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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/785 20060101AFI20241111BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H03K17/785
H01L31/12 C
H01L31/12 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021153093
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023044950
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳
(72)【発明者】
【氏名】堀 将彦
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165621(JP,A)
【文献】特開2021-089971(JP,A)
【文献】特開2021-125670(JP,A)
【文献】特開2005-167361(JP,A)
【文献】特開平11-026806(JP,A)
【文献】特開2003-289108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/785
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面上に設けられ、ソースが共通に接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETと、
前記基板の前記第1面上に設けられソースが共通に接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETと、
前記基板の前記第1面上に設けられ、前記第1のMOSFET、前記第2のMOSFET、前記第3のMOSFET、及び前記第4のMOSFETに接続された受光素子と、
前記受光素子上に設けられた発光素子と
を備え
前記第1のMOSFETと、前記第3のMOSFETとは、前記受光素子を挟んで対称に配置され、
前記第2のMOSFETと、前記第4のMOSFETとは、前記受光素子を挟んで対称に配置される、
半導体装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板の第1面上に設けられ、ソースが共通に接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETと、
前記基板の前記第1面上に設けられソースが共通に接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETと、
前記基板の前記第1面上に設けられ、前記第1のMOSFET、前記第2のMOSFET、前記第3のMOSFET、及び前記第4のMOSFETに接続された受光素子と、
前記受光素子上に設けられた発光素子と
を備え、
前記第1のMOSFETのゲートと前記受光素子とを接続する第1のワイヤの長さと、前記第2のMOSFETのゲートと前記受光素子とを接続する第2のワイヤの長さと、前記第3のMOSFETのゲートと前記受光素子とを接続する第3のワイヤの長さと、前記第4のMOSFETのゲートと前記受光素子とを接続する第4のワイヤの長さとは同じである、
導体装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板の第1面上に設けられ、ソースが共通に接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETと、
前記基板の前記第1面上に設けられソースが共通に接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETと、
前記基板の前記第1面上に設けられ、前記第1のMOSFET、前記第2のMOSFET、前記第3のMOSFET、及び前記第4のMOSFETに接続された受光素子と、
前記受光素子上に設けられた発光素子と
を備え、
前記基板の前記第1面上に設けられ、前記基板に平行な第1方向に延伸し、前記基板に平行であり且つ前記第1方向と交差する第2方向に並んで配置された第1配線、第2配線、及び第3配線を更に備え、
前記第1のMOSFET及び前記第3のMOSFETは、前記第1方向に並んで、前記第1配線と前記第2配線との間に配置され、
前記第2のMOSFET及び前記第4のMOSFETは、前記第1方向に並んで、前記第2配線と前記第3配線との間に配置される、
導体装置。
【請求項4】
前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETを介して、第1の信号が伝送され、
前記第3のMOSFET及び前記第4のMOSFETを介して、第2の信号が伝送される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のMOSFETと、前記第2のMOSFETとは、前記第2配線を挟んで対称に配置され、
前記第3のMOSFETと、前記第4のMOSFETとは、前記第2配線を挟んで対称に配置される、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のMOSFETのソースと前記第1配線とを接続する第5のワイヤの長さと、前記第2のMOSFETのソースと前記第3配線とを接続する第6のワイヤの長さと、前記第3のMOSFETのソースと前記第1配線とを接続する第7のワイヤの長さと、前記第4のMOSFETのソースと前記第3配線とを接続する第8のワイヤの長さと、は同じである、
請求項またはに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、フォトリレー装置が知られている。フォトリレー装置は、発光素子及び受光素子を含む半導体リレー装置である。フォトリレー装置は、無接点のリレーであり、交流信号または直流信号の伝送に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6445940号公報
【文献】特開2013-120940号公報
【文献】特開2004-103654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
差動伝送できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、基板と、基板の第1面上に設けられ、ソースが共通に接続された第1のMOSFET及び第2のMOSFETと、基板の第1面上に設けられソースが共通に接続された第3のMOSFET及び第4のMOSFETと、基板の第1面上に設けられ、第1のMOSFET、第2のMOSFET、第3のMOSFET、及び第4のMOSFETに接続された受光素子と、受光素子上に設けられた発光素子と、を含む。第1のMOSFETと、第3のMOSFETとは、受光素子を挟んで対称に配置される。第2のMOSFETと、第4のMOSFETとは、受光素子を挟んで対称に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るフォトリレー装置の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るフォトリレー装置の平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るフォトリレー装置の断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るフォトリレー装置の回路図である。
図5図5は、フォトリレー装置の適用例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係るフォトリレー装置の斜視図である。
図7図7は、第2実施形態に係るフォトリレー装置の平面図である。
図8図8は、第2実施形態に係るフォトリレー装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一符号を付され、繰り返しの説明は省略される場合がある。また、ある実施形態についての記述は全て、明示的に又は自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0008】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある第1要素が別の第2要素に「接続されている」とは、第1要素が直接的又は常時あるいは選択的に導電性となる要素を介して第2要素に接続されていることを含む。
【0009】
1.第1実施形態
第1実施形態について、説明する。本実施形態では、半導体装置の例として、フォトリレー装置について説明する。
【0010】
1.1 全体構成
まず、図1図3を参照して、フォトリレー装置1の全体構成の一例について説明する。図1は、フォトリレー装置1の斜視図である。図2は、フォトリレー装置1の平面図である。図3は、フォトリレー装置1の断面図である。以下の説明では、フォトリレー装置1の基板10に平行な方向をX方向とする。基板10に平行であり、X方向と交差する方向をY方向とする。基板10に垂直であり、X方向及びY方向に交差する方向をZ方向とする。なお、図1及び図2では、封止樹脂が省略されている。
【0011】
図1図3に示すように、フォトリレー装置1は、基板10、4つのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)20a、20b、20c、及び20d、ダイパッド30、受光素子40、接着層50、発光素子60、電極70及び71、入力端子80及び81、出力端子82a、82b、82c、82d、ワイヤW1~W14、並びに封止樹脂100を含む。図2に示すように、本実施形態では、4つのMOSFET20a、20b、20c、及び20d、ダイパッド30、受光素子40、発光素子60、及び電極70及び71は、Y方向に延伸する中心軸C1及びX方向の延伸する中心軸C2に対して対称(シンメトリ)となるように配置されている。中心軸C1及びC2は、例えば、基板10のZ方向を向いた面S1の中心を通過する。
【0012】
基板10は、例えば、ポリイミドを用いたフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。なお、基板10は、フレキシブル基板に限定されない。基板10は、例えば、X方向及びY方向に延伸する板状の形状を有する。
【0013】
MOSFET20a~20dは、例えばエンハンスメント型のnチャネルMOSトランジスタである。ソース・コモン接続されたMOSFET20a及び20bの組は、第1の伝送経路の制御に用いられる。同様に、ソース・コモン接続されたMOSFET20c及び20dの組は、第2の伝送経路の制御に用いられる。MOSFET20a及び20bがオン状態の場合、フォトリレー装置1は、第1の伝送経路において、信号Spを伝送する。MOSFET20c及び20dがオン状態の場合、フォトリレー装置1は、第2の伝送経路において、信号Snを伝送する。信号Snは、例えば信号Spの反転信号である。なお、本実施形態では、フォトリレー装置1は、2つの伝送経路に対応する4つのMOSFET20a~20dを含む場合について説明するが、これに限定されない。フォトリレー装置1は、2つの伝送経路に対応する2つのMOSFETを含んでいてもよい。すなわち、1つの伝送経路に対して1つのMOSFETが設けられていてもよい。
【0014】
MOSFET20a(以下、「MOS1」とも表記する)は、電極21a、22a、及び23aを含む。電極21aは、MOSFET20aのドレイン電極として機能する。電極22aは、MOSFET20aのソース電極として機能する。電極23aは、MOSFET20aのゲート電極として機能する。電極21aは、基板10の面S1上に設けられる。すなわち、電極21aは、基板10の面S1上に設けられたダイパッドである。電極21a上に、MOSFET20aが設けられている。MOSFET20aの上面、すなわち、電極21aと接する面と対向する面には、電極22a及び電極23aが設けられている。
【0015】
MOSFET20b(以下、「MOS2」とも表記する)は、例えばMOSFET20aと同じ構造を有する。例えば、MOSFET20bは、中心軸C1に対して、MOSFET20aと対称となるように配置されている。
【0016】
MOSFET20bは、電極21b、22b、及び23bを含む。電極21bは、MOSFET20bのドレイン電極として機能する。電極22bは、MOSFET20bのソース電極として機能する。電極23bは、MOSFET20bのゲート電極として機能する。電極21bは、基板10の面S1上に設けられる。すなわち、電極21bは、基板10の面S1上に設けられたダイパッドである。電極21b上に、MOSFET20bが設けられている。MOSFET20bの上面、すなわち、電極21bと接する面と対向する面には、電極22b及び電極23bが設けられている。例えば、電極22b及び電極23bは、中心軸C1に対して、MOSFET20aの電極22a及び電極23aと対称となるように配置されている。
【0017】
MOSFET20aの電極22aとMOSFET20bの電極22bとは、ワイヤW1及びW2を介して、共通に接続されている。すなわち、MOSFET20aのソースとMOSFET20bのソースとが共通に接続されている。なお、ワイヤの本数は、1本以上であればよい。
【0018】
MOSFET20c(以下、「MOS3」とも表記する)は、例えばMOSFET20aと同じ構造を有する。例えば、MOSFET20cは、中心軸C2に対して、MOSFET20aと対称となるように配置されている。換言すれば、MOSFET20a及び20cは、受光素子40を挟んで、対称となるように配置されている。
【0019】
MOSFET20cは、電極21c、22c、及び23cを含む。電極21cは、MOSFET20cのドレイン電極として機能する。電極22cは、MOSFET20cのソース電極として機能する。電極23cは、MOSFET20cのゲート電極として機能する。電極21cは、基板10の面S1上に設けられる。すなわち、電極21cは、基板10の面S1上に設けられたダイパッドである。電極21c上に、MOSFET20cが設けられている。MOSFET20cの上面、すなわち、電極21cと接する面と対向する面には、電極22c及び電極23cが設けられている。例えば、電極22c及び電極23cは、中心軸C2に対して、MOSFET20aの電極22a及び電極23aと対称となるように配置されている。
【0020】
MOSFET20d(以下、「MOS4」とも表記する)は、例えばMOSFET20aと同じ構造を有する。例えば、MOSFET20dは、中心軸C1に対して、MOSFET20cと対称となるように配置されている。また、MOSFET20dは、中心軸C2に対して、MOSFET20bと対称となるように配置されている。換言すれば、MOSFET20b及び20dは、受光素子40を挟んで、対称となるように配置されている。
【0021】
MOSFET20dは、電極21d、22d、及び23dを含む。電極21dは、MOSFET20dのドレイン電極として機能する。電極22dは、MOSFET20dのソース電極として機能する。電極23dは、MOSFET20dのゲート電極として機能する。電極21dは、基板10の面S1上に設けられる。すなわち、電極21dは、基板10の面S1上に設けられたダイパッドである。電極21d上に、MOSFET20dが設けられている。MOSFET20dの上面、すなわち、電極21dと接する面と対向する面には、電極22d及び電極23dが設けられている。例えば、電極22d及び電極23dは、中心軸C1に対して、MOSFET20cの電極22c及び電極23cと対称となるように配置されている。また、電極22d及び電極23dは、中心軸C2に対して、MOSFET20bの電極22b及び電極23bと対称となるように配置されている。
【0022】
MOSFET20cの電極22cとMOSFET20dの電極22dとは、ワイヤW3及びW4を介して、共通に接続されている。すなわち、MOSFET20cのソースとMOSFET20dのソースとが共通に接続されている。なお、ワイヤの本数は、1本以上であればよい。
【0023】
ダイパッド30は、基板10の面S1上に設けられる。例えば、ダイパッド30の中心位置は、中心軸C1と中心軸C2との交点と一致し得る。ダイパッド30は、導電体であってもよいし、絶縁材料であってもよいし、半導体材料であってもよい。ダイパッド30は、X方向及びY方向に延伸する板状の形状を有する。ダイパッド30は、Y方向において、MOSFET20aとMOSFET20cとの間、及びMOSFET20b及びMOSFET20dとの間に配置されている。
【0024】
受光素子40は、PDA(Photo Diode Array)、またはフォトトランジスタ等である。以下では、受光素子40がPDAである場合について説明する。受光素子40は、ダイパッド30の上に設けられている。例えば、受光素子40の中心位置は、中心軸C1と中心軸C2との交点と一致し得る。受光素子40は、上面、すなわち、ダイパッド30に接する面と対向するZ方向を向いた面に、受光面を有する。受光素子40は、電極41~48を含む。電極41~48は、受光素子40の上面に設けられている。電極41~44は、X方向に並んで配置されている。電極42は、電極41とX方向に隣り合って配置される。電極43は、中心軸C1に対して、電極41と対称となるように配置されている。電極44は、中心軸C1に対して、電極42と対称となるように配置されている。換言すれば、例えば、電極41及び42は、発光素子60を挟んで電極43及び44と対称となるように配置されている。電極45~48は、X方向に並んで配置されている。電極45は、中心軸C2に対して、電極41と対称となるように配置されている。電極46は、中心軸C2に対して、電極42と対称となるように配置されている。電極47は、中心軸C1に対して、電極45と対称であり、且つ中心軸C2に対して、電極43と対称となるように配置されている。電極48は、中心軸C1に対して、電極46と対称であり、且つ中心軸C2に対して、電極44と対称となるように配置されている。すなわち、電極45及び46は、発光素子60を挟んで電極47及び48と対称となるように配置されている。
【0025】
例えば、電極41、43、45、及び47は、受光素子40内において共通に接続され、アノード電極またはカソード電極のいずれか一方として機能する。また、例えば、電極42、44、46、48は、受光素子40内において共通に接続され、アノード電極またはカソード電極の他方として機能する。電極41は、ワイヤW5を介して、MOSFET20aの電極22aに接続される。電極42は、ワイヤW6を介して、MOSFET20aの電極23aに接続される。電極43は、ワイヤW7を介して、MOSFET20bの電極22bに接続される。電極44は、ワイヤW8を介して、MOSFET20bの電極23bに接続される。電極45は、ワイヤW9を介して、MOSFET20cの電極22cに接続される。電極46は、ワイヤW10を介して、MOSFET20cの電極23cに接続される。電極47は、ワイヤW11を介して、MOSFET20dの電極22dに接続される。電極48は、ワイヤW12を介して、MOSFET20dの電極23dに接続される。
【0026】
例えば、ワイヤW5、W7、W9、及びW11の長さは、概略同じである。また、例えば、ワイヤW6、W8、W10、及びW12の長さは、概略同じである。概略同じとは、製造ばらつきによる誤差を含み得る。
【0027】
発光素子60は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。発光素子60は、接着層50を介して、受光素子40の上面(受光面)の上に配置される。例えば、発光素子60の中心位置は、中心軸C1と中心軸C2との交点と一致し得る。なお、接着層50には、透光性を有する絶縁材料が用いられる。発光素子60の光の照射面は、接着層50を介して、受光素子40の受光面、すなわち、受光素子40の上面と向かい合う。発光素子60は、電極61及び62を含む。電極61及び62は、発光素子60の上面、すなわち、受光素子40と向かい合う面と対向するZ方向を向いた面に設けられる。電極61及び62は、例えば、中心軸C2上において、中心軸C1に対して対象となる位置に配置される。電極61及び62は、いずれか一方が発光素子60のアノード電極であり、他方が発光素子60のカソード電極である。
【0028】
電極70及び71は、基板10の面S1上に設けられたダイパッドである。電極70及び71は、例えば、中心軸C2上において、中心軸C1に対して対象となるように配置される。そして、例えば、X方向において、電極70と電極71との間に、ダイパッド30が配置されている。電極70は、ワイヤW13を介して、発光素子60の電極61に接続される。電極71は、ワイヤW14を介して、発光素子60の電極62に接続される。ワイヤW13及びW14の長さは、概略同じである。
【0029】
入力端子80及び81、並びに出力端子82a、82b、82c、及び82dは、基板10の面S1と対向する面S2上に設けられる。
【0030】
入力端子80及び81は、例えば、外部に設けられた図示せぬ直流電源に接続される。入力端子80及び81には、フォトリレー装置1を制御する(発光素子60を発光させる)ための電圧が印加される。図3に示すように、入力端子80は、基板10を貫通する導電体85を介して電極70に電気的に接続される。同様に、入力端子81は、基板10を貫通する導電体86を介して電極71に電気的に接続される。
【0031】
出力端子82a~82dは、外部回路の信号線91~94にそれぞれ接続される。出力端子82a及び82bは、差動伝送における第1の伝送経路に対応する出力端子の組であり、出力端子82c及び82dは、第2の伝送経路に対応する出力端子の組である。
【0032】
図3に示すように、出力端子82aは、基板10を貫通する導電体87aを介して、MOSFET20aの電極21aと電気的に接続される。同様に、出力端子82bは、MOSFET20bの電極21bに電気的に接続される。MOSFET20a及び20bがオン状態の場合、出力端子82a及び82bは電気的に接続される。また、出力端子82cは、基板10を貫通する導電体87cを介して、MOSFET20cの電極21cと電気的に接続される。同様に、出力端子82dは、MOSFET20dの電極21dに電気的に接続される。MOSFET20c及び20dがオン状態の場合、出力端子82c及び82dは電気的に接続される。
【0033】
ワイヤW1~W14は、導電材料により構成される。なお、ワイヤW1~W14は、ワイヤボンディングにより形成されてもよいし、フレキシブル基板の配線であってもよい。
【0034】
図3に示すように、封止樹脂100は、基板10の面S1の上において、MOSFET20a~20d、受光素子40、発光素子60、電極70及び71、並びにワイヤW1~W14を覆い保護する。なお、封止樹脂100は、複数の樹脂材を含んでいてもよい。例えば、封止樹脂100は、発光素子60を被覆する第1封止樹脂と基板10の面S1の上方全体を被覆する第2封止樹脂により構成されていてもよい。
【0035】
1.2 フォトリレー装置の回路構成
次に、図4を参照して、フォトリレー装置1の回路構成の一例について説明する。図4は、フォトリレー装置1の回路図である。
【0036】
図4に示すように、発光素子60は入力端子80及び81に接続される。入力端子80及び81には、フォトリレー装置1を制御するための入力電圧が印加される。
【0037】
受光素子40は、例えば、制御回路40aと、直列に接続された数個~数十個のフォトダイオード40bとを含むフォトダイオードアレイである。直列接続された複数のフォトダイオード40bの両端は、制御回路40aに接続される。
【0038】
MOSFET20a~20dのゲートは、受光素子40のアノードに共通に接続される。MOSFET20a~20dのソースは、受光素子40のカソードに共通に接続される。MOSFET20aのドレインは、出力端子82aに接続される。MOSFET20bのドレインは、出力端子82bに接続される。MOSFET20cのドレインは、出力端子82cに接続される。MOSFET20dのドレインは、出力端子82dに接続される。
【0039】
入力側の発光素子60がオン状態(発光状態)になると、MOSFET20a~20dを駆動する受光素子40は、発光素子60から受光して、例えば、7V~10数Vの電圧を発生させる。これにより、MOSFET20a~20dがオン状態とされる。これにより、MOSFET20a及び20bを介して、出力端子82a及び82bが電気的に接続される。また、MOSFET20c及び20dを介して、出力端子82c及び82dが電気的に接続される。他方で、発光素子60がオフ状態となると、MOSFET20a~20dはオフ状態とされる。これにより、出力端子82a及び82bは、電気的に非接続状態とされる。また、出力端子82c及び82dは、電気的に非接続状態とされる。
【0040】
1.3 フォトリレー装置の適用例
次に、図5を参照して、フォトリレー装置1の適用例について説明する。図5は、フォトリレー装置の適用例を示す図である。
【0041】
図5に示すように、フォトリレー装置1は、差動伝送に対応するドライバ及びレシーバに接続され、入力電圧Vinが印加される。より具体的には、例えば、フォトリレー装置1の入力端子80は接地され(接地電圧配線に接続され)、入力端子81には、入力電圧Vinが印加される。フォトリレー装置1の出力端子82aは、信号線91を介して、ドライバの端子P(例えば非反転出力端子)に接続され、出力端子82cは、信号線93を介して、ドライバの端子N(例えば反転出力端子)に接続される。そして、フォトリレー装置1の出力端子82bは、信号線92を介して、レシーバの端子P(例えば非反転入力端子)に接続され、出力端子82dは、信号線94を介して、レシーバの端子N(例えば反転入力端子)に接続される。
【0042】
1.4 本実施形態に係る効果
例えば、1つの受光素子と2つのMOSFETを含むシングルエンドに対応したフォトリレー装置を、高周波伝送を行う差動伝送信号に用いる場合、2つの伝送経路に、フォトリレー装置が1つずつ設けられる。この場合、実装上の制約があるため、フォトリレー装置を2つ配置するには比較的大きな実装距離及びスペースが必要となる。このため、実装面積が大きくなり、コストは高くなる。
【0043】
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、フォトリレー装置1は、受光素子40、発光素子60、差動伝送の一方の伝送経路に対応した出力端子82a及び82b並びにMOSFET20a及び20bと、他方の伝送経路に対応した出力端子82c及び82d並びにMOSFET20c及び20dとを含む。これにより、フォトリレー装置1は、差動伝送に対応できる。
【0044】
また、本実施形態に係る構成であれば、1つの受光素子40により、4つのMOSFET20a~20dを制御できる。すなわち、1つの受光素子40により2つの伝送経路を制御できる。したがって、シングルエンド対応のフォトリレー装置を2個使う場合と比較すると、部品点数(受光素子及び発光素子の個数)を削減できる。よって、実装コストを低減できる。更に、1パッケージ化により実装面積を低減できる。また、周辺部品との実装制約、周辺配線との配置制約が少なくなるため、利便性を向上できる。
【0045】
更に、本実施形態に係る構成であれば、MOSFET20a、20b、20c、及び20dを受光素子40に対して対称に配置できる。これにより、MOSFET20a、20b、20c、及び20dの各々の電極と、受光素子40とを接続するワイヤの長さのばらつきを低減できる。このため、オープンスタブのばらつきを低減できる。よって、フォトリレー装置1の伝送特性を改善できる。
【0046】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0047】
2.1 全体構成
図6図8を参照して、フォトリレー装置1の全体構成の一例について説明する。図6は、フォトリレー装置1の斜視図である。図7は、フォトリレー装置1の平面図である。図8は、フォトリレー装置1の断面図である。なお、図6及び図7では、封止樹脂が省略されている。
【0048】
図6図8に示すように、フォトリレー装置1は、基板10、4つのMOSFET20a、20b、20c、及び20d、ダイパッド30、受光素子40、接着層50、発光素子60、電極70及び71、入力端子80及び81、出力端子82a、82b、82c、82d、ワイヤW21~W38、封止樹脂100、並びに補助配線110、111、及び112を含む。図7に示すように、本実施形態では、MOSFET20a及び20bは、Y方向に延伸する中心軸C1に対して対称となるように配置されている。同様に、MOSFET20c及び20dは、中心軸C1に対して対称となるように配置されている。
【0049】
本実施形態では、基板10の面S1上に、Y方向に延伸する3つの補助配線110~112がX方向に並んで配置されている。補助配線110~112の長さは、それぞれ異なっていてもよい。なお、オープンスタブのばらつき抑制のため、補助配線110及び112の長さは同じである方が好ましい。更に、不要な配線によるオープンスタブの影響を低減するため、補助配線110、111、112の両端において、ワイヤ接続位置から端部までの長さはより短い方が好ましい。補助配線110~112は、例えば銅を含み得る。例えば、補助配線111は、中心軸C1上に、受光素子40及び発光素子60と並んで配置されている。補助配線110及び112は、補助配線111(中心軸C1)に対して、対称となるように配置されている。
【0050】
補助配線110と補助配線111との間に、MOSFET20a及び20cがY方向に並んで配置されている。例えば、MOSFET20aよりもMOSFET20cの方が、受光素子40及び発光素子60から遠ざかる位置に配置される。補助配線111と補助配線112との間に、MOSFET20b及び20dがY方向に並んで配置されている。例えば、MOSFET20bよりもMOSFET20dの方が、受光素子40及び発光素子60から遠ざかる位置に配置される。すなわち、MOSFET20aは、補助配線111(中心軸C1)に対して、MOSFET20bと対称となるように配置されている。また、MOSFET20cは、補助配線111(中心軸C1)に対して、MOSFET20dと対称となるように配置されている。
【0051】
MOSFET20aの電極22aとMOSFET20bの電極22bとは、ワイヤW21及びW22を介して、共通に接続されている。MOSFET20aの電極22aは、ワイヤW25を介して、補助配線110に接続される。MOSFET20aの電極23aは、ワイヤW26を介して、補助配線111に接続される。MOSFET20bの電極22bは、ワイヤW27を介して、補助配線112に接続される。MOSFET20bの電極23bは、ワイヤW28を介して、補助配線111に接続される。
【0052】
MOSFET20cの電極22cとMOSFET20dの電極22dとは、ワイヤW23及びW24を介して、共通に接続されている。MOSFET20cの電極22cは、ワイヤW29を介して、補助配線110に接続される。MOSFET20cの電極23cは、ワイヤW30を介して、補助配線111に接続される。MOSFET20dの電極22dは、ワイヤW31を介して、補助配線112に接続される。MOSFET20dの電極23dは、ワイヤW32を介して、補助配線111に接続される。
【0053】
例えば、ワイヤW25、W27、W29、及びW31の長さは、概略同じである。また、例えば、ワイヤW26、W28、W30、及びW32の長さは、概略同じである。
【0054】
受光素子40は、電極41~44を含む。電極41~44は、受光素子40の上面に設けられている。電極41~44は、X方向に並んで配置されている。電極42は、電極41とX方向に隣り合って配置される。電極43は、中心軸C1に対して、電極41と対称となるように配置されている。電極44は、中心軸C1に対して、電極42と対称となるように配置されている。
【0055】
例えば、電極41及び43は、受光素子40内において共通に接続されて、アノード電極またはカソード電極のいずれか一方として機能する。また、例えば、電極42及び44は、受光素子40内において共通に接続され、アノード電極またはカソード電極の他方として機能する。電極41は、ワイヤW33を介して、補助配線110に接続される。電極42は、ワイヤW34を介して、補助配線111に接続される。電極43は、ワイヤW35を介して、補助配線112に接続される。電極44は、ワイヤW36を介して、補助配線111に接続される。
【0056】
例えば、ワイヤW33及びW35の長さは、概略同じである。また、例えば、ワイヤW34及びW36の長さは、概略同じである。
【0057】
発光素子60は、接着層50を介して、受光素子40の上面(受光面)の上に配置される。電極61及び62は、例えば、中心軸C1に対して対象となる位置に配置される。電極61及び62は、いずれか一方が発光素子60のアノード電極であり、他方が発光素子60のカソード電極である。
【0058】
電極70及び71は、中心軸C1に対して対象となるように配置される。そして、例えば、X方向において、電極70と電極71との間に、ダイパッド30が配置されている。電極70は、ワイヤW37を介して、発光素子60の電極61に接続される。電極71は、ワイヤW38を介して、発光素子60の電極62に接続される。ワイヤW37及びW38の長さは、概略同じである。
【0059】
2.2 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
また、本実施形態に係る構成であれば、フォトリレー装置1は、補助配線110~112を含む。補助配線110~112を介して、4つのMOSFET20a~20dと、受光素子40とを接続することにより、MOSFET20a~20dと受光素子40とを接続するワイヤの長さを短くできる。よって、各ワイヤの接触の可能性を低減できる。更に、ワイヤ同士の電磁結合も抑制できる。従って、フォトリレー装置1の信頼性を向上できる。
【0061】
更に、本実施形態に係る構成であれば、MOSFET20aとMOSFET20bとを補助配線111に対して対称に配置できる。これにより、MOSFET20aの電極22a及び23aに接続されるワイヤとMOSFET20bの電極22b及び23bに接続されるワイヤの長さのばらつきを低減できる。同様に、MOSFET20cとMOSFET20dとを補助配線111に対して対称に配置できる。これにより、MOSFET20cの電極22c及び23cに接続されるワイヤとMOSFET20dの電極22d及び23dに接続されるワイヤの長さのばらつきを低減できる。このため、オープンスタブのばらつきを低減できる。よって、フォトリレー装置1の伝送特性を改善できる。
【0062】
3.その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…フォトリレー装置、10…基板、20a、20b、20c、20d…MOSFET、21a、21b、21c、21d、22a、22b、22c、22d、23a、23b、23c、23d、41~48、61、62、70、71…電極、30…ダイパッド、40…受光素子、40a…制御回路、40b…フォトダイオード、50…接着層、60…発光素子、80、81…入力端子、82a~82d…出力端子、85、86、87a、87c…導電体、91~94…信号線、100…封止樹脂、110~112…補助配線、W1~W14、W21~W38…ワイヤ
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8