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特許7585014液体吐出ヘッド、その動作方法、及び液体吐出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、その動作方法、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/135 20060101AFI20241111BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241111BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B41J2/135
B41J2/175 121
B41J2/01 501
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020200522
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088209
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン 道子
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144374(JP,A)
【文献】特開昭58-006265(JP,A)
【文献】特開2015-066811(JP,A)
【文献】特開2005-125596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236764(US,A1)
【文献】特開2010-116530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、前記吐出口形成部材に積層して設けられ、複数の流路を有する流路部材と、を含む複数の板状部材を積層して接合した構成を有する液体吐出ヘッドであって、
前記複数の流路は、前記複数の板状部材の接合界面に接し、
前記複数の流路は、第1の液体が流れる第1の流路と、隔壁を介して前記第1の流路に隣接して配置され、前記第1の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高い第2の液体が流れる第2の流路と、を含み、
前記第1の流路において前記第1の液体に加わる圧力が、前記第2の流路において前記第2の液体に加わる圧力よりも小さいことを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1の流路の断面積が前記第2の流路の断面積よりも大きい、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1の液体の粘度が前記第2の液体の粘度よりも大きい、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第2の液体に、前記第1の流路と前記第2の流路との間に形成された欠陥を充填する充填材粒子が含まれている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第2の液体に硬化性物質が含まれ、前記第1の液体に、前記硬化性物質の硬化を開始させる硬化開始剤が含まれている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第1の流路に連通する第1のバッファータンクと、
前記第1のバッファータンクよりも水頭が高く、前記第2の流路に連通する第2のバッファータンクと、
を備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記複数の流路は、前記第1の流路と前記第2の流路とを含む、第1方向に並んだ5つの流路を含み、
前記5つの流路において、前記第1方向における一端から数えて2番目及び4番目の前記流路にブラックのインクが流れる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記複数の流路は、前記第2の流路を挟んで前記第1の流路の反対側に配置されて前記第2の流路に隣接し、前記第2の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高い第3の液体が流れる第3の流路をさらに含み、
前記第2の流路において前記第2の液体に加わる圧力が、前記第3の流路において前記第3の液体に加わる圧力よりも小さい、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第1の流路に連通する第1のバッファータンクと、
前記第1のバッファータンクよりも水頭が高く、前記第2の流路に連通する第2のバッファータンクと、
前記第2のバッファータンクよりも水頭が高く、前記第3の流路に連通する第3のバッファータンクと、
を備える、請求項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記第1の流路の断面積が前記第2の流路の断面積よりも大きく、前記第2の流路の断面積が前記第3の流路の断面積よりも大きい、請求項またはに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記第1の液体の粘度が前記第2の液体の粘度よりも大きく、前記第2の液体の粘度が前記第3の液体の粘度よりも大きい、請求項乃至10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記流路部材は、複数の部材を積層して接合した構成を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、前記吐出口形成部材に積層して設けられ、第1の流路と、隔壁を介して前記第1の流路に隣接して配置された第2の流路と、を含む複数の流路を有し前記流路ごとに前記吐出口に連通して液体を保持する液室を備える流路部材と、を有する液体吐出ヘッドの動作方法であって、
前記第1の流路に第1の液体を流し、前記第2の流路に前記第1の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高い第2の液体を流すときに、前記第1の液体が流れる前記流路の前記液室において前記第1の液体に加わる圧力よりも前記第2の液体が流れる前記流路の前記液室において前記第2の液体に加わる圧力を高くすることを特徴とする、液体吐出ヘッドの動作方法。
【請求項14】
前記第1の液体の粘度を前記第2の液体の粘度よりも大きくする、請求項13に記載の液体吐出ヘッドの動作方法。
【請求項15】
前記第1の流路と前記第2の流路との間に形成された欠陥を充填する充填材粒子を含む前記第2の液体を使用する、請求項13または14に記載の液体吐出ヘッドの動作方法。
【請求項16】
硬化性物質を含む前記第2の液体を使用し、前記硬化性物質の硬化を開始させる硬化開始剤を含む前記第1の液体を使用する、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの動作方法。
【請求項17】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記複数の流路に液体を供給するように接続され、前記複数の流路ごとに異なる圧力を発生させることができる圧力発生装置と、
前記圧力発生装置を制御する制御部と、
を有することを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項18】
前記圧力発生装置に複数のバッファータンクを備える、請求項17に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記圧力発生装置と前記液体吐出ヘッドとの間で液体が循環するように構成されている、請求項17または18に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色の異なる複数種類の液体を吐出する液体吐出ヘッドと、その動作方法と、そのような液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上に記録を行うために吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドには、複数の吐出口を備えて吐出口ごとに異なる種類の液体、例えば異なる色のインクを吐出するものがある。このような液体吐出ヘッドでは、異なる色の液体が混じると、記録媒体に記録される画像における、知覚的に認識される画質の劣化が生じることがある。以下の説明において画質劣化とは、吐出によって記録された画像における知覚的に認識される劣化のことをいう。画質劣化を抑制するために特許文献1は、吐出口の周囲に付着している液体を拭うワイピング動作を行うときの吐出口を拭う順番を制御することを開示している。特許文献1に記載された制御では、少量の明るい色の液体が暗い色の液体に混じるときの方が、その逆の場合よりも知覚的な色の変化が小さいので、明るい色の液体に対応する吐出口を先に拭うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-12353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法は、吐出口の周囲に付着している液体が混じることによる画質劣化を抑制することができるが、吐出口の内部や吐出口に連通する流路内において液体が混じったときの画質劣化を抑制することはできない。
【0005】
本発明の目的は、吐出口に至る流路内で異なる色の液体が混じるときにおいても画質劣化を抑制することができる、液体吐出ヘッド、その動作方法、及び液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と、吐出口形成部材に積層して設けられ、複数の流路を有する流路部材と、を含む複数の板状部材を積層して接合した構成を有する液体吐出ヘッドであって、複数の流路は、複数の板状部材の接合界面に接し、複数の流路は、第1の液体が流れる第1の流路と、隔壁を介して第1の流路に隣接して配置され、第1の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高い第2の液体が流れる第2の流路と、を含み、第1の流路において第1の液体に加わる圧力が、第2の流路において第2の液体に加わる圧力よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出口に至る流路内で異なる色の液体が混じるときにおいても画質劣化を抑制することができる、液体吐出ヘッド、その動作方法、及び液体吐出装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の液体吐出ヘッドを示す模式断面図である。
図2図1に示す液体吐出ヘッドでの液体の流れを示す模式図である。
図3】吐出用液体の分光反射率を示すグラフである。
図4】液体吐出ヘッドの別の例を示す模式端面図である。
図5】液体吐出ヘッドの別の例を示す模式断面図である。
図6】液体吐出ヘッドの別の例を示す模式断面図である。
図7】第2の実施形態の液体吐出ヘッドを示す図である。
図8】液体吐出装置を説明する図である。
図9】吐出用液体を説明する模式断面図である。
図10】吐出用液体を説明する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を説明するためだけのものであって、本発明を限定するものではない。また、複数の図面にわたって共通する要素には共通の参照符号が付与されている。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッド10を模式的に示している。液体吐出ヘッド10は、複数の板状部材を積層し接合することによって構成されており、図示した例では、いずれも板状部材である吐出口形成部材11と液室形成部材12とが積層して相互に接合している。吐出口形成部材11には、複数の吐出口13a~13eが貫通孔として形成されている。液室形成部材12には、吐出口13a~13eにそれぞれ連通し、吐出口13a~13eから吐出されるべき液体すなわち吐出用液体を保持する液室14a~14eが設けられている。液室形成部材12には、さらに、液室14a~14eに液体を供給するための供給路15a~15eが、吐出口13a~13eとは反対側に延びるように形成されている。液室14a~14eと供給路15a~15eとによって流路16a~16eが構成されている。吐出口13a~13eの形状や寸法は同一であり、流路16a~16eの形状や寸法は同一である。流路16a~16eは、吐出口形成部材11と液室形成部材12の接合界面に接している。
【0011】
本実施形態の液体吐出ヘッド10は、紙などの記録媒体に対して異なる複数の色の液体、例えばインクを吐出してカラー画像による記録を行う。カラー画像による記録を行う場合、記録用の液体として、通常、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)の3色の液体に加え、ブラック(B)の液体が使用される。本実施形態の液体吐出ヘッド10においても、これら4色すなわち4種類の液体を使用する。流路16aにはシアンの液体、流路16b,16dにはブラックの液体、流路16cにはマゼンタの液体、流路16eにはイエローの液体が供給されるものとする。
【0012】
図2は、液体吐出ヘッド10において隣接する2つの流路の関係に注目して液体の流れを示す図である。図2では、隣接する2つの流路としてシアンの液体の流路16aとブラックの液体の流路16bが示されており、白抜きの矢印はシアンの液体の流れを示し、黒矢印はブラックの液体の流れを示している。液室形成部材12において、隣接する流路16a,16bによって挟まれている部分は流路16a,16bを隔てる隔壁20となる部分である。吐出口形成部材11と液室形成部材12とは接合されているが、図2(a)に示すように、その接合界面には両方の流路16a,16bを連通する微小な欠陥18が形成されやすい。欠陥18が存在すると、この欠陥18を介して両方の流路16a,16bの液体が互いに流入して混じり合う可能性がある。すなわち流路16aのシアンの液体と流路16bのブラックの液体とが欠陥18を介して混色する可能性がある。ここでは吐出口形成部材11と液室形成部材12の接合界面に欠陥18が形成されるとしているが、隣接する流路16a,16bを隔てる隔壁20自体の劣化によっても、液体が通過し得る欠陥が隔壁20自体に生ずることもある。
【0013】
欠陥18が生じたとき、ブラックの液体のみが少量ずつでもシアンの液体に流入すると、シアンの液体を吐出して形成される画像をユーザーが観察したときの知覚的な変化は大きい。これに対し、シアンの液体のみが少量、ブラックの液体に流入しても、ブラックの液体を吐出して形成される画像をユーザーが観察したときの知覚的な変化はほとんどない。そこで本実施形態では、異なる色が混じり合う恐れがあるとき、混色がおきたときの記録画像における知覚的変化がより小さくなるように、欠陥18での液体の流れの方向を制御する。具体的には、図2(b)に示すように、欠陥18において流路16aから流路16bに向けてシアンの液体が浸透して流れるようにし、逆方向にブラックの液体が流れないようにする。このように一方向にのみ液体が流れるようにする方法として、流路16aにおいてシアンの液体に加わる圧力を流路16bにおいてブラックの液体に加わる圧力よりも高くすることが挙げられる。ここで示す例では、流路16a,16bにおいて液体に加わる圧力は、流路16a,16bにおいて吐出口13a,13bに連通する位置に設けられた液室14a,14bにおいて液体に加わる圧力のことである。
【0014】
図3は、吐出用液体として液体吐出ヘッド10から吐出される各色の液体の可視光領域(ここでは400nm以上700nm以下の波長領域)での分光反射率を、横軸を波長とし、縦軸を反射率として示している。図3(a)はシアンの液体の分光反射率を示し、図3(b)はマゼンタの液体の分光反射率を示し、図3(c)はイエローの液体の分光反射率を示している。ここには示していないが、ブラックの液体の反射率は、可視光領域内の任意の波長において0に近く、いずれの波長においてもシアン、マゼンタ及びイエローのどの液体の反射率よりも小さい。本発明に基づく液体吐出ヘッド10では、隣接する流路に異なる色の液体を流すときにどちらの流路の液体により大きな圧力が加わるようにするかは、各液体の可視光領域の波長における分光反射率の平均値に基づいて定める。分光反射率の平均値は、例えば、所定の波長間隔(例えば10nmまたはそれ以下)で分光反射率を取得し、それらを平均することによって算出することができる。そして、分光反射率の平均値が低い方の液体に比べ、分光反射率の平均値が高い方の液体の流路においてその液体に加わる圧力の方を高くする。例えば、液体吐出ヘッド10において第1の流路と第2の流路とが隣接し、可視光領域の波長における分光反射率の平均値が相対的に低い第1の液体を第1の流路に流し、分光反射率の平均値が相対的に高い第2の液体を第2の流路に流すことを考える。このとき、第2の流路において第2の液体に加わる圧力を第1の流路において第1の液体に加わる圧力よりも高くすれば、第2の流路から第1の流路に向けて一方的に第2の液体が流れる。その結果、分光反射率の平均値の大きい第2の液体、例えばより明度の高い液体が、分光反射率の平均値が小さい第1の液体、例えばより明度の低い液体に混じることとなる。相対的に分光反射率の平均値が高い液体の少量が、相対的に分光反射率の平均値の低い液体に混じっても、記録画像における知覚的変化が少なく、画質劣化を抑制することができる。図2に示した例で説明すれば、ブラックの液体が第1の液体に該当し、シアンの液体が第2の液体に該当し、流路16bが第1の流路に該当し、流路16aが第2の流路に該当する。液体吐出ヘッド10の動作方法としては、第1の液体が流れる流路の液室において液体に加わる圧力よりも、第1の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高い第2の液体が流れる流路の液室において第2の液体に加わる圧力を高くすればよい。
【0015】
第1の流路において第1の液体に加わる圧力よりも第2の流路において第2の液体に加わる圧力を高くする方法として、いくつかの方法がある。後述するように、液体吐出ヘッド10を備える液体吐出装置に圧力発生装置を設けて液体吐出ヘッド10の各流路16a~16eに接続し、圧力発生装置によって圧力が調整された吐出用液体が液体吐出ヘッド10に供給されるようにしてもよい。あるいは、第1の流路に連通するとともに第1の液体を貯える第1のバッファータンクと、第2の流路に連通するとともに第2の液体を貯える第2のバッファータンクとを設け、第1のバッファータンクよりも第2のバッファータンクの水頭を高くしてもよい。
【0016】
流路16a~16eの寸法や形状が同じであり、同じ供給圧で各流路16a~16eに対して液体が供給されるときに、液体の粘度を変えることで、液室14a~14eにおける液体の圧力に差を設けることもできる。図2に示す場合において、第1の流路である流路16bにブラックの液体が供給され、第2の流路である流路16aにシアンの液体が供給されるものとする。粘度が大きいほど流れに伴う圧力低下が大きくなるから、シアンの液体よりもブラックの液体の粘度を大きい場合には、液室14a,14bでの圧力を比べると、液室14bでのブラックの液体の圧力の方が低くなる。これにより、液室14aから欠陥18を介して液室14bに向けて一方向にシアンの液体が流れるようになる。流路16a,16bを流れる液体の粘度に差を設ける場合には、隣接する液室14a,14bの間の圧力差が100Pa程度となるように各液体の粘度を調整する。液体ごとに粘度を異ならせる場合、粘度の異なる液体材料を使用する方法以外に、流路16a~16eやその上流において液体に加えられる熱を制御することにより各液体の粘度を変化させる方法がある。さらには、その他の機構や構成によって液体間に粘度差を生じさせてもよい。
【0017】
同じ供給圧で各流路16a~16eに対して液体が供給されるときに、流路16a~16eでの流速を変えることで、液室14a~14eにおける液体の圧力に差を設けることもできる。流路16a~16eの流速を変える方法として、流路16a~16eの断面積、特に吐出口13a~13eに連通する位置での断面積を変える方法がある。流路の断面積とは、流路において液体の流れに垂直な平面で切断したときの断面積のことをいう。図4は、図1に示す液体吐出ヘッド10において、流路16a~16eに断面積の差を設けたものを示している。断面積に差を設けることにより、液室14a~14eの容積にも差が生じている。より具体的には、図4に示すものは、図1に示すものに比べ、ブラックの液体の流路16b,16dにおいて、吐出口13b,13dに連通する部分に設けられる液室14b,14dの幅を広げて流路として断面積を大きくしたものである。液室14b,14dでの流路断面積を液室14a,14c,14eにおける流路断面積に比べて45%程度広くすると、流速が約半分となり、これは、約100Paほどの圧力低下の効果をもたらす。
【0018】
さらに、流路16a~16eにおける流抵抗を変えることで、流路16a~16e、特に液室14a~14eにおいて液体に加わる圧力に差を設けることができる。流抵抗を変化させる方法には、液室14a~14eにおける液体の流れ方向に沿う長さを変える方法や、流路16a~16eの内壁面に凹凸を形成する方法などがある。流路ごとの流抵抗を変える任意の方法が本発明の範疇に含まれる。
【0019】
図1に示した液体吐出ヘッド10において、吐出口形成部材11と液室形成部材12は、単一の部材に一体的に形成されていてもよいし、異なる部材または同一の部材を接合したものであってもよい。液室形成部材12自体が複数の部材を接合したものであってもよい。吐出口形成部材11と液室形成部材12とを接合する場合は、それらの界面に接着剤などを適用して両者を接合して一体の接合品とする場合もあれば、直接接合によって界面に化学結合を生じさせて両者を接合する場合もある。さらに言えば、本発明に基づく液体吐出ヘッド10において、板状部材の相互間の接合界面は、吐出口形成部材11と液室形成部材12との間の接合界面以外に存在してもよい。本発明を適用することにより、吐出口形成部材11と液室形成部材12との間の接合界面以外の接合界面に存在する欠陥を介して隣接する流路の液体が混じることによる画質劣化も抑制することができる。さらに本発明を適用することにより、接合界面以外の位置において隣接する流路間の隔壁に形成された欠陥を介して液体が混じることによる画質劣化も抑制することができる。
【0020】
図5に示した液体吐出ヘッド10は、図1に示した液体吐出ヘッド10において、液室形成部材12の表面であって吐出口形成部材11との接合界面とは反対側となる表面に、板状部材であるカバープレート21を接合したものである。カバープレート21には、液室14a~14eに液体を供給することを可能にするために、供給路15a~15eに連通する開口22a~22eが貫通孔として形成されている。開口22a~22eは、それぞれ流路16a~16eの一部を構成する。カバープレート21は、液室形成部材12と異なる部材で構成されても同一の部材で構成されてもよい。流路16a~16eの流量を変化させて液室14a~14e内の液体に加わる圧力を変化させる場合、開口22a~22eの断面積を異ならせることにより、液室14a~14eの寸法を同一としたまま、流路16a~16eでの流量を変化させることができる。
【0021】
図1図5を用いて説明した液体吐出ヘッド10では、5本の流路16a~16eを用い、そのうちの2つの流路16b.16dに対してブラックの液体を流している。しかし液体吐出ヘッド10における流路の配置はこれに限られるものではない。図6に示す液体吐出ヘッド10では、4本の流路16a~16dが設けられている。そして、これら4本の流路16a~16dにおいて、流路16aにイエローの液体が供給され、流路16bにシアンの液体が供給され、流路16cにマゼンタの液体が供給され、流路16dにブラックの液体が供給されている。この液体吐出ヘッド10においても、隣接する流路を流れる異なる2色の液体の間で一方の液体が他方の液体に少量混入したときの影響が小さいのはどのような場合であるかに応じて、各流路16a~16dにおいて液体に加わる圧力を設定する。混入する側の液体として画質劣化に与える影響が最も小さいのはイエローの液体であり、次に影響が小さいのはシアンの液体であり、その次にマゼンタの液体であり、最も影響が大きいのはブラックの液体である。そこで、液室14a~14dにおいて液体に加わる圧力をそれぞれP,P,P,PとしたときにP>P>P>Pとする。このように圧力を設定することにより、流路間を連通する欠陥がある場合であっても、液室14aから液室14b、液室14bから液室14c、液室14cから液室14dへとのみ液体が流入するように制御することができる。この構成によって、異なる色の液体の流入による画質劣化を最小限に抑制することができる。
【0022】
図6に示した例は、異なる4色の液体を4本の流路16a~16dにそれぞれ供給する場合を示しているが、液体の種類を増やし、それに合わせて流路の数を増やした場合であっても、同様に圧力を設定することにより、画質劣化を最小限に抑えることができる。3本以上の流路があるときの圧力の設定方法を一般的に説明すると以下のようになる。第1の液体が流れる第1の流路と第2の液体が流れる第2の流路が隣接し、第2の流路を挟んで第1の流路とは反対側で第2の流路に隣接するように第3の流路が配置して第3の液体が第3の流路を流れる場合を考える。そして、第2の液体は、第1の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高く、第3の液体は、第2の液体よりも可視光領域の波長における分光反射率の平均値が高いものとする。このとき、第1の流路において第1の液体に加わる圧力を、第2の流路において第2の液体に加わる圧力よりも小さくし、第2の流路において第2の液体に加わる圧力を、第3の流路において第3の液体に加わる圧力よりも小さくする。図6に示した例では、流路16a~16cに注目すると、イエローの液体が流れる流路16aが第3の流路に該当し、シアンの液体が流れる流路16bが第2の流路に該当し、マゼンタの液体が流れる流路16cが第1の流路に該当することになる。
【0023】
第1乃至第3の流路の間にこのような圧力差を設定する方法として、例えば、第1乃至第3の流路にそれぞれ連通する第1乃至第3のバッファータンクを設けて水頭に差を設ける方法がある。この場合、第1のバッファータンクよりも第2のバッファータンクの水頭を高くし、第2のバッファータンクよりも第3のバッファータンクの水頭を高くする。あるいは、第1の流路の断面積を第2の流路の断面積よりも大きくし、第2の流路の断面積を第3の流路の断面積よりも大きくして、流路間に圧力差を形成してもよい。さらには、第1の液体の粘度を第2の液体の粘度よりも大きくし、第2の液体の粘度を第3の液体の粘度よりも大きくして、流路間に圧力差を形成してもよい。
【0024】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッド30を示している。この液体吐出ヘッド30は、いずれも板状部材である吐出口形成部材31と液室形成部材32とを積層し接合したものであり、吐出用液体が循環する形式のものである。図では、異なる2色の液体の分の吐出口33a,33bが設けられる領域が示されている。図7(a)は、本実施形態の液体吐出ヘッド30を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のA-A線での断面図である。図7(a)では、液体吐出ヘッド30の構造の理解を容易にするため、吐出口形成部材31を破線で示すとともに、吐出口形成部材31がなかったとしたときに液室形成部材32を実線で描いている。図7(a)のハッチング部分は、吐出口形成部材31と液室形成部材32とが接合している領域を示している。一方の色の液体の吐出口33aが複数個設けられ、それらは、図7(a)の図示左右方向に1列に配置して吐出口列を形成している。同様に、他方の色の液体の吐出口33bも複数個設けられて、1列に配置して吐出口列を形成している。
【0025】
吐出口33aに注目すると、吐出口33aが設けられる位置において吐出口形成部材31の液室形成部材32に向かい合う面には、吐出口33aごとにその吐出口33aに連通する細長い凹部が形成されている。この凹部は、吐出口形成部材31と液室形成部材32とが接合したときに、吐出用液体が通過できる圧力室34aを構成する。圧力室34aにおいて吐出口33aと向かい合う位置の液室形成部材32の表面には、吐出口33aから液体を吐出させるためのエネルギーを発生する、電気熱変換体などのエネルギー発生素子35が設けられている。圧力室34aの長手方向の両端に対応して液室形成部材32にはそれぞれ供給口38a,39aが設けられ、供給口38a,39aは、液室形成部材32内に形成されている個別液室36a,37aに連通している。吐出口33aから液体の吐出を行わないときは、液体は個別液室36aから供給口38a、圧力室34a、供給口39aを経て個別液室37aへと流れる。そして個別液室38aに流入した液体は、液体吐出ヘッド30の外部に設けられた配管を介して回収され、その後、タンクなどを介して個別液室36aに再供給される。液体吐出ヘッド30を備えた液体吐出装置の全体としてみれば、吐出用液体は循環している。エネルギー発生素子35が駆動されたときは、圧力室34a内の液体の一部が吐出口33aから吐出され、吐出された分の液体を補うように、個別液室36a,37aから供給口38a,39aを介して圧力室34aへと液体が流れる。個別液室36a,37aの圧力は一定に維持されている。個別液室36aと供給口38aは吐出口33aに連通する1つの流路4を構成し、個別液室37aと供給口39aも同じ吐出口33aに連通する1つの流路を構成する。同様に、吐出口33bに対応して、圧力室34b、エネルギー発生素子35、個別液室36b,37b及び供給口38b,39bが設けられている。
【0026】
圧力室34a及び供給口38a,39aの流抵抗が小さいとすると、不図示のバッファータンクから個別液室36aに液体が供給されるとして、吐出口33aに対応する個別液室36a,37aの両方において液体に加わる圧力は同じであると考えてよい。同様に吐出口33bに対応する個別液室36b,37bの両方において液体に加わる圧力は同じであると考えてよい。ここで吐出口33aからシアンの液体を吐出し、吐出口33bからブラックの液体を吐出する場合を考える。個別液室37a及び供給口39aからなる流路と、個別液室36bと供給口38bとからなる流路は、液室形成部材32において隣接し、かつ、異なる色の液体が流れる流路である。本実施形態では、第1の実施形態の場合と同様に、シアンの液体が流れる流路において液体に加わる圧力を、ブラックの液体が流れる流路において液体に加わる圧力よりも高くする。その結果、両方の流路を連通するような欠陥があったとしても、ブラックの液体に少量混入するようにシアンの液体が圧力の高い方の個別液室37aから圧力が低い方の個別液室36bへと流れる。
【0027】
個別液室37a及び供給口39aからなる流路と、個別液室36bと供給口38bとからなる流路との間に、具体的には個別液室37aと個別液室36bの間に、これらを連通する幅1μm、高さ0.5μmの欠陥があるとする。個別液室37a内の液体に加わる圧力が個別液室36b内の液体に加わる圧力よりも10Paだけ高くなるようにすると、個別液室37a内のシアンの液体が24時間あたり約130pLだけ、個別液室36b内のブラックの液体に流入する。逆方向にブラックの液体が流れることはない。24時間の間に流れる約130pLという量は一例として個別液室36bの容積の0.005%程度であり、このようにシアンの液体が流入したブラックの液体を吐出口33bから吐出して記録を行っても、記録された画像における画質への影響はない。個別液室37aと個別液室36bの間の圧力差を10Paよりもさらに低くすることによって、ブラックの液体へのシアンの液体の混入量を小さくすることができる。設定する圧力差が小さすぎると、個別液室37a,36bで起こり得る圧力変動のために、個別液室37aから個別液室36bへの逆方向の液体の流れが発生する恐れが生じる。なお、液体が循環する形式の液体吐出ヘッドの場合、異なる色の液体の隣接する流路の間の圧力差はおおよそ3000Pa以下とし、液体の吐出後の圧力室への液体の補充に支障をきたさないようにする必要がある。
【0028】
以上、吐出口33aを備える吐出口列と吐出口33bを備える吐出口列とを備えて異なる2色の液体を吐出する液体吐出ヘッド30を説明したが、第2の実施形態の液体吐出ヘッドは、さらに多くの色の液体を吐出するように構成することも可能である。例えば、図1図3図4及び図5に示した液体吐出ヘッドにおいて、吐出口に連通する圧力室を設けるとともに圧力室に液体が循環する構成とするとにより、第2の実施形態に基づく液体吐出ヘッドとすることができる。また、第2の実施形態において流路間に圧力差を設定する方法としては、第1の実施形態の場合と同様に、圧力発生装置による方法、バッファータンクにおける水頭差による方法、液体の粘度差による方法、流路の断面積差や流抵抗差による方法などがある。
【0029】
(液体吐出装置)
図8は、本発明に基づく液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置を説明する図である。この液体吐出装置は、第2の実施形態の液体吐出ヘッド30を備えるものであって、制御部であるコントローラー51と、コントローラー51によって制御される圧力発生装置52を備えている。圧力発生装置52は、液体吐出ヘッド30の各流路に接続されてそれらの流路に吐出用液体を供給するものであり、各流路に対する圧力を流路ごとに異なる圧力で同時に発生させることができるものである。圧力発生装置52から各色の液体が液体吐出ヘッド30に供給され、液体吐出ヘッド30で吐出されなかった液体が圧力発生装置52に戻ることにより、液体が圧力発生装置52と液体吐出ヘッド30の間で循環する。コントローラー51が圧力発生装置52を制御して液体吐出ヘッド30への液体の供給圧を変化させることにより、上述したように液体吐出ヘッド30における隣接する流路間に圧力差が生じる。圧力発生装置52は、各色の液体の流路にそれぞれ連通するバッファータンク群(不図示)を備え、バッファータンクにおける水頭の差によって液体の供給圧に差を生じさせるものであってもよい。第1の実施形態の液体吐出ヘッド10を用いる液体吐出装置においても、コントローラー51によって液体の供給圧が制御される圧力発生装置52を設け、圧力発生装置52から液体吐出ヘッド10の各流路にそれぞれの色の液体を供給することができる。
【0030】
(吐出用液体)
各実施形態の液体吐出ヘッド10,30は、異なる色の液体が流れる隣接する流路の間にこれらの流路に連通する欠陥があるときに、流路間に圧力差を設定して画質劣化を抑制しようとするものである。このとき、吐出されるべき液体すなわち吐出用液体を利用して欠陥を閉塞することができる。以下、吐出用液体を用いた欠陥の閉塞について説明する。
【0031】
図9は、吐出用液体を用いて欠陥を閉塞する方法の一例を示している。ここでは、図3に示す場合と同様に、流路16aと流路16bとが隔壁20を隔てて隣接し、吐出口形成部材11と液室形成部材12との接合界面に流路16a,16bを連通する欠陥18が形成されているものとする。流路16aを流れる液体はイエローの色の液体であり、流路16bを流れる液体はブラックの液体であり、液体に加わる圧力に関し、流路16aの方が流路16bよりも高くなっている。そして圧力が高い方の流路16aに供給される液体には、吐出口13aの直径よりも小さな寸法の充填材粒子53が液体に分散した状態で含まれている。充填材粒子53は、例えば透明なポリマーからなり、その直径は例えば1nm以上5μm以下であって、種々のサイズの充填材粒子53が混合して用いられる。液体に加わる圧力は流路16aの方が流路16bより高いため、充填材粒子53を含んだ液体が欠陥18を介して流路16aから流路16bに向けて流れようとする。そのとき、液体に分散されている充填材粒子53が欠陥18の側壁などに引っ掛かって堆積する。その結果、欠陥18が閉塞され、流路16a内の液体が継続して流路16b内の液体に混じり込むことが抑制される。種々のサイズの充填材粒子53が液体に含まれているので、堆積した充填材粒子53の隙間を介して液体が流れることが抑えられるとともに、種々の寸法及び形状の欠陥18を閉塞させることができる。なお、欠陥18の閉塞に関与しなかった充填材粒子53は、吐出口13aから排出される。
【0032】
図10は、吐出用液体を用いて欠陥を閉塞する方法の別の例を示している。図10に示した例は、図9に示した例において圧力が高い側の流路16aを流れる液体に充填材粒子53の代わりに硬化性物質が含まれるようにし、圧力が低い側の流路16bを流れる液体に硬化開始剤が含まれるようにしたものである。流路16bを流れる液体に含まれる硬化開始剤は、流路16aを流れる液体に含まれる硬化開始剤の硬化を開始させる薬剤である。一例として硬化性物質は重合性を有するポリマーであり、硬化開始剤はこのポリマーに対応する重合開始剤である。硬化性物質を含む液体が流路16aから欠陥18を介して流路16bに流れ込むと、流れ込んだ時点で、流路16b内の液体に含まれる硬化開始剤の作用によって硬化性物質が硬化を開始する。その結果、欠陥18の流路16b側の出口付近に硬化物54が形成され、欠陥18の出口が塞がれることにより、欠陥18が閉塞される。硬化物54の形成に寄与しなかった硬化性物質は吐出口13aから吐出され、硬化物54の形成に寄与しなかった硬化開始剤は吐出口13bから排出される。
【0033】
ここでは、図9及び図10を用いて、隣接する2つの流路16a,16bの間に形成された欠陥18を閉塞させる場合を説明した。ここで説明したような吐出用液体を用いて欠陥を閉塞させる方法は、より多くの流路を備える上述した各実施形態の液体吐出ヘッドに対して実行することができる。
【符号の説明】
【0034】
10,30 液体吐出ヘッド
11 吐出口形成部材
12 液室形成部材
13a~13e 吐出口
14a~14e 液室
16a~16e 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10