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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】超音波計測方法及び超音波計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/48 20060101AFI20241111BHJP
   G01N 29/44 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G01N29/48
G01N29/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021153016
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023044902
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】溝田 裕久
(72)【発明者】
【氏名】西水 亮
(72)【発明者】
【氏名】三木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】平野 正博
(72)【発明者】
【氏名】竹田 憲生
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-147770(JP,A)
【文献】特開2018-112436(JP,A)
【文献】特開2007-315935(JP,A)
【文献】特開2010-266414(JP,A)
【文献】特開2014-041068(JP,A)
【文献】特開2021-096114(JP,A)
【文献】特開2000-329751(JP,A)
【文献】特開2012-242221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0106765(US,A1)
【文献】米国特許第06234025(US,B1)
【文献】勝又 健一ほか,超音波によるFRP劣化診断技術の開発,海上技術安全研究所報告,第4巻第5号,2004年12月28日,p.535-550
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G01B 17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Nは2以上の自然数)層からなるN-1の静的な界面を有する構造物の界面状態を評価する超音波計測方法であって、
前記構造物の外表面から超音波を送受信し、取得された波形データに基づいて、N-1の各界面からの反射波のエコー強度とN層の底面からの反射波のエコー強度とを抽出する工程と、
1≦k≦Nとし、送信波強度をI、接触性の因子をC、装置因子をU、k層目とk+1層目との界面における反射率をX 、透過率を1-X 、k層目の厚さをz 、超音波の伝搬距離に依存する拡散減衰項の影響をd(z)、前記各界面及び前記底面における反射率の形状因子をS rk とし、反射波のエコー強度E を以下の式で表現し、
前記各界面からの反射波のエコー強度と前記底面からの反射波のエコー強度とを、前記拡散減衰項で除算し、除算されたエコー強度と真実接触面積と正比例関係にある界面状態指標との関係を示すN個の方程式を立て、第k+1層である下側の除算されたエコー強度を第k層である上側の除算されたエコー強度で除算し、共通項I・C ・Uを消去し、エコー強度と界面状態指標との関係を示すN-1個の方程式を立て、前記N-1個の方程式を解き、前記界面状態指標をエコー強度で示し、各界面の界面状態指標を演算する工程と、
演算された各界面の界面状態指標に基づいて、各界面の界面状態を評価する工程と、
制御・処理部が実行することを特徴とする超音波計測方法。
【請求項2】
請求項1に記載する超音波計測方法であって、
前記界面及び前記底面における反射率の形状因子に基づいて、抽出されたN-1の各界面からの反射波のエコー強度とN層の底面からの反射波のエコー強度とを補正し、前記N個の方程式を立てることを特徴とする超音波計測方法。
【請求項3】
請求項1に記載する超音波計測方法であって、
演算された各界面の界面状態指標と構造物の機械特性とを関連付け、演算された各界面の界面状態指標を製造時における構造物の品質管理に使用することを特徴とする超音波計測方法。
【請求項4】
請求項1に記載する超音波計測方法であって、
演算された各界面の界面状態指標をモニタリングし、演算された各界面の界面状態指標を運用中の構造物の健全性の評価に使用することを特徴とする超音波計測方法。
【請求項5】
(Nは2以上の自然数)層からなるN-1の静的な界面を有する構造物の界面状態を評価する超音波計測装置であって、
前記構造物の外表面から超音波を送受信する送受信部と、
前記送受信部から取得された波形データに基づいて、N-1の各界面からの反射波のエコー強度とN層の底面からの反射波のエコー強度とを抽出し、
1≦k≦Nとし、送信波強度をI、接触性の因子をC、装置因子をU、k層目とk+1層目との界面における反射率をX 、透過率を1-X 、k層目の厚さをz 、超音波の伝搬距離に依存する拡散減衰項の影響をd(z)、前記各界面及び前記底面における反射率の形状因子をS rk とし、反射波のエコー強度E を以下の式で表現し、
前記各界面からの反射波のエコー強度と前記底面からの反射波のエコー強度とを、前記拡散減衰項で除算し、除算されたエコー強度と真実接触面積と正比例関係にある界面状態指標との関係を示すN個の方程式を立て、第k+1層である下側の除算されたエコー強度を第k層である上側の除算されたエコー強度で除算し、共通項I・C ・Uを消去し、エコー強度と界面状態指標との関係を示すN-1個の方程式を立て、前記N-1個の方程式を解き、前記界面状態指標をエコー強度で示し、各界面の界面状態指標を演算し、
演算された各界面の界面状態指標に基づいて、各界面の界面状態を評価する制御・処理部と、
評価された各界面の界面状態指標の評価結果を表示する表示部と、
を有することを特徴とする超音波計測装置。
【請求項6】
請求項5に記載する超音波計測装置であって、
前記制御・処理部は、設定した層の数と層の厚さ、エコー強度の補正に必要となる形状因子、設定した層の数に合わせて界面状態指標を演算する方程式を調整するアルゴリズムを格納する記憶装置を有することを特徴とする超音波計測装置。
【請求項7】
請求項6に記載する超音波計測装置であって、
前記記憶装置は、計測結果に基づいて演算した前記界面状態指標が、機械特性と関連付けられ、格納されることを特徴とする超音波計測装置。
【請求項8】
請求項6に記載する超音波計測装置であって、
前記記憶装置は、計測結果に基づいて演算した前記界面状態指標が、計測日時と関連付けられ、格納されることを特徴とする超音波計測装置。
【請求項9】
請求項7に記載する超音波計測装置であって、
前記表示部は、前記界面状態指標と前記機械特性との関係性を表示することを特徴とする超音波計測装置。
【請求項10】
請求項8に記載する超音波計測装置であって、
前記表示部は、前記界面状態指標と前記計測日時との関係性を表示することを特徴とする超音波計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサを使用し、界面状態を評価する超音波計測方法及び超音波計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦や摩耗は、工業製品の機械特性にとって、重要な役割を担い、接触した界面状態が深く関与している。接触した界面で発生するミクロな現象は、機械特性としてマクロに発現する。このため、界面状態を直接的に観察するニーズは高い。
【0003】
しかし、摩擦や摩耗が関係する部材は、大抵の場合、不透明であり、界面状態を直接的に観察することは難しい。
【0004】
そこで、非破壊計測で間接的に界面状態を評価する。こうした技術分野における背景技術として、特開2010-60412号公報(特許文献1)がある。
【0005】
この特許文献1には、第1電極チップがワークW1から離間した状態で第1電極チップの先端から反射された第1反射波の強度を測定し、第1電極チップがワークW1に対して接触した状態で第1電極チップの先端から反射された第2反射波の強度を測定し、これら第1反射波及び第2反射波の各強度に基づき、強度比(反射波率)及びワークW1に対して入射した超音波の割合(入射波率)を求め、予め求められた超音波を入射可能な部位の接触面積と入射波率との相関関係から、部位の全面積と部位におけるワークW1に対して接触した接触面積との比(接触面積比)を求める接触面積比評価方法が記載されている(特許文献1の要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-60412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
接触と非接触とを繰り返す動的な界面においては、界面が非接触時に基準となる超音波計測結果を取得し、評価したい接触時の界面を評価すればよい。
【0008】
しかし、タービンやポンプなどの嵌合部では静的な界面であるため、基準となる超音波計測結果を取得することができない。更に、工業製品の外表面から超音波を工業製品の内部に伝搬させ、界面状態を評価する際に、超音波センサと工業製品の外表面との接触状態は、工業製品の外表面に塗装や凹凸などがあり、基準となる安定したエコー強度を取得することができない。
【0009】
特許文献1には、超音波センサを使用し、ワークの界面状態を評価する接触面積比評価方法が記載されている。しかし、特許文献1に記載される接触面積比評価方法は、超音波を入射可能な部位の接触面積と入射波率との相関関係を、予め求めるものであり、基準となる超音波計測結果を取得することができない、例えば、タービンやポンプなどの嵌合部のような静的な界面において、界面状態を評価するものではない。
【0010】
そこで、本発明は、基準となる超音波計測結果を取得することができない静的な界面においても界面状態を評価することができる超音波計測方法及び超音波計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明の超音波計測方法は、N(Nは2以上の自然数)層からなるN-1の静的な界面を有する構造物の界面状態を評価する超音波計測方法であって、構造物の外表面から超音波を送受信し、取得された波形データに基づいて、N-1の各界面からの反射波のエコー強度とN層の底面からの反射波のエコー強度とを抽出する工程と、1≦k≦Nとし、送信波強度をI、接触性の因子をC、装置因子をU、k層目とk+1層目との界面における反射率をX 、透過率を1-X 、k層目の厚さをz 、超音波の伝搬距離に依存する拡散減衰項の影響をd(z)、各界面及び底面における反射率の形状因子をS rk とし、反射波のエコー強度E を後述する式1-3で表現し、各界面からの反射波のエコー強度と底面からの反射波のエコー強度とを拡散減衰項で除算し、除算されたエコー強度と真実接触面積と正比例関係にある界面状態指標との関係を示すN個の方程式を立て、第k+1層である下側の除算されたエコー強度を第k層である上側の除算されたエコー強度で除算し、共通項I・C ・Uを消去し、エコー強度と界面状態指標との関係を示すN-1個の方程式を立て、N-1個の方程式を解き、界面状態指標をエコー強度で示し、各界面の界面状態指標を演算する工程と、演算された各界面の界面状態指標に基づいて、各界面の界面状態を評価する工程と、を制御・処理部が実行することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の超音波計測装置は、N(Nは2以上の自然数)層からなるN-1の静的な界面を有する構造物の界面状態を評価する超音波計測装置であって、構造物の外表面から超音波を送受信する送受信部と、送受信部から取得された波形データに基づいて、N-1の各界面からの反射波のエコー強度とN層の底面からの反射波のエコー強度とを抽出し、1≦k≦Nとし、送信波強度をI、接触性の因子をC、装置因子をU、k層目とk+1層目との界面における反射率をX 、透過率を1-X 、k層目の厚さをz 、超音波の伝搬距離に依存する拡散減衰項の影響をd(z)、各界面及び底面における反射率の形状因子をS rk とし、反射波のエコー強度E を後述する式1-3で表現し、各界面からの反射波のエコー強度と底面からの反射波のエコー強度とを拡散減衰項で除算し、除算されたエコー強度と真実接触面積と正比例関係にある界面状態指標との関係を示すN個の方程式を立て、第k+1層である下側の除算されたエコー強度を第k層である上側の除算されたエコー強度で除算し、共通項I・C ・Uを消去し、エコー強度と界面状態指標との関係を示すN-1個の方程式を立て、N-1個の方程式を解き、界面状態指標をエコー強度で示し、各界面の界面状態指標を演算し、演算された各界面の界面状態指標に基づいて、各界面の界面状態を評価する制御・処理部と、評価された各界面の界面状態指標の評価結果を表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基準となる超音波計測結果を取得することができない静的な界面においても界面状態を評価することができる超音波計測方法及び超音波計測装置を提供することができる。
【0014】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明によって、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部の構造を説明する説明図であり、(a)は軸が中空の場合を、(b)は軸が中実の場合を、示す。
図2】本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部における超音波伝搬を模式的に説明する説明図である。
図3】本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部における超音波伝搬を説明する説明図であり、(a)は軸が中空の場合を、(b)は軸が中実の場合を、示す。
図4】本実施例に記載する3層の場合の超音波計測を模式的に説明する説明図である。
図5】本実施例に記載する超音波センサの近距離音場限界距離d(路程z)と伝搬減衰項d(z)との関係性を説明する説明図である。
図6】本実施例に記載する3層の場合の取得波形を説明する説明図である。
図7】本実施例に記載する超音波計測方法における計測評価フローを説明する説明図である。
図8】本実施例に記載する界面状態指標と機械特性との関係性を説明する説明図である。
図9】本実施例に記載する時間と界面状態指標との関係性を説明する説明図である。
図10】本実施例に記載する超音波計測装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を、図面を使用し、説明する。なお、各図面において、実質的に同一又は類似の構成には同一の符号を付し、説明が重複する場合には、重複する説明を省略する場合がある。
【実施例
【0017】
先ず、本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部の構造を説明する。
【0018】
図1は、本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部の構造を説明する説明図であり、(a)は軸が中空の場合を、(b)は軸が中実の場合を、示すものであり、例えば、タービンやポンプなどの嵌合部のような静的な界面(計測対象)を示す。
【0019】
(a)及び(b)のもいずれも、軸はディスクに軸に嵌合して一体化し、例えば、嵌合面(界面)を介して回転体として動力を伝達する構造物(工業製品)である。
【0020】
この時、界面は、軸の外表面やディスクの内表面の表面粗さの影響によって、隙間なくかみ合っている部位もあれば、空気又は油や水の液体などが介在している空間が発生している部位もある。
【0021】
本実施例では、この軸とディスクとの界面状態を、超音波による非破壊計測により評価する。
【0022】
なお、軸とディスクとの材料は、同種又は異種を問わないが、異種材料の場合は、材料間で音響インピーダンスの差による反射が発生するため、既知の材料密度と音速(音響インピーダンス)とによって補正する。なお、本実施例では、この補正は容易であるため、同種材料の場合を説明する。
【0023】
次に、本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部における超音波伝搬を模式的に説明する。
【0024】
図2は、本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部における超音波伝搬を模式的に説明する説明図である。
【0025】
図2に示すように、超音波は、隙間なくかみ合っている部位であれば、軸とディスクとの嵌合部の界面を透過する。一方、図2に示すように、軸とディスクとの嵌合部の界面に、空間が発生している部位では、非線形現象を考慮しなければ、超音波は、空気が介在している場合にはほぼ完全に反射し、液体が介在している場合にも9割以上が反射し、ほとんど透過しない。
【0026】
つまり、嵌合部では、真の接触面とも呼称される隙間なくかみ合っている部位(完全にかみ合っている部位)の面積が大きければ大きいほど、超音波は透過しやすくなり、かみ合っている部位の面積が小さければ小さいほど、超音波は透過しにくくなる。
【0027】
次に、本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部における超音波伝搬を説明する。
【0028】
図3は、本実施例に記載する軸とディスクとの嵌合部における超音波伝搬を説明する説明図であり、(a)は軸が中空の場合を、(b)は軸が中実の場合を、示す。
【0029】
基準となる超音波計測結果を取得することができない静的な界面において、超音波計測によって界面状態を評価する。
【0030】
図3(a)に示すように、軸とディスクとの2媒体であっても、中空の場合は、超音波は、軸とディスクとの2層(2層系)、及び、軸とディスクとの1つの界面1(嵌合部)を伝搬する。一方、図3(b)に示すように、軸とディスクとの2媒体であっても、中実の場合は、超音波は、軸とディスクとの3層(3層系)、及び、軸とディスクとの2つの界面1(嵌合部)及び界面2(嵌合部)を伝搬する。
【0031】
また、3媒体の嵌合部の場合には、超音波は、軸が中空の場合は3層、2つの界面を、軸が中実の場合は5層、4つの界面を伝搬することになる。したがって、超音波計測による界面状態評価は、多層系を想定することが重要である。
【0032】
ここで、超音波計測においてN層(Nは、2以上の自然数)となる嵌合部に、1層目の外表面から超音波センサにより超音波を入射し、N層目の底面までの距離に相当する受信波形(取得波形)を取得し、超音波センサの直下にあるN-1の界面状態を簡易的に評価することを考える。
【0033】
1層目と2層目との界面からの反射波のエコー強度をEと、2層目と3層目との界面からの反射波のエコー強度をEと、1≦k≦Nとして、k層目とk+1層目との界面からの反射波のエコー強度をEと、N層目の底面からの反射波のエコー強度をEと、定義し、定式化する。
【0034】
と、Eと、Eと、Eとは、ぞれぞれ、式1-1、式1-2、式1-3、式1-4のように表現することができる。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
【0037】
・・・
【0038】
【数3】
【0039】
・・・
【0040】
【数4】
【0041】
ここで、送信波強度をI、接触性の因子をC、装置因子をU、k層目とk+1層目との界面における反射率をX、透過率を1-X、k層目の厚さをzとし、伝搬距離による拡散減衰(拡散減衰項)の影響をd(z)、界面や底面における反射率の形状因子をSrkとした。
【0042】
なお、超音波が界面を透過する際に発生する散乱損失、粘性損失などの各種損失や、超音波が材料中を伝搬する際に発生する散乱減衰は無視する。
【0043】
また、d(z)は、材料由来による散乱減衰がない周波数を選定することができ、また、使用する超音波センサの近距離音場限界距離よりも十分に遠い距離では、理論的に求めることができる。
【0044】
また、各層の形状に起因する形状因子Sは、超音波センサの開口円に比較して、十分に大きな円柱の場合であり、平面と同等にみなせる場合であれば、S=1である。更に、曲率の影響がある場合であっても、嵌合部は円柱や球体などの単純形状であるため、理論的に求めることができる。
【0045】
また、共通項K(K=ICU)は、互いの式で割れば、つまり、E/Ek+1を演算すれば、消去することができる。
【0046】
つまり、E~Eのエコー強度を取得することができれば、未知数の数N-1個と同じ、N-1個のE/Ek+1に関する方程式となる。このため、各界面状態に密接に関係するXや1-Xを求めることができる。
【0047】
もちろん、Xは反射率と定義し、1-Xは透過率と定義しているため、求めた値は、真の接触面積比率(真実接触面積比率)を主要因とする値となる。なお、界面における空間を満たす空気や液体による影響は含むことになる。
【0048】
なお、上記した各種損失は、微小であるため無視し、散乱減衰をしないような周波数を選定することを前提条件とする。
【0049】
以下、真の接触面積(真実接触面積)と正比例関係にある1-Xを界面状態指標と呼称する。なお、界面状態指標は、超音波センサの設置位置直下の界面における真実接触面積比率に近い値となる。このため、トルクや引張などの外力と密接に関係し、嵌合部の品質管理やモニタリングに使用することができる。
【0050】
次に、本実施例に記載する3層の場合の超音波計測を模式的に説明する。
【0051】
図4は、本実施例に記載する3層の場合の超音波計測を模式的に説明する説明図である。
【0052】
ここで、具体的に、図4に示すように、超音波センサを計測対象がある構造物に接触させて、平行平板3層の界面状態を計測する場合を示す。
【0053】
なお、平行平板3層であるため、すべての形状因子Sは、Srk=1(k=1、2、3)である。また、超音波センサは、周波数が材料由来による散乱減衰がない周波数帯域の超音波センサである。また、1層目の厚さをzとし、2層目の厚さをzとし、3層目の厚さをzとする。更に、1層目と2層目との界面での反射率はX、透過率は1-Xであり、2層目と3層目との界面での反射率はX、透過率は1-Xである。
【0054】
次に、本実施例に記載する超音波センサの近距離音場限界距離d(路程z)と伝搬減衰項d(z)との関係性を説明する。
【0055】
図5は、本実施例に記載する超音波センサの近距離音場限界距離d(路程z)と伝搬減衰項d(z)との関係性を説明する説明図である。
【0056】
なお、図5の横軸は、超音波センサの近距離音場限界距離dを示す路程(時間×超音波の速度)z(例えば、mm)であり、図5の縦軸は、伝搬距離による拡散減衰項d(z)の影響を示す伝搬減衰項d(z)(例えば、V)である。
【0057】
超音波センサとしては、図5に示すように、超音波センサの波長(λ)と超音波センサの開口円の面積(A)とから求めることができる近距離音場限界距離(d=A/(4λ))が、1層目の厚さの1/2以下となる超音波センサを選択する。超音波センサの送受信強度は、図5に示すように、路程に応じて半減する傾向を示す。このため、例えば、d(z)=1と規格化し、各d(z)を、式2によって、求めることができる。
【0058】
【数5】
【0059】
そして、それぞれのエコー強度を拡散減衰項d(z)で補正した値を、それぞれE1’、E2’、E3’と定義すると、E1’、E2’、E3’は、ぞれぞれ、式3-1、式3-2、式3-3のように表現することができる。
E1’= E1/d(z1) = K・X1 ・・・式3-1
E2’= E2/d(z1+z2) = K・(1-X1)2・X2 ・・・式3-2
E3’= E3/d(z1+z2+z3)・Sr = K・(1-X1)2・(1-X2)2 ・・・式3-3
この式から2つの式を選択し、互いに除算して、共通項Kを消去する。
【0060】
そして、E12’=E2’/E1’、E23’=E3’/E2’と定義すると、未知数である1-Xと1-Xとの方程式となる。この方程式を解くと、式4-1、式4-2のようになる。
(1-X1) = -E12’/(2X2)+(4X2・E12’+E122)1/2/(2X2)・・・式4-1
(1-X2) = 1-1/2・(2+E23’-(E23’・(4+E23’))1/2)・・・式4-2
式4-1及び式4-2に基づいて、未知数である1-Xと1-Xと、を求める。具体的には、先ず、式4-2に基づいて、1-XをE23の値で示す。次に、E23の値で示されたXを使用し、式4-1に基づいて、1-XをE12及びE23の値で示す。
【0061】
つまり、1層目と2層目との界面からのエコー強度をEと、2層目と3層目との界面からのエコー強度をEと、3層目の底面からのエコー強度をEと、を計測することによって、1層目と2層目との界面における界面状態指標1-Xを、2層目と3層目との界面における界面状態指標1-Xを、求めることができる。
【0062】
そして、4層以上の場合であっても、3層の場合と同様に、先ず、底面の最近傍の層間の界面状態指標を求め、この値を、順次代入することにより、順次各層間の界面状態指標を求めることができる。これは、底面の最近傍の層間については、底面強度で割るため、底面の最近傍の層以外の層を透過した効果がキャンセルされるためである。
【0063】
このように、本実施例によれば、基準となる超音波計測結果を取得することができない静的な界面においても界面状態を評価することができる。
【0064】
次に、本実施例に記載する3層の場合の取得波形を説明する。
【0065】
図6は、本実施例に記載する3層の場合の取得波形を説明する説明図である。
【0066】
つまり、図6は、超音波センサによって計測した際に取得される取得波形である。なお、図6の横軸は、路程z(例えば、mm)であり、図5の縦軸は、受信強度E(例えば、V)である。
【0067】
図6に示すように、1層目と2層目との界面からのエコー強度をEと、2層目と3層目との界面からのエコー強度をEと、3層目の底面からのエコー強度をEと、が取得される。
【0068】
また、多重エコーも取得されるが、界面状態指標を求める際には、多重エコー強度は、エコー強度E、エコー強度E、エコー強度Eよりも極めて小さいため、基本的に無視してよい。
【0069】
具体的に、それぞれのエコー強度を拡散減衰項d(z)で補正するため、1層目の厚さを100mm、2層目の厚さを80mm、3層目の厚さを110mmとして、外表面上の異なる位置(計測点)No.1~No.4の4点において、超音波計測によって界面状態を評価する。
【0070】
超音波計測結果(エコー強度E、エコー強度E、エコー強度E)に基づいて、式3-1、式3-2、式3-3、式4-1、式4-2を使用することによって、界面状態を評価する。超音波計測結果に基づく界面状態の評価結果(界面状態指標1-X、界面状態指標1-X)を、表1に示す。なお、表1(3層の場合の界面状態指標の取得結果)では、エコー強度E、エコー強度E、エコー強度Eを%で表示している。
【0071】
【表1】
【0072】
なお、表1のNo.1に示すように、Eのエコー強度が取得されない場合には、2層目と3層目との界面状態指標1-Xは0(非接触)となる。
【0073】
また、表1のNo.2に示すように、Eのエコー強度が1%と小さく取得される場合であっても、2層目と3層目との界面状態指標1-Xは0.39と取得される。
【0074】
また、表1のNo.3及びNo.4に示すように、エコー強度E、エコー強度E、エコー強度Eの比が同一の場合には、それぞれの界面状態指標1-Xと界面状態指標1-Xとは同一となる。
【0075】
つまり、表1のNo.3及びNo.4のいずれの場合も、エコー強度E:エコー強度E:エコー強度Eは、5:4:2であり、それぞれの界面状態指標1-Xは0.86、界面状態指標1-Xは0.77と同一となる。
【0076】
このように、本実施例によれば、探傷器の設定要因、装置のゲインや不安定な接触性の要因による影響は、界面状態指標に影響していないことがわかる。
【0077】
そして、本実施例では、E(1≦k≦N-1)が0%とならない限り、ゼロ割は発生しないため、界面状態指標1-Xを必ず取得することができる。
【0078】
また、本実施例によれば、負荷や除荷が困難な焼き嵌めなどの静的な嵌合部を有する構造物であっても、安定して取得することができるエコー強度を使用し、基準となる超音波計測結果を取得することなく、界面状態指標1-Xを取得することができる。
【0079】
また、本実施例によれば、各層間で取得される数値レンジのばらつきが小さく、そして、界面状態指標1-Xは、0~1の範囲で示されるため、各層間の界面状態に対して、一律に評価することができる。
【0080】
また、本実施例によれば、超音波センサが接触する表面状態が一定でない場合であっても、繰り返して超音波を送受信する必要がなく、界面状態の評価時間を短縮することができる。
【0081】
このように、本実施例では、各界面(各層間)からのエコー強度と底面からのエコー強度についての方程式を立て、探傷器の設定要因、装置のゲインや不安定な接触性の要因をキャンセルして方程式を解くことにより、基準となるエコー強度を取得することなく、界面状態と密接に関わる界面状態指標を推定することができる。
【0082】
つまり、本実施例では、N層の構造物((N-1)の界面を有する構造物)の場合、片側の面(一方の面)から超音波を送受信し、(N-1)の界面からのエコー強度とN層を透過した後の底面からのエコー強度を使用し、拡散減衰項d(z)で補正されたエコー強度と界面状態指標との関係を示すN個の方程式を立てる。
【0083】
そして、接する上下2層において、下側(底面に近い側)のエコー強度を上側(底面に遠い側)のエコー強度で除算し、共通項Kを消去(探傷器の設定要因、装置のゲインや不安定な接触性の要因をキャンセル)し、N-1個の方程式を立てる。
【0084】
そして、先ず、N層とN-1層との界面について、界面状態指標を求め、求められた界面状態指標に基づいて、N-1層とN-2層との界面について、界面状態指標を求め、順次、N-2層とN-3層との界面、N-3層とN-4層との界面、・・・について、界面状態指標を求める。
【0085】
これにより、各界面における界面状態指標を求めることができ、各界面における界面状態を評価することができる。
【0086】
静的な嵌合部を有する構造物では、嵌合部の界面状態が、最大トルクや滑りなどの機械特性(物理量)に影響する。しかし、この嵌合部の界面状態は、直接的に計測(観察)することができないため、超音波計測により間接的に評価(推定)する必要がある。
【0087】
接触と非接触とを繰り返す動的な界面においては、基準となる界面が非接触時の超音波反射波強度を取得し、評価したい界面が接触時の超音波反射波強度を取得し、これらを比較することにより、界面状態を評価すればよい。しかし、静的な嵌合部を有する構造物では、この方法を使用することができない。
【0088】
そこで、本実施例では、外表面から超音波を送受信し、取得される波形データ(取得波形)に基づいて、各界面からの反射波のエコー強度と底面からの反射波のエコー強度とに対して、伝搬距離や形状因子に応じて、各エコー強度を補正し、方程式を解くことにより、界面状態指標を演算することができる。
【0089】
そして、界面状態指標をモニタリングすることにより、運用中の構造物の健全性を評価し、界面状態指標と機械特性とを関連付け、製造時における構造物の品質を管理することができる。
【0090】
次に、本実施例に記載する超音波計測方法における計測評価フローを説明する。
【0091】
図7は、本実施例に記載する超音波計測方法における計測評価フローを説明する説明図である。
【0092】
以下、本実施例に記載する超音波計測方法は、以下の工程(手順)を有する。
【0093】
S001で、超音波計測による界面状態の評価を開始する。
【0094】
S002で、構造物の外表面上の複数(全X点)の計測点を設定する。
【0095】
S003で、設定した計測点i(i≦X)に超音波センサを設置して、計測を開始する。
【0096】
S004で、先ず、超音波センサの送受信を開始する。なお、超音波を受信し、波形データを取得する際には、構造物の底面のエコー強度について、構造物の底面のエコー強度が最大となるように、超音波センサの接触性を調整することが好ましい。
【0097】
次に、後述する超音波計測装置の制御・処理部(コンピュータ)において、取得した波形データから各界面及び底面のエコー強度(波高値)E(1≦k≦N)を抽出する。
【0098】
次に、後述する超音波計測装置の制御・処理部において、各Eを補正する。この補正は、各層の厚さzと、各層の形状因子Srkと、各層の材料密度と音速(音響インピーダンス)と、を入力し、これらに基づいて実行される。
【0099】
次に、後述する超音波計測装置の制御・処理部において、取得されたN個のエコー強度Eについての方程式を解く。方程式を解く際には、上記した式1-1、式1-2、式1-3、式1-4を使用し、N個の方程式を立て、Ek-1/Eを演算し、共通項Kを消去し、N-1個の方程式を解き、界面状態指標1-Xk-1を求める。
【0100】
そして、求めた界面状態指標1-Xk-1(1≦k≦N)を出力する。
【0101】
S005で、計測点iの計測が終了する。
【0102】
S006で、設定した全計測点で計測が終了(i=X)したか否かを判断する。全計測点の計測が終了していればS007へ進み、全計測点の計測が終了していなければS003へ戻り、S004及びS005を繰り返す。
【0103】
S007で、必要に応じて、超音波センサの直下のごく限られた界面状態しか評価することができないため、計測点の数を多くとり、平均や偏差を演算することが好ましい。
【0104】
S008で、例えば、後述する図8に示すように、界面状態指標と機械特性とを関連付け、製造時における構造物の品質を管理してもよい。また、例えば、後述する図9に示すように、界面状態指標の時間変化をモニタリングし、運用中の構造物の健全性を評価してもよい。
【0105】
S009で、超音波計測による界面状態の評価を終了する。
【0106】
つまり、本実施例に記載する超音波計測方法は、N層からなるN-1の静的な界面を有する構造物の界面状態を評価する。
【0107】
そして、この超音波計測方法は、構造物の外表面から超音波を送受信し、取得された波形データに基づいて、N-1の各界面から構造物の外表面までに相当する路程における反射波のエコー強度と、N層を透過した後のN層の底面から構造物の外表面までに相当する路程における反射波のエコー強度と、を抽出する工程と、このような各界面から反射波のエコー強度とこのような底面から反射波のエコー強度とを、それぞれ超音波の伝搬距離に依存する拡散減衰項で除算し、除算されたエコー強度と、真実接触面積と正比例関係にある界面状態指標と、の関係を示すN個の方程式を立て、下側の除算されたエコー強度を上側の除算されたエコー強度で除算し、共通項を消去し、エコー強度と界面状態指標との関係を示すN-1個の方程式を解き、界面状態指標をエコー強度で示し、各界面における界面状態指標を演算する工程と、演算された各界面における界面状態指標に基づいて、各界面における界面状態を評価する工程と、を有する。
【0108】
これにより、基準となる超音波計測結果を取得することができない静的な界面においても界面状態を評価することができる。
【0109】
次に、本実施例に記載する界面状態指標と機械特性との関係性を説明する。図8は、本実施例に記載する界面状態指標と機械特性との関係性を説明する説明図である。図8に示すように、構造物における事前に取得した界面状態指標と機械特性との関係性に基づいて、求められた界面状態指標と構造物の機械特性とを関連付けることができ、これを、製造時における構造物の品質に使用することができる。つまり、本実施例では、求められた各界面の界面状態指標と構造物の機械特性とを関連付け、求められた各界面の界面状態指標を、製造時における構造物の品質管理に使用する。
【0110】
次に、本実施例に記載する時間と界面状態指標との関係性を説明する。図9は、本実施例に記載する時間と界面状態指標との関係性を説明する説明図である。図9に示すように、構造部における界面状態指標の時間変化をモニタリングすることができ、これを、運用中の構造物の健全性の評価に使用することができる。つまり、本実施例では、求められた各界面の界面状態指標を時間変化(計測日時)に基づいてモニタリングし、求められた各界面の界面状態指標を運用中の構造物の健全性の評価に使用する。
【0111】
次に、本実施例に記載する超音波計測装置を説明する。
【0112】
図10は、本実施例に記載する超音波計測装置を説明する説明図である。
【0113】
本実施例に記載する超音波計測装置は、構造物(被検体)3に対して、超音波を送受信する超音波センサ2を有する計測部1と、超音波センサ2が発生する信号を送受信し、超音波センサ2が発生する信号と反射波の信号とを処理する送受信部(パルサ・レシーバ)4と、制御・処理部(コンピュータ)5と、表示部6と、入力装置7と、を有する。
【0114】
なお、計測部1は、超音波センサ2と、超音波センサ2を把持する把持機構部(図示せず)と、を有する。
【0115】
送受信部4は、制御・処理部5の記憶装置51に格納される計測条件(送信パルスの形状、電圧、繰り返し周波数、増幅値など)の値に基づいて、超音波を送受信する。なお、これらは、入力装置7から入力されてもよい。
【0116】
なお、送受信部4における受信波は、増幅やA/D変換などがされ、波形データとして取得され、処理・制御部5の記憶装置51に格納される。
【0117】
制御・処理部5は、記憶装置51、処理装置52、送受信制御装置53を有する。
【0118】
記憶装置51は、計測評価用のデータベース(DB)と状態管理用のデータベース(DB)とを有する。
【0119】
計測評価用のデータベースには、計測点、計測条件、設定した層の数と層の厚さ、エコー強度の補正に必要となる形状因子、補正項目、波形データ、設定した層の数に合わせて界面状態指標を演算する方程式を調整するアルゴリズムなどが格納される。
【0120】
状態管理用のデータベースには、計測結果に基づいて演算した界面状態指標が、計測日時、計測点、機械特性、と関連付けられ、格納される。
【0121】
処理装置52は、受信波形からエコー強度を抽出し、格納されるアルゴリズムから抽出したエコー強度から界面状態指標を演算する。なお、拡散減衰項d(z)の補正においては、構造物3の形状情報として、層の厚さを事前に入力してもよいし、受信波形から必要に応じて受信波の位置を評価し、層の厚さを評価し入力してもよい。
【0122】
送受信制御装置53は、送信パルスの形状、電圧、パルス幅、繰り返し周波数、増幅値、サンプリング周波数、データ保存タイミングなどを制御する。
【0123】
表示部6は、超音波の送受信の制御値、評価条件に必要な値、計測した生波形、界面状態指標の演算結果、図8図9に示すような界面状態指標と機械特性との関係性(グラフ)や時間(計測日時)と界面状態指標との関係性(グラフ)を表示する。また、表示部6は、表1に示すような超音波計測結果に基づく界面状態の評価結果(表)を表示する。
【0124】
入力装置7は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの一般的な入力手段(入力機器)である。
【0125】
なお、超音波計測装置は、必ずしも必須ではないが、超音波センサ2を走査するためのスキャナ8を有する場合がある。また、制御・処理部5には、スキャナ8を制御するスキャナ制御装置54を有する。
【0126】
なお、スキャナ8は、超音波センサ2を固定し、走査し、可動させる。スキャナ制御装置54は、処理・制御部5に格納される走査条件に基づいて、設定されるタイミング及び範囲で、超音波センサ2や構造物3を走査し、可動させ、超音波センサ2と構造物3との相対的な位置関係を変化させる。
【0127】
なお、本発明は下記する実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、下記する実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
【0128】
また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。
【符号の説明】
【0129】
1・・・計測部、2・・・超音波センサ、3・・・構造物、4・・・送受信部、5・・・制御・処理部、6・・・表示部、7・・・入力装置、8・・・スキャナ、51・・・記憶装置、52・・・処理装置、53・・・送受信制御装置、54・・・スキャナ制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10