(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】多層ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/40 20060101AFI20241111BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20241111BHJP
B65D 1/04 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B65D1/40 100
B65D1/02 250
B65D1/04
(21)【出願番号】P 2021504463
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 US2019043915
(87)【国際公開番号】W WO2020028251
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-26
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ジョセフ・アルバウム
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-290746(JP,A)
【文献】特表平06-505463(JP,A)
【文献】米国特許第03769056(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/40
B65D 1/02
B65D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル入り飲料であって、
ボトルであって、
首部と、
基部と、
プラスチックの外側層と、
前記外側層の内側に配設されたプラスチックの内側層であって、前記内側層が、前記首部において前記外側層に接触する、プラスチックの内側層と、
前記外側層と前記内側層との間に配設された空間と、
前記内側層内に密封された飲料と、を含むボトルを備え、
前記内側層が、前記外側層に向かって付勢されており、
前記内側層の付勢が、前記内側層の収縮に抵抗し、
前記内側層の少なくとも一部分は、前記飲料が前記内側層内に密封される間に、前記飲料の容積減少に応じて前記外側層から収縮する、ボトル入り飲料。
【請求項2】
前記内側層が、前記外側層とは独立して変形するように構成されており、
前記飲料が前記内側層内に密封される間に、前記飲料の容積の低減に応答して、前記内側層が、前記外側層から離れて移動して、前記内側層の内部容積を変化させる、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項3】
前記外側層の形状が、前記飲料の容積の低減に応答して変化しない、請求項2に記載のボトル入り飲料。
【請求項4】
前記外側層が、円筒形であり、リブ又はパネルを有しない、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項5】
前記内側層が、前記内側層内の前記飲料を密封するシールが破断されると、前記外側層に向かって移動するように構成されている、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項6】
前記内側層の前記内部容積が、前記飲料が前記ボトルから放出される際に、容積が減少しない、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項7】
前記内側層及び前記外側層が、前記首部と前記基部との間に対応する形状を有する、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項8】
前記内側層がまた、前記基部において、前記外側層に取り付けられている、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項9】
前記外側層と前記内側層との間の前記空間と流体連通しているガス導入機構を更に含む、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項10】
前記ガス導入機構が、前記外側層と前記内側層との間の前記空間内の圧力が、前記外側層の外側の圧力と等しくなることを可能にする、前記外側層内の通気開口部を含む、請求項9に記載のボトル入り飲料。
【請求項11】
前記通気開口部が、前記基部内に配設されている、請求項10に記載のボトル入り飲料。
【請求項12】
前記通気開口部が、破断開口して、設定された圧力差のときに、前記外側層の外側の前記圧力で、前記外側層と前記内側層との間の前記空間を流体接続するように構成されている、請求項11に記載のボトル入り飲料。
【請求項13】
前記内側層が、前記内側層の内面上に形成された垂直に配向されたリブを含み、前記リブが、リブ間の前記内側層の変形を促進するように構成されている、請求項1に記載のボトル入り飲料。
【請求項14】
前記内側層が、前記リブのうちの少なくとも4つを含み、前記リブが、前記ボトルの長手方向中心軸の周囲に均等に離間配置されている、請求項13に記載のボトル入り飲料。
【請求項15】
飲料ボトルであって、
前記飲料ボトルの壁であって、前記壁が、プラスチックの複数の層で形成されている、飲料ボトル壁を含み、
前記飲料ボトルの本体部分において、前記複数の層のうちの最内側層の外側表面が、前記複数の層のうちの最外側層の内側表面と同じ形状を有し、
前記最内側層が、前記本体部分において、前記最外側層から離れるように移動して、前記飲料ボトルの前記内側層の内部容積を、前記飲料ボトルが密封された後の、前記最内側層内に配設された冷却飲料の容積変化に適合させるように構成され、
前記複数の層のうちの前記最内側層が、前記最内側層の内側表面上に形成された複数のリブを有し、
前記最内側層の前記複数のリブが、隣接するリブ間の前記最内側層の部分において、前記最外側層から離れる前記最内側層の動きを集中させるように構成されている、飲料ボトル。
【請求項16】
前記最外側層が、前記最内側層が前記最外側層から離れるように移動する間、その形状を維持するように構成されている、請求項15に記載の飲料ボトル。
【請求項17】
前記最内側層と前記最外側層との間の空間が、前記最内側層が前記最外側層から離れて移動するときに増加し、
前記飲料ボトルが、前記最外側層と前記最内側層との間の前記空間と流体連通しているガス導入機構を更に含み、
前記ガス導入機構がが、前記最内側層内部の容積の変化に応答して、前記空間にガスを供給するように構成されている、請求項15に記載の飲料ボトル。
【請求項18】
前記ガス導入機構が、前記最外側層と前記最内側層との間の前記空間内の圧力が、前記最外側層の外側の圧力と等しくなることを可能にする、前記飲料ボトルの壁内の通気開口部を含む、請求項17に記載の飲料ボトル。
【請求項19】
前記最外側層が、補強バンドを含み、
前記補強バンドは、前記最外側層の残部の厚さと比較して、より
大きい厚さの区域であり、
前記補強バンドが、前記本体部分に形成され、飲料容器の高さの一定割合を占める、請求項15に記載の飲料ボトル。
【請求項20】
冷却中に飲料容器の変形を制御する方法であって、飲料容器を高温の飲料で充填することであって、前記飲料容器が、互いに接触している複数の層で形成された壁を含む、充填することと、
前記飲料容器を密封することと、
前記飲料が冷却することを可能にすることであって、前記飲料が、冷却時に熱収縮を受ける、冷却することを可能にすることと、を含み、
前記複数の層のうちの最内側層が、前記複数の層のうちの最外側層から離れて内側に移動するように、前記複数の層のうちの少なくとも2つが、互いに分離して、前記飲料の前記熱収縮に応答して、前記飲料容器の内部容積を低減
し、
前記最内側層は、前記最内側層の内面に形成された複数のリブを有し、
前記最内側層の前記リブは、隣接する前記複数のリブの間で、前記最内側層の前記複数の部分で前記最外側層から離れる前記最内側層の動きを集める、
または、
前記最外側層は補強バンドを有し、
前記補強バンドは、前記最外側層の残余部の厚さに比べてより大きな厚さを有する部分であり、
前記補強バンドは、前記最外側層を強化して前記最外側層の形を維持する、方法。
【請求項21】
前記少なくとも2つの層の前記分離によって作り出される、前記最内側層と前記最外側層との間の空間に、ガスの供給を提供することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、概して、複数の材料層から構築されている飲料容器に関する。
【発明の概要】
【0002】
例示的な実施形態は、プラスチックから作製された外側層を含む、首部及び基部を有するボトルである。内側層は、外側層の内側に位置し、首部において、外側層と接触する。内側層は、例えば内部容積内の飲料冷却による、内部容積の変化に適応するように、収縮又は屈曲するプラスチック材料から作製されている。内側層は、外側壁から分離するか、又は別の方法で離れて移動して、容積の変化に適応し得る。例えば、外側殻と内側層との間には、空間が存在し得る。空気などのガスは、外側層と内側層との間の空間を占有し得る。ガスは、ボトルの周囲の大気から吸い込まれてもよいか、又は、例えば、外側層と内側層との間の空間と流体接続しているガス導入システムによって、外側層と内側層との間に生成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
添付図面は、本発明に組み込まれ、本明細書の一部を形成し、本発明の実施形態を例示し、本説明と一緒に、更に本発明の原理を説明し、かつ当業者(複数可)が本発明を作製し、使用することを可能にする役割を果たす。
【0004】
【
図1】一実施形態による、飲料容器の正面図である。
【0005】
【
図2】飲料容器の壁構造を示す、飲料を有する、
図1の飲料容器の正面図である。
【0006】
【0007】
【
図4】
図3の線4-4に沿った、
図1の飲料容器の断面図であり、充填前構成を示す。
【0008】
【
図5】
図3の線4-4に沿った、
図1の飲料容器の断面図であり、充填後構成を示す。
【0009】
【
図6】一実施形態による、飲料容器の切欠図である。
【0010】
【
図7】一実施形態による、飲料容器の正面図である。
【0011】
【
図8】飲料容器の代替又は追加の壁構造を示す、飲料を有する、
図1の飲料容器の正面図である。
【0012】
【
図9】飲料容器を形成するためのプリフォームの断面図である。
【0013】
【0014】
【0015】
【
図11】組み立て後の
図9のプリフォームの上部の断面図である。
【0016】
【
図12】飲料容器の代替又は追加の壁構造を示す、飲料を有する、
図1の飲料容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以降、添付図面に例示されるような本発明の実施形態を参照して、本発明(複数可)を詳細に説明する。「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」などの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を必ずしも含むわけではないことを示す。更に、このような句は、必ずしも同じ実施形態を言及するものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態と関連して記載される場合、明確に記載されているかどうかに関わりなく、他の実施形態と関連するこのような特徴、構造、又は特性への影響は、当業者の知見内であるものとする。
【0018】
ポリエチレンテレフタレート(「PET」)などの材料から作製された、ボトルなどのプラスチック飲料容器は、飲料産業において、飲料を包装するために広く使用されている。PETボトルは、他のプラスチック材料、及びガラス又はアルミニウムなどの材料から作製されたボトルに対する低コスト及び軽量の代替物である。多くの飲料は、上昇した温度でボトルに充填される。この慣行は、「ホットフィル」として一般的に知られており、飲料の汚染を防止するために使用される。これは、飲料が、追加の滅菌を必要とせずに、ボトルに充填されることを可能にする。ボトルは、充填され、蓋を被せられた後、飲料は、上昇した充填温度から冷却される。飲料は、冷却すると、それに対応してボトル内の空気を冷却すると共に、容積の熱収縮を受ける。
【0019】
ボトルは、冷却する間に、密封されるため、この容積の収縮に適応するために、ボトルの壁は、ボトルの内部の容積が、その内容物の容積の低減と共に低減するように変形し得る。
【0020】
いくつかのボトルは、例えばリブ又は厚い壁を含むことによって、そのような変形に抵抗するように設計されてもよい。しかしながら、これは、実質的な追加材料及び付加コストを必要とすることがあり、ボトル内の相当な負圧をもたらし得る。いくつかのボトルは、ボトル内容物の熱収縮に付随する容積の内部低減に適応するように、内側に屈曲するように設計されている、可動壁及びパネルを伴って設計されてもよい。しかしながら、これは、ボトルの視覚的及び触覚的態様における望ましくない中断及び不規則な表面を必要とする場合がある。このような表面構造はまた、ユーザが圧搾するためのボトルを硬質又は扱いにくくし得、一部のユーザは、(例えば、再閉鎖可能な注ぎ口を通して)ボトルからの飲用を容易にするために圧搾したい場合がある。
【0021】
しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、容積の変化に抵抗することなく、ボトル内容物の熱収縮に付随する、ホットフィルボトルの容積の内部低減に適応する。得られたボトルは、外部の移動可能な壁及びパネルを必要とせず、飲料の熱収縮に起因して外部形状を変化させない。例えば、ボトルは、多層壁構造を含むことができ、ボトル壁のプラスチック内側層は、ボトル壁のプラスチック外側層から離れて、独立して移動して、ボトルの内部容積の変化に適応することができる。換言すれば、外側層と内側層との間に空間が存在してもよい。内側層は、収縮又は屈曲によって変形し、外側層から引き離れて、ボトルの内部容積が変化するが、外側層は、その形状を維持する。したがって、ボトルの外形は、その内容物の熱収縮の間中、一定のままであるが、内側層は、熱収縮に適応するように、収縮又は屈曲する。
【0022】
図1及び
図2は、充填前(
図1)、並びにホットフィル充填、キャッピング、及び冷却プロセス後(
図2)の飲料容器(ボトル100)を示す。
図1及び
図2は、外側層112及び内側層114、並びに任意選択的に、例えば、ガスバリア層又は剥離層であり得る、例えば、中間層116などのいくつかの中間層を含む、ボトル100の壁110の一部分の断面表現を含む。
図1及び
図2に示されるように、外側層112は、ボトル100の形状及び外観を画定し、例えば、円筒形本体120、円形基部122、並びにテーパ状肩部124、及び開口部128を画定する首部126を伴って形成されてもよい。したがって、外側層112は、形状が概して円筒形状であってもよい。壁110の層112及び114は、例えばPETプラスチックで構築されてもよいが、例えば着色染料などの他のタイプのプラスチック及び添加剤もまた、層112及び114の材料の一部として含まれてもよい。
【0023】
図1に示すように、ボトル100が充填される前に、内側層114、外側層112、及び中間層116は一緒に、層状にされており、内側層114は、外側層112に向かって付勢されており、外側層112の形状に追従する。内側層114は、外側層112の内側に位置する。
図2に示すように、ボトル100が高温飲料10で充填された後、開口部128は、キャップ130で蓋を被せられる。飲料10は、冷却すると、熱収縮を受ける。キャップ130により、内側層114の内部容積20に新たな物質が導入され得ないため、内部容積20は、飲料10と共に収縮する。そうすることで、内側層114は、外側層112から引き離れ、内側層114が密封されたまま、内側層114と外側層112との間に空間30を作り出す。いくつかの実施形態では、図示されるように、中間層116は、内側層114に接続されたままであり、したがって、空間30は、中間層116と外側層112との間に直接形成される。他の実施形態では、中間層116は、外側層114に接続されたままであってもよく、したがって、空間30は、中間層116と内側層114との間に直接形成される。いくつかの実施形態では、構造的安定性を補助するために、中間層116は、ボトルのいくつかの部分にのみ存在するが、他の部分には存在しなくてもよい。他の実施形態では、中間層116は、存在しなくてもよく、空間30は、内側層114と外側層112との間に直接形成される。
【0024】
内側層114は、外側層112から分離し、離れて移動し、飲料10の熱収縮に適応するように収縮、屈曲、又は別の方法で変形するため、外側層112は、飲料10の熱収縮に起因して、形状を明らかに変形させないか、又は別の方法で変化させないため、ボトル100は、その元の外観を維持する。飲料10の熱収縮によるボトル100内の容積低減の全ては、内側層114によって適応される。一実施形態では、内側層114は、飲料10の熱収縮後であっても、首部126において、(例えば、中間層116を介して)外側層112に取り付けられたままである。いくつかの実施形態では、内側層114は、飲料10の熱収縮後であっても、基部122において、(例えば、中間層116を介して)外側層112に取り付けられたままである。このような取り付けは、内側層114が外側層112から離れて移動した後に、外側層112内の内側層114の位置を維持するのに役立ち得る。以下で更に詳細に考察されるように、いくつかの実施形態では、様々な技術を使用して、内側層114が、外側層112から離れる制御された様式で(例えば、一様に、又は制御されたパターンで)収縮又は屈曲することを確実にし、内側層114の変形、及び内側層114の形状と外側層112の形状との間の対応又は相違を制御された状態にし得る。ボトル100が、初めて開放され、内側層114の内部が、周囲圧力に曝されると、内側層114は、容積が膨張し、外側層112に向かって移動する。
【0025】
このような取り付けは、例えば、ボトル100が形成される際に、内側層114及び外側層112の厚さを制御することによって達成され得る。例えば、首部126及び基部122においてより厚い内側層114を形成することは、剛性を高めることができ、したがって、首部126及び基部122における内側層114が、変形しにくくなり、したがって、熱収縮を受けているときに、それらの位置において外側層112から分離しにくい。この場合、飲料10の全ての熱収縮は、首部126と基部122との間の内側層114の部分によって適応される。いくつかの実施形態では、内側層114は、首部126において、外側層112に取り付けられたままであり、基部122において、取り付けられたままではなく、又は基部122において、取り付けられたままであり、首部126において、取り付けられたままではなく、又は首部126及び基部122の両方において、取り付けられたままである。空間30は、外側層112と内側層114との間の空間である。空間30は、外側層112と内側層114との間に均等に分配されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態及び状況では、空間30は、必ずしも外側層112と内側層114との間に均等に分配されなくてもよい。例えば、ボトル100が直立している場合、空間30は、本体120の周囲で比較的均等であり得るが、ボトル100が横になる場合には、空間は、上方に集中してもよく、なぜなら、飲料10の重量が、ボトル100の下方側の外側層112により近い内側層114に置かれ得るためである。空間30は、ガスで充填されてもよい。いくつかの実施形態では、このガスは、酸素、窒素、及び微量ガスのブレンドである通常の空気であってもよい。他の実施形態では、空間30は、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス、又は任意の他の好適なガス若しくはガス混合物などの、他のガス又はガス混合物で充填されてもよい。
【0026】
例えば、
図1及び
図2に示されるような三層壁において、空間30は、層112、114、及び116のうちのいずれか2つの間に形成されて、外側層112を歪ませずに、したがってボトル100の全体形状を歪ませることなく、熱収縮による内部容積20の減少に適応し得る。例えば、いくつかの実施形態では、内側層112は、中間層116から分離してもよく、一方、中間層116は、内側層114のみが変形するように、外側層114に取り付けられたままである。いくつかの実施形態では、中間層116は、外側層112から分離してもよく、一方、中間層116は、中間層116及び内側層114の両方が変形するように、内側層114に取り付けられたままである。壁110は、説明を容易にするために三層で示され、説明されるが、本明細書に記載される原理は、任意の数の層を有するボトル壁に適用することができる。
【0027】
上記のボトル100のいくつかの利点は、ボトル100が、外側層112内に任意のリブ又はパネルを含まない比較的薄い壁で設計され、飲料10の熱収縮によるボトル100内の容積及び/又は圧力低減によって引き起こされる変形に抵抗又は適応し得ることである。これらの実施形態の別の利点は、空間30が、飲料容器1に絶縁特性を提供し得ることである。熱伝達は、空間30にわたって低減され得、したがって、ボトル100内のチルド飲料10は、より遅い速度で外部温度と平衡に達する。上記実施形態の別の利点は、得られるボトル100が消費者によって「圧搾可能」であり、圧搾中の消費者の手におけるボトル100の審美性及び感触が、圧搾され得る通常のプラスチックボトルのものと比較すると改善されることである。これは、いくつかのプラスチックホットフィルボトルの変形を抑制又は制御するために使用される同じリブ、パネル、及び他の構造もまた、圧搾からの変形に抵抗する傾向があり、ユーザが圧搾するためのボトルを硬質及び扱いにくくし、しばしば、圧搾中に亀裂又はカサカサという音及び感触をもたらす。本明細書に記載されるボトル100の実施形態は、滑らかな外部を有し、最小限の亀裂及びしわを有するか、又は亀裂及びしわがなく、かつ圧搾に対するより低い抵抗を有する。
【0028】
上で考察されるように、内側層114が変形する場合に、外側層112、内側層114、及び中間層116のうちの2つの間の層間剥離が生じて、密封されたボトル100内の冷却飲料10の収縮に適応する。層間剥離を制御することは、様々な方法で達成することができる。例えば、一実施形態では、中間層116のうちの1つ以上は、内側層114の外側層112への取り付けを弱め、それによって、上記のように外側層112からの内側層114の剥離又は層間剥離を促進する剥離材料であってもよい。剥離材料中間層116は、外側層112と内側層114との間に共射出されてもよい(例えば、ボトル100のプリフォームが作り出されているとき)。剥離材料の選択的射出を使用して、外側層112からの内側層114の層間剥離の位置を制御することができる。例えば、剥離材料中間層116は、円筒形本体120に限定されてもよく、これにより、ボトル100のその区域で層間剥離が集中されることになる。
【0029】
代替的に又は追加的に、層間剥離を促進するために、外側層112、内側層114、及び中間層116のうちの2つ以上は、互いに強い結合を形成しない材料から形成されてもよい。このような不適合な材料間の結合の弱さは、上記のように飲料10が冷却及び収縮するときに層間剥離を促進する。ボトル100内の不適合な材料の配置は、ボトル100の様々な区域において、層間剥離を促進又は抑制するように変化させることができる。更に、本体全体にわたる、外側層112、内側層114、及び中間層116の厚さは、様々な位置において、層間剥離を促進又は抑制するように変化させることができる。上で考察されるように、より厚い層は、ボトル100の内側と周囲の大気圧との間の圧力差によって引き起こされる内側の力に抵抗する。したがって、ボトル100の壁のより厚い部分は、より小さく変形し、層間剥離に対してより抵抗性が高い。層のより薄い部分は、対照的に、より厚い部分よりも容易に層間剥離する傾向があり得る。そのため、例えば、肩部124よりも円筒形本体120においてより薄い内側層114を形成することにより、内側層114は、円筒形本体120において、外側層112から(中間層116の有無にかかわらず)層間剥離することができ、ボトル100の肩部124において、層間剥離することができない。
【0030】
代替的に又は追加的に、層間剥離を制御するために、内側層114は、1つ以上の垂直リブ115を含んでもよい(例えば、内側層114の内側表面上に)。
図3に示すように、垂直リブ115は、垂直に配向(例えば、ボトル100の長手方向軸の方向に整列)されてもよい。
図4及び
図5は、それぞれ、熱収縮前後のリブ115を有するボトル100の水平断面図を示す。垂直リブ115は、内側層114の内側表面上に配設されてもよい。実施形態では、垂直リブ115は、内側層114の厚化された区域である。内側層114のより厚い部分(例えばリブ115)が、リブ間の内側層114のより薄い部分よりも小さく変形するため、リブ115における内側層114の厚さの増加は、リブ115における外側層112からの内側層114の層間剥離を低減する。その結果、内側層114と外側層112との間の層間剥離の領域が、リブ115間に形成され、リブ115によって分離される。したがって、リブ115は、リブ115間の領域における層114の層間剥離を促進するように機能する。これらの層間剥離の領域、又はリブ区画32は、リブ115によって互いに隔離されてもよい。このようにして、空間30、したがって内側層114と外側層112との間の容積差は、リブ区画32に選択的に分配されてもよい。
【0031】
実施形態では、リブ115は、内側層114の外周の周囲に均等に離間配置されてもよい(
図4及び
図5を参照)。結果は、ボトル100の周囲のリブ区画32における空間30の均等な分配である。例えば、内側層114の外周の周囲に均等に離間配置された4~8つのリブ115が存在してもよい(例えば、
図4及び
図5に示されるように、6つのリブ115)。実施形態では、リブ115は、内側層114の高さの50%~90%延在してもよい。
【0032】
垂直リブ115は、内側層114の変形を制御するための方法を提供するのに役立ち得る。例えば、内側層114の周囲の均等に離間配置されたリブは、隣接するリブ115間で引き起こされ得る変形の程度を抑制することによって、内側層114の層間剥離が任意の1つの場所に集中する傾向を最小限に抑えるのに役立ち得る。本明細書に記載される技術のいずれかは、層の層間剥離を制御するために、単独で又は組み合わせて使用されてもよい。例えば、内側層114及び外側層112は、弱結合を形成する不適合な材料から作製されてもよく、ボトル100の特定の部分、例えば首部126及び基部122における層112、114、116は、層間剥離に抵抗するのに十分に厚く作製されてもよい。このようにして、層間剥離は、ボトル100の所望の区域、例えば円筒形本体120においてのみ引き起こされるように行われ得る。上で考察されるように、剥離材料の選択的射出を使用して、内側層114と外側層112との間の結合を、所望の場合に、効果的に弱化することによって、外側層112からの内側層114の層間剥離の位置を制御することもできる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ボトル100の外側形状を維持するのに更に役立つために、外側層112は、補強バンド113を含んでもよい(例えば、
図6を参照)。補強バンド113は、外側層112の壁厚が増加された区域であり得る。増加された壁厚は、外側層112の外側表面から径方向外側に延在してもよいか(
図6に示すように)、外側層112の内側表面から径方向内側に延在してもよいか、又は両方向に部分的に延在してもよい。いくつかの実施形態では、径方向内側補強バンド113が好ましい場合がある(例えば、外側層112の平滑な外側表面をもたらすため、及び金型から取り出すことがより容易であり得るため)。
図6に示すように、補強バンド113のいくつかの実施形態は、ボトル100の高さの一定の割合で延在してもよい。例えば、補強バンド113は、
図6に示すように、ボトル100の中心線の近く又はそれに沿って配設され、ボトル100の中心線の上方及び下方に延在してもよい。補強バンド113の厚さ及び寸法は、外側層112の剛性を増大させるように構成されてもよく、したがって、所望の剛性を達成するために、必要に応じて修正されてもよい。補強バンド113の厚さは、補強バンド113が首部126及び基部122に向かって延在するにつれて、徐々にテーパ状になるか、又はより薄くなってもよい。補強バンド113の高さ(すなわち、その上部及び下部テーパ部の延在部間の距離)は、ボトル100の高さの少なくとも50%であってもよい。いくつかの実施形態では、外側層112は、内側層114上に見出されるリブ115と同様の任意のリブ特徴部、又は外側層112の円筒形状を補強するか、若しくは別の方法で変更するように機能する他のパネル特徴部を含まなくてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、ボトル100は、ラベル117を含み得る。
図7に示すように、ラベル117は、ボトル100に保存された飲料に関するブランド又は広告を含んでもよい。実施形態では、ラベル117は、個別に製造され、接着剤及び/又は他の好適な方法の使用を通して、ボトル100の外側表面に固定されてもよい。実施形態では、ラベル117の材料は、外側層112に補強を提供するように構成されてもよい。例えば、ラベル117は、外側層112の剛性よりも高い剛性を有するプラスチック材料から、又は外側層112と接触しているときに外側層112が変形に抵抗するのに役立つプラスチック材料から製造されてもよい。ラベル117のこれらの実施形態は、外側層112に固定されると、外側層112に追加の剛性及び補強を提供することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ボトル100は、ガス導入システム200を含む(例えば、
図8、
図12を参照)。ガス導入システム200は、飲料10が、上昇した温度でボトル100内に充填された後に収縮することにより、空間30の容積が増加するにつれて、空間30に追加のガスを供給するように構成されている。空間30におけるガス圧力の低減がないことは、内側層114が、上記のように、内側に層間隔離及び変形するために、真空力を克服する必要がないことを意味する。いくつかの実施形態では、空間30は、上昇した圧力でガスを含有することによって、外側層112に対して強化及び構造的支持を提供し得る。この構造的支持は、エンドユーザにとって向上された手触りを作り出すことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、例えば
図8に示すように、ガス導入システム200は、外側層112を貫通する一連の通気開口部210を含む。これらの実施形態では、空間30内のガスは、ボトルの外側の大気からの通常の空気である。通気開口部210は、空間30の内側の空気が、空間30の容積が増加するにつれて、大気圧を維持することを可能にする。通気開口部210は、貫通孔が空間30にアクセスすることを可能にする外側層112のどこに位置してもよい。通気開口部210は、例えば、物理的ツール(例えば、ランス又はドリル)によって作製された正確な穿刺によって、又はレーザーによって形成されてもよく、そのような穿刺は、外側層112を通過するのみであり、内側層114を通過しない。いくつかの実施形態では、通気開口部210は、ボトル100のユーザに対するそれらの視認性を低減するように設計され、位置する。例えば、通気開口部210は、ボトル100が水平表面上に配置されたときに視界から見えにくくなるように、基部122上に位置してもよく、又はラベルによって被覆される領域内の本体120上に位置決めされてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、内側層114は、ボトル100が飲料で充填される前に、通気開口部210を被覆又は閉鎖するように構成される。これらの実施形態では、内側層114は、通気開口部210から離れ、したがって空気が通気開口部210を通って空間30に進入することを可能にし、それによって空間30内の圧力を周囲圧力と等しくするように構成され得る。いくつかの実施形態では、通気開口部210は、成形プロセス中に相当な伸縮を経験するボトル100のある領域内に位置してもよく、その領域は、ボトルの他の領域よりも比較的薄い。例えば、通気開口部210は、外側層112の材料が、高い総伸縮率を有する、外側層112の領域に(例えば、伸縮率が、外側層112の材料全体にわたる伸縮率の上位10パーセンタイルにある、外側層112の領域に)位置してもよい。例えば、高温飲料でのボトル100の充填によって引き起こされる、内側層114の加熱(例えば、そのガラス転移温度に近づき、場合によっては越える)時に、通気開口部210を被覆する内側層114の材料の薄層は、収縮し、次いで通気口210を破断開口してもよい(例えば、材料の加熱によって引き起こされる通気開口部210を取り囲む材料の熱配向反転に少なくとも部分的に起因する)。この制御された破断は、通気開口部210を取り囲む、外側層112及び内側層114の厚さを選択することによって微調整され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、代替的に又は追加的に、内部容積20内の圧力変化は、内側層114を、通気開口部210から離れて内側に移動させることができ(例えば、圧力変化、例えば熱収縮に起因して、内部容積20内で)、それによって通気開口部210を破断開口する(例えば、内部容積20とボトルの外側の大気との間の閾値圧力差に達したとき)。この圧力差は、ボトル100が高温飲料で充填された後の内側層114の収縮によって引き起こされてもよいか、又はボトル100に適用される外部真空源によって引き起こされ得る(例えば、ボトル100が充填される前)。
【0039】
いくつかの実施形態では、飲料10の冷却が完了した後、通気開口部210は、密封又は被覆されてもよい(例えば、通気開口部210の周囲に付着されたラベルの適用によって。
【0040】
いくつかの実施形態では、通気開口部210は、ボトル100の上部付近(例えば、首部126内)に配設されてもよい。
図9は、2つのプリフォームの断面図を示す。内側プリフォーム300(内側層114に対応)、及び外側プリフォーム400(外側層112に対応)。通気開口部210の例は、
図9において、内側プリフォーム300と外側プリフォーム400との間に作り出される。いくつかの実施形態では、内側プリフォーム300は、外側プリフォーム400の通気構造体216と嵌合して、内側プリフォーム300及び外側プリフォーム400が一緒に組み立てられたときに通気開口部210及び対応する通気路212を形成する通気構造体214を有する(
図11を参照)。
【0041】
また、
図9で視認可能であるのは、内側プリフォーム300の内壁上のリブ115である。
図10A及び
図10Bは、それぞれ、
図9の内側プリフォーム300及び外側プリフォーム400の上面図である。通気開口部210は、
図10Bにおいて視認可能である。いくつかの実施形態では、ボトル100は、各一対のリブ115の間に少なくとも1つの通気開口部210が存在するように、径方向に整列された内側プリフォーム300及び外側プリフォーム400から形成されてもよく、したがって、各一対のリブ115の間の空間は、少なくとも1つの通気開口部210を通って通気される。これは、上で考察されるように、内部真空に曝されるときに、完成したボトル100の内側層114と外側層112との間の空間30の均等な分配を促進するのに役立ち得る。
【0042】
例えば、
図9及び
図10A~
図10Bに示されるように、各一対のリブ115の間の空間30に対応する単一の通気開口部210が存在してもよい。一例として、等しい数のリブ115及び通気開口部210(例えば、
図9及び
図10A~
図10Bに示されるように、各々の6つ)を有する実施形態では、外側プリフォーム400及び内側プリフォーム300は、各通気開口部210が2つの隣接するリブ115の間に配設されるように、共有中心軸を中心に回転整列されてもよい。
図9及び
図10A~
図10Bに示される実施形態の通気経路212は、
図11に例示されており、
図11は、それらが組み立てられた時点の
図9のプリフォームの上部の断面図であり、この断面は、組み立てられた外側プリフォーム400及び内側プリフォーム300の共有中心軸を中心に、互いに向かい合って配設された通気開口部210を通る。明らかなように、通気経路212は、リブ区画32を周囲雰囲気に接続する。
【0043】
いくつかの実施形態では、通気孔は、開口部128により近い外側層112から出ることができ(例えば、ねじ山を通って、ねじ山の間を、開封明示形成部を通って、フランジを通って)、したがって、キャップ130がボトル100上にねじ込まれたときに、キャップ130によって被覆される。
【0044】
いくつかの実施形態では、例えば、
図12に示すように、ガス導入システム又は機構200は、代替的に又は追加的に、層間剥離することになる層の間に配設されたガス生成器220を含んでもよい。ガス生成器220は、トリガイベントが発生すると、ガスを生成するように設計されている。例えば、トリガイベントは、空間30内の圧力が、特定の閾値を下回る(例えば、上記のように飲料10の熱収縮に起因して)ときであってもよい。トリガイベントはまた、温度の変化(例えば、上記のように飲料10の冷却によって引き起こされる)であってもよい。いくつかの実施形態では、ガス生成器220は、化学反応を通じて、ガスを生成し得る。化学反応のための基礎材料は、空間30内に位置してもよく、いくつかの実施形態では、材料は、層112、114、116のうちの1つの表面に取り付けられ(例えば、外側層112の内側表面に取り付けられ)てもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、外側層112は、ガス導入システム200として機能するように構成されてもよい。例えば、外側層114は、必要に応じて、ガス粒子が、空間30に進入及びそこから出ることを可能にするように構成されてもよい。外側層112は、例えば、多孔質材料から作製されてもよく、それは、外側層112が形成されるプラスチック材料にキャビテーション添加剤を添加することによって形成され得る。このようにして、空間30内のガス圧力は、外側層112の外側に見出される周囲ガス圧力と等しくなり得る。
【0046】
ボトル100の実施形態は、いくつかの異なる方法を使用して製造することができる。単一のプリフォーム方法では、外側層112、内側層114、及び任意の中間層116のプラスチック材料は、プリフォーム金型に同時に射出される。層の射出後、プリフォームを適切な形状の雌型に挿入し、加熱された空気をプリフォームに吹き込むことによって、得られたプリフォームを所望のボトル形状に膨張させることができる。多段のプリフォーム方法では、少なくとも外側層112及び内側層114は、別個のプリフォーム金型を使用して製造される。次いで、内側層114は、外側層112に挿入される。次いで、内側層114及び外側層112は、接着剤又はプラスチック溶接を含む任意の好適な方法によって、互いに固定される。
【0047】
飲料の冷却の間の飲料容器の変形を制御する方法は、高温飲料でボトル100を充填することと、ボトル100を密封することと、を含む。飲料が冷却されるにつれて、飲料は、冷却時に熱収縮を受ける。少なくとも内側層114は、外側層112から分離し、したがって、内側層112は、ボトル100の層のうちの外側層114から離れて内側に移動して、飲料の熱収縮に応答して、ボトル100の内部容積を低減させる。
【0048】
本開示の幅広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲、及びそれらの等価物に従ってのみ定義されるべきである。