IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 河村電器産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-輪番充電装置 図1
  • 特許-輪番充電装置 図2
  • 特許-輪番充電装置 図3
  • 特許-輪番充電装置 図4
  • 特許-輪番充電装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】輪番充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20241111BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J7/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021013575
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117081
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雅彦
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-074776(JP,A)
【文献】特開2011-103746(JP,A)
【文献】特開2008-136278(JP,A)
【文献】特開平08-182210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電量が所定量に達すると定電流充電から定電圧充電へ切り替わる機器を接続可能で、接続された前記機器に充電電力を供給する電源供給部を備えているとともに、前記電源供給部が複数にグループ分けされていて、前記グループ毎に輪番充電を実施する輪番充電装置であって、
充電回路に流れる電流を計測する電流計測部と、前記輪番充電における前記グループの充電順を決定する制御部とを備えており、
前記輪番充電を開始する前に、前記グループ毎に充電に係る電流を夫々計測し、計測された電流値が多い前記グループから順に充電されるように前記グループの充電順が決定されることを特徴とする輪番充電装置。
【請求項2】
充電量が所定量に達すると定電流充電から定電圧充電へ切り替わる機器を接続可能で、接続された前記機器に充電電力を供給する電源供給部を備えているとともに、前記電源供給部が複数にグループ分けされていて、前記グループ毎に輪番充電を実施する輪番充電装置であって、
充電回路に流れる電流を計測する電流計測部と、前記輪番充電における各前記グループでの充電時間を夫々決定するとともに、前記充電時間として、標準時間となる第1充電時間及び前記標準時間よりも長い第2充電時間が設定されており、さらに前記電流計測部により計測された電流値と比較される閾値が設定されている制御部とを備えており、
前記輪番充電を開始する前に、前記グループ毎に充電に係る電流を夫々計測するとともに計測された電流値と前記閾値とを比較し、前記計測された電流値が前記閾値を上回っている前記グループの充電時間は前記第2充電時間と決定する一方、前記閾値以下である前記グループの充電時間は前記第1充電時間と決定することを特徴とする輪番充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばタブレット型端末等の蓄電池を具備する複数の機器を順番に充電する輪番充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タブレット型端末等の蓄電池を具備する複数の機器を順番に充電する輪番充電装置としては、たとえば特許文献1に記載されているように、複数の機器をグループ分けし、グループ毎に輪番充電するようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-108122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の輪番充電装置では、予め設定されている順番でしか輪番充電しない上、満充電となるまでは各グループにおける充電時間が一定であるため、グループ毎で機器の充電量に差が出やすく、充電量が少ない機器を効率良く充電することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、グループ毎で機器の充電量に差が出にくく、充電量が少ない機器を効率良く充電することができる輪番充電装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、充電量が所定量に達すると定電流充電から定電圧充電へ切り替わる機器を接続可能で、接続された前記機器に充電電力を供給する電源供給部を備えているとともに、前記電源供給部が複数にグループ分けされていて、前記グループ毎に輪番充電を実施する輪番充電装置であって、充電回路に流れる電流を計測する電流計測部と、前記輪番充電における前記グループの充電順を決定する制御部とを備えており、前記輪番充電を開始する前に、前記グループ毎に充電に係る電流を夫々計測し、計測された電流値が多い前記グループから順に充電されるように前記グループの充電順が決定されることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、充電量が所定量に達すると定電流充電から定電圧充電へ切り替わる機器を接続可能で、接続された前記機器に充電電力を供給する電源供給部を備えているとともに、前記電源供給部が複数にグループ分けされていて、前記グループ毎に輪番充電を実施する輪番充電装置であって、充電回路に流れる電流を計測する電流計測部と、前記輪番充電における各前記グループでの充電時間を夫々決定するとともに、前記充電時間として、標準時間となる第1充電時間及び前記標準時間よりも長い第2充電時間が設定されており、さらに前記電流計測部により計測された電流値と比較される閾値が設定されている制御部とを備えており、前記輪番充電を開始する前に、前記グループ毎に充電に係る電流を夫々計測するとともに計測された電流値と前記閾値とを比較し、前記計測された電流値が前記閾値を上回っている前記グループの充電時間は前記第2充電時間と決定する一方、前記閾値以下である前記グループの充電時間は前記第1充電時間と決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、充電回路に流れる電流を計測する電流計測部と、輪番充電におけるグループの充電順を決定する制御部とを備えており、輪番充電を開始する前に、グループ毎に充電に係る電流を夫々計測し、計測された電流値が多いグループから順に充電されるようにグループの充電順が決定されるようになっている。また、請求項2に記載の発明によれば、充電回路に流れる電流を計測する電流計測部と、輪番充電における各グループでの充電時間を夫々決定するとともに、充電時間として、標準時間となる第1充電時間及び標準時間よりも長い第2充電時間が設定されており、さらに電流計測部により計測された電流値と比較される閾値が設定されている制御部とを備えており、輪番充電を開始する前に、グループ毎に充電に係る電流を夫々計測するとともに計測された電流値と閾値とを比較し、計測された電流値が閾値を上回っているグループの充電時間は第2充電時間と決定する一方、閾値以下であるグループの充電時間は第1充電時間と決定するようになっている。このように、本発明によれば、計測された電流値にもとづいてグループの充電順が決定されたり(請求項1)、各グループでの充電時間が夫々決定されたり(請求項2)するため、グループ毎で機器の充電量に差が出にくく、充電量が少ない機器を効率良く充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】輪番充電装置を示す機能ブロック図である。
図2】第1実施例となる輪番充電制御を示したフローチャート図である。
図3】第1実施例となる輪番充電制御で輪番充電する具体例を示した説明図である。
図4】第2実施例となる輪番充電制御を示したフローチャート図である。
図5】第2実施例となる輪番充電制御で輪番充電する具体例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる輪番充電装置について図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、輪番充電装置1を示す機能ブロック図である。
輪番充電装置1は、4つにグループ分けされたコンセントタップ2A~2D、各コンセントタップ2A~2D毎に応じて設けられ、コンセントタップ2A~2Dへ電力を供給する電路を開閉する開閉部3A~3D、輪番充電を制御する制御装置10、及び商用電源から電源の供給を受けるための電源プラグ9等を備えている。また、制御装置10には、輪番充電を開始させる等するための操作部4、後述するような輪番充電制御を実施するCPU5、CPU5による制御のもと開閉部3A~3Dを動作させるリレー制御部6、充電回路に流れる電流を計測する電流計測部7、及びCPU5に電源を供給する電源部8等が設けられている。そして、輪番充電装置1では、電源プラグ9及び開閉部3A~3Dのうちの何れか1つを介して各コンセントタップ2A~2Dへ商用電力が供給されるようになっている。
【0011】
なお、各コンセントタップ2A~2Dには、複数の機器(たとえばタブレット端末やパーソナルコンピュータ等)を接続することができる。そして、それらのコンセントタップ2A~2Dは、たとえば接続される機器を収納して保管可能なキャビネット等に設置されている。また、コンセントタップ2A~2Dに接続される機器では、充電量に応じて定電流充電(以下、CC充電と称す)から定電圧充電(以下、CV充電と称す)へ自動で切り替わる(充電量が所定量に達していないとCC充電し、所定量に達したことをもってCV充電へ切り替わる)ようになっている。
【0012】
ここで、本発明の要部となる輪番充電装置1における輪番充電制御の第1実施例について、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
操作部4での操作に伴い輪番充電が開始されると、制御装置10は、まずコンセントタップ2A、コンセントタップ2B、コンセントタップ2C、コンセントタップ2Dの順番で所定の計測時間(たとえば1分間)にわたり電力を供給し、夫々の場合について充電回路に流れる電流を計測する(S1)。次に、計測した電流値と予め設定されている所定の閾値(たとえば500mA)とを比較するとともに、当該比較結果にもとづきコンセントタップ2A~2Dに対して輪番充電するにあたっての充電順を決定する(S2)。そして、決定した充電順にしたがいコンセントタップ2A~2Dに対して輪番充電する(S3)。なお、S3で実施される輪番充電は、充電順の決定以外は従来同様であり、所定のコンセントタップ(コンセントタップ2A~2Dの何れか)に対して所定の標準時間(図3でのt5-t6の時間、t6-t7の時間、t7-t8の時間、及びt8-t9の時間であって、たとえば30分間)にわたり電力を供給すると、次のコンセントタップへ切り替え、当該コンセントタップに対して標準時間にわたり電力を供給するようになっている。また、輪番充電中にも電流計測部7による電流の計測は継続しており、一のコンセントタップにおける充電電流が0mA(又は非常に小さい値)になると、当該コンセントタップでの充電は満充電になったとして、そのコンセントタップへの電力供給及び以後の切り替えはスキップし、他のコンセントタップについての電力供給及び切り替えを継続するようになっている。
【0013】
図3にしたがって上記第1実施例での輪番充電を具体的に説明すると、t1~t5にかけて電流を計測し、その計測の結果は、コンセントタップ2Aでの電流値は400mA、コンセントタップ2Bでの電流値は800mA、コンセントタップ2Cでの電流値は200mA、コンセントタップ2Dでの電流値は600mAになったとする。このようにコンセントタップ2A~2D毎に電流値が異なる理由は、各コンセントタップ2A~2Dに接続されている機器においてCC充電している機器の数の違いに由来する。すなわち、機器における充電態様がCC充電からCV充電へ切り替わると、電流値が大きく低下する。したがって、電流値が大きいコンセントタップについては、CC充電されている機器の数が多い(充電量の少ない機器の数が多い)ということになる。そして、S2における各電流値と上記閾値との比較では、コンセントタップ2B、2Dでの電流値が閾値を上回っているため、S2で決定する充電順での優先順位を高くし、コンセントタップ2B、コンセントタップ2D、コンセントタップ2A、コンセントタップ2Cの順番で輪番充電すると決定し、図3に示すような輪番充電を実施する。
【0014】
次に、輪番充電装置1における輪番充電制御の第2実施例について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
操作部4での操作に伴い輪番充電が開始されると、制御装置10は、まずコンセントタップ2A、コンセントタップ2B、コンセントタップ2C、コンセントタップ2Dの順番で所定の計測時間(たとえば1分間)にわたり電力を供給し、夫々の場合について充電回路に流れる電流を計測する(S11)。次に、計測した電流値と予め設定されている所定の閾値(たとえば500mA)とを比較するとともに、当該比較結果にもとづき輪番充電における各コンセントタップ2A~2Dでの充電時間を夫々決定する(S12)。そして、予め設定されている所定の充電順(ここではコンセントタップ2A、コンセントタップ2B、コンセントタップ2C、コンセントタップ2Dの順)にしたがい、夫々決められた充電時間ずつ輪番充電する(S13)。なお、第2実施例に係る輪番充電では、S12で決定した充電時間にしたがった輪番充電が一巡すると、再びS11へ戻って電流を計測し、S12で各コンセントタップ2A~2Dでの新たな充電時間を決定するようにしてもよい。また、輪番充電中にも電流計測部7による電流の計測は継続しており、一のコンセントタップにおける充電電流が0mA(又は非常に小さい値)になると、当該コンセントタップでの充電は満充電になったとして、そのコンセントタップへの電力供給及び以後の切り替えはスキップし、他のコンセントタップについての電力供給及び切り替えを継続するようになっている。
【0015】
図5にしたがって上記第2実施例での輪番充電を具体的に説明すると、t1~t5にかけて電流を計測し、その計測の結果は、コンセントタップ2Aでの電流値は400mA、コンセントタップ2Bでの電流値は800mA、コンセントタップ2Cでの電流値は600mA、コンセントタップ2Dでの電流値は200mAになったとする。このようにコンセントタップ2A~2D毎に電流値が異なる理由は、第1実施例において上述した通りである。そして、S12における各電流値と上記閾値との比較では、コンセントタップ2B、2Cでの電流値が閾値を上回っているため、コンセントタップ2A、2Dでの充電時間は標準時間(図5でのt5-t6の時間、及びt8-t9の時間であって、たとえば30分間)とするものの、コンセントタップ2B、2Cでの充電時間は標準時間よりも長い長充電時間(図5でのt6-t7の時間、及びt7-t8の時間であって、たとえば60分間)と設定し、図5に示すような輪番充電を実施する。
【0016】
以上のような構成を有する輪番充電装置1によれば、充電回路に流れる電流を計測する電流計測部7を備えているとともに、輪番充電におけるコンセントタップ2A~2Dの充電順を決定する(第1実施例)、又は、輪番充電における各コンセントタップ2A~2Dでの充電時間を夫々決定する(第2実施例)CPU5を備えており、輪番充電を開始する前に、コンセントタップ2A~2D毎に充電に係る電流を夫々計測し、計測された電流値にもとづいて、グループの充電順を決定したり(第1実施例)、各コンセントタップ2A~2Dでの充電時間を夫々決定したり(第2実施例)するようになっている。したがって、コンセントタップ2A~2D毎で機器の充電量に差が出にくく、充電量が少ない機器を効率良く充電可能な輪番充電装置1とすることができる。
【0017】
なお、本発明に係る輪番充電装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、輪番充電装置の全体的な構成は勿論、輪番充電制御に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0018】
たとえば、上記実施形態では2つの実施例に分けて記載しているが、充電順を決定する第1の輪番充電モードと、充電時間を決定する第2の輪番充電モードとの両者を予め設定しておくとともに、輪番充電モードとして第1の輪番充電モードと第2の輪番充電モードとの何れかを選択可能な選択手段を操作部に設ける等して構成することも可能である。
また、上記実施形態では、充電に係る標準時間が予め設定されているとしているが、当該標準時間を操作部で任意に設定可能としてもよい。その際、第2実施例では、操作部で設定された標準時間に超過時間を加算して長充電時間が設定されるように構成することができる。
【0019】
さらに、上記実施形態では、計測された電流値と閾値とを比較することによって充電順や充電時間を決定するとしているが、計測された電流値同士を比較することによって充電順や充電時間を決定することも可能である。そのように計測された電流値同士を比較することで、たとえば電流値の多い順番がコンセントタップ2D、コンセントタップ2B、コンセントタップ2C、コンセントタップ2Aであると、上記第1実施例では蓄電順がコンセントタップ2B、コンセントタップ2D、コンセントタップ2A、コンセントタップ2Cとなっていたところ、当該変更例では蓄電順がコンセントタップ2D、コンセントタップ2B、コンセントタップ2C、コンセントタップ2Aとなるようなこともあり、充電量が少ない機器を一層効率良く充電することのできる輪番充電装置とすることができる。
加えて、上記実施形態では、閾値を1つしか設定していないが、閾値を2つ以上設定しても何ら問題はないし、充電時間についても3種類以上の充電時間を設定可能とすることも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・輪番充電装置、2A、2B、2C、2D・・コンセントタップ(電源供給部)、3A、3B、3C、3D・・開閉部、4・・操作部、5・・CPU(制御部)、6・・リレー制御部、7・・電流計測部、10・・制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5