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  • 特許-被覆粒子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】被覆粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
H01B13/00 501Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021024391
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126363
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 裕之
(72)【発明者】
【氏名】成橋 智真
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/095796(WO,A1)
【文献】特開昭63-153280(JP,A)
【文献】特開2020-084222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/00
H01B 1/00
H01B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物からなる材質又は無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、室温から加熱温度までの昇温速度を0.1~50℃/分とし、温度200~600℃で加熱して加熱処理導電性粒子を得る真空加熱工程、
前記加熱処理導電性粒子の表面に疎水性基を有するチタン系化合物を配して表面処理導電性粒子を得る表面処理工程、及び
前記表面処理導電性粒子と、電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子とを混合して、表面処理導電性粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させて被覆粒子を得る被覆工程、
を有する被覆粒子の製造方法。
【請求項2】
前記被覆工程で得られた被覆粒子を加熱することにより、絶縁性微粒子を溶融状態として表面処理導電性粒子の表面を膜状の絶縁層で被覆する工程をさらに有する、請求項1に記載の被覆粒子の製造方法。
【請求項3】
前記被覆工程で得られた被覆粒子の絶縁性微粒子を、有機溶剤により溶解状態として、表面処理導電性粒子の表面を膜状の絶縁層で被覆する工程をさらに有する、請求項1に記載の被覆粒子の製造方法。
【請求項4】
前記疎水性基が、炭素数2以上30以下の脂肪族炭化水素基である、請求項1~3の何れか1項に記載の被覆粒子の製造方法。
【請求項5】
前記電荷を有する官能基が、ホスホニウム基又はアンモニウム基である、請求項1~4の何れか1項に記載の被覆粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子が絶縁層で被覆された被覆粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂粒子の表面にニッケルや金などの金属皮膜を形成させた導電性粒子は、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として使用されている。
【0003】
近年、電子機器類の一層の小型化に伴い、電子回路の回路幅やピッチはますます小さくなっている。それに伴い、上述の導電性接着剤、異方導電膜、異方性導電接着剤等に用いられる導電性粒子として、その粒径が小さなものが求められている。このような小さな粒径の導電性粒子を使用した場合、その接続性を高めるためには導電性材料中の導電性粒子の配合量を増加させなければならない。しかしながら、導電性粒子の配合量を増加させると、意図しない方向への導通、すなわち対向電極間とは異なる方向への導通により短絡が生じてしまい、該方向における絶縁性が得難いことが問題となっている。
【0004】
前記の問題を解決するために、導電性粒子の表面を、金属皮膜に対して親和性を有する官能基を有する絶縁性の物質で被覆して、導電性粒子の金属皮膜同士の接触を防止した絶縁層被覆導電性粒子が使用されている。このような導電性粒子において、その金属表面を絶縁性物質で被覆する前に、予め有機処理剤で表面処理する技術が知られている。
【0005】
この有機処理剤で表面処理する技術のうち、絶縁性粒子と導電性粒子との密着性の向上を目的とした技術として、例えば特許文献1では、電荷を有する官能基を含む絶縁層を用いた場合に、導電性粒子の表面にトリアゾール系化合物を有させると、絶縁層と、トリアゾール系化合物を有する導電性粒子との親和性が優れたものとなるため、導電性粒子への絶縁性物質の被覆率が一層高まることが記載されている。また同様に特許文献2では、電荷を有する官能基を含む絶縁層を用いた場合に、導電性粒子の表面にチタン系化合物を有させると、絶縁層と、チタン系化合物を有する導電性粒子との親和性が優れたものとなるため、導電性粒子への絶縁性物質の被覆率が一層高まることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2020/012962号パンフレット
【文献】国際公開第2020/095796号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
絶縁性物質と導電性粒子との密着性は、対向電極とは異なる方向での絶縁性を得ながら対向電極間で導通を図る(以下、単に接続信頼性ともいう)上で重要である。しかしながら密着性が優れることにより被覆率が上がる半面、実際に導電性材料として使用されたときに、接続抵抗が高くなってしまう問題が生じていた。
従って本発明の目的は、接続抵抗の低い絶縁性微粒子被覆導電性粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、導電性粒子を真空下で加熱処理してからチタン系化合物で表面処理し、続いて電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子で被覆することにより、接続抵抗の低い絶縁性微粒子被覆導電性粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、温度200~600℃で加熱して加熱処理導電性粒子を得る真空加熱工程、前記加熱処理導電性粒子の表面に疎水性基を有するチタン系化合物を配して表面処理導電性粒子を得る表面処理工程、及び前記表面処理導電性粒子と、電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子とを混合して、表面処理導電性粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させて被覆粒子を得る被覆工程、を有する被覆粒子の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続抵抗が低く、接続信頼性及び絶縁性に優れた被覆粒子を工業的に有利に製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施例1で得られた被覆粒子のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の被覆粒子の製造方法の好ましい実施形態を説明する。
本発明の被覆粒子の製造方法は、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、温度200~600℃で加熱して加熱処理導電性粒子を得る真空加熱工程、前記加熱処理導電性粒子の表面に疎水性基を有するチタン系化合物を配して表面処理導電性粒子を得る表面処理工程、及び前記表面処理導電性粒子と、電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子とを混合して、表面処理導電性粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させて被覆粒子を得る被覆工程、を有する。
【0013】
まず、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、温度200~600℃で加熱して加熱処理導電性粒子を得る真空加熱工程を説明する。
【0014】
前記真空加熱工程に供する、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子の説明をする。
前記導電性粒子は、芯材粒子の表面に導電層が形成されてなるものである。
【0015】
前記芯材粒子としては、粒子状であれば、無機物であっても有機物であっても特に制限なく用いることができる。無機物の芯材粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ等の金属粒子、合金、ガラス、セラミック、シリカ、金属又は非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素等が挙げられる。一方、有機物の芯材粒子としては、例えば、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
芯材粒子は、上述した無機物及び有機物のいずれか一方からなる材質に代えて、無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていてもよい。芯材粒子が無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている場合、芯材粒子における無機物及び有機物の存在態様としては、例えば、無機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様、あるいは、有機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様等のコアシェル型の構成等が挙げられる。これらのほか、一つの芯材粒子中に、無機物と有機物が混合されているか、あるいはランダムに融合しているブレンド型の構成等が挙げられる。無機物及び有機物の双方からなる材質で構成される芯材粒子としては、前記した無機物の芯材粒子又は有機物の芯材粒子を構成する材質を使用することができる。この芯材粒子は、無機物及び有機物のそれぞれの材質を単独で構成するように使用してもよいし、無機物及び有機物のそれぞれを2種以上の材質で組み合わせて構成するように使用してもよい。
【0017】
芯材粒子は、有機物或いは無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていることが好ましく、無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていることがより好ましい。前記無機物は、ガラス、セラミック、シリカ、金属又は非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素であることが好ましい。また、前記有機物は天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような材質からなる芯材を用いることによって、粒子同士の分散安定性を高めることができ、また、電子回路の電気的接続の際に、適度な弾性を発現させて導通を高めることができる。
【0018】
芯材粒子として有機物を用いる場合、ガラス転移温度を有しないか、又は、ガラス転移温度が100℃超であることが、芯材粒子の形状が維持されやすいことや金属皮膜を形成する工程において芯材粒子の形状を維持しやすい点から好ましい。ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線のベースラインシフト部分における元のベースラインと変曲点の接線の交点として求めることができる。
【0019】
芯材粒子として有機物を用いる場合において、その有機物が高度に架橋した樹脂であるときは、前記方法にて200℃までガラス転移温度の測定を試みても、ベースラインシフトはほとんど観測されない。本明細書中ではこのような粒子を、ガラス転移温度を有しない粒子ともいい、本発明においては、このような芯材粒子を用いてもよい。ガラス転移温度を有しない芯材粒子材料の具体例としては、前記で例示した有機物を構成する単量体に架橋性の単量体を併用して共重合させて得ることができる。架橋性の単量体としては、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメテロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能ビニル系単量体、ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン含有系単量体、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル等の単量体が挙げられる。特にCOG(Chip on Glass)分野ではこのような硬質な有機材料による芯材粒子が多く使用される。
【0020】
芯材粒子の形状に特に制限はない。一般に、芯材粒子は球状である。しかし、芯材粒子は球状以外の形状、例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性に優れる、金属を被覆しやすいといった点で、球状の芯材粒子が好ましい。
【0021】
芯材粒子の表面に形成される導電層は、導電性を有する金属からなるものである。導電層を構成する金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、コバルト、インジウム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン、カルシウム、マグネシウム、ロジウム、ナトリウム、イリジウム、ベリリウム、ルテニウム、カリウム、カドミウム、オスミウム、リチウム、ルビジウム、ガリウム、タリウム、タンタル、セシウム、トリウム、ストロンチウム、ポロニウム、ジルコニウム、バリウム、マンガン等の金属又はこれらの合金のほか、ITO、ハンダ等の金属化合物等が挙げられる。なかでも金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ロジウム又はハンダが、電気抵抗が少ないため好ましく、とりわけ、ニッケル、金、ニッケル合金又は金合金が好適に用いられる。金属は1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
導電層は、単層構造であっても、複数層からなる積層構造であってもよい。複数層からなる積層構造である場合には、最表層が、ニッケル、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル合金、金合金、銀合金、銅合金及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
また導電層は、芯材粒子の表面全体を被覆していなくてもよく、その一部のみを被覆していてもよい。芯材粒子の表面の一部のみを被覆している場合は、被覆部位が連続していてもよく、例えばアイランド状に不連続に被覆していてもよい。
【0024】
導電層の厚みは、0.1nm以上2000nm以下であることが好ましく、1nm以上1500nm以下であることがより好ましい。導電性粒子が後述する突起を有する場合、突起の高さは、ここでいう導電層の厚みに含まないものとする。なお、本発明において、導電層の厚みは、測定対象の粒子を2つに切断し、その切り口の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察して測定することができる。
【0025】
導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上30μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、導電性粒子の平均粒子径は、SEM観察により測定した値である。具体的には、導電性粒子の平均粒子径は実施例に記載の方法にて測定される。なお、粒子径は、円形の導電性粒子像の径である。導電性粒子が球状でない場合、粒子径は、導電性粒子像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長さ)をいう。
【0026】
導電性粒子がその表面に突起を有する場合、すなわち、導電層の外表面が突起を有する形状である場合、突起の高さは、好ましくは20nm以上1000nm以下、更に好ましくは50nm800nm以下である。突起の数は、導電性粒子の粒径にもよるが、導電性粒子一つ当たり、好ましくは1個以上20000個以下、更に好ましくは5個以上5000個以下であることが、導電性粒子の導電性を一層向上させる点で有利である。また、突起の基部の長さは、好ましくは5nm以上1000nm以下、更に好ましくは10nm以上800nm以下である。突起の基部の長さは、粒子の断面をSEM観察したときに、突起が形成されている部位における導電性粒子の表面に沿う長さをいい、突起の高さは、突起の基部から突起頂点までの最短距離をいう。なお、一つの突起に複数の頂点がある場合は、最も高い頂点をその突起の高さとする。突起の基部の長さ及び突起の高さは、電子顕微鏡により観察された20個の異なる粒子について測定した算術平均値とする。
【0027】
導電性粒子の形状は、芯材粒子の形状にもよるが、特に制限はない。例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性、接続性に優れるという点で、球状又は外表面に多数の突起を有する形状であることが好ましい。
【0028】
芯材粒子の表面に導電層を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、メカノケミカル法、ハイブリダイゼーション法等を利用する乾式法、電解めっき法、無電解めっき法等を利用する湿式法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせて芯材粒子の表面に導電層を形成してもよい。
【0029】
本発明においては、無電解めっき法により芯材粒子の表面に導電層を形成することが、所望の粒子特性を有する導電性粒子を得るのが容易であるため好ましい。特に、導電性粒子が、芯材粒子の表面に導電層として無電解ニッケル-リンめっき層を形成したものであることが好ましい。
【0030】
以下、導電層としてニッケル-リンめっき層を形成する場合について説明する。
無電解めっき法により芯材粒子の表面に導電層を形成する場合、芯材粒子は、その表面が貴金属イオンの捕捉能を有するか、又は貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質されることが好ましい。貴金属イオンは、パラジウムや銀のイオンであることが好ましい。貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンをキレート又は塩として捕捉し得ることをいう。例えば芯材粒子の表面に、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基などが存在する場合には、該芯材粒子の表面は貴金属イオンの捕捉能を有する。貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質する場合には、例えば特開昭61-64882号公報記載の方法を用いることができる。
【0031】
このような芯材粒子を用い、その表面に貴金属を担持させる。具体的には、芯材粒子を塩化パラジウムや硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液に分散させる。これによって貴金属イオンを粒子の表面に捕捉させる。貴金属塩の濃度は粒子の表面積1m当たり1×10-7~1×10-2モルの範囲で十分である。貴金属イオンが捕捉された芯材粒子は系から分離され水洗される。引き続き、芯材粒子を水に懸濁させ、これに還元剤を加えて貴金属イオンの還元処理を行う。これによって芯材粒子の表面に貴金属を坦持させる。還元剤は、例えば次亜リン酸ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等が用いられ、これらのうちから、目的とする導電層の構成材料に基づいて選択されることが好ましい。
【0032】
貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる前に、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を施してもよい。錫イオンを粒子の表面に吸着させるには、例えば表面改質処理された芯材粒子を塩化第一錫の水溶液に投入し所定時間攪拌すればよい。
【0033】
このようにして前処理が施された芯材粒子について、導電層の形成処理を行う。導電層の形成処理として、突起を有する導電層を形成する処理、及び表面が平滑な導電層を形成する処理の2種類があるが、まず、突起を有する導電層を形成する処理について説明する。
【0034】
突起を有する導電層を形成する処理においては、以下の第1工程、及び第2工程を行う。
第1工程は、芯材粒子の水性スラリーと、分散剤、ニッケル塩、還元剤及び錯化剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴とを混合する無電解ニッケルめっき工程である。かかる第1工程では、芯材粒子上への導電層の形成と同時にめっき浴の自己分解が起こる。この自己分解は、芯材粒子の近傍で生じるため、導電層の形成時に自己分解物が芯材粒子表面上に捕捉されることによって、微小突起の核が生成し、それと同時に導電層の形成がなされる。生成した微小突起の核を基点として、突起が成長する。
【0035】
第1工程では、前述した芯材粒子を好ましくは0.1~500g/L、更に好ましくは1~300g/Lの範囲で水に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。分散操作は、通常攪拌、高速攪拌又はコロイドミル若しくはホモジナイザーのような剪断分散装置を用いて行うことができる。また、分散操作に超音波を併用してもかまわない。必要に応じ、分散操作においては界面活性剤などの分散剤を添加する場合もある。次いで、ニッケル塩、還元剤、錯化剤及び各種添加剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴に、分散操作を行った芯材粒子の水性スラリーを添加し、無電解めっき第1工程を行う。
【0036】
前述した分散剤としては、例えば非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び/又は水溶性高分子が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンエーテル系の界面活性剤を用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン系の界面活性剤を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ヒドロキシエチルセルロースなどを用いることができる。これらの分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の使用量は、その種類にもよるが、一般に、液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して0.5~30g/Lである。特に、分散剤の使用量が液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して1~10g/Lの範囲であると、導電層の密着性が一層向上する観点から好ましい。
【0037】
ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度は0.1~50g/Lの範囲とすることが好ましい。還元剤としては、例えば先に述べた貴金属イオンの還元に用いられているものと同様のものを用いることができ、目的とする下地皮膜の構成材料に基づいて選択される。還元剤としてリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムを用いる場合、その濃度は、0.1~50g/Lの範囲であることが好ましい。
【0038】
錯化剤としては、例えばクエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸若しくはそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸(塩)、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、その他のアンモニウム、EDTA又はピロリン酸(塩)など、ニッケルイオンに対し錯化作用のある化合物が使用される。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その濃度は好ましくは1~100g/L、更に好ましくは5~50g/Lの範囲である。この段階での好ましい無電解ニッケルめっき浴のpHは、3~14の範囲である。無電解ニッケルめっき反応は、芯材粒子の水性スラリーを添加すると速やかに始まり、水素ガスの発生を伴う。第1工程は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了とする。
【0039】
次いで第2工程においては、前記の第1工程に続けて、(i)ニッケル塩、還元剤及びアルカリのうちの1種を含む第1の水溶液と、残りの2種を含む第2の水溶液を用いるか、又は(ii)ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤を含む第2の水溶液と、アルカリを含む第3の水溶液とを用い、これらの水溶液をそれぞれ同時にかつ経時的に、第1工程の液に添加して無電解ニッケルめっきを行う。これらの液を添加すると再びめっき反応が始まるが、その添加量を調整することによって、形成される導電層を所望の膜厚に制御することができる。無電解ニッケルめっき液の添加終了後、水素ガスの発生が完全に認められなくなってから暫く液温を保持しながら攪拌を継続して反応を完結させる。
【0040】
前記の(i)の場合には、ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤及びアルカリを含む第2の水溶液とを用いることが好ましいが、この組合せに限られない。この場合には、第1の水溶液には還元剤及びアルカリは含まれず、第2の水溶液にはニッケル塩は含まれない。ニッケル塩及び還元剤としては、先に述べたものを用いることができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を用いることができる。前記の(ii)の場合についても同様である。
【0041】
前記の(ii)の場合には、第1~第3の水溶液にニッケル塩、還元剤及びアルカリがそれぞれ含まれ、かつ各水溶液には当該成分以外の他の2成分は含まれない。
【0042】
(i)及び(ii)の場合のいずれであっても、水溶液中のニッケル塩の濃度は10~1000g/L、特に50~500g/Lであることが好ましい。還元剤の濃度は、還元剤としてリン化合物を用いる場合、100~1000g/L、特に100~800g/Lであることが好ましい。還元剤としてホウ素化合物を用いる場合、5~200g/L、特に10~100g/Lであることが好ましい。還元剤としてヒドラジン又はその誘導体を用いる場合、5~200g/L、特に10~100g/Lであることが好ましい。アルカリの濃度は5~500g/L、特に10~200g/Lであることが好ましい。
【0043】
第2工程は、第1工程の終了後に連続して行うが、これに代えて、第1工程と第2工程とを断続して行ってもよい。この場合には、第1工程の終了後、濾過などの方法によって芯材粒子とめっき液とを分別し、新たに芯材粒子を水に分散させて水性スラリーを調製し、そこに錯化剤を好ましくは1~100g/L、更に好ましくは5~50g/Lの濃度範囲で溶解した水溶液を添加し、分散剤を好ましくは0.5~30g/L、更に好ましくは1~10g/Lの範囲で溶解し水性スラリーを調製して、該水性スラリーに前記の各水溶液を添加する第2工程を行う方法でもよい。このようにして、突起を有する導電層が形成できる。
【0044】
続いて、以下では表面が平滑な導電層を形成する処理について説明する。
表面が平滑な導電層の形成は、上記突起を有する導電層を形成する処理の第1工程における無電解ニッケルめっき浴中のニッケル塩の濃度を薄くすることで行うことができる。すなわち、ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度を好ましくは0.01~0.5g/Lの範囲とする。無電解ニッケルめっき浴中のニッケル塩の濃度を薄くすること以外の上記第1工程、及び第2工程を行う方法により、表面が平滑な導電層を形成できる。
このようにして、本発明の真空加熱工程に供する導電性粒子が得られる。
【0045】
本発明における真空加熱工程の真空度は、1000Pa以下、好ましくは0.01~900Pa、特に好ましくは0.01~500Paである。真空度をこの範囲にすることで、導電層形成時に使用した反応液の残存成分が首尾よく除去されるため、高温下であっても導電層の金属が副反応し難く、接続信頼性などの所望の特性に優れた被覆粒子を得ることができる。この真空加熱工程は、上記効果を妨げなければ、一定の真空度で実施してもよいし、真空度を変化させて実施してもよい。この真空度の変化は、例えば真空度を下げるときには、窒素、アルゴン等の不活性ガスをパージすることで行うことができる。また真空度を上げるときには、真空ポンプの出力を上げることで行うことができる。なお、本発明における真空度は絶対圧、すなわち絶対真空を0としたときの値である。
【0046】
本発明における真空加熱工程の加熱温度は、200~600℃、好ましくは250~500℃、特に好ましくは300~450℃である。加熱温度をこの範囲にすることで、導電部の金属の結晶化が進行するため電気抵抗が低くなり、電気的な導通性に優れたものとなる。
【0047】
本発明における真空加熱工程の昇温速度は0.1~50℃/分であることが好ましく、0.1~30℃/分であることが更に好ましい。この昇温速度を採用することで、首尾よく導電部の金属の結晶化が進行するため電気抵抗が低くなり、電気的な導通性に優れたものとなる。
【0048】
本発明における真空加熱工程の降温速度は0.02~50℃/分であることが好ましく、0.02~30℃/分であることが更に好ましい。降温速度の制御は、室温あるいは冷却したガスによるパージや加熱炉筐体を冷却水などで冷却することで行うことができる。この降温速度を採用することで、熱履歴による芯材粒子や導電層の変性が抑制され、品質に及ぼす影響を小さくできる。
【0049】
本発明における真空加熱工程の処理時間は0.1~10時間であることが好ましく、0.5~5時間であることが更に好ましい。この処理時間を採用することで、製造コストを抑制することができ、また熱履歴による芯材粒子や導電層の変性が抑制され、品質に及ぼす影響を小さくできる。なお、この処理時間は、前記した加熱温度の範囲で加熱する時間を示すものである。
【0050】
本発明における真空加熱工程は、導電性粒子を静置させた状態で行ってもよく、撹拌しながら行ってもよい。導電性粒子を静置させた状態で真空加熱工程を行う場合、0.1mm~100mmの厚さで静置させておくことが好ましい。この厚さで静置させておくことで、導電層への真空加熱処理が首尾よく行われ、製造コストを抑制することができる。
【0051】
本発明における真空加熱工程は、導電性粒子を入れた容器を真空引きした後、静置した状態で又は撹拌しながら加熱する。この際、導電性粒子を入れた容器の気相部を窒素等の不活性ガスで置換してから真空引きしてもよいし、そのまま真空引きしてもよい。
【0052】
本発明における真空加熱工程は、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
【0053】
このようにして、加熱処理導電性粒子を得ることができる。該加熱処理導電性粒子は、次工程の表面処理工程により、金属皮膜の外表面に疎水性基を有するチタン系化合物が配された表面処理導電性粒子となる。加熱処理導電性粒子の表面に疎水性基を有するチタン系化合物が配されることで、電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子と密着しやすくなり、これによって表面処理導電性粒子の表面における絶縁性微粒子による被覆率を十分なものにできるとともに被覆粒子からの絶縁性微粒子の剥離などが効果的に防止される。このため、絶縁性微粒子による対向電極間と異なる方向における短絡防止効果が発揮されやすく、当該方向での絶縁性の向上が期待できる。
従って本発明の被覆粒子により接続信頼性を向上しうる。
【0054】
前記加熱処理導電性粒子の表面に疎水性基を有するチタン系化合物を配して表面処理導電性粒子を得る表面処理工程について説明する。該表面処理工程に供するチタン系化合物としては疎水性基を有する化合物が、絶縁性微粒子との親和性の点から好ましい。チタン系化合物における疎水性基としては有機基が挙げられ、その炭素原子数としては、その入手しやすさと絶縁性微粒子との親和性との観点から、2以上30以下が好ましく挙げられる。同様の観点から、チタン系化合物における疎水性基としては炭素原子数2以上30以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上22以下のアリール基、炭素原子数7以上23以下のアリールアルキル基が好ましく挙げられる。前記のアリール基やアリールアルキル基は、炭素原子数1以上18以下の脂肪族炭化水素基に置換されていてもよい。
【0055】
前記炭素原子数2以上30以下の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられ、飽和脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基の例としては、アルケニル基として、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基が挙げられる。
炭素原子数6以上22以下のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
炭素原子数7以上23以下のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
疎水性基としては直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が特に好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がとりわけ好ましい。
【0056】
絶縁性微粒子と表面処理導電性粒子との親和性を高める点から、疎水性基としての脂肪族炭化水素基としては、特に炭素原子数4以上28以下のものが更に好ましく、6以上24以下のものが最も好ましい。
【0057】
チタン系化合物としては、例えば一般式(I)で表される構造を有する化合物が、絶縁性微粒子と導電性粒子との親和性を容易に得られる点や溶媒に分散し易く加熱処理導電性粒子の表面を均一に処理できる点で特に好ましい。
【0058】
【化1】
(R12は2価又は3価の基であり、R13は炭素原子数4以上28以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上22以下のアリール基又は炭素原子数7以上23以下のアリールアルキル基であり、p及びrはそれぞれ1以上3以下の整数であり、p+r=4を満たし、qは1又は2である整数であり、R12が2価の基である場合、qは1であり、R12が3価の基である場合、qは2である。qが2である場合、複数のR13は同一であっても異なってもよい。*は結合手を表す。)
【0059】
13で表される炭素原子数4以上28以下の脂肪族炭化水素基の例としては、上述した疎水性基における前記の脂肪族炭化水素基の例として挙げたものが挙げられる。
【0060】
12で表される2価の基としては、-O-、-COO-、-OCO-、-OSO-等が挙げられる。R12で表される3価の基としては、-P(OH)(O-)、-OPO(OH)-OPO(O-)等が挙げられる。
【0061】
一般式(I)において*は結合手であり、当該結合手は加熱処理導電性粒子の金属皮膜に結合していてもよく、或いは、他の原子や基等に結合していてもよい。その場合の他の原子や基等については、後述する一般式(I’)において説明するものが挙げられる。
【0062】
一般式(I)で表される構造を有するチタン系化合物としては、一般式(I)におけるR12が2価の基である構造を有する化合物が、入手容易性や加熱処理導電性粒子の導電特性を損なうことなく処理できる点で好ましい。一般式(I)においてR12が2価の基である構造は、下記一般式(II)で表される。
【0063】
【化2】
(R12は、-O-、-COO-、-OCO-、-OSO-から選ばれる基であり、p、r及びR13は一般式(I)と同義である。)
【0064】
一般式(I)及び(II)において、rは2又は3であることが、絶縁性微粒子と導電層の密着性が上がる観点で好ましく、rが3であることが最も好ましい。
【0065】
疎水性基を有するチタン系化合物は、加熱処理導電性粒子における表面の金属と化学的に結合していてもよく、結合していなくてもよい。例えば、疎水性基を有するチタン系化合物は、上述した通り一般式(I)及び(II)における結合手により金属皮膜と化学的に結合していてもよい。なお、化学結合には、共有結合、静電結合等が挙げられる。
【0066】
疎水性基を有するチタン系化合物は、加熱処理導電性粒子の表面に存在していればよく、その場合、加熱処理導電性粒子の表面全体に存在していてもよく、表面の一部にのみ存在していてもよい。疎水性基を有するチタン系化合物は、加熱処理導電性粒子の表面の一部又は全体を被覆する層を形成していてもよい。表面処理導電性粒子は、表面に疎水性基を有するチタン系化合物が配されていることで、電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子との親和性が高いものとなる。
【0067】
疎水性基を有するチタン系化合物が表面に配された表面処理導電性粒子は、加熱処理導電性粒子を溶媒中で疎水性基を有するチタン系化合物と混合させた後に、ろ過することで得られる。表面処理に用いる疎水性基を有するチタン系化合物としては、上述した一般式(I)で表される構造を有するものが好ましく挙げられる。一般式(I)で表される構造を有する化合物としては、一般式(I’)で表される化合物が好ましく挙げられる。疎水性基を有するチタン系化合物による処理前において、加熱処理導電性粒子は別の有機剤で処理されていてもよく、未処理であってもよい。
【0068】
【化3】
(R12、R13、p、q及びrは上記一般式(I)と同義である。R11は炭化水素基である。pが2以上である場合、複数のR11は同一であっても異なってもよく、また2つのR11は互いに結合していてもよく、R11で表される基中のメチレン基は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。)
【0069】
一般式(I’)において、R11で表される炭化水素基としては炭素原子数1以上12以下のアルキル基が挙げられる。pが2以上である場合、2つのR11が互いに結合した連結基としては-(CH-で表される基(wは2以上12以下の整数)が挙げられる。これらR11で表される基中のメチレン基は、酸素原子同士が連続しない条件で、-O-、-COO-、-OCO-により1回又は2回以上置き換えられていてもよい。R11で表される炭素原子数1以上12以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
【0070】
加熱処理導電性粒子と疎水性基を有するチタン系化合物とを混合させる溶媒としては、水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。溶媒に加熱処理導電性粒子と疎水性基を有するチタン系化合物とを投入した分散液において、疎水性基を有するチタン系化合物の濃度としては、0.1質量%以上20質量%以下が挙げられる。またこの分散液における導電性粒子の濃度としては1質量%以上50質量%以下が挙げられる。処理後の分散液をろ過することで表面に疎水性基を有するチタン系化合物を有する表面処理導電性粒子が得られる。
【0071】
疎水性基を有するチタン系化合物による表面処理は、室温で加熱処理導電性粒子と疎水性基を有するチタン系化合物と溶媒を混合することにより行うことができる。あるいは、加熱処理導電性粒子と疎水性基を有するチタン系化合物を溶媒中で混合後、加熱して加水分解を促進してもよい。加熱温度は例えば30℃以上50℃以下が挙げられる。
このようにして、本発明の表面処理導電性粒子を得ることができる。
【0072】
前記表面処理導電性粒子と、電荷を有する官能基を含む絶縁性微粒子とを混合して、表面処理導電性粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させて被覆粒子を得る被覆工程について説明する。該被覆工程に供する絶縁性微粒子は、その表面に電荷を有する官能基(以下、単に「荷電官能基」ともいう。)を含むことにより、疎水性基を有するチタン系化合物が表面に配された表面処理導電性粒子に密着しやすく、これによって表面処理導電性粒子の表面における絶縁性微粒子に被覆される割合を十分なものにできるとともに被覆粒子からの絶縁性微粒子の剥離などが効果的に防止される。このため、絶縁性微粒子による対向電極間と異なる方向における短絡防止効果が発揮されやすく、当該方向で絶縁性の向上が期待できる。
【0073】
また本発明の製造方法に係る被覆粒子は、荷電官能基が同じ電荷を有することにより、絶縁性微粒子同士が反発しあうため表面処理導電性粒子表面に単層の絶縁性微粒子の層を形成しやすい。従って、本発明の被覆粒子を異方導電材料等に用いた場合に絶縁性微粒子が重層して存在していることによる熱圧着に伴う導通不良が効果的に防止され、接続性の向上が期待できる。
従って荷電官能基をその表面に含む絶縁性微粒子からなる絶縁層を表面に有する本発明の被覆粒子は、接続信頼性を向上しうる。
【0074】
絶縁性微粒子は荷電官能基をその表面に有することが好ましい。本明細書中、絶縁性微粒子が荷電官能基を有し、且つ走査型電子顕微鏡観察により絶縁性微粒子が表面処理導電性粒子の表面に付着していることが確認できれば、「絶縁性微粒子が電荷を有する官能基を表面に有する」ことに該当するとする。
【0075】
絶縁性微粒子の形状は、特に制限はなく、球状であってもよく、或いは球状以外の形状であってもよい。球状以外の形状としては例えば、繊維状、中空状、板状又は針状が挙げられる。また絶縁性微粒子はその表面に多数の突起を有するもの又は不定形の物であってもよい。表面処理導電性粒子への付着性の点や合成の容易性の点で球状の絶縁性微粒子が好ましい。
【0076】
絶縁性微粒子において荷電官能基は、絶縁性微粒子を構成する物質の一部として、該物質の化学構造の一部をなしていることが好ましい。絶縁性微粒子において荷電官能基は、絶縁性微粒子を構成するポリマーにおける構造中に含有されていることが好ましい。荷電官能基は、絶縁性微粒子を構成するポリマーに化学結合していることが好ましく、より好ましくはポリマーの側鎖に結合している。
【0077】
荷電官能基としては、正の電荷を有する官能基として、ホスホニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基、アミノ基等が好適に挙げられる。また負の電荷を有する官能基として、カルボキシル基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基等が好適に挙げられる。
【0078】
荷電官能基としては、特にホスホニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基等のオニウム系の官能基であることが、疎水性基を有するチタン系化合物が表面に配された表面処理導電性粒子に絶縁層が一層密着しやすい点で好ましく、ホスホニウム基が最も好ましい。
【0079】
オニウム系官能基は、下記一般式(1)で表されるものが好ましく挙げられる。
【0080】
【化4】
(式中、Xはリン原子、窒素原子、又は硫黄原子であり、Rは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、又はアリール基である。nは、Xが窒素原子、リン原子の場合は1であり、Xが硫黄原子の場合は0である。*は結合手である。)
【0081】
例えば正の荷電を有する官能基に対する対イオンとしては、ハロゲン化物イオンが好適に挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
【0082】
Rで表される直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられる。
【0083】
Rで表される分岐鎖状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0084】
Rで表される環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といったシクロアルキル基等が挙げられる。
【0085】
Rで表されるアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
【0086】
Rは、表面処理導電性粒子と絶縁性微粒子との密着性を高める点や、異方性導電膜の内部で熱圧着されたときに、絶縁性微粒子が被覆粒子から脱離して導通が確保されやすくなる点から、炭素原子数1以上12以下のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基であることが最も好ましい。また絶縁性微粒子が表面処理導電性粒子に近接し密着することが容易になる点から、Rが直鎖状アルキル基であることも好ましい。
【0087】
絶縁性微粒子の表面に荷電官能基を有させる手法としては、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物からなる重合性組成物の重合体によって絶縁性微粒子を構成する際に、該重合性組成物に、荷電官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含ませることが好ましい。
【0088】
重合性組成物を構成するエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、スチレン類、オレフィン類、エステル類、α,β不飽和カルボン酸類、アミド類、ニトリル類などが挙げられる。スチレン類としては、スチレン、o,m,p-メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等の核置換スチレンやα-メチルスチレン、α-クロロスチレン、β-クロロスチレンなどのスチレン誘導体等が挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルベンゾエート等のビニルエステル、及び、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。α,β不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。これらα,β不飽和カルボン酸の塩もα,β不飽和カルボン酸類に含まれる。アミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。ニトリル類としては、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは更に置換されていてもよく、置換基としては、ホスホニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム基、アミド基、スルホニウム基、スルホン酸基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、シアノ基、アルデヒド基、エステル基、カルボニル基等が挙げられる。これらのモノマーは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。絶縁性微粒子を構成するポリマーとしては、とりわけ、スチレン類、エステル類及びニトリル類から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合体であることが、重合率が高い点、容易に球状にできる点で好ましい。絶縁性微粒子を構成するポリマーが、複数種の構成単位を有する場合、ポリマーにおけるそれらの構成単位の存在態様はランダムであっても交互であってもブロックであってもよい。絶縁性微粒子を構成するポリマーは架橋されていてもよく、非架橋であってもよい。絶縁性微粒子を構成するポリマーを架橋させる場合は架橋剤として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。
【0089】
荷電官能基を含み且つエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、例えばオニウム系の官能基を有するエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としてN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N,N-トリメチル-N-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド等のアンモニウム基含有モノマー;メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩等のスルホニウム基を有するモノマー;4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリブチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリオクチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリメチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリエチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリブチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリオクチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリフェニルホスホニウムクロライド等のホスホニウム基を有するモノマーなどが挙げられる。
【0090】
絶縁性微粒子が、荷電官能基を有しエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、荷電官能基を有さずエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物との共重合体である場合、荷電官能基を有する重合性化合物と荷電官能基を有さない重合性化合物とは同種であっても異なる種類であってもよい。ここでいう種類の例としては、前述したスチレン類、オレフィン類、エステル類、不飽和カルボン酸類、アミド類、ニトリル類が挙げられる。例えば荷電官能基を有しエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の少なくとも1種と荷電官能基を有さずエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の少なくとも1種とが同じ種類、例えばスチレン類であってもよい。
【0091】
とりわけ、絶縁性微粒子を構成するポリマーは、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される構成単位を有することがモノマーの入手容易性やポリマー合成の容易性の点から好ましい。式(2)及び式(3)中のRの例としては、一般式(1)中のRの例として上記で説明した通りである。荷電官能基は、式(2)のベンゼン環のCH基に対しパラ位、オルト位、メタ位の何れに結合していてもよく、パラ位に結合することが好ましい。式(2)及び式(3)中、一価のAnとしてはハロゲン化物イオンが好適に挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
【0092】
【化5】
(式中、X、R、nは一般式(1)と同義である。mは0~5の整数である。Anは一価のアニオンを示す。)
【0093】
【化6】
(式中、X、R、nは一般式(1)と同義である。Anは一価のアニオンを示す。mは1~5の整数である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
【0094】
絶縁性微粒子を構成するポリマーにおいて、全構成単位中、荷電官能基が結合した構成単位の割合は、0.01モル%以上5.0モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上2.0モル%以下であることがより好ましい。ここで、ポリマー中の構成単位の数は、1つのエチレン性不飽和結合に由来する構造を1の構成単位としてカウントする。
【0095】
上記一般式(2)において、mは0~2が好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。上記一般式(3)においてmは1~3が好ましく、1又は2がより好ましく、2が最も好ましい。
【0096】
絶縁性微粒子を構成するポリマーは、2種以上、更に好ましくは3種以上の構成単位を有するコポリマーであり、これら構成単位の少なくとも1種が構造中にエステル結合を有することが好ましい。これにより、ポリマーのガラス転移温度を好適に低いものとしやすく、絶縁性微粒子における表面処理導電性粒子と接触する面積の割合を高めて絶縁性微粒子と表面処理導電性粒子との密着性を高めることができるほか、絶縁性微粒子同士の結合度を高めることができ、被覆粒子間での絶縁性をより高いものとすることができる。
【0097】
構造中にエステル結合を有する構成単位としては、構造中にエチレン性不飽和結合及びエステル結合を併せ持つ重合性化合物に由来するものが挙げられる。そのような重合性化合物としては前記で挙げたエステル類、具体的には、プロピオン酸ビニル、ビニルベンゾエート等のビニルエステルや(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。とりわけ構造中にエチレン性不飽和結合及びエステル結合を併せ持つ重合性化合物としては、その構造中に、-COOR又は-OCOR(R及びRはアルキル基)で表される基を有するものが好ましく、とりわけ、これらの基がHC=CH*、又はHC=C(CH)*(*は、上記の-COOR又は-OCORで表される基における結合手の結合先である)に結合した化合物が好ましい。R及びRとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1以上12以下であることが好ましく、2以上10以下であることがより好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
絶縁性微粒子を構成するポリマーにおいて、全構成単位中、構造中にエステル結合を有する構成単位の割合は、絶縁性微粒子のガラス転移温度を好適な範囲とする観点や、重合反応進行時に生成した絶縁性微粒子が、熱によって溶融し反応容器の壁面に付着することなく取り出せる観点から0.1モル%以上30モル%以下であることが好ましく、1モル%以上25モル%以下であることがより好ましい。ここでいう構造中にエステル結合を有する構成単位の好ましい例は、例えば以下の一般式(4)で表される。
【0099】
【化7】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは-COOR又は-OCORで表される基である。)
【0100】
絶縁性微粒子のガラス転移温度は、導電性粒子の芯材のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。このように構成することで、絶縁性微粒子における表面処理導電性粒子と接触する面積の割合、及び絶縁性微粒子同士の付着性を容易に高めることができる。
【0101】
より具体的には、絶縁性微粒子のガラス転移温度は、100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることが特に好ましい。
【0102】
また絶縁性微粒子のガラス転移温度は、40℃以上であることが、被覆粒子の保存時等の形状安定性や絶縁性微粒子の合成の容易性の点から好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが特に好ましい。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0103】
前記と同様の点から芯材がガラス転移温度を有する場合、絶縁性微粒子のガラス転移温度と導電性粒子の芯材のガラス転移温度との差は、160℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。絶縁性微粒子のガラス転移温度と導電性粒子の芯材のガラス転移温度との差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
【0104】
ガラス転移温度の測定方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
示差走査熱量計「STAR SYSTEM」(METTLER TOLEDO社製)を用いて、試料0.04~0.06gを、200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで25℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度5℃/minで昇温し、熱量を測定した。ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0105】
絶縁性微粒子の平均粒子径(D)は、好ましくは10nm以上3,000nm以下、より好ましくは15nm以上2,000nm以下である。絶縁性微粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、得られる被覆粒子が対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、絶縁性微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた観察において測定した値であり、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定される。
【0106】
前述の方法によって測定された絶縁性微粒子の粒度分布には幅がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記計算式(1)で示される変動係数(Coefficient of Variation、以下「C.V.」とも記載する)により表される。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100・・・(1)
このC.V.が大きいということは粒度分布に幅があることを示し、一方、C.V.が小さいということは粒度分布がシャープであることを示す。本実施形態の被覆粒子は、C.V.が好ましくは0.1%以上20%以下、より好ましくは0.5%以上15%以下、最も好ましくは1%以上10%以下の絶縁性微粒子を用いることが望ましい。C.V.がこの範囲であることにより、絶縁性微粒子による被覆層の厚みを均一にできる利点がある。
【0107】
本発明の製造方法に係る被覆工程は、前記絶縁性微粒子と表面処理導電性粒子とを含む分散液中で、表面処理導電性粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる工程であることが好ましい。
分散液の溶媒としては、水及び有機溶媒並びにその混合物が挙げられ、水、エタノール、又はエタノールと水との混合液が好ましい。
【0108】
分散液は無機塩、有機塩又は有機酸を含有することが、被覆率が一定以上の被覆粒子を得やすい点から好ましい。無機塩、有機塩又は有機酸としては、陰イオンを解離するものが好適に用いられ、この陰イオンとしては、Cl、F、Br、I、SO 2-、CO32 、NO 、COO、RCOO(Rは有機基)等が好適である。無機塩としては、例えばNaCl、KCl、LiCl、MgCl、BaCl、NaF、KF、LiF、MgF、BaF、NaBr、KBr、LiBr、MgBr、BaBr、NaI、KI、LiI、MgI、BaI、NaSO、KSO、LiSO、MgSO、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、LiCO、LiHCO、MgCO、NaNO、KNO、LiNO、MgNO、BaNO等を用いることができる。また有機塩としては、シュウ酸Na、酢酸Na、クエン酸Na、酒石酸Na等を用いることができる。有機酸としてはグリシン等のアミノ酸や、コハク酸、シュウ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸等を用いることができる。
【0109】
好ましい無機塩、有機塩及び有機酸の濃度は、表面処理導電性粒子の表面積において絶縁性微粒子が占める被覆面積としてどの程度とするかにより異なるが、表面処理導電性粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液中において、例えば、0.1mmol/L以上100mmol/L以下となる濃度であると、好適な被覆率を有し、また絶縁性微粒子が単層である被覆粒子を得やすいために好ましい。この観点から、当該分散液中の無機塩、有機塩及び有機酸の濃度は1.0mmol/L以上80mmol/L以下であることが特に好ましい。
【0110】
絶縁性微粒子及び表面処理導電性粒子を含む分散液を調製するにあたっては、絶縁性微粒子を含む分散液と表面処理導電性粒子とを混合してもよく、表面処理導電性粒子を含む分散液と絶縁性微粒子とを混合してもよく、或いは、液媒に絶縁性微粒子及び表面処理導電性粒子をそれぞれ投入して分散液としてもよく、絶縁性微粒子を含む分散媒と導電性粒子を含む分散媒とを混合してもよい。表面処理導電性粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液中に、表面処理導電性粒子は質量基準で100ppm以上100,000ppm以下含有されていることが好ましく、500ppm以上80,000ppm以下含有されていることがより好ましい。
【0111】
表面処理導電性粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液中に、絶縁性微粒子は質量基準で10ppm以上50,000ppm以下含有されていることが好ましく、250ppm以上30,000以下含有されていることがより好ましい。
【0112】
表面処理導電性粒子を混合する時点における分散液の温度は、一般に、20℃以上100℃以下であることが、品質が一定な被覆粒子が得やすい点から好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。特に絶縁性微粒子のガラス転移温度をTg℃としたときに、分散液の温度は、Tg-30℃以上Tg+30℃以下であることが好ましい。この範囲であると、絶縁性微粒子がその形状を維持しながら表面処理導電性粒子に密着し、絶縁性微粒子と表面処理導電性粒子との間に好適な接触面積を得やすいため好ましい。尤も、本発明の荷電官能基を有する絶縁性微粒子は、表面処理導電性粒子との親和性が高いため、上記温度の範囲内であれば十分に被覆することが可能である。
【0113】
表面処理導電性粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液において、絶縁性微粒子の表面処理導電性粒子への付着に供する時間は、好ましくは0.1時間以上24時間以下である。この間、分散液を撹拌することが好ましい。次いで、分散液の固形分を必要に応じ、洗浄、乾燥し、荷電官能基を有する絶縁性微粒子が表面処理導電性粒子の表面に付着した被覆粒子が得られる。
【0114】
本発明の製造方法においては、被覆工程で得られた被覆粒子を加熱することにより、絶縁性微粒子を溶融状態として、表面処理導電性粒子の表面を膜状の絶縁層で被覆する工程を有していてもよい。絶縁性微粒子を膜状にして連続皮膜からなる絶縁層とすることにより、絶縁性がより強固なものとなる。加熱する方法としては、絶縁性微粒子を表面処理導電性粒子の表面に付着させた後の分散液を加温する方法、被覆粒子を水などの溶媒中で加温する方法、被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、絶縁性微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度をTgとしたときにTg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましく、Tg+15℃超であることが最も好ましい。加熱時間としては、均一な膜状を形成しやすい点から、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。また、被覆粒子を気相中で加温する場合、その圧力条件は大気圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。
【0115】
また、本発明の製造方法においては、被覆工程で得られた被覆粒子の絶縁性微粒子を、有機溶剤により溶解状態として、表面処理導電性粒子の表面を膜状の絶縁層で被覆する工程を有していてもよい。例えば、絶縁性微粒子が表面処理導電性粒子の表面に付着した被覆粒子は、その分散液に有機溶剤を添加することによって、絶縁性微粒子を流動状態にすることができるため、表面処理導電性粒子の表面を連続皮膜からなる絶縁層で被覆することができる。絶縁性微粒子を溶解させる場合、この有機溶剤としてはテトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミド等を用いることができる。有機溶剤の添加量としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、分散液中の被覆粒子1質量部に対して1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。添加温度としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、10℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上80℃以下がより好ましい。また添加してから膜状にさせる時間としては、均一な膜状を形成させる点から、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。
【0116】
表面処理導電性粒子の表面を膜状に被覆した被覆粒子は、連続皮膜をより安定化させるために、アニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の方法としては、被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度をTgとしたときにTg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましい。加熱雰囲気としては特に制限されず、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気又は空気等の酸化性雰囲気において、大気圧下、減圧下又は加圧下の何れの条件で行うこともできる。
【0117】
絶縁層が連続皮膜である場合、被覆粒子を電極間で熱圧着することで該連続皮膜が溶融、変形又は剥離することにより表面処理導電性粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能とし接続性が得られる。特に、被覆粒子を電極間で熱圧着することで連続皮膜が破けることにより金属表面が露出する場合が多い。一方、被覆粒子における熱圧着方向とは異なる方向を向く表面部分では、連続皮膜による表面処理導電性粒子の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。
【0118】
連続皮膜が絶縁性微粒子を加熱してなるか、或いは表面処理導電性粒子を被覆した絶縁性微粒子を有機溶剤で溶解させたものである場合、絶縁層の前駆体となる絶縁性微粒子を均一に配列することができるため、絶縁性微粒子の溶融又は溶解によって得られる被膜の膜厚を均一にできる効果がある。これによって対向電極間と異なる方向における短絡防止効果が発揮されやすく、当該方向での絶縁性が向上し、接続信頼性が高いものとなる。連続皮膜は表面処理導電性粒子の表面全体を被覆するものであってもよく、表面の一部を被覆するものであってもよい。また連続皮膜の表面は平坦であってもよく、絶縁性微粒子を溶融又は溶解してなることに由来する凹凸を表面に有していてもよい。
【0119】
連続皮膜の厚さは、10nm以上であることが、対向電極間と異なる方向における絶縁性の向上の点から好ましく、3,000nm以下であることが、対向電極間での導通しやすさの点で好ましい。この点から、連続皮膜の厚さは、10nm以上3,000nm以下であることが好ましく、15nm以上2,000nm以下であることがより好ましい。
【0120】
以上のようにして得られた被覆粒子は、疎水性基を有するチタン系化合物を表面に有する導電性粒子と、荷電官能基を有する絶縁性微粒子や連続皮膜とを組み合わせた利点による被覆粒子間の絶縁性及び対向電極間での接続性を活かして、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として好適に使用される。
【実施例
【0121】
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。例中の特性は下記の方法により測定した。
(1)平均粒子径
測定対象の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(絶縁性微粒子は倍率100,000倍、導電性粒子は倍率10,000倍)から、任意に200個の粒子を抽出して、それらについて上記の粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
(2)C.V.(変動係数)
前記平均粒子径の測定から、下記式により求めた。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(METTLER TOLEDO社製、STAR SYSTEM)にて昇降温速度5℃/min、窒素雰囲気下、測定温度25℃から200℃までの熱量変化を上記の手順で測定した。
【0122】
〔製造例1-1〕 突起付き導電性粒子の製造
(1)前処理
平均粒子径3.0μmの球状スチレン-アクリレート-シリカ複合系樹脂粒子を芯材粒子として用いた。その9gを、200mLのコンディショナー水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料製の「クリーナーコンディショナー231」)に撹拌しながら投入した。コンディショナー水溶液の濃度は40mL/Lであった。引き続き、液温60℃で超音波を与えながら30分間撹拌して芯材粒子の表面改質及び分散処理を行った。この水溶液を濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにした。このスラリーへ塩化第一錫0.1gを投入した。常温で5分間撹拌し、錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続きこの水溶液を濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにして60℃に維持した。このスラリーへ0.11mol/Lの塩化パラジウム水溶液1.5mLを投入した。60℃で5分間撹拌し、パラジウムイオンを芯材粒子の表面に捕捉させる活性化処理を行った。引き続きこの水溶液を濾過し、一回リパルプ湯洗した芯材粒子を100mLのスラリーにし、0.5g/Lジメチルアミンボラン水溶液10mLを加え、超音波を与えながら2分間撹拌して前処理済み芯材粒子のスラリーを得た。
(2)めっき浴の調製
5g/Lの酒石酸ナトリウム、2g/Lの硫酸ニッケル六水和物、10g/Lのクエン酸3ナトリウム、0.25g/Lのテトラメチルエチレンジアミン、0.15g/Lのピロリン酸ナトリウム、0.1g/Lの次亜リン酸ナトリウム、及び2g/Lのポリエチレングリコールを溶解した水溶液からなる無電解ニッケル-リンめっき浴3Lを調製し、70℃に昇温した。
(3)無電解めっき処理
この無電解めっき浴に、前記前処理済み芯材粒子のスラリーを投入し、5分間撹拌して水素の発泡が停止するのを確認した。
このスラリーに、224g/Lの硫酸ニッケル水溶液420mLと、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液420mLを、添加速度はいずれも2.5mL/分として定量ポンプによって連続的に分別添加し、無電解めっきを開始した。
硫酸ニッケル水溶液と、次亜リン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの混合水溶液のそれぞれ全量を添加した後、70℃の温度を保持しながら5分間撹拌を継続した。次いで液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、110℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル-リン合金皮膜を有する導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。
【0123】
〔製造例1-2〕 平滑導電性粒子の製造
(1)前処理
製造例1-1と同じ方法で行った。
(2)めっき浴の調製
5g/Lの酒石酸ナトリウム、0.1g/Lの硫酸ニッケル六水和物、10g/Lのクエン酸3ナトリウム、0.25g/Lのテトラメチルエチレンジアミン、0.15g/Lのピロリン酸ナトリウム、0.1g/Lの次亜リン酸ナトリウム、及び2g/Lのポリエチレングリコールを溶解した水溶液からなる無電解ニッケル-リンめっき浴3Lを調製し、70℃に昇温した。
(3)無電解めっき処理
この無電解めっき浴に、前記前処理済み芯材粒子のスラリーを投入し、5分間撹拌して水素の発泡が停止するのを確認した。
このスラリーに、224g/Lの硫酸ニッケル水溶液420mLと、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液420mLを、添加速度はいずれも2.5mL/分として定量ポンプによって連続的に分別添加し、無電解めっきを開始した。
硫酸ニッケル水溶液と、次亜リン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの混合水溶液のそれぞれ全量を添加した後、70℃の温度を保持しながら5分間撹拌を継続した。次いで液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、110℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル-リン合金皮膜を有する導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり平滑であった。
【0124】
〔製造例2-1〕 ホスホニウム系絶縁性微粒子の製造
長さ60mmの撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後、架橋性モノマーとしてジビニルベンゼンモノマー(新日鉄住金製)15.0mmol、非架橋性モノマーとしてスチレンモノマー(関東化学製)30.00mmol、及びn-ブチルアクリレート(関東化学製)5.3mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド(日本化学工業製)0.03mmol、並びに重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業製、V-50)0.50mmolを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行させた。重合後の微粒子の分散液を目開き150μmのSUS篩にかけ、凝集物を除去した。凝集物を除去した分散液を、遠心分離機(日立工機製、CR-21N)にて20,000rpm、20分間の条件にて微粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。得られた固形物に純水を加えて洗浄して、ポリ(スチレン/ジビニルベンゼン/n-ブチルアクリレート/4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)の官能基としてホスホニウム基を有する球状の微粒子を得た。得られた微粒子の平均粒子径は220nmであり、C.V.が9.7%であった。
【0125】
〔製造例2-2〕 アンモニウム系絶縁性微粒子の製造
【0126】
長さ60mmの撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後、架橋性モノマーとしてジビニルベンゼンモノマー(新日鉄住金製)0.25mmol、非架橋性モノマーとしてスチレンモノマー(関東化学製)30.00mmol、及びn-ブチルアクリレート(関東化学製)5.3mmol、4-(ビニルベンジル)トリエチルアンモニウムクロライド(日本化学工業製)0.30mmol、並びに重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業製、V-50)0.50mmolを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行させた。重合後の微粒子の分散液を目開き150μmのSUS篩にかけ、凝集物を除去した。凝集物を除去した分散液を、遠心分離機(日立工機製、CR-21N)にて20,000rpm、20分間の条件にて微粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。得られた固形物に純水を加えて洗浄して、ポリ(スチレン/ジビニルベンゼン/n-ブチルアクリレート/4-(ビニルベンジル)トリエチルアンモニウムクロライド)の官能基としてアンモニウム基を有する球状の微粒子を得た。得られた微粒子の平均粒子径は90nmであり、C.V.が8.6%であった。
【0127】
〔実施例1〕
製造例1-1で得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを真空加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、10Paの真空下、390℃で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。
この導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-1で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。得られた被覆粒子のSEM写真を図1に示す。
【0128】
〔実施例2〕
実施例1で得られた被覆粒子1.0gを、純水20mL中に添加して分散液とし、該分散液を95℃で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターを用いて固形分を分離し、乾燥して、導電性粒子の表面に絶縁性微粒子が融解した膜状の部分が形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0129】
〔実施例3〕
製造例1-2で得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを真空加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、10Paの真空下、390℃で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり平滑であった。
この導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-1で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0130】
〔実施例4〕
実施例3で得られた被覆粒子1.0gを、純水20mL中に添加して分散液とし、該分散液を95℃で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターを用いて固形分を分離し、乾燥して、導電性粒子の表面に絶縁性微粒子が融解した膜状の部分が形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0131】
〔実施例5〕
製造例1-1で得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを真空加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、10Paの真空下、390℃で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。
この導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-2で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0132】
〔実施例6〕
実施例5で得られた被覆粒子1.0gを、純水20mL中に添加して分散液を得た。この分散液にテトラヒドロフラン10mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターを用いて固形分を分離し、乾燥して、絶縁性微粒子が融解した膜状の部分が形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0133】
〔実施例7〕
製造例1-2で得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを真空加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、10Paの真空下、390℃で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり平滑であった。
この導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-2で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0134】
〔実施例8〕
実施例7で得られた被覆粒子1.0gを、純水20mL中に添加して分散液を得た。この分散液にテトラヒドロフラン10mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターを用いて固形分を分離し、乾燥して、絶縁性微粒子が融解した膜状の部分が形成された絶縁層を有する被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0135】
〔比較例1〕
製造例1-1で得られた導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-1で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0136】
〔比較例2〕
製造例1-2で得られた導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-1で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0137】
〔比較例3〕
製造例1-1で得られた導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-2で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0138】
〔比較例4〕
製造例1-2で得られた導電性粒子5.0gにトルエン25mLを投入、撹拌して導電性粒子の分散液を得た。Ti系カップリング剤(味の素ファインテクノ製、プレンアクトKR-TTS、上記一般式(I’)においてpが3、rが1、R11がイソプロピル基、R12が-OCO-、q=1、R13がヘプタデシル基である化合物)0.1gをこの分散液に投入して室温にて20分間撹拌し表面処理を行った。その後、目開きが2.0μmのメンブレンフィルターでろ過し、Ti系カップリング剤の層を表面に有する導電性粒子を回収した。回収した導電性粒子に質量基準でエタノール:純水=75:25の混合液の100mLを投入して表面処理を行った導電性粒子の分散液を得た。この分散液に、製造例2-2で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、これを40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄を3回繰り返した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子を得た。結果を表1に示す。
【0139】
(被覆率の評価)
実施例及び比較例で得られた被覆粒子の被覆率を評価した。なお、被覆率は次の方法により求めた。また、下記の半径は上記平均粒子径を用いた。
<被覆率の測定方法>
実施例1、実施例3、実施例5、実施例7及び比較例1~4においては、導電性粒子の表面に、絶縁性微粒子が最密充填で配列したときの絶縁性微粒子の個数Nを以下の計算式で算出した。
N=4π(R+r)/2√3r
(R:Niめっき粒子の半径(nm)、r:絶縁性微粒子の半径(nm))
SEMにて導電性粒子に付着した絶縁性微粒子の個数nを数え、以下の式から被覆率を算出した。
被覆率(%)=(n/N)×100
評価に用いた被覆率は、導電性粒子20個の平均値とした。
実施例2、実施例4、実施例6及び実施例8においては、被覆粒子のSEM写真画像の反射電子組成(COMPO)像を自動画像解析装置(株式会社ニレコ製、ルーゼックス(登録商標)AP)に取り込み、前記COMPO像における20個の被覆粒子を対象として算出した。
【0140】
(導通性及び絶縁性の評価)
実施例、比較例の被覆粒子を用いて、導通性及び絶縁性の評価を以下の方法で行った。
<導通性の評価>
エポキシ樹脂100質量部、硬化剤150質量部及びトルエン70質量部を混合した絶縁性接着剤と、実施例及び比較例で得られた被覆粒子15質量部とを混合して、絶縁性ペーストを得た。このペーストをシリコーン処理ポリエステルフィルム上にバーコーターを用いて塗布し、その後、ペーストを乾燥させて、フィルム上に薄膜を形成した。得られた薄膜形成フィルムを、全面がアルミニウムを蒸着させたガラス基板と、銅パターンが50μmピッチに形成されたポリイミドフィルム基板との間に配して、電気接続を行った。この基板間の導通抵抗を測定することで、被覆粒子の導通性を室温下(25℃・50%RH)で評価した。抵抗値が低いほど被覆粒子の導通性が高いものであると評価できる。被覆粒子の導通性評価は、抵抗値が1Ω未満であるものを「非常に良好」(表1中、記号「◎」で示す。)とし、抵抗値が1Ω以上2Ω未満であるものを「良好」(表1中、記号「○」で示す。)とし、抵抗値が2Ω以上5Ω未満であるものを「普通」(表1中、記号「△」で示す。)とし、抵抗値が5Ω以上であるものを「不良」(表1中、記号「×」で示す。)とした。結果を表1に示す。
【0141】
<絶縁性の評価>
微小圧縮試験機MCTM-500(株式会社島津製作所製)を用いて、20個の被覆粒子を対象として、負荷速度0.5mN/秒の条件で実施例及び比較例の被覆粒子を圧縮し、抵抗値が検出されるまでの圧縮変位を測定することで被覆粒子の絶縁性を評価した。抵抗値が検出されるまでの圧縮変位が大きいほど、被覆粒子の絶縁性が高いものであると評価できる。被覆粒子の絶縁性評価は、抵抗値が検出されるまでの圧縮変位の算術平均値が10%以上であるものを「非常に良好」(表1中、記号「○」で示す。)とし、圧縮変位の算術平均値が3%超10%未満であるものを「良好」(表1中、記号「△」で示す。)とし、圧縮変位の算術平均値が3%以下であるものを「不良」(表1中、記号「×」で示す。)とした。結果を表1に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
表1に示す通り、導電性粒子を加熱処理した後、チタン系化合物としてTi系カップリング剤により処理して絶縁性微粒子を被覆した被覆粒子は、加熱処理せずに得られた被覆粒子と比べて、同等な絶縁性を示しつつ良好な導通性が得られていることが判る。
図1