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特許7585011撮影装置及び画像認識システム並びにその制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】撮影装置及び画像認識システム並びにその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/72 20230101AFI20241111BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20241111BHJP
   H04N 23/76 20230101ALI20241111BHJP
   H04N 23/74 20230101ALI20241111BHJP
   H04N 23/73 20230101ALI20241111BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20241111BHJP
   G03B 7/093 20210101ALI20241111BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20241111BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N23/72
H04N23/90
H04N23/76
H04N23/74
H04N23/73
H04N23/56
G03B7/093
G03B15/03
G03B15/00 U
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020199678
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087632
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】有賀 徳政
(72)【発明者】
【氏名】安永 真明
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143157(JP,A)
【文献】特開2020-086152(JP,A)
【文献】特開2012-081929(JP,A)
【文献】特開2007-264196(JP,A)
【文献】特開2004-320285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
H04N 23/74
H04N 23/73
H04N 23/56
G03B 7/093
G03B 15/03
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段と、
前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段と、
前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記カメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段と、
前記物品を照射する照明手段、
を具備し、
前記撮影条件は、前記カメラのカメラゲイン、前記カメラの露光時間又は前記照明手段の光量のうち少なくとも1つを含む、撮影装置。
【請求項2】
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段と、
前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段と、
前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記第1の撮影手段で撮影した前記カメラとは異なるカメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段と、
前記物品を照射する照明手段、
を具備し、
前記撮影条件は、前記カメラのカメラゲイン、前記カメラの露光時間又は前記照明手段の光量のうち少なくとも1つを含む、撮影装置。
【請求項3】
前記照明手段は、前記物品の全域を照射する第1照明手段と、前記物品の特定領域を照射する第2照明手段とを含む、
請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段、前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段、前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段、前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記カメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段、及び前記物品を照射する照明手段を備え、前記撮影条件は、前記カメラのカメラゲイン、前記カメラの露光時間又は前記照明手段の光量のうち少なくとも1つを含む、撮影装置と、
前記第2の撮影手段により撮影された前記物品に係る情報を認識する画像認識装置と、を具備する画像認識システム。
【請求項5】
撮影装置のコンピュータを、
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段、
前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段
記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記カメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段、及び、
前記物品を照射する照明手段
として機能させ、前記撮影条件は、前記カメラのカメラゲイン、前記カメラの露光時間又は前記照明手段の光量のうち少なくとも1つを含む、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、撮影装置及び画像認識システム並びにその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤに係る物流では、倉庫から搬出する際、タイヤの側面に刻印されたブランド名、サイズ情報等の文字情報を確認する作業が行われている。確認方法の一例として、ローラコンベアの上方に設置されたカメラで、ローラコンベアと平行に置かれて移動するタイヤの側面を撮影し、その撮影画像からタイヤの側面の文字情報を確認するというものがある。タイヤは、種類によりタイヤ幅(断面幅)が異なる。すなわちカメラ撮影の際、タイヤ上方に設置された照明装置からタイヤの側面までの照射距離に差が生じる。例えばタイヤ幅が小さい場合、照射距離が長くなり照度が低くなる。照度が低いと、撮影画像が暗くなるため文字認識が困難になる可能性がある。一方、タイヤ幅が大きい場合、照射距離が短くなり照度が高くなる。照度が高いと、撮影画像が白く抜けるいわゆる白飛びにより文字認識が困難になる可能性がある。これらの不具合を解消するため、タイヤの側面に刻印された文字情報を認識するための効果的な撮影が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-134176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、タイヤの側面に刻印された文字情報を認識するための効果的な撮影を講じることができる撮影装置及び画像認識システム並びにその制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、撮影装置は、第1の撮影手段と、取得手段と、変更手段と、第2の撮影手段と、照明手段と、を備える。第1の撮影手段は、物品の高さ方向に固定されたカメラで物品を撮影する。取得手段は、第1の撮影手段により撮影された画像から物品の幅方向の寸法を取得する。変更手段は、取得手段により取得された寸法に基づいてカメラの撮影条件を変更する。第2の撮影手段は、変更手段により変更された撮影条件に基づいてカメラで物品を撮影する。照明手段は、物品を照射する。撮影条件は、カメラのカメラゲイン、カメラの露光時間又は照明手段の光量のうち少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】画像認識システムの概略構成を示す模式図。
図2】撮影装置とタイヤとの配置関係を示す模式図。
図3】カメラでタイヤを撮影したタイヤ画像の一例を示す模式図。
図4】設定テーブルの一例を示す模式図。
図5】撮影装置のプロセッサの要部制御手順を示す流れ図。
図6】第2実施形態における、画像認識システムの概略構成を示す模式図。
図7】第2実施形態における、撮影装置とタイヤとの配置関係を示す模式図。
図8】第2実施形態における、撮影装置のプロセッサの要部制御手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、この実施形態は、物品としてタイヤを例示する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、画像認識システムの概略構成を示す模式図である。画像認識システムは、撮影装置10及び画像認識装置40を含む。画像認識装置40は、撮影装置10の通信インターフェース16に接続されている。撮影装置10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、カメラインターフェース14、照明インターフェース15、通信インターフェース16及びシステム伝送路17を備える。システム伝送路17は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。撮影装置10は、システム伝送路17に、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、カメラインターフェース14、照明インターフェース15及び通信インターフェース16を接続する。撮影装置10では、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13と、これらを接続するシステム伝送路17とによってコンピュータが構成される。
【0009】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、撮影装置10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0010】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0011】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(登録商標)(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)、あるいはSSD(solid state drive)等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0012】
カメラインターフェース14には、カメラ20が接続される。カメラ20は、撮像デバイスである。カメラインターフェース14は、プロセッサ11から送られる撮影開始指令等のためのデータ信号をカメラ20へと出力する。
【0013】
照明インターフェース15には、照明装置30が接続される。照明インターフェース15は、プロセッサ11から送られる照明点灯指令又は照明消灯指令等のためのデータ信号を照明装置30へと出力する。
【0014】
通信インターフェース16は、ネットワークを介して接続される画像認識装置40との間で通信プロトコルに従いデータ通信を行う。
【0015】
かかる構成の撮影装置10は、補助記憶デバイス13において、設定テーブル131を記憶している。設定テーブル131は、後述する。
【0016】
図2は、撮影装置10とタイヤTとの配置関係を示す模式図である。図2に示すようにタイヤTは、文字が付されている側面を上面にして載置台Sに載置される。タイヤTの高さ方向(幅方向)には、照明装置30が固定され、さらにその上方にカメラ20が固定されている。照射距離dは、照明装置30からタイヤ上面までの距離である。タイヤTは、カメラ20により撮影される(図3を参照)。なお、図2のa、b及びcは、後述する図3のa、b及びcと同一のものである。
【0017】
図3は、カメラ20でタイヤTを撮影したタイヤ画像TPの一例を示す模式図である。図3に示すように、タイヤ画像TPには、大径の円筒形状の画像TPaと、小径の円筒形状の画像TPbとが写し込まれる。画像TPaは、文字LEが付されている側面のショルダー部、サイドウォール部及びビード部の表面画像である。画像TPbは、文字LEが付されている側面のホイールが嵌め込まれる穴を通して見える、文字LEが付されていない側面の裏面画像である。以下では、画像TPaの外径aをタイヤ外径aと称する。画像TPaの内径、つまりは画像TPbの外径bをタイヤ上面内径bと称する。画像TPbの内径cをタイヤ下面内径cと称する。
一般に、タイヤTは、タイヤ幅(断面幅)が大きいほど、外径が大きくなる。したがって、タイヤ画像TPのタイヤ外径aが大きいと、そのタイヤ画像TPに写し込まれたタイヤTは、タイヤ幅の大きいタイヤTであると言える。
【0018】
図4は、設定テーブル131の一例を示す模式図である。図4に示すように設定テーブル131は、画素数、カメラゲイン、露光時間及び光量で構成されるデータテーブルである。画素数は、タイヤ画像TPのタイヤ外径aに相当する画素の総数である。カメラゲインは、カメラ20の感度である。露光時間は、いわゆるシャッター速度である。光量は、照明装置30の明るさの強度である。以下では、カメラゲイン、露光時間及び光量は、パラメータと称する。
例えば画素数が小さい、すなわちタイヤ外径aが小さい場合には、タイヤ画像TPは、タイヤ幅の小さいタイヤTを撮影した画像であると言える。タイヤ幅の小さいタイヤTを図2の配置関係で撮影すると、照射距離dは遠くなる。照射距離が遠くなると、被写体であるタイヤTへの照度が不足するため撮影画像が暗くなり、文字認識に支障をきたす恐れがある。一方、画素数が大きい、すなわちタイヤ外径aが大きい場合には、タイヤ画像TPは、タイヤ幅の大きいタイヤTを撮影した画像であると言える。タイヤ幅の大きいタイヤTを図2の配置関係で撮影すると、照射距離dが短くなる。照射距離dが短くなると、被写体であるタイヤTへの照度が強すぎて撮影画像に白飛びが生じ、文字認識に支障をきたす恐れがある。
そこで本実施形態では、設定テーブル131に対して段階的に設定された画素数のタイヤ外径aに相当するタイヤTを図2の配置関係で撮影した際に、文字認識に支障をきたさない画像をカメラ20で写し込むことができるカメラゲイン、露光時間及び光量をそれぞれ実験的に求め、設定テーブル131に設定している。
【0019】
図5は、撮影装置10のプロセッサ11が、制御プログラムに従って実行する主要な処理の要部手順を示す流れ図である。制御プログラムは、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されている。以下、この図を用いて、画像認識システムの動作について説明する。なお、以下に説明する動作の手順及びその内容は一例である。同様な結果が得られるのであれば、その手順及び内容は限定されるものではない。
【0020】
撮影装置10のプロセッサ11は、ACT1として画像認識装置40から通信インターフェース16を介して撮影指示の受信を待ち受ける。撮影指示は、例えばオペレータの操作により指示される。撮影指示を受信した場合、プロセッサ11は、ACT1においてYESと判定し、ACT2へと進む。プロセッサ11は、ACT2としてカメラ20により第1撮影を行う。第1撮影は、予め定められた基本のパラメータ(カメラゲイン、露光時間及び光量)を用いる。基本のパラメータは、設定テーブル131に設定されているいずれかの画素数に対応したパラメータでもよいし、それ以外のパラメータでもよい。
【0021】
プロセッサ11は、ACT3として第1撮影により撮影された画像を補助記憶デバイス13に保存する。以下、第1撮影により撮影された画像を第1画像と称する。
【0022】
プロセッサ11は、ACT4として第1画像を基にタイヤエッジを検出する。例えばタイヤエッジの検出方法は、まず第1画像について画素毎に輝度値を抽出する。そして隣接する画素との間で輝度値の差が所定値以上となる画素の並びをタイヤエッジとして検出する。タイヤエッジは、大径の円筒形状の画像TPaの外周と、当該画像TPaの内周、つまりは小計の円筒形状の画像TPbの外周と、当該画像TPbの内周とからなる。
【0023】
プロセッサ11は、ACT5としてタイヤエッジの情報を基にタイヤTの寸法を測定する。具体的にはプロセッサ11は、画像TPaの外径、すなわちタイヤ外径aと、画像TPaの内径(画像TPbの外径)、すなわちタイヤ上面内径bと、画像TPbの内径、すなわちタイヤ下面内径cの寸法を測定する。寸法は、その径の画素数で求める。
【0024】
プロセッサ11は、ACT6としてタイヤ外径aの画素数を用い、設定テーブル131を参照して、カメラゲイン、露光時間及び光量の各パラメータを算出する。例えばパラメータは、設定テーブル131に設定されている各画素数に対するタイヤ外径aの画素数の補間計算により算出する。
【0025】
プロセッサ11は、ACT7として算出されたパラメータを基に、カメラ20及び照明装置30の設定を変更する。すなわちプロセッサ11は、カメラ20のカメラゲインと露光時間をパラメータの値に変更する。またプロセッサ11は、照明装置30の光量をパラメータの値に変更する。プロセッサ11は、ACT8としてカメラ20により第2撮影を行う。
【0026】
プロセッサ11は、ACT9として第2撮影により撮影された画像を補助記憶デバイス13に保存する。以下、第2撮影により撮影された画像を第2画像と称する。プロセッサ11は、ACT10として画像認識装置40に通信インターフェース16を介して第2画像を送信する。以上で、プロセッサ11は、図5の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
画像認識装置40は、第2画像を基に、タイヤTの側面に刻印されたブランド名、サイズ情報等の文字情報を認識する。
【0027】
以上の説明から明らかなように、撮影装置10は、プロセッサ11が図5のACT2の処理を実行することにより、第1の撮影手段を構成する。すなわち撮影装置10は、物品すなわちタイヤTの高さ方向に固定されたカメラ20でタイヤTを撮影する。
【0028】
撮影装置10は、プロセッサ11が図5のACT4乃至ACT6の処理を実行することにより、取得手段を構成する。すなわち撮影装置10は、第1の撮影手段により撮影された画像からタイヤTの幅方向の寸法を取得する。
【0029】
撮影装置10は、プロセッサ11が図5のACT7の処理を実行することにより、変更手段を構成する。すなわち撮影装置10は、取得手段により取得された寸法に基づいてカメラ20の撮影条件を変更する。
【0030】
撮影装置10は、プロセッサ11が図5のACT8の処理を実行することにより第2の撮影手段を構成する。すなわち撮影装置10は、変更手段により変更された撮影条件に基づいてカメラ20でタイヤTを撮影する。
【0031】
このように撮影装置10は、先ず、予め設定された基本のパラメータでカメラ20及び照明装置30を駆動して、タイヤTの側面を撮影する。次いで撮影装置10は、撮影された第1画像からタイヤ外径aを測定し、そのタイヤ外径aを有するタイヤTの撮影に適したカメラ20及び照明装置30のパラメータを求める。そのパラメータは、タイヤ外径aが小さい、すなわちタイヤ幅の小さいタイヤTの撮影に対しては、照射距離dが長い場合に適したパラメータである。また、タイヤ外径aが大きい、すなわちタイヤ幅の大きいタイヤTの撮影に対しては、照射距離dが短い場合に適したパラメータである。
撮影装置10は、その求めたパラメータでカメラ20及び照明装置30を駆動して、再度タイヤTの側面を撮影する。そして撮影装置10は、撮影された第2画像を画像認識装置40へと出力する。
したがって、画像認識装置40へと出力される第2画像は、タイヤTの撮影に適したパラメータで調整されたカメラ20及び照明装置30で撮影された画像なので、画像認識装置40は、タイヤTの側面に刻印された文字情報を精度よく認識することができる。すなわち撮影装置10は、タイヤTの側面に刻印された文字情報を認識するための効果的な撮影を講じることができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0033】
第1実施形態では、撮影装置10は1台のカメラ20と、1台の照明装置30とを備えることを説明した。
第2実施形態では、図6に示すように撮影装置100は2台のカメラすなわち第1カメラ50、第2カメラ51と、2台の照明装置すなわち第1照明装置60、第2照明装置61とを備える。なお、第2実施形態に係る各図面及び以下におけるその説明において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。したがって、当該同一の要素については説明を省略している場合がある。
【0034】
図6は、第2実施形態における、画像認識システムの概略構成を示す模式図である。カメラインターフェース14には、第1カメラ50及び第2カメラ51が接続される。第1カメラ50は、タイヤTの側面全域を撮影するのに適したカメラである。第2カメラ51は、タイヤTの側面に刻印された文字の撮影に適したカメラである。例えば第2カメラ51は、第1カメラ50よりも解像度の高い画像を撮影するのに適したカメラを使用する。
照明インターフェース15には、第1照明装置60及び第2照明装置61が接続される。第1照明装置60は、タイヤTの側面全域を照射領域とする照明装置である。第2照明装置61は、タイヤTの側面のショルダー部、サイドウォール部及びビード部を照射領域とする円環状の照明装置である。
【0035】
図7は、第2実施形態における、撮影装置100とタイヤTとの配置関係を示す模式図である。図7に示すようにタイヤTは、文字が付されている側面を上面にして載置台Sに載置される。照射距離dは、照明装置30からタイヤ上面までの距離である。第1実施形態と異なる点として、タイヤTの高さ方向(幅方向)には、第1照明装置60及び第1照明装置60を円環状に囲うように第2照明装置61が固定されている。さらにその上方に第1カメラ50及び第2カメラ51が固定されている。
【0036】
図8は、第2実施形態における、撮影装置100のプロセッサ11の要部制御手順を示す流れ図である。制御プログラムは、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されている。以下、この図を用いて、画像認識システムの動作について説明する。なお、以下に説明する動作の手順及びその内容は一例である。同様な結果が得られるのであれば、その手順及び内容は限定されるものではない。
【0037】
撮影装置100のプロセッサ11は、ACT21として画像認識装置40から通信インターフェース16を介して撮影指示の受信を待ち受ける。撮影指示を受信した場合、プロセッサ11は、ACT21においてYESと判定し、ACT22へと進む。プロセッサ11は、ACT22として第1カメラ50により第1撮影を行う。
【0038】
プロセッサ11は、ACT23として第1画像を補助記憶デバイス13に保存する。プロセッサ11は、ACT24として第1画像を基にタイヤエッジを検出する。プロセッサ11は、ACT25としてタイヤエッジの情報を基にタイヤTの寸法を測定する。プロセッサ11は、ACT26としてタイヤ外径aの画素数を用い、設定テーブル131を参照して、カメラゲイン、露光時間及び光量の各パラメータを算出する。
【0039】
プロセッサ11は、ACT27として算出されたパラメータを基に、第2カメラ51及び第2照明装置61の設定を変更する。すなわちプロセッサ11は、第2カメラ51のカメラゲインと露光時間をパラメータの値に変更する。またプロセッサ11は、第2照明装置61の光量をパラメータの値に変更する。プロセッサ11は、ACT28として第2カメラ51により第2撮影を行う。
【0040】
プロセッサ11は、ACT29として第2画像を補助記憶デバイス13に保存する。プロセッサ11は、ACT10として画像認識装置40に通信インターフェース16を介して第2画像を送信する。以上で、プロセッサ11は、図8の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
画像認識装置40は、第2画像を基に、タイヤTの側面に刻印されたブランド名、サイズ情報等の文字情報を認識する。
【0041】
このように第2実施形態では、撮影装置100は、第2カメラ51及び第2照明装置61をさらに備える。第2カメラ51は、タイヤTの側面に刻印された文字の撮影に適したカメラである。したがって、タイヤTの側面に刻印された文字に焦点を当てた撮影が可能となり、確実性の高い文字認識ができる。また第2照明装置61は、タイヤTの側面のショルダー部、サイドウォール部及びビード部を照射領域とする円環状の照明装置である。したがって、タイヤTの側面に刻印された文字等の局所的部分への照明が可能となり、確実性の高い文字認識ができる。さらに、画像認識装置40へと出力される第2画像は、タイヤTの撮影に適したパラメータで調整された第2カメラ51及び第2照明装置61で撮影された画像なので、画像認識装置40は、タイヤTの側面に刻印された文字情報をより精度よく認識することができる。すなわち撮影装置100は、タイヤTの側面に刻印された文字情報を認識するための効果的な撮影を講じることができる。
【0042】
以上、撮影装置10又は撮影装置100、及び画像認識システム並びにその制御プログラムの実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
【0043】
前記実施形態では、タイヤ外径aの画素数を用い、設定テーブル131を参照して、タイヤ幅の異なるタイヤTの撮影に適したカメラゲイン、露光時間及び光量の各パラメータを算出した。この点に関しては、タイヤ下面内径cの画素数を用いて、タイヤ幅の異なるタイヤTの撮影に適した各パラメータを算出してもよい。一般に、タイヤTは、タイヤ幅が大きいほど、内径(リム径)が大きくなる。したがって、タイヤ画像TPのタイヤ下面内径cが大きいと、そのタイヤ画像TPに写し込まれたタイヤTは、タイヤ幅の大きいタイヤTであると言える。よって、タイヤ下面内径cの画素数を用いても、タイヤ幅の異なるタイヤTの撮影に適した各パラメータを算出することができる。
また、タイヤ上面内径bとタイヤ下面内径cとの差分に相当する画素数を用いて、イヤ幅の異なるタイヤTの撮影に適した各パラメータを算出ことも可能である。一般に、タイヤTの両側面の内径(リム径)は、同一サイズである。このため、撮影装置10又は撮影装置100で撮影されたタイヤ画像TPに写し込まれる小径の円筒形状の画像TPbの幅が大きいほど、タイヤ幅が大きいタイヤTであると言える。よって、画像TPbの幅、すなわちタイヤ上面内径bとタイヤ下面内径cとの差分に相当する画素数を用いても、タイヤ幅の異なるタイヤTの撮影に適した各パラメータを算出することができる。
【0044】
前記実施形態では、設定テーブル131を用いてタイヤ幅の異なるタイヤTの撮影に適した各パラメータを算出する場合を例示した。この点に関しては、例えばタイヤ外径aを変数とする演算式により、カメラゲイン、露光時間及び光量の各パラメータをそれぞれ算出してもよい。演算式を用いることにより、設定テーブル131を不要にできるので、撮影装置10のメモリ容量の削減を図ることができる。
【0045】
前記第2実施形態では、撮影装置100は2台のカメラと、2台の照明装置とを備える場合を例示した。撮影装置100は、第1実施形態と同様に、1台のカメラだけであってもよい。
【0046】
前記実施形態では、撮影装置10又は撮影装置100の撮影対象物品は、タイヤTの場合を例示した。タイヤTに限定されるものでなく、筒状の物品、例えば缶詰や一斗缶等であってもよい。
【0047】
前記実施形態では、制御プログラムを撮影装置10又は撮影装置100のメインメモリ12または補助記憶デバイス13に予め記憶されているものとして説明した。この点に関しては、撮影装置10又は撮影装置100が備える書き込み可能な記憶デバイスに、この撮影装置10又は撮影装置100とは個別に譲渡された監視プログラムを、ユーザ操作に応じて書き込むようにしてもよい。制御プログラムの譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0048】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、以下に本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[C1]
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段と、
前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段と、
前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記カメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段と、
を具備する撮影装置。
[C2]
前記物品を照射する照明装置、
をさらに具備し、
前記撮影条件は、前記カメラのカメラゲイン、前記カメラの露光時間又は前記照明装置の光量のうち少なくとも1つを含む、
請求項1記載の撮影装置。
[C3]
前記照明装置は、前記物品の全域を照射する第1照明装置と、前記物品の特定領域を照射する第2照明装置とを含む、
請求項2記載の撮影装置。
[C4]
前記第2の撮影手段は、前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記第1の撮影手段で撮影した前記カメラとは異なるカメラで前記物品を撮影する、
請求項1記載の撮影装置。
[C5]
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段、前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段、前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段、及び、前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記カメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段、を備えた撮影装置と、
前記第2の撮影手段により撮影された前記物品に係る情報を認識する画像認識装置と、を具備する画像認識システム。
[C6]
撮影装置のコンピュータを、
物品の高さ方向に固定されたカメラで前記物品を撮影する第1の撮影手段、
前記第1の撮影手段により撮影された画像から前記物品の幅方向の寸法を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された前記寸法に基づいて前記カメラの撮影条件を変更する変更手段及び、
前記変更手段により変更された前記撮影条件に基づいて前記カメラで前記物品を撮影する第2の撮影手段、
として機能させるための制御プログラム。
【符号の説明】
【0049】
10、100…撮影装置、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…カメラインターフェース、15…照明インターフェース、16…通信インターフェース、17…システム伝送路、20…カメラ、30…照明装置、40…画像認識装置、50…第1カメラ、51…第2カメラ、60…第1照明装置、61…第2照明装置、131…設定テーブル、S…載置台、T…タイヤ。
図1
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