(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】特性測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 7/02 20060101AFI20241111BHJP
G01M 7/04 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G01M7/02 G
G01M7/04
(21)【出願番号】P 2021191587
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊 栄生
(72)【発明者】
【氏名】樋園 康平
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006056(JP,A)
【文献】特開2004-347441(JP,A)
【文献】特開2012-159476(JP,A)
【文献】特開2020-085528(JP,A)
【文献】特開2007-271268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 5/00 - 7/08
G01N 3/00 - 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の上部に載置される支持部と、
前記基部と前記支持部との間に配置され、被試験体を取り付ける測定部と、
を備える特性測定装置であって、
前記支持部は、前記基部に固定される中定盤と、ウエイトとして機能する反力部と、前記中定盤と前記反力部との間にそれぞれ配置される、エアばね及び二重締結機構と、を備え、
前記エアばね及び前記二重締結機構は、前記被試験体への所定のプリロードを維持するために、フローティングマス状態及び固定状態において、前記反力部の高さを変えずに前記反力部を支持するものであり、
前記二重締結機構は、前記
中定盤に固定される第1のアクチュエータと、前記
反力部に固定される第2のアクチュエータと、を備え、
前記反力部は、前記フローティングマス状態において、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータにより支持されず、前記固定状態において、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータにより支持されることを特徴とする特性測定装置。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータは、前記反力部の下面に離接可能な第1の可動部を備え、
前記第2のアクチュエータは、前記反力部及び前記第1の可動部を挿通するとともに、前記第1の可動部の下端に離接可能な係合部を有する第2の可動部を備え、
前記フローティングマス状態において、前記第1の可動部の上端及び下端は、前記反力部及び前記第2の可動部から軸線方向にそれぞれ離間し、
前記固定状態において、前記第1の可動部の上端及び下端は、前記反力部及び前記第2の可動部にそれぞれ当接していることを特徴とする請求項1に記載の特性測定装置。
【請求項3】
前記エアばね及び前記二重締結機構は、前記フローティングマス状態と前記固定状態との間の仮固定状態において、前記反力部の高さを変えずに前記反力部を支持するものであり、
前記反力部は、前記仮固定状態において、前記第1のアクチュエータのみにより支持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の特性測定装置。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータは、前記反力部の下面に離接可能な第1の可動部を備え、
前記第2のアクチュエータは、前記反力部及び前記第1の可動部を挿通するとともに、前記第1の可動部の下端に離接可能な係合部を有する第2の可動部を備え、
前記仮固定状態において、前記第1の可動部の上端を、前記反力部に当接させるとともに、前記第1の可動部の下端を、前記第2の可動部から離間させることにより、前記反力部を前記中定盤に対して、前記反力部の高さを変えずに支持することを特徴とする請求項3に記載の特性測定装置。
【請求項5】
少なくとも前記フローティングマス状態において、前記反力部の変位を測定する変位検出器を備え、前記変位検出器による変位信号に基づき、前記エアばねへの供給圧力を制御する反力部高さ保持手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、被試験体に所定のプリロードを与えた上で、自動車用等の被試験体(例えば、防振ゴムや防振部品)に対する高負荷下での動特性や耐久性等を測定する特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のガソリンエンジンを使用した車両に加えて、電動モータの回転力を利用したハイブリッドタイプの車両、及び、電気自動車(以下、「電気自動車等」という)が急速に普及しており、この電動モータの振動領域は、従来のレシプロエンジンの振動領域より高周波数帯域側へと拡大している。
【0003】
このような電気自動車等に用いられる被試験体に対する特性試験では、一般的に、実車状態を想定して、被試験体に所定の負荷(以下、「プリロード」という)を与えた上で、外部より入力される振動(変位や加速度など)によって生じる荷重などを計測する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1(特に、
図2及び
図6参照)には、特性測定装置(以下、「従来の特性測定装置」という)であって、加振機を有する基部と、被試験体の特性を荷重検出器により計測する測定部と、基部に載置され、ウエイトとして機能する反力部をエアばね及び締結機構を介して支持する支持部と、を備えるものが記載されている。この特性測定装置は、計測を行う前に、基部及び支持部のそれぞれに固定された一対の取り付け治具により、被試験体を上下方向から挟持した状態で、一対の取り付け治具間の距離を調整する工程を行い、被試験体に所定のプリロードを与えた上で、加振機により、被試験体に振動を加え、被試験体の特性値を測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5に示すように、従来の特性測定装置における支持部620は、特性試験中に、加振機により入力される幅広い振動周波数に対応するために、反力部624を中定盤622に対して、エアばね623で支持した状態(以下、「フローティングマス状態」という)(
図5(a)参照)と、反力部624を中定盤622に対して、締結機構700で締結固定した状態(以下、「固定状態」という)(
図5(b)参照)と、に切り替える必要があった。これにより、入力される振動周波数が約100~150Hz程度以下では、固定状態とし、150Hz~数kHz程度までは、フローティングマス状態としている。
【0007】
具体的には、従来の特性測定装置における支持部620は、中定盤622と反力部624との間に、密閉状態のエアばね623と、ストッパ625と、締結機構700と、を備える。この締結機構700は、反力部624の下面に固定されるアクチュエータ710と、中定盤622の上面に固定される係止部材720と、を備える。このアクチュエータ710は、反力部624の下面に固定されるシリンダ711と、下側拡径部712a及び上側拡径部712bを有する可動部712と、を備える。ここで、可動部712の下側拡径部712aは、係止部材720と係止可能である一方、可動部712の上側拡径部712bは、シリンダ711に収容される。
【0008】
まず、固定状態からフローティングマス状態(
図5(b)から
図5(a))へ移行する際には、シリンダ711と上側拡径部712bの上面により画定される上側密閉空間C1に駆動油を供給することにより、可動部712が下方に移動し(
図5(a)中の黒塗矢印A1参照)、下側拡径部712aと係止部材720との係合が解放される。これにより、圧縮されていたエアばね623に復元力が生じ、反力部624が上方に移動する(
図5(a)中の白抜き矢印B1参照)。
【0009】
次に、フローティングマス状態から固定状態(
図5(a)から
図5(b))へ移行する際には、シリンダ711と上側拡径部712bの下面により画定される下側密閉空間C2に駆動油を供給することにより、可動部712が上方に移動し(
図5(b)中の黒塗矢印A2参照)、下側拡径部712aが係止部材720と係止する。これにより、アクチュエータ710が、エアばね623を圧縮させながら、反力部624をストッパ625に当接するまで下方に移動させる(
図5(b)中の白抜き矢印B2参照)。
【0010】
このように、フローティングマス状態と固定状態との切り替えの際に、中定盤622に対して、反力部624の高さ位置が変動するものであった。また、これに加え、固定状態(
図5(b)参照)では、フローティングマス状態(
図5(a)参照)と比べ、エアばね623が、アクチュエータ710により、さらに下方向に圧縮されるため、エアばね623から外部に空気漏れなどが生じ易かった。これにより、固定状態からフローティングマス状態への切り替えの際に生じる反力部624の位置変動は、再現性はなく同じ変動とはならないことがあった。このような反力部624の位置変動によって、被試験体に所定のプリロードを与えていた一対の取り付け治具間の距離も変動し、結果、被試験体へのプリロードが大きく変動してしまうという問題(以下、「従来の問題点(プリロードの変動)」という)が生じていた。
【0011】
この従来の問題点(プリロードの変動)を解決するためには、フローティングマス状態と固定状態との切り替えを行う毎に、被試験体を上下方向から支持する一対の取り付け治具間の距離を調整する工程を行う必要があり、時間のロスや手間を要していた。
【0012】
本発明の目的は、所定のプリロードを維持しつつ、フローティングマス状態と固定状態との切り替えをスムーズに行うことができる特性測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、基部と、前記基部の上部に載置される支持部と、前記基部と前記支持部との間に配置され、被試験体を取り付ける測定部と、を備え、前記支持部は、前記基部に固定される中定盤と、ウエイトとして機能する反力部と、前記中定盤と前記反力部との間にそれぞれ配置される、エアばね及び二重締結機構と、を備え、前記エアばね及び前記二重締結機構は、前記被試験体への所定のプリロードを維持するために、フローティングマス状態及び固定状態において、前記反力部の高さを変えずに支持するものであり、前記二重締結機構は、前記反力部に固定される第1のアクチュエータと、前記中定盤に固定される第2のアクチュエータと、を備え、前記反力部は、前記フローティングマス状態において、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータにより支持されず、前記固定状態において、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータにより支持される特性測定装置である。
【0014】
また、上記特性測定装置であって、前記第1のアクチュエータは、前記反力部の下面に離接可能な第1の可動部を備え、前記第2のアクチュエータは、前記反力部及び前記第1の可動部を挿通するとともに、前記第1の可動部の下端に離接可能な係合部を有する第2の可動部を備え、前記フローティングマス状態において、前記第1の可動部の上端及び下端は、前記反力部及び前記第2の可動部から軸線方向にそれぞれ離間し、前記固定状態において、前記第1の可動部の上端及び下端は、前記反力部及び前記第2の可動部にそれぞれ当接しているものとしてもよい。
【0015】
また、上記特性測定装置であって、前記エアばね及び前記二重締結機構は、前記フローティングマス状態と前記固定状態との間の仮固定状態において、前記反力部の高さを変えずに支持するものであり、前記反力部、前記仮固定状態において、前記第1のアクチュエータのみにより支持されるものとしてもよい。
【0016】
また、上記特性測定装置であって、前記第1のアクチュエータは、前記反力部の下面に離接可能な第1の可動部を備え、前記第2のアクチュエータは、前記反力部及び前記第1の可動部を挿通するとともに、前記第1の可動部の下端に離接可能な係合部を有する第2の可動部を備え、前記仮固定状態において、前記第1の可動部の上端を、前記反力部に当接させるとともに、前記第1の可動部の下端を、前記第2の可動部から離間させることにより、前記反力部を前記中定盤に対して、前記反力部の高さを変えずに支持するものとしてもよい。
【0017】
また、上記特性測定装置であって、少なくとも前記フローティングマス状態において、前記反力部の変位を測定する変位検出器を備え、前記変位検出器による変位信号に基づき、前記エアばねへの供給圧力を制御する反力部高さ保持手段を、さらに備えるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定のプリロードを維持しつつ、フローティングマス状態と固定状態との切り替えをスムーズに行うことができる特性測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る特性測定装置の一例を示す概略図であり、(a)は、部分断面を含む正面図、(b)は、上面図を、それぞれ表す。
【
図3】
図2の二重締結機構の動作状態を説明する図であり、(a)は、フローティングマス状態、(b)は、仮固定状態、(c)は、固定状態を、それぞれ表す。
【
図4】
図1の特性測定装置における反力部高さ保持手段を説明する図である。
【
図5】従来の特性測定装置に用いられる締結機構及びエアばねの拡大断面図であり、(a)は、フローティングマス状態、(b)は、固定状態を、それぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、
図1から
図4を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0021】
<用語について>
本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「上」、「下」は、
図1(a)における上下に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。特許請求の範囲の記載における「エアばね」は、本明細書の記載における「支持部エアばね」を示す。
【0022】
<特性測定装置について>
図1を用いて、本発明の実施形態に係る特性測定装置100の一例について説明する。なお、図中の特性測定装置100の左側は、説明のために、一部を断面図として示している。この特性測定装置100は、例えば、SRIS3503(日本ゴム協会標準規格)において標準化されたような、自動車用などの防振ゴムの動的性質について測定する測定装置である。
【0023】
特性測定装置100は、基部110と、基部110の上部に載置され、ウエイトとして機能する反力部124を、支持部エアばね(エアばね)123及び二重締結機構200を介して、フローティングマス状態や固定状態などで支持する支持部120と、基部110と支持部120との間に配置された測定部130と、制御システム(不図示)と、を備える。以下、特性測定装置100のそれぞれの構成について順に説明する。
【0024】
<基部について>
基部110は、脚部111と、基部エアばね112と、ベース架台部113と、動電加振機114と、を備える。
【0025】
脚部111は、地面に接する位置に4本配置され、特性測定装置100を地面に固定する。
【0026】
基部エアばね112は、4本の脚部111の上部に載置された弾性体であり、4個配置される。この基部エアばね112を設けることにより、地面と特性測定装置100との間で、振動試験の最中に、振動が伝達するのを防止することができる。
【0027】
ベース架台部113は、鉄などの金属を用いた比較的大きな質量であり、平面視略正方形板状を有し、中央部に下部に向かって階段状に拡径する開口部113aを備える。ベース架台部113は、基部エアばね112を介して、ベース架台部113の上面が水平となるように設置される。
【0028】
動電加振機114は、上部が、ベース架台部113の開口部113a内に収容された状態で、ベース架台部113に固定される。動電加振機114は、制御システムに電気的に接続され、動電加振機114の上部に設置される動電加振機振動台134を駆動する。動電加振機114は、ベース架台部113と合わせて、十分な質量を有するため、基部エアばね112と同様に、振動伝達を防止する役割を果たす。
【0029】
本実施形態における基部110は、基部エアばね112を4本の脚部111とベース架台部113との間に配置するともに、脚部111の下部を地面に固定するものとしたが、これに限らず、例えば、基部110は、振動の伝達が防止され、地震等外部の要因に耐えるものであれば、いかなる様態でもよい。
【0030】
<支持部について>
支持部120は、支柱121と、中定盤122と、支持部エアばね123と、二重締結機構200と、反力部124と、を備える。
【0031】
支柱121は、4本配置され、下部がベース架台部113に固定されるとともに、上部が中定盤122に固定される。本実施形態における支柱121は、軸方向に伸縮可能であり、例えば、軸方向に伸長させることにより、測定部130を恒温槽内に収容し測定すること、及び、サイズの大きな被試験体132を測定することを可能としている。
【0032】
中定盤122は、平面視枠形状を有し、中央部に貫通部122aを備える。この中定盤122において、角部には、二重締結機構200が配置されるとともに、角部を結ぶ辺部には、支持部エアばね123が、それぞれ2個配置される。本実施形態において、中定盤122の角部及び辺部に、二重締結機構200及び支持部エアばね123がそれぞれ配置されるものとしたが、これに限らず、例えば、中定盤122の角部及び辺部に、支持部エアばね123及び二重締結機構200がそれぞれ配置されるものであってもよい。
【0033】
支持部エアばね123は、中定盤122と反力部124との間に配置された弾性体である。支持部エアばね123は、高周波振動状態等において、基部110と反力部124との間で、共振等の振動の伝達を遮断するフローティングマス状態とすることができる。本実施形態において、説明のために、8個の支持部エアばね123を採用するものを示したが、これに限らず、フローティングマス状態が構成できるものであれば、その他の個数の支持部エアばね123を採用してもよい。
【0034】
二重締結機構200は、中定盤122と反力部124との間に配置され、詳細は後述するが、2つのアクチュエータ(
図2中の第1のアクチュエータ210及び第2のアクチュエータ220参照)を備える。なお、二重締結機構200は、固定状態において、ベース架台部113、支柱121、中定盤122、反力部124が堅固に連結され、高い剛性を持ち、被試験体132の静的ばね定数計測や、約100~150Hz以下のように、低い振動周波数で測定することができる。本実施形態において、説明のために、4個の二重締結機構200を採用するものを示したが、これに限らず、十分な結合剛性を有する固定状態が構成できるものであれば、その他の個数の二重締結機構200を採用してもよい。ここで、詳細は後述するが、本実施形態の二重締結機構200は、2つのアクチュエータを駆動させることにより、フローティングマス状態、仮固定状態、及び、固定状態の切り替えの際に、二重締結機構200及び支持部エアばね123を介して、反力部124の高さ位置を変化させずに、保持することができる。これにより、従来の問題点(プリロードの変動)を解消させ、フローティングマス状態と固定状態との切り替えをスムーズに行うことができる。
【0035】
反力部124は、ウエイトとして機能するものであり、下部は、中定盤122の貫通部122aに挿入される。この反力部124の共振周波数は、計測する測定領域より高い周波数にする必要があるため、比較的大きな質量(例えば、1500kg以上)に設定される。
【0036】
<測定部について>
測定部130は、一対の取り付け治具131と、被試験体132と、ロードワッシャ133と、動電加振機振動台134と、を備える。
【0037】
一対の取り付け治具131は、反力部124の下方に設置される上部取り付け治具131aと、動電加振機振動台134の上方に設置される下部取り付け治具131bと、を備える。
【0038】
被試験体132は、自動車用等のマス付防振ゴム、液体封入防振ゴムなどの位相要素を含む防振ゴムである。被試験体132は、一対の取り付け治具131の間に狭持されて測定される。なお、本実施形態における被試験体132は、自動車用等の防振ゴムであったが、これに限らず、一般的な産業用のゴムであってもよい。
【0039】
ロードワッシャ133は、上部取り付け治具131aを介して、被試験体132の上側に配置される。ロードワッシャ133は、高剛性の圧電素子であり、応答速度が速く、計測しきい値(threshold)が小さいため、ここでは、被試験体132に加えられた動荷重を計測する動荷重計測器を構成している。
【0040】
動電加振機振動台134は、動電加振機114の上部に設置され、制御システムにより制御される。動電加振機振動台134には、振動板(不図示)とコイル部(不図示)が直結され、その周囲には、交流の磁場が配置され、このコイルに交流電流を印加することにより、動電加振機振動台134が駆動される。なお、本実施形態における動電加振機114の振動周波数領域は、3kHzまでであるが、これに限らず、例えば、3kHz以上であってもよい。
【0041】
<制御システムについて>
制御システムは、図示は省略するが、主に、主制御装置と、電力増幅器筐体と、を備える。
【0042】
主制御装置は、特性測定装置100の制御を行うものであり、起動器及び操作線を介して、電源及び特性測定装置100にそれぞれ接続される。主制御装置には、主に、メインサーボコントローラと、チャージアンプと、加振機操作盤と、無停電電源装置と、ユーザインターフェイス等が含まれる。メインサーボコントローラには、特性測定装置100の各種センサから、動荷重、変位などの信号が入力され、各種の計測と演算が行われる。
【0043】
電力増幅器筐体は、主制御装置の加振機操作盤からの信号により制御され、例えば、特性測定装置100の動電加振機114の動電加振機振動台134の動作を制御する。
【0044】
<二重締結機構の詳細構成について>
図2を用いて、二重締結機構200の詳細構成について説明する。なお、図中の二重締結機構200は、説明のために、一部断面図を示している。
【0045】
二重締結機構200は、第1のアクチュエータ210と、第2のアクチュエータ220と、を備える。
【0046】
<第1のアクチュエータについて>
第1のアクチュエータ210は、第1のシリンダ211と、第1のシリンダ211に収容される第1の可動部212と、第1の油圧給排経路213と、第1の可動部212を下方に付勢する第1の付勢手段214と、第1の可動部212の下端部に固定され、第1の付勢手段214の下方を支持する固定部材215と、を備える。
【0047】
第1のシリンダ211は、中定盤122の上部に固定される中空円筒状の部材で、軸線C方向に沿って貫通する階段状の内周面を有し、この内周面には、上方から下方に向かい、縮径及び拡径を繰り返すように、上端小径部211a、第1のピストン収容部211b、下側ガイド部211c、第1のばね収容部211dが連続して形成される。また、中定盤122には、第1のシリンダ211の内周面に連続するように凹部122bが形成される。
【0048】
第1の可動部212は、第1のシリンダ211及び中定盤122の凹部122bに収容される中空円筒状の部材で、軸線C方向に沿って同一径にて貫通する貫通孔212aと、階段状の外周面と、を有する。この外周面には、上方から下方に向かい、上側軸部212b、第1のピストン部212cが順次拡径するとともに、段差部212d、下側軸部212e、ばね当接部212fが順次縮径するように、連続して形成される。
【0049】
ここで、第1の可動部212と第1のシリンダ211との配置関係について述べる。まず、上側軸部212bと上端小径部211aとの間には、半径方向に隙間が形成される。また、段差部212dと第1のピストン収容部211bとの間、及び、ばね当接部212fと第1のばね収容部211dの間には、それぞれ、詳細は後述するが、第1の密閉空間S1及び第1の付勢手段214を収容する空間を画定するために、半径方向に所定の隙間が形成される。さらに、第1のピストン部212cと第1のピストン収容部211bとの間、及び、下側軸部212eと下側ガイド部211cとの間には、軸線C方向への相対的な摺動を可能とするために、極僅かな隙間が形成される。
【0050】
第1の油圧給排経路213は、第1のシリンダ211の外周面から内周面に貫通しており、供給・排出可能な連通状態又は非連通状態へと切り替わることにより、第1のシリンダ211及び第1の可動部212により画定された第1の密閉空間S1に、駆動流体を供給、排出、及び、維持することができる。
【0051】
なお、第1の密閉空間S1は、
図2に示すように、ゼロになることはなく、第1の油圧給排経路213と常時流体接続されるため、第1の密閉空間S1への液圧の供給及び排出をスムーズに行うことができる。この第1の油圧給排経路213を介して、駆動流体の液圧を制御することにより、第1の可動部212を、軸線C方向の所望の位置に移動させ、反力部124に対して第1の可動部212を離接可能にする。
【0052】
第1の付勢手段214は、例えば、皿ばねからなり、第1のばね収容部211d及び中定盤122の凹部122bに収容されており、下側ガイド部211cと、第1の可動部212の下端部に固定される固定部材215とにより、軸線C方向に挟持される。これにより、第1の可動部212は、第1の付勢手段214により、常時下方に付勢される。したがって、第1の油圧給排経路213が排出可能な連通状態である場合には、第1の密閉空間S1から駆動流体が排出されることにより、第1の可動部212が反力部124から下方に離間した位置に配置される。一方、第1の油圧給排経路213が供給可能な連通状態である場合には、第1の付勢手段214の付勢力と第1の可動部212の自重との合力に打ち勝つような駆動流体の液圧が、第1の密閉空間S1に供給されることにより、第1の可動部212が反力部124に当接した位置に配置される。
【0053】
<第2のアクチュエータについて>
第2のアクチュエータ220は、第2のシリンダ221と、第2のシリンダ221に収容される第2の可動部222と、第2の油圧給排経路223と、第2の可動部222を下方に付勢する第2の付勢手段224と、を備える。
【0054】
第2のシリンダ221は、反力部124の鍔部124aの上部に固定される中空円筒状の部材で、軸線C方向に沿って貫通する階段状の内周面を有し、この内周面には、上方から下方に向かい、連通孔221a、第2のばね収容部221b、第2のピストン収容部221cが順次拡径するとともに、下端ガイド部221dが縮径するように、連続して形成される。また、反力部124の鍔部124aには、第2のシリンダ221の内周面に連続するように、軸線C方向に沿って同一径にて延在する挿通孔124bが形成される。
【0055】
第2の可動部222は、中実円柱状の部材で、軸線C方向に沿って同一径にて延在し、鍔部124aの挿通孔124b及び第1の可動部212の貫通孔212aにそれぞれ挿通される軸部222aと、軸部222aの上端に拡径して設けられ、第2のシリンダ221に収容される第2のピストン部222bと、軸部222aの下端に拡径して形成され、中定盤122の凹部122bに収容される係合部222cと、を有する。
【0056】
ここで、第2の可動部222と、第2のシリンダ221、鍔部124a、第1の可動部212との配置関係について述べる。まず、第2のピストン部222bと第2のピストン収容部221cとの間、及び、軸部222aと下端ガイド部221dとの間には、軸線C方向への相対的な摺動を可能とするために、極僅かな隙間が形成される。また、軸部222aと挿通孔124bとの間、及び、軸部222aと貫通孔212aとの間には、半径方向に隙間が形成される。
【0057】
第2の油圧給排経路223は、第2のシリンダ221の外周面から内周面に貫通しており、供給・排出可能な連通状態又は非連通状態へと切り替わることにより、第2のシリンダ221及び第2の可動部222により画定された第2の密閉空間S2に、駆動流体を供給、排出、及び、維持することができる。この第2の油圧給排経路223を介して、駆動流体の液圧を制御することにより、第2の可動部222を、軸線C方向の所望の位置に移動させ、第1の可動部212に対して第2の可動部222を離接可能にする。
【0058】
第2の付勢手段224は、例えば、コイルばねからなり、第2のシリンダ221に収容されており、第2のばね収容部221bと、第2のピストン部222bに設けられるばね受け部222b1とにより、軸線C方向に挟持される。これにより、第2の可動部222は、第2の付勢手段224により、常時下方に付勢される。したがって、第2の油圧給排経路223が排出可能な連通状態である場合には、第2の密閉空間S2から駆動流体が排出されることにより、第2の可動部222の係合部222cが固定部材215から下方に離間した位置に配置される。一方、第2の油圧給排経路223が供給可能な連通状態である場合には、第2の付勢手段224の付勢力と第2の可動部222の自重との合力に打ち勝つような駆動流体の液圧が、第2の密閉空間S2に供給されることにより、第2の可動部222の係合部222cが固定部材215に当接した位置に配置される。
【0059】
<二重締結機構の動作状態について>
図3を用いて、二重締結機構200の動作状態について説明する。なお、図中の基準高さh0は、反力部124の鍔部124aにおける下面の高さを示すものであり、フローティングマス状態、仮固定状態、固定状態のいずれの状態においても、反力部124に上下方向の変動がないことを示している。
【0060】
<フローティングマス状態、仮固定状態、固定状態の順で移行する場合>
まず、フローティングマス状態における二重締結機構200について説明する。
図3(a)に示すように、第1のアクチュエータ210は、第1の油圧給排経路213を介して、第1の密閉空間S1の駆動油が排出可能な状態とされるため、第1の可動部212は、第1の付勢手段214により下方へ付勢され、第1の可動部212の段差部212dの下面が、第1のシリンダ211の下側ガイド部211cの上面に当接する位置に保持される。同様に、第2のアクチュエータ220は、第2の油圧給排経路223を介して、第2の密閉空間S2の駆動油が排出可能な状態とされるため、第2の可動部222は、第2の付勢手段224により下方へ付勢され、第2の可動部222の第2のピストン部222bの下面が、第2のシリンダ221の下端ガイド部221dの上面に当接する位置に保持される。
【0061】
これにより、第1の可動部212は、反力部124の鍔部124aと、軸線C方向に距離l1を有して離間しているとともに、第1の可動部212は、第2の可動部222の係合部222cと、軸線C方向に距離l2を有して離間している。よって、反力部124は、第1のアクチュエータ210及び第2のアクチュエータ220により、支持されておらず、フローティングマス状態となっている。このフローティングマス状態において、第1の油圧給排経路213及び第2の油圧給排経路223は、駆動油が排出可能な状態又は非連通状態となっている。
【0062】
次に、フローティングマス状態から仮固定状態へと移行する二重締結機構200について説明する。
図3(b)に示すように、第1のアクチュエータ210には、第1の油圧給排経路213を介して、第1の密閉空間S1に駆動油が供給され(図中の矢印d1参照)、第1の可動部212は、第1の付勢手段214に抗して、上方に移動する(図中の矢印M1参照)。その後、第1の可動部212が、反力部124の鍔部124aに当接した位置で駆動油の供給が停止される。この際、第1の可動部212が反力部124に対して、ソフトランディングするように、第1のアクチュエータ210への駆動油の供給量を制御しているため、当接前後で、反力部124が上方に変動することはない。一方、第2のアクチュエータ220には、第2の油圧給排経路223を介して、第2の密閉空間S2に駆動油が供給されていないため、第2の可動部222は移動しない。
【0063】
これにより、反力部124は、下方から、第1のアクチュエータ210のみにより、下方から支持される仮固定状態となっている。この仮固定状態において、第1の油圧給排経路213は、非連通状態となっている一方、第2の油圧給排経路223は、駆動油が排出可能な状態又は非連通状態となっている。
【0064】
さらに、仮固定状態から固定状態へと移行する二重締結機構200について説明する。
図3(c)に示すように、第1のアクチュエータ210には、第1の油圧給排経路213を介して、第1の密閉空間S1に駆動油が供給されていないため、第1の可動部212は移動しない。一方、第2のアクチュエータ220には、第2の油圧給排経路223を介して、第2の密閉空間S2に駆動油が供給され(図中の矢印d2参照)、第2の可動部222は、第2の付勢手段224に抗して、上方に移動する(図中の矢印M2参照)。その後、第2の可動部222の係合部222cが、第1の可動部212の固定部121eに当接した位置で駆動油の供給が停止される。この際、第2の可動部222が第1の可動部212を介して、反力部124に軸線C方向に固定されることにより、第1のアクチュエータ210が固定された中定盤122と、第2のアクチュエータ220が固定された反力部124とを、堅固に締結固定させることができる。
【0065】
これにより、反力部124は、第1のアクチュエータ210及び第2のアクチュエータ220により、下方から堅固に締結固定された固定状態となっている。この固定状態において、第1の油圧給排経路213及び第2の油圧給排経路223は、非連通状態となっている。
【0066】
<固定状態、仮固定状態、フローティングマス状態の順で移行する場合>
前述した、二重締結機構200についてのフローティングマス状態、仮固定状態、固定状態の順で移行する場合と重複する説明は省略する。
【0067】
まず、固定状態から仮固定状態へと移行する二重締結機構200について説明する。
図3(c)に示すように、第1のアクチュエータ210において、第1の油圧給排経路213は、非連通状態となっているため、第1の可動部212は移動しない。一方、第2のアクチュエータ220は、第2の油圧給排経路223を介して、第2の密閉空間S2の駆動油が排出可能な状態とされるため(図中の矢印d3参照)、第2の可動部222は、第2の付勢手段224に付勢され、下方に移動する(図中の矢印M3参照)。その後、第2の可動部222の係合部222cが、第1の可動部212から離間した位置で駆動油の排出が停止される。
【0068】
次に、仮固定状態からフローティングマス状態へと移行する二重締結機構200について説明する。
図3(b)に示すように、第1のアクチュエータ210は、第1の油圧給排経路213を介して、第1の密閉空間S1の駆動油が排出可能な状態とされるため(図中の矢印d4参照)、第1の可動部212は、第1の付勢手段214に付勢され、下方に移動する(図中の矢印M4参照)。その後、第1の可動部212が、反力部124の鍔部124aから離間した位置で駆動油の排出が停止される。
【0069】
さらに、フローティングマス状態における二重締結機構200について説明する。
図3(a)に示すように、第1のアクチュエータ210及び第2のアクチュエータ220には、駆動油が供給されていないため、第1の可動部212及び第2の可動部222は移動しない。
【0070】
このように、仮固定状態及び固定状態では、フローティングマス状態における反力部124の高さ位置を維持したまま、反力部124を中定盤122に支持及び固定しているため、再び、フローティングマス状態となる際には、反力部124は上下方向に移動しない。
【0071】
以上で述べたように、本実施形態の二重締結機構200は、第1のアクチュエータ210及び第2のアクチュエータ220を駆動させることにより、フローティングマス状態、仮固定状態、及び、固定状態の切り替えの際に、二重締結機構200及び支持部エアばね123を介して、反力部124の高さ位置(
図3中の基準高さh0参照)を変化させずに、保持することができる。これにより、従来の問題点(プリロードの変動)を解消させ、フローティングマス状態と固定状態との切り替えをスムーズに行うことができる。また、本実施形態の支持部エアばね123に負荷される上下方向の圧縮力は、フローティングマス状態、仮固定状態、及び、固定状態において変化しないことから、各状態へと切り替わる際に、支持部エアばね123の内部圧力が急激に上昇し、空気漏れなどが生じることを抑制することができる。さらに、本実施形態における二重締結機構200は、従来の締結機構700(
図5参照)とは異なり、仮固定状態を採用するものであり、反力部124に対し、不支持のフローティングマス状態、下方からソフトランディングして支持する仮固定状態、下方から堅固に締結固定する固定状態へと、段階的に支持する力を増加、または、この逆に、固定状態、仮固定状態、フローティングマス状態へと段階的に支持する力を減少させることにより、急激な変動が反力部124に生じることを抑制することができる。
【0072】
<反力部高さ保持手段について>
前述したように、本実施形態の特性測定装置100において、従来の締結機構700(
図5(a),(b)参照)に代えて、二重締結機構200を採用することにより、反力部124の高さ位置を変化させずに、従来の問題点(プリロードの変動)を解消させ、フローティングマス状態と固定状態との切り替えをスムーズに行うことが十分にできるものとした。その上で、発明者らは、二重締結機構200を採用した際の反力部124における上下方向の挙動について、さらなる考察を重ねた。その結果、特に、固定状態(
図3(c)参照)からフローティングマス状態(
図3(a)参照)へと切り替えを行った際に、反力部124の高さ位置が、所望の基準高さh0より僅かに下方に変化するおそれがあり、これは、支持部エアばね123の気密性に起因するものであることを突き止めた。具体的には、固定状態において、支持部エアばね123が、長時間圧縮されることにより、微量の空気漏れが生じ、その後、フローティングマス状態となり、支持部エアばね123が、反力部124を単独で支持するために生じ得るものであった。
【0073】
この新たな課題(以下、「フローティングマス状態における反力部の変動」という)を解決するために、
図4に示すように、支持部120に、二重締結機構200に加え、反力部高さ保持手段300を採用する。ここで、
図4には、説明の都合上、1つの支持部エアばね123に一つの反力部高さ保持手段300が設けられているものを示すが、他の支持部エアばね123にも同様の反力部高さ保持手段300が設けられている。
【0074】
反力部高さ保持手段300は、比例圧力制御弁310と、圧力供給源320と、サイレンサ330と、変位検出器340と、PID制御部350と、を備える。以下、反力部高さ保持手段300のそれぞれの構成について順に説明する。
【0075】
比例圧力制御弁310は、外部からの制御値uにより、供給圧力PSを無段階に調節するものであり、一方には、高圧(0.4MPa以上)の圧縮空気を供給する圧力供給源320、及び、外部環境に消音排出するサイレンサ330が流体接続され、他方には、支持部エアばね123が流体接続される。
【0076】
変位検出器340は、ワイヤ部340aを備えるワイヤ式変位計である。このワイヤ部340aの上端は、反力部124の鍔部124aに固定されており、ワイヤ部340aが伸縮に対応した変位信号である変位位置H1を出力する。なお、本実施形態における変位検出器340は、接触式変位計であるが、これに限らず、例えば、非接触変位計(例えば、レーザー式変位計)などを採用してもよい。
【0077】
PID制御部350は、比例制御、積分制御、微分制御を組み合わせたものであり、変位位置H1と目標位置Hrとの誤差e、その積分及び微分の3つの要素から、制御値uを算出し、供給圧力PSの制御を行う。このPID制御部350を用いて、供給圧力PSを制御することにより、反力部124の変位位置H1を、オーバーシュートを抑制しながら、安定かつ迅速に目標位置Hrに到達させることができる。
【0078】
<反力部高さ保持手段の動作について>
反力部高さ保持手段300は、特に、反力部124の高さ位置が変動し得る、仮固定状態からフローティングマス状態への切り替え時、及び、フローティングマス状態において動作するように設定される。
【0079】
ここで、変位位置H1が目標位置Hrより低い場合には、供給圧力PSが高くなるように、PID制御部350が、比例圧力制御弁310を制御し、その結果、支持部エアばね123の内部圧力が上昇し、反力部124は、目標位置Hrに向けて上方に移動する(
図4中の上方矢印参照)。一方、変位位置H1が目標位置Hrより高い場合には、供給圧力PSが低くなるように、PID制御部350が、比例圧力制御弁310を制御し、その結果、支持部エアばね123の内部圧力が低下し、反力部124は、目標位置Hrに向けて下方に移動する(
図4中の下方矢印参照)。
【0080】
このように、本実施形態の反力部高さ保持手段300は、仮固定状態からフローティングマス状態への切り替え時、及び、フローティングマス状態において、支持部エアばね123への供給圧力PSを制御することにより、反力部124の変位位置H1を、目標位置Hrへと、安定かつ迅速に到達させることができる。これにより、新たな課題(フローティングマス状態における反力部の変動)を解消し、フローティングマス状態と固定状態との切り替えをよりスムーズに行うことができる。
【0081】
なお、本実施形態における反力部高さ保持手段300は、少なくともフローティングマス状態(仮固定状態からフローティングマス状態への切り替え時、及び、フローティングマス状態)において動作するように設定されるものであるが、これに限らず、例えば、常時(フローティングマス状態、仮固定状態、及び、固定状態)において動作するように設定されてもよい。
【0082】
<その他>
本発明は、上述した本実施形態に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0083】
100 特性測定装置
110 基部
111 脚部
112 基部エアばね
113 ベース架台部
114 動電加振機
120 支持部
121 支柱
122 中定盤
122a 貫通部
122b 凹部
123 支持部エアばね(エアばね)
124 反力部
124a 鍔部
124b 挿通孔
130 測定部
131 一対の取り付け治具
131a 上部取り付け治具
131b 下部取り付け治具
132 被試験体
133 ロードワッシャ
134 動電加振機振動台
200 二重締結機構
210 第1のアクチュエータ
211 第1のシリンダ
211a 上端小径部
211b 第1のピストン収容部
211c 下側ガイド部
211d 第1のばね収容部
212 第1の可動部
212a 貫通孔
212b 上側軸部
212c 第1のピストン部
212d 段差部
212e 下側軸部
212f ばね当接部
212g 固定部
213 第1の油圧給排経路
214 第1の付勢手段
212a 貫通孔
220 第2のアクチュエータ
221 第2のシリンダ
221a 連通孔
221b 第2のばね収容部
221c 第2のピストン収容部
221d 下端ガイド部
222 第2の可動部
222a 軸部
222b 第2のピストン部
222b1 ばね受け部
222c 係合部
223 第2の油圧給排経路
224 第2の付勢手段
300 反力部高さ保持手段
310 比例圧力制御弁
320 圧力供給源
330 サイレンサ
340 変位検出器
340a ワイヤ部
350 PID制御部
C 軸線
e 誤差
H1 変位位置
Hr 目標位置
h0 基準高さ
l1 第1の可動部と反力部の鍔部との離間距離
l2 第1の可動部と第2の可動部の係合部との離間距離
PS 供給圧力
S1 第1の密閉空間
S2 第2の密閉空間
u 制御値