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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】釣状況・設定値管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/12 20060101AFI20241111BHJP
   A01K 87/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A01K97/12 Z
A01K87/00 640Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021151420
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043672
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】三屋 幸久
(72)【発明者】
【氏名】古川 素基
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0487347(KR,Y1)
【文献】特開平04-320638(JP,A)
【文献】特開2001-224294(JP,A)
【文献】特開2002-233284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/12
A01K 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を備える釣竿と、該釣竿に設けられ、1又は複数のセンサを備える釣状況・設定値処理装置と、該釣状況・設定値処理装置と通信可能に接続される情報処理装置と、を備える釣状況・設定値管理システムであって、
前記釣状況・設定値処理装置は、前記把持部に振動を発生させる振動生成部と、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部と、該釣状況に関するデータを外部へ送信する送信部と、を備え、
前記情報処理装置は、前記釣状況・設定値処理装置から該釣状況に関するデータを受信する受信部と、受信した釣状況に関するデータを表示する表示部と、を備え、
前記情報処理装置において、前記表示部は、前記振動の発生に関する設定値を表示可能であり、かつ該表示部に表示された該振動の発生に関する設定値は変更可能にされ、該情報処理装置は、変更された該設定値を前記釣状況・設定値処理装置へ送信する設定値送信部を備え、
前記振動の発生に関する設定値は、ノイズ除去のための誘い閾値、振動レベルの決定のための誘い出力レベル、錘が着底した時の竿の振動を除去するために必要な時間の設定のための着底停止時間、及び、着底したか否かの判定のための着底閾値の少なくともいずれかを含むことを特徴とする、釣状況・設定値管理システム。
【請求項2】
前記1又は複数のセンサは、振動センサ、加速度センサ、糸長センサ、糸張力センサの少なくともいずれかである、請求項1に記載の釣状況・設定値管理システム。
【請求項3】
前記振動の発生に関する設定値は、更に、ノイズ除去のためのアタリ閾値、及び、振動レベルの決定のためのアタリ出力レベルの少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の釣状況・設定値管理システム。
【請求項4】
前記釣状況・設定値処理装置は、前記情報処理装置から前記振動の発生に関する設定値を受信する設定値受信部と、受信した該設定値に基づき前記振動の発生に関する設定値を変更する設定値変更部と、備える、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況・設定値管理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記釣状況に関するデータ又は前記振動の発生に関する設定値の少なくともいずれかを外部装置へ送信する送信部を備える、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況・設定値管理システム。
【請求項6】
前記外部装置は、クラウド装置である、請求項に記載の釣状況・設定値管理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、記録部を備え、該記録部は、前記釣状況に関するデータ又は前記振動の発生に関する設定値の少なくともいずれかを記録する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況・設定値管理システム。
【請求項8】
前記振動生成部は、前記把持部を振動させるアクチュエータ部を備え、前記処理部による振動発生信号に基づき該アクチュエータ部を駆動させる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況・設定値管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣状況を検出しかつ釣状況に関するデータの送信が可能であり、また設定値の設定や管理が可能な釣状況・設定値管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣り竿を模擬できる装置や魚信の検出ができる装置が知られている。釣り竿を模擬できる装置は、釣り竿を保持して釣りの所定の体験ができるようになっている。また、魚信の検出ができる装置では、所謂アタリの振動を検知して、これを発光体やブザーなどの報知手段や電子装置を用いてユーザに知らせるようにしている。
【0003】
このような釣り竿を模擬できる装置は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、釣りゲーム等に用いられる入力装置に係り、特に、釣糸等の機械的な拘束なく、釣り竿等を模擬できる入力装置およびその処理技術に係り、操作者が把持部を把持して操作することによりその全体が動かされる入力装置であって、当該入力装置の動きを検出する動き検出手段を備えたことを特徴とする入力装置が開示されている。
【0004】
また、魚信の検出ができる装置として、特許文献2では、釣竿の先端に位置するように形成された取付体の前方の下側に、釣糸支承環の支持杆を設け、該支持杆の下端近傍に水平方向に伸びる支軸を有する枢軸部を設け、該枢軸部に上部に回動接点を有する釣糸支承環の中部を軸着し、取付体の前端下側に固定接点を設け、釣糸支承環を常時後傾姿勢をとらせるようにし、釣糸支承環をくぐらせた釣糸が釣糸支承環の下半部に当接するとき、その当接によって後傾姿勢の釣糸支承環を前傾する向きに回動させて回動接点を固定接点に接触させ、釣糸の前記の当接が緩められると釣糸支承環が後傾する向きに回動して回動接点が固定接点から離れるように構成し、かつ、電池の一方の電極と回動接点とを結線し他方の電極と固定接点とを結線して、その結線路中に電気報知器を挿設したところの感知部と、釣竿の先端近傍の下側にあって釣糸支承環の後方に位置して釣糸を係止する釣糸係止部とから成る魚信の感知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-214155号公報
【文献】特開2005-34116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る態様では、アタリ(魚信)の際の釣り竿を模擬することができるとするものの、該アタリはあくまで魚が餌を咥え、釣針に魚がかかった状態であり、該アタリ以外の仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態を検出・振動生成するものではなく、また、こうした釣状況(詳細は後述する)に関するデータの共有や当該データ検出・振動生成のための条件を設定できるものではなかった。
【0007】
また、特許文献2に掛かる態様では、アタリの感知を行うことができるとするものの、該アタリ以外の仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態を知ること自体が難しいため、これを記録したり、振動生成することができないだけでなく、こうした釣状況に関するデータの共有や当該データ検出・振動生成のための条件を設定できるものではなかった。
【0008】
着底を含め仕掛け投入からアタリまでの間の魚や釣糸の状況、またアタリ以降の巻上げ等の状態や釣竿の状態を広く検出すると共に、これを管理・共有し、かつ振動生成や検出のための条件設定などができれば、釣りへの関心や興味を大幅に高めることに繋がるが、特許文献1に係る態様も含め、このようなことは実現できていなかった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、釣状況を検出し管理・共有すると共に、検出された釣状況に基づき再現し、かつ振動生成や検出のための条件設定が可能な釣状況・設定値管理システムを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムは、把持部を備える釣竿と、該釣竿に設けられ、1又は複数のセンサを備える釣状況・設定値処理装置と、該釣状況・設定値処理装置と通信可能に接続される情報処理装置と、を備え、前記釣状況・設定値処理装置は、前記把持部に振動を発生させる振動生成部と、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部と、該釣状況に関するデータを外部へ送信する送信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記釣状況・設定値処理装置から該釣状況に関するデータを受信する受信部と、受信した釣状況に関するデータを表示する表示部と、を備えるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記1又は複数のセンサは、振動センサ、加速度センサ、糸長センサ、糸張力センサの少なくともいずれかである。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムの情報処理装置において、前記表示部は、前記振動の発生に関する設定値を表示可能であり、かつ該表示部に表示された該振動の発生に関する設定値は変更可能にされ、該情報処理装置は、変更された該設定値を前記釣状況・設定値処理装置へ送信する設定値送信部を備えるように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記振動の発生に関する設定値は、振動量、振動時間、振動発生条件、振動間隔又は振動タイミングの少なくともいずれかを含むように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記釣状況・設定値処理装置は、前記情報処理装置から前記振動の発生に関する設定値を受信する設定値受信部と、受信した該設定値に基づき前記振動の発生に関する設定値を変更する設定値変更部と、備えるように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記釣状況に関するデータ又は前記振動の発生に関する設定値の少なくともいずれかを外部装置へ送信する送信部を備えるように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記外部装置は、クラウド装置である。
【0017】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記情報処理装置は、記録部を備え、該記録部は、前記釣状況に関するデータ又は前記振動の発生に関する設定値の少なくともいずれかを記録するように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、前記振動生成部は、前記把持部を振動させるアクチュエータ部を備え、前記処理部による振動発生信号に基づき該アクチュエータ部を駆動させるように構成される。
【発明の効果】
【0019】
上記実施形態によれば、釣状況を検出し管理・共有すると共に、検出された釣状況に基づき振動生成し、かつ振動生成や検出のための条件設定が可能な釣状況・設定値管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る釣竿を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値処理装置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る釣状況管理システムを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置における釣状況に関するデータと再現方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0022】
図1は、釣竿を説明する図である。図示のように、釣竿11は、竿体2と、竿体2に釣竿11を介して取り付けられたリール6と、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10と、を備える。図示の実施形態においては、釣竿11及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0023】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていても良い。
【0024】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0025】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、釣竿11に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられるが、詳細は省略する。
【0026】
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値処理装置について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値処理装置1は、把持部4を備え、端部に釣針16を有する釣糸8が取付けられた釣竿11に設けられる釣状況・設定値処理装置1であって、該把持部4に設けられ、該把持部4に振動を発生させる振動生成部12と、該釣竿11に設けられ、該釣竿11の動きと振動を少なくとも含む釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部13と、該釣状況に関するデータや後述する振動生成に関する設定値を送受信する送受信部14と、該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部12に振動発生信号を送信する処理部15と、を備えるように構成される。
【0027】
ここで、釣状況とは、仕掛け投入から仕掛けを回収するまでの間の状態における、釣竿の動き(例えば、速度、加速度、傾き、振動、引張力等)、釣針や釣糸の動きや引張力、釣糸の糸長又は魚釣用リールの各種パラメータ(例えば、スプールの回転速度、スプールに働く力)の少なくともいずれかをいうものとする。また、その他に、風量、温度、日照、又は船/はしけ等の釣り場(立地点)の振動等も含まれ得るが、これらに限られない。なお、当該釣糸8には、釣針16に加えて、ルアーや集魚部材(例えば、コマセ籠や集魚板など)等を取付けることができ(これらに限られない)、これらを総称して釣針等と呼ぶこととする。また、振動生成に関する設定値は、仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態における、振動生成のための設定値をいい、例えば、振動量(アクチュエータへ出力される電圧値)、振動時間、振動間隔、振動タイミングをいう。
【0028】
ここで、釣針16を有する釣糸8が取付けられた釣竿11という場合、例えば、釣糸8の端部に仕掛けやルアー若しくはその他の部材が設けられ、これらに釣針16が設けられることもあるし、釣糸自体が複数の釣糸で構成されていたり、複数の釣糸とこれらの釣糸間に別の中間部材が取付けられるなど様々な態様が考えられる。以上のことから、釣糸8は、1つの釣糸、複数の釣糸、又は複数の釣糸とこれらの間に設けられた中間部材とで構成することができ、釣糸に釣針を設けるという場合、釣糸の端部に直接又は中間部材(仕掛けやルアー等が想定されるがこれらに限られない)を介して設けることを意味するものと理解されたい。
【0029】
ここで、検出部13は、1又は複数のセンサであり、振動センサ、加速度センサ、糸長センサ、糸張力センサの少なくともいずれかである。また、検出部13として、圧電素子、ひずみゲージ”又は歪検出素子を用いることができる。検出部13により検出された釣状況に関するデータに基づき、該釣竿11の動きや振動を振動生成部12により生成することができる。また、該釣竿11の動きや振動を振動生成部12により増幅して生成してもよい。または、該釣竿11の動きや振動を振動生成部12において伝達強度を調整して生成するようにしてもよい。ここで、把持部4の一部として振動生成部12を構成することができ、把持部4に振動を発生させることは、振動生成部12自身が振動することも含むものとする(本明細書を通じて同様とする)。
また、例えば、検出部13で取得した振動は、電圧値に変換すると、通常+数mV付近の値である(取得した振動に、+数mVのバイアスがかかっている)が、そのため、0mV付近にオフセットする(-数mVから0mV付近にオフセットも可能)ことで、プラス側、マイナス側の両方で魚のアタリを検出できる。これにより、原点(0V)の位置で振動の検出が可能となり、正確な出力ができる。
【0030】
次に、図3、及び図2の一部を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100は、把持部4を備える釣竿11と、該釣竿11に設けられ、1又は複数のセンサ(検出部)13を備える釣状況・設定値処理装置1と、該釣状況・設定値処理装置1と通信可能に接続される情報処理装置30と、を備え、該釣状況・設定値処理装置1は、該把持部4に振動を発生させる振動生成部12と、該振動生成部12に振動発生信号を送信する処理部15と、該釣状況に関するデータを外部とやり取りする送受信部14と、を備え、前記情報処理装置は、前記釣状況・設定値処理装置から該釣状況に関するデータを受信する受信部(送受信部)31と、受信した釣状況に関するデータを表示する表示部32と、を備えるように構成される。
【0031】
ここで、外部(装置)とは、外部の情報通信端末(例えば、スマートフォンなど)や情報処理装置、情報処理システム、クラウドシステム(クラウド装置)が考えられるが、これらに限定されるものではない(以下同様とする)。ここで、情報処理装置とは、コンピュータ、スマートフォン、ゲーム再生機、又はクラウドシステム(クラウド装置)が考えられるが、これらに限られない。また、「通信可能に接続」とは、通信可能な状態で無線若しくは有線により接続されることをいう。
【0032】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100によれば、釣状況を検出し管理・共有すると共に、検出された釣状況に基づき振動生成し、かつ振動生成や検出のための条件設定が可能な釣状況・設定値管理システムを提供することが可能となる。このようにして、ユーザの使用状況及びユーザの好みの設定が可能となる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る該釣状況・設定値処理装置1において、当該振動生成部12は、当該把持部4を振動させるアクチュエータ部を備え、当該処理部15による振動発生信号に基づき該アクチュエータ部を駆動させるように構成される。ここで、また、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記アクチュエータ部は、例えば、板状アクチュエータであるように構成される。当該アクチュエータ部として、板状アクチュエータが望ましい理由は、まず、振動生成12の振動波形をユーザの実釣感覚と同化させるのに最適であること(板の変形形態が釣竿の変形形態と同じで、穂先の変形・振動が手元にあるように感ずる)、次に、物理的な変形により、例えば、低周波数(1Hz~)の振動も感じ取ることができることからである。なお、当該アクチュエータ部は、板状アクチュエータに限られず、その他の態様であってもよい。
【0034】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100の情報処理装置30において、当該表示部32は、振動の発生に関する設定値を表示可能であり、かつ該表示部に表示された該振動の発生に関する設定値は変更可能にされ、該情報処理装置は、変更された該設定値を前記釣状況・設定値処理装置へ送信する設定値送信部を備えるように構成される。このようにして、ユーザが容易に自身の好みの設定にすることが可能となる。ここで、振動の発生に関する設定値として、振動量、振動時間、振動発生条件、振動間隔、振動タイミングが考えられるが、これらに限られない。
【0035】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100において、振動の発生に関する設定値40は、振動量、振動時間、振動発生条件、振動間隔又は振動タイミングの少なくともいずれかを含むように構成される。図4に振動の発生に関する設定値40の例を示す。図示のように、設定値40として、ノイズ除去のためのアタリ閾値41、任意のアクチュエータの振動レベルの決定のためのアタリ出力レベル42、ノイズ除去のための誘い閾値43、任意のアクチュエータの振動レベルの決定のための誘い出力レベル44、錘が着底した時の竿の振動を除去するために必要な時間の設定のための着底停止時間45、どのような水底に着底したか否かの判定のための着底閾値46があり、これらの設定値を設定・変更を行うことができる。なお、当該着底閾値46は、着底する場所(コンクリート、泥、砂等)により、振動が異なるため、例えば、砂の場合は振動が少ないため、閾値を上げる必要はなく0としてもよいのに対して、コンクリートの場合は振動が多いので、閾値を上げる必要があり、同様に、ユーザの竿の操作により、着底の際の振動は異なるため、当該着底閾値46は状況に応じて変更することができる。このようにして、ユーザの使用状況及びユーザの好みの設定が可能となる。なお、上記の設定値を必ずしも設定しなければならないという訳でなく、ユーザの好みにより自由に設定できる。例えば、アタリ閾値41と着底停止時間45は設定するが着底閾値46は設定しないということも可能である。
【0036】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100において、釣状況・設定値処理装置1は、当該情報処理装置30から振動の発生に関する設定値40を受信する設定値受信部51(図示しない)と、受信した該設定値40に基づき当該振動の発生に関する設定値40を変更する設定値変更部52(図示しない)と、備えるように構成される。このようにして、ユーザの使用状況及びユーザの好みの設定が可能となる。
【0037】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100において、当該情報処理装置30は、当該釣状況に関するデータ又は当該振動の発生に関する設定値の少なくともいずれかを外部装置へ送信する送信部61(図示しない)を備えるように構成される。本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システムにおいて、当該外部装置は、例えば、クラウド装置であるが、これに限られない。このようにして、ユーザが体験した釣りの設定を外部装置(例えば、クラウド装置)に保存できるので、情報処理装置30に記憶装置を必要とせず、また、外部装置(例えば、クラウド装置)に設定値を保存しておくことで、いつでもデータを取得して再現できたり、また、他のユーザ(例えば、釣りの名人)の設定値を取得して、他のユーザの釣りの設定が再現できる等、釣状況のあらゆるデータ(例えば、各種センサで取得したデータ)も送受信できるため、様々な設定を再現できることが可能となる。
【0038】
本発明の一実施形態に係る釣状況・設定値管理システム100において、当該情報処理装置30は、記録部62(図示しない)を備え、該記録部62は、当該釣状況に関するデータ又は当該振動の発生に関する設定値の少なくともいずれかを記録するように構成される。このようにして、当該外部装置にアクセスする必要がなく、釣竿と情報処理装置との連携により当該釣状況に関するデータや当該振動の発生に関する設定値の確認や変更が可能となる。
【0039】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 釣状況管理装置
2 竿体
3 元竿
4 把持部
5 中竿
6 リール
7 穂先竿
8 釣糸
10 釣糸ガイド
11 釣竿
12 振動生成部
13 第1の検出部
14 記録部
15 処理部
16 釣針
17 送受信部
30 情報処理装置
31 記録部
32 表示部
41 アタリ閾値
42 アタリ出力レベル
43 誘い閾値
44 誘い出力レベル
45 着底停止時間
46 着底閾値
51 設定値受信部
52 設定値変更部
61 送信部
100 釣状況管理システム
図1
図2
図3
図4