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7585111新旧監視制御切替システム、新旧監視制御切替システムの切替方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】新旧監視制御切替システム、新旧監視制御切替システムの切替方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
G05B23/02 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021046024
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144841
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】君島 和彦
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156583(JP,A)
【文献】特開2018-092430(JP,A)
【文献】特開2005-339469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器の動作状態を示す状態データを送信するコントローラと、
前記状態データを前記コントローラから取得し、前記設備機器の動作状態を監視する旧監視制御システムと、
前記状態データを前記コントローラから取得し、前記設備機器の動作状態を監視する新監視制御システムと、
前記コントローラと、前記旧監視制御システム及び前記新監視制御システムとを、第1ネットワーク及び第2ネットワークのそれぞれにより接続する伝送路とを有し、
前記コントローラは、
前記旧監視制御システムと、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークにより接続された状態にある場合、少なくとも前記第1ネットワーク又は前記第2ネットワークを通じて、前記旧監視制御システムと通信し、
前記旧監視制御システムと前記第1ネットワークにより接続され、前記新監視制御システムと前記第2ネットワークにより接続された状態にある場合、前記第1ネットワークを通じて前記旧監視制御システムと通信し、前記第2ネットワークを通じて前記新監視制御システムと通信し、
前記新監視制御システムと、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークにより接続された状態にある場合、少なくとも前記第1ネットワーク又は前記第2ネットワークを通じて、前記新監視制御システムと通信する、
新旧監視制御切替システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1ネットワークを前記旧監視制御システムのブロードキャスト伝送、前記第2ネットワークを前記新監視制御システムのマルチキャスト伝送、または第1ネットワークを前記旧監視制御システムのマルチキャスト伝送、前記第2ネットワークを前記新監視制御システムのブロードキャスト伝送により通信する、請求項1記載の新旧監視制御切替システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1ネットワークと前記第2ネットワークのそれぞれについて、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送の何れの伝送種別により通信するかを設定する伝送種別設定部を有する、請求項1または請求項2記載の新旧監視制御切替システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記旧監視制御システム又は前記新監視制御システムと通信する状態において、前記伝送種別設定部による伝送種別の設定を実行する、請求項3記載の新旧監視制御切替システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記旧監視制御システムから送信される、システム内の装置の状態を示す第1異常検知データと、前記新監視制御システムから送信される、システム内の装置の状態を示す第2異常検知データをもとに、前記旧監視制御システムと前記新監視制御システムの状態を示す第3異常検知データを生成する状態監視部を有する、請求項1~4の何れかに記載の新旧監視制御切替システム。
【請求項6】
設備機器の動作状態を示す状態データを送信するコントローラと、
前記状態データを前記コントローラから取得し、前記設備機器の動作状態を監視する旧監視制御システムと、
前記状態データを前記コントローラから取得し、前記設備機器の動作状態を監視する新監視制御システムと、
前記コントローラと、前記旧監視制御システム及び前記新監視制御システムとを、第1ネットワーク及び第2ネットワークのそれぞれにより接続する伝送路とを有する新旧監視制御切替システムの切替方法であって、
前記コントローラは、前記旧監視制御システムと前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークにより接続され、少なくとも前記第1ネットワーク又は前記第2ネットワークを通じて、前記旧監視制御システムと通信するステップと、
前記コントローラは、前記旧監視制御システムと前記第1ネットワークにより接続され、前記新監視制御システムと前記第2ネットワークにより接続され、前記第1ネットワークを通じて前記旧監視制御システムと通信し、前記第2ネットワークを通じて前記新監視制御システムと通信するステップと、
前記コントローラは、前記新監視制御システムと、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークにより接続され、少なくとも前記第1ネットワーク又は前記第2ネットワークを通じて、前記新監視制御システムと通信するステップとを有する、新旧監視制御切替システムの切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、新旧監視制御切替システム、新旧監視制御切替システムの切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道などに係る水処理施設や、焼却施設、工場などでは設備機器などの動作を監視する監視制御システムが設けられる。監視制御システムにおいては、既設のシステム(旧監視制御システム)を新たなシステム(新監視制御システム)に更新する場合がある。通常、既設のシステムから新たなシステムへの更新は、施設の運用及び監視制御を停止することなく実行することが求められる。
【0003】
図13は、従来の監視制御システムにおける切替方法を説明するためのシステム構成図である(特許文献1参照)。
【0004】
図13に示す監視制御システムは、下位システム2、旧システム3、新システム4及び中継装置5を備える。下位システム2は、制御対象機器9-1~9-Nの動作を制御するシステムである。下位システム2は、コントローラ21-1~21-Nを備える。コントローラ21-iは、制御対象機器9-iの動作を制御する。制御対象機器9-1~9-Nは、監視制御システムによる監視または制御の対象となる機器である。
【0005】
旧システム3は、下位システム2の監視または制御を行う既設の上位システムである。旧システム3は、監視操作端末31、監視制御サーバ32-1及び32-2を備える。監視操作端末31は、下位システム2の監視または制御に関するユーザインタフェースを提供する機能を有する。監視制御サーバ32-1及び32-2は、下位システム2の監視または制御に関する各種のデータ処理を行う機能を有する。
【0006】
新システム4は、下位システム2の監視または制御を行う新設の上位システムである。具体的には、新システム4は、監視操作端末31と同様の監視操作端末41、監視制御サーバ32と同様の監視制御サーバ42-1及び42-2を備えることにより、旧システム3と同様の機能を有する。以下、特に区別する必要がない場合、監視制御サーバ42-1及び42-2を監視制御サーバ42と記載する。
【0007】
中継装置5は、下位システム2と、旧システム3と、新システム4との間の通信を中継する機能を有する通信装置である。中継装置5は、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチ等の通信装置である。
【0008】
下位システム2、旧システム3及び新システム4は、それぞれ異なるLAN(LocalAreaNetwork)に収容される。下位システム2は下位LAN20に、旧システム3は旧上位LAN30に、新システム4は新上位LAN40に、それぞれ収容される。
【0009】
図13に示す従来の監視制御システムでは、中継装置5を設けて、旧システム3と新システム4との間の通信を遮断するとともに、各上位システムと下位システム2との間の通信を中継する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-117524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、中継装置を必要とすることなく、旧監視制御システムから新監視制御システムへ切り替えを可能とする新旧監視制御切替システム、新旧監視制御切替システムの切替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態によれば、新旧監視制御切替システムは、コントローラ、旧監視制御システム、新監視制御システム、伝送路を有する。コントローラは、設備機器の動作状態を示す状態データを送信する。旧監視制御システムは、前記状態データを前記コントローラから取得し、前記設備機器の動作状態を監視する。新監視制御システムは、前記状態データを前記コントローラから取得し、前記設備機器の動作状態を監視する。伝送路は、前記コントローラと、前記旧監視制御システム及び前記新監視制御システムとを、第1ネットワークと第2ネットワークのそれぞれにより接続する。前記コントローラは、前記旧監視制御システムと、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークにより接続された状態にある場合、少なくとも前記第1ネットワーク又は前記第2ネットワークを通じて、前記旧監視制御システムと通信する。また、前記コントローラは、前記旧監視制御システムと前記第1ネットワークにより接続され、前記新監視制御システムと前記第2ネットワークにより接続された状態にある場合、前記第1ネットワークを通じて前記旧監視制御システムと通信し、前記第2ネットワークを通じて前記新監視制御システムと通信する。また、前記コントローラは、前記新監視制御システムと、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークにより接続された状態にある場合、少なくとも前記第1ネットワーク又は前記第2ネットワークを通じて、前記旧監視制御システムと通信する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の新旧監視制御切替システムの構成の概略を示すブロック図。
図2】本実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図。
図3】本実施形態における旧サーバ及び新サーバの構成を示すブロック図。
図4】中継装置(A系)と中継装置(B系)を実装した構成例を示す図。
図5】本実施形態における新旧監視制御切替システムの切替方法の動作について示すフローチャート。
図6】旧監視制御システム、新監視制御システム、コントローラを接続するネットワークの変化を示す図。
図7】旧監視制御システム、新監視制御システム、コントローラを接続するネットワークの変化を示す図。
図8】旧監視制御システム、新監視制御システム、コントローラを接続するネットワークの変化を示す図。
図9】本実施形態における伝送種別設定部の具体例を説明するための図。
図10】本実施形態における伝送種別設定部の具体例を説明するための図。
図11】本実施形態における第3異常検知データの生成の具体例について説明するための図。
図12】本実施形態における第3異常検知データの生成の具体例について説明するための図。
図13】従来の監視制御システムにおける切替方法を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の新旧監視制御切替システムの構成の概略を示すブロック図である。新旧監視制御切替システムは、旧監視制御システム10、新監視制御システム100、コントローラ201,202を備える。
【0016】
新旧監視制御切替システムは、旧監視制御システム10の運用を継続したままの状態で新監視制御システム100を構築し、コントローラ201,202と旧監視制御システム10との接続を、中継装置を使用することなく、コントローラ201,202と新監視制御システム100との接続に変更して、旧監視制御システム10か新監視制御システム100への切り替えを実行する。
【0017】
コントローラ201,202は、監視制御システムによる監視制御の対象とする設備機器等(図示せず)の動作を制御する下位システムである。図1では、2つのコントローラ201,202を示しているが、1つのコントローラ、あるいは3つ以上のコントローラが設けられていても良い。複数のコントローラ201,202には、それぞれ1つ以上の設備機器が接続され、設備機器の動作状態を示す各種データ(例えば、状態・故障・計測データ)を収集し、旧監視制御システム10あるいは新監視制御システム100に送信する。
【0018】
旧監視制御システム10は、コントローラ201,202の監視または制御を行う上位システムである。旧監視制御システム10は、旧監視制御装置1、旧サーバ11を備える。旧監視制御装置1は、コントローラ201,202に接続された設備機器の動作状態を示すデータを取得し、設備機器に対する制御指示(操作出力・設定値データ)をコントローラ201,202に出力する機能を有する。旧サーバ11は、下位システムの監視または制御に関する各種のデータ処理を行う機能を有する。図1では、旧監視制御装置1と旧サーバ11をそれぞれ1台のみ示しているが、それぞれ複数台設ける構成とすることができる。
【0019】
新監視制御システム100は、コントローラ201,202の監視または制御を行う新設の上位システムである。新監視制御システム100は、旧監視制御システム10に設けられた旧監視制御装置1及び旧サーバ11と同様の新監視制御装置101、旧サーバ11を備えることにより、旧監視制御システム10と同様の機能または拡張された機能を有する。
【0020】
新旧監視制御切替システムにおいて、コントローラ201,202、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100は、冗長化された伝送路により相互に接続される。図1では、二重化されたLAN(Local Area Network)により接続される例を示している。二重化されたLANは、A系のネットワーク(第1ネットワーク)とB系のネットワーク(第2ネットワーク)を含む。
【0021】
コントローラ201,202は、制御系(A系)251と制御系(B系)252により二重化されたネットワークにより接続される。
【0022】
旧監視制御システム10の旧監視制御装置1と旧サーバ11は、旧監視制御システム制御系(A系)51と旧監視制御システム制御系(B系)52とにより二重化されたネットワークにより接続される。旧監視制御システム10が運用される場合には、旧監視制御システム制御系(A系)51と制御系(A系)251とが制御系(A系)351を介して接続され、旧監視制御システム制御系(B系)52と制御系(B系)252とが制御系(B系)352を介して接続される。
【0023】
新監視制御システム100の新監視制御装置101と新サーバ111は、新監視制御システム制御系(A系)151と新監視制御システム制御系(B系)152とにより二重化されたネットワークにより接続される。新監視制御システム100が運用される場合には、新監視制御システム制御系(A系)151と制御系(A系)251とが制御系(A系)451を介して接続され、新監視制御システム制御系(B系)152と制御系(B系)252とが制御系(B系)452を介して接続される。
【0024】
旧監視制御システム10、新監視制御システム100、コントローラ201,202は、二重化されたネットワークにより接続されることで、一方のネットワーク(例えばA系)に障害が発生したとしても、他方のネットワーク(例えばB系)を利用して制御監視のための処理を継続する冗長化された機能を有する。
【0025】
従って、旧監視制御システム10の旧監視制御装置1と旧サーバ11は、制御系(A系)351あるいは制御系(B系)352の何れか一方が離線された場合、接続された状態にある他方の制御系(A系)351あるいは制御系(B系)352を通じて、コントローラ201,202との通信を実行して動作を継続することができる。
【0026】
同様にして、新監視制御システム100の新監視制御装置101と新サーバ111は、制御系(A系)451あるいは制御系(B系)452の何れか一方が接続された状態にある場合、接続状態にある制御系(A系)351あるいは制御系(B系)352を通じて、コントローラ201,202との通信を実行して動作を実行することができる。また、新監視制御装置101と新サーバ111は、制御系(A系)451と制御系(B系)452の両方によって接続された場合、冗長化された状態において監視制御の動作を実行することができる。
【0027】
図2は、本実施形態におけるコントローラ201,202の構成を示すブロック図である。
【0028】
コントローラ201,202は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各種の機能を実現する。コントローラ201,202は、プログラムの実行により、制御部211、入力部212、表示部213、通信部214、記憶部215を備える装置として機能する。
【0029】
制御部211は、制御対象とする施設機器の制御に関する各種処理を実行する。制御部211には、伝送種別設定部211A及び状態監視部211Bの機能が設けられる。
【0030】
伝送種別設定部211Aは、制御系(A系(第1ネットワーク))と制御系(B系(第2ネットワーク))のそれぞれについて、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送の何れの伝送種別により通信するかを設定する。例えば、制御系(A系)を旧監視制御システム10のブロードキャスト伝送、制御系(B系)を新監視制御システム100のマルチキャスト伝送、または制御系(A系)を旧監視制御システム10のマルチキャスト伝送、制御系(B系)を新監視制御システム100のブロードキャスト伝送するように設定することができる。制御部211は、旧監視制御システム10と新監視制御システム100と通信をする状態において、伝送種別設定部211Aによる伝送種別の設定を実行することができる。制御部211は、伝送種別の設定に応じて、通信部214を通じて旧監視制御システム10あるいは新監視制御システム100に対するデータを、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送により送信する。
【0031】
状態監視部211Bは、旧監視制御システム10(旧サーバ11)から送信(発報)される、システム内の装置(旧監視制御装置1、旧サーバ11)の状態情報を示す異常検知データ(第1異常検知データ)と、新監視制御システム100(新サーバ111)から送信(発報)される、システム内の装置(新監視制御装置101、新サーバ111)の状態情報を示す異常検知データ(第2異常検知データ)を、通信部214を通じて受信して、旧監視制御システム10と新監視制御システム100の動作状態を監視する。状態監視部211Bは、第1異常検知データと第2異常検知データをもとに、旧監視制御システム10と新監視制御システム100の状態を示す異常検知データ(第3異常検知データ)を生成し、この異常検知データをもとにシステム内の装置の異常を判別することができる。すなわち、旧監視制御システム10から新監視制御システム100への切り替え過程において、旧監視制御システム10と新監視制御システム100が併置運用されている状態であっても、正しく異常検知できるようにする。
【0032】
入力部212は、キーワード、マウス、タッチパネル等の入力装置を用いて構成される。また、入力部212は、入力装置を旧監視制御装置1に接続する通信インタフェースであっても良い。入力部212は、旧監視制御装置1に対するデータの入力や制御の指示を受け付けて、制御部211に出力する。
【0033】
表示部213は、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。また、表示部213は、表示装置を接続するインタフェースであっても良い。表示部213は、コントローラ201,202の監視又は制御に関するユーザインタフェース(例えば、設定画面)を表示する。
【0034】
通信部214は、二重化されたLAN(制御系(A系)251及び制御系(B系)252)に接続する通信インタフェースである。
【0035】
記憶部215は、HDD(Hard disk drive)装置やSSD(Solid State Drive)装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部215は、動作に必要な各種情報を記憶する。例えば、記憶部215は、監視制御の処理を実行するためのプログラムや、そのプログラムの実行時に参照されるデータなどが記憶される。さらに、記憶部215には、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100を識別するための識別定義情報が記憶される。
【0036】
例えば、制御部211は、通信部214を通じて受信された受信データに新監視制御システム100の識別情報が含まれているか否かを判定する。制御部211は、受信データに識別定義情報により定義された新監視制御システム100の識別情報が含まれている場合には送信元が新監視制御システム100であると判定し、識別情報が含まれていない場合には送信元が旧監視制御システム10であると判定する。従って、旧監視制御システム10は、監視制御システムの切り替えに伴って、データに新監視制御システム100とは異なる識別情報を付加するといったプログラムの変更(ソフトウェアをバージョンアップ)の必要がない。
【0037】
図3は、本実施形態における旧サーバ11及び新サーバ111の構成を示すブロック図である。
【0038】
旧サーバ11及び新サーバ111は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各種の機能を実現する。旧サーバ11及び新サーバ111は、プログラムの実行により、制御部121、入力部122、表示部123、通信部124、記憶部125を備える装置として機能する。
【0039】
制御部121は、制御対象とする施設機器の制御に関する各種処理を実行する。制御部121は、コントローラ201,202から受信される設備機器の動作状態を示す各種データ(例えば、状態・故障・計測データ)を、監視制御装置に提供する機能を有する。また、制御部121は、状態情報送信部121Aの機能が設けられる。
【0040】
状態情報送信部121Aは、システム内の装置の状態を示す状態情報のデータをコントローラ201,202に送信する。旧サーバ11の状態情報送信部121Aは、システム内の旧監視制御装置1の状態情報を収集し、自装置(旧サーバ11)と旧監視制御装置1の状態情報を示す第1異常検知データを生成して、コントローラ201,202に送信する。新監視制御システム100の新サーバ111は、システム内の新監視制御装置101の状態情報を収集し、自装置(新サーバ111)と新監視制御装置101の状態情報を示す第2異常検知データを生成して、コントローラ201,202に送信する。
【0041】
入力部122は、キーワード、マウス、タッチパネル等の入力装置を用いて構成される。また、入力部122は、入力装置を新監視制御装置101に接続する通信インタフェースであっても良い。入力部122は、新監視制御装置101に対するデータの入力や制御の指示を受け付けて、制御部121に出力する。
【0042】
表示部123は、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。また、表示部123は、表示装置を接続するインタフェースであっても良い。表示部123は、コントローラ201,202の監視又は制御に関するユーザインタフェース(例えば、操作画面)を表示する。
【0043】
通信部124は、二重化されたLAN(制御系(A系)及び制御系(B系))に接続する通信インタフェースである。旧サーバ11の通信部124は、旧監視制御システム制御系(A系)51と旧監視制御システム制御系(B系)52と接続される。新サーバ111の通信部124は、新監視制御システム制御系(A系)151と新監視制御システム制御系(B系)152と接続される。
【0044】
記憶部125は、HDD(Hard disk drive)装置やSSD(Solid State Drive)装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部125は、動作に必要な各種情報を記憶する。例えば、記憶部125は、監視制御の処理を実行するためのプログラムや、そのプログラムの実行時に参照されるデータなどが記憶される。
【0045】
次に、旧監視制御システム10から新監視制御システム100への切替方法について説明する。
【0046】
まず、本実施形態における新旧監視制御切替システムとの比較のために、中継装置を利用して旧監視制御システム10から新監視制御システム100へ切り替えを実行する場合について説明する。
【0047】
図4は、中継装置(A系)301と中継装置(B系)302を、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100と、コントローラ201,202との間に実装した構成例を示している。
【0048】
旧監視制御システム10の旧監視制御装置1からの操作出力・設定値データのA系データは、旧監視制御システム制御系(A系)51から中継装置(A系)301、制御系(A系)251を経由して、コントローラ201またはコントローラ202へ送信される。
【0049】
同様に、旧監視制御システム10の旧監視制御装置1からの操作出力・設定値データのB系データは、旧監視制御システム制御系(B系)52から中継装置(B系)302、制御系(B系)252を経由して、コントローラ201またはコントローラ202へ送信される。
【0050】
また、コントローラ201またはコントローラ202からの状態・故障・計測データのA系データは、制御系(A系)251、中継装置(A系)301を経由して、旧監視制御システム10の旧監視制御システム制御系(A系)51より旧監視制御装置1、旧サーバ11へ送信される。
【0051】
同様にコントローラ201またはコントローラ202の状態・故障・計測データのB系データは、制御系(B系)252、中継装置(B系)302を経由して、旧監視制御システム10の旧監視制御システム制御系(B系)52より旧監視制御装置1、旧サーバ11へ送信される。
【0052】
一方、新監視制御システム100の新監視制御装置101からの操作出力・設定値データのA系データは、新監視制御システム制御系(A系)151から中継装置(A系)301、制御系(A系)251を経由してコントローラ201またはコントローラ202へ送信される。
【0053】
同様に新監視制御システム100の新監視制御装置101からの操作出力・設定値データのB系データは、新監視制御システム制御系(B系)152から中継装置(B系)302、制御系(B系)252を経由して、コントローラ201またはコントローラ202へ送信される。
【0054】
また、コントローラ201またはコントローラ202からの状態・故障・計測データのA系データは、制御系(A系)251、中継装置(A系)301を経由して、新監視制御システム100の新監視制御システム制御系(A系)151より新監視制御装置101、新サーバ111へ送信される。
【0055】
同様にコントローラ201またはコントローラ202の状態・故障・計測データのB系データは、制御系(B系)252、中継装置(B系)302を経由して、新監視制御システム100の新監視制御システム制御系(B系)152より新監視制御装置100、新サーバ111へ送信される。
【0056】
以上より、中継装置(A系)301、中継装置(B系)302を使用することで、旧監視制御システム(旧監視制御装置1、旧サーバ11)と新監視制御システム(新監視制御装置101、新サーバ111)のネットワークが分離される。従って、旧監視制御システム10と新監視制御システム100の間でデータが混在することを防止できるため、切り替えの過渡期に有効に活用できる。
【0057】
しかしながら、中継装置(A系)301及び中継装置(B系)302は、新旧監視制御システムの並置運用時、切替時は有効であるが、切替完了後は不要となる。従って、短期間の切り替えでは、中継装置(A系)301及び中継装置(B系)302の購入費用や設置場所確保などの運用のためのコストがかかる。
【0058】
次に、本実施形態における新旧監視制御切替システムの切替方法の動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図6図7及び図8は、旧監視制御システム10、新監視制御システム100、コントローラ201,202を接続するネットワーク(制御系(A系)(B系))の変化を示す図である。
【0059】
図5のステップS1は、旧監視制御システム10のみが運用されている切り替え前の状態を示す。ステップS1では、新監視制御システム100が未設置の状態である。
【0060】
図6(A)に示すように、コントローラ201,202は、旧監視制御システム10の旧監視制御装置1及び旧サーバ11と、A系のネットワーク(旧監視制御システム制御系(A系)51、制御系(A系)351)と、B系のネットワーク(旧監視制御システム制御系(B系)52、制御系(B系)352)と接続された状態ある。コントローラ201,202及び旧監視制御システム10は、相互に通信して施設機器の監視制御を実行する。
【0061】
図5のステップS2は、新監視制御システム100の構築を開始した状態を示す。旧監視制御システム10で運用を継続しながら、新監視制御システム100を構築していく。
【0062】
図6(B)に示すように、コントローラ201,202は、A系のネットワークとB系のネットワークにより旧監視制御システム10と接続された状態にある。一方、コントローラ201,202は、新監視制御装置100の新サーバ111及び新監視制御装置101は、A系のネットワーク(新監視制御システム制御系(A系)151)、B系のネットワーク(新監視制御システム制御系(B系)152)の何れとも接続されていない状態である。
【0063】
コントローラ201,202及び旧監視制御システム10は、引き続き、相互に通信して施設機器の監視制御を実行する。
【0064】
図5のステップS3は、旧監視制御システム10と新監視制御システム100を並置運用するための準備ステップである。図7(A)に示すように、旧監視制御システム10では、制御系(B系)352による接続を停止し、旧監視制御システム制御系(B系)52と制御系(B系)252との離線を実施する。コントローラ201,202は、旧監視制御システム制御系(A系)のみ接続されている状態となる。
【0065】
コントローラ201,202及び旧監視制御システム10は、片系のA系のネットワーク(旧監視制御システム制御系(A系)51、制御系(A系)351、制御系(A系)251)のみにより運用され、施設機器の監視制御を実行する。
【0066】
図5のステップS4は、新監視制御システム100をコントローラ201,202と接続するステップである。図7(B)に示すように、新監視制御システム100の新監視制御システム制御系(B系)152のみを、制御系(B系)452を介して制御系(B系)252と接続する。従って、コントローラ201,202は、B系ネットワーク(新監視制御システム制御系(B系)152、制御系(B系)452、制御系(B系)252))を介して、新監視制御システム100(新サーバ111、新監視制御装置101)と接続される。このとき、コントローラ201,202は、新監視制御システム100のA系ネットワーク(新監視制御システム制御系(A系)151)と接続していない状態である。
【0067】
図5のステップS5は、旧監視制御システム10と新監視制御システム100を並置運用するステップである。図7(B)に示すように、旧監視制御システム10(旧監視制御装置1、旧サーバ11)は、A系ネットワーク(旧監視制御システム制御系(A系)51、制御系(A系)351、制御系(A系)251)を介してコントローラ201,202と接続され、新監視制御システム100(新監視制御装置100、新サーバ111)は、B系ネットワーク(新監視制御システム制御系(B系)152、制御系(B系)452、制御系(B系)252)を介して接続された状態にある。
【0068】
これにより、旧監視制御システム10と新監視制御システム100は、制御系LANが混在しないので、コントローラ201,202との間で送受信されるデータが混触せず、並置運用が可能となる。
【0069】
また、旧監視制御システム10がA系ネットワークのみによりコントローラ201,202と接続され、新監視制御システム100がB系ネットワークのみよりコントローラ201,202と接続されている状態であるため冗長化がされていない。しかし、新監視制御システム100と旧監視制御システム10の両方で監視できることからシステムで冗長化を図った状態であり、片方の監視制御システムが異常となっても運用が継続可能である。また、並置運用期間が短ければこのリスクはほとんどない。
【0070】
このように、本実施形態における本実施形態の新旧監視制御切替システムでは、図4に示す新旧監視制御切替システムのように、制御系A系の中継装置(A系)301と制御系B系の中継装置B系302を設置する必要がないため、中継装置(A系)301及び中継装置B系302の購入費用や設置場所を確保する必要がないためコストダウンが可能となる。
【0071】
図5のステップS6は、旧監視制御システム10と新監視制御システム100の並置運用から旧監視制御システム10を撤去するステップである。図8(A)に示すように、旧監視制御システム10では、制御系(A系)351による接続を停止し、旧監視制御システム制御系(A系)51と制御系(A系)251との離線を実施する。これによりコントローラ201,202は、旧監視制御システム10と接続していない状態となる。
【0072】
コントローラ201,202及び新監視制御システム100は、片系のB系のネットワーク(新監視制御システム制御系(B系)152、制御系(B系)452、制御系(B系)252)のみにより運用され、施設機器の監視制御を実行する。
【0073】
図5のステップS7は、新監視制御システム100のみで運用される最終ステップである。図8(B)に示すように、新監視制御システム100の新監視制御システム制御系(A系)152を、制御系(A系)451を介して制御系(A系)251と接続する。従って、コントローラ201,202は、A系ネットワーク(新監視制御システム制御系(A系)151、制御系(A系)451、制御系(A系)251)と、B系ネットワーク(新監視制御システム制御系(B系)152、制御系(B系)452、制御系(B系)252))とを介して、新監視制御システム100(新サーバ111、新監視制御装置101)と接続される。従って、新監視制御システム100及びコントローラ201,202は、相互に通信して施設機器の監視制御を実行することが可能な状態となる。これにより、旧監視制御システム10から新監視制御システム100へ切り替えが完了する。
【0074】
このようにして、本実施形態における新旧監視制御切替システムでは、図4に示すように、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100と、コントローラ201,202との間に中継装置(A系)301及び中継装置B系302を設置することなく、新旧監視制御システムのデータが混触することなく切り替えが可能となる。
【0075】
従って、中継装置の実装が不要のためコスト低減が可能となる。また、中継装置を実装しないため、中継装置を実装するスペースも不要となる。
【0076】
また、旧監視制御システムのソフトウェアをバージョンアップさせる必要がなくなるため、低コストと改造しないことによるリスク低減を図ることが可能となる。
【0077】
次に、旧監視制御システム10と制御系新監視制御システム100への制御系LANの伝送種別を変更する場合について説明する。
【0078】
例えば、コントローラ201,202からの状態データの送信は、旧監視制御システム10に対してはブロードキャスト伝送で実施し、新監視制御システム100に対してはマルチキャスト伝送で実施するものとする。従来では、監視制御システムへの伝送種別を変更する場合、コントローラ201,202を停止させて、コントローラ201,202におけるデータ送信機能に対して切り替えを行っていた。また、伝送種別の切替をする場合、制御系のA系及び制御系B系の両方を同じ伝送種別とする必要があった。例えばブロードキャスト伝送からマルチキャスト伝送へ切り替える場合、制御系A系及び制御系B系の何れについてもマルチキャスト伝送へ切り替えられていた。
【0079】
本実施形態におけるコントローラ201,202では、制御部211に設けられた伝送種別設定部211Aの機能によって、制御系A系と制御系B系のそれぞれについて個別に伝送種別を変更できるようにする。従って、片系についてブロードキャスト伝送、他の片系をマルチキャスト伝送とする設定が可能となる。
【0080】
本実施形態における新旧監視制御切替システムでは、図7(B)に示す状態において、旧監視制御システム10と新監視制御システム100の並置運用が実施される。
【0081】
従って、例えば、旧監視制御システム10がブロードキャスト伝送のみに対応し、新監視制御システム100がマルチキャスト伝送に対応しているような場合であっても、旧監視制御システム10と接続される制御系A系をブロードキャスト伝送に設定し、制御系B系をマルチキャスト伝送に設定にする。これにより、伝送種別の相違による障害等が発生させることなく、旧監視制御システム10から新監視制御システム100への切り替えをスムーズにすることができる。
【0082】
また、旧監視制御システム10と新監視制御システム100を並置運用中は、片系の制御系LANを離線しているので、ブロードキャスト伝送とマルチキャスト伝送が混在することがない。また、例えば、新監視制御システム100については、ブロードキャスト伝送とマルチキャスト伝送の両対応としておけば、接続したままの伝送種別の切り替えも可能となる。
【0083】
図9及び図10は、本実施形態における伝送種別設定部211Aの具体例を説明するための図である。
【0084】
図9は、コントローラ201,202をラダーソフトウェア(プログラム)により制御する構成とした場合の例を示している。図9に示すように、ラダーソフトウェアに、制御系A系(「BROADCAST_A」)と制御系B系(「BROADCAST_B」)のそれぞれについて、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送を設定できる機能(伝送種別設定部211A)を設ける。
【0085】
例えば、制御部211は、入力部212による操作による伝送種別設定が指示された場合に、図9に示す設定画面を表示部213に表示させる。
【0086】
制御部211は、入力部212に対する入力操作によって、図9に示すラダーソフトのLDにある数字が「0」に設定されることによりブロードキャスト伝送を設定し、LDにある数字が「1」に設定されることによりマルチキャスト伝送を設定する。
【0087】
コントローラ201,202の制御部211は、伝送種別設定部211Aによる設定に応じて、通信部214を介した制御系A(制御系(A系)251)と制御系B系(制御系(B系)252)のデータ送信を、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送により実行させる。
【0088】
なお、制御部211は、ネットワークを介して接続状態にある、旧サーバ11あるいは新サーバ111、さらには図示しない情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)からオンラインにより伝送種別設定が要求された場合に、要求元の機器に図9に示す設定画面を表示させるようにしても良い。制御部211は、前述と同様にして要求元の機器において設定操作がされた場合に、設定内容を受信して記憶部215に記憶させる(オンライン切り替え)。制御部211は、設定内容に応じて、伝送種別を切り替える。
【0089】
従来、コントローラ201,202を停止させて切り替えを行っていたが、ラダーソフトウェアであれば、コントローラ201,202を動作させた状態で設定変更が可能である。従って、旧監視制御システム10から新監視制御システム100の切り替え過程において、コントローラ201,202を停止させることなく監視制御を継続させることができる。
【0090】
図10は、図9とは異なる設定機能(伝送種別設定部211A)の例を示す図である。図10に示すように、コントローラ201,202のエンジニアリングツールなどにより、制御系A系伝送種別設定と制御系B系伝送種別設定のそれぞれについて、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送をパラメータ設定できる機能(伝送種別設定部211A)を設ける。図10の例では、制御系A系、制御系B系のそれぞれについて、個別にプルダウンメニューなどで、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送を選択できるようにしている。
【0091】
例えば、制御部211は、入力部212による操作による伝送種別設定が指示された場合に、図10に示す設定画面を表示部213に表示させる。
【0092】
制御部211は、入力部212に対する入力操作によって、図10に示す制御系A系、制御系B系のそれぞれのプルダウンメニューにおいて、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送を設定する。
【0093】
コントローラ201,202の制御部211は、伝送種別設定部211Aによる設定に応じて、通信部214を介した制御系A(制御系(A系)251)と制御系B系(制御系(B系)252)のデータ送信を、ブロードキャスト伝送あるいはマルチキャスト伝送により実行させる。また、前述と同様にして、オンライン切り替えができるようにしても良い。
【0094】
なお、新監視制御システム100(新監視制御装置100、新サーバ111)、コントローラ201,202は、ブロードキャスト伝送とマルチキャスト伝送に両対応している。旧監視制御システム10もバージョンアップすることにより対応が可能となっても良い。
【0095】
次に、本実施形態における新旧監視制御切替システムのコントローラ201,202による、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100の状態監視について説明する。
【0096】
旧監視制御システム10の旧サーバ11は、システム内の装置(旧監視制御装置1、旧サーバ11)の状態を検知して、各装置の状態情報を示す第1異常検知データをコントローラ201,202に送信する。また、新監視制御システム100の新サーバ111は、システム内の装置(新監視制御装置101、新サーバ111)の状態を検知して、各装置の状態情報を示す第2異常検知データをコントローラ201,202に送信する。
【0097】
コントローラ201,202は、制御部211の状態監視部211Bにより、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100から送信される第1異常検知データあるいは第2異常検知データをもとに、システムの状態(接続している機器が正常に起動されているかの状態)を監視する。
【0098】
本実施形態における新旧監視制御切替システムでは、図7(B)に示す状態において、旧監視制御システム10と新監視制御システム100の並置運用が実施される。この状態において、旧監視制御システム10から第1異常検知データが受信され、新監視制御システム100から第2異常検知データが受信された場合、状態情報が混在したり、チャタリング(例えば、旧監視制御システム10の機器が異常、新監視制御システム100の機器が正常を示す異常検知データを交互に受信する)したりするなど、安定して異常監視ができない状況が発生し得る。
【0099】
本実施形態における新旧監視制御切替システムでは、旧監視制御システム10と新監視制御システム100のそれぞれから受信される異常検知データをもとに、新旧監視制御システムの状態情報を示す第3異常検知データを生成し、第3異常検知データをもとに異常監視をする。
【0100】
以下、本実施形態における第3異常検知データの生成の具体例について説明する。
【0101】
図11(A)に示すように、旧サーバ11及び新サーバ111から送信する異常検知データのフォーマットを設定する。図11(A)に示す例では、1ワード(2byte)のデータを用意し、0ビットを未使用、1~Fビットをそれぞれステーション番号(STN1~STN15)に割り当てる。
【0102】
システム内の機器に異常が発生した場合、異常が発生した機器に対応するステーション番号のビットが「1」に設定された異常検知データが生成される。コントローラ201,202は、受信された異常検知データに「0」から「1」になったステーション番号がある場合に、このステーション番号に対応する機器に異常が発生したものと判断する。
【0103】
このため、一方の監視制御システムのみに異常が発生した機器がある場合、コントローラ201,202は、異常が発生した機器に対応するステーション番号のビットが「1」に設定された異常検知データと、同じステーション番号のビットが「0」に設定された異常検知データを受信する(チャタリングする)。
【0104】
チャタリングを防止するため、以下のようにして、第3異常検知データを生成する。
【0105】
図11(B)は、旧監視制御システム10の旧監視制御装置1、旧サーバ11など、旧監視制御システム10に接続されている機器に対するステーション番号の設定を示している。
【0106】
図11(B)に示す例では、旧監視制御装置1が3台あり、それぞれのステーション番号を1,2,3とし、旧サーバ11が1台あり、ステーション番号を11(B)とした例を示している。
【0107】
また、図11(C)は、新監視制御システム100の新監視制御装置101、新サーバ111など、新監視制御システム100に接続されているステーション番号の設定を示している。
【0108】
図11(C)に示す例では、新監視制御装置101が3台あり、それぞれのステーション番号が8,9,10とし、新サーバ111が1台あり、ステーション番号が12(C)とした例を示している。
【0109】
このとき、旧監視制御システム10と新監視制御システム100のステーション番号は重複しないものとする。
【0110】
図12(A)(B)はチャタリングする事例を記載している。図12(A)に示すように、旧監視制御装置1からの第1異常検知データにおいて、異常を示す「1」となっているステーション番号1が、新監視制御装置101からの第2異常検知データのステーション番号1では「0」となることで異常がOFFとなっている。
【0111】
そこで、状態監視部211Bは、図12(A)に示す第1異常検知データは、図11(B)に示す、旧監視制御システム10の第1異常検知データに対するステーション番号の設定のデータでマスク(AND)処理を実行する。また、状態監視部211Bは、図12(B)に示す第2異常検知データは、図11(C)に示す、新監視制御システム100の第2異常検知データに対するステーション番号の設定のデータでマスク(AND)処理を実行する。
【0112】
そして、状態監視部211Bは、第1異常検知データのマスクデータと第2異常検知データのマスクデータをORすることで、図12(C)に示すように、新旧監視制御システムの第3異常検知データを作成することができる。
【0113】
状態監視部211Bは、第3異常検知データをもとに、旧監視制御システム10及び新監視制御システム100の機器の状態を監視する。従って、図7(B)に示すように、旧監視制御システム10と新監視制御システム100とが並置運用が実施される状況であっても、正しく監視制御を継続して実行することが可能である。
【0114】
本実施形態において、旧監視制御システムから新監視制御システムに切り替える際に、旧監視制御システムはコントローラと制御系A系により接続され、新監視制御システムはコントローラと制御系B系により接続される場合で説明したが、この実施形態は例として提示したものである。旧監視制御システムから新監視制御システムに切り替える際に、旧監視制御システムはコントローラと制御系Bにより接続され、新監視制御システムはコントローラと制御系A系により接続されてもよい。その場合、制御系A系が第2ネットワークであり、制御系B系が第1ネットワークとなる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0116】
また、前述した実施の形態において記載した処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。コンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【符号の説明】
【0117】
1…旧監視制御装置、11…旧サーバ、51…旧監視制御システム制御系(A系)、52…旧監視制御システム制御系(B系)、101…新監視制御装置、111…新サーバ、151…新監視制御システム制御系(A系)、152…新監視制御システム制御系(B系)、201,202…コントローラ、121,211…制御部、121A…状態情報送信部、211A…伝送種別設定部、211B…状態監視部、122,212…入力部、123,213…表示部、124,214…通信部、125,215…記憶部、251…制御系(A系)、252…制御系(B系)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13