(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】モーター駆動を備える全方向移動表面
(51)【国際特許分類】
A63B 22/02 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
A63B22/02
(21)【出願番号】P 2021543978
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 US2019054371
(87)【国際公開番号】W WO2020106369
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522053724
【氏名又は名称】オムニパッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(73)【特許権者】
【識別番号】521141626
【氏名又は名称】ニール エプスタイン
【氏名又は名称原語表記】EPSTEIN, Neil
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ニール エプスタイン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド カーマイン
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6743154(US,B2)
【文献】国際公開第2018/046077(WO,A1)
【文献】米国特許第7780573(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0224521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0132910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0048722(US,A1)
【文献】米国特許第11213732(US,B2)
【文献】米国特許第11173364(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1ボール軸受、
前記複数の第1ボール軸受の位置を設定するスピンドル、
前記複数の第1ボール軸受を包み込む内袋、及び、
前記内袋を支持するように前記内袋の周りで断続的に固定される複数の全方向ホイール、
を備え、
前記複数の第1ボール軸受は前記スピンドルの周りで輪を形成する、
全方向移動面システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記内袋と仮想現実手段とを接続するインターフェースをさらに備える、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記スピンドルは、ユーザーの体重を支持する上部を有する、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記スピンドルの前記上部は凸型である、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記内袋を保持する複数の第2ボール軸受をさらに備える、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記内袋によって包み込まれ、かつ、前記複数の第1ボール軸受と接する粘性物質をさらに備える、システム。
【請求項7】
請求項
2に記載のシステムであって、前記内袋と接して前記内袋と前記仮想現実手段との間の前記インターフェースとして機能するトラックボールをさらに備える、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記内袋は弾性の回転楕円体である、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記内袋はモンプレン材料を含む、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記内袋はゴムを含む、システム。
【請求項11】
請求項6に記載のシステムであって、前記粘性物質は流体シリコーンである、システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のシステムであって、高さと傾斜を変更する機構を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年10月2日に出願された米国仮特許出願62/740,008および2018年12月11日に出願された米国仮特許出願62/777,944の利益と優先権を主張する。これらの特許出願の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
OmnipPadは、ユーザーが任意の方向に歩行、ジョギング、走行することを可能にするモーター駆動全方向トレッドミルである。前記トレッドミルがコンピュータより生成された没入環境に結合されるときに、ユーザーは、無限の広がりと範囲を持つ360°VR環境全体にわたって自分の脚で自分の進みたい道を進むことが可能となる。
【0003】
OmnipPad(商標)は、仮想現実没入環境で用いられることに特化した全方向運動入力装置である。OmnipPad(商標)は、OmnipPad環境の基本構成要素である。
【0004】
OmnipPadは多くの部品の部分組立品で構成される。本明細書は、OmnipPadの動作と構成要素についての一般的な説明を与える。本明細書の各章は、本願の基礎を構成する1つ以上の発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本発明の様々な実施形態による全方向トレッドミルの等角図を表している。
【
図1B】本発明の様々な実施形態による全方向トレッドミルの断面図を表している。
【
図1C】本発明の様々な実施形態による
図1Bの断面図の詳細な図を表している。
【
図2】本発明の様々な実施形態による運動面を表している。
【
図3】本発明の様々な実施形態による軸受支持システムを表している。
【
図4】本発明の様々な実施形態によるモーター駆動システムを表している。任意のモーター駆動システムは、回転トレッド面の駆動及び/又は回転を支援するように構成される。
【
図5】本発明の様々な実施形態によるスマートトレッド設計を表している。任意でトレッド面の生地(構造)は、シングルスキンのトレッドを実装するのではなく、回転トレッド面の電気的多面体集合体を用いてリアルタイムで領域によって硬くする、あるいは柔らかくしてよい。
【
図6】本発明の様々な実施形態によるスマートトレッド設計を表している。鉄系のトレッド材料は、磁気運動システムの一部として機能するように設計される。磁気運動システムは、スピンドルシステム全体を運動させることで運動トレッド面の回転を容易にすることを可能にする。
【
図7】本発明の様々な実施形態による鉄系トレッド材料の極性を表している。図は、磁気浮揚システム内部の鉄系トレッド面の極性の配置の典型的な例示を含む。
【
図8】本発明の様々な実施形態による他の鉄系トレッド材料の配置を表している。鉄系トレッドの第2用途は弾性トレッドと内部運動との間での摩擦を磁気的に減少するためで、鉄系トレッドの第2用途も対向する極性で磁化されている。
【
図9A】本発明の様々な実施形態によるトレッド面の多面体配置を表している。シングルスキンのトレッドの実装ではなく回転トレッド面の多面体集合体は利点を有する。多面体トレッド集合体には任意で、個々の部品への応力を減少させ、かつ、摩擦熱を回転トレッドの内部から解放するため、集合体を構成する各区分内に穴が設けられる。
【
図9B】本発明の様々な実施形態によるトレッド面の多角形配置を表している。シングルスキンのトレッドの実装ではなく回転トレッド面の多角形集合体は利点を有する。多角形トレッド集合体には任意で、個々の部品への応力を減少させ、かつ、摩擦熱を回転トレッドの内部から解放するため、集合体を構成する各区分内に穴が設けられる。
【
図10】本発明の様々な実施形態によるばねヒンジを表している。図は、各区分が運動中の内側プラットフォームの側部の周りで運動する際に、多面体部品間での曲げと伸長を可能にするばねヒンジを含む。
【
図11A】本発明の様々な実施形態による単層トレッド面を表している。本実施形態では、シングルスキンの回転トレッド面を採用しており、シングルスキンは、内側トレッドの摩擦防止要件に適合する複数の層を備え、同時に、運動が行われる外側トレッドの滑り防止要件にも適合している。
【
図11B】本発明の様々な実施形態による多層トレッド面を表している。本実施形態では、シングルスキンの回転トレッド面を採用しており、シングルスキンは、内側トレッドの摩擦防止要件に適合する複数の層を備え、同時に、運動が行われる外側トレッドの滑り防止要件にも適合している。
図11Bは多層シングルスキンの回転トレッド材料の拡大切断図を含む。
【
図12】本発明の様々な実施形態による多層トレッド面の平面図を表している。図は多層シングルスキンのトレッド面を含む。内側層は必ずしも結合される必要はない。
【
図13】本発明の様々な実施形態によるトレッド内の空気流を表している。ベローズ又はエアホッケーテーブルと同様に内側運動面上での摩擦を減少させるための回転トレッドの空気浮揚である。
【
図14A】本発明の様々な実施形態によるトレッド内の空気流を表している。磁気浮揚ステムに関する記載は以下の通りである。1)トレッド材料は鉄の特性を有し、内側運動面は反対の極性の永久磁気作用すなわち電磁気作用を有するので、内側面からエラストマートレッドを上昇させることで摩擦を最小にし得る。2)内側運動プラットフォームは磁気作用を出し、装置の基部から出る磁気作用は反対であるので、磁気浮揚を介してスピンドルシステム全体を上昇させることによって下に設けられているローラーでの摩擦を最小にし得る。
【
図14B】本発明の様々な実施形態による
図14Aのトレッドの詳細な図を表している。図は磁気トレッドの切断拡大図と反発する内側運動面の磁石を含む。
【
図15】本発明の様々な実施形態による内側運動面を表している。ボールベアリングは球状の内側運動面を構成する。それにより回転楕円トレッドが自由に運動することが可能となる。
【
図16】本発明の様々な実施形態によるボールベアリング装置を表している。
【
図17】本発明の様々な実施形態による適合されたボールベアリング装置を表している。
【
図18】本発明の様々な実施形態によるベアリング保持装置集合体を表している。
【
図19】本発明の様々な実施形態による複数のモーター駆動体を含むローラー組立体を表している。
【
図20】本発明の様々な実施形態による他のローラー組立体の詳細を表している。
【
図21】本発明の様々な実施形態による磁気的に運動するスピンドルを表している。
【
図22】本発明の様々な実施形態による磁気浮揚システムの断面図を表している。図はスピンドルとスピンドル支持システムの両方を含む。
【
図23A】本発明の様々な実施形態による他の磁気浮揚システムを表している。
【
図23B】本発明の様々な実施形態による他の磁気浮揚システムを表している。さらに
図23Bは、本発明の様々な実施形態によるスピンドルとスピンドル支持システムの両方の詳細と極性の配置を表している。
【
図24】本発明の様々な実施形態による他のスピンドル支持システムの断面図を表している。
【
図25】本発明の様々な実施形態による
図24Aの破線で囲まれた部分の詳細を表している。
【
図26】本発明の様々な実施形態による
図24Aの破線で囲まれた部分の詳細を表している。
【
図27】本発明の様々な実施形態による全方向ホイールスピンドルの支持配置を表している。様々な実施形態では、全方向ホイールスピンドルの支持配置と、装置の基部に断続的に固定される全方向ホイール装置は、トレッド面が任意の方向で自由に回転することを可能にするのと同時にスピンドル部を支持する。
【
図28】本発明の様々な実施形態による区分化された運動プラットフォームを表している。区分化された隙間のない(solid)内側運動プラットフォームは、球状の回転トレッドの内部でぴったりと内側プラットフォームを適合させる目的で全方向に等しく外側へ向かって広がる。装置の初期の組立だけではなく回転トレッドに適合させるための周期的な調節にも有用である。区分された部分は、遠隔制御によって始動され、かつ、無線充電機構によって給電可能な油圧システムを介して拡張してよい。
【
図29】本発明の様々な実施形態による注入システムを表している。球状運動トレッドへの物質の注入は固化し、かつ、運動面内へ入り込んで形成可能である。
【
図30】本発明の様々な実施形態による内側運動トレッド駆動システムを表している。図の内側運動トレッド駆動システムでは、支援又は駆動モーターが無線で制御され、かつ、誘導充電によって給電される。
【
図31】本発明の様々な実施形態による駆動システムの断面図を表している。
【
図32】本発明の様々な実施形態によるオムニホイールの適合した状態を表している。ベアリングブロック同様に装置の静止基部の周囲で断続的に固定されるようなオムニホイールすなわちメカナムホイールの適合では、これらのホイールは、回転環状トレッド面を支持すると同時に安定化させながら、回転トレッドを任意の方向に動かすことを可能にする。
【
図33】本発明の様々な実施形態による
図32の断面図を表している。
【
図34】本発明の様々な実施形態による全方向モーターを表している。全方向モーターの例はモーター駆動システムを含む同様の一連のモーターの一部である。全方向モーターは、装置の基部の周りで断続的に固定されることで、仮想環境中及び装置上でのユーザーの位置を記述するリアルタイムデータに基づいて、回転トレッド面の運動を駆動及び/又は支援する。
【
図35】本発明の様々な実施形態による駆動システム内での全方向モーターの使用を表している。
【
図36】本発明の様々な実施形態による
図35のシステムの断面図を表している。
【
図37】本発明の様々な実施形態によるモーター駆動システムを表している。2つのモーターがボールを駆動するモーター駆動システムのオプションは、トレッドの回転を支援及び/又は駆動するために回転トレッド面と接触する。この選択肢は、
図6.4で説明されるモーター駆動オプションと併用されてよい。
【
図38】本発明の様々な実施形態によるボール移送配置を表している。
【
図39】本発明の様々な実施形態による全方向トレッドミルの複数の図を表している。運動追跡システムの設置及び配置のオプションも図示されている。そのオプションは、リアルタイムでのユーザーの運動データをVR環境とモーター駆動システムの両方(と傾斜及び変化する表面ロボットプラットフォーム(Tilting and Varying Surface Robotic Platform))へ中継する。このシステムの組み合わせは予測人工知能を実装する。装置は生体運動解析に基づいてユーザーの運動を予測しようとして、もl-ターク同システムはユーザーを環状運動面の中心に維持しようとすることで応答する。予測人工知能と運動追跡の他の利用には、ユーザーの仮想環境への改善されたインターフェースが含まれる。
【
図40】本発明の様々な実施形態による傾斜全方向トレッドミルを表している。
【
図41】本発明の様々な実施形態による傾斜全方向トレッドミルを表している。側面図が示された下に位置する傾斜ロボットプラットフォームオプションは、仮想環境でのユーザーの位置にリアルタイムで応答する。ユーザーがVR環境中で傾斜に遭遇したとき、プラットフォームつまり運動面は、上へ向かって丘を歩く又は走る状態を模擬するためにユーザーが動いている方向の上方に傾斜する。逆のことはVR環境中での下り坂を模擬する場合に当てはまる。側面図が示された表面が変化するプラットフォームは、
図8.2に記載された傾斜機構と協働し得る。このオプションは仮想環境中での高い位置への変化、上昇、及び下降を模擬する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
【0007】
トレッド:トレッドは、人が歩いたり走ったりすることで動き出し得るような、可撓性を有して耐久性に優れたシリコーン、EPDM、天然ゴムなどのゴム状の素材を使って製造される。トレッドは1つの球体のような形で製造される。よってトレッドはスピンドル全体に巻き付けられることで、スピンドルとベアリングを完全に包み込む。この材料は、スピンドルの周りで360度方向を変えることができるのに十分な可撓性を有する。
【0008】
スピンドル―歩行プラットフォーム:スピンドルの厚さは約200mm、直径は約1~2mである。上面は、操作時にユーザーを支持するように設計される。
【0009】
端部軸受:端部軸受は、トレッド(内袋)がスピンドルの周りで回転する際のトレッド(内袋)の摩擦を減少させる。軸受は、内袋を自由に360°移動可能にする。
【0010】
ボビン:
図2を参照する。以降で示されているように、ボビン組立体は、トレッド(内袋)、スピンドル、端部軸受、及び潤滑剤の組み合わせである。ボビン組立体は、ユーザーが仮想環境中に存在すること、及び、あたかも自然の世界にいるかのように移動することを可能にする。この組立体は支持軸受ブロックによって支持される。
【0011】
支持軸受ブロック:
図3を参照する。軸受支持システムは、以降で示されるようにボビン組立体が(ほとんど)摩擦なしで動くことを可能にする。このシステムは、動作中にボビンを支持し、負荷を基部システムへ伝える。
【0012】
モーター駆動システム:
図4を参照する。モーター駆動システムは、ユーザーの自然な運動を支援し、かつ、運動のジェスチャーを仮想環境へ中継するのに用いられる。これは以降で示されるようにリアルタイムで更新する。
【0013】
トレッド材料:トレッドは、人が歩いたり走ったりすることで動き出し得るような、可撓性を有して耐久性に優れたシリコーン、EPDM、天然ゴムなどのゴム状の素材を使って製造される。トレッドは1つの球体のような形で製造される。よってトレッドはスピンドル全体に巻き付けられることで、スピンドルとベアリングを完全に包み込む。この材料は、スピンドルの周りで360度方向を変えることができるのに十分な可撓性を有する。トレッドは、連続する表面でスピンドル全体に巻き付けられることで、スピンドルとベアリングを完全に包み込むように製造される。
【0014】
スマート適応性トレッド材料:スマート適応性トレッド材料は、電圧、電場、電流、又は磁場が印加されるときに材料の特性をリアルタイムで変化させる。電圧、電流、又は電磁場が表面の特定の領域に印加されるとき、その領域の材料の特性は変化する。たとえば電流又は電磁場が材料に印加されることで、材料はその局在化された領域でのみより可撓性を有するかあるいは剛性を有するようになる。
図5を参照する。領域1は歩行領域、駆動領域、又は、可撓性領域である材料領域2での滑り若しくは歪みを制限する支持領域、剛性領域である。
【0015】
鉄系トレッド材料:ボビン支持体。
図6と
図7参照。現在、磁気軸受は、ターボ分子ポンプや磁気浮上列車などの産業用途で一般的に使用されている。鉄系トレッド材を使用することで、全方向の運動面が磁気的に分極され、磁力や電磁力を引き寄せたり反発させたりすることができる。これにより、トレッドはボビン組立体を磁気的に浮上させることができる。
図7では領域1は磁気的に分極されたトレッドで、領域2は磁気運動軸受ブロックである。
【0016】
摩擦の減少:
図8を参照すると、鉄系トレッド材料のもう一つの用途は、スピンドルから離れて懸架されることで、摩擦力を低下させることである。磁気的な反発力とトレッド自体の弾性を利用して、トレッドはスピンドルから離れて小さな隙間を作ることで、スピンドルとトレッドの間の摩擦を低下させる。
図8では、領域1は負に帯電した外側の表面で、領域2は正に帯電した内側トレッドの表面で、領域3は正に帯電した外側のスピンドルの表面である。
【0017】
ゴールドバーグ多面体トレッド材料:
図9A参照。内袋の他の実施形態には離散的な区分が含まれる。これらの区分は、典型的には六角形または五角形の多面体の形状をしており、これらの多面体は端部で連結されて球体を形成している。
【0018】
ゴールドバーグ多面体球に使用される多角形区分は、可撓性材料で作られる。個々の多角形要素は、任意の方向に、任意の平面方向に元の寸法の150%以上伸びる必要がある。そのためには、熱可塑性のゴムやエラスタン(スパンデックス)のような伸縮性のある素材が考えられる。
【0019】
ゴールドバーグ構造は六角形と五角形を使用している。平行四辺形などの他の利用可能な幾何学形状もある。これらの代替構造はゴールドバーグ多角形ではない。
【0020】
図9-Bおよび
図10を参照すると、ゴールドベルグ・セグメントのさらなる改良点は、穴のパターンを含めることである。穴を含めることで、同じ歪みであれば、より低い材料応力で構造体を伸ばすことができる。これらのパターンは、サッカーボールのように六角形や五角形で作られている。エラストマーの形状は、隙間を埋めるように伸長する。ばねヒンジピンは、ヒンジライン上で曲げることを可能にする。
【0021】
多層スキントレッド:
図11-Aおよび
図11-Bを参照すると、多層スキントレッドは、異なるトレッド素材、コーティング、テクスチャの薄い層を使用し、それぞれの異なる層に特定の特性を有する。内側層はスピンドルの表面で滑るため、テフロン(PTFE)コーティングのような極めて低摩擦である必要がある。外側層は、ユーザーの足の表面とモーター駆動部がトレッド面を任意の方向に動かすことができるように、より高い摩擦すなわち牽引力を有することが必要である。各層の内側面と外側面は、接着されていてもいなくても構わない。複数の薄い層を重ねることで、より強いトレッドを作ることができ、またボビン部全体の組み立てを容易にする。
【0022】
図12を参照すると、様々な実施形態において、層は互いに接着されていてもいなくてもよく、層は同じ材料または材料特性であってもいなくてもよく、任意で内側層は接着または封止されていなくてもよい(以下の領域1~4)。外側層は、ユーザーの足や履物との摩擦を考慮して選択されてよい。内側層は、支持構造に対するトレッド面の動きの摩擦を低減するために選択されてもよい。したがって外側層(例えば、層5)は、内側層1よりも大きな摩擦係数を有してもよい。
【0023】
摩擦低減システム:スピンドルとトレッドの間の表面は、非常に高い摩擦力がかかる場所である。これらの摩擦力を低減するために、本願出願人等はさまざまな代替方法を設計してきた。高摩擦力に対する基本的な解決策は、テフロン(商標)(またはPTFE)のような低摩擦層の採用であるが、他の解決策も利用可能である。
【0024】
空気軸受:
図13を参照すると、空気軸受スピンドルは、エアホッケーテーブルと同様のコンセプトを採用している。エアホッケーテーブルは、小さなエアジェットを使って表面上のパックを浮かせる。空気軸受スピンドルは、多孔質のスピンドル表面を有するか、エアジェットを使ってスピンドル表面からトレッド素材を分離する。これにより、摩擦を最小限抑制又は除去することができる。下の画像の矢印は、空気の流れがトレッド/内袋に力を加えていることを表している。この駆動力により、トレッドはスピンドルから離れて風船のように膨張することで、2つの要素の間の摩擦を低下させる。
【0025】
磁気浮揚:磁気的に分極されたトレッド材料と永久磁石または電磁石を利用することで、トレッド材料をスピンドル表面上に浮上させることができ、トレッドとスピンドルの接触を最小化または除去し、摩擦力を低減または除去することができる。
【0026】
図14-Aおよび14-Bを参照すると、領域1は磁気的に分極されたトレッドで、領域2は永久的または電磁的なスピンドルで、領域3は電磁的なスピンドルのためにスピンドルに供給される誘導電力で、領域4ではトレッドの外面は内面と反対の磁力を有する。領域5では、トレッドの内面はスピンドルとは異なる極性を有して、スピンドルからトレッドを分離させる。これは、スピンドルとトレッドの間の摩擦をなくす(または最小限にする)ためである。エリア6=スピンドルの磁石は永久磁石でも電磁石でもよい。電磁石は、携帯電話のワイヤレス充電のように、誘導性のパワーコイルで駆動することができる。電磁石の制御は無線通信で行われる。
【0027】
乾式と湿式の潤滑剤乾式および湿式の潤滑剤は、トレッドとスピンドルの間の摩擦を減らすために使用される。これらの潤滑剤は、摩擦によって生じる熱エネルギーの一部を放散するためにも使用される。
【0028】
図15と
図16を参照すると、これは軸受の転がり接触部に運動を伝達する際に、端部の摩擦を減らすための最も簡単な手段である。ボール、ローラー、またはローラー+ボールを外側に配置して、この作業が行われる。上面では、全方向ローラーを並べて表面を形成することで実現されてよい。全方向ローラーは、多くのフットコンタクトポイントを持つ表面を形成するのに十分な大きさである必要があるが、合理的なサイズの軸受を採用するのに十分な大きさである必要がある。
【0029】
図17を参照すると、領域1は端部ボール軸受、領域2は端部軸受内部に埋め込まれた磁石で、領域3はボール移送基部内部に埋め込まれた磁石で、エリア4は循環型軸受である。
【0030】
図18を参照すると、領域1は端部ボール軸受で、内袋(トレッド)と接触するメインボールの後ろに小さなボール軸受を備えるボール移送部に類似し、領域2は軸受保持部(要求されなくてもよい)で、領域3はスピンドルである。
【0031】
ローラーボールソケット部:
図19を参照すると、OmniPadの外周に沿った動きが連続的に変化する。運動ベクトルは、垂直方向と水平方向の両方の動き結合である。これは、垂直方向の動きに回転面を提供する最も簡単な方法である。側面に沿った水平方向の動きは、低摺動摩擦または軸受に支持されたローラーに依拠必要がある。
【0032】
図20の断面から、活性表面を環状に囲む反復軸受部が見える。この実施形態では、ボール付きのセンターローラーが見える。さらに詳しく見ると、ローラーは中央のボールベアリングに取り付けられており、垂直方向の内袋の力を高効率で伝える。ボールはカップに取り付けられており、カップも軸受に取り付けられている。
【0033】
これらの部材をOmniPadの外周に重ねると、それぞれのボールが次のボールのソケットに収まるようになっている。さらに、各ボールは2つのソケットで保持されており、それぞれのソケットには軸受が付いている。ボールは比較的自由に回転するが、取り付け角が存在するため軸受カップとの摩擦が生じる。区分が分離しているので、垂直方向の運動ベクトルが変化し、摩擦による運動ではなく、軸受による運動を最大にすることが可能となる。この型の反復部はOmniPadの外側から駆動される。
【0034】
図20を参照すると、ボールマウントを確実に維持し、ローラー区分の干渉を避けるために、上記の設計は、直線と曲線のローラー区分を採用している。この設計では、従来通り、内部または外部で駆動可能である。利点:部品点数が少なく、駆動面が多くなり(内部駆動の場合)、ローラーの直径が大きくなることに起因する内袋の応力が少なくなる可能性がある。
【0035】
図19では、領域1はローラーの表面で、領域2はローラー間の自由な移動を可能にするボール軸受で、領域3は任意のモーター駆動システムで、領域4はローラーの取り付けブラケットである。
【0036】
図20では、領域4はボール軸受で、領域5は外側ボールローラーカップで、領域6は内側ローラーで、領域7は軸受で、領域8は任意のモーター駆動ベルトである。
【0037】
トレッド支持システム:
図3を参照すると、軸受支持システムによって、ボビン組立体は(ほとんど)摩擦なしに動くことが可能となる。このシステムは、動作中のボビンを支持し、負荷を基部システムに伝える。
【0038】
磁力浮揚スピンドル:現在、磁気軸受は、ターボ分子ポンプやリニアモーターカーなどの産業分野で広く使用されている。磁気浮揚式軸受は、他の製品で使用されている技術を活用し、永久磁石や電磁石を用いてボビン組立体を非接触で浮揚させる非接触型の軸受システムである。
図21、
図22、
図23-A、
図23-Bを参照すると、磁気浮揚式軸受支持体は、接触式軸受が生み出す機械的な摩耗を排除し、摩擦を除去することができる。OmniPadでは、ボビン組立体の内部で永久磁石を使用し、軸受ブロック内で電磁石を用いる。
【0039】
図23-Aでは、領域1はスピンドルに埋め込まれた永久磁石で、領域2は永久磁石または電磁石である。
図23-Bでは、領域1は磁気的に分極されたトレッドで、領域2は磁気浮揚式軸受ブロックである。
【0040】
ボール移送軸受ブロック:
図24、25、26を参照すると、ボール軸受はボビン組立体をスラスト軸受で支えることで、低摩擦での荷重の伝達を可能にする。下図は、ボール軸受ブロックとボビン組立体の垂直方向および軸方向の荷重の関係を示している。最低3個の軸受ブロックが必要だが、下の画像では4個の軸受ブロックが使用されている。これらの図では領域1は軸方向での荷重と動径方向での荷重を支えるように構成されたボール移送部である。モーター駆動部はボール移送部に組み込まれてよい。
【0041】
全方向ホイール:
図27を参照すると、標準タイプの全方向ホイール(図示)またはメカナムホイール型の全方向ホイールは、スピンドル組立体を支持して安定させるのに用いられる。完全な安定性を得るためには、3つよりも多い接触点が必要であるが、図では6つの接触点が描かれている。支持ノードには、底部用に1つとトップ用に1つのホイール対が必要である。これらのホイールのいずれかまたは両方に電源を入れ、表面の動きを制御することができる。
【0042】
他の駆動機構と同様に、ローラーの駆動速度を決定するのは、ローラーの接触点での表面速度ベクトルである。全方向ホイールは、駆動軸に直交するホイールの平面内でのみ駆動するというユニークな特徴を有する。他のすべての運動はローラーを通過する。所与の地点での駆動速度は、ローラーが処理可能な運動ベクトルだけ回転及び駆動することで達成される。
【0043】
図27を参照すると、システムは3~8対の支持ホイールによって中心線の上下45度で支持されている。これらの支持ホイールは、トレッドを駆動するためにタンデムで使用され得る。
【0044】
スピンドル:スピンドルは、ユーザーが操作するための剛性の高い表面を提供するとともに、端部軸受用の支持構造を提供する。スピンドルの厚さは約200mmで、直径は約1~2mである。上面は操作時にユーザーを支持するように設計されている。
【0045】
実際の製造現場ではボビン組立体を組み立てるのが難しいため、この問題の解決策を検討することになった。このことをより理解するために、ディスク(スピンドル)をトレッド(内袋)に挿入し、内袋を非常に高い荷重がかかるように伸長することで、しわやバンチングを除去して、力を全体に均等に分散させることが必要である。
【0046】
隙間のないまたは区分化されたスピンドル:
図28を参照すると、区分化されたスピンドルは、硬い隙間のないスピンドルで、内袋内で組み立て可能なように分割する。組み立てられたスピンドルは、手動または自動で適切なサイズと形状に拡張される。一部の実施形態では、内袋にスピンドルを組み立てるのを容易にするため、隙間のないスピンドルをより小さな部分に分割される。任意でラチェット装置が、内袋内部で組み立てられたスピンドルを拡張するのに用いられる。
【0047】
位置合わせ機能
【0048】
膨張式スピンドル:膨張式スピンドル(
図29の領域1参照)は、組立工程でスピンドルを内袋の小さな開口部に挿入することを可能にする。その後、スピンドルに媒体(気体または液体)が充填されることで、荷重(軸受およびユーザーの体重)が適切に支持・管理されるようにスピンドルを硬くする。この材料の大きな要因の一つは、低い摩擦係数である。
【0049】
駆動システム:全方向式トレッドミルの駆動は、内部または外部のモーターによって実現され得る。その駆動システムはトレッドミルが受ける高い摩擦力を克服するために不可欠である。これらのモーターは、トレッドミル上に立っているユーザーの動きを検出するセンサーに反応する回路によって制御される。その回路は、ユーザーが歩く又は走ることによって様々な方向に移動する際に、ユーザーがトレッドミルの中央に位置するように構成されている。
【0050】
内蔵型駆動部。
図30を参照すると、この反復部は、駆動スプロケットをローラーの中央に配置し、駆動ベルトを内部に通す。分離した部分が繰り返されているのがわかる。前述したように、ボールは自由に回転するソケットに取り付けられている。図には示していないが他の変形例は、中央の4つのローラーセグメントを1つに接続して、前述のデザインのようにボールカップの下に軸受を配置する。その変形例では、端面をより多く駆動させるが、垂直方向の摩擦せん断力が大きくなる。
【0051】
図31を参照すると、領域1はローラー表面で、領域2はローラー間の自由な動きを可能にするボール軸受で、領域3はモーター駆動システムで、領域4はローラー取り付けブラケットである。
図20-Bを参照すると、領域4はボール軸受で、領域5は外側ボールローラーカップで、領域6は内側ローラーで、領域7は軸受で、領域8はモーター駆動ベルトである。
【0052】
全方向ホイール:
図32と
図33は、6つの外付け全方向ホイールが面を駆動する様子を表している。下部の全方向ローラーはサーボモーターに接続されている。各全方向ローラーは、接触点の接線方向の運動ベクトルのみを駆動する。ローラーの構造上、接触点を横切る方向の動きは通過する。上部の全方向ローラーは、通常、OmniPadを3D空間に完全に拘束するように機能する。さらに、上部のローラーは、駆動ローラーの接触力を高めるために使用され得る。理論的には、すべての上面の動きのベクトルを処理するには3つのドライブローラーしか必要とされない。
【0053】
駆動ホイール:
図35を参照すると、単純な駆動システムは、ボビン組立体の下に取り付けられた一連のモーターからトレッドを駆動できる。
図36の等高線図を参照して欲しい。これらのモーターは、任意の方向での運動が可能なように回転テーブルに取り付けられる。以下の画像は、トップユーザーの表面への悪影響を最小限に抑えながらトレッドを動かすために同期された4つのモーターを持つモーターシステムを示している。
図34では、回転テーブル上に単純なモーターとホイールを置いた駆動システムが表されている。領域1は主駆動ホイール用のモーターとエンコーダで、領域2はテーブル回転用のモーターとエンコーダで、領域3は主駆動ホイールで、スピンドルの周りにトレッドを移動させるのに使用され、領域4は回転テーブルで、領域5はモーターベースである。
【0054】
ボール移送駆動システム:
図37と
図38を参照すると、ボール移送駆動システムは、2つのモーターを用いて下に位置する軸受によって支えられたボールを駆動する。これにより、モーターはボールを任意の方向に駆動することが可能となる。このモーター駆動システムは、ボール移送軸受ブロックの中に設けられてよいし、独立したモーターシステムとしてボビン組立体の中央に設置されてもよい。
【0055】
制御システム:
図39を参照すると、制御システム設計は、トレッド面の速さと方向を制御する。制御システムは、ユーザーが全方向の移動面を使用する際に、安全で楽しい経験をすることを保証する。この制御システムは、カメラを介したユーザー運動のフィードバック、安全ハーネスを介した力のフィードバック、及び駆動モーターシステムからのフィードバックを利用する。これらの異なるフィードバックシステムは、ユーザーとOmniPadシステムの操作の検証と確認を行う。
【0056】
運動フィードバック:
図39を参照すると、OmniPad制御システムは、ユーザーに向けられたカメラやその他のセンサーを使用して、ユーザーの位置、方向、速度を決定することができる。ユーザーが上記の運動特性の一部または全部を変更すると、運動フィードバックシステムが反応し、それに応じてOmniPadのトレッド面を予測的に調整できる。また、運動フィードバックシステムは、ユーザーの体の部位の位置を特定し、仮想環境に追加のフィードバックを提供する。ユーザーの体の位置と速度を認識することで、運動フィードバックシステムは、ユーザーの次のステップがどこに置かれるか、重心がどこにあるかを計算する。この機能は、没入感のある体験の全体的な効果を高めるのに役立つ。
【0057】
モーターフィードバック。モーターの方向(正転または逆転)、速度(モーターのエンコーダまたはステップ)、衝突角(地面に対する回転方向)をモニターすることで、トレッドの実際の位置と動きを制御できる。モーターの電流とエンコーダの位置を監視することで、トレッドのシステム障害を監視できる(例:動いているはずのトレッドが動いていないなど)。
【0058】
ユーザーの力のフィードバック:ユーザーハーネス、靴、及び/又はトレッドミルに取り付けられたセンサーは、ユーザーがOmniPadの操作中にユーザーが発生させる加速度、方向性、角度方向の力を提供する。これらの加速度及び力は、OmniPadトレッドが動いている間に方向を変化させ、又は、速度を変化させるというOmniPadトレッドによる反応に処理及び変換される。
【0059】
ピボットテーブルシステム
【0060】
平らな場所で歩くこと又は走ることは十分だが、OmniPadシステムで再現することが可能な現実の世界には傾斜や勾配も存在する。丘を上る、下る、横切る、さらには砂利や砂、泥のようなさまざまな路面にわたって動くことを模擬できれば、仮想体験が顕著に改善される。
【0061】
傾斜ロボットプラットフォーム:
図40を参照すると、リニアアクチュエーターとセンサー(ロードセル、ポジションインジケーター)を組み合わせることで、トレッド面の傾きやピッチを変更するために運動面を作動できる。スチュワートプラットフォームを導入することで、OmniPadは仮想環境の中でユーザーが坂道を上る、下る、又は横切るのを模擬できる。
【0062】
変化する表面のエミュレーション:
図41を参照すると、ユーザーが視覚、聴覚、運動機能を備えた仮想世界に没頭しているとき、OmniPad制御システムは、トレッド面の角度や高さをわずかに調整して、砂利、砂、泥などの多様な表面を模擬できる。
【0063】
OmniPadコントロールシステムと没入型VR環境は、ユーザーの感覚認知を操作して、そのユーザーに様々な種類の路面や密度の上を歩いたり走ったりしているような感覚を与える。また、リニアポジションインジケーターとロードセルを組み合わせることで、ユーザーの足の位置を計算することができる。これにより、様々な路面を模擬するのに必要な、正確で微妙な変化を定めることができる。
【図 】