(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】読取装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241111BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241111BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/04 105
G03B27/50 A
(21)【出願番号】P 2021023609
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 岳志
(72)【発明者】
【氏名】矢田 亨
(72)【発明者】
【氏名】加賀見 由次
(72)【発明者】
【氏名】椿本 康人
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-336373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03B 27/50-27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下筐体と、
前記下筐体の上部に
おいて回動軸を中心として
前記下筐体を開放する開位置と前記下筐体を閉鎖する閉位置とに移動し、原稿から画像を読み取る
読取センサが収容された読取部と、
前記読取部に配され、前記読取センサを
移動方向に移動させる駆動部と、
一端が前記読取部に回転可能に連結され、他端が前記下筐体に回転可能かつ前記下筐体に対する回転軸の位置を前記回転軸と直交する方向に移動可能に連結されたステイと、
を備える読取装置において、
前記駆動部は、
前記移動方向において前記読取センサの可動範囲
の外側に配置され、
前記読取部が前記閉位置にある場合、前記ステイは、前記
移動方向において前記駆動部と重なる範
囲かつ高さ方向において前記駆動部と重なる範囲
にあることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記読取部に配され、前記ステイに対して第1の方向で対向する第1のフラットケーブルと、
前記読取部に配され、前記ステイに対して前記第1の方向と交差する第2の方向で対向する第2のフラットケーブルを備えることを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記読取部に一体的に設けら
れ、ユーザが装置を操作するための操作部と、
前記下筐体に設けられる制御基板と
、
を備え、
前記第1のフラットケーブルは、
前記操作部と前記制御基板とを接続し、前記第2のフラットケーブルは、
前記駆動部と前記制御基板とを接続することを特徴とする請求項
2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記操作部は、装置前後方向において装置前面側に配置され、
前記制御基板は、前記装置前後方向において装置背面側に配置され、
前記ステイは、前記読取部が前記閉位置のときに、前記装置前後方向に延在していることを特徴とする請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記読取部に配され、前記読取部が前記閉位置のときに前記第1の方向で対向しかつ前記ステイの長手方向に延びる第1の収納壁部と、
前記読取部に配され、前記読取部が前記閉位置のときに前記第2の方向で対向しかつ前
記長手方向に延びる第2の収納壁部と、
を備える
ことを特徴とする請求項
2~4のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記読取部は、前記ステイの前記一端を回転可能に支持する軸部と、前記軸部に対向する受け部と、を有し、
前記ステイは、前記一端に、前記軸部が挿通される軸穴を備え、前記軸部と前記受け部との間に挟み込まれるように配置される軸受部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記読取部は、原稿を搬送する搬送機構を備える原稿搬送部を含み、
前記ステイは、装置幅方向において、前記搬送機構が配置された側に配置されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項8】
前記下筐体は、
前記ステイの前記他端を案内するレール部を備えるフレーム部材と、
前記レール部に対して前記他端の案内方向と直交する第1の方向に移動可能に前記フレーム部材に設けられた開放部材と、
を備え
、
前記開放部材は、前記ステイの前記他端から受ける力によって、前記ステイの前記他端
が保持される位置へ移動することを可能にする第一のポジションと、前記他端
を保持されない状態にする第二のポジションと、を取り得るように構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項9】
前記開放部材は、被ガイド突起を有し、
前記フレーム部材は、前記被ガイド突起が係合し、前記開放部材の前記第1の方向の移動をガイドするガイド孔を有し、
前記ガイド孔は、前記被ガイド突起に対し、前記案内方向における一方の側で当接可能な第1の規制部と、前記案内方向における他方の側で当接可能な第2の規制部と、を有し、
前記第1の規制部は、前記ガイド孔の前記第1の方向における一方の側に設けられ、前記第2の規制部は、前記ガイド孔の前記第1の方向における他方の側に設けられ、
前記開放部材が前記第一のポジションにあるときは、前記第1の規制部のみが前記被ガイド突起に対して前記案内方向に対向し、
前記開放部材が前記第二のポジションにあるときは、前記第1の規制部と前記第2の規制部のいずれもが前記被ガイド突起に対して前記案内方向に対向することを特徴とする請求項8に記載の読取装置。
【請求項10】
前記開放部材は、装置高さ方向において前記駆動部と重なる範囲に配置されることを特徴とする請求項8又は9に記載の読取装置。
【請求項11】
前記下筐体には、記録材に画像を記録する記録部が設けられることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項12】
前記下筐体は、
前記ステイの前記他端を案内するレール部を備えるフレーム部材と、
前記記録部を保持する内部保持部材と、
を含み、
前記レール部は、前記読取部が
前記開位置のときに前記ステイの前記他端を保持するための保持当接部を含み、
前記内部保持部材は、前記保持当接部に対し、装置前後方向の前面側又は背面側において前記フレーム部材を支持するフレーム受け部を有することを特徴とする請求項11に記載の読取装置。
【請求項13】
記録材に画像を記録する記録部と、
前記記録部が設けられる下筐体と、
前記下筐体の上部に
おいて回動軸を中心として
前記下筐体を開放する開位置と前記下筐体を閉鎖する閉位置とに移動し、原稿から画像を読み取る
読取センサが収容された読取部と、
前記読取部に配され、前記読取センサを
移動方向に移動させる駆動部と、
一端が前記読取部に回転可能に連結され、他端が前記下筐体に回転可能かつ前記下筐体に対する回転軸の位置を前記回転軸と直交する方向に移動可能に連結されたステイと、
を備える読取装置において、
前記駆動部は、
前記移動方向において前記読取センサの可動範囲
の外側に配置され、
前記読取部が前記閉位置にある場合、前記ステイは、前記
移動方向において前記駆動部と重なる範
囲かつ高さ方向において前記駆動部と重なる範囲
にあることを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を記録する記録部の上方に、原稿から画像を読み取る読取部を開閉可能に備える記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ機能に加えてスキャナ機能、コピー機能を備えた記録装置として、シート等の記録材に画像を記録する記録部と、原稿から画像を読み取る読取部と、を備えた記録装置が知られている。また、そのような記録装置の典型的な装置構成として、記録部が配置される下筐体に対し、読取部を開閉可能に取り付けた構成が知られている(特許文献1)。かかる構成においては、読取部を開いた状態とすることで、記録部が配置された下筐体におけるジャム処理やメンテナンス作業を可能とするように構成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような開閉構成は、読取部を下筐体に対して開閉可能に連結する連結ステイなどの連結機構や、読取部の開状態を維持するためのロック機構などが必要となり、それら機構部は、通常、筐体内に収まるように設けられる。そのため、特に、記録部が納められる下筐体内における装置構成の配置スペースに制約が生じることになり、装置小型化との両立を困難としている。
【0005】
本発明は、読取部が記録部に対して開閉可能な装置構成における装置構成のレイアウトの自由度を高め、装置小型化を可能とすることができる技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の記録装置は、
下筐体と、
前記下筐体の上部において回動軸を中心として前記下筐体を開放する開位置と前記下筐体を閉鎖する閉位置とに移動し、原稿から画像を読み取る読取センサが収容された読取部と、
前記読取部に配され、前記読取センサを移動方向に移動させる駆動部と、
一端が前記読取部に回転可能に連結され、他端が前記下筐体に回転可能かつ前記下筐体に対する回転軸の位置を前記回転軸と直交する方向に移動可能に連結されたステイと、
を備える読取装置において、
前記駆動部は、前記移動方向において前記読取センサの可動範囲の外側に配置され、
前記読取部が前記閉位置にある場合、前記ステイは、前記移動方向において前記駆動部と重なる範囲かつ高さ方向において前記駆動部と重なる範囲にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、読取部が記録部に対して開閉可能な装置構成における装置構成のレイアウトの自由度を高め、装置小型化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を適用可能なプリンタ部を示した斜視図
【
図6】アクセス部を開放した状態の画像形成装置の斜視図
【
図7】アクセス部を開放した状態の画像形成装置の側面図
【
図8A】アクセス部を開放した状態のステイ部材の位置を示す側面図
【
図8B】アクセス部を開放した状態のステイ部材の位置を示す側面図
【
図8C】アクセス部を開放した状態のステイ部材の位置を示す側面図
【
図11A】開放部材のフレーム部材に対する位置を表す断面図
【
図11B】開放部材のフレーム部材に対する位置を表す側面図
【
図11C】開放部材のフレーム部材に対する位置を表す側面図
【
図13C】スキャナ部及びステイ部材及びフラットケーブルの断面図
【
図17A】アクセス部が開いた状態のスキャナ部及びプリンタ部の正面図
【
図17B】アクセス部が開いた状態のスキャナ部及びプリンタ部の断面図
【
図17C】アクセス部が開いた状態のスキャナ部及びプリンタ部の断面図
【
図18】開放部材の動作不具合の可能性について説明する模式図
【
図20】フレーム部材と開放部材との間のガイド部を拡大して示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例に係る記録装置1の構成を説明するための斜視図であり、記録装置1の構成のうち下筐体2に取り付けられる(収容される)記録部周辺の構成について、外装カバーを取り外した状態で示している。
【0011】
本実施例の記録装置1は、本発明を、画像記録用の液体としてのインクを記録材に吐出して画像の記録を行う(液体吐出方式)、いわゆるインクジェットプリンタに適用した例である。本発明を適用可能な記録装置は、液体吐出方式の画像記録装置(画像形成装置)に限定されるものではなく、例えば、電子写真方式の画像記録装置(レーザープリンタ)の筐体構成に本発明を適用してもよい。なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施例では「記録媒体」(記録材)としてシート材(紙)を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0012】
図1中の矢印X、Y、Zは、記録装置1の幅方向、奥行方向、高さ方向を示しており、互いに交差する方向(ここでは互いに直交する方向)である。他の図における矢印X、Y、Zも同じである。これら各方向は記録装置1の設置面を基準として定められる。例えば、記録装置1が、通常想定される設置状態として水平面に設置された場合には、高さ方向であるZ方向は鉛直方向と一致し、X、Y方向は水平方向と一致することになる。
【0013】
図1に示すように、記録装置1の各種機構部は、装置本体の下筐体2に装着されている。下筐体2の+Y方向の奥側には、シート材を積載する給紙トレイ3が備えられている。給紙トレイ3上のシート材は、給送手段及び搬送路(不図示)により、最上位の1枚が分離されて搬送手段40へ給送される。給送されたシート材は、搬送手段40及びこれと同期駆動される排紙手段41により、画像記録部(画像形成部)5を通じて-Y方向(装置奥側から手前側)へ搬送される。
【0014】
搬送手段40と排紙手段41の間の画像記録部5には、記録ヘッド(不図示)を搭載してシート材に沿って往復移動するキャリッジ51が備えられている。記録ヘッドは、印字を行う際に必要となるインクが収容されているインクタンク61から、インクの供給を受けるとともに、記録情報に基づいてシート材にインクを吐出して画像記録を行う。画像記録部5と重力方向で対向する位置には、画像記録時のシート材を案内支持するためのプラテン42が配置されている。そして、記録されたシート材は、排紙手段41を通じて装置本体外に設けられた排紙トレイ43上へ排出される。
【0015】
図2は、本実施例に係る記録装置1の外観構成を示す模式的斜視図であり、読取部としての読取ユニット(読取装置)10が下筺体2に対して閉められている状態を示している。読取ユニット10は、下筺体2に対して不図示の回動軸を介して係合し、かつ該回動軸中心に下筺体2に対して回動することで、閉状態と開状態とを取り得るように構成されている。
【0016】
記録装置1は、記録装置1を操作するための操作部2aが設けられている。操作者は、操作部2aを操作して、読取ユニット(読取装置)10で原稿の読み取りをし、画像記録部5で記録紙への印字動作などを行うことが出来る。下筐体2の上方には、原稿を流し読みするための搬送機構を有した原稿搬送装置(原稿搬送部)であるADF(Automatic Document Feeder)101が設けられている。下筐体2の上方且つADF101の下方には、スキャナ部であるフラットベッド102が設けられている。ADF101には、ADF101へ搬送するための複数枚の原稿を載置する原稿トレイ101aが、ADF101に対して不図示の支軸を中心に開閉可能に設けられている。
【0017】
図3は、本実施例に係る記録装置1の外観構成を示す模式的斜視図であり、ADF101を開放した状態の斜視図、
図4は、画像読取センサを示す断面図である。
図3に示すように、画像プリントを行うプリンタ部の上に、フラットベッド型の画像読取ユニット(ス
キャナ部)であるフラットベッド102と、原稿搬送装部であるADF101と、からなる読取ユニット10が配された構成となる。すなわち、原稿読取装置と記録装置を併せ持つ装置本体が構成されている。なお、本発明は、原稿搬送部を備えないスキャナ部のみを備えた画像読取装置に適用することもできる。また、ADF101は、フラットベッド102に対してヒンジ103を介して回動可能に設けられている。フラットベッド102を使った原稿スキャンを実施する際は、ADF101を開放してフラットベッド102へアクセス可能にし、フラットベッド102への原稿の載置、取り除きができる構成となっている。
【0018】
フラットベッド102の筐体上面のX方向左側を除いた大部分領域(X方向中央部及び右側)には、原稿を載置するための原稿台として透明ガラス板からなる原稿台ガラス104aが設けられている。また、筐体上面のX方向左側には、搬送された原稿が通過する搬送パス101bの一部を形成する透明板ガラスからなるADFガラス104bが設けられている。筐体の内部には、原稿台ガラス104a或いはADFガラス104bを介して原稿と対向するセンサユニット106が配置されている。センサユニット106は、原稿台ガラス104aに平行にX方向に走査移動するように筐体内部に組み込まれており、画像読取センサ106aを含む。
【0019】
図4は、画像読取センサの構成を示す模式的断面図である。
図4に示すように、画像読取センサ106aは、原稿照射用光源である3色のLED10R,10G,10Bと、イメージセンサ108(CCDセンサ、CMOSセンサなど)と、ロッドレンズアレイ10Lと、を有している。ロッドレンズアレイ10Lは、原稿からの反射光をイメージセンサ108の受光素子上に結像する。画像読取センサ106aは、赤緑青の三色のLED10R,10G,10Bを順次切り替えて点灯し、イメージセンサ108が色ごとに、原稿で反射されてロッドレンズアレイ10Lを通過した光を読み取ることにより、色分解読取を行うことができる。これにより、原稿をカラーで読み取ることが出来る。
【0020】
図3に示すように、フラットベッド102の上方には、原稿を原稿台ガラス104a上に押しつけるための原稿押圧部材である原稿カバー107が、開閉可能に取り付けられている。原稿カバー107のX方向右側の内面には、原稿台ガラス104aと対向する位置に、シート材とスポンジからなる原稿圧着シート107aが貼り付けられている。また、原稿カバーのX方向左側の内面には、ADFガラス104bと対向する位置に原稿搬送部によって搬送された原稿が通過する搬送経路101bの一部が露出する形で設けられている。
【0021】
図5を参照して、フラットベッド102の構成について詳細に説明する。
図5は、フラットベッド102の内部を見やすくするために、原稿カバー107と原稿台ガラス104aと原稿台ガラス104aを保持する原稿台保持部材104(
図3参照)等を取り除いて上方から見た平面図である。
【0022】
フラットベッド102は、原稿が置かれる原稿台ガラス104aの下方にセンサユニット106が配置され、このセンサユニット106が原稿の幅方向(X方向)の一端部と他端部の間を走査移動する。この走査移動と同時に、
図4に示すLED10R,10G,10Bからの発光とイメージセンサ106bによる受光を行って、原稿を読み取る。センサユニット106は、不図示のフラットケーブルを介して制御基板に接続されており、原稿面の読取信号が制御基板に伝送される。このセンサユニット106の走査移動のための移動機構(駆動部)について以下に説明する。
【0023】
本実施例では、センサユニット106がベルト105の一部に取り付けられており、ベルト105の循環運動に伴って、センサユニット106が、原稿台ガラス104aを介し
て原稿と対向する位置をガイドレール109に沿って往復移動する。このベルト105は、X方向において、装置の左側に配置された駆動プーリ90と、右側に配置された従動プーリ108と、の間に掛け回されている。ガイドレール109は、フラットベッド102の筐体内をX方向(装置幅方向)に延びている。
【0024】
図5に示すように、ベルト105に一定の張力を与えるためのバネ108aが、プーリホルダ108bを介して従動プーリ108に取り付けられている。このバネ108aにより、ベルト105を弛みなく循環運動させることができ、センサユニット106を正確に走査移動させることができる。フラットベッドスキャンの時は、原稿台ガラス104の上に載置されている原稿に対向する領域(図中、二本の一点鎖線の間の領域)を移動走査しながら原稿面を読み取る。ADFスキャンの時は、搬送される原稿面を読み取るべくADFポジション(図中二点鎖線位置)に移動して読取り動作を行う。
【0025】
図5に示すように、ベルト105の駆動源であるモータ91は、シャフト(モータシャフト)が原稿台ガラス104aに対して平行な向きに延びるようにモータホルダ92に横置き姿勢で固定されている。駆動プーリ90は、モータホルダ92に回転自在に取り付けられている。モータ91は、駆動プーリ90とともに、装置X方向左側に設けられている。
【0026】
図6は、ユーザが画像記録部5周辺や搬送路などで詰まってしまった紙を取り除く際や、記録ヘッドの交換を行う際に、読取ユニット10を+R方向へ開放し、下筺体2内部へアクセス可能となっている状態を示している。読取ユニット10は、下筐体2に対して、装置奥側(Y方向プラス側)に装置幅方向(X方向)に延びる回動軸線を中心に回動可能に構成されており、装置手前側(Y方向マイナス側)が装置奥側に対して上方に持ち上がるような回動となる。すなわち、読取ユニット10の装置手前側と奥側とが略同じ高さとなる閉状態と、装置手前側が奥側よりも上方に位置し、下筐体2の上部が外部に開放される開状態と、を取り得るように構成されている。
【0027】
より具体的には、読取ユニット10は、装置奥側に装置幅方向に沿って設けられた回動軸111を備えており、下筐体2の軸受部75を形成するフレーム部材7に対して略嵌合状態で接続している(
図12F参照)。軸受部75は、読取ユニット10の回動軸111との間に若干の遊びができるように、装置前後方向(Y方向)に長孔状に形成されている。読取ユニット10は、軸受部75に嵌合する回動軸111を中心に下筐体2に対して回動可能となっている。また、回動軸111とは別に、読取ユニット10下部には、ステイ軸110が設けられている。ステイ軸110は、ステイ20が備えるステイ軸受201と軸支ラジアル方向の第一の方向に対して略嵌合状態であり、第一の方向に対して直角な軸支ラジアル方向の第二の方向に対して非嵌合状態になるように隙間を持って、読取ユニット10に接続されている。また、ステイ20は、ステイ軸受201が設けられている一端側に対して、他端側がフレーム部材7に設けられた後述のレール部73に係合してガイドされるように構成されている。すなわち、ステイ20は、一端が読取ユニット10に回転可能に連結され、他端が下筐体2のフレーム部材7に回転可能かつ回転軸の位置を該回転軸と直交する方向にスライド移動可能に連結されている。読取ユニット10は、ステイ20が読取ユニット10とフレーム部材7との間で所定の支持姿勢を取ることで、下筐体2に対して開状態をとることができるように構成されている。なお、回動軸111と軸受部75、ステイ軸110とステイ軸受201は、其々軸部と軸受部が逆に構成されてもよい。
【0028】
図7、
図8A、
図8Bは、後述する開放部材8が第一ポジションにあるときの様子を示す左側面図であり、読取ユニット10が開放状態で維持されている図である。
図8A、
図8Bは、ステイ20がフレーム部材7に支持されることによって、読取ユニット10が開
放状態を維持していることを示すための図である。
図8A、
図8Bに示すように、ステイ20は、下筐体2に対して読取ユニット10を開放状態で支える支柱状の長尺部材であり、一端側にステイ軸受201を有し、他端側にフレーム部材7のレール部73に係合する保持部21を有する。保持部21は、ステイ20の他端側においてX方向外向き(-X方向)に突出するボス状部分であり、その外周面が、レール部73の-Y方向側に設けられた保持当接部71に係合することで、読取ユニット10の開放状態を維持する。すなわち、ステイ20の保持部21は、読取ユニット10の自重とステイ20の回転方向に対して、対向する位置に形成された保持当接部71の保持当接面711と当接する。これにより、ステイ20の他端側がフレーム部材7に対して固定され、読取ユニット10は開放状態が維持される。
【0029】
図8Cは、開放部材8が第二ポジションにあるときの様子を示す左側面図であり、読取ユニット10が開放状態(開状態)から閉鎖状態(閉状態)へ移動可能になった状態を示す図である。すなわち、ステイ軸受201の保持部21が、フレーム部材7に対して、レール部73によってガイドされるように、ステイ20がフレーム部材7に対して移動可能な状態となっている。読取ユニット10の開閉動作、開放部材8のポジション変化、ステイ20のフレーム部材7に対する移動等についての詳細は後述する。
【0030】
図9Aは、開放部材8の斜視図であり、(a)は開放部材8におけるフレーム部材7に組付けられる側とは反対側の様子を示し、(b)は開放部材8におけるフレーム部材7に組付けられる側の様子を示している。
図9Bは、フレーム部材7における開放部材8の組付部周辺を示す斜視図である。
図10A、
図10Bは、フレーム部材7の側面図であり、
図10Cは、フレーム部材7の断面図である。
図11は、フレーム部材7に対して開放部材8が取り得る二つのポジションを、
図10A、
図10Bのj-j矢視で示す断面図である。
【0031】
図9Aに示すように、開放部材8は、X方向に貫通する被ガイド孔807を有している。被ガイド孔807は、Z方向に延びるように形成されている。
図9Bに示すように、フレーム部材7における開放部材8の組付け凹部78は、フレーム部材7のX方向マイナス側の側面において、+X方向に凹む凹部形状に構成されており、板状の開放部材8が凹部底面に沿うように、凹部内に収容される。
図8B等に示すように、開放部材8は、被ガイド孔807に挿通されるフランジボタン型のボルト87によって、組付け凹部78から外れることが規制されるように組付けられる。ボルト87は、ねじ軸部が、被ガイド孔807に挿通されるフレーム部7の軸部787(
図9B参照)のねじ穴に螺合され、フランジ部が、開放部材8の被ガイド孔807周囲の面と+X方向に当接し、開放部材8を組付け凹部78に対し+X方向に押さえ付ける。
【0032】
また、
図9A(b)に示すように、開放部材8は、組付け凹部78との対向面から+X方向に突出するとともに、Z方向に延びるように形成された被ガイド突起であるポジション案内部81を有する。一方、
図9Bに示すように、組付け凹部78には、上記ポジション案内部81が挿通嵌合されるガイド孔76を有する。ガイド孔76は、ポジション案内部81との間で所定の嵌合状態を形成することができるように、所定のガイド形状を有している(詳細は後述する)。
【0033】
開放部材8は、ポジション変化において、主として、被ガイド孔807に挿通された軸部787と、ポジション案内部81が嵌合するガイド孔76と、によるガイドにより、フレーム部7に対しZ方向に相対的にスライド移動する。このとき、ボルト87は被ガイド孔807内をZ方向に相対移動し、ポジション案内部81はガイド孔76内をZ方向に相対移動する。
【0034】
図9Bに示すように、フレーム部材7の組付け凹部78には、組付け凹部78内における開放部材8の姿勢を規制するために、開放部材8に対して各種方向に対向し当接可能な各種当接部(ガイド部)781、782、783が設けられている。
【0035】
下端支持部781は、開放部材8のZ方向マイナス側の端面に対して+Z方向に当接する、すなわち、開放部材8の下端面を下方から支持する当接部である。本実施例では、下端支持部781をY方向の一方側と他方側の2箇所に設けているが、3箇所以上に設けてもよいし、あるいは単一の支持部として全面的に開放部材8下端面を支持するような構成でもよい。ただし、開放部材8の組付け凹部78内におけるスムーズな移動を妨げないように、後述する開放部材8と組付け凹部78との間の所定のガタによる開放部材8の姿勢変化を許容すべく、支持面(接触面)の大きさは限定的であることが好ましい。
【0036】
対向面ガイド部782は、組付け凹部78において開放部材8に対し-X方向に対向する対向面(凹部底面)において-X方向に凸状に設けられるとともに、Z方向に延びるように設けられる案内凸部である。一方、開放部材8には、組付け凹部78の上記対向面と対向する面において+X方向に凸状に設けられるとともに、Z方向に延びるように設けられる被案内凸部872を有する。開放部材8が組付け凹部78に組付けられた状態において、上記対向面ガイド部782と被案内凸部872とは、X方向に互いに当接する。
【0037】
開放部材8は、+X方向に当接する上述したボルト87のフランジ部と、-X方向に当接する対向面ガイド部782と、によってX方向に挟持されるような状態となって、組付け凹部78に組付けられ、Z方向にスライド移動可能に保持されることになる。
【0038】
側面ガイド部783a、783bは、開放部材8のY方向側端面とY方向に対向するガイド部であり、Z方向に延びる凹部側面対である。一方、開放部材8は、側面ガイド部783a、783bのうちY方向マイナス側の側面ガイド部783aと対向する-Y方向に凸状の凸状被案内部873aと、Y方向+側の側面ガイド部783bと対向するZ方向に延びる被案内部873bと、を有する。側面ガイド部783a、783bに対する当接面積をY方向の一端側と他端側とで異ならせることで、組付け凹部78内における開放部材8の姿勢変化を所定の範囲で許容し、開放部材8の組付け凹部78内におけるスムーズな移動を妨げない構成となっている。
【0039】
図9A(b)に示すように、開放部材8は、組付け凹部78との対向面から+X方向に突出するとともにY方向に延びるリブ状の被付勢部82を有する。一方、
図9Bに示すように、組付け凹部78は、開放部材8が
図8C等に示す第二のポジションにあるときに、上記被付勢部82と係合して開放部材8を第二のポジションに維持させしめる付勢力を上記被付勢部82に作用させる付勢部72を有する。付勢部72の詳細は後述する。
【0040】
開放部材8は、
図8B等に示す第一ポジションから
図8C等に示す第二ポジションへのポジションの切り替えのための力を、ステイ20の保持部21から受けるための切替部83を有する。また、開放部材8は、第二のポジションに切り替わり後、読取ユニット10が開放状態から閉鎖状態(-R方向)へ回動される際に、ステイ20を回動させるように保持部21を+Y方向に案内するレール接続部84を有する。また、開放部材8は、第二のポジションにあるときに、付勢部72の付勢を解除する方向にステイ20の保持部21から力を受ける解除部85を有する。さらに、開放部材8は、読取ユニット10を閉状態から開放方向回動させた際に保持部21が突き当たり、保持部21を保持当接部71に収まるように案内する突き当て部86を有する。これら各部の詳細は後述する。
【0041】
図10に示すように、フレーム部材7は、読取ユニット10を開放状態で維持するステイ20の姿勢を当接することにより維持する保持当接部71と、開放部材8を第二のポジ
ションを保持するための付勢部72と、を備える。また、フレーム部材7は、読取ユニット10開閉時に連動して回動するステイ20の保持部21の上下位置を規制し案内を行う略水平に延びたレール部73と、ステイ20の-Y方向の移動を規制する規制部74と、を備える。上述したように、フレーム部材7は、読取ユニット10を軸支する軸受部75を備えており、読取ユニット10は、軸受部75に略嵌合される回動軸111を中心に、下筐体2に対して、開状態と閉状態との間を開閉回動可能に構成されている。
【0042】
図11A(a)は、開放部材8が自重により落ちている状態であり、この状態を本件では第一のポジションとする。
図11A(b)は、開放部材8が付勢部72を乗り越えて付勢部72に当接し、第一のポジションより重力方向上方向に維持されている状態であり、この状態を本件では第二のポジションとする。図中の付勢部72は、片持ち梁で、先端に突起形状721を備える、曰くスナップフィットである。すなわち、-Z側の端部を固定端とし+Z方向に延びた先の先端が自由端となり、その先端に-X方向に突出する突起形状721を有する。突起形状721は、開放部材8の第一、第二のポジション間を移動時に、被付勢部82と接触して力を受けて、付勢部72全体が被付勢部82から略水平方向(+X方向)に逃げるように撓むことで、開放部材8の二つのポジションの移動を可能にしている。なお、付勢部72は、開放部材8の自重とステイ20の自重では微小変形程度の撓みしかなく、開放部材8は、第二のポジションから第一のポジションへは移動できない。また、カバー部材10の自重、乃至は、カバー部材10を持ち上げる力が、ステイ20を介して開放部材8に加わることにより、開放部材8のポジション移動可能にする撓みが発生するように形成されている。
【0043】
図11B、
図11Cを参照して、開放部材8を第一のポジションと第二のポジションとの間で切り替えることにより、読取ユニット10、ステイ20の開状態、閉状態の切り替えを行う様子について詳細に説明する。
【0044】
図11Bは、開状態にある読取ユニット10を閉状態に切り替える際のステイ20と開放部材8の動作の様子を示すX方向+側の側面図であり、変化の様子を(a)~(c)の順で時系列で示している。
図11B(a)は、読取ユニット10が開いた状態でユーザが読取ユニット10を上方に持ち上げる(+R方向にさらに回転させる)ことで、それと連動してステイ20の他端側にある保持部21が装置前面側(Y方向-側)に移動したときの様子を示す。
図11B(b)は、ユーザがそのままさらに読取ユニット10を開こうとすることで、ステイ20の保持部21が開放部材8を持ち上げ、開放部材8は第一のポジションから第二のポジションに移動した際の様子を示す。
【0045】
読取ユニット10が、
図6等に示す開放状態からさらに開放空間を広げる方向(+R方向)に回動させられると、ステイ20は、保持部21が、-Y方向に移動するとともに+Z方向に移動しようとする回動挙動を取る。これにより、開放部材8の切替部83が保持部21から+Z方向に力を受け、開放部材8は+Z方向に移動して第一のポジションから第二のポジションに切り替わる。ステイ20は、フレーム部材7のレール部73の上端面(Z方向+側規制面)に突き当り、そこがストッパーとなる。持ち上げられた開放部材8は、付勢部72の突起形状721によって第二のポジションの状態のまま付勢保持される。
【0046】
レール接続部84は、
図8B等に示すように、開放部材8が第一のポジションにあるときには、フレーム部材7の保持当接部71の下端支持面(Z方向-側の規制面)と略同じ高さとなる。すなわち、ステイ20の保持部21は、読取ユニット10が開放状態にあるときは、フレーム部材7の保持当接部71と開放部材8のレール接続部84とによって下方から支持される。一方、レール接続部34は、
図8C等に示すように、開放部材8が第二のポジションに移動すると、フレーム部材7の保持当接部71の下端支持面よりも高い
位置に移動する。
【0047】
図11B(c)は、開放部材8が第二のポジションになった状態でユーザが読取ユニット10を離すことで、読取ユニット10が、その自重とレール部73によるステイ20の回動案内とによって自動的に閉まっていく際の様子を示す。読取ユニット10の自重による閉状態(-R方向)への回動において、ステイ20の保持部21は、レール部73の上端面(Z方向+側の規制面)とレール接続84との案内によって装置奥側(+Y方向)に移動する。開放部材8の解除部85は、上記案内経路におけるレール接続部84の+Y方向下流側において、上記案内経路に張り出すように凸状に形成されている。解除部85は、+Y方向に移動する保持部21が当接すると保持部21から-Z方向の分力を含む力を受けるように構成された傾斜面851を有する。被付勢部82から付勢部72に作用する力(解除力)が、付勢部72の付勢力を上回ることで、開放部材8は、保持部21によって押し下げられるように-Z方向に移動する。これにより、解除部85の+Z方向の凸部先端の高さが、フレーム部材7のレール部73と同じ高さまで下降して、開放部材8が第一のポジションとなり、保持部21がレール部73の+Y方向のさらに奥側へ移動可能となる。そのまま、読取ユニット10は自重によって下筐体2に対して閉鎖状態となり、ステイ20は、ステイ軸受201と保持部21とが略同じ高さとなる略水平方向(Y方向)に倒れた閉姿勢となる。ステイ20は、かかる閉姿勢において、フラットベッド102下部のフレーム部材7と対向する領域に設けられた収納凹部122(
図13C参照)に収納された状態となる。
【0048】
図11Cは、閉状態にある読取ユニット10を開状態に切り替える際のステイ20と開放部材8の動作の様子を示すX方向+側の側面図であり、変化の様子を(a)~(c)の順で時系列で示している。
図11C(a)は、読取ユニット10が下筐体2に対して閉まっている状態を示している。
図11C(b)は、ユーザが読取ユニット10を開いていくと、それと連動してステイ20の保持部21が装置前面側(-Y方向)にスライドしていき、開放部材8の突き当て部86に突き当たった状態と示している。突き当て部86がストッパーとしてステイ20の回動を止めると、ユーザは読取ユニット10が開放限界に到達したと認識して読取ユニット10から手を離す。
図11C(c)は、ユーザが読取ユニット10から手を離すことで、保持部21が下に落ちる(-Z方向に移動する)ようにステイ20が回動し、保持部21が保持当接部71に収まる状態となったときの様子を示している。これにより、読取ユニット10は、下筐体2に対して開状態のまま保持される。
【0049】
【0050】
センサユニット106を駆動するための駆動プーリ90、モータ91、モータホルダ92は、センサユニット106に対し、そのフラットベッド102内での可動範囲(フラットベッド、ADFポジション)と装置幅方向(X方向)に隣接する位置に配置される。ステイ20は、駆動プーリ90、モータ91、モータホルダ92に対し、装置幅方向かつ装置高さ方向(Z方向)において互いに重なる位置となる範囲で配置されるとともに、読取ユニット10の回動軸111に近い側に配置される。
【0051】
以上のような構成をとることにより、ステイ20の大型化を防ぎながら、記録装置1の装置幅、装置高さを大きくすることなく、下筐体2、読取ユニット10の開閉機構と両立する形で、ステイ20の配置スペースを確保することができる。
【0052】
<第2のレイアウト構成>
図12Eは、
図12Aのb-b矢視断面である。
図12Fは、
図12Aのb-b矢視断面図を、フラットベッド102と、フレーム部材7とに分離して示した模式図である。
【0053】
ステイ軸110(軸部)は、フラットベッド102に設けられており、ステイ軸受201(軸受部)は、ステイ軸110が内嵌する長穴形状の軸穴201aが設けられている。読取ユニット10開閉時にステイ軸受201の軸穴201aがステイ軸110を中心に回転することにより、ステイ20の姿勢を変化させる。また、フラットベッド102は、ステイ軸110に対向する位置に、ステイ軸受201を挟み込む形でステイ受け部112が設けられている。ステイ受け部112は、凹状の対向周面112bが、読取ユニット10が開いた状態にあるときに、ステイ軸受201の外周面201bに対してZ方向+側で対向するように構成されている。また、ステイ軸110とステイ受け部112(対向周面112b)は、両者が対向する領域における両者の対向間隔に、ステイ軸受201の厚みに対して遊びが設けられている。
【0054】
開状態の読取ユニット10にユーザが荷重をかけた場合、その荷重をステイ軸110で受けてしまうと、ステイ軸110に対して片持ちで荷重を受けることになり、ステイ軸110根元に過大な応力が発生し破損のリスクがある。ステイ20やその取り付け部の破損を防ぐ必要がある。本実施例の上記構成によれば、上記荷重がかけられると、ステイ軸受部112の凹状対向周面112bがステイ軸受201の外周面201bに当接するようになる。一方、これと対向するステイ軸110の外周面領域は、ステイ軸受201の軸穴内周面201aから離間する状態となる。すなわち、開状態の読取ユニット10にかけられた荷重が、読取ユニット10とステイ20との間で作用する箇所が、ステイ軸110とステイ軸受201との間ではなく、ステイ受け部112とステイ軸受201との間となる。これにより、上記荷重をステイ受け部112で分散して受けることが可能となり、より大きな荷重に対して耐えることが可能となる。
【0055】
<第3のレイアウト構成>
図13A、
図13Bは、装置の左側面側から見た操作部2a、フラットベッド102、フレーム部材7の構成を示す模式図である。
図13Cは、
図13Aのc-c矢視断面図である。
図14は、操作部2a、モータ91、制御基板2cのみを示した模式的斜視図である。
【0056】
操作部2aは、フラットベッド102に一体的に設置されており、制御基板2cは、下筐体2の内部に設置されている。より詳細には、操作部2aは、装置前面側(Y方向-側)に配置され、制御基板2cは、装置背面側(Y方向+側)に配置されている。操作部2aと制御基板2cは、操作部用フラットケーブル2b(第1のフラットケーブル)で接続され、モータ91と制御基板2cは、モータ用フラットケーブル91b(第2のフラットケーブル)で接続されている。操作部用フラットケーブル2bとモータ用フラットケーブル91bは、フラットベッド102の内部を、略装置前後方向(Y方向)に這い回されている。ここで、操作部用フラットケーブル2bは、読取ユニット10が閉状態において、その幅広面(第1の幅広面)がステイ20の上面と対向し、該上面の延びる方向に沿って延びるように、フラットベッド102内を這い回される。また、モータ用フラットケーブル91bは、読取ユニット10が閉状態において、その幅広面(第2の幅広面)がステイ20の右側面(X方向+側側面)と対向し、かつ該右側面の延びる方向に沿って延びるように、フラットベッド102内を這い回されている。
【0057】
図13Cに示すように、ステイ20が収納される収納凹部122は、収納されたステイ20を囲む凹形状を形成する第1の収納壁部122aと第2の収納壁部122bと、を含む。第1の収納壁部122aは、収納されたステイ20に対して、-Z方向(第1の方向)で対向しかつステイ20の長手方向に延びている。第2の収納壁部122bは、収納さ
れたステイ20に対して、-X方向(第2の方向)で対向しかつステイ20の長手方向に延びている。操作部用フラットケーブル2bは、その一部が、第1の収容壁部122aのステイ20との対向面とは反対側(裏側)に、第1の収納壁部122aに沿って配置される。また、モータ用フラットケーブル91bは、その一部が、第2の収容壁部122bのステイ20との対向面とは反対側(裏側)に、第2の収納壁部122bに沿って配置される。これにより、操作部用フラットケーブル2bは、その幅広面が、ステイ20に対して-Z方向で対向し、かつステイ20の長手方向(装置前後方向)に沿って延びる部分(第1の部分)が形成されるように、フラットベッド102内を這い回されている。また、モータ用フラットケーブル91bは、その幅広面が、ステイ20に対して-X方向で対向し、かつステイ20の長手方向に沿って延びる部分(第2の部分)が形成されるように、フラットベッド102内を這い回される。
【0058】
収納凹部122を構成する二つの収納壁部122a、122bは、本実施例では互いに直交する配置としたが、これに限定されず、所定の凹形状を形成するように交差する構成であればよい。また、各フラットケーブルがステイ20にそれぞれ対向する方向は、本実施例では互いに直交する方向としたが、これに限定されず、ステイ20周囲のスペースを効果的に有効する形で、それぞれのフラットケーブルが互いに異なる位置で対向する構成としてよい。
【0059】
フラットケーブル同士が接触してしまうとノイズにより誤動作等の不具合が発生してしまうことがある。本実施例の上記構成によれば、フラットケーブル同士の接触を回避しながら、装置幅、装置高さを大きくすることなく、フラットベッド102内に複数のフラットケーブルを這い回すことが可能となる。
【0060】
【0061】
ADF101の内部には、搬送機構として搬送パス101bが設けられており、搬送パス101bで搬送された原稿情報をセンサユニット106で読み取ることによって画像データの取得を行う。また、ステイ20は、装置幅方向(X方向)において搬送パス101bが設けられている側に配置されている。搬送パス101bは、複数部品で構成されており、ADF101の重心は、搬送パス101bが配置されている側にある。すなわち、ステイ20は、読取ユニット10の重心の近傍部に配置されていることになる。したがって、本実施例の上記構成によれば、読取ユニット10の重心の近傍部をステイ20で支持することが可能となる。よって、読取ユニット10が開状態となっている姿勢において、その重心近傍をステイ20が支持することで、読取ユニット10を安定して支持することが可能となり、読取ユニット10の変形を抑えることができる。
【0062】
<第5のレイアウト構成>
図16は、下筐体2の斜視図である。
図17Aは、読取ユニット10が開いた状態における装置正面から見た図である。
図17B、
図17Cは、
図17Aのe-e矢視断面図である。
【0063】
下筐体2には、装置幅方向(X方向)の一端側から他端側にかけて延びるようにメインフレーム52が配置されており、キャリッジ51は、メインフレーム52に沿って走査される。また、メインフレーム52は、同じく下筐体2に配置されている内部保持部品53(内部保持部材)に固定されている。これらメインフレーム52、内部保持部品53は、記録装置1のフレーム構成の中において相対的に剛性が高い構成部分となる。ここで、フレーム部材7には、読取ユニット10が開状態においてステイ20を受けるための保持当
接部71が設けられている。本実施例では、内部保持部品53に、装置前後方向における装置前面側(正面側)と保持当接部71との間に、フレーム部材7を支持するためのフレーム受け部53aが設けられている。
【0064】
本実施例の上記構成によれば、読取ユニット10が開いた際にフレーム部材7に作用する荷重を、内部保持部品53のフレーム受け部53aで受けることが可能となり、フレーム部材7の変形を抑えることができる。なお、フレーム受け部53aは、保持当接部71の近傍に設けられればよいので、装置前後方向における装置背面側(後面側)と保持当接部71との間に設けてもよい。
【0065】
<開放部材のガイド構成>
【0066】
図18(a)に示すように、読取ユニット10が閉じる際に、ステイ20の重さを開放部材8で一時的に受け、ステイ20の装置後方側(Y方向+側)への移動をガイドする。ここで、開放部材8のガイド部(案内部81、ガイド孔76)は、上下動作させる必要があるため、ある一定量のガタを持っている。したがって、ステイ20の重さを開放部材8で受けた際に、開放部材8にガタ分だけ
図18(b)に示すような回転が発生し、それによって開放部材8に傾きが生じる場合がある。これは、開放部材8の引っ掛かり等の動作不具合につながる可能性がある。
【0067】
図19は、装置左側面側から見た断面図であり、(a)は開放部材8が第一のポジションにある場合、(b)は開放部材8が第二のポジションにある場合をそれぞれ示している。
図20は、フレーム部材7と開放部材8との間のガイド部(案内部81、ガイド形状76)を拡大して示す模式図であり、(a)は開放部材8が第一のポジションにある場合、(b)は開放部材8が第二のポジションにある場合をそれぞれ示している。
【0068】
本実施例では、フレーム部材7に対する開放部材8の回転を抑制させる突起形状77a、77bが、所定のガイド形状としてガイド孔76に設けられている。ポジション案内部81は、ステイ20の保持部21のレール部73による案内方向(Y方向)と直交する方向(Z方向)に、ガイド孔76に対して移動可能に係合している。
【0069】
第1の突起形状77a(第1の規制部)は、ガイド孔76のY方向+側の側面の一部であり、ポジション案内部81のY方向+側の側面の一部である第1の被規制部81aに対して、-Y方向に対向して当接可能に形成されている。第1の突起形状77aと第1の被規制部81aは、開放部材8がいずれのポジションにあっても、常にY方向に互いに対向するように構成されている。
【0070】
第2の突起形状77b(第2の規制部)は、ガイド孔76のY方向-側の側面の一部であり、ポジション案内部81のY方向-側の側面の一部である第2の被規制部81bに対して、+Y方向に対向して当接可能に形成されている。第2の突起形状77bと第2の被規制部81bは、開放部材8が第一のポジションにある場合は、Y方向に互いに対向せず、開放部材8が第二のポジションに移動すると、Y方向に互いに対向する状態となるように構成されている。
【0071】
すなわち、開放部材8が第二のポジションにあるときには、ポジション案内部81のY方向の位置が、第1の突起形状77aと第2の突起形状77bとによってY方向両側から規制された状態となっている。したがって、読取ユニット10が閉じる際にステイ20から作用する荷重によって第二のポジションから第一のポジションへ移動する際に、開放部材8に不要な回転が発生することが抑制される。そして、開放部材8の位置が第二のポジションから第一のポジションに変化する過程で、第2の突起形状77bによる規制が解除
され、第1の突起形状77aと第1の被規制部81aのみが当接する状態となる。これにより、付勢部72の係合が解除された開放部材8が自重により第一のポジションに収まるまでの動作がスムーズに行われることになる。
【0072】
本実施例の上記構成によれば、開放部材8が第二のポジションにある際に、開放部材8のフレーム部材7に対する不要な回転を抑制させることができ、開放部材8の動作の安定性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…記録装置、2…下筐体、2a…操作部、2c…制御基板、2d…操作部用フラットケーブル、20…ステイ、21…保持部、201…ステイ軸、51…キャリッジ、52…メインフレーム、53…内部保持部材、53a…フレーム受け部、7…フレーム部材、71…保持当接部、711…保持当接面、72…付姿部、721…突起形状、73…レール部、74…規制部、75…軸受け部、76…ガイド孔、8…開放部材、81…案内部、90…駆動プーリ、91…モータ、91b…モータ用フラットケーブル、92…モータホルダ、10…読取装置、101…ADF、101b…搬送経路、102…フラットベッドスキャナ、106…センサユニット、110…ステイ軸