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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】止水材
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20241111BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021025332
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127273
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】有本 浩治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 美佳子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 英邦
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0114860(KR,A)
【文献】特開2011-231485(JP,A)
【文献】特開2017-031627(JP,A)
【文献】特公昭48-027740(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
E06B 7/00 - 7/36
E04H 9/14
C09K 3/10 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部とドアとの間の隙間に設けられ、前記隙間から前記建築物内への水の侵入を抑制する止水材であって、
前記隙間に配置される基材と、
前記基材に設けられ、水を吸収して膨張する水膨張部材と、
前記基材に設けられ、前記ドアの内面に着脱可能に構成された接着部材と、を備え、
前記水膨張部材は、第1水膨張部材と、第2水膨張部材と、を含み、
前記接着部材が前記ドアの内面に取り付けられ、かつ、前記ドアが閉められた状態において、前記第1水膨張部材は、前記第2水膨張部材よりも前記建築物の外部空間側に配置される、
止水材。
【請求項2】
前記基材は、前記隙間に設けられた状態で前記ドアと対向するように構成される第1主面と、
前記第1主面の反対側に設けられるように構成される第2主面と、を備え、
前記第1主面と前記第2主面の少なくとも一方に前記水膨張部材が設けられる
請求項1に記載の止水材。
【請求項3】
前記水膨張部材は、水膨張性ウレタンフォーム、水膨張性不織布、および、水膨張性ゴムの少なくとも1つで構成される
請求項1または2に記載の止水材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅内への浸水を抑制するための構成が知られている。特許文献1は、止水構造の一例を開示する。止水構造は、支持部材と止水板とを含む。止水構造は、ドアの外側に配置される。これによって、浸水が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-31627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の止水構造はドアの外側に配置されるため、止水構造がドアの外側に設けられている期間にわたって、ドアを開閉することができない。住人は、この期間、不便を強いられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に関する止水材は、建築物の開口部とドアとの隙間に設けられ、前記隙間から建築物内への水の侵入を抑制する止水材であって、前記隙間に配置される基材と、前記基材に設けられ、水を吸収して膨張する水膨張部材と、を備える。
この構成によれば、建築物の開口部とドアとの隙間からの水が侵入する場合、水膨張部材が膨張して隙間が小さくなる。この作用によって、隙間からの水の侵入が抑制される。
【0006】
(2)好ましい例では、上記(1)の止水材において、前記基材は、前記隙間に設けられた状態で前記ドアと対向するように構成される第1主面と、前記第1主面の反対側に設けられるように構成される第2主面と、を備え前記第1主面と前記第2主面の少なくとも一方に前記水膨張部材が設けられる。
この構成によれば、基材の少なくとも一方の主面に水膨張部材が設けられるため、建築物の開口部とドアとの間の隙間からの水が侵入した場合、水膨張部材が膨張することによって、隙間が小さくなる。このため、隙間からの水の侵入が抑制される。
【0007】
(3)好ましい例では、上記(1)または(2)の止水材において、前記ドアの内面に着脱可能に構成された接着部材をさらに備え、前記接着部材は、前記基材に設けられる。
この構成によれば、接着部材により止水材を好適にドアに固定できる。
【0008】
(4)好ましい例では、上記(3)の止水材において、前記水膨張部材は、第1水膨張部材と、第2水膨張部材と、を含み、前記接着部材が前記ドアの内面に取り付けられ、かつ、前記ドアが閉められた状態において、前記第1水膨張部材は、前記第2水膨張部材よりも前記建築物の外部空間側に配置される。
この構成によれば、第1水膨張部材が第2水膨張部材よりも先に外部空間から隙間に侵入する水に晒される。水の侵入時において、水に晒され易い第1水膨張部材と、第2水膨張部材とにおいて、水の吸収量が変わる。このため、第2水膨張部材を第1水膨張部材よりも気密性または断熱性に優れた材料で構成することができる。このような場合、建築物内の快適性が向上する。
【0009】
(5)好ましい例では、上記(1)~(4)のいずれか1つの止水材において、前記水膨張部材は、水膨張性ウレタンフォーム、水膨張性不織布、および、水膨張性ゴムの少なくとも1つで構成される。
この構成によれば、水膨張部材を好適な材料で構成することができ、隙間からの水の侵入が抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の止水材によれば、建築物の開口部とドアとの隙間からの浸水を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の止水材の斜視図。
図2図1に示される止水材を玄関ドアに取り付けた状態を示す模式図。
図3】止水材を取り付けたドアを開放した状態を示す図。
図4】止水材を取り付けたドアを閉鎖した状態を示す図。
図5図1に示される止水材の全体を示す斜視図。
図6】第2実施形態の止水材の一例を示す上面図。
図7】第3実施形態の止水材の一例を示す斜視図。
図8】変形例の止水材の一例を示す斜視図。
図9】変形例の止水材の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1図5を参照して、第1実施形態の止水材10について説明する。止水材10は、建築物1(図3参照)の開口部2とドア3との隙間Gに設けられる。止水材10は、隙間Gからの水の侵入を抑制する。開口部2およびドア3は、たとえば建築物1の出入口を構成する。建築物1は、たとえば住宅である。出入口は、たとえば玄関である。開口部2は、下方枠2A、側方枠2B、および、図示しない上方枠を備える。
【0013】
止水材10を構成する主な要素は、基材20である。基材20は、本体21を備える。本体21は、たとえば樹脂で構成される。樹脂は、一例ではポリエチレンまたはポリプロピレンの少なくとも一方である。樹脂は、発泡体であってもよい。本体21の形状は、たとえば板状に形成される。本体21の形状は、正面視においてたとえば長方形状である。
【0014】
本体21は、第1主面22および第2主面23を備える。第1主面22は、止水材10を開口部2とドア3との隙間Gに配置した状態で、ドア3と対向する面である。第2主面23は、止水材10を開口部2とドア3との隙間Gに配置した状態で、ドア3に対向する第1主面22と反対側の位置にある面である。なお、以下の説明において、本体21の長手に沿った方向を第1方向XAと記載し、本体21の短手に沿った方向を第2方向XBと記載し、第1方向XAおよび第2方向XBと直交する方向を第3方向XCと記載する場合がある。
【0015】
本体21は、切込24をさらに備える。切込24は、第2主面23から第1主面22に向けて形成される。切込24は、本体21の一方の端部から第1方向XAに沿って他方の端部まで形成される。本体21は、切込24を境界にして、第1部分21Aと、第2部分21Bとに区分される。本体21は、切込24を境界として折り曲げ可能である。
【0016】
止水材10は、水膨張部材30をさらに備える。水膨張部材30は、本体21において第1部分21Aに設けられる。水膨張部材30は、第1主面22および第2主面23の少なくとも一方に設けられる。第1実施形態において、水膨張部材30は、第1主面22および第2主面23の両方に設けられる。
【0017】
水膨張部材30は、水を吸収することで膨張する。水膨張部材30は、水を吸収することによって膨張する材料で構成される。一例では、水膨張部材30として、水膨張性ウレタンフォーム、水膨張性不織布、および、水膨張性ゴムが挙げられる。水膨張部材30は、水膨張性ウレタンフォームと、水膨張性不織布との積層体であってもよい。水膨張性ウレタンフォームは、例えば、多孔性ウレタン部材から構成される。水膨張性不織布は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム塩を含むポリマーから形成される。
【0018】
水膨張部材30は、第1水膨張部材31および第2水膨張部材32を含む。第1水膨張部材31と第2水膨張部材32とは、材料、幅、厚み、および、膨張率の少なくとも1つが異なるように構成される。本実施形態において、第1水膨張部材31は、第2水膨張部材32と異なる材料で構成される。第1水膨張部材31は、水膨張性不織布で構成される。第2水膨張部材32は、水膨張性ウレタンフォームで構成される。
【0019】
第1水膨張部材31は、第1主面22および第2主面23の少なくとも一方に設けられる。第1実施形態において、第1水膨張部材31は、第1主面22および第2主面23の両方に設けられる。第1水膨張部材31は、第1主面22の第1方向XAに沿って設けられる。好ましくは、第1水膨張部材31は第1主面22の一方の端部から第1方向XAに沿って他方の端部まで形成される。第1水膨張部材31は、第2主面23の第1方向XAに沿って設けられる。好ましくは、第1水膨張部材31は第2主面23の一方の端部から第1方向XAに沿って他方の端部まで形成される。
【0020】
第2水膨張部材32は、第1主面22および第2主面23の少なくとも一方に設けられる。第1実施形態において、第2水膨張部材32は、第1主面22および第2主面23の両方に設けられる。第2水膨張部材32は、第1主面22の第1方向XAに沿って設けられる。好ましくは、第2水膨張部材32は第1主面22の一方の端部から第1方向XAに沿って他方の端部まで形成される。第2水膨張部材32は、第2主面23の第1方向XAに沿って設けられる。好ましくは、第2水膨張部材32は第2主面23の一方の端部から第1方向XAに沿って他方の端部まで形成される。
【0021】
止水材10は、接着部材40をさらに備える。接着部材40は、本体21において第2部分21Bに設けられる。接着部材40は、本体21の第2部分21Bをドア3に取り付け可能とするように構成される。好ましくは、接着部材40は、ドア3に着脱可能な部材により構成される。接着部材40の一例は、粘着部材または接着部材である。一例では、接着部材40は、両面テープ41である。両面テープ41の一方の面は、本体21の第2部分21Bに接着する。両面テープ41の他方の面は、止水材10がドア3に取り付けられる前において、ドア3以外の物への接着を抑制するカバー42で保護される。
【0022】
接着部材40は、第1主面22に設けられる。接着部材40は、第1方向XAに沿って設けられる。好ましくは、接着部材40は第1主面22の一方の端部から第1方向XAに沿って他方の端部まで形成される。
【0023】
図2に示されるように、止水材10はドア3に接着される。ドア3は、外面3A、内面3B、側面3C、および、底面3Dを備える。外面3Aは、建築物1の外部空間と対向する。内面3Bは、建築物1の内部空間と対向する。側面3Cは、外面3Aおよび内面3Bと連続する。側面3Cは、開口部2の一部分と対向する。底面3Dは、外面3Aおよび内面3Bと連続する。底面3Dは、開口部2の一部分と対向する。
【0024】
止水材10は、第1方向XAにおいて2か所で折り曲げられる。折り曲げられた止水材10の中間部分の第1部分21Aは、ドア3の底面3Dに配置される。折り曲げられた止水材10の右側部分の第1部分21Aは、ドア3の左側の側面3Cに配置される。折り曲げられた止水材10の左側部分の第1部分21Aは、ドア3の右側の側面3Cに配置される。
【0025】
止水材10は、ドア3の内面3Bに接着部材40によって接着される。
具体的には、折り曲げられた止水材10の中間部分の第2部分21Bは、ドア3の内面3Bに接着される。折り曲げられた止水材10の右側部分の第2部分21Bは、ドア3の内面3Bに接着される。折り曲げられた止水材10の左側部分の第2部分21Bは、ドア3の内面3Bに接着される。このように、止水材10が折り曲げられた状態で、止水材10の3個の第2部分21Bがドア3の内面3Bに接着することによって、3個の第1部分21Aそれぞれは、接着材を使わずに、上記の所定の位置に配置される。止水材10の中間部分の第1部分21Aに設けられる水膨張部材30は、開口部2と底面3Dとの間の隙間Gに配置される。止水材10の右側部分の第1部分21Aに設けられる水膨張部材30は、開口部2とドア3の側面3Cとの間の隙間Gに配置される。止水材10の左側部分の第1部分21Aに設けられる水膨張部材30は、開口部2とドア3の側面3Cとの間の隙間Gに配置される。
【0026】
図3図5を参照して、第1実施形態の止水材10の使用方法について説明する。
ユーザは、止水材10の第1部分21Aを開口部2とドア3との間の隙間Gに配置する。ユーザは、ドアノブ5を操作して、ドア3を開閉できる。具体的には、ユーザは、図3に示されるドア3が開いた状態である開放状態と、図4に示されるドア3が閉じた状態である閉鎖状態との一方から他方へと切り替え可能である。
【0027】
ドア3の開放状態は、たとえばユーザが開口部2を通過可能な状態である。ドア3の閉鎖状態は、たとえばユーザが開口部2を通過不可能な状態である。ドア3は、ヒンジ4を中心に回転できる。図5に示されるように、止水材10の使用時において、止水材10には、ハサミによって切れ目50が入れられる。切れ目50は、少なくとも基材20の本体21の一部分が分離されるように形成される。ユーザは、ドア3の寸法に応じて、適切な止水材10の長さを選択する。ユーザは、ドア3の側面3Cに設ける止水材10Aおよび底面3Dに設ける止水材10Bの長さを選択する。ユーザは、右側の止水材10Aの第2部分21Bに設けられる接着部材40を内面3Bに接着する。ユーザは、右側の止水材10Aの第1部分21Aの水膨張部材30を、ドア3の右側の側面3Cに配置する。ユーザは、左側の止水材10Aの第2部分21Bに設けられる接着部材40を内面3Bに接着する。ユーザは、左側の止水材10Aの第1部分21Aの水膨張部材30を、ドア3の左側の側面3Cに配置する。ユーザは、止水材10Bの第2部分21Bに設けられる接着部材40を内面3Bに接着する。ユーザは、止水材10Bの第1部分21Aの水膨張部材30を、ドア3の底面3Dに配置する。
【0028】
本実施形態の止水材10の作用について説明する。
ドア3が閉鎖状態である場合、開口部2とドア3との間の隙間Gに、水膨張部材30を備える止水材10が配置される。たとえば多量の雨により、建築物1の外部空間から開口部2およびドア3の間の隙間Gを介して水が侵入すると、水膨張部材30が膨張して、隙間Gが小さくなる。このため、外部空間から隙間Gを介して建築物1の内部空間に水が侵入することを抑制できる。多量の雨が降る前または多量の雨が降ったあとの外部空間から隙間Gを介して建築物1の内部空間に水が侵入する恐れが低下すると、ユーザはドア3を閉鎖状態から開放状態に変更して、開口部2から出入りできる。
【0029】
第1実施形態の止水材10によれば、以下の効果が得られる。
(1)止水材10は、隙間Gに配置される基材20と、水膨張部材30と、を備える。水膨張部材30は、基材20に設けられ、水を吸収して膨張する。
【0030】
本実施形態の止水材10の構成によれば、水膨張部材30を備えるため建築物1の開口部2とドア3との隙間Gからの水が侵入する場合、水膨張部材30が膨張して隙間Gが小さくなる。この作用によって、隙間Gからの水の侵入が抑制される。ドア3を開閉できる。
【0031】
(2)基材20は、隙間Gに設けられた状態でドア3と対向するように構成される第1主面22と、第1主面22の反対側に設けられるように構成される第2主面23と、を備える。第1主面22と第2主面23の少なくとも一方に水膨張部材30が設けられる。
【0032】
本実施形態の止水材10の構成によれば、基材20の少なくとも一方の主面に水膨張部材30が設けられるため、建築物1の開口部2とドア3との間の隙間Gからの水が侵入した場合、水膨張部材30が膨張することによって、隙間Gが小さくなる。このため、隙間Gからの水の侵入が抑制される。
【0033】
(3)止水材10は、ドア3の内面3Bに着脱可能に構成された接着部材40をさらに備え、接着部材40は、基材20に設けられる。
本実施形態の止水材10の構成によれば、接着部材40により止水材10を好適にドア3に固定できる。
【0034】
(4)水膨張部材30は、第1水膨張部材31と、第2水膨張部材32と、を含む。接着部材40がドア3の内面3Bに取り付けられ、かつ、ドア3が閉められた状態において、第1水膨張部材31は、第2水膨張部材32よりも建築物1の外部空間側に配置される。
【0035】
本実施形態の止水材10の構成によれば、第1水膨張部材31が第2水膨張部材32よりも先に外部空間から隙間Gに侵入する水に晒される。水の侵入時において、水に晒され易い第1水膨張部材31と、第2水膨張部材32とにおいて、水の吸収量が変わる。このため、第2水膨張部材32を、第1水膨張部材31よりも気密性または断熱性に優れた材料で構成することができる。このような場合、建築物1内の快適性が向上する。
【0036】
(5)水膨張部材30は、水膨張性ウレタンフォーム、水膨張性不織布、および、水膨張性ゴムの少なくとも1つで構成される。
本実施形態の止水材10の構成によれば、水膨張部材30を好適な材料で構成することができ、隙間Gからの水の侵入が抑制される。本実施形態では、第1水膨張部材31を水膨張性不織布で構成し、第2水膨張部材32を水膨張性ウレタンフォームで構成される。これにより、水の侵入を抑制する効果に加えて、建築物1における気密性および断熱性が向上する効果が得られる。
【0037】
(6)止水材10の使用時に、基材20に切込24が入れられてもよい。基材20は、予め切込24を備えてもよい。
この場合、ドア3の内面3Bと側面3Cとの境と、基材20の1つの切込24とを一致させる。または、ドア3の内面3Bと底面3Dとの境と、基材20の1つの切込24とを一致させる。これによって、ドア3に対して止水材10の位置決めが容易にできる。
【0038】
(7)止水材10は、側面3Cに設ける止水材10Aおよび底面3Dに設ける止水材10Bを備える。
本実施形態の止水材10の構成によれば、止水材10Aおよび止水材10Bを別々にドア3に接着することができる。
【0039】
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態の止水材10について説明する。第2実施形態の止水材10は、基材20および水膨張部材30の構成が第1実施形態の止水材10と相違する。第1実施形態の止水材10と共通する構成については、説明の一部または全部を省略する場合がある。
【0040】
図6に示されるように、水膨張部材30は、複数の第1水膨張部材31および複数の第2水膨張部材32を含む。第1水膨張部材31および第2水膨張部材32は、第1主面22および第2主面23の一方にのみ設けられる。図示される例では、2つの第1水膨張部材31および2つの第2水膨張部材32は、第2主面23に設けられる。各第1水膨張部材31の間には、スペースが形成される。各第2水膨張部材32の間には、スペースが形成される。基材20は、内面3Bへの接着および隙間Gへの配置が容易となるようにL字状に形成される。
【0041】
第2実施形態の止水材10によれば、以下の効果がさらに得られる。
(8)止水材10は、複数の第1水膨張部材31および複数の第2水膨張部材32を備える。複数の第1水膨張部材31および複数の第2水膨張部材32は、第1主面22および第2主面23の一方に配置される。
【0042】
本実施形態の止水材10の構成によれば、止水材10の水膨張部材30が隙間Gに設けられた場合に、隙間Gから水が侵入する恐れを低下させることができる。また、第1主面22および第2主面23の一方にのみ水膨張部材30を設けることで、隙間Gが小さい場合でも止水材10を配置できる。
【0043】
<第3実施形態>
図7を参照して、第3実施形態の止水材10について説明する。第3実施形態の止水材10は、水膨張部材30の構成が第1実施形態および第2実施形態の止水材10と相違する。第1実施形態および第2実施形態の止水材10と共通する構成については、説明の一部または全部を省略する場合がある。
【0044】
図7に示されるように、第3実施形態の止水材10は、水膨張部材30が本体21の少なくとも1つの端部を覆うように構成される。一例では、少なくとも1つの端部は、止水材10が隙間Gに設けられた状態で外部空間と対向する端部である。水膨張部材30は、第1水膨張部材31および第2水膨張部材32の一方で構成される。
【0045】
第3実施形態の止水材10によれば、以下の効果がさらに得られる。
(9)本体21の少なくとも1つの端部が、水膨張部材30に覆われる。
本実施形態の止水材10の構成によれば、水膨張部材30が隙間Gに侵入する水と接触しやすい。このため、水膨張部材30がより容易に膨張できる。隙間Gが小さくなるため、隙間Gからの水の侵入がより抑制される。
【0046】
<変形例>
各実施形態に関する説明は本発明に従う止水材10が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う止水材10は各実施形態以外にたとえば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0047】
図8に示される変形例の止水材10は、底面3Dおよび複数の側面3Cのうちの少なくとも1つに取り付け可能に構成される。具体的には、ドア3の寸法に応じて予め止水材10Aおよび止水材10Bの第1方向XAの長さの適切な部分に切れ目50が形成される。このため、取付対象であるドア3の左右方向の一方の側面3Cおよび底面3Dに対して好適に止水材10を取り付けることができる。止水材10Aと止水材10Bとは、それぞれ独立してドア3に取り付けられていてもよい。ドア3の左右方向の他方の側面3Cには、独立した止水材10Bを別途取り付けてもよい。
【0048】
図9に示される変形例の止水材10は、ドア3の外面3Aに固定するための固定部材60をさらに備える。固定部材60は、本体部61および固定部62を備える。本体部61は、繊維または樹脂で構成される。固定部62は、本体部61に設けられる。固定部62は、たとえば着脱が可能な両面テープで構成される。変形例の止水材10は、接着部材40によりドア3の内面3Bに接着されることに加え、固定部材60によりドア3の外面3Aに固定される。このため、止水材10をより確実にドア3に対して固定することができる。
【0049】
・接着部材40は、面ファスナで構成されていてもよい。面ファスナの形状は、ループ状またはフック状の一方である。この場合、ドア3の内面3Bには、接着部材40を取り付けるためのループ状またはフック状の他方の面ファスナが設けられる。
【0050】
・開口部2の下方枠2Aおよび上方枠の少なくとも一方は、省略されていてもよい。一例では、開口部2の下方枠2Aが省略される。止水材10Bの水膨張部材30は、ドア3の底面3Dと建築物1の床面との間に配置される。
【0051】
・本実施形態では、図1において、止水材10において、本体21に設けられる切込24は、第2主面23から、ドア3に対向する面である第1主面22に向けて形成される。これに対して、本体21の切込24は、第1主面22から、第2主面23に向けて形成されてもよい。
【0052】
・止水材10において、切込24の形成方法は限定されない。一例では、切込24は、本体21にカッターナイフを入れることによって、形成される。切込24は、プレスを使用して、本体21を凹ませるように局所的に圧力を加えることによって、形成されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…建築物
2…開口部
3…ドア
10…止水材
20…基材
22…第1主面
23…第2主面
30…水膨張部材
40…接着部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9