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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241111BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H01B7/00 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021035839
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135786
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩間 卓司
(72)【発明者】
【氏名】田上 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 広明
(72)【発明者】
【氏名】大橋 政貴
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-035915(JP,A)
【文献】特開2018-133837(JP,A)
【文献】特開2020-161375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0041042(US,A1)
【文献】特開2017-221038(JP,A)
【文献】特開2019-129007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可撓電線と、前記第1可撓電線に電気的に接続された剛性電線とを有する第1電線部材と、
第2可撓電線である第2電線部材と、
前記第1電線部材と前記第2電線部材とが貫通する筒状部材と、
前記筒状部材の長さ方向の端部に取り付けられるとともに、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを内部に保持する筒状のホルダと、を有し、
前記ホルダは、前記ホルダの内周面に設けられるとともに、前記第2電線部材を収容する第1収容凹部を有しており、
前記第1電線部材は、前記第1可撓電線と前記剛性電線とが前記第1電線部材の長さ方向と交差する方向に重ね合わされて接合される接続部と、前記接続部を被覆する被覆部材と、を有し、
前記ホルダは、前記第1電線部材の長さ方向において、前記接続部の両側における前記第1電線部材を保持しており、
前記ホルダは、
前記第1電線部材の長さ方向のうち前記第1可撓電線を保持するとともに、前記第2電線部材を保持する第1保持体と、
前記第1電線部材の長さ方向のうち前記剛性電線を保持するとともに、前記第2電線部材を保持する第2保持体と、
前記第1保持体と前記第2保持体とを連結する連結部と、を有しており、
前記第1可撓電線は、複数の金属素線からなる芯線と、前記芯線の外周を被覆する第1絶縁被覆とを有し、
前記剛性電線は、単一の導体からなる単芯線と、前記単芯線の外周を被覆する第2絶縁被覆とを有し、
前記接続部は、前記第1絶縁被覆の端部から露出された前記芯線と、前記第2絶縁被覆の端部から露出された前記単芯線とが接合された構造を有し、
前記被覆部材は、前記第1絶縁被覆の外周を被覆するとともに、前記第2絶縁被覆の外周を被覆しており、
前記第2保持体は、前記第1電線部材の長さ方向のうち前記第2絶縁被覆の外周を被覆する前記被覆部材を保持しているワイヤハーネス。
【請求項2】
前記第2電線部材を複数有し、
前記ホルダは、複数の前記第2電線部材を個別に収容する複数の前記第1収容凹部を有する請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第1電線部材を複数有し、
前記ホルダは、複数の前記第1電線部材のうち少なくとも1つの第1電線部材を挟んで保持する保持部を有する請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記ホルダは、前記ホルダの内周面に設けられるとともに、複数の前記第1電線部材のうち少なくとも1つの第1電線部材を収容する第2収容凹部を有する請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記第1電線部材と前記第2電線部材とを前記ホルダに固定する固定部材を更に有し、
前記ホルダは、前記筒状部材に係合する第1係合部と、前記筒状部材の外部に配置される固定部と、を有し、
前記筒状部材は、前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、
前記固定部材は、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを前記固定部に固定している請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記ホルダは第1ホルダであり、
前記筒状部材の長さ方向の一端部に取り付けられた前記第1ホルダと、前記筒状部材の長さ方向の他端部に取り付けられた筒状の第2ホルダとを有し、
前記第2ホルダは、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを内部に保持しており、
前記第2ホルダは、前記第2ホルダの内周面に設けられるとともに、前記第2電線部材を収容する第3収容凹部を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に用いられるワイヤハーネスは、電線と、電線が貫通する金属製のシールドパイプとを備えている。電線の端部は、シールドパイプの端部から引き出された後に所望の経路に配索されて電気機器に接続される。この種のワイヤハーネスとしては、シールドパイプの軸方向の端部に樹脂製のホルダが取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。樹脂製のホルダをシールドパイプの内側に装着したことにより、シールドパイプの内部を貫通する電線がシールドパイプの端縁に接触してその電線の絶縁被覆が損傷することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-35915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のワイヤハーネスでは、ホルダの内部において電線が回転や移動し、ホルダの内部における電線の配置位置が目標とする目標位置からずれる場合がある。すると、ワイヤハーネスの配索性が低下するという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、配索性の低下を抑制できるワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、第1可撓電線と、前記第1可撓電線に電気的に接続された剛性電線とを有する第1電線部材と、第2可撓電線である第2電線部材と、前記第1電線部材と前記第2電線部材とが貫通する筒状部材と、前記筒状部材の長さ方向の端部に取り付けられるとともに、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを内部に保持する筒状のホルダと、を有し、前記ホルダは、前記ホルダの内周面に設けられるとともに、前記第2電線部材を収容する第1収容凹部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、配索性の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、各実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
図3図3は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
図4図4は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図5図5は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す概略横断面図(図2及び図3における5-5線断面図)である。
図6図6は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図7図7は、第2実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
図8図8は、第2実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図9図9は、第2実施形態のワイヤハーネスを示す概略横断面図(図7における9-9線断面図)である。
図10図10は、第2実施形態のワイヤハーネスを示す概略横断面図(図7における10-10線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示のワイヤハーネスは、第1可撓電線と、前記第1可撓電線に電気的に接続された剛性電線とを有する第1電線部材と、第2可撓電線である第2電線部材と、前記第1電線部材と前記第2電線部材とが貫通する筒状部材と、前記筒状部材の長さ方向の端部に取り付けられるとともに、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを内部に保持する筒状のホルダと、を有し、前記ホルダは、前記ホルダの内周面に設けられるとともに、前記第2電線部材を収容する第1収容凹部を有する。
【0010】
この構成によれば、ホルダの内周面に設けられる第1収容凹部に第2電線部材を収容することにより、ホルダの内部における第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。これにより、第1電線部材及び第2電線部材のうち少なくとも第2電線部材の配置位置が設定されるため、ホルダの内部における第1電線部材の配置位置の自由度が制限される。このため、ホルダの内部における第1電線部材の配置位置を好適に設定でき、第2電線部材に対する第1電線部材の相対位置についても好適に設定できる。この結果、ホルダの内部における第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。このため、ホルダの内部における第1電線部材及び第2電線部材の配置位置が目標位置からずれることを好適に抑制できる。したがって、ワイヤハーネスの配索性が低下することを好適に抑制できる。
【0011】
ここで、本明細書における「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の外縁形状には、円形、楕円形、及び、尖った角又は丸い角を有する多角形が含まれる。
【0012】
[2]前記第2電線部材を複数有し、前記ホルダは、複数の前記第2電線部材を個別に収容する複数の前記第1収容凹部を有することが好ましい。この構成によれば、複数の第2電線部材を個別に複数の第1収容凹部に収容することにより、ホルダの内部における複数の第2電線部材の配置位置を個別に設定できる。このため、1つの第1収容凹部に対して複数の第2電線部材を収容する場合に比べて、複数の第2電線部材の各々の配置位置を好適に設定できる。
【0013】
[3]前記第1電線部材を複数有し、前記ホルダは、複数の前記第1電線部材のうち少なくとも1つの第1電線部材を挟んで保持する保持部を有することが好ましい。この構成によれば、少なくとも1つの第1電線部材を保持部により挟んで保持することによって、ホルダの内部における少なくとも1つの第1電線部材の配置位置を好適に設定できる。これにより、複数の第1電線部材のうち少なくとも1つの第1電線部材の配置位置が設定されるため、残りの第1電線部材のホルダ内部における配置位置の自由度が制限される。このため、残りの第1電線部材のホルダ内部における配置位置についても好適に設定できる。この結果、ホルダの内部における複数の第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。
【0014】
[4]前記ホルダは、前記ホルダの内周面に設けられるとともに、複数の前記第1電線部材のうち少なくとも1つの第1電線部材を収容する第2収容凹部を有することが好ましい。この構成によれば、ホルダの内周面に設けられる第2収容凹部に第1電線部材を収容することにより、ホルダの内部における第1電線部材の配置位置を好適に設定できる。このため、保持部及び第2収容凹部により、ホルダの内部における複数の第1電線部材の配置位置を好適に設定できる。
【0015】
[5]前記第1電線部材は、前記第1可撓電線と前記剛性電線とが接合される接続部を有し、前記ホルダは、前記第1電線部材の長さ方向において、前記接続部の両側における前記第1電線部材を保持していることが好ましい。この構成によれば、ホルダによって接続部の両側で第1電線部材が保持されるため、接続部及び第1電線部材を安定して保持できる。これにより、ホルダの内部において接続部が移動することを好適に抑制できる。このため、第1可撓電線と剛性電線との接合状態を好適に維持できる。
【0016】
[6]前記ホルダは、前記第1電線部材の長さ方向のうち前記第1可撓電線を保持するとともに、前記第2電線部材を保持する第1保持体と、前記第1電線部材の長さ方向のうち前記剛性電線を保持するとともに、前記第2電線部材を保持する第2保持体と、前記第1保持体と前記第2保持体とを連結する連結部と、を有することが好ましい。この構成によれば、第1保持体により第1可撓電線が保持され、第2保持体により剛性電線が保持される。これにより、ホルダによって接続部の両側で第1電線部材を保持できる。また、連結部により第1保持体と第2保持体とを連結できるため、第1保持体と第2保持体とを単一部品として構成することができる。
【0017】
[7]前記第1可撓電線は、複数の金属素線からなる芯線と、前記芯線の外周を被覆する第1絶縁被覆とを有し、前記剛性電線は、単一の導体からなる単芯線と、前記単芯線の外周を被覆する第2絶縁被覆とを有し、前記接続部は、前記第1絶縁被覆の端部から露出された前記芯線と、前記第2絶縁被覆の端部から露出された前記単芯線とが接合された構造を有し、前記第1電線部材は、前記接続部を被覆する被覆部材を有し、前記被覆部材は、前記第1絶縁被覆の外周を被覆するとともに、前記第2絶縁被覆の外周を被覆しており、前記第2保持体は、前記第1電線部材の長さ方向のうち前記第2絶縁被覆の外周を被覆する前記被覆部材を保持していることが好ましい。この構成によれば、剛性電線の第2絶縁被覆の外周を被覆する被覆部材が第2保持体により保持される。このため、第2保持体が剛性電線を保持する際に、第2保持体が第2絶縁被覆に直接接触することが抑制される。これにより、第2保持体による保持によって第2絶縁被覆が摩耗することを好適に抑制できる。例えば、第2保持体により剛性電線が保持されている状態において揺動等が発生した場合であっても、第2保持体の保持部分において第2絶縁被覆が摩耗することを好適に抑制できる。この結果、第2絶縁被覆の耐久性を向上させることができ、第1電線部材の耐久性を向上させることができる。
【0018】
[8]前記第1電線部材と前記第2電線部材とを前記ホルダに固定する固定部材を更に有し、前記ホルダは、前記筒状部材に係合する第1係合部と、前記筒状部材の外部に配置される固定部と、を有し、前記筒状部材は、前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、前記固定部材は、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを前記固定部に固定していることが好ましい。この構成によれば、ホルダの第1係合部と筒状部材の第2係合部とが係合することにより、筒状部材に対するホルダの相対位置を好適に設定できる。これにより、筒状部材の内部における第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。また、固定部材により第1電線部材と第2電線部材とを固定部に固定することによって、ホルダの内部における第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に維持することができる。
【0019】
[9]前記ホルダは第1ホルダであり、前記筒状部材の長さ方向の一端部に取り付けられた前記第1ホルダと、前記筒状部材の長さ方向の他端部に取り付けられた筒状の第2ホルダとを有し、前記第2ホルダは、前記第1電線部材と前記第2電線部材とを内部に保持しており、前記第2ホルダは、前記第2ホルダの内周面に設けられるとともに、前記第2電線部材を収容する第3収容凹部を有することが好ましい。この構成によれば、筒状部材の長さ方向の両端部に第1ホルダ及び第2ホルダがそれぞれ取り付けられる。第1ホルダでは、第1ホルダの内周面に設けられる第1収容凹部に第2電線部材を収容することにより、第1ホルダの内部における第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。ひいては、第1ホルダの内部における第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。同様に、第2ホルダでは、第2ホルダの内周面に設けられる第3収容凹部に第2電線部材を収容することにより、第2ホルダの内部における第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。ひいては、第2ホルダの内部における第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。このため、筒状部材の長さ方向の両端部において、第1電線部材及び第2電線部材の配置位置を好適に設定できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(第1実施形態)
以下、図1図6にしたがって、ワイヤハーネスの第1実施形態について説明する。
(ワイヤハーネス10の構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器M1,M2,M3,M4を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vに搭載される。ワイヤハーネス10は、電気機器M1と電気機器M2とを電気的に接続する1本又は複数本(本実施形態では、2本)の電線部材20と、電気機器M3と電気機器M4とを電気的に接続する1本又は複数本(本実施形態では、2本)の電線部材50とを有している。ワイヤハーネス10は、例えば、電線部材20及び電線部材50が貫通する筒状部材60と、筒状部材60から引き出された電線部材20を包囲する筒状の外装部材65と、筒状部材60から引き出された電線部材50を包囲する筒状の外装部材66とを有している。ワイヤハーネス10は、例えば、筒状部材60の長さ方向(軸方向)の一方の端部61に設けられたホルダ70と、筒状部材60の長さ方向の他方の端部62に設けられたホルダ100とを有している。筒状部材60及び外装部材65,66は、内部に収容した電線部材20,50を飛翔物や水滴から保護する。
【0022】
ワイヤハーネス10は、例えば、二次元状又は三次元状に屈曲された経路を有している。ワイヤハーネス10は、例えば、複数の経路に分岐された分岐経路を有している。例えば、ワイヤハーネス10では、筒状部材60から引き出された電線部材20と電線部材50とが異なる経路に分岐されている。
【0023】
(電線部材20の構成)
各電線部材20は、例えば、その長さ方向の一部が車両Vの床下を通る態様で電気機器M1から電気機器M2にかけて配索されている。各電線部材20の一端部は電気機器M1に接続され、各電線部材20の他端部は電気機器M2に接続されている。電気機器M1,M2の一例としては、電気機器M1が車両Vの前方寄りに設けられたインバータであり、電気機器M2が電気機器M1よりも車両Vの後方に設けられた高圧バッテリである。インバータは、例えば、車両走行の動力源となる車輪駆動用のモータと接続される。インバータは、高圧バッテリの直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリは、例えば、百ボルト以上の電圧を供給可能なバッテリである。
【0024】
図2に示すように、各電線部材20は、可撓電線30と、可撓電線30と電気的に接続された剛性電線40とを有している。各電線部材20は、種類の異なる可撓電線30と剛性電線40とを電線部材20の長さ方向に電気的に接続してなるものである。各電線部材20は、可撓電線30と剛性電線40とが接合された接続部22と、接続部22の外周を被覆する被覆部材23とを有している。本実施形態の各電線部材20は、剛性電線40の長さ方向の両端部の各々に可撓電線30が接続されている。例えば、各電線部材20の長さ方向の中間部が剛性電線40により構成され、各電線部材20の長さ方向の両端部が可撓電線30により構成されている。可撓電線30及び剛性電線40は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。可撓電線30及び剛性電線40は、例えば、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有さないノンシールド電線であってもよい。本実施形態の可撓電線30及び剛性電線40は、ノンシールド電線である。
【0025】
(可撓電線30の構成)
可撓電線30は、例えば、剛性電線40よりも可撓性に優れている。可撓電線30は、例えば、剛性電線40よりも高い屈曲性を有している。
【0026】
可撓電線30は、複数の金属素線からなる芯線31と、芯線31の外周を被覆する絶縁被覆32とを有している。芯線31としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や、複数の金属素線が筒状に編み込まれた編組部材を用いることができる。本実施形態の芯線31は撚線である。芯線31の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0027】
芯線31の長さ方向と直交する平面によって芯線31を切断した断面形状、つまり芯線31の横断面形状は、任意の形状にすることができる。芯線31の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状や扁平形状に形成することができる。本実施形態の芯線31の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0028】
絶縁被覆32は、例えば、芯線31の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆32は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆32の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。絶縁被覆32は、例えば、芯線31に対する押出成形(押出被覆)によって形成することができる。
【0029】
(剛性電線40の構成)
剛性電線40は、例えば、可撓電線30よりも曲げ剛性が高く形成されている。剛性電線40は、例えば、電線部材20の配索経路に沿う形状を維持可能な剛性を有している。剛性電線40は、例えば、車両V(図1参照)に搭載された状態において、車両Vの振動等によって直線状又は曲げられた状態が解除されない程度の剛性を有している。例えば、剛性電線40が曲がった経路に配索される場合には、剛性電線40に対して曲げ加工が施され、その曲がった形状が維持される。
【0030】
剛性電線40は、例えば、単一の導体からなる単芯線41と、単芯線41の外周を被覆する絶縁被覆42とを有している。単芯線41としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。本実施形態の単芯線41は、柱状導体である。単芯線41の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。単芯線41の材料としては、例えば、芯線31の材料と同種の材料であってもよいし、芯線31の材料と異なる材料であってもよい。単芯線41は、例えば、押出成形によって形成されている。単芯線41の横断面形状は、任意の形状にすることができる。本実施形態の単芯線41の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0031】
絶縁被覆42は、例えば、単芯線41の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆42は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆42の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。絶縁被覆42は、例えば、単芯線41に対する押出成形によって形成することができる。また、絶縁被覆42としては、例えば、熱収縮チューブやゴム製のチューブを用いることもできる。
【0032】
(接続部22の構成)
接続部22では、芯線31と単芯線41とが接合されている。詳述すると、可撓電線30の長さ方向の端部では、可撓電線30の端末から一定の長さの分の絶縁被覆32が剥がされ、芯線31の端部が露出されている。また、剛性電線40の長さ方向の端部では、剛性電線40の端末から一定の長さの分の絶縁被覆42が剥がされ、単芯線41の端部が露出されている。そして、接続部22では、絶縁被覆42から露出された単芯線41の端部に対して、絶縁被覆32から露出された芯線31の端部が接合されている。例えば、接続部22では、芯線31と単芯線41とが径方向、つまり芯線31及び単芯線41の長さ方向と交差する方向に重ね合わされて接合されている。なお、芯線31と単芯線41との接続方法は特に限定されない。例えば、芯線31と単芯線41との接続方法としては、超音波溶着やレーザ溶着などを用いることができる。
【0033】
複数の電線部材20では、例えば、複数の接続部22が電線部材20の長さ方向において互いにずれた位置に設けられている。すなわち、複数の接続部22は、可撓電線30及び剛性電線40の径方向において互いに重ならない位置に設けられている。
【0034】
(被覆部材23の構成)
被覆部材23は、接続部22の外周を覆うように形成されている。被覆部材23は、例えば、長尺の筒状に形成されている。被覆部材23は、例えば、絶縁被覆32から露出された芯線31と絶縁被覆42から露出された単芯線41とを覆うように形成されている。被覆部材23は、例えば、絶縁被覆32の端部と絶縁被覆42の端部との間に架け渡されるように形成されている。例えば、被覆部材23の一端部は絶縁被覆32の端部の外周面を被覆しており、被覆部材23の他端部は絶縁被覆42の端部の外周面を被覆している。被覆部材23は、可撓電線30の外周及び剛性電線40の外周を、周方向全周にわたって包囲している。被覆部材23は、例えば、接続部22と、絶縁被覆32,42から露出した芯線31及び単芯線41とにおける電気的絶縁性を維持する機能を有している。また、被覆部材23は、例えば、接続部22と、絶縁被覆32,42から露出した芯線31及び単芯線41とを防水する機能を有している。
【0035】
被覆部材23としては、例えば、収縮チューブ、ゴムチューブ、樹脂モールド、ホットメルト接着剤やテープ部材を用いることができる。本実施形態の被覆部材23は、熱収縮チューブである。被覆部材23の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂を用いることができる。
【0036】
ここで、剛性電線40は、例えば、筒状部材60の内部に設けられている。剛性電線40は、例えば、剛性電線40の長さ方向の全長にわたって筒状部材60の内部に設けられている。接続部22は、例えば、筒状部材60の内部に設けられている。可撓電線30は、例えば、可撓電線30の長さ方向の端部が筒状部材60の内部に設けられている。可撓電線30は、筒状部材60の端部61から筒状部材60の外部に引き出されるように設けられている。なお、図示は省略するが、筒状部材60の端部62(図1参照)においても同様に、剛性電線40の長さ方向の端部に可撓電線30の長さ方向の端部が接続された接続部22が筒状部材60の内部に設けられている。また、可撓電線30が筒状部材60の端部62から筒状部材60の外部に引き出されている。
【0037】
(電線部材50の構成)
図1に示すように、電線部材50は、例えば、その長さ方向の一部が車両Vの床下を通る態様で電気機器M3から電気機器M4にかけて配索されている。各電線部材50の一端部は電気機器M3に接続され、各電線部材50の他端部は電気機器M4に接続されている。電気機器M3,M4の一例としては、電気機器M3が車両Vの前方寄りに設けられたリレーボックスであり、電気機器M4が車両Vの後方寄りに設けられた低圧バッテリである。リレーボックスは、低圧バッテリから供給された電圧を、車両Vに搭載された各種機器に分配する。低圧バッテリは、高圧バッテリよりも低い(例えば、12ボルト)電圧を供給可能なバッテリである。
【0038】
図3に示すように、各電線部材50は、可撓電線50Aである。すなわち、各電線部材50は、単一の可撓電線50Aのみにより構成されている。可撓電線50Aは、電線部材50の長さ方向の全長にわたって延びている。可撓電線50Aは、例えば、低圧電線である。可撓電線50Aは、例えば、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールドを有さないノンシールド電線であってもよい。本実施形態の可撓電線50Aは、ノンシールド電線である。
【0039】
(可撓電線50Aの構成)
可撓電線50Aは、例えば、剛性電線40よりも可撓性に優れている。可撓電線50Aは、例えば、剛性電線40よりも高い屈曲性を有している。
【0040】
可撓電線50Aは、複数の金属素線からなる芯線51と、芯線51の外周を被覆する絶縁被覆52とを有している。芯線51としては、例えば、撚線や編組部材を用いることができる。本実施形態の芯線51は撚線である。芯線51の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。芯線51の横断面形状は、任意の形状にすることができる。本実施形態の芯線51の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0041】
絶縁被覆52は、例えば、芯線51の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆52は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆52の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。絶縁被覆52は、例えば、芯線51に対する押出成形によって形成することができる。
【0042】
図1に示すように、可撓電線50Aは、例えば、可撓電線50Aの長さ方向の中間部が筒状部材60の内部に設けられている。例えば、可撓電線50Aの長さ方向の中間部は、電線部材20と一緒に筒状部材60の内部に収容されている。可撓電線50Aの長さ方向の両端部は、筒状部材60の長さ方向の端部61,62から筒状部材60の外部に引き出されるように設けられている。
【0043】
(筒状部材60の構成)
筒状部材60は、長尺の筒状に形成されている。本実施形態の筒状部材60は、円筒状に形成されている。筒状部材60は、例えば、ワイヤハーネス10の長さ方向の中間部に設けられている。筒状部材60は、例えば、電線部材20,50の長さ方向の中間部を内部に収容している。筒状部材60は、例えば、電線部材20,50の外周を周方向全周にわたって包囲している。筒状部材60としては、例えば、金属製のパイプ、樹脂製のパイプ、樹脂製のコルゲートチューブやゴム製の防水カバー又はこれらを組み合わせて用いることができる。金属製のパイプの材料としては、例えば、アルミニウム系や銅系などの金属材料を用いることができる。樹脂製のパイプやコルゲートチューブの材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有さない樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。本実施形態の筒状部材60は、金属製のパイプである。
【0044】
(外装部材65,66の構成)
外装部材65,66は、長尺の筒状をなしている。外装部材65,66は、例えば、ワイヤハーネス10の長さ方向の両端部に設けられている。外装部材65は、例えば、電線部材20の長さ方向の端部を内部に収容している。外装部材65は、例えば、筒状部材60から引き出された電線部材20,50のうち電線部材20のみを内部に収容している。外装部材65は、例えば、電線部材20の外周を周方向全周にわたって包囲している。外装部材65は、例えば、電線部材20の長さ方向のうち可撓電線30の外周を周方向全周にわたって包囲している。外装部材66は、例えば、電線部材50の長さ方向の端部を内部に収容している。外装部材66は、例えば、筒状部材60から引き出された電線部材20,50のうち電線部材50のみを内部に収容している。外装部材66は、例えば、電線部材50の外周を周方向全周にわたって包囲している。外装部材65,66としては、例えば、コルゲートチューブや防水カバー等を用いることができる。
【0045】
ワイヤハーネス10では、電線部材20,50が一緒に筒状部材60に収容され、筒状部材60の外部に引き出された電線部材20,50が異なる経路に分岐される。そして、異なる経路に分岐された電線部材20及び電線部材50がそれぞれ外装部材65及び外装部材66の内部に収容される。
【0046】
(ホルダ70,100の構成)
ホルダ70は、例えば、筒状部材60の長さ方向の端部61,62のうち電気機器M1,M3に近い側の端部61に取り付けられている。ホルダ100は、例えば、筒状部材60の長さ方向の端部61,62のうち電気機器M2,M4に近い側の端部62に取り付けられている。ホルダ70,100は、筒状部材60の内部に挿入された状態で筒状部材60の端部61,62にそれぞれ取り付けられている。ホルダ70,100は、複数の電線部材20と複数の電線部材50とを保持している。すなわち、ホルダ70,100は、筒状部材60を貫通する電線部材20,50を保持している。ホルダ70,100は、例えば、合成樹脂製である。ホルダ70,100の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。ホルダ70,100は、複数の電線部材20及び複数の電線部材50の配置位置(配列)を設定し、その配置位置を維持する機能を有している。ホルダ70,100は、筒状部材60に対する電線部材20,50の配置位置を設定し、その配置位置を維持する機能を有している。また、ホルダ70,100は、筒状部材60の内側に配置されることにより、筒状部材60の端縁のエッジから電線部材20,50を保護する機能を有している。
【0047】
(ホルダ70の構成)
図2に示すように、ホルダ70は、例えば、電線部材20の長さ方向のうち可撓電線30を保持している。ホルダ70は、例えば、電線部材20の長さ方向において、接続部22と離れた位置に設けられている。
【0048】
図4に示すように、ホルダ70は、筒状の本体部80と、本体部80の外周面に形成された突起部90と、本体部80の軸方向の端面から突出して形成された固定部91とを有している。ホルダ70は、例えば、本体部80と突起部90と固定部91とが一体に形成された単一部品である。
【0049】
(本体部80の構成)
本体部80は、筒状部材60の内側に嵌合されている。本体部80は、例えば、挿入方向D1に沿って筒状部材60の内側に挿入される。例えば、本体部80は、電気機器M1,M3(図1参照)側から筒状部材60に向かって、挿入方向D1に沿って筒状部材60の内側に挿入される。本体部80は、本体部80の軸方向における端部81,82を有している。端部81は、挿入方向D1の手前側(電気機器M1,M3側)に設けられている。端部82は、挿入方向D1の奥側(筒状部材60側)に設けられている。本体部80は、例えば、筒状部材60の内周面に対応した形状の外周面を有する筒状に形成されている。本実施形態の本体部80は、円筒状に形成されている。本体部80の外径は、筒状部材60の内径よりも僅かに小さく形成されている。
【0050】
本体部80は、例えば、横断面形状がC字状に形成されている。例えば、本体部80の周方向の1箇所には、本体部80の軸方向に沿って延びるスリット83が形成されている。スリット83は、本体部80の軸方向の全長にわたって延びている。換言すると、本体部80は、端部84と、端部84と本体部80の周方向において離れて設けられた端部85とを有している。そして、本体部80では、端部84と端部85との間にスリット83が設けられている。
【0051】
本体部80は、電線部材50(図3参照)を収容する収容凹部86を有している。本体部80は、例えば、2本の電線部材50を個別に収容する2つの収容凹部86を有している。各収容凹部86は、本体部80の内周面に設けられている。各収容凹部86は、本体部80の内周面から本体部80の径方向外側に向かって凹むように形成されている。各収容凹部86は、本体部80の軸方向に沿って本体部80の軸方向の全長にわたって延びている。
【0052】
図5に示すように、各収容凹部86は、例えば、各電線部材50の一部を収容可能な大きさに形成されている。各収容凹部86の内面は、例えば、電線部材50の絶縁被覆52の外周面に接触している。各収容凹部86の内面は、例えば、横断面形状が直線状に延びる底面86Aを有している。各底面86Aの横断面形状は、例えば、2つの収容凹部86が並ぶ方向(図中左右方向)と直交する方向(図中上下方向)に沿って直線状に延びている。2つの収容凹部86は、例えば、本体部80の中心軸を挟んで互いに対向して設けられている。2つの収容凹部86は、例えば、底面86A同士が本体部80の中心軸を挟んで互いに対向するように設けられている。
【0053】
ここで、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0054】
本体部80は、例えば、電線部材20を収容する収容凹部87と、電線部材20を挟んで保持する保持部88とを有している。本体部80では、例えば、2本の電線部材20のうち一方の電線部材20が収容凹部87に収容されており、2本の電線部材20のうち他方の電線部材20が保持部88に挟まれて保持されている。
【0055】
収容凹部87は、本体部80の内周面に設けられている。収容凹部87は、本体部80の内周面から本体部80の径方向外側に向かって凹むように形成されている。収容凹部87の内面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。収容凹部87の内面は、電線部材20の可撓電線30の外周面に対応する曲面に形成されている。収容凹部87は、例えば、可撓電線30の一部を収容可能な大きさに形成されている。収容凹部87の内面は、可撓電線30の絶縁被覆32の外周面に接触している。収容凹部87は、例えば、本体部80の中心軸を挟んでスリット83と反対側の位置、つまりスリット83から本体部80の周方向に約π[rad]ずれた位置に設けられている。図4に示すように、収容凹部87は、本体部80の軸方向に沿って本体部80の軸方向の全長にわたって延びている。
【0056】
図5に示すように、保持部88は、例えば、本体部80の周方向における端部84,85とスリット83とによって構成されている。保持部88では、端部84の端面と端部85の端面とが互いに対向して設けられている。端部84の端面と端部85の端面とは、スリット83の内面を構成している。端部84の端面と端部85の端面との間隔、つまりスリット83の幅は、例えば、可撓電線30の直径よりも小さく設定されている。本体部80では、スリット83の幅が広がるように弾性変形可能に形成されている。例えば、可撓電線30がスリット83に挿入されると、保持部88は、スリット83の幅が広がるように弾性変形する。このとき、保持部88は、端部84の端面と端部85の端面とによって可撓電線30を挟むことにより、1本の電線部材20を保持している。端部84,85の端面は、可撓電線30の絶縁被覆32の外周面に接触している。ここで、保持部88(スリット83)と収容凹部87とは、例えば、本体部80の横断面において、2つの収容凹部86が並ぶ方向(図中左右方向)と直交する方向(図中上下方向)に沿って並んで設けられている。
【0057】
図4に示すように、保持部88は、本体部80の軸方向に沿って本体部80の軸方向の全長にわたって延びている。端部84,85の端面は、例えば、本体部80の軸方向の全長にわたって、可撓電線30(図2参照)の外周面に接触している。
【0058】
図5に示すように、本体部80の内部では、2本の電線部材50が2つの収容凹部86に個別に収容され、1本の電線部材20が収容凹部87に収容されるとともに残りの1本の電線部材20が保持部88に挟まれている。各電線部材20は、各収容凹部86に収容されることにより、本体部80に保持されている。1本の電線部材20は、収容凹部87に収容されることにより、本体部80に保持されている。残りの1本の電線部材20は、保持部88に挟まれることにより、本体部80に保持されている。これにより、ホルダ70では、本体部80の内部における2本の電線部材20と2本の電線部材50との配置位置が設定されるとともに、それら配置位置が維持される。
【0059】
(突起部90の構成)
図4に示すように、突起部90は、例えば、本体部80の端部81における外周面に設けられている。突起部90は、例えば、本体部80の軸方向のうち端部81の外周面のみに設けられている。突起部90は、端部81における外周面のうち本体部80の周方向の一部のみに設けられている。突起部90は、端部81における外周面から本体部80の径方向外側に向かって突出している。突起部90は、例えば、筒状部材60の端部61に設けられた切欠部63に対応して設けられている。ここで、切欠部63は、例えば、筒状部材60の長さ方向の端面に設けられている。切欠部63は、筒状部材60の長さ方向の端面から挿入方向D1に沿って凹むように形成されている。切欠部63は、筒状部材60の周方向の一部に設けられている。切欠部63は、例えば、筒状部材60の周方向の一部において、筒状部材60の厚み方向の全長にわたって延びている。切欠部63は、突起部90が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0060】
突起部90は、本体部80が筒状部材60の内部に挿入された状態において、切欠部63に嵌合する。このとき、突起部90は、切欠部63の内面に接触している。図5に示すように、突起部90は、筒状部材60の周方向において、切欠部63の内面に対向している。このため、筒状部材60の内部において、ホルダ70が筒状部材60の周方向に移動することが規制される。すなわち、突起部90と切欠部63とが互いに係合することにより、筒状部材60の内部においてホルダ70が本体部80の中心軸を回転軸として回転することが規制される。これにより、筒状部材60の周方向において、筒状部材60に対するホルダ70の相対移動が規制され、筒状部材60に対するホルダ70の相対位置が固定される。したがって、ホルダ70の内部において配置位置が設定された複数の電線部材20,50の筒状部材60に対する相対位置を固定することができる。
【0061】
(固定部91の構成)
図4に示すように、固定部91は、本体部80の軸方向の端面から本体部80の軸方向に沿って延びるように形成されている。固定部91は、本体部80の端部81の端面に設けられている。固定部91は、本体部80から離れる方向に突出している。固定部91は、例えば、本体部80の周方向の一部のみに形成されている。固定部91は、例えば、本体部80の周方向において、スリット83と異なる位置に設けられている。固定部91は、例えば、スリット83から本体部80の周方向に約π[rad]ずれた位置に設けられている。
【0062】
図2に示すように、固定部91は、筒状部材60の外部に設けられている。固定部91は、例えば、筒状部材60の長さ方向の端面から、筒状部材60から離れる方向に突出している。固定部91は、例えば、薄板状に形成されている。固定部91は、電線部材20,50と対向する内面(ここでは、図中上側を向く面)と、その内面と反対側の外面とを有している。図4に示すように、固定部91の内面及び外面は、例えば、曲面状に形成されている。固定部91の内面は、例えば、収容凹部87の内面と連続して一体に形成されている。
【0063】
(固定部材92の構成)
図2に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、複数の電線部材20と複数の電線部材50とをホルダ70に固定する固定部材92を有している。固定部材92は、例えば、ホルダ70の固定部91に複数の電線部材20,50を固定するように設けられている。
【0064】
固定部材92は、例えば、テープ部材93が固定部91及び複数の電線部材20,50に巻き回されて形成されている。テープ部材93は、例えば、一面に粘着層を有している。テープ部材93は、例えば、粘着層を本体部80の径方向内側に向けた状態で、固定部91と電線部材20,50とに対して巻き回されている。テープ部材93は、例えば、固定部91と電線部材20,50とに対して複数回巻き回されている。テープ部材93は、例えば、固定部91と電線部材20,50とを締め付けるように形成されている。テープ部材93は、例えば、固定部91の外面と複数の電線部材20,50の外周面とを、それら固定部91と複数の電線部材20と複数の電線部材50とが互いに接近する方向に締め付けるように被覆している。
【0065】
テープ部材93によって固定部91に電線部材20,50が固定されると、電線部材20,50の長さ方向において電線部材20,50に対するホルダ70の相対移動が規制される。また、本体部80の内部において、ホルダ70に対する電線部材20,50の相対移動が規制される。これにより、本体部80の内部における電線部材20,50の配置位置をより好適に維持することができる。
【0066】
(ホルダ100の構成)
図6に示すように、ホルダ100は、筒状の本体部110と、本体部110の外周面に形成された突起部120とを有している。ホルダ100は、例えば、本体部110と突起部120とが一体に形成された単一部品である。
【0067】
ホルダ100は、固定部91(図4参照)を有していない点を除いて、図4に示したホルダ70と同様の構造を有している。すなわち、本体部110は図4に示した本体部80と同様の構造を有し、突起部120は図4に示した突起部90と同様の構造を有している。例えば、本体部110は、複数の収容凹部86と、収容凹部87と、保持部88とを有している。本体部110は、筒状部材60の端部62の内側に嵌合される。突起部120は、筒状部材60の端部62に設けられた切欠部64に嵌合される。切欠部64は、図4に示した切欠部63と同様に形成されている。なお、ホルダ100の収容凹部86は、第3収容凹部の一例である。
【0068】
ここで、図1に示したワイヤハーネス10では、筒状部材60の曲げ加工を行う際に、筒状部材60の長さ方向において電気機器M1,M3側から曲げ加工が開始され、その曲げ加工が電気機器M2,M4側に向かって順に進められる。そして、ワイヤハーネス10では、曲げ加工の開始側に設けられるホルダ70には固定部91(図4参照)を設けるようにし、曲げ加工の終了側に設けられるホルダ100には固定部91を設けないようにした。ホルダ70に固定部91を設け、その固定部91に固定部材92(図2参照)により電線部材20,50を固定することにより、曲げ加工を行う際に、筒状部材60からの電線部材20,50の引き出し量を目標値に好適に維持できる。さらに、曲げ加工の終了側に設けられるホルダ100に固定部91を設けないことにより、固定部材92(図2参照)によるホルダ100と電線部材20,50との固定が省略されるため、電線部材20,50の長さ方向の一端部における自由度を向上させることができる。このため、電線部材20,50の長さ方向の両端部が固定部材92によりホルダ70,100に固定される場合に比べて、電線部材20,50の一端部における自由度を向上でき、筒状部材60からの電線部材20,50の引き出し量を目標値により好適に維持できる。
【0069】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)ホルダ70の内周面に、電線部材50を収容する収容凹部86を設けた。この構成によれば、収容凹部86に電線部材50を収容することにより、ホルダ70の内部における電線部材50の配置位置を好適に設定できる。これにより、ホルダ70の内部における電線部材20,50の配置位置を好適に設定できる。このため、ホルダ70の内部における電線部材20,50の配置位置が目標位置からずれることを好適に抑制できる。この結果、例えば筒状部材60の端部61,62から引き出された電線部材20,50が複数経路に分岐される場合であっても、それら分岐経路を好適に形成することができる。
【0070】
(2)ホルダ70の内周面に、複数の電線部材50を個別に収容する複数の収容凹部86を設けた。この構成によれば、複数の電線部材50を個別に複数の収容凹部86に収容することにより、ホルダ70の内部における複数の電線部材50の配置位置を個別に設定できる。このため、1つの収容凹部86に対して複数の電線部材50を収容する場合に比べて、複数の電線部材50の各々の配置位置を好適に設定できる。
【0071】
(3)ホルダ70の内部に、電線部材20を挟んで保持する保持部88と、電線部材20を収容する収容凹部87とを設けた。この構成によれば、保持部88により電線部材20を挟んで保持するとともに、収容凹部87に電線部材20を収容することにより、ホルダ70の内部における複数の電線部材20の配置位置を好適に設定できる。これにより、ホルダ70の内部における電線部材20,50の配置位置をより好適に設定できる。
【0072】
(4)筒状部材60の長さ方向の一方の端部61にホルダ70を取り付け、筒状部材60の長さ方向の他方の端部62にホルダ100を取り付けた。この構成によれば、筒状部材60の長さ方向の両端部において、電線部材20,50の配置位置を好適に設定できる。これにより、ホルダ70,100の内部における電線部材20,50の配置位置が目標位置からずれることをより好適に抑制できる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、図7図10にしたがって、ワイヤハーネスの第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態との相違点について主に説明し、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付して、説明の一部又は全部を割愛する場合がある。
【0074】
図7に示すように、本実施形態のワイヤハーネス10Aは、図4に示したホルダ70に代えて、ホルダ200を有している。ホルダ200は、例えば、筒状部材60の端部61に取り付けられている。ホルダ200は、筒状部材60の内部に挿入された状態で筒状部材60の端部61に取り付けられている。ホルダ200は、例えば、挿入方向D1に沿って筒状部材60の内側に挿入される。ホルダ200は、例えば、長尺に形成されている。
【0075】
図8に示すように、ホルダ200は、保持体210と、保持体210とホルダ200の長さ方向(軸方向)において離れて設けられた保持体220と、保持体210と保持体220とを連結する連結部230とを有している。保持体210は、例えば、ホルダ200の長さ方向において、挿入方向D1の手前側の端部に設けられている。保持体220は、例えば、ホルダ200の長さ方向において、挿入方向D1の奥側の端部に設けられている。ホルダ200は、例えば、保持体210と連結部230と保持体220とが一体に形成された単一部品である。ホルダ200の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0076】
図8及び図9に示すように、保持体210は、図4に示したホルダ70と同様の構造を有している。図8に示すように、保持体210は、例えば、複数の収容凹部86と収容凹部87と保持部88とを有する本体部211と、突起部90と、固定部91とを有している。
【0077】
図7に示すように、保持体210は、電線部材20の長さ方向において、接続部22よりも挿入方向D1の手前側に設けられている。保持体210は、例えば、電線部材20の長さ方向のうち可撓電線30を保持している。保持体210は、電線部材50の可撓電線50Aを保持している。
【0078】
保持体220は、電線部材20の長さ方向において、接続部22よりも挿入方向D1の奥側に設けられている。保持体220は、例えば、電線部材20の長さ方向のうち剛性電線40を保持している。保持体210と保持体220とは、電線部材20の長さ方向において、接続部22の両側で電線部材20を保持している。換言すると、複数の接続部22は、電線部材20の長さ方向において、保持体210と保持体220との間に設けられている。
【0079】
ここで、本実施形態の電線部材20では、接続部22を被覆する被覆部材23が保持体220よりも挿入方向D1の奥側まで延びるように形成されている。保持体220は、電線部材20の長さ方向のうち、被覆部材23により覆われた剛性電線40を保持している。
【0080】
図8に示すように、保持体220は、筒状に形成されている。保持体220は、筒状部材60の内周面に対応した形状の外周面を有する筒状に形成されている。本実施形態の保持体220は、円筒状に形成されている。保持体220の外径は、筒状部材60の内径よりも僅かに小さく形成されている。
【0081】
保持体220は、例えば、横断面形状がC字状に形成されている。例えば、保持体220の周方向の1箇所には、保持体220の軸方向の全長にわたって延びるスリット223が形成されている。スリット223は、保持体220の軸方向に沿って延びている。換言すると、保持体220は、端部224と、端部224と保持体220の周方向において離れて設けられた端部225とを有している。保持体220では、端部224と端部225との間にスリット223が設けられている。
【0082】
図10に示すように、保持体220は、電線部材50を収容する収容凹部226を有している。保持体220は、例えば、2本の電線部材50を個別に収容する2つの収容凹部226を有している。各収容凹部226は、保持体220の内周面に設けられている。各収容凹部226は、保持体220の内周面から保持体220の径方向外側に向かって凹むように形成されている。各収容凹部226は、例えば、電線部材50の一部を収容可能な大きさに形成されている。各収容凹部226の内面は、例えば、電線部材50の絶縁被覆52の外周面に接触している。各収容凹部226の内面は、例えば、横断面形状が直線状に延びる底面226Aを有している。各底面226Aの横断面形状は、例えば、2つの収容凹部226が並ぶ方向(図中左右方向)と直交する方向(図中上下方向)に沿って直線状に延びている。2つの収容凹部226は、例えば、保持体220の中心軸を挟んで互いに対向して設けられている。2つの収容凹部226は、例えば、底面226A同士が保持体220の中心軸を挟んで互いに対向するように設けられている。
【0083】
図8に示すように、各収容凹部226は、保持体220の軸方向に沿って保持体220の軸方向の全長にわたって延びている。各収容凹部226は、例えば、保持体220の軸方向から見た平面視において、各収容凹部86と重なるように設けられている。
【0084】
図10に示すように、保持体220は、例えば、電線部材20を収容する収容凹部227と、電線部材20を挟んで保持する保持部228とを有している。保持体220では、例えば、2本の電線部材20のうち一方の電線部材20が収容凹部227に収容されており、2本の電線部材20のうち他方の電線部材20が保持部228に挟まれて保持されている。
【0085】
収容凹部227は、保持体220の内周面に設けられている。収容凹部227は、保持体220の内周面から保持体220の径方向外側に向かって凹むように形成されている。収容凹部227の内面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。収容凹部227の内面は、電線部材20の外周面、具体的には剛性電線40を被覆する被覆部材23の外周面に対応する曲面に形成されている。収容凹部227は、例えば、剛性電線40及び被覆部材23の一部を収容可能な大きさに形成されている。収容凹部227の内面は、例えば、図9に示した収容凹部87の内面よりも曲率半径の大きい円弧面に形成されている。収容凹部227の内面は、例えば、被覆部材23の外周面に接触している。収容凹部227は、例えば、スリット223から保持体220の周方向に約π[rad]ずれた位置に設けられている。
【0086】
図8に示すように、収容凹部227は、保持体220の軸方向に沿って保持体220の軸方向の全長にわたって延びている。収容凹部227は、例えば、保持体220の軸方向から見た平面視において、収容凹部87と重なるように設けられている。
【0087】
図10に示すように、保持部228は、例えば、保持体220の周方向における端部224,225とスリット223とによって構成されている。保持部228では、端部224の端面と端部225の端面とが互いに対向して設けられている。端部224の端面と端部225の端面とは、スリット223の内面を構成している。端部224の端面と端部225の端面との間隔、つまりスリット223の幅は、剛性電線40を被覆する被覆部材23の直径よりも小さく設定されている。スリット223の幅は、例えば、図9に示したスリット83の幅よりも大きく設定されている。保持体220では、スリット223の幅が広がるように弾性変形可能に形成されている。例えば、剛性電線40がスリット223に挿入されると、保持部228は、スリット223の幅が広がるように弾性変形する。このとき、保持部228は、端部224の端面と端部225の端面とによって剛性電線40を挟むことにより、1本の電線部材20を保持している。端部224,225の端面は、剛性電線40を被覆する被覆部材23の外周面に接触している。ここで、保持部228(スリット223)と収容凹部227とは、例えば、保持体220の横断面において、2つの収容凹部226が並ぶ方向(図中左右方向)と直交する方向(図中上下方向)に沿って並んで設けられている。
【0088】
図8に示すように、保持部228は、保持体220の軸方向に沿って保持体220の軸方向の全長にわたって延びている。端部224,225の端面は、例えば、保持体220の軸方向の全長にわたって、被覆部材23(図7参照)の外周面に接触している。保持部228は、例えば、保持体220の軸方向から見た平面視において、保持部88と重なるように設けられている。
【0089】
図10に示すように、保持体220の内部では、2本の電線部材50が2つの収容凹部226に個別に収容され、1本の電線部材20が収容凹部227に収容されるとともに残りの1本の電線部材20が保持部228に挟まれている。各電線部材50は、各収容凹部226に収容されることにより、保持体220に保持されている。1本の電線部材20は、収容凹部227に収容されることにより、保持体220に保持されている。残りの1本の電線部材20は、保持部228に挟まれることにより、保持体220に保持されている。これにより、保持体220では、保持体220の内部における2本の電線部材20と2本の電線部材50との配置位置が設定されるとともに、それら配置位置が維持される。
【0090】
(連結部230の構成)
図8に示すように、連結部230は、例えば、複数(ここでは、2つ)の板状部231を有している。2つの板状部231は、例えば、保持体210,220の周方向の一部のみに設けられている。2つの板状部231は、例えば、互いに対向している。
【0091】
各板状部231は、例えば、薄板状に形成されている。各板状部231は、例えば、ホルダ200の長さ方向に沿って延びている。各板状部231は、例えば、保持体210の収容凹部86と保持体220の収容凹部226とを連結するように形成されている。例えば、各板状部231は、板状部231の長さ方向の一端部が収容凹部86に接続され、板状部231の長さ方向の他端部が収容凹部226に接続されている。本実施形態のホルダ200では、保持体210,220の周方向のうちスリット83,223に対応する部分及び収容凹部87,227に対応する部分には連結部230が設けられていない。すなわち、本実施形態のホルダ200では、保持体210,220の周方向のうち電線部材20(図7参照)が保持される部分には連結部230が設けられていない。換言すると、本実施形態の連結部230では、保持体210,220の周方向のうち電線部材20(図7参照)が保持される部分にスリット232が設けられている。
【0092】
ここで、各板状部231は、電線部材20,50(図7参照)と対向する内面と、その内面と反対側の外面とを有している。各板状部231の外面は、例えば、曲面状に形成されている。各板状部231の外面は、例えば、保持体210,220と同軸の円弧面に形成されている。各板状部231の外面は、例えば、保持体210,220の外周面と連続して一体に形成されている。各板状部231の内面の一部は、例えば、収容凹部86,226の内面と連続して一体に形成されている。
【0093】
図7に示すように、連結部230は、例えば、電線部材20の長さ方向において、接続部22と重なる位置に設けられている。ここで、接続部22は、芯線31と単芯線41とが径方向に重ね合わされるため、芯線31単独及び単芯線41単独の部分よりも横断面積が大きくなる場合がある。このため、接続部22は、可撓電線30よりも径方向に張り出して形成され、且つ剛性電線40よりも径方向に張り出して形成される場合がある。この場合であっても、連結部230にスリット232を設けるようにしたため、つまり芯線31と単芯線41とが重なり合う方向に連結部230を設けないようにしたため、接続部22が連結部230に干渉することを好適に抑制できる。
【0094】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(4)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
(5)ホルダ200は、電線部材20の長さ方向において、接続部22の両側における電線部材20を保持している。この構成によれば、ホルダ200によって接続部22の両側で電線部材20が保持されるため、接続部22及び電線部材20全体を安定して保持できる。これにより、ホルダ200の内部において接続部22が移動することを好適に抑制できる。このため、可撓電線30の芯線31と剛性電線40の単芯線41との接合状態を好適に維持できる。
【0095】
(6)ホルダ200は、電線部材20の長さ方向のうち可撓電線30を保持する保持体210と、電線部材20の長さ方向のうち剛性電線40を保持する保持体220と、保持体210と保持体220とを連結する連結部230とを有する。この構成によれば、保持体210と保持体220とによって、接続部22の両側で電線部材20を保持することができる。また、連結部230により保持体210と保持体220とを連結できるため、保持体210と保持体220とを単一部品として構成することができる。
【0096】
(7)電線部材20の長さ方向のうち剛性電線40の絶縁被覆42の外周を被覆する被覆部材23が保持体220により保持されている。このため、保持体220が剛性電線40を保持する際に、保持体220が剛性電線40の絶縁被覆42に直接接触することが抑制される。これにより、保持体220による保持によって絶縁被覆42が摩耗することを好適に抑制できる。例えば、保持体220の収容凹部227及び保持部228により剛性電線40が保持されている状態において揺動等が発生した場合であっても、収容凹部227及び保持部228において絶縁被覆42が摩耗することを好適に抑制できる。この結果、絶縁被覆42の耐久性を向上させることができ、電線部材20の耐久性を向上させることができる。
【0097】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0098】
・上記各実施形態におけるホルダ70,100,200の横断面形状は特に限定されない。例えば、収容凹部86,226の内面を円弧状に湾曲した曲面に形成してもよい。例えば、収容凹部87,227の底面の横断面形状を、直線状に延びる平面に形成してもよい。
【0099】
・上記各実施形態では、ホルダ70,100,200を円筒状に形成したが、これに限定されない。例えば、ホルダ70,100,200を角筒状に形成してもよい。
・上記第1実施形態におけるホルダ70,100の内部における収容凹部86,87及び保持部88の形成位置は適宜変更することができる。例えば、本体部80の周方向において、2つの収容凹部86を隣り合うように配置してもよい。また、本体部80の周方向において、収容凹部87と保持部88とを隣り合うように配置してもよい。
【0100】
・上記第2実施形態におけるホルダ200の保持体210の内部における収容凹部86,87及び保持部88の形成位置は適宜変更することができる。同様に、保持体220の内部における収容凹部226,227及び保持部228の形成位置は適宜変更することができる。
【0101】
・上記第1実施形態のホルダ70,100において、収容凹部87を複数設けるようにしてもよい。
・上記第2実施形態のホルダ200において、収容凹部87を複数設けるようにしてもよい。同様に、ホルダ200において、収容凹部227を複数設けるようにしてもよい。
【0102】
・上記各実施形態のホルダ70,100,200において、収容凹部87,227を省略してもよい。
・上記各実施形態のホルダ70,100,200において、保持部88,228を省略してもよい。
【0103】
・上記第1実施形態のホルダ70,100では、複数の電線部材50を個別に収容する複数の収容凹部86を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、1つの収容凹部86に複数の電線部材50を収容するようにしてもよい。
【0104】
・上記第1実施形態のホルダ70では、電線部材20の長さ方向のうち可撓電線30の絶縁被覆32を保持するようにしたが、これに限定されない。例えば、絶縁被覆32の外周を被覆する被覆部材23を保持するようにホルダ70を設けるようにしてもよい。
【0105】
・上記第2実施形態のホルダ200では、保持体210が、電線部材20の長さ方向のうち可撓電線30の絶縁被覆32を保持するようにしたが、これに限定されない。例えば、保持体210が絶縁被覆32の外周を被覆する被覆部材23を保持するようにホルダ200を設けるようにしてもよい。
【0106】
・上記第2実施形態のホルダ200では、保持体220が、電線部材20の長さ方向のうち剛性電線40の絶縁被覆42の外周を被覆する被覆部材23を保持するようにしたが、これに限定されない。例えば、保持体220が絶縁被覆42の外周を直接保持するようにホルダ200を設けるようにしてもよい。
【0107】
・上記各実施形態では、筒状部材60の長さ方向の両端部にホルダ70,200及びホルダ100をそれぞれ設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、筒状部材60の長さ方向の片方の端部のみにホルダ70,200を設けるようにしてもよい。
【0108】
・上記各実施形態では、第1係合部として突起部90に具体化し、第2係合部として切欠部63に具体化したが、ホルダ70,200と筒状部材60との係合構造はこれに限定されない。例えば、第1係合部と第2係合部とが互いに係合することにより、筒状部材60に対するホルダ70,200の相対位置を維持できる構造を有していれば、第1係合部及び第2係合部の構造は特に限定されない。
【0109】
・上記各実施形態の突起部90及び切欠部63,64を省略してもよい。
・上記各実施形態では、固定部材92をテープ部材93で構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、固定部材92として、金属バンドや樹脂製の結束バンドを用いるようにしてもよい。
【0110】
・上記各実施形態の固定部材92を省略してもよい。この場合には、ホルダ70,200の固定部91を省略してもよい。
・上記各実施形態では、複数の接続部22を、電線部材20の長さ方向において互いにずれた位置に設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、複数の接続部22を、電線部材20の長さ方向に揃って横並びに配置するようにしてもよい。
【0111】
・上記各実施形態において、ホルダ70,200を貫通する電線部材20,50の本数は、特に限定されるものではなく、車両Vの仕様に応じて電線部材20,50の本数は変更することができる。例えば、電線部材20は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、電線部材50は、例えば、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0112】
・上記各実施形態の筒状部材60は、金属製又は樹脂製の単一材質の部材に限定されない。例えば、筒状部材60は、非金属のパイプ本体に導電性のシールド層を積層又は埋設した複合形態の部材であってもよい。
【0113】
・上記各実施形態において、筒状部材60と外装部材65,66との間に、例えば分岐経路を有する外装部材を介在させるようにしてもよい。このような外装部材としては、例えば、ゴム製の防水カバーなどを用いることができる。
【0114】
・上記各実施形態では特に言及していないが、筒状部材60の内部に電磁シールド部材を設ける構成を採用してもよい。電磁シールド部材は、例えば、複数の電線部材20を一括して包囲するように設けられる。電磁シールド部材は、例えば、筒状部材60の内周面と電線部材20の外周面との間に設けられる。電磁シールド部材としては、例えば、可撓性を有する編組線や金属箔を用いることができる。
【0115】
・車両Vにおける電気機器M1~M4の配置関係は、上記各実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
10,10A ワイヤハーネス
20 電線部材(第1電線部材)
22 接続部
23 被覆部材
30 可撓電線(第1可撓電線)
31 芯線
32 絶縁被覆(第1絶縁被覆)
40 剛性電線
41 単芯線
42 絶縁被覆(第2絶縁被覆)
50 電線部材(第2電線部材)
50A 可撓電線(第2可撓電線)
51 芯線
52 絶縁被覆
60 筒状部材
61,62 端部
63 切欠部(第2係合部)
64 切欠部
65,66 外装部材
70 ホルダ(第1ホルダ)
80 本体部
81,82 端部
83 スリット
84,85 端部
86 収容凹部(第1収容凹部)
86A 底面
87 収容凹部(第2収容凹部)
88 保持部
90 突起部(第1係合部)
91 固定部
92 固定部材
93 テープ部材
100 ホルダ(第2ホルダ)
110 本体部
120 突起部
200 ホルダ(第1ホルダ)
210 保持体(第1保持体)
211 本体部
220 保持体(第2保持体)
223 スリット
224,225 端部
226 収容凹部
226A 底面
227 収容凹部
228 保持部
230 連結部
231 板状部
232 スリット
M1,M2,M3,M4 電気機器
V 車両
D1 挿入方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10