(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】オゾン発生装置及びオゾン発生管理システム
(51)【国際特許分類】
C01B 13/11 20060101AFI20241111BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20241111BHJP
F24F 8/26 20210101ALI20241111BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20241111BHJP
【FI】
C01B13/11 K
A61L9/015
F24F8/26
F24F8/80 165
(21)【出願番号】P 2020215559
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】助田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】今津 龍也
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 広幸
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053957(JP,A)
【文献】特開2004-332959(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150735(WO,A1)
【文献】特開2020-123262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/11
A61L 9/015
F24F 7/003
F24F 11/72
F24F 11/50
F24F 11/64
F24F 120/10
F24F 110/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電によりオゾンを発生させる電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置において、
所定の通信相手装置と有線又は無線で接続されて少なくとも情報を受信可能とされる通信部を備え、
当該通信部が、前記通信相手装置から当該通信相手装置の取得している制御用情報を受け取り、
前記電極部及び送風部の少なくとも一方が、前記制御用情報に基づいて作動する
ように設定されており、
前記通信部における前記通信相手装置からの情報受信が行えない場合には、前記電極部で発生させるオゾンの量を低減する調整、及び、前記送風部で取り込み且つ送り出す空気量を低減する調整、の少なくとも一方を実行した上で、電極部及び送風部の作動による室内空間へのオゾン送出状態を継続することを
特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
放電によりオゾンを発生させる電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置と、
前記室内空間に関連する情報を取得し、当該取得した情報に基づいてオゾン発生装置の制御用情報を作成する管理部と、
前記管理部と通信可能とされると共に、前記オゾン発生装置に対し少なくとも情報送信可能とされる室内装置とを備え、
前記オゾン発生装置が、前記室内装置から少なくとも前記制御用情報を受け取り可能とされる通信部を有し、前記電極部及び送風部の少なくとも一方を、前記制御用情報に基づいて作動させるように設定されており、
前記室内装置が、前記室内空間に対し作動して所定の影響を及ぼす装置であり、
前記管理部が、前記室内装置との通信で、室内装置の作動に係る所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部又は全部として用いて、前記制御用情報を作成することを
特徴とする
オゾン発生管理システム。
【請求項3】
放電によりオゾンを発生させる電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置と、
前記室内空間に関連する情報を取得し、当該取得した情報に基づいてオゾン発生装置の制御用情報を作成する管理部と、
前記管理部及びオゾン発生装置と通信可能とされる室内装置を備え、
前記オゾン発生装置が、当該オゾン発生装置自体の状態を検出して取得し、当該状態についての所定の情報を前記室内装置に送信可能とされ、
前記室内装置が、前記オゾン発生装置から送信されるオゾン発生装置の状態についての前記所定の情報を受信し、
前記管理部が、前記室内装置との通信で、室内装置から前記所定の情報を取得して、前記オゾン発生装置の状態を把握することを
特徴とするオゾン発生管理システム。
【請求項4】
放電によりオゾンを発生させる電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置と、
前記室内空間に関連する情報を取得し、当該取得した情報に基づいてオゾン発生装置の制御用情報を作成する管理部とを備え、
前記オゾン発生装置が、前記管理部から少なくとも前記制御用情報を受け取り可能とされる通信部を有し、前記電極部及び送風部の少なくとも一方を、前記制御用情報に基づいて作動させるように設定されており、
前記管理部が、前記オゾン発生装置以外の他の装置、又は、前記オゾン発生管理システム以外の他のシステム、で入手された室内空間における人に係る所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部又は全部として用いて、前記制御用情報を作成することを
特徴とするオゾン発生管理システム。
【請求項5】
放電によりオゾンを発生させる電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置と、
前記室内空間に関連する情報を取得し、当該取得した情報に基づいてオゾン発生装置の制御用情報を作成する管理部とを備え、
前記オゾン発生装置が、前記管理部から少なくとも前記制御用情報を受け取り可能とされる通信部を有し、前記電極部及び送風部の少なくとも一方を、前記制御用情報に基づいて作動させるように設定されており、
前記管理部が、前記オゾン発生装置以外の他の装置、又は、前記オゾン発生管理システム以外の他のシステム、の有する室内空間自体に係る所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部として用いて、前記制御用情報を作成することを
特徴とするオゾン発生管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間でオゾンを発生させ、オゾンの酸化作用で空気の消臭や除菌を行うオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不快な臭いの原因物質や雑菌等が浮遊する清浄でない空気に対し、オゾンを発生させて空気と接触させ、オゾンの酸化作用で空気の消臭や除菌を行うオゾン発生装置が、近年用いられるようになっている。
こうした従来のオゾン発生装置の例として、特開2018-143581号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のオゾン発生装置は、前記特許文献に示される構成とされており、オゾンを発生させて装置外に放出し、オゾンを浄化対象の空気と接触させて、オゾンの酸化作用により空気中や空気に触れる室内空間各部に存在する臭いの原因物質や雑菌の除去を行えるようにするものであった。
【0005】
こうした従来のオゾン発生装置の使用に際し、強力な消臭除菌効果を得られるように、オゾンを高濃度で室内空間に送出すると、室内空間におけるオゾン発生装置の近くに人が存在する場合、人にオゾン臭による不快感を与えたり、オゾンとの接触に伴う身体への悪影響を及ぼすおそれがある。このため、オゾン発生装置においては、装置近くに人の存在し得る状況で、高濃度のオゾンを発生させることができない仕様となっているが、その反面、オゾンの消臭除菌の効果にも制限がかかり、室内空間の空気に対する十分な消臭除菌効果が望めない、という課題を有していた。
【0006】
これに対し、オゾン発生装置に人の存在を検出可能なセンサを設けて、装置の近くに人が存在することをセンサで検出した場合には、オゾンの濃度を抑える一方、センサが人の存在を検出しない間は、オゾンを高濃度で送出する、といった制御を行わせる構成とし、オゾンの消臭除菌効果を最大限発揮できるようにすることも考えられる。しかしながら、こうしたセンサとこのセンサを利用したオゾン送出に係る制御機構を設けることで装置構成が複雑化し、装置のコストが上昇するという新たな問題が生じる、という課題を有していた。
【0007】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、設置された室内空間に関する情報を他の機器から入手して、情報に基づくオゾンの適切な送出制御を簡略な構成で実現可能とし、オゾンによる室内空間での消臭除菌を効率よく且つ安全に行える、オゾン発生装置及びこれを用いたオゾン発生管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開示に係るオゾン発生装置は、放電によりオゾンを発生させる電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置において、所定の通信相手装置と有線又は無線で接続されて少なくとも情報を受信可能とされる通信部を備え、当該通信部が、前記通信相手装置から当該通信相手装置の取得している制御用情報を受け取り、前記電極部及び送風部の少なくとも一方が、前記制御用情報に基づいて作動するものである。
【0009】
このように本発明の開示によれば、通信部の通信相手装置が取得している制御用情報を通信部で受け取り、オゾンの送出に係る作動制御を制御用情報に基づいて行えるようにすることにより、室内空間に係る情報、例えば室内空間への人の出入りなどの情報に基づくオゾンの送出調整を、センサ追加などオゾン発生装置の過大なコスト増加を招くことなく実現でき、使用者の安全を確保しつつ適切なオゾン送出を行える。
【0010】
また、本発明の開示に係るオゾン発生装置は必要に応じて、前記通信部における前記通信相手装置からの情報受信が行えない場合には、前記電極部で発生させるオゾンの量を低減する調整、及び、前記送風部で取り込み且つ送り出す空気量を低減する調整、の少なくとも一方を実行した上で、電極部及び送風部の作動による室内空間へのオゾン送出状態を継続するものである。
【0011】
このように本発明の開示によれば、オゾン発生装置と通信相手装置との間の通信状況に異常が発生してもオゾンの送出を停止せず、オゾンの発生量やオゾンと空気との接触頻度を減らした上で、オゾンの室内空間への送出を継続することにより、室内空間の空気の除菌脱臭による浄化を必要最小限ながら継続して、室内空間の人に対する安全性を維持しつつ、室内空間の清浄状態を確保できる。
【0012】
また、本発明の開示に係るオゾン発生システムは、放電によりオゾンを発生させる複数の電極部、及び、当該電極部で発生したオゾンを室内空間から取り込んだ空気と共に室内空間へ送り出す送風部を少なくとも有するオゾン発生装置と、前記室内空間に関連する情報を取得し、当該取得した情報に基づいてオゾン発生装置の制御用情報を作成する管理部とを備え、前記オゾン発生装置が、前記管理部から少なくとも前記制御用情報を受け取り可能とされる通信部を有し、前記電極部及び送風部の少なくとも一方を、前記制御用情報に基づいて作動させるものである。
【0013】
このように本発明の開示によれば、室内空間に関連する情報、例えば室内空間への人の出入りに関する情報等を管理部で収集取得し、それに基づいてオゾン発生装置の制御を行うための情報を作成し、この制御用情報を受け取ったオゾン発生装置で制御用情報に基づいた作動制御を行えるようにすることにより、オゾン発生装置に、室内空間に関連する情報としての室内空間における在室人数等の状況やオゾン発生装置の配置等に応じたオゾン送出を行わせて、オゾン発生装置からオゾン及びオゾンで浄化された空気を室内空間に効率よく且つ人への影響を抑えつつ分散させることができ、必ずしも高濃度のオゾンを送出しなくても適切に空気の浄化が行え、オゾン送出出力を最適化して装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。また、オゾン発生装置に外部から制御用情報を送ることで、オゾン発生装置に設ける制御用のセンサの数を減らせるなど、制御に係る機構を簡略化することができ、オゾン発生装置のコストを抑えられる。
【0014】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記管理部と通信可能とされると共に、前記オゾン発生装置に対し少なくとも情報送信可能とされる室内装置を備え、前記管理部が、作成した制御用情報を前記室内装置に送信し、前記室内装置が、前記管理部から受信した前記制御用情報を前記オゾン発生装置に送信し、前記オゾン発生装置の通信部が、前記室内装置と有線又は無線で接続されて少なくとも情報を受信可能とされて、室内装置を通じて制御用情報を受け取るものである。
【0015】
このように本発明の開示によれば、室内空間に関連する情報に基づいて管理部で作成された制御用情報を室内装置を通じてオゾン発生装置に送り、室内装置から制御用情報を受け取ったオゾン発生装置が電極部や送風部の制御を行うことにより、室内空間のオゾン発生装置に、室内装置を通じて管理部からの制御用情報が伝わって、この制御用情報に基づいたオゾン送出を行わせることとなり、室内装置とオゾン発生装置の通信部との間で通信を行って制御用情報をオゾン発生装置で無理なく受け取れるようにした上で、オゾン発生装置からオゾン及びオゾンで浄化された空気を室内空間に対しこの室内空間における人や室内空間そのものの状況に適切に対応させて分散させて浄化を行わせることができる。
【0016】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記室内装置が、前記室内空間に係る所定の情報を入手可能な一又は複数のセンサを有し、前記管理部が、前記室内装置との通信で、室内装置で入手された前記所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部又は全部として用いて、前記制御用情報を作成するものである。
【0017】
このように本発明の開示によれば、室内装置のセンサで室内空間に係る所定の情報を入手し、この情報を室内装置から取得した管理部が、情報に基づいてオゾン送出に係る制御用情報を作成し、オゾン発生装置において制御用情報に基づいた制御を行えるようにすることにより、センサで得られる室内空間における人の出入りやその人数等の状況等に応じたオゾンの送出状態で、オゾン発生装置がオゾンを送出して室内空間に分散させられ、室内空間の臭いや浮遊する雑菌のある汚れた空気を効率よく浄化でき、オゾンの送出を最適化して装置の運用コストを抑えられると共に、在室する人への影響も低減して安全性を高められる。
【0018】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記室内装置が、前記室内空間に対し作動して所定の影響を及ぼす装置であり、前記管理部が、前記室内装置との通信で、室内装置の作動に係る所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部又は全部として用いて、前記制御用情報を作成するものである。
【0019】
このように本発明の開示によれば、室内空間に対し作動する室内装置のその作動に係る所定の情報を管理部が室内装置から取得し、管理部が取得した情報に基づいてオゾン送出に係る制御用情報を作成し、この制御用情報に基づく制御をオゾン発生装置で行えるようにすることにより、室内装置の作動状態からわかる室内空間における人の状況や、室内装置の作動に伴う室内空間への影響、例えば室内空間における空気流動状態の変化など、に適応させたオゾンの送出状態で、オゾン発生装置がオゾンを送出して室内空間に分散させられ、室内空間の臭いや浮遊する雑菌のある汚れた空気を効率よく浄化でき、オゾンの送出を最適化して装置の運用コストを抑えられると共に、在室する人への影響も低減して安全性を高められる。
【0020】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記管理部が、前記オゾン発生装置以外の他の装置、又は、前記オゾン発生管理システム以外の他のシステム、で入手された室内空間における人に係る所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部又は全部として用いて、前記制御用情報を作成するものである。
【0021】
このように本発明の開示によれば、オゾン発生装置以外の他の装置、又は、オゾン発生管理システム以外の他のシステム、で入手された室内空間における人に係る所定の情報を管理部で取得し、この情報に基づいて管理部がオゾン送出に係る制御用情報を作成し、この制御用情報に基づく制御をオゾン発生装置で行えるようにすることにより、センサで得られる室内空間における人の出入りやその人数等の状況に係る情報だけでなく、例えば、人の出入りの傾向、室内空間に入退出する人自体やその行動の特徴といった幅広い各種情報を踏まえた制御用情報を作成でき、この制御用情報に対応するオゾンの送出状態を得られることとなり、オゾンの送出で室内空間の臭いや浮遊する雑菌のある汚れた空気を効率よく浄化でき、オゾンの送出を最適化して装置の運用コストを抑えられると共に、在室する人への影響も低減して安全性を高められる。
【0022】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記管理部が、前記室内空間を使用する人の室内空間外での行動に関連する所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部として用いて、前記制御用情報を作成するものである。
【0023】
このように本発明の開示によれば、室内空間を使用する人の室内空間外での行動に関連する所定の情報を管理部で取得し、この情報に基づいて管理部がオゾン送出に係る制御用情報を作成し、この制御用情報に基づく制御をオゾン発生装置で行えるようにすることにより、室内空間を参照するのみでは得られない、室内空間に入退出する人の外部での行動に起因して受ける影響等を踏まえて、オゾン送出による浄化の効果が最大限発揮されるような制御用情報を作成でき、室内空間ごとにオゾン発生装置の浄化能力を最適化することができ、装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。
【0024】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記管理部が、前記オゾン発生装置以外の他の装置、又は、前記オゾン発生管理システム以外の他のシステム、の有する室内空間自体に係る所定の情報を取得し、当該所定の情報を前記室内空間に関連する情報の一部として用いて、前記制御用情報を作成するものである。
【0025】
このように本発明の開示によれば、オゾン発生装置以外の他の装置、又は、オゾン発生管理システム以外の他のシステム、の有する室内空間自体に係る所定の情報を管理部で取得し、この情報に基づいて管理部がオゾン送出に係る制御用情報を作成し、この制御用情報に基づく制御をオゾン発生装置で行えるようにすることにより、センサで得られる室内空間における人の出入りやその人数等の状況に係る情報だけでなく、例えば、室内空間の構造や、空間内に配置された物の位置や大きさといった幅広い各種情報を踏まえた制御用情報を作成でき、この制御用情報に対応するオゾン送出でオゾンを室内空間に適切に分散させ、室内空間の臭いや浮遊する雑菌のある汚れた空気を効率よく浄化でき、オゾンの送出を最適化して装置の運用コストを抑えられると共に、在室する人への影響も低減して安全性を高められる。
【0026】
また、本発明の開示に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記オゾン発生装置が、室内空間の空気中における臭いの強弱を検出するセンサを備え、前記管理部が、前記オゾン発生装置で検出された臭いの情報を取得し、当該臭いの情報を前記室内空間に関連する情報の一部として用いて、前記制御用情報を作成するものである。
【0027】
このように本発明の開示によれば、室内空間における臭いの強弱を検出するセンサをオゾン発生装置に設け、センサで検出された臭いの情報を管理部で取得して、管理部で臭いの情報に基づいてオゾン送出に係る制御用情報を作成し、この制御用情報に基づく制御をオゾン発生装置で行えるようにすることにより、オゾンを送出している使用状態でセンサで検出された臭いの情報からわかる臭いの強弱の度合いに基づいて、この強弱の度合いが適切になり、オゾンによる浄化を効率よく行えるようにする制御用情報を作成でき、この制御用情報に対応するオゾン送出で室内空間でのオゾンによる浄化機能を最大限に発揮させられ、オゾン発生装置から必ずしも高濃度のオゾンを送出しなくても無理なく浄化が行え、オゾン送出を最適化して装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。
【0028】
また、本発明に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記オゾン発生装置が、当該オゾン発生装置自体の状態を検出して取得し、当該状態についての所定の情報を前記室内装置に送信可能とされ、前記室内装置が、前記オゾン発生装置から送信されるオゾン発生装置の状態についての前記所定の情報を受信し、前記管理部が、前記室内装置との通信で、室内装置から前記所定の情報を取得して、前記オゾン発生装置の状態を把握するものである。
【0029】
このように本発明の開示によれば、オゾン発生装置でこのオゾン発生装置自体の状態を取得して、こうした状態についての情報をオゾン発生装置から室内装置に送信し、さらに情報を室内装置から管理部が取得して、管理部でこうした情報に基づいて各種処理を実行できるようにすることにより、オゾン発生装置の作動制御だけでなく、情報を利用した他の処理として、例えば、装置配置位置の適正性判断やオゾン発生装置の故障判定を行えるほか、オゾン発生装置についての情報を別の情報装置に転送して制御や監視等に利用できることとなり、オゾン発生装置をより適切に利用可能となると共に、オゾン発生装置の周辺機器も有効に活用できる。
【0030】
また、本発明に係るオゾン発生管理システムは必要に応じて、前記管理部が、把握した前記オゾン発生装置の状態に係る通知情報を、あらかじめ登録されたオゾン発生装置の管理者の通信端末に送信するものである。
【0031】
このように本発明の開示によれば、管理部で把握されたオゾン発生装置の状態について、この状態に係る通知情報をオゾン発生装置の管理者の通信端末に送信して、オゾン発生装置の状態を管理者が通信端末を通じて把握できるようにすることにより、管理者がオゾン発生装置の状態を遠隔でも確認でき、オゾン発生装置を用いた室内空間の消臭除菌状態の調整を適切に行えると共に、装置の不具合等に対し速やかに対応できるなど、オゾン発生装置の管理を効率よく行えることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生管理システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生管理システムを適用する室内空間の概略説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生装置の斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生装置のブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生管理システムにおけるオゾン発生装置の作動状態説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生管理システムにおけるオゾン発生装置と管理部間での情報送受信状態説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るオゾン発生管理システムの概略構成図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るオゾン発生管理システムを適用する室内空間の概略説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るオゾン発生管理システムにおけるオゾン発生装置の作動状態説明図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係るオゾン発生管理システムにおけるオゾン発生装置と管理部間での情報送受信状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るオゾン発生管理システムを前記
図1ないし
図6に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るオゾン発生管理システム1は、使用者の出入りする室内空間70に設けられ、使用者の操作指示等に応じて、オゾンを発生させて室内空間70に送出するオゾン発生装置10と、このオゾン発生装置10のある室内空間70に配設され、室内空間70に対し空気調和を行う前記室内装置としての空調装置50と、この空調装置50とネットワーク100を介して通信可能とされ、オゾン発生装置10におけるオゾンの送出状態を管理する制御を実行する管理部90とを備える構成である。
【0034】
前記オゾン発生装置10は、放電によりオゾンを発生させる複数の電極部11と、電極部11で発生したオゾンを室内空間70から取り込んだ空気と共に室内空間70へ送り出す送風部12と、空調装置50と無線通信可能とされる通信部13と、装置の作動指示のための入力操作を受け付ける操作部14と、装置への直接操作による作動指示情報又は通信部13を通じて得られた制御用情報に基づいて電極部11や送風部12の作動制御を行う制御部15と、オゾン送出に係る情報を報知する報知部17と、空気中の不快な臭いの強さを検出する臭いセンサ18とを備える構成である。
【0035】
オゾン発生装置10は、電極部11でのコロナ放電や無声放電といった放電により発生させたオゾンを、送風部12で空気と共に室内空間70に送り出し、オゾンを室内空間70の空気と接触させ、オゾンの酸化作用で空気の消臭や除菌を行うものである。電極部11におけるオゾンの発生と送風部12の送風による室内空間70へのオゾンの送出については、公知のオゾン発生装置と同様の仕組みを有しており、詳細な説明を省略する。
【0036】
このオゾン発生装置10は、最外部の箱形の筐体10a内に、電極部11、送風部12、通信部13、制御部15、及びオゾンセンサ18を収めると共に、筐体の上面又は前面に、操作部14及び報知部17を設けた構成とされる。
【0037】
この他、オゾン発生装置10には、電極部11、送風部12、通信部13、操作部14、制御部15、報知部17、及び、オゾンセンサ18に電力を供給する電源として、オゾン発生装置10に内蔵される電池又はオゾン発生装置10に直接若しくはACアダプタ等を介して接続される商用電源が用いられる構成である。
【0038】
前記通信部13は、無線による通信で空調装置50から情報を受信可能とされるものである。
通信部13は、オゾン発生装置10内で、制御部15と電気的に接続されて、空調装置50から受け取った情報を制御部15に送る仕組みである。
【0039】
通信部13を空調装置50に無線で通信接続する場合、その通信は、赤外線によるものの他、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信として行うことができる。
この通信部13は、管理部90が空調装置50から取得した情報に基づいて作成した制御用情報を、空調装置50を通じて受け取ることとなる。
【0040】
オゾン発生装置10では、通信部13で受け取られた制御用情報に基づく制御部15の制御により、電極部11及び送風部12の少なくとも一方が、制御用情報で指定された作動を実行する。
【0041】
前記操作部14は、使用者からのオゾン発生装置10に対する各種操作入力を受付けるスイッチ等の入力手段を備え、オゾン発生装置10の上面又は前面に設けられて、入力手段で受付けた操作に対応する内容でのオゾン送出に係る作動を指示する信号を制御部15に送出するものである。
【0042】
前記制御部15は、操作部14で受け付けた使用者からの操作入力に応じて、又は、空調装置50から送信される制御用情報に基づいて、電極部11や送風部12の作動を制御するものである。
【0043】
この制御部15は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部として機能させる仕組みである。この制御部15をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
【0044】
この制御部15をなすコンピュータのユニットは、オゾン発生装置10の筐体10a内部に配設され、通信部13と接続されてこれを通信可能な状態とすると共に、電極部11や送風部12とそれぞれ電気的に接続され、これらの作動を制御する。
【0045】
加えて、制御部15は、操作部14やオゾンセンサ18等の信号出力手段とも電気的に接続されており、使用者の操作指示内容やセンサでの検出情報を取得し、あらかじめ設定された制御用プログラムに基づく制御信号出力により、電極部11や送風部12等の作動制御を行うこととなる。
【0046】
制御部15は、オゾン発生装置10におけるオゾン送出を管理する管理制御として、管理部90で作成された制御用情報を空調装置50を通じて受け取り、この制御用情報に基づいて、電極部11や送風部12の制御を行うこととなる。
制御用情報は、オゾン発生装置10のオゾン送出に係る作動の開始及び停止や、室内空間70に送出するオゾンの濃度設定を行う制御のための情報である。
【0047】
なお、制御部15は、制御用情報に基づいて電極部11や送風部12の制御を行う遠隔制御状態にある場合に、使用者からの操作入力が操作部14に対しなされた際には、操作部14で受け付けた使用者からの操作入力に応じて電極部11や送風部12の作動を制御する状態に移行するが、これに限らず、使用者からの操作入力が操作部14に対しなされてもこれを受け付けず、遠隔制御状態を維持する構成とすることもできる。
【0048】
また、制御部15は、空調装置50の不具合など空調装置50側が原因で空調装置50とオゾン発生装置10との間の通信が途絶した場合、オゾン発生装置10における安全確保に係る作動を行わせることができる。具体的には、通信が途絶し、制御用情報による制御が行えなくなった場合に、制御部15は、不具合発生に対する一般的なフェールセーフ機能としてのオゾン送出に係る作動の停止や直前の作動状態継続を選択するのに代えて、オゾン発生装置10がオゾン強度を下げた状態での単独での作動状態に移行する制御を行う仕組みである。
【0049】
すなわち、通信途絶状態では制御用情報によらずオゾン発生装置10単独で、電極部11や送風部12の制御、詳細には、電極部11で発生させるオゾンの量を低減する調整、及び、送風部12で取り込み且つ送り出す空気量を低減する調整、の少なくとも一方の制御、により、オゾンの送出を抑えた上でオゾン送出に係る電極部11及び送風部12の作動を継続するようにしている。
【0050】
一方、オゾン発生装置10と空調装置50との通信が回復した場合は、制御部15がオゾン発生装置10を単独作動状態から制御用情報に基づく遠隔制御状態に自動復帰させるようにすることもできる。
【0051】
この他、オゾン発生装置10では、通信部13が受信機能のみ有し、通信が空調装置50からオゾン発生装置10への単方向となることから、空調装置50から送信される情報に、あらかじめ設定されたオゾン発生装置10の作動再開指示信号が定期的に組み込まれるようにするのが望ましい。これにより、通信途絶時のオゾン発生装置10の単独作動状態で、人の操作によりオゾン発生装置10のオゾン送出に係る作動が停止させられた場合においても、通信の途絶が解消して再開された空調装置50からの送信を通信部13で受信できる状態になると、空調装置50から送信される情報に組み込まれたオゾン発生装置の作動再開指示信号を受けて、制御部15が操作による作動停止指示を上書きする形でオゾン発生装置10のオゾン送出に係る作動を再開させ、制御部15がオゾン発生装置10から送信される制御用情報に基づいて電極部11や送風部12を作動させる状態に、あらためて移行することができる。
【0052】
なお、オゾン発生装置10がオゾンの濃度センサ等の、検出結果からオゾンの送出度合いを導けるセンサを有する場合、通信途絶時のオゾン発生装置単独での作動制御として、センサでの検出に基づいて、発生させるオゾンがある一定以上の濃度を超えないように、電極部11や送風部12の制御を実行するようにしてもよい。
【0053】
前記報知部17は、オゾン発生装置10の上面又は前面に設けられ、電極部11や送風部12の作動によるオゾン送出に係る所定情報を使用者に対し報知可能とするものである。使用者に対する報知部17による報知としては、光や音等による報知、より具体的には、LED等の発光表示や、短い通知音又は警告音の出力等により、使用者に対しオゾン発生に係る各種作動状態を使用者に知らせるようにされる。こうした報知部17の報知により、使用者に対し適切な装置操作を促したり、不要な操作を控えさせることができる。
【0054】
この他、報知部17は、表示画面による表示や、音声出力により、使用者に対しオゾン発生に係る作動の実行時間やオゾン発生強度等の各種情報を、使用者に理解しやすい形でより詳細に知らせる構成とすることもできる。この場合も、使用者にオゾン送出に係る各種操作や遠隔制御に基づく各部の作動状態を知らせるようにすることで、装置各部の作動等の現状を使用者に理解させて、使用者の適切な操作を促したり操作を思い止まらせることができる。
【0055】
また、報知部17には、オゾン発生装置10における、空調装置50から送られた制御用情報に基づく遠隔制御による作動状態と、通信途絶状態での単独の作動状態とを区別可能とする表示手段、例えば、遠隔制御状態と単独作動状態の各状態表示LEDなど、を設けるのが望ましい。
【0056】
臭いセンサ18は、室内空間70における不快臭の強さを検出してその情報を取得するものである。詳細には、臭いセンサ18は、オゾン発生装置10における送風部12に取り込まれる空気や送り出される空気の直接的な影響を受けない所定箇所に設けられる。この臭いセンサ18で検出された臭いの強さの情報が、制御部15に入力され、オゾン送出に係る制御に用いられることとなる。
【0057】
前記空調装置50は、室内空間70に配設され、室内空間70に対し空気調和を行う一方、通信インターフェースとしてオゾン発生装置10と通信可能とされるものである。
空調装置50は、室内空間70における人の存在する領域に適切に空気調和を行うために、人感センサ51を備えて、室内空間70への人の出入りや室内空間70における人の存在を検出可能とされる。
【0058】
また、空調装置50は、オゾン発生装置10との通信を行うための第一通信部52と、ネットワーク100に接続して通信を行うための第二通信部53とを設けられる。空調装置50は、この第二通信部53によりネットワーク100を通じて管理部90と通信可能とされる。そして、空調装置50は、前記室内空間70に係る所定の情報として、人感センサ51で検出した室内空間70への人の出入りに係る情報を管理部90に送信する一方、管理部90で作成された制御用情報を、オゾン発生装置10への送信のために受信することとなる。
【0059】
加えて、空調装置50は、第一通信部52によりオゾン発生装置10と通信可能であり、管理部90から受け取った制御用情報を第一通信部52からオゾン発生装置10に送信する。
【0060】
さらに、空調装置50は、第二通信部53によりネットワーク100に接続されていることに基づいて、ネットワーク100を通じて、使用者からの端末装置を通じた遠隔操作を受け付けたり、空気調和制御の参考となる気温の情報、微小粒子状物質や花粉の飛散情報などを収集する公知の機能を備えるものである。
【0061】
空調装置50においては、オゾン発生装置10の通信部13が受信機能のみ有し、通信が空調装置50からオゾン発生装置10への単方向となることから、通信環境への周囲からの様々な影響により、オゾン発生装置10で連続した情報受信が行えていない場合に備えて、空調装置50の第一通信部52から定期的に制御用情報の送信を行うようにしている。
空調装置50が定期的に情報を送信することで、オゾン発生装置10から返信を行わなくても常に情報を更新することができるため、単方向の通信を問題なく実行できる。
【0062】
空調装置50では、その人感センサ51で室内空間70への人の出入りを検出し、人の出入りに関する情報を管理部90に送って、管理部90で制御用情報が得られるようにしているが、この他、空調装置に設けられた室内環境把握のためのセンサで室内空間70におけるオゾン発生装置の位置を検出し、この位置の情報を管理部に送って、管理部で人の出入りに関する情報の他にオゾン発生装置の位置情報も分析して制御用情報を作成するようにすることもでき、オゾン発生装置でその位置に応じた適切なオゾン送出を行わせることができる。
【0063】
前記管理部90は、空調装置50とネットワーク100を通じてデータ通信可能として配設され、空調装置50から送信される室内空間70に関連する情報を取得し、この情報に基づいて制御用情報を作成し、この制御用情報を空調装置50に送信するものである。
【0064】
この管理部90は、サーバとして機能するコンピュータであり、記録されたプログラムにしたがって処理を実行することで、管理部として前記制御用情報を作成し送信する等のサービスを提供する機能が実現される。
【0065】
なお、本実施形態をはじめとする本願で使用する「サーバ」の語は、単独の実体のあるコンピュータ装置を意味する限定的なものでなく、複数のコンピュータ装置がネットワーク接続されて協動して、要求される一又は複数のサービスを一体として提供する装置群である場合や、コンピュータ装置の一部機能に過ぎないものの、要求される一又は複数のサービスをあたかも一つの装置のように提供する機能を有して、サービスを提供される側からは一つの装置として取り扱える仮想装置である場合も包含する。
【0066】
管理部90は、オゾン発生装置10におけるオゾンの送出を管理する管理制御として、空調装置50で取得されてその第二通信部53から送られる室内空間70への人の出入りに関する情報をネットワーク100を通じて受け取り、この受け取った情報からオゾン発生装置10のオゾン送出に係る所定の制御用情報を導き、この制御用情報を空調装置50に送信して、さらに空調装置50から制御用情報がオゾン発生装置10に送信されるようにして、オゾン発生装置10に制御用情報に基づく作動制御を行わせる。
【0067】
この管理部90で作成する制御用情報は、オゾン発生装置10のオゾン送出に係る作動の開始及び停止や、室内空間70に送出するオゾンの濃度設定を行う制御のための情報である。
【0068】
管理部90では、空調装置50から取得する前記室内空間70に関連する情報として、空調装置50の人感センサで検出された、室内空間70への人の出入りに関する情報の他、例えば、人が出入りした時刻に係る情報、人の入退室動作の検出頻度に係る情報、などを受信して利用することができる。管理部90は、空調装置50からネットワーク100を通じて受け取った情報に基づいてオゾン発生装置のある室内空間70における人の出入りの特徴を分析取得し、この特徴に対応するオゾン発生状況を生じさせるようにオゾン発生装置10を作動させられる、オゾン発生装置10の制御用情報を作成することとなる。
【0069】
この他、管理部90は、空調装置50からネットワーク100を通じて受け取った室内空間70に関連する情報をオゾン発生装置10ごとに記録し蓄積した上で、こうして蓄積された情報に基づいて、前記同様オゾン発生装置のある室内空間70における人の出入りの特徴を分析取得し、この特徴に対応するオゾン発生状況を生じさせるような制御用情報を作成することもできる。
【0070】
また、管理部90は、前記室内空間70に関連する情報としての、空調装置50の人感センサ51の検出による室内空間70への人の出入りに関する情報に基づいて制御用情報を作成するようにしているが、これに限らず、その他空調装置50で入手可能な温度や湿度等の情報についても送信させて管理部90で取得し、これらの情報に基づいて、情報にあらわれる室内空間70の状況に対応したオゾン送出の作動制御を行わせるような制御用情報を作成することもできる。また、空調装置50がその作動に係る情報を管理部90に送信し、この情報から管理部90が空調装置50の空気調和に係る作動を検出し、この空調装置50の作動を人の存在による空気調和の必要性から生じたものと見なして、管理部90が室内空間70に人が存在する状態を認識し、この状態に対応するオゾン送出の作動制御を行うよう制御用情報を作成することもできる。さらに、管理部90は、前記同様の空調装置50の作動に係る情報から、空調装置50の作動に伴う室内空間70の空気流動状態の変化を取得し、こうした室内空間70の空気流動状態に対応して、適切にオゾンと空気とを接触させ空気の浄化を促すような制御用情報を作成することもできる。
【0071】
また、管理部90は、オゾン発生装置10に対して、作動開始や作動停止等を指示する制御用情報の一部として、オゾン発生装置ごとの作動に係る設定、例えば作動する時間帯などの指定、を行ったり、オゾン発生に係る作動モードやオゾン送出対象の室内空間70に関する設定の変更を指示する情報を、空調装置50を経由してオゾン発生装置10に送信して、オゾン発生装置10の制御をより詳細に行わせることができる。
【0072】
こうした管理部90に対して、オゾン発生装置10の管理者(使用者)のスマートフォン等の通信端末80から、オゾン発生装置10の操作や設定の指示に係る情報を送信すると、こうした情報に基づいて管理部90が制御用情報を作成し、この制御用情報を管理部90が空調装置50を経由してオゾン発生装置10に送信することで、管理者(使用者)の通信端末80から遠隔で操作や設定等を行えるようにすることもできる。
【0073】
このように通信端末80から操作等を行えるようにする場合、空調装置50の通信端末80による遠隔操作を合わせて行い、通信端末80からの操作に基づくオゾン発生装置10の作動と空調装置50の作動とを連係させるようにすることもでき、例えば、使用者の通信端末80からの操作により、空調装置50で帰宅に合わせた事前の空気調和を実行する際に、これに合わせてオゾン発生装置を作動させるようにすれば、空調装置50による送風にオゾン発生装置から送出したオゾンを合流させて、室内空間70にオゾンを広く拡散でき、入室前の室内空間70の浄化をより効率よく実行可能となる。
【0074】
また、管理部90は、ネットワーク100を通じて外部の環境に係るデータ、例えば、天気、温度、湿度、微小粒子状物質(いわゆるPM2.5等)や花粉の飛散状況など、のデータを収集し、これらに基づいて、オゾン発生装置10ごとの作動に係る設定や設定の変更、又は作動開始や作動停止を指示する制御用情報を作成し、これを空調装置50を経由してオゾン発生装置10に送信されるようにして、オゾン発生装置10に外部の環境に対応した作動制御を行わせることもできる。
【0075】
この他、管理部90は、前記室内空間70に係る所定の情報として、空調装置50により取得された室内空間70の環境に係るデータ、例えば、温度、湿度、清浄状態など、のデータを取得し、これに基づいてオゾン発生装置10ごとの作動に係る設定や設定の変更、又は作動開始や作動停止を指示する制御用情報を作成し、これが空調装置50を経由してオゾン発生装置10に送信されるようにして、オゾン発生装置10に室内空間70の環境に対応した作動制御を行わせることもできる。
【0076】
さらに、管理部90は、室内空間70を使用する使用者の室内空間70外での行動に関連する情報に基づいて、オゾン発生装置の制御用情報を作成することもできる。
詳細には、管理部90が、室内空間70の使用者の通信端末80から使用者の行動スケジュールや使用者の動きに伴う位置変化に係る情報を取得して、使用者の外出や帰宅等の行動を判断し、判別した行動に係る情報に基づいてオゾン発生装置ごとの作動に係る設定や設定の変更、又は作動開始や作動停止を指示する制御用情報を作成し、これが空調装置50を経由してオゾン発生装置10に送信されるようにして、オゾン発生装置10に使用者の行動に対応した作動制御を行わせることもできる。
【0077】
加えて、管理部90は、室内空間70の使用者の通信端末80から使用者の移動、滞在した地域、移動に用いた移動手段に係る情報と、ネットワーク100を通じて収集した人の密集状況に関する情報や地域又は交通機関の混雑状況に関する情報とをそれぞれ取得して解析し、密集地域への移動、滞在、密集状態にあった移動手段(交通機関)の一定時間の利用など、使用者が密集状態にさらされたことを確認した場合、使用者の状態に対応したオゾン送出を行える制御用情報を作成する、例えば、行動に係る情報から予測される帰宅の前に室内空間70をあらかじめ清浄化するようにオゾン発生装置10を作動させる制御用情報を作成することもできる。この場合、制御用情報を受け取ったオゾン発生装置10は、制御用情報に基づく作動制御により、使用者の予測帰宅時間の前に室内空間70に対し通常より多くオゾンを発生、拡散させ、使用者の室内空間70への入室があっても、室内空間70の清浄度が過度に低下しないようにすることとなる。
【0078】
管理部90でネットワーク100を通じて収集される情報のうち、人の密集や混雑に関する情報については、感染症対策等を目的として公に収集されている情報も利用でき、大規模で且つ精度の高いデータの活用により、人の行動に伴う清浄化の必要性把握と、清浄化の度合いに対応させてオゾン発生装置を作動させる制御用情報の作成を、より適切に行うことができる。
【0079】
次に、本実施形態に係るオゾン発生管理システムによるオゾン発生装置の管理状態について説明する。前提として、オゾン発生装置10は、室内空間70に設置され、電源として内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部15による制御の下で必要に応じて電極部11及び送風部12を作動させてオゾンを空気と共に室内空間70に送り出し、室内空間70でオゾンによる消臭除菌の効果を発揮させられる状態にあるものとする。
【0080】
また、空調装置50は室内空間70に対し空気調和を実行可能とされつつ、その第一通信部52は、赤外線通信によりオゾン発生装置10に制御用情報を送信できる状態にあり、第二通信部53はネットワーク100を通じて管理部90と通信を行える状態にあるものとする。そして、室内空間70は当初無人の状態にあるものとする。
【0081】
室内空間70が無人の場合、空調装置50は、人感センサ51で人を検出できない状況を示す情報を管理部90に送信している。管理部90はこの空調装置50から送信された室内空間70に関連する情報を取得し、この情報に基づいて、無人の室内空間70に対し最大限のオゾン送出をオゾン発生装置10に行わせるための制御用情報を作成し、得られた制御用情報を、オゾン発生装置10への送信のために空調装置50に送信することとなる。制御用情報は空調装置50の第二通信部53で受信された後、第一通信部52からさらにオゾン発生装置10に送信される。
【0082】
オゾン発生装置10の通信部13が制御用情報を受信すると、この制御用情報を制御部15が取得して、制御部15は制御用情報に従って電極部11や送風部12の作動を制御し、オゾンの発生量や送風量を最大に調整する。
【0083】
オゾン発生装置10では、制御部15による作動制御の下、電極部11でオゾンを発生させると共に、送風部12で室内空間70の空気を取り込み、この取り込んだ空気を発生したオゾンと共に室内空間70へ送り出すことで、オゾンを室内空間70に送出する。オゾンと室内空間70の空気とが接触し、オゾンの酸化作用により空気が消臭、除菌される。
【0084】
続いて、室内空間70に人が入室すると、空調装置50の人感センサ51がこれを検出し、空調装置50が室内空間70に人の出入りに係る変化が生じたと認定し、必要に応じて空気調和をあらかじめ設定された強度となるようにして実行する一方、第二通信部53から室内空間70に対する人の出入りに関する情報をネットワーク100を通じて管理部90に送信する。
【0085】
管理部90は、空調装置50からの情報を受信し、室内空間70における人の入室とそれにより室内の人数が増加した状態が示された情報に基づいて、オゾン発生装置10の電極部11で発生させるオゾンの濃度や送風部12の送風による到達距離を調整する制御用情報を作成する。ここでは、室内空間70に存在する人の安全を考慮して、オゾンの発生量や送風量を低減する調整を行えるような制御用情報が作成される。
【0086】
そして、管理部90はこの制御用情報を空調装置50の第二通信部53に送信する。制御用情報は空調装置50の第二通信部53で受信された後、第一通信部52からさらにオゾン発生装置10に送信される。
【0087】
オゾン発生装置10の通信部13が新たな制御用情報を受信すると、制御部15がこの制御用情報に従って電極部11や送風部12の作動を制御し、オゾンの発生量や送風量を抑えるよう調整することで、オゾンの濃度や送風による到達距離が、室内空間70における人の在室状況に応じたものとなる。
【0088】
これ以降も、室内空間70に人の出入りがあり、それを空調装置50の人感センサ51が検出するごとに、前記同様に室内空間70に対する人の出入りに関する情報が空調装置50から管理部90に送信され、情報に基づいて管理部90が制御用情報を作成し、この制御用情報が管理部90から空調装置50に送信され、空調装置50からさらにオゾン発生装置10に送信される。そして、オゾン発生装置10では、受信された制御用情報に従って、制御部15が電極部11や送風部12の作動を制御し、室内空間70へのオゾンの送出を室内空間70における人の在室状況に応じたものとする。
【0089】
室内空間70への人のさらなる入室により室内空間70に人が増えて、人がオゾン発生装置から送出されるオゾンに接触する機会が増える場合、制御用情報は、オゾン発生装置10の電極部11や送風部12の作動を抑制する制御を制御部15に行わせるものとなる。
【0090】
一方、室内空間70から人が退室することにより室内空間70から人が減り、人がオゾン発生装置から送出されるオゾンに接触する機会が減る場合、制御用情報は、オゾン発生装置10でのオゾンの発生量や送風量を増やすよう電極部11や送風部12を作動させる制御を制御部15に行わせるものとなる。
【0091】
こうして室内空間70に対し、空調装置50による空気調和や、オゾン発生装置10による人の在室状況に応じたオゾン送出が行われる中で、空調装置50の通信機構の不具合や、空調装置50とオゾン発生装置10との間の通信経路における人や外部からの影響などが原因で、空調装置50とオゾン発生装置10との間の通信が途絶し、制御用情報によるオゾン発生装置10の遠隔制御が行えない事態も起り得る。
【0092】
このような場合、オゾン発生装置10の制御部15は、通信途絶により制御用情報を通信部13で受信できない状態にあると判断すると、電極部11で発生させるオゾンの量を低減する調整、及び、送風部12で取り込み且つ送り出す空気量を低減する調整、の少なくとも一方の制御、により、オゾンの送出を抑えた上で、オゾン送出に係る電極部11及び送風部12の作動を継続させ、制御用情報によらないオゾン発生装置10単独での作動状態に移行することとなる。
【0093】
こうして、制御用情報による遠隔制御が行えない場合に、オゾン発生装置10が単独でオゾンの送出を抑えた上でオゾン送出を継続するように作動することで、室内空間70における空気の除菌脱臭による浄化を必要最小限ながら継続して、オゾンの人への影響を低減して室内空間70の人に対する安全性を維持しつつ、室内空間70の空気の清浄状態を確保できる。
【0094】
空調装置50とオゾン発生装置10との間の通信途絶状態が解消し、空調装置50から送信された制御用情報をオゾン発生装置10で受信できる状態が回復した場合には、制御用情報の受信再開を認めた制御部15が、オゾン発生装置10を単独作動状態から制御用情報に基づく遠隔制御状態に自動復帰させる。
【0095】
このように、本実施形態に係るオゾン発生管理システムは、室内空間70に関連する情報として、空調装置50で得た室内空間70への人の出入りに関する情報等を管理部90で取得し、それに基づいてオゾン発生装置10の制御を行うための情報を作成し、この制御用情報を空調装置50を通じてオゾン発生装置10に送り、オゾン発生装置10の制御を行えるようにすることから、オゾン発生装置10に、室内空間70における在室人数等の状況に応じたオゾン送出を行わせて、オゾン発生装置10からオゾン及びオゾンで浄化された空気を室内空間70に効率よく且つ人への影響を抑えつつ分散させることができ、必ずしも高濃度のオゾンを送出しなくても適切に空気の浄化が行え、オゾン送出出力を最適化して装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。また、オゾン発生装置10に情報を受信する通信部13を設けて、オゾン発生装置10に外部から制御用情報を送ることで、オゾン発生装置10に設ける制御用のセンサの数を減らせるなど、制御に係る機構を簡略化することができ、オゾン発生装置10のコストを抑えられる。そして、オゾン発生装置10は、少なくとも制御用情報を受信する機能を有していれば、管理部90が取得した確実な人の出入りに関する情報に基づく制御用情報を得て、安全性が確保されたオゾン送出を実現できる。
【0096】
なお、前記実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいて、室内装置としての空調装置50は室内空間70に設置されて単体で作動し、空気調和を実行可能とされる構成としているが、これに限らず、空調装置を、建物全体を対象とするような総合的な空気調和システムに組み込まれたものとし、空調装置とは別に設けられた人感センサ等によりシステムが得ている空気調和のための入退室管理情報から、管理部がオゾン発生装置に対応する室内空間70への人の出入りに係る情報を取得する構成とすることもできる。この場合、管理部でこうした情報に基づいて生成された制御用情報は、空調装置又は他の通信用装置に送信され、こうした空調装置又は他の通信用装置からさらに制御用情報がオゾン発生装置に送信されて、制御用情報に基づいてオゾン発生装置の作動を制御できることとなる。
【0097】
また、前記実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいては、管理部90でオゾン発生装置10の制御用情報を作成する際に取得する室内空間70に関連する情報として、空調装置50で得られる人の出入りに関する情報を主に用いる構成としているが、この他、管理部90が、オゾン発生装置10ごとに、このオゾン発生装置10の存在する室内空間70におけるオゾン発生装置の配置位置をあらかじめ記録し、この配置位置の情報に基づいて制御用情報を作成する構成とすることもできる。
【0098】
この場合、オゾン発生装置10がその配置位置に応じた送出状態でオゾンを室内空間70に適切に分散させることとなり、室内空間70の臭いや浮遊する雑菌のある汚れた空気をより低いオゾン濃度でも効率よく消臭、除菌して浄化でき、オゾンの送出を最適化して装置の運用コストを抑えられると共に、在室する人への影響も低減して安全性を高められる。
【0099】
また、管理部90は、空調装置50との通信で取得したり、他のシステムから得たり、あらかじめ収集蓄積していた、室内空間70に係る情報、例えば、室内空間70に配設された出入口位置や、室内空間70の換気口位置、換気状態の情報など、あるいは、室内空間70におけるオゾン発生装置10の位置関係やそのオゾン発生状況、空調装置50による空気調和や換気の状態、といった情報を取得し、こうした情報に基づいて、室内空間70におけるオゾン発生装置の配置位置を推定し、推定した配置位置に基づく制御用情報を作成する構成とすることもできる。
【0100】
この場合も、オゾン発生装置10からその配置位置にほぼ対応したオゾン送出で室内空間70の空気を効率よく浄化でき、オゾンの送出の最適化で装置の運用コストを抑えられると共に、在室する人への影響も低減して安全性を高められる。
【0101】
さらに、管理部90は、あらかじめ収集し蓄積したデータに基づいて、室内空間70におけるオゾン発生装置の配置位置の提案を行うようにしてもよい。
この場合、管理部が、室内空間70から得られる情報を参照するのみでは得られない情報、例えば、人の出入りの傾向、室内空間70に入退出する人自体やその行動の特徴、人が外部で受けた影響といった各種情報から、入退出する人に対応してオゾン送出による浄化の効果が最大限発揮されるオゾン発生装置の配置を提案でき、提案通りにオゾン発生装置を室内空間70に配置するようにすれば、室内空間70ごとにオゾン発生装置の浄化能力を最適化することができ、装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。
【0102】
また、前記実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいて、オゾン発生装置10の通信部13は、空調装置50から送信される制御用情報を受信する機能のみ有する構成としているが、これに限られるものではなく、通信部13を受信のみでなく送信も可能として、例えば、オゾン発生装置10に設けたセンサで取得された室内空間70の空気についての情報や、制御部15で取得される装置各部の作動状態に係る情報、オゾンセンサで検出されたオゾンの量に係る情報等を、通信部13から空調装置50に送信する構成とすることもできる。こうした情報は空調装置50からネットワーク100を通じて管理部90へ送信されることとなる。
【0103】
この他、通信部13bで、臭いセンサ18で検出された臭いの情報を空調装置50に送信し、さらに空調装置50から管理部90に送られるようにすることもできる。そして、臭いの情報を管理部90で取得可能とし、管理部90が、取得した臭いの情報に基づいて、室内空間70におけるオゾン発生装置の配置位置の提案を行うようにすることもできる。
【0104】
この場合、オゾンを送出している使用状態で臭いセンサ18で検出された臭いの情報からわかる臭いの強弱の度合いに基づいて、この強弱の度合いが適切になり、オゾンによる浄化を効率よく行えるオゾン発生装置10の位置を推定して、その位置にオゾン発生装置10を配置するよう管理者に促すことができ、室内空間70でのオゾン発生装置10の浄化機能を最大限に発揮させられ、オゾン発生装置10から必ずしも高濃度のオゾンを送出しなくても無理なく浄化が行え、オゾン送出を最適化して装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。
【0105】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るオゾン発生管理システムを前記
図7ないし
図10に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るオゾン発生管理システム2は、前記第1の実施形態同様、オゾン発生装置20と、管理部90とを備える一方、異なる点として、前記室内装置として無線LANのアクセスポイントである端末装置60を備え、室内空間70を管理対象範囲に含む入退室管理システム200から管理部90が情報を取得可能とされる構成を有するものである。
【0106】
前記オゾン発生装置20は、前記第1の実施形態同様、電極部21と、送風部22と、通信部23と、操作部24と、制御部25と、報知部27と、臭いセンサ28とを備える一方、異なる点として、前記通信部23が前記室内装置としての端末装置60と無線で接続されて通信を行う構成を有するものである。
【0107】
このオゾン発生装置20における電極部21、送風部22、操作部24、及び報知部27、及び臭いセンサ28については、いずれも前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0108】
前記通信部23は、無線による通信で端末装置60と通信可能とされるものである。
通信部23は、オゾン発生装置20内で、制御部25と電気的に接続されて、端末装置60から受け取った情報を制御部25に送る仕組みである。
通信部23を端末装置60に無線で通信接続する場合、その通信は、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信として行うことができる。
【0109】
この通信部23は、管理部90がネットワーク100を通じて入退室管理システム200から取得した情報に基づいて生成した制御用情報を、端末装置60を通じて受け取ることとなる。
【0110】
オゾン発生装置20では、前記第1の実施形態同様、通信部23で受け取られた制御用情報に基づく制御部25の制御により、電極部21及び送風部22の少なくとも一方が、制御用情報で指定された作動を実行する。
【0111】
一方、オゾン発生装置20の臭いセンサ28で検出した臭いの強弱の度合いに関する情報(臭いレベル情報)をはじめ、オゾン発生装置20に設けたセンサで取得された室内空間70の空気についての情報や、制御部25で取得される装置各部の作動状態に係る情報等を、通信部23から端末装置60に送信可能とすることもできる。こうした情報は端末装置60からネットワーク100を通じて管理部90へ送信されることとなる。
【0112】
前記制御部25は、操作部24で受け付けた使用者からの操作入力に応じて、又は、端末装置60から送信される制御用情報に基づいて、電極部21や送風部22の作動を制御するものである。
なお、制御部25のハードウェア構成は、前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0113】
制御部25は、オゾン発生装置におけるオゾン送出を管理する管理制御として、管理部90で生成された制御用情報を端末装置60を通じて受け取り、この制御用情報に基づいて、電極部21や送風部22の制御を行うこととなる。制御用情報は、前記第1の実施形態と同様、オゾン発生装置20のオゾン送出に係る作動の開始及び停止や、室内空間70に送出するオゾンの濃度設定を行う制御のための情報である。
【0114】
オゾン発生装置20は、室内空間70に複数配置してもよく、室内空間70にオゾン発生装置20が2台以上設置される場合、各オゾン発生装置20で得られる前記臭いレベル情報を端末装置60経由で管理部90に送信するようにすれば、管理部90で臭いレベル情報からオゾン発生装置20の室内空間70における配置位置の的確性等の判断も可能となる。
【0115】
この他、オゾン発生装置20では、通信部23が送受信機能を有して、通信が端末装置60とオゾン発生装置20との間で双方向で行われることから、端末装置60から送信された情報を、オゾン発生装置20が正確に受信できたか否かを確認するために、オゾン発生装置20の通信部23から端末装置60に受信情報の返信を行うようにすることもできる。この場合、端末装置60は、送信情報と受信情報が異なるか、返信がないかのいずれかを検知すると、送信した情報をオゾン発生装置20で正しく受信できていないと見なして、再度送信を行うこととなる。
【0116】
また、オゾン発生装置20は、不具合等による異常状態に陥った場合、異常通知信号を端末装置60経由で管理部90に送信して、異常状態を管理部90で把握できるようにすることもできる。オゾン発生装置20からは、異常通知信号として、故障モードごとに設定されたコードを含む信号が端末装置60に送信され、端末装置60からさらに管理部90に送信される。異常通知信号を受け取った管理部90からオゾン発生装置20の保守サービスの依頼等の対応を実行させるようにすることができる。
この場合、オゾン発生装置20は、不具合の状態によりフェールセーフ機能として作動を自動停止するか、作動を継続する場合でもより安全性の高い特定のモードに移行する。
【0117】
また、オゾン発生装置20は、あらかじめ定められたメンテナンス時期が到来した、又は、所定部品の劣化がメンテナンスを必要とする状態に至ったことを検出した場合に、メンテナンスを要求する内容を含む情報(メンテナンス情報)を、端末装置60を経由して管理部90に送信することもできる。管理部90で、前記メンテナンス情報に基づくオゾン発生装置のメンテナンスの必要性について、管理者の通信端末80への通知を実行するようにすれば、管理者の対応を促せることとなる。
【0118】
また、制御部25は、端末装置60の不具合など端末装置60側が原因で端末装置60とオゾン発生装置20との間の通信が途絶し、制御用情報による制御が行えなくなった場合、前記第1の実施形態と同様に、オゾン発生装置20がオゾン強度を下げた状態での単独での作動状態に移行する制御を行う仕組みである。
【0119】
すなわち、通信途絶状態では制御用情報によらずオゾン発生装置20単独で、電極部21や送風部22の制御により、オゾンの送出を抑えた上でオゾン送出に係る電極部21及び送風部22の作動を継続するようにしている。
【0120】
一方、オゾン発生装置20と端末装置60との通信が回復した場合は、制御部25がオゾン発生装置20を単独作動状態から制御用情報に基づく遠隔制御状態に自動復帰させるようにすることもできる。
【0121】
オゾン発生装置20では、通信部23が送受信機能を有して、通信が端末装置60とオゾン発生装置20との間で双方向で行われることから、定期的に状態監視に係る通信を双方向で行うようにするのが望ましい。これにより、通信途絶に伴いオゾン発生装置20が遠隔制御状態から単独作動状態に移行した後、通信の途絶が解消してオゾン発生装置20と端末装置60との間の通信が再開できる状態になった時点(端末装置60からオゾン発生装置20への通信が可能となった時点)で、状態監視に係る通信で通信可能状態が直ちに確認されることとなり、オゾン発生装置20に新たな制御用情報が受け入れられて、容易にオゾン発生装置20を制御用情報に基づく遠隔制御による作動状態に復帰させることができる。
【0122】
また、通信途絶時のオゾン発生装置20の単独作動状態で、人の操作によりオゾン発生装置20のオゾン送出に係る作動が停止させられた場合においても、通信の途絶が解消して再開された端末装置60からの送信を通信部23で受信できる状態になると、端末装置60から送信される制御用情報を受けて、制御部25が操作による作動停止指示を上書きする形でオゾン発生装置20を遠隔制御状態に移行させ、制御用情報に基づいて電極部21や送風部22を作動させる状態とすることができる。
【0123】
なお、オゾン発生装置20がオゾンの濃度センサや臭いセンサ等の、検出結果からオゾンの送出度合いを導けるセンサを有する場合、通信途絶時のオゾン発生装置単独での作動制御として、センサでの検出に基づいて、発生させるオゾンやオゾンによる消臭で減少する室内空間70の空気中における臭いの原因物質がある一定以上の濃度を超えないように、電極部21や送風部22の制御を実行するようにしてもよい。
【0124】
前記端末装置60は、室内空間70を有効通信範囲に含むようにして室内空間70又は室内空間70外の所定箇所に配設され、無線LANのアクセスポイントとしてオゾン発生装置20と通信可能とされるものである。
【0125】
端末装置60は、オゾン発生装置10と無線通信可能とされる一方で、ネットワーク100に有線又は無線で接続して通信を行えるものであり、ネットワーク100を通じて管理部90と通信可能とされ、オゾン発生装置20で取得される情報を受信し、さらに管理部90に送信する一方、管理部90で作成された制御用情報を受信し、さらにオゾン発生装置20に送信することとなる。
【0126】
端末装置60は、通常、オゾン発生装置20の作動状況に関係なく、オゾン発生装置20との双方向の通信状態を維持しており、オゾン発生装置20で得られる情報を受信して管理部90で利用可能とすると共に、オゾン発生装置20に制御用情報を送信している。
【0127】
前記管理部90は、端末装置60とネットワーク100を通じてデータ通信可能として配設され、ネットワーク100を通じてアクセス可能とされた入退室管理システム200から室内空間70に関連する情報を取得し、この情報に基づいて制御用情報を作成し、この制御用情報を端末装置60に送信するものである。
【0128】
この管理部90は、前記第1の実施形態と同様、サーバとして機能するコンピュータであり、記録されたプログラムにしたがって処理を実行することで、管理部として前記制御用情報を作成し送信する等のサービスを提供する機能が実現される。
【0129】
管理部90は、オゾン発生装置20におけるオゾンの送出を管理する管理制御として、室内空間70を管理対象範囲に含む入退室管理システム200が入手している、室内空間70への人の出入りに関する情報を、ネットワーク100を通じて収集して、前記室内空間70に関連する情報として取得し、この取得した情報からオゾン発生装置20のオゾン送出に係る所定の制御用情報を導き、この制御用情報を端末装置60に送信して、さらに端末装置60から制御用情報がオゾン発生装置10に送信されるようにして、オゾン発生装置10に制御用情報に基づく作動制御を行わせる。
【0130】
この管理部90で作成する制御用情報は、オゾン発生装置20のオゾン送出に係る作動の開始及び停止や、室内空間70に送出するオゾンの濃度設定を行う制御のための情報である。
【0131】
管理部90では、入退室管理システム200から取得可能な前記室内空間70に関連する情報として、セキュリティ確保のために室内空間70への人の入退室ごとに記録される、室内空間70への人の出入りに関する情報の他、例えば、室内空間70に出入りした人を識別する情報、各時刻ごとの室内空間70における在室人数に係る情報、などを受信して利用することができる。管理部90は、入退室管理システム200からネットワーク100を通じて取得した情報に基づいて、オゾン発生装置20のある室内空間70における人の出入りの特徴を分析取得し、この特徴に対応するオゾン発生状況を生じさせるようにオゾン発生装置20を作動させられる、オゾン発生装置10の制御用情報を作成することとなる。
【0132】
管理部90は、入退室管理システム200で取り扱われる他の入退室管理情報として、室内空間70に出入りする人が、システムの管理対象の建物内にある各室内空間70で日常的に継続して活動する人(関係者)か、それ以外の外部から訪れて室内空間70に一時的に入る人(部外者)かを判別した情報も、取得可能とすることができる。
【0133】
この他、管理部90は、入退室管理システム200からネットワーク100を通じて取得した情報をオゾン発生装置20ごとに記録し蓄積した上で、こうして蓄積された情報に基づいて、前記同様オゾン発生装置のある室内空間70における人の出入りの特徴を分析取得し、この特徴に対応するオゾン発生状況を生じさせるような制御用情報を作成することもできる。
【0134】
また、管理部90は、入退室管理システム200が有する室内空間70に対する人の出入りに関する情報を管理部90で収集し、これに基づいて管理部90で制御用情報が得られるようにしているが、この他、入退室管理システム200の一部として室内空間70に設けられた室内環境把握のためのセンサで室内空間70におけるオゾン発生装置の位置を検出し、この位置の情報を管理部90に送って、管理部90で人の出入りに関する情報の他にオゾン発生装置の位置情報も分析して制御用情報を作成するようにすることもでき、オゾン発生装置でその位置に応じた適切なオゾン送出を行わせることができる。
【0135】
また、管理部90は、オゾン発生装置20に対して、作動開始や作動停止等を指示する制御用情報の一部として、オゾン発生装置ごとの作動に係る設定、例えば作動する時間帯などの指定、を行ったり、オゾン発生に係る作動モードやオゾン送出対象の室内空間70に関する設定の変更を指示する情報を、端末装置60を経由してオゾン発生装置20に送信して、オゾン発生装置20の制御をより詳細に行わせることができる。
【0136】
こうした管理部90に対して、オゾン発生装置20の管理者(使用者)のスマートフォン等の通信端末80から、オゾン発生装置20の操作や設定の指示に係る情報を送信すると、こうした情報を管理部90が端末装置60を経由してオゾン発生装置20に送信することで、管理者(使用者)の端末装置から遠隔で操作や設定等を行えるようにすることもできる。
【0137】
また、管理部90は、ネットワーク100を通じて外部の環境に係るデータ、例えば、天気、温度、湿度、微小粒子状物質(いわゆるPM2.5等)や花粉の飛散状況など、のデータを収集し、これらに基づいて、オゾン発生装置20ごとの作動に係る設定や設定の変更、又は作動開始や作動停止を指示する制御用情報を作成し、これを端末装置60を経由してオゾン発生装置20に送信されるようにして、オゾン発生装置20に外部の環境に対応した作動制御を行わせることもできる。
【0138】
一方、管理部90は、入退室管理システム200又は他のシステムにより取得された室内空間70の環境に係るデータ、例えば、温度、湿度、清浄状態など、のデータをネットワーク100を通じて収集するか、オゾン発生装置20内に組み込まれたセンサで得られる室内空間70の環境に係るデータをオゾン発生装置20から端末装置60を経由して取得し、これらに基づいてオゾン発生装置20ごとの作動に係る設定や設定の変更、又は作動開始や作動停止を指示する制御用情報を作成し、これが端末装置60を経由してオゾン発生装置20に送信されるようにして、オゾン発生装置20に室内空間70の環境に対応した作動制御を行わせることもできる。
【0139】
また、管理部90は、室内空間70の使用者の行動に係るデータに基づいて、オゾン発生装置の制御用情報を作成することもできる。
詳細には、管理部90が、室内空間70の使用者の通信端末80から使用者の行動スケジュールや位置変化に係る情報を取得して、使用者の外出や帰宅等の行動を判断し、判別した行動に係る情報に基づいてオゾン発生装置ごとの作動に係る設定や設定の変更、又は作動開始や作動停止を指示する制御用情報を作成し、これが端末装置60を経由してオゾン発生装置20に送信されるようにして、オゾン発生装置20に使用者の行動に対応した作動制御を行わせることもできる。
【0140】
特に、管理部90が使用者の移動先やスケジュール、時間等の情報や、使用者自身のウェブサービスへの投稿情報を取得して、使用者の食事行動を判断した場合、こうした食事に係る情報に基づいて制御用情報を作成して、制御用情報によりオゾン発生装置20に使用者の食事行動に対応した作動制御、例えば、食事を人との密な接触機会と見なして、室内空間70への入室の際に、オゾン発生装置20の電極部21や送風部22の作動を人が増えたために抑制する割合を、通常の入室の場合より少なくして、空気の消臭除菌能力を一定程度確保する制御を行わせることもできる。また、食事行動に対応した他の作動制御として、食事に伴って臭いが強まったと判断して、オゾンの送出を消臭に適した状態として実行する制御をわせることもできる。
【0141】
さらに、管理部90は、室内空間70の使用者の通信端末80から使用者の移動、滞在した地域、移動に用いた移動手段に係る情報と、ネットワーク100を通じて収集した人の密集状況に関する情報や、地域又は交通機関の混雑状況に関する情報、感染症に関連する情報等とをそれぞれ取得して解析し、密集地域や感染症感染者の多い地域への移動、滞在、密集状態にあった移動手段(交通機関)の一定時間の利用など、使用者が密集状態や感染症への感染リスクが高い状態にさらされたことを確認した場合、使用者の状態に対応したオゾン送出を行える制御用情報を作成する、例えば、行動に係る情報から予測される帰宅の前に室内空間70をあらかじめ清浄化するようにオゾン発生装置20を作動させる制御用情報を作成することもできる。
【0142】
この場合、制御用情報を受け取ったオゾン発生装置20は、制御用情報に基づく作動制御により、使用者の予測帰宅時間の前に室内空間70に対し通常より多くオゾンを発生、拡散させ、使用者の室内空間70への入室の際に、使用者が外から臭いの原因物質や雑菌、ウイルスを意図せず持ち込むようなことがあっても、室内空間70の清浄度が過度に低下しないようにすることとなる。
【0143】
管理部90でネットワーク100を通じて収集される情報のうち、人の密集や混雑に関する情報については、感染症対策等を目的として公に収集されている情報も利用でき、大規模で且つ精度の高いデータの活用により、人の行動に伴う清浄化の必要性把握と、清浄化の度合いに対応させてオゾン発生装置を作動させる制御用情報の作成を、より適切に行うことができる。
【0144】
次に、本実施形態に係るオゾン発生管理システムによるオゾン発生装置の管理状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、オゾン発生装置20は、室内空間70に設置され、電源として内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部25による制御の下で必要に応じて電極部21及び送風部22を作動させてオゾンを空気と共に室内空間70に送り出し、室内空間70でオゾンによる消臭除菌の効果を発揮させられる状態にあるものとする。
【0145】
また、端末装置60は室内空間70においてオゾン発生装置20と通信可能な状態にあり、且つ、ネットワーク100を通じて管理部90と通信を行える状態にあるものとする。
そして、室内空間70を管理対象範囲に含む入退室管理システム200が稼動している中、室内空間70は当初無人の状態にあるものとする。
【0146】
室内空間70が無人の場合、管理部90は、入退出管理システム200において把握されている、室内空間70に人が入室していない状況を、室内空間70に対する人の出入りに関する情報として取得する。管理部90はこの入退出管理システム200から取得した情報に基づいて、無人の室内空間70に対し最大限のオゾン送出をオゾン発生装置20に行わせるための制御用情報を作成し、得られた制御用情報を、オゾン発生装置20への送信のために端末装置60に送信することとなる。制御用情報は端末装置60で受信された後、さらにオゾン発生装置20に送信される。
【0147】
オゾン発生装置20の通信部23が制御用情報を受信すると、この制御用情報を制御部25が取得して、制御部25は制御用情報に従って電極部21や送風部22の作動を制御し、オゾンの発生量や送風量を最大に調整する。
【0148】
オゾン発生装置20では、制御部25による作動制御の下、電極部21でオゾンを発生させると共に、送風部22で室内空間70の空気を取り込み、この取り込んだ空気を発生したオゾンと共に室内空間70へ送り出すことで、オゾンを室内空間70に送出する。オゾンと室内空間70の空気とが接触し、オゾンの酸化作用により空気が消臭、除菌される。
【0149】
続いて、室内空間70に人が入退出管理システム200における室内空間70への入退室に係る認証端末部に対する認証等操作の上で入室すると、認証端末部での情報取得に基づいて入退出管理システム200において新たに把握された、室内空間70に人が入室した状況を、管理部90が新たな情報として取得する。
【0150】
管理部90は、入退出管理システム200から取得した、室内空間70における人の入室とそれにより室内の人数が増加した状態を示す情報に基づいて、オゾン発生装置20の電極部21で発生させるオゾンの濃度や送風部22の送風による到達距離を調整する制御用情報を作成する。ここでは、室内空間70に存在する人の安全を考慮して、オゾンの発生量や送風量を低減する調整を行えるような制御用情報が作成される。
そして、管理部90はこの制御用情報を端末装置60に送信する。制御用情報は端末装置60で受信された後、さらにオゾン発生装置20に送信される。
【0151】
オゾン発生装置20の通信部23が新たな制御用情報を受信すると、制御部25がこの制御用情報に従って電極部21や送風部22の作動を制御し、オゾンの発生量や送風量を抑えるよう調整することで、オゾンの濃度や送風による到達距離が、室内空間70における人の在室状況に応じたものとなる。
【0152】
これ以降も、室内空間70に人の出入りがあり、それを入退出管理システム200で判別して、システムで把握、保持される室内空間70に対する人の入退室状況に変化が生じるごとに、前記同様に管理部90が室内空間70に対する人の出入りに関する情報として取得し、情報に基づいて管理部90が制御用情報を作成し、この制御用情報が管理部90から端末装置60に送信され、端末装置60からさらにオゾン発生装置20に送信される。そして、オゾン発生装置20では、受信された制御用情報に従って、制御部25が電極部21や送風部22の作動を制御し、室内空間70へのオゾンの送出を室内空間70における人の在室状況に応じたものとする。
【0153】
例えば、室内空間70への人のさらなる入室により室内空間70に人が増えて、人がオゾン発生装置20から送出されるオゾンに接触する機会が増える場合、制御用情報は、オゾン発生装置20の電極部21や送風部22の作動を抑制する制御を制御部25に行わせるものとなる。
【0154】
一方、室内空間70から人が退室することにより室内空間70から人が減り、人がオゾン発生装置20から送出されるオゾンに接触する機会が減る場合、制御用情報は、オゾン発生装置20でのオゾンの発生量や送風量を増やすよう電極部21や送風部22を作動させる制御を制御部25に行わせるものとなる。
【0155】
この他、管理部90が、入退室管理システム200からの情報として、室内空間70に出入りする人が関係者か部外者かを判別した情報を取得している場合には、オゾン発生装置20の電極部21や送風部22の作動をさらに細かく制御することができる。
【0156】
仮に、室内空間70に入室した人が関係者ではなく部外者の場合、制御用情報は、オゾン発生装置20の電極部21や送風部22の作動を人が増えたために抑制する割合を、関係者の入室の場合より少なくして、空気の消臭除菌能力を一定程度確保し、部外者が外から臭いの原因物質や雑菌、ウイルスを意図せず持ち込む場合に備えたものとされることとなる。
【0157】
こうして室内空間70に対し、入退出管理システム200によるセキュリティを目的とする入退室監視の上での、オゾン発生装置20による人の在室状況に応じたオゾン送出が行われる中で、仮に端末装置60の通信機構の不具合や、端末装置60とオゾン発生装置20との間の通信経路における人や外部からの影響などが原因で、端末装置60とオゾン発生装置20との間の通信が途絶し、制御用情報によるオゾン発生装置20の遠隔制御が行えない事態も起り得る。
【0158】
このような場合、オゾン発生装置20の制御部25は、通信途絶により制御用情報を通信部23で受信できない状態にあると判断すると、電極部21で発生させるオゾンの量を低減する調整、及び、送風部22で取り込み且つ送り出す空気量を低減する調整、の少なくとも一方の制御、により、オゾンの送出を抑えた上で、オゾン送出に係る電極部21及び送風部22の作動を継続させ、制御用情報によらないオゾン発生装置20単独での作動状態に移行することとなる。
【0159】
こうして、制御用情報による遠隔制御が行えない場合に、オゾン発生装置20が単独でオゾンの送出を抑えた上でオゾン送出を継続するように作動することで、室内空間70における空気の除菌脱臭による浄化を必要最小限ながら継続して、オゾンの人への影響を低減して室内空間70の人に対する安全性を維持しつつ、室内空間70の空気の清浄状態を確保できる。
【0160】
端末装置60とオゾン発生装置20との間の通信途絶状態が解消し、端末装置60から送信された情報をオゾン発生装置20の通信部23で受信可能な状態が、通信状態を監視している制御部25で確認されると、オゾン発生装置20は単独作動状態から制御用情報に基づく遠隔制御状態に自動復帰する。
【0161】
このように、本実施形態に係るオゾン発生管理システムは、室内空間70に関連する情報として、室内空間70への人の入退室に関する情報等を、入退室管理システム200から管理部90が収集して取得し、それに基づいてオゾン発生装置20の制御用情報を作成し、この制御用情報を端末装置60を通じてオゾン発生装置20に送り、オゾン発生装置20の制御を行えるようにすることから、オゾン発生装置20に、室内空間70における在室人数等の状況に応じたオゾン送出を行わせて、オゾン発生装置20からオゾン及びオゾンで浄化された空気を室内空間70に効率よく且つ人への影響を抑えつつ分散させることができ、必ずしも高濃度のオゾンを送出しなくても適切に空気の浄化が行え、オゾン送出出力を最適化して装置運用をより低コスト化できると共に、高濃度のオゾンの発生頻度を少なくして安全性を向上させられる。
【0162】
なお、前記実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいては、室内装置としての端末装置60をネットワーク100に接続すると共に、端末装置60とオゾン発生装置20とが通信を行うようにして、オゾン発生装置20と管理部90との間で情報をやり取り可能とする構成としているが、この他、入退室管理システム200における室内空間70側端末(認証用装置や施解錠用装置など)に、システムとオゾン発生装置20との通信を許容する通信機能が存在する場合、こうした室内空間70側端末を前記端末装置60に代わる室内装置として、入退室管理システム200のセキュリティ面で問題のない範囲で、オゾン発生装置20をこの室内空間70側端末及び入退室管理システム200を介してネットワーク100に接続し、管理部90と通信可能とするようにしてもよい。
【0163】
また、オゾン発生装置20の通信部23が、公衆無線LANのアクセスポイントやIP通信網に直接無線接続してネットワーク100に接続可能とされ、管理部90とネットワーク100を通じて直に通信可能とされる場合には、アクセスポイント機能のみ有する室内装置を設けない構成としてもかまわない。
【0164】
また、前記実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいては、管理部90でオゾン発生装置20の制御用情報を作成する際に取得する室内空間70に関連する情報として、入退室管理システム200から得られる人の出入りに関する情報を主に用いる構成としているが、この他、管理部90が、オゾン発生装置20のセンサで得られた情報(臭い、オゾン)や作動に係る情報を端末装置60を通じて取得し、こうした情報に基づいて作成した制御用情報をオゾン発生装置20に受け取らせる構成とすることもできる。これにより、オゾン発生装置20の周囲の状況やオゾン発生装置の状態に対応させて、オゾン発生装置をより適切に作動させることができる。
【0165】
また、管理部90は、オゾン発生装置20から端末装置60経由で送信された、オゾン発生装置20の臭いセンサ28で検出された臭いの強弱の度合いに関する情報(臭いレベル情報)を、記録、蓄積し、この蓄積されたデータから、オゾン発生装置20の消臭傾向、例えば、時間帯による消臭速度やオゾン濃度変化速度、変化量など、を算出し、室内空間70やその使用状態に適したオゾン発生装置20の省エネ運転や燻蒸運転などの制御用情報を作成でき、これをオゾン発生装置20に送信して、制御を行わせるようにすることもできる。
【0166】
具体例としては、蓄積されたデータから判明する室内空間70の消臭負荷の時間的な傾向から、使用者の帰宅に伴う入室直後における室内空間70の消臭の必要性を導き、それに基づいて、帰宅前と想定される時間にオゾンの発生強度を高くする調整を行うよう制御用情報を作成することもできる。
【0167】
この他、管理部90は、オゾン発生装置20から受け取れる情報、例えば、空気の清浄度に係る情報や、オゾン発生装置の稼働状況に係る情報、前記メンテナンス情報などを、オゾン発生装置20の管理者(使用者)の通信端末80に直接、又は通知の形で送信するようにしてもよい(通知の場合、情報内容は使用者の通知への応答に対応させて他のウェブサイトからメールやウェブコンテンツ等として送信提供する)。これにより、管理者(使用者)が自身の通信端末80からオゾン発生装置20や室内空間70の状態を常時確認でき、例えばオゾン発生装置20のメンテナンス情報が通知される場合には、管理者のメンテナンスに係る速やかな対応を促すことができる。
【0168】
また、前記実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいて、管理部90は、入退室管理システム200から取得した室内空間70への人の出入りに関する情報に基づいて制御用情報を作成するようにしているが、これに限らず、室内空間70に設けられた所定の空調装置と通信を行って空調装置の有する情報を取得可能である場合、空調装置の室内状況監視用センサで検出される室内空間70における人や物に関する情報や、空調装置で入手可能な温度や湿度等の情報についても管理部90で取得するようにし、これらの情報に基づいて、情報にあらわれる室内空間70の状況に対応したオゾン送出の作動制御を行わせるような制御用情報を作成することもできる。
【0169】
また、管理部90が空調装置の作動状態に係る情報を取得し、この情報から空調装置の作動状態に対応するようにオゾン発生装置20を作動させる制御用情報、例えば、空調装置の作動状態から推測される室内空間70の空気流動状態の変化に対応して、適切にオゾンと空気とを接触させ空気の浄化を促すようにオゾン発生装置20を作動させる制御用情報を、作成することもできる。
【0170】
(本発明の第3の実施形態)
前記第2の実施形態に係るオゾン発生管理システムにおいては、室内空間70にオゾン発生装置を一つのみ配置して、室内空間70へのオゾン送出を行わせる構成としているが、これに限らず、室内空間70にオゾン発生装置を複数設け、これら複数のオゾン発生装置が個別に又は連係して作動してオゾンを送出し、室内空間70の消臭除菌による浄化を行う構成とすることもできる。
【0171】
こうして室内空間70にオゾン発生装置20が複数設置される場合、管理部90は、各オゾン発生装置20で得られる前記臭いレベル情報を、各オゾン発生装置20から端末装置60経由で取得し、得られた臭いレベル情報からオゾン発生装置20の室内空間70における配置位置の的確性を判断することもできる。
【0172】
例えば、複数のオゾン発生装置20の24時間分の臭いレベル情報又はオゾン発生装置20の制御信号レベルを管理部90で取得し、オゾン発生装置20同士の比較分析を行うことで、いずれのオゾン発生装置10がオゾン送出による消臭を過剰に行っている又は過少に行っていることを判断可能となる。これにより、管理部90からオゾン発生装置20の室内空間70における配置位置について、前記消臭の過剰又は過少状態を適正とするための位置変更を提案する情報を発信したり、オゾン発生装置20でオゾン送出の強度調整による稼動の適正化を図る制御用情報を作成することができる。
【0173】
一方、管理部90は、オゾン発生装置20の配置位置の的確性や変更提案に係る分析にあたり、オゾン発生装置20の位置情報を入手することもできる。管理部90で、オゾン発生装置20の位置情報を入手する手法としては、例えば、自動清掃ロボットの自動清掃実行に伴う室内空間70の位置関係取得結果の情報を取得し、これに基づいてオゾン発生装置20の位置情報を得たり、端末装置60においてオゾン発生装置20との通信の際の電波強度の情報を取得し、これに基づいて室内空間70におけるオゾン発生装置20の位置を推定したり、室内空間70に設けられた空調装置の室内監視センサによる検出結果の情報を取得し、これに基づいてオゾン発生装置20の位置情報を得ることができる。こうして位置情報を入手した上で、適切な配置位置の提案に係る情報発信を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0174】
1、2 オゾン発生管理システム
10、20 オゾン発生装置
10a 筐体
11、21 電極部
12、22 送風部
13、23 通信部
14、24 操作部
15、25 制御部
17、27 報知部
18、28 臭いセンサ
50 空調装置
51 人感センサ
52 第一通信部
53 第二通信部
60 端末装置
70 室内空間
80 通信端末
90 管理部
100 ネットワーク
200 入退室管理システム