(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】列車制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60L 15/40 20060101AFI20241111BHJP
B61L 23/14 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B60L15/40 A
B61L23/14 C
(21)【出願番号】P 2021036437
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 純子
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 創
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽平
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007464(JP,A)
【文献】特開2020-018119(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044448(WO,A1)
【文献】特開2014-090566(JP,A)
【文献】特開2011-087364(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
B60T 7/12-8/1769
8/32-8/96
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
B61L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の速度及び列車の位置を検出する列車速度位置検出装置と、
路線情報、車両情報を記憶する記憶部と、
検出した前記列車の速度及び前記列車の位置、並びに、前記路線情報及び前記車両情報に基づいて、駆動/制動制御装置への制御指令
として停止目標位置に停車させるブレーキ指令を算出する制御指令算出部と、を備え、
前記制御指令算出部は、
算出した前記ブレーキ指令に基づいて、所定時間後の列車速度予測値と所定時間後の列車位置予測値とを求め、
予め設定された目標減速パターンにおける列車速度予測値と同一速度となる位置を求め、位置偏差許容範囲を求め、
前記列車速度予測値におけるブレーキ指令の列車減速度予測値と、同一速度における目標減速度パターンの減速度との差に応じて位置偏差許容範囲を位置方向において移動して変更し、
所定時間後の列車位置予測値と、目標減速パターンにおける列車速度予測値と同一速度となる位置とに基づいて位置偏差を求め、
前記位置偏差と前記位置偏差許容範囲を比較して、ブレーキ指令を決定する、
列車制御装置。
【請求項2】
前記制御指令算出部は、所定時間後の前記列車減速度予測値が前記目標減速パターンの減速度より強いときは、
前記位置偏
差許容範囲を前記列車の位置方向に移動する、
請求項1記載の列車制御装置。
【請求項3】
前記制御指令算出部は、所定時間後の前記列車減速度予測値が前記目標減速パターンの減速度より弱いときは、位置偏差の許容範囲を前記列車の進行方向に移動する、
請求項1記載の列車制御装置。
【請求項4】
前記制御指令算出部は、所定時間後の前記列車減速度予測値が、前記目標減速パターンの減速度より弱いときに
前記位置偏
差許容範囲を進行方向側への移動量を、所定時間後の列車減速度予測値が前記目標減速パターンの減速度より強いときに
前記位置偏差許容範囲を列車の位置方向への移動量よりも小さく算出する、
請求項1記載の列車制御装置。
【請求項5】
前記制御指令算出部は、前記位置偏差許容範囲の移動量を、所定時間後の前記列車減速度予測値と減速パターンの減速度の差に係数を乗じて算出する、
請求項1乃至
請求項4のいずれか一項に記載の列車制御装置。
【請求項6】
前記制御指令算出部は、前記位置偏差許容範囲の移動量を、所定時間後の前記列車減速度予測値と前記目標減速パターンの減速度で一定時間それぞれ減速したときの速度低下量の差に係数を乗じて算出する、
請求項1乃至
請求項4のいずれか一項に記載の列車制御装置。
【請求項7】
前記制御指令算出部は、前記位置偏差許容範囲の移動量を、所定時間後の前記列車減速度予測値と前記目標減速パターンの減速度で一定時間それぞれ減速したときの移動距離の差に係数を乗じて算出する、
請求項1乃至
請求項4のいずれか一項に記載の列車制御装置。
【請求項8】
前記制御指令算出部は、
前記変更を前記
位置偏差許容範囲の移動に代えて位置偏差許容範囲を位置方向において拡張することにより行う、
請求項1記載の列車制御装置。
【請求項9】
前記制御指令算出部は、前記拡張を前記列車の進行方向と逆方向にのみ拡張する、
請求項8記載の列車制御装置。
【請求項10】
列車の速度及び列車の位置を検出する列車速度位置検出装置と、路線情報、車両情報を記憶する記憶部と、検出した前記列車の速度及び前記列車の位置、並びに、前記路線情報及び前記車両情報に基づいて、駆動/制動制御装置への制御指令
として停止目標位置に停車させるブレーキ指令を算出する制御指令算出部と、を備えた列車制御装置を制御する制御方法であって、
算出した前記ブレーキ指令に基づいて、所定時間後の列車速度予測値と所定時間後の列車位置予測値とを求める過程と、
予め設定された目標減速パターンにおける列車速度予測値と同一速度となる位置を求め、位置偏差許容範囲を求める過程と、
前記列車速度予測値におけるブレーキ指令の列車減速度予測値と、同一速度における目標減速度パターンの減速度との差に応じて位置偏差許容範囲を位置方向において移動して変更する過程と、
所定時間後の列車位置予測値と、目標減速パターンにおける列車速度予測値と同一速度となる位置とに基づいて位置偏差を求める過程と、
前記位置偏差と前記位置偏差許容範囲を比較して、ブレーキ指令を決定する過程と、
を備えた制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、列車制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動列車運転(ATO)装置の導入が進んでいる。これは、運転士の負担軽減、ワンマン運転化による省力化、および、運転士の技量によらず安定してホームドア位置に合わせて列車を停止させることにより停止位置修正による遅延発生を防止するなど列車運行を安定化することが目的である。
【0003】
この場合において、列車を駅の所定位置に自動停止させる方法の一つに、所定の減速度で作成した減速パターンに列車速度を追従させるものが提案されている。
特許文献1記載の技術では、目標減速パターンとの位置偏差に基づいてブレーキ指令を選択することにより、速度追従制御から位置追従制御への制御方式の切換が発生せず、駅停止制御中のノッチ操作の乱れによる乗り心地の悪化を発生させない列車制御装置を提供している。
【0004】
この技術では、制御指令に対する列車加速度の応答遅れを考慮して、所定時間後の位置偏差が許容範囲内となるようにブレーキ指令を選択する。位置偏差が許容範囲内となるようにブレーキ指令を選択できない場合は、位置偏差が許容範囲より手前側と予測されるブレーキ指令候補のうち、最も力行側に高位のブレーキ指令を選択する。これにより、目標減速パターンよりやや手前側を減速し、停止間際にブレーキ指令が自然に弱くなり、乗り心地よく停止することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、選択中のブレーキ指令での位置偏差が許容範囲となってブレーキ指令を変更する必要がないまま減速し続けた場合は、ブレーキ指令を弱くすることなく停止することとなるので、停止の瞬間の乗り心地が悪化する。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、走行時間の延びを抑制しながら停止間際にブレーキ指令を弱くして、停止時の乗り心地悪化を防止する列車制御装置及び制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の列車制御装置は、列車の速度及び列車の位置を検出する列車速度位置検出装置と、路線情報、車両情報を記憶する記憶部と、検出した前記列車の速度及び前記列車の位置、並びに、前記路線情報及び前記車両情報に基づいて、駆動/制動制御装置への制御指令として停止目標位置に停車させるブレーキ指令を算出する制御指令算出部と、を備え、制御指令算出部は、算出したブレーキ指令に基づいて、所定時間後の列車速度予測値と所定時間後の列車位置予測値とを求め、予め設定された目標減速パターンにおける列車速度予測値と同一速度となる位置を求め、位置偏差許容範囲を求め、列車速度予測値におけるブレーキ指令の列車減速度予測値と、同一速度における目標減速度パターンの減速度との差に応じて位置偏差許容範囲を位置方向において移動して変更し、所定時間後の列車位置予測値と、目標減速パターンにおける列車速度予測値と同一速度となる位置とに基づいて位置偏差を求め、位置偏差と位置偏差許容範囲を比較して、ブレーキ指令を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる列車制御装置が搭載された列車の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図2】
図2は、許容範囲パラメータ保持部の保持データの一例の説明図である。
【
図3】
図3は、目標減速パターンと位置偏差許容範囲の説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態の処理フローチャートである。
【
図5】
図5は、移動前の位置偏差許容範囲の説明図である。
【
図6】
図6は、位置偏差の算出並びに位置偏差許容範囲の算出及び移動を説明する図である。
【
図7】
図7は、列車位置予測値が位置偏差許容範囲に入るようにブレーキ指令を選択することを説明する図である。
【
図8】
図8は、ブレーキ指令選択処理の処理フローチャートである。
【
図9】
図9は、位置偏差許容値の算出処理の処理フローチャートである。
【
図10】
図10は、目標減速パターンと列車の挙動の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に基づく実施例の列車制御装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態にかかる列車制御装置が搭載された列車の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図1に示されるように、列車TRは、列車制御装置100の他、速度位置検出装置110、ATC(Automatic Train Control)車上装置120、および駆動/制動制御装置130が搭載されている。
【0011】
速度位置検出装置110は、列車TRの車輪Wの車軸に設けられる速度発電機(Tachogenerator)140のパルスや、地上子190から車上子150を介して受信される情報などに基づいて、列車TRの速度および位置を検出する。
【0012】
ATC車上装置120は、列車TRが先行列車TRaに衝突したり脱線したりするのを回避するためのブレーキ指令を出力するものである。ATC車上装置120は、ATC地上装置200と通信可能に構成されている。
【0013】
ATC地上装置200は、レール(軌道回路)RLを介して各閉塞区間における列車の在線の有無を検知し、在線状況に応じて各閉塞区間の信号現示を決定し、決定した信号現示に関する情報を、各閉塞区間のレール(軌道回路)RLを介してATC車上装置120に送信する。ATC車上装置120は、信号現示に関する情報をATC地上装置200から受電器160を介して受信すると、この信号現示に関する情報に基づく制限速度と、速度位置検出装置110で検出した列車TRの速度とを比較し、列車TRの速度が制限速度を超過している場合に、駆動/制動制御装置130にブレーキ指令を出力する。
【0014】
列車制御装置100は、列車を制御する装置であって、例えば、列車制御装置100は、列車TRを所定位置(たとえば停車駅に設定される停止目標位置)に停車させる停車制御を実現するために駆動/制動制御装置130に与える制御指令(たとえばブレーキ指令)を算出する。さらに、列車制御装置100は、制限速度を守りながら駅間を走行させるための制御指令(力行指令および/またはブレーキ指令)も算出する。なお、列車制御装置100は、たとえば、マイクロプロセッサやメモリなどを備えたコンピュータとして構成されている。
【0015】
駆動/制動制御装置130は、ATC車上装置120からのブレーキ指令と、列車制御装置からの力行指令および/またはブレーキ指令と、運転士の操作に応じて不図示の主幹制御器(マスターコントローラ)から出力される力行指令および/またはブレーキ指令と、に基づいて、モータ170および/またはブレーキ装置180を制御する。
【0016】
なお、力行指令とは、駆動/制動制御装置130を介してモータ170に与えられることで列車TRの力行を実現し、ブレーキ指令とは、駆動/制動制御装置130を介してモータ170及びブレーキ装置180に与えられることで列車TRの制動を実現する。モータ170に与えられるブレーキ指令は、モータ170の回生を利用した回生ブレーキ(電気ブレーキ)を実現し、ブレーキ装置180に与えられるブレーキ指令は、ブレーキ装置180を利用した空気ブレーキを実現する。
【0017】
ここで、実施形態において、列車制御装置100は、ブレーキ判定部103と、減速度比率推定部104と、特性パラメータ調整部105と、制御指令算出部108と、取得部111と、を有している。これらの構成の一部または全部は、列車制御装置100のプロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することでハードウェアとソフトウェアとの協働により機能的に実現されてもよいし、専用の回路などによってハードウェア的に実現されてもよい。
【0018】
また、列車制御装置100は、SSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体に、記憶部101と、車両特性モデル保持部102と、特性パラメータ保持部106と、許容範囲パラメータ保持部107と、を備えている。
【0019】
記憶部101には、路線情報と、運行情報と、が記憶されている。路線情報は、列車TRが走行する路線の情報であって、少なくとも当該列車が停止する駅の位置を示した情報が含まれている。さらに、路線情報には、路線に関する様々な情報が含まれており、たとえば、列車TRが走行する路線の勾配および曲線(曲率半径)に関する情報や、各閉塞区間の制限速度に関する情報、閉塞長(閉塞区間の距離)に関する情報、閉塞区間の並びに関する線形情報などが含まれている。
【0020】
運行情報は、たとえば、列車TRが走行する路線上に存在する各停車駅の停止目標位置や、列車TRの運転種別ごとに設定される停車駅、各駅間で予め決められた走行時間などである。
【0021】
車両特性モデル保持部102には、列車TRの加速特性や減速特性などを含む車両情報が記憶されている。より具体的に、車両情報は、列車TRの列車長や重量、与えられる力行指令およびブレーキ指令にそれぞれ対応した加速特性および減速特性を示すモデル(加速特性モデルおよび減速特性モデル)、空気抵抗の特性、勾配抵抗の特性、曲線抵抗の特性などを含んでいる。
【0022】
取得部111は、速度位置検出装置110から、速度位置検出装置110が検出した列車TRの速度および位置を取得する。
【0023】
減速度比率推定部104は、速度位置検出装置110で検出された速度および位置と、記憶部101から読み出された路線情報と、車両特性モデル保持部102から読み出された減速特性モデルと、制御指令算出部108で算出されたブレーキ指令と、に基づいて、列車TRの計算上の減速度合と実際の減速度合との関係(減速度比率、ブレーキの利き具合)を算出する。
【0024】
特性パラメータ調整部105は、減速度比率推定部104で推定された減速度比率に基づいて、特性パラメータ保持部106に保持された特性パラメータを調整する。特性パラメータとは、減速特性モデルの補正に用いるパラメータである。
【0025】
許容範囲パラメータ保持部107は、制御指令算出部108でブレーキ指令を算出する際に参照する許容範囲の設定時に利用する、許容偏差時間、許容範囲下限値、算出時間、第1係数PM1及び第2係数PM2を保持している。
【0026】
許容偏差時間は、列車TRの目標減速パターンの進行方向の許容範囲を導出するための時間とする。
許容範囲下限値は、当該許容範囲における下限値を示している。
算出時間は、位置偏差許容値の移動量を算出するのに用いる時間である。
第1係数PM1は、「所定時間後の列車減速度予測値」が「所定時間後の列車速度予測値と同一速度における目標減速パターンの減速度」より強い場合に位置偏差許容値の移動に用いる係数である。
第2係数PM2は、「所定時間後の列車減速度予測値」が「所定時間後の列車速度予測値と同一速度における目標減速パターンの減速度」より弱い場合に位置偏差許容値の移動に用いる係数である。
【0027】
図2は、許容範囲パラメータ保持部の保持データの一例の説明図である。
図2(A)は、保持データの第1の例の説明図である。
図2(A)の例では、許容偏差時間=1秒、許容範囲下限値=5cm、算出時間=1秒、第1係数PM1=1.5、第2係数PM2=1.0(<第1係数PM1)となっている。
【0028】
図2(B)は、保持データの第2の例の説明図である。
第2の例においては、第2係数PM2が負の値の場合である。
図4(B)の例では、許容偏差時間=1秒、許容範囲下限値=5cm、算出時間=1秒、第1係数PM1=1.5、第2係数PM2=-0.5(<第1係数PM1)となっている。
【0029】
図3は、目標減速パターンと位置偏差許容範囲の説明図である。
目標減速パターンは、定位置停止制御で目標とする減速パターンである。速度Vthより低速度の部分は、Vthより高速度の部分よりも弱い減速度またはブレーキ指令に基づいて算出する。
位置偏差許容範囲(オーバ側境界ULMとショート側境界LLM)は、列車挙動予測時間経過後の列車位置予測値の許容可能な範囲を示している。
【0030】
本実施形態の位置偏差許容範囲のオーバ側境界ULM及びショート側境界LLMは、目標減速パターン位置の前後に、目標減速パターン速度に許容偏差時間を乗じて得られるショート側許容位置偏差Pshとオーバ側許容位置偏差Povだけ離れた位置で規定される。
さらに具体的には、オーバ側許容位置偏差Povを設定する際に列車速度予測値に乗ずる許容偏差時間は、ショート側許容位置偏差Pshを設定する際に列車速度予測値に乗ずる許容偏差時間より小さい値としてもよい。これは、オーバ停車した場合は運転方向を反転して停止位置合わせをする必要がありショート停車の場合よりも運行遅れが大きくなるため、オーバ停車を確実に回避することを意図したものである。
【0031】
制御指令算出部108は、取得部111が取得した列車TRの速度および位置と、記憶部101から読み出された路線情報、運行情報と、車両特性モデル保持部102から読み出した車両情報と、特性パラメータ保持部106から読み出した特性パラメータと、許容範囲パラメータ保持部107から読み出した許容範囲パラメータに基づいて、列車TR停止目標位置に停止させる(例えば路線情報で示された駅の位置に停止させる)ブレーキ指令(制御指令の一例)を算出し、駆動/制動制御装置130に出力する。
【0032】
なお、実施形態では、列車制御装置100が、制限速度に沿って駅間を走行するための目標速度を算出する目標速度算出部、または、駅間を所定の時間で走行するための走行計画を算出する走行計画算出手段をさらに備えていてもよい。この場合、制御指令算出部108が、算出された目標速度または走行計画に従って列車TRを次駅まで走行させるための力行指令および/またはブレーキ指令を算出してもよい。
【0033】
次に実施形態の動作について説明する。
次到着駅に接近するまでの走行においては、運転士がマスコンを操作して力行指令・ブレーキ指令を出力するようにしてもよいし、制限速度に沿って設定した目標速度に追従するように制御指令算出部108が力行指令・ブレーキ指令を算出してもよいし、走行計画に従って制御指令算出部108が力行指令・ブレーキ指令を算出してもよい。
【0034】
定位置停止制御の開始判断は、制御指令算出部108において、例えば、次停車駅の停止目標位置までの残距離が所定値以下になったか、速度位置検出装置110の検出した列車の速度と位置が目標減速パターンに接近したか、速度位置検出装置110の検出した列車の速度と位置と所定のブレーキ指令から予測される列車位置予測値TRが目標減速パターンTGPに対応する位置に接近したか、などを判断することにより行われる。
【0035】
定位置停止制御を開始すると、制御指令算出部108は、制御周期毎に、目標減速パターンTGPとの位置偏差に基づいて、以下の手順により、列車を停止目標位置TGstpに停止させるためのブレーキ指令を算出する。
【0036】
ここで、目標減速パターンTGPは、停止間際の低速度の部分を弱めの減速度(例えば1.5km/h/s)またはブレーキ指令(例えば、弱制動側から第1ブレーキノッチ~第7ブレーキノッチの7段階のブレーキノッチのうち、弱制動側の第2ブレーキノッチ)、それより高速度の部分を基準減速度(例えば2.5km/h/s)または基準ブレーキ指令(例えば7段階のブレーキノッチのうち、強制動側の第5ブレーキノッチ)で減速した場合の軌跡を、停止目標位置から時間をさかのぼる方向に所定の時間刻みで位置と速度のデータとして算出したものである。
【0037】
また、目標減速パターンTGPとしては、駅毎のデータを記憶部101に記憶させておいたものを読み出してもよいし、駅出発時や次駅接近時に制御指令算出部108が算出するようにしてもよい。
この場合において、実際の減速度に合わせて特性パラメータを調整したうえで、一定のブレーキ指令で目標減速パターンを作成すると、目標減速パターンに追従して減速する際のブレーキ指令変更回数を抑制することができる。
【0038】
図4は、実施形態の処理フローチャートである。
まず、出力したブレーキ指令と速度位置検出装置110で検出した速度の推移に基づいて、ブレーキの利き具合を示す特性パラメータを補正する(ステップS11)。
【0039】
次に、現在出力中のブレーキ指令からのブレーキ指令値ないし加減速度の変化量が許容範囲内となるブレーキ指令候補を抽出する(ステップS12)。
【0040】
この場合において、定位置停止制御を開始したばかりで力行指令を出力中だった場合は、これ以上力行側に高位の指令は候補に含めないようにする。
また、ブレーキ指令あるいは惰行指令(力行指令もブレーキ指令も0)を出力中だった場合は、惰行指令よりも力行側に高位の指令は候補に含めないようにする。
【0041】
次に、制御指令算出部108は、速度位置検出装置110で検出した列車の速度と位置と、記憶部101から読み出した路線情報と、車両特性モデル保持部102から読み出した車両情報と、特性パラメータ保持部106から読み出した特性パラメータとに基づいて、候補のブレーキ指令をそれぞれ列車挙動予測時間だけ出力した場合の列車の挙動を予測することにより、列車位置予測値と列車速度予測値を算出する(ステップS13)。
【0042】
列車挙動予測時間は、ブレーキ指令変更に対する減速度の応答遅れ以上の値とし、ブレーキ指令変更による減速度の変化がほぼ完了してからの列車速度予測値と列車位置予測値が得られるようにする。
【0043】
次に、制御指令算出部108は、位置偏差Δp及び位置偏差許容値を算出する(ステップS14)。
【0044】
図5は、移動前の位置偏差許容範囲の説明図である。
図5において、列車TRの現在速度・位置は、列車速度位置TRvpであり、当該時点から所定時間後における列車TRの列車速度・位置予測値は、列車速度位置予測値TRvpeである。
一方、位置偏差許容範囲PAR0は、目標減速パターンTGPにおける列車速度・位置予測値TRvpeと同一速度の列車速度・位置目標値TGvpを基準として、ショート側に許容位置偏差Pshであり、オーバ側に許容位置偏差Povで規定されている。
具体的には、制御指令算出部108は、
図5に示すように、目標減速パターンTGP上で列車速度予測値TRveと同じ速度となる位置TGpを求める。そして制御指令算出部108は、列車速度予測値TRveに許容範囲パラメータ保持部107から読み出した許容偏差時間を乗じて位置偏差許容値を求める。
【0045】
この許容偏差時間は、例えばオーバ側0.5秒、ショート側1秒というように、オーバ側とショート側で異なる値を設定してもよい。
【0046】
図6は、位置偏差の算出並びに位置偏差許容範囲の算出及び移動を説明する図である。
制御指令算出部108は、まず、
図6(A)に示すように、目標減速パターンTGP上で列車速度予測値TRveと同じ速度となる位置TGpを求める。そして制御指令算出部108は、列車位置予測値TRpeから位置TGpを差し引いて位置偏差Δpを算出する。さらに、制御指令算出部108は、
図5で説明した手順で位置偏差許容値を求める。
ただし、列車速度予測値TRveが低くなり、許容偏差時間を乗じた値が許容範囲下限値を下回る場合は、制御指令算出部108は、ブレーキ指令がばたつかないよう、位置偏差許容値に許容範囲下限値を設定する。
オーバ側とショート側の位置偏差許容値の間が位置偏差の許容範囲となる。
【0047】
次に、制御指令算出部108は、減速度予測値と目標減速パターンの減速度が異なる場合は、
図6(B)に示すように、減速度予測値と目標減速パターンとの差に基づいて、後述のように、算出した許容範囲を車両の移動方向(位置方向)で前後に移動(シフト)させる。
【0048】
この場合において、許容範囲をずらす大きさは、減速度予測値と目標減速パターンの減速度の差に第1係数を乗じて決めればよい。
したがって、許容範囲をずらす大きさとして、減速度の差が大きいほど大きい値が得られる。
また、許容範囲をずらす大きさは、減速度予測値と目標減速パターンTGPに対応する減速度でそれぞれ一定の算出時間だけ減速したときの速度低下量の差に第1係数を乗じて決めるようにすることも可能である。あるいは、減速度予測値と目標減速パターンTGPに対応する減速度でそれぞれ一定の算出時間だけ減速したときの移動距離の差に第1係数を乗じて決めるようにすることも可能である。
【0049】
次に、制御指令算出部108は、位置偏差と位置偏差許容値を比較して、ブレーキ指令を決定する(ステップS15)。
【0050】
図7は、列車位置予測値が位置偏差許容範囲に入るようにブレーキ指令を選択することを説明する図である。
図7(A)は、位置偏差許容範囲PAR0を列車TR側に移動した(シフトした)場合であり、列車位置予測値TRpeが移動後の位置偏差許容範囲PAR1内に含まれる場合であり、このような場合には、ブレーキ指令選択処理により、現在のブレーキ指令を保持する。
図7(B)は、位置偏差許容範囲PAR0を列車TR側に移動した(シフトした)場合であり、列車位置予測値TRpeが移動後の位置偏差許容範囲PAR1内に含まれない場合であり、このような場合には、ブレーキ指令選択処理により、ブレーキ指令を弱制動側に変更し、列車位置予測値TRpeが移動後の位置偏差許容範囲PAR1内に含まれるようにする。
【0051】
図8は、ブレーキ指令選択処理の処理フローチャートである。
まず、制御指令算出部108は、位置偏差と位置偏差許容値とを比較し、現在のブレーキ指令による位置偏差が位置偏差許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS21)。
【0052】
ステップS21の判断において、現在のブレーキ指令による位置偏差が位置偏差許容範囲内である場合には(ステップS21;Yes)、制御指令算出部108は、現状を維持すればよく改めてブレーキ指令の選択を行う必要がないので、現在のブレーキ指令(候補)を維持して(ステップS22)、処理を終了する。
【0053】
ステップS21の判断において、現在のブレーキ指令による位置偏差が位置偏差許容範囲外となった場合には(ステップS21;No)、制御指令算出部108は、現在出力中のブレーキ指令からのブレーキ指令値ないし加減速度の変化量が許容範囲内となるブレーキ指令候補のうち、位置偏差が位置偏差許容範囲内となるものが有るか否かを判断する(ステップS23)。
【0054】
ステップS23の判断において、位置偏差が位置偏差許容範囲内となるブレーキ指令候補がない場合は(ステップS23;No)、制御指令算出部108は、位置偏差がショート側(負の値)となる、すなわち、列車位置予測値TRpeが目標減速パターンTGPの位置TGpを越えないブレーキ指令候補のうち最も制動力が小さいブレーキ指令候補(力行側に最も高位のブレーキ指令候補)を選択する(ステップS24)。
【0055】
一方、ステップS23の判断において、位置偏差が位置偏差許容値の範囲に含まれるブレーキ指令候補が有る場合には(ステップS23;Yes)、制御指令算出部108は、位置偏差が位置偏差許容値の範囲に含まれるブレーキ指令候補のうち、現在のブレーキ指令値に対し、ブレーキ指令値の変化量(制動力の変化量)が最も少ないものを選択する(ステップS25)。
【0056】
許容範囲をずらす大きさを算出時間での速度低下量の差に基づいて決める場合、列車速度が低下し、列車挙動予測時間内に列車速度が0km/hになると予測されるようになったら、算出時間の代わりに速度0になるまでの予測時間を用いて速度低下量を算出する。列車速度が低くなるほど速度低下量とその差は小さくなり、仮にブレーキ指令を弱くしていかなかった場合でも、列車速度が低下するにつれて許容範囲をずらす量は小さくなっていって最終的に0となるので、停止位置精度が悪化する可能性を低減できる。
【0057】
許容範囲をずらす大きさを算出時間での移動距離の差に基づいて決める場合、速度低下量の差は(減速度の差×減速時間)に比例するのに対し、移動距離は(減速度の差×減速時間の二乗)に比例するので、速度予測値が0km/hになり算出時間の代わりに速度0になるまでの予測時間を用いて移動距離を算出するようにすると、列車速度が低くなるほど、許容範囲をずらす量は速やかに小さくなる。これにより、仮にブレーキ指令を弱くしていかなかった場合でも、列車速度が低下するにつれて位置偏差許容範囲をずらす量は速やかに小さくなっていって最終的に0となるので、停止位置精度が悪化する可能性をより低減できる。
【0058】
ここで、位置偏差許容値の算出処理について説明する。
図9は、位置偏差許容値の算出処理の処理フローチャートである。
まず、制御指令算出部108は、列車速度予測値に許容範囲パラメータ保持部107から読み出した許容偏差時間を乗じて位置偏差許容値を求める(ステップS31)。
【0059】
制御指令算出部108は、求めた位置偏差許容値と、許容範囲パラメータ保持部107から読み出した位置偏差許容値の下限値のうち、目標減速パターンTGPから距離的に遠い方を位置偏差許容値とする(ステップS32)。
【0060】
続いて制御指令算出部108は、減速度予測値と同一速度における目標減速パターンTGPの減速度を比較する(ステップS33)。
【0061】
ステップS33の判断において、減速度予測値が目標減速パターンの減速度より強い場合は(ステップS33;減速度予測値の方が強い)、制御指令算出部108は、以下の(1)~(3)のいずれかに第1係数を乗じて、位置偏差許容範囲をずらす大きさ(量)を算出する(ステップS34)。
(1)減速度予測値と目標減速パターンの減速度との差、
(2)減速度予測値及び目標減速パターンTGPの減速度で一定時間減速したときの速度低減量の差、
(3)減速度予測値及び目標減速パターンTGPの減速度で一定時間減速したときの移動距離の差。
【0062】
続いて、制御指令算出部108は、算出した許容範囲をずらす大きさ(量)だけ位置偏差許容範囲をショート側(列車走行位置側)にずらす(ステップS35)。すなわち、位置偏差許容範囲をショート側にシフトする。
この場合において、オーバ側はそのままで、ショート側だけずらし量分拡張するようにすることも可能である。
【0063】
ステップS33の判断において、減速度予測値が目標減速パターンの減速度と等しい場合(等しいと見なせる場合を含む)は(ステップS33;等しい)、制御指令算出部108は、位置偏差許容範囲を現状のまま維持すべく処理を終了する。
ステップS33の判断において、減速度予測値が目標減速パターンTGPの減速度より弱い場合は(ステップS33;減速度予測値の方が弱い)、制御指令算出部108は、以下の(1)~(3)のいずれかに第1係数よりも小さい、あるいは、負の値を有する第2係数を乗じて、位置偏差許容範囲をずらす大きさ(量)を算出する(ステップS34)。
(1)減速度予測値と目標減速パターンの減速度との差、
(2)減速度予測値及び目標減速パターンTGPの減速度で一定時間減速したときの速度低減量の差、
(3)減速度予測値及び目標減速パターンTGPの減速度で一定時間減速したときの移動距離の差。
【0064】
続いて制御指令算出部108は、算出した許容範囲をずらす大きさ(量)だけ位置偏差許容範囲をオーバ側(列車進行方向側)、あるいは、第2係数が負の場合にはショート側にずらす(ステップS37)。すなわち、位置偏差許容範囲をオーバ側(第2係数が負の場合は、ショート側)にシフトする。
この場合において、ショート側はそのままで、オーバ側だけずらし量分拡張するようにすることも可能である。
【0065】
減速度予測値が目標減速パターンの減速度より弱い場合は、差が大きいほど許容範囲をオーバ側にずらすようにするのは、以下のような理由である。
【0066】
手動介入や先行列車遅延などの影響で、停止目標位置に接近してから低速から定位置停止制御を行う場合、列車位置・速度の予測値が目標減速パターンの近傍を推移するようにブレーキ指令を選択しても、列車位置・速度は目標減速パターンの下側を推移し、列車の減速度が目標減速パターンの減速度に達しないまま停止する可能性がある。
【0067】
そこで、本実施形態においては、減速度予測値が目標減速パターンの減速度より弱い場合に許容範囲をオーバ側にずらすことにより、ブレーキ指令を強くするタイミングを遅くできる。
この結果、列車位置・速度の予測値が目標減速パターンの上側を推移して、列車位置・速度が目標減速パターンのより近くを推移するので、減速時間の延びを抑制できるのである。
【0068】
減速度予測値が目標減速パターンの減速度より弱い場合も、差が大きいほど許容範囲をショート側にずらすようにしてもよい。この場合には、第2係数を負の値とすればよい。
これにより、早めにブレーキ指令を開始してブレーキ指令のピークを抑え、減速時間は延びるがオーバ停車を確実に回避できるからである。
【0069】
ここで、位置偏差許容値の移動(シフト)を行った場合の列車の挙動について詳細に説明する。
図10は、目標減速パターンと列車の挙動の説明図である。
位置偏差許容値を算出する際に、
図10(A)に示すように、減速度予測値と目標減速パターンの減速度が等しい場合は、位置偏差許容値の移動(シフト)は行わない。当該時点の位置偏差は許容範囲内であり、当該状態を維持して問題ないため、ブレーキ指令は変更しない。
【0070】
これに対し、位置偏差許容値を算出する際、減速度予測値と目標減速パターンの減速度が異なる場合は、それらの差に基づいて、算出した許容範囲を列車TRの進行方向前後に移動(シフト)させる。
この場合に、減速度予測値が同一速度の目標減速パターンTGPの減速度より強い場合は、差が大きいほど許容範囲をショート側にずらすようにすればよい。
【0071】
これにより、列車位置予測値がずらす前の許容範囲より手前になっても、
図10(B)に示すように、位置偏差の許容範囲がショート側にずらされて、位置偏差(列車速度予測値の目標減速パターンからの偏差)が許容範囲内となれば、制御指令算出部108は、すぐにはブレーキ指令を弱くしないこととなる。
【0072】
位置偏差が大きくなりずらした後の位置偏差許容範囲よりもショート側になって、制御指令算出部108がブレーキ指令を弱くし始めると、減速度予測値は目標減速パターンの減速度に近づいていき、それに伴って目標減速パターンの減速度との差が小さくなっていくので、許容範囲をずらす大きさが小さくなっていく。この結果、
図10(C)~
図10(E)に示すように、列車TRの列車位置の予測値及び速度の予測値は、目標減速パターンTGPの下側を推移しながら停止目標位置に接近する。
【0073】
すなわち、列車TRの列車位置の予測値は、同一速度における目標減速パターンTGPの位置よりも手前の位置であり、列車TRの速度の予測値は、同一位置における目標減速パターンTGPの速度よりも低い速度となっている。
【0074】
この結果、列車TRの位置及び列車の速度は、
図10(F)に示すように、位置偏差許容範囲をずらさない場合よりも、目標減速パターンTGPの近傍を推移する。
そして列車TRの減速度は、停止間際には速やかに目標減速パターンTGPの弱めの減速度で算出した部分の減速度に近づくので、目標減速パターンTGPの弱めのブレーキで算出する部分を短くできるので、トータルの減速時間の延びを抑制できる。
【0075】
上述したように、減速度予測値が、同一速度における目標減速パターンTGPが基準の減速度より強いときは、減速度予測値と目標減速パターンの減速度の差に応じて許容範囲をショート側にずらすことにより、列車TRの位置の予測値及び速度の予測値が目標減速パターンTGPの弱い減速度で算出した部分の下側を通るので、列車位置・速度は目標減速パターンの近傍を通ることとなる。
【0076】
したがって、目標減速パターンの弱めの減速度の部分を長くしなくても停止直前の減速度が弱めの減速度に近づくこととなり、走行時間の延びを抑制しながら停止時の乗り心地悪化を防止することができる。
【0077】
以上の説明のように、本実施形態によれば、減速度推定値と目標減速パターンの減速度の差に応じて、位置偏差の許容範囲を列車の移動方向の前後に移動(シフト)あるいはショート側だけ位置偏差許容範囲を拡張させたうえで、減速パターンとの位置偏差予測値に基づいて制御指令を算出する。
これにより、走行時間の延びを抑制しながら停止間際にブレーキ指令を弱くして、停止の瞬間の乗り心地悪化を防止する列車制御装置を提供することができる。
【0078】
本実施形態の列車制御装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0079】
本実施形態の列車制御装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、USBメモリなどの半導体メモリ装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるように構成することも可能である。
【0080】
また、本実施形態の列車制御装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の列車制御装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0081】
また、本実施形態の列車制御装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
100 列車制御装置
101 記憶部
102 車両特性モデル保持部
102 特性モデル保持部
104 減速度比率推定部
105 特性パラメータ調整部
106 特性パラメータ保持部
107 許容範囲パラメータ保持部
108 制御指令算出部
110 速度位置検出装置
111 取得部
120 ATC車上装置
130 制動制御装置
150 車上子
160 受電器
170 モータ
180 ブレーキ装置
190 地上子
200 ATC地上装置
LLM 位置偏差許容範囲のショート側境界
Pov 許容位置偏差
Psh 許容位置偏差
PAR0 位置偏差許容範囲
PAR1 位置偏差許容範囲
PM1 第1係数
PM2 第2係数
PPM 特性パラメータ
TGP 目標減速パターン
TGp 位置
TGstp 停止目標位置
TGvp 列車速度・位置目標値
TRpe 列車位置予測値
TR 列車
TRa 先行列車
TRpe 列車位置予測値
TRve 列車速度予測値
TRvp 列車速度位置
TRvpe 列車速度位置予測値
ULM 位置偏差許容範囲のオーバ側境界
Δp 位置偏差