(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】印刷装置とその制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241111BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20241111BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241111BHJP
B65H 85/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G03G21/00 384
G03G21/14
G03G15/00 463
B65H85/00
(21)【出願番号】P 2021041643
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2020089929
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 純
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142122(JP,A)
【文献】特開平09-230637(JP,A)
【文献】特開2016-052722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0310268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/00
B65H 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面印刷と両面印刷とが混在する印刷ジョブを受信して実行できる印刷装置であって、
シートを収納する収納手段と、
前記収納手段に収納されたシートを給送する給送手段と、
前記給送手段により給送され、両面印刷において一面目が印刷されたシートを、当該シートの二面目に画像を印刷するために
再給送する再給送手段を有する両面搬送路と、
前記印刷ジョブの実行を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
両面印刷が指示されたシートに対応するページが含まれ、片面印刷が指示されたシートに対応するページが含まれない両面印刷ジョブを実行する場合に両面印刷処理を実行するものであり、
K枚よりも多いシートに両面印刷を行う場合の前記両面印刷処理は、
前記給送手段からK枚のシートを給送し、それぞれの第1面に画像が形成された前記K枚のシートを前記両面搬送路へ搬送する第1処理と、
前記第1処理の後に前記再給送手段からシートを給送する再給送処理と前記給送手段からシートを給送する処理とを交互に実行する第2処理と、
前記両面印刷ジョブで前記給送手段から給送されるべき全てのシートが前記給送手段から給送された後に前記再給送手段から前記K枚のシートを給送する第3処理と、を含むものであり、
前記Kの値は、前記両面印刷処理において両面印刷されるべき複数のシートの最初のシートが前記給送手段から給送されてから前記最初のシートが前記再給送手段から給送されるまでに前記給送手段から前記最初のシートを含めて給送されうるシートの枚数であり、
前記制御手段は、両面印刷が指示され、前記Kに等しいL枚のシートに対応するページと、その後の片面印刷が指示されたM枚のシートに対応するページと、その後の両面印刷が指示されたN枚のシートに対応するページとを含む両面・片面混在印刷ジョブを実行する場合、前記Mの値に基づいて第1混在印刷モード或いは第2混在印刷モードを選択するものであり、
前記第1混在印刷モードでは、前記制御手段は、前記M枚のシートのそれぞれを一面目に印刷後に前記両面搬送路へ搬送するが、二面目には印刷しないように、前記L枚のシート、前記M枚のシート、前記N枚のシートに対して前記両面印刷処理を実行するものであり、
前記第2混在印刷モードでは、前記制御手段は、両面印刷が指示されたL枚のシートに前記両面印刷処理を実行し、前記L枚のシートの最後のシートが前記再給送手段から給送された後であり且つ片面印刷が指示された前記M枚のシートの最後のシートが前記給送手段から給送されるよりも前に、両面印刷が指示された前記N枚のシートのシートの少なくとも最初のシートを前記給送手段から給送し、前記N枚のシートの最初のシートの第1面に印刷し、前記M枚のシートの最後のシートが前記給送手段から給送されるよりも後に前記N枚の最初のシートを前記再給送手段から給送するものであり、前記M枚のシートの各々は前記両面搬送路には搬送されないものであり、
前記制御手段は前記Mの値が所定数よりも大きい場合、前記第2混在印刷モードを選択することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記Mの値が前記所定数よりも小さい場合、前記第1混在印刷モードを選択することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記Kの値は、前記両面印刷処理においてシートのサイズに応じた前記両面搬送路に第1面に印刷済みのシートが待機可能な待機位置の数に基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記所定数は、前記両面印刷処理においてシートのサイズに応じた前記両面搬送路にシートの第2面への印刷のためにシートが待機可能な待機位置の数に基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記両面・片面混在印刷ジョブに対して、前記Mの値に応じて前記第1混在印刷モードと前記第2混在印刷モードを選択する自動モードと前記第1混在印刷モードと前記第2混在印刷モードとのいずれかを選択する指示を入力する入力手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
シートを収納する収納手段と、前記収納手段に収納されたシートを給送する給送手段と、前記給送手段により給送され、両面印刷において一面目が印刷されたシートを、当該シートの二面目に画像を印刷するために再給送する再給送手段を有する両面搬送路と、を有し、片面印刷と両面印刷とが混在する印刷ジョブを受信して実行できる印刷装置の制御方法であって、
両面印刷が指示されたシートに対応するページが含まれ、片面印刷が指示されたシートに対応するページが含まれない両面印刷ジョブを実行する場合に両面印刷処理を実行するものであり、
K枚よりも多い複数のシートに両面印刷する場合の前記両面印刷処理は、
前記給送手段から前記K枚のシートを給送し、それぞれの第1面に画像が形成された前記K枚のシートを前記両面搬送路へ搬送する第1処理と、
前記第1処理の後に前記再給送手段からシートを給送する再給送処理と前記給送手段からシートを給送する処理とを交互に実行する第2処理と、
前記両面印刷ジョブで前記給送手段から給送されるべき全てのシートが前記給送手段から給送された後に前記再給送手段から前記K枚のシートを給送する第3処理と、を含むものであり、
前記Kの値は、前記両面印刷処理において両面印刷されるべき複数のシートの最初のシートが前記給送手段から給送されてから前記最初のシートが前記再給送手段から給送されるまでに前記給送手段から前記最初のシートを含めて給送されうるシートの枚数であり、
両面印刷が指示され、前記Kに等しいL枚のシートに対応するページと、その後の片面印刷が指示されたM枚のシートに対応するページと、その後の両面印刷が指示されたN枚のシートに対応するページとを含む両面・片面混在印刷ジョブを実行する場合、前記Mの値に基づいて第1混在印刷モード或いは第2混在印刷モードを選択するものであり、
前記第1混在印刷モードでは、前記M枚のシートのそれぞれを一面目に印刷後に前記両面搬送路へ搬送するが、二面目には印刷しないように、前記L枚のシート、前記M枚のシート、前記N枚のシートに対して前記両面印刷処理を実行するものであり、
前記第2混在印刷モードでは、両面印刷が指示されたL枚のシートに前記両面印刷処理を実行し、前記L枚のシートの最後のシートが前記再給送手段から給送された後であり且つ片面印刷が指示された前記M枚のシートの最後のシートが前記給送手段から給送されるよりも前に、両面印刷が指示された前記N枚のシートのシートの少なくとも最初のシートを前記給送手段から給送し、前記N枚のシートの最初のシートの第1面に印刷し、前記M枚のシートの最後のシートが前記給送手段から給送されるよりも後に前記N枚の最初のシートを前記再給送手段から給送するものであり、前記M枚のシートの各々は前記両面搬送路には搬送されないものであり、
前記Mの値が所定数よりも大きい場合、前記第2混在印刷モードを選択することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置とその制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多数枚の用紙(シート)の表裏両面に画像を形成する方法として、循環型の用紙搬送方式を利用するものがある。これは、画像を転写する転写部に用紙を搬送して、その用紙の片面(1面目)に画像を転写した後、その画像が転写された用紙を反転部に送る。そしてその反転部で表裏を反転させた用紙を両面印刷の2面目用の搬送路を介して再び転写部に搬送し、その用紙の2面目に画像を転写する方式である。
【0003】
特許文献1には、画像形成の生産性を向上させるために、複数枚の両面印刷において、1枚の用紙ごとに給紙、再給紙を行うのではなく、所定枚連続して給紙し、その後、給紙、再給紙を交互に行う両面循環制御が記載されている。
【0004】
また、片面印刷と両面印刷が混在したジョブを高速に出力することも求められている。特許文献1に記載された制御では、両面印刷の1枚目の用紙のオモテ面に画像を形成した後、その用紙を両面搬送路に循環させるため、裏面の画像形成が行われるまで時間が空いてしまう。そのため、両面印刷から片面印刷に切り替わる度に一定の時間を要するため、トータルの印刷スピードが大きく低下するという課題があった。
【0005】
この課題を解決するために、特許文献2は、両面印刷の用紙と片面印刷の用紙とが混在する場合は、片面印刷の用紙であっても、第2面が白紙である両面印刷の用紙として扱う。そして、連続して両面印刷を実施することで両面循環印刷を中断させない搬送制御方法を提案している(強制両面制御)。
【0006】
更に特許文献3は、片面印刷と両面印刷とが混在したジョブを高速に実行する技術を記載している。これによれば、片面印刷のページ群の後にある両面印刷のオモテ面の画像形成を片面印刷ページ群より先に実行して、その記録済みのシートを両面搬送路に退避させ、次に片面印刷ページ群の印刷及び排出を行う。その後、両面搬送路に退避しているシートに対して両面印刷の残りの裏面の印刷、及び排出を実行する。こうして片面印刷と両面印刷とが混載されたジョブを高速に実行する技術が提案されている(追越両面制御)。これにより、両面印刷でオモテ面の画像が形成されたシートが両面搬送路で待機、或いは両面搬送路で搬送されている時間を有効に使用して片面印刷を並行して実行し、従来よりもトータルの印刷時間を大幅に削減することが可能となる。また特許文献4には、両面印刷では、所定枚数連続して給紙し、その後、給紙、再給紙を交互に行う両面循環制御において、片面印刷を実施する場合には強制的に両面印刷を行って両面循環を継続することが記載されている。そして強制両面印刷を連続して実施した回数をカウントするカウンタを設け、そのカウンタの値がある閾値を超えたら、強制両面印刷を中断して片面印刷を実施することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平1-11272号公報
【文献】特開2001-282050号公報
【文献】特開2012-3252号公報
【文献】特開2018-176562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、片面印刷と両面印刷が混在したジョブを高速に実行する搬送制御方法(以降、片両混在印刷制御と呼ぶ)として、特許文献2や特許文献3に記載の方法がある。この片両混在印刷制御は、印刷装置のシートの状態や、これから実行するジョブにおける片両混在の状態に応じて、最適な片両混在印刷制御を選択する必要がある。しかしながら、これから実行するジョブに最適な片両混在印刷制御をユーザに選択させることは難しい。片両混在印刷制御の選択によっては、かえってジョブの実行パフォーマンスを低下させるという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点の少なくとも一つを解決することにある。
【0010】
本発明の目的は、片面印刷と両面印刷が混在している印刷ジョブに対して、自動的に印刷装置が最適な印刷制御方法を選択して実行できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷装置は以下のような構成を備える。即ち、
片面印刷と両面印刷とが混在する印刷ジョブを受信して実行できる印刷装置であって、
シートを収納する収納手段と、
前記収納手段に収納されたシートを給送する給送手段と、
前記給送手段により給送され、両面印刷において一面目が印刷されたシートを、当該シートの二面目に画像を印刷するために再給送する再給送手段を有する両面搬送路と、
前記印刷ジョブの実行を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、両面印刷が指示されたシートに対応するページが含まれ、片面印刷が指示されたシートに対応するページが含まれない両面印刷ジョブを実行する場合に両面印刷処理を実行するものであり、
K枚よりも多いシートに両面印刷を行う場合の前記両面印刷処理は、
前記給送手段からK枚のシートを給送し、それぞれの第1面に画像が形成された前記K枚のシートを前記両面搬送路へ搬送する第1処理と、
前記第1処理の後に前記再給送手段からシートを給送する再給送処理と前記給送手段からシートを給送する処理とを交互に実行する第2処理と、
前記両面印刷ジョブで前記給送手段から給送されるべき全てのシートが前記給送手段から給送された後に前記再給送手段から前記K枚のシートを給送する第3処理と、を含むものであり、
前記Kの値は、前記両面印刷処理において両面印刷されるべき複数のシートの最初のシートが前記給送手段から給送されてから前記最初のシートが前記再給送手段から給送されるまでに前記給送手段から前記最初のシートを含めて給送されうるシートの枚数であり、
前記制御手段は、両面印刷が指示され、前記Kに等しいL枚のシートに対応するページと、その後の片面印刷が指示されたM枚のシートに対応するページと、その後の両面印刷が指示されたN枚のシートに対応するページとを含む両面・片面混在印刷ジョブを実行する場合、前記Mの値に基づいて第1混在印刷モード或いは第2混在印刷モードを選択するものであり、
前記第1混在印刷モードでは、前記制御手段は、前記M枚のシートのそれぞれを一面目に印刷後に前記両面搬送路へ搬送するが、二面目には印刷しないように、前記L枚のシート、前記M枚のシート、前記N枚のシートに対して前記両面印刷処理を実行するものであり、
前記第2混在印刷モードでは、前記制御手段は、両面印刷が指示されたL枚のシートに前記両面印刷処理を実行し、前記L枚のシートの最後のシートが前記再給送手段から給送された後であり且つ片面印刷が指示された前記M枚のシートの最後のシートが前記給送手段から給送されるよりも前に、両面印刷が指示された前記N枚のシートのシートの少なくとも最初のシートを前記給送手段から給送し、前記N枚のシートの最初のシートの第1面に印刷し、前記M枚のシートの最後のシートが前記給送手段から給送されるよりも後に前記N枚の最初のシートを前記再給送手段から給送するものであり、前記M枚のシートの各々は前記両面搬送路には搬送されないものであり、
前記制御手段は前記Mの値が所定数よりも大きい場合、前記第2混在印刷モードを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、片面印刷と両面印刷が混在している印刷ジョブを、ユーザが印刷ジョブの状態や、印刷装置内のシートの状態等に基づいて判断することなく、印刷装置が自動的に最適な印刷制御を選択して実行できるという効果がある。
【0013】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置を含む印刷システムの構成を示す図。
【
図2】実施形態1に係る画像形成装置の機構を説明する概略断面図。
【
図3】実施形態1に係る画像形成装置の制御部のハードウェア構成を説明するブロック図。
【
図4】実施形態1に係る画像形成装置における、シートを搬送するための搬送経路を説明する図。
【
図5】実施形態1に係る画像形成装置におけるシートの搬送の状態を簡易的に示す図。
【
図6】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図7】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図8】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図9】実施形態1に係る画像形成装置における追越両面制御を説明するフローチャート。
【
図10】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図11】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図12】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図13】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図14】実施形態1に係る画像形成装置における搬送制御の一例を説明する図。
【
図15】実施形態1に係る画像形成装置における通常両面、追越両面、強制両面の切替制御時の制御方法を説明するフローチャート。
【
図16】実施形態2に係る画像形成の操作部に表示される画面例を示す図。
【
図17】実施形態2に係る画像形成装置における通常両面、追越両面、強制両面の切替制御時の制御方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これら複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置(印刷装置)101を含む印刷システムの構成を示す図である。
【0017】
ホストコンピュータ102は、ネットワーク103を介して、実施形態1に係る画像形成装置101に印刷データを送信する。ホストコンピュータ102は、印刷データを送信する機能の他に、画像処理アプリケーションを稼動させて画像編集処理を行う機能も備えている。画像形成装置101は、ネットワーク103を介してホストコンピュータ102と通信を行う。この印刷システムでは、画像形成装置101は、ネットワーク103を介してホストコンピュータ102から受信した印刷データに従って画像を形成する。尚、ネットワーク103は、有線であっても、無線であってもよい。また、ホストコンピュータ102は、
図1に示すように、ネットワーク103に複数台接続されてもよい。
【0018】
図2は、実施形態1に係る画像形成装置101の機構を説明する概略断面図である。
【0019】
制御部201は、画像形成装置101の各種制御を行うためのソフトウェアを実行して、この画像形成装置101の動作を制御する。操作部202は操作者により操作され、画像形成装置101に対する各種操作の指示を受け付けるハードキー等、及び操作者に対して各種情報を表示して提示する表示部を有する。尚、表示部はタッチパネル機能を有しても良い。トナー供給部203は、画像形成装置101の画像形成部に対して現像剤であるトナーを供給する。トナー供給部203には、扉が装備されており、操作者が扉からトナーを供給することが可能である。画像形成部204は、トナー供給部203より供給されたトナーを用いて、印刷データで指示されている画像を中間転写ベルト205上に形成する。中間転写ベルト205に形成された画像は、シートなどの印刷メディアに転写される。定着器206は、中間転写ベルト205によって画像が転写されたシートに熱及び圧力を加えることにより、そのシートにトナー像を定着させる。余剰トナー回収部207は、シートに転写されずに中間転写ベルト205上に残ったトナーを回収して蓄積する。給紙部208は、複数枚のシートを収納可能で、この給紙部208のシートはシート搬送部209により画像形成部204に給送されて画像形成に使用される。またシート搬送部209は、画像形成部204により画像が形成されたシートを、そのシートに転写された画像を定着させるために定着器206に搬送する。スイッチバック部210は、両面印刷の第2面の印刷や裏面を上にしてのシート排出のためにシートの表裏を反転させる。シート投入口211は、外部の給紙装置からシートを受け入れる。排出部212は、定着処理されたシートを外部の装置、例えば排出ユニット、或いは後処理装置等に排出する。
【0020】
図3は、実施形態1に係る画像形成装置101の制御部201のハードウェア構成を説明するブロック図である。
【0021】
ネットワークケーブル303は、ネットワーク103を介してホストコンピュータ102や不図示の外部機器と接続する。回線ケーブル304は、不図示の外部機器と電話回線を介して接続する。CPU305は、RAM306に展開されたプログラムを実行して、この制御部201を制御する。RAM306は、CPU305のワークメモリを提供している。このRAM306は、更に、外部から受信したデータを一時的に蓄えるための受信バッファや、RIP(Raster Image Processor)321によってラスタライズされた画像データを一時的に蓄えるための画像バッファ等として使用される。操作部I/F307は、操作部202と制御部201とを接続するインターフェースである。ネットワークI/F308は、制御部201とネットワーク103とを接続するためのインターフェースである。モデム309は、制御部201と電話回線とを接続するためのインターフェースである。ROM310は、CPU305により実行されるブートプログラムなどを記憶している。HDD(ハードディスクドライブ)311は、CPU305により実行されるプログラムなどを記憶している。上述した各部はCPUバス312を介してCPU305と接続されている。CPU305は、上述のブートプログラムを実行してHDD311に格納されているプログラムをRAM306に展開し、その展開したプログラムを実行して、この画像形成装置101の動作を制御している。
【0022】
イメージバスI/F313は、画像データを高速に転送するイメージバス324とCPUバス312とを接続するバスブリッジとして機能している。イメージバス324は、画像処理を行うためのハードウェア群に接続されている。RIP(ラスタイメージプロセッサ)321は、外部から入力されるページ記述データをビットマップイメージデータに変換する機能を有するラスタライズ部である。RIPI/F314は、RIP321とイメージバス324とを接続するインターフェースである。データ圧縮/伸張部315は、データの圧縮及び伸張を行う。給紙及び排紙装置322は、
図1の給紙部208や排紙部(不図示)を含む。プリンタ323は、
図2の画像形成部204や定着器206、中間転写ベルト205等を含み、画像をシート上に形成(印刷)する。デバイスI/F316は、バス319,320を介してプリンタ323及び給紙及び排紙装置322をイメージバス324に接続するためのインターフェースである。画像処理部317は、RIP321によって生成されたビットマップイメージデータに各種画像処理を施す。画像処理部317は、例えば、2ページのビットマップイメージデータを1ページのビットマップイメージデータに合成する機能等を備える。CPU305は、操作部202、或いはホストコンピュータ102からネットワークケーブル303を介して指示される印刷ジョブに従って、これらプリンタ323及び、給紙及び排紙装置322を制御して印刷を行う。
【0023】
図4は、実施形態1に係る画像形成装置101における、シートを搬送するための搬送経路を説明する図である。
【0024】
受け口401は、シート投入口211からシートをシート搬送経路へ受け入れる。また受け口402は、
図2の給紙部208からシートをシート搬送経路へ受け入れる。排出口421は
図2の排出部212に相当し、シートをシート搬送経路から外部の装置へ排出する。搬送経路上に設けられた搬送ローラ403~420は、シートの搬送経路に応じてそれぞれ独立に制御される。
【0025】
シートの片面のみへの印刷を行ない、印刷面が上になるように排出する場合は、シートは搬送ローラ403,404,405,406,407,421の順に搬送される。即ち、シートは
図4の一番上の搬送路を通過する。このときシートが通過する経路は、
図2において、中間転写ベルト205で画像が転写されたシートが定着器206を通過して、そのまま排出される経路に相当している。
【0026】
一方、シートの片面のみへの印刷を行ない、印刷面が下になるように排出する場合、シートは搬送ローラ403,404,405,406,408,409,410,411,412,411,413,414,421の順に搬送される。なお、搬送ローラ411,412は、正逆転可能であり、シートをスイッチバックで搬送させる。即ち、シートは搬送ローラ408~414を通過することでシートの表裏が反転されて排出される。
【0027】
更に、シートの両面に印刷を行う場合、シートは、搬送ローラ403,404,405,406,408,409,410,411,412,411,415,416,417,418,419,420,403,404,405,406,407,421の順に搬送される。尚、両面印刷の場合も搬送ローラ411,412を含む搬送経路は、スイッチバックによるシート搬送を行う部分であり、搬送ローラを逆回転にして制御を行う。また搬送ローラ406,411には、シートを搬送する搬送路を切り替えるための機構(例えばフラッパ)が設けられている。
【0028】
次に
図5を参照して、両面循環制御について説明する。
【0029】
図5(A)は、両面印刷時の搬送経路において、両面印刷のためにシートを待機させる位置を示す模式図で、reference numerals 501~505はそれぞれ再給紙(再給送)待ちのシートの待機位置を示している。ここでは5枚のシートを待機させることができる場合を示している。
【0030】
図5(B)は、
図5(A)に示す5枚のシートが再給紙待ちとなる9枚循環の給紙順(給送順)を表している。
図5(C)は
図5(B)とは異なり、3枚のシートを待機させることができる場合の5枚循環の給紙順を表している。
図5(D)は、
図5(B)に示す9枚循環で、搬送路上で
図5(C)に示す5枚循環を実施した場合の給紙順と紙間を表している。更に、
図5(E)は、
図5(B)と
図5(C)に示す9枚循環と5枚循環において先行して給紙できるシートの枚数の関係を表している。
【0031】
次に、それぞれ
図5(A)から
図5(E)を詳しく説明する。尚、
図5(B)~
図5(D)において、数字の1~5は、給紙される1~5枚のシートを順番で示している。
【0032】
図5(A)は、上述した搬送経路上に5枚のシートが同時に存在する場合を示している。参照番号501~505は各シートの待機位置を示し、そのシートの第1面(例えばオモテ面)に像が形成された後に、その反対面である第2面(裏面)を印刷するために待機している。両面動作をするときには、受け口401もしくは402からの第1面印刷のための給紙と、第2面を印刷するための再給紙を交互に行うことにより生産性を向上させる。
【0033】
図5(B)は、5枚のシートに両面印刷する場合の給紙、再給紙の順を表した図である。
図5(A)に示す通り、画像形成装置の搬送路では、5面分のシートが、再給紙のための待機位置501~505に待機できる。そのため、5面分先行して5枚のシートの第1面を印刷し、それら印刷した5枚のシートを待機させる。その後、待機位置501~505に待機しているシートを再給紙して、それらの第2面に印刷する。この再給紙のための待機位置は、画像形成装置のシート搬送路の長さや機構などによって決まる。
図5(B)では、参照番号551で示すように、給紙されたシートが再給紙されるまでの面数が9枚分となるため9枚循環と呼ばれている。
【0034】
いま仮に3枚のシートを給紙したのちに1枚目のシートが再給紙される機種では、
図5(C)に示すような制御となる。即ち、1~3枚目のシートを連続して給紙し、その第1面に印刷し、再給紙のために1~3枚目のシートを待機させる。その後、1~3枚目のシートの第2面へ印刷するためのシートの再給紙、4,5枚目のシートの第1面に印刷するための4,5枚目のシートの給紙を交互に行う印刷制御方法である。
図5(C)では、参照番号561で示すように、最初に給紙されたシートが再給紙されるまでに搬送路に存在可能なシートの面数が5枚分となるため5枚循環と呼ばれている。
【0035】
図5(D)は、
図5(A)のように、5面分のシートが再給紙のために待機できる待機位置が存在する搬送パスで5枚循環を行った場合の説明図である。この場合、5枚循環のように3枚給紙を先行したとしても、実際の搬送路はシート長に比べてかなり長いため、
図5(B)と同様に、シートを給紙してから、同じシートの第2面を印刷するために、そのシートが再給紙されるまでには9面分の紙間が必要となる。そのため、参照番号571,572で示すような紙間が空くことになる。このため、
図5(B)の9枚循環に比べて参照番号581で示す分、印刷が終了するまでの時間が長くなる。
【0036】
図5(E)は、実施形態1に係る画像形成装置101における両面循環枚数と、再給紙開始前に連続して給紙できる枚数との関係を示す図である。
【0037】
「(再給紙開始前に連続して給紙できる枚数)×2-1」が両面循環枚数となる。
図5(A)の例では、この両面循環枚数は「9」となる。この両面循環枚数は、画像形成装置101の搬送路や、印刷するシートのサイズによっても変わる。そのため、
図5(E)の値は、実施形態1に係る一例を示す。また後述する
図8の追越両面制御では、通常両面制御に比べて両面循環枚数が減る。実施形態1では、通常両面の両面循環枚数は9枚、追越両面の両面循環枚数は5枚となる。
【0038】
図6は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは通常両面と強制両面の違いを説明している。ここではシート1~5枚目を両面印刷し、6枚目のシートを片面印刷、シート7~11枚目を両面印刷するときの説明図である。
【0039】
図6(A)は、通常両面の場合を表した図である。通常両面とは、両面印刷されるシートは両面印刷の搬送制御、片面印刷されるシートは片面印刷の搬送制御により両面印刷を行う制御方法である。即ち、両面印刷では、シートは、
図4に示す搬送ローラ403,404,405,406,408,409,410,411,412,411,415,416,417,418,419,420,403,404,405,406,407,421の順に搬送される。そして、片面印刷されるシートは、
図4に示す搬送ローラ403,404,405,406,408,409,410,411,412,411,413,414,421の順に搬送される。
【0040】
図6(A)で示した通り、印刷範囲601では両面印刷制御を行なう。即ち、印刷範囲602での片面印刷のために、1~5枚目の全てのシートの両面印刷を実施してから、次の6枚目のシートの片面印刷を行う。そして片面印刷範囲602で6枚目のシートの片面印刷を行った後、次の7~11枚目のシートの両面印刷を行うために、両面印刷範囲603で、再度、両面印刷制御を行う。
【0041】
このように通常両面では、両面印刷から片面印刷に切り替える際に、一度、両面印刷のシートの再給紙(両面印刷)を全て完了してから、片面印刷のためのシートの搬送制御に切り替える必要がある。以降、この切替動作を「両面循環が途切れる」と表現する。
【0042】
図6(B)は、強制両面を説明する図である。強制両面とは、片面印刷のシートであっても第2面が白紙である両面印刷シートであるとみなして両面印刷を行う搬送制御である。
図6(B)では、6枚目のシートは片面印刷であるが、その第2面が白の画像であるとみなして両面印刷制御を行っている。図では、6枚目のシートをグレーの背景で表現している。以降、強制両面に切り替えた片面のシートは、グレーの背景で表現する。この制御方法により、印刷範囲611では、全てのシートが両面循環制御を継続することができる。そのため、参照番号651で示す面数分、通常両面に比べて強制両面のほうが、印刷に要する時間が短くなっていることがわかる。
【0043】
図7は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは、通常両面と追越両面の違いを説明している。ここでは、最初の1~8枚目のシートに片面印刷、9枚目の1枚のシートに両面印刷を行う場合の説明図である。
【0044】
図7(A)は、通常両面を説明する図である。印刷範囲701では、1~8枚目のシートに片面印刷している、そして印刷範囲702では、9枚目のシートに両面印刷している。印刷範囲702で、1枚のシートに両面印刷を実施するためには、そのシートを
図4の両面パス分の搬送路を搬送する必要がある。このため、その分、10枚目のシートを給紙するまでの間が空くことになる。この空いた紙間が印刷時間の増大の原因となる。
【0045】
図7(B)は、追越両面を説明する図である。追越両面とは、通常両面印刷の給紙から再給紙までの空いた紙間(印刷範囲701)が無駄であるという考えから生まれた制御方法である。この追越両面では、片面印刷の後に両面印刷が続く印刷において、片面印刷となるページを追越して、後続の両面印刷の第1面となるページを先に印刷し、そのシートの第2面に印刷するまでの空いた紙間で、片面印刷となるページの印刷を行う制御方法である。
【0046】
即ち、ここでは片面印刷対象である1~8枚目のシートに続く両面印刷対象である9枚目のシートを片面印刷よりも先に給紙して、その9枚目のシートの第1面に印刷する。その次に追越された片面印刷される1~8枚目のシートに片面印刷する(印刷範囲711)。その後、第1面が印刷された9枚目のシートの第2面に印刷する。
図7(B)では、追越される片面印刷対象の1~8枚目のシートを黒い背景の白文字で表現している。以降の図面では、この追越両面によって、追越される片面印刷用のシートは、黒い背景の白文字で表現する。なお、片面印刷対象のシートとは、詳細には、印刷ジョブで片面印刷が指定されたページの画像が印刷されるべきシートのことである。両面印刷対象のシートとは、詳細には、印刷ジョブで両面印刷における第1面(第2面)として指定されたページの画像が印刷されるシートのことである。
【0047】
この追越両面の制御方法を、
図7(C)の給紙待ちキュー721~729を参照して説明する。
【0048】
この給紙待ちキューは、RAM306上のデータ構造で、これから給紙するシートを表現したものである。ここでは印刷順に給紙待ちキューに片面印刷のシート、或いは両面印刷のシートが追加され、給紙された時点(両面印刷の場合も二面目(裏面)の印刷のための再給紙ではなく、一面目(オモテ面)の印刷のために給紙された時点)でキューから消去される。
【0049】
給紙待ちキュー721では、片面印刷される1~8枚目のシートを1S~8Sで表現し、両面印刷される9枚目のシートを9Dで表現している。ここでのS,Dは、片面(Simplex)、両面(Duplex)を表現したサフィックスである。追越両面では、給紙待ちキューの先頭シートの後続の「両面循環枚数-1」内に、両面印刷が存在するかを確認している。存在する場合は、その両面印刷されるシートを先に給紙する。給紙待ちキュー721では、1Sの後続シートとして「2S,3S,4S,5S,6S,7S,8S,9D」が存在する。前述したように実施形態1では、両面循環枚数は9枚なので、2Sから9-1=8枚以内に両面印刷のシートが存在するか否か判定する。給紙待ちキュー721では、9Dが2Sからちょうど8枚目に存在する。そのため、1Sよりも9Dを先に給紙する。各給紙待ちキューで給紙対象となったシートは、(下線+イタリックフォント)で表現している。なお、
図9Cでは再給紙待ちは含まれていない。給紙待ちキュー721では、9Dが給紙対象となったため、下線付きイタリックフォントの「9D」で示している。そして給紙待ちキュー722~729では、給紙待ちキューの先頭のシート「1S,2S,3S,4S,5S,6S,7S,8S」を順に給紙する。これにより、参照番号751で示すように、通常両面に比べて、追越両面の方が8面分、印刷に要する時間が短くなり、パフォーマンスが有利となっている。
【0050】
図8は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは1~10枚目のシートが片面印刷され、11~15枚目のシートが追越両面制御により両面印刷される場合の説明図である。
【0051】
給紙待ちキュー821,822では、1S,2Sのシートのそれぞれ後続8枚目までに両面印刷のシートが存在しないため、それぞれ1S,2Sが給紙されて、片面印刷が実行される。次に給紙待ちキュー823では、3Sの後続8枚目までに両面印刷のシート11Dが存在するため、後続の両面印刷用のシート11Dが先に給紙される。そして次の給紙待ちキュー824では、給紙待ちキュー823で11Dが給紙されたため、給紙待ちキューから11Dは消去される。更に、3Sの後続8枚目に、両面印刷のシート12Dが存在することになる。そのため、後続の両面印刷のシート12Dが先に給紙される。そして給紙待ちキュー825は、給紙待ちキュー824と同様に、後続の両面印刷のシート13Dが先に給紙される。
【0052】
次に給紙待ちキュー826では、3Sの後続8枚目までに両面印刷のシート14Dが存在する。しかし
図5(A)に示すように、追越両面時には、両面印刷と片面印刷のシートが混在するため、両面印刷用のシートの再給紙のための待機位置は、待機位置501,502,503しか使えない。これは片面印刷のシートは、反転排紙ために搬送ローラ408,409,410,411,412,411,413,414,421の順に搬送される必要があるためである。仮に両面印刷のためのシートの再給紙のための待機位置504,505にシートを待機させると、片面印刷で反転するシートとの衝突が発生し、ジャムが発生する。その結果、追越両面の場合は3枚のシートしか先行して給紙できず、実質、5枚循環で動作することになる。この通常両面と追越両面で両面循環枚数が変わることの説明は、
図5(E)を参照して前述した通りである。従って、ここでは既に、給紙待ちキュー823,824,825で3枚のシートが先行して給紙されているため、これ以上、両面印刷用のシートを先行して給紙できないため3Sが給紙される。ここでは先行して給紙されなかった両面印刷のシート14Dをグレーで表現している。
【0053】
同様に、給紙待ちキュー827~833では、給紙待ちキュー826と同様に、それぞれ先頭シートの後続の8枚目のシートまでに両面印刷のシート14Dが存在する。既に、3枚のシートが先行して給紙されているため、給紙待ちキューの先頭の片面印刷用のシート3S,4S,5S,6S,7S,8S,9S,10Sが給紙される。
【0054】
そして給紙待ちキュー833で10枚目の片面印刷のシート10Sが給紙された後、両面印刷の待機位置501(最下流の待機位置)に存在する、給紙待ちキュー823で給紙されたシート11Dが再給紙される。本来、シート11Dは給紙された後、9面後に再給紙できるはずである。
図8では、そのポイントを★印で表現している。しかし、この時点では追越された片面印刷のシート7S~10Sが給紙されていないため、シート11Dの再給紙は、シート10Sの給紙の後になる。
【0055】
給紙待ちキュー834では、先行給紙した両面印刷のシートが2枚となったため、シート14Dが給紙される。このシート14Dが給紙されて第1面に印刷された後、シート12Dの第2面の印刷のためにシート12Dが再給紙され、給紙待ちキュー835でシート15Dの第2面の印刷のためにシート15Dが再給紙される。
【0056】
次に
図9のフローチャートを参照して、追越両面制御時の制御方法を説明する。
【0057】
図9は、実施形態1に係る画像形成装置101における追越両面制御を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU305がRAM306に展開したプログラムを実行することにより達成される。
【0058】
まずS901でCPU305は、RAM306上の給紙待ちキューにシートが存在するか否か判定する。存在すると判定した場合は処理はS902に進み、存在しないと判定した場合は処理はS901に戻り、再度、給紙待ちのシートが登録されるのを待つ。S902でCPU305は、給紙待ちキューの先頭のシートが片面印刷か両面印刷か判定する。片面印刷の場合、処理はS903に進み、両面印刷の場合、処理はS907に進む。S903でCPU305は、給紙待ちキューの先頭のシートの次から「通常両面の両面循環枚数分-1」分後ろに両面印刷のシートがあるか否か判定する。ここでの通常両面の両面循環枚数とは、例えば、
図5(E)に示す9枚である。従って、S903でCPU305は先頭のシートの後続8枚目までに両面印刷のシートがあるかどうか判定する。S903でCPU305は、後続の8枚目までに両面印刷のシートが存在しないと判定するとS904に進み、給紙待ちキューの先頭のシートを給紙して、この処理を終了する。
【0059】
一方、S903でCPU305は、後続の8枚目までに両面印刷のシートが存在すると判定すると処理はS905に進む。S905でCPU305は、追越両面用の両面の待機位置に空きがあるか否か判定する。例えば、
図5(E)の例では、追越両面時には先行して給紙できる両面印刷のシートの枚数は3枚までとなる。追越両面用の両面印刷の待機位置に空きが存在すると判定すると処理はS906に進み、空きが存在しないと判定すると処理はS904に進み、給紙待ちキューの先頭の片面印刷のシートを給紙する。S906でCPU305は、S903で見つけた給紙待ちのシートの先頭から(両面循環枚数分-1)分後ろに存在する両面印刷のシートを給紙して、この処理を終了する。
【0060】
S907でCPU305は、両面印刷のシートの待機位置に空きがあるか否か判定する。空きが存在すると判定すると処理はS909に進み、CPU305は、給紙待ちキューの先頭の両面印刷のシートを給紙して、この処理を終了する。一方、S907でCPU305は、待機位置の空きが存在しないと判定した場合、処理をS908に進める。S908でCPU305は、両面待機位置のシートが再給紙されたか否か判定し、両面待機位置にあるシートが再給紙されると処理をS909に進め、再給紙されなければ、両面待機位置のシートが再給紙されるまで処理をS908に留める。
【0061】
図8の給紙待ちキュー821,822では、
図9のS901→S902→S903→S904の順に処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷のシートが給紙される。
【0062】
図8の給紙待ちキュー823,824,825では、
図9のS901→S902→S903→S905→S906の順に処理が実行され、給紙待ちキューの先頭シートではなく、S903で見つけた両面印刷のシートが給紙される。
【0063】
図8の給紙待ちキュー826~833では、S901→S902→S903→S905→S904の順に処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷のシートが給紙される。
【0064】
図8の給紙待ちキュー834,835では、S901→S902→S907→S909或いは、S901→S902→S907→S908→S909の順に処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の両面印刷のシートが給紙される。
【0065】
図10は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは
図8と同様の1~10枚目のシートが片面印刷され、11~15枚目のシートが両面印刷される場合における通常両面、強制両面それぞれの説明図である。追越両面については
図8で説明したため割愛する。
【0066】
図10(A)は、通常両面の場合を表しており、印刷範囲1001では、1~10枚目のシート(1~10)が給紙されて片面印刷される。次に印刷範囲1002で、次の11~15枚目のシート(11~15)が9枚循環(5枚給紙を先行する)で給紙されて両面印刷される。
【0067】
図10(B)は強制両面の場合を表しており、片面印刷対象の1~10枚目のシート(1~10)も片面印刷後に両面パスを搬送される。即ち、印刷範囲1011で片面印刷対象の10枚のシート(1~10)と両面印刷対象の5枚のシート(11~15)が連続して9枚循環で両面印刷される制御が実行される。
【0068】
強制両面は、両面印刷対象のシートの間に存在する片面印刷のシートを片面印刷後に両面パスを搬送させることで、両面循環を途切れさせないようにし、パフォーマンスの向上を狙っている。尚、両面印刷対象シートとは、印刷ジョブで両面印刷が指示された画像が印刷されるべきシートのことである。同様に、片面印刷対象シートとは、印刷ジョブで片面印刷が指示された画像が印刷されるべきシートのことである。
図10(B)のように、印刷ジョブの先頭から片面印刷対象シートが連続する場合は、むしろ無駄に両面パスを通すことになるため、パフォーマンスは劣化する。
図10の例では、参照番号1051で示すように、通常両面のほうが、強制両面よりも10面分早くシートの給紙が完了することがわかる。
【0069】
図11は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここで1~5枚目のシートが両面印刷対象のシートであり、6~15枚目のシートが片面印刷対象のシートであり、そして16~20枚目のシートが両面印刷対象のシートである場合における通常両面、強制両面、追越両面のそれぞれの説明図である。
【0070】
図11(A)は、通常両面を表しており、印刷範囲1101で両面印刷対象の5枚のシート(1~5)が9枚循環で両面印刷される。次に印刷範囲1102で、片面印刷対象の10枚のシート(6~15)がそのオモテ面に片面印刷される。そして印刷範囲1103で、両面印刷対象の5枚のシート(16~20)が9枚循環で両面印刷される。
【0071】
図11(B)は、強制両面を表しており、片面印刷対象の10枚のシート(6~15)が片面印刷後に両面パスを搬送される。即ち、印刷範囲1111で、両面印刷対象の5枚のシート(1~5)、片面印刷対象の10枚のシート(6~15)、両面印刷対象の5枚のシート(16~20)が連続して9枚循環で両面印刷される。
【0072】
図11(C)は、追越両面を表しており、給紙待ちキュー1121~1125では、
図9のフローチャートS901→S902→S907→S909のフロー順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の両面印刷のシートが給紙される。
【0073】
給紙待ちキュー1126~1127では、S901→S902→S903→S904順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷対象のシート6S、7Sが給紙される。給紙待ちキュー1128~1130では、S901→S902→S903→S905→S906の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭のシートではなく、S903で見つけられた両面印刷対象のシート16D,17D,18Dが給紙される。
【0074】
給紙待ちキュー1131~1138では、S901→S902→S903→S905→S904の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷対象のシート8S~15Sが給紙される。
【0075】
給紙待ちキュー1139~1140では、S901→S902→S907→S909或いは、S901→S902→S907→S908→S909の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の両面印刷対象のシート19D,20Dが給紙される。
【0076】
上述の通常両面、強制両面、追越両面のパフォーマンスを比較すると、参照番号1151,1152で示すように、通常両面と追越両面の方が、強制両面よりも2面分パフォーマンスが優れていることがわかる。
【0077】
図10において、強制両面は、両面印刷対象のシートの間に存在する片面印刷対象のシートを、片面印刷後に両面パスを搬送させることにより両面循環を継続させる。これにより、パフォーマンスの向上を狙っていると説明した。しかし
図11のように、両面印刷対象のシートの間に複数の片面印刷対象のシートが連続して存在する場合でも、その片面印刷対象のシートの枚数が所定枚数より多い場合は、片面印刷対象のシートを片面印刷後に強制的に両面パスに搬送させることによるデメリットが大きくなる。
【0078】
図12は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは1~5枚目のシートが両面印刷対象のシートであり、6~15枚目のシートが片面印刷対象のシートであり、更に16~18枚目のシートが両面印刷対象のシートである場合における通常両面、強制両面、追越両面のそれぞれの説明図である。
【0079】
図12(A)は、通常両面を表しており、印刷範囲1201で両面印刷対象の5枚のシート(1~5)が9枚循環で両面印刷される。次に印刷範囲1202で片面印刷対象の10枚のシート(6~15)が片面印刷される。そして印刷範囲1203で、両面印刷対象の3枚のシート(16~18)が9枚循環で両面印刷される。
【0080】
図12(B)は強制両面を表している。ここでは印刷範囲1211で、6~15枚目の片面印刷対象のシート(6~15)が片面印刷後に両面パスを搬送される。これにより、両面印刷対象の5枚のシート(1~5)、片面印刷対象の10枚のシート(6~15)、両面印刷対象の3枚のシート(16~18)が9枚循環で両面印刷される。
【0081】
図12(C)は追越両面を表している。給紙待ちキュー1221~1225では、
図9のフローチャートS901→S902→S907→S909の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の両面印刷対象のシートが給紙されて、その両面に印刷される。
【0082】
給紙待ちキュー1226~1227では、S901→S902→S903→S904の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷対象のシート6S,7Sが給紙されて第1面に印刷される。給紙待ちキュー1228~1230では、S901→S902→S903→S905→S906の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭のシートではなく、S903で見つけられた両面印刷対象のシート16D~18Dが給紙されて、それぞれの第1面に印刷される。
【0083】
そして給紙待ちキュー1231~1238では、S901→S902→S903→S905→S904の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷対象のシート8S~15Sが給紙されて、それぞれの第1面に印刷される。
【0084】
図11の例では、通常両面と追越両面のパフォーマンスは同じであったが、
図12の例では、参照番号1251で示すように、追越両面が通常両面に比べて4面分パフォーマンスが良いことがわかる。
図11の例と
図12の例とのパフォーマンスの違いは、片面印刷対象の10枚のシート(6~15)に後続する両面印刷対象もシートの枚数に起因している。即ち、
図11の例では片面印刷対象シートの両面印刷対象のシートの枚数が5枚(16~20)であったのに対して、
図12の例では3枚(16~18)と少なくなっている。
【0085】
追越両面では、両面循環枚数が5枚であるため、片面印刷に先行して給紙できる両面印刷対象シートの枚数が3枚となる。この先行給紙できる両面印刷対象のシート数が3以下であれば、追越両面が有利となる。これは、連続する両面印刷対象のシート枚数が3より多い場合、先行給紙される両面印刷対象のシートの後に、先行給紙されない両面印刷対象のシートだけが両面パスを搬送されるためである。これは
図11のシート19D,20Dの分に相当している。
【0086】
図13は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは、1~5枚目のシートが両面印刷対象のシートであり、6~12枚目のシートが片面印刷対象のシートであり、13~17枚目のシートが両面印刷対象のシートである場合における通常両面、強制両面、追越両面のそれぞれの説明図である。
【0087】
図13(A)は通常両面を表しており、印刷範囲1301で、両面印刷対象の5枚のシート(1~5)が9枚循環で両面印刷される。そして印刷範囲1302で、6~12枚目の片面印刷対象の7枚のシート(6~12)が片面印刷され、印刷範囲1303で、13~17枚目の両面印刷対象の5枚のシート(13~17)が9枚循環で両面印刷される。
【0088】
図13(B)は強制両面を表しており、6~12枚目の片面印刷対象の7枚のシート(6~12)が片面印刷後に両面パスを搬送される。即ち、印刷範囲1311で、両面印刷対象の5枚のシート(1~5)、片面印刷対象の7枚のシート(6~12)、両面印刷対象の5枚のシート(13~17)が連続して9枚循環で両面印刷される。
【0089】
図13(C)は追越両面を表しており、給紙待ちキュー1321~1325では、
図9のフローチャートS901→S902→S907→S909の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の両面印刷のシート1D~5Dが給紙されて両面印刷される。
【0090】
給紙待ちキュー1326~1328では、S901→S902→S903→S905→S906の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭シートではなく、S903で見つけられた両面印刷のシート13D,14D,15Dが給紙される。
【0091】
給紙待ちキュー1329~1335では、S901→S902→S903→S905→S904の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の片面印刷のシート6S~12Sが給紙されてオモテ面に印刷される。
【0092】
そして給紙待ちキュー1336~1337では、S901→S902→S907→S909或いは、S901→S902→S907→S908→S909の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭の両面印刷対象のシート16D,17Dが給紙される。
【0093】
図11及び
図12では、両面印刷対象のシートの間に連続して存在する片面印刷対象のシートの枚数が所定枚数よりも多い場合は、強制両面のパフォーマンスが不利になることを説明した。
【0094】
これに対して
図13では、2つの両面印刷対象のシート束の間に連続して存在する片面印刷対象のシートの枚数が、閾値である「通常両面の両面循環枚数-1」(ここでは例えば「8」)より少ない場合、通常両面より、強制両面或いは追越両面が有利になることを説明している。この「通常両面の両面循環枚数-1」が閾値になることは、前述の特開2018-176562号公報でも説明している。
図13の例では、両面印刷対象のシートの間に連続して存在する片面印刷対象のシートの枚数が「7」であり、「8」よりも小さい。これにより例えば、参照番号1351で示すように、通常両面に比べて、強制両面のほうが1面分パフォーマンスが良くなっていることが分かる。
【0095】
更に
図12に示すように、片面印刷対象のシートの後に連続する両面印刷対象のシートの枚数が3枚であるケースを考慮すると、追越両面のほうが強制両面よりも有利になる。片面印刷対象の7枚のシート(6~12)の後の両面印刷対象のシートの枚数が仮に3枚(13~15)である場合、参照番号1352で示すように、強制両面に比べて、追越両面のほうが3面分パフォーマンスが良くなる。
【0096】
図14は、実施形態1に係る画像形成装置101における搬送制御の一例を説明する図である。ここでは、1~5枚目のシートが両面印刷対象のシートであり、6~8枚目のシートが片面印刷対象のシートであり、9~11枚目のシートが両面印刷対象のシートである場合における通常両面、強制両面、追越両面のそれぞれの説明図である。
【0097】
図14(A)は通常両面を表しており、印刷範囲1401で両面印刷対象の5枚のシート(1~5)が9枚循環で両面印刷される。次に、印刷範囲1402で、片面印刷対象の3枚のシート(6~8)が片面印刷される。次に印刷範囲1403で、両面印刷対象の3枚のシート(9~11)が9枚循環で両面印刷される。
【0098】
図14(B)は強制両面を表しており、印刷範囲1411で、両面印刷対象の5枚のシート(1~5)、片面印刷対象の3枚のシート(6~8)、両面印刷対象の3枚のシート(9~11)が連続して9枚循環で両面印刷される。
【0099】
図14(C)は追越両面を表している。給紙待ちキュー1421~1425では、
図9のフローチャートS901→S902→S907→S909の順で処理が実行され、それぞれの給紙待ちキューの先頭の両面印刷対象の5枚のシート1D~5Dが両面印刷される。
【0100】
給紙待ちキュー1426~1428では、S901→S902→S903→S905→S906の順で処理が実行され、給紙待ちキューの先頭のシートではなく、S903で見つけられた両面印刷対象のシート9D~11Dが給紙されて、その第1面が印刷される。
【0101】
給紙待ちキュー1429~1431では、S901→S902→S903→S905→S904の順で処理が実行され、それぞれの給紙待ちキューの先頭の片面印刷対象のシート6S~8Sが給紙されて片面印刷される。
【0102】
図13では、2つの両面印刷対象の間の連続する片面印刷対象のシートの枚数が、閾値である「通常両面の両面循環枚数-1」(ここでは「8」)より少ない場合に、通常両面より、強制両面或いは追越両面が有利になることを説明した。更に
図14では、2つの両面印刷対象の間の連続する片面印刷対象のシートの枚数が
図13の場合に比べて更に少ない場合には、追越両面より強制両面が有利になることを説明した。この閾値は「(通常両面の両面循環枚数+1)/2」(実施形態1の例では「5」)となる。
図14の例では、2つの両面印刷対象のシートの間に存在する片面印刷対象のシートの枚数が「3」の場合は、参照番号1451で示すように、追越両面に比べ、強制両面のほうが2面分、処理時間が短くなっていることが分かる。
【0103】
図15は、実施形態1に係る画像形成装置101における通常両面、追越両面、強制両面の切替制御時の制御方法を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、シートを1枚給紙するべきタイミング(給紙待ちキューを処理するタイミング)ごとに実行される。また、このフローチャートで示す処理は、CPU305がRAM306に展開されたプログラムを実行することにより達成される。
【0104】
S1501でCPU305は、RAM306上の給紙待ちキュー上の先頭シートが片面印刷対象のシートか否か判定する。なお、給紙待ちキューは
図7(C)、
図8等で説明したルールで作成されている。片面印刷対象シートである場合は処理はS1502に進み、両面印刷対象シートである場合は処理はS1509へ進み通常両面となる。これは給紙待ちキューの先頭のシートが両面印刷対象シートである場合は、両面印刷を実行せざる得ないため、通常両面となる。
【0105】
S1502でCPU305は、給紙待ちの全てのシートが片面印刷対象シートかどうか判定する。全てのシートが片面印刷対象であると判定した場合は処理はS1509へ進み、通常両面での動作となる。一方、一枚でも両面印刷対象のシートが混ざっていれば処理はS1503へ進む。これは全てが片面印刷対象のシートである場合は、片面と両面とが混在している状態ではないため、強制両面や追越両面といったパフォーマンスを改善する制御自体に意味がなくなる。そのため、通常両面の動作に進み、片面印刷対象のシートは片面印刷として実行される。
【0106】
S1503でCPU305は、直前に給紙したシートが両面印刷対象シートであるか否か判定し、両面印刷対象シートである場合は処理はS1504に進み、直前に給紙したシートが片面印刷対象シートである場合は処理はS1506に進む。S1506は強制両面が除外されたステップである。強制両面は、直前に給紙したシートが片面印刷対象シートである場合には成り立たない。そのため、直前に給紙したシートが片面印刷対象シートである場合、強制両面は除外される。直前に給紙したシートが片面印刷対象シートである場合に強制両面が不利になる説明は
図10で行なった。
【0107】
S1504でCPU305は、給紙待ちキューに再給紙待ちのシートが存在するか否か判定する。再給紙待ちのシートが存在しない場合は処理はS1506へ、再給紙待ちのシートが存在する場合は処理はS1505へ進む。これは、直前に給紙されたシートが両面印刷(第2面)のための再給紙であった(両面印刷の第1面ではない)場合は、両面印刷済みのシートとして機外に排出される状態となっている。強制両面は、片面印刷対象のシートであっても両面循環を途切れさせない制御であるため、再給紙待ちのシートが存在せずに両面循環が切れている状態では成り立たない。そのため、再給紙待ちのシートが存在しない場合には、強制両面は除外される。
【0108】
S1505でCPU305は、給紙待ちキューにある給紙待ちのシートのうち、片面印刷対象のシートの枚数が「通常両面の両面循環枚数-1」より少ない(第1閾値未満)か否かを判定する。少ない場合は処理はS1507に進み、「通常両面の両面循環枚数-1」以上(第1閾値以上)である場合は処理はS1506へ進む。これは複数の両面印刷対象のシートの間に片面印刷対象のシートが混在している場合に、連続する片面印刷対象のシートの枚数が所定枚数よりも多い場合には、強制両面のパフォーマンスが不利になるためである。そのため、「通常両面の両面循環枚数-1」以上の片面印刷対象のシートが存在する場合には、強制両面を除外する。このケースの説明は
図11で行なった。
【0109】
S1506でCPU305は、給紙待ちキューにある給紙待ちのシートのうち、両面印刷対象のシートの枚数が「(追越両面の両面循環枚数+1)/2」より少ない(第2閾値未満)か否か判定する。「(追越両面の両面循環枚数+1)/2」より少ない場合は、CPU305は、S1510で追越両面を選択する。一方S1506で、「(追越両面の両面循環枚数+1)/2」より多い(第2閾値以上)場合は、CPU305は、S1509で通常両面を選択して、この処理を終了する。これは給紙待ちのシートのうち、両面印刷対象のシートの枚数が「(追越両面の両面循環枚数+1)/2」以上の場合には、両面循環が継続できずに、給紙がなされない無駄な期間が存在するためである。このケースの説明は
図12で行なった。
【0110】
前述の
図11の例では、両面印刷対象である5枚のシート(1~5)、片面印刷対象である10枚のシート(6~15)、両面印刷対象である5枚のシート(16~20)の印刷を実行する場合を示している。また
図12は両面印刷対象である5枚のシート(1~5)、片面印刷対象である10枚のシート(6~15)、両面印刷対象である3枚のシート(16~18)の印刷を実行する場合を示している。
図12では、片面印刷のシートの次の両面印刷のシートの枚数が
図11に比べて2枚少なくなっている。そのため、
図12(C)では、
図11(C)の19,20枚目のように、両面循環が途切れて、後から両面印刷しなければならないシートが存在しない。このため、追越両面のほうがパフォーマンスが良くなる。
【0111】
S1507でCPU305は、給紙待ちキューにある給紙待ちのシートのうち、両面印刷対象のシートの枚数が「(追越両面の両面循環枚数+1)/2」より少ないか(第2閾値未満)否かを判定し、少ない場合はS1511に進んで強制両面を選択して、この処理を終了する。一方、S1507でCPU305が、給紙待ちのシートのうち、両面印刷のシートの枚数が「(追越両面の両面循環枚数+1)/2」より多い(第2閾値以上)と判定した場合は処理はS1508に進む。S1507は、S1503,S1504,S1505の判定で、両面印刷対象のシート束の間に存在する片面印刷対象のシートの枚数が所定枚数よりも少ないと判定された場合に実行されるステップである。つまり通常両面に比べて、追越両面或いは強制両面が有利であると判定された場合である。この場合の説明は
図13で行なった。更にS1507は、S1506と同様に、追越両面時に、両面循環が継続できずに、給紙が行われない無駄な期間が存在するかを確認するステップである。
図13(C)の例で説明すると、両面循環が継続できずに、印刷されるまでの待ち時間が長く、両面印刷対象の16,17枚目のシートが存在する場合は、
図13(B)の強制両面のほうがパフォーマンスは良い。一方、両面印刷対象の16,17枚目のシートが存在しない15枚目までの場合は、
図13(C)の追越両面のほうがパフォーマンスが良い。
【0112】
S1508でCPU305は、給紙待ちキューにある給紙待ちのシートのうち、片面印刷対象のシートの枚数が「(通常両面の両面循環枚数+1)/2-1」以上(第3閾値以上)か否かを判定する。ここで第3閾値以上であると判定した場合には,CPU305は、S1510で追越両面を選択して、この処理を終了する。一方、S1508でCPU305は、片面印刷対象のシートの枚数が「(通常両面の両面循環枚数+1)/2-1」より少ない(第3閾値未満)場合はS1511で強制両面を選択して、この処理を終了する。このケースの説明は
図14で行なった。これは両面印刷対象のシートの間に連続して存在する片面印刷対象のシートの枚数が所定枚数より少ない場合には、強制両面のほうが追越両面よりも有利であることを示している。
【0113】
以上説明したように実施形態1によれば、片面印刷対象のシートと両面印刷対象のシートが混在している印刷ジョブを実行する場合、画像形成装置はジョブの内容及び給紙待ちキューの情報に応じて適宜、最適な片両混在印刷制御方法を給紙のタイミングごとに選択してジョブを実行することができる。
【0114】
[実施形態2]
次に
図16のUIの説明図を用いて、本発明の実施形態2を説明する。尚、実施形態2に係る画像形成システムの構成、及び画像形成装置101のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。実施形態に2に係る画像形成装置も実施形態1に係る画像形成装置と同様に、通常両面、追越両面、強制両面を選択的に実行することができる。
【0115】
図16は、実施形態2に係る画像形成101の操作部202上に表示される画面例を示す図である。
【0116】
図16は、片両混在印刷制御の切替をユーザが選択するためのUIを表現している。ユーザの設定は、操作部I/F307を経由して、RAM306、又はHDD311に保持される。
【0117】
この画面は、自動切替ボタン1601、通常両面ボタン1602、強制両面ボタン1603、追越両面ボタン1604を含んでいる。これらボタンはトグルボタンとなっており、ボタン1601~1604のいずれか一つしか選択できない。この
図16では、自動切替ボタン1601が選択されているため、反転表示されている。
【0118】
図17は、実施形態2に係る画像形成装置101における通常両面、追越両面、強制両面の切替制御時の制御方法を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU305がRAM306に展開されたプログラムを実行することにより達成される。また
図17において、前述の
図15と共通するステップは同じ参照番号で示し、それらの説明を省略する。
【0119】
S1701でCPU305は、
図16のUIによってユーザが設定した設定値をRAM306、又はHDD311から読み取り、そのUIで設定された値が「通常両面」か否かを判定する。通常両面が選択されている場合はCPU305は、S1509に進んで通常両面制御を選択して、この処理を終了する。そうでない場合には、CPU305は、S1702で、
図16のUIによってユーザが設定した設定値が「追越両面」か否か判定する。追越両面が選択されている場合は、CPU305は、S1510で追越両面を選択して、この処理を終了する。
【0120】
またS1702で「追越両面」でないときは、CPU305は、S1703で、
図16のUIによってユーザが設定した設定値が「強制両面」か否か判定する。強制両面であると判定した場合は、CPU305は、S1511に進んで追越両面を選択して、この処理を終了する。またS1703で「強制両面」でない場合は処理はS1501に進む。以降、S1501~S1511の処理は、
図15の処理と同様であるため、それらの説明を割愛する。
【0121】
以上説明したように実施形態2によれば、片面印刷対象のシートと両面印刷対象のシートが混在している印刷ジョブを実行する場合、画像形成装置はジョブ内容及び給紙待ちキューの情報に応じて適宜最適な片両混在印刷制御方法を選択してジョブを実行することができる。またユーザは、片面印刷と両面印刷が混在しているジョブに対して、ユーザが任意の片両混在印刷制御の切替を選択するように設定することもできるという効果がある。
【0122】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0123】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0124】
101…画像形成装置、201…制御部、202…操作部、305…CPU、306…RAM、311…HDD