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特許7585047使用のための統合された指示を備えた尿道カテーテル挿入キット及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】使用のための統合された指示を備えた尿道カテーテル挿入キット及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20241111BHJP
   A61B 50/30 20160101ALI20241111BHJP
【FI】
A61M1/00 120
A61B50/30
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020570878
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019038051
(87)【国際公開番号】W WO2019246307
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】62/687,656
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/724,292
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ヒューエット、ジェームズ デイビッド
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-524332(JP,A)
【文献】特表2018-503474(JP,A)
【文献】米国特許第03329261(US,A)
【文献】特表2016-538018(JP,A)
【文献】米国特許第03802555(US,A)
【文献】米国特許第04226328(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0216558(US,A1)
【文献】米国特許第05384103(US,A)
【文献】中国実用新案第202801822(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00A61M1/00-1/38;60/00-60/90
A61B 50/30A61B34/00-34/20;42/00-90/98
A61F2/82-2/97;A61M25/00-29/04;35/00-36/08;37/00-37/00,590;99/00
A61M5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿道カテーテル挿入キットであって、
前記尿道カテーテル挿入キットの複数の保管トレー用構成要素を保持するように設計された保管トレーと、
前記尿道カテーテル挿入キットの複数の作業トレー用構成要素を保持するように設計された、複数の事前形成されたセクションを含む作業トレーであって、前記保管トレーから作業トレーを吊すことにより前記保管トレーと入れ子になるように設計された作業トレーと、
前記作業トレーの前記複数の事前形成されたセクションのうちのカテーテルセクションに配置された尿道カテーテルと、
前記保管トレーに配置された排出システムであって、排出管および排出容器を含み、排出管が前記尿道カテーテルに接続される排出システムと、
を備え、
前記保管トレーは、前記作業トレーからの作業中に、前記保管トレーに保管された前記尿道カテーテル挿入キットの前記複数の保管トレー用構成要素へのアクセスを容易にするように設計された前記保管トレーの端部の切り欠きを含む、尿道カテーテル挿入キット。
【請求項2】
前記保管トレーから前記作業トレーを吊すことは、板紙製の保管トレーの折り曲げられた長手方向の縁またはタブを、前記作業トレーの長手方向の側面と張り出し部との間の間隙に挿入することを含み、間隙は、板紙製の保管トレーの折り曲げられた長手方向の縁またはタブと係合して、前記作業トレーと前記保管トレーとをともに固定するように構成されたいくつかの突起を含む、請求項1に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項3】
前記作業トレーは、前記カテーテルセクションの底部と端部との間に形成された前記カテーテルセクションのコーナー領域に切り欠きを含み、前記排出管が前記カテーテルセクションの切り欠きを介して前記尿道カテーテルに接続される、請求項1または2に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項4】
前記カテーテルセクションの前記コーナー領域の前記切り欠きの側面は、前記排出管を前記尿道カテーテルから切り離さずに、前記排出管を前記保管トレーから取り外すことを可能にするように設計される、請求項3に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項5】
前記作業トレーは、前記カテーテルセクションの前記コーナー領域の前記切り欠きと前記カテーテルセクションの残りの部分との間に位置する排出管狭窄部を含み、該排出管狭窄部は、前記排出管の一部を保持して、前記尿道カテーテルが使用されるまで前記作業トレー内の前記尿道カテーテルの初期位置を維持するように構成される、請求項3または4に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項6】
前記尿道カテーテルを前記排出管に接続するように構成された、尿サンプリングポートを含むコネクタをさらに備え、コネクタは、少なくとも前記尿道カテーテル挿入キットの前記尿道カテーテルに事前に接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項7】
前記カテーテル用の潤滑剤を含む潤滑剤容器をさらに備え、前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、潤滑剤容器を保持するように構成された潤滑剤容器セクションを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項8】
前記カテーテルのバルーンを膨らませるための膨張剤を含む膨張剤容器をさらに備え、前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、膨張剤容器を保持するように構成された膨張剤容器セクションを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項9】
消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒とを含む生殖器準備キットをさらに備え、前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、パッケージからの消毒剤を保持するためのウェルと、ウェル内の対応する1つ以上の吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒をそれぞれ保持するための1つ以上の角度のついたチャネルと、によって構成された生殖器準備セクションを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項10】
前記パッケージからの前記消毒剤が前記ウェル内で分配される際に、前記1つ以上の吸収ヘッドに前記消毒剤が染み込むように、前記ウェルは、前記パッケージからの前記消毒剤の体積と前記1つ以上の吸収ヘッドの体積とを足した合計の体積に等しい体積になるような寸法に形成される、請求項9に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項11】
尿サンプリング容器をさらに備え、前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、尿サンプリング容器を保持するように構成された尿サンプリング容器セクションを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項12】
尿サンプリング容器をさらに備え、前記保管トレーは、尿サンプリング容器を保持するように設計される、請求項1~10のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項13】
少なくとも前記作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明をさらに有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項14】
少なくとも前記作業トレーに直接印刷された前記段階的なカテーテル挿入の説明とともに、前記作業トレーを前記保管トレーから分離させないための説明をさらに有する、請求項13に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項15】
少なくとも前記作業トレーの前記構成要素を保護するように構成された保護板紙であって、前記作業トレーは、保護板紙を保持するように構成された、前記作業トレーの外周部の周りのリップを含む、保護板紙と、
周囲の手入れキットであって、前記尿道カテーテル挿入キットは、保護板紙と前記尿道カテーテル挿入キットの外側のパッケージとの間に、周囲の手入れキットを含むように構成される、周囲の手入れキットと、
をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項16】
尿道カテーテル挿入キットであって、
作業トレーおよび保管トレーであって、
作業トレーは、保管トレーから作業トレーを吊すことにより、保管トレーと入れ子になるように構成され、
保管トレーは、作業トレーからの作業中に、保管トレーに保管された尿道カテーテル挿入キットの複数の保管トレー用構成要素へのアクセスを容易にするように設計された保管トレーの端部の切り欠きを含み、
少なくとも作業トレーは、尿道カテーテル挿入キットの複数の作業トレー用構成要素を保持する、複数の事前形成されたセクションを有する、作業トレーおよび保管トレーと、
尿道カテーテルであって、
前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、カテーテルを含むカテーテルセクションを含み、
前記作業トレーは、前記カテーテルセクションの底部と端部との間に形成された前記カテーテルセクションのコーナー領域に切り欠きを有する、尿道カテーテルと、
前記保管トレーに配置され、排出管および排出容器を含む排出システムであって、
排出システムは、尿サンプリングポートを有するコネクタを介して前記尿道カテーテルに事前に接続され、
前記カテーテルセクションの前記コーナー領域の切り欠きは、前記排出管が前記切り欠きの底部を通って、前記保管トレーから前記作業トレーに通過できるように構成される、排出システムと、
前記尿道カテーテルを潤滑するための、潤滑剤で満たされたシリンジであって、
前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、潤滑剤で満たされたシリンジを含む潤滑剤シリンジセクションを含む、潤滑剤で満たされたシリンジと、
前記尿道カテーテルのバルーンを膨らませるための、生理食塩水で満たされたシリンジであって、
前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、生理食塩水で満たされたシリンジを含む生理食塩水シリンジセクションを含む、生理食塩水で満たされたシリンジと、
消毒剤のパッケージと、1つ以上の綿棒とを有する生殖器準備キットであって、
前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、パッケージからの消毒剤を保持するためのウェルと、前記ウェル内の吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒を保持する1つ以上の角度のついたチャネルと、によって構成された生殖器準備セクションを含む、生殖器準備キットと、
尿サンプリング容器であって、
前記作業トレーの前記事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションが、尿サンプリング容器を含む尿サンプリング容器セクションを有する、または
前記作業トレーの代わりに、前記保管トレーが尿サンプリング容器を保持するように構成される、尿サンプリング容器と、
少なくとも前記作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明と、を備える尿道カテーテル挿入キット。
【請求項17】
前記作業トレーは、前記カテーテルセクションの前記コーナー領域の前記切り欠きと前記カテーテルセクションの残りの部分との間に位置する排出管狭窄部を含み、該排出管狭窄部は、前記排出管の一部を保持して、前記尿道カテーテルが使用されるまで前記作業トレー内の前記尿道カテーテルの初期位置を維持するように構成される、請求項16に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用のための統合された指示を備えた尿道カテーテル挿入キット及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿道カテーテルは病院等の医療施設で患者から尿を排出させるために用いられる。しかしながら、院内感染(HAI)の2番目に多い形態は、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)である。そのため、病院は、標準治療の一環として厳格な無菌技術に準拠することにより、CAUTIの発症率を削減する方法に関心を持っている。しかし、病院のその標準治療を満たす能力に影響を与える多くの要因が存在する。これらの要因は、医療従業者の訓練と経験の側面と、患者の要因(例えば、一般的な健康状態、体重、解剖学的構造)と、環境要因と、キットの構成要素、キットの構成要素の様々なレイアウト、及びそのようなキットを使用するための指示、を含む尿道カテーテル挿入キットの特性と、を含む。医療分野では、カテーテルを患者に挿入するための、簡単で安全で信頼性の高い標準的な方法が必要である。ここで開示されているのは、尿道カテーテル挿入キットを含むカテーテル挿入キットであり、上記の内容に対処する、使用のための統合された指示及びその方法を備える。
【発明の概要】
【0003】
ここで開示されているのは尿道カテーテル挿入キットであり、いくつかの実施形態では、作業トレーと、保管トレーと、カテーテル(非限定的な例として、尿道カテーテル等の流体排出カテーテル)と、排出管及び排出容器を含む排出システムと、を含む。作業トレーは、保管トレーから作業トレーを吊すことにより、保管トレーと入れ子になるように構成される。いくつかの実施形態では、作業トレーは、少なくとも概ねそれらの分離を防ぐために、保管トレーに固定される。少なくとも作業トレーは、尿道カテーテル挿入キットのいくつかの構成要素を保持するように構成された、いくつかの事前形成されたセクションを有する。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、カテーテルを保持するように構成されたカテーテルセクションを含む。保管トレーは排出システムを保持するように構成される。
【0004】
いくつかの実施形態では、保管トレーから作業トレーを吊すことは、板紙製の保管トレーの折り曲げられた長手方向の縁またはタブを、作業トレーの長手方向の側面と張り出し部との間の間隙に挿入することを含む。間隙は、板紙製の保管トレーの折り曲げられた長手方向の縁またはタブと係合し、作業トレーと保管トレーとをともに固定するように構成されたいくつかの突起を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、保管トレーは、保管トレーの端部に切り欠きを有する。保管トレーの端部の切り欠きは、作業トレーからの作業中に、保管トレーに保管された尿道カテーテル挿入キットの構成要素へのアクセスを容易にするように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、作業トレーはカテーテルセクションの底部と端部との間に形成されたカテーテルセクションのコーナー領域に切り欠きを有する。カテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きは、排出管が保管トレーに保管された際に、排出管が切り欠きの底部を通って保管トレーから作業トレーに通過できるように構成される。他の実施形態によれば、切り欠きはないが、その代わりに保管トレーの切り欠きの端部に最も近い作業トレーの縁は、排出管が保管トレーから作業トレーに延びることを可能にするのに十分短い。
【0007】
いくつかの実施形態では、カテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きの側面は、排出管とカテーテルが尿道カテーテル挿入キットにおいて事前に接続されている場合に、排出管をカテーテルから切り離さずに、排出管を保管トレーから取り外すことを可能にするように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、作業トレーは、カテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きとカテーテルセクションの残りの部分との間に、排出管狭窄部を有する。排出管狭窄部は、排出管の一部を保持し、尿道カテーテルが使用されるまで、作業トレーの尿道カテーテルの初期位置を維持するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、カテーテルを排出管に接続するコネクタを有する。コネクタは、少なくとも尿道カテーテル挿入キットのカテーテルに事前に接続される。コネクタは、尿サンプリングポートを有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、カテーテル用の潤滑剤を含む潤滑剤容器を含む。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、潤滑剤容器を保持するように構成された潤滑剤容器セクションを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、カテーテルのバルーンを膨らませるための膨張剤を含む膨張剤容器を含む。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、膨張剤容器を保持するように構成された膨張剤容器セクションを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、消毒剤のパッケージと、1つ以上の綿棒を有する生殖器準備キットを含む。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、パッケージからの消毒剤を保持するためのウェルによって構成された生殖器準備セクションを含む。生殖器準備セクションはまた、ウェル内に、対応する1つ以上の吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒をそれぞれ保持する1つ以上の角度のついたチャネルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、パッケージからの消毒剤がウェル内で分配される際に1つ以上の吸収ヘッドに消毒剤が染み込むように、ウェルは、パッケージからの消毒剤の体積と1つ以上の吸収ヘッドの体積を足した合計の体積に等しい体積になるような寸法に形成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、尿サンプリング容器を含む。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、尿サンプリング容器を保持するように構成された尿サンプリング容器セクションを含む。あるいは、作業トレーの代わりに、保管トレーが尿サンプリング容器を保持するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、少なくとも作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明を含む。
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、少なくとも作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明とともに、作業トレーを保管トレーから分離させないための説明を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、少なくとも作業トレーの構成要素を保護するように構成された保護板紙を含む。作業トレーは、板紙を保持するように構成された、作業トレーの外周部の周りのリップを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットはさらに、周囲の手入れキットを含む。尿道カテーテル挿入キットは、板紙と尿道カテーテル挿入キットの外側のパッケージとの間に、周囲の手入れキットを含むように構成される。
【0018】
同じくここで開示されているのは、いくつかの実施形態では、フォーリーカテーテル、カテーテルを潤滑するための潤滑剤で満たされたシリンジ、カテーテルのバルーンを膨らませるための生理食塩水で満たされたシリンジ、消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒とを含む生殖器準備キット、及び尿サンプリング容器、を有する作業トレーと、排出管及び排出容器を含む排出システムを有する保管トレーと、少なくとも作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明と、を含む尿道カテーテル挿入キットである。少なくとも作業トレーは、尿道カテーテル挿入キットのいくつかの構成要素を保持する、いくつかの事前形成されたセクションを有する。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、カテーテルを含むカテーテルセクションと、潤滑剤で満たされたシリンジを含む潤滑剤シリンジセクションと、生理食塩水で満たされたシリンジを含む生理食塩水シリンジセクションと、消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒とを含む生殖器準備セクションと、を有する。作業トレーの事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、尿サンプリング容器を含む尿サンプリング容器セクションを有する。あるいは、作業トレーの代わりに、保管トレーが尿サンプリング容器を保持するように構成される。生殖器準備セクションは、パッケージからの消毒剤を保持するためのウェルによって構成される。生殖器準備セクションはまた、ウェル内に、吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒を保持する1つ以上の角度のついたチャネルを含む。作業トレーは、保管トレーから作業トレーを吊すことにより、保管トレーと入れ子になるように構成される。作業トレーは、カテーテルセクションの底部と端部との間に形成されたカテーテルセクションのコーナー領域に切り欠きを有する。排出システムは、尿サンプリングポートを有するコネクタを介してカテーテルに事前に接続される。カテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きは、排出管がカテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きの底部を通って、排出システムが保管される保管トレーから作業トレーに通過できるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、作業トレーは、カテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きとカテーテルセクションの残りの部分との間に、排出管狭窄部を有する。排出管狭窄部は、排出管の一部を保持し、尿道カテーテルが使用されるまで、作業トレーの尿道カテーテルの初期位置を維持するように構成される。
【0020】
同じくここで開示されているのは、いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットから外側のパッケージを取り除くことと、周囲の手入れキットを用いて患者の肛門周囲の領域を清潔にすることと、生殖器準備キットを用いて患者の生殖器領域の準備をすることと、フォーリーカテーテルを用いて患者にカテーテルを挿入することと、を含む尿道カテーテル挿入キットを用いた尿道カテーテル挿入の方法である。尿道カテーテル挿入キットから外側のパッケージを取り除くことは、少なくとも作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明を備え、保管トレーに吊り下げられて入れ子になった作業トレーをむき出しにする。作業トレーは、尿道カテーテル挿入キットを用いた尿道カテーテル挿入の方法のためのいくつかの構成要素を保持する、いくつかの事前形成されたセクションを有する。尿道カテーテル挿入キットから外側のパッケージを取り除くことはさらに、板紙の下の作業トレー内の尿道カテーテル挿入キットの構成要素を保護するように構成された保護板紙をむき出しにする。周囲の手入れキットを用いて患者の肛門周囲の領域を清潔にすることは、尿道カテーテル挿入キットの外側のパッケージと作業トレーの上部の板紙との間から周囲の手入れキットを取り外すことを含む。生殖器準備キットを用いて患者の生殖器領域の準備をすることは、生殖器準備キットの消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒を用いることを含む。患者の生殖器領域の準備をすることは、作業トレーの生殖器準備セクションから消毒剤のパッケージを取り外すことと、消毒剤を生殖器準備セクションのウェルに分配することと、それにより、生殖器準備セクションの1つ以上の角度のついたチャネル内にそれぞれ保持された1つ以上の対応する綿棒の1つ以上の吸収ヘッドに染み込ませることを含む。カテーテルを用いて患者にカテーテルを挿入することは、作業トレーのカテーテルセクションからカテーテルを取り外すことと、カテーテルを排出システムの排出管と排出容器のどちらからも外すことなく、保管トレーから排出システムを取り外すことを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、作業トレーはカテーテルセクションの底部と端部との間に形成されたカテーテルセクションのコーナー領域に切り欠きを有する。切り欠きは、作業トレーのカテーテルセクションからカテーテルを取り外すことと、カテーテルを排出システムから外すことなく保管トレーから排出システムを取り外すことと、の両方を可能にする。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、作業トレー内のカテーテルセクションのコーナー領域の切り欠きとカテーテルセクションの残りの部分との間にある排出管狭窄部から排出管を取り外すことを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、消毒剤を作業トレーの生殖器準備セクションのウェルに分配することは、作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明に従う。
いくつかの実施形態では、患者の生殖器領域の準備をすることは、作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明に従い、利き手と逆の手を用いて患者の生殖器を引っ込めることと、利き手を用いて消毒剤で患者の生殖器を綿棒で拭くことと、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、作業トレーの潤滑剤シリンジセクションから潤滑剤で満たされたシリンジを取り外すことと、潤滑剤で満たされたシリンジから作業トレーのカテーテルセクションに潤滑剤を分配することと、作業トレーの潤滑剤シリンジセクションに分配された潤滑剤でカテーテルを潤滑することと、を含む。少なくとも、潤滑剤をカテーテルセクションに分配することと、作業トレーのカテーテルセクションに分配された潤滑剤でカテーテルを潤滑することとは、作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明に従う。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、作業トレーの生理食塩水シリンジセクションから生理食塩水で満たされたシリンジを取り外すことと、カテーテルのバルーンを膨らませるために生理食塩水で満たされたシリンジをカテーテルに取り付けることと、を含む。少なくとも、カテーテルに生理食塩水で満たされたシリンジを取り付けることは、作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明に従う。
【0026】
いくつかの実施形態では、患者にカテーテルを挿入することは、カテーテルを患者の尿道に挿入することと、生理食塩水で満たされたシリンジからの生理食塩水でバルーンを膨らませることと、を含む。少なくとも、生理食塩水で満たされたシリンジからの生理食塩水でバルーンを膨らませることは、作業トレーに直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明に従う。
【0027】
ここで提供されるコンセプトのこれら及びその他の特徴は、そのようなコンセプトの特定の実施形態をより詳細に開示する添付された図面及び以下の説明を考慮すると、当業者にとってより明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態に係る、尿道カテーテル挿入キットの作業トレー内のいくつかの構成要素を少なくとも含む、尿道カテーテル挿入キットの斜視図を提供する。
図1B図1Bは、図1Aの尿道カテーテル挿入キットの上面図を提供する。
図1C図1Cは、図1Aの尿道カテーテル挿入キットの第1断面図を提供する。
図1D図1Dは、図1Aの尿道カテーテル挿入キットの第2断面図を提供する。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態に係る、尿道カテーテル挿入キットの別の入れ子になったトレーの斜視図を提供する。
図2B図2Bは、図2Aの入れ子になったトレーの上面図を提供する。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態に係る尿道カテーテル挿入キットの別の入れ子になったトレーの斜視図を提供する。
図3B図3Bは、図3Aの入れ子になったトレーの上面図を提供する。
図4A図4Aは、尿道カテーテル挿入キットの斜視図を示す。
図4B図4Bは、尿道カテーテル挿入キットの別の図を示す。
図5図5は、いくつかの実施形態に係る尿道カテーテル挿入キットを示す。
図6A図6Aは、いくつかの実施形態に係る尿道カテーテル挿入キットの別の入れ子になったトレーの斜視図を提供する。
図6B図6Bは、いくつかの実施形態に係る尿道カテーテル挿入キットの別の作業トレーの上面図を提供する。
図6C図6Cは、いくつかの実施形態に係る尿道カテーテル挿入キットの別の保管トレーの、折り曲げられていない板紙製の前身の上面図を提供する。
図7図7は、いくつかの実施形態に係る図6Aの別の入れ子になったトレーを互いに固定するためのトレー固定機構の断面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
いくつかの特定の実施形態についてより詳細に開示される前に、ここで開示されている特定の実施形態は、ここで提供されているコンセプトの範囲を限定しないことが理解されるべきである。ここで開示されている特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、ここで開示されている他のいくつかの実施形態のいずれかと任意に組み合わせるまたは置き換えることができる、特徴を有し得ることも理解されるべきである。
【0030】
ここで用いられている用語に関して、用語はいくつかの特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、用語はここで提供されているコンセプトの範囲を限定しないことも理解されるべきである。序数(例えば第1、第2、第3など)は一般的に、特徴や段階のグループ内の異なる特徴や段階を区別もしくは識別するために用いられ、連続性や数値による制限を提供しない。例えば、第1、第2、第3の特徴や段階はその順序で現れる必要はなく、そのような特徴や段階を含む特定の実施形態がその3つの特徴や段階に制限される必要もない。「左」、「右」、「前」、「後」、「頂」、「底」、「表」、「裏」、「時計回り」、「反時計回り」、「上」、「下」等のラベルや、「上側」、「下側」、「後の」、「前の」、「垂直の」、「平行の」、「基部の」、「末端の」等のような他の類似の語句やそれらに似た語句は便宜上用いられ、例えば、特定の決められた位置、方角、方向等を意味することは意図していない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、方角、方向等を反映させるために用いられる。"a","an","the"の単数形は、文脈が単数であることを明確に示していなければ、複数への参照を含む。
【0031】
例えば、ここで開示されているカテーテルの「近位の」、「近位部」、または「近位端部」に関しては、カテーテルが患者に対して使用される際に、臨床医の近くに位置することを意図されたカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ」は、カテーテルが患者に対して使用される際に、臨床医の近くに位置することを意図されたカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に対して使用される際に、臨床医の近くに位置することを意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの、近位部、近位端部、または近位長さは、カテーテルの近位端を含み得る。しかしながら、カテーテルの、近位部、近位端部、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの、近位部、近位端部、または近位長さは、カテーテルの、末端部、または末端の長さではない。
【0032】
例えば、ここで開示されているカテーテルの「遠位の」、「遠位部」、または「遠位端部」に関しては、カテーテルが患者に対して使用される際に、患者の近くまたは患者の体内に位置することを意図されたカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ」は、カテーテルが患者に対して使用される際に、患者の近くまたは患者の体内に位置することを意図されたカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に対して使用される際に、患者の近くまたは患者の体内に位置することを意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの、遠位部、遠位端部、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含み得る。しかしながら、カテーテルの、遠位部、遠位端部、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの、遠位部、遠位端部、または遠位長さは、カテーテルの、末端部、または末端の長さではない。
【0033】
その他の意味に定義されていなければ、ここで用いられる全ての技術的もしくは科学的な用語は、その分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
尿道カテーテルは病院等の医療施設で患者から尿を排出させるために用いられる。しかしながら、院内感染(HAI)の2番目に多い形態は、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)である。そのため、病院は、標準治療の一環として厳格な無菌技術に準拠することにより、CAUTIの発症率を削減する方法に関心を持っている。しかし、病院のその標準治療を満たす能力に影響を与える多くの要因が存在する。これらの要因は、医療従業者の訓練と経験の側面と、患者の要因(例えば、一般的な健康状態、体重、解剖学的構造)と、環境要因と、キットの構成要素、キットの構成要素の様々なレイアウト、及びそのようなキットを使用するための指示、を含む尿道カテーテル挿入キットの特性と、を含む。医療分野では、尿道カテーテルを患者に挿入するための、簡単で安全で信頼性の高い標準的な方法が必要である。ここで開示されているのは、尿道カテーテルを患者に挿入するための、簡単で安全で信頼性の高い標準的な方法を提供することにより、CAUTIの発症率を削減する、使用のための統合された指示及びその方法を備えた尿道カテーテル挿入キットである。
【0034】
尿道カテーテル挿入キット
図1Aは、いくつかの実施形態に係る、尿道カテーテル挿入キット100の作業トレー110内のいくつかの構成要素を少なくとも含む、尿道カテーテル挿入キット100の斜視図を提供する。図1B図1Dは、図1Aの尿道カテーテル挿入キット100の異なる図を提供する。尿道カテーテル挿入キット100において有用な、図1A図1Dに示されていない追加の構成要素は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許出願公開第2016/0228676号明細書および米国特許出願公開第2017/0216558号明細書内に記載されている。そのような構成要素は、これらに限られないが、安定化装置(例えばC.R.Bard IncのStatLock(登録商標)フォーリー安定化装置)、準備ボール(例えば脱脂綿のボール)、鉗子、カテーテル法または尿サンプリングの詳細を記入できるラベル、患者の上に掛けるための穴の開いたドレープ、患者の下に敷くためのアンダーパッド、手袋(例えばラテックスまたはラテックスフリーの手袋)、作業トレーおよび保管トレーを包むための滅菌ラップ(例えば中央材料室“CSR”ラップ)、ベリーバンド(例えば作業トレーと保管トレーの周りの所定の位置に滅菌ラップを保持するためのもの)、手指消毒剤、ウェットティッシュ(例えばカスティール石鹸タオル)、少なくとも作業トレーに印刷された説明に対する追加の説明(例えば臨床医向けの説明シート、患者向けの説明パンフレット等)、安全上の考慮事項のチェックリスト、患者情報チャート、挿入シート、包装ラベル、から選択された任意の1つ以上の構成要素を含み得る。図2A,2Bは、いくつかの実施形態に係る、尿道カテーテル挿入キット100の別の入れ子になったトレーの異なる図を提供する。図3A,3Bは、いくつかの実施形態に係る、尿道カテーテル挿入キット100のさらに別の入れ子になったトレーの異なる図を提供する。図6Aは、いくつかの実施形態に係る尿道カテーテル挿入キット100のさらに別のトレーの斜視図を提供する。
【0035】
尿道カテーテル挿入キット100は、作業トレー110と、保管トレー120と、尿道カテーテル132(例えばフォーリーカテーテル)と、排出管及び排出容器(例えばオプションで尿メータを含む排出バッグ)を含む排出システム(図示されていない)と、を含み得る(排出管及び排出容器に加えて尿メータを含む排出システムの詳細については、米国特許出願公開第2016/0228676号明細書および米国特許出願公開第2017/0216558号明細書参照)。
【0036】
作業トレー110は、保管トレー120から作業トレー110を吊すことにより、保管トレー120と入れ子になるように構成され得る。少なくとも作業トレー110は、尿道カテーテル挿入キット100のいくつかの構成要素をそれぞれ保持するように構成された、いくつかの事前形成されたセクションを有し得る。例えば、作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、カテーテル132を保持するように構成されたカテーテルセクション112を含み得る。
【0037】
保管トレー120は、保管トレー120の端部に設けられた切り欠き121のような開口を含み得る。保管トレー120の端部に設けられた切り欠き121のような開口は、作業トレー110からの作業中に、保管トレー120に保管された尿道カテーテル挿入キット100の構成要素へのアクセスを容易にするように構成され得る。例えば、必要とされるまで、排出システムは、作業トレー110からの作業中に、保管トレー120に保管され得る。開口または切り欠き121はまた、必要であれば、作業トレー110の底部を支えながら作業トレー110を保管トレー120の外部へ持ち上げるために、作業トレー110の底部へのアクセスを許可する。とは言え、いくつかの実施形態に係る作業トレー110は、保管トレー120に固定(例えば締結、接着、等)され得る。そのような実施形態では、尿道カテーテル挿入キット100は、カテーテル挿入の手順を通して、作業トレー110が保管トレー120に固定されたままになるように設計される。実際に、図6Bに示すように、説明は、作業トレー110を保管トレー120から分離させないために、少なくとも作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明とともに含まれ得る。
【0038】
図6Aの保管トレー120は、尿道カテーテル挿入キット100の折り曲げられた板紙製の保管トレーである。図6Cは、上記の折り曲げられた板紙製の保管トレーの、折り曲げられていない板紙製の前身を提供する。一度、板紙製の前身が、示されている折り線に沿って折り曲げられると、結果として得られる保管トレー120は、それによって作業トレー110と保管トレー120とをともに固定するための固定機構(図7参照)の一部を形成する、作業トレー110内に形成されるいくつかの突起(図6A参照)に係合するように構成された、折り返された長手方向の縁を有する。折り返された長手方向の縁の代替として、図6Cの板紙製の前身は、板紙製の前身を折り曲げることによっていくつかの折り返されたタブを形成するように構成された、長手方向の縁に沿ったいくつかのタブを含み得る。折り返されたタブは、作業トレー110内に形成されたいくつかの突起と係合するように構成される。
【0039】
作業トレー110は、カテーテルセクション112の底部と端部との間に形成されたカテーテルセクション112のコーナー領域に切り欠き111を有し得る。カテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111は、例えば、排出管が保管トレー120に保管された際に、排出システムの排出管が切り欠き111の底部を通って保管トレー120から作業トレー110に通過できるように構成され得る。カテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111の側面は、排出システムとカテーテル132が尿道カテーテル挿入キット100において事前に接続されている場合に、排出管をカテーテル132から切り離さずに、排出管を保管トレー120から取り外すことを可能にするように構成され得る。対して、もしカテーテルセクション112の端部が欠けておらず、切り欠き111がカテーテルセクション112の底部のみから成る(すなわち、切り欠き111がカテーテルセクション112の底部に存在する穴である)なら、排出システムとカテーテル132とが事前に接続されている場合、排出管、そしてカテーテル132は、切り欠き111を通して引っ張られなければならず、それはカテーテル132の汚染の危険性がある。あるいは、排出システムとカテーテル132とが事前に接続されている場合、排出管は、カテーテル132から取り外されなければならず、それもまた、排出管をカテーテル132から取り外すこと、もしくは排出管をカテーテル132に繋ぎなおすことにより、カテーテル132の汚染の危険性がある。
【0040】
作業トレー110は、図6Bに示すように、カテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111とカテーテルセクション112の残りの部分との間に、排出管狭窄部113を含み得る。排出管狭窄部113は、排出システムとカテーテル132が事前に接続されている場合、排出管の一部を保持するように構成され得る。排出管狭窄部113内の排出管を保持することにより、作業トレー110内の、上記の事前に接続された尿道カテーテル132の、最初または製造時の位置は、尿道カテーテル132が尿道カテーテル挿入のために用いられるまで維持され得る。示されているように、排出管狭窄部113は、排出管狭窄部113内で排出管を保持するように構成されたスナップインタブを含み得る。
【0041】
作業トレー110は、作業トレー110の底側から突出するいくつかの突起104を含み得る。いくつかの突起104の各々はまた、図6Aに示すように、作業トレー110の上側にウェルを形成する。特に、いくつかの突起104は、作業トレー110の四隅またはその近くの、それぞれ3つの突起104の4つのセットのような、作業トレー110の周りの3つのセットとして示されているが、特定の作業トレー110には、突起104の各セットのうち1つの突起のみが存在する。例えば、突起104の各セットの第1の突起は第1の作業トレー110に存在し、突起104の各セットの第2の突起は第2の作業トレー110に存在し、突起104の各セットの第3の突起は第3の作業トレー110に存在し、突起104の数のために、作業トレーは別の作業トレーと一致しない。実際に、いくつかの突起104は、2つ以上の上記の作業トレーを成形(例えば、熱成形)して、互いに入れ子にした後など、いくつかの突起104を含む2つ以上の作業トレーが互いに入れ子になるのがきつくなりすぎるのを防ぐように構成される。
【0042】
作業トレー110は、作業トレー110の作業領域内から見て、作業トレー110の少なくとも長手方向の側面に、いくつかのくぼみ108を含み得る。(例えば、図6A,7参照)いくつかのくぼみ108は、作業トレー110の少なくとも長手方向の側面と作業トレー110の張り出し部122(図7参照)との間に、対応するいくつかの突起を提供し、それにより、作業トレー110と保管トレー120を互いに固定するための固定機構の別の部分を形成する。張り出し部122により、作業トレー110は、図6Aの保管トレー120の折り曲げられた長手方向の縁またはタブの、作業トレー110の長手方向の側面と張り出し部122との間の間隙への挿入のために構成される。示されているように、いくつかのくぼみ108によって提供されるいくつかの突起は、保管トレー120の折り曲げられた長手方向の縁またはタブと係合するように構成され、それにより、作業トレー110と保管トレー120とを互いに固定し、それらの分離を防ぐ。特に、作業トレー110の長手方向の側面と張り出し部122との間の間隙は、保管トレー120の折り曲げられた長手方向の縁またはタブに、長手方向の縁またはタブを保管トレー120の板紙の長手方向の側面に押し込むことにより形成される折り曲げられた長手方向の縁またはタブの折り目の範囲内で、ばねの力のもとで広がるための空間を提供するような寸法に形成される。加えて、いくつかの突起は、成形(例えば熱成形)と同じぐらい鋭く突出し、保管トレー120の折り曲げられた長手方向の縁またはタブに係合するために、いくつかの突起の係合面を可能な限り平坦にすることができる。図7に示されている上記の固定機構は、作業トレー110と保管トレー120とを固定するための第2の機構(例えば接着)の必要性を除去する。
【0043】
カテーテル132は、カテーテル132を排出システムに接続する際の失敗の可能性を最小限に抑えるために、排出システムに事前に接続されることができ、それにより、汚染の可能性も最小限に抑えられる。カテーテル132と排出管との間で、コネクタ134が、カテーテル132と排出管とを接続するために使用され得る。コネクタ134は、尿サンプリングを容易にするように構成される尿サンプリングポートを含み得る。
【0044】
作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、カテーテル132を潤滑するために潤滑剤ウェル109に分配された潤滑剤を保持するように構成された潤滑剤ウェル109を含み得る。例えば、図1A~1D,3Aおよび3Bの実施形態は、カテーテルセクション112の一部として潤滑剤ウェル109を含む。あるいは、作業トレー110は、潤滑剤ウェル109を含まず、カテーテル132を潤滑するように追加で構成された別のセクションを含む。例えば、図2Aおよび2Bの実施形態は、カテーテルセクション112の一部として潤滑剤ウェル109を含まず、潤滑剤ウェル109の代わりに、カテーテル132を潤滑するための追加の空間を含む。
【0045】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、カテーテル132用の潤滑剤を含む、収容する、または満たされる、潤滑剤容器136(例えば、シリンジ、パケット、ポッド、バイアル等)を含み得る。作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、潤滑剤容器136を保持するように構成された潤滑剤容器セクション114(例えば、潤滑剤シリンジセクション、潤滑剤パケットセクション、潤滑剤ポッドセクション、潤滑剤バイアルセクション等)を含み得る。潤滑剤容器セクション114は、潤滑剤容器136を収容するように事前形成され得る。しかしながら、潤滑剤容器セクション114は、潤滑剤容器136のすべての特徴に適合する必要はない。例えば、潤滑剤容器136がシリンジである場合、潤滑剤容器セクション114(例えば、潤滑剤シリンジセクション)は、シリンジのフランジ用の凹部を含む必要はない。すなわち、潤滑剤容器セクション114は、シリンジを収容するために、少なくともシリンジのフランジと同等の一定の幅または深さを有し得る。実際に、潤滑剤容器セクション114は、本明細書に記載の任意のタイプの潤滑剤容器136の最大の幅または直径と同等の一定の幅または深さを有し得る。
【0046】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、カテーテル132のバルーンを膨らませるための膨張剤(例えば生理食塩水)を含む、収容する、または満たされる、膨張剤容器138(例えばシリンジ)を含み得る。作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、膨張剤容器138を保持するように構成された膨張剤容器セクション116(生理食塩水シリンジセクション)を含み得る。膨張剤容器セクション116は、膨張剤容器138を収容するように事前形成され得る。しかしながら、膨張剤容器セクション116は、膨張剤容器138のすべての特徴に適合する必要はない。例えば、膨張剤容器138がシリンジである場合、膨張剤容器セクション116(例えば、生理食塩水シリンジセクション)は、シリンジのフランジ用の凹部を含む必要はない。すなわち、膨張剤容器セクション116は、シリンジを収容するために、少なくともシリンジのフランジと同等の一定の幅または深さを有し得る。実際に、膨張剤容器セクション116は、本明細書に記載の任意のタイプの膨張剤容器138の最大の幅または直径と同等の一定の幅または深さを有し得る。
【0047】
示されているように、潤滑剤容器セクション114と膨張剤容器セクション116は、形状およびサイズが同等であり得る。例えば、潤滑剤容器セクション114と膨張剤容器セクション116とは、同じ長さ、幅、作業トレー110の共通の上面からの深さ、またはそれらの組み合わせを有し得る。あるいは、潤滑剤容器セクション114と膨張剤容器セクション116の各々は、図6Bに示すように、異なる形状またはサイズを有し得る。図1B,2B,3B,4Bおよび6Bに示されているような潤滑剤容器セクション114と膨張剤容器セクション116との間の開口は、1本以上の指で潤滑剤容器136または膨張剤容器138をすくい上げて、作業トレー110から取り出す、横方向のアプローチのために構成された、アクセススペースを提供する。潤滑剤容器136または膨張剤容器138のどちらかの容器がシリンジである場合、横方向のアプローチは、縦方向のアプローチによってシリンジを取り扱うことを不要にし、それは、シリンジのプランジャをそのバレルに押し込むことによって、潤滑剤または膨張剤の不慮の分配を防ぐ。潤滑剤容器セクション114と膨張剤容器セクション116の各々は、潤滑剤容器136または膨張剤容器138の最大の幅または直径と同等の形状であるので、開口は上記のセクションの全長に沿って任意の場所に存在し得る。すなわち、開口は、潤滑剤容器136または膨張剤容器138のいずれのどの部分を収容するためにも必要とされない。しかしながら、潤滑剤容器136または膨張剤容器138のいずれかがシリンジである場合、潤滑剤または膨張剤の不慮の分配をさらに防ぐために、バレルによるシリンジの取り扱いを促進するためにシリンジのバレルの周りに開口を有することが有益である。
【0048】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、消毒剤のパッケージ(図示されていない)と、1つ以上の綿棒144を有する生殖器準備キットを含み得る(生殖器準備キットの詳細については、米国特許出願公開第2016/0228676号明細書および米国特許出願公開第2017/0216558号明細書参照)。作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、パッケージからの消毒剤(例えばポビドンヨード溶液)を保持するためのウェル117によって構成された生殖器準備セクション118を含み得る。生殖器準備セクション118はまた、ウェル117内に、対応する1つ以上の吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒144をそれぞれ保持する1つ以上の角度のついたチャネル119を含み得る。パッケージからの消毒剤がウェル117に分配される際に1つ以上の吸収ヘッドに消毒剤が染み込むように、ウェル117は、パッケージからの消毒剤の体積と1つ以上の吸収ヘッドの体積を足した合計の体積に等しい体積になるような寸法に形成される。示されているように、1つ以上の角度のついたチャネル119は、1つ以上の角度のついたチャネル119内の1つ以上の綿棒をそれぞれ保持するように構成されたスナップインタブ121を含み得る。
【0049】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、尿サンプリング容器152を含み得る。作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、尿サンプリング容器152を保持するように構成された尿サンプリング容器セクション115を含み得る(図1A~1D,2Aおよび2Bの実施形態参照)。あるいは、作業トレー110の代わりに、保管トレー120が尿サンプリング容器152を保持するように構成され得る(例えば、作業トレー110に尿サンプリング容器セクション115が含まれていない図3Aおよび3Bの実施形態参照)。作業トレー110の代わりに、尿サンプリング容器152を保持するように保管トレー120を構成することは、作業トレー110の高さを最小化する。
【0050】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、少なくとも作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102を含み得る。少なくともいくつかの説明102は、どのようにカテーテル挿入のステップを実行するかを、位置によって明示的にまたは暗示的に示唆する場所に配置され得る。例えば、生殖器準備セクション118は、消毒剤をそのパッケージからウェル117に分配するためのウェル117内の説明のような、明示的な説明を生殖器準備セクション118内に含み得る(例えば図2B参照)。例えば、カテーテルセクション112は、カテーテル132を潤滑するために潤滑剤をカテーテルセクション112に分配するための暗示的な説明を、カテーテルセクション112内に含み得る(例えば、図6Bの作業トレー110のカテーテルセクション112の中央の支えの上にある説明参照)。少なくともいくつかの説明102は、カテーテル挿入のステップと同調してあらわにされ得る。例えば、消毒剤のパッケージを生殖器準備セクション118から取り出すことは、1つ以上の対応する綿棒の1つ以上の吸収ヘッドに消毒剤を染み込ませるために、消毒剤をパッケージから生殖器準備セクション118のウェル117へ分配するための説明をあらわにできる。カテーテル挿入の説明102をこのようにあらわにすることは、一度に大量のステップによってカテーテル挿入を実行する臨床医を圧倒しない。
【0051】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、少なくとも作業トレー110の構成要素を保護するように構成された保護板紙(図示されていない)を含み得る。作業トレー110は、板紙を保持するように構成された、作業トレー110の外周部の周りのリップ101を含み得る。
【0052】
尿道カテーテル挿入キット100はさらに、周囲の手入れキット(図示されていない)を含み得る(周囲の手入れキットの詳細については、参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許出願公開第2016/0228676号明細書および米国特許出願公開第2017/0216558号明細書参照)。尿道カテーテル挿入キット100は、板紙と尿道カテーテル挿入キット100の外側のパッケージ(例えば、Tyvek(登録商標))との間に、周囲の手入れキットを含むように構成され得る。
【0053】
そのような尿道カテーテル挿入キット100は、いくつかの実施形態では、尿道カテーテル132、カテーテル132を潤滑するための潤滑剤を含む潤滑剤容器136、カテーテル132のバルーンを膨らませるための膨張剤を含む膨張剤容器138、および消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒144とを含む生殖器準備キット、を有する作業トレー110と、排出管及び排出容器を含む排出システムを有する保管トレー120と、少なくとも作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102と、尿道カテーテル挿入キット100の周りのTyvek(登録商標)の外側のパッケージと、を含む。少なくとも作業トレー110は、尿道カテーテル挿入キット100のいくつかの構成要素をそれぞれ保持する、いくつかの事前形成されたセクションを有する。作業トレー110の事前形成されたセクションは、少なくとも、カテーテル132を含むカテーテルセクション112と、潤滑剤容器136を含む潤滑剤容器セクション114と、膨張剤容器138を含む膨張剤容器セクション116と、消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒を含む生殖器準備セクション118と、を有する。作業トレー110の事前形成されたセクションは、いくつかの構成要素の作業トレー110上の明示的な識別なしに、少なくとも作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102を含む。
【0054】
カテーテルセクション112は、カテーテル132を潤滑する際に、潤滑剤容器136から分配された潤滑剤を保持するように構成される。潤滑剤容器セクション114と膨張剤容器セクション116とは、作業トレー110の共通の上面からの同じ一定の深さを有する。生殖器準備セクション118は、パッケージからの消毒剤を保持するためのウェル117によって構成される。生殖器準備セクション118はまた、ウェル117内に、吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒144を保持する1つ以上の角度のついたチャネル119を含む。作業トレー110は、作業トレー110が保管トレー120から吊り下げられる、入れ子構成によって保管トレー120に固定される。作業トレー110は、カテーテルセクション112の底部と端部との間に形成されたカテーテルセクション112のコーナー領域に切り欠き111を有する。排出システムは、尿サンプリングポートを有するコネクタ134を介してカテーテル132に事前に接続される。カテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111は、排出管がカテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111の底部を通って、排出システムが保管される保管トレー120から作業トレー110に通過できるように構成される。
【0055】
そのような尿道カテーテル挿入キット100はまた、いくつかの実施形態では、フォーリーカテーテル、カテーテル132を潤滑するための潤滑剤で満たされたシリンジ、カテーテル132のバルーンを膨らませるための生理食塩水で満たされたシリンジ、消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒144とを含む生殖器準備キット、および尿サンプリング容器152、を有する作業トレー110と、排出管及び排出容器を含む排出システムを有する保管トレー120と、少なくとも作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102と、を含む。少なくとも作業トレー110は、尿道カテーテル挿入キット100のいくつかの構成要素をそれぞれ保持する、いくつかの事前形成されたセクションを有する。作業トレー110の事前形成されたセクションは、少なくとも、カテーテル132を含むカテーテルセクション112と、潤滑剤で満たされたシリンジを含む潤滑剤シリンジセクションと、生理食塩水で満たされたシリンジを含む生理食塩水シリンジセクションと、消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒144とを含む生殖器準備セクション118と、を有する。作業トレー110の事前形成されたセクションのうちの少なくとも1つのセクションは、尿サンプリング容器152を含む尿サンプリング容器セクション115を有する。
【0056】
あるいは、作業トレー110の代わりに、保管トレー120が尿サンプリング容器152を保持するように構成され得る。生殖器準備セクション118は、パッケージからの消毒剤を保持するためのウェル117によって構成される。生殖器準備セクション118はまた、ウェル117内に、吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒144を保持する1つ以上の角度のついたチャネル119を含む。作業トレー110は、保管トレー120から作業トレー110を吊すことにより、保管トレー120と入れ子になるように構成される。作業トレー110は、カテーテルセクション112の底部と端部との間に形成されたカテーテルセクション112のコーナー領域に切り欠き111を有する。排出システムは、尿サンプリングポートを有するコネクタ134を介してカテーテル132に事前に接続される。カテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111は、排出管がカテーテルセクション112のコーナー領域の切り欠き111の底部を通って、排出システムが保管される保管トレー120から作業トレー110に通過できるように構成される。
【0057】
図4Aは、本発明の別の実施形態を示す。尿道カテーテル挿入キット200は、尿サンプリング容器セクション215と、シリンジ区画214と、第2シリンジ区画216と、保管トレーから作業トレーを分離するベース250と、を含む。特定の実施形態によると、ベース250は、作業トレーにしっかりと固定されるように構成され、例えば、ベース250は、取り外されるように構成されていない。フィーチャ260a~260eは、ベース250の作業トレーと保管トレーとの間へのしっかりとした固定を補助するように構成される。
【0058】
図4Bは、作業トレー210と保管トレー220を含み、保管トレー220の端部に開口221を含み得る、図4Aのトレーの別の実施形態を示す。
図5は、本開示に係るカテーテル挿入トレーのさらに別の実施形態を示す。ベース250は、保管トレー内により多くの空間を有することを可能にする隆起部252を有する。さらに、この実施形態では、フィーチャ260cは存在しない。
【0059】
方法
尿道カテーテル挿入キット100を用いた尿道カテーテル挿入の方法いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キット100から外側のパッケージを取り除くことと、周囲の手入れキットを用いて患者の肛門周囲の領域を清潔にすることと、生殖器準備キットを用いて患者の生殖器領域の準備をすることと、カテーテル132(例えば、フォーリーカテーテル)を用いて患者にカテーテルを挿入することと、を含み得る。尿道カテーテル挿入キット100から外側のパッケージを取り除くことは、少なくとも作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102を備え、保管トレー120に吊り下げられて入れ子になった作業トレー110をむき出しにし得る。作業トレー110は、尿道カテーテル挿入キット100を用いた尿道カテーテル挿入の方法のためのいくつかの構成要素をそれぞれ保持する、いくつかの事前形成されたセクションを有し得る。尿道カテーテル挿入キット100から外側のパッケージを取り除くことはさらに、板紙の下の作業トレー110内の尿道カテーテル挿入キット100の構成要素を保護するように構成された保護板紙をむき出しにし得る。
【0060】
周囲の手入れキットを用いて患者の肛門周囲の領域を清潔にすることは、尿道カテーテル挿入キット100の外側のパッケージと作業トレー110の上部の板紙との間から周囲の手入れキットを取り外すことを含み得る。生殖器準備キットを用いて患者の生殖器領域の準備をすることは、生殖器準備キットの消毒剤のパッケージと1つ以上の綿棒144を用いることを含み得る。患者の生殖器領域の準備をすることは、作業トレー110の生殖器準備セクション118から消毒剤のパッケージを取り外すことと、消毒剤のパッケージを開けることと、消毒剤を生殖器準備セクション118のウェル117に分配することと、それにより、生殖器準備セクション118の1つ以上の角度のついたチャネル119内にそれぞれ保持された1つ以上の対応する綿棒144の1つ以上の吸収ヘッドに染み込ませることを含み得る。カテーテル132を用いて患者にカテーテルを挿入することは、作業トレー110のカテーテルセクション112からカテーテル132を取り外すことと、カテーテル132を排出システムの排出管と排出容器のどちらからも外すことなく、保管トレー120から排出システムを取り外すことを含み得る。
【0061】
作業トレー110は、カテーテルセクション112の底部と端部との間に形成されたカテーテルセクション112のコーナー領域に切り欠き111を有し得る。切り欠き111は、作業トレー110のカテーテルセクション112からカテーテル132を取り外すことと、カテーテル132を排出システムから外すことなく保管トレー120から排出システムを取り外すことと、の両方を可能にし得る。作業トレー110が、排出管狭窄部113を含む場合、作業トレー110からカテーテル132を取り出すことと、保管トレー120から排出システムを取り出すこととは、排出管を作業トレー110の排出管狭窄部113から取り出すことを含む。
【0062】
消毒剤のパッケージを開けることと、消毒剤を作業トレー110の生殖器準備セクション118のウェル117に分配することとは、作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102に従い得る。これらのカテーテル挿入の説明102は、作業トレー110に直接印刷されている、方法の第1および第2のステップとして、図2Bおよび3Bに示されている。
【0063】
患者の生殖器領域の準備をすることは、作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102に従い、利き手と逆の手を用いて患者の生殖器を引っ込めることと、利き手を用いて消毒剤で患者の生殖器を綿棒で拭くことと、を含み得る。これらのカテーテル挿入の説明102は、作業トレー110に直接印刷されている、方法の第5および第6のステップとして、図2Bおよび3Bに示されている。
【0064】
方法はさらに、作業トレー110の潤滑剤シリンジセクションから潤滑剤で満たされたシリンジを取り外すことと、潤滑剤で満たされたシリンジから、潤滑剤シリンジセクション、カテーテルセクション112、または作業トレー110の別の事前形成されたセクションに潤滑剤を分配することと、作業トレー110に分配された潤滑剤でカテーテル132を潤滑することと、を含み得る。少なくとも、潤滑剤を作業トレー110の事前形成されたセクション(例えば、カテーテルセクション112)に分配することと、作業トレー110に分配された潤滑剤でカテーテル132を潤滑することとは、作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102に従い得る。このカテーテル挿入の説明は、作業トレー110に直接印刷されている、方法の第4のステップとして、図2Bおよび3Bに示されている。潤滑剤シリンジセクションから潤滑剤で満たされたシリンジを取り出すことは、カテーテル132を潤滑するために、潤滑剤を潤滑剤で満たされたシリンジからカテーテルセクション112に分配するための、潤滑剤シリンジセクションの底部に直接印刷されたカテーテル挿入の説明をあらわにし得る。カテーテル挿入の説明102をこのようにあらわにすることは、カテーテル挿入を実行する臨床医が、一度に大量のステップによって圧倒されないようにする。
【0065】
方法はさらに、作業トレー110の生理食塩水シリンジセクションから生理食塩水で満たされたシリンジを取り外すことと、カテーテル132のバルーンを膨らませるために生理食塩水で満たされたシリンジをカテーテル132に取り付けることと、を含み得る。少なくとも、カテーテル132に生理食塩水で満たされたシリンジを取り付けることは、作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102に従い得る。このカテーテル挿入の説明は、作業トレー110に直接印刷されている、方法の第3のステップとして、図2Bおよび3Bに示されている。
【0066】
患者にカテーテルを挿入することは、カテーテル132を患者の尿道に挿入することと、生理食塩水で満たされたシリンジからの生理食塩水でバルーンを膨らませることと、を含み得る。少なくとも、生理食塩水で満たされたシリンジからの生理食塩水でバルーンを膨らませることは、作業トレー110に直接印刷された段階的なカテーテル挿入の説明102に従い得る。このカテーテル挿入の説明は、作業トレー110に直接印刷されている、方法の第7のステップとして、図2Bおよび3Bに示されている。
【0067】
いくつかの特定の実施形態がここで開示され、特定の実施形態はある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態がここで提供されているコンセプトの範囲を制限することは意図されていない。追加の改良及び/または修正は当業者にとって明らかであり得て、より広い態様では、これらの改良及び/または修正も同様に包含される。従って、ここで提供されているコンセプトの範囲から逸脱せずに、ここで開示されている特定の実施形態から逸脱してもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7