(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241111BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241111BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241111BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241111BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L27/146 A
G03F7/20 521
H01L21/88 Z
(21)【出願番号】P 2020214010
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2020028143
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020060985
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】玉木 順也
(72)【発明者】
【氏名】三木 崇史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 凌
(72)【発明者】
【氏名】鹿海 敦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 功輔
(72)【発明者】
【氏名】豊田 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】栗原 政樹
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180416(JP,A)
【文献】特開2013-174728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G03F 7/20
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層の上に、各々がダマシン構造を有する複数の配線を備えた半導体装置であって、
前記複数の配線は互いに隣り合う第1配線および第2配線を含み、
前記第1配線の一端と他端との間の距離が33mmよりも大きく、
前記第1配線は、前記第1配線が延在する方向に沿って、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を有し、
前記第1部分の幅および前記第2部分の幅が180nmよりも小さく、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大き
く、
前記第1部分は、前記方向に沿って、前記一端と前記第3部分との間に位置し、
前記第2部分は、前記方向に沿って、前記他端と前記第3部分との間に位置し、
前記第1配線は、前記方向に沿って、前記一端と前記第1部分との間の第4部分と、前記第4部分と前記第1部分との間の第5部分と、前記他端と前記第2部分との間の第6部分と、前記第6部分と前記第2部分との間の第7部分と、を有し、
前記第5部分の幅および前記第7部分の幅が、前記第1部分の前記幅、前記第2部分の前記幅、前記第4部分の幅および前記第6部分の幅よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第3部分の前記幅と前記第1部分の前記幅との差、および、前記第3部分の前記幅と前記第2部分の前記幅との差が、50nmよりも大きい、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3部分の前記幅と前記第1部分の前記幅との差が、前記第1部分の前記幅よりも小さく、前記第3部分の前記幅と前記第2部分の前記幅との差が、前記第2部分の前記幅よりも小さい、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3部分の前記幅が110nmよりも大きい、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3部分と前記第2配線との間の距離が、前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きい、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1部分と前記第2配線との間の距離、および、前記第2部分と前記第2配線との間の距離が、前記第3部分の前記幅よりも小さい請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記方向に沿った前記第2部分の長さは、前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きい、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層は複数の光電変換部を有する、請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大き
く、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第3露光部の幅が前記第1露光部の幅よりも大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きく、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第2露光部の幅が前記第3露光部の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きく、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第1露光部の幅と前記第3露光部の幅との差が、前記第2露光部の幅と前記第3露光部の幅との差よりも大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きく、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第6露光部の幅が前記第4露光部の幅よりも大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きく、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第5露光部の幅が前記第6露光部の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、
前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きく、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第4露光部の幅と前記第6露光部の幅との差が、前記第5露光部の幅と前記第6露光部の幅との差よりも大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第3露光部の幅が前記第1露光部の幅よりも大きい、請求項
10乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2露光部の幅が前記第3露光部の幅よりも小さい、請求項
9または
11乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1露光部の幅と前記第3露光部の幅との差が、前記第2露光部の幅と前記第3露光部の幅との差よりも大きい、請求項
9または10または12乃至
14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第6露光部の幅が前記第4露光部の幅よりも大きい、請求項
9乃至
11または13または14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第5露光部の幅が前記第6露光部の幅よりも小さい、請求項
9乃至
12または14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第4露光部の幅と前記第6露光部の幅との差が、前記第5露光部の幅と前記第6露光部の幅との差よりも大きい、請求項
9乃至
13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、
前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、
前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、
前記トレンチの中に配線を形成する配線工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、
前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、
前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、
前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、
前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、
前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、
前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、
前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、
前記第2露光部の幅が前記第3露光部の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記第5露光部の幅が前記第6露光部の幅よりも小さい、請求項
21に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、配線の微細化のためダマシン配線が用いられる。特許文献1には、ダマシン配線を繋ぎ露光で形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、繋ぎ部分での繋ぎ誤差によって、配線の断線あるいは不適切な配線との短絡が生じやすいという課題がある。この課題は、配線の微細化に伴って顕在化しうるため、これらの課題は微細化の障壁になりうる。また、配線による信号伝送の高速化に向けた検討がなされていない。そこで本発明は、半導体装置における配線に関し、微細化と信号伝送の高速化の少なくとも一方に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的のための第1の観点は、半導体層の上に、各々がダマシン構造を有する複数の配線を備えた半導体装置であって、前記複数の配線は互いに隣り合う第1配線および第2配線を含み、前記第1配線の一端と他端との間の距離が33mmよりも大きく、前記第1配線は、前記第1配線が延在する方向に沿って、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を有し、前記第1部分の幅および前記第2部分の幅が180nmよりも小さく、前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きいことを特徴とする。
【0006】
上記目的のための別の観点は、半導体層の上に、各々がダマシン構造を有する複数の配線を備えた半導体装置であって、
前記複数の配線は互いに隣り合う第1配線および第2配線を含み、
前記第1配線は、前記第1配線が延在する方向に沿って、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を有し、
前記第1配線の前記第1部分と前記第2部分との間の距離が33mmよりも大きく、
前記第3部分の幅は、前記第1部分から前記第2部分までの範囲における前記第1配線の最大幅であって、180nmよりも小さいことを特徴とする半導体装置である。
【0007】
上記目的のための別の観点は、半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、前記トレンチの中に配線を形成する工程と、を有する半導体装置の製造方法であって、前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、前記配線は、前記配線が延在する方向に沿って、前記第1領域の上に位置する第1部分と、前記第2領域の上に位置する第2部分と、前記第3領域の上に位置する第3部分と、を有し、前記第3部分の幅が前記第1部分の前記幅および前記第2部分の前記幅よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
上記目的のための別の観点は、複数行および複数列に渡って配され、各々が光電変換部を備える複数の単位画素と、1列の前記単位画素に接続され、前記単位画素の出力を伝送する複数の出力線とを有する半導体装置であって、前記複数の出力線は、第1出力線と、前記第1出力線と隣り合う部分を備える第2出力線と、前記第2出力線と隣り合う部分を備える第3出力線とを少なくとも含み、前記第1出力線、前記第2出力線、前記第3出力線はともに第1方向に沿って延在する部分を含み、前記第1出力線、前記第2出力線、前記第3出力線は、第1の位置と、前記第1の位置とは別の第2の位置とを通り、前記第1出力線と前記第2出力線との間の距離と、前記第2出力線と前記第3出力線との間の距離と、前記第1出力線と前記第3出力線との間の距離のうちの少なくとも2つの距離の各々が、前記第1の位置よりも前記第2の位置の方が長いことを特徴とする半導体装置である。
【0009】
上記目的のための別の観点は、半導体層と、前記半導体層の上に設けられた絶縁体膜と、を含むウエハを用意する工程と、前記絶縁体膜の上に設けられたポジ型のフォトレジスト膜を露光する露光工程と、前記フォトレジスト膜を現像して前記フォトレジスト膜からレジストパターンを形成する現像工程と、前記レジストパターンを用いて前記絶縁体膜を加工して前記絶縁体膜にトレンチを形成する加工工程と、前記トレンチの中に配線を形成する配線工程と、を有する半導体装置の製造方法であって、前記ウエハは、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記トレンチは、前記第1領域から前記第3領域を介して前記第2領域まで延在しており、前記露光工程は、前記第1領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第1露光ショットと、前記第1露光ショットの後に、前記第2領域および前記第3領域の上において前記フォトレジスト膜を露光する第2露光ショットと、を含み、前記露光工程の前記第1露光ショットと前記第2露光ショットの間における前記フォトレジスト膜は、前記第1領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第1露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第1露光ショットで露光された第2露光部と、前記第1露光部と前記第2露光部との間に位置し前記第1露光ショットで露光された第3露光部と、を有し、前記露光工程の前記第2露光ショットの間の後における前記フォトレジスト膜は、前記第2領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第4露光部と、前記第3領域の上に位置し前記第2露光ショットで露光された第5露光部と、前記第4露光部と前記第5露光部との間に位置し前記第2露光ショットで露光された第6露光部と、を有し、前記第5露光部の少なくとも一部が前記第2露光部を含み、前記現像工程では、前記第1露光部、前記第2露光部、前記第3露光部、前記第4露光部、前記第5露光部および前記第6露光部が除去され、前記第2露光部の幅が前記第3露光部の幅よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置における配線に関し、微細化と信号伝送の高速化の少なくとも一方について有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】半導体装置および製造方法を説明する模式図。
【
図6】半導体装置および製造方法を説明する模式図。
【
図7】半導体装置および製造方法を説明する模式図。
【
図8】半導体装置および製造方法を説明する模式図。
【
図9】半導体装置および製造方法を説明する模式図。
【
図10】半導体装置および製造方法を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0013】
図1は半導体装置APRの一例として光電変換装置を示している。光電変換装置は例えばCMOSイメージセンサーであり、撮像装置、測距装置、測光装置などに用いることができる。光電変換装置としての半導体装置APRは、半導体層100の上に、各々がダマシン構造を有する複数の配線110を備えた半導体装置である。半導体装置APRは、光電変換素子を含む単位画素がm行n列の2次元状に配列された画素部11と、画素部の周辺に形成される信号処理回路12を有している。半導体装置APRは、露光装置(露光機)の最大露光領域以上の寸法を有しており、かかる露光装置では、一括露光により製造することができない。そのため、デバイス領域を隣接する左側領域と右側領域とに分割し、それぞれを個別に露光する、分割露光技術を用いて製造する。例えば、配線層を分割露光により形成してもよい。以下、半導体装置APRの平面上中心部へ向かう方向を内周側、その逆の方向を外周側と呼称する。
【0014】
半導体装置APRは表面照射型の光電変換装置に限らず、裏面照射型の光電変換装置であってもよい。どちらの光電変換装置においても、配線の微細化による性能の向上を実現できる。ただし、表面照射型の光電変換装置においては配線の微細化による感度の向上を達成できるので特に好適である。また、半導体装置APRは、光電変換部を有する半導体層と、当該半導体層に積層された別の半導体層を有する半導体装置であってもよい。別の半導体層は、光電変換部を含む画素回路を制御するための制御回路や、画素回路からの信号を処理するための処理回路が設けられうる。また、半導体装置APRは光電変換装置に限らず、有機EL素子や液晶素子を用いた表示装置であってもよいし、ピエゾ方式やサーマル方式のインクジェットヘッドなどの液体吐出装置であってもよい。半導体装置APR複数のメモリセルが配列されたメモリセルアレイを有する記憶装置であってもよいし、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置であってもよい。
【0015】
図1(b)は、ウエハWFに形成される複数のデバイス領域DRを表す平面図である。各デバイス領域DRの寸法は、露光装置の最大露光領域よりも大きい。各デバイス領域DRは、露光装置の最大露光領域以下の寸法を有する領域に分割され、各々の領域を個別に露光する分割露光によって形成される。
【0016】
図1(c)に、一つのデバイス領域DRを表す概念図を示す。デバイス領域DRはA-A’線を基準として少なくとも左側領域SLと右側領域SRに分割され、左側領域SLと右側領域SRの各々は、別々のフォトマスクで露光される。以下、A-A’線を分割中心線と呼称することがある。左側領域SLは左端からC-C’線まで、右側領域SRは右端からB-B’線までの領域で定義される。以下、C-C’線を左側領域の右端、B-B’線を右側領域の左端と呼称することがある。B-B’線とC-C’線に挟まれる中間領域SCは、左側領域SLを露光する際に露光され、右側領域SRを露光する際にも露光されうる。このように、中間領域SCでは、露光が重複するため、中間領域SCを重複領域と呼称することもできる。なお、本実施形態では、デバイス領域DRを2つの領域に分割して説明するが、分割数は3つ以上であってもよい。また以下の例では便宜的に左右に分割する例を示しているが、分割の方向は任意であり、上下に分割してもよい。
【0017】
図1(a)に示す半導体装置APRは、
図1(b)に示すようにウエハWFに複数のデバイス領域DRが二次元的に配列した状態で形成され、追加の製造工程を経たのち、ダインシングによって個々の半導体デバイス(チップ)に分割される。半導体装置APRは、少なくともこの半導体デバイス(チップ)を含むものである。後述するように、半導体装置APRは半導体デバイスの他に、半導体デバイスを収容するパッケージを含みうる。
【0018】
図1(c)に、本実施形態の製造方法で製造する半導体装置APRのデバイス領域DRの寸法を示す。半導体装置APRの縦方向の長さW1が33mm以下であり、横方向の長さW2が33mmより大きい。例えば、デバイス領域DRの縦方向の長さW1が32mm、横方向の長さW2が42mmである。従って、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置では、デバイス領域DRを一括露光することができない。
【0019】
そこで、デバイス領域DRを左側領域SLと右側領域SRに分割する基準線A-A’線と、デバイス領域DRの左側端部までの距離W2Lを26mm以下、例えば21mmとする。また、A-A’線と、デバイス領域DRの右側端部までの距離W2Rを26mm以下、例えば21mmとする。また、A-A’線からB-B’線までの距離W3を10~1000nm、好ましくは50~500nm、例えば100nmとする。また、A-A’線からC-C’線までの距離W4を10~1000nm、好ましくは50~500nm、例えば100nmとする。
【0020】
長さW1が33mm以下であり、距離W2Lと距離W3の合計値が26mm以下であるため、左側領域SLおよび中間領域SCを、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置で露光することが可能である。
【0021】
また、長さW1が33mm以下であり、距離W2Rと距離W4の合計値が26mm以下であるため、右側領域SRおよび中間領域SCを、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置で露光することが可能である。
【0022】
従って、長さW1が33mm以下であり長さW2が33mmより大きい半導体装置APRは、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置を用いて、デバイス領域DRの分割数を2として露光することが可能である。
【0023】
なお、この例では、距離W2Lと距離W2Rを等しくしたが、等しい必要はない。また、A-A’線、B-B’線、C-C’線は直線としたが、デバイス領域内のパターンに応じて、距離W2Lと距離W3の合計値が最大露光領域を超えない範囲で適宜蛇行していてもよい。
【0024】
なお、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置において、最大露光領域の周辺部分は中央部分よりも解像度が低い場合があるため、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置であっても、実質的に最大露光領域の一部のみを用いて露光する場合がある。そのような場合には、26mm×33mmよりも小さいサイズの半導体装置APRであっても、分割露光を適用することができる。すなわち、本実施形態における分割露光が適用される半導体装置APRのサイズに特に制限はない。
【0025】
図1(a)における画素部11の寸法は、いわゆる35mmフルサイズ規格のイメージセンサーであれば、36±1mm×24±1mmとなる。
図1(c)には、半導体装置APRにおける複数の配線110の内の、画素部11の行配線を示している。行配線は1つの画素行に含まれる画素群に共通に接続されたグローバル配線である。行配線は、例えば1つの画素行に含まれる画素群への入力信号(制御信号)を伝送する信号線である。また、行配線は、例えば1つの画素行に含まれる画素群に電源(電源電位あるいは接地電位)を供給する電源線である。なお、列配線は、行配線に交差し、1つの画素列に含まれる画素群に共通に接続されたグローバル配線である。行配線および列配線は少なくとも画素部11の一端から他端まで延在する必要がある。そのため、行配線の一端から他端までの距離は画素部の横幅(36±1mm)以上の長さが必要であり、列配線の一端から他端までの距離は画素部の横幅(24±1mm)以上の長さが必要でありうる。列配線は、例えば1つの画素列に含まれる画素群からの出力信号(画素信号)を伝送する信号線である。また、列配線は、例えば1つの画素列に含まれる画素群に電源(電源電位あるいは接地電位)を供給する電源線である。これらの行配線や列配線を半導体層100に近い方から順に配置された第1配線層、第2配線層、第3配線層および第4配線層のいずれかに割り当てることができる。第1配線層はシングルダマシン構造を有し、第2配線層、第3配線層および第4配線層はデュアルダマシン構造を有しうる。グローバル配線(列配線)としての電源線は、例えば第1配線層および/または第2配線層に配置されうる。グローバル配線(行配線)としての信号線は、例えば第3配線層および第4配線層の一方(典型的には第3配線層)に配置されうる。グローバル配線(列配線)としての信号線は、例えば第3配線層および第4配線層の他方(典型的には第4配線層)に配置されうる。この他、各配線層にはローカル配線が配置され、とりわけ第1配線層にはローカル配線を多く配置することができる。ここでは4つの配線層を有する例を説明したが、例えば第2配線層を省略することができ、第1配線層にローカル配線と電源線を配置してもよい。配線層に対するグローバル配線の割り当てはこれらに限らないが、これらの関係を考慮すると、33mmを超える長さを有する配線は、シングルダマシン構造を有する電源線(行配線)か、デュアルダマシン構造を有する信号線(行配線)でありうる。
【0026】
図2に半導体装置APRにおける複数の配線110の平面図を示している。配線Q1、Q2、Q3は各々がダマシン構造を有する。配線Q1と配線Q2は互いに隣り合い、配線Q2と配線Q3は互いに隣り合う。配線Q2の一端Eaと他端Ebとの間の距離が33mmよりも大きい。上述したように、配線Q2の一端Eaと他端Ebとの間の距離は36±1mm以上でありうる。
図2(b)は
図2(a)における範囲AAの拡大図である。配線Q1、Q2、Q3の各々は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、左側部分110aと、右側部分110bと、左側部分110aと右側部分110bとの間の中間部分110cとを有する。左側部分110aは左側領域SLに位置し、右側部分110bは右側領域SRに位置し、中間部分110cは中間領域SCに位置する。
図2(b)には、左側部分110aの幅Waと、右側部分110bの幅Wbと、中間部分110cの幅Wcとを記載している。中間部分110cの幅Wcが左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbよりも大きいこと(Wc>Wa,Wc>Wb)が特徴的である。左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbは230nmよりも小さくてよい。幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすることによって得られる微細化を実現する上での有利な効果は、左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbが230nm未満である場合に顕著に得ることができる。左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbは230nm以上である場合には、中間部分110cの幅Wcは、左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbと同じであっても異なっていてもよい。幅Waおよび幅Wbが230nm以上である場合に中間部分110cの幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすることは、微細化の達成において不利でありうる。左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbが180nmよりも小さくてよい。幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすることによって得られる微細化を実現する上での有利な効果は、左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbが180nm未満である場合に特に顕著に得ることができる。中間部分110cの幅Wcと左側部分110aの幅Waとの差(Wc-Wa)が50nmよりも大きいことが好ましく、これは左側部分110aの幅Waを180nmよりも小さくするうえで好ましい。中間部分110cの幅Wcと右側部分110bの幅Wbとの差(Wc-Wb)が50nmよりも大きいことが好ましく、これは右側部分110bの幅Wbを180nmよりも小さくするうえで好ましい。中間部分110cの幅Wcと左側部分110aの幅Waとの差(Wc-Wa)が、左側部分110aの幅Waよりも小さいこと(Wc-Wa<Wa)が好ましい。中間部分110cの幅Wcと右側部分110bの幅Wbとの差(Wc-Wb)が、右側部分110bの幅Wbよりも小さこと(Wc-Wb<Wb)も好ましい。中間部分110cの幅Wcが110nmよりも大きいことも好ましい。中間部分110cの幅Wcが180nmよりも大きいことも好ましい。中間部分110cの幅Wcは300nmよりも小さくてよい。本例では、幅Wbが幅Waに等しいが、幅Wbが幅Waと異なっていてもよい。
【0027】
図2(b)には、配線Q2の左側部分110aと配線Q1,Q3との間の距離Daと、配線Q2の右側部分110bと配線Q1,Q3との間の距離Dbと、配線Q2の中間部分110cと配線Q1,Q3との間の距離Dcと、を記載している。配線Q2の中間部分110cと配線Q1,Q3との間の距離Dcが、左側部分110aの幅Waよりも大きいこと(Dc>Wa)が好ましい。配線Q2の中間部分110cと配線Q1,Q3との間の距離Dcが、右側部分110bの幅Wbよりも大きいこと(Dc>Wb)が好ましい。配線Q2の左側部分110aと配線Q1,Q3との間の距離Daが、中間部分110cの幅Wcよりも小さいこと(Da<Wc)が好ましい。配線Q2の右側部分110bと配線Q1,Q3との間の距離Dbが、中間部分110cの幅Wcよりも小さいこと(Db<Wc)が好ましい。本例では、距離Dbが距離Daに等しいが、距離Dbが距離Daと異なっていてもよい。
【0028】
図2(b)には、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿った左側部分110aの長さLa、右側部分110bの長さLb、中間部分110cの長さLcを示している。中間部分110cの長さLcは左側部分110aの幅Waよりも大きくてよい。中間部分110cの長さLcは右側部分110bの幅Wbよりも大きくてよい。中間部分110cの長さLcは左側部分110aの長さLaよりも小さくてよい。中間部分110cの長さLcは右側部分110bの長さLbよりも小さくてよい。
【0029】
典型的には、幅Wa、幅Wb、距離Daおよび距離Dbが、幅Wcおよび距離Dcよりも小さくなる。
【0030】
半導体装置APRを光電変換装置に適用した場合の例を説明する。配線Q1、Q2、Q3は、例えばデュアルダマシン構造を有する行配線である。配線Q1、Q2、Q3は、1つの画素Pにつき4つのトランジスタ(転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタ)を有する画素回路に制御信号を伝送する信号線である。例えば、配線Q1は転送トランジスタを制御する転送信号線であり、配線Q2はリセットトランジスタを制御するリセット信号線であり、配線Q3は選択トランジスタを制御する選択信号線である。本実施形態における複数の配線110や配線Q1、Q2、Q3がどのような機能を有するかは、上述した例に限られるものではない。
【0031】
図2(a)は複数の画素Pの範囲を記載している。画素Pごとに配線の幅が太い部分(太線部分)と、配線の幅が細い部分(細線部分)が繰り返し設けられている。左側部分110aは、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、一端Eaと範囲AAの中間部分110cとの間に位置する。右側部分110bは、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、他端Ebと範囲AAの中間部分110cとの間に位置する。配線Q1、Q2、Q3は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、一端Eaと左側部分110aとの間の細線部分L4と、細線部分L4と左側部分110aとの間の太線部分L5とを有する。また、配線Q1、Q2、Q3は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、他端Ebと右側部分110bとの間の細線部分R6と、細線部分R6と右側部分110bとの間の太線部分R7とを有する。太線部分L5の幅が、左側部分110aの幅Wa、右側部分110bの幅Wb、細線部分L4の幅および細線部分R6の幅よりも大きい。太線部分R7の幅が、左側部分110aの幅Wa、右側部分110bの幅Wb、細線部分L4の幅および細線部分R6の幅よりも大きい。太線部分L5の幅や太線部分R7の幅は幅Wcと等しいことが好ましいが、幅Wcと異なっていてもよい。細線部分L4の幅や細線部分R6の幅は幅Wa、Wbと等しいことが好ましいが、幅Wa、Wbと異なっていてもよい。
【0032】
このように、中間領域SCを含まない、A-A’線から離れた画素において、範囲AAに相当する位置に、太線部分(太線部分L5、R7)を設けることで、各画素での配線レイアウトの均一性を向上し、各画素の特性の均一性を高めることができる。すなわち、中間領域SCを含むA-A’線近傍の画素と中間領域を含まないA-A’線から離れた画素の信号出力差を低減でき、画像にA-A’線に沿った線ノイズが生じることを抑制できる。もちろん、太線部分L5は左側領域SL上にあり、太線部分R7は右側領域SR上にあるため、左側領域SLの露光時のフォトマスクと右側領域SRの露光時のフォトマスクとの位置ずれの影響を緩和する機能は、太線部分L5、R7にはほとんどない。
【0033】
配線Q1、Q2、Q3の各々は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、左側部分110aと中間部分110cとの間の左側部分110dと、右側部分110bと中間部分110cとの間の右側部分110eを有する。
図2(b)には、左側部分110dの幅Wdと、右側部分110eの幅Weとを記載している。左側部分110dの幅Wdは左側部分110aの幅Waよりも大きく(Wd>Wa)、右側部分110eの幅Weは右側部分110bの幅Wbよりも大きい(We>Wb)。本例では、左側部分110dの幅Wdは中間部分の幅Wcと等しい(Wd=Wc)。左側部分110dの幅Wdが中間部分の幅Wcと異なる場合、左側部分110dの幅Wdは中間部分の幅Wcよりも大きくてもよい(Wd>Wc)が、左側部分110dの幅Wdは中間部分の幅Wcよりも小さいほうがよい(Wd<Wc)。同様に、右側部分110eの幅Weは中間部分の幅Wcと等しい(We=Wc)。右側部分110eの幅Weが中間部分の幅Wcと異なる場合、右側部分110eの幅Weは中間部分の幅Wcよりも大きくてもよい(We>Wc)が、右側部分110eの幅Weは中間部分の幅Wcよりも小さいほうがよい(We<Wc)。中間部分110cの幅Wcと左側部分110dの幅Wdとの差(|Wc-Wd|)は、左側部分110aの幅Waと左側部分110dの幅Wdとの差(|Wd-Wa|)よりも小さいことが好ましい(|Wc-Wd|<|Wd-Wa|)。同様に、中間部分110cの幅Wcと右側部分110eの幅Weとの差(|Wc-We|)は、右側部分110bの幅Wbと右側部分110eの幅Weとの差(|We-Wb|)よりも小さいことが好ましい(|Wc-We|<|We-Wb|)。上述したように、Wc=Wd=Weでありうるため、幅Wd、Weと幅Wa、Wbとの関係は、幅Wcと幅Wa、Wbとの関係を適用可能である。なお、左側部分110d、右側部分110eを省略することもでき、このことは、左側部分110dの幅Wdを幅Waと等しくし、右側部分110eの幅Weを幅Wbと等しくすることと等価である。
【0034】
図2(b)に示す様に、左側部分110aと左側部分110dの間で、配線Q1、配線Q3が斜めに配置されている。これにより、Wa<WcおよびDa<Dcの両立を実現している。同様に右側部分110bと右側部分110eの間で、配線Q1、配線Q3が斜めに配置されている。これにより、Wb<WcおよびDb<Dcの両立を実現している。
【0035】
また、幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすること(Wc>Wa&Wb)で左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクが位置ずれを起こした際にも、中間部分110cでパターンが断線することを抑制できる。そして、左側部分110aおよび右側部分110bではより微細なパターンを形成することが出来る。また、距離Dcを距離Daおよび距離Dbよりも大きくすること(Dc>Da&Db)で、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクが位置ずれを起こした際にも、中間部分110cでパターンが短絡することを抑制できる。
【0036】
図2(a)に示すように、Y方向の配線間隔Y1よりも、Y方向の配線間隔Y2を広くとることが出来る。これにより、Y方向の配線開口を広く取ることができ、光電変換装置の感度を向上することが出来る。
【0037】
以下、
図3、
図4を用いて、半導体装置の製造方法について説明する。
図3、
図4において、番号(x-1)を付した図面は断面図であり、番号(x-2)を付した図面は平面図である。ここで、xはa~hのアルファベットである。番号(x-1)の断面図は、番号(x-2)の平面図をD-D’で切断した時の切断面を表している。
【0038】
各図の番号(x-2)の平面図に示す様に、ウエハWFは、複数のデバイス領域DRの各々において、C-C’線よりも左側の左側領域SLと、B-B’線より右側の右側領域SRと、左側領域SLと右側領域SRとの間の中間領域SCと、を有する。
【0039】
図3(a-1)、(a-2)に、半導体層100と、半導体層100の上に設けられた第2絶縁体膜104と、を含むウエハWFを用意する工程Aを示す。本実施形態の半導体装置APRの製造に用いられるウエハWFは、素子機能層としての半導体層100を含む。半導体層100としては、シリコン層や化合物半導体層を用いることができる。素子機能層には、複数の光電変換部(不図示)、複数のトランジスタ(不図示)、複数の光電変換部や複数のトランジスタを互いに電気的に分離すべき箇所で分離する分離構造(不図示)等が形成されている。素子機能層は、公知の材料を用いて公知の方法で形成することができる。
【0040】
素子機能層としての半導体層100上には、層間絶縁膜101が形成されている。層間絶縁膜101は、素子機能層としての半導体層100中の構造と、層間絶縁膜101より上部の層との電気的な絶縁のために形成される。層間絶縁膜101としては、例えば酸化シリコン等を用いることができ、公知の方法で形成することができる。
【0041】
層間絶縁膜101には、素子機能層としての半導体層100中の構造と、層間絶縁膜101より上部の配線との間で電気的な導通を確保したい箇所には、コンタクトプラグ102が形成される。コンタクトプラグ102上には、エッチングストップ層として機能する第1絶縁体膜103、層間絶縁膜となる第2絶縁体膜104が形成される。例えば、コンタクトプラグ102はタングステン、第1絶縁体膜103は炭化シリコン膜または窒化シリコン膜、第2絶縁体膜104は酸化シリコン膜であり得る。なお、これらの構成は、本実施形態を限定するものではなく、一例として示しているに過ぎない。
【0042】
図3(b-1)、(b-2)に、ウエハWFの上にマスク材料膜105、106を形成する工程Bを示す。層間絶縁膜となる第2絶縁体膜104上に、第1マスク材料膜105、第2マスク材料膜106を形成する。第1マスク材料膜105は、無機材料膜1051、有機材料膜1052により構成される。例えば、無機材料膜1051は窒化シリコン膜、有機材料膜1052はノボラック系の樹脂であり得る。本実施形態において、第1マスク材料膜105は上記の構成を示したが、別の構成でもよい。第2マスク材料膜106としては、例えば酸化シリコン膜が使用される。
【0043】
図3(c-1)、(c-2)に、絶縁体膜103、104の上層側に設けられたポジ型のフォトレジスト膜111を左側露光ショットLにより露光する露光工程Cを示す。左側露光ショットLは、左側領域SLおよび中間領域SCの上においてフォトレジスト膜111を露光する。第2マスク材料膜106の上に、ポジ型のフォトレジスト膜111を成膜した後、左側領域SLおよび中間領域SCの上において、フォトマスクPMLを用いて左側露光パターン111Lをフォトレジスト膜111に露光する。
図3(c-2)のように、左側露光パターン111Lは、A-A’線をまたいで、B-B’線まで露光される。
【0044】
図3(d-1)、(d-2)に、絶縁体膜103、104の上層側に設けられたポジ型のフォトレジスト膜111を右側露光ショットRにより露光する露光工程Dを示す。右側露光ショットRは、左側露光ショットLの後に、右側領域SRおよび中間領域SCの上においてフォトレジスト膜111を露光する。左側領域SLを露光した後、右側領域SRおよび中間領域SCの上において、フォトマスクPMRを用いて中間領域SCおよび右側領域SRを露光し、右側露光パターン111Rをフォトレジスト膜111に露光する。右側露光パターン111Rは、A-A’線をまたいで、C-C’線まで露光される。
【0045】
このように、露光工程Cと露光工程Dを合わせた露光工程は、左側露光ショットLと、左側露光ショットLの後の右側露光ショットRとを含む。なおここでは、左側露光ショットLの後に右側露光ショットRを行う例を示したが、右側露光ショットRの後に左側露光ショットLを行ってもよい。左側露光パターン111L、右側露光パターン111Rの詳細については、後に詳述する。露光光の波長は例えば、175~275nmであり、225~275nmの波長の露光光(例えば波長248nmのKrFエキシマレーザー)や、175~225nmの波長の露光光(例えば波長193nmのArFエキシマレーザー)などが好適である。露光光にArFエキシマレーザーを用いることは配線の微細化においてより好適である。
【0046】
図4(e-1)、(e-2)に、フォトレジスト膜111を現像してフォトレジスト膜111からレジストパターン111Dを形成する現像工程Eを示す。左側露光ショットLと右側露光ショットRを経て潜像パターンが形成されたフォトレジスト膜111に現像処理を行い、レジストパターン111Dを形成する。フォトレジスト膜111がポジ型であるため、フォトレジスト膜111の内、露光工程で露光された部分が、現像工程によって除去される。
【0047】
図4(f-1)、(f-2)に、レジストパターン111Dをマスクとして用いてマスク材料膜106を加工してマスク材料膜106にレジストパターンを転写する加工工程Fを示す。レジストパターン111Dをマスクとして、第2マスク材料膜106をエッチングすることで、マスクパターン1061を形成する。
【0048】
図4(g-1)、(g-2)に、マスクパターン1061をマスクとして用いて絶縁体膜104、103を加工して絶縁体膜104、103にトレンチ109を形成する加工工程Gを示す。マスクパターン1061をマスクとして、第1マスク材料膜105、層間絶縁膜となる第2絶縁体膜104、第1絶縁体膜103をエッチングし、トレンチ109を形成する。トレンチ109は、左側領域SLから中間領域SCを介して右側領域SRまで延在している。
【0049】
なお、加工工程Fと加工工程Gを合わせて、レジストパターン111Dを用いて絶縁体膜104、103を加工して絶縁体膜104、103にトレンチを形成する加工工程と称することができる。ここでは、加工工程Fを経ているが、加工工程Fを経たり、第1マスク材料膜105を用いたりすることは必須ではない。絶縁体膜104の直上に形成されたフォトレジスト膜から形成されたレジストパターン自体をマスクとして用いて、絶縁体膜104、103を加工して絶縁体膜104、103にトレンチを形成してもよい。
【0050】
図4(h-1)、(h-2)に、トレンチの中に配線110を形成する配線工程Hを示す。例えばメッキ法を使用して、導電体材料をトレンチ109に埋め込む。導電体材料は、例えば、銅や銅を含む合金であり得る。そして、導電体材料を埋め込んだ後に、第2絶縁体膜104上に形成された不要な導電体材料を、例えば化学機械研磨法(CMP)を利用して、除去する。これにより、トレンチ109の中に配線110を形成する。配線110は、左側領域SLから中間領域SCを介して右側領域SRまで延在している。配線110は、配線110が延在する方向に沿って、左側領域SLの上に位置する左側部分110Lと、右側領域SLの上に位置する右側部分110Rと、中間領域SCの上に位置する中間部分110Cと、を有する。このように、絶縁体膜の中に導電体材料を埋め込み、不要な導電体材料を除去して形成された配線をダマシン配線と称し、このようなプロセスをダマシンプロセスと称する。
【0051】
その後、少なくとも1層の上層配線層(典型的には複数の上層配線層)を形成する。上層配線層の形成は、第2絶縁体膜104および配線110の上に形成された層間絶縁膜に上述したものと同様のダマシンプロセスを適用すればよい。半導体装置APRが表面照射型の光電変換装置である場合、上層配線層を形成した後に、第2絶縁体膜104を含む複数の層間絶縁膜に開口を設けてもよい。この開口は、光電変換部への光の光路を形成する。この開口に絶縁体膜103および/または第2絶縁体膜104と異なる透光材料を埋め込むことができる。例えば、絶縁体膜103が炭化シリコンか窒化シリコンであり、第2絶縁体膜104が酸化シリコンであれば、透光材料は、窒化シリコンか酸化シリコンか樹脂であればよい。
【0052】
以上では、半導体装置の製造方法を、配線の形成に適用した場合について述べた。配線層には、画素部の各列に共通な電源や信号を伝達する配線があり、それらの配線は、左側領域SLと右側領域SRの間をまたがって配される。本実施形態における分割露光を適用することで、各領域内の配線を微細に加工するとともに、領域間に延在する部分についても微細化が可能となる。分割露光により接続する配線は、例えば、画素部や列回路を動作させるための電源供給する電源線でありうる。あるいは、分割露光により接続する配線は、例えば、画素部や列回路動作を制御するための制御信号を供給する信号線、画素毎の受光量に基づく列回路からの出力信号を伝達する信号線であり得る。しかし、その他の配線を分割露光により繋いでもよい。本実施形態で製造方法を説明した配線はシングルダマシンプロセスによるシングルダマシン配線であるが、同様の手法をデュアルダマシンプロセスによるデュアルダマシン配線に適用してもよい。デュアルダマシンプロセスには、トレンチファーストを採用することができるが、微細化の点では、ビアファーストを採用する方が有利である。
【0053】
また、製造方法を説明した配線層は1層であるが、2層以上の配線層に上述した実施形態を適用してもよい。また、1層目の配線と2層目の配線とで形成時の露光に用いる露光装置が異なっていてもよい。例えば1層目の配線を形成する際は、ArF光源を用いた波長193nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用い、2層目以降の配線を形成する際は、KrF光源を用いた波長248nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用いてもよい。1層目の配線がシングルダマシン配線であり、2層目の配線がデュアルダマシン配線であってもよい。そして、1層目のシングルダマシン配線にArF光源を用いた繋ぎ露光(分割露光)を適用し、2層目のデュアルダマシン配線にKrF光源を用いた繋ぎ露光(分割露光)を適用してもよい。
【0054】
以下、
図5~9を用いて半導体装置APRの製造方法における、
図3の露光工程における左側露光パターン111L、右側露光パターン111Rの詳細を説明する。
【0055】
図5~9の各図において、番号(a)を付した図面(a)は左側領域SLを露光する左側露光ショットLの際に使用するフォトマスクPML上のパターンである。
図5~9の各図において、番号(c)を付した図面(c)は右側領域SRを露光する右側露光ショットRの際に際に使用するフォトマスクPMR上のパターンである。フォトマスクPML,PMRは遮光領域LSと透光領域LTを含む。透光領域LTを透過した露光光がフォトレジスト膜111を露光させる。
【0056】
図5~9の各図において、番号(b)を付した図面(b)には、露光工程Cの左側露光ショットLと右側露光ショットRの間におけるフォトレジスト膜111の左側露光パターン111Lを示している。図面(b)において左側露光パターン111Lには左上がりの斜線のハッチングを付している。図面(b)に示す様に、フォトレジスト膜111は、左側領域111の上に位置し左側露光ショットLで露光された露光部111Laと、中間領域SCの上に位置し左側露光ショットLで露光された露光部111Lcと、を有する。さらに、フォトレジスト膜111は、露光部111Laと露光部111Lcとの間に位置し左側露光ショットLで露光された露光部111Ldと、を有する。
【0057】
図5~9の各図において、番号(d)を付した図面(d)には、露光工程の右側露光ショットRの後におけるフォトレジスト膜111の右側露光パターン111Rを示している。図面(d)において右側露光パターン111Rには右上がりの斜線のハッチングを付している。図面(d)に示す様に、フォトレジスト膜111は、右側領域SRの上に位置し右側露光ショットRで露光された露光部111Rbと、中間領域SCの上に位置し右側露光ショットRで露光された露光部111Rcと、を有する。さらにフォトレジスト膜111は、露光部111Rbと露光部111Rcとの間に位置し右側露光ショットRで露光された露光部111Reと、を有する。
【0058】
図5~9の各図において、番号(e)を付した図面(e)には、露光工程の左側露光ショットLおよび右側露光ショットRの後におけるフォトレジスト膜111の左側露光パターン111Lおよび右側露光パターン111Rによる潜像パターンをハッチングで示している。図面(e)において、ハッチングがない部分は現像によって除去されない部分である。図面(d)において左側露光パターン111Rには左上がりの斜線のハッチングを付している。図面(e)において右側露光パターン111Rには右上がりの斜線のハッチングを付している。
【0059】
図5~9の各図の図面(e)において、左側領域SLおよび右側領域SRの上に位置した領域では、
図5~9の各図の図面(b)、(d)での左側露光パターン111Lおよび右側露光パターン111Rが、潜像パターンとなる。
図5~9の各図の図面(e)において、中間領域SCの上に位置した領域では、左側露光ショットLと右側露光ショットRで2重露光されることにより、
図5~9の各図の図面(b)、(d)での左側露光パターン111Lcおよび右側露光パターン111Rcに対し、潜像パターンは変化しうる。
【0060】
図面(e)に示す様に、フォトレジスト膜111の潜像パターンは、右側領域SRの上に位置し右側露光ショットRで露光された露光部111Rbと、中間領域SCの上に位置し右側露光ショットRで露光された露光部111LRと、を有する。さらにフォトレジスト膜111は、露光部111Rbと露光部111LRとの間に位置し右側露光ショットRで露光された露光部111Reと、を有する。
【0061】
ここで、フォトレジスト膜111の内、中間領域SCの上に位置する露光部は、左側露光ショットLと右側露光ショットRの両方で露光された2重露光部111LRを含んでいる。
図5~9の各図の図面(e)において、2重露光部111LRには、左上がりの斜線と右上がりの斜線とが交差したハッチングを付している。すなわち、少なくとも右側露光ショットRで露光される露光部111LRが露光部111Lcを含んでいる。なお、
図8、
図9には、中間領域SCの上に位置する露光部は、左側露光ショットLで露光され右側露光ショットRで露光されない露光部111Lcと、左側露光ショットLで露光されず右側露光ショットRで露光される露光部111Rcとを含んでいる。
【0062】
フォトレジスト膜111がポジ型であるから、露光部111La、露光部111Lc、露光部111Ld、露光部111Rb、露光部111Rc、露光部111LRおよび露光部111Reが除去される。
【0063】
図5~9の各図の図面(b)には、露光部111Laの幅Ma、露光部111Ldの幅Md、露光部111Lcの幅Mc’を示している。
【0064】
また、
図5~9の各図の図面(d)には、露光部111Rbの幅Mb、露光部111Reの幅Me、露光部111Rcの幅Mc”を示している。なお、
図5~9の各図の図面(d)では、右側露光ショットRによる中間領域SCの露光部の幅Mc”は幅Mc’と同じであってよい。
【0065】
また、
図5~9の各図の図面(e)には、露光部111Laの潜像の幅Ma、露光部111Ldの潜像の幅Md、露光部111Rbの潜像の幅Mb、露光部111Reの潜像の幅Me、中間領域SCにおける潜像の幅Mcを示している。幅Ma、幅Mdは、
図5~9の各図の図面(b)と(e)の間において等しい。また、幅Mb、幅Meは、
図5~9の各図の図面(d)と(e)の間において等しい。
【0066】
ここで、注目すべきは、幅Mc‘と幅Mcとが異なっていてもよいことである。中間領域SCにおいては、左側露光ショットLと右側露光ショットRで2重露光されることにより、積算露光量が増えることで幅Mcは幅Mc’やMc”よりも大きくなりうる。積算露光量が増えることで、露光部での酸の発生量が増え、酸を触媒とした保護基脱離反応がより多く起こり、現像液に溶解しうる領域が広がるためである。また、露光においては光の回折が生じうるが、左側露光ショットLによる回折光と右側露光ショットRの回折光の両方で2重露光されることにより、幅Mcは幅Mc’よりも大きくなりうる。また、左側露光ショットLと右側露光ショットRとの位置ずれによっても、幅Mcは幅Mc’や幅Mc”と異なりうる。
図5~9の各図の図面(e)において、左側露光ショットLおよび右側露光ショットRのうち、左側露光ショットLのみでも右側露光ショットRのみでも潜像が形成されない領域には、斜線でないハッチングを付している。斜線でないハッチングを付した領域は、上述したような酸の影響や回折光の2重露光により潜像が形成される領域である。
図5~9の各図において、番号(f)を付した図面(f)には、配線工程の後における配線110のパターンを示している。
図5~9の各図の図面(f)に示す様に、配線110は、左側部分110aと、右側部分110bと、左側部分110aと右側部分110bとの間の中間部分110cとを有する。また、配線110は、左側部分110aと中間部分110cとの間の左側部分110dと、右側部分110bと中間部分110cとの間の右側部分110eを有する。中間部分110cは、左側部分110dと右側部分110eとの間に位置する。
【0067】
図5~9の各図の図面(f)には、左側部分110aの幅Wa、右側部分110bの幅Wb、中間部分110cの幅Wc、左側部分110dの幅Wd、右側部分110eの幅Weを記載している。なお、
図7(f)には幅Wc’を有する部分や幅Wc”を有する部分も記載している。
【0068】
以下、各露光部の幅Ma、Mb、Mc、Mc’Mc”、Md、Meおよび配線の部分の幅Wa、Wb、Wc、Wc’、Wc”、Wd、Weについて、複数の実施形態(第1~第5実施形態)を挙げて説明する。
【0069】
第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、中間部分110cの幅Wcが左側部分100aの幅Waおよび右側部分100bの幅Wbよりも大きいこと(Wc>Wa&Wb)である。ここで、「Wa&Wb」は「WaおよびWb」を意味するものであり、「Wc≧Wa&Wb」は「Wc≧WaかつWc≧Wb」と同義である。Wc≧Wa&Wbにおいて、WaとWbは同じであってもよいし異なっていてもよいものとする。以下、同様である。なお、等号付き不等号を用いる場合は、等号である場合であっても、不等号であってもよいということを意味する。すなわち、「Wc≧Wa&Wb」は「Wc=Wa&Wb」または「Wc>Wa&Wb」と同義である。
【0070】
このように、中間領域SCにおける配線110の幅Wcを幅Wa,Wbよりも大きくすることで、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが位置ずれを起こしたとしても、中間領域SCで配線110が断線することを抑制できる。
【0071】
第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、露光部111Laの幅Maが露光部111Lcの幅Mc’よりも小さいこと(Ma<Mc’)である。第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、露光部111Rbの幅Mbが露光部111Rcの幅Mc”よりも小さいこと(Mb<Mc”)である。これにより、露光部111Laおよび露光部111Rbよりも、露光部111Lcおよび露光部111Rcの解像性を高めることができる。これにより、露光部111Laおよび露光部111Rbを露光する条件において、露光部111Lcおよび露光部111Rcが解像しないことを抑制することができる。
【0072】
また、第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、露光部111Ldの幅Mdが露光部111Laの幅よりも大きいこと(Md>Ma)である。第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、露光部111Reの幅Meが露光部111Rbの幅Mbよりも大きいこと(Me>Mb)である。
【0073】
第2~5実施形態に共通することの1つは、露光部111Lcの幅Mc’が露光部111Ldの幅Mdよりも小さいこと(Mc’<Md)である。第2~5実施形態に共通することの1つは、露光部111Rcの幅Mc”が露光部111Leの幅Meよりも小さいこと(Mc”<Me)である。
【0074】
第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、露光部111Laの幅Maと露光部111Ldの幅Mdとの差(|Md-Ma|)が、露光部111Lcの幅Mc’と露光部111Ldの幅Mdとの差(|Md-Mc’|)よりも大きいこと(|Md-Ma|>|Md-Mc’|)である。第1~第5実施形態の実施形態に共通することの1つは、露光部111Rbの幅Mbと露光部111RLeの幅Meとの差(|Me-Mb|)が、露光部111Rcの幅Mc”と露光部111Reの幅Meとの差(|Me-Mc”|)よりも大きいこと(|Me-Mb|>|Me-Mc”|)である。
【0075】
<第1実施形態>
第1実施形態の半導体装置APRの製造方法を
図5に示す。
図5(a)に、左側領域SLを露光する際に使用するフォトマスクPML上のパターンを示す。
図5(b)に、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lを示す。
図5(c)に、右側領域SRを露光する際に使用するフォトマスクPMR上のパターンを示す。
図5(d)に、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rを示す。
【0076】
第1実施形態では、Ma&Mb<Md&Me≦Mc’&Mc”≦Mcの関係を満たす。また、第1実施形態では、Wa&Wb<Wd&We<Wcの関係を満たす。
【0077】
図5(b)、(d)に示すように、露光部111Lcの幅Mc’と露光部111Ldの幅Mdとが同一となり、露光部111Rcの幅Mc”と露光部111Leの幅Meとが同一となる。しかし、中間領域SCでは重複して露光がなされるため、
図5(e)に示すように、フォトレジスト膜111上に形成される、露光部111LRを含む潜像パターンの中間領域SCにおける幅Mcは、幅Mc’や幅Mc”よりも太くなりうる(Mc’&Mc”<Mc)。従って、中間領域SCにおける潜像パターンの幅Mcは、中間領域SC以外の領域における潜像パターンの幅Md、Meよりも太くなる。従って、中間領域SCにおける現像後のレジストパターンの開口は、中間領域SC以外の左側領域SL、右側領域SRにおける現像後のレジストパターンの開口よりも太くなる。そのため、中間領域SCに起因した配線の抵抗の増大を抑制できる。なお、上述した回折光や酸、位置ずれの影響がなければ、Mc’&Mc”=Mcとなりうる。Mc’&Mc”=Mcであっても、Md&Me≦Mc’&Mc”であれば、Wd&We<Wcとなりうる。
【0078】
中間領域SCにおける隣接する配線パターンとの短絡を抑制するためには、隣接パターンとのスペースを大きくすることが好ましい。
図2(b)において示した、中間領域SCにおける配線間の間隔である距離Dcは、距離Daや距離Dbよりも大きければ十分である。微細化を行う上で、距離Dcは幅Wc以下であってもよい。
【0079】
<第2実施形態>
図6に、第2実施形態の半導体装置APRの製造方法を示す。第2実施形態の半導体装置APRは、フォトレジスト膜111上に露光される領域が異なる。
【0080】
図6(a)に、左側領域SLを露光する際に使用するフォトマスク上のパターンを示す。
図6(b)に、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lを示す。
図6(c)に、右側領域SRを露光する際に使用するフォトマスク上のパターンを示す。
図6(d)に、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rを示す。フォトマスクPML、PMRは遮光領域LSと透光領域LTを含む。透光領域LTを透過した露光光がフォトレジスト膜111を露光させる。
【0081】
第1実施形態では、Mc’&Mc”≧Md&Meの関係を満たすが、第2実施形態では、Mc’&Mc”<Md&Meの関係を満たす。第2実施形態では、Ma&Mb<Mc’&Mc”≦Mc≦Md&Meの関係を満たす。また、第2実施形態では、Wa&Wb<Wc≦Wd&Weの関係を満たす。
【0082】
第2実施形態では、
図6(a)に示すように、中間領域SCに相当するフォトマスクPML上のパターン幅を部分的に細くしている。その結果、
図6(b)に示すように、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lは、中間領域SCでの幅Mc’が、中間領域SC以外の左側領域SLでの幅Mdに対して細く露光される。また、第2実施形態では、
図6(c)に示すように、中間領域SCに相当するフォトマスクPMR上のパターン幅を、部分的に細くしている。その結果、
図6(d)に示すように、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rは、中間領域SCでの幅Mc”が、中間領域SC以外の右側領域SRでの幅Meに対して細く露光される。このようにして、フォトレジスト膜111の中間領域SC上の露光部111LRが二重露光され、中間領域SCから連続して延在する左側領域SLの露光部111Ldが一重露光される。
【0083】
中間領域SCでは重複して露光がなされるため、フォトレジスト膜111上に形成される露光部111LRを含む中間領域SCにおける潜像パターンの幅Mcは、幅Mc’および幅Mc”よりも太くなりうる(Mc’&Mc”<Mc)。なお、上述した回折光や酸、位置ずれの影響がなければ、Mc’&Mc”=Mcとなりうる。
【0084】
幅Mc’および幅Mc”を好適な値に設定することで、中間領域SCにおける積算露光量を調節し、中間領域SCにおける潜像パターンの幅Mcを、中間領域SC以外の領域における潜像パターンの幅Md、Meに近づけることが可能である。本例では、Mc=Mc=Md&Meであるが、Mc<Md&Meであってもよい。
【0085】
このように潜像が形成されたフォトレジストに現像処理を行うことで、レジストパターン111Dが形成される。中間領域SCにおける現像後のフォトレジスト上のパターン寸法は、中間領域SC以外の領域における現像後のフォトレジスト上のパターン寸法に近づいて形成される。これは、幅Mcと幅Mdとの差は、幅Mc”と幅Mdとの差よりも小さくなること(|Mc-Md|<|Mc”-Md|)を意味する。
【0086】
第2実施形態の製造方法では、二重露光領域である中間領域SCの露光部111Lc、111Rcの幅Mc’、Mc”を、一重露光領域である左側領域SLの幅Mdや右側領域SRの幅Meよりも小さくしている。そのため、第1実施形態に対して、第2実施形態では、隣接パターンとの短絡をより適切に抑制することができる。また、第2実施形態では、露光部111LRを含む中間領域SCにおける潜像パターンの幅を第1実施形態よりも小さくすること可能となるため、第1実施形態よりも微細化において有利である。
【0087】
<第3実施形態>
図7に、第3実施形態の半導体装置APRの製造方法を示す。第3実施形態の半導体装置APRは、フォトレジスト膜111上に露光される領域が異なる。第3実施形態の半導体装置APRにおいては、第2実施形態と同様のフォトマスクPML、PMRを用いることができる。
【0088】
図7(a)に、左側領域SLを露光する際に使用するフォトマスク上のパターンを示す。
図7(b)に、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lを示す。
図7(c)に、右側領域SRを露光する際に使用するフォトマスク上のパターンを示す。
図7(d)に、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rを示す。
【0089】
第3実施形態では、Mc’&Mc”<Md&Meの関係を満たす。第3実施形態では、Ma&Mb<Mc’&Mc”≦Mc≦Md&Meの関係を満たす。また、第3実施形態では、Wa&Wb<Wc’&Wc”<Wc≦Wd&Weの関係を満たす。
【0090】
第3実施形態では、
図7(a)に示すように、中間領域SCに相当する領域と、左側領域SLに相当する領域の一部の領域において、フォトマスクPML上のパターン幅を部分的に細くしている。その結果、
図7(b)に示すように、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lは、中間領域SCでの幅Mc’が、中間領域SC以外の左側領域SLでの幅Mdに対して細く露光される。また、左側領域SLの中間領域SC側の端部が、幅Mc’で露光される。また、第3実施形態では、
図7(c)に示すように、中間領域SCに相当する領域と、右側領域SRに相当する領域の一部の領域において、フォトマスクPMR上のパターン幅を、部分的に細くしている。その結果、
図7(d)に示すように、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rは、中間領域SCでの幅Mc”が、中間領域SC以外の右側領域SRでの幅Meに対して細く露光される。また、右側領域SRの中間領域SC側の端部が、幅Mc”で露光される。第2実施形態と同様に、中間領域SCにおける2重露光の影響により、Mc’&Mc”<Mcとなりうる。
【0091】
また、第3実施形態では、B-B’線とC-C’線の間の距離が、第2実施形態と異なる。このような関係の下で、中間領域SCにおける露光パターンの幅Mc’、Mc”を好適な値に設定することでも、
図7(e)に示すように、中間領域SCにおける潜像パターンの寸法を、中間領域SC以外の領域における潜像パターンの寸法に近づけることが可能である。
【0092】
<第4実施形態>
図8に、第4実施形態の半導体装置APRの製造方法を示す。第4実施形態の半導体装置APRは、フォトレジスト膜111上に露光される領域が異なる。第4実施形態の半導体装置APRにおいては、第2実施形態と同様のフォトマスクPML、PMRを用いることができる。
【0093】
図8(a)に、左側領域SLを露光する際に使用するフォトマスク上のパターンを示す。
図8(b)に、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lを示す。
図8(c)に、右側領域SRを露光する際に使用するフォトマスク上のパターンを示す。
図8(d)に、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rを示す。
【0094】
第4実施形態では、Mc’&Mc”<Md&Meの関係を満たす。第4実施形態では、Ma&Mb<Mc’&Mc”≦Mc≦Md&Meの関係を満たす。また、第4実施形態では、Wa&Wb<Wc≦Wd&Weの関係を満たす。
【0095】
第4実施形態では、
図8(a)に示すように、中間領域SCの右側領域SR側の端部に相当する領域において、フォトマスクPML上のパターン幅を部分的に細くしている。その結果、
図8(b)に示すように、フォトレジスト膜111に露光される左側露光パターン111Lは、中間領域SCの右側領域SR側での幅Mc’が、中間領域SC以外の左側領域SLでの幅Mdに対して細く露光される。また、第4実施形態では、
図8(c)に示すように、中間領域SCの左側領域SL側の端部に相当する領域において、フォトマスクPMR上のパターン幅を、部分的に細くしている。その結果、
図8(d)に示すように、フォトレジスト膜111に露光される右側露光パターン111Rは、中間領域SCの左側領域SL側での幅Mc”が、中間領域SC以外の右側領域SRでの幅Meに対して細く露光される。
【0096】
また、第4実施形態では、B-B’線とC-C’線の間の距離が、第2実施形態と異なる。このような関係の下で、中間領域SCにおける露光パターンの幅Mc’、Mc”を好適な値に設定することでも、
図8(e)に示すように、中間領域SCにおける潜像パターンの寸法を、中間領域SC以外の領域における潜像パターンの寸法に近づけることが可能である。なお、
図8(e)では、前述したような左側露光ショットLのみでも右側露光ショットRのみでも潜像が形成されない、酸の影響や回折光の2重露光により潜像が形成される領域の図示を省略している。また、
図8(e)では、Ma&Mb<Mc’&Mc”<Mc<Md&Meの場合を図示しているが、幅Mcを幅Mdや幅Meと等しく形成して、Wc=Wd&Weとしてもよい。この場合、中間領域SCの端部であるB-B’線の近傍、及びC-C’線の近傍では、幅Mdや幅Meよりも太い部分が形成されうる。
【0097】
<第5実施形態>
図9に、第5実施形態の半導体装置APRの製造方法を示す。第5実施形態の半導体装置APRは、フォトレジスト膜111上に露光される領域が異なる。第5実施形態の半導体装置APRにおいては、第2実施形態と同様のフォトマスクPML、PMRを用いることができる。
【0098】
第5実施形態では、Mc’&Mc”<Md&Meの関係を満たす。第5実施形態では、Ma&Mb<Mc’&Mc”<Mc<Md&Me、或いは、Ma&Mb<Mc’&Mc”<Md&Me<Mcの関係を満たす。また、第5実施形態では、Wa&Wb<Wc<Wd&We、或いは、Wa&Wb<Wd&We<Wcの関係を満たす。
【0099】
第5実施形態では、第2実施形態において、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクに位置ずれが生じた場合を示す。
図9(e)に、右側露光ショットRが左側露光ショットLに対して、図面上、下方向にずれて露光された状態を示す。
【0100】
本実施形態では、幅Mdを幅Maよりも太くしていることによって、このようにフォトマスクが位置ずれを起こした際にも中間領域SCにおいて配線110が断線することを抑制できる。さらに、フォトマスク位置ずれ影響のない左側領域SLと右側領域SRでは、幅Ma、幅Mbの微細パターンを形成することができる。
【0101】
なお、
図9(e)では、前述したような左側露光ショットLのみでも右側露光ショットRのみでも潜像が形成されない、酸の影響や回折光の2重露光により潜像が形成されうる領域の図示を省略している。本実施形態では、2重露光領域内で発生した酸の影響で潜像が形成されうる領域は、露光部111Lcおよび露光部111Rcよりも外側となる。また、本実施形態では、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクが図面上、上下方向に位置ずれを起こしているため、回折光の2重露光により潜像が形成される効果はほとんどない。
【0102】
また、第5実施形態では、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクに位置ずれが生じたことにより、中間領域SCにおいて、フォトマスクに位置ずれがない場合に対して二重露光領域の面積が少なくなるため、2重露光領域内の積算露光量が減少する。このため、二重露光領域内での酸の発生量が減少する。また、左側露光ショットLによる回折光と、右側露光ショットRの回折光とで2重露光される領域が減少する。これらの効果により、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクに位置ずれがない場合に対して、中間領域SCにおける潜像パターンの幅は細くなりうる。
【0103】
また、第5実施形態では、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクに位置ずれが生じたことにより、中間領域SCにおいて、位置ずれした分だけ露光される幅が太くなりうる。この効果により、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクに位置ずれがない場合に対して、中間領域SCにおける潜像パターンの幅は太くなりうる。第5実施形態において、Ma&Mb<Mc’&Mc”<Mc<Md&Me、或いは、Ma&Mb<Mc’&Mc”<Md&Me<Mcのどちらの関係となるかは、上述した中間領域SCにおける潜像パターンの幅が細くなりうる効果と太くなりうる効果のどちらが強く現れるかによる。
【0104】
<第6実施形態>
第6実施形態は第1~5実施形態のいずれにも適用可能である。
図11(a)に、
図1(c)における製品領域DR内のある範囲SのA-A’線、B-B’線、C-C’線の拡大図と配線110との関係を示す。このように、パターンに応じて、例えばパターンを避けるように、A-A’線、B-B’線、C-C’線を蛇行してもよい。
【0105】
図11(b)に、
図11(a)と同一の配線110に対してA-A’線、B-B’線、C-C’線を直線とした場合を示す。この図の状況の場合、A-A’線は跨るが、B-B’線までは到達しないパターンP1が発生する。このとき、A-A’線を跨り、B-B’線よりも右側領域まで延在するパターンP2と、二重露光領域での積算露光量を比較する。パターンP1の線幅をLP1、二重露光領域をE1、パターンP2の線幅をLP2、二重露光領域をE2とする。LP1とLP2が等しい場合でも、領域E1と領域E2の面積が異なる。そのため、二重露光領域内の積算露光量がパターンP1とパターンP2で異なってしまい、二重露光部の線幅がパターンP1とパターンP2とで異なってしまう。そこで、
図11(a)のようにA-A’線、B-B’線、C-C’線を蛇行してこのようなパターンP1を避けることで、パターンP1を左側領域SLの露光に用いるフォトマスクと右側領域SRの露光に用いるフォトマスクに分割せずに済む。
【0106】
<第7実施形態>
図11に、本実施形態の製造方法で製造する半導体装置APRの断面図を示す。
図2に、本実施形態の製造方法で製造する半導体装置APRの平面図を示す。
図11(c),(d)は、本実施例の半導体装置APRの断面図を表す図である。
図11(c)は、
図2(a),(b)の分割中心線A-A’上の断面図を表す。
図11(d)は、分割中心線A-A’から離れた領域の断面図を表す。
【0107】
半導体装置APRは、半導体層100としてシリコン層を用い、半導体層100上には、光電変換部、トランジスタ、分離構造等が形成された素子機能層(不図示)が形成されている。
【0108】
素子機能層は、分割露光により形成してもよいし、解像度を落として最大露光領域を広げた露光装置において一括露光で形成してもよい。また、それらを、素子機能層を形成するために必要な複数のフォトリソグラフィー工程の中で、微細度に応じて使い分けても良い。
【0109】
素子機能層上には、酸化シリコンからなる層間絶縁膜101が形成され、層間絶縁膜101には、タングステンからなるコンタクトプラグが形成されている。そして層間絶縁膜101上に、炭化シリコンからなる第1絶縁体膜103、酸化シリコンからなる層間絶縁膜となる第2絶縁体膜104が形成されている。第1絶縁体膜103及び層間絶縁膜となる第2絶縁体膜104には、銅からなる配線110が形成されている。
【0110】
図11(c)に示すように、配線110は、分割中心線A-A’上では、配線110が幅Wc、間隔Dcにて形成される箇所を含む。また、
図11(d)に示すように、配線110は、分割中心線A-A’から離れた領域では、配線110が幅Wb、間隔Dbにて形成される箇所を含む。ここで、幅Wcは幅Waよりも大きく、間隔Dcは間隔Dbよりも大きい。
【0111】
<第8実施形態>
図12に、半導体装置930を備える機器9191を説明する。第8実施形態9は第1~7実施形態のいずれにも適用可能である。
図12(a)は本実施形態の半導体装置930を備えた機器9191を説明する模式図である。半導体装置930を備える機器9191について詳細に説明する。半導体装置930は、半導体装置APRについて説明した構造上および/または製造方法の特徴を有する。半導体装置930は、回路単位900が配列された中央部901と、中央部901の周辺に位置する周辺部902を有している。
図1で説明した画素部11は中央部901に相当し、
図1で説明した信号処理回路12は周辺部902に設けられる。半導体装置930は半導体デバイス910を含み、この半導体デバイス910が、半導体装置APRが備える半導体層100を有する。半導体装置930は、半導体層100を有する半導体デバイス910のほかに、半導体デバイス910を収容するパッケージ920を含むことができる。パッケージ920は、半導体デバイス910が固定された基体と、半導体デバイス910に対向するガラスなどの蓋体と、を含むことができる。パッケージ920は、さらに、基体に設けられた端子と半導体デバイス910に設けられた端子とを接続するボンディングワイヤやバンプなどの接合部材を含むことができる。
【0112】
機器9191は、光学装置940、制御装置950、処理装置960、画像装置970、記憶装置980、機械装置990の少なくともいずれかを備えることができる。光学装置940は、半導体装置930に対応する。光学装置940は、例えばレンズやシャッター、ミラー、フィルターである。制御装置950は、半導体装置930を制御する。制御装置950は、例えばASICなどの半導体装置である。
【0113】
処理装置960は、半導体装置930から出力された信号あるいは半導体装置930へ入力する信号を処理する。処理装置960は、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPUやASICなどの半導体装置である。
【0114】
画像装置970は、半導体装置930が光電変換装置(撮像装置)である場合には)、半導体装置930で得られた情報(画像)を表示する、EL表示装置や液晶表示装置である。画像装置970は、半導体装置930が表示装置置である場合には、半導体装置930に表示する画像を撮影する光電変換装置(撮像装置)でありうる。
【0115】
記憶装置980は、半導体装置930で扱う情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置980は、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0116】
機械装置990は、モーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。機器9191では、半導体装置930から出力された信号を表示装置970に表示したり、機器9191が備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器9191は、半導体装置930が有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置980や処理装置960をさらに備えることが好ましい。機械装置990は、半導体装置930から出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0117】
また、機器9191は、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウエアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器に適する。カメラにおける機械装置990はズーミングや合焦、シャッター動作のために光学装置940の部品を駆動することができる。あるいは、カメラにおける機械装置990は防振動作のために半導体装置930を移動することができる。
【0118】
また、機器9191は、車両や船舶、飛行体などの輸送機器であり得る。輸送機器における機械装置990は移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器9191は、半導体装置930を輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものに好適である。運転(操縦)の補助および/または自動化のための処理装置960は、半導体装置930で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置990を操作するための処理を行うことができる。あるいは、機器9191は内視鏡などの医療機器や、測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機やプリンターなどの事務機器であってもよい。
【0119】
上述した実施形態によれば、良好な配線を形成することが可能となる。従って、半導体装置の価値を高めることができる。ここでいう価値を高めることには、機能の追加、性能の向上、特性の向上、信頼性の向上、製造歩留まりの向上、環境負荷の低減、コストダウン、小型化、軽量化の少なくともいずれかが該当する。
【0120】
従って、本実施形態に係る半導体装置930を機器9191に用いれば、機器9191の価値をも向上することができる。例えば、半導体装置930を輸送機器に搭載して、輸送機器の外部の撮影や外部環境の測定を行う際に優れた性能を得ることができる。よって、輸送機器の製造、販売を行う上で、本実施形態に係る半導体装置を輸送機器へ搭載することを決定することは、輸送機器自体の性能を高める上で有利である。特に、半導体装置で得られた情報を用いて輸送機器の運転支援および/または自動運転を行う輸送機器に半導体装置930は好適である。
【実施例】
【0121】
[実施例1]
ArF光源を用いた波長193nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用いて、配線110を形成する実施例1を説明する。実施例1では、第1実施形態として示した
図5の形態において、幅Maおよび幅Mbを120nmとし、幅Mc’および幅Mc”を230nmとし、幅Mdおよび幅Meを230nmとする。また、幅Mc’および幅Mc”で露光される部分の長さ、即ちB-B’線からC-C’線までの長さを200nmとする。また、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを200nmとする。これは、
図10(a)、(b)のi)に該当する。これにより、幅Waおよび幅Wbが120nmであり、幅Wcが290nmであり、幅Wdおよび幅Weが230nmである配線110を形成することができる。これは、
図10(c)のi)に該当する。
【0122】
ここで、
図2に示した距離Daおよび距離Dbは120nmであり、距離Dcは170nmである。なお、第5実施形態として示した
図9の形態の様に、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRがy方向に位置ずれを起こしうる。また、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRは
図2のx方向にも位置ずれを起こしうる。フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に位置ずれを起こして、配線Q1、配線Q2、配線Q3に断線も短絡もしない可能性が高いのは、位置ずれ量が60nmまでである。
【0123】
フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に60nm位置ずれを起こした際、
図2に示した距離Dcが120nmとなった。これ以上の位置ずれ量では、
図2に示した距離Dcが
図2に示した距離Daおよび距離Dbよりも小さくなり、
図2に示した距離Dcの部分で短絡が発生する可能性が高くなる。
【0124】
また、本実施例では、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを200nmとしている。このため、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のx方向に位置ずれを起こして、二重露光領域の面積が変化し、二重露光領域内の積算露光量が変化した場合でも、その影響が幅Maおよび幅Mbで露光される領域まで及ぶことを低減できる。
【0125】
[実施例2]
ArF光源を用いた波長193nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用いて、配線110を形成する実施例2を説明する。実施例2では、第2実施形態として示した
図6の形態において、幅Maおよび幅Mbを120nmとし、幅Mc’および幅Mc”を180nmとし、幅Mdおよび幅Meを230nmとする。また、幅Mc’および幅Mc”で露光される部分の長さ、即ちB-B’線からC-C’線までの長さを200nmとする。また、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを200nmとする。これは、
図10(a)、(b)のii)に該当する。これにより、幅Waおよび幅Wbが120nmであり、幅Wc、幅Wdおよび幅Weが230nmである配線110を形成することができる。これは、
図10(c)のii)に該当する。ここで、
図2に示した距離Daおよび距離Dbは120nmであり、距離Dcは230nmである。なお、第5実施形態として示した
図9の形態の様に、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRがy方向に位置ずれを起こしうる。また、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRは
図2のx方向にも位置ずれを起こしうる。フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に位置ずれを起こして、配線Q1、配線Q2、配線Q3に断線も短絡もしない可能性が高いのは、位置ずれ量が95nmまでである。
【0126】
フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に95nm位置ずれを起こした際、
図2に示した距離Dcが120nmとなった。これ以上の位置ずれ量では、
図2に示した距離Dcが
図2に示した距離Daおよび距離Dbよりも小さくなり、
図2に示した距離Dcの部分で短絡が発生する可能性が高くなる。
【0127】
また、本実施例では、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを200nmとしている。このため、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のx方向に位置ずれを起こして、二重露光領域の面積が変化し、二重露光領域内の積算露光量が変化した場合でも、その影響が幅Maおよび幅Mbで露光される領域まで及ぶことを低減できる。
【0128】
[実施例3]
KrF光源を用いた波長248nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用いて、配線110を形成する実施例3を説明する。実施例3では、第2実施形態として示した
図6の形態において、幅Maおよび幅Mbを140nmとし、幅Mc’および幅Mc”を180nmとし、幅Mdおよび幅Meを240nmとする。また、幅Mc’および幅Mc”で露光される部分の長さ、即ちB-B’線からC-C’線までの長さを300nmとする。また、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを150nmとする。これは、
図10(a)、(b)のii)に該当する。これにより、幅Waおよび幅Wbが140nmであり、幅Wc、幅Wdおよび幅Weが240nmである配線110を形成することができる。これは、
図10(c)のii)に該当する。ここで、
図2に示した距離Daおよび距離Dbは140nmであり、距離Dcは240nmである。なお、第5実施形態として示した
図9の形態の様に、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRがy方向に位置ずれを起こしうる。また、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRは
図2のx方向にも位置ずれを起こしうる。フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に位置ずれを起こして、配線Q1、配線Q2、配線Q3に断線も短絡もしない可能性が高いのは、位置ずれ量が80nmまでである。
【0129】
フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に80nm位置ずれを起こした際、
図2に示した距離Dcが140nmとなった。これ以上の位置ずれ量では、
図2に示した距離Dcが
図2に示した距離Daおよび距離Dbよりも小さくなり、
図2に示した距離Dcの部分で短絡が発生する可能性が高くなる。
【0130】
また、本実施例では、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを150nmとしている。このため、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のx方向に位置ずれを起こして、二重露光領域の面積が変化し、二重露光領域内の積算露光量が変化した場合でも、その影響が幅Maおよび幅Mbで露光される領域まで及ぶことを低減できる。
【0131】
[実施例4]
ArF光源を用いた波長193nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用いて、配線110を形成する実施例4を説明する。実施例4では、第2実施形態として示した
図6の形態において、幅Maおよび幅Mbを120nmとし、幅Mc’および幅Mc”を120nmとし、幅Mdおよび幅Meを230nmとする。また、幅Mc’および幅Mc”で露光される部分の長さ、即ちB-B’線からC-C’線までの長さを200nmとする。また、幅Mdおよび幅Meで露光される部分の長さを200nmとする。これは、
図10(a)、(b)、のiii)に該当する。これにより、幅Waおよび幅Wbが120nmであり、幅Wcが160nmであり、幅Wdおよび幅Weが230nmである配線110を形成することができる。これは、
図10(c)のiii)に該当する。ここで、
図2に示した距離Daおよび距離Dbは120nmであり、距離Dcは300nmである。また、第5実施形態として示した
図9の形態の様に、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRがy方向に位置ずれを起こしうる。また、フォトマスクPMLとフォトマスクPMRは
図2のx方向にも位置ずれを起こしうる。フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に位置ずれを起こして、配線Q1、配線Q2、配線Q3に断線も短絡もしない可能性が高いのは、位置ずれ量が120nmまでである。
【0132】
フォトマスクPMLとフォトマスクPMRが
図2のy方向に120nm以上の位置ずれを起こした際、露光部111Lcと露光部111Rcが重ならなくなり、配線Q1、配線Q2、配線Q3に断線が発生する可能性が高くなる。
【0133】
<第9実施形態>
以下、図面を参照して、本実施形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0134】
図13は半導体装置APRの一例として光電変換装置を示している。光電変換装置は例えばCMOSイメージセンサーであり、撮像装置、測距装置、測光装置などに用いることができる。光電変換装置としての半導体装置APRは、半導体層100の上に、各々がダマシン構造を有する複数の配線110を備えた半導体装置である。半導体装置APRは、光電変換素子を含む単位画素がm行n列の2次元状に配列された画素部11と、画素部の周辺に形成される信号処理回路12を有している。半導体装置APRは、露光装置(露光機)の最大露光領域以上の寸法を有しており、かかる露光装置では、一括露光により製造することができない。そのため、デバイス領域を隣接する左側領域と右側領域とに分割し、それぞれを個別に露光する、分割露光技術を用いて製造する。例えば、配線層を分割露光により形成してもよい。以下、半導体装置APRの平面上中心部へ向かう方向を内周側、その逆の方向を外周側と呼称する。
【0135】
図13(b)は、ウエハWFに形成される複数のデバイス領域DRを表す平面図である。各デバイス領域DRの寸法は、露光装置の最大露光領域よりも大きい。各デバイス領域DRは、露光装置の最大露光領域以下の寸法を有する領域に分割され、各々の領域を個別に露光する分割露光によって形成される。
【0136】
図13(c)に、一つのデバイス領域DRを表す概念図を示す。デバイス領域DRはA-A’線を基準として少なくとも左側領域SLと右側領域SRに分割され、左側領域SLと右側領域SRの各々は、別々のフォトマスクで露光される。以下、A-A’線を分割中心線と呼称することがある。左側領域SLは左端からC-C’線まで、右側領域SRは右端からB-B’線までの領域で定義される。以下、C-C’線を左側領域の右端、B-B’線を右側領域の左端と呼称することがある。B-B’線とC-C’線に挟まれる中間領域SCは、左側領域SLを露光する際に露光され、右側領域SRを露光する際にも露光されうる。このように、中間領域SCでは、露光が重複するため、中間領域SCを重複領域と呼称することもできる。なお、本実施形態では、デバイス領域DRを2つの領域に分割して説明するが、分割数は3つ以上であってもよい。また以下の例では便宜的に左右に分割する例を示しているが、分割の方向は任意であり、上下に分割してもよい。
【0137】
図13(a)に示す半導体装置APRは、
図13(b)に示すようにウエハWFに複数のデバイス領域DRが二次元的に配列した状態で形成され、追加の製造工程を経たのち、ダインシングによって個々の半導体デバイス(チップ)に分割される。半導体装置APRは、少なくともこの半導体デバイス(チップ)を含むものである。後述するように、半導体装置APRは半導体デバイスの他に、半導体デバイスを収容するパッケージを含みうる。
【0138】
図13(c)に、本実施形態の製造方法で製造する半導体装置APRのデバイス領域DRの寸法を示す。半導体装置APRの縦方向の長さW1が33mm以下であり、横方向の長さW2が33mmより大きい。例えば、デバイス領域DRの縦方向の長さW1が32mm、横方向の長さW2が42mmである。従って、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置では、デバイス領域DRを一括露光することができない。
【0139】
そこで、デバイス領域DRを左側領域SLと右側領域SRに分割する基準線A-A’線と、デバイス領域DRの左側端部までの距離W2Lを26mm以下、例えば21mmとする。また、A-A’線と、デバイス領域DRの右側端部までの距離W2Rを26mm以下、例えば21mmとする。また、A-A’線からB-B’線までの距離W3を10~1000nm、好ましくは50~500nm、例えば100nmとする。また、A-A’線からC-C’線までの距離W4を10~1000nm、好ましくは50~500nm、例えば100nmとする。
【0140】
長さW1が33mm以下であり、距離W2Lと距離W3の合計値が26mm以下であるため、左側領域SLおよび中間領域SCを、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置で露光することが可能である。
【0141】
また、長さW1が33mm以下であり、距離W2Rと距離W4の合計値が26mm以下であるため、右側領域SRおよび中間領域SCを、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置で露光することが可能である。
【0142】
従って、長さW1が33mm以下であり長さW2が33mmより大きい半導体装置APRは、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置を用いて、デバイス領域DRの分割数を2として露光することが可能である。
【0143】
なお、この例では、距離W2Lと距離W2Rを等しくしたが、等しい必要はない。また、A-A’線、B-B’線、C-C’線は直線としたが、デバイス領域内のパターンに応じて、距離W2Lと距離W3の合計値が最大露光領域を超えない範囲で適宜蛇行していてもよい。
【0144】
なお、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置において、最大露光領域の周辺部分は中央部分よりも解像度が低い場合があるため、最大露光領域が26mm×33mmの露光装置であっても、実質的に最大露光領域の一部のみを用いて露光する場合がある。そのような場合には、26mm×33mmよりも小さいサイズの半導体装置APRであっても、分割露光を適用することができる。すなわち、本実施形態における分割露光が適用される半導体装置APRのサイズに特に制限はない。
【0145】
図13(a)における画素部11の寸法は、いわゆる35mmフルサイズ規格のイメージセンサーであれば、36±1mm×24±1mmとなる。
図13(c)には、半導体装置APRにおける複数の配線110の内の、画素部11の行配線を示している。行配線は1つの画素行に含まれる画素群に共通に接続されたグローバル配線である。行配線は、例えば1つの画素行に含まれる画素群への入力信号(制御信号)を伝送する信号線である。また、行配線は、例えば1つの画素行に含まれる画素群に電源(電源電位あるいは接地電位)を供給する電源線である。なお、列配線は、行配線に交差し、1つの画素列に含まれる画素群に共通に接続されたグローバル配線である。行配線および列配線は少なくとも画素部11の一端から他端まで延在する必要がある。そのため、行配線の一端から他端までの距離は画素部の横幅(36±1mm)以上の長さが必要であり、列配線の一端から他端までの距離は画素部の横幅(24±1mm)以上の長さが必要でありうる。列配線は、例えば1つの画素列に含まれる画素群からの出力信号(画素信号)を伝送する信号線である。また、列配線は、例えば1つの画素列に含まれる画素群に電源(電源電位あるいは接地電位)を供給する電源線である。これらの行配線や列配線を半導体層100に近い方から順に配置された第1配線層、第2配線層、第3配線層および第4配線層のいずれかに割り当てることができる。第1配線層はシングルダマシン構造を有し、第2配線層、第3配線層および第4配線層はデュアルダマシン構造を有しうる。グローバル配線(列配線)としての電源線は、例えば第1配線層および/または第2配線層に配置されうる。グローバル配線(行配線)としての信号線は、例えば第3配線層および第4配線層の一方(典型的には第3配線層)に配置されうる。グローバル配線(列配線)としての信号線は、例えば第3配線層および第4配線層の他方(典型的には第4配線層)に配置されうる。この他、各配線層にはローカル配線が配置され、とりわけ第1配線層にはローカル配線を多く配置することができる。ここでは4つの配線層を有する例を説明したが、例えば第2配線層を省略することができ、第1配線層にローカル配線と電源線を配置してもよい。配線層に対するグローバル配線の割り当てはこれらに限らないが、これらの関係を考慮すると、33mmを超える長さを有する配線は、シングルダマシン構造を有する電源線(行配線)か、デュアルダマシン構造を有する信号線(行配線)でありうる。
【0146】
図19(a)、(b)に、本実施形態の半導体装置APRの断面図を示す。
図19(a),(b)は、本実施例の半導体装置APRの断面図を表す図である。
図19(a)は、
図14(a),(b)の分割中心線A-A’上の断面図を表す。
図19(b)は、分割中心線A-A’から離れた領域の断面図を表す。半導体装置APRは、半導体層100としてシリコン層を用い、半導体層100上には、光電変換部、トランジスタ、分離構造等が形成された素子機能層(不図示)が形成されている。素子機能層は、分割露光により形成してもよいし、解像度を落として最大露光領域を広げた露光装置において一括露光で形成してもよい。また、それらを、素子機能層を形成するために必要な複数のフォトリソグラフィー工程の中で、微細度に応じて使い分けても良い。素子機能層上には、酸化シリコンからなる層間絶縁膜101が形成され、層間絶縁膜101には、タングステンからなるコンタクトプラグが形成されている。そして層間絶縁膜101上に、炭化シリコンからなる絶縁体膜103、酸化シリコンからなる層間絶縁膜となる絶縁体膜104が形成されている。絶縁体膜103及び層間絶縁膜となる絶縁体膜104には、銅からなる配線110が形成されている。
図19(a)に示すように、配線110は、中間領域SC上では、配線110が幅Wc、間隔Dcにて形成される箇所を含む。また、
図19(b)に示すように、配線110は、左側領域SLや右側領域SRでは、配線110が幅Wh、間隔Dhにて形成される箇所を含む。ここで、幅Wcは幅Whよりも大きく、間隔Dcは間隔Dhよりも大きいが、これに限らない。
【0147】
図14に半導体装置APRにおける複数の配線110の平面図を示している。配線Q1、Q2、Q3は各々がダマシン構造を有する。配線Q1と配線Q2は互いに隣り合い、配線Q2と配線Q3は互いに隣り合う。配線Q2の一端Eaと他端Ebとの間の距離が33mmよりも大きい。上述したように、配線Q2の一端Eaと他端Ebとの間の距離は36±1mm以上でありうる。ここでは、配線Q2の一端Eaと他端Ebについて説明したが、配線Q1、Q3の一端Eaと他端Ebについても同様である。
【0148】
配線Q1、Q2、Q3の各々は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に追って、部分Phと、部分Pmと、部分Phと部分Pmの間の部分Pcと、を有する。ここで、部分Phおよび部分Pmは、部分Phと部分Pmとの間の距離が33mmよりも大きくなるように設定される。配線Q1、Q2、Q3のそれぞれにおいて、部分Pcの幅Wmaxは、部分Phから部分Pmまでの範囲における、配線Q1、Q2、Q3の最大幅である。配線Q1、Q2、Q3は、部分Phから部分Pmまでの範囲の外おいて、部分Pcの幅Wmaxを超える幅Wmax’を有する部分(不図示)を含んでいてもよい。つまり、配線Q1、Q2、Q3の全体における配線Q1、Q2、Q3の最大幅Wmax’は、部分Pcの幅Wmaxよりも大きくてもよい(Wmax’>Wmax)し、部分Pcの幅Wmaxと等しくてもよい(Wmax’=Wmax)。つまり、配線Q1、Q2、Q3は少なくとも33mmの長さに渡って、部分Pcの幅Wmaxを超えなければよい。部分Pcは本例では範囲AAの中に位置するが、部分Pcの位置は部分Phと部分Pmとの間であればどこでも構わない。典型的には、部分Phは左側領域SLに位置し、部分Pmは右側領域SRに位置し、部分Pcは中間領域SCに位置する。
【0149】
図19(a)には、
図14(a)において部分Pcと等価な構造を有する部分の断面(
図14(a)における線E-E’での断面)を示している。
図19(a)には、配線Q1、Q2、Q3の最大幅Wmaxを幅Wcとして示している(Wmax=Wc)。配線Q1、Q2、Q3の最大幅Wmaxを有する部分の厚さを厚さTcとして示している。
図19(b)には、
図14(a)において部分Phと等価な構造を有する部分の断面(
図14(a)における線F-F’での断面)を示している。配線Q1、Q2、Q3の部分Phの幅を幅Whとして示している。なお、配線Q1、Q2、Q3の部分Pmにおける幅Wmは幅Whと同じであってもよいし、異なっていてもよい。部分Pcの幅Wcは部分Phから部分Pmまでの最大幅Wmaxであるため、幅Wcは幅WhおよびWmを超えない。幅Wcは幅Whおよび幅Wmより大きくてもよい(Wc>Wh&Wm)が、幅Wcは幅Whおよび幅Wmと同じであってもよい(Wc=Wh&Wm)。ここで、最大幅Wmaxは230nmよりも小さいことが好ましい。最大幅Wmaxは180nmよりも小さいことがより好ましい。配線Q1、Q2、Q3の抵抗の増大を抑制する上では、最大幅Wmaxは65nmよりも大きいことがより好ましい。最大幅Wmaxは90nm以上であってもよく、最大幅Wmaxは120nm以上であってもよい。部分Phから部分Pmまでの範囲において配線Q1、Q2、Q3の幅を230nm未満にすることで、配線Q1、Q2、Q3の微細化が可能となる。
図19(a)に示す様に、部分Pcの厚さTcは部分Phの幅Whおよび部分Pmの幅Wmよりも大きいことが好ましい(Tc>Wh&Wm)。部分Pcの厚さTcを幅Whや幅Wmよりも大きくすることによって、配線Q1、Q2、Q3を微細化(幅を小さくすること)しても、配線Q1、Q2、Q3の抵抗の増大を抑制できる。
図19(a)には、部分Phの厚さThを示している。本例において厚さThは厚さTcと等しい(Tc=Th)が、厚さThは厚さTcよりも大きくてもよいし、厚さThは厚さTcよりも小さくてもよい。同様に、部分Pmの厚さTmは厚さTcよりも大きくてもよいし、厚さThは厚さTcよりも小さくてもよい。厚さThは幅Whよりも大きいことが好ましい。部分Phの厚さThを幅Whよりも大きくすることによって、配線Q1、Q2、Q3を微細化(幅を小さくすること)しても、配線Q1、Q2、Q3の抵抗の増大を抑制できる。同様に、厚さTmは幅Wmよりも大きいことが好ましい。本例において厚さTmは厚さThと等しい(Tm=Th)が、厚さTmは厚さThよりも大きくてもよいし、厚さTmは厚さThよりも小さくてもよい。配線Q1、Q2、Q3を微細化する上では、部分Phの幅Whおよび部分Pmの幅Wmは230nmよりも小さいことが好ましく、180nmよりも小さいことがより好ましく、140nmよりも小さいことがさらに好ましい。33mm以上の長さを有する配線Q1、Q2、Q3の抵抗の増大を抑制する上では、部分Phの幅Whおよび部分Pmの幅Wmは65nmよりも大きいことが好ましい。部分Phの幅Whおよび部分Pmの幅Wmは90nm以上であってもよく、部分Phの幅Whおよび部分Pmの幅Wmは120nm以上であってもよい。33mm以上の長さを有する配線Q1、Q2、Q3の抵抗の増大を抑制する上では、厚さTc(厚さThおよび/また厚さTmも同様)は130nmよりも大きいことが好ましい。厚さTc、厚さThおよび厚さTmの少なくともいずれかは、150nm以上であってもよく、180nm以上であってもよい。部分Pcにおける配線Q2と配線Q3との間の距離Dcおよび部分Pcにおける配線Q2と配線Q1との間の距離は厚さTcよりも小さいこと(Dc<Tc)が好ましい。部分Phにおける配線Q2と配線Q3との間の距離Dhおよび部分Phにおける配線Q2と配線Q1との間の距離は厚さTcよりも小さいこと(Dh<Th)が好ましい。同様に、部分Pmにおける配線Q2と配線Q3との間の距離および部分Phにおける配線Q2と配線Q1との間の距離は厚さTmよりも小さいことが好ましい。
【0150】
図14(b)は
図14(a)における範囲AAの拡大図である。配線Q1、Q2、Q3の各々は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、左側部分110aと、右側部分110bと、左側部分110aと右側部分110bとの間の中間部分110cとを有する。左側部分110aは左側領域SLに位置し、右側部分110bは右側領域SRに位置し、中間部分110cは中間領域SCに位置する。
【0151】
図14(b)には、左側部分110aの幅Waと、右側部分110bの幅Wbと、中間部分110cの幅Wcとを記載している。ここで幅Waと幅Whは等しくてよい(Wa=Wh)ため、以下の説明における幅Waに関する説明は幅Whについても適用可能である。同様に、幅Waと幅Whは等しくてよい(Wb=Wm)ため、以下の説明における幅Wbに関する説明は幅Wmについても適用可能である。中間部分110cの幅Wcが左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbよりも大きいこと(Wc>Wa,Wc>Wb)も好ましいが、配線Q1、Q2、Q3の幅は部分Phと部分Pmとの間で一様であってもよい。左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbは230nmよりも小さくてよい。幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすることによって得られる微細化を実現する上での有利な効果は、左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbが230nm未満である場合に顕著に得ることができる。配線Q1、Q2、Q3のいずれかの最大幅Wmaxは230nm以上であってもよい。左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbは230nm以上である場合には、中間部分110cの幅Wcは、左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbと同じであっても異なっていてもよい。幅Waおよび幅Wbが230nm以上である場合に中間部分110cの幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすることは、微細化の達成において不利でありうる。左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbが180nmよりも小さくてよい。幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすることによって得られる微細化を実現する上での有利な効果は、左側部分110aの幅Waおよび右側部分110bの幅Wbが180nm未満である場合に特に顕著に得ることができる。中間部分110cの幅Wcと左側部分110aの幅Waとの差(Wc-Wa)が50nmよりも大きいことが好ましく、これは左側部分110aの幅Waを180nmよりも小さくするうえで好ましい。中間部分110cの幅Wcと右側部分110bの幅Wbとの差(Wc-Wb)が50nmよりも大きいことが好ましく、これは右側部分110bの幅Wbを180nmよりも小さくするうえで好ましい。中間部分110cの幅Wcと左側部分110aの幅Waとの差(Wc-Wa)が、左側部分110aの幅Waよりも小さいこと(Wc-Wa<Wa)が好ましい。中間部分110cの幅Wcと右側部分110bの幅Wbとの差(Wc-Wb)が、右側部分110bの幅Wbよりも小さこと(Wc-Wb<Wb)も好ましい。中間部分110cの幅Wcが110nmよりも大きいことも好ましい。中間部分110cの幅Wcが180nmよりも大きいことも好ましい。中間部分110cの幅Wcは300nmよりも小さくてよい。本例では、幅Wbが幅Waに等しいが、幅Wbが幅Waと異なっていてもよい。
【0152】
図14(b)には、配線Q2の左側部分110aと配線Q1,Q3との間の距離Daと、配線Q2の右側部分110bと配線Q1,Q3との間の距離Dbと、配線Q2の中間部分110cと配線Q1,Q3との間の距離Dcと、を記載している。配線Q2の中間部分110cと配線Q1,Q3との間の距離Dcが、左側部分110aの幅Waよりも大きいこと(Dc>Wa)が好ましい。配線Q2の中間部分110cと配線Q1,Q3との間の距離Dcが、右側部分110bの幅Wbよりも大きいこと(Dc>Wb)が好ましい。配線Q2の左側部分110aと配線Q1,Q3との間の距離Daが、中間部分110cの幅Wcよりも小さいこと(Da<Wc)が好ましい。配線Q2の右側部分110bと配線Q1,Q3との間の距離Dbが、中間部分110cの幅Wcよりも小さいこと(Db<Wc)が好ましい。本例では、距離Dbが距離Daに等しいが、距離Dbが距離Daと異なっていてもよい。
【0153】
図14(b)には、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿った左側部分110aの長さLa、右側部分110bの長さLb、中間部分110cの長さLcを示している。中間部分110cの長さLcは左側部分110aの幅Waよりも大きくてよい。中間部分110cの長さLcは右側部分110bの幅Wbよりも大きくてよい。中間部分110cの長さLcは左側部分110aの長さLaよりも小さくてよい。中間部分110cの長さLcは右側部分110bの長さLbよりも小さくてよい。
【0154】
典型的には、幅Wa、幅Wb、距離Daおよび距離Dbが、幅Wcおよび距離Dcよりも小さくなる。
【0155】
半導体装置APRを光電変換装置に適用した場合の例を説明する。配線Q1、Q2、Q3は、例えばデュアルダマシン構造を有する行配線である。配線Q1、Q2、Q3は、1つの画素Pにつき4つのトランジスタ(転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタ)を有する画素回路に制御信号を伝送する信号線である。例えば、配線Q1は転送トランジスタを制御する転送信号線であり、配線Q2はリセットトランジスタを制御するリセット信号線であり、配線Q3は選択トランジスタを制御する選択信号線である。本実施形態における複数の配線110や配線Q1、Q2、Q3がどのような機能を有するかは、上述した例に限られるものではない。
【0156】
図14(a)は複数の画素Pの範囲を記載している。画素Pごとに配線の幅が太い部分(太線部分)と、配線の幅が細い部分(細線部分)が繰り返し設けられている。左側部分110aは、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、一端Eaと範囲AAの中間部分110cとの間に位置する。右側部分110bは、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、他端Ebと範囲AAの中間部分110cとの間に位置する。配線Q1、Q2、Q3は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、一端Eaと左側部分110aとの間の細線部分L4と、細線部分L4と左側部分110aとの間の太線部分L5とを有する。また、配線Q1、Q2、Q3は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、他端Ebと右側部分110bとの間の細線部分R6と、細線部分R6と右側部分110bとの間の太線部分R7とを有する。太線部分L5の幅が、左側部分110aの幅Wa、右側部分110bの幅Wb、細線部分L4の幅および細線部分R6の幅よりも大きい。太線部分R7の幅が、左側部分110aの幅Wa、右側部分110bの幅Wb、細線部分L4の幅および細線部分R6の幅よりも大きい。太線部分L5の幅や太線部分R7の幅は幅Wcと等しいことが好ましいが、幅Wcと異なっていてもよい。細線部分L4の幅や細線部分R6の幅は幅Wa、Wbと等しいことが好ましいが、幅Wa、Wbと異なっていてもよい。
【0157】
このように、中間領域SCを含まない、A-A’線から離れた画素において、範囲AAに相当する位置に、太線部分(太線部分L5、R7)を設けることで、各画素での配線レイアウトの均一性を向上し、各画素の特性の均一性を高めることができる。すなわち、中間領域SCを含むA-A’線近傍の画素と中間領域を含まないA-A’線から離れた画素の信号出力差を低減でき、画像にA-A’線に沿った線ノイズが生じることを抑制できる。もちろん、太線部分L5は左側領域SL上にあり、太線部分R7は右側領域SR上にあるため、左側領域SLの露光時のフォトマスクと右側領域SRの露光時のフォトマスクとの位置ずれの影響を緩和する機能は、太線部分L5、R7にはほとんどない。
【0158】
配線Q1、Q2、Q3の各々は、配線Q1、Q2、Q3が延在する方向に沿って、左側部分110aと中間部分110cとの間の左側部分110dと、右側部分110bと中間部分110cとの間の右側部分110eを有する。
図14(b)には、左側部分110dの幅Wdと、右側部分110eの幅Weとを記載している。左側部分110dの幅Wdは左側部分110aの幅Waよりも大きく(Wd>Wa)、右側部分110eの幅Weは右側部分110bの幅Wbよりも大きい(We>Wb)。本例では、左側部分110dの幅Wdは中間部分の幅Wcと等しい(Wd=Wc)。左側部分110dの幅Wdが中間部分の幅Wcと異なる場合、左側部分110dの幅Wdは中間部分の幅Wcよりも大きくてもよい(Wd>Wc)が、左側部分110dの幅Wdは中間部分の幅Wcよりも小さいほうがよい(Wd<Wc)。同様に、右側部分110eの幅Weは中間部分の幅Wcと等しい(We=Wc)。右側部分110eの幅Weが中間部分の幅Wcと異なる場合、右側部分110eの幅Weは中間部分の幅Wcよりも大きくてもよい(We>Wc)が、右側部分110eの幅Weは中間部分の幅Wcよりも小さいほうがよい(We<Wc)。中間部分110cの幅Wcと左側部分110dの幅Wdとの差(|Wc-Wd|)は、左側部分110aの幅Waと左側部分110dの幅Wdとの差(|Wd-Wa|)よりも小さいことが好ましい(|Wc-Wd|<|Wd-Wa|)。同様に、中間部分110cの幅Wcと右側部分110eの幅Weとの差(|Wc-We|)は、右側部分110bの幅Wbと右側部分110eの幅Weとの差(|We-Wb|)よりも小さいことが好ましい(|Wc-We|<|We-Wb|)。上述したように、Wc=Wd=Weでありうるため、幅Wd、Weと幅Wa、Wbとの関係は、幅Wcと幅Wa、Wbとの関係を適用可能である。なお、左側部分110d、右側部分110eを省略することもでき、このことは、左側部分110dの幅Wdを幅Waと等しくし、右側部分110eの幅Weを幅Wbと等しくすることと等価である。
【0159】
図14(b)に示す様に、左側部分110aと左側部分110dの間で、配線Q1、配線Q3が斜めに配置されている。これにより、Wa<WcおよびDa<Dcの両立を実現している。同様に右側部分110bと右側部分110eの間で、配線Q1、配線Q3が斜めに配置されている。これにより、Wb<WcおよびDb<Dcの両立を実現している。
【0160】
また、幅Wcを幅Waおよび幅Wbよりも大きくすること(Wc>Wa&Wb)で左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクが位置ずれを起こした際にも、中間部分110cでパターンが断線することを抑制できる。そして、左側部分110aおよび右側部分110bではより微細なパターンを形成することが出来る。また、距離Dcを距離Daおよび距離Dbよりも大きくすること(Dc>Da&Db)で、左側領域SLと右側領域SRのフォトマスクが位置ずれを起こした際にも、中間部分110cでパターンが短絡することを抑制できる。
【0161】
図14(a)に示すように、Y方向の配線間隔Y1よりも、Y方向の配線間隔Y2を広くとることが出来る。これにより、Y方向の配線開口を広く取ることができ、光電変換装置の感度を向上することが出来る。
【0162】
以下、
図15、
図16、
図17を用いて、半導体装置の製造方法について説明する。
図15、
図16、
図17において、番号(x-1)を付した図面は断面図であり、番号(x-2)を付した図面は半導体装置を平面視したときの平面図である。ここで、xはa~jのアルファベットである。番号(x-1)の断面図は、番号(x-2)の平面図を線D-D’で切断した時の切断面を表している。線D-D’に相当する線を
図14(b)にも示している。番号(x-1)と番号(x-2)とで共通の部材には、同一のハッチングを付している。
【0163】
各図の番号(x-2)の平面図に示す様に、ウエハWFは、複数のデバイス領域DRの各々において、C-C’線よりも左側の左側領域SLと、B-B’線より右側の右側領域SRと、左側領域SLと右側領域SRとの間の中間領域SCと、を有する。
【0164】
図15(a-1)、(a-2)に、半導体層100と、半導体層100の上に設けられた絶縁体膜104と、を含むウエハWFを用意する工程Aを示す。本実施形態の半導体装置APRの製造に用いられるウエハWFは、素子機能層としての半導体層100を含む。半導体層100としては、シリコン層や化合物半導体層を用いることができる。素子機能層には、複数の光電変換部(不図示)、複数のトランジスタ(不図示)、複数の光電変換部や複数のトランジスタを互いに電気的に分離すべき箇所で分離する分離構造(不図示)等が形成されている。素子機能層は、公知の材料を用いて公知の方法で形成することができる。
【0165】
素子機能層としての半導体層100上には、層間絶縁膜101が形成されている。層間絶縁膜101は、素子機能層としての半導体層100中の構造と、層間絶縁膜101より上部の層との電気的な絶縁のために形成される。層間絶縁膜101としては、例えば酸化シリコン等を用いることができ、公知の方法で形成することができる。
【0166】
層間絶縁膜101には、素子機能層としての半導体層100中の構造と、層間絶縁膜101より上部の配線との間で電気的な導通を確保したい箇所には、コンタクトプラグ102が形成される。コンタクトプラグ102上には、エッチングストップ層として機能する絶縁体膜103、層間絶縁膜となる絶縁体膜104が形成される。例えば、コンタクトプラグ102はタングステン、絶縁体膜103は炭化シリコン膜または窒化シリコン膜、絶縁体膜104は酸化シリコン膜であり得る。なお、酸化シリコン膜とは、酸素とシリコンを主たる構成元素とする膜であり、酸素およびシリコンよりも低い割合で炭素や窒素、フッ素、塩素等の不純物を含んでいてもよい。同様に、窒化シリコン膜とは、窒素とシリコンを主たる構成元素とする膜であり、窒素およびシリコンよりも低い割合で炭素や酸素、フッ素、塩素等の不純物を含んでいてもよい。同様に、炭化シリコン膜とは、炭素とシリコンを主たる構成元素とする膜であり、炭素およびシリコンよりも低い割合で窒素や酸素、フッ素、塩素等の不純物を含んでいてもよい。ここで、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜、炭化シリコン膜などのシリコン化合物の組成に関して、水素やヘリウム等の軽元素は主たる構成元素と見なさない。そのため、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜、炭化シリコン膜などには、窒素および/またはシリコンよりも高い割合で水素などの軽元素を含んでいてもよい。層間絶縁膜となる絶縁体膜104は、炭素を含む酸化シリコン膜、有機材料膜、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜であってもよい。絶縁体膜104は、多孔質膜であってもよく、low-k膜であってもよい。なお、これらの構成は、本実施形態を限定するものではなく、一例として示しているに過ぎない。
【0167】
図15(b-1)、(b-2)に、ウエハWFの上にマスク材料膜105およびマスク材料膜106を形成する工程Bを示す。層間絶縁膜となる絶縁体膜104上に、マスク材料膜105、マスク材料膜106を形成する。マスク材料膜105は、無機材料膜1051、有機材料膜1052により構成される。例えば、無機材料膜1051は窒化シリコン膜、有機材料膜1052はノボラック系の樹脂であり得る。マスク材料膜105は、有機材料膜1052の上に設けられた無機材料膜1053(不図示)を含んでいてもよく、この不図示の無機材料膜1053と無機材料膜1051とで有機材料膜1052を挟んだ積層構造を有していてもよい。有機材料膜1052の上の無機材料膜1053は酸化シリコン膜でありうる。本実施形態において、マスク材料膜105は上記の構成を示したが、別の構成でもよい。マスク材料膜106の材料は、マスク材料膜105の最上層の材料と異なる材料であればよい。マスク材料膜105の最上層の材料が有機材料膜1052であれば、マスク材料膜106としては、無機材料膜を用いることができ、例えば酸化シリコン膜や窒化シリコン膜が使用される。マスク材料膜105の最上層の(例えば無機材料膜1053)が酸化シリコン膜であれば、マスク材料膜106としては、例えば窒化シリコン膜や窒化チタン膜などの、無機材料膜1053とは異なる無機材料膜を使用することができる。なお、マスク材料膜105の形成を省略することもでき、その場合にはマスク材料膜106が絶縁体膜104に接するように形成すればよい。
【0168】
図15(c-1)、(c-2)に、絶縁体膜103、104の上層側に設けられたポジ型のフォトレジスト膜107を左側露光ショットLにより露光する露光工程Cを示す。左側露光ショットLは、左側領域SLおよび中間領域SCの上においてフォトレジスト膜107を露光する。マスク材料膜106の上に、ポジ型のフォトレジスト膜107を成膜した後、左側領域SLおよび中間領域SCの上において、フォトマスクPMLを用いて左側露光パターン107Hをフォトレジスト膜107に露光する。フォトマスクPMLとウエハとの位置合わせを、マスク材料膜106よりも下の層に形成されたアライメントマーク(不図示)を用いて行うことができる。
図15(c-2)のように、左側露光パターン107Hは、A-A’線をまたいで、B-B’線まで露光される。この露光工程Cにおいて、フォトレジスト膜107には左側露光パターン107Hの他にアライメント用の露光パターン107Aを形成することができる。
【0169】
図15(d-1)、(d-2)に、フォトレジスト膜107を現像してフォトレジスト膜107からレジストパターン107Lを形成する現像工程Dを示す。フォトレジスト膜107がポジ型であるため、フォトレジスト膜107の内、露光工程Dで露光された部分(左側露光パターン107H)が、現像工程によって除去される。同様にして、アライメント用の露光パターン107Aが除去されることで、アライメント用のレジストパターン107Aが形成される。
【0170】
図16(e-1)、(e-2)に、レジストパターン107Lをマスクとして用いてマスク材料膜106を加工してマスク材料膜106にレジストパターンを転写する加工工程Eを示す。レジストパターン107Lをマスクとして、マスク材料膜106をエッチングすることで、マスクパターン106Lを形成する。マスクパターン106Lが形成されると、レジストパターン107Lを除去する。なお、アライメント用のレジストパターン107Aを用いて、マスク材料膜106にはアライメントマーク106Aが形成される。
【0171】
図16(f-1)、(f-2)に、絶縁体膜103、104の上層側に設けられたポジ型のフォトレジスト膜108を右側露光ショットRにより露光する露光工程Fを示す。右側露光ショットRは、右側領域SRおよび中間領域SCの上においてフォトレジスト膜108を露光する。マスク材料膜106の上に、ポジ型のフォトレジスト膜108を成膜した後、右側領域SRおよび中間領域SCの上において、フォトマスクPMRを用いて右側露光パターン108Mをフォトレジスト膜108に露光する。
図16(f-2)のように、右側露光パターン108Mは、A-A’線をまたいで、C-C’線まで露光される。露光工程Fにおいて、フォトマスクPMRとウエハとの位置合わせを、アライメントマーク106Aを用いて行うことができる。また、フォトマスクPMRとウエハとの位置合わせを、アライメントマーク106Aとマスク材料膜106よりも下の層に形成されたアライメントマーク(不図示)との両方を用いて行ってもよい。このようにすることで、右側領域SRの露光時の位置ずれを、下層と左側領域SLの双方に対して、精度よく制御することができる。
【0172】
図16(g-1)、(g-2)に、フォトレジスト膜108を現像してフォトレジスト膜108からレジストパターン108Rを形成する現像工程Gを示す。フォトレジスト膜108がポジ型であるため、フォトレジスト膜108の内、露光工程Fで露光された部分(右側露光パターン108M)が、現像工程によって除去される。
【0173】
図17(h-1)、(h-2)に、レジストパターン108Rをマスクとして用いてマスク材料膜106を加工してマスク材料膜106にレジストパターンを転写する加工工程Hを示す。レジストパターン108Rをマスクとして、マスク材料膜106をエッチングすることで、マスクパターン106Rを形成する。マスクパターン106Lとマスクパターン106Rとを合わせたマスクパターン106LRが形成される。マスクパターン106R(マスクパターン106LR)が形成されると、レジストパターン108Rを除去してよい。
【0174】
なおここでは、左側露光ショットLの後に右側露光ショットRを行う例を示したが、右側露光ショットRの後に左側露光ショットLを行ってもよい。左側露光パターン107L、右側露光パターン108Rの詳細については、後に詳述する。露光光の波長は例えば、175~275nmであり、225~275nmの波長の露光光(例えば波長248nmのKrFエキシマレーザー)や、175~225nmの波長の露光光(例えば波長193nmのArFエキシマレーザー)などが好適である。露光光にArFエキシマレーザーを用いることは配線の微細化においてより好適である。230nmより小さい幅の配線を形成にあたって、露光工程C,Fで用いる露光光の波長(露光波長)は230nmよりも小さいことが好ましい。
【0175】
図17(i-1)、(i-2)に、マスクパターン106LRをマスクとして用いて絶縁体膜104、103を加工して絶縁体膜104、103にトレンチ109を形成する加工工程Iを示す。マスクパターン106LRをマスクとして、マスク材料膜105、層間絶縁膜となる絶縁体膜104、絶縁体膜103をエッチングし、トレンチ109を形成する。トレンチ109は、左側領域SLから中間領域SCを介して右側領域SRまで延在している。中間領域SCにおけるトレンチ109の深さはトレンチ109の幅よりも大きいことが好ましい。トレンチ109の全体において、トレンチ109の最大の深さはトレンチの最大の幅よりも大きくてもよい。
【0176】
図17(j-1)、(j-2)に、トレンチの中に配線110を形成する配線工程Jを示す。例えばメッキ法を使用して、導電体材料をトレンチ109に埋め込む。導電体材料は、例えば、銅や銅を含む合金であり得る。そして、導電体材料を埋め込んだ後に、絶縁体膜104上に形成された不要な導電体材料を、例えば化学機械研磨法(CMP)を利用して、除去する。これにより、トレンチ109の中に配線110を形成する。配線110は、左側領域SLから中間領域SCを介して右側領域SRまで延在している。配線110は、配線110が延在する方向に沿って、左側領域SLの上に位置する左側部分110Lと、右側領域SLの上に位置する右側部分110Rと、中間領域SCの上に位置する中間部分110Cと、を有する。このように、絶縁体膜の中に導電体材料を埋め込み、不要な導電体材料を除去して形成された配線をダマシン配線と称し、このようなプロセスをダマシンプロセスと称する。ここでは、シングルダマシンプロセスに適用した場合について記述したが、同様の手法をデュアルダマシンプロセスに適用してもよい。
【0177】
その後、少なくとも1層の上層配線層(典型的には複数の上層配線層)を形成する。上層配線層の形成は、絶縁体膜104および配線110の上に形成された層間絶縁膜に上述したものと同様のダマシンプロセスを適用すればよい。半導体装置APRが表面照射型の光電変換装置である場合、上層配線層を形成した後に、絶縁体膜104を含む複数の層間絶縁膜に開口を設けてもよい。この開口は、光電変換部への光の光路を形成する。この開口に絶縁体膜103および/または絶縁体膜104と異なる透光材料を埋め込むことができる。例えば、絶縁体膜103が炭化シリコンか窒化シリコンであり、絶縁体膜104が酸化シリコンであれば、透光材料は、窒化シリコンか酸化シリコンか樹脂であればよい。
【0178】
以上では、半導体装置の製造方法を、配線の形成に適用した場合について述べた。配線層には、画素部の各列に共通な電源や信号を伝達する配線があり、それらの配線は、左側領域SLと右側領域SRの間をまたがって配される。本実施形態における分割露光を適用することで、各領域内の配線を微細に加工するとともに、領域間に延在する部分についても微細化が可能となる。分割露光により接続する配線は、例えば、画素部や列回路を動作させるための電源供給する電源線でありうる。あるいは、分割露光により接続する配線は、例えば、画素部や列回路動作を制御するための制御信号を供給する信号線、画素毎の受光量に基づく列回路からの出力信号を伝達する信号線であり得る。しかし、その他の配線を分割露光により繋いでもよい。本実施形態で製造方法を説明した配線はシングルダマシンプロセスによるシングルダマシン配線であるが、同様の手法をデュアルダマシンプロセスによるデュアルダマシン配線に適用してもよい。デュアルダマシンプロセスには、トレンチファーストを採用することができるが、微細化の点では、ビアファーストを採用する方が有利である。
【0179】
また、製造方法を説明した配線層は1層であるが、2層以上の配線層に上述した実施形態を適用してもよい。また、1層目の配線と2層目の配線とで形成時の露光に用いる露光装置が異なっていてもよい。例えば1層目の配線を形成する際は、ArF光源を用いた波長193nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用い、2層目以降の配線を形成する際は、KrF光源を用いた波長248nm、最大露光領域26mm×33mmの露光装置を用いてもよい。1層目の配線がシングルダマシン配線であり、2層目の配線がデュアルダマシン配線であってもよい。そして、1層目のシングルダマシン配線にArF光源を用いた繋ぎ露光(分割露光)を適用し、2層目のデュアルダマシン配線にKrF光源を用いた繋ぎ露光(分割露光)を適用してもよい。
【0180】
上述した形態ではフォトレジスト膜107、108がポジ型である場合について説明したが、フォトレジスト膜107および/またはフォトレジスト膜108をネガ型としてもよい。その場合には、配線を形成しない部分に対応したネガ型のフォトレジスト膜の部分を露光するようなフォトマスクPML、PMRを用い、ネガ型のフォトレジスト膜の非露光部分を現像工程によって除去すればよい。
【0181】
以下、
図18を用いて半導体装置APRの製造方法における、
図15の露光工程における左側露光パターン107H、右側露光パターン108Mの詳細を説明する。
【0182】
図18の番号(y-1)を付した図面は、左側領域SLの露光パターン107Hと右側領域SRの露光パターン108Rの位置関係を表す平面図である。また、
図18の番号(y-2)を付した図面は、マスクパターン106Lとマスクパターン106Rからなるマスクパターン106LRを形成した時の平面図を示している。ここで、yはa~cのアルファベットである。
【0183】
図18(a-1)には、左側露光パターン107Hと右側露光パターン108Mとが中間領域SCにおいて重なっている形態を示している。左側露光パターン107Hと右側露光パターン108Rとが重なる位置には、左側露光パターン107Hのハッチングと、右側露光パターン108Rのハッチングとを重ねたハッチングを示している。本実施形態では、上述したように、左側露光パターン107Hはフォトレジスト膜107に、右側露光パターン108Rはフォトレジスト膜108にそれぞれ形成されることが特徴的である。
【0184】
一方、同一のフォトレジスト膜に対し、左側領域SLにおいて左側露光パターン107Hを露光し、右側領域SRにおいて右側露光パターン108Rを露光すると、中間領域SCにおいて、露光パターンが二重に露光される、二重露光が生じる。この二重露光に起因する線幅変動が問題となる場合がある。中間領域SCにおいては、左側露光ショットLと右側露光ショットRで二重露光されることにより、積算露光量が増えることで、潜像パターンの幅は、露光パターンの幅よりも大きくなりうる。これは、積算露光量が増えることで、露光部での酸の発生量が増え、酸を触媒とした保護基脱離反応がより多く起こり、現像液に溶解しうる領域が広がるためである。また、露光においては光の回折が生じうるが、左側露光ショットLによる回折光と右側露光ショットRの回折光の両方で二重露光されることによっても生じうる。中間領域SCにおいて補助パターンを設けるなどレイアウトを工夫し、二重露光による線幅変動を抑制することができる。このような補助パターンを設ける手法においては、例えばラインパターン(残しパターンで形成する配線)の場合、二重露光による線幅変動を抑制するために、ライン幅が太くなるように補助パターンを配置することができる。このとき、補助パターン間での解像不良を抑制するために、補助パターン間の距離を十分に確保することが望ましい。また、トレンチパターン(抜きパターンで形成する配線)の場合は、二重露光による線幅変動を抑制するため、トレンチ幅を細くするように補助パターンを配する。その際、トレンチ幅に対して補助パターンの寸法が大きすぎると、トレンチが断裂してしまう恐れがあるので、トレンチ幅を一定以上の寸法にする必要がある。以上の理由より、補助パターンを配する手法だけでは、パターンの微細化という観点からは限界がある。一方、本実施形態では、左側領域SLと右側領域SRを、互いに異なるフォトレジスト膜に露光して、マスクパターン106LRを形成する。そのため、中間領域SCにおける二重露光が発生せず、
図18(a-2)に示す様に中間領域SCにおけるパターンの寸法変動を抑制できるため、パターンの微細化に有利である。
【0185】
図18(b-1)に、左側領域SLと右側領域SRが互いにX方向にアライメントずれした時の左側領域SLと右側領域SRの露光パターンの位置関係を表す平面図を示す。また、その場合において、マスク材料膜106上に形成されたマスクパターン106Lとマスクパターン106Rの平面図を
図18(b-2)に表す。従来の分割露光技術では、左側領域SLと右側領域SRを、同一のフォトレジストに露光するため、
図18(b-1)のように、X方向のアライメントずれが生じると、中間領域SCの面積が変化する。その場合、中間領域SCにおいて、積算露光量が変化するため、パターンの線幅が変動し、パターンの断裂やパターン間の短絡が問題となる可能性がある。アライメントずれによるパターンの線幅変動が生じた場合においても、パターンが断線することがないように、中間領域SCに補助パターンを設けている。しかしながら、この手法では、重複領域において、パターン幅の寸法が大きくなるので、微細化とは相反する。一方で、本実施形態においては、左側領域SLと右側領域SRは、互いに異なるフォトレジスト膜に露光して、パターンを形成する。そのため、X方向のアライメントずれにより、中間領域SCの面積が変化した場合でも、パターンの寸法変動を抑制できるため、パターンの微細化に好適である(
図18(b-2))。
【0186】
図18(c-1)は左側領域SLと右側領域SRが互いにY方向にアライメントずれしたときの、左側領域SLと右側領域SRの露光パターンの位置関係を表す平面図を示す。また、その場合において、マスク材料膜106上形成されたマスクパターン106Lとマスクパターン106Rの平面図を
図18(c-2)に表す。露光パターン107Hの幅をMh、露光パターン108Mの幅をMm、Y方向でのアライメントズレ量をMyとすると、中間領域SCにおける配線の幅はMy+(Mh+Mm)/2となる。なお、配線がショートしない条件はMy<Mh&Mmとなる。典型的には、My+(Mh+Mm)/2≒Wmaxとなる。例えば、Mh&Mm<180nmにおいて、My<50nmであれば、Wmax<230nmとなる。Mh&Mm<130nmにおいて、My<100nmであれば、Wmax<230nmとなる。Mh&Mm<130nmにおいて、My<50nmであれば、Wmax<180nmとなる。Mh&Mm<90nmにおいて、My<80nmであれば、Wmax<170nmとなる。Mh&Mm<90nmにおいて、My<40nmであれば、Wmax<130nmとなる。
【0187】
典型的な分割露光技術では、左側領域SLと右側領域SRを、同一のフォトレジスト膜に露光する。そのため、
図18(c-2)のように、Y方向のアライメントずれが生じる場合、中間領域SCにおいて、左側領域SLのパターンと右側領域のパターンの間のスペース部SSが小さくなる。その結果、スペース部で解像に必要な光学的コントラストが十分に得られず、パターンの短絡が問題となり得る。一方で、本実施形態においては、左側領域SLと右側領域SRを別々のフォトレジストに転写するため、パターン間の距離SSが小さくなる場合においても、隣接するマスクパターン106LR同士の間の部分Psの幅が減少しにくい。したがって、同じフォトレジストに転写する場合に比較して、配線の短絡を抑制できる。
【0188】
このように、本実施形態による手法では、左側領域SLと右側領域SRを異なるレジストに露光しているので、寸法変動やパターンの断裂、隣接パターン間での短絡を抑制できるため、パターンの微細化に有利である。
【0189】
図19(c)、(d)、(e)を用いてマスクパターン106Lとレジストパターン108Rとの関係を説明する。
図19(c)の左図は工程Gにおける半導体装置を平面視したときの平面図であり、
図19(c)の右図は工程Hにおける半導体装置を平面視したときの平面図である。
図19(d)(e)は、
図19(c)において線C-C’と線B-B’の間に位置する線A-A’(不図示)における断面図である。
図19(d)(e)における線A-A’は、
図16(g-2)や
図17(h-2)に示した線A-A’に相当する。
図19(c)と
図19(d)、(e)とで共通の部材には、同一のハッチングを付している。
図19(c)ではレジストパターン108Rとマスクパターン106Lとの関係を示すために、フォトレジスト膜108のハッチング(斜線)と、マスク材料膜106のハッチング(ドット)とを重ねて表示している。工程Eのエッチングで形成されたマスクパターン106Lの側面が、工程Gにおいてレジストパターン108Rによって露出されていると、工程Hにおいてマスクパターン106Lの側面がエッチングに晒され得る。したがって、レジストパターン108Rとマスクパターン106Lとが重複する中間領域SCでは、マスクパターン106Lの側面がサイドエッチングされる場合がある。そうすると、マスクパターン106LRの形状が、単純に露光パターン107Hと露光パターン108Mの重ね合わせとは異なってしまう場合がある。
図19(c)の左側の図はマスクパターン106Lとレジストパターン108Rとの位置関係を示しており、
図19(c)の右側の図はマスクパターン106LRの形状を示している。
図19(c)には、6つの例(i)~(vi)を記載している。例(i)、(iii)、(v)は
図18に示したようにx方向のアライメントズレ量に応じた変化を示している。例(i)の様に、y方向のアライメントズレが仮にゼロであったとしても、上述したマスクパターン106Lのサイドエッチングによって中間領域SCにおいて配線の幅が太くなりうる。この部分が上述したように、最大幅Wmaxを有する部分Pcでありうる。例(i)、(iii)、(v)に示す様に、アライメントズレ量が大きいほど、マスクパターン106Lのうちで工程Hにおいてエッチングに晒される部分が増える。そのため、配線の幅が太い範囲が増える。このことは配線の抵抗の増大を抑制する上で有利である。しかし隣接する配線間の間隔を小さくする上では不利である。
【0190】
そこで、
図19(d)、(e)に示す様に、工程Hにおいてマスクパターン106Lの側面を保護する側面保護部材SWPを配置することが有効である。側面保護部材SWPはレジストパターン108Rの開口とマスクパターン106Lの側面との間に存在する。例えば、
図19(d)に示す様に、レジストパターン108Rがマスクパターン106Lの側面を覆うようにすることが好ましい。ここで、側面保護部材SWPはレジストパターン108Rの一部でありうる。このような形態は、レジストパターン108Rの開口の寸法をマスクパターン106Lの開口の寸法よりも小さくすることで形成できる。これにより、工程Hにおけるマスクパターン106Lの変形を抑制できる。あるいは、
図19(e)に示す様に、マスクパターン106Lの側面の上に側面保護部材SWPを配置してもよい。側面保護部材SWPはフォトレジスト膜108の一部であって、レジストパターン108Rからは分離した部材であってもよい。あるいは、側面保護部材SWPはフォトレジスト膜108とは別の材料で構成されていてもよい。
【0191】
図19(c)の例(ii)、(iv)、(vi)では、レジストパターン108Rがマスクパターン106Lの側面を覆っている形態である。レジストパターン108Rは中間領域SCにおいて他の部分(右側領域SR上の部分)よりも細くなっている。例(iii)と例(iv)ではx方向のアライメントズレ量が同じであるが、例(iii)に比べて例(iv)の方が中間領域SCにおける配線幅の増大が抑制されている。例(v)と例(vi)ではx方向のアライメントズレ量が同じであるが、例(v)に比べて例(vi)の方が中間領域SCにおける配線幅の増大が抑制されている。
【0192】
本実施形態は、
図20(a)に示す積層型の半導体装置APRに適用してもよい。積層型の半導体装置APRは、光電変換チップ21と周辺回路チップ22が積層された構造を有する。光電変換チップ21は、光電変換素子を含む単位画素が2次元状に配列された画素アレイを含む半導体部品である。周辺回路チップ22は、信号処理回路22Lと信号処理回路22Rが同一の基板上に配された構造を有する半導体部品である。
【0193】
信号処理回路22L、22Rに含まれる回路は、例えばTG(Timing Generator)回路、ADC(Analog-to-Digital Converter)回路、DAC(Digital-to-Analog Converter)回路である。
【0194】
信号処理回路22L、22Rに含まれる回路は、例えば、DFE(Digital Front End)回路、DSP(Digital Signal Processor)回路、垂直走査回路、水平走査回路である。信号処理回路22L、22Rに含まれる回路は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)回路、DRAM(Dynamic Random Access Memory)回路である。また、信号処理回路22Lと信号処理回路22Rは、回路間配線層(不図示)により接続されていてもよい。光電変換チップ21および周辺回路チップ22の寸法は、露光装置の最大露光領域よりも大きく、周辺回路チップ22上に形成される信号処理回路22Lと信号処理回路22Rの寸法は、それぞれ露光装置の最大露光領域よりも小さい。光電変換チップ21および周辺回路チップ22のパターン形成に、本実施形態による手法を適用することができる。
【0195】
図20(b)に、半導体装置930を備える機器9191を説明する。
図20(b)は本実施形態の半導体装置930を備えた機器9191を説明する模式図である。半導体装置930を備える機器9191について詳細に説明する。半導体装置930は、半導体装置APRについて説明した構造上および/または製造方法の特徴を有する。半導体装置930は、回路単位900が配列された中央部901と、中央部901の周辺に位置する周辺部902を有している。
図1で説明した画素部11は中央部901に相当し、
図1で説明した信号処理回路12は周辺部902に設けられる。半導体装置930は半導体デバイス910を含み、この半導体デバイス910が、半導体装置APRが備える半導体層100を有する。半導体装置930は、半導体層100を有する半導体デバイス910のほかに、半導体デバイス910を収容するパッケージ920を含むことができる。パッケージ920は、半導体デバイス910が固定された基体と、半導体デバイス910に対向するガラスなどの蓋体と、を含むことができる。パッケージ920は、さらに、基体に設けられた端子と半導体デバイス910に設けられた端子とを接続するボンディングワイヤやバンプなどの接合部材を含むことができる。
【0196】
機器9191は、光学装置940、制御装置950、処理装置960、画像装置970、記憶装置980、機械装置990の少なくともいずれかを備えることができる。光学装置940は、半導体装置930に対応する。光学装置940は、例えばレンズやシャッター、ミラー、フィルターである。制御装置950は、半導体装置930を制御する。制御装置950は、例えばASICなどの半導体装置である。
【0197】
処理装置960は、半導体装置930から出力された信号あるいは半導体装置930へ入力する信号を処理する。処理装置960は、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPUやASICなどの半導体装置である。
【0198】
画像装置970は、半導体装置930が光電変換装置(撮像装置)である場合には)、半導体装置930で得られた情報(画像)を表示する、EL表示装置や液晶表示装置である。画像装置970は、半導体装置930が表示装置置である場合には、半導体装置930に表示する画像を撮影する光電変換装置(撮像装置)でありうる。
【0199】
記憶装置980は、半導体装置930で扱う情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置980は、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0200】
機械装置990は、モーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。機器9191では、半導体装置930から出力された信号を表示装置970に表示したり、機器9191が備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器9191は、半導体装置930が有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置980や処理装置960をさらに備えることが好ましい。機械装置990は、半導体装置930から出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0201】
また、機器9191は、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウエアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器に適する。カメラにおける機械装置990はズーミングや合焦、シャッター動作のために光学装置940の部品を駆動することができる。あるいは、カメラにおける機械装置990は防振動作のために半導体装置930を移動することができる。
【0202】
また、機器9191は、車両や船舶、飛行体などの輸送機器であり得る。輸送機器における機械装置990は移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器9191は、半導体装置930を輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものに好適である。運転(操縦)の補助および/または自動化のための処理装置960は、半導体装置930で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置990を操作するための処理を行うことができる。あるいは、機器9191は内視鏡などの医療機器や、測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機やプリンターなどの事務機器であってもよい。
【0203】
上述した実施形態によれば、良好な配線を形成することが可能となる。従って、半導体装置の価値を高めることができる。ここでいう価値を高めることには、機能の追加、性能の向上、特性の向上、信頼性の向上、製造歩留まりの向上、環境負荷の低減、コストダウン、小型化、軽量化の少なくともいずれかが該当する。
【0204】
従って、本実施形態に係る半導体装置930を機器9191に用いれば、機器9191の価値をも向上することができる。例えば、半導体装置930を輸送機器に搭載して、輸送機器の外部の撮影や外部環境の測定を行う際に優れた性能を得ることができる。よって、輸送機器の製造、販売を行う上で、本実施形態に係る半導体装置を輸送機器へ搭載することを決定することは、輸送機器自体の性能を高める上で有利である。特に、半導体装置で得られた情報を用いて輸送機器の運転支援および/または自動運転を行う輸送機器に半導体装置930は好適である。
【0205】
<第10実施形態>
図21は本実施形態に係る光電変換装置の概略ブロック図である。光電変換装置1101は、複数の画素が行列状に配列された撮像領域1102、画素に含まれる各部を駆動するための垂直走査回路1103、及び画素の電気信号を読み出すための水平走査回路1105、画素の電気信号が出力される出力部1106を含む。出力部1106は、光電変換装置の外部に電気信号を出力する。光電変換装置は、撮像領域1102に入射する光の光量に対応する電気信号を出力する。また、光電変換装置は、垂直走査回路1103、水平走査回路1105、出力部1106の動作を制御する制御部1104を有する。制御部1104はタイミングジェネレータとも呼ばれうる。
【0206】
図22は撮像領域1102に含まれる画素の等価回路図である。
図22においては、簡略化のために3行2列の構成を上げているが、画素の数はこれに限定されるものではない。典型的には、数千万の画素が撮像領域1102に配されている。また、1列に対して3本の出力線1018-1、1018-2、1018-3が配置されているが、出力線の数はこれに限定されるものではなく、さらに多くの出力線であってもよい。
【0207】
単位画素1201は光電変換部1001、フローティングディフュージョン部1002、光電変換部1001とフローティングディフュージョン部1002との間に設けられた転送部1011を含む。また、必要に応じてフローティングディフュージョン部1002の容量を切り替えるための容量切り替え部1012を含む。さらに、フローティングディフュージョン部1002をリセットするためのリセット部1013と、フローティングディフュージョン部1002の信号を出力するための増幅部1014と、必要に応じて設けられる行選択部1015とを含む。
【0208】
光電変換部1001は単位画素1201に入射した光を受け、その受光量に応じた電荷を発生させる。フローティングディフュージョン部1002は光電変換部1001から転送された電荷を一時的に保持すると同時に、保持した電荷を電圧信号に変換する電荷電圧変換部として機能する。
【0209】
転送部1011は垂直走査回路1103から出力される信号pTXによって駆動され、光電変換部1001で発生した電荷をフローティングディフュージョン部1002に転送する。
【0210】
容量切り替え部1012は信号pFDincによって駆動され、フローティングディフュージョン部1002の容量を切り替える。容量切り替え部1012をオン状態にすることにより、容量切り替え部のゲート容量分をフローティングディフュージョン部1002に付加することが出来る。信号pFDincは、垂直走査回路1103から出力されても良いし、制御部1104から出力されても良い。垂直走査回路1103が信号pFDincを出力する場合には、画素の行ごとにフローティングディフュージョン部1002の容量の切り替えを行うことができる。制御部1104が信号pFDincを出力する場合には、撮像領域1102の全体で一括してフローティングディフュージョン部1002の容量の切り替えを行うことができる。
【0211】
リセット部1013は垂直走査回路1103から出力される信号pRESによって駆動される。その際、リセット部1013と容量切り替え部1012を同時にオン状態にすることにより、フローティングディフュージョン部1002をリセットすることが出来る。
【0212】
増幅部1014はフローティングディフュージョン部1002で変換された電圧信号を増幅して、画素信号として出力する。行選択部1015は行選択駆動パルスpSELによって駆動され、増幅部1014で増幅された画素信号を出力線1018-1、1018-2、1018-3のいずれかに出力する。
【0213】
図23は例として低輝度時の画素信号を出力する際のタイミングチャートを示している。横軸が時刻、縦軸が電圧を示しており、
図22に示した駆動パルスに対応している。
【0214】
時刻t1では、垂直走査回路1103は、所定行の画素の、容量切り替え部1012、リセット部1013、行選択部1015をオン状態にする。これによって画素を選択するとともに、フローティングディフュージョン部1002をリセットする。以下、この選択されている所定行の画素の制御を説明する。
【0215】
次に、時刻t2では、容量切り替え部1012をオフ状態にする。これによって読み出し時のフローティングディフュージョン部1002の容量を小さくし、ノイズを低減することができる。また、このときに増幅部1014を通じて出力線1018―m(mは1~3のいずれか)に出力された信号をリセットレベル信号として出力部1106へ出力する。なお、出力線1018-mについては、出力線全般を指し示す場合には欄に出力線1018と表記することがある。
【0216】
次に、垂直走査回路1103は時刻t3に転送部1011をオン状態にする。これにより、光電変換部1001に蓄積された電荷をフローティングディフュージョン部1002へ転送する。
【0217】
そして、垂直走査回路1103は時刻t4に転送部1011をオフ状態にする。増幅部1014は、フローティングディフュージョン部1002の電位に対応する信号(画素信号)を、対応する出力線1018-mに出力する。出力線1018-nに出力された画素信号は、対応する列回路によって増幅、ノイズ低減、AD変換等の処理が行われる。その後、各列の列回路から水平走査回路1105による水平走査によって、処理された画素信号が出力部1106に出力される。
【0218】
図24(a)は本実施形態における単位画素1201の平面図である。
図22で示す要素と同一、または対応する要素には同じ番号を付している。また、平面図においては簡略化のため各領域を矩形で示してはいるが、各部の形状を表すものではなく、この領域に各部が少なくとも配置されていることを示している。画素トランジスタ領域1401にはリセット部1013、増幅部1014、行選択部1015等が配置されている。
図24では、2行2列の単位画素1201を示している。出力線1018-1~1018-3は第1方向に沿って延在している。複数の単位画素のうち、第1画素が備える光電変換部を1001-1として示している。第1方向とは別の方向である、第2方向に沿って第1画素と隣り合う第2画素の光電変換部を1001-2として示している。なお、
図24では、第1方向と第2方向は半導体基板の上面から見た平面視において直交する方向である。第1方向に沿って第2画素と隣り合う第3画素の光電変換部を1001-3として示している。また、第1方向に沿って第1画素と隣り合う第4画素の光電変換部を1001-4として示している。光電変換部1001-3は、光電変換部1001-4と第2方向に沿って隣り合っている。
【0219】
図24(b)は
図24(a)の第2の位置であるG-G′の断面図を示している。また
図24(c)は
図24(a)の第1の位置であるH-H′の断面図を示している。第1の位置は、第1画素の光電変換部1001-1と、第3の画素の光電変換部1001-3との間の領域に位置する。第2の位置は、第1画素の光電変換部1001-1と第2画素の光電変換部1001-2の間の領域に位置する。なお、説明の簡略化のため、出力線1018以外の配線は省略している。第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3は同一の配線層に構成されている。ここでG-G′断面で見たときの第1出力線1018-1と第2出力線1018-2とのスペースをS1A、第2出力線1018-2と第3出力線1018-3とのスペースをS2Aとして示す。また、第1出力線1018-1と第3出力線1018-3とのスペースをS3Aと示す。またH-H′断面で見たときの第1出力線1018-1と第2出力線1018-2とのスペースをS1B、第2出力線1018-2と第3出力線1018-3とのスペースをS2B、第1出力線1018-1と第3出力線1018-3とのスペースをS3Bと示す。
【0220】
本実施形態では、第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3のうち中央に配置された第2出力線1018-2の配線容量を低減する。本実施形態では、第1出力線と第2出力線との間の距離と、第2出力線と第3出力線との間の距離に関し、第1の位置におけるそれぞれの距離よりも第2の位置におけるそれぞれの距離を大きくしている。具体的には、スペースS1AをスペースS1Bよりも大きく、かつスペースS2AをスペースS2Bよりも大きく、かつスペースS3AをスペースS3Bよりも大きくしている。これによって第2出力線1018-2の寄生容量を低減している。この寄生容量の低減によって、リセットレベル信号と画素信号のそれぞれについて、出力線1018-2の電位の静定を早めることができる。よって、画素信号の読み出し速度を高速化することができる。また、本実施形態では、1行の画素に対し、信号pRES、信号pFDinc、信号pTX、信号pSELのそれぞれを伝送する4本の制御線が設けられている。この4本の制御線群の一端(信号pRESの制御線)から、当該制御線群の他端(信号pSELの制御線)までの距離は、
図24に示したようにD1である。一方、1列の画素に対し、画素信号を出力する出力線は出力線1018-1~1018-3の3本設けられている。この出力線1018-1~1018-3である出力線群の一端(出力線1018-1)から他端(出力線1018-3)までの距離は、隣り合う単位画素1201の複数のトランジスタ領域の間ではD2である。また、出力線群の一端(出力線1018-1)から他端(出力線1018-3)までの距離は、隣り合う単位画素1201の複数の光電変換部1001の間ではD2よりも小さいD3である。1行1列に着目すると、制御線の方が出力線よりも多く設けられている。よって、出力線群の一端から多端までの距離を、複数の光電変換部1001の間でもD2とすると、複数行間の単位画素同士の方が複数列間の単位画素同士よりも距離が大きくなる傾向にある。よって、1つの単位画素1201の光電変換部1001の開口も、複数行の単位画素が並ぶ方向に沿った長さが、複数列の単位画素が並ぶ方向に沿った長さよりも長くなる傾向にある。一方、本実施形態では、出力線1018-1、1018-3のそれぞれから出力線1018-2へのスペースが広がる部分を、複数の光電変換部1001の間の領域に設けている。これにより、1つの単位画素1201の光電変換部1001の開口に関し、複数行の単位画素が並ぶ方向に沿った長さと、複数列の単位画素が並ぶ方向に沿った長さとを揃えやすくすることができる。これにより、単位画素1201の複数行間でのクロストークのしやすさと、複数列間のクロストークのしやすさを揃えることができる。ここで、複数の単位画素1201がベイヤー配列のカラーフィルタを備える場合を考える。緑色の波長に対応する光を透過するカラーフィルタを備えた単位画素1201に対して隣の行に位置する単位画素1201と隣の列に位置する単位画素1201は、それぞれ異なる色の波長に対応する光を透過するカラーフィルタを備えることとなる。典型的には、赤色の波長の光を透過するカラーフィルタを備える単位画素1201と、青色の波長の光を透過するカラーフィルタを備える単位画素1201の一方ずつが隣の行、隣の列に配される。この場合、単位画素1201の複数行間でのクロストークのしやすさと、複数列間のクロストークのしやすさが異なると、赤色と青色の単位画素1201の一方の信号が、緑色の単位画素1201にクロストークしやすくなる。これにより、光電変換装置が出力する画素信号によって生成した画像において、本来の色とは異なった色に寄った画像が生成されやすくなる。よって、画質の低下が生じる。一方、本実施形態では複数行間と複数列間のクロストークを揃えやすくしているため、赤色と青色の単位画素1201のそれぞれからのクロストークも揃いやすくなっている。これにより、本来の被写体の色を表現した画像を得やすくすることができる。
【0221】
<第11実施形態>
図25(a)は本実施形態における単位画素1201の平面図である。
図22で示す要素と同一、または対応する要素には同じ番号を付している。また、平面図においては簡略化のため各領域を矩形で示してはいるが、各部の形状を表すものではなく、この領域に各部が少なくとも配置されていることを示している。画素トランジスタ領域1501にはリセット部1013、増幅部1014、行選択部1015等が配置されている。また表面照射型の光電変換装置において、導波路構造1502は光電変換部1001に集光することで画素感度を向上させることができる。ただし導波路構造1502は配線に重ならないように配置する必要がある。
【0222】
図25(b)は
図25(a)のG-G′(第1の位置)の断面図を示している。また
図25(c)は
図25(a)のH-H′(第2の位置)の断面図を示している。第1の位置における、第1出力線1018-1の一端から、第3出力線1018-3の一端までの距離をD4として示している。また、第2の位置における、第1出力線1018-1の一端から、第3出力線1018-3の一端までの距離をD5として示している。D5の方が、D4よりも長い関係にある。なお、説明の簡略化のため、出力線1018以外の配線は省略している。第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3、第4出力線1018-4は同一の配線層で構成されている。ここでG-G′断面で見たときの第1出力線1018-1と第2出力線1018-2とのスペースをS1A、第2出力線1018-2と第3出力線1018-3とのスペースをS2Aと示す。さらに、第1出力線1018-1と第3出力線1018-3とのスペースをS3Aと示す。またH-H′断面で見たときの第1出力線1018-1と第2出力線1018-2とのスペースをS1B、第2出力線1018-2と第3出力線1018-3とのスペースをS2B、第1出力線1018-1と第3出力線1018-3とのスペースをS3Bと示す。
【0223】
本実施形態では、第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3、第4出力線1018-4のうち第2出力線1018-2の配線容量を低減する。具体的には、スペースS1BをスペースS1Aよりも大きく、かつスペースS3BをスペースS3Aよりも大きくしている。また、第3出力線1018-3についても第2出力線1018-2と同様の方法で配線容量を低減することができる。これによって、中央に配置された第2出力線1018-2、第3出力線1018-3の寄生容量を低減している。これにより、リセットレベル信号と画素信号のそれぞれの静定を早めることができる。よって、画素信号の読み出し速度を高速化することができる。また、出力線1018-1~1018-3による導波路構造1502の直径の減少を抑制することができる。これにより、光電変換部1001の感度の低下を抑制することができる。
【0224】
<第12実施形態>
図26(a)は本実施形態における単位画素1201の平面図である。
図22で示す要素と同一、または対応する要素には同じ番号を付している。また、平面図においては簡略化のため各領域を矩形で示してはいるが、各部の形状を表すものではなく、この領域に各部が少なくとも配置されていることを示している。画素トランジスタ領域1601にはリセット部1013、増幅部1014、行選択部1015等が配置されている。また裏面照射型の光電変換装置において、シールド配線1602はシリコン基板を透過した光を光電変換部1001に反射させることで画素感度を向上させることができる。つまり、光電変換部1001が備わる半導体基板の光入射面である第1面の上部にはマイクロレンズが設けられており、第1面に対向する第2面の上部にはシールド配線1602を含む配線層が設けられた構成となっている。シールド配線1602は金属(合金を含む)で構成された金属膜である。
【0225】
図26(b)は
図26(a)の第1の位置であるG-G′の断面図を示している。また
図26(c)は
図26(a)の第2の位置であるH-H′の断面図を示している。本実施形態では、第1の位置は、第1画素の光電変換部1001-1と第2画素の光電変換部1001-2との間の領域に位置する。第2の位置は、第1画素の光電変換部1001-1と第3画素の光電変換部1001-3の間の領域に位置する。なお、説明の簡略化のため、出力線1018、シールド配線1602以外の配線は省略している。第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3、第4出力線1018-4は同一の配線層で構成されている。ここでG-G′断面で見た場合の第1出力線1018-1と第2出力線1018-2とのスペースをS1A、第2出力線1018-2と第3出力線1018-3とのスペースをS2A、第1出力線1018-1と第3出力線1018-3とのスペースをS3Aと示す。またH-H′断面で見た場合の第1出力線1018-1と第2出力線1018-2とのスペースをS1B、第2出力線1018-2と第3出力線1018-3とのスペースをS2B、第1出力線1018-1と第3出力線1018-3とのスペースをS3Bと示す。
【0226】
本実施形態では、第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3、第4出力線1018-4のうち第2出力線1018-2の配線容量を低減する。本実施形態では、第1出力線と第2出力線との間の距離と、第2出力線と第3出力線との間の距離に関し、第1の位置におけるそれぞれの距離よりも第2の位置におけるそれぞれの距離を大きくしている。具体的には、スペースS1BをスペースS1Aよりも大きく、かつスペースS3BをスペースS3Aよりも大きくしている。また、第3出力線1018-3についても第2出力線1018-2と同様の方法で配線容量を低減することができる。これによって中央に配置された第2出力線1018-2、第3出力線1018-3の寄生容量を低減している。よって、リセットレベル信号と画素信号のそれぞれの静定を早めることができ、画素信号の読み出し速度を高速化することができる。
【0227】
<第13実施形態>
図27(a)は本実施形態における単位画素1201の平面図である。
図22で示す要素と同一、または対応する要素には同じ番号を付している。また、平面図においては簡略化のため各領域を矩形で示してはいるが、各部の形状を表すものではなく、この領域に各部が少なくとも配置されていることを示している。画素トランジスタ領域1701にはリセット部1013、増幅部1014、行選択部1015等が配置されている。
【0228】
図27(b)は
図27(a)のG-G′の断面図を示している。また
図27(c)は
図27(a)のH-H′の断面図を示している。なお、説明の簡略化のため、出力線1018以外の配線は省略している。G-G′断面では第1出力線1018-1と第3出力線1018-3は同一の配線層で構成されているが、第2出力線1018-2は異なる配線層で構成されている。H-H′断面では第1出力線1018-1と第3出力線1018-3が接続部1702を介して第2出力線1018-2と同じ配線層へ切り替えられている。
【0229】
本実施形態では、第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3のうち中央に配置された第2出力線1018-2の配線容量を低減する。具体的には、外側に配置された第1出力線1018-1と第3出力線1018-3の配線層を切り替えている。これによって出力線1018-2の寄生容量を低減し、リセットレベル信号と画素信号の静定を早めることができる。これにより、画素信号の読み出し速度を高速化することができる。
【0230】
<第14実施形態>
図28(a)は本実施形態における単位画素1201の平面図である。
図22で示す要素と同一、または対応する要素には同じ番号を付している。また、平面図においては簡略化のため各領域を矩形で示してはいるが、各部の形状を表すものではなく、この領域に各部が少なくとも配置されていることを示している。画素トランジスタ領域1801にはリセット部1013、増幅部1014、行選択部1015等が配置されている。
【0231】
図28(b)は
図28(a)のG-G′の断面図を示している。また
図28(c)は
図28(a)のH-H′の断面図を示している。なお、説明の簡略化のため、出力線1018以外の配線は省略している。G-G′断面では第1出力線1018-1と第3出力線1018-3は同一の配線層に配されているが、第2出力線1018-2は互いに異なる配線層に配されている。H-H′断面では第2出力線1018-2が接続部1802を介して第1出力線1018-1、第3出力線1018-3と同じ配線層へ切り替えられている。
【0232】
本実施形態では、第1出力線1018-1、第2出力線1018-2、第3出力線1018-3のうち中央に配置された第2出力線1018-2の配線容量を低減するために、中央に配置された第2出力線1018-2の配線層を切り替えている。これによって出力線1018-2の寄生容量を低減し、リセットレベル信号と画素信号の静定を早めることができる。これにより、画素信号の読み出し速度を高速化することができる。
【0233】
これまでに述べた第10~第14実施形態の各半導体装置は、
図20(a)に示す半導体装置APRに適用できる。また、
図20(b)に記載された半導体装置930に適用できる。
【0234】
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、「AはBではない」旨の記載を省略しても、本明細書は「AはBでない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBでない」場合を考慮していることが前提だからである。
【符号の説明】
【0235】
100 半導体層
110 配線
110a 左側部分
110b 右側部分
110c 中間部分
APR 半導体装置
Q1,Q2,Q3 配線
Wa,Wb,Wc 幅
Ph,Pc,Pm 部分
Wh,Wc,Wm 幅