(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】撮像装置及び基板作業装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241111BHJP
H04N 23/61 20230101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/61
(21)【出願番号】P 2021001981
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠節
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-080746(JP,A)
【文献】特開2017-045913(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173192(WO,A1)
【文献】特開平08-276787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-32/76
H04N 23/90-23/959
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
H05K 3/30
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦面を有する部材と、
前記平坦面に対して光軸が傾いている撮像部と、
前記平坦面に形成されているマークであって、前記撮像部の光軸を前記平坦面に垂直に投影した方向をX方向と定義した場合に、前記X方向における前記平坦面上の基準位置、前記基準位置を基準に前記X方向の一方の側の第1の位置、及び、他方の側の第2の位置を特定可能なマークと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部によって前記マークを撮像して画像を生成する撮像処理と、
前記画像上で前記マークに基づいて前記X方向における前記基準位置、前記第1の位置及び前記第2の位置を特定し、前記画像上における前記基準位置から前記第1の位置までの前記X方向の距離と、前記画像上における前記基準位置から前記第2の位置までの前記X方向の距離とに基づいて前記撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を検出する検出処理と、
を実行
し、
前記画像上における前記基準位置と前記第1の位置との前記X方向の距離をF、前記基準位置と前記第2の位置との前記X方向の距離をGと定義し、
前記平坦面に垂直な仮想平面であって前記光軸を含む仮想平面上の座標系において、前記撮像部の位置を示す座標を(a,b)、前記基準位置を通る第1の直線L1であって前記撮像部の座標(a,b)と前記基準位置とを通る第2の直線L2と直交する第1の直線L1上において前記基準位置から前記距離Fだけ離間した点を点A、前記第1の直線L1上において前記基準位置から前記点Aとは逆側に前記距離Gだけ離間した点を点Bと定義した場合に、
前記制御部は、前記検出処理において、
前記第1の直線L1と、前記点Aと前記撮像部の座標(a,b)とを通る第3の直線L3との交点の座標を前記点Aの座標として求める処理と、
前記第1の直線L1と、前記点Bと前記撮像部の座標(a,b)とを通る第4の直線L4との交点の座標を前記点Bの座標として求める処理と、
前記点Aの座標、前記点Bの座標、前記距離F及び前記距離Gに基づいて前記撮像部の座標(a,b)を求める処理と、
を実行する、撮像装置。
【請求項2】
平坦面を有する部材と、
前記平坦面に対して光軸が傾いている撮像部と、
前記平坦面に形成されているマークであって、前記撮像部の光軸を前記平坦面に垂直に投影した方向をX方向と定義した場合に、前記X方向における前記平坦面上の基準位置、前記基準位置を基準に前記X方向の一方の側の第1の位置、及び、他方の側の第2の位置を特定可能なマークと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部によって前記マークを撮像して画像を生成する撮像処理と、
前記画像上で前記マークに基づいて前記X方向における前記基準位置、前記第1の位置及び前記第2の位置を特定し、前記画像上における前記基準位置から前記第1の位置までの前記X方向の距離と、前記画像上における前記基準位置から前記第2の位置までの前記X方向の距離とに基づいて前記撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を検出する検出処理と、
を実行し、
前記画像上における前記基準位置と前記第1の位置との前記X方向の距離をF、前記基準位置と前記第2の位置との前記X方向の距離をGと定義し、
前記平坦面に垂直な仮想平面であって前記光軸を含む仮想平面上の座標系において、前記撮像部の位置を示す座標を(a,b)、前記基準位置を通る第1の直線L1であって前記撮像部の座標(a,b)と前記基準位置とを通る第2の直線L2と直交する第1の直線L1上において前記基準位置から前記距離Fだけ離間した点を点A、前記第1の直線L1上において前記基準位置から前記点Aとは逆側に前記距離Gだけ離間した点を点Bと定義した場合に、
前記制御部は、前記検出処理において、
前記撮像部の座標(a,b)を求めるための式であって、前記第1の直線L1と、前記点Aと前記撮像部の座標(a,b)とを通る第3の直線L3との交点の座標を前記点Aの座標とし、前記第1の直線L1と、前記点Bと前記撮像部の座標(a,b)とを通る第4の直線L4との交点の座標を前記点Bの座標として、それらの座標に基づいて求められた式に、前記基準位置から前記第1の位置までの前記X方向の実際の距離、前記基準位置から前記第2の位置までの前記X方向の実際の距離、前記距離F及び前記距離Gを代入することによって前記撮像部の座標(a,b)を求める、撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置であって、
前記制御部は、前記検出処理において、前記撮像部の座標(a,b)に基づいて前記撮像部の角度を求める処理を実行する、撮像装置。
【請求項4】
平坦面を有する部材と、
前記平坦面に対して光軸が傾いている撮像部と、
前記平坦面に形成されているマークであって、前記撮像部の光軸を前記平坦面に垂直に投影した方向をX方向と定義した場合に、前記X方向における前記平坦面上の基準位置、前記基準位置を基準に前記X方向の一方の側の第1の位置、及び、他方の側の第2の位置を特定可能なマークと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部によって前記マークを撮像して画像を生成する撮像処理と、
前記画像上で前記マークに基づいて前記X方向における前記基準位置、前記第1の位置及び前記第2の位置を特定し、前記画像上における前記基準位置から前記第1の位置までの前記X方向の距離と、前記画像上における前記基準位置から前記第2の位置までの前記X方向の距離とに基づいて前記撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を検出する検出処理と、
を実行し、
前記マークは、前記基準位置、前記第1の位置及び前記第2の位置を特定可能な単一の形状のマークである、撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記マークは前記X方向に延びる棒状部分と、前記X方向に直交するY方向に延びる棒状部分とが直交する形状である、撮像装置。
【請求項6】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記マークは円形である、撮像装置。
【請求項7】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記マークは菱形である、撮像装置。
【請求項8】
基板に対する作業を行う基板作業装置であって、請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置を備える基板作業装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板作業装置であって、
当該基板作業装置は、基板に部品を実装する表面実装機である、基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、撮像装置及び基板作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光軸が傾いている撮像部(言い換えると撮像対象物を斜めから撮像する撮像部)を備える撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の基板撮像カメラ(撮像部に相当)は表面実装機のヘッドユニットに設けられており、鉛直線に対して光軸が斜めになる姿勢で配されている。特許文献1に記載の表面実装機は部品テープの収容凹部を基板撮像カメラによって斜め上方から撮像し、収容凹部に部品が有るか否かを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-36015号公報(段落0024、0027、
図2、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は光軸が傾いている撮像部によって撮像対象物を撮像する場合の課題について十分に検討されていなかった。
本明細書では、光軸が傾いている撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を短時間に検出できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一局面によれば、撮像装置は、平坦面を有する部材と、前記平坦面に対して光軸が傾いている撮像部と、前記平坦面に形成されているマークであって、前記撮像部の光軸を前記平坦面に垂直に投影した方向をX方向と定義した場合に、前記X方向における前記平坦面上の基準位置、前記基準位置を基準に前記X方向の一方の側の第1の位置、及び、他方の側の第2の位置を特定可能なマークと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部によって前記マークを撮像して画像を生成する撮像処理と、前記画像上で前記マークに基づいて前記X方向における前記基準位置、前記第1の位置及び前記第2の位置を特定し、前記画像上における前記基準位置から前記第1の位置までの前記X方向の距離と、前記画像上における前記基準位置から前記第2の位置までの前記X方向の距離とに基づいて前記撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を検出する検出処理と、を実行する。
【0006】
上述したマークは、基準位置、第1の位置及び第2の位置を特定可能な形状であれば必ずしもこれらの位置を直接的に示していなくてもよい。例えば、予め決められたルールをマークに適用することによってこれらの位置が特定されてもよい。
【0007】
前述した特許文献1に記載の発明は収容凹部に部品が有るか否かを基板撮像カメラによって判断しているが、光軸が傾いている撮像部の用途はこれに限られるものではなく、例えば撮像対象物の位置や高さの検出などに用いることもできる。
光軸が傾いている撮像部は角度や位置が本来の角度や位置からずれることがある。例えば撮像部によって撮像対象物の位置や高さを検出する場合、撮像部の角度や位置がずれていると撮像対象物の位置や高さの検出精度が低下する。撮像部の角度や位置を検出すると、撮像対象物の検出した位置や高さを撮像部の角度や位置に応じて補正することにより、撮像対象物の位置や高さの検出精度が低下することを抑制できる。
【0008】
従来、光軸が傾いている撮像部の角度又は位置あるいはその両方を検出する方法として、撮像対象物を撮像して画像を生成し、生成した画像に基づいて検出する方法が知られている。しかしながら、撮像対象物を1回撮像しただけでは撮像部の角度がずれているのか位置がずれているのかを切り分けることができないため、従来は撮像対象物の高さを変えて複数回撮像する必要があった。言い換えると、従来は1回の撮像だけで撮像部の角度又は位置あるいはその両方を検出することはできず、検出に時間を要するという課題があった。
【0009】
上記の撮像装置によると、撮像部の角度を検出する場合であっても、位置を検出する場合であっても、あるいはその両方を検出する場合であっても、1回の撮像で検出できる。このため上記の撮像装置によると、光軸が傾いている撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を短時間に検出できる。
【0010】
(2)本発明の一局面によれば、前記画像上における前記基準位置と前記第1の位置との前記X方向の距離をF、前記基準位置と前記第2の位置との前記X方向の距離をGと定義し、前記平坦面に垂直な仮想平面であって前記光軸を含む仮想平面上の座標系において、前記撮像部の位置を示す座標を(a,b)、前記基準位置を通る第1の直線L1であって前記撮像部の座標(a,b)と前記基準位置とを通る第2の直線L2と直交する第1の直線L1上において前記基準位置から前記距離Fだけ離間した点を点A、前記第1の直線L1上において前記基準位置から前記点Aとは逆側に前記距離Gだけ離間した点を点Bと定義した場合に、前記制御部は、前記検出処理において、前記第1の直線L1と、前記点Aと前記撮像部の座標(a,b)とを通る第3の直線L3との交点の座標を前記点Aの座標として求める処理と、前記第1の直線L1と、前記点Bと前記撮像部の座標(a,b)とを通る第4の直線L4との交点の座標を前記点Bの座標として求める処理と、前記点Aの座標、前記点Bの座標、前記距離F及び前記距離Gに基づいて前記撮像部の座標(a,b)を求める処理と、を実行してもよい。
【0011】
上記の撮像装置によると、光軸が傾いている撮像部の位置を短時間に検出できる。
【0012】
(3)本発明の一局面によれば、前記制御部は、前記検出処理において、前記撮像部の座標(a,b)に基づいて前記撮像部の角度を求める処理を実行してもよい。
【0013】
上記の撮像装置によると、光軸が傾いている撮像部の角度及び位置の両方を短時間に検出できる。
【0014】
(4)本発明の一局面によれば、前記マークは前記X方向に延びる棒状部分と、前記X方向に直交するY方向に延びる棒状部分とが直交する形状であってもよい。
【0015】
上記の撮像装置によると、生成された画像上において、例えばX方向に延びる棒状部分の最もX方向マイナス側の位置を第1の位置、最もX方向プラス側の位置を第2の位置、Y方向に延びる棒状部分の最もY方向マイナス側の位置を第3の位置、最もY方向プラス側の位置を第4の位置とすることによって第1の位置、第2の位置、第3の位置及び第4の位置を特定できる。そして、第1の位置と第2の位置とを結ぶ直線と、第3の位置と第4の位置とを結ぶ直線との交点を基準位置とすることにより、基準位置、第1の位置及び第2の位置を特定できる。
【0016】
上述した「最もX方向マイナス側の位置を第1の位置とする」、「最もX方向プラス側の位置を第2の位置とする」、「最もY方向マイナス側の位置を第3の位置とする」、「最もY方向プラス側の位置を第4の位置とする」、及び、「交点を基準位置とする」は、前述した「予め決められたルール」の一例である。このルールをマークに適用することにより、マークが基準位置、第1の位置及び第2の位置を直接的に示していなくてもマークからこれらの位置を特定できる。
【0017】
(5)本発明の一局面によれば、前記マークは円形であってもよい。
【0018】
上記の撮像装置によると、生成された画像上において、例えば円形のマークの最もX方向マイナス側の位置を第1の位置、最もX方向プラス側の位置を第2の位置、最もY方向(平坦面上においてX方向に直交する方向)マイナス側の位置を第3の位置、最もY方向プラス側の位置を第4の位置とすることによって第1の位置、第2の位置、第3の位置及び第4の位置を特定できる。そして、第1の位置と第2の位置とを通る直線と、第3の位置と第4の位置とを通る直線との交点を基準位置とすることにより、基準位置、第1の位置及び第2の位置を特定できる。
円形のマークは形状がシンプルであるので、平坦面上に形成するのが容易であるという利点もある。
【0019】
(6)本発明の一局面によれば、基板に対する作業を行う基板作業装置は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置を備える。
【0020】
従来、基板に対する作業を行う基板作業装置として、スクリーン印刷機、印刷検査機、ディスペンサ、表面実装機、実装後外観検査機、硬化後外観検査機などが知られている。これらの基板作業装置の中には基板に対する作業に関係する撮像対象物を光軸が傾いている撮像部によって撮像するものがある。
上記の基板作業装置によると、基板作業装置が備える撮像装置の撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を短時間に検出できる。
【0021】
(7)本発明の一局面によれば、当該基板作業装置は、基板に部品を実装する表面実装機であってもよい。
【0022】
表面実装機は、実装ヘッドを下降させて部品を保持するとき、部品に対する実装ヘッドの位置がずれていると部品の保持に失敗する可能性がある。あるいは、部品を保持できたとしても、保持した部品を基板上の搭載位置まで移動させる間に部品が落下する可能性がある。また、実装ヘッドによって部品を保持するとき、実装ヘッドが十分に下降しないと実装ヘッドと部品の上面との間に隙間が生じ、部品の保持に失敗する可能性がある。逆に、実装ヘッドが下降し過ぎると実装ヘッドによって部品が下に押圧されて部品が破損する可能性がある。
このため、表面実装機は光軸が傾いている撮像部によって部品を撮像して部品の位置や高さを検出し、検出した位置に応じて実装ヘッドの位置を調整する、あるいは検出した高さに応じて実装ヘッドの下降量を調整する。しかしながら、撮像部の角度や位置がずれると部品の位置や高さの検出精度が低下し、部品の保持の失敗や部品の破損を十分に抑制できない可能性がある。
上記の基板作業装置によると、検出した部品の位置や高さを撮像部の角度や位置に応じて補正することにより、実装ヘッドの位置や下降量を適切に調整できる。このため部品の保持の失敗や部品の破損を抑制できる。
【0023】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【発明の効果】
【0024】
光軸が傾いている撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を短時間に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】基板撮像カメラの電気的構成を示すブロック図
【
図9A】基板撮像カメラによって検出用部材を撮像した画像の模式図(角度ずれ及び位置ずれなし)
【
図9B】基板撮像カメラによって検出用部材を撮像した画像の模式図(角度ずれ又は位置ずれあり)
【
図10】X軸とZ軸とによって規定される仮想平面の模式図
【
図11B】基板撮像カメラによって検出用部材を撮像した画像の模式図(角度ずれ又は位置ずれあり)
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図10に基づいて説明する。以降の説明では
図2に示す左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、
図3に示す上下方向をZ軸方向という。また、以降の説明では
図2に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0027】
(1)生産ライン
図1を参照して、基板に部品を実装する生産ライン1について説明する。生産ライン1はローダー10、スクリーン印刷機11、印刷検査機12、ディスペンサ13、複数台の表面実装機14、実装後外観検査機15、リフロー装置16、硬化後外観検査機17、アンローダー18などを備えており、これらが複数のコンベア19を介して直列に並んでいる。
【0028】
スクリーン印刷機11、印刷検査機12、ディスペンサ13、表面実装機14、実装後外観検査機15及び硬化後外観検査機17は、それぞれ基板に対する作業を行う基板作業装置の一例である。以降の説明では基板作業装置として表面実装機14を例に説明する。
【0029】
(2)表面実装機の構成
図2を参照して、表面実装機14の構成について説明する。表面実装機14はスクリーン印刷機11によって回路が印刷された基板Pに電子部品などの部品Eを実装する装置である。表面実装機14は基台30、搬送コンベア31、図示しないバックアップ装置、4つのテープ部品供給装置32、ロータリーヘッド33、ヘッド移動部34、2つの部品撮像カメラ35、2つの基板撮像カメラ36(撮像部の一例)、検出用部材37(平坦面を有する部材の一例)、後述する制御部50(
図5参照)、操作部51(
図5参照)などを備えている。検出用部材37、基板撮像カメラ36及び制御部50は実施形態1に係る撮像装置を構成している。
【0030】
基台30は平面視長方形状をなしている。
図2において二点鎖線で示す矩形枠Aは基板Pに部品Eを実装するときの作業位置(以下、作業位置Aという)を示している。
搬送コンベア31は基板PをX軸方向の上流側から作業位置Aに搬入し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出する。搬送コンベア31は基板Pを上流側に搬送することも可能である。搬送コンベア31はX軸方向に循環駆動する一対のコンベアベルト31A及び31B、それらのコンベアベルトを駆動するコンベア駆動モータ63(
図5参照)などを備えている。後側のコンベアベルト31Aは前後方向に移動可能であり、基板Pの幅に応じて2つのコンベアベルト31Aと31Bとの間隔を調整できる。
【0031】
図示しないバックアップ装置は作業位置Aの下方に配されている。バックアップ装置は作業位置Aに搬送された基板Pを作業位置Aに固定するとともに、複数のバックアップピンによって基板Pを下から支持する。
テープ部品供給装置32は搬送コンベア31のY軸方向の両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらのテープ部品供給装置32には複数のフィーダ32AがX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ32Aは所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープ70(
図6参照)が巻回されたリール、及び、リールから部品テープ70を引き出す電動式のテープ送出装置等を備えており、搬送コンベア31側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを一つずつ供給する。
ここでは部品供給装置としてテープ部品供給装置32を例に説明するが、部品供給装置は部品が載置されているトレイを供給する所謂トレイフィーダであってもよいし、半導体ウェハを供給するものであってもよい。
【0032】
ロータリーヘッド33は、鉛直線周りに回転する回転体33Aと、回転体33Aに昇降可能に支持されている複数の実装ヘッド33Bとを備えている。ロータリーヘッド33の具体的な構成については後述する。ここではロータリーヘッド33を例に説明するが、実装ヘッド33Bが一列に配列された所謂インライン型のヘッドであってもよい。
【0033】
ヘッド移動部34はロータリーヘッド33を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に移動させるものである。ヘッド移動部34はロータリーヘッド33をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム34A、ビーム34AをY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール34B、ロータリーヘッド33をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ58、ビーム34AをY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ59などを備えている。
【0034】
2つの部品撮像カメラ35はそれぞれX軸方向に並んだ2つのテープ部品供給装置32の間に設けられている。部品撮像カメラ35は実装ヘッド33Bに吸着(保持の一例)されている部品Eを下から撮像する。部品撮像カメラ35によって撮像された画像データは、部品Eが正常に吸着されたか否かの判定、実装ヘッド33Bに対する部品Eの位置や回転角度の判定、部品形状の良否判定などに用いられる。
【0035】
2つの基板撮像カメラ36はロータリーヘッド33の後述するヘッド本体部33C(
図3参照)に設けられている。基板撮像カメラ36は基板Pに付されている図示しないフィデューシャルマークの撮像に用いられる。フィデューシャルマークを撮像して生成された画像データは基板Pの位置や角度の認識などに用いられる。基板撮像カメラ36は、テープ部品供給装置32によって供給された部品Eの位置や高さの検出にも用いられる。基板撮像カメラ36は、実装ヘッド33Bによって基板Pに部品Eを搭載した後に部品Eの搭載位置を含む範囲を撮像して部品Eが正常に搭載されたか否かを判断するために用いられてもよい。
【0036】
検出用部材37は後側の2つのテープ部品供給装置32の間で基台30に固定されている。検出用部材37はヘッド本体部33C(
図3参照)に対する基板撮像カメラ36の取り付け角度(以下、単に角度という)、及び、取り付け位置(以下、単に位置という)を検出するためのものである。検出用部材37は板状の部材であり、上面が平坦面である。検出用部材37の上面には後述するマーク80が形成されている。
【0037】
(2-1)ロータリーヘッド
図3に示すように、ロータリーヘッド33はヘッド本体部33C、回転体33A、複数の実装ヘッド33B、図示しない2つのZ軸駆動装置、N軸サーボモータ61(
図5参照)、R軸サーボモータ62(
図5参照)などを備えている。ロータリーヘッド33は耐屈曲ケーブル33F(所謂フレキシブルケーブル)を介して制御部50と接続されている。
【0038】
ヘッド本体部33Cはアーム状に形成されており、X軸方向に往復移動可能にビーム34Aに支持されている。回転体33Aは略円柱状であり、鉛直線周りに回転可能にヘッド本体部33Cに支持されている。
複数の実装ヘッド33Bは回転体33Aの回転軸線を中心とする円周上に等間隔に配されている。実装ヘッド33Bはノズルシャフト33Dと、ノズルシャフト33Dの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル33Eとを有している。吸着ノズル33Eにはノズルシャフト33Dを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル33Eは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
【0039】
図示しない2つのZ軸駆動装置はヘッド本体部33Cに固定されている。Z軸駆動装置は実装ヘッド33Bが配されている円周上に設定されている所定の押圧位置の上方に配されている。Z軸駆動装置は可動子が上下方向に移動するZ軸リニアモータ60(
図5参照)を備えており、押圧位置に回転移動してきた実装ヘッド33Bを下に向けて押圧する。
N軸サーボモータ61は回転体33Aを鉛直線周りに回転駆動するモータである。R軸サーボモータ62は各実装ヘッド33Bをその実装ヘッド33Bの軸線周りに一斉に自転させるモータである。
【0040】
(2-2)基板撮像カメラ
図3に示すように、基板撮像カメラ36はそれぞれステレオカメラであり、撮像対象物(基板Pや部品E)を斜め上方向から撮像する第1カメラ40と第2カメラ41とを有している。第1カメラ40は第2カメラ41よりも基板Pの板面とカメラの光軸とがなす角度が大きい。
【0041】
図4を参照して、基板撮像カメラ36の電気的構成について説明する。基板撮像カメラ36は第1カメラ40、第2カメラ41、FPGA42(Field Programmable Gate Array)、及び、通信部43を備えている。
第1カメラ40及び第2カメラ41は、複数の受光素子が二次元配列されたエリアセンサ44、撮像対象物を照明するLEDなどの光源45、光源45から出射されて撮像対象物によって反射された光をエリアセンサ44の受光面に結像させる図示しない光学系、A/Dコンバータ46などを有している。A/Dコンバータ46は各受光素子に蓄積された電荷に応じた電圧を例えば0(黒)~255(白)のデジタルデータ(以下、画像データという)に変換してFPGA42に出力する。FPGA42は出力された画像データを、通信部43を介して後述する画像処理部55(
図5参照)に送信する。
【0042】
基板撮像カメラ36はFPGA42に替えてマイクロコンピュータやASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えていてもよい。基板撮像カメラ36はエリアセンサ44に替えて受光素子が1列に配列されているリニアセンサを備えてもよい。その場合はロータリーヘッド33を移動させながらリニアセンサによって撮像対象物を時系列で撮像することによって撮像対象物の全体が撮像される。
【0043】
(2-3)表面実装機の電気的構成
図5に示すように、表面実装機14は制御部50及び操作部51を備えている。制御部50は演算処理部52、モータ制御部53、記憶部54、画像処理部55、外部入出力部56、フィーダ通信部57などを備えている。
【0044】
演算処理部52はCPU、ROM、RAMなどを備えており、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することによって表面実装機14の各部を制御する。
モータ制御部53は演算処理部52の制御の下でX軸サーボモータ58、Y軸サーボモータ59、Z軸リニアモータ60、N軸サーボモータ61、R軸サーボモータ62、コンベア駆動モータ63などの各モータの運転、停止及び回転速度を制御する。
【0045】
記憶部54は電源をオフにしてもデータが消えない書き換え可能な記憶装置(ハードディスク等)である。記憶部54には各種のプログラムやデータが記憶されている。各種のデータには、生産が予定されている基板Pの機種、各種の部品Eに関するデータ(部品Eの形状データなど)、各機種を生産する順序、機種ごとのデータ(生産枚数、基板Pの形状、実装される部品E、部品Eの実装順序、部品Eの実装座標、実装角度)などが含まれる。
【0046】
画像処理部55は部品撮像カメラ35や基板撮像カメラ36から送信された画像データを受信し、受信した画像データを演算処理部52のRAMに記憶させる。
外部入出力部56はいわゆるインターフェースであり、表面実装機14の本体に設けられている各種センサ類66から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部56は演算処理部52から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類67(図示しない空気供給装置、バックアップ装置を含む)に対する動作制御を行うように構成されている。
【0047】
フィーダ通信部57はフィーダ32Aに接続されており、フィーダ32Aを統括して制御する。
操作部51は液晶ディスプレイなどの表示部と、タッチパネルやキーボードなどの入力部とを備えている。作業者は操作部51を操作して表面実装機14に対する各種の設定や動作の指示などを行うことができる。
【0048】
(3)基板撮像カメラを用いた部品の位置及び高さの検出
図6はフィーダ32Aの部品供給位置周辺を概略的に示している。
図6に示すように、部品テープ70は複数の収容凹部71が長手方向に等間隔に設けられているキャリアテープ72、各収容凹部71に収容されている部品E、及び、キャリアテープ72の上面に貼り付けられている剥離テープ73を有している。部品テープ70にはフィーダ32Aに設けられているスプロケットの歯が挿入される図示しない送り穴が長手方向に沿って等間隔で設けられており、スプロケットが回転することによって部品テープ70が送られる。
【0049】
フィーダ32Aには部品供給位置の手前に剥離テープ73を剥がす図示しない剥離装置が設けられており、各収容凹部71は部品供給位置の手前で剥離テープ73が剥がされる。そして、収容凹部71が部品供給位置に達すると部品テープ70の送りが停止され、その状態で実装ヘッド33Bが下降して部品Eが吸着される。
制御部50は、実装ヘッド33Bを下降させて部品Eを吸着するとき、基板撮像カメラ36によって部品Eを斜め上方から撮像して部品Eの位置や高さを検出する。制御部50は検出した位置に応じて実装ヘッド33Bの位置を調整するとともに、検出した高さに応じて実装ヘッド33Bの下降量を調整する。
【0050】
(4)基板撮像カメラの角度及び位置の検出
図7A及び
図7Bを参照して、第1カメラ40や第2カメラ41の角度ずれ及び位置ずれについて説明する。ここでは第1カメラ40を例に説明する。
図7Aにおいてθ0は第1カメラ40の本来の角度(角度ずれが生じていないときの角度)であり、θは角度ずれが生じているときの角度である。
図7Bにおいて座標(a0、b0)はヘッド本体部33Cに対する第1カメラ40の本来の位置(位置ずれが生じていないときの位置)であり、座標(a、b)は位置ずれが生じたときの位置である。
【0051】
制御部50は第1カメラ40や第2カメラ41の角度及び位置を検出し、部品Eの位置や高さを第1カメラ40や第2カメラ41の角度や位置に応じて補正する。第1カメラ40の角度及び位置を検出する方法と第2カメラ41の角度及び位置を検出する方法とは同じであるので、以降の説明では第1カメラ40を例に説明する。
【0052】
図8に示すように、検出用部材37の上面にはマーク80が形成されている。マーク80は第1カメラ40の角度及び位置を検出するためのものである。検出用部材37の上面は例えば白色であり、マーク80は黒色で形成されている。一点鎖線90は、マーク80を撮像する位置に移動した第1カメラ40の光軸を検出用部材37の上面に垂直に投影した方向である。以降の説明では一点鎖線90によって示される方向をX方向と定義する。また、以降の説明では検出用部材37の上面においてX方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向の両方に直交する方向をZ方向と定義する。
【0053】
マーク80はX方向における検出用部材37の上面の基準位置P0、基準位置P0を基準にX方向の一方の側の第1の位置P1、及び、他方の側の第2の位置P2を示している。具体的には、マーク80はX方向に延びる矩形の棒状部分とY方向に延びる矩形の棒状部分とが直交する形状(言い換えると+形状、十字形状あるいはクロス形状)である。X方向に延びる矩形の棒状部分の左側の短辺のY方向の中心点(最もX方向マイナス側の点の一例)は第1の位置P1であり、右側の短辺のY方向の中心点(最もX方向プラス側の点の一例)は第2の位置P2である。第1の位置P1は左側の短辺の中心点に限られるものではなく、例えば左側の短辺のいずれか一方の端であってもよい。第2の位置P2も同様である。
【0054】
Y方向に延びる矩形の棒状部分の下側の短辺のX方向の中心点(最もY方向マイナス側の点の一例)は第3の位置P3であり、上側の短辺のX方向の中心点(最もY方向プラス側の点の一例)は第4の位置P4である。第3の位置P3は下側の短辺の中心点に限られるものではなく、例えば下側の短辺のいずれか一方の端であってもよい。第4の位置P4も同様である。
基準位置P0の位置は、第1の位置P1と第2の位置P2とを結ぶ直線と、第3の位置P3と第4の位置P4とを結ぶ直線との交点によって示される。
【0055】
便宜上、以降の説明では、マーク80の基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の実際の距離、及び、基準位置P0から第2の位置P1までのX方向の実際の距離がいずれも距離cであるとする。すなわち、マーク80は基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の実際の距離と、基準位置P0から第2の位置P2までのX方向の実際の距離とが等しい。
また、マーク80は基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の実際の距離、及び、基準位置P0から第4の位置P4までのY方向の実際の距離がいずれも距離cであるとする。すなわち、マーク80は基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の実際の距離と、基準位置P0から第4の位置P4までのY方向の実際の距離とが等しい。
また、以降の説明では基準位置P0を原点とするXYZ座標系を用いて説明する。XYZ座標系の原点は必ずしも基準位置P0でなくてもよい。
【0056】
図9Aに示す画像100は、第1カメラ40の角度や位置がずれていない場合に撮像されたマーク80の画像である。第1カメラ40は斜め上方からマーク80を撮像するので、第1カメラ40の角度や位置がずれていない場合であってもマーク80は歪んだ形状に撮像される。
図9Bに示す画像101は、第1カメラ40の角度あるいは位置がずれている場合に撮像されたマーク80の画像である。第1カメラ40の角度あるいは位置がずれている場合は画像101上でマーク80の位置がずれるとともに、角度や位置がずれていない場合に比べてマーク80の歪み具合が異なる。マーク80の形状が+形状である場合、マーク80が歪んでいても画像101上で第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3及び第4の位置P4を特定可能である。このため、マーク80が歪んでいても基準位置P0を特定可能である。
【0057】
マーク80を用いた第1カメラ40の角度及び位置の検出について具体的に説明する。第1カメラ40の角度及び位置の検出は任意のタイミングで行うことができる。例えば基板Pの生産が開始される前に行われてもよいし、生産する基板Pの種類が切り替わったときに行われてもよい。あるいは、所定の時間間隔で行われてもよいし、所定枚数の基板Pが生産される毎に行われてもよい。
【0058】
制御部50はマーク80を撮像する位置に第1カメラ40を移動させ、第1カメラ40によってマーク80を斜め上方から撮像する(撮像処理)。マーク80を撮像する位置は、例えば角度及び位置がずれていない第1カメラ40によってマーク80を撮像した場合に、撮像した画像の中心がマーク80の基準位置P0と重なる位置である。
【0059】
図9Bに示すように、制御部50は画像101上でマーク80に基づいて第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3及び第4の位置P4を特定し、これらの位置から画像101上における基準位置P0を特定する。そして、制御部50は、画像101上における基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の距離Fと、画像101上における基準位置P0から第2の位置P2までのX方向の距離Gとを判断し、距離Fと距離Gとに基づいて第1カメラ40の角度及び位置を検出する(検出処理)。
【0060】
図10を参照して、上述した検出処理について具体的に説明する。
図10はXYZ座標系のX軸とZ軸とによって規定される仮想平面を示している。仮想平面は検出用部材37の上面に垂直な平面であって第1カメラ40の光軸を含む平面である。
図10において点Pcは第1カメラ40のXZ方向の位置を示している。ここでは点PcのXZ座標を(a,b)と定義する。この時点で(a,b)は未知である。
【0061】
図10において点Aと点Bとを通る第1の直線L1は基準位置P0を通る直線であり、且つ、点Pcと基準位置P0とを通る第2の直線L2と直交する直線である。基準位置P0と点Aとの距離はFであり、基準位置P0と点Bとの距離はGである。すなわち、点Aと点Bとの距離(=F+G)は、画像に写ったマーク80のX方向の長さを示している。
【0062】
点AのXZ座標は、点Aと点Bとを通る第1の直線L1と、点Aと点Pcとを通る第3の直線L3との交点として求められる。具体的には、第1の直線L1は以下の式1によって表され、第3の直線L3は以下の式2によって表される。以降に説明する式においてcは、前述したように基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の実際の距離、及び、基準位置P0から第2の位置P2までのX方向の実際の距離である。
【数1】
【数2】
【0063】
上記の式1及び式2を解くことにより、点AのXZ座標は以下の式3及び式4に示すように求められる。
【数3】
【数4】
【0064】
同様に、点BのXZ座標は、前述した第1の直線L1と、点Bと点Pcとを通る第4の直線L4との交点として求められる。第4の直線L4は以下の式5によって表される。
【数5】
【0065】
上記の式1及び式5を解くことにより、点BのXZ座標は以下の式6及び式7に示すように求められる。
【数6】
【数7】
【0066】
前述したように距離F及び距離Gは画像上で求められる。点Aの座標、点Bの座標、距離F及び距離Gが求められると、それらに基づいて点PcのXZ座標(a,b)は以下の式8に示すように求められる。すなわち、第1カメラ40の位置は以下の式8に示すように求められる。
【数8】
【0067】
ここで、d及びeは以下の式9及び式10によって示される。
【数9】
【数10】
【0068】
求めた座標(a,b)を以下の式11に代入すると、第1カメラ40の角度θが求められる。
【数11】
【0069】
角度θが求められると、第1カメラ40の角度ずれΔθは以下の式12によって求められる。
Δθ=θ0-θ ・・・ 式12
【0070】
第1カメラ40のXZ方向の位置ずれ(Δx,Δz)は以下の式13によって求められる。
(Δx,Δz)=(a0-a,b0-b) ・・・ 式13
【0071】
(5)実施形態の効果
実施形態1に係る撮像装置(検出用部材37、基板撮像カメラ36及び制御部50)によると、第1カメラ40や第2カメラ41の角度を検出する場合であっても、位置を検出する場合であっても、あるいはその両方を検出する場合であっても、1回の撮像で検出できる。このため実施形態1に係る撮像装置によると、光軸が傾いている基板撮像カメラ36の角度及び位置の少なくとも一方を短時間に検出できる。
【0072】
撮像装置によると、制御部50は、第1の直線L1と、点Aと基板撮像カメラ36の座標(a,b)とを通る第3の直線L3との交点の座標を点Aの座標として求める処理と、第1の直線L1と、点Bと基板撮像カメラ36の座標(a,b)とを通る第4の直線L4との交点の座標を点Bの座標として求める処理と、点Aの座標、点Bの座標、距離F及び距離Gに基づいて基板撮像カメラ36の座標(a,b)を求める処理と、を実行する。これにより、基板撮像カメラ36の位置を1回の撮像で検出できる。このため、光軸が傾いている基板撮像カメラ36の位置を短時間に検出できる。
【0073】
撮像装置によると、制御部50は、基板撮像カメラ36の座標(a,b)に基づいて基板撮像カメラ36の角度を求める処理を実行するので、基板撮像カメラ36の角度及び位置の両方を1回の撮像で検出できる。このため、光軸が傾いている基板撮像カメラ36の角度及び位置の両方を短時間に検出できる。
【0074】
撮像装置によると、マーク80はX方向に延びる棒状部分とY方向に延びる棒状部分とが直交する+形状であるので、基準位置P0、第1の位置P1及び第2の位置P2の位置を特定できる。
【0075】
実施形態1に係る基板作業装置(具体的には表面実装機14)によると、光軸が傾いている基板撮像カメラ36の角度及び位置の少なくとも一方を短時間に検出できる。
【0076】
実施形態1に係る基板作業装置は表面実装機14である。表面実装機14によると、検出した部品Eの位置や高さを基板撮像カメラ36の角度や位置に応じて補正することにより、実装ヘッド33Bの位置や下降量を適切に調整できる。このため部品Eの吸着の失敗や部品Eの破損を抑制できる。
【0077】
<実施形態2>
図11Aに示すように、実施形態2に係るマーク110は円形である。マーク110において最も左側(X方向マイナス側)の点が第1の位置P1、最も右側(X方向プラス側)の点が第2の位置P2、最も下側(Y方向マイナス側)の点が第3の位置P3、最も上側(Y方向プラス側)の点が第4の位置P4である。基準位置P0はマーク110の中心点である。マーク110の中心点は第1の位置P1と第2の位置P2とを通る直線と、第3の位置P3と第4の位置P4とを通る直線との交点である。
【0078】
マーク110は、基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の実際の距離と、基準位置P0から第2の位置P2までのX方向の実際の距離とが等しい。また、マーク110は基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の実際の距離と、基準位置P0から第4の位置P4までのY方向の実際の距離とが等しい。
【0079】
図11Bに示す画像111は第1カメラ40によって撮像された画像である。
図11Bに示すように、検出用部材37の上面に対して光軸が傾いている場合は、マーク110を撮像した画像111上でマーク110が歪んだ形状となる。しかしながら、マーク110が円形である場合、歪んでいても基準位置P0、第1の位置P1及び第2の位置P2を特定可能である。
【0080】
円形のマーク110は形状がシンプルであるので形成するのが容易であるという利点もある。
【0081】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)上記実施形態では基板撮像カメラ36の角度及び位置の両方を検出する場合を例に説明したが、角度又は位置のどちらかだけを検出してもよい。従来は角度又は位置のどちらかだけを検出する場合も、角度がずれているのか位置がずれているのかを切り分けるために複数回の撮像が必要であったが、上記実施形態では角度又は位置のどちらかだけを検出する場合でも1回の撮像で検出できる。なお、角度だけを検出する場合でも、計算の都合により位置を求めることは必要となる。
【0083】
(2)上記実施形態1ではマークとして+形状のマーク80を例示し、実施形態2ではマークとして円形のマーク110を例示した。しかしながら、マークは基準位置P0、第1の位置P1及び第2の位置P2を特定可能であれば任意の形状であってよい。
【0084】
例えば
図12に示すマーク120は小さな4つの円130で構成されている。左側の円130の中心点は第1の位置P1、右側の円130の中心点は第2の位置P2、下側の円130の中心点は第3の位置P3、上側の円130の中心点は第4の位置P4を示している。マーク130も、歪んでいても基準位置P0の位置、第1の位置P1の位置及び第2の位置P2の位置を特定可能である。なお、円に替えて四角形や三角形を用いてもよい。
【0085】
また、例えば
図13に示すマーク131は菱形である。菱形のマーク131の左側の頂点は第1の位置P1、右側の頂点は第2の位置P2、下側の頂点は第3の位置P3、上側の頂点は第4の位置P4を示している。菱形のマーク131も、歪んでいても基準位置P0、第1の位置P1及び第2の位置P2を特定可能な形状である。
【0086】
また、例えば
図14に示すマーク132は小さな3つの三角形133で構成されている。左側の三角形のマーク133の先端は第1の位置P1を示しており、間の三角形のマーク133の先端は基準位置P0を示しており、右側の三角形のマーク133の先端は第2の位置P2を示している。マーク132の場合、基準位置P0は間の三角形のマーク133によって直接的に示されている。
【0087】
また、実施形態2ではマークとして円形のマーク110を例示したが、マークは楕円であってもよい。楕円は長軸がX方向、短軸がY方向となる楕円であってもよいし、長軸がY方向、短軸がX方向となる楕円であってもよい。
【0088】
(3)上記実施形態では基板作業装置として表面実装機14を例に説明したが、基板作業装置はスクリーン印刷機11、印刷検査機12、ディスペンサ13、実装後外観検査機15、硬化後外観検査機17などであってもよい。これらの基板作業装置の中には、基板Pに対する作業に関係する撮像対象物を光軸が傾いている撮像部によって撮像するものがある。そのような基板作業装置に例えば実施形態1や実施形態2の撮像装置を適用すると、撮像部の角度及び位置の少なくとも一方を1回の撮像で検出できる。このため作業効率が向上する。
【0089】
(4)上記実施形態では基板撮像カメラ36が第1カメラ40及び第2カメラ41を備えており、それらのカメラによってステレオ撮像された画像データから部品Eの高さを計測する場合を例に説明した。しかしながら、部品Eの高さを計測する方法はこれに限られない。例えば基板撮像カメラ36はカメラを1つだけ備えており、光切断法や位相シフト法などによって高さを計測してもよい。
【0090】
(5)上記実施形態では検出用部材37の上面に印刷によってマークが形成されている場合を例に説明したが、マークはシールとして張り付けられていてもよい。あるいは、検出用部材37の上面に凸や凹あるいは穴を形成し、それらをマークとして用いてもよい。
【0091】
(6)上記実施形態ではマークに基づいて基板撮像カメラ36の角度及び位置を検出する場合を例に説明したが、マークに基づいて基板撮像カメラ36のねじれを検出してもよい。ここでいうねじれとは、基板撮像カメラ36のY方向の位置のずれであってもよいし、基板撮像カメラ36の光軸周りの回転であってもよい。
例えばねじれとして基板撮像カメラ36のY方向の位置を検出する場合は、実施形態1で説明した+形状のマークや実施形態2で説明した円形のマークを用いると、第3の位置P3及び第4の位置P4を検出できる。このため、基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の距離と、基準位置P0から第4の位置P4までのY方向の距離とに基づいてY方向の位置を検出してもよい。
【0092】
(7)上記実施形態1及び2では、マーク80やマーク110は基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の実際の距離と、基準位置P0から第2の位置P2までのX方向の実際の距離とが等しい場合を例に説明した。しかしながら、これらの距離は必ずしも等しくなくてもこれらの距離が予め分かっていればよい。また、上記実施形態1及び2では、マーク80やマーク110は基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の実際の距離と、基準位置P0から第4の位置P4までのY方向の実際の距離とが等しい場合を例に説明した。しかしながら、これらの距離は必ずしも等しくなくてもよい。
また、上記実施形態1及び2では基準位置P0から第1の位置P1までのX方向の実際の距離、及び、基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の実際の距離がいずれもcである場合を例に説明した。しかしながら、これらの距離は予め分かっていればよく、第1の位置P1までのX方向の実際の距離と基準位置P0から第3の位置P3までのY方向の実際の距離とは異なっていてもよい。
【0093】
(8)上記実施形態では点Aの座標及び点Bの座標を計算しているが、点Aの座標及び点Bの座標は必ずしも計算しなくてよい。具体的には、式8、9及び10を記憶部54に記憶しておき、制御部50は実際の距離c、画像上の距離F及び距離Gを式8、9及び10に代入することによって第1カメラ40の位置を計算してもよい。
【符号の説明】
【0094】
36:基板撮像カメラ(撮像部の一例)
37:検出用部材(部材の一例)
80:マーク
101:画像
110:マーク
111:画像
120:マーク
131:マーク
132:マーク
L1:第1の直線
L2:第2の直線
L3:第3の直線
L4:第4の直線
P0:基準位置
P1:第1の位置
P2:第2の位置
P:基板