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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020194137
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022082946
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 清貴
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-289555(JP,A)
【文献】特開2008-216741(JP,A)
【文献】特開2016-090865(JP,A)
【文献】特開2015-064560(JP,A)
【文献】米国特許第10496021(US,B1)
【文献】中国実用新案第203965805(CN,U)
【文献】特開2014-102429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0138372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
筒状体、
前記筒状体内にあり、前記筒状体における周方向の一部である被加熱領域に対向し、前記被加熱領域を加熱するヒータ、
前記ヒータに対する前記被加熱領域とは反対側にあり、前記被加熱領域と前記ヒータとが対向する第1方向の熱伝導率よりも、前記第1方向に直交する方向の熱伝導率が大きい第1熱伝導部材、
前記第1熱伝導部材における前記ヒータとは反対側に配置され、前記第1熱伝導部材側に向く外面に凹部及び第2凹部がある第2熱伝導部材
を有する定着装置と、
を備え、
前記凹部及び前記第2凹部は、前記シートの搬送方向に互いに間隔を空けて配置されている、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1熱伝導部材の前記第1方向の長さよりも、前記第2熱伝導部材の前記第1方向の長さが長い、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記筒状体の軸線方向において、前記ヒータが配置された範囲を含むように、前記凹部がある、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記第2熱伝導部材を、前記筒状体の軸線方向に貫通している、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材との間にある第3熱伝導部材を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置が利用されている。画像形成装置は、トナーをシートに定着させる。トナーは、記録剤の一種である。画像形成装置には、印刷開始までの時間を短縮することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-112687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、印刷開始までの時間を短縮することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、画像形成ユニットと、定着装置と、を持つ。画像形成ユニットは、シートに画像を形成する。定着装置は、筒状体と、ヒータと、第1熱伝導部材と、第2熱伝導部材と、を持つ。ヒータは、前記筒状体内にあり、前記筒状体における周方向の一部である被加熱領域に対向する。ヒータは、前記被加熱領域を加熱する。第1熱伝導部材は、前記ヒータに対する前記被加熱領域とは反対側に配置されている。第1熱伝導部材は、前記被加熱領域と前記ヒータとが対向する第1方向の熱伝導率よりも、前記第1方向に直交する方向の熱伝導率が大きい。第2熱伝導部材は、前記第1熱伝導部材における前記ヒータとは反対側に配置され、前記第1熱伝導部材側に向く外面に凹部及び第2凹部がある。前記凹部及び前記第2凹部は、前記シートの搬送方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置の概略構成図。
図2】実施形態の画像形成装置のハードウエア構成図。
図3】実施形態の画像形成装置における定着装置の正面断面図。
図4図3中の要部拡大図である。
図5図4におけるAA方向矢視図である。
図6】実施形態の第1変形例の画像形成装置におけるヒータユニットの正面断面図。
図7】実施形態の第2変形例の画像形成装置におけるヒータユニットの正面断面図。
図8】実施形態の第3変形例の画像形成装置におけるヒータユニットの正面断面図。
図9】実施形態の第4変形例の画像形成装置におけるヒータユニットの正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の画像形成装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、実施形態の画像形成装置1の概略構成図である。画像形成装置1は、シートSに画像を形成する処理を行う。
画像形成装置1は、ハウジング10と、スキャナ部2と、画像形成ユニット3と、シート供給部4と、搬送部5と、排紙トレイ7と、反転ユニット9と、コントロールパネル8と、制御部6と、を有する。
【0009】
ハウジング10は、画像形成装置1の外形を形成する。
スキャナ部2は、複写対象物の画像情報を光の明暗として読み取り、画像信号を生成する。スキャナ部2は、生成した画像信号を画像形成ユニット3に出力する。
画像形成ユニット3は、スキャナ部2から受信した画像信号または外部から受信した画像信号に基づいて、トナーなどの記録剤により出力画像を形成する。以下、出力画像をトナー像という。画像形成ユニット3は、トナー像をシートSの表面上に転写する。画像形成ユニット3は、シートSの表面上のトナー像を加熱および加圧して、トナー像をシートSに定着させる。画像形成ユニット3は、シートSに画像を形成する。
【0010】
シート供給部4は、画像形成ユニット3がトナー像を形成するタイミングに合わせて、シートSを1枚ずつ搬送部5に供給する。シート供給部4は、シート収容部20と、ピックアップローラ21と、を有する。
シート収容部20は、所定のサイズおよび種類のシートSを収納する。
ピックアップローラ21は、シート収容部20からシートSを1枚ずつ取り出す。ピックアップローラ21は、取り出したシートSを搬送部5へ供給する。
【0011】
搬送部5は、シート供給部4から供給されるシートSを画像形成ユニット3に搬送する。搬送部5は、搬送ローラ23と、レジストローラ24と、を有する。
搬送ローラ23は、ピックアップローラ21から供給されるシートSをレジストローラ24へ搬送する。搬送ローラ23は、シートSの搬送方向の先端をレジストローラ24のニップNに突き当てる。
レジストローラ24は、ニップNにおいてシートSを撓ませることにより、搬送方向でのシートSの先端の位置を整える。レジストローラ24は、画像形成ユニット3がトナー像をシートSに転写するタイミングに応じてシートSを搬送する。
【0012】
画像形成ユニット3について説明する。
画像形成ユニット3は、複数の画像形成部25と、レーザ走査ユニット26と、中間転写ベルト27と、転写部28と、定着装置30と、を有する。
画像形成部25は、感光体ドラム29を有する。画像形成部25は、スキャナ部2または外部からの画像信号に応じたトナー像を感光体ドラム29に形成する。複数の画像形成部25は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーによるトナー像を形成する。
【0013】
感光体ドラム29の周囲には、帯電器、現像器などが配置される。帯電器は、感光体ドラム29の表面を帯電させる。現像器は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナーを含む現像剤を収容する。現像器は、感光体ドラム29上の静電潜像を現像する。感光体ドラム29上には、各色のトナーによるトナー像が形成される。
【0014】
レーザ走査ユニット26は、帯電した感光体ドラム29にレーザ光Lを走査して感光体ドラム29を露光する。レーザ走査ユニット26は、各色の画像形成部25の感光体ドラム29を、各別のレーザ光LY,LM,LC,LKで露光する。レーザ走査ユニット26は、感光体ドラム29に静電潜像を形成する。
【0015】
中間転写ベルト27には、感光体ドラム29の表面のトナー像が1次転写される。
転写部28は、中間転写ベルト27上に1次転写されたトナー像を2次転写位置においてシートSの表面上に転写する。
定着装置30は、シートSに転写されたトナー像を加熱および加圧して、トナー像をシートSに定着させる。
【0016】
反転ユニット9は、シートSの裏面に画像を形成するためシートSを反転させる。反転ユニット9は、定着装置30から排出されるシートSを、スイッチバックにより表裏反転させる。反転ユニット9は、反転したシートSをレジストローラ24に向けて搬送する。
排紙トレイ7は、画像が形成されて排出されたシートSを載置する。
コントロールパネル8は、操作者が画像形成装置1を操作するための情報を入力する入力部の一部である。コントロールパネル8は、タッチパネルや各種ハードキーを有する。
制御部6は、画像形成装置1の各部の制御を行う。
【0017】
図2は、実施形態の画像形成装置1のハードウエア構成図である。画像形成装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、補助記憶装置93などを備え、プログラムを実行する。画像形成装置1は、プログラムの実行によってスキャナ部2、画像形成ユニット3、シート供給部4、搬送部5、反転ユニット9、コントロールパネル8、通信部90を備える装置として機能する。
【0018】
CPU91は、メモリ92および補助記憶装置93に記憶されたプログラムを実行することによって制御部6として機能する。制御部6は、画像形成装置1の各機能部の動作を制御する。
補助記憶装置93は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。補助記憶装置93は、情報を記憶する。
通信部90は、自装置を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部90は、通信インタフェースを介して外部装置と通信する。
【0019】
定着装置30について詳しく説明する。図3に示すように、定着装置30は、加圧ローラ31と、フィルムユニット35と、を有する。
【0020】
加圧ローラ31は、フィルムユニット35との間でニップNを形成する。加圧ローラ31は、ニップNに進入したシートSのトナー像を加圧する。加圧ローラ31は、自転してシートSを搬送する。加圧ローラ31は、芯金32と、弾性層33と、離型層と、を有する。
【0021】
芯金32は、ステンレスなどの金属材料により円柱状に形成される。芯金32の軸方向の両端部は、回転可能に支持される。芯金32は、モータにより回転駆動される。芯金32は、カム部材に当接する。カム部材は、回転することにより、芯金32をフィルムユニット35に対して接近および離反させる。
【0022】
弾性層33は、シリコーンゴムなどの弾性材料で形成される。弾性層33は、芯金32の外周面上に一定の厚さで形成される。
離型層は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などの樹脂材料で形成される。離型層は、弾性層33の外周面上に形成される。
加圧ローラ31の外周面の硬度は、ASKER-C硬度計で9.8Nの荷重において、40°~70°であることが望ましい。これにより、ニップNの面積と加圧ローラ31の耐久性が確保される。
【0023】
加圧ローラ31は、カム部材の回転によりフィルムユニット35に対して接近および離反することが可能である。加圧ローラ31をフィルムユニット35に接近させ、加圧バネにより押圧すると、ニップNが形成される。一方、定着装置30でシートSのジャムが発生した場合において、加圧ローラ31をフィルムユニット35から離反させることにより、シートSを取り除くことができる。スリープ時など、定着装置30の筒状体36が回転停止している状態において、加圧ローラ31をフィルムユニット35から離反させることにより、筒状体36の塑性変形が防止される。
【0024】
加圧ローラ31は、モータにより回転駆動されて自転する。ニップNが形成された状態で加圧ローラ31が自転すると、フィルムユニット35の筒状体36が従動回転する。加圧ローラ31は、ニップNにシートSが配置された状態で自転することにより、シートSを搬送方向Xに搬送する。
【0025】
フィルムユニット35は、ニップNに進入したシートSのトナー像を加熱する。フィルムユニット35は、筒状体36と、ヒータユニット37と、支持部材38と、ステイ39と、感温素子40と、を有する。
【0026】
筒状体36は、フィルムなどで筒状に形成される。筒状体36は、内周側から順に、基層と、弾性層と、離型層と、を有する。基層は、ニッケル(Ni)などの材料により筒状に形成される。弾性層は、基層の外周面上に積層配置される。弾性層は、シリコーンゴムなどの弾性材料で形成される。離型層は、弾性層の外周面上に積層配置される。離型層は、PFA樹脂などの材料で形成される。
図4および図5に示すように、ヒータユニット37は、ヒータ43と、基板44と、第1熱伝導部材45と、第2熱伝導部材46と、を有する。
【0027】
ヒータ43は、銀・パラジウム合金などにより平板状に形成される。ヒータ43は、筒状体36内にある。ヒータ43は、筒状体36の軸線方向Yに長さを有する。軸線方向Yは、搬送方向Xに直交する方向である。ヒータ43には、配線が接続される。配線を介してヒータ43に通電すると、ヒータ43が熱を発する。ヒータ43は、筒状体36における周方向の一部である被加熱領域361に対向する。ヒータ43は、被加熱領域361を加熱する。以下では、被加熱領域361とヒータ43とが対向する方向を、第1方向Zという。
第1方向Zは、ヒータ43の厚さ方向である。前記搬送方向Xおよび軸線方向Yは、それぞれ第1方向Zに直交する方向である。
【0028】
基板44は、ステンレスなどの金属材料または窒化アルミニウムなどのセラミック材料などで形成される。基板44は、長細い長方形の板状である。基板44は、筒状体36内にある。基板44は、軸線方向Yに長さを有する。
基板44は、ヒータ43に対する被加熱領域361とは反対側にある。ヒータ43および配線は、基板44の厚さ方向の第1面441に固定される。ヒータ43は、第1面441における搬送方向Xの中心に固定される。
【0029】
第1熱伝導部材45は、グラファイトなどにより、第1方向Zが厚さ方向となる平板状に形成される。第1熱伝導部材45は、異方性の熱伝導率を有する。第1熱伝導部材45は、基板44に介して、ヒータ43に対する被加熱領域361とは反対側にある。第1熱伝導部材45は、基板44における第1面441とは反対の第2面442に固定される。
第1熱伝導部材45では、第1方向Zの熱伝導率よりも、搬送方向Xおよび軸線方向Yの熱伝導率がそれぞれ大きい。第1熱伝導部材45の厚さt1は、10μm(マイクロメートル)以上1000μm以下である。厚さは、第1方向Zの長さである。第1熱伝導部材45の第1方向Zの熱伝導率は、1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下である。第1熱伝導部材45の搬送方向Xおよび軸線方向Yの熱伝導率は、それぞれ300W/(m・K)以上2000W/(m・K)以下である。
【0030】
第2熱伝導部材46は、銅、ステンレス鋼などにより、第1方向Zが厚さ方向となる平板状に形成される。第2熱伝導部材46では、熱伝導率は方向によらずほぼ一定である。
図4に示すように、前記第1熱伝導部材45の厚さt1よりも、第2熱伝導部材46の厚さt2が長い。第1熱伝導部材45の搬送方向Xの長さT1、および第2熱伝導部材46の搬送方向Xの長さT2は、互いに同等である。搬送方向Xにおいて、第1熱伝導部材45の中心、および第2熱伝導部材46の中心は、互いに一致している。
第2熱伝導部材46は、第1熱伝導部材45におけるヒータ43(基板44)とは反対側に配置されている。
図5に示すように、第1熱伝導部材45の軸線方向Yの長さH1、および第2熱伝導部材46の軸線方向Yの長さH2は、互いに同等である。第1熱伝導部材45の軸線方向Yの長さH1は、ヒータ43の軸線方向Yの長さH3よりも長い。
【0031】
図4および図5に示すように、第2熱伝導部材46において、第1熱伝導部材45側に向く外面に凹部461がある。
図4に示すように、搬送方向Xにおいて、ヒータ43が配置された範囲を含むように、凹部461が形成される。図5に示すように、凹部461は、軸線方向Yにおいて、ヒータ43が配置された範囲を含むように形成される。凹部461は、第2熱伝導部材46を軸線方向Yに貫通していることが好ましい。凹部461の深さt3は、0.1mm以上1.0mm以下である。凹部461の幅(搬送方向Xの長さ)T3は、1mm以上10mm以下である。
凹部461は、第1熱伝導部材45に接触していない。一方で、第2熱伝導部材46における凹部461に対する搬送方向Xの両側は、第1熱伝導部材45にそれぞれ接触している。第1熱伝導部材45および第2熱伝導部材46は、筒状体36内にある。
ヒータユニット37では、被加熱領域361側から、ヒータ43、基板44、第1熱伝導部材45、および第2熱伝導部材46の順で配置される。
【0032】
支持部材38は、液晶ポリマーなどの樹脂材料により形成される。図3に示すように、支持部材38は、ヒータユニット37における被加熱領域361とは反対側と、搬送方向Xの両側とを覆うように配置される。支持部材38は、ヒータユニット37を支持する。
支持部材38は、ヒータユニット37の搬送方向Xの両端部において、筒状体36の内周面を支持する。
【0033】
ステイ39は、鋼板材料などにより形成される。ステイ39の軸線方向Yに垂直な断面は、U字状である。ステイ39は、U字の開口部を支持部材38で塞ぐように、支持部材38における被加熱領域361とは反対側に装着される。ステイ39は、軸線方向Yに長さを有する。ステイ39の軸線方向Yの両端部は、画像形成装置1のハウジング10に固定される。これにより、フィルムユニット35が画像形成装置1に支持される。ステイ39は、フィルムユニット35の曲げ剛性を向上させる。ステイ39の軸線方向Yの両端部付近には、筒状体36の軸線方向Yへの移動を規制するフランジが装着される。
【0034】
感温素子40は、ヒータユニット37における被加熱領域361とは反対側の外面に配置される。感温素子40は、支持部材38を第1方向Zに貫通する孔38aの内側に配置される。
【0035】
画像形成装置1において印刷を開始するとき、ヒータ43は筒状体36を定着温度まで上昇させる。ヒータ43が常温から発熱するとき、例えば、ヒータ43の温度分布は、搬送方向Xにおいてヒータ43の中心が最も高くなる。ヒータ43の温度分布は、ヒータ43の中心から搬送方向Xに離間するに従い低くなる。このように、ヒータ43の温度分布は、温度ピーク位置を有する山形状になる。第2熱伝導部材46の凹部461は、温度ピーク位置である、搬送方向Xにおけるヒータ43の中心を覆うように形成される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、ヒータ43により、筒状体36の被加熱領域361を加熱することができる。第1熱伝導部材45において、第1方向Zの熱伝導率よりも第1方向Zに直交する搬送方向Xおよび軸線方向Yの熱伝導率が大きい。ヒータ43が発して、第1熱伝導部材45に伝達された熱を、第1方向Zよりも搬送方向Xおよび軸線方向Yに、より多く伝達させることができる。
第2熱伝導部材46には、凹部461がある。凹部461は第1熱伝導部材45に接触しないため、ヒータ43が発する熱の多くは、第2熱伝導部材46に伝達されずに、筒状体36に伝達される。筒状体36が効率的に加熱されるため、印刷開始までの時間を短縮することができる。画像形成装置1の復帰時間が長くなるのを、防ぐことができる。
【0037】
第1熱伝導部材45の厚さt1よりも、第2熱伝導部材46の厚さt2が厚い。例えば、グラファイトで形成された第1熱伝導部材45を、ステンレス鋼で形成された第2熱伝導部材46により、さらに確実に補強することができる。
凹部461は、軸線方向Yにおいて、ヒータ43が配置された範囲を含むように形成されている。軸線方向Yにおいて、ヒータ43が発する熱を、第2熱伝導部材46に伝達させずに、筒状体36に伝達させる。筒状体36がさらに効率的に加熱されるため、印刷開始までの時間をさらに短縮することができる。
【0038】
凹部461は、第2熱伝導部材46を軸線方向Yに貫通する。ヒータ43が発する熱を、軸線方向Yのいずれの位置においても、第2熱伝導部材46に伝達させずに、筒状体36に伝達させる。筒状体36がさらに効率的に加熱されるため、印刷開始までの時間をさらに短縮することができる。
【0039】
本実施形態の画像形成装置1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図6に示す第1変形例の画像形成装置201のヒータユニット101のように、本実施形態のヒータユニット37において、第3熱伝導部材102を備えてもよい。第3熱伝導部材102は、第1熱伝導部材45と第2熱伝導部材46との間にある。第3熱伝導部材102は、銅、ステンレス鋼などにより、第1方向Zが厚さ方向となる平板状に形成されている。この第3熱伝導部材102には、凹部は形成されないことが好ましい。
第3熱伝導部材102の軸線方向Yの長さは、第1熱伝導部材45の軸線方向Yの長さH1、および第2熱伝導部材46の軸線方向Yの長さH2と、互いに同等である。第3熱伝導部材102の厚さは、50μm以上100μm以下である。第3熱伝導部材102の厚さは、第2熱伝導部材46の厚さt2よりも薄いことが好ましい。
第1変形例の画像形成装置201によれば、第3熱伝導部材102を備える。例えば、加圧ローラ31により筒状体36を介してヒータ43が押圧されたときに、ヒータ43、基板44、第1熱伝導部材45、および第2熱伝導部材46が変形するのを、より確実に抑えることができる。
【0040】
図7に示す第2変形例の画像形成装置202のヒータユニット104のように、第1変形例の画像形成装置201のヒータユニット101において、第2熱伝導部材46に第2凹部462があってもよい。画像形成装置202では、第2熱伝導部材46に一対の第2凹部462がある。一対の第2凹部462は、凹部461を搬送方向Xに挟む。なお、第2熱伝導部材46に形成される第2凹部462の数は、限定されない。
複数の凹部461,462全体における、搬送方向Xの第1端から、第1端とは反対の第2端までの範囲は、搬送方向Xにおいて、ヒータ43が配置された範囲を含む。
第2変形例の画像形成装置202のように構成すると、本実施形態の画像形成装置1と同様の効果を奏することができる。さらに、第2熱伝導部材46における凹部461と第2凹部462との間の部分で、第2熱伝導部材46を支持することができる。
【0041】
図8に示す第3変形例の画像形成装置203のヒータユニット106のように、本実施形態のヒータユニット37において、第1熱伝導部材45および第2熱伝導部材46を、第1方向Zに入れ替えてもよい。具体的には、ヒータユニット106では、被加熱領域361側から、ヒータ43、基板44、第2熱伝導部材46、および第1熱伝導部材45の順で配置される。第2熱伝導部材46の凹部461は、第2熱伝導部材46における基板44側に向く外面にある。
第3変形例の画像形成装置203によっても、本実施形態の画像形成装置1と同様の効果を奏することができる。
【0042】
図9に示す第4変形例の画像形成装置204のヒータユニット111のように、第3変形例の画像形成装置203のヒータユニット106において、基板44と第2熱伝導部材46との間に配置された第3熱伝導部材102を備えてもよい。
第4変形例の画像形成装置204によれば、第3熱伝導部材102を備える。このため例えば、加圧ローラ31により筒状体36を介してヒータ43が押圧されたときに、ヒータ43、基板44、第2熱伝導部材46、および第1熱伝導部材45が変形するのを、より確実に抑えることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、ヒータユニット37,101,104,106,111は、基板44を備えなくてもよい。
第2熱伝導部材46の厚さt2は、第1熱伝導部材45の厚さt1以下でもよい。
凹部461は、軸線方向Yにおいて、ヒータ43が配置された範囲を含むように形成されなくてもよい。例えば、凹部461は、軸線方向Yにおいて、ヒータ43が配置された範囲の一部のみを含むように形成されていてもよい。凹部461は、第2熱伝導部材46の軸線方向Yの一部のみに形成されてもよい。
第1熱伝導部材45および第2熱伝導部材46は、第1方向Zが厚さ方向となる平板状でなくてもよい。例えば、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材は、直方体状に形成されてもよい。
【0044】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第2熱伝導部材46に形成された凹部461を持つことにより、印刷開始までの時間を短縮することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1,201,202,203、204…画像形成装置、3…画像形成ユニット、30…定着装置、36…筒状体、43…ヒータ、45…第1熱伝導部材、46…第2熱伝導部材、102…第3熱伝導部材、361…被加熱領域、461…凹部、Y…軸線方向、Z…第1方向
図1
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図9