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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】照明装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241111BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
F21S2/00 435
G02F1/13357
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021081614
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022175312
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雉嶋 裕明
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小野田 憲
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-026905(JP,A)
【文献】特開2013-190778(JP,A)
【文献】特開2008-192605(JP,A)
【文献】特表2015-515086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0018675(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0114749(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00-15/06
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、第1側面と、第1方向において前記第1側面の反対側に位置する第2側面と、を有する第1導光板と、
前記第2側面に対向し、前記第2側面に対して光を出射する第1光源と、
前記第2主面に設けられた第1プリズムを含む第1層と、を備え、
前記第1プリズムは、前記第2主面から前記第1主面とは反対側に向けて突出し、断面形状が、前記第1側面側に位置する第1斜面と、前記第2側面側に位置する第2斜面とを有した三角形になるように形成され、
前記第1光源から出射され前記第2側面から前記第1導光板に入射した光の入射角を示すθ1と、前記第1斜面と前記第1方向とのなす角度を示すα1と、前記第1斜面と前記第2斜面とのなす角度を示すγとは、
【数1】

前記(1)式~前記(4)式の条件を満たす値にそれぞれ設定され、前記β0は前記第1導光板に入射した光を前記第1主面および前記第2主面で全反射させるための角度を示し、前記δは前記第1導光板に入射した光が拡散する範囲を示す、
照明装置。
【請求項2】
前記θ1は、
【数2】

に基づいて算出され、前記ε1は前記第1光源から出射された光と前記第1方向とのなす角度を示し、前記nは前記第1導光板の屈折率を示す、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ε1が42度を示し、前記nが1.5を示し、前記β0が48度を示し、前記δが6.5度を示す場合、前記θ1は26.5度を示し、前記α1は15度を示し、前記γは130度を示す、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2主面に対向する第3主面と、前記第3主面の反対側に位置する第4主面と、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1側面と並ぶ第3側面と、前記第1方向において前記第3側面の反対側に位置し前記第2方向において前記第2側面と並ぶ第4側面と、を有する第2導光板と、
前記第3側面に対向し、前記第3側面に向けて光を出射する第2光源と、
前記第4主面に設けられた第2プリズムを含む第2層と、
前記第4主面に対向し、前記第2導光板から漏れた光を反射する反射シートと、をさらに備え、
前記反射シートの前記第3側面側の端部は、前記第3側面に対向するように屈曲し、前記反射シートの前記第4側面側の端部は、前記第4側面に対向しない、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2プリズムは、前記第4主面から前記第3主面とは反対側に向けて突出し、断面形状が、前記第3側面側に位置する第3斜面と、前記第4側面側に位置する第4斜面とを有した三角形になるように形成され、
前記第2光源から出射され前記第3側面から前記第2導光板に入射した光の入射角は前記θ1と同じ値に設定され、前記第4斜面と前記第1方向とのなす角度は前記α1と同じ値に設定され、前記第3斜面と前記第4斜面とのなす角度は前記γと同じ値に設定される、
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記反射シートの屈曲部と前記第1方向とがなす角度は、前記第3側面から前記第2導光板に入射する光の入射角と、前記第3側面で反射した後に前記屈曲部で再び反射され前記第2導光板に入射する光の入射角とを一致させる値に設定される、
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1光源および前記第2光源は、レーザー光源である、
請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の照明装置と、
画像を表示する表示パネルと、を備え、
前記表示パネルは、前記第1主面に対向している、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等の表示装置は、画素を有する表示パネルと、表示パネルを照明するバックライト等の照明装置とを備えている。照明装置は、光を発する光源と、この光源からの光が照射される導光板とを備えている。光源からの光は、導光板の側面から導光板に入射し、導光板内を伝播し、導光板の一方の主面に相当する出射面から出射する。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたように、2つの導光板を重ねた構成も知られている。しかしながら、従来の照明装置においては、導光板の側面から導光板に入射し出射面から出射するまでに、一部の光が導光板から抜けてしまい、出射効率が低下してしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-26905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、出射効率を向上させることが可能な照明装置および表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る照明装置は、
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、第1側面と、第1方向において前記第1側面の反対側に位置する第2側面と、を有する第1導光板と、前記第2側面に対向し、前記第2側面に対して光を出射する第1光源と、前記第2主面に設けられた第1プリズムを含む第1層と、を備える。前記第1プリズムは、前記第2主面から前記第1主面とは反対側に向けて突出し、断面形状が、前記第1側面側に位置する第1斜面と、前記第2側面側に位置する第2斜面とを有した三角形になるように形成される。前記第1光源から出射され前記第2側面から前記第1導光板に入射した光の入射角を示すθ1と、前記第1斜面と前記第1方向とのなす角度を示すα1と、前記第1斜面と前記第2斜面とのなす角度を示すγとは、後述する(2)式~(5)式の条件を満たす値にそれぞれ設定される。前記β0は前記第1導光板に入射した光を前記第1主面および前記第2主面で全反射させるための角度を示し、前記δは前記第1導光板に入射した光が拡散する範囲を示す。
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、
前記照明装置と、画像を表示する表示パネルと、を備える。前記表示パネルは、前記第1主面に対向している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示した照明装置の平面図である。
図3図3は、図1に示した表示装置の断面図である。
図4図4は、第1層および第2層の形状を説明するための図であり、図3に示した照明装置の斜視図である。
図5図5は、図3に示した導光板、第1層および光源の部分断面図である。
図6図6は、導光板から抜けてしまう光を説明するための図であり、導光板、第1層および光源の部分断面図である。
図7図7は、出射面から最低角成分が出射するための条件を説明するための図であり、導光板および第1層の部分断面図である。
図8図8は、出射面から最高角成分が出射するための条件を説明するための図であり、導光板および第1層の部分断面図である。
図9図9は、出射面から最高角成分が出射するための別の条件を説明するための図であり、導光板および第1層の部分断面図である。
図10図10は、出射面から最高角成分が出射するためのさらに別の条件を説明するための図であり、導光板および第1層の部分断面図である。
図11図11は、図7図10に示す全ての条件を満たし得る入射角およびプリズム角を説明するためのグラフである。
図12図12は、図7図10に示す全ての条件を満たし得るプリズム頂角を説明するためのグラフである。
図13図13は、同実施形態に係る導光板における入射角およびプリズム角と、比較例に係る導光板における入射角およびプリズム角とを示すグラフである。
図14図14は、第2実施形態に係る照明装置の構成例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態においては、表示装置DSPの一例として、透過型の液晶表示装置を開示する。また、照明装置の一例として、透過型の液晶表示装置のバックライトとして用いられる照明装置を開示する。なお、本実施形態にて開示する主要な構成は、透過型の機能に加えて外光を反射してこの反射光を表示に利用する反射型の機能を備えた液晶表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)応用した表示装置、あるいはエレクトロクロミズムを応用した表示装置等にも適用可能である。また、本実施形態にて開示する主要な構成は、バックライト以外の用途で使用される照明装置にも適用可能である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す分解斜視図である。図1に示すように、方向X、方向Y(第1方向)および方向Z(第2方向)を定義する。方向X、方向Yおよび方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。方向Xおよび方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。
【0012】
表示装置DSPは、表示パネルPNLと、照明装置ILと、ICチップ1と、配線基板2とを備えている。
【0013】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2とを備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAを有している。表示パネルPNLは、例えば表示領域DAにおいてマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。
【0014】
ICチップ1および配線基板2は、表示パネルPNLからの信号を読み出す場合もあるが、主として表示パネルPNLに信号を供給する信号源として機能する。例えば図示したように、ICチップ1および配線基板2は、第1基板SUB1のうち第2基板SUB2から露出した部分に実装されている。なお、ICチップ1は配線基板2に実装されてもよい。配線基板2は、例えば折り曲げ可能なフレキシブルプリント基板である。
【0015】
照明装置ILは、表示パネルPNLを照明する。照明装置ILは、導光板LG1(第1導光板)と、導光板LG2(第2導光板)と、複数の光源LS1(第1光源)と、複数の光源LS2(第2光源)とを備えている。導光板LG2、導光板LG1、第1基板SUB1および第2基板SUB2は、この順で方向Zに沿って並んでいる。
【0016】
導光板LG1は、方向Xおよび方向Yによって規定されるX-Y平面と平行な平板状に形成されている。導光板LG1は、表示パネルPNLに対向する主面1A(第1主面)と、方向Zにおいて主面1Aの反対側に位置する主面1B(第2主面)と、側面SF1(第1側面)と、方向Yにおいて側面SF1の反対側に位置する側面SF2(第2側面)と、を有している。主面1Aおよび主面1Bは、例えばX-Y平面と平行である。側面SF1および側面SF2は、例えば方向Xおよび方向Zによって規定されるX-Z平面と平行である。導光板LG1は、厚さT1を有している。厚さT1は、方向Zにおける主面1Aから主面1Bまでの長さである。
【0017】
複数の光源LS1は、方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。各光源LS1は、側面SF2に対向している。
【0018】
導光板LG2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。導光板LG2は、主面1Bに対向する主面2A(第3主面)と、方向Zにおいて主面2Aの反対側に位置する主面2B(第4主面)と、方向Zにおいて側面SF1と並ぶ側面SF3(第3側面)と、方向Yにおいて側面SF3の反対側に位置し方向Zにおいて側面SF2と並ぶ側面SF4(第4側面)と、を有している。主面2Aおよび主面2Bは、例えばX-Y平面と平行である。側面SF3および側面SF4は、例えばX-Z平面と平行である。導光板LG2は、厚さT2を有している。厚さT2は、方向Zにおける主面2Aから主面2Bまでの長さである。
【0019】
複数の光源LS2は、方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。各光源LS2は側面SF3に対向している。
【0020】
光源LS1および光源LS2は、例えば偏光したレーザー光を放つ半導体レーザー等のレーザー光源である。なお、光源LS1および光源LS2は、レーザー光を放つものに限定されず、例えば発光ダイオードでもよい。
【0021】
光源LS1および光源LS2は、それぞれ異なる色の光を発する複数の発光素子を備えてもよい。例えば、光源LS1および光源LS2が、それぞれ赤色、緑色、青色の光を発する3つの発光素子を備えれば、これらの色の混合色(例えば白色)の光を得ることができる。
【0022】
図2は、図1に示した照明装置ILの平面図である。図2に示すように、照明装置ILは、第1領域A1と、第2領域A2と、第1領域A1と第2領域A2との境界BOと、を有している。第1領域A1は方向Yにおいて長さL10を有し、第2領域A2は方向Yにおいて長さL20を有している。長さL10と長さL20とは実質的に同一である。なお、長さL10と長さL20とは同一でなくてもよい。図示した例では、導光板LG1および導光板LG2は、それぞれ第1領域A1の全域および第2領域A2の全域に位置している。つまり、図2に示した主面1A、主面1B、主面2Aおよび主面2Bは、それぞれ第1領域A1および第2領域A2に位置している。側面SF1および側面SF3は第1領域A1に位置し、側面SF2および側面SF4は第2領域A2に位置している。側面SF1と側面SF3とは平面視において重なり、側面SF2と側面SF4とは平面視において重なっている。境界BOは、側面SF1と側面SF2との中間、および、側面SF3と側面SF4との中間のそれぞれに相当する。
【0023】
光源LS1は、側面SF2に向かって出射方向DL1に光を出射する。光源LS1が発光する光の強度は光軸AX1において最も高く、出射方向DL1は光軸AX1と平行である。光源LS2は、側面SF3に向かって出射方向DL2に光を出射する。光源LS2が発光する光の強度は光軸AX2において最も高く、出射方向DL2は光軸AX2と平行である。
【0024】
図3は、図1に示した表示装置DSPの断面図である。図3に示すように、表示パネルPNLは、さらに、液晶層LCと、シールSEと、偏光板PL1と、偏光板PL2とを備えている。
【0025】
液晶層LCおよびシールSEは、第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に位置している。シールSEは、第1基板SUB1と第2基板SUB2を接着するとともに、第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に液晶層LCを封入している。
【0026】
偏光板PL1は、第1基板SUB1の下面に接着されている。偏光板PL2は、第2基板SUB2の上面に接着されている。偏光板PL1の偏光軸と偏光板PL2の偏光軸とは、例えば互いに直交している。
【0027】
照明装置ILは、さらに、第1層P1と、第2層P2と、拡散シートDSと、プリズムシートPSと、反射シートRSとを備えている。なお、方向Zに重ねてプリズムシートPSが2つ設けられてもよい。
【0028】
拡散シートDSは、表示パネルPNLと導光板LG1の間に位置している。拡散シートDSは、拡散シートDSに入射した光を拡散させて、光の輝度を均一化させるものである。プリズムシートPSは、拡散シートDSと導光板LG1の間に位置している。プリズムシートPSは、例えば導光板LG1の主面1Aから出射された光を方向Zに集光するものである。反射シートRSは、導光板LG2の主面2Bに対向している。反射シートRSは、例えば導光板LG2内から漏れた光を反射し、導光板LG2に再度入射させるものである。
【0029】
第1層P1および第2層P2は、それぞれ後述する複数のプリズムを含む層である。第1層P1は、主面1Bに位置している。第1層P1は、第1領域A1から境界BOを越え境界BOと側面SF2との間まで延出している。
【0030】
第1層P1は、端部E10と、端部E10の反対側の端部E11と、を有している。端部E10は、境界BOと側面SF2との間に位置し、境界BOに近接している。端部E11は、側面SF1に近接している。例えば、端部E10は、第1層P1に含まれる複数のプリズム(後述するプリズムPA)のうち、側面SF2に最も近いプリズムの位置に相当する。例えば、端部E11は、第1層P1に含まれる複数のプリズム(後述するプリズムPA)のうち、側面SF1に最も近いプリズムの位置に相当する。
【0031】
第2層P2は、主面2Bに位置している。第2層P2は、第2領域A2から境界BOを越え境界BOと側面SF3との間まで延出している。第2層P2は、端部E20と、端部E20の反対側の端部E21と、を有している。端部E20は、境界BOと側面SF3との間に位置し、境界BOに近接している。端部E21は、側面SF4に近接している。例えば、端部E20は、第2層P2に含まれる複数のプリズム(後述するプリズムPB)のうち、側面SF3に最も近いプリズムの位置に相当する。例えば、端部E21は、第2層P2に含まれる複数のプリズム(後述するプリズムPB)のうち、側面SF4に最も近いプリズムの位置に相当する。
【0032】
第1層P1と第2層P2は、境界BOおよび境界BOの近傍において方向Zで重なっている。
【0033】
光源LS1は、側面SF2から離れている。光源LS1の出射方向DL1は、側面SF2の法線方向と交差する方向である。光源LS2は、側面SF3から離れている。光源LS2の出射方向DL2は、側面SF3の法線方向と交差する方向である。
【0034】
光源LS1から出射された光L1は、側面SF2で屈折し、導光板LG1に入射する。導光板LG1に入射した光L1のうち、主面1Aに向かって進行する光は、導光板LG1と空気層との界面で反射される。また、導光板LG1に入射した光L1のうち、主面1Bに向かって進行する光は、導光板LG1と空気層との界面で反射される。このように、光L1は、第2領域A2のうち第1層P1が設けられていない領域では、繰り返し反射されながら導光板LG1内を進行する。
【0035】
導光板LG1内を進行する光L1のうち、導光板LG1から第1層P1に向かって進行する光は、第1層P1のプリズムで進行方向を変えられ、主面1Aの全反射条件を外れて主面1Aから出射する。主面1Aから出射された光は、プリズムシートPSおよび拡散シートDSを介して表示パネルPNLを照明する。つまり、第2領域A2のうち第1層P1が設けられていない領域(または側面SF2近傍)では、側面SF2からの光L1が表示パネルPNLに向けて導光板LG1から出射することが抑制される。
【0036】
同様に、光源LS2から出射された光L2は、側面SF3で屈折し、導光板LG2に入射する。光L2は、第1領域A1のうち第2層P2が設けられていない領域では、主面2Aおよび主面2Bで繰り返し反射されながら、導光板LG2内を進行する。導光板LG2内を進行する光L2のうち、導光板LG2から第2層P2に向かって進行する光L2は、第2層P2のプリズムで進行方向を変えられ、主面2Aの全反射条件を外れて主面2Aから出射する。主面2Aから出射された光は、導光板LG1、プリズムシートPSおよび拡散シートDSを介して、表示パネルPNLを照明する。つまり、第1領域A1のうち第2層P2が設けられていない領域(または側面SF3近傍)では、側面SF3からの光L2が表示パネルPNLに向けて導光板LG2から出射することが抑制される。
【0037】
表示パネルPNLは、第1領域A1において、主に光源LS1からの光L1によって照明される。表示パネルPNLは、第2領域A2において、主に光源LS2からの光L2によって照明される。
【0038】
一般的に、間隔をおいて並んだ複数の光源からの光は、それぞれ拡散しながら導光板の内部を進行するが、光源の近傍ではこれらの光が十分に混ざらない。そのため、このような光を照明光として利用した表示装置では、表示領域を平面視した際に、強度の差に起因したスジ状の輝度むらや色度ずれが視認されるおそれがある。照明光の強度の差は、光源から離れた位置ほど低減される。
【0039】
本実施形態によれば、第2領域A2のうち第1層P1が設けられていない領域では、側面SF2から入射する光L1は導光板LG1に閉じ込められ、表示パネルPNLへの入射が抑制される。第2領域A2において、光源LS1からの光L1が表示パネルPNLへほとんど入射しないものの、光源LS2からの光L2が表示パネルPNLを照明する。第1領域A1は、光L1が互いに混ざり合うのに十分な距離だけ側面SF2から離れている。このため、第1領域A1において、照明光の輝度むらや色度ずれに起因した表示品位(照明品位)の低下を抑制することができる。
【0040】
同様に、第1領域A1のうち第2層P2が設けられていない領域では、側面SF3から入射する光L2は導光板LG2に閉じ込められ、表示パネルPNLへの入射が抑制される。第1領域A1において、光源LS2からの光L2が表示パネルPNLへほとんど入射しないものの、光源LS1からの光L1が表示パネルPNLを照明する。第2領域A2は、光L2が互いに混ざり合うのに十分な距離だけ側面SF3から離れている。そのため、第2領域A2において、照明光のむらに起因した表示品位(照明品位)の低下を抑制することができる。
【0041】
さらに、第1層P1は境界BOを越えて第2領域A2まで延出し、第2層P2は境界BOを越えて第1領域A1まで延出している。このため、照明装置ILの出射光の輝度レベルが境界BOの近傍にて低下する事態を回避することができる。なお、第1層P1の端部E10および第2層P2の端部E20がそれぞれ境界BOに位置している場合、照明装置ILの出射光の輝度レベルが境界BOの近傍にて低下する可能性がある。
【0042】
図4は、第1層P1および第2層P2の形状を説明するための図であり、図3に示した照明装置ILの斜視図である。図4には、照明装置ILのうち、導光板LG1の一部、導光板LG2の一部、第1層P1の一部および第2層P2の一部のみ示している。
図4に示すように、第1層P1は、複数のプリズムPA(第1プリズム)を有している。第1層P1は、方向Yに断続的に並んだ複数のプリズムPAによって構成されている。第2層P2は、複数のプリズムPB(第2プリズム)を有している。第2層P2は、方向Yに断続的に並んだ複数のプリズムPBによって構成されている。複数のプリズムPAは、主面1Bに設けられている。複数のプリズムPBは、主面2Bに設けられている。例えば、プリズムPAは、導光板LG1と一体的に形成されている。同様に、プリズムPBは、導光板LG2と一体的に形成されている。
【0043】
プリズムPAは、主面1Bから主面2Aに向かって突出している。プリズムPAはY-Z平面に平行な断面形状が三角形であり、方向Xに延在している。例えば、各プリズムPAのY-Z平面に平行な断面形状は、互いに相似の関係である。プリズムPAは、斜面SL1(第1斜面)と、斜面SL2(第2斜面)と、基準面BL1と、交線TL1と、高さHAとを有している。
【0044】
斜面SL1は側面SF1側に位置し、斜面SL2は側面SF2側に位置している。基準面BL1は、主面1Bと同一平面上に位置している。交線TL1は、斜面SL1と斜面SL2とが交わる線である。
【0045】
複数の交線TL1は、方向Yに等間隔L30で並んでいる。間隔L30は、例えば0.1mmである。図示した例では、斜面SL1と基準面BL1がなす角度α1と、斜面SL2と基準面BL1とがなす角度α2とが等しい。なお、角度α1はプリズムPAの断面における内角の1つに相当し、角度α2はプリズムPAの断面における内角の別の1つに相当する。角度α1および角度α2は、プリズムPAのプリズム角と称される場合がある。プリズムPAの断面は二等辺三角形である。高さHAは、主面1Bの法線方向におけるプリズムPAの高さであり、方向Zにおける基準面BL1から交線TL1までの長さに相当する。
【0046】
複数のプリズムPAのそれぞれの高さHAは、側面SF1から側面SF2に向かうにつれて低くなる。すなわち、複数のプリズムPAのそれぞれの高さHAは、光源LS1から遠いプリズムPAほど高くなる。端部E10から端部E11に向かうにつれ、X-Y平面における単位面積当たりのプリズムPA(基準面BL1)の割合が増加し、X-Y平面における単位面積当たりの主面1Bの割合が減少する。一方で、導光板LG1内を進行していく光が第1層P1のプリズムPAに進行し導光板LG1から出射されると、導光板LG1内を進行していく光の光量は減少していく。これにより、照明装置ILは第1領域A1において輝度分布が均一な照明光を表示パネルPNLに照射することができる。
【0047】
プリズムPBは、方向Zにおいて主面2Bから主面2Aとは反対側に突出している。プリズムPBはY-Z平面に平行な断面形状が三角形であり、方向Xに延在している。例えば、各プリズムPBのY-Z平面に平行な断面形状は、互いに相似の関係である。プリズムPBは、斜面SL3(第3斜面)と、斜面SL4(第4斜面)と、基準面BL2と、交線TL2と、高さHBと、を有している。
【0048】
斜面SL3は側面SF3側に位置し、斜面SL4は側面SF4側に位置している。基準面BL2は、主面2Bと同一平面上に位置している。交線TL2は、斜面SL3と斜面SL4とが交わる線である。
【0049】
複数の交線TL2は、方向Yに沿って等間隔L30で並んでいる。図示した例では、斜面SL3と基準面BL2とがなす角度α3と、斜面SL4と基準面BL2とがなす角度α4とが等しい。なお、角度α3はプリズムPBの断面における内角の1つに相当し、角度α4はプリズムPBの断面における内角の別の1つに相当する。角度α3および角度α4は、プリズムPBのプリズム角と称される場合がある。プリズムPBの断面は二等辺三角形である。高さHBは、主面2Bの法線方向におけるプリズムPBの高さであり、方向Zにおける基準面BL2から交線TL2までの長さに相当する。
【0050】
プリズムPBの高さHBは、側面SF4から側面SF3に向かうにつれて低くなる。すなわち、複数のプリズムPBのそれぞれの高さHBは、光源LS2から遠いプリズムPBほど高くなる。側面SF4から側面SF3に向かうにつれ、X-Y平面における単位面積当たりのプリズムPB(基準面BL2)の割合が減少し、X-Y平面における単位面積当たりの主面2Bの割合が増加する。一方で、導光板LG2内を進行していく光が第2層P2のプリズムPBに進行し導光板LG2から出射されると、導光板LG2内を進行していく光の光量は減少していく。これにより、照明装置ILは第2領域A2において輝度分布が均一な照明光を表示パネルPNLに照射することができる。
【0051】
図5は、図3に示した導光板LG1、第1層P1および光源LS1の部分断面図である。図5に示すように、光源LS1は、発光点LP1と、出射面LF1とを有している。発光点LP1は、出射方向DL1と平行な光軸AX1を有する光L1が出射される点である。発光点LP1から出射された光L1は、拡散しながら進行する。出射面LF1は、例えば光源LS1の外面に相当する。
【0052】
出射方向DL1は、方向Yおよび方向Zに対して傾いている。出射方向DL1と側面SF2とは直交しない。すなわち、出射方向DL1は、側面SF2の法線方向と交差する。これにより、光L1は、導光板LG1に入射する際に屈折する。光L1の導光板LG1における入射角θ1は、出射方向DL1と方向Yとのなす角度より小さい。
【0053】
図示した例では、導光板LG1内を進行してきた光L1は、プリズムPAの斜面SL1で反射される。斜面SL1で反射された光L1は、主面1Aの全反射条件を外れて主面1Aと空気層との界面で屈折し、主面1Aから出射角θ2で出射される。出射角θ2は、主面1Aから出射された光と主面1Aの法線とのなす角度である。導光板LG1の屈折率はnである。
【0054】
出射角θ2で出射された光L1は、プリズムシートPSにおいて方向Zに集光され、拡散シートDSを介して表示パネルPNLを照明する。
【0055】
プリズムシートPSは、方向Yに連続的に並んだ複数のプリズムPCによって構成されている。複数のプリズムPCは、方向Zにおいて主面1Aに向かって突出している。プリズムPCはY-Z平面に平行な断面形状が三角形であり、方向Xに延在している。例えば、各プリズムPCのY-Z平面に平行な断面形状は、互いに相似の関係である。プリズムPCは、斜面SL5と、斜面SL6と、基準面BL3と、交線TL3と、高さHCとを有している。斜面SL5は側面SF1および側面SF3側に位置し、斜面SL6は側面SF2および側面SF4側に位置している。基準面BL3は、X-Y平面と同一平面上に位置している。交線TL3は、斜面SL5と斜面SL6とが交わる線である。
【0056】
図示した例では、斜面SL5と基準面BL3とがなす角度α5と、斜面SL6と基準面BL3とがなす角度α6とが等しい。なお、角度α5はプリズムPCの断面における内角の1つに相当し、角度α6はプリズムPCの断面における内角の別の1つに相当する。角度α5および角度α6は、逆プリズム底角と称される場合がある。角度α5および角度α6は、出射角θ2で出射された光L1を、方向Zに集光するための角度に設定される。高さHCは、方向Zにおける基準面BL3から交線TL3までの長さに相当する。
【0057】
なお、入射角θ1と、屈折率nと、出射方向DL1と方向Yとのなす角度ε1との間には、以下の(1)式に示す関係が成り立つ。角度ε1は仰角と称される場合がある。
【0058】
【数1】
【0059】
側面SF3および光源LS2に対しても、図5と同様の構造を適用できる。すなわち、光源LS2の出射方向DL2と側面SF3とは直交せず、出射方向DL2と側面SF3の法線方向と交差する。なお、側面SF3および光源LS2の構造は、図5の構造と異なってもよい。
【0060】
ここで、導光板LG1に入射した光のうち、導光板LG1の主面1Aから取り出すことができずに、導光板LG1の別の面から外部に抜けてしまう光(以下、抜け光と表記する)について説明する。なお、以下では、導光板LG1における抜け光について説明するが、導光板LG2においても同様の抜け光が存在する。
【0061】
図6において実線で示される光路を辿る光L1は、導光板LG1に入射した入射光の主光線であり、出射方向DL1と平行な光軸AX1を有する光である。入射光の主光線L1は、光源LS1から見てプリズムPAの奥側の斜面SL1で反射した後に、主面1Aに向かって進み、当該主面1Aで全反射条件を外れて、出射面である主面1Aから出射される。
【0062】
一方で、抜け光が辿る光路の1つとしては、図6の光L11が辿る光路(図6において一点鎖線で示される光路)が考えられる。光L11は、光源LS1から見てプリズムPAの奥側の斜面SL1で反射した後に、主面1Aに向かって進んだものの、当該主面1Aにおいて再び全反射してしまい、出射面である主面1Aから出射されない光である。
【0063】
抜け光が辿る光路の1つとしては、図6の光L12が辿る光路(図6において二点鎖線で示される光路)が考えられる。光L12は、主面1Bにおいて全反射条件を外れ、当該主面1Bから出射されてしまい、出射面である主面1Aから出射されない光である。
【0064】
抜け光が辿る光路の1つとしては、図6の光L13が辿る光路(図6において点線で示される光路)が考えられる。光L13は、光源LS1から見てプリズムPAの手前側の斜面SL2で反射した後に、主面1Aに向かわずに側面SF1に向かって進んでしまい、主面1Aから出射されない光である。
【0065】
抜け光が辿る光路の1つとしては、図6の光L14が辿る光路(図6において長破線で示される光路)が考えられる。光L14は、光源LS1から見てプリズムPAの奥側の斜面SL1で反射せずに当該プリズムPAから出射されてしまい、出射面である主面1Aから出射されない光である。
【0066】
図6に示す光L11のような抜け光を少なくするためには、主光線L1よりも入射角の小さい光L11が、主光線L1のように、プリズムPAの奥側の斜面SL1で反射した後に、主面1Aに向かって進み、当該主面1Aで全反射条件を外れて出射されるようにすればよい。
【0067】
主光線L1よりも小さい入射角を有したできるだけ多くの光L11が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で反射した後に、主面1Aに向かって進み、当該主面1Aで全反射条件を外れて出射されるようにするためには、図7(a)に示すように、最も小さい入射角を有した光L11が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で反射し、主面1Aから出射されるように、入射角θ1およびプリズム角α1を設定すればよい。以下では、最も小さい入射角を有した光のことを、最低角成分と称する場合がある。
【0068】
上記したように、光源LS1から出射された光は拡散しながら進行するため、導光板LG1に入射した入射光もまた、主光線L1の入射角θ1から、入射光の放射角±δの範囲で拡散する。最低角成分は、入射光の主光線L1から拡がる光のうち、主光線L1から時計回り方向に最も離れている光であって、方向Yとのなす角度が最も小さくなる光である。このため、最低角成分の入射角はθ1-δと表すことができる。
【0069】
図7(a)に示すように、入射角θ1-δの最低角成分が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で反射し、主面1Aから出射されるようにするためには、以下の(2)式に示す条件を満たすように、入射角θ1およびプリズム角α1が設定されることによって実現される。
【0070】
なお、(2)式に示すβ0は全反射条件の角度を示す。光L11と主面1Aとのなす角度が全反射条件の角度β0以下の場合、光L11は主面1Aにおいて全反射する。一方で、光L11と主面1Aとのなす角度が全反射条件の角度β0より大きい場合、光L11は全反射条件から外れて出射面である主面1Aから取り出される。全反射条件の角度β0は、導光板LG1の屈折率nと空気層の屈折率とに基づいて算出される臨界角を、90度から引くことで算出される定値であり、導光板LG1が例えばガラスにより形成されている場合、48度である。また、入射光の放射角δは、光源LS1の特性に基づく値であり、例えば6.5度である。
【0071】
【数2】
【0072】
図7(b)に示すグラフの横軸は主光線L1の入射角θ1を示し、縦軸はプリズムPAのプリズム角α1を示している。図7(b)に示すグラフのドット状のハッチング部分は、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角δが6.5度である場合に、上記した(2)式の条件を満たす入射角θ1とプリズム角α1の組み合わせが存在し得る範囲(解(θ1,α1)が存在し得る範囲)を示している。つまり、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角δが6.5度である場合、入射角θ1とプリズム角α1を、ドット状のハッチング部分内のいずれかの値に設定することにより、図7(a)のように、入射角θ1-δの最低角成分を、プリズムPAの奥側の斜面SL1で反射させ、出射面である主面1Aから出射させることが可能である。
【0073】
図6に示す光L12のような抜け光を少なくするためには、主光線L1よりも入射角の大きい光L12が、主面1Bで全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むようにすればよい。
【0074】
主光線L1よりも大きい入射角を有したできるだけ多くの光L12が、主面1Bにおいて全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むようにするためには、図8(a)に示すように、最も大きい入射角を有した光L12が、主面1Bにおいて全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むように、入射角θ1を設定すればよい。以下では、最も大きい入射角を有した光のことを、最高角成分と称する場合がある。最高角成分は、入射光の主光線L1から拡がる光のうち、主光線L1から反時計回り方向に最も離れている光であって、方向Yとのなす角度が最も大きくなる光である。このため、最高角成分の入射角はθ1+δと表すことができる。
【0075】
図8(a)に示すように、入射角θ1+δの最高角成分が、主面1Bにおいて全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むようにするためには、以下の(3)式に示す条件を満たすように、入射角θ1が設定されることによって実現される。
【0076】
【数3】
【0077】
図8(b)に示すグラフの横軸は主光線L1の入射角θ1を示し、縦軸はプリズムPAのプリズム角α1を示している。但し、上記した(3)式においては、プリズム角α1は関係ないため、図8(b)に示すグラフにおいては定値となっている。図8(b)に示すグラフのドット状のハッチング部分は、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角θが6.5度である場合に、上記した(3)式の条件を満たす入射角θ1が存在し得る範囲を示している。つまり、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角δが6.5度である場合、入射角θ1をドット状のハッチング部分内のいずれかの値に設定することにより、図8(a)のように、入射角θ1+δの最高角成分を、主面1Bにおいて全反射条件を外れずに全反射させて、導光板LG1内を導光させることが可能である。
【0078】
図6に示す光L13のような抜け光を少なくするためには、主光線L1よりも入射角の大きい光L13が、プリズムPAの手前側の斜面SL2に当たらずに、プリズムPAの奥側の斜面SL1に当たるようにすればよい。
【0079】
主光線L1よりも大きい入射角を有したできるだけ多くの光L13が、プリズムPAの手前側の斜面SL2に当たらずに、プリズムPAの奥側の斜面SL1に当たるようにするためには、図9(a)に示すように、入射角θ1+δの最高角成分が、プリズムPAの手前側の斜面SL2に当たらずに、プリズムPAの奥側の斜面SL1に当たるように、入射角θ1およびプリズム角α1を設定すればよい。
【0080】
図9(a)に示すように、入射角θ1+δの最高角成分が、プリズムPAの手前側の斜面SL2に当たらずに、プリズムPAの奥側の斜面SL1に当たるようにするためには、以下の(4)式に示す条件を満たすように、入射角θ1およびプリズム角α1が設定されることによって実現される。なお、(4)式に示すγは、図9(a)に示すように、プリズムPAの手前側の斜面SL2と、プリズムPAの奥側の斜面SL1との間の角度である。角度γはプリズム頂角と称される場合がある。なお、プリズム頂角γの詳細については後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0081】
【数4】
【0082】
図9(b)に示すグラフの横軸は主光線L1の入射角θ1を示し、縦軸はプリズムPAのプリズム角α1を示している。図9(b)に示すグラフのドット状のハッチング部分は、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角δが6.5度である場合に、上記した(4)式の条件を満たす入射角θ1とプリズム角α1の組み合わせが存在し得る範囲を示している。つまり、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角θが6.5度である場合、入射角θ1およびプリズム角α1を、ドット状のハッチング部分内のいずれかの値に設定することにより、図9(a)のように、入射角θ1+δの最高角成分を、プリズムPAの手前側の斜面SL2に当てずに、プリズムPAの奥側の斜面SL1に当てることが可能である。
【0083】
図6に示す光L14のような抜け光を少なくするためには、主光線L1よりも入射角の大きい光L14が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むように、入射角θ1およびプリズム角α1を設定すればよい。
【0084】
主光線L1よりも大きい入射角を有したできるだけ多くの光L14が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むようにするためには、図10(a)に示すように、入射角θ1+δの最高角成分が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むように、入射角θ1およびプリズム角α1を設定すればよい。
【0085】
図10(a)に示すように、入射角θ+δの最高角成分が、プリズムPAの奥側の斜面SL1で全反射条件を外れずに全反射して、導光板LG1内を進むようにするためには、以下の(5)式に示す条件を満たすように、入射角θ1およびプリズム角α1が設定されることによって実現される。
【0086】
【数5】
【0087】
図10(b)に示すグラフの横軸は主光線L1の入射角θ1を示し、縦軸はプリズムPAのプリズム角α1を示している。図10(b)に示すグラフのドット状のハッチング部分は、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角δが6.5度である場合に、上記した(5)式の条件を満たす入射角θ1とプリズム角α1の組み合わせが存在し得る範囲を示している。つまり、全反射条件の角度β0が48度であり、入射光の放射角δが6.5度である場合、入射角θ1およびプリズム角α1を、ドット状のハッチング部分内のいずれかの値に設定することにより、図10(a)のように、入射角θ1+δの最高角成分を、プリズムPAの奥側の斜面SL1で全反射条件を外れずに全反射させて、導光板LG1内を導光させることが可能である。
【0088】
以上説明した(2)式~(5)式の条件を満たす入射角θ1とプリズム角α1の組み合わせが存在し得る範囲(解の存在範囲)が、図11においてドット状のハッチングにより示される。また、上記した(2)式~(5)式の条件を満たす入射角θ1とプリズム角α1の組み合わせが存在し得るプリズム頂角γの条件が、図12においてドット状のハッチングにより示される。プリズム頂角γは、入射角θ1とプリズム角α1が決定されることにより、上記した(4)式に基づいて算出することが可能である。
【0089】
以上のように、上記した(2)式~(5)式に基づいて、入射角θ1およびプリズム角α1と、プリズム頂角γとを最適化することにより、図6に示した抜け光L11~L14を減らすことができ、照明装置ILの出射効率を向上させることが可能である。
【0090】
なお、一般的に、入射角θ1が大きいほど、照明装置ILの出射効率を向上させることが可能である。一方で、プリズム角α1が大きいほど、プリズム駒の加工精度に裕度を持たせることが可能である。例えば、図11の点p1に示される入射角θ1とプリズム角α1の組み合わせによれば、照明装置ILの出射効率を最も高くすることができる一方で、プリズム駒の加工精度に裕度を持たせることができず、加工が困難である。なお、プリズム頂角γは射出成型時の成形性に関係し、プリズム頂角γが大きいほど、射出成型時の成形性を高めることが可能である。
【0091】
ここで、本実施形態が奏する効果の一例について具体的に説明する。
図13は、本実施形態に係る導光板LG1における入射角θ1およびプリズム角α1の組み合わせと、比較例に係る導光板における入射角およびプリズム角の組み合わせと、を示すグラフである。
【0092】
本実施形態に係る導光板LG1においては、入射角θ1およびプリズム角α1はドット状のハッチング部分内のいずれかの値に設定される。一方で、比較例に係る導光板においては、入射角およびプリズム角は、図13において実線で示される線分上のいずれかの値に設定され、例えば点p2に示すように、入射角が20度に設定され、プリズム角が16度に設定される。このような比較例に係る導光板を備える照明装置の出射効率はおよそ70%であり、光源から照射された光のおよそ30%は、図6に示した抜け光L11~L14として、出射面以外から外部に抜けてしまう。
【0093】
これに対し、本実施形態に係る導光板LG1において、プリズム角α1が比較例と同じ16度に設定された場合、図13の点p3または点p4に示されるように、入射角θ1を比較例よりも大きくすることが可能である。つまり、本実施形態に係る導光板LG1によれば、照明装置ILの出射効率を比較例よりも向上させることが可能である。
【0094】
なお、本願発明者らの検討によれば、逆プリズム底角α5(および逆プリズム底角α6)が61.3度に設定され、仰角ε1が42度を示し、屈折率nが1.5を示し、全反射条件の角度β0が48度を示し、放射角δは6.5度を示す場合、図13の点p5に示すように、入射角θ1を26.5度に設定し、プリズム角α1を15度に設定し、さらには、プリズム頂角γを130度に設定することにより、照明装置ILの出射効率を90%まで向上させることが可能である。つまり、比較例に比べて、照明装置ILの出射効率をおよそ20%程度向上させることが可能である。
【0095】
以上説明した第1実施形態によれば、導光板LG1および導光板LG2における入射角θ1と、第1層P1に設けられるプリズムPAのプリズム角α1およびプリズム角α2と、第2層P2に設けられるプリズムPBのプリズム角α3およびプリズム角α4と、プリズムPAおよびプリズムPBのプリズム頂角γとが、上記した(2)式~(5)式に示す条件を満たすような値に設定されることにより、図6に示した抜け光L11~L14を減らすことができ、照明装置ILの出射効率を向上させることが可能である。
【0096】
(第2実施形態)
次に、図14を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る照明装置ILは、図14に示すように、反射シートRSの端部が、導光板LG2の側面SF3と対向している点で、上記した第1実施形態に係る構成と相違している。
【0097】
また、本実施形態においては、反射シートRSの端部を導光板LG2の側面SF3と対向させるために、光源LS2の出射面LF2が導光板LG2の主面2Bと対向している点でも、上記した第1実施形態に係る構成と相違している。
【0098】
光源LS2は、側面SF3に向かって出射方向DL3に光L3を照射する。出射方向DL3は側面SF3と直交しない。出射方向DL3は側面SF3の法線方向と交差する。光源LS2から出射された光L3のほとんどは、光L3Aとして、側面SF3で屈折して導光板LG2に入射する。光源LS2から出射された光L3の一部は、光L3Bとして、側面SF3で反射され、導光板LG2に入射しない。反射シートRSは、側面SF3で反射され導光板LG2に入射できなかった光L3Bを、屈曲した端部において反射し、導光板LG2に入射させる。
【0099】
反射シートRSの屈曲した端部と、方向Yとがなす角度θ11は、反射シートRSの屈曲した端部において反射された光L3Bの導光板LG2における入射角θ12と、側面SF3で屈折して導光板LG2に入射する光L3Aの導光板LG2における入射角θ13とを一致させることが可能な角度に設定されることが望ましい。つまり、反射シートRSの屈曲した端部と方向Yとがなす角度θ11と、光源LS2の出射方向DL3と方向Yとがなす角度ε2(仰角ε2)との間において、以下の関係式が成り立つように、角度θ11が設定されることが望ましい。
【0100】
【数6】
【0101】
例えば、仰角ε2が42度である場合、反射シートRSの屈曲した端部と方向Yとがなす角度θ11は48度に設定されることが望ましい。
【0102】
以上説明した第2実施形態によれば、反射シートRSの第3側面SF側の端部を、上記した(6)式の条件を満たす角度θ11で屈曲させることにより、導光板LG1および導光板LG2から外部に抜けてしまう抜け光に加えて、導光板LG2に入射する前に反射してしまい、出射面から取り出すことができなかった光L3Bを、導光板LG2に入射させて出射面から取り出すことが可能になるため、照明装置ILの出射効率をさらに向上させることが可能である。具体的には、本願発明者らの検討によれば、逆プリズム底角α5(および逆プリズム底角α6)が61.3度に設定され、仰角ε1および仰角ε2が42度を示し、屈折率nが1.5を示し、全反射条件の角度β0が48度を示し、放射角δは6.5度を示す場合、入射角θ1(入射角θ12および入射角θ13)を26.5度に設定し、プリズム角α1を15度に設定し、プリズム頂角γを130度に設定し、さらには、反射シートRSの第3側面SF3側の端部を48度屈曲させて第3側面SF3と対向させることにより、照明装置ILの出射効率を93%まで向上させることが可能である。
【0103】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、出射効率を向上させることが可能な照明装置ILおよび表示装置DSPを提供することが可能である。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
LG1…導光板、1A,1B…主面、SF1,SF2…側面、PA…プリズム、SL1,SL2…斜面、LS1…光源、LP1…発光点、LF1…出射面、DL1…出射方向、AX1…光軸、L1,L11~L14…光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14