部2から離れるように方向D1に相対的に移動させることで、第一の分割オーガG1と第二の分割オーガG2とを引き離す。これにより、第一の分割オーガG1のメス接続部Gfから第二の分割オーガG2のオス接続部Gmを引き抜く。
以上により分割が完了する。
【0037】
なお、分割ケーシングC及び分割オーガGは、様々な長さのものを継ぎ足すことがある。また、接続分離作業は、1本ずつに限らない。互いに連結された2組以上の分割ケーシングC及び分割オーガGを、駆動部2側から一度に分離することも可能であり、反対に、互いに連結され駆動部2に連結されていない2組以上の分割ケーシングC及び分割オーガGを、駆動部2側に接続することも可能である。その場合、接続又は分離作業の対象となっている互いに連結された2組以上の分割ケーシングC及び分割オーガGを、上記の第二の分割ケーシング及び第二の分割オーガとみなす。
【0038】
以上のように本実施形態の掘削装置の分割接続装置(オーガ保持用治具部10、ケーシング保持用治具部20)を用いれば、ケーシングCAとオーガGAとを相対的に軸方向に沿って移動させる機能を利用してケーシングCAおよびオーガスクリューGAの分割接続作業を実行することができる分割ケーシングの適用範囲を拡大することができる。
すなわち、ケーシング保持用治具部20の第一及び第二の固定部が分割ケーシングの端部の外周を囲み当該端部に固定されるため、分割ケーシングに特別な連結構造は必要なく、分割ケーシングの適用範囲を拡大することができる。
特に、第一の固定部21及び第二の固定部22のそれぞれは、分割ケーシングの端部の外周面を締め付けて圧し摩擦固定可能であるので、分割ケーシングに特別な連結構造は必要なく、分割ケーシングの適用範囲を拡大することができる。
分割ケーシングの端部の外周面に穴などの凹凸形状がある場合は、これに引っ掛けてもよいが、当該外周面に凹凸形状が無い場合でも、分割ケーシングの端部の外周面を締め付けて圧し摩擦固定可能であるので、分割ケーシングの適用範囲を拡大することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 ケーシングオーガ
2 駆動部(駆動手段)
2a オーガモータ
3 油圧シリンダ
10 オーガ保持用治具部
11 挿入部
12,13 連結部
20 ケーシング保持用治具部
21 第一の固定部
22 第二の固定部
23 連結部材
C(C1,C2) 分割ケーシング
CA ケーシング
G(G1,G2) 分割オーガ
GA オーガ
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