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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】処理液流通方法、及び、処理液供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241111BHJP
   F04B 23/02 20060101ALI20241111BHJP
   F04B 53/20 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01L21/304 648F
H01L21/304 648G
F04B23/02 C
F04B53/20 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021065941
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161268
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】火口 友美
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-52038(JP,A)
【文献】国際公開第2022/009661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
F04B 23/02
F04B 53/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液を吐出するノズルに供給する前記処理液を流通させるための処理液流通方法であって、
第1配管に配置されて前記処理液に含まれるパーティクルを捕捉するフィルターの一次側の圧力を示す第1圧力と、前記フィルターの二次側の圧力を示す第2圧力とを監視する監視工程と、
前記フィルターよりも上流に配置されて前記処理液を前記第1配管に送り出すポンプを駆動する駆動工程と、
前記ポンプを駆動した状態において、閉じた状態の前記第1配管の流路を、前記フィルターよりも下流の位置で開くことで、前記第1配管に前記処理液を流通させる流通工程と
を含み、
前記流通工程は、前記第1圧力及び前記第2圧力の監視結果に基づいて、前記第1配管の流路が開かれた後の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧を、前記第1配管の流路が開かれる前の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧よりも小さくする差圧調整工程を含む、処理液流通方法。
【請求項2】
前記第1配管の一端及び他端が前記処理液を貯留する処理液タンクに接続され、
前記流通工程では、前記第1配管を前記処理液が循環し、
前記差圧調整工程では、前記第1圧力及び前記第2圧力の監視結果に基づいて前記フィルターの二次側の圧力を調整することで、前記第1配管の流路が開かれた後の前記差圧を、前記第1配管の流路が開かれる前の前記差圧よりも小さくする、請求項1に記載の処理液流通方法。
【請求項3】
前記駆動工程よりも後であって、前記流通工程よりも前において、前記第1配管から前記処理液タンクまでの延びる第2配管の流路を開くことで、前記第2配管において前記処理液を循環させる循環工程を更に含む、請求項2に記載の処理液流通方法。
【請求項4】
前記循環工程よりも後であって、前記流通工程よりも前において、前記フィルターから延びる第1排液配管に前記処理液を排出する第1排液工程を更に含む、請求項3に記載の処理液流通方法。
【請求項5】
前記流通工程では、前記ポンプに設定する目標出力値を、前記第2配管において前記処理液を循環させる時に前記ポンプに設定されている目標出力値よりも大きな値に設定する、請求項3又は請求項4に記載の処理液流通方法。
【請求項6】
前記流通工程は、前記第1配管から延びる第2排液配管に前記処理液を排出する第2排液工程を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の処理液流通方法。
【請求項7】
前記差圧調整工程では、前記第1配管の流路が開かれた後の前記差圧が所定範囲内に入るように前記差圧を調整する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の処理液流通方法。
【請求項8】
基板に対して処理液を吐出するノズルに前記処理液を供給する処理液供給装置であって、
前記処理液が流れる第1配管と、
前記第1配管に配置され、前記処理液に含まれるパーティクルを捕捉するフィルターと、
前記フィルターの一次側の圧力を示す第1圧力を検出する第1圧力検出部と、
前記フィルターの二次側の圧力を示す第2圧力を検出する第2圧力検出部と、
前記フィルターよりも上流に配置されて前記処理液を前記第1配管に送り出すポンプと、
前記フィルターよりも下流において前記第1配管に配置され、前記第1配管を流れる前記処理液の流量を調整する流量調整機構と、
前記流量調整機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
停止した状態の前記ポンプを駆動し、
前記ポンプを駆動した状態において、閉じた状態の前記第1配管の流路を開くように、前記流量調整機構を制御し、
前記第1圧力及び前記第2圧力の監視結果に基づいて、前記第1配管の流路が開かれた後の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧が、前記第1配管の流路が開かれる前の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧よりも小さくなるように、前記流量調整機構を制御する、処理液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液流通方法、及び、処理液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された液処理装置は、タンクと、循環ラインと、ポンプと、フィルターと、背圧弁と、制御部とを備える。タンクは、処理液を貯留する。循環ラインは、タンクから送られる処理液をタンクへ戻す。ポンプは、循環ラインにおける処理液の循環流を形成する。フィルターは、循環ラインにおけるポンプの下流側に設けられる。背圧弁は、循環ラインにおけるフィルターの下流側に設けられる。制御部は、ポンプ及び背圧弁を制御する。そして、制御部は、循環ラインにおける処理液の循環を開始する際に、ポンプの吐出圧力が第1圧力で立ち上がり、所定時間経過後にポンプの吐出圧力が第1圧力より大きい第2圧力に増加するようにポンプの吐出圧力を制御する。
【0003】
ポンプの吐出圧力が第1圧力となるように制御して処理液の循環を開始することにより、フィルターの上流側と下流側との間にかかる差圧を、小さい差圧に抑えることができる。その結果、処理液の循環を開始した直後に、ポンプの吐出圧力に起因して異物(パーティクル)がフィルターを通り抜けることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-41039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者は、特許文献1に記載された液処理装置と異なる方法によって処理液に含まれるパーティクルを低減する技術について、鋭意研究を行った。
【0006】
本発明の目的は、処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる処理液流通方法、及び、処理液供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、処理液流通方法では、基板に対して処理液を吐出するノズルに供給する前記処理液を流通させる。処理液流通方法は、監視工程と、駆動工程と、流通工程とを含む。監視工程において、第1配管に配置されて前記処理液に含まれるパーティクルを捕捉するフィルターの一次側の圧力を示す第1圧力と、前記フィルターの二次側の圧力を示す第2圧力とを監視する。駆動工程において、前記フィルターよりも上流に配置されて前記処理液を前記第1配管に送り出すポンプを駆動する。流通工程において、前記ポンプを駆動した状態において、閉じた状態の前記第1配管の流路を、前記フィルターよりも下流の位置で開くことで、前記第1配管に前記処理液を流通させる。前記流通工程は、差圧調整工程を含む。差圧調整工程では、前記第1圧力及び前記第2圧力の監視結果に基づいて、前記第1配管の流路が開かれた後の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧を、前記第1配管の流路が開かれる前の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧よりも小さくする。
【0008】
本発明の一態様においては、前記第1配管の一端及び他端が前記処理液を貯留する処理液タンクに接続されることが好ましい。前記流通工程では、前記第1配管を前記処理液が循環することが好ましい。前記差圧調整工程では、前記第1圧力及び前記第2圧力の監視結果に基づいて前記フィルターの二次側の圧力を調整することで、前記第1配管の流路が開かれた後の前記差圧を、前記第1配管の流路が開かれる前の前記差圧よりも小さくすることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様においては、処理液流通方法は、前記駆動工程よりも後であって、前記流通工程よりも前において、前記第1配管から前記処理液タンクまでの延びる第2配管の流路を開くことで、前記第2配管において前記処理液を循環させる循環工程を更に含むことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、前記循環工程よりも後であって、前記流通工程よりも前において、前記フィルターから延びる第1排液配管に前記処理液を排出する第1排液工程を更に含むことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様においては、前記流通工程では、前記ポンプに設定する目標出力値を、前記第2配管において前記処理液を循環させる時に前記ポンプに設定されている目標出力値よりも大きな値に設定することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様においては、前記流通工程は、前記第1配管から延びる第2排液配管に前記処理液を排出する第2排液工程を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の一態様においては、前記差圧調整工程では、前記第1配管の流路が開かれた後の前記差圧が所定範囲内に入るように前記差圧を調整することが好ましい。
【0014】
本発明の他の局面によれば、処理液供給装置は、基板に対して処理液を吐出するノズルに前記処理液を供給する。処理液供給装置は、第1配管と、フィルターと、第1圧力検出部と、第2圧力検出部と、ポンプと、流量調整機構と、制御部とを備える。第1配管には、前記処理液が流れる。フィルターは、前記第1配管に配置され、前記処理液に含まれるパーティクルを捕捉する。第1圧力検出部は、前記フィルターの一次側の圧力を示す第1圧力を検出する。第2圧力検出部は、前記フィルターの二次側の圧力を示す第2圧力を検出する。ポンプは、前記フィルターよりも上流に配置されて前記処理液を前記第1配管に送り出す。流量調整機構は、前記フィルターよりも下流において前記第1配管に配置され、前記第1配管を流れる前記処理液の流量を調整する。制御部は、前記流量調整機構を制御する。前記制御部は、停止した状態の前記ポンプを駆動する。制御部は、前記ポンプを駆動した状態において、閉じた状態の前記第1配管の流路を開くように、前記流量調整機構を制御する。制御部は、前記第1圧力及び前記第2圧力の監視結果に基づいて、前記第1配管の流路が開かれた後の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧が、前記第1配管の流路が開かれる前の前記第1圧力と前記第2圧力との差圧よりも小さくなるように、前記流量調整機構を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る処理液流通方法、及び、処理液供給装置によれば、処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部を示す平面図である。
図2】実施形態1に係る処理ユニットの内部を示す側面図である。
図3】実施形態1に係る処理液供給装置の構成を示す図である。
図4】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る処理液供給装置の内循環準備動作を示フローチャートである。
図6】実施形態1に係る処理液供給装置の内循環準備動作を示す図である。
図7】実施形態1に係る処理液供給装置の内循環動作を示す図である。
図8】実施形態1に係る処理液供給装置のフィルター排液動作を示す図である。
図9】実施形態1に係る処理液供給装置の外循環動作を示すフローチャートである。
図10】実施形態1に係る処理液供給装置の外循環動作を示す図である。
図11】実施形態1に係る処理液供給装置の処理液供給動作を示す図である。
図12】実施形態1に係るポンプの状態、第1圧力、第2圧力、及び、差圧の一例を示すグラフである。
図13】本発明の実施形態2に係る処理液供給装置の外循環動作を示すフローチャートである。
図14】実施形態2に係る処理液供給装置の外循環排液動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面には、説明の便宜のため、三次元直交座標系(X、Y、Z)を適宜記載している。そして、図中、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0018】
(実施形態1)
まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100の内部を示す平面図である。図1に示す基板処理装置100は、基板Wを処理液によって処理する。
【0019】
基板Wは、例えば、半導体ウェハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。
【0020】
処理液は、例えば、薬液である。薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤である。
【0021】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の処理ユニット1と、制御装置2と、複数の流体ボックス3と、処理液キャビネット4とを備える。
【0022】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。処理ユニット1の各々は、基板Wに処理液を供給して、基板Wを処理する。流体ボックス3の各々は流体機器を収容する。処理液キャビネット4は処理液を収容する。
【0023】
具体的には、複数の処理ユニット1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1の例では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(図1の例では3つの処理ユニット1)を含む。複数の流体ボックス3は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。処理液キャビネット4内の処理液は、いずれかの流体ボックス3を介して、流体ボックス3に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0024】
制御装置2は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、処理ユニット1、流体ボックス3、及び、処理液キャビネット4を制御する。制御装置2は、例えば、コンピューターである。
【0025】
制御装置2は、制御部21と、記憶部22とを含む。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。記憶部22は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部22は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを含む。記憶部22は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部22は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0026】
次に、図2を参照して、処理ユニット1を説明する。図2は、処理ユニット1の内部を示す側面図である。
【0027】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー11と、スピンチャック12と、スピンモーター13と、ノズル14と、ノズル移動部15と、複数のガード16と、待機ポッド17と、ノズル18とを含む。基板処理装置100は、処理液供給装置200と、排液配管7と、バルブ8と、バルブ19と、配管20とを更に備える。処理液供給装置200は、バルブ5と、配管6とを含む。なお、排液配管7及びバルブ8は、処理液供給装置200の構成要素と捉えることもできる。
【0028】
チャンバー11は略箱形状を有する。チャンバー11は、スピンチャック12、スピンモーター13、ノズル14、ノズル移動部15、複数のガード16、待機ポッド17、ノズル18、配管6の一部、排液配管7の一部、及び、配管20の一部を収容する。なお、例えば、バルブ5、8、19がチャンバー11に収容されていてもよい。
【0029】
スピンチャック12は基板Wを保持する。具体的には、スピンモーター13は、スピンチャック12を回転軸線AX1の周りに回転させる。従って、スピンチャック12は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AX1の周りに基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック12は、スピンベース121と、複数のチャック部材122とを含む。スピンベース121は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材122を支持する。複数のチャック部材122は基板Wを水平な姿勢で保持する。
【0030】
ノズル14は、基板Wに対して処理液を吐出する。ノズル移動部15は、ノズル14を昇降したり、ノズル14を回動軸線AX2の周りに水平回動させたりする。ノズル移動部15は、ノズル14を昇降させるために、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。また、ノズル移動部15は、ノズル14を水平回動させるために、例えば、電動モーターを含む。
【0031】
処理液供給装置200は、ノズル14に処理液を供給する。具体的には、処理液供給装置200の配管6がノズル14に処理液を供給する。従って、配管6には処理液が流れる。バルブ5は、配管6に配置される。そして、バルブ5は、配管6の流路を開閉し、ノズル14に対する処理液の供給と供給停止とを切り替える。
【0032】
待機ポッド17は、ノズル14の待機位置の下方に配置される。待機位置は、回転軸線AX1に対してスピンチャック12よりも外側の位置を示す。待機ポッド17は、待機位置に位置するノズル14によって吐出される処理液を受ける。ノズル移動部15は、待機位置と処理位置との間で、ノズル14を水平回動させる。ノズル14の処理位置は、基板Wの上方の位置を示す。ノズル14は、基板Wに処理液を吐出する前に、待機位置において、プリディスペンス処理を実行する。プリディスペンス処理とは、基板Wに処理液を吐出する前に、待機ポッド17に向けて処理液を吐出する処理のことである。一方、ノズル14は、処理位置において、基板Wに向けて処理液を吐出する。
【0033】
待機ポッド17には、排液配管7が接続される。プリディスペンス処理において、待機ポッド17が受けた処理液は、排液配管7を通して排出される。排液配管7は、例えば、排液タンクに接続される。排液配管7には、バルブ8が配置される。バルブ8は、排液配管7の流路を開閉し、排液配管7による処理液の排出と排出停止とを切り替える。
【0034】
ノズル18は、基板Wに向けてリンス液を供給する。その結果、基板Wから処理液が洗い流される。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0035】
配管20はノズル18にリンス液を供給する。従って、配管20にはリンス液が流れる。バルブ19は、配管20に配置される。そして、バルブ19は、配管20の流路を開閉し、ノズル18に対するリンス液の供給と供給停止とを切り替える。
【0036】
各ガード16は略筒形状を有する。各ガード16は、基板Wから排出された処理液又はリンス液を受け止める。
【0037】
次に、図3を参照して、処理液供給装置200の詳細を説明する。図3は、処理液供給装置200を示す図である。図3に示すように、処理液供給装置200は、処理液タンク30と、ヒーター31、32と、温度センサー33と、ポンプ34と、パルスダンパー35と、第1圧力計P1と、フィルター37と、第2圧力計P2と、温度センサー39、40と、第3圧力計41と、温度センサー42と、バルブ44、45、46、47、48、49と、流量調整機構50と、外循環配管60と、内循環配管61と、排液配管62と、配管63と、排液配管64と、配管65、66とを更に含む。流量調整機構50は、バルブ38と、バルブ43とを含む。また、処理液供給装置200は、複数の処理ユニット1に対応して、複数の配管6及び複数のバルブ5を含んでいる。
【0038】
制御部21は処理液供給装置200を制御する。具体的には、ヒーター31、32、ポンプ34、バルブ5、8、44、45、46、47、48、49、及び、流量調整機構50は、制御部21によって制御される。また、温度センサー33、39、40、42は、処理液の温度を検出し、検出した温度を示す検出値を、制御部21に出力する。さらに、第1圧力計P1、第2圧力計P2、及び、第3圧力計41は、処理液の圧力を検出し、検出した圧力を示す検出値を制御部21に出力する。
【0039】
また、例えば、処理液タンク30、ヒーター31、32、温度センサー33、ポンプ34、パルスダンパー35、第1圧力計P1、フィルター37、第2圧力計P2、バルブ38、温度センサー39、バルブ44、45、46、47、48、49、外循環配管60の一部、内循環配管61、排液配管62の一部、配管63、排液配管64の一部、配管65、及び、配管66の一部は、処理液キャビネット4(図1)に収容される。
【0040】
一方、例えば、外循環配管60の一部、温度センサー40、第3圧力計41、温度センサー42、バルブ43、バルブ5、及び、配管6の一部は、流体ボックス3(図1)に収容される。
【0041】
処理液タンク30は、処理液を貯留する。配管66は、処理液の新液を処理液タンク30に補充する。バルブ49は、配管66に配置され、配管66の流路を開閉する。
【0042】
外循環配管60の上流端70及び下流端71は、処理液タンク30に接続される。外循環配管60は、第1流通配管601と、第2流通配管602とを含む。第1流通配管601の一端は処理液タンク30に接続され、第1流通配管601の他端はフィルター37に接続される。第1流通配管601の一端が、外循環配管60の上流端である。第2流通配管602の一端はフィルター37に接続され、第2流通配管602の他端は処理液タンク30に接続される。第2流通配管602の他端が、外循環配管60の下流端である。なお、図面の簡略化のために図示を省略したが、複数の第2流通配管602が、それぞれ、複数のタワーTW(図1)に対応して設けられている。そして、複数の第2流通配管602は、フィルター37の二次側で分岐する。
【0043】
外循環配管60は、本発明の「第1配管」の一例に相当する。
【0044】
ヒーター31、ヒーター32、ポンプ34、パルスダンパー35、第1圧力計P1、及び、フィルター37は、この順番で、上流から下流に向かって外循環配管60(具体的には第1流通配管601)に配置される。また、フィルター37は、外循環配管60の位置73に配置される。位置73は、ポンプ34よりも下流の位置であって、分岐位置74及び流量調整機構50よりも上流の位置である。
【0045】
ヒーター31、32は、処理液タンク30内の処理液を加熱して、処理液タンク30内の処理液の温度を調整する。なお、実施形態1では、処理液供給装置200は、直列に接続される2つのヒーター31、32を有しているが、1つのヒーターを有していてもよいし、3以上のヒーターを有していてもよい。
【0046】
ポンプ34は、処理液タンク30内の処理液を外循環配管60に送り出す。具体的には、ポンプ34は、処理液タンク30内の処理液を第1流通配管601に送り出す。ポンプ34は、外循環配管60(具体的には第1流通配管601)において、フィルター37及び分岐位置72よりも上流に配置される。温度センサー33は、ヒーター32とポンプ34との間の位置80で、第1流通配管601を流れる処理液の温度を検出する。パルスダンパー35は、ポンプ34から送り出される処理液の脈動を抑制する。
【0047】
フィルター37は、フィルター37を通過する処理液に含まれるパーティクルを捕捉する。換言すれば、フィルター37は、フィルター37を通過する処理液に含まれるパーティクルを除去する。更に換言すれば、フィルター37は処理液をろ過する。
【0048】
例えば、フィルター37は多数の孔(不図示)を有する。そして、処理液は、フィルター37の孔を通過する。その結果、フィルター37によって処理液がろ過される。具体的には、処理液に含まれるパーティクルは、フィルター37の孔を通過する際に、孔を区画する壁面によって吸着され、孔内に捕捉される。その結果、パーティクルが処理液中から除去される。
【0049】
例えば、フィルター37は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)親水膜をろ過膜として含む。PTFE親水膜は、PTFE製の基材の表面を親水化した膜である。
【0050】
フィルター37のパーティクルの捕捉能力は、フィルター37に加わる圧力の変動に伴って変化する。フィルター37に圧力が加わった状態では、フィルター37に圧力が加わっていない状態と比較して、より小さなサイズのパーティクルを捕捉可能である。そして、フィルター37に対して加わる圧力が増大するのに従って、より一層小さなサイズのパーティクルを捕捉可能である。
【0051】
第1圧力計P1は、フィルター37の一次側に配置される。そして、第1圧力計P1は、フィルター37の一次側の圧力を示す第1圧力を検出する。第1圧力計P1は、第1圧力を示す検出値を制御部21に出力する。制御部21は、第1圧力を示す検出値を取得して、リアルタイムで第1圧力を監視する。第1圧力計P1は、例えば、圧力センサーである。
【0052】
第1圧力計P1は、本発明の「第1圧力検出部」の一例に相当する。
【0053】
第2圧力計P2は、フィルター37の二次側に配置される。そして、第2圧力計P2は、フィルター37の二次側の圧力を示す第2圧力を検出する。第2圧力計P2は、第2圧力を示す検出値を制御部21に出力する。制御部21は、第2圧力を示す検出値を取得して、リアルタイムで第2圧力を監視する。第2圧力計P2は、例えば、圧力センサーである。
【0054】
第2圧力計P2は、本発明の「第2圧力検出部」の一例に相当する。
【0055】
以下、説明の便宜のために、第1圧力に対して、第1圧力計P1と同じ参照符号「P1」を付し、第2圧力に対して、第2圧力計P2と同じ参照符号を付する場合がある。
【0056】
フィルター37は、外循環配管60において第1圧力計P1と第2圧力計P2との間に配置される。第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFが大きいと、差圧DFが小さい場合と比較して、フィルター37に捕捉されたパーティクルの一部がフィルター37から離脱して外循環配管60に拡散する場合がある。例えば、差圧DFは、ポンプ34の起動時、つまり、停止状態のポンプ34を駆動した時に大きくなる傾向がある。
【0057】
具体的には、差圧DFは、第1圧力P1から第2圧力P2を減算した値である(DF=P1-P2)。この場合、例えば、差圧DFが大きいと、差圧DFが小さい場合と比較して、フィルター37に捕捉されたパーティクルの一部がフィルター37の二次側に拡散する場合がある。
【0058】
そこで、実施形態1では、停止状態のポンプ34の駆動時において、処理液供給装置200は、第1圧力P1及び第2圧力P2の監視結果に基づいて、外循環配管60の流路がフィルター37よりも下流の位置で開かれた後の差圧DFを、外循環配管60の流路がフィルター37よりも下流の位置で開かれる前の差圧DFよりも小さくする。従って、フィルター37に捕捉されたパーティクルが差圧DFに起因してフィルター37の二次側に拡散することを抑制できる。その結果、処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる。
【0059】
流量調整機構50は、フィルター37よりも下流において外循環配管60(具体的には第2流通配管602)に配置される。流量調整機構50は、外循環配管60を流れる処理液の流量を調整する。処理液の流量の調整は、流量を増減させることだけでなく、流量をゼロにすることを含む。従って、流量調整機構50は、外循環配管60の流路を閉塞したり、開放したり、処理液の流量を増減したりする。換言すれば、流量調整機構50は、第2流通配管602を流れる処理液の圧力を調整する。更に換言すれば、流量調整機構50は、フィルター37の二次側の圧力を調整する。
【0060】
具体的には、流量調整機構50のバルブ38は、フィルター37及び第2圧力計P2よりも下流であって、分岐位置74よりも上流において、第2流通配管602(外循環配管60)に配置される。そして、バルブ38は、フィルター37の二次側において、第2流通配管602の流路を閉塞又は開放する。
【0061】
バルブ43は、フィルター37、第2圧力計P2、及び分岐位置74よりも下流の位置において、第2流通配管602(外循環配管60)に配置される。バルブ43は、第2流通配管602を流れる処理液の流量を調整する。換言すれば、バルブ43は、第2流通配管602を流れる処理液の圧力を調整する。更に換言すれば、バルブ43は、フィルター37の二次側の圧力(第2圧力P2)を調整する。バルブ43は、例えば、モーターニードルバルブ、背圧弁、又は、リリーフ弁である。制御部21は、バルブ43の開度を連続的又は段階的に調整することができる。開度は、バルブ43が開いている程度を示す。例えば、バルブ43の開度が小さい程、フィルター37の二次側の圧力(第2圧力P2)が大きくなる。なお、バルブ43が第2流通配管602の流路を閉塞及び開放可能である場合、例えば、流量調整機構50はバルブ38を有していなくてもよい。
【0062】
温度センサー39は、フィルター37及びバルブ38よりも下流の位置81で、第2流通配管602(外循環配管60)を流れる処理液の温度を検出する。温度センサー40は、温度センサー39よりも下流の位置82で、第2流通配管602(外循環配管60)を流れる処理液の温度を検出する。位置82は、分岐位置74よりも上流の位置である。
【0063】
第3圧力計41は、バルブ43の一次側の位置83で、第2流通配管602(外循環配管60)を流れる処理液の圧力を検出する。位置83は、分岐位置74よりも下流の位置である。温度センサー42は、バルブ43の一次側の位置84で、第2流通配管602(外循環配管60)を流れる処理液の温度を検出する。位置84は、分岐位置74よりも下流の位置である。
【0064】
第2流通配管602(外循環配管60)の複数の分岐位置74には、それぞれ、複数の配管6が接続される。そして、配管6は、分岐位置74からノズル14まで延びる。分岐位置74は、フィルター37よりも下流の位置であって、バルブ43よりも上流の位置である。
【0065】
内循環配管61は、第1流通配管601(外循環配管60)の分岐位置72から処理液タンク30まで延びる。分岐位置72は、ポンプ34よりも下流、かつ、フィルター37よりも上流の位置である。バルブ44は、内循環配管61に配置される。そして、バルブ44は、内循環配管61の流路を開閉する。
【0066】
内循環配管61は、本発明の「第2配管」の一例に相当する。
【0067】
排液配管62は、フィルター37から延びる。排液配管62は、フィルター37の内部(具体的には内部一次側)に存在する処理液を排出するための配管である。具体的には、排液配管62の一端が、フィルター37の内部の一次側空間に接続され、排液配管62の他端が、例えば、排液タンクに接続される。バルブ45は、排液配管62に配置される。そして、バルブ45は、排液配管62の流路を開閉する。
【0068】
排液配管62は、本発明の「第1排液配管」の一例に相当する。
【0069】
排液配管64は、フィルター37から延びる。排液配管64は、フィルター37の内部(具体的には内部二次側)に存在する処理液を排出するための配管である。具体的には、排液配管64の一端が、フィルター37の内部の二次側空間に接続され、排液配管64の他端が、例えば、排液タンクに接続される。バルブ46は、排液配管64に配置される。そして、バルブ46は、排液配管64の流路を開閉する。
【0070】
配管63は、フィルター37から処理液タンク30まで延びる。配管63は、パーティクルの発生の原因になるフィルター37の内部(具体的には内部一次側)の気泡を除去するための配管である。具体的には、配管63の一端が、フィルター37の内部の一次側空間に接続され、配管63の他端が、処理液タンク30に接続される。バルブ47は、配管63に配置される。そして、バルブ47は、配管63の流路を開閉する。
【0071】
配管65は、フィルター37から処理液タンク30まで延びる。配管65は、パーティクルの発生の原因になるフィルター37の内部(具体的には内部二次側)の気泡を除去するための配管である。具体的には、配管65の一端が、フィルター37の内部の二次側空間に接続され、配管65の他端が、処理液タンク30に接続される。バルブ48は、配管65に配置される。そして、バルブ48は、配管65の流路を開閉する。
【0072】
次に、図1図11を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。図4は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図5は、図4の工程S2における内循環準備動作を示フローチャートである。図6は、処理液供給装置200の内循環準備動作を示す図である。図7は、処理液供給装置200の内循環動作を示す図である。図8は、処理液供給装置200のフィルター排液動作を示す図である。図9は、処理液供給装置200の外循環動作を示すフローチャートである。図10は、処理液供給装置200の外循環動作を示す図である。図11は、処理液供給装置200の処理液供給動作を示す図である。
【0073】
本明細書では、バルブ(例えばバルブ5、8、38、43、44、45、46、47、48、49)を示す記号において、白色はバルブが閉じていることを示し、黒色はバルブが開いていることを示す。また、ポンプ34を示す記号において、白色の三角形はポンプ34が停止していることを示し、黒色の三角形はポンプ34が駆動していることを示す。さらに、処理液の流通経路が、太線によって示される。
【0074】
図4に示すように、実施形態1に係る基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。基板処理方法は、制御部21による制御に従って基板処理装置100によって実行される。特に、工程S1~S5は、処理液流通方法を構成する。処理液流通方法は、制御部21による制御に従って処理液供給装置200によって実行される。処理液流通方法では、基板Wに対して処理液を吐出するノズル14に供給する処理液を流通させる。具体的には、処理液流通方法では、基板Wに対して処理液を吐出するノズル14に供給する処理液を循環させる。
【0075】
図3及び図4に示すように、まず、工程S1において、制御部21は、第1圧力P1及び第2圧力P2の監視を開始する。つまり、制御部21は、第1圧力計P1から第1圧力P1を示す検出値の取得を開始するとともに、第2圧力計P2から第2圧力P2を示す検出値の取得を開始する。工程S1は、本発明の「監視工程」の一例に相当する。
【0076】
次に、工程S2において、処理液供給装置200は、内循環準備動作を実行する。内循環準備動作は、工程S3の内循環動作の前に実行され、内循環の準備のための動作である。内循環は、内循環配管61を通して処理液タンク30の処理液を循環させつつ、処理液の温度を目標温度に到達させることを示す。
【0077】
具体的には、図5に示すように、工程S2(内循環準備動作)は、工程S201と、工程S202とを含む。
【0078】
まず、図5及び図6に示すように、工程S201において、制御部21は、停止状態のポンプ34を駆動する。この場合、例えば、制御部21は、ポンプ34の目標出力値として、第1目標出力値TG1を設定する。目標出力値は、ポンプ34が目標吐出圧力を実現するために、ポンプ34に設定される設定値である。設定される目標出力値が大きいほど、目標吐出圧力も大きくなる。例えば、ポンプ34が、遠心ポンプ及びプロペラポンプ等の非容積式ポンプである場合、目標出力値は、インペラ及びプロペラ等の回転体の回転数によって示される。例えば、ポンプ34が、往復動ポンプ等の容積式ポンプである場合、目標出力値は、往復動する要素のストローク長及び/又はストローク数によって示される。往復動ポンプは、例えば、ベローズポンプである。工程S201は、本発明の「駆動工程」の一例に相当する。
【0079】
次に、図5及び図6に示すように、工程S202において、制御部21は、バルブ38、44、47、48を開き、バルブ5、8、43、45、46を閉じる。バルブ38が開くため、内循環配管61の流路が開放される。その結果、内循環配管61に処理液が流れる。
【0080】
例えば、制御部21は、第1圧力P1が目標圧力P11に到達すると工程S202を終了する。そして、処理は図4のメインルーチンに戻る。なお、制御部21は、所定準備期間だけ、工程S2の内循環準備動作を処理液供給装置200に継続させてもよい。所定準備期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0081】
次に、図4及び図7に示すように、工程S3において、処理液供給装置200は、処理液を内循環させる。工程S3は、本発明の「循環工程」の一例に相当する。工程S3は内循環工程と記載することもできる。
【0082】
具体的には、工程S3では、図7に示すように、制御部21は、バルブ44を開き、バルブ5、8、38、43、45、46、47、48を閉じる。その結果、処理液タンク30に貯留された処理液が、第1流通配管601及び内循環配管61を通って循環し、内循環が実行される。この場合、制御部21は、温度センサー33によって検出された処理液の温度を監視しながら、内循環する処理液の温度が目標温度になるように、ヒーター31、32を制御する。内循環する処理液の温度が目標温度に到達すると、処理は工程S4に進む。なお、制御部21は、所定内循環期間だけ、処理液の内循環を処理液供給装置200に実行させてもよい。所定内循環期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0083】
すなわち、工程S3では、制御部21は、工程S2(工程S201、S202)よりも後であって、工程S4及び工程S5よりも前において、バルブ44によって内循環配管61の流路を開くことで、内循環配管61において処理液を循環させる。従って、実施形態1では、工程S5(外循環動作)よりも前に、処理液の温度を目標温度に到達させることができる。その結果、外循環中の処理液を速やかにノズル14に供給できる。
【0084】
次に、図4及び図8に示すように、工程S4において、処理液供給装置200は、フィルター37の内部の処理液を排液配管62に排出する。図8の例では、処理液供給装置200は、フィルター37の内部の一次側空間に存在する処理液を排液配管62に排出する。工程S4は、本発明の「第1排液工程」の一例に相当する。
【0085】
具体的には、工程S4では、図8に示すように、制御部21は、バルブ5、8、38、43、44、46、47、48を閉じた状態で、第1排液期間だけバルブ45を開く。従って、第1排液期間において、フィルター37の内部の処理液が、排液配管62に排出される。その結果、処理液中のパーティクルもまた、排液配管62から排出される。なお、第1排液期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0086】
すなわち、工程S4では、工程S3よりも後であって、工程S5よりも前において、制御部21は、バルブ45を開くことによって排液配管62に処理液を排出する。従って、フィルター37よりも一次側に存在するパーティクル、及び、フィルター37の内部(内部一次側)に存在するパーティクルを、排液配管62を通して排出できる。その結果、処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる。
【0087】
なお、例えば、工程S4において、制御部21は、バルブ45を開くと同時に、バルブ45を開いた後に、又は、バルブ45を開く前に、一定期間だけ、バルブ46を開いてもよい。この場合は、フィルター37の内部(内部二次側)に存在するパーティクルを、排液配管64を通して排出できる。その結果、処理液に含まれるパーティクルを更に効果的に低減できる。
【0088】
次に、図4及び図10に示すように、工程S5において、処理液供給装置200は、処理液を外循環させる。外循環は、外循環配管60によって、処理液を循環させることを示す。従って、工程S5では、外循環配管60を処理液が循環する。工程S5は、本発明の「流通工程」の一例に相当する。工程S5は外循環工程と記載することができる。
【0089】
具体的には、図9に示すように、工程S5(外循環動作)は、工程S501~工程S503を含む。
【0090】
まず、図9及び図10に示すように、工程S501において、制御部21は、ポンプ34の目標出力値を、第1目標出力値TG1から第2目標出力値TG2に変更する。第2目標出力値TG2は、第1目標出力値TG1よりも大きい。つまり、工程S501(工程S5)では、制御部21は、ポンプ34に設定する目標出力値を、工程S2~工程S4においてポンプ34に設定されている目標出力値(第1目標出力値TG1)よりも大きな値に設定する。例えば、工程S501(工程S5)では、制御部21は、ポンプ34に設定する目標出力値を、内循環配管61に処理液を循環させる時にポンプ34に設定されている目標出力値(第1目標出力値TG1)よりも大きな値に設定する。
【0091】
次に、工程S502において、制御部21は、閉じた状態の外循環配管60(具体的には第2流通配管602)の流路を開くように、流量調整機構50(バルブ38、43)を制御する。具体的には、ポンプ34を駆動した状態において、制御部21は、閉じた状態の外循環配管60の流路を開くように、流量調整機構50を制御する。従って、流量調整機構50は、閉じた状態の外循環配管60の流路を開くことで、外循環配管60において処理液を循環させる。更に具体的には、図10に示すように、制御部21は、バルブ38、43を開き、バルブ5、8、44、45、46、47、48を閉じる。その結果、処理液タンク30に貯留された処理液が、外循環配管60を通って循環する。処理液の外循環は、制御部21が外循環の停止指示を受け付けるまで継続される。
【0092】
次に、工程S503において、制御部21は、流量調整機構50のバルブ43によって、第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFを調整する。具体的には、制御部21は、第1圧力P1及び第2圧力P2の監視結果(工程S1)に基づいて、外循環配管60(具体的には第2流通配管602)の流路が開かれた後の第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFが、外循環配管60の流路が開かれる前の第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFよりも小さくなるように、流量調整機構50のバルブ43を制御する。
【0093】
従って、バルブ43は、第1圧力P1及び第2圧力P2の監視結果(工程S1)に基づいて、フィルター37の二次側の圧力、つまり、第2圧力P2を調整することで、外循環配管60の流路が開かれた後の差圧DFを、外循環配管60の流路が開かれる前の差圧DFよりも小さくする。よって、フィルター37に捕捉されたパーティクルが差圧DFに起因してフィルター37の二次側に拡散することを抑制できる。その結果、処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる。工程S503は、本発明の「差圧調整工程」の一例に相当する。
【0094】
特に、実施形態1では、第1圧力P1及び第2圧力P2の監視結果(工程S1)に基づいて差圧DFを調整するため、第1圧力P1及び第2圧力P2を監視しない場合(検出しない場合)と比較して、より精度良く差圧DFを調整できる。
【0095】
また、実施形態1では、「外循環配管60の流路が開かれた後」は、「第2流通配管602の流路が開かれた後」又は「フィルター37よりも下流の位置で外循環配管60の流路が開かれた後」を示す。
【0096】
特に、実施形態1では、処理液が外循環している時の差圧DF(つまり、処理液が外循環配管60を循環している時の差圧DF)を、外循環配管60の流路が開かれる前の差圧DF(処理液が外循環する前の差圧DF)よりも小さくする。従って、フィルター37に捕捉されたパーティクルが差圧DFに起因して外循環配管60に拡散することを抑制できる。
【0097】
より詳細には、一例として、制御部21は、外循環配管60の流路が開かれた後の差圧DF(つまり、処理液が外循環配管60を循環している時の差圧DF)が、工程S3での差圧DF(つまり、処理液が内循環配管61を循環している時の差圧DF)よりも小さくなるように、流量調整機構50のバルブ43を制御してもよい。
【0098】
また、例えば、工程S503では、第1圧力P1及び第2圧力P2の監視結果(工程S1)に基づいて、外循環配管60の流路が開かれた後の差圧DF(つまり、処理液が外循環配管60を循環している時の差圧DF)が所定範囲RG内に入るように差圧DFを調整してもよい。具体的には、制御部21は、外循環配管60の流路が開かれた後の差圧DFが所定範囲RG内に入るようにバルブ43を制御してもよい。
【0099】
この場合、バルブ43は、フィルター37の二次側の圧力、つまり、第2圧力P2を調整することで、外循環配管60の流路が開かれた後の差圧DFを所定範囲RG内に調整する。所定範囲RG内の差圧DFは、外循環配管60の流路が開かれる前の差圧DFよりも小さい。例えば、所定範囲RG内の差圧DFは、工程S3での差圧DFよりも小さい。実施形態1によれば、外循環配管60の流路が開かれた後の差圧DFを所定範囲RG内に収めることによって、フィルター37に捕捉されたパーティクルが差圧DFに起因してフィルター37の二次側に拡散することを更に抑制できる。
【0100】
所定範囲RGは、例えば、ゼロを含むことが好ましい。又は、所定範囲RGは、例えば、基準値に対して±Kの範囲、又は、基準値に対して±Q%の範囲として設定される。「K」及び「Q」は正の実数である。
【0101】
好ましくは、制御部21は、フィルター37の二次側の第2圧力P2がフィルター37の一次側の第1圧力P1と略同じになるように、バルブ43に第2圧力P2を調整させる。この好ましい例によれば、差圧DFが略ゼロになる。つまり、制御部21は、差圧DFが略ゼロになるように、バルブ43に第2圧力P2を調整させる。従って、フィルター37に捕捉されたパーティクルが差圧DFに起因してフィルター37の二次側に拡散することを更に効果的に抑制できる。その結果、処理液に含まれるパーティクルを更に効果的に低減できる。
【0102】
ここで、工程S503は、処理液が外循環を実行している期間中継続して実行されてもよいし、工程S502の開始時(外循環の開始時)から所定調整期間だけ実行されてもよい。所定調整期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。又は、工程S503は、例えば、工程S502の開始時(外循環の開始時)から、第1圧力P1が目標圧力P12(後述の図12)に到達する時まで実行されてもよい。又は、例えば、工程S503は、工程S502の開始時(外循環の開始時)から、第2圧力P2が目標圧力P20(後述の図12)に到達するまで実行されてもよい。目標圧力P12及び目標圧力P20は、工程S2での第1圧力P1の目標値である目標圧力P11(つまり、工程S3での内循環時の第1圧力P1)よりも大きい(後述の図12)。また、差圧DFを略ゼロにするために、目標圧力P12と目標圧力P20とが略同じであることが好ましい。
【0103】
次に、図1図2、及び、図4に示すように、工程S6において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1に搬入する。そして、処理ユニット1において、スピンチャック12は基板Wを保持する。更に、スピンモーター13は、スピンチャック12を回転させることで、基板Wを回転させる。
【0104】
次に、図2図4、及び、図11に示すように、工程S7において、処理液供給装置200は、外循環配管60から配管6を介してノズル14に処理液を供給する。その結果、ノズル14は、処理液を基板Wに吐出する。そして、基板Wは、処理液によって処理される。なお、工程S7は、実施形態1に係る処理液流通方法に含まれていてもよい。
【0105】
具体的には、図11に示すように、制御部21は、バルブ38、43を開いた状態、かつ、バルブ8、44、45、46、47、48を閉じた状態において、所定処理期間だけバルブ5を開く。その結果、所定処理期間において、外循環配管60を流れる処理液が配管6からノズル14に供給される。そして、所定処理期間において、ノズル14は、基板Wに処理液を吐出する。バルブ5が開かれてから所定処理期間が経過すると、バルブ5が閉じられ、ノズル14からの処理液の吐出が停止される。なお、所定処理期間は、基板Wの処理目的に応じて予め定められる。
【0106】
すなわち、工程S7では、処理液供給装置200は、処理液の外循環を実行している状態において、つまり、処理液が外循環配管60を循環している状態において、外循環配管60からノズル14に処理液を供給する。例えば、工程S7では、処理液供給装置200は、工程S503による差圧調整を継続して実行中に、又は、工程S503による差圧調整よりも後に、外循環配管60からノズル14に処理液を供給する。そして、ノズル14に供給された処理液を、ノズル14によって基板Wに吐出する。その結果、パーティクルの低減された処理液によって基板Wを処理できる。
【0107】
次に、図2及び図4に示すように、工程S8において、ノズル18は、リンス液を基板Wに吐出する。その結果、基板W上の処理液が、リンス液によって洗い流される。
【0108】
具体的には、図2に示すように、バルブ19が開かれると、ノズル18は、リンス液を基板Wに吐出する。バルブ19が開かれてから所定リンス期間が経過すると、バルブ19が閉じられ、ノズル18からのリンス液の吐出が停止される。なお、所定リンス期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0109】
次に、図2及び図4に示すように、工程S9において、基板Wの高速回転によって基板Wを乾燥させる。
【0110】
具体的には、スピンモーター13が基板Wを回転方向に加速させ、工程S7及び工程S8での基板Wの回転速度よりも大きい高回転速度で基板Wを回転させる。その結果、液体が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定乾燥期間が経過すると、スピンモーター13が回転を停止する。そして、基板Wの回転が停止される。なお、所定乾燥期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。
【0111】
次に、図1図2、及び、図4に示すように、工程S10において、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1から搬出する。つまり、処理済みの基板Wがチャンバー11から搬出される。そして、基板処理方法は終了する。
【0112】
以上、図9及び図10を参照して説明したように、実施形態1によれば、工程S503では、外循環開始後の差圧DFを外循環開始前の差圧DFよりも小さくする。その結果、差圧DFに起因してフィルター37からパーティクルが拡散することを効果的に抑制できる。
【0113】
また、実施形態2では、工程S501において、外循環時にポンプ34に設定する目標出力値を、内循環時にポンプ34に設定されている目標出力値よりも大きな値に設定する。従って、工程S7(図4)においてノズル18が基板Wに処理液を吐出するために十分な吐出圧力を確保できる。
【0114】
次に、図6図8、及び、図10図12を参照して、ポンプ34の状態、第1圧力P1、第2圧力P2、及び、差圧DFの一例を説明する。図12は、ポンプ34の状態、第1圧力P1、第2圧力P2、及び、差圧DFの一例を示すグラフである。なお、図2は、厳密なグラフではなく、理解を容易にするための概略を説明するために参照される。
【0115】
図12に示すように、グラフGP1~GP4の横軸は時間を示す。グラフGP1の縦軸は、ポンプ34の状態を示す。グラフGP2の縦軸は、フィルター37の一次側の第1圧力P1を示す。グラフGP3の縦軸は、フィルター37の二次側の第2圧力P2を示す。グラフGP4の縦軸は、第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFを示す。
【0116】
図6及びグラフGP1に示すように、時刻t1において、オフ状態(停止状態)のポンプ34が駆動されて、内循環準備動作(工程S2)が開始される。この場合、ポンプ34の目標出力値が第1目標出力値TG1に設定される。また、時刻t1に、バルブ44が内循環配管61の流路を開く。従って、グラフGP2に示すように、時刻t1から時刻t2までの期間T1では、第1圧力P1が上昇する。そして、時刻t2において、第1圧力P1が目標圧力P11に到達する。期間T1においては、図6に示す内循環準備動作(工程S2)が実行されている。
【0117】
一方、図6及びグラフGP3に示すように、期間T1では、バルブ43が外循環配管60の第2流通配管602を閉塞しているため、第2圧力P2は略ゼロである。従って、グラフGP4に示すように、期間T1では、差圧DFが、第1圧力P1と同様に上昇する。
【0118】
次に、図7及び図12に示すように、時刻t2において、バルブ44が内循環配管61の流路を開いたままで、バルブ38、47、48が閉じられることで、内循環動作(工程S3)が開始される。内循環動作は、時刻t2から時刻t3までの期間T2において実行される。そして、グラフGP2に示すように、期間T2では、第1圧力P1が、目標圧力P11に概ね維持されて、略一定である。
【0119】
一方、図7及びグラフGP3に示すように、期間T2では、バルブ38が外循環配管60の第2流通配管602を閉塞しているため、第2圧力P2は略ゼロである。従って、グラフGP4に示すように、期間T2では、差圧DFが、第1圧力P1と同様に略一定である。
【0120】
次に、図8及び図12に示すように、時刻t3において、バルブ44が内循環配管61の流路を閉じて、バルブ45が排液配管62の流路を開くことで、フィルター排液動作(工程S4)が開始される。フィルター排液動作は、フィルター37から排液配管62に処理液を排出する動作である。フィルター排液動作は、時刻t3から時刻t4までの期間T3において実行される。そして、グラフGP3に示すように、期間T3では、フィルター37からの排液の実行によって、第1圧力P1が下降する。
【0121】
一方、図8及びグラフGP3に示すように、期間T3では、バルブ38が外循環配管60の第2流通配管602を閉塞しているため、第2圧力P2は略ゼロである。従って、グラフGP4に示すように、期間T3では、差圧DFが、第1圧力P1の下降にともなって下降する。
【0122】
次に、図10及び図12に示すように、時刻t4において、バルブ45が排液配管62の流路を閉じて、バルブ38、43が外循環配管60の第2流通配管602の流路を開くことで、外循環動作(工程S5)が開始される。外循環動作は、時刻t4以降の期間T4において実行される。特に、時刻t4では、ポンプ34の目標出力値が第2目標出力値TG2に設定される。第2目標出力値TG2は第1目標出力値TG1よりも大きい。
【0123】
具体的には、時刻t4から時刻5の期間T41において、第1圧力P1が上昇する。そして、時刻t5において、第1圧力P1が目標圧力P12に到達する。
【0124】
一方、図10及びグラフGP3、GP4に示すように、期間T41では、バルブ43は、第2圧力P2を上昇させることで、外循環開始後の差圧DFを外循環開始前の差圧DFよりも小さくする。グラフGP3、GP4の例では、期間T41では、バルブ43は、第2圧力P2を上昇させることで、外循環開始後において差圧DFを略ゼロにする。また、時刻t5で、第2圧力P2は目標圧力P20に到達する。グラフGP3、GP4の例では、第1圧力P1の目標圧力P12と第2圧力P2の目標圧力P20は略同じである。
【0125】
更に、グラフGP3、GP4に示すように、時刻t5から時刻t6までの期間T42において、第1圧力P1が目標圧力P12に維持され、第2圧力P2が目標圧力P20に維持される。期間T42では、グラフGP4に示すように、差圧DFは略ゼロである。
【0126】
更に、グラフGP3、GP4に示すように、時刻t6から時刻t7までの期間T43において、制御部21は、バルブ43の開度を変更することで、第1圧力P1及び第2圧力P2を下降させて、第1圧力P1を目標圧力P13に設定するとともに、第2圧力P2を目標圧力P21に設定する。例えば、時刻t6において、バルブ43の開度を大きくすることで、第1圧力P1及び第2圧力P2を下降させる。なお、グラフGP2に示すように、目標圧力P13は、目標圧力P12より小さく、目標圧力P11より大きい。グラフGP3に示すように、目標圧力P21は目標圧力P20より小さい。また、グラフGP3、GP4の例では、目標圧力P13と目標圧力P21とが略同じである。期間T43では、グラフGP4に示すように、差圧DFは略ゼロである。
【0127】
図11及びグラフGP3、GP4に示すように、時刻t7以降において、バルブ5が開かれて、外循環配管60から配管6に処理液が供給される。その結果、ノズル18が基板Wに処理液を吐出する。この場合、時刻t7以降において、グラフGP4に示すように、差圧DFは略ゼロである。従って、差圧DFに起因してフィルター37からパーティクルが拡散することが抑制されている。その結果、ノズル18が基板Wに吐出する処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる。
【0128】
(実施形態2)
図4図13及び図14を参照して本発明の実施形態2に係る基板処理装置100を説明する。実施形態2では外循環排液を行う点で、実施形態2は主に実施形態1と異なる。また、実施形態2に係る基板処理装置100及び処理ユニット1の全体構成は、それぞれ、図1及び図2を参照して説明した実施形態1に係る基板処理装置100及び処理ユニット1の全体構成と同様である。更に、実施形態2に係る処理液供給装置200の全体構成は、図3を参照して説明した実施形態1に係る処理液供給装置200の全体構成と同様である。また、実施形態2に係る基板処理方法の全体構成は、図4を参照して説明した実施形態1に係る基板処理方法の全体構成と同様である。従って、実施形態2の説明において、図4を適宜参照する。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0129】
まず、図4を参照して基板処理方法を説明する。図4に示すように、実施形態2に係る基板処理方法は、実施形態1と同様に、工程S1~工程S10を含む。また、実施形態1と同様に、工程S1~S5は、実施形態2に係る処理液流通方法を構成する。
【0130】
実施形態2に係る工程S1~工程S4は、それぞれ、実施形態1に係る工程S1~工程S4と同様である。また、実施形態2に係る工程S6~工程S10は、それぞれ、実施形態1に係る工程S6~工程S10と同様である。さらに、実施形態2に係る工程S5は、処理液供給装置200が処理液を外循環させる点で、実施形態1に係る工程S5と同様である。ただし、実施形態2が、外循環排液を実行する点で、実施形態1と主に異なる。
【0131】
次に、図13及び図14を参照して、実施形態2に係る工程S5の外循環動作を説明する。図13は、実施形態2における図4の工程S5で実行される外循環動作を示すフローチャートである。図14は、実施形態2に係る処理液供給装置200の外循環排液動作を示す図である。図14に示すように、実施形態2に係る処理液供給装置200は、バルブ51と、バルブ52と、排液配管53とを更に含む。排液配管53は、バルブ43よりも下流において第2流通配管602から分岐している。バルブ51は、排液配管53に配置され、排液配管53の流路を開閉する。バルブ52は、バルブ43よりも下流において第2流通配管602に配置され、第2流通配管602の流路を開閉する。実施形態2では、工程S1~工程S4及び工程S6~工程S10において、バルブ51は閉じている。また、工程S1~工程S4においてバルブ52は閉じている。このように、実施形態2に係る処理液供給装置200の構成は、図3と異なるが、下記の説明において、理解の容易のために、図3を適宜参照する。
【0132】
図13に示すように、実施形態2に係る工程S5(外循環動作)は、工程S601~工程S604を含む。
【0133】
まず、図3及び図13に示すように、工程S601において、制御部21は、ポンプ34の目標出力値を、第1目標出力値TG1から第2目標出力値TG2に変更する(TG2>TG1)。この点は、図9の工程S501と同様である。ただし、工程S601では、図15のバルブ51、52は閉じられている。
【0134】
次に、図13及び図14に示すように、工程S602では、外循環配管60(具体的には第2流通配管602)から排液配管53への処理液の排出を開始する。つまり、工程S602によって、外循環配管60(具体的には第2流通配管602)から延びる排液配管53に処理液が排出される。工程S602は、本発明の「第2排液工程」の一例に相当する。また、排液配管53は、本発明の「第2排液配管」の一例に相当する。
【0135】
具体的には、図14に示すように、制御部21は、流量調整機構50のバルブ38、43を開く。更に、制御部21は、バルブ52を閉じた状態において、第2排液期間だけ、バルブ51を開く。従って、外循環配管60(第2流通配管602)を流れる処理液がパーティクルとともに排液配管53から排出される。その結果、基板Wに供給する処理液に含まれるパーティクルを効果的に低減できる。一方、バルブ52が閉じているため、処理液は外循環配管60を循環しない。なお、第2排液期間は、例えば、実験的及び/又は経験的に予め定められる。第2排液期間が経過すると、処理は工程S603に進む。
【0136】
次に、工程S603において、制御部21は、外循環配管60(具体的には第2流通配管602)から排液配管53への処理液の排出を停止し、外循環を開始する。具体的には、制御部21は、バルブ38、43を開いた状態で、バルブ51を閉じ、バルブ52を開く。従って、処理液の排出が停止され、処理液タンク30に貯留された処理液が、外循環配管60を通って循環する。
【0137】
次に、工程S604において、制御部21は、流量調整機構50のバルブ43によって、第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFを調整する。具体的には、制御部21は、外循環配管60(具体的には第2流通配管602)の流路が開かれた後の差圧DFが、外循環配管60の流路が開かれる前の差圧DFよりも小さくなるように、流量調整機構50のバルブ43を制御する。工程S604は、処理液が外循環を実行している期間中継続して実行されてもよいし、工程S603での外循環の開始時から所定調整期間だけ実行されてもよい。その他、工程S604は、図9の工程S503と同様である。工程S604は、本発明の「差圧調整工程」の一例に相当する。
【0138】
以上、図13を参照して説明したように、実施形態2に係る基板処理方法によれば、工程S604では、外循環開始後の差圧DFを外循環開始前の差圧DFよりも小さくする。その結果、差圧DFに起因してフィルター37からパーティクルが拡散することを効果的に抑制できる。
【0139】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0140】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0141】
(1)実施形態1、2において、図4に示す処理液流通方法は、少なくとも、工程S1、工程S5、及び、工程S201(図5)を含んでいればよい。処理液に含まれるパーティクルを効果的に除去できるからである。従って、処理液流通方法は、工程S2(工程S201を除く)、工程S3、及び、工程S4を含まなくてもよい。ただし、処理液流通方法は、工程S2~工程S4のうちの1以上の工程を含んでいてもよい。また、図9において、例えば、工程S503が工程S502の後に実行される限りにおいて、工程S501~工程S503の順番は特に限定されない。また、図9において、例えば、工程S501~工程S503が略同時に実行されてもよい。更に、図13において、例えば、工程S2、S3が工程S4の後に実行されてもよい。ただし、この場合、工程S4の実行前に外循環を開始する。
【0142】
(2)図4に示す処理液流通方法において、ポンプ34に設定する目標出力値を、内循環時にポンプ34に設定されている目標出力値よりも小さな値に設定した後に、工程S5の外循環が実行されてもよい。この場合、工程S5の外循環を実行する前に、ポンプ34の目標出力値の低下に応じて第1圧力P1が低下し、第1圧力P1と第2圧力P2との差圧DFも低下する。その結果、差圧DFに起因してフィルター37からパーティクルが拡散することを更に効果的に抑制できる。
【0143】
例えば、工程S3で内循環を停止する前に、制御部21は、ポンプ34の目標出力値を、第1目標出力値TG1から第3目標出力値TG3に変更し、目標出力値の変更後に内循環を停止する。又は、例えば、工程S4でフィルター37からの排液を停止する前に、制御部21は、ポンプ34の目標出力値を、第1目標出力値TG1から第3目標出力値TG3に変更し、目標出力値の変更後に排液を停止する。第3目標出力値TG3は、第1目標出力値TG1(図12)よりも小さい。
【0144】
(3)図13の工程S602において、制御部21は、バルブ5、8、38、43、52を開いて、バルブ51を閉じてもよい。この場合は、プリディスペンス処理が実行され、ノズル14が待機ポッド17に処理液を吐出する。従って、外循環配管60を流れる処理液はパーティクルとともに、ノズル14及び待機ポッド17を介して配管6に排出される。そして、図13の工程S603において、制御部21は、バルブ5、8を閉じる。その結果、処理液の外循環が実行される。
【0145】
(4)実施形態1、2では、ポンプ34に設定する目標出力値を変化させたが、図4の工程S1~工程S10において、ポンプ34に設定する目標出力値が一定であってもよい。
【0146】
(5)実施形態1、2では、差圧DFは、第1圧力P1から第2圧力P2を減算した値であった(DF=P1-P2)。ただし、差圧DFは、第1圧力P1と第2圧力P2との差分の絶対値であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、処理液流通方法、及び、処理液供給装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0148】
14 ノズル
21 制御部
30 処理液タンク
34 ポンプ
37 フィルター
50 流量調整機構
53 排液配管(第2排液配管)
60 外循環配管(第1配管)
61 内循環配管(第2配管)
62 排液配管(第1排液配管)
200 処理液供給装置
P1 第1圧力計(第1圧力検出部)
P2 第2圧力計(第2圧力検出部)
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14