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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20230101AFI20241111BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20241111BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20241111BHJP
【FI】
G06Q30/02
G07G1/00 301D
G06Q30/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021087036
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180114
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 悠介
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004353(JP,A)
【文献】特開2008-146427(JP,A)
【文献】特開2019-145054(JP,A)
【文献】特開2009-175867(JP,A)
【文献】特開2016-128980(JP,A)
【文献】特開2004-312444(JP,A)
【文献】国際公開第2020/066443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/02
G07G 1/00 - 5/00
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
買上商品として登録する商品が客により指定されたタイミングを判定するタイミング判定手段と、
買上商品として登録するとして指定された商品の陳列位置を、当該商品の指定が行われた登録位置として判定する位置判定手段と、
買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段及び前記位置判定手段により判定されたタイミング及び登録位置と、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段及び前記位置判定手段により判定されたタイミング及び登録位置とに基づいて、当該1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記位置判定手段により判定された登録位置の信頼度を判定する信頼度判定手段と、
1つの商品に関して前記タイミング判定手段、前記位置判定手段及び前記信頼度判定手段により判定されたタイミング、登録位置及び信頼度を互いに関連付けて、前記客により指定された複数の商品に関して表した追跡データを生成する生成手段と、
を具備した情報処理装置。
【請求項2】
前記信頼度判定手段は、買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段により判定されたタイミングから、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段により判定されたタイミングまでの経過時間と、買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記位置判定手段により判定された登録位置から、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記位置判定手段により判定された登録位置までの距離との関係に基づいて信頼度を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記信頼度判定手段は、買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段により判定されたタイミングから、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段により判定されたタイミングまでの経過時間が、買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記位置判定手段により判定された登録位置から、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記位置判定手段により判定された登録位置までの距離を客が移動するのに異常に短い場合に信頼度を低く判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
異なる客に関して前記生成手段により生成された複数の追跡データを集積する集積手段、
をさらに備える請求項1-請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置に備えられたコンピュータを、
買上商品として登録する商品が客により指定されたタイミングを判定するタイミング判定手段と、
買上商品として登録するとして指定された商品の陳列位置を、当該商品の指定が行われた登録位置として判定する位置判定手段と、
買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段及び前記位置判定手段により判定されたタイミング及び登録位置と、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記タイミング判定手段及び前記位置判定手段により判定されたタイミング及び登録位置とに基づいて、当該1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して前記位置判定手段により判定された登録位置の信頼度を判定する信頼度判定手段と、
1つの商品に関して前記タイミング判定手段、前記位置判定手段及び前記信頼度判定手段により判定されたタイミング、登録位置及び信頼度を互いに関連付けて、前記客により指定された複数の商品に関して表した追跡データを生成する生成手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗における客の移動を追跡する技術は種々提案されている。しかしながら、この種の技術の実現には、多数のセンサを配置するなどにより大規模なシステムを構築する必要があった。システム構成を簡略化する程に、追跡結果の誤差が大きくなり、追跡結果の有用性が低下する恐れがあった。
このような事情から、簡易に実現可能でありながら、追跡結果の有用性の低下を小さく抑えることが可能であることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-4353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡易に実現可能でありながら、追跡結果の有用性の低下を小さく抑えることが可能である情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報処理装置は、タイミング判定手段、位置判定手段、信頼度判定手段及び生成手段を備える。タイミング判定手段は、買上商品として登録する商品が客により指定されたタイミングを判定する。位置判定手段は、買上商品として登録するとして指定された商品の陳列位置を、当該商品の指定が行われた登録位置として判定する。信頼度判定手段は、買上商品として登録するとして指定された商品に関してタイミング判定手段及び位置判定手段により判定されたタイミング及び登録位置と、1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関してタイミング判定手段及び位置判定手段により判定されたタイミング及び登録位置とに基づいて、当該1つ前に買上商品として登録するとして指定された商品に関して位置判定手段により判定された登録位置の信頼度を判定する。生成手段は、1つの商品に関してタイミング判定手段、位置判定手段及び信頼度判定手段により判定されたタイミング、登録位置及び信頼度を互いに関連付けて、客により指定された複数の商品に関して表した追跡データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る商品販売処理システムの概略構成を示すブロック図。
図2図1に示される店舗サーバの要部回路構成を示すブロック図。
図3図2に示される商品データベースに含まれる1つのデータレコードのデータ構造を示す模式図。
図4図2に示される棚データベースに含まれる1つのデータレコードのデータ構造を示す模式図。
図5図2中に示されるプロセッサによる追跡処理のフローチャート。
図6】追跡データのデータ構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、情報処理装置としての機能を備える店舗サーバを用いて構成される商品販売処理システムの一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る商品販売処理システムの概略構成を示すブロック図である。
商品販売処理システムは、複数の店舗システム100、ユーザ端末200及びカート端末300を含む。そして、複数の店舗システム100とユーザ端末200とは、通信ネットワーク400を介して通信可能である。
【0008】
図1では、2つの店舗システム100を示している。これら店舗システム100は、商品販売処理システムを利用するそれぞれ異なる店舗A及び店舗Bにそれぞれ設けられる。商品販売処理システムを利用する店舗が1店のみ又は3店以上存在してもよい。3店以上の店舗が存在する場合、それら店舗毎に店舗システム100が設けられる。
店舗Aを運営する事業者は、店舗Bを運営する事業者と同じであっても、別であってもよい。その他の店舗で取引システムが利用される場合も、その店舗を運営する事業者は、店舗A又は店舗Bを運営する事業者と同じであっても、別であってもよい。
【0009】
ユーザ端末200及びカート端末300は、商品販売処理システムを利用した買い物を店舗にて行う客のためのユーザインタフェースとして機能する情報処理装置である。ユーザ端末200及びカート端末300は、図1では店舗A内及び店舗B内にそれぞれ1台ずつ存在するように示しているが、各店舗内に複数が存在してもよい。また、全ての店舗では、あるいは一部の店舗では、ユーザ端末200及びカート端末300のいずれか一方が使用されなくても構わない。ユーザ端末200及びカート端末300は、店舗システム100と無線通信する機能を備える。ユーザ端末200は、通信ネットワーク400と無線通信する機能を備える。カート端末300も、通信ネットワーク400と無線通信する機能を備えてもよい。ユーザ端末200としては、スマートフォン又はタブレットコンピュータ等のデータ通信機能を備えた通信端末が利用できる。ユーザ端末200は、客により所有されていてもよいし、店舗にて客に貸与されてもよい。カート端末300としては、タブレットコンピュータ等のデータ通信機能を備えた通信端末が利用され、店舗A又は店舗Bに備え付けのショッピングカートに取り付けられている。ユーザ端末200及びカート端末300は、主として客が操作者となる。ただしユーザ端末200及びカート端末300は、店員などにより客に代わって操作されることもある。カート端末300は、バーコードスキャナ301を備える。バーコードスキャナ301は、商品を識別するための識別子としての商品コードを表したバーコードを、赤外線レーザなどを用いて光学的に読み取るのに好適に構成された読取デバイスである。バーコードスキャナ301としては、撮像デバイスで撮影された画像からバーコードを認識して読み取るように構成された読取デバイスを、上記の読取デバイスに代えて、あるいは上記の読取デバイスに加えて備えてもよい。
【0010】
通信ネットワーク400としては例えば、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ネットワーク400としては典型的には、移動体通信網とインターネットとが利用される。つまり、通信ネットワーク400は、典型的には広域ネットワークである。
【0011】
各店舗システム100の概略的な構成は共通である。すなわち店舗システム100は、店舗サーバ1、会計機2、ゲートウェイ3及びアクセスポイント4を、店内通信ネットワーク5を介して通信可能として構成される。ただし、店舗サーバ1、会計機2、ゲートウェイ3、アクセスポイント4及び店内通信ネットワーク5は、後述する動作を実現するための機能が共通であればよく、完全に同一である必要は無い。また一部の店舗システム100は、図1に示されない装置を備えてもよい。
【0012】
店舗サーバ1は、ユーザ端末200及びカート端末300からの要求に応じて、買上商品の登録及びその代金の決済などの商品販売処理のための情報処理を実行する。また店舗サーバ1は、客の店内での移動を追跡するための情報処理を実行する。
【0013】
会計機2は、客が決済を店舗にて行う場合のユーザインタフェース機器である。会計機2が上記の決済のために利用可能とする決済方法は、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、ポイント決済、コード決済等、周知の決済方法の全て又は任意の一部であってよい。なお、コード決済は、モバイル決済又はスマートフォン決済等とも称される。会計機2は、店員及び客のいずれにより操作されるのであってもよい。会計機2は例えば、既存のセミセルフ方式のPOS(point-of-sale)システムで用いられるセルフ方式の会計機をベースとして構成できる。会計機2は、商品を買上商品として登録するための情報処理を行う機能を有していてもよい。この場合に会計機2は例えば、既存のPOSシステムで用いられる対面式のPOS端末又は既存のセルフ方式のPOSシステムで用いられるセルフ式のPOS端末をベースとして構成できる。
【0014】
ゲートウェイ3は、店内通信ネットワーク5と通信ネットワーク400とを相互接続し、店内通信ネットワーク5と通信ネットワーク400の双方を介した通信を可能とする。ゲートウェイ3としては、例えばLANとインターネットとをインタフェースする既存の通信デバイスを用いることができる。
【0015】
アクセスポイント4は、ユーザ端末200が無線通信により店内通信ネットワーク5へとアクセスすることを可能とするための通信処理を行う。アクセスポイント4としては例えば、IEEE802.11規格により無線通信を行う周知の通信デバイスを用いることができる。アクセスポイント4は、店舗の売場のどこからでもユーザ端末200が無線通信可能なように、店舗内に設置される。店舗規模によっては、複数のアクセスポイント4が、1つの店舗システム100に配置される場合もある。
【0016】
店内通信ネットワーク5としては、インターネット、VPN、LAN、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。ただし典型的には、店内通信ネットワーク5は、LANである。つまり店内通信ネットワーク5は、典型的には狭域ネットワークである。
【0017】
店舗システム100が設けられた店舗には、その入口付近にチェックイン用の2次元コードTCIが掲示される。2次元コードTCIは、チェックインのためのチェックインデータを表す。チェックインデータは店舗毎に異なる。
チェックインデータは例えば、それぞれの店舗の(1) 店舗システム100の動作バージョン、(2) 店舗を識別するための店舗コード、(3) 店舗を運営する事業者の名称、(4) 店舗システム100が設けられる店舗の名称、(5) 店舗を運営する事業者を識別するための事業者コード、 (6) ユーザ端末200が店舗システム100と通信するための接続先や接続に必要な情報、といった情報を表す。なお、ユーザ端末200が店舗システム100と通信するための接続先としては、アクセスポイント4が挙げられる。そしてその接続に必要な情報としては、アクセスポイント4を識別するためのSSID(service set identifier)と、アクセスポイント4にアクセスするためのパスワードなどが挙げられる。また接続に必要な情報としては、店舗サーバ1のドメイン名が挙げられる。
なお、チェックインデータは、例示した各種の情報のうちの一部を含まなくてもよい。またチェックインデータは、例示した各種の情報とは別の情報を表してもよい。
【0018】
図2は店舗サーバ1の要部回路構成を示すブロック図である。
店舗サーバ1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、ハードウェアクロック14、通信インタフェース15及び伝送路16を含む。プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、ハードウェアクロック14及び通信インタフェース15は、伝送路16を介して通信可能とされている。そして、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶ユニット13が伝送路16により接続されていることによって、店舗サーバ1を制御するためのコンピュータが構成される。
【0019】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、店舗サーバ1としての各種の機能を実現するための情報処理を実行する。プロセッサ11は、例えばCPU(central processing unit)である。
【0020】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(read only memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(random access memory)である。
【0021】
補助記憶ユニット13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット13としては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、あるいはSSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを用いた記憶ユニットを利用できる。補助記憶ユニット13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶ユニット13は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0022】
ハードウェアクロック14は、常に計時動作を行い、時刻情報を出力する。時刻情報は、時分のみを表すものであってもよいし、日時の他に年、月、日、秒の少なくとも1つを表すものであってもよい。ハードウェアクロック14は、オペレーティングシステムにより管理されるシステムクロックに置き換えられてもよい。
【0023】
通信インタフェース15は、店内通信ネットワーク5に接続された各部との間で所定の通信プロトコルに従いデータ通信を行う。通信インタフェース15としては、例えばLAN用の周知の通信デバイスを適用できる。
伝送路16は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0024】
補助記憶ユニット13は、それぞれ情報処理プログラムである仮想POSアプリAPA及び追跡アプリAPBを記憶する。仮想POSアプリAPAは、アプリケーションプログラムであり、商品販売処理を実現するための情報処理について記述されている。追跡アプリAPBは、アプリケーションプログラムであり、客の移動を追跡するための情報処理について記述されている。
【0025】
補助記憶ユニット13の記憶領域の一部は、商品データベースDBA、棚データベースDBB及び行動データベースDBCとして使用される。商品データベースDBAは、店舗で販売され得る商品(以下、取扱商品と称する)に関する種々のデータを含む。棚データベースDBBは、取扱商品を陳列するために店舗に設置される陳列棚に関する種々のデータを含む。行動データベースDBCは、後述する追跡データを集積する。
【0026】
図3は商品データベースDBAに含まれる1つのデータレコードREAのデータ構造を示す模式図である。
商品データベースDBAは例えば、取扱商品の個々に関連付けられたデータレコードREAの集合である。データレコードREAは、フィールドFAA,FAB,FAC,FADを含む。フィールドFAAには、関連付けられた取扱商品の識別子としての商品番号がセットされる。フィールドFABには、関連付けられた取扱商品に付された名称である商品名がセットされる。フィールドFACには、関連付けられた取扱商品の価格がセットされる。フィールドFADには、関連付けられた取扱商品が陳列される陳列棚の識別子としての棚番号がセットされる。なお、データレコードREAには、別の任意のデータがセットされる別のフィールドが含まれてもよい。
【0027】
図4は棚データベースDBBに含まれる1つのデータレコードREBのデータ構造を示す模式図である。
棚データベースDBBは例えば、陳列棚の個々に関連付けられたデータレコードREBの集合である。データレコードREBは、フィールドFBA,FBBを含む。フィールドFBAには、関連付けられた陳列棚の識別子としての棚番号がセットされる。フィールドFBBには、関連付けられた陳列棚の店舗内での設置位置を表す座標データがセットされる。座標データは、どのような座標系に関する座標を表すものとしてもよいが、例えば店舗の売り場に対して定めた2次元の座標系に関する座標を表すものとすることが想定される。データレコードREBは、別の任意のデータがセットされる別のフィールドが含まれていてもよい。
【0028】
次に以上のように構成された商品販売処理システムの動作について、店舗サーバ1におけるプロセッサ11の処理を中心として説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。例えば、以下の説明では、本実施形態の特徴的な動作を分かり易く説明するために、一部の処理についての説明を省略している。例えば、何らかのエラーが発生した場合に、そのエラーに対処するための処理が行われる場合があるが、そのような処理の一部については記載を省略している。
【0029】
以下に説明する商品販売処理システムの動作により客に提供されるサービスは、スマホPOSサービス、あるいはカートPOSサービスなどと称されるが、以下においてはスマホPOSサービスと記すこととする。そして以下においては、ユーザ端末200を用いた買い物を実現するための動作に付随して客を追跡するための動作を中心に説明する。
【0030】
客は、スマホPOSサービスを利用するためには、自らが所有するスマートフォン等に予め定められたアプリケーションソフトウェアをインストールして、ユーザ端末200として利用可能としておく。あるいは、客は、タブレットコンピュータなどに予め定められたアプリケーションソフトウェアをインストールして構成されたユーザ端末200を店舗にて借りる。そして客は、店舗に入るのに先立って、上記のアプリケーションソフトウェアに基づく情報処理を起動させる。
【0031】
客は、ユーザ端末200を持って、店舗システム100が設けられたいずれかの店舗へと入る。このときに客は、2次元コードTCIをユーザ端末200のカメラで撮影させることにより、当該2次元コードTCIが表すチェックインデータをユーザ端末200に読み取らせる。これに応じてユーザ端末200は、チェックインデータに基づいて店舗サーバ1との間でチェックインのための処理を行って、スマホPOSサービスを利用可能とする。
【0032】
客は、店舗内を移動しながら、買い上げるべき商品を探す。そして客は、買い上げるべき商品を陳列棚から取り出した上で、その商品の商品コードをユーザ端末200に入力する。例えば客は、商品に表示されて商品コードを表したバーコードをユーザ端末200に備えられたカメラに読み取らせる。あるいは例えば客は、ユーザ端末200に備えられたタッチパネルに表示されて商品コードが関連づけられたボタンにタッチする。あるいは例えば客は、タッチパネルを操作して商品コードを手入力する。客は、買上商品の登録を終了し、買上商品の代金を決済するならば、タッチパネルにて決済を指示するための予め定められた操作を行う。客は、この他の予め定められた操作を行う。
【0033】
店舗サーバ1にてプロセッサ11は、上記のような客によるユーザ端末200の操作に応じて、商品を買上商品として登録するための登録処理を仮想POSアプリAPAに従って実行する。この登録処理は、どのような処理であってもよく、その説明は省略する。登録処理は、例えば既存のスマホPOSサービスを提供するための処理と同様であって構わない。
【0034】
プロセッサ11は、客のチェックインが完了すると、その客を対象とした登録処理と並行して、同じ客を対象とした追跡処理を追跡アプリAPBに従って実行する。プロセッサ11は、複数の客がチェックインしている状況においては、それらの客のそれぞれを対象として登録処理及び追跡処理をそれぞれ実行する。以下において単に「客」と記す場合、説明中の追跡処理の対象となっている客を指すこととする。
【0035】
図5はプロセッサ11による追跡処理のフローチャートである。
ACT11としてプロセッサ11は、追跡データを生成する。追跡データは、一度の買い物に際しての店内での客の追跡結果を表すデータである。
【0036】
図6は追跡データのデータ構造を示す模式図である。
追跡データDAAは、フィールドFCAを含む。追跡データDAAは、フィールドFCAの後ろに、1つ又は複数のフィールドFCB,DCC…を含む場合がある。追跡データDAAがフィールドFCB以降にいくつのフィールドを含むかは、関連付けられた客の位置が検知された回数により変化する。
プロセッサ11は、フィールドFCAのみを含むデータとして追跡データDAAを生成する。そしてプロセッサ11は、過去に実行済みの追跡処理及び並行して実行している追跡処理において用いた追跡番号とは別の追跡番号を、例えば予め定められたルールに従って決定し、フィールドFCAにセットする。
【0037】
図5中のACT12としてプロセッサ11は、買上商品の登録が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ11は、客がチェックアウトしたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT12へと戻る。
かくしてプロセッサ11はACT12及びACT13としては、登録指示又はチェックアウトを待ち受ける。
【0038】
客は、商品を購入しないならば、チェックアウトのための予め定められた操作をユーザ端末200にて行う。そしてこれに応じて登録処理が終了されると、プロセッサ11はACT13にてYESと判定し、追跡処理を終了する。
【0039】
買上商品の登録を指示するための前述したような操作を客が行い、これの通知のためにユーザ端末200が送信した通知データが通信インタフェース15により受信されたならば、プロセッサ11はACT12にてYESと判定し、ACT14へと進む。
ACT14としてプロセッサ11は、買上商品としての登録が指示された商品の商品番号と時刻情報とを取得する。プロセッサ11は例えば、上述の通知データから、買上登録すべき商品に関するものとして含まれている商品番号を取り出す。またプロセッサ11は例えば、ハードウェアクロック14が出力している時刻情報を取得する。なおプロセッサ11は、上記の通知データに買上商品としての登録が指示されたタイミングを表すものとしての時刻情報が含まれるならば、この時刻情報を通知データから取り出すのでもよい。かくして追跡アプリAPBに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータはタイミング判定手段として機能する。
【0040】
ACT15としてプロセッサ11は、買上商品の陳列位置を判定する。プロセッサ11は例えば、ACT14で取得した商品番号がフィールドFAAにセットされているデータレコードREAを商品データベースDBAから見つけ出し、該当のデータレコードREAのフィールドFADにセットされている棚番号を取り出す。そしてプロセッサ11は、取り出した棚番号がフィールドFBAにセットされているデータレコードREBを棚データベースDBBから見つけ出し、該当のデータレコードREBのフィールドFBBにセットされている座標データを取得する。これによりプロセッサ11は、取得した座標データで表される位置として陳列位置を判定したこととなる。かくして追跡アプリAPBに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは位置判定手段として機能する。
【0041】
ACT16としてプロセッサ11は、新たな検知データを追跡データDAAに追加する。プロセッサ11は例えば、現状の追跡データDAAの末尾のフィールドの後ろに、新たな検知データをセットしたフィールドを追加する。検知データは、図6に示すようにフィールドFDA,FDB,FDC,FDD,FDEを含む。プロセッサ11は、1つの追跡データDAA内に含まれる検知データの個々を識別するための識別子としての登録番号をフィールドFDAにセットする。プロセッサ11は、登録処理にて買上商品を登録する毎に決定した登録番号をそのまま用いてもよいし、予め定められたルールに従って登録番号を登録処理とは無関係に決定してもよい。プロセッサ11は、ACT19で取得した商品番号及び時刻情報をフィールドFDB,FDCにセットする。プロセッサ11は、ACT20で判定した陳列位置、つまり例えばデータレコードREBから取り出した座標データをフィールドFDDにセットする。プロセッサ11は、信頼度として予め定められた初期値をフィールドFDEにセットする。一例として、初期値は「高」とする。なお、検知データには、例えばフィールドFDBなどの一部のフィールドを含まなくてもよい。また検知データには、別の任意のデータがセットされるフィールドが追加されてもよい。
【0042】
買上商品として登録するための客の操作は、典型的には該当の商品を陳列棚から取り出した直後に行われる。そしてこの場合は、買上商品として登録するための操作を行った客は、該当の商品が陳列されている陳列棚の直近に位置しているのであるから、該当の陳列棚の位置と客の位置との誤差は小さい。そこで本実施形態においては、買上商品として指定された商品が陳列されている陳列棚の位置を、当該商品を買上商品として登録するための操作を行った客の位置として検知している。そして本実施形態においては、陳列棚の位置を表す座標データを、客の位置の検出結果として検知データのフィールドFDDにセットしている。ただし、客は陳列棚の前に位置しているのであり、その位置は陳列棚の位置と同一ではない。そこでプロセッサ11は、陳列棚の位置と、その陳列棚から商品を取り出す際の客の標準的な位置との関係を考慮して、ACT20で取得した座標データを補正して得た座標データをフィールドFDDにセットしてもよい。あるいは上記のように補正した位置を陳列棚に関連付けて示したデータベースを用意しておき、プロセッサ11はこのデータベースから取得した座標データをフィールドFDDにセットしてもよい。
【0043】
しかしながら、しばらく客により持ち歩かれた商品を買上商品として登録するための操作が客により行われる場合もある。つまり、買上商品として登録するための操作が、該当の商品が陳列された陳列棚から離れた場所で行われる場合もある。この場合は、上記のように検知データのフィールドFDDにセットされた座標データが表す位置と客の位置との誤差は大きくなり、当該の座標データが客の位置を表す信頼度は低下する。しかしながら、プロセッサ11がACT16を実行する時点においては、フィールドFDDにセットした座標データの信頼度を評価できないため、本実施形態においては暫定的にフィールドFDEにセットする信頼度を「高」として記録している。
【0044】
ACT17としてプロセッサ11は、買上商品の登録が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT18へと進む。
ACT18としてプロセッサ11は、客がチェックアウトしたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT17へと戻る。
かくしてプロセッサ11はACT17及びACT18としては、登録指示又はチェックアウトを待ち受ける。
【0045】
2つめ以降の買上商品の登録を指示するための前述したような操作を客が行い、これの通知のためにユーザ端末200が送信した通知データが通信インタフェース15により受信されたならば、プロセッサ11はACT17にてYESと判定し、ACT19へと進む。
ACT19としてプロセッサ11は、買上商品としての登録が指示された商品の商品番号と時刻情報とを取得する。このときのプロセッサ11の具体的な処理は、例えばACT14と同様であってよい。
ACT20としてプロセッサ11は、買上商品の陳列位置を判定する。このときのプロセッサ11の具体的な処理は、例えばACT15と同様であってよい。
ACT21としてプロセッサ11は、新たな検知データを追跡データDAAに追加する。このときのプロセッサ11の具体的な処理は、例えばACT16と同様であってよい。
【0046】
ACT22としてプロセッサ11は、今回の買上商品の登録指示に際する検知結果と、1つ前の買上商品の登録指示に際する検知結果とに基づいて、これら登録指示の間における客の移動距離と時間間隔(以下、登録間隔と称する)を求める。プロセッサ11は例えば、直前のACT21にて追跡データDAAに追加した検知データのフィールドFDDにセットした座標データが表す座標と、追跡データDAAの末尾よりも1つ前のフィールドにセットされた検知データのフィールドFDDにセットされている座標データが表す座標との間の直線距離を算出し、これを移動距離とする。またプロセッサ11は例えば、直前のACT21にて追跡データDAAに追加した検知データのフィールドFDCにセットした時刻情報が表す時刻と、追跡データDAAの末尾よりも1つ前のフィールドにセットされた検知データのフィールドFDCにセットされている時刻情報が表す時刻との差の絶対値として登録間隔を算出する。
【0047】
なお、客が移動に利用できる通路のレイアウトを表すデータを例えば補助記憶ユニット13に保存しておき、プロセッサ11は、このデータを参照して2つの座標間での通路を経由しての最短経路の距離を移動距離として算出してもよい。このほか、プロセッサ11は、例えば追跡アプリAPBの作成者などによって適宜に定められたアルゴリズムに従って移動距離を算出するのでもよい。つまり、連続する2回の登録指示の間における客の移動距離に関する何らかの指標値としての移動距離が算出されればよく、客の実際の移動距離を算出する必要はない。
【0048】
ACT23としてプロセッサ11は、間隔異常であるか否かを確認する。間隔異常とは、ACT22で求めた登録間隔が、ACT22で求めた移動距離を客が移動するにしては短すぎる異常である。プロセッサ11は例えば、ACT22で求めた移動距離をACT22で求めた登録間隔で除して求まる値Sが予め定められた判定条件に合致する場合に間隔異常であると判定する。判定条件は、例えば追跡アプリAPBの作成者によって任意に定められてよい。判定条件は一例としては、「値Sが予め定められた閾値よりも大きい」とすることが想定される。そしてプロセッサ11は、間隔異常であるならばACT23にてYESと判定し、ACT24へと進む。
【0049】
ACT24としてプロセッサ11は、1つ前の買上商品の登録指示に際する検知結果に関する信頼度を変更するべく、既に追跡データDAAに含まれている検知データを更新する。プロセッサ11は例えば、追跡データDAAの末尾のフィールドよりも1つ前のフィールドにセットされた検知データのフィールドFDEにセットされている信頼度を、「高」から「低」に書き換える。そしてプロセッサ11はこののち、ACT17及びACT18の待受状態に戻る。なおプロセッサ11は、間隔異常ではないためにACT23にてNOと判定したならば、ACT24を実行せずにACT17及びACT18の待受状態に戻る。かくして追跡アプリAPBに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは信頼度判定手段として機能する。
【0050】
客は、基本的には前述のように、陳列棚から取り出した商品を買上商品として登録するための操作をその場で行う。しかしながら客は、取り出した商品を持ったままで別の場所に移動して他の商品の買上を決心してから、持っていてまだ登録していない商品を買上商品として登録するための操作を行う場合がある。そしてこの場合に客は、短時間の後に、別の商品を買上商品として登録するための操作を行うことになる。そこで本実施形態では、間隔異常の場合はこのようなケースであると見做して、プロセッサ11は1つ前の買上商品の登録指示に際する検知結果に関する信頼度を「低」とし、間隔異常ではないならば信頼度を「高」に確定するのである。かくして追跡アプリAPBに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは生成手段として機能する。
【0051】
客は、買い上げる商品の全てを買上商品として登録し終えたならば、それら買上商品の代金の決済のための操作をユーザ端末200にて行う。これに応じてプロセッサ11は登録処理では、上記決済のための決済処理を実行し、正常に決済処理を終えたならば登録処理を終了する。これに応じてプロセッサ11は、ACT18にてYESと判定し、ACT25へと進む。
【0052】
ACT25としてプロセッサ11は、今回の追跡処理による追跡の結果を反映するように行動データベースDBCを更新する。プロセッサ11は例えば、今回の追跡処理のなかで最後に更新された状態の追跡データDAAを含むように行動データベースDBCを更新する。つまりプロセッサ11は、ACT17及びACT18の待受状態へとACT16から移行していたならば、ACT16で検知データが追加された後の追跡データDAAを行動データベースDBCに含める。またプロセッサ11は、ACT17及びACT18の待受状態へとACT24から移行していたならば、ACT24で検知データが更新された後の追跡データDAAを行動データベースDBCに含める。またプロセッサ11は例えば、ACT17及びACT18の待受状態へとACT23から移行していたならば、ACT21で検知データが追加された後の追跡データDAAを行動データベースDBCに含める。そしてプロセッサ11はこののち、追跡処理を終了する。かくして追跡アプリAPBに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは集積手段として機能する。
【0053】
かくして行動データベースDBCは、それぞれ異なる追跡処理によりそれぞれ得られた追跡データDAAを蓄積したものとなる。なおプロセッサ11は、追跡データDAAから、例えば登録番号又は商品番号などのような一部のデータを省いたデータを行動データベースDBCに含めてもよい。あるいはプロセッサ11は、追跡データDAAに予め定められた何らかのデータを追加したデータを行動データベースDBCに追加してもよい。
【0054】
以上のように店舗サーバ1は、買上商品として登録するとしての商品の指定が当該の商品の陳列位置で行われることを前提として、買上商品として登録するとして指定された商品の陳列位置を、当該商品の指定が行われた登録位置として判定する。店舗サーバ1は、このように登録位置として判定した陳列位置に陳列された商品に関する上記の指定がなされたタイミング及び当該登録位置と、1つ前に登録位置として判定した陳列位置に陳列された商品に関する上記の指定がなされたタイミング及び当該1つ前の登録位置とに基づいて、当該1つ前の登録位置の信頼度を判定する。そして店舗サーバ1は、このように判定した信頼度を、当該1つ前の登録位置と当該1つ前に登録位置として判定した陳列位置に陳列された商品に関する上記の指定がなされたタイミングとに関連付けた追跡データを生成する。
【0055】
かくして店舗サーバ1によれば、追跡データからは、登録位置の経時変化として客の移動の様子を解析することが可能である。そして店舗サーバ1は、追跡データの生成に当たって、客の移動に関する何らかの検出動作を行うセンサ等は用いず、簡易に実現できる。そして、追跡データからは、商品の指定が行われた状況の上記の前提に対する合致の度合いに応じて変化する登録位置の確からしさを信頼度に基づいて認識可能であり、これを用いた客の行動を解析することが可能となる。例えば、ある商品に関して判定された登録位置の信頼度がある頻度で低い場合には、当該商品の指定は陳列位置とは別の場所で頻繁に行われていることが分かるので、陳列位置が適正ではない恐れがあることが分かる。
【0056】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
プロセッサ11は、判定した登録位置を3段階以上の信頼度のいずれかとして判定してもよい。プロセッサ11は例えば、前述の値Sが予め定められた第1の閾値以上である場合に信頼度を「低」とし、値Sが第1の閾値未満で、かつ第1の閾値よりも小さな第2の閾値以上である場合に信頼度を「中」とし、さらに値Sが第2の閾値未満である場合に信頼度を「高」としてもよい。
【0057】
信頼度は、テーブル参照などの別の方法で判定してもよい。例えば、2つの陳列棚の組合せに関連付けて信頼度を表したデータテーブルを用意しておき、プロセッサ11は新たに登録が指定された商品が陳列されている陳列棚とその1つ前に登録が指定された商品が陳列されている陳列棚との組合せに上記のデータテーブルで関連付けられた信頼度を取得してもよい。
【0058】
信頼度の変更或いは判定は、後処理として実行してもよい。つまり、プロセッサ11は例えば、図5のACT21を終えるとACT17及びACT18の待受状態に戻るようにし、行動データベースDBCに含まれた追跡データに関して、検知データのそれぞれ関してACT22~ACT24の処理を実行してもよい。この場合は、当該の信頼度の変更或いは判定を、例えば店舗の営業時間外などの店舗サーバ1の処理負荷の少ないタイミングで実行することによって、店舗サーバ1の処理負荷の分散を図ることができる。
【0059】
信頼度の初期値は「低」としてもよい。そしてこの場合にはプロセッサ11は例えば、図5中のACT24を実行するのに代えて、ACT23にてNOと判定した場合に、1つ前の買上商品の登録指示に際する検知結果に関する信頼度「低」から「高」に書き換えるように検知データを更新する。
信頼度の初期値は、「高」及び「低」以外の、例えばNull値などの任意の値としてもよい。そしてこの場合にプロセッサ11は、初期値とは異なる信頼度であると判定できる場合に、該当の信頼度を表すように検知データを更新する。
なお、上記の実施形態では、チェックアウト前の最後に登録指示された商品に関して判定した登録位置の信頼度に関しては、ACT19以降の処理の対象とはされない。そこでプロセッサ11は、このような登録位置に関する信頼度として予め定められた規定値が初期値とは異なる場合には、ACT18でYESと判定した場合に、現状の追跡データDAAの末尾のフィールドにセットされている検知データのフィールドFDEにセットされている信頼度を上記の規定値に書き換える。
【0060】
店舗サーバ1は、店舗以外の任意の施設に設けられた別のサーバ装置に置き換えられてもよい。
【0061】
ユーザ端末200に代えてカート端末300を用いた買い物を実現する場合には、前述の説明におけるユーザ端末200をカート端末300に読み替えることができる。ただしカート端末300の場合は例えば、チェックインデータに示される各種のデータのうちの少なくとも一部を、予めカート端末300内の記憶デバイスに保存しておくことで、チェックインデータの読取りを省略してもよい。
【0062】
ユーザ端末200が店舗にて客に貸与される場合は、チェックインデータに示される各種のデータのうちの少なくとも一部を、予め記憶デバイスに保存しておくことで、チェックインデータの読取りを省略してもよい。
【0063】
店舗サーバ1の処理は、複数のサーバ装置により分散して行われても構わない。
【0064】
店舗サーバ1とユーザ端末200及びカート端末300との間での各種のデータの授受は、別のサーバ装置により仲介されて行われてもよい。
【0065】
情報処理によりプロセッサ11が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…店舗サーバ、2…会計機、3…ゲートウェイ、4…アクセスポイント、5…店内通信ネットワーク、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶ユニット、14…ハードウェアクロック、15…通信インタフェース、16…伝送路、100…店舗システム、200…ユーザ端末、300…カート端末、301…バーコードスキャナ、400…通信ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6